無線周波数タグを識別するための方法及び装置
無線周波数識別データタグ及びタグを読み取るシステム及び方法が記述される。タグはタグによって保持されるデータを表す複数の回折要素を含む。回折要素は一つの軸に沿った回折要素の寸法が垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なるような形状を有する。回折要素は所定のレイアウトスキームに従って行列内に配置される。各列において、回折要素は隣接する列内の要素の方向以外の方向を向く。タグの読み取りシステムは送信(Tx)アンテナのアレイと受信(Rx)アンテナのアレイとを含む。システムはRF送信信号を生成しデータ保持タグを読み取るためRF受信信号を処理するように構成されたインテロゲータユニットも含む。読み取りは列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いて行なわれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(RFID)システム、画像化、エンコーディング及びデコーディングの方法に関し、特に、識別システムにおいて使用されるデータタグ、又はラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)は自動識別技術であり、データを保存すること及び遠隔から引き出すことを利用し、RFIDタグ又はトランスポンダーと呼ばれる装置を使用する。RFIDシステムは二つの主要な部品からなる−インテロゲータ/リーダー、及びタグ又はラベル等のデータキャリアである。それらは協働して人々、動物、又は物体を個別に識別するための非接触の解決方法をエンドユーザに提供する。RFIDデータタグは、物体、物品、及び製品を追跡するために近年広く使用されるようになった。光学バーコードシステムとは異なり、RFIDは照準線を必要とせず、各バーコードタグの読み取りに関するコストを大きく低減する。
【0003】
RFIDタグは、電波を用いた識別のために製品、動物、又は人に付着され得る又は内部に組み込まれ得る物体である。一般的に、RFタグはアクティブ(タグ内部に組み込まれた内部エネルギー源、例えば電池、を用いる)又はパッシブであってよい(外部インテロゲーション信号のエネルギーを用いることにより機能化し、タグリーダー又は外部装置から供給されるエネルギーに依存する)。
【0004】
アクティブRFタグは典型的に共振回路に取り付けられたアンテナを含み、前記共振回路は受信したインテロゲーション信号によって活性化され、活性化されたとき、応答無線振動数信号を送信するアンテナを励磁する。パッシブタグはエネルギー源を含まないが、再送信、反射、又は散乱によって存在する放射にのみ応答し、典型的にはアクティブ要素を含まない。
【0005】
シリコンマイクロチップに依存しないパッシブRFIDタグは、通常チップレスタグと呼ばれる。幾つかのチップレスタグは、シリコンベースのマイクロチップの代わりにプラスチック、又は導電性ポリマーを用いる。他のチップレスタグは、それらに向けられた電波の一部を反射する材料を用いる。それらはエッチング又は導電性インク印刷技術によって実行されてもよく、エッチングされた、又はスクリーン印刷された金属ベースアンテナとして物品上に直接印刷されてよい。
【0006】
パッシブチップレスタグは、カスタマーグッズ及び他の製品において殆ど無制限の用途を有し、多くの異なる環境で使用されてよい。それらは、広い温度範囲で動作することが多く、またこれらのタグはRF干渉に対してさほど敏感ではない。それらの設計が簡単であることに起因して、それらは印刷工程での製造に適し、例えば0.1セントのみで、製品及び包装上に直接印刷されてよい。チップレスRFIDタグは、用途が広くかつ信頼性が高いという有利な点を有し、年に10兆のバーコードを置き換えることができる可能性がある。
【0007】
このタグは物品上又は物品内に配置されてよく、該物品は小売において、又は大規模な生産、保管、及び流通施設のために使用される可能性がある。例えば、薬理学産業において、タグは生産者又は会社の実体、薬の分類、製品名、及び製造番号を識別するために使用されてよい。同様に、タグは製造日及び有効期限、バッチナンバー、価格及び用途データ等の情報を持つことができる。
【0008】
表面弾性波(SAW)装置、薄膜トランジスタ回路(TFTC)、及び印刷された導電性インクストライプ(printed conductive ink stripes)を含むチップレスRFIDタグを製造するため、多くの異なる技術が存在する。
【0009】
本発明の出願人に与えられた米国特許第6,997,388号明細書は、チップレス無線周波数(RF)データタグについて記述する。RFデータタグは、RF放射の波長のオーダーの次元を有する、少なくとも一つの回折要素を含み、RF放射に対して高感度であり、データタグ内の回折要素によって生じる応答がデータキャリアによって保持される機械可読データの表示となる。米国特許第6,997,388号明細書は、データを示す情報コード(言語)を表すデータ内のシンボルを規定する回折要素に由来する回折パターンについて記述する。回折要素は、基板物質とは異なる、特定のRF回折吸収、反射又は散乱特性を有する材料でできている。反射材料は、例えば導電性インクであってよく、基板上に印刷され、RF放射で回折パターンを起こす。
【0010】
RFIDタグ識別に用いられる技術の一つは、物体(ターゲット)ナビゲーション及びレンジングの検知に広く用いられるRADAR(radio direction and ranging)である。RFIDシステムにおいてそうであるように、レーダーは物体を照射する送信機及びその存在又は位置(又はその両方)を検出するための受信機も用いる。
【0011】
例えば、Schramm,Jr.,らの米国特許第6,529,154号明細書は、基板上に提供された又は基板表面の下方の基板内部に埋め込まれた2次元識別マークを検知する方法及び装置について記述する。マイクロパワーインパルスレーダーは、立ち上がりが速く持続時間が短いパルスを、2次元識別マークを有する基板の集中的レーダーターゲット領域へ送信するために用いられる。この方法は、レーダーパルスの送信の後所定の時間起こる短い傍受時間帯の間に識別マークから戻ってくるレーダーエコーの傍受を含む。もしもレーダーエコーが検知された場合、画像処理段階が実行される。もしもレーダーエコーが検知されない場合、この方法は立ち上がりが速く持続時間が短いパルスを順次送信する段階と、各さらなるパルスに対する異なる経過時間の後各々の前記さらなるパルスからのレーダーエコーを傍受する段階とを、レーダーエコーが検知されるまで、さらに含む。レーダーエコーが検知されるとき、検知されたエコーに基づくデータは処理され識別マークの画像を生成する。
【0012】
Pettusの米国特許出願公開第2005/0280539号明細書は、無線アンテナを用いることによって情報をエンコーディング及びデコーディングするシステム及び方法について記述する。このシステムは一つ以上のインテロゲータ装置及びRFIDデータタグを含む。RFIDデータタグは、基板上又は直接物体上に形成される複数のアンテナ要素を含む。アンテナ要素は、偏波及び位相情報を提供するように指向され、寸法を有し、それによってこの情報はRFIDタグ上でエンコードされた情報を表す。インテロゲータ装置は領域を走査し、レーダー画像化技術を用いて走査されたデータの画像を生成する。装置はデータタグ上のアンテナ要素から再放射されたRF信号を受信し、それによってデータタグは好ましくは画像で示される。再放射されたRF信号は、好ましくは各アンテナ要素の偏波及び位相情報を含み、それによって情報はRFデータタグ上の情報をデコードするためにレーダー信号画像化アルゴリズムを用いて活用される。
【0013】
合成開口レーダー(SAR)技術が知られており、該技術はレーダーデータの洗練された後処理を実行し、狭い有効なビームを生成するために用いられ、それによってシステムの検知能力及び解像度を大きく増大させる。合成開口レーダー(SAR)画像は、広範囲の角度及び周波数にわたって収集されるレーダー散乱データを処理することによって得ることができる(例えば、D.L.Mensa、High Resolution Radar Cross Section Imaging(2nd ed.)、ボストン:Artech House、1991;M.Soumekh、Synthetic Aperture Radar Signal Processing;New York:John Wiley & Sons、1999)。
【0014】
SARでは、目標が静止している間、データの収集が照準線を横切るレーダーの動きによって実行される。他方で、インバースSAR(ISAR)は、レーダーが静止している間目標が動いている(通常は回転)場合に関連する。レーダーは、連続波(CW)モード又はパルスモードのどちらかで作動することができ、一つ以上の送信及び受信アンテナを備える。
【0015】
送信及び/又は受信アンテナの動きは機械的に提供されてよく、又はアンテナアレイ電子スィッチングによってシミュレートされてよい。SARで提供され得る最適な幾何学的解像度は、中心振動数及び送信信号帯幅によって決定され、アンテナ上の、直線経路に沿った、開口角度は目標領域を照射する。SAR技術は、3mmまでの波長に対応する、100GHzまでの非常に広い振動数範囲で使用されてきた。
【0016】
合成開口レーダーシステムの基本的な設計は、さらなる情報を収集するために様々な方法で改善され得る。これらの方法の殆どは、多くのパルスを結合する同じ基本的な原則を用いて合成開口を形成するが、さらなるアンテナ又はさらなる重要な処理を含んでよい。
【0017】
例えば、信号偏波及び/又は信号の干渉計を用いることによって画像解像度は向上され得る。具体的には、偏波された波の混合物を放射することによって、及び特定の偏波を有する受信アンテナを用いることによって、標的の幾つかの異なる画像は同じ系列のパルスから収集することができる。
【0018】
単一のSAR画像の位相は実際使用されないが、SARシステムは振幅(輝度)及び後方散乱されたエコーの位相の両方を記録する。それに対して、干渉SAR(InSAR)はわずかに異なる入射角で取得された二つのSAR像が結合され、インターフェログラムと呼ばれる位相干渉画像を生成する技術である。もしもわずかに異なる視野角からの二つのSAR画像を考える場合(干渉対)、それらの位相差(干渉縞)は通常画像解像度を改良するのに活用され得る。干渉縞画像はSARインターフェログラムの位相として得られ、二つのSAR像をたすき掛けすることによって形成される複雑な画像である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6,997,388号明細書
【特許文献2】米国特許第6,529,154号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0280539号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】D.L.Mensa、High Resolution Radar Cross Section Imaging(2nd ed.)、ボストン:Artech House、1991
【非特許文献2】M.Soumekh、Synthetic Aperture Radar Signal Processing;New York:John Wiley & Sons、1999
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の局面によると、新規のチップレス無線周波数識別(RFID)データタグは、レーダー型リーダーシステムによって問い合わせを受ける標的であり得るように提供される。タグは製品又は商品に関し、それらに配置されるか、又は組み込まれるかのどちらかであってよい。RFIDデータタグはタグによって保持される機械可読データの表示である複数の回折要素を含む。回折要素は、一つの軸に沿ったこれらの回折要素の寸法が垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なるような形状を有する。さらに、回折要素は所定のレイアウトスキームに従って行列で配置される。各列において、回折要素は隣接する列の要素の方向以外の方向を向く。
【0022】
本発明の一つの実施形態によれば、タグのデータ情報コードは列内の回折要素の有無によって、及び要素に対応する行の数値番号によって定義される。列内に回折要素が存在しないことはゼロを表し、その一方で回折要素が存在することは要素に対応する行の数値番号に関連するある値を表す。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、タグのデータ情報コードは回折要素の型によって定義される。例えば、回折要素は単一の帯状要素及び/又は二重の帯状要素であってよい。
【0024】
本発明の一つの実施形態によれば、隣接する列の各二つの回折要素の方向は互いに垂直である。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、回折要素の少なくとも一部分はデータエラーの補正のためタグの内部に冗長情報を導入する。冗長情報は奇偶検査ビット及びチェックサムから選択される少なくとも一つのエラー補正スキームに基づく。
【0026】
本発明の一つの実施形態によれば、複数の回折要素の少なくとも一部は予め定義された位置内のタグ上に配置された視準マークを表す。
【0027】
本発明の一つの実施形態によれば、回折要素は基板層上に配置される。
【0028】
本発明の他の実施形態によれば、回折シンボル要素はタグが結合される物品構造内部に組み込まれる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、回折要素はRF放射を吸収、散乱、又は反射することができる材料で作られる。
【0030】
