無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法
同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と同時に動作可能な無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法であって、各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、少なくとも1つの送受信機が含まれ、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域で、データ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを搬送する信号を送信し、周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化し、異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、シフトされた時間にそれぞれのデータ伝送を開始して、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)用の異なるデータ伝送チャネルを確立する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と同時に動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、デジタルデータを配信したいと望むパソコン又は他の装置間における新しい形態の通信を代表するものである。無線ネットワークは、通信媒体としてケーブルに依拠しないネットワークである。撚線対、同軸、又は光ファイバに関わらず、建物内でのデータ通信システム用の配線は、設置、維持、及び交換が高価であり、また、面倒である。これらの不利な点を回避するために、無線ネットワークは、数MHzから数テラヘルツまでの広い周波数範囲を網羅する信号を用いて、電波でデータ
を送信する。関係する周波数に応じて、無線ネットワークには、電波無線ネットワーク、マイクロ波無線ネットワーク及び赤外線無線ネットワークが含まれる。
【0003】
無線ネットワークは、主として、建物内に装置を接続して、携帯もしくは移動体装置をネットワークに接続するために用いられる。他の用途は、例えば、委員会又は業務会議において、移動体装置をデータベースや臨時のネットワークと交信状態に保つことである。
【0004】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)及び無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、比較的短い距離で情報を伝達するために用いられる。無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、IEEE802.15.3標準において規定されている。
【0005】
多くの状況や場面において、幾つかの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が、同じローカルエリアにおいて互いに同時に動作する。代表的な状況は、同じ会社の異なる部門、例えば、研究部門、経理部門、営業部門に属する多くの執務室が配置された大きな職場であろう。各部門のコンピュータは、そのような場合、別個の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)によって接続されている。幾つかの送受信機が含まれる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、ピコネットと称される。
【0006】
図1は、2つの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が、同じローカルエリアにおい
て動作する代表的な場面を示す。図1に示す例において、第1ピコネットWLANAには、無線ローカルエリアネットワークWLANA用のピコネットコーディネータ(PNC)と、何らかの追加の送受信機Al、A2、A3、A4と、が含まれる。第2ピコネットWLANBには、ピコネットコー
ディネータ(PNCB)と、更に、送受信機B1、B2、B3、B4、B5と、が含まれる。ピコネットコーディネータを含む送受信機は、位置が固定されていても移動可能な装置であってもよい。ピコネットコーディネータ(PNCA、PNCB)は、それぞれの無線ローカルエリアネットワーク(WLANA、WLANB)におけるデータトラフィックを管理するために提供される連係用送受信機である。
【0007】
示した例において、第1送信用送受信機A2は、無線ローカルエリアネットワークWLANA
のデータ伝送チャネル上で第1無線ローカルエリアネットワークWLANAの受信用送受信機A4にデータを送信する。更に、第2無線ローカルエリアネットワークWLANBの送信用送受信機B3は、同じ無線ローカルネットワークWLANBの受信用送受信機B1に、この無線ローカル
エリアネットワークのデータ伝送チャネル上でデータを送信する。送受信機間のデータ交信は、半二重で行われる。即ち、送受信機は、同じ無線ローカルエリアネットワークの他の送受信機に対してデータリンク上でデータの送信又は受信のいずれかを行い得る。データは、データパッケージを介して交信される。
【0008】
各ピコネットWLANiはそのそれぞれのデータ伝送チャネルを有する。即ち、データ伝送
チャネルは、対応するピコネットWLANiの全ての送受信機によって用いられる。ほとんど
の場合、無線ローカルエリアネットワークWLANに利用可能な周波数資源は法令によって範囲が定められている。通常、或る周波数帯域が、無線ローカルネットワークに割り当てられる。この周波数帯域内において、各送受信機は指定された平均パワースペクトル密度(PSD)以下で放射することが求められる。
【0009】
幾つかの無線ローカルエリアネットワークを同時に動作させるために、幾つかの提案がなされている。
最先端技術に基づく周波数分割多重(FDM)システムでは、割り当てられた周波数帯域は
、幾つかの副周波数帯域に分割される。FDMシステムでは、各データ伝送チャネル、その
結果として各ピコネットは、異なる周波数副帯域を用いる。従って、異なるピコネット(WLAN)におけるデータ伝送は、干渉がない状態で同時に実施し得る。
【0010】
FDMシステムの不利な点は、指定された全周波数帯域をどのピコネットも用い得る場合
と比較して、各ピコネットの利用可能な容量が小さいことである。
チャネル容量は、以下の式によって与えられる。即ち、
【0011】
【数1】
【0012】
各ピコネットの容量は、割り当てられた周波数副帯域だけでなく全周波数帯域を用い得る場合、大きくなる。FDMシステムの容量の低下はスループットの低下に直結する。その
結果、いずれか特定の送信機・受信機間距離に対して実現可能なデータビットレートは、FDMシステムでは低下する。
【0013】
最先端技術に基づくCDMA-DSSS(符号分割多元接続・直接スペクトル拡散)方式では、直
接スペクトル拡散が、変調方式として用いられる。DSSSでは、多数の短いデータ符号の系列を各情報符号の代わりに送信する。幾つかのデータ伝送チャネル又はピコネットをサポートするために、それらの間の相互相関が小さい異なるデータ系列を異なるデータ伝送チャネルに用いる。
【0014】
CDMA-DSSSシステムでは、各チャネルは、可能な最大スループットを達成し得るまで、
全周波数帯域を用い得る。同一エリアで動作しているピコネットが幾つかある場合、1つのピコネットの送信は、他のピコネットにとっては付加的なノイズと見なされる。
【0015】
CDMA-DSSSシステムの不利な点は、いわゆる遠近問題が存在することである。1つのピ
コネットの送受信機が送信している場合、この送信は、他のピコネットにとっては、付加的ノイズと見なされる。付加的ノイズのレベルは、拡散手順と干渉側信号の受信パワーレベルとの間の相互相関に比例する。例えば、ピコネットAの干渉側送受信機がピコネットBの受信用送受信機に近い場合、即ち、ピコネットBの送信用受信機より近い場合、ピコネ
ットBの受信用送受信機が認識する付加的ノイズレベルによって、受信機用に実現可能な
ビットレートは大幅に低下し、このため、データ伝送チャネルが完全にブロックされることさえあり得る。
【0016】
幾つかの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を同時に動作させるための最先端技術による他の提案は、CDMA-FH(符号分割多元接続・周波数ホッピング)方式を用いることで
ある。このCDMA-FHシステムでは、元の周波数帯域は、幾つかの副周波数帯域に分割され
る。あらゆる送信用送受信機が、或る時間間隔の間、或る周波数の副周波数帯域を用い、そして、次の周波数帯域に移る。所定の周波数ホッピング手順が、副周波数帯域の順番を制御し、このため送信用及び受信用送受信機双方は、いつ次の周波数に、また、どの副周波数帯域に切り換わるべきかという情報を有する。
【0017】
従来のCDMA-FH方式では、異なるデータ伝送チャネルには、異なる周波数ホッピング手
順が割り当てられる。
図2は、4つのデータ伝送チャネルを備えた最先端技術に基づくCDMA-FHシステムを示す。4つのデータ伝送チャネルを備えたCDMA-FHシステムは、4つのピコネット又は無線ロ
ーカルエリアネットワーク(WLAN)を同時に同じローカルエリアにおいて動作し得る。本例では、300nsの送信間隔の間、どの送受信機も或る周波数帯域を用い、所定のガード時間300nsの間、空き状態であり、更に、次の送信間隔内において次の周波数帯域を用いる。
【0018】
周波数ホッピング手順は、いずれのデータ伝送チャネルA、B、C、Dに対しても固定される。与えられた例において、データ伝送チャネルAは周波数ホッピング手順abcを有し、チャネルBは周波数ホッピング手順acbを有し、チャネルCは周波数ホッピング手順aabbccを
有し、チャネルDは周波数ホッピング手順aaccbbを有する。
【0019】
図2から分かるように、いずれか2つのデータ伝送チャネルにおいて、6つの引き続い
て起こる送信間隔で2つ以下の衝突がある。このことは、あらゆる送信機のあらゆる任意の時間シフトにも当てはまる。
【0020】
衝突は、2つの送受信機が、同じ周波数帯域を同時に用いる時の状態である。例えば、データ伝送チャネルAとデータ伝送チャネルBとの間の衝突は、双方のチャネルA、Bが周波数faを用いる場合、第1送信間隔の間に発生し、また、双方のチャネルA、Bが周波数faを再度用いる場合、第4送信間隔の間に発生する。他の衝突は、例えば、チャネルBとチャ
ネルD間において、第1送信間隔の間であり、この時、チャネルB、D双方は周波数aを用い、また、第6送信間隔の間であり、この時、チャネルB、D双方は周波数fbを用いる。
【0021】
図2に示す最先端技術に基づくCDMA-FHシステムは、平均パワースペクトル密度(PSD)が
支配的な制約である場合、FDMシステムより良好である。FDMシステムでは、送信パワーは、用いられた帯域幅に比例する。周波数ホッピングシステムでは、どの送受信機も最大許容パワーを送信し得る。その理由は、どの周波数副帯域に対しても、送受信機は、デューティサイクル比に比例してパワースペクトル密度(PSD)を増大し得るためである。図2に示す例において、この周波数副帯域を用いる送信間隔の間のあらゆる周波数副帯域におけるPSDは、デューティサイクルが1/6であるため、平均より6倍大きい。送受信機が最大可能送信パワーを用い得るという事実によって、距離当り到達可能なデータレートが改善される。
【0022】
従来のCDMA-FHシステムの不利な点は衝突が起こり得ることである。同じローカルエリ
アにおいて2つのピコネットが動作している場合、衝突の確率は高い。
図2に示す例において、衝突は送信間隔の1/3で発生する。この状況は、3つ以上のピコネットが動作している場合、更に悪くなる。4つのピコネット又はデータ伝送チャネルA
、B、C、Dの場合、3つの全帯域がブロックされ、無線ローカルエリアネットワーク内で
通信できない可能性さえある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、無線ローカルエリアネットワークを同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルネットワーク(WLAN)と同時に動作させることが可能であり且つ衝突を防止する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的は、主請求項1の特徴を有する方法によって達成される。
本発明は、同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルネットワーク(WLAN)と同時に動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法を提供する。本方法において、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、幾つかの送受信機が含まれ、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域で、データ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを送信し、
周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化し、
異なるチャネルを用い、また、異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する送信用送受信機は、各送受信機が保持するローカル時間点を基準にして、周波数ホッピングサイクルに異なる時間シフトを用いる。
【0025】
本発明の利点は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)による周波数使用の効率が改善されること、即ち、より多くのデータ伝送チャネル及びより多くのピコネットが、利用可能なデータスループットを各ピコネットにおいて大幅に低下させることなく同時に動作可能なことである。
【0026】
本発明による方法の他の好適な実施形態において、各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための連係用送受信機(PNC)が含まれる。
【0027】
好適な実施形態において、送受信機は、所定の時間長(Twin)の間、所定の時間期間(Tsync)毎に周期的に同期時間窓を開く。
好適な実施形態において、同期窓の開始時間は、周波数ホッピング手順の整合のためのローカル基準時間として定義される。
【0028】
好適な実施形態において、各送受信機は、同期ポリシー手順に基づき、同期時間窓の間に所定の同期信号を送信又は受信する。
他の好適な実施形態において、所定の同期ポリシー手順が各データ伝送チャネルに提供される。
【0029】
他の好適な実施形態において、どのチャネルを用いるかまだ決めていない新しい送受信機は、いずれも特定のチャネルに割り当てられた手順とは異なるポリシー手順を用いる。
他の好適な実施形態において、同期信号は、変化する周波数帯域で、同期送信間隔の間、同期窓の始まりを基準にした固定点において、同期時間窓内において送信される。
【0030】
好適な実施形態において、周波数帯域は、同期周波数ホッピング手順に基づく所定の周期的順番で各同期送信間隔と共に変化する。
同期周波数ホッピング手順の周波数帯域の順番は、データ伝送用の周波数ホッピング手順における周波数帯域の順番と同じ又は逆である。
【0031】
本発明による方法の好適な実施形態において、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ
伝送チャネルに提供された同期ポリシー手順に依存して、アップリンク同期時間窓の間、同期信号を受信し、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ伝送チャネルに提供された同期ポリシー手順に基づき、ダウンリンク同期時間窓の間、同期信号を受信する。
【0032】
本発明による方法の更に他の好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、同期信号の到着時間を検出する。
好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、受信信号を予想同期信号に関連付けて相関信号を生成する。
【0033】
好適な実施形態において、送受信機は、生成した相関信号の第1信号ピークの時間を同期信号の到着時間として検出し、検出到着時間を送受信機によって送信された同期信号の受信予想時間と比較する。
【0034】
好適な実施形態において、送受信機は、その同期期間を調整して、到着時間が受信予想時間より早い場合、同期信号の検出到着時間をマッチングさせる。
好適な実施形態において、同期送信間隔内における同期信号の自己相関関数は、衝撃関数を近似する。
【0035】
好適な実施形態において、データ送信間隔は、所定の時間長を有する。
他の実施形態において、異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のデータ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔の時間長と所定のガード時間との和である。
【0036】
好適な実施形態において、いずれか2つの送受信機は、同じピコネットに属するか否か関わらず、一方の送受信機から送信された同期信号が他方の送受信機の同期窓内において受信される場合、直接同期がとられる。
【0037】
好適な実施形態において、一グループの送受信機は、そのグループにおけるいずれか2つの送受信機が、直接同期がとられた送受信機の仮想チェーンを介して接続し得る場合、全て同期がとられクラスタを形成する。
【0038】
好適な実施形態において、クラスタにおけるいずれかの装置の平均同期期間が、クラスタ中の最早装置(最短の固有期間を備えた装置)の期間に等しい。
好適な実施形態において、いずれかのピコネットコーディネータ(PNC)が、所定の加速
期間の間、ランダムな時間に、同期周波数を高くし、こうして、このクラスタにおける全ての送受信機の平均同期周波数を高くして、そのクラスタと他のクラスタとを併合可能にする。
【0039】
好適な実施形態において、ランダムな加速時間を生成する第1の可能なプロセスは、PNCに、それ自体又は他のPNCによって生成された加速期間を特定させ、また、これらいずれかの期間の終了時点において、ゼロからランダムな時間まで計数するタイマを始動させることであり、ランダムな時間は、次の累積分布関数(CDF)、即ち、
【0040】
【数2】
【0041】
に基づき選択される。
好適な実施形態において、第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、選択されたランダムな時間にタイマが達した時、いずれかのPNCが、同期周波数を上げる
。
【0042】
本発明による方法の好適な実施形態において、第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、また、クラスタ内における無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、同期周波数が、同じクラスタ内における他の無線ローカルエリ
アネットワーク(WLAN)における他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くなったことを
検出する場合、そのタイマをリセットし、加速期間の終了を待つ。
【0043】
好適な実施形態において、ランダムな加速時間を生成する第2の可能なプロセスは、PNCに、加速開始又は非加速開始の2つのモードの一方を用いさせることである。
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を終了した直後、タイマを始動する。
タイマは、TAccMinとTAccMaxとの間の数値を生成する何らかの分布関数に基づき選択されたランダムな時間までゼロから計数する。選択されたランダムな時間にタイマが達した場合、PNCは、新しい加速期間を開始する。
【0044】
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、加速開始モードにあり、また、他のPNCによって生成された加速期間を特定するいずれか
のPNCが、非開始加速モードに切り換わる。
【0045】
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、非加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を特定し、また、そのような各期間
の後、カウンタを始動する。カウンタが、(TaccMaxより大きい)TaccSwitchに達した場
合、PNCは、加速期間を生成し、加速開始モードに切り換わる。
【0046】
本発明による方法の好適な実施形態において、第1同期周波数を有する第1クラスタ及び第2同期周波数を有する第2クラスタが互いに接近すると、第1又は第2クラスタの同期周波数が所定の加速期間の間高くなる場合、それらは併合して統合クラスタを形成し、こうして、第1及び第2クラスタの周期的同期時間窓の少なくとも1つの同期時間窓が、互いに重なり合う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下の好適な実施形態において、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法について、添付図面を参照して説明する。
図3は、6つの周波数帯域を用いる3つのデータ伝送チャネル1、2、3を有する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法の好適な実施形態を示す図である。与えられた例において、3つのデータ伝送チャネルは、同じローカルエリアにある3つの異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)又はピコネットによって同時に用い得
る。各データ伝送チャネル(即ち、チャネル1、チャネル2、チャネル3)は、それぞれの無
線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機によって用いられる。データ伝送は、所定の時間長、例えば、312.5nsecを有する連続的なデータ送信間隔内において行わ
れる。データ送信間隔内では、周波数ホッピングは行われない。データ送信間隔の終わりに達した場合、データ伝送用の周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、他の周波数に変わる。図3に示す例において、所定の周波数ホッピング手順は、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。各データ伝送チャネルは、同じ周波数ホッピング手順を用いる。異なるデータ伝送チャネルは、それらの特定のタイミング位相によって特定される。図3に示す例におい
て、データ伝送チャネル2内におけるデータ伝送は、データ伝送チャネル1におけるデータ伝送より遅く始まり、この場合、時間位相又は双方のデータ伝送チャネル間の時間差は、データ送信間隔の2倍の長さ、即ち、2×312.5nsec=625nsecである。タイミング位相又は2つのデータ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔(即ち、312.5nsec)の時間長と、本実
施形態では送信間隔と同じ時間長を有する所定のガード時間と、の和である。ガード時間は、チャネル伝搬時間及び他の時間の不確かさからの影響を回避するために必要である。
【0048】
同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の2つの送受信機間のデータ伝送は、半二重で行われる。即ち、送受信機は、データ送信間隔の間にデータを送信するか、又は、データ送信間隔の間にデータを受信するかのいずれかを行う。データ伝送は、データパッケージを用いて行われ、この場合、パッケージは、通常、複数のデータ送信間隔を用いて送信される。
【0049】
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための少なくとも1つの連係用送受信機(PNC)
を有する。図3の与えられた例では、3つの異なるデータ伝送チャネルを用いる3つの無
線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が提供され、各々、それぞれのデータ伝送チャネル内のデータトラフィックを管理するための各連係用送受信機PNCを有する。
【0050】
連係用送受信機PNCの他に、各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、幾つかの追
加の送受信機、例えば、10乃至100の送受信機を有する。同じ無線ローカルエリアネット
ワーク(WLAN)の他の送受信機にデータを送りたい送受信機は、要求側送受信機にデータ送信間隔を割り当てるそのそれぞれの連係用送受信機(PNC)に要求を送る。
【0051】
各送受信機に対して、少なくとも1つのコンピュータ等のデータ評価装置を接続し得る。
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域でのデータ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを搬送する信号を送信する。各新しいデータ送信間隔の場合、周波数帯域は、所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で変化する。周波数ホッピング手順は、全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同じである。
【0052】
図4は、本発明によるデータ伝送方法の他の実施形態を示し、この場合、4つの無線ロ
ーカルエリアネットワーク(WLAN)に4つのデータ伝送チャネルが提供され、6つの周波数帯域を用いる。図4に示す実施形態において、同じガード時間312.5nsecが用いられる。図3に示す実施形態において同じデータレートを維持するために、あらゆる周波数帯域に用
いられるデータ送信時間間隔の時間長は、2倍になる。従って、図3に示す実施形態にお
けるデータ送信間隔は、625nsec続き、ガード時間は、312.5nsecのままである。図4に示
す実施形態における周波数ホッピング手順は、図3に示すものと同じ手順である。即ち、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。
【0053】
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、シフトされた時間にそれぞれのデータ伝送を開始して、異なるデータ伝送チャネル又は各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立する。各データ伝送チャネルは、それぞれのタイミング位相によって特定される。タイミング位相を確立するために、全てのデータ伝送チャネル用の基準時間点が必要である。従って、同じローカルエリアにおいて動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機は、互いに同期がとられる。
【0054】
図5は、データ伝送のタイミング図を示し、この場合、同期信号は、周期的同期時間窓Twinの間、送信される。同期時間窓は、所定の時間長(T窓)を有する。同期時間窓は、時間期間Tsyncで周期的に開かれる。送受信機は、周期的同期時間窓の間、所定の同期信号(sync)を送信又は受信する。送受信機が所定の同期信号(sync)を送信するか又は所定の同期
信号を受信するかは、同期ポリシー手順によって決定される。同期ポリシー手順は、同期時間窓が、アップリンク同期時間窓(U-TW)又はダウンリンク同期時間窓(D-TW)であるかを示す。アップリンク同期時間窓(U-TW)の間、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機から
同期信号(sync)を受信する。これに対して、ダウンリンク同期時間窓(D-TW)の間、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、その連係用送受信機(PNC)から同期
信号(sync)を受信する。
【0055】
その結果、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内における通常の送受信機は、この同期時間窓がアップリンク同期時間窓(U-TW)であることを同期ポリシー手順が示す場合、同期時間窓内において同期信号を送信する。また、通常の送受信機は、それぞれの同期時間窓がダウンリンク同期時間窓(D-TW)であることをその同期ポリシー手順が示す場合、同期信号(sync)を受信する。
【0056】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内における連係用送受信機(PNC)は、時間窓が
ダウンリンク同期時間窓であることを同期ポリシー手順が示す場合、同期送信時間窓の間に同期信号を送り、また、同期時間窓がアップリンク時間窓であることをそれぞれの同期ポリシー手順が示す場合、同期信号をリッスンしない。
【0057】
図6は、同期送信間隔の間の同期時間窓内における同期信号の伝送を示す。データ伝送
と同様に、同期信号の伝送は、変化する周波数帯域で、送信間隔の間、行われる。同期送信間隔の間に同期信号を送信する場合の周波数ホッピングは、同期周波数ホッピング手順に基づき行われる。周波数帯域は、所定の周期的順番で新しい各同期送信間隔と共に変化する。
【0058】
図6に示すように、一実施形態において、同期周波数ホッピング手順の周波数帯域の順
番は、データ伝送に用いられる周波数ホッピング手順の周波数帯域の順番と逆になる。図6から分かるように、同期周波数ホッピング手順は、F6-F3-F5-F2-F4-F1である。即ち、データ伝送に用いられる周波数ホッピング手順F1-F4-F2-F5F3-F6と逆である。同期信号(sync)を送信する送信間隔長は、好適な実施形態において、データ伝送に用いられる長さと同じ、即ち、312.5nsecである。図6に示す実施形態において、同期信号は、6つの周波数帯域を用いる周期的な周波数ホッピング順番で、即ち、12の送信間隔の間に送信される。ガード時間312.5nsecは、同期信号の伝送の始まりと終わりに観察される。
【0059】
好適な実施形態において、同期周波数ホッピング手順は、データ伝送に用いられるものと同じであり、例えば、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。
図7は、4つのデータ伝送チャネル及び6つの周波数帯域を用いるシステム内における
同期信号の伝送を示す。本実施形態において、同期信号を送信するために用いられる送信間隔の長さは、データ送信間隔と同じ時間長を有する。
【0060】
信号を交信する距離又は信号範囲を有する全ての送受信機は、同時+/-或る時間の不確
かさにおいて同期時間窓を開く。各送受信機は、そのポリシー手順に基づき或る同期時間窓に受信用送受信機として動作すると決めた場合、同期信号(sync)の到着時間を検出する。
【0061】
好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、受信信号を予想同期信号に関連付け、相関信号を生成する。各送信信号に対して、多くの送信機がアクティブであり、また、多くの信号経路が存在し得るため、受信用送受信機は、その相関器の出力において多くのピークを特定する。
【0062】
従って、好適な実施形態において、送受信機は、生成した相関信号の第1信号ピークの時間を同期信号の到着時間として検出し、それ自体によって送られた同期信号の受信予想時間と検出到着時間とを比較する。受信信号ピークが、予想したピークより早い場合、受信用送受信機は、その同期期間を調整して、同期信号の検出した到着時間を、それ自体の同期タイマをリセットすることによってマッチングさせる。相関信号の受信ピークが、予想到着時間より早くない場合、同期タイマは、リセットされない。その結果として、あらゆる送受信機の同期期間は、近隣にある最早送受信機によって設定される。また、同期時間窓は、送受信機によって、周波数ホッピングフェーズの整合のために用いられる。
【0063】
好適な実施形態において、同期信号の自己相関関数は、衝撃関数を近似する。
図7に示すように4つのデータ伝送チャネルを有するデータ伝送システムにおいて、4
つの異なるポリシー手順が定義される。各ピコネット又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、それ自体の同期ポリシー手順、即ち、
s1=[d,d,d,u,u,u]
s2=[d,d,u,u]
s3=[d,u]
s4=[d,d,u]
が含まれる。
【0064】
特定のピコネット又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機は、同じポリシー手順を共有する。即ち、ピコネット1の送受信機は、手順s1を用い、ピコネッ
ト2の送受信機は、手順s2を用い、ピコネット3の送受信機は、手順s3を用い、ピコネット4の送受信機は、ポリシー手順s4を用いる。
【0065】
各同期窓は、ポリシー手順における或るタイミング位相に関係し、所定のピコネットにおける全ての装置は、ポリシー手順において同じフェーズを有する。連係用送受信機PNC
は、ピコネット内における全ての送受信機をポリシー手順における同じフェーズに整合する役割を果たす。同期送受信ポリシーは、特定の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内において、いずれかの送受信機から同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)におけるいずれか他の送受信機への同期タイミング更新が、せいぜい4×Tsync内で伝わることを実現する。
【0066】
最悪の事態は、ポリシー手順s1が用いられ、u、u、u、dフェーズが続いている場合である。あらゆる送受信機又は連係用送受信機は、その範囲内にある他の送受信機又は他のピコネットの連係用送受信機に、その同期タイミング更新を、