本発明の他の一般的な局面によれば、本発明のRFIDデータタグを読み取るためのシステムが提供される。このシステムは送信(Tx)アンテナのアレイ、受信(Rx)アンテナのアレイ、及びインテロゲータユニットを含む。送信(Tx)アンテナのアレイは、タグに向かう所定の偏波でRF送信放射信号を放射するように構成される。受信(Rx)アンテナのアレイは、送信アンテナの偏波と直交する偏波で、RF送信放射信号に応答してタグによって生成される再放射されたRF放射を収集するように構成され、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成する。インテロゲータユニットは、タグに向かって放射されるRF送信信号を生成するように構成され、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによってデータ保持タグを読み取るためのRF受信信号を処理する。
【0031】
本発明の一つの実施形態によると、送信(Tx)アンテナのアレイ及び受信(Rx)アンテナのアレイは非対称送信/受信機能を有するスィッチングアンテナ(switching anntena)アレイである。ここで「非対称」は送信アンテナの数が受信アンテナの数と異なるということを示す。
【0032】
本発明の実施形態によれば、インテロゲータユニットは前記送信(Tx)アンテナのアレイ及び前記受信(Rx)アンテナのアレイに結合されたRFフロントエンドユニット、RFフロントエンドユニットに結合されたRFモジュール、RFフロントエンドユニット及びRFモジュールに結合された制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール、及び電源ユニットを含む。
【0033】
RFフロントエンドユニットは一つ以上の出力増幅器、一つ以上の入力増幅器、制御ロジックユニット及びRFスィッチを含む。RFモジュールはタグから散乱される信号を受信する送信信号を生成して周波数の転換を提供するように構成される。DSPユニットは受信された信号に組み込まれた振幅及び位相情報を用いることによって受信された信号を処理するように構成される。制御ユニットはRFフロントエンドユニット及びRFモジュールの操作を制御するように構成される。
【0034】
本発明のさらなる一般的な局面によると、本発明のRFIDデータタグを読み取るための方法が提供される。この方法はRF送信信号を所定の偏波でRFIDデータタグに向かって生成及び放射する段階を含む。RF電磁信号はマイクロ波の範囲(1GHzから1000GHz)であり得る。さらに、前記RF放射信号に対する応答においてタグによって分散された再放射されたRF放射は受信アンテナによって収集され、インテロゲータに伝えられる。受信された信号はタグによって保持されたデータを表す振幅及び位相情報内部にデータを含む。本発明によれば、受信アンテナによる信号の収集は、RF送信信号の偏波に直交する偏波で行なわれる。その後、RF受信信号は、列内のシンボル要素の配列を決定するために受信された信号に基づいてSAR画像の振幅情報を用いることによって、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためにSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るために処理される。
【0035】
タグ画像は、タグの水平解像度を得るためのSAR処理、及びタグの垂直解像度を得るための干渉SAR(InSAR)処理を採用することによって得られる。具体的には、列内の回折要素の配置の決定はSAR処理を含み、それに対して行内の回折要素の配置の決定は干渉SAR(InSAR)処理を含む。好ましくは(必須ではないが)、この方法は新規の超解像度SAR画像処理を使用することができる。
【0036】
本発明の一つの実施形態によれば、RF受信信号の処理は、タグの初期画像の再構築、初期画像内のタグのパターンの歪みの補正、初期画像内のエラーの検知及び補正、及びタグによって保持されるデータの解読及びデコーディングを含む。
【0037】
本発明を理解するために、また実際にどのように実行され得るかを知るために、好ましい実施形態が、非制限的な例のみを用いて、添付される図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明の一つの実施形態による、RFIDデータタグの例を概略的に示す。
【図1B】本発明の一つの実施形態による、シンボル要素の配列を有する例示的なRFIDデータタグの概略的な上面図を示す。
【図1C】図1A及び1Bに示されるタグ上の視準マークの配列の例を示す。
【図1D】本発明の他の実施形態によるシンボル要素の配列を有する他の例示的なRFIDデータタグの概略的な上面図を示す。
【図2A】本発明の実施形態に従う、本発明のデータタグ内に保存された情報を読み取るための識別システムの概略的なブロックダイヤグラムを示す。
【図2B】図2Aの識別システムのアンテナの構成の例を示す。
【図2C】図2Aの識別システムのアンテナの構成の他の例を示す。
【図3】図1A、1B、1C、及び1Dに示されるタグに関するInSAR処理スキームの例を示す。
【図4】本発明の例示的なタグの初期処理画像の例を示す。
【図5】本発明の一つの実施形態による、タグの要素のレイアウトの生成方法の概略的な説明を示す。
【図6】本発明の一つの実施形態による、タグによって保持されるデータの読み取り及び再構築のための処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明による情報保持マルチビットデータタグ及び識別システムの原理及び動作は、図面及び付随する記述を参照してより理解されるだろう。これらの図面は原寸どおりである必要はなく、説明における例は説明の目的のみで与えられ、本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されるべきである。同じ参照番号は、本発明の記述全体を通して、図面に示されるマルチビットデータキャリアにおいて共通である部品を区別するために用いられるだろう。構造、材料、寸法、及び製造工程の例が選択された要素に関して提供される。当業者は、提供された例の多くが使用され得る適切な代替案を有することを理解すべきである。
【0040】
本発明は干渉合成開口レーダー(InSAR)技術と共に用いる合成開口レーダー(SAR)技術に基づくレーダー型識別システムによって問い合わされ読み取られる標的であり得る新規のチップレスRFIDデータタグについて記述する。タグの画像は、広い範囲の角度及び振動数にわたって収集されるレーダー散乱データを処理することによって得られる。
【0041】
図面を参照すると、図1Aは本発明の一つの実施形態によるRFIDデータタグ10の例を概略的に説明する。RFIDタグ10は、表面にパターン形成され複数の回折要素12を有する基板層11を含む。基板層11は、例えば、紙、厚紙、織物、ポリマーホイル、又は固体材料から作られてよい。回折シンボル要素12は、例えば導電性インクを用いることによって、及び/又は任意の他の導電性材料を用いることによって、RFIDタグ10上に印刷され得る。
【0042】
一つの実施形態によれば、RFIDデータタグ10の回折要素12は導電性要素である。他の実施形態によれば、基板層11が導電性であるとき、及び/又はタグ10が導電性の物体上に配置されるとき、タグは複数の穴又は他の吸収要素を含んでよい。どちらの場合においても、要素12の互いに対する相対的な位置及びインテロゲーション信号の応答の振幅は、タグ10上にエンコードされた情報の表示であり得る。
【0043】
本発明によると、回折要素12は以下に記述されるような方法で互いに対して配向されて基板層11上に配列される。本発明の一つの実施形態によれば、回折シンボル要素は所定のレイアウトスキームに従って行列内に配列される。図1Bは、本発明のタグの回折要素12に関する例示的なレイアウトスキームを説明する。記述において、タグの中心線は水平方向と称され、垂直方向の中心線からの回折要素の任意のシフトは垂直方向と称される。この実施形態によれば、各回折要素は帯状の形態であり、レイアウトのm列103及びn行104の一つにおいて唯一の水平及び垂直位置を有する。図1Bに示される例において、タグは37の列と9の行を有する。所望されるとき、タグ行数104及び列数103及び行列内のシンボル回折12の位置は任意に与えられてよい。帯状形態の回折要素12が図1A及び1Bに示されるが、回折要素の形態は帯状とは異なっていてもよいことは理解されるべきである。一般的には、回折要素12は交差偏波(cross polarized)分散信号を生成するような形状を有する任意の非対称要素であってよい。タグ行数104及び列数103、並びにシンボルの型がタグの容量を規定することは理解されるべきである。グリッドライン101並びに行列の数は説明の目的のためにのみ図1Bに示され、実際のタグにはみられないことには注意されたい。
【0044】
本発明の一つの実施形態によれば、タグのデータ情報コードは列103内の回折要素12の有無及び要素に対応する行104の数値番号によって定義される。言い換えれば、回折要素12はシンボルを表すことができ、回折要素の各々唯一の位置はタグによって保持される情報ビットを表す。例えば、列(任意の行)に回折要素がないことで「0」(ゼロ)を表すことができ、一方で列内の特定の行に回折要素が存在することである値を表すことができる。値は回折要素の型に依存し得る。
【0045】
例えば、全ての回折要素が同じ帯状のものであるとき(図1Bに示されるように)、この値は行の数値番号と同じであってよい。具体的には、行の総数が9に等しいとき、ある列の中にシンボル要素が配置される行の数値番号は、この列の十進法の値を表す。例えば、図1Bに示されるタグ内にエンコードされた十進法の数は、5121276934568986311777321898444675005である。
【0046】
図1Bに示されるコーディングスキームは十進法のエンコーディングスキームとして示される。コーディングの論理は行数に依存すると理解されるべきである。一般的には、十進数のコードとは異なる基数を有するコードも使用されることができる。
【0047】
図1Dを参照すると、本発明の他の実施形態によるシンボル要素の配列を有する他の例示的なRFIDデータタグの上面図が説明される。このタグは同様に37列及び9行である。この例において、二つの型の回折要素が存在し、第1の型の要素は単一の帯状要素(例えば要素105及び106を参照されたい)であり、一方で第2の型の回折要素は二重帯状要素(例えば、要素121を参照されたい)である。したがって、このタグの基数は図1Bに示されるタグの基数とは異なる。具体的には、この場合の数のシステムのベースは19である(図1Bに示されるタグのベースが10であるのとは異なる)。この場合、数値コードは0123456789ABCDEFGHIの形態を有することができる。
【0048】
異なる回折要素を有するタグの値は、要素の有無の選択肢に加えて各要素を表すような数によって掛けられた行の数値番号と等しくてよい。例えば、その場合、二つの型のシンボルがあるとき、及び行の総数が9に等しいとき、タグの基底は値9×2+1=19を有する。
【0049】
図1Dに示されるコーディングスキームは英数字エンコーディングスキームと称される。例えば、図1Dに示されるタグにエンコードされる英数字データは基底19の5AB12G6934568I86311777321898444675005である。
【0050】
回折要素12の相対的寸法及び位置は図1A、1B、1C、1D、及び他の図面に単なる非制限的な例として示されるが、原寸通りではないことに注意されたい。要素12はRF電磁放射の半波長のオーダーの寸法を有することができる(RF振動数の範囲を約109Hz−1012Hzとするとき、約0.1mm)。本発明によれば、無線振動数(RF)電磁放射が回折要素12を放射するために使用される。操作振動数に依存して、水平方向のピッチ(列間の距離)は2mm−4mmの範囲であってよく、垂直方向のピッチ(行間の距離)は、例えば、1mm−2mmの範囲であってよい。しかしながら、タグのピッチの他の例もまた可能である。
【0051】
本発明によれば、タグ10の回折要素12はO’軸に沿った要素の寸法が垂直軸O’’に沿った要素の寸法と実質的に異なる(例えば大きい)ような形状を有する。例えば、要素12は狭い帯状の形態を取ることができる。そのようにしておくことによって、バックグラウンドクラッターを低減する可能性を与える。この目的で、本発明のタグの読み取りシステムにおいて使用される送信アンテナ(図示されない)及び受信アンテナ(図示されない)は直交する偏波を有する。タグを読み取るためのシステムの例は図2Aに関して以下に示される。
【0052】
このように、一つの実施形態において、送信アンテナは水平方向に偏波した場を生成し、一方で受信アンテナは垂直方向に偏波した場を受信する。送信及び受信アンテナの偏波の方向は交換されることができ、一般的には任意の二つの直交する偏波が送信及び受信に使用されてよい。
【0053】
本発明によれば、タグ要素12は強く交差偏波された応答を生成するように設計され、一方でクラッターは主に共偏波される。具体的には、送信アンテナから放射される水平方向に偏波された場によって照射されるとき(逆もまた同じ)、要素12は強く垂直方向に偏波された場を生成するように設計される。
【0054】
送信アンテナによって放射された、及び異なる障害物、壁等によって散乱された電磁波は、生成されたときと主に同じ偏波で受信アンテナにぶつかる。受信及び送信アンテナは交差偏波されているので、障害物及び壁の電磁場は有意に弱められ、したがって「ブラインディング(blinding)」、すなわち受信機の負荷、を防ぐ。他方では、本発明によれば、回折データ要素12は斜めにされ、送信及び受信アンテナの偏波の方向の間の中間の方向をとる。したがって、要素12は電磁場を分散することができ、及び受信アンテナによって受け取ることができる双方の直交する偏波成分を生成する。