ピコネット1及び2の場合、4×Tsync、
ピコネット2及び3の場合、4×Tsync、
ピコネット3及び4の場合、6×Tsync、
ピコネット1及び4の場合、6×Tsync、
ピコネット1及び3の場合、6×Tsync、
ピコネット2及び4の場合、9×Tsync、
未満で出力する。
【0067】
隣接チャネルの場合、即ち、1-2、2-3、3-4、4-1の場合、最大時間遅延は、7×Tsyncである。定常状態の状況では、全ての送受信機が、それらの信号範囲内における他のいずれかの送受信機からやって来る信号の同期をとることによって、同期がとられている。
【0068】
同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する2つの送受信機の場合、一方の送受信機から他方の送受信機に同期信号を伝えるための最大時間は、この無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の同期ポリシー手順に依存する。無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の与えられた例において、この時間は、4×Tsyncである。
【0069】
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する2つの送受信機の場合、同期信号を伝える時間は、隣接データ伝送チャネルに対しては、7×Tsyncまで大きくできる。
タイミングの不確かさに対する第1の寄与は、2つの送受信機間の信号の伝搬時間から生じる。
【0070】
タイミングの不確かさに対する第2の寄与は、システム周波数源のドリフトによる同期周波数の差から生じる。
受信用送受信機によって認識される正規の送受信機と干渉機との間のタイミング位相の不確かさは、データ伝送チャネルを介した伝搬時間遅延及び周波数源の変動によるドリフトによって生じる。
【0071】
タイミング位相の不確かさによって生じるマイナスの影響を回避するために、異なるピコネット間のガード時間が提供される。
送受信機間の代表的な距離が約15mであり、代表的な同期時間がTsync=93.75msecであり、周波数偏差が+/-20ppmの場合、上述したポリシー手順を用いて、最大時間不確かさは、
200nsec+26.25nsec=226.25nsec
である。
【0072】
好適な実施形態において、ガード時間312.5nsecが実現されるが、これは、時間位相の
不確かさを回避するのに充分な長さである。
図8は、本発明による無線ローカルネットワーク(WLAN)内における同期メカニズムの好
適な実施形態のフローチャートを示す。
【0073】
第1ステップS1において、送受信機が起動され、初期の捕捉が行われる。
ステップS2において、送受信機は、同期信号送信間の公称時間差Tsyncで同期信号列を
検索する。
【0074】
送受信機は、ステップS3において、所定の時間の間、同期信号が検出されたか否かチェックする。同期信号を検出することなく待機時間が経過した場合、送受信機は、ステップS4において、それが連係用送受信機又はピコネットコーディネータPNCとして定義されて
いるか否かチェックする。送受信機が通常の送受信機であり、連係用送受信機PNCではな
い場合、プロセスは、ステップS2に戻り、送受信機は、更に同期信号を検索する。送受信機は、ステップS4において、それが連係用送受信機PNCであると判断した場合、ステップS5において、通常モード用のサブルーチンに入る。
【0075】
ステップS3において同期信号を検出した場合、送受信機は、ステップS6において、1つの同期信号が到着した時、そのタイマをゼロにリセットする。そして、ステップS7におい
て、加速モードサブルーチンに入る。
【0076】
図9は、本発明による送受信機によって実行される通常モードサブルーチンの第1の選
択肢を示す。
ステップS1において、送受信機は、指定された累積分布関数(CDF)に基づき、ランダム
な数値を選択し、通常モード期間がこの選択された数値に等しくなるように設定する。累積分布関数CDFの例を図13に示す。更に、通常モードタイマは、ゼロにリセットされる。
【0077】
ステップS2において、送受信機は、通常モードタイマが、所定の調節可能なパラメータである通常モード期間に達したかどうかチェックする。通常モードタイマが既に通常モード期間に達している場合、プロセスは、ステップS3において、加速モードルーチンを継続する。
【0078】
通常モードタイマが、通常モード期間にまだ達していない場合、送受信機は、ステップS4において、他のタイマが同期時間Tsynchと同期時間窓マージンとの間の時間差に達するまで待機する。時間窓マージンは、図5に示す。
【0079】
更に、ステップS5において、タイマは、ゼロに設定され、変数nは、インクリメントさ
れ、送受信機の所定のポリシー手順は、次のフェーズに設定される。そして、送受信機は、同期時間窓Twinを開く。
【0080】
ステップS6において、送受信機は、それ自体のポリシー手順Siに基づき、同期信号syncを送信するか否か又は同期信号の着信をリッスンするか否か判断する。
送受信機は、同期信号を送信することになっていると判断すると、同期時間窓マージンの間待機し、そして、ステップS7において同期信号を送信する。そして、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0081】
送受信機は、ステップS6において、同期信号を受信しなければならないと判断した場合、ステップS8において、同期時間窓の間ずっとリッスンし、予想同期信号を特定しようと試みる。送受信機は、第1同期信号syncの到着時間を推定する。
【0082】
ステップS9において、送受信機は、最早同期信号の到着時間が、同期時間と同期時間窓マージンとの和より早いか否か判断する。
到着時間が早くない場合、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0083】
最早同期信号の到着時間が、同期時間と同期時間窓マージンとの和より早い場合、タイマの値は、ステップS10において、最早同期信号の到着と同期時間窓マージンとの間の差
だけ低減される。
【0084】
ステップS11において、送受信機は、加速期間が他の送受信機によって実現されるかど
うかチェックする。加速期間が他の送受信機プロセスによって実現される場合、プロセスは、ステップS1に戻る。他の送受信機が加速期間を実現しない場合、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0085】
図10は、本発明による送受信機によって用いられる加速モードサブルーチンの好適な実施形態を示す。
ステップS1において、変数nは、ゼロに設定される。
【0086】
ステップS2において、送受信機は、カウンタnがパラメータNACCに達したかどうかチェ
ックする。カウンタがこのパラメータに達した場合、プロセスは、ステップS3における通
常モードサブルーチンに移行する。
【0087】
カウンタが、ステップS2においてパラメータNACCに達していない場合、送受信機は、ステップS4において、早い同期時間期間Tsync_fastと同期時間窓マージンとの間の時間差にそのタイマが達するまで待機する。
【0088】
調節可能なパラメータTsync_fastは、調節可能なタイマパラメータTsyncより小さい。
通常モードのステップS5と同様に、送受信機は、ステップS5において、加速モードに入り、そのタイマをゼロに設定し、カウンタnをインクリメントし、ポリシー手順を次のフ
ェーズにシフトし、所定の時間T窓の間、同期時間窓を開く。
【0089】
ステップS6において、送受信機は、同期時間窓の間に同期信号を送信又は受信しなければならないかどうかチェックする。
ステップS7において、同期信号が送信され、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0090】
送受信機は、リッスンすると決定した場合、ステップS8において、同期信号を特定しようと試み、そして、第1同期信号の到着時間を推定する。
ステップS9において、最早同期信号の到着時間が、同期時間tsyncと時間窓マージンと
の和より早いかどうかチェックする。
【0091】
最早検出同期信号の到着時間が、同期時間tsyncと時間窓マージンとの和より早い場合
、タイマの値は、ステップS10において、最早sync信号の到着時間と時間窓マージンとの
間の差だけ低減される。そして、ルーチンは、ステップS2に戻る。
【0092】
図9及び10に示す2つのモード間の主な差は、通常モードのステップS4において定義さ
れた同期時間Tsyncが、図10に示す加速モードのステップ4より短いことである。ローカルエリアにおける全ての目に見える送受信機、即ち、所定の範囲内における全ての送受信機は、定常状態の状況下で、互いに同期がとられる。
【0093】
本発明によるデータ伝送方法は、送受信機が移動可能であること、特に、送受信機が、他の無線ローカルエリアネットワークに属する他の送受信機の信号範囲の内外へ移動し得ることを可能にする。
【0094】
可能な異なるピコネット(WLAN)の2つの送受信機は、同期時間窓の間に互いの同期信号を検出すると、互いに同期がとられる。
全ての送受信機の同期が一旦とられると、互いに認識するいずれか2つの送受信機、即ち、信号範囲にあり同じ無線ローカルエリアネットワークに属するいずれか2つの送受信機は、同一エリアの他の送受信機からの干渉が全くない状態でデータを送信又は受信し得る。
【0095】
同期メカニズムには、互いに認識する送受信機のローカル時間間の時間差が制限されるという効果がある。この時間差は、送受信機間の距離及び周波数ドリフトに依存する。時間の確からしさからの影響を回避するために、ガード時間が設けられる。
【0096】
同期は、定常状態の状況において、互いに認識し得る送受信機間の衝突を回避する。
多くの状況において、異なる無線ローカルLANの移動可能な1つの送受信機又は移動可
能な複数の送受信機は、異なる無線ローカルエリアネットワークのクラスタに接近する。クラスタは、1つ又は複数の無線ローカルエリアネットワークに属する連係用送受信機PNCを含む送受信機のグループである。
【0097】
クラスタ内における全ての送受信機は、互いに同期がとられる。即ち、クラスタ内におけるいずれか2つの送受信機に対して、同期信号伝達用の少なくとも1つの信号ルートが存在する。クラスタ内における全ての送受信機は、互いに認識する、即ち、所定の信号範囲内にあることから、互いに同期がとられ、こうして、クラスタ内では、定常状態の条件が維持される。
【0098】
図11は、4つの異なるデータ伝送チャネルA、B、C、D上で動作する6つの無線ローカルエリアネットワークが含まれるクラスタの例を示す。図11に示す与えられた例において、無線ローカルエリアネットワークWLAN1は、他の無線ローカルエリアネットワークWLAN6と同じデータ伝送チャネルAを用いる。見て分かるように、無線ローカルエリアネットワー
クWLAN1は、無線ローカルエリアネットワークWLAN6と重なり合わないため、双方のローカルエリアネットワークは、同じデータ伝送チャネルAを用い得る。与えられた例において
、無線ローカルエリアネットワークWLAN2は、無線ローカルエリアネットワークWLAN4と同じデータ伝送チャネルBを用いる。双方の無線エリアネットワークWLAN2、WLAN4は、重な
り合わない。図11に示すように、無線ローカルエリアネットワークWLAN1は、無線ローカ
ルエリアネットワークWLAN2、WLAN3及びWLAN4と重なり合う。重なり合うネットワークWLAN4は、無線ローカルエリアネットワークWLAN5及びWLAN6と重なり合う。
【0099】
クラスタは、データ伝送システムによってサポートされるデータ伝送チャネルの数より多くの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含み得る。これによって、別個のエリアにおいて、同じデータ伝送チャネルを使い回しすることが可能になる。
【0100】
与えられた例において、無線ローカルエリアネットワークWLAN1及びWLAN6は、互いに認識しない。即ち、それらは、重なり合わないが、それにも関わらず、重なり合うネットワークWLAN4を介して、互いに同期がとられる。
【0101】
クラスタにおける同期がとられた送受信機は、特定の同期周波数で開かれる周期的同期時間窓の間に所定の同期信号syncを送信又は受信する。
図12は、2つのクラスタI、IIが互いに接近し、併合して統合クラスタIIIを形成する場合の状況を示す。与えられた例において、クラスタIには、互いに重なり合い、また、4
つの異なるデータ伝送チャネルA、B、C、Dを用いる4つの無線ローカルエリアネットワークが含まれる。クラスタIIには、データ伝送チャネルAを用いるただ1つの無線ローカル
エリアネットワークWLANが含まれる。2つのクラスタI、IIが、互いに接近し、互いの信
号範囲に入った後、クラスタIIのデータ伝送チャネルAを用いる無線ローカルエリアネッ
トワークは、与えられた例において、データ伝送チャネルC、Dを用いるクラスタIのデー
タ伝送チャネルと重なり合う。この状況において、統合クラスタIIIにおいて、無線ロー
カルエリアネットワークは、同じデータ伝送チャネルを用いる他の無線ローカルエリアネットワークと重なり合わないことから、衝突は、発生しない。
【0102】
クラスタが、他のクラスタに接近する場合、2つのクラスタ間において、高速の同期が行われる。クラスタI、II等の別個のクラスタの同期周波数は、異なる。クラスタ内にお
ける無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、そのクラスタと
他のクラスタとの併合を可能にする所定の加速期間の間、ランダムな時間に、このクラスタの同期周波数を高くする。連係用送受信機(PNC)は、累積分布関数(CDF)に基づき、ランダムな時間を選択する。
【0103】
好適な実施形態において、累積分布関数は、以下の通りである。即ち、
【0104】
【数3】
【0105】
累積分布関数の例を図13に示す。図13aは、累積分布関数を示し、図13bは、クラスタにおける加速期間の実際の時間に対する累積分布関数の導関数を示す。図13a及びbは、異なる数の無線ローカルエリアネットワークNを有するクラスタのグラフを示す。実際の時間
に対する分布関数は、時間シフトが一定でない非常に多くの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の場合と類似していることが図13から分かる。
【0106】
クラスタ内における無線ローカルエリアネットワークの連係用送受信機PNCは、選択さ
れたランダムな時間にタイマが達した場合、そのクラスタの同期周波数を高くする。クラスタ内における無線ローカルエリアネットワークWLANの連係用送受信機(PNC)は、同期周
波数が同じクラスタ内の他の無線ローカルエリアネットワークWLANにおける他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くされたことを検出した場合、タイマをリセットし加速期間
の終了を待つ。
【0107】
第1同期周波数を有する第1クラスタI及び第2同期周波数を有する第2クラスタIIが
、図12に示すように互いに接近すると、第1クラスタI又は第2クラスタIIの同期周波数
が、所定の加速期間の間、高くなった場合、それらは併合して統合クラスタIIIを形成す
るため、第1クラスタI及び第2クラスタIIの周期的同期時間窓の内、少なくとも1つの
同期時間窓は、互いに重なり合う。第1クラスタIは、通常の同期期間、例えば、Tsync100μsを有し得る。また、クラスタIIは、わずかに短い同期期間Tsync=99μsを有し得る。
2つの接近するクラスタI、IIが互いを認識し、双方のクラスタがしばらくして異なる同
期周波数で動作する場合、同期時間窓は、重なり合う。低い同期周波数のクラスタIIは、高い同期周波数に捕捉され動作する。
【0108】
本発明として用いられる同期メカニズムによれば、加速期間は、生成されクラスタ全体に拡散される。加速期間の厳密な開始時間は、ランダムである。異なるクラスタにおける加速期間の出現は、独立である。加速期間を設けることによって、2つの異なるクラスタがそれらの信号範囲に入った後、極めて短い時間内でそれらの間の同期が可能になる。一方のクラスタが加速期間にあり、他方のクラスタが加速期間にない場合、それらの同期窓間の時間差は、それらが重なり合い同期がとれるまで閉じる。
【0109】
加速レベルが高いほど、同期化は早くなる。しかしながら、加速レベルは、併合クラスタの送受信機が追随可能なように、高すぎることがないように選択される。周期的同期時間Tsyncを低減させることによって加速レベルを上げることが可能になる。
【0110】
2つのクラスの併合プロセスの間における同期の時間は、多くのパラメータに依存する統計的な特性を備えたランダムな変数である。
周波数偏差±20ppm、公称同期時間期間Tsync=50μs、選択された累積分布関数CDF(次のパラメータq=529、s=0.30、e=1.6secを備える)、加速期間0.2sec、加速レベル300ppmの現実的な事例の場合、同期時間は、90%の確率で4秒より小さく、99%の確率で8秒より小さい。