【0055】
タグの画像を生成するために使用されるレーダー画像化アルゴリズムは、隣接するタグ要素間に強いカップリングが存在するとき、望ましくない人為的誤差を生成する場合がある。そのような人為的誤差は情報デコーディングを困難にする場合があり、結果的に、タグの情報容量を制限する。要素間のカップリングは隣接する要素が互いに平行であるとき最大である。
【0056】
本発明の一つの実施形態によれば、タグ内の隣接する要素間のカップリングを低減するために、各列中で、回折要素は隣接する列の要素の方向とは異なる方向に向く。好ましくは、図1A、1B、及び1Dに示されるように、各二つの隣接する列内でシンボル要素は互いに直角の方向を向く。したがって、各二つの隣接する列内の要素の向きは、互いに直交する。隣接する列の要素が互いに直交するとき、ある要素に沿って流れる電流は隣接する列の要素内の電流を誘起しないので、そのような要素の配置は隣接する列の要素間のカップリングを低減する。
【0057】
本発明の一つの実施形態によれば、本発明のタグ内に配置された回折要素の組全体は、製品に関する情報を表す回折シンボル要素の第1のサブセット、及び、シンボル要素のよりよい区別、タグの境界及び方向の認識、並びにより信頼性が高いタグの識別を意図する回折参照要素(例えば、視準マーク)として用いられる回折要素の第2のサブセットを含んでよい。
【0058】
さらに、所望されるとき、本発明のタグは、データエラー補正のために使用することができるタグ内の冗長な情報(例えば、奇偶検査ビット、チェックサム等)を導入するさらなる回折シンボル要素を含んでよい。エラー補正は、例えば、タグが損傷を受けたとき検知の失敗を回避するために使用することができる。エラー補正アルゴリズムはそれ自体従来技術で知られており、したがって以下では記述されない。
【0059】
図1Cは、図1A及び1Bのタグ上に配置された視準マーク111を表す回折要素の第2のサブセットの例を示す。ここで見られるように、視準マーク111は予め規定された場所に配置され、例えば、タグの境界の明確化、及び、その(リーダーに対する)相対的位置及び読み取り工程の照準(alignment)の規定のために明示されてよい。
【0060】
所望されるとき、さらなる回折シンボル要素(図示されない)が、データエラー補正のためにタグ上にさらに配置され得る。さらなる数の列及び/又は行を提供するエラー補正シンボル要素の配置の他の実施形態も可能であるが、これらの要素(エラー補正シンボルの表示)は例えばタグの一つ以上の最後の列内に配置されてよく、例えば図1A及び1Bに示されるタグではそのようなさらなる回折シンボル要素は列34−36に配置されてよい。好ましくは、ただし必須ではないが、視準マーク並びにデータ補正シンボルは、製品に関する情報を表すシンボル要素と見た目が一致する。
【0061】
図5を参照すると、本発明の一つの実施形態による、タグ504の要素のレイアウトの生成方法の概略的説明が示される。この実施形態によれば、製品情報、又は他の入力データ501は、暗号化(スクランブリング)及び/又はコーディングアルゴリズム502によって処理され、製品コードデータの安全及び保護を提供する。製品情報は、例えば、以下の主要素を含む電子製品コード(EPC)を含むことができる:ジェネラルマネージャーナンバー(General Manager Number)、オブジェクトクラスナンバー(Object class number)、バッチスタートシリアルナンバー(Batch Start Serial Number)、及びバッチエンズシリアルナンバー(Batch Ends serial number)。その後、入力データに対応するシンボル要素のレイアウトが生成される。所望されるとき、視準マークに関するさらなる情報、及び他の補助的な及び冗長なデータをコーディングアルゴリズム(ブロック503)に組み込むことが可能である。最後に、タグの生成アルゴリズムはタグのグラフィカルファイル504を作成し、各シンボルの行列位置は元々の入力エンコードデータ、及び他の補助的な及び冗長なデータを表す。このグラフィカルファイル504は製品又はラベル上のタグのレイアウトを印刷するために使用することができる。
【0062】
タグが導電性又は吸収性の要素を有するので、それは入射波を散乱し、後方散乱(再放射)された場はタグのシンボル及びマークに関する情報を保持する。操作において、この再放射された場は識別システムによって受信され、該受信システムはそれを送信された(放出)信号と比較し、タグによって保持された情報データを処理し復元する。
【0063】
図2Aを参照すると、本発明の実施形態に従って、本発明のデータタグに保存された読み取り情報に関する識別システムの概略的ブロックダイヤグラムが説明される。図2Aのブロックは機能的な構成要素のみを意図しており、任意の物理的な接続及び/又は物理的な関係よりもむしろ、構成要素間の機能的な関係が示されるようになっていることに注意されたい。
【0064】
本発明の識別システムは、ミリメータ波振動数で作動されるコヒーレントレーダーシステムに基づく。例えば、連邦通信委員会(FCC)の規則を遵守するために、識別システムは3GHzから300GHzの振動数の範囲で、好ましくは59GHzから64GHz又は116GHzから126GHzの範囲で、作動することができる。
【0065】
本発明の識別システムは、タグ(図示されていない)に向かって所定の偏波でRF送信放射信号を放射するように構成された送信(Tx)アンテナ21のアレイを含む。上述のように、タグは製品又は商品の一部であってよい。システムは、送信アンテナの偏波に直交する偏波におけるRF送信放射信号に応答してタグによって生成された再放射されたRF放射(吸収された、散乱された、又は反射された)を収集するように、及びタグによって保持されたデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するように構成された受信(Rx)アンテナ22のアレイも含む。本発明のシステムは、タグに向かって放射されたRF送信信号を生成するように、及び列内のシンボル要素の配列を決定するための受信された信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いてタグによって保持されたデータを読み取るために前記RF受信信号を処理するように構成されたインテロゲータユニット23をさらに含む。
【0066】
送信アンテナ21及び受信アンテナ22は、タグの全領域を覆う幅広いビームを提供及び遮断するための小さな放射開口を有する。Tx及びRxアンテナは平面又は非平面構造で組み込まれてよい。本発明の目的に適したTx及びRxアンテナの例として、ホーンアンテナ、スロットアンテナ、ストリップアンテナ、パッチアンテナ、パラボラアンテナ等が挙げられるが、これらに制限されない。好ましくは、アンテナ構造は、インテロゲータユニット23をタグに対して機械的に相対移動する必要なく部分的な又は完全なタグの電子走査を実現するはしご型又は段階的なアレイであってよい。
【0067】
インテロゲータユニット23はRFフロントエンドユニット211、RFフロントエンドユニット211に接続されたRFモジュール212、RFフロントエンドユニット211及びRFモジュール212に接続された制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール(213)、及び電源ユニット214を含む。制御及びDSPモジュール213は表示ユニットを備えることができる。
【0068】
RFモジュール212はトランシーバの機能を果たす。特に、それは送信信号を生成し、受信アンテナ22によってタグから散乱された受信信号を取得する。
【0069】
制御ユニット及びDSPモジュール213はRFフロントエンドユニット211及びRFモジュール212の動作ロジックの制御を行なう。操作において、モジュール213はRFモジュール212からのデータを受信し、タグから散乱された信号内に組み込まれた振幅及び位相情報を用いることによってこれらのデータを処理し、要求された形式でタグの情報データを示す。電源ユニット214はシステムに必要とされる電圧を提供する。
【0070】
RFフロントエンドユニット211は、出力増幅器217、入力増幅器220、制御ロジックユニット215、及びRFスィッチ218を含む。送信モードにおいて、RFフロントエンドユニット211はRFモジュール212の出力Txからの送信信号を受信し、これらの信号を増幅器217によって増幅し、mm波電磁場によるタグの連続的な照射のためTxアンテナを活性化し、各Txチャンネル内にフィールドダイヤグラムを形成し、及びTxアンテナ21によってタグに向かってそれを放射する。受信モードにおいて、RFフロントエンドユニット211は、受信アンテナ22によってタグの後方散乱RF場を受信し、Rxチャンネルを形成し、増幅器220によってRxチャンネル内の受信した信号を増幅し、及び増幅された信号をRFモジュール212のRx入力に提供する。
【0071】
図2Bは、本発明の一つの実施形態による、Rxアンテナアレイ222及びTxアンテナアレイ223のレイアウト構成200を示す。この実施形態によれば、アレイ222及び223のTx及びRxアンテナはパッチ型であり、平面板221の表面上にそれらの電子部品(図示されていない)と共に取り付けられる。レイアウト構成200はタグの寸法、要素の量、及び行列内のタグの要素間の距離(間隔)に従って案出される。具体的には、Txアンテナの全水平方向(アジマス)開口(すなわち、走査角の範囲)及びTxチャンネルの量は、タグの要素の間隔及びタグとアンテナアレイとの間の最大距離に依存する。
【0072】
例えば、間隔が3mmであるとき(すなわち、Vバンド(59GHz−64GHz)内で作動されるシステムの半波長に近い)、全アンテナ開口は320mmであり得る。この場合、図2Bで示されるように、Txチャンネルの量は40であってよく、一方でRxチャンネルの量は12であってよい(ただし他の実施形態ではこれらのパラメータは異なるであろう)。図2Bに示されるように、Rx及びTxアンテナアレイの偏波は直交する。具体的には、Txアンテナアレイ223の行は水平方向の線形偏波を有し、それに対してRxアンテナアレイ222の列は垂直方向の線形偏波を有する。一般的に、任意の二つの直交する偏波が送信及び受信に使用され得る。アンテナによってアジムス方向及びエレベーション方向に電気的な操作(走査)を行なうことができる。
【0073】
図2Cは、本発明の他の実施形態に従って構成されたRx及びTxアンテナのレイアウトの他の可能な実施形態を示す。この実施形態において、Txアンテナアレイ232及びRxアンテナアレイ231のアンテナが、ボード233端近傍に取り付けられたホーンアンテナモジュールの別個の群として実行されるとき、他の選択肢が考えられる。図2Cに示されるように、Txアレイ232のアンテナは互いに対して交互の関係で配置される。
【0074】
本発明の識別システムはタグの画像の振幅及び位相情報を用いるアルゴリズムを採用する。したがって、RFフロントエンドの電子機器の全ての振幅及び位相安定性には厳しい要件が存在する。さらに、Tx−Rxチャンネルの振動数応答経路の位相シフトの単調さ(phase shift monotony)が必要とされる。これらの要件を満たすために、Tx及びRxチャンネルは動的に調整される。この目的で、専用の調整チャンネル219によって弱められたTxチャンネルからの送信信号の一部は、Rxチャンネルへと送られ得る。したがって、システムはRFフロントエンド電子機器の振幅及び位相変化を追跡することができ、振幅及び位相変化を「動的に」補正(補償)する。
【0075】
背景技術で説明したように、従来のSARシステムは総合的な開口作用を得るために、物理的に大きなアンテナを用いることなく、アンテナ移動を採用する。本発明によれば、物理的な移動を回避するために、複数の要素を含む「物理的に大きな」アンテナへと戻ることが提案された。データ収集は受信及び送信アンテナ要素をオン及びオフにスィッチングすることによって達成される。通常、アンテナ要素のただ一つの送信/受信対のみが任意の所定の時点で活性化される。一般的に、一つ以上の受信アンテナが同時に活性化されてよく、複数の受信回路を用いる代わりに迅速なデータ収集を達成する。本発明のスィッチドアレイSARデータ収集の使用は、ビーム方向を変更するように構成された様々なレーダー及び通信システムにリフレクタ及びレンズを供給するよう採用された段階的なアレイの使用とは異なることを理解されたい。
【0076】
一般的には、本発明のRFIDデータタグの読み取り方法は、RFIDデータタグに向かう所定の偏波におけるRF送信信号の生成及び放射を含む。さらに、前記RF放射信号に対応してタグによって生成された再放射されたRF放射は、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するために収集される。本発明によれば、収集はRF送信信号の偏波に直交する偏波において実行される。その後RF受信信号は、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信された信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るために処理される。
【0077】
従来のSARシステムは、実質的に同じ構成を有する送信及び受信アンテナを使用する。特に、同じアンテナが双方の機能に関して使われることが多い。一方で、提案されたスィッチドアンテナアレイは、以下に述べるように、特別なシステムの目的を達成するため「非対称」Tx/Rxアンテナ配置に基づく。
【0078】