【0111】
好適な実施形態において、空きチャネル評価CCAメカニズムを用いるが、これによって
、競合期間の間、多くの送受信機が、送信を開始し得るかどうか、経験に基づき推測を行うことができる。
【0112】
同期信号の前後に送信しているあらゆる送受信機は、そのデータ伝送チャネルに用いられるホッピング時間位相で、所定の既知の信号により、追加のホッピングサイクルを付加する。同じ無線ローカルエリアネットワークWLANにおける他のあらゆる送受信機は、その追加の信号送信を監視しデータ伝送チャネルが空き状態でないことを理解する。
【0113】
異なるクラスタを併合する場合、接近するクラスタの連係用送受信機(PNC)は、ピコネ
ットを確立し、そして、同期信号列が見つかった場合、又は、新しい連係用送受信機が空のデータ伝送チャネルを見つけた場合第1加速期間の後、捕捉フェーズの終了時、日付の転送を開始する。
【0114】
クラスタに接近する通常の送受信機は、第1加速期間の直後、全てのデータ伝送チャネル上で既存のピコネットを検索する。そして、通常の送受信機は、そのようにすることに対してそれぞれの連係用送受信機PNCの承認を得た場合、いずれか見つかったピコネット
に合流する。新しい連係用送受信機DNCは、或るチャネルでピコネットを確立すると決め
るまで、任意の初期ポリシー手順フェーズを備えた新しいポリシー手順を用いる。その時点において、新しい連係用送受信機(PNC)は、そのデータ伝送チャネルに割り当てられる
ポリシー手順の使用を開始する。
【0115】
連係用送受信機(PNC)は、データ転送によって、現ポリシー手順フェーズを全てのアタ
ッチされた通常の送受信機に配信する。
新しい通常の送受信機は、合流しようと決定した或るデータ伝送チャネルを備えた動作ピコネットを見つけるまで、いずれか任意の初期ポリシー手順フェーズを備えた新しいポリシー手順を用いる。そして、通常の送受信機は、それぞれの連係用送受信機PNCによっ
て出力されたデータからポリシー手順フェーズを抽出する。通常の送受信機は、正しいフェーズを一旦検出すると、対応する手順フェーズでピコネットのチャネルに割り当てられるポリシー手順の使用を開始する。
【0116】
新しいあらゆる送受信機は、それが特定する同期の信号にそれ自体の同期窓を調整する。新しい送受信機は、2つ以上のクラスタからの同期信号を特定する場合、同期窓をクラスタの内の1つに合わせる。新しい送受信機が、或るクラスタの同期信号に調整されると、それ自体で同期窓を開き始め、新しい送受信機に割り当てられるポリシー手順により同期信号を送信する。新しい送受信機は、加速期間の間、加速同期周波数を用いる。新しい送受信機は、第1加速期間を終了する前、データを送信しない。新しい送受信機は、第1加速期間の後、空のチャネルを捜し、いずれか空のチャネルにおいてピコネットを確立する。いずれかの連係用送受信機PNCが、データ転送によって、その無線ローカルエリアネ
ットワークWLANに属する全ての送受信機にポリシー手順の現フェーズを配信する。新しい通常の送受信機は、第1加速期間後、動作中のあらゆる無線ローカルエリアWLANに合流し得る。新しい通常の送受信機は、連係用送受信機PNCによって転送されたデータからポリ
シー手順のフェーズを抽出し、そして、抽出されたフェーズで妥当なポリシー手順を用い始める。
【0117】
以下のポリシー手順は、好適な実施形態に用い得る。即ち、
S1=[u,u,u,d,d,d]
S2=[u,u,d,d]
S3[u,d]
S4=[u,u,d]
この場合、以下のポリシー手順は、新しい連係用送受信機PNCに用いられる。即ち、
S5=[d,u,u,u,u]
また、以下のポリシー手順は、通常の送受信機に用いられる。即ち、
S6=[u,d,d,d,d]
本発明による無線ローカルエリアネットワークWLAN内におけるデータ伝送方法によって、同じローカルエリアにおいて、多くの無線ローカルエリアネットワークWLANが同時に動作し得る。この場合、互いに重なり合う異なる無線ローカルエリアネットワークWLANは、クラスタを形成する。無線ローカルエリアネットワークWlanにおける送受信機は、固定された装置又は移動可能な装置のいずれであってよい。
【0118】
本発明による無線ローカルエリアネットワーク内におけるデータ伝送方法によって、各々少なくとも1つの無線ローカルエリアネットワークを含むクラスタは、併合又は分割し得ることが可能になる。クラスタ内における異なる無線ローカルエリアネットワークWLANの送信用送受信機は、シフトされた時間にそれらそれぞれのデータ伝送を開始して、無線ローカルエリアネットワークWLAN用の異なるデータ伝送チャネルを確立する。シフトされた時間にデータ伝送が開始された後、周波数帯域が、クラスタ内における全ての無線ローカルエリアネットワークに対して全く同じである所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化する。異なるデータ伝送チャネルを用いる無線ローカルエリアネットワークWLAN間の衝突は、発生し得ない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】最先端技術に基づく同時に動作する2つの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の構成を示す図。
【図2】最先端技術に基づく4つのデータ伝送チャネルを備えたCDMA-FHデータ伝送システムのタイミング図を示す図。
【図3】本発明によるデータ伝送方法の第1実施形態を用いる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送のタイミング図を示す図。
【図4】本発明によるデータ伝送方法の第2実施形態を用いる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送のタイミング図を示す図。
【図5】本発明によるデータ伝送方法の好適な実施形態に基づく同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図6】本発明によるデータ伝送方法の第1実施形態に基づく同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図7】本発明によるデータ伝送方法の第2実施形態に基づく周期的同期時間窓における同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図8】本発明による同期メカニズムのフローチャートを示す図。
【図9】本発明による同期メカニズムにおける通常モードの第1の選択肢のフローチャートを示す図。
【図10】本発明による同期メカニズムにおける加速モードのフローチャートを示す図。
【図11】本発明によるクラスタの形成を示す図。
【図12】本発明による統合クラスタを形成するためのクラスタの併合を示す図。
【図13】本発明によるデータ伝送方法の好適な実施形態に用いる累積分布関数を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と同時に動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、デジタルデータを配信したいと望むパソコン又は他の装置間における新しい形態の通信を代表するものである。無線ネットワークは、通信媒体としてケーブルに依拠しないネットワークである。撚線対、同軸、又は光ファイバに関わらず、建物内でのデータ通信システム用の配線は、設置、維持、及び交換が高価であり、また、面倒である。これらの不利な点を回避するために、無線ネットワークは、数MHzから数テラヘルツまでの広い周波数範囲を網羅する信号を用いて、電波でデータ
を送信する。関係する周波数に応じて、無線ネットワークには、電波無線ネットワーク、マイクロ波無線ネットワーク及び赤外線無線ネットワークが含まれる。
【0003】
無線ネットワークは、主として、建物内に装置を接続して、携帯もしくは移動体装置をネットワークに接続するために用いられる。他の用途は、例えば、委員会又は業務会議において、移動体装置をデータベースや臨時のネットワークと交信状態に保つことである。
【0004】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)及び無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、比較的短い距離で情報を伝達するために用いられる。無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、IEEE802.15.3標準において規定されている。
【0005】
多くの状況や場面において、幾つかの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が、同じローカルエリアにおいて互いに同時に動作する。代表的な状況は、同じ会社の異なる部門、例えば、研究部門、経理部門、営業部門に属する多くの執務室が配置された大きな職場であろう。各部門のコンピュータは、そのような場合、別個の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)によって接続されている。幾つかの送受信機が含まれる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、ピコネットと称される。
【0006】
図1は、2つの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が、同じローカルエリアにおい
て動作する代表的な場面を示す。図1に示す例において、第1ピコネットWLANAには、無線ローカルエリアネットワークWLANA用のピコネットコーディネータ(PNC)と、何らかの追加の送受信機Al、A2、A3、A4と、が含まれる。第2ピコネットWLANBには、ピコネットコー
ディネータ(PNCB)と、更に、送受信機B1、B2、B3、B4、B5と、が含まれる。ピコネットコーディネータを含む送受信機は、位置が固定されていても移動可能な装置であってもよい。ピコネットコーディネータ(PNCA、PNCB)は、それぞれの無線ローカルエリアネットワーク(WLANA、WLANB)におけるデータトラフィックを管理するために提供される連係用送受信機である。
【0007】
示した例において、第1送信用送受信機A2は、無線ローカルエリアネットワークWLANA
のデータ伝送チャネル上で第1無線ローカルエリアネットワークWLANAの受信用送受信機A4にデータを送信する。更に、第2無線ローカルエリアネットワークWLANBの送信用送受信機B3は、同じ無線ローカルネットワークWLANBの受信用送受信機B1に、この無線ローカル
エリアネットワークのデータ伝送チャネル上でデータを送信する。送受信機間のデータ交信は、半二重で行われる。即ち、送受信機は、同じ無線ローカルエリアネットワークの他の送受信機に対してデータリンク上でデータの送信又は受信のいずれかを行い得る。データは、データパッケージを介して交信される。
【0008】
各ピコネットWLANiはそのそれぞれのデータ伝送チャネルを有する。即ち、データ伝送
チャネルは、対応するピコネットWLANiの全ての送受信機によって用いられる。ほとんど
の場合、無線ローカルエリアネットワークWLANに利用可能な周波数資源は法令によって範囲が定められている。通常、或る周波数帯域が、無線ローカルネットワークに割り当てられる。この周波数帯域内において、各送受信機は指定された平均パワースペクトル密度(PSD)以下で放射することが求められる。
【0009】
幾つかの無線ローカルエリアネットワークを同時に動作させるために、幾つかの提案がなされている。
最先端技術に基づく周波数分割多重(FDM)システムでは、割り当てられた周波数帯域は
、幾つかの副周波数帯域に分割される。FDMシステムでは、各データ伝送チャネル、その
結果として各ピコネットは、異なる周波数副帯域を用いる。従って、異なるピコネット(WLAN)におけるデータ伝送は、干渉がない状態で同時に実施し得る。
【0010】
FDMシステムの不利な点は、指定された全周波数帯域をどのピコネットも用い得る場合
と比較して、各ピコネットの利用可能な容量が小さいことである。
チャネル容量は、以下の式によって与えられる。即ち、
【0011】
【数1】
【0012】
各ピコネットの容量は、割り当てられた周波数副帯域だけでなく全周波数帯域を用い得る場合、大きくなる。FDMシステムの容量の低下はスループットの低下に直結する。その
結果、いずれか特定の送信機・受信機間距離に対して実現可能なデータビットレートは、FDMシステムでは低下する。
【0013】
最先端技術に基づくCDMA-DSSS(符号分割多元接続・直接スペクトル拡散)方式では、直
接スペクトル拡散が、変調方式として用いられる。DSSSでは、多数の短いデータ符号の系列を各情報符号の代わりに送信する。幾つかのデータ伝送チャネル又はピコネットをサポートするために、それらの間の相互相関が小さい異なるデータ系列を異なるデータ伝送チャネルに用いる。
【0014】
CDMA-DSSSシステムでは、各チャネルは、可能な最大スループットを達成し得るまで、
全周波数帯域を用い得る。同一エリアで動作しているピコネットが幾つかある場合、1つのピコネットの送信は、他のピコネットにとっては付加的なノイズと見なされる。
【0015】
CDMA-DSSSシステムの不利な点は、いわゆる遠近問題が存在することである。1つのピ
コネットの送受信機が送信している場合、この送信は、他のピコネットにとっては、付加的ノイズと見なされる。付加的ノイズのレベルは、拡散手順と干渉側信号の受信パワーレベルとの間の相互相関に比例する。例えば、ピコネットAの干渉側送受信機がピコネットBの受信用送受信機に近い場合、即ち、ピコネットBの送信用受信機より近い場合、ピコネ
ットBの受信用送受信機が認識する付加的ノイズレベルによって、受信機用に実現可能な
ビットレートは大幅に低下し、このため、データ伝送チャネルが完全にブロックされることさえあり得る。
【0016】
幾つかの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を同時に動作させるための最先端技術による他の提案は、CDMA-FH(符号分割多元接続・周波数ホッピング)方式を用いることで
ある。このCDMA-FHシステムでは、元の周波数帯域は、幾つかの副周波数帯域に分割され
る。あらゆる送信用送受信機が、或る時間間隔の間、或る周波数の副周波数帯域を用い、そして、次の周波数帯域に移る。所定の周波数ホッピング手順が、副周波数帯域の順番を制御し、このため送信用及び受信用送受信機双方は、いつ次の周波数に、また、どの副周波数帯域に切り換わるべきかという情報を有する。
【0017】
従来のCDMA-FH方式では、異なるデータ伝送チャネルには、異なる周波数ホッピング手
順が割り当てられる。
図2は、4つのデータ伝送チャネルを備えた最先端技術に基づくCDMA-FHシステムを示す。4つのデータ伝送チャネルを備えたCDMA-FHシステムは、4つのピコネット又は無線ロ
ーカルエリアネットワーク(WLAN)を同時に同じローカルエリアにおいて動作し得る。本例では、300nsの送信間隔の間、どの送受信機も或る周波数帯域を用い、所定のガード時間300nsの間、空き状態であり、更に、次の送信間隔内において次の周波数帯域を用いる。
【0018】
周波数ホッピング手順は、いずれのデータ伝送チャネルA、B、C、Dに対しても固定される。与えられた例において、データ伝送チャネルAは周波数ホッピング手順abcを有し、チャネルBは周波数ホッピング手順acbを有し、チャネルCは周波数ホッピング手順aabbccを
有し、チャネルDは周波数ホッピング手順aaccbbを有する。
【0019】
図2から分かるように、いずれか2つのデータ伝送チャネルにおいて、6つの引き続い
て起こる送信間隔で2つ以下の衝突がある。このことは、あらゆる送信機のあらゆる任意の時間シフトにも当てはまる。
【0020】
衝突は、2つの送受信機が、同じ周波数帯域を同時に用いる時の状態である。例えば、データ伝送チャネルAとデータ伝送チャネルBとの間の衝突は、双方のチャネルA、Bが周波数faを用いる場合、第1送信間隔の間に発生し、また、双方のチャネルA、Bが周波数faを再度用いる場合、第4送信間隔の間に発生する。他の衝突は、例えば、チャネルBとチャ
ネルD間において、第1送信間隔の間であり、この時、チャネルB、D双方は周波数aを用い、また、第6送信間隔の間であり、この時、チャネルB、D双方は周波数fbを用いる。
【0021】
図2に示す最先端技術に基づくCDMA-FHシステムは、平均パワースペクトル密度(PSD)が
支配的な制約である場合、FDMシステムより良好である。FDMシステムでは、送信パワーは、用いられた帯域幅に比例する。周波数ホッピングシステムでは、どの送受信機も最大許容パワーを送信し得る。その理由は、どの周波数副帯域に対しても、送受信機は、デューティサイクル比に比例してパワースペクトル密度(PSD)を増大し得るためである。図2に示す例において、この周波数副帯域を用いる送信間隔の間のあらゆる周波数副帯域におけるPSDは、デューティサイクルが1/6であるため、平均より6倍大きい。送受信機が最大可能送信パワーを用い得るという事実によって、距離当り到達可能なデータレートが改善される。