本発明の一つの実施形態によれば、水平方向のアンテナアレイ(図2Bにおける223、及び図2Cにおける232)が電磁放射の送信のために使用され、タグの回折要素の水平方向の解像度(タグの列)を提供するのに対して、垂直方向のアンテナアレイは放射を受信するために使用され、垂直方向の解像度(タグの行)を提供する。タグの水平方向の解像度は、以下に述べるように、通常のSAR処理、又は好ましくは超解像度SAR処理、の何れかによって得られてよい。他方で、垂直方向の解像度は通常のSAR処理、又は好ましくは干渉合成開口レーダー(InSAR)処理、の何れかによって得られてよく、アンテナの数の低減につながる。このように、スィッチドアレイの概念を用いるとき、本質的に異なる送信/受信アンテナ配置が実行されてよい。
【0079】
通常のSAR処理は、(ピクセルの通常のカルテシアングリッドを含む)画像内の各ピクセル中央の反射性を他の全てとは独立して復元させる。実はそれは、全ての他のピクセルに関わりなく、測定されたデータに対する単一のピクセルの反射性の最も良い最小二乗法の適合を達成することができる。このタイプの処理はまばらに配置された散乱体に関して良好な結果を与えることができ、半波長よりも低い(通常非常に低い)解像度が得られる可能性がある。しかしながら、そのような通常のSAR処理は密に配置された物体の場合には上手くいかない傾向がある。
【0080】
一方で、散乱体の数又はそれらの性質に関して経験的な情報を使用する、及び/又は散乱体の不規則な配置を許容する方法は、一般的に超解像度SAR技術と呼ばれる。
【0081】
様々な超解像度技術が従来技術で記述されてきた。本出願は、経験的に知られた距離(間隔)を有して配置されたN個のシンボルを含むタグに対して設計された新規のタイプの超解像度アルゴリズムを提案する。受信されたデータに対するN個の散乱体に基づく散乱モデルに関して最小二乗法が使用される。その意味で、提案された方法は、各々のピクセルの計算を独立に行なう代わりに、従来のSAR処理を一般化してN個のピクセルの振幅を同時に復元する。実は、N=1のとき、提案された方法は近接場逆投影/伝搬に基づく通常のSAR処理に単純化される。
【0082】
本発明の実施形態による、超解像度SAR処理のアルゴリズムが以下に記述される。
【0083】
送信/受信アンテナの位置は下記数式で示され、Nt及びNrは各々送信及び受信アンテナの総数である。
【0084】
【数1】
【0085】
我々は、画像振幅を下記数式の位置で探した。ここで、Nはタグの要素の総数である。単一の振動数画像が振動数f、及び対応する波数k=2πf/c(cは光の速度)において計算された。
【0086】
【数2】
【0087】
タグモデルは、タグの回折要素を、(数2)の位置における振幅snの均一な間隔の点散乱体として考える。rtpに配置された送信アンテナによって送信される信号に起因してrrqに配置された受信アンテナで受信された信号は、下記数式で表されてよく、εiは様々な因子に起因して測定中に起こるノイズを示す。
【0088】
【数3】
【0089】
簡単にするために、我々は等方的なアンテナ及び散乱体を仮定する。経験的に測定又は計算される場合、アンテナの特性は容易に説明され得る。データモデル(1)はマトリックスの形態で表現されることができる、すなわち、
【数4】
【0090】
散乱体の振幅は(3)の最小二乗法による解から、すなわち下記数式を用いることによって、決定され得る。
【0091】
【数5】
【0092】
ここで、下記符号はm−ノルムを示し、最小二乗法の解はm=2に関して得られる。アンテナ対の数が散乱中心よりも多いと仮定する場合、すなわちNbNr>N、マトリックス[H]は最大階数であると予想される。
【数6】
【0093】
もしもマトリックスがランク不完全である場合、我々は(4)に加えて以下の条件を満たす解を必要とする場合がある。この場合、ある適切な重み付けとともに(4)及び(5)を組み合わせることによってロバストな規則化スキームが得られる可能性がある。
【0094】
【数7】
【0095】
一般的に、SAR技術は興味ある領域の二次元画像を生成することができる。干渉SAR(InSAR)処理は、水平方向の解像度を提供するSAR技術によって得られる画像に垂直方向の寸法を追加することを可能にする。
【0096】
本発明の実施形態による、行内のタグの要素の垂直解像度を得るための本発明のタグから散乱された信号のInSAR処理のためのアルゴリズムが以下に記述される。
【0097】
垂直方向の寸法及び解像度は、少なくとも一つの送信アンテナ及び二つの受信アンテナを用いることによって得ることができる。受信及び送信アンテナの機能は交換されてよいことに留意されたい。InSARモデルは、各回折要素(画像中のピクセル)が明確な高さを有する単一の散乱体に相当することを仮定する。散乱体の高さは二つのアンテナの対によって受信された信号間の位相差から計算されてよい。位相差は光学経路長に関連する。
【0098】
【数8】
【0099】
ここで、ρ1及びρ2は垂直方向に配置されたアンテナの一つの対に対する信号の経路長を示し、λは波長である。経路長は、データ収集システムの幾何学的な詳細に依存する簡単な関係によって、散乱体の高さに関連する。位相は不明りょうである可能性があるので(2πを法として)、正確な結果を得るために、それ自体が周知である、位相接続法が使われてよい。
【0100】
本発明は、「垂直」位置コーディングを用いることによってタグ内にエンコードされた情報を読むためにInSAR原理を使用する。図1Aに関連して上述されたように、タグは情報シンボルを表す回折要素(部分的には存在しなくてよい)のアレイを含む。回折要素は導電性要素であってよく、包装上に、基板上に、又は直接物体上に形成される。物体が導電性である場合、タグは複数の穴、又は他の吸収性要素を含んでよい。タグ要素は位置及び振幅情報を提供するように配置され、及び寸法を有し、それによってこの情報はRFIDタグ上のエンコードされた情報を示す。
【0101】
図3を参照すると、タグ(図示されていない)の回折要素34を読み取るための送信(Tx)アンテナ33及び受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)の例示的な配置が説明される。送信(Tx)アンテナ33はタグを照射し、それに対して受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)は散乱された放射を受信する。タグは回折要素の組を含むが、記載を簡単にするために、そのような要素のうち一つだけ(要素34)が示されていることに留意されたい。垂直方向のアンテナ31及び32の対は本質的に異なる位置で配置され、回折要素34への(からの)受信アンテナ31及び32からの(への)経路が要素34の垂直方向の位置hに依存するようにする。
【0102】
受信アンテナ(Rx1及びRx2)31及び32は散乱された場を受信する。この配列において、回折要素34から受信アンテナ31及び32への経路長ρ1及びρ2は以下の数式で与えられる。
【0103】
【数9】
【0104】
近似式(7)は転置されてよく、測定された位相差に基づくシンボルの垂直位置を計算する。その結果以下の数式が得られる。
【0105】
【数10】
【0106】
もしも二つのSAR画像がこれらの二つの受信アンテナを用いることによって計算される場合、位相差は複雑なSAR画像内で各要素(ピクセル)に関して計算されてよく、したがって、各要素の高さhは式(8)を用いることによって推測され得る。一つの送信アンテナ33及び一つの受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)が図3に示されるが、所望されるとき、一つ以上の送信アンテナ及び一つ以上の受信アンテナの対が使用され得る。特に、高い精度を実現しつつ位相アンビギュイティの問題を解決するために、二つ以上のアンテナ31及び32の対が使用され得る。アンテナ間の距離を増大することは精度を高めるが、位相アンビギュイティの問題を悪化することに注意されたい。したがって、二つ以上のアンテナによって、クラッター(タグを囲む不要な物体からの散乱)の効果を軽減することも助けつつ上述のような有利な点を与えることができる。
【0107】
タグ内にエンコードされた情報の再構築を具体的な目標として、散乱体の配置は特定のパターンによって規定され得る。特に、散乱体のベクトルは要素の中心として配置されるように仮定される。xy平面内のNビットタグに関して、これは下記数式
【数11】
が、下記数式(9)によって与えられることを意味する。
【数12】
ここで、dは隣接する要素間の水平方向の間隔(図1Aの109)である。
【0108】
そのような場合、アンテナ31及び32によって受信される信号に対して実施される超解像度SAR処理は複素振幅の上の組Suppern、及び複素振幅の下の組Slowernを各々提供し、それらはどちらも列内の回折要素の水平方向の位置に関する情報を含む。垂直方向の解像度を得るために、式(3)が使用されてよく、n番目の要素に関する位相差Δφnは下記数式によって得られてよい。
【0109】
【数13】
【0110】
図4を参照すると、タグ401の初期に処理された画像の例が説明される。この例において、超解像度SAR処理が列内のタグの要素の水平方向の解像度を得るために採用され、InSAR処理が行内のタグ要素の垂直方向の解像度を得るために採用された。プロット402は二つのInSAR画像、及び各要素に関して計算されたこれらの画像に関する位相差を説明する。具体的には、要素の画像1は「円」符号によって示され、画像2は「ひし形」符号で示され、それに対して、画像1と画像2との間の位相差は「プラス」符号で示される。
【0111】
画像1は図2Bに示される対アンテナRx1.1及びRx3.1で得られ、画像2は対アンテナRx2.3及びRx4.3で得られている。図4に示されるように、二つのInSAR画像の間の位相差の大きさは各タグの要素の垂直位置を表す。
【0112】
図6を参照すると、本発明の一つの実施形態によるタグに保持されたデータの読み取り及び再構築処理が示される。第1の処理において、タグ611は本発明の識別システムによって走査される。さらに、タグによって生成された再放射されたRF照射はデータ保持タグの読み取りのために収集され、及び処理される。具体的には、タグは列内のシンボル要素の配列を決定するためにSARアルゴリズムによって、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためにInSARアルゴリズムによって、処理される。この処理の結果として、タグ611の初期の画像再構築612が得られる。
【0113】
初期画像再構築法によって得られたシンボル要素のパターンは、タグ内のシンボルの実際のパターンと時折異なる可能性があることは理解されたい。これは、画像再構築の段階で提供されたタグ画像が同様に、高次の回折パターン成分等、異なる人為的信号を含む可能性があることに起因して起こりうる。さらに、要素の画像はシンボル間の干渉又はシンボルのカップリングによって歪む可能性がある。さらに、場合によっては、タグが逆さ(又は裏返し)になるかもしれないことは考慮されるべきである。
【0114】
初期画像再構築法の後得られたパターンの信用性を確認するため、本発明の識別システムによってタグを読み取る方法は、タグの位置を認識し、例えばタグが逆さであったり又は裏返しである場合、結果的にタグのパターンの歪みを補正する段階をさらに含んでよい(ブロック613)。画像の歪みは、異なるシフト、及びタグと識別システムとの非平行な配置によっても引き起こされるかもしれない。同様に、このタグを読み取る方法は起こり得るデータのエラーをチェックし、及び画像処理の後に得られるデータ内のエラーを補正する段階を含むことができる(ブロック614)。上述のように、歪み及びエラーの補正(ブロック613及び614)を実行するために、タグはデータシンボル要素のみではなく、例えばタグの周縁領域に配置された参照要素(視準マーク)、又は冗長情報を導入するためにデータシンボル要素の一部として含まれてよいさらなる情報シンボル(例えば、図1Cにおける要素111)、例えば、奇偶検査ビット、チェックサム等を含むべきである。
【0115】
次の段階(ブロック615)において、解読、及び暗号化及びコードされたデータのデコーディングが元々の形式においてタグのデータの像に関して実行される(ブロック616)。本発明の実施形態によれば、データのデコーディングは数値又は英数字形式でエンコードされる可能性があるタグに保存されたデータのデスクランブリング、及び復元を含む。タグのデコーディングは、シンボル要素によるデータのエンコーディングに関して使用される所定のシンボルのコード(言語)に基づく。
【0116】
所望されるとき、タグの読み取り方法は、コンピュータのモニター上でのタグの要素の画像及び/又は対応する情報データの表示の段階を含んでよい。
【0117】
このように、本発明の属する分野の当業者であれば、本発明が好ましい実施形態の観点から記述されているが、この開示が根拠とする概念は本発明の幾つかの目的を実行するための他の構造、システム及び方法の設計に関する基本的概念として容易に使用されてよいことを理解し得る。
【0118】
同様に、ここで使用される専門用語及び用語は説明を目的としており、制限としてみなされるべきではない。
【0119】
したがって、本発明の範囲がここで説明される説明的な実施形態によって制限されるものとして解釈されないことは重要である。添付されるクレーム及びその等価物において規定される本発明の範囲内で他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 RFIDデータタグ
12 回折要素
21 送信アンテナ
22 受信アンテナ
23 インテロゲータユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(RFID)システム、画像化、エンコーディング及びデコーディングの方法に関し、特に、識別システムにおいて使用されるデータタグ、又はラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)は自動識別技術であり、データを保存すること及び遠隔から引き出すことを利用し、RFIDタグ又はトランスポンダーと呼ばれる装置を使用する。RFIDシステムは二つの主要な部品からなる−インテロゲータ/リーダー、及びタグ又はラベル等のデータキャリアである。それらは協働して人々、動物、又は物体を個別に識別するための非接触の解決方法をエンドユーザに提供する。RFIDデータタグは、物体、物品、及び製品を追跡するために近年広く使用されるようになった。光学バーコードシステムとは異なり、RFIDは照準線を必要とせず、各バーコードタグの読み取りに関するコストを大きく低減する。