【0022】
従来のCDMA-FHシステムの不利な点は衝突が起こり得ることである。同じローカルエリ
アにおいて2つのピコネットが動作している場合、衝突の確率は高い。
図2に示す例において、衝突は送信間隔の1/3で発生する。この状況は、3つ以上のピコネットが動作している場合、更に悪くなる。4つのピコネット又はデータ伝送チャネルA
、B、C、Dの場合、3つの全帯域がブロックされ、無線ローカルエリアネットワーク内で
通信できない可能性さえある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、無線ローカルエリアネットワークを同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルネットワーク(WLAN)と同時に動作させることが可能であり且つ衝突を防止する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的は、主請求項1の特徴を有する方法によって達成される。
本発明は、同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルネットワーク(WLAN)と同時に動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法を提供する。本方法において、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、幾つかの送受信機が含まれ、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域で、データ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを送信し、
周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化し、
異なるチャネルを用い、また、異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する送信用送受信機は、各送受信機が保持するローカル時間点を基準にして、周波数ホッピングサイクルに異なる時間シフトを用いる。
【0025】
本発明の利点は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)による周波数使用の効率が改善されること、即ち、より多くのデータ伝送チャネル及びより多くのピコネットが、利用可能なデータスループットを各ピコネットにおいて大幅に低下させることなく同時に動作可能なことである。
【0026】
本発明による方法の他の好適な実施形態において、各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための連係用送受信機(PNC)が含まれる。
【0027】
好適な実施形態において、送受信機は、所定の時間長(Twin)の間、所定の時間期間(Tsync)毎に周期的に同期時間窓を開く。
好適な実施形態において、同期窓の開始時間は、周波数ホッピング手順の整合のためのローカル基準時間として定義される。
【0028】
好適な実施形態において、各送受信機は、同期ポリシー手順に基づき、同期時間窓の間に所定の同期信号を送信又は受信する。
他の好適な実施形態において、所定の同期ポリシー手順が各データ伝送チャネルに提供される。
【0029】
他の好適な実施形態において、どのチャネルを用いるかまだ決めていない新しい送受信機は、いずれも特定のチャネルに割り当てられた手順とは異なるポリシー手順を用いる。
他の好適な実施形態において、同期信号は、変化する周波数帯域で、同期送信間隔の間、同期窓の始まりを基準にした固定点において、同期時間窓内において送信される。
【0030】
好適な実施形態において、周波数帯域は、同期周波数ホッピング手順に基づく所定の周期的順番で各同期送信間隔と共に変化する。
同期周波数ホッピング手順の周波数帯域の順番は、データ伝送用の周波数ホッピング手順における周波数帯域の順番と同じ又は逆である。
【0031】
本発明による方法の好適な実施形態において、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ
伝送チャネルに提供された同期ポリシー手順に依存して、アップリンク同期時間窓の間、同期信号を受信し、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ伝送チャネルに提供された同期ポリシー手順に基づき、ダウンリンク同期時間窓の間、同期信号を受信する。
【0032】
本発明による方法の更に他の好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、同期信号の到着時間を検出する。
好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、受信信号を予想同期信号に関連付けて相関信号を生成する。
【0033】
好適な実施形態において、送受信機は、生成した相関信号の第1信号ピークの時間を同期信号の到着時間として検出し、検出到着時間を送受信機によって送信された同期信号の受信予想時間と比較する。
【0034】
好適な実施形態において、送受信機は、その同期期間を調整して、到着時間が受信予想時間より早い場合、同期信号の検出到着時間をマッチングさせる。
好適な実施形態において、同期送信間隔内における同期信号の自己相関関数は、衝撃関数を近似する。
【0035】
好適な実施形態において、データ送信間隔は、所定の時間長を有する。
他の実施形態において、異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のデータ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔の時間長と所定のガード時間との和である。
【0036】
好適な実施形態において、いずれか2つの送受信機は、同じピコネットに属するか否か関わらず、一方の送受信機から送信された同期信号が他方の送受信機の同期窓内において受信される場合、直接同期がとられる。
【0037】
好適な実施形態において、一グループの送受信機は、そのグループにおけるいずれか2つの送受信機が、直接同期がとられた送受信機の仮想チェーンを介して接続し得る場合、全て同期がとられクラスタを形成する。
【0038】
好適な実施形態において、クラスタにおけるいずれかの装置の平均同期期間が、クラスタ中の最早装置(最短の固有期間を備えた装置)の期間に等しい。
好適な実施形態において、いずれかのピコネットコーディネータ(PNC)が、所定の加速
期間の間、ランダムな時間に、同期周波数を高くし、こうして、このクラスタにおける全ての送受信機の平均同期周波数を高くして、そのクラスタと他のクラスタとを併合可能にする。
【0039】
好適な実施形態において、ランダムな加速時間を生成する第1の可能なプロセスは、PNCに、それ自体又は他のPNCによって生成された加速期間を特定させ、また、これらいずれかの期間の終了時点において、ゼロからランダムな時間まで計数するタイマを始動させることであり、ランダムな時間は、次の累積分布関数(CDF)、即ち、
【0040】
【数2】
【0041】
に基づき選択される。
好適な実施形態において、第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、選択されたランダムな時間にタイマが達した時、いずれかのPNCが、同期周波数を上げる
。
【0042】
本発明による方法の好適な実施形態において、第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、また、クラスタ内における無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、同期周波数が、同じクラスタ内における他の無線ローカルエリ
アネットワーク(WLAN)における他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くなったことを
検出する場合、そのタイマをリセットし、加速期間の終了を待つ。
【0043】
好適な実施形態において、ランダムな加速時間を生成する第2の可能なプロセスは、PNCに、加速開始又は非加速開始の2つのモードの一方を用いさせることである。
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を終了した直後、タイマを始動する。
タイマは、TAccMinとTAccMaxとの間の数値を生成する何らかの分布関数に基づき選択されたランダムな時間までゼロから計数する。選択されたランダムな時間にタイマが達した場合、PNCは、新しい加速期間を開始する。
【0044】
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、加速開始モードにあり、また、他のPNCによって生成された加速期間を特定するいずれか
のPNCが、非開始加速モードに切り換わる。
【0045】
好適な実施形態において、第2の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、非加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を特定し、また、そのような各期間
の後、カウンタを始動する。カウンタが、(TaccMaxより大きい)TaccSwitchに達した場
合、PNCは、加速期間を生成し、加速開始モードに切り換わる。
【0046】
本発明による方法の好適な実施形態において、第1同期周波数を有する第1クラスタ及び第2同期周波数を有する第2クラスタが互いに接近すると、第1又は第2クラスタの同期周波数が所定の加速期間の間高くなる場合、それらは併合して統合クラスタを形成し、こうして、第1及び第2クラスタの周期的同期時間窓の少なくとも1つの同期時間窓が、互いに重なり合う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下の好適な実施形態において、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法について、添付図面を参照して説明する。
図3は、6つの周波数帯域を用いる3つのデータ伝送チャネル1、2、3を有する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送方法の好適な実施形態を示す図である。与えられた例において、3つのデータ伝送チャネルは、同じローカルエリアにある3つの異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)又はピコネットによって同時に用い得
る。各データ伝送チャネル(即ち、チャネル1、チャネル2、チャネル3)は、それぞれの無
線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機によって用いられる。データ伝送は、所定の時間長、例えば、312.5nsecを有する連続的なデータ送信間隔内において行わ
れる。データ送信間隔内では、周波数ホッピングは行われない。データ送信間隔の終わりに達した場合、データ伝送用の周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、他の周波数に変わる。図3に示す例において、所定の周波数ホッピング手順は、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。各データ伝送チャネルは、同じ周波数ホッピング手順を用いる。異なるデータ伝送チャネルは、それらの特定のタイミング位相によって特定される。図3に示す例におい
て、データ伝送チャネル2内におけるデータ伝送は、データ伝送チャネル1におけるデータ伝送より遅く始まり、この場合、時間位相又は双方のデータ伝送チャネル間の時間差は、データ送信間隔の2倍の長さ、即ち、2×312.5nsec=625nsecである。タイミング位相又は2つのデータ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔(即ち、312.5nsec)の時間長と、本実
施形態では送信間隔と同じ時間長を有する所定のガード時間と、の和である。ガード時間は、チャネル伝搬時間及び他の時間の不確かさからの影響を回避するために必要である。
【0048】
同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の2つの送受信機間のデータ伝送は、半二重で行われる。即ち、送受信機は、データ送信間隔の間にデータを送信するか、又は、データ送信間隔の間にデータを受信するかのいずれかを行う。データ伝送は、データパッケージを用いて行われ、この場合、パッケージは、通常、複数のデータ送信間隔を用いて送信される。
【0049】
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための少なくとも1つの連係用送受信機(PNC)
を有する。図3の与えられた例では、3つの異なるデータ伝送チャネルを用いる3つの無
線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が提供され、各々、それぞれのデータ伝送チャネル内のデータトラフィックを管理するための各連係用送受信機PNCを有する。
【0050】
連係用送受信機PNCの他に、各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、幾つかの追
加の送受信機、例えば、10乃至100の送受信機を有する。同じ無線ローカルエリアネット
ワーク(WLAN)の他の送受信機にデータを送りたい送受信機は、要求側送受信機にデータ送信間隔を割り当てるそのそれぞれの連係用送受信機(PNC)に要求を送る。
【0051】
各送受信機に対して、少なくとも1つのコンピュータ等のデータ評価装置を接続し得る。
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域でのデータ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを搬送する信号を送信する。各新しいデータ送信間隔の場合、周波数帯域は、所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で変化する。周波数ホッピング手順は、全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同じである。
【0052】
図4は、本発明によるデータ伝送方法の他の実施形態を示し、この場合、4つの無線ロ
ーカルエリアネットワーク(WLAN)に4つのデータ伝送チャネルが提供され、6つの周波数帯域を用いる。図4に示す実施形態において、同じガード時間312.5nsecが用いられる。図3に示す実施形態において同じデータレートを維持するために、あらゆる周波数帯域に用
いられるデータ送信時間間隔の時間長は、2倍になる。従って、図3に示す実施形態にお
けるデータ送信間隔は、625nsec続き、ガード時間は、312.5nsecのままである。図4に示
す実施形態における周波数ホッピング手順は、図3に示すものと同じ手順である。即ち、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。
【0053】
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、シフトされた時間にそれぞれのデータ伝送を開始して、異なるデータ伝送チャネル又は各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立する。各データ伝送チャネルは、それぞれのタイミング位相によって特定される。タイミング位相を確立するために、全てのデータ伝送チャネル用の基準時間点が必要である。従って、同じローカルエリアにおいて動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機は、互いに同期がとられる。
【0054】
図5は、データ伝送のタイミング図を示し、この場合、同期信号は、周期的同期時間窓Twinの間、送信される。同期時間窓は、所定の時間長(T窓)を有する。同期時間窓は、時間期間Tsyncで周期的に開かれる。送受信機は、周期的同期時間窓の間、所定の同期信号(sync)を送信又は受信する。送受信機が所定の同期信号(sync)を送信するか又は所定の同期
信号を受信するかは、同期ポリシー手順によって決定される。同期ポリシー手順は、同期時間窓が、アップリンク同期時間窓(U-TW)又はダウンリンク同期時間窓(D-TW)であるかを示す。アップリンク同期時間窓(U-TW)の間、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機から
同期信号(sync)を受信する。これに対して、ダウンリンク同期時間窓(D-TW)の間、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、その連係用送受信機(PNC)から同期
信号(sync)を受信する。
【0055】
その結果、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内における通常の送受信機は、この同期時間窓がアップリンク同期時間窓(U-TW)であることを同期ポリシー手順が示す場合、同期時間窓内において同期信号を送信する。また、通常の送受信機は、それぞれの同期時間窓がダウンリンク同期時間窓(D-TW)であることをその同期ポリシー手順が示す場合、同期信号(sync)を受信する。
【0056】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内における連係用送受信機(PNC)は、時間窓が
ダウンリンク同期時間窓であることを同期ポリシー手順が示す場合、同期送信時間窓の間に同期信号を送り、また、同期時間窓がアップリンク時間窓であることをそれぞれの同期ポリシー手順が示す場合、同期信号をリッスンしない。
【0057】
図6は、同期送信間隔の間の同期時間窓内における同期信号の伝送を示す。データ伝送
と同様に、同期信号の伝送は、変化する周波数帯域で、送信間隔の間、行われる。同期送信間隔の間に同期信号を送信する場合の周波数ホッピングは、同期周波数ホッピング手順に基づき行われる。周波数帯域は、所定の周期的順番で新しい各同期送信間隔と共に変化する。
【0058】
図6に示すように、一実施形態において、同期周波数ホッピング手順の周波数帯域の順
番は、データ伝送に用いられる周波数ホッピング手順の周波数帯域の順番と逆になる。図6から分かるように、同期周波数ホッピング手順は、F6-F3-F5-F2-F4-F1である。即ち、データ伝送に用いられる周波数ホッピング手順F1-F4-F2-F5F3-F6と逆である。同期信号(sync)を送信する送信間隔長は、好適な実施形態において、データ伝送に用いられる長さと同じ、即ち、312.5nsecである。図6に示す実施形態において、同期信号は、6つの周波数帯域を用いる周期的な周波数ホッピング順番で、即ち、12の送信間隔の間に送信される。ガード時間312.5nsecは、同期信号の伝送の始まりと終わりに観察される。
【0059】
好適な実施形態において、同期周波数ホッピング手順は、データ伝送に用いられるものと同じであり、例えば、F1-F4-F2-F5-F3-F6である。
図7は、4つのデータ伝送チャネル及び6つの周波数帯域を用いるシステム内における
同期信号の伝送を示す。本実施形態において、同期信号を送信するために用いられる送信間隔の長さは、データ送信間隔と同じ時間長を有する。
【0060】
信号を交信する距離又は信号範囲を有する全ての送受信機は、同時+/-或る時間の不確
かさにおいて同期時間窓を開く。各送受信機は、そのポリシー手順に基づき或る同期時間窓に受信用送受信機として動作すると決めた場合、同期信号(sync)の到着時間を検出する。
【0061】
好適な実施形態において、同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、受信信号を予想同期信号に関連付け、相関信号を生成する。各送信信号に対して、多くの送信機がアクティブであり、また、多くの信号経路が存在し得るため、受信用送受信機は、その相関器の出力において多くのピークを特定する。
【0062】
従って、好適な実施形態において、送受信機は、生成した相関信号の第1信号ピークの時間を同期信号の到着時間として検出し、それ自体によって送られた同期信号の受信予想時間と検出到着時間とを比較する。受信信号ピークが、予想したピークより早い場合、受信用送受信機は、その同期期間を調整して、同期信号の検出した到着時間を、それ自体の同期タイマをリセットすることによってマッチングさせる。相関信号の受信ピークが、予想到着時間より早くない場合、同期タイマは、リセットされない。その結果として、あらゆる送受信機の同期期間は、近隣にある最早送受信機によって設定される。また、同期時間窓は、送受信機によって、周波数ホッピングフェーズの整合のために用いられる。
【0063】
好適な実施形態において、同期信号の自己相関関数は、衝撃関数を近似する。
図7に示すように4つのデータ伝送チャネルを有するデータ伝送システムにおいて、4
つの異なるポリシー手順が定義される。各ピコネット又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、それ自体の同期ポリシー手順、即ち、
s1=[d,d,d,u,u,u]
s2=[d,d,u,u]
s3=[d,u]
s4=[d,d,u]
が含まれる。
【0064】
特定のピコネット又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の全ての送受信機は、同じポリシー手順を共有する。即ち、ピコネット1の送受信機は、手順s1を用い、ピコネッ
ト2の送受信機は、手順s2を用い、ピコネット3の送受信機は、手順s3を用い、ピコネット4の送受信機は、ポリシー手順s4を用いる。
【0065】
各同期窓は、ポリシー手順における或るタイミング位相に関係し、所定のピコネットにおける全ての装置は、ポリシー手順において同じフェーズを有する。連係用送受信機PNC
は、ピコネット内における全ての送受信機をポリシー手順における同じフェーズに整合する役割を果たす。同期送受信ポリシーは、特定の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内において、いずれかの送受信機から同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)におけるいずれか他の送受信機への同期タイミング更新が、せいぜい4×Tsync内で伝わることを実現する。
【0066】
最悪の事態は、ポリシー手順s1が用いられ、u、u、u、dフェーズが続いている場合である。あらゆる送受信機又は連係用送受信機は、その範囲内にある他の送受信機又は他のピコネットの連係用送受信機に、その同期タイミング更新を、
ピコネット1及び2の場合、4×Tsync、
ピコネット2及び3の場合、4×Tsync、
ピコネット3及び4の場合、6×Tsync、
ピコネット1及び4の場合、6×Tsync、
ピコネット1及び3の場合、6×Tsync、
ピコネット2及び4の場合、9×Tsync、
未満で出力する。
【0067】
隣接チャネルの場合、即ち、1-2、2-3、3-4、4-1の場合、最大時間遅延は、7×Tsyncである。定常状態の状況では、全ての送受信機が、それらの信号範囲内における他のいずれかの送受信機からやって来る信号の同期をとることによって、同期がとられている。
【0068】
同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する2つの送受信機の場合、一方の送受信機から他方の送受信機に同期信号を伝えるための最大時間は、この無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の同期ポリシー手順に依存する。無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の与えられた例において、この時間は、4×Tsyncである。
【0069】
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に属する2つの送受信機の場合、同期信号を伝える時間は、隣接データ伝送チャネルに対しては、7×Tsyncまで大きくできる。
タイミングの不確かさに対する第1の寄与は、2つの送受信機間の信号の伝搬時間から生じる。
【0070】
タイミングの不確かさに対する第2の寄与は、システム周波数源のドリフトによる同期周波数の差から生じる。
受信用送受信機によって認識される正規の送受信機と干渉機との間のタイミング位相の不確かさは、データ伝送チャネルを介した伝搬時間遅延及び周波数源の変動によるドリフトによって生じる。
【0071】
タイミング位相の不確かさによって生じるマイナスの影響を回避するために、異なるピコネット間のガード時間が提供される。
送受信機間の代表的な距離が約15mであり、代表的な同期時間がTsync=93.75msecであり、周波数偏差が+/-20ppmの場合、上述したポリシー手順を用いて、最大時間不確かさは、
200nsec+26.25nsec=226.25nsec
である。
【0072】
好適な実施形態において、ガード時間312.5nsecが実現されるが、これは、時間位相の
不確かさを回避するのに充分な長さである。
図8は、本発明による無線ローカルネットワーク(WLAN)内における同期メカニズムの好
適な実施形態のフローチャートを示す。
【0073】
第1ステップS1において、送受信機が起動され、初期の捕捉が行われる。
ステップS2において、送受信機は、同期信号送信間の公称時間差Tsyncで同期信号列を
検索する。
【0074】
送受信機は、ステップS3において、所定の時間の間、同期信号が検出されたか否かチェックする。同期信号を検出することなく待機時間が経過した場合、送受信機は、ステップS4において、それが連係用送受信機又はピコネットコーディネータPNCとして定義されて
いるか否かチェックする。送受信機が通常の送受信機であり、連係用送受信機PNCではな
い場合、プロセスは、ステップS2に戻り、送受信機は、更に同期信号を検索する。送受信機は、ステップS4において、それが連係用送受信機PNCであると判断した場合、ステップS5において、通常モード用のサブルーチンに入る。
【0075】
ステップS3において同期信号を検出した場合、送受信機は、ステップS6において、1つの同期信号が到着した時、そのタイマをゼロにリセットする。そして、ステップS7におい
て、加速モードサブルーチンに入る。
【0076】
図9は、本発明による送受信機によって実行される通常モードサブルーチンの第1の選
択肢を示す。
ステップS1において、送受信機は、指定された累積分布関数(CDF)に基づき、ランダム
な数値を選択し、通常モード期間がこの選択された数値に等しくなるように設定する。累積分布関数CDFの例を図13に示す。更に、通常モードタイマは、ゼロにリセットされる。
【0077】
ステップS2において、送受信機は、通常モードタイマが、所定の調節可能なパラメータである通常モード期間に達したかどうかチェックする。通常モードタイマが既に通常モード期間に達している場合、プロセスは、ステップS3において、加速モードルーチンを継続する。
【0078】
通常モードタイマが、通常モード期間にまだ達していない場合、送受信機は、ステップS4において、他のタイマが同期時間Tsynchと同期時間窓マージンとの間の時間差に達するまで待機する。時間窓マージンは、図5に示す。
【0079】
更に、ステップS5において、タイマは、ゼロに設定され、変数nは、インクリメントさ
れ、送受信機の所定のポリシー手順は、次のフェーズに設定される。そして、送受信機は、同期時間窓Twinを開く。
【0080】
ステップS6において、送受信機は、それ自体のポリシー手順Siに基づき、同期信号syncを送信するか否か又は同期信号の着信をリッスンするか否か判断する。
送受信機は、同期信号を送信することになっていると判断すると、同期時間窓マージンの間待機し、そして、ステップS7において同期信号を送信する。そして、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0081】
送受信機は、ステップS6において、同期信号を受信しなければならないと判断した場合、ステップS8において、同期時間窓の間ずっとリッスンし、予想同期信号を特定しようと試みる。送受信機は、第1同期信号syncの到着時間を推定する。
【0082】
ステップS9において、送受信機は、最早同期信号の到着時間が、同期時間と同期時間窓マージンとの和より早いか否か判断する。
到着時間が早くない場合、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0083】
最早同期信号の到着時間が、同期時間と同期時間窓マージンとの和より早い場合、タイマの値は、ステップS10において、最早同期信号の到着と同期時間窓マージンとの間の差
だけ低減される。
【0084】
ステップS11において、送受信機は、加速期間が他の送受信機によって実現されるかど
うかチェックする。加速期間が他の送受信機プロセスによって実現される場合、プロセスは、ステップS1に戻る。他の送受信機が加速期間を実現しない場合、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0085】
図10は、本発明による送受信機によって用いられる加速モードサブルーチンの好適な実施形態を示す。
ステップS1において、変数nは、ゼロに設定される。
【0086】
ステップS2において、送受信機は、カウンタnがパラメータNACCに達したかどうかチェ
ックする。カウンタがこのパラメータに達した場合、プロセスは、ステップS3における通
常モードサブルーチンに移行する。
【0087】
カウンタが、ステップS2においてパラメータNACCに達していない場合、送受信機は、ステップS4において、早い同期時間期間Tsync_fastと同期時間窓マージンとの間の時間差にそのタイマが達するまで待機する。
【0088】
調節可能なパラメータTsync_fastは、調節可能なタイマパラメータTsyncより小さい。
通常モードのステップS5と同様に、送受信機は、ステップS5において、加速モードに入り、そのタイマをゼロに設定し、カウンタnをインクリメントし、ポリシー手順を次のフ
ェーズにシフトし、所定の時間T窓の間、同期時間窓を開く。
【0089】
ステップS6において、送受信機は、同期時間窓の間に同期信号を送信又は受信しなければならないかどうかチェックする。
ステップS7において、同期信号が送信され、プロセスは、ステップS2に戻る。
【0090】
送受信機は、リッスンすると決定した場合、ステップS8において、同期信号を特定しようと試み、そして、第1同期信号の到着時間を推定する。
ステップS9において、最早同期信号の到着時間が、同期時間tsyncと時間窓マージンと
の和より早いかどうかチェックする。
【0091】
最早検出同期信号の到着時間が、同期時間tsyncと時間窓マージンとの和より早い場合
、タイマの値は、ステップS10において、最早sync信号の到着時間と時間窓マージンとの
間の差だけ低減される。そして、ルーチンは、ステップS2に戻る。
【0092】
図9及び10に示す2つのモード間の主な差は、通常モードのステップS4において定義さ
れた同期時間Tsyncが、図10に示す加速モードのステップ4より短いことである。ローカルエリアにおける全ての目に見える送受信機、即ち、所定の範囲内における全ての送受信機は、定常状態の状況下で、互いに同期がとられる。
【0093】
本発明によるデータ伝送方法は、送受信機が移動可能であること、特に、送受信機が、他の無線ローカルエリアネットワークに属する他の送受信機の信号範囲の内外へ移動し得ることを可能にする。
【0094】
可能な異なるピコネット(WLAN)の2つの送受信機は、同期時間窓の間に互いの同期信号を検出すると、互いに同期がとられる。
全ての送受信機の同期が一旦とられると、互いに認識するいずれか2つの送受信機、即ち、信号範囲にあり同じ無線ローカルエリアネットワークに属するいずれか2つの送受信機は、同一エリアの他の送受信機からの干渉が全くない状態でデータを送信又は受信し得る。
【0095】
同期メカニズムには、互いに認識する送受信機のローカル時間間の時間差が制限されるという効果がある。この時間差は、送受信機間の距離及び周波数ドリフトに依存する。時間の確からしさからの影響を回避するために、ガード時間が設けられる。
【0096】
同期は、定常状態の状況において、互いに認識し得る送受信機間の衝突を回避する。
多くの状況において、異なる無線ローカルLANの移動可能な1つの送受信機又は移動可
能な複数の送受信機は、異なる無線ローカルエリアネットワークのクラスタに接近する。クラスタは、1つ又は複数の無線ローカルエリアネットワークに属する連係用送受信機PNCを含む送受信機のグループである。
【0097】
クラスタ内における全ての送受信機は、互いに同期がとられる。即ち、クラスタ内におけるいずれか2つの送受信機に対して、同期信号伝達用の少なくとも1つの信号ルートが存在する。クラスタ内における全ての送受信機は、互いに認識する、即ち、所定の信号範囲内にあることから、互いに同期がとられ、こうして、クラスタ内では、定常状態の条件が維持される。
【0098】
図11は、4つの異なるデータ伝送チャネルA、B、C、D上で動作する6つの無線ローカルエリアネットワークが含まれるクラスタの例を示す。図11に示す与えられた例において、無線ローカルエリアネットワークWLAN1は、他の無線ローカルエリアネットワークWLAN6と同じデータ伝送チャネルAを用いる。見て分かるように、無線ローカルエリアネットワー
クWLAN1は、無線ローカルエリアネットワークWLAN6と重なり合わないため、双方のローカルエリアネットワークは、同じデータ伝送チャネルAを用い得る。与えられた例において
、無線ローカルエリアネットワークWLAN2は、無線ローカルエリアネットワークWLAN4と同じデータ伝送チャネルBを用いる。双方の無線エリアネットワークWLAN2、WLAN4は、重な
り合わない。図11に示すように、無線ローカルエリアネットワークWLAN1は、無線ローカ
ルエリアネットワークWLAN2、WLAN3及びWLAN4と重なり合う。重なり合うネットワークWLAN4は、無線ローカルエリアネットワークWLAN5及びWLAN6と重なり合う。