【0003】
RFIDタグは、電波を用いた識別のために製品、動物、又は人に付着され得る又は内部に組み込まれ得る物体である。一般的に、RFタグはアクティブ(タグ内部に組み込まれた内部エネルギー源、例えば電池、を用いる)又はパッシブであってよい(外部インテロゲーション信号のエネルギーを用いることにより機能化し、タグリーダー又は外部装置から供給されるエネルギーに依存する)。
【0004】
アクティブRFタグは典型的に共振回路に取り付けられたアンテナを含み、前記共振回路は受信したインテロゲーション信号によって活性化され、活性化されたとき、応答無線振動数信号を送信するアンテナを励磁する。パッシブタグはエネルギー源を含まないが、再送信、反射、又は散乱によって存在する放射にのみ応答し、典型的にはアクティブ要素を含まない。
【0005】
シリコンマイクロチップに依存しないパッシブRFIDタグは、通常チップレスタグと呼ばれる。幾つかのチップレスタグは、シリコンベースのマイクロチップの代わりにプラスチック、又は導電性ポリマーを用いる。他のチップレスタグは、それらに向けられた電波の一部を反射する材料を用いる。それらはエッチング又は導電性インク印刷技術によって実行されてもよく、エッチングされた、又はスクリーン印刷された金属ベースアンテナとして物品上に直接印刷されてよい。
【0006】
パッシブチップレスタグは、カスタマーグッズ及び他の製品において殆ど無制限の用途を有し、多くの異なる環境で使用されてよい。それらは、広い温度範囲で動作することが多く、またこれらのタグはRF干渉に対してさほど敏感ではない。それらの設計が簡単であることに起因して、それらは印刷工程での製造に適し、例えば0.1セントのみで、製品及び包装上に直接印刷されてよい。チップレスRFIDタグは、用途が広くかつ信頼性が高いという有利な点を有し、年に10兆のバーコードを置き換えることができる可能性がある。
【0007】
このタグは物品上又は物品内に配置されてよく、該物品は小売において、又は大規模な生産、保管、及び流通施設のために使用される可能性がある。例えば、薬理学産業において、タグは生産者又は会社の実体、薬の分類、製品名、及び製造番号を識別するために使用されてよい。同様に、タグは製造日及び有効期限、バッチナンバー、価格及び用途データ等の情報を持つことができる。
【0008】
表面弾性波(SAW)装置、薄膜トランジスタ回路(TFTC)、及び印刷された導電性インクストライプ(printed conductive ink stripes)を含むチップレスRFIDタグを製造するため、多くの異なる技術が存在する。
【0009】
本発明の出願人に与えられた米国特許第6,997,388号明細書は、チップレス無線周波数(RF)データタグについて記述する。RFデータタグは、RF放射の波長のオーダーの次元を有する、少なくとも一つの回折要素を含み、RF放射に対して高感度であり、データタグ内の回折要素によって生じる応答がデータキャリアによって保持される機械可読データの表示となる。米国特許第6,997,388号明細書は、データを示す情報コード(言語)を表すデータ内のシンボルを規定する回折要素に由来する回折パターンについて記述する。回折要素は、基板物質とは異なる、特定のRF回折吸収、反射又は散乱特性を有する材料でできている。反射材料は、例えば導電性インクであってよく、基板上に印刷され、RF放射で回折パターンを起こす。
【0010】
RFIDタグ識別に用いられる技術の一つは、物体(ターゲット)ナビゲーション及びレンジングの検知に広く用いられるRADAR(radio direction and ranging)である。RFIDシステムにおいてそうであるように、レーダーは物体を照射する送信機及びその存在又は位置(又はその両方)を検出するための受信機も用いる。
【0011】
例えば、Schramm,Jr.,らの米国特許第6,529,154号明細書は、基板上に提供された又は基板表面の下方の基板内部に埋め込まれた2次元識別マークを検知する方法及び装置について記述する。マイクロパワーインパルスレーダーは、立ち上がりが速く持続時間が短いパルスを、2次元識別マークを有する基板の集中的レーダーターゲット領域へ送信するために用いられる。この方法は、レーダーパルスの送信の後所定の時間起こる短い傍受時間帯の間に識別マークから戻ってくるレーダーエコーの傍受を含む。もしもレーダーエコーが検知された場合、画像処理段階が実行される。もしもレーダーエコーが検知されない場合、この方法は立ち上がりが速く持続時間が短いパルスを順次送信する段階と、各さらなるパルスに対する異なる経過時間の後各々の前記さらなるパルスからのレーダーエコーを傍受する段階とを、レーダーエコーが検知されるまで、さらに含む。レーダーエコーが検知されるとき、検知されたエコーに基づくデータは処理され識別マークの画像を生成する。
【0012】
Pettusの米国特許出願公開第2005/0280539号明細書は、無線アンテナを用いることによって情報をエンコーディング及びデコーディングするシステム及び方法について記述する。このシステムは一つ以上のインテロゲータ装置及びRFIDデータタグを含む。RFIDデータタグは、基板上又は直接物体上に形成される複数のアンテナ要素を含む。アンテナ要素は、偏波及び位相情報を提供するように指向され、寸法を有し、それによってこの情報はRFIDタグ上でエンコードされた情報を表す。インテロゲータ装置は領域を走査し、レーダー画像化技術を用いて走査されたデータの画像を生成する。装置はデータタグ上のアンテナ要素から再放射されたRF信号を受信し、それによってデータタグは好ましくは画像で示される。再放射されたRF信号は、好ましくは各アンテナ要素の偏波及び位相情報を含み、それによって情報はRFデータタグ上の情報をデコードするためにレーダー信号画像化アルゴリズムを用いて活用される。
【0013】
合成開口レーダー(SAR)技術が知られており、該技術はレーダーデータの洗練された後処理を実行し、狭い有効なビームを生成するために用いられ、それによってシステムの検知能力及び解像度を大きく増大させる。合成開口レーダー(SAR)画像は、広範囲の角度及び周波数にわたって収集されるレーダー散乱データを処理することによって得ることができる(例えば、D.L.Mensa、High Resolution Radar Cross Section Imaging(2nd ed.)、ボストン:Artech House、1991;M.Soumekh、Synthetic Aperture Radar Signal Processing;New York:John Wiley & Sons、1999)。
【0014】
SARでは、目標が静止している間、データの収集が照準線を横切るレーダーの動きによって実行される。他方で、インバースSAR(ISAR)は、レーダーが静止している間目標が動いている(通常は回転)場合に関連する。レーダーは、連続波(CW)モード又はパルスモードのどちらかで作動することができ、一つ以上の送信及び受信アンテナを備える。
【0015】
送信及び/又は受信アンテナの動きは機械的に提供されてよく、又はアンテナアレイ電子スィッチングによってシミュレートされてよい。SARで提供され得る最適な幾何学的解像度は、中心振動数及び送信信号帯幅によって決定され、アンテナ上の、直線経路に沿った、開口角度は目標領域を照射する。SAR技術は、3mmまでの波長に対応する、100GHzまでの非常に広い振動数範囲で使用されてきた。
【0016】
合成開口レーダーシステムの基本的な設計は、さらなる情報を収集するために様々な方法で改善され得る。これらの方法の殆どは、多くのパルスを結合する同じ基本的な原則を用いて合成開口を形成するが、さらなるアンテナ又はさらなる重要な処理を含んでよい。
【0017】
例えば、信号偏波及び/又は信号の干渉計を用いることによって画像解像度は向上され得る。具体的には、偏波された波の混合物を放射することによって、及び特定の偏波を有する受信アンテナを用いることによって、標的の幾つかの異なる画像は同じ系列のパルスから収集することができる。
【0018】
単一のSAR画像の位相は実際使用されないが、SARシステムは振幅(輝度)及び後方散乱されたエコーの位相の両方を記録する。それに対して、干渉SAR(InSAR)はわずかに異なる入射角で取得された二つのSAR像が結合され、インターフェログラムと呼ばれる位相干渉画像を生成する技術である。もしもわずかに異なる視野角からの二つのSAR画像を考える場合(干渉対)、それらの位相差(干渉縞)は通常画像解像度を改良するのに活用され得る。干渉縞画像はSARインターフェログラムの位相として得られ、二つのSAR像をたすき掛けすることによって形成される複雑な画像である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6,997,388号明細書
【特許文献2】米国特許第6,529,154号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0280539号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】D.L.Mensa、High Resolution Radar Cross Section Imaging(2nd ed.)、ボストン:Artech House、1991
【非特許文献2】M.Soumekh、Synthetic Aperture Radar Signal Processing;New York:John Wiley & Sons、1999
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の局面によると、新規のチップレス無線周波数識別(RFID)データタグは、レーダー型リーダーシステムによって問い合わせを受ける標的であり得るように提供される。タグは製品又は商品に関し、それらに配置されるか、又は組み込まれるかのどちらかであってよい。RFIDデータタグはタグによって保持される機械可読データの表示である複数の回折要素を含む。回折要素は、一つの軸に沿ったこれらの回折要素の寸法が垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なるような形状を有する。さらに、回折要素は所定のレイアウトスキームに従って行列で配置される。各列において、回折要素は隣接する列の要素の方向以外の方向を向く。
【0022】
本発明の一つの実施形態によれば、タグのデータ情報コードは列内の回折要素の有無によって、及び要素に対応する行の数値番号によって定義される。列内に回折要素が存在しないことはゼロを表し、その一方で回折要素が存在することは要素に対応する行の数値番号に関連するある値を表す。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、タグのデータ情報コードは回折要素の型によって定義される。例えば、回折要素は単一の帯状要素及び/又は二重の帯状要素であってよい。
【0024】
本発明の一つの実施形態によれば、隣接する列の各二つの回折要素の方向は互いに垂直である。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、回折要素の少なくとも一部分はデータエラーの補正のためタグの内部に冗長情報を導入する。冗長情報は奇偶検査ビット及びチェックサムから選択される少なくとも一つのエラー補正スキームに基づく。
【0026】
本発明の一つの実施形態によれば、複数の回折要素の少なくとも一部は予め定義された位置内のタグ上に配置された視準マークを表す。
【0027】
本発明の一つの実施形態によれば、回折要素は基板層上に配置される。
【0028】
本発明の他の実施形態によれば、回折シンボル要素はタグが結合される物品構造内部に組み込まれる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、回折要素はRF放射を吸収、散乱、又は反射することができる材料で作られる。
【0030】
本発明の他の一般的な局面によれば、本発明のRFIDデータタグを読み取るためのシステムが提供される。このシステムは送信(Tx)アンテナのアレイ、受信(Rx)アンテナのアレイ、及びインテロゲータユニットを含む。送信(Tx)アンテナのアレイは、タグに向かう所定の偏波でRF送信放射信号を放射するように構成される。受信(Rx)アンテナのアレイは、送信アンテナの偏波と直交する偏波で、RF送信放射信号に応答してタグによって生成される再放射されたRF放射を収集するように構成され、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成する。インテロゲータユニットは、タグに向かって放射されるRF送信信号を生成するように構成され、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによってデータ保持タグを読み取るためのRF受信信号を処理する。
【0031】
本発明の一つの実施形態によると、送信(Tx)アンテナのアレイ及び受信(Rx)アンテナのアレイは非対称送信/受信機能を有するスィッチングアンテナ(switching anntena)アレイである。ここで「非対称」は送信アンテナの数が受信アンテナの数と異なるということを示す。
【0032】
本発明の実施形態によれば、インテロゲータユニットは前記送信(Tx)アンテナのアレイ及び前記受信(Rx)アンテナのアレイに結合されたRFフロントエンドユニット、RFフロントエンドユニットに結合されたRFモジュール、RFフロントエンドユニット及びRFモジュールに結合された制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール、及び電源ユニットを含む。