【0099】
クラスタは、データ伝送システムによってサポートされるデータ伝送チャネルの数より多くの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含み得る。これによって、別個のエリアにおいて、同じデータ伝送チャネルを使い回しすることが可能になる。
【0100】
与えられた例において、無線ローカルエリアネットワークWLAN1及びWLAN6は、互いに認識しない。即ち、それらは、重なり合わないが、それにも関わらず、重なり合うネットワークWLAN4を介して、互いに同期がとられる。
【0101】
クラスタにおける同期がとられた送受信機は、特定の同期周波数で開かれる周期的同期時間窓の間に所定の同期信号syncを送信又は受信する。
図12は、2つのクラスタI、IIが互いに接近し、併合して統合クラスタIIIを形成する場合の状況を示す。与えられた例において、クラスタIには、互いに重なり合い、また、4
つの異なるデータ伝送チャネルA、B、C、Dを用いる4つの無線ローカルエリアネットワークが含まれる。クラスタIIには、データ伝送チャネルAを用いるただ1つの無線ローカル
エリアネットワークWLANが含まれる。2つのクラスタI、IIが、互いに接近し、互いの信
号範囲に入った後、クラスタIIのデータ伝送チャネルAを用いる無線ローカルエリアネッ
トワークは、与えられた例において、データ伝送チャネルC、Dを用いるクラスタIのデー
タ伝送チャネルと重なり合う。この状況において、統合クラスタIIIにおいて、無線ロー
カルエリアネットワークは、同じデータ伝送チャネルを用いる他の無線ローカルエリアネットワークと重なり合わないことから、衝突は、発生しない。
【0102】
クラスタが、他のクラスタに接近する場合、2つのクラスタ間において、高速の同期が行われる。クラスタI、II等の別個のクラスタの同期周波数は、異なる。クラスタ内にお
ける無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、そのクラスタと
他のクラスタとの併合を可能にする所定の加速期間の間、ランダムな時間に、このクラスタの同期周波数を高くする。連係用送受信機(PNC)は、累積分布関数(CDF)に基づき、ランダムな時間を選択する。
【0103】
好適な実施形態において、累積分布関数は、以下の通りである。即ち、
【0104】
【数3】
【0105】
累積分布関数の例を図13に示す。図13aは、累積分布関数を示し、図13bは、クラスタにおける加速期間の実際の時間に対する累積分布関数の導関数を示す。図13a及びbは、異なる数の無線ローカルエリアネットワークNを有するクラスタのグラフを示す。実際の時間
に対する分布関数は、時間シフトが一定でない非常に多くの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の場合と類似していることが図13から分かる。
【0106】
クラスタ内における無線ローカルエリアネットワークの連係用送受信機PNCは、選択さ
れたランダムな時間にタイマが達した場合、そのクラスタの同期周波数を高くする。クラスタ内における無線ローカルエリアネットワークWLANの連係用送受信機(PNC)は、同期周
波数が同じクラスタ内の他の無線ローカルエリアネットワークWLANにおける他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くされたことを検出した場合、タイマをリセットし加速期間
の終了を待つ。
【0107】
第1同期周波数を有する第1クラスタI及び第2同期周波数を有する第2クラスタIIが
、図12に示すように互いに接近すると、第1クラスタI又は第2クラスタIIの同期周波数
が、所定の加速期間の間、高くなった場合、それらは併合して統合クラスタIIIを形成す
るため、第1クラスタI及び第2クラスタIIの周期的同期時間窓の内、少なくとも1つの
同期時間窓は、互いに重なり合う。第1クラスタIは、通常の同期期間、例えば、Tsync100μsを有し得る。また、クラスタIIは、わずかに短い同期期間Tsync=99μsを有し得る。
2つの接近するクラスタI、IIが互いを認識し、双方のクラスタがしばらくして異なる同
期周波数で動作する場合、同期時間窓は、重なり合う。低い同期周波数のクラスタIIは、高い同期周波数に捕捉され動作する。
【0108】
本発明として用いられる同期メカニズムによれば、加速期間は、生成されクラスタ全体に拡散される。加速期間の厳密な開始時間は、ランダムである。異なるクラスタにおける加速期間の出現は、独立である。加速期間を設けることによって、2つの異なるクラスタがそれらの信号範囲に入った後、極めて短い時間内でそれらの間の同期が可能になる。一方のクラスタが加速期間にあり、他方のクラスタが加速期間にない場合、それらの同期窓間の時間差は、それらが重なり合い同期がとれるまで閉じる。
【0109】
加速レベルが高いほど、同期化は早くなる。しかしながら、加速レベルは、併合クラスタの送受信機が追随可能なように、高すぎることがないように選択される。周期的同期時間Tsyncを低減させることによって加速レベルを上げることが可能になる。
【0110】
2つのクラスの併合プロセスの間における同期の時間は、多くのパラメータに依存する統計的な特性を備えたランダムな変数である。
周波数偏差±20ppm、公称同期時間期間Tsync=50μs、選択された累積分布関数CDF(次のパラメータq=529、s=0.30、e=1.6secを備える)、加速期間0.2sec、加速レベル300ppmの現実的な事例の場合、同期時間は、90%の確率で4秒より小さく、99%の確率で8秒より小さい。
【0111】
好適な実施形態において、空きチャネル評価CCAメカニズムを用いるが、これによって
、競合期間の間、多くの送受信機が、送信を開始し得るかどうか、経験に基づき推測を行うことができる。
【0112】
同期信号の前後に送信しているあらゆる送受信機は、そのデータ伝送チャネルに用いられるホッピング時間位相で、所定の既知の信号により、追加のホッピングサイクルを付加する。同じ無線ローカルエリアネットワークWLANにおける他のあらゆる送受信機は、その追加の信号送信を監視しデータ伝送チャネルが空き状態でないことを理解する。
【0113】
異なるクラスタを併合する場合、接近するクラスタの連係用送受信機(PNC)は、ピコネ
ットを確立し、そして、同期信号列が見つかった場合、又は、新しい連係用送受信機が空のデータ伝送チャネルを見つけた場合第1加速期間の後、捕捉フェーズの終了時、日付の転送を開始する。
【0114】
クラスタに接近する通常の送受信機は、第1加速期間の直後、全てのデータ伝送チャネル上で既存のピコネットを検索する。そして、通常の送受信機は、そのようにすることに対してそれぞれの連係用送受信機PNCの承認を得た場合、いずれか見つかったピコネット
に合流する。新しい連係用送受信機DNCは、或るチャネルでピコネットを確立すると決め
るまで、任意の初期ポリシー手順フェーズを備えた新しいポリシー手順を用いる。その時点において、新しい連係用送受信機(PNC)は、そのデータ伝送チャネルに割り当てられる
ポリシー手順の使用を開始する。
【0115】
連係用送受信機(PNC)は、データ転送によって、現ポリシー手順フェーズを全てのアタ
ッチされた通常の送受信機に配信する。
新しい通常の送受信機は、合流しようと決定した或るデータ伝送チャネルを備えた動作ピコネットを見つけるまで、いずれか任意の初期ポリシー手順フェーズを備えた新しいポリシー手順を用いる。そして、通常の送受信機は、それぞれの連係用送受信機PNCによっ
て出力されたデータからポリシー手順フェーズを抽出する。通常の送受信機は、正しいフェーズを一旦検出すると、対応する手順フェーズでピコネットのチャネルに割り当てられるポリシー手順の使用を開始する。
【0116】
新しいあらゆる送受信機は、それが特定する同期の信号にそれ自体の同期窓を調整する。新しい送受信機は、2つ以上のクラスタからの同期信号を特定する場合、同期窓をクラスタの内の1つに合わせる。新しい送受信機が、或るクラスタの同期信号に調整されると、それ自体で同期窓を開き始め、新しい送受信機に割り当てられるポリシー手順により同期信号を送信する。新しい送受信機は、加速期間の間、加速同期周波数を用いる。新しい送受信機は、第1加速期間を終了する前、データを送信しない。新しい送受信機は、第1加速期間の後、空のチャネルを捜し、いずれか空のチャネルにおいてピコネットを確立する。いずれかの連係用送受信機PNCが、データ転送によって、その無線ローカルエリアネ
ットワークWLANに属する全ての送受信機にポリシー手順の現フェーズを配信する。新しい通常の送受信機は、第1加速期間後、動作中のあらゆる無線ローカルエリアWLANに合流し得る。新しい通常の送受信機は、連係用送受信機PNCによって転送されたデータからポリ
シー手順のフェーズを抽出し、そして、抽出されたフェーズで妥当なポリシー手順を用い始める。
【0117】
以下のポリシー手順は、好適な実施形態に用い得る。即ち、
S1=[u,u,u,d,d,d]
S2=[u,u,d,d]
S3[u,d]
S4=[u,u,d]
この場合、以下のポリシー手順は、新しい連係用送受信機PNCに用いられる。即ち、
S5=[d,u,u,u,u]
また、以下のポリシー手順は、通常の送受信機に用いられる。即ち、
S6=[u,d,d,d,d]
本発明による無線ローカルエリアネットワークWLAN内におけるデータ伝送方法によって、同じローカルエリアにおいて、多くの無線ローカルエリアネットワークWLANが同時に動作し得る。この場合、互いに重なり合う異なる無線ローカルエリアネットワークWLANは、クラスタを形成する。無線ローカルエリアネットワークWlanにおける送受信機は、固定された装置又は移動可能な装置のいずれであってよい。
【0118】
本発明による無線ローカルエリアネットワーク内におけるデータ伝送方法によって、各々少なくとも1つの無線ローカルエリアネットワークを含むクラスタは、併合又は分割し得ることが可能になる。クラスタ内における異なる無線ローカルエリアネットワークWLANの送信用送受信機は、シフトされた時間にそれらそれぞれのデータ伝送を開始して、無線ローカルエリアネットワークWLAN用の異なるデータ伝送チャネルを確立する。シフトされた時間にデータ伝送が開始された後、周波数帯域が、クラスタ内における全ての無線ローカルエリアネットワークに対して全く同じである所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化する。異なるデータ伝送チャネルを用いる無線ローカルエリアネットワークWLAN間の衝突は、発生し得ない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】最先端技術に基づく同時に動作する2つの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の構成を示す図。
【図2】最先端技術に基づく4つのデータ伝送チャネルを備えたCDMA-FHデータ伝送システムのタイミング図を示す図。
【図3】本発明によるデータ伝送方法の第1実施形態を用いる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送のタイミング図を示す図。
【図4】本発明によるデータ伝送方法の第2実施形態を用いる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータ伝送のタイミング図を示す図。
【図5】本発明によるデータ伝送方法の好適な実施形態に基づく同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図6】本発明によるデータ伝送方法の第1実施形態に基づく同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図7】本発明によるデータ伝送方法の第2実施形態に基づく周期的同期時間窓における同期信号の伝送を表すタイミング図を示す図。
【図8】本発明による同期メカニズムのフローチャートを示す図。
【図9】本発明による同期メカニズムにおける通常モードの第1の選択肢のフローチャートを示す図。
【図10】本発明による同期メカニズムにおける加速モードのフローチャートを示す図。
【図11】本発明によるクラスタの形成を示す図。
【図12】本発明による統合クラスタを形成するためのクラスタの併合を示す図。
【図13】本発明によるデータ伝送方法の好適な実施形態に用いる累積分布関数を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と同時に動作可能な、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内のデータ伝送方法であって、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には少なくとも1つの送受信機が含まれ、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域で、データ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを搬送する信号を送信し、
前記周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化し、
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記送信用送受信機は、各送受信機が保持するローカル時間点を基準にして、前記周波数ホッピングサイクルに異なる時間シフトを用いて、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)用の異なるデータ伝送チャネルを確立する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための連係用送受信機(PNC)が含まれる
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記送受信機は、同期ポリシー手順に基づき、周期的同期時間窓の間、所定の同期信号(sync)を送信又は受信する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
各データ伝送チャネルに対して、所定の同期ポリシー手順が提供される方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記同期時間窓の開始時間は、前記周波数ホッピング手順整合用のローカル基準時間である方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記同期信号は、変化する周波数帯域での同期送信間隔の間、前記同期時間窓の始まりを基準にした固定点において、前記同期時間窓内において送信される方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
周波数帯域は、同期周波数ホッピング手順に基づく所定の周期的順番で、各同期送信間隔と共に変化する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記同期周波数ホッピング手順における周波数帯域の前記順番は、前記データ伝送用の前記周波数ホッピング手順における周波数帯域の前記順番と同じ又は逆である方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法であって、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記連係用送受信機(PNC)は、前記同期ポリ
シー手順に依存して、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ伝送チャネルに提供されたアップリンク同期時間窓の間、同期信号を受信し、
前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記それぞれのデータ伝送チャネルに提供された同期ポリシー手
順に基づき、ダウンリンク同期時間窓の間、同期信号を受信する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
同期窓の間に信号を受信する送受信機は、同期信号の到着時間を検出する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、前記受信信号を予想同期信号に関連付けて相関信号を生成する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記送受信機は、前記生成した相関信号の第1信号ピークの時間を前記同期信号の前記到着時間として検出し、前記検出した到着時間を前記送受信機によって送信された同期信号の受信予想時間と比較する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記送受信機は、その同期期間を調整して、前記到着時間が前記受信予想時間より早い場合、前記同期信号の前記検出した到着時間をマッチングさせる方法。
【請求項14】
請求項6に記載の方法であって、
同期送信間隔内における前記同期信号の自己相関関数が、衝撃関数を近似する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記データ送信間隔は、所定の時間長を有する方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記データ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔の時間長と所定のガード時間との和である方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
いずれか2つの送受信機は、同じ無線ローカルエリアネットワークに属するか否かに関わらず、一方の送受信機から送信された前記同期信号が他方の送受信機の前記同期窓内において受信される場合、直接同期がとられる方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、一グループの送受信機は、前記グループにおけるいずれ
か2つの送受信機が、直接同期がとられる送受信機の仮想チェーンを介して接続し得る場合、全て同期がとられクラスタを形成する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
クラスタにおけるいずれかの送受信機の平均同期期間が、前記クラスタにおける最早送受信機の期間に等しい方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
いずれかのピコネットコーディネータ(PNC)が、所定の加速期間の間、ランダムな時間
に、前記同期周波数を高くし、こうして、このクラスタにおける全ての送受信機の前記平均同期周波数を高くして、そのクラスタと他のクラスタとを併合可能にする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
ランダムな加速時間を生成する第1の可能なプロセスは、前記PNCに、それ自体又は他
のPNCによって生成された加速期間を特定させ、また、これらのいずれかの期間の終了時
点において、ゼロからランダムな時間まで計数するタイマを始動させることであり、ラン
ダムな時間は、次の累積分布関数(CDF)、即ち、
【数1】
に基づき選択される方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第1の選択肢を用いて前記ランダムな加速期間を生成する場合、前記タイマが前記選択されたランダムな時間に達した時、いずれかのPNCが、前記同期周波数を高くする方
法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、また、クラスタ内における無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、前記同期周波数
が同じクラスタ内の他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くなったことを検出する場合、そのタイマをリセットし、前記
加速期間の終了を待つ方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、
ランダムな加速時間を生成する第2の可能なプロセスにおいて、前記連係用送受信機(PNC)は、加速開始モード又は非加速開始モードのいずれかにおいて動作する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始モードにおいて、加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を
終了した直後、タイマを始動し、
前記タイマが、TAccMinとTAccMaxとの間の数値を生成する分布関数に基づき選択されたランダムな時間までゼロから計数し、
前記タイマが前記選択されたランダムな時間に達した場合、前記PNCは、新しい加速期
間を開始する方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始モードにおいて、加速開始モードにあり、また、他のPNCによって生成
された加速期間を特定するいずれかのPNCは、前記非開始加速モードに切り換わる方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始において、非加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を特定
し、また、そのような各期間の後、カウンタを始動し、
前記カウンタが、TaccMaxより大きいTaccSwitchに達した場合、前記PNCは、加速期間を生成し、前記加速開始モードに切り換わる方法。
【請求項28】
請求項20に記載の方法であって、
第1同期周波数を有する第1クラスタ及び第2同期周波数を有する第2クラスタが互いに接近すると、前記第1又は第2クラスタの同期周波数が前記所定の加速期間の間高くなる場合、それらは併合して統合クラスタを形成し、こうして、前記第1及び前記第2クラスタの前記周期的同期時間窓の少なくとも1つの同期時間窓が、互いに重なり合う方法。
【請求項1】
同じローカルエリアにおいて他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と同時に動作可能な、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内のデータ伝送方法であって、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には少なくとも1つの送受信機が含まれ、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の送信用送受信機は、変化する周波数帯域で、データ送信間隔の間、同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の受信用送受信機にデータを搬送する信号を送信し、
前記周波数帯域は、同時に動作する全ての無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に対して全く同一の所定の周波数ホッピング手順に基づき、周期的な順番で各データ送信間隔と共に変化し、
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記送信用送受信機は、各送受信機が保持するローカル時間点を基準にして、前記周波数ホッピングサイクルに異なる時間シフトを用いて、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)用の異なるデータ伝送チャネルを確立する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
各無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)には、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内におけるデータトラフィックを管理するための連係用送受信機(PNC)が含まれる
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記送受信機は、同期ポリシー手順に基づき、周期的同期時間窓の間、所定の同期信号(sync)を送信又は受信する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
各データ伝送チャネルに対して、所定の同期ポリシー手順が提供される方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記同期時間窓の開始時間は、前記周波数ホッピング手順整合用のローカル基準時間である方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記同期信号は、変化する周波数帯域での同期送信間隔の間、前記同期時間窓の始まりを基準にした固定点において、前記同期時間窓内において送信される方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
周波数帯域は、同期周波数ホッピング手順に基づく所定の周期的順番で、各同期送信間隔と共に変化する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記同期周波数ホッピング手順における周波数帯域の前記順番は、前記データ伝送用の前記周波数ホッピング手順における周波数帯域の前記順番と同じ又は逆である方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法であって、
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記連係用送受信機(PNC)は、前記同期ポリ
シー手順に依存して、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のそれぞれのデータ伝送チャネルに提供されたアップリンク同期時間窓の間、同期信号を受信し、
前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の他の送受信機は、前記無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記それぞれのデータ伝送チャネルに提供された同期ポリシー手
順に基づき、ダウンリンク同期時間窓の間、同期信号を受信する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
同期窓の間に信号を受信する送受信機は、同期信号の到着時間を検出する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
同期時間窓の間に信号を受信する送受信機は、前記受信信号を予想同期信号に関連付けて相関信号を生成する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記送受信機は、前記生成した相関信号の第1信号ピークの時間を前記同期信号の前記到着時間として検出し、前記検出した到着時間を前記送受信機によって送信された同期信号の受信予想時間と比較する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記送受信機は、その同期期間を調整して、前記到着時間が前記受信予想時間より早い場合、前記同期信号の前記検出した到着時間をマッチングさせる方法。
【請求項14】
請求項6に記載の方法であって、
同期送信間隔内における前記同期信号の自己相関関数が、衝撃関数を近似する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記データ送信間隔は、所定の時間長を有する方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
異なる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の前記データ伝送チャネル間の時間差は、送信間隔の時間長と所定のガード時間との和である方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
いずれか2つの送受信機は、同じ無線ローカルエリアネットワークに属するか否かに関わらず、一方の送受信機から送信された前記同期信号が他方の送受信機の前記同期窓内において受信される場合、直接同期がとられる方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、一グループの送受信機は、前記グループにおけるいずれ
か2つの送受信機が、直接同期がとられる送受信機の仮想チェーンを介して接続し得る場合、全て同期がとられクラスタを形成する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
クラスタにおけるいずれかの送受信機の平均同期期間が、前記クラスタにおける最早送受信機の期間に等しい方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
いずれかのピコネットコーディネータ(PNC)が、所定の加速期間の間、ランダムな時間
に、前記同期周波数を高くし、こうして、このクラスタにおける全ての送受信機の前記平均同期周波数を高くして、そのクラスタと他のクラスタとを併合可能にする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
ランダムな加速時間を生成する第1の可能なプロセスは、前記PNCに、それ自体又は他
のPNCによって生成された加速期間を特定させ、また、これらのいずれかの期間の終了時
点において、ゼロからランダムな時間まで計数するタイマを始動させることであり、ラン
ダムな時間は、次の累積分布関数(CDF)、即ち、
【数1】
に基づき選択される方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第1の選択肢を用いて前記ランダムな加速期間を生成する場合、前記タイマが前記選択されたランダムな時間に達した時、いずれかのPNCが、前記同期周波数を高くする方
法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記第1の選択肢を用いてランダムな加速期間を生成する場合、また、クラスタ内における無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の連係用送受信機(PNC)は、前記同期周波数
が同じクラスタ内の他の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における他の連係用送受信機(PNC)によって既に高くなったことを検出する場合、そのタイマをリセットし、前記
加速期間の終了を待つ方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、
ランダムな加速時間を生成する第2の可能なプロセスにおいて、前記連係用送受信機(PNC)は、加速開始モード又は非加速開始モードのいずれかにおいて動作する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始モードにおいて、加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を
終了した直後、タイマを始動し、
前記タイマが、TAccMinとTAccMaxとの間の数値を生成する分布関数に基づき選択されたランダムな時間までゼロから計数し、
前記タイマが前記選択されたランダムな時間に達した場合、前記PNCは、新しい加速期
間を開始する方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始モードにおいて、加速開始モードにあり、また、他のPNCによって生成
された加速期間を特定するいずれかのPNCは、前記非開始加速モードに切り換わる方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、
前記非加速開始において、非加速開始モードにあるいずれかのPNCは、加速期間を特定
し、また、そのような各期間の後、カウンタを始動し、
前記カウンタが、TaccMaxより大きいTaccSwitchに達した場合、前記PNCは、加速期間を生成し、前記加速開始モードに切り換わる方法。
【請求項28】
請求項20に記載の方法であって、
第1同期周波数を有する第1クラスタ及び第2同期周波数を有する第2クラスタが互いに接近すると、前記第1又は第2クラスタの同期周波数が前記所定の加速期間の間高くなる場合、それらは併合して統合クラスタを形成し、こうして、前記第1及び前記第2クラスタの前記周期的同期時間窓の少なくとも1つの同期時間窓が、互いに重なり合う方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−515825(P2007−515825A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508689(P2005−508689)
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010122
【国際公開番号】WO2005/025135
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501085762)インフィネオン テヒノロギーズ アーゲー (22)
【氏名又は名称原語表記】Infineon TechnologiesAG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010122
【国際公開番号】WO2005/025135
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501085762)インフィネオン テヒノロギーズ アーゲー (22)
【氏名又は名称原語表記】Infineon TechnologiesAG
【Fターム(参考)】
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