【0033】
RFフロントエンドユニットは一つ以上の出力増幅器、一つ以上の入力増幅器、制御ロジックユニット及びRFスィッチを含む。RFモジュールはタグから散乱される信号を受信する送信信号を生成して周波数の転換を提供するように構成される。DSPユニットは受信された信号に組み込まれた振幅及び位相情報を用いることによって受信された信号を処理するように構成される。制御ユニットはRFフロントエンドユニット及びRFモジュールの操作を制御するように構成される。
【0034】
本発明のさらなる一般的な局面によると、本発明のRFIDデータタグを読み取るための方法が提供される。この方法はRF送信信号を所定の偏波でRFIDデータタグに向かって生成及び放射する段階を含む。RF電磁信号はマイクロ波の範囲(1GHzから1000GHz)であり得る。さらに、前記RF放射信号に対する応答においてタグによって分散された再放射されたRF放射は受信アンテナによって収集され、インテロゲータに伝えられる。受信された信号はタグによって保持されたデータを表す振幅及び位相情報内部にデータを含む。本発明によれば、受信アンテナによる信号の収集は、RF送信信号の偏波に直交する偏波で行なわれる。その後、RF受信信号は、列内のシンボル要素の配列を決定するために受信された信号に基づいてSAR画像の振幅情報を用いることによって、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためにSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るために処理される。
【0035】
タグ画像は、タグの水平解像度を得るためのSAR処理、及びタグの垂直解像度を得るための干渉SAR(InSAR)処理を採用することによって得られる。具体的には、列内の回折要素の配置の決定はSAR処理を含み、それに対して行内の回折要素の配置の決定は干渉SAR(InSAR)処理を含む。好ましくは(必須ではないが)、この方法は新規の超解像度SAR画像処理を使用することができる。
【0036】
本発明の一つの実施形態によれば、RF受信信号の処理は、タグの初期画像の再構築、初期画像内のタグのパターンの歪みの補正、初期画像内のエラーの検知及び補正、及びタグによって保持されるデータの解読及びデコーディングを含む。
【0037】
本発明を理解するために、また実際にどのように実行され得るかを知るために、好ましい実施形態が、非制限的な例のみを用いて、添付される図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明の一つの実施形態による、RFIDデータタグの例を概略的に示す。
【図1B】本発明の一つの実施形態による、シンボル要素の配列を有する例示的なRFIDデータタグの概略的な上面図を示す。
【図1C】図1A及び1Bに示されるタグ上の視準マークの配列の例を示す。
【図1D】本発明の他の実施形態によるシンボル要素の配列を有する他の例示的なRFIDデータタグの概略的な上面図を示す。
【図2A】本発明の実施形態に従う、本発明のデータタグ内に保存された情報を読み取るための識別システムの概略的なブロックダイヤグラムを示す。
【図2B】図2Aの識別システムのアンテナの構成の例を示す。
【図2C】図2Aの識別システムのアンテナの構成の他の例を示す。
【図3】図1A、1B、1C、及び1Dに示されるタグに関するInSAR処理スキームの例を示す。
【図4】本発明の例示的なタグの初期処理画像の例を示す。
【図5】本発明の一つの実施形態による、タグの要素のレイアウトの生成方法の概略的な説明を示す。
【図6】本発明の一つの実施形態による、タグによって保持されるデータの読み取り及び再構築のための処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明による情報保持マルチビットデータタグ及び識別システムの原理及び動作は、図面及び付随する記述を参照してより理解されるだろう。これらの図面は原寸どおりである必要はなく、説明における例は説明の目的のみで与えられ、本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されるべきである。同じ参照番号は、本発明の記述全体を通して、図面に示されるマルチビットデータキャリアにおいて共通である部品を区別するために用いられるだろう。構造、材料、寸法、及び製造工程の例が選択された要素に関して提供される。当業者は、提供された例の多くが使用され得る適切な代替案を有することを理解すべきである。
【0040】
本発明は干渉合成開口レーダー(InSAR)技術と共に用いる合成開口レーダー(SAR)技術に基づくレーダー型識別システムによって問い合わされ読み取られる標的であり得る新規のチップレスRFIDデータタグについて記述する。タグの画像は、広い範囲の角度及び振動数にわたって収集されるレーダー散乱データを処理することによって得られる。
【0041】
図面を参照すると、図1Aは本発明の一つの実施形態によるRFIDデータタグ10の例を概略的に説明する。RFIDタグ10は、表面にパターン形成され複数の回折要素12を有する基板層11を含む。基板層11は、例えば、紙、厚紙、織物、ポリマーホイル、又は固体材料から作られてよい。回折シンボル要素12は、例えば導電性インクを用いることによって、及び/又は任意の他の導電性材料を用いることによって、RFIDタグ10上に印刷され得る。
【0042】
一つの実施形態によれば、RFIDデータタグ10の回折要素12は導電性要素である。他の実施形態によれば、基板層11が導電性であるとき、及び/又はタグ10が導電性の物体上に配置されるとき、タグは複数の穴又は他の吸収要素を含んでよい。どちらの場合においても、要素12の互いに対する相対的な位置及びインテロゲーション信号の応答の振幅は、タグ10上にエンコードされた情報の表示であり得る。
【0043】
本発明によると、回折要素12は以下に記述されるような方法で互いに対して配向されて基板層11上に配列される。本発明の一つの実施形態によれば、回折シンボル要素は所定のレイアウトスキームに従って行列内に配列される。図1Bは、本発明のタグの回折要素12に関する例示的なレイアウトスキームを説明する。記述において、タグの中心線は水平方向と称され、垂直方向の中心線からの回折要素の任意のシフトは垂直方向と称される。この実施形態によれば、各回折要素は帯状の形態であり、レイアウトのm列103及びn行104の一つにおいて唯一の水平及び垂直位置を有する。図1Bに示される例において、タグは37の列と9の行を有する。所望されるとき、タグ行数104及び列数103及び行列内のシンボル回折12の位置は任意に与えられてよい。帯状形態の回折要素12が図1A及び1Bに示されるが、回折要素の形態は帯状とは異なっていてもよいことは理解されるべきである。一般的には、回折要素12は交差偏波(cross polarized)分散信号を生成するような形状を有する任意の非対称要素であってよい。タグ行数104及び列数103、並びにシンボルの型がタグの容量を規定することは理解されるべきである。グリッドライン101並びに行列の数は説明の目的のためにのみ図1Bに示され、実際のタグにはみられないことには注意されたい。
【0044】
本発明の一つの実施形態によれば、タグのデータ情報コードは列103内の回折要素12の有無及び要素に対応する行104の数値番号によって定義される。言い換えれば、回折要素12はシンボルを表すことができ、回折要素の各々唯一の位置はタグによって保持される情報ビットを表す。例えば、列(任意の行)に回折要素がないことで「0」(ゼロ)を表すことができ、一方で列内の特定の行に回折要素が存在することである値を表すことができる。値は回折要素の型に依存し得る。
【0045】
例えば、全ての回折要素が同じ帯状のものであるとき(図1Bに示されるように)、この値は行の数値番号と同じであってよい。具体的には、行の総数が9に等しいとき、ある列の中にシンボル要素が配置される行の数値番号は、この列の十進法の値を表す。例えば、図1Bに示されるタグ内にエンコードされた十進法の数は、5121276934568986311777321898444675005である。
【0046】
図1Bに示されるコーディングスキームは十進法のエンコーディングスキームとして示される。コーディングの論理は行数に依存すると理解されるべきである。一般的には、十進数のコードとは異なる基数を有するコードも使用されることができる。
【0047】
図1Dを参照すると、本発明の他の実施形態によるシンボル要素の配列を有する他の例示的なRFIDデータタグの上面図が説明される。このタグは同様に37列及び9行である。この例において、二つの型の回折要素が存在し、第1の型の要素は単一の帯状要素(例えば要素105及び106を参照されたい)であり、一方で第2の型の回折要素は二重帯状要素(例えば、要素121を参照されたい)である。したがって、このタグの基数は図1Bに示されるタグの基数とは異なる。具体的には、この場合の数のシステムのベースは19である(図1Bに示されるタグのベースが10であるのとは異なる)。この場合、数値コードは0123456789ABCDEFGHIの形態を有することができる。
【0048】
異なる回折要素を有するタグの値は、要素の有無の選択肢に加えて各要素を表すような数によって掛けられた行の数値番号と等しくてよい。例えば、その場合、二つの型のシンボルがあるとき、及び行の総数が9に等しいとき、タグの基底は値9×2+1=19を有する。
【0049】
図1Dに示されるコーディングスキームは英数字エンコーディングスキームと称される。例えば、図1Dに示されるタグにエンコードされる英数字データは基底19の5AB12G6934568I86311777321898444675005である。
【0050】
回折要素12の相対的寸法及び位置は図1A、1B、1C、1D、及び他の図面に単なる非制限的な例として示されるが、原寸通りではないことに注意されたい。要素12はRF電磁放射の半波長のオーダーの寸法を有することができる(RF振動数の範囲を約109Hz−1012Hzとするとき、約0.1mm)。本発明によれば、無線振動数(RF)電磁放射が回折要素12を放射するために使用される。操作振動数に依存して、水平方向のピッチ(列間の距離)は2mm−4mmの範囲であってよく、垂直方向のピッチ(行間の距離)は、例えば、1mm−2mmの範囲であってよい。しかしながら、タグのピッチの他の例もまた可能である。
【0051】
本発明によれば、タグ10の回折要素12はO’軸に沿った要素の寸法が垂直軸O’’に沿った要素の寸法と実質的に異なる(例えば大きい)ような形状を有する。例えば、要素12は狭い帯状の形態を取ることができる。そのようにしておくことによって、バックグラウンドクラッターを低減する可能性を与える。この目的で、本発明のタグの読み取りシステムにおいて使用される送信アンテナ(図示されない)及び受信アンテナ(図示されない)は直交する偏波を有する。タグを読み取るためのシステムの例は図2Aに関して以下に示される。
【0052】
このように、一つの実施形態において、送信アンテナは水平方向に偏波した場を生成し、一方で受信アンテナは垂直方向に偏波した場を受信する。送信及び受信アンテナの偏波の方向は交換されることができ、一般的には任意の二つの直交する偏波が送信及び受信に使用されてよい。
【0053】
本発明によれば、タグ要素12は強く交差偏波された応答を生成するように設計され、一方でクラッターは主に共偏波される。具体的には、送信アンテナから放射される水平方向に偏波された場によって照射されるとき(逆もまた同じ)、要素12は強く垂直方向に偏波された場を生成するように設計される。
【0054】
送信アンテナによって放射された、及び異なる障害物、壁等によって散乱された電磁波は、生成されたときと主に同じ偏波で受信アンテナにぶつかる。受信及び送信アンテナは交差偏波されているので、障害物及び壁の電磁場は有意に弱められ、したがって「ブラインディング(blinding)」、すなわち受信機の負荷、を防ぐ。他方では、本発明によれば、回折データ要素12は斜めにされ、送信及び受信アンテナの偏波の方向の間の中間の方向をとる。したがって、要素12は電磁場を分散することができ、及び受信アンテナによって受け取ることができる双方の直交する偏波成分を生成する。
【0055】
タグの画像を生成するために使用されるレーダー画像化アルゴリズムは、隣接するタグ要素間に強いカップリングが存在するとき、望ましくない人為的誤差を生成する場合がある。そのような人為的誤差は情報デコーディングを困難にする場合があり、結果的に、タグの情報容量を制限する。要素間のカップリングは隣接する要素が互いに平行であるとき最大である。
【0056】
本発明の一つの実施形態によれば、タグ内の隣接する要素間のカップリングを低減するために、各列中で、回折要素は隣接する列の要素の方向とは異なる方向に向く。好ましくは、図1A、1B、及び1Dに示されるように、各二つの隣接する列内でシンボル要素は互いに直角の方向を向く。したがって、各二つの隣接する列内の要素の向きは、互いに直交する。隣接する列の要素が互いに直交するとき、ある要素に沿って流れる電流は隣接する列の要素内の電流を誘起しないので、そのような要素の配置は隣接する列の要素間のカップリングを低減する。
【0057】
本発明の一つの実施形態によれば、本発明のタグ内に配置された回折要素の組全体は、製品に関する情報を表す回折シンボル要素の第1のサブセット、及び、シンボル要素のよりよい区別、タグの境界及び方向の認識、並びにより信頼性が高いタグの識別を意図する回折参照要素(例えば、視準マーク)として用いられる回折要素の第2のサブセットを含んでよい。
【0058】
さらに、所望されるとき、本発明のタグは、データエラー補正のために使用することができるタグ内の冗長な情報(例えば、奇偶検査ビット、チェックサム等)を導入するさらなる回折シンボル要素を含んでよい。エラー補正は、例えば、タグが損傷を受けたとき検知の失敗を回避するために使用することができる。エラー補正アルゴリズムはそれ自体従来技術で知られており、したがって以下では記述されない。
【0059】
図1Cは、図1A及び1Bのタグ上に配置された視準マーク111を表す回折要素の第2のサブセットの例を示す。ここで見られるように、視準マーク111は予め規定された場所に配置され、例えば、タグの境界の明確化、及び、その(リーダーに対する)相対的位置及び読み取り工程の照準(alignment)の規定のために明示されてよい。
【0060】
所望されるとき、さらなる回折シンボル要素(図示されない)が、データエラー補正のためにタグ上にさらに配置され得る。さらなる数の列及び/又は行を提供するエラー補正シンボル要素の配置の他の実施形態も可能であるが、これらの要素(エラー補正シンボルの表示)は例えばタグの一つ以上の最後の列内に配置されてよく、例えば図1A及び1Bに示されるタグではそのようなさらなる回折シンボル要素は列34−36に配置されてよい。好ましくは、ただし必須ではないが、視準マーク並びにデータ補正シンボルは、製品に関する情報を表すシンボル要素と見た目が一致する。
【0061】
図5を参照すると、本発明の一つの実施形態による、タグ504の要素のレイアウトの生成方法の概略的説明が示される。この実施形態によれば、製品情報、又は他の入力データ501は、暗号化(スクランブリング)及び/又はコーディングアルゴリズム502によって処理され、製品コードデータの安全及び保護を提供する。製品情報は、例えば、以下の主要素を含む電子製品コード(EPC)を含むことができる:ジェネラルマネージャーナンバー(General Manager Number)、オブジェクトクラスナンバー(Object class number)、バッチスタートシリアルナンバー(Batch Start Serial Number)、及びバッチエンズシリアルナンバー(Batch Ends serial number)。その後、入力データに対応するシンボル要素のレイアウトが生成される。所望されるとき、視準マークに関するさらなる情報、及び他の補助的な及び冗長なデータをコーディングアルゴリズム(ブロック503)に組み込むことが可能である。最後に、タグの生成アルゴリズムはタグのグラフィカルファイル504を作成し、各シンボルの行列位置は元々の入力エンコードデータ、及び他の補助的な及び冗長なデータを表す。このグラフィカルファイル504は製品又はラベル上のタグのレイアウトを印刷するために使用することができる。
【0062】
タグが導電性又は吸収性の要素を有するので、それは入射波を散乱し、後方散乱(再放射)された場はタグのシンボル及びマークに関する情報を保持する。操作において、この再放射された場は識別システムによって受信され、該受信システムはそれを送信された(放出)信号と比較し、タグによって保持された情報データを処理し復元する。
【0063】
図2Aを参照すると、本発明の実施形態に従って、本発明のデータタグに保存された読み取り情報に関する識別システムの概略的ブロックダイヤグラムが説明される。図2Aのブロックは機能的な構成要素のみを意図しており、任意の物理的な接続及び/又は物理的な関係よりもむしろ、構成要素間の機能的な関係が示されるようになっていることに注意されたい。
【0064】
本発明の識別システムは、ミリメータ波振動数で作動されるコヒーレントレーダーシステムに基づく。例えば、連邦通信委員会(FCC)の規則を遵守するために、識別システムは3GHzから300GHzの振動数の範囲で、好ましくは59GHzから64GHz又は116GHzから126GHzの範囲で、作動することができる。
【0065】
本発明の識別システムは、タグ(図示されていない)に向かって所定の偏波でRF送信放射信号を放射するように構成された送信(Tx)アンテナ21のアレイを含む。上述のように、タグは製品又は商品の一部であってよい。システムは、送信アンテナの偏波に直交する偏波におけるRF送信放射信号に応答してタグによって生成された再放射されたRF放射(吸収された、散乱された、又は反射された)を収集するように、及びタグによって保持されたデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するように構成された受信(Rx)アンテナ22のアレイも含む。本発明のシステムは、タグに向かって放射されたRF送信信号を生成するように、及び列内のシンボル要素の配列を決定するための受信された信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いてタグによって保持されたデータを読み取るために前記RF受信信号を処理するように構成されたインテロゲータユニット23をさらに含む。
【0066】
送信アンテナ21及び受信アンテナ22は、タグの全領域を覆う幅広いビームを提供及び遮断するための小さな放射開口を有する。Tx及びRxアンテナは平面又は非平面構造で組み込まれてよい。本発明の目的に適したTx及びRxアンテナの例として、ホーンアンテナ、スロットアンテナ、ストリップアンテナ、パッチアンテナ、パラボラアンテナ等が挙げられるが、これらに制限されない。好ましくは、アンテナ構造は、インテロゲータユニット23をタグに対して機械的に相対移動する必要なく部分的な又は完全なタグの電子走査を実現するはしご型又は段階的なアレイであってよい。
【0067】
インテロゲータユニット23はRFフロントエンドユニット211、RFフロントエンドユニット211に接続されたRFモジュール212、RFフロントエンドユニット211及びRFモジュール212に接続された制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール(213)、及び電源ユニット214を含む。制御及びDSPモジュール213は表示ユニットを備えることができる。
【0068】
RFモジュール212はトランシーバの機能を果たす。特に、それは送信信号を生成し、受信アンテナ22によってタグから散乱された受信信号を取得する。
【0069】
制御ユニット及びDSPモジュール213はRFフロントエンドユニット211及びRFモジュール212の動作ロジックの制御を行なう。操作において、モジュール213はRFモジュール212からのデータを受信し、タグから散乱された信号内に組み込まれた振幅及び位相情報を用いることによってこれらのデータを処理し、要求された形式でタグの情報データを示す。電源ユニット214はシステムに必要とされる電圧を提供する。
【0070】
RFフロントエンドユニット211は、出力増幅器217、入力増幅器220、制御ロジックユニット215、及びRFスィッチ218を含む。送信モードにおいて、RFフロントエンドユニット211はRFモジュール212の出力Txからの送信信号を受信し、これらの信号を増幅器217によって増幅し、mm波電磁場によるタグの連続的な照射のためTxアンテナを活性化し、各Txチャンネル内にフィールドダイヤグラムを形成し、及びTxアンテナ21によってタグに向かってそれを放射する。受信モードにおいて、RFフロントエンドユニット211は、受信アンテナ22によってタグの後方散乱RF場を受信し、Rxチャンネルを形成し、増幅器220によってRxチャンネル内の受信した信号を増幅し、及び増幅された信号をRFモジュール212のRx入力に提供する。
【0071】
図2Bは、本発明の一つの実施形態による、Rxアンテナアレイ222及びTxアンテナアレイ223のレイアウト構成200を示す。この実施形態によれば、アレイ222及び223のTx及びRxアンテナはパッチ型であり、平面板221の表面上にそれらの電子部品(図示されていない)と共に取り付けられる。レイアウト構成200はタグの寸法、要素の量、及び行列内のタグの要素間の距離(間隔)に従って案出される。具体的には、Txアンテナの全水平方向(アジマス)開口(すなわち、走査角の範囲)及びTxチャンネルの量は、タグの要素の間隔及びタグとアンテナアレイとの間の最大距離に依存する。
【0072】
例えば、間隔が3mmであるとき(すなわち、Vバンド(59GHz−64GHz)内で作動されるシステムの半波長に近い)、全アンテナ開口は320mmであり得る。この場合、図2Bで示されるように、Txチャンネルの量は40であってよく、一方でRxチャンネルの量は12であってよい(ただし他の実施形態ではこれらのパラメータは異なるであろう)。図2Bに示されるように、Rx及びTxアンテナアレイの偏波は直交する。具体的には、Txアンテナアレイ223の行は水平方向の線形偏波を有し、それに対してRxアンテナアレイ222の列は垂直方向の線形偏波を有する。一般的に、任意の二つの直交する偏波が送信及び受信に使用され得る。アンテナによってアジムス方向及びエレベーション方向に電気的な操作(走査)を行なうことができる。
【0073】
図2Cは、本発明の他の実施形態に従って構成されたRx及びTxアンテナのレイアウトの他の可能な実施形態を示す。この実施形態において、Txアンテナアレイ232及びRxアンテナアレイ231のアンテナが、ボード233端近傍に取り付けられたホーンアンテナモジュールの別個の群として実行されるとき、他の選択肢が考えられる。図2Cに示されるように、Txアレイ232のアンテナは互いに対して交互の関係で配置される。
【0074】
本発明の識別システムはタグの画像の振幅及び位相情報を用いるアルゴリズムを採用する。したがって、RFフロントエンドの電子機器の全ての振幅及び位相安定性には厳しい要件が存在する。さらに、Tx−Rxチャンネルの振動数応答経路の位相シフトの単調さ(phase shift monotony)が必要とされる。これらの要件を満たすために、Tx及びRxチャンネルは動的に調整される。この目的で、専用の調整チャンネル219によって弱められたTxチャンネルからの送信信号の一部は、Rxチャンネルへと送られ得る。したがって、システムはRFフロントエンド電子機器の振幅及び位相変化を追跡することができ、振幅及び位相変化を「動的に」補正(補償)する。
【0075】
背景技術で説明したように、従来のSARシステムは総合的な開口作用を得るために、物理的に大きなアンテナを用いることなく、アンテナ移動を採用する。本発明によれば、物理的な移動を回避するために、複数の要素を含む「物理的に大きな」アンテナへと戻ることが提案された。データ収集は受信及び送信アンテナ要素をオン及びオフにスィッチングすることによって達成される。通常、アンテナ要素のただ一つの送信/受信対のみが任意の所定の時点で活性化される。一般的に、一つ以上の受信アンテナが同時に活性化されてよく、複数の受信回路を用いる代わりに迅速なデータ収集を達成する。本発明のスィッチドアレイSARデータ収集の使用は、ビーム方向を変更するように構成された様々なレーダー及び通信システムにリフレクタ及びレンズを供給するよう採用された段階的なアレイの使用とは異なることを理解されたい。
【0076】
一般的には、本発明のRFIDデータタグの読み取り方法は、RFIDデータタグに向かう所定の偏波におけるRF送信信号の生成及び放射を含む。さらに、前記RF放射信号に対応してタグによって生成された再放射されたRF放射は、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するために収集される。本発明によれば、収集はRF送信信号の偏波に直交する偏波において実行される。その後RF受信信号は、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信された信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るために処理される。
【0077】
従来のSARシステムは、実質的に同じ構成を有する送信及び受信アンテナを使用する。特に、同じアンテナが双方の機能に関して使われることが多い。一方で、提案されたスィッチドアンテナアレイは、以下に述べるように、特別なシステムの目的を達成するため「非対称」Tx/Rxアンテナ配置に基づく。
【0078】
本発明の一つの実施形態によれば、水平方向のアンテナアレイ(図2Bにおける223、及び図2Cにおける232)が電磁放射の送信のために使用され、タグの回折要素の水平方向の解像度(タグの列)を提供するのに対して、垂直方向のアンテナアレイは放射を受信するために使用され、垂直方向の解像度(タグの行)を提供する。タグの水平方向の解像度は、以下に述べるように、通常のSAR処理、又は好ましくは超解像度SAR処理、の何れかによって得られてよい。他方で、垂直方向の解像度は通常のSAR処理、又は好ましくは干渉合成開口レーダー(InSAR)処理、の何れかによって得られてよく、アンテナの数の低減につながる。このように、スィッチドアレイの概念を用いるとき、本質的に異なる送信/受信アンテナ配置が実行されてよい。
【0079】
通常のSAR処理は、(ピクセルの通常のカルテシアングリッドを含む)画像内の各ピクセル中央の反射性を他の全てとは独立して復元させる。実はそれは、全ての他のピクセルに関わりなく、測定されたデータに対する単一のピクセルの反射性の最も良い最小二乗法の適合を達成することができる。このタイプの処理はまばらに配置された散乱体に関して良好な結果を与えることができ、半波長よりも低い(通常非常に低い)解像度が得られる可能性がある。しかしながら、そのような通常のSAR処理は密に配置された物体の場合には上手くいかない傾向がある。
【0080】
一方で、散乱体の数又はそれらの性質に関して経験的な情報を使用する、及び/又は散乱体の不規則な配置を許容する方法は、一般的に超解像度SAR技術と呼ばれる。
【0081】
様々な超解像度技術が従来技術で記述されてきた。本出願は、経験的に知られた距離(間隔)を有して配置されたN個のシンボルを含むタグに対して設計された新規のタイプの超解像度アルゴリズムを提案する。受信されたデータに対するN個の散乱体に基づく散乱モデルに関して最小二乗法が使用される。その意味で、提案された方法は、各々のピクセルの計算を独立に行なう代わりに、従来のSAR処理を一般化してN個のピクセルの振幅を同時に復元する。実は、N=1のとき、提案された方法は近接場逆投影/伝搬に基づく通常のSAR処理に単純化される。
【0082】
本発明の実施形態による、超解像度SAR処理のアルゴリズムが以下に記述される。
【0083】
送信/受信アンテナの位置は下記数式で示され、Nt及びNrは各々送信及び受信アンテナの総数である。
【0084】
【数1】
【0085】
我々は、画像振幅を下記数式の位置で探した。ここで、Nはタグの要素の総数である。単一の振動数画像が振動数f、及び対応する波数k=2πf/c(cは光の速度)において計算された。
【0086】
【数2】
【0087】
タグモデルは、タグの回折要素を、(数2)の位置における振幅snの均一な間隔の点散乱体として考える。rtpに配置された送信アンテナによって送信される信号に起因してrrqに配置された受信アンテナで受信された信号は、下記数式で表されてよく、εiは様々な因子に起因して測定中に起こるノイズを示す。
【0088】
【数3】
【0089】
簡単にするために、我々は等方的なアンテナ及び散乱体を仮定する。経験的に測定又は計算される場合、アンテナの特性は容易に説明され得る。データモデル(1)はマトリックスの形態で表現されることができる、すなわち、
【数4】
【0090】
散乱体の振幅は(3)の最小二乗法による解から、すなわち下記数式を用いることによって、決定され得る。
【0091】
【数5】
【0092】
ここで、下記符号はm−ノルムを示し、最小二乗法の解はm=2に関して得られる。アンテナ対の数が散乱中心よりも多いと仮定する場合、すなわちNbNr>N、マトリックス[H]は最大階数であると予想される。
【数6】
【0093】
もしもマトリックスがランク不完全である場合、我々は(4)に加えて以下の条件を満たす解を必要とする場合がある。この場合、ある適切な重み付けとともに(4)及び(5)を組み合わせることによってロバストな規則化スキームが得られる可能性がある。
【0094】
【数7】
【0095】
一般的に、SAR技術は興味ある領域の二次元画像を生成することができる。干渉SAR(InSAR)処理は、水平方向の解像度を提供するSAR技術によって得られる画像に垂直方向の寸法を追加することを可能にする。
【0096】
本発明の実施形態による、行内のタグの要素の垂直解像度を得るための本発明のタグから散乱された信号のInSAR処理のためのアルゴリズムが以下に記述される。
【0097】
垂直方向の寸法及び解像度は、少なくとも一つの送信アンテナ及び二つの受信アンテナを用いることによって得ることができる。受信及び送信アンテナの機能は交換されてよいことに留意されたい。InSARモデルは、各回折要素(画像中のピクセル)が明確な高さを有する単一の散乱体に相当することを仮定する。散乱体の高さは二つのアンテナの対によって受信された信号間の位相差から計算されてよい。位相差は光学経路長に関連する。
【0098】
【数8】
【0099】
ここで、ρ1及びρ2は垂直方向に配置されたアンテナの一つの対に対する信号の経路長を示し、λは波長である。経路長は、データ収集システムの幾何学的な詳細に依存する簡単な関係によって、散乱体の高さに関連する。位相は不明りょうである可能性があるので(2πを法として)、正確な結果を得るために、それ自体が周知である、位相接続法が使われてよい。
【0100】
本発明は、「垂直」位置コーディングを用いることによってタグ内にエンコードされた情報を読むためにInSAR原理を使用する。図1Aに関連して上述されたように、タグは情報シンボルを表す回折要素(部分的には存在しなくてよい)のアレイを含む。回折要素は導電性要素であってよく、包装上に、基板上に、又は直接物体上に形成される。物体が導電性である場合、タグは複数の穴、又は他の吸収性要素を含んでよい。タグ要素は位置及び振幅情報を提供するように配置され、及び寸法を有し、それによってこの情報はRFIDタグ上のエンコードされた情報を示す。
【0101】
図3を参照すると、タグ(図示されていない)の回折要素34を読み取るための送信(Tx)アンテナ33及び受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)の例示的な配置が説明される。送信(Tx)アンテナ33はタグを照射し、それに対して受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)は散乱された放射を受信する。タグは回折要素の組を含むが、記載を簡単にするために、そのような要素のうち一つだけ(要素34)が示されていることに留意されたい。垂直方向のアンテナ31及び32の対は本質的に異なる位置で配置され、回折要素34への(からの)受信アンテナ31及び32からの(への)経路が要素34の垂直方向の位置hに依存するようにする。
【0102】
受信アンテナ(Rx1及びRx2)31及び32は散乱された場を受信する。この配列において、回折要素34から受信アンテナ31及び32への経路長ρ1及びρ2は以下の数式で与えられる。
【0103】
【数9】
【0104】
近似式(7)は転置されてよく、測定された位相差に基づくシンボルの垂直位置を計算する。その結果以下の数式が得られる。
【0105】
【数10】
【0106】
もしも二つのSAR画像がこれらの二つの受信アンテナを用いることによって計算される場合、位相差は複雑なSAR画像内で各要素(ピクセル)に関して計算されてよく、したがって、各要素の高さhは式(8)を用いることによって推測され得る。一つの送信アンテナ33及び一つの受信アンテナ31及び32の垂直方向の対(Rx1及びRx2)が図3に示されるが、所望されるとき、一つ以上の送信アンテナ及び一つ以上の受信アンテナの対が使用され得る。特に、高い精度を実現しつつ位相アンビギュイティの問題を解決するために、二つ以上のアンテナ31及び32の対が使用され得る。アンテナ間の距離を増大することは精度を高めるが、位相アンビギュイティの問題を悪化することに注意されたい。したがって、二つ以上のアンテナによって、クラッター(タグを囲む不要な物体からの散乱)の効果を軽減することも助けつつ上述のような有利な点を与えることができる。
【0107】
タグ内にエンコードされた情報の再構築を具体的な目標として、散乱体の配置は特定のパターンによって規定され得る。特に、散乱体のベクトルは要素の中心として配置されるように仮定される。xy平面内のNビットタグに関して、これは下記数式
【数11】
が、下記数式(9)によって与えられることを意味する。
【数12】
ここで、dは隣接する要素間の水平方向の間隔(図1Aの109)である。
【0108】
そのような場合、アンテナ31及び32によって受信される信号に対して実施される超解像度SAR処理は複素振幅の上の組Suppern、及び複素振幅の下の組Slowernを各々提供し、それらはどちらも列内の回折要素の水平方向の位置に関する情報を含む。垂直方向の解像度を得るために、式(3)が使用されてよく、n番目の要素に関する位相差Δφnは下記数式によって得られてよい。
【0109】
【数13】
【0110】
図4を参照すると、タグ401の初期に処理された画像の例が説明される。この例において、超解像度SAR処理が列内のタグの要素の水平方向の解像度を得るために採用され、InSAR処理が行内のタグ要素の垂直方向の解像度を得るために採用された。プロット402は二つのInSAR画像、及び各要素に関して計算されたこれらの画像に関する位相差を説明する。具体的には、要素の画像1は「円」符号によって示され、画像2は「ひし形」符号で示され、それに対して、画像1と画像2との間の位相差は「プラス」符号で示される。
【0111】
画像1は図2Bに示される対アンテナRx1.1及びRx3.1で得られ、画像2は対アンテナRx2.3及びRx4.3で得られている。図4に示されるように、二つのInSAR画像の間の位相差の大きさは各タグの要素の垂直位置を表す。
【0112】
図6を参照すると、本発明の一つの実施形態によるタグに保持されたデータの読み取り及び再構築処理が示される。第1の処理において、タグ611は本発明の識別システムによって走査される。さらに、タグによって生成された再放射されたRF照射はデータ保持タグの読み取りのために収集され、及び処理される。具体的には、タグは列内のシンボル要素の配列を決定するためにSARアルゴリズムによって、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためにInSARアルゴリズムによって、処理される。この処理の結果として、タグ611の初期の画像再構築612が得られる。
【0113】
初期画像再構築法によって得られたシンボル要素のパターンは、タグ内のシンボルの実際のパターンと時折異なる可能性があることは理解されたい。これは、画像再構築の段階で提供されたタグ画像が同様に、高次の回折パターン成分等、異なる人為的信号を含む可能性があることに起因して起こりうる。さらに、要素の画像はシンボル間の干渉又はシンボルのカップリングによって歪む可能性がある。さらに、場合によっては、タグが逆さ(又は裏返し)になるかもしれないことは考慮されるべきである。
【0114】
初期画像再構築法の後得られたパターンの信用性を確認するため、本発明の識別システムによってタグを読み取る方法は、タグの位置を認識し、例えばタグが逆さであったり又は裏返しである場合、結果的にタグのパターンの歪みを補正する段階をさらに含んでよい(ブロック613)。画像の歪みは、異なるシフト、及びタグと識別システムとの非平行な配置によっても引き起こされるかもしれない。同様に、このタグを読み取る方法は起こり得るデータのエラーをチェックし、及び画像処理の後に得られるデータ内のエラーを補正する段階を含むことができる(ブロック614)。上述のように、歪み及びエラーの補正(ブロック613及び614)を実行するために、タグはデータシンボル要素のみではなく、例えばタグの周縁領域に配置された参照要素(視準マーク)、又は冗長情報を導入するためにデータシンボル要素の一部として含まれてよいさらなる情報シンボル(例えば、図1Cにおける要素111)、例えば、奇偶検査ビット、チェックサム等を含むべきである。
【0115】
次の段階(ブロック615)において、解読、及び暗号化及びコードされたデータのデコーディングが元々の形式においてタグのデータの像に関して実行される(ブロック616)。本発明の実施形態によれば、データのデコーディングは数値又は英数字形式でエンコードされる可能性があるタグに保存されたデータのデスクランブリング、及び復元を含む。タグのデコーディングは、シンボル要素によるデータのエンコーディングに関して使用される所定のシンボルのコード(言語)に基づく。
【0116】
所望されるとき、タグの読み取り方法は、コンピュータのモニター上でのタグの要素の画像及び/又は対応する情報データの表示の段階を含んでよい。
【0117】
このように、本発明の属する分野の当業者であれば、本発明が好ましい実施形態の観点から記述されているが、この開示が根拠とする概念は本発明の幾つかの目的を実行するための他の構造、システム及び方法の設計に関する基本的概念として容易に使用されてよいことを理解し得る。
【0118】
同様に、ここで使用される専門用語及び用語は説明を目的としており、制限としてみなされるべきではない。
【0119】
したがって、本発明の範囲がここで説明される説明的な実施形態によって制限されるものとして解釈されないことは重要である。添付されるクレーム及びその等価物において規定される本発明の範囲内で他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 RFIDデータタグ
12 回折要素
21 送信アンテナ
22 受信アンテナ
23 インテロゲータユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグによって保持される機械可読データを表す複数の回折要素を含む無線周波数識別(RFID)データタグであって、
前記回折要素が、一つの軸に沿った前記回折要素の寸法が、垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なるような形状を有し、
前記回折要素が所定のレイアウトスキームに従って行列内に配置され、
各列において、回折要素が隣接する列内の要素の方向以外の方向を向くことを特徴とする、RFIDデータタグ。
【請求項2】
タグのデータ情報コードが列内の回折要素の有無によって、及び要素に対応する行の数値番号によって規定される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項3】
タグのデータ情報コードが回折要素の型によって規定される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項4】
前記回折要素が少なくとも一つの帯を含む、請求項3に記載のRFIDデータタグ。
【請求項5】
前記回折要素が単一の帯状要素又は二重の帯状要素から選択される、請求項3に記載のRFIDデータタグ。
【請求項6】
列内に回折要素が存在しないことがゼロを表し、回折要素が存在することが要素に対応する行の数値番号に関連する特定の値を表す、請求項2に記載のRFIDデータタグ。
【請求項7】
隣接する列内の各二つの回折要素の方向が互いに垂直である、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項8】
前記複数の回折要素の少なくとも一部がデータエラー補正のためタグ内に冗長情報を導入する、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項9】
前記冗長情報が奇遇検査ビット又はチェックサムから選択される少なくとも一つのエラー補正スキームに基づく、請求項8に記載のRFIDデータタグ。
【請求項10】
前記複数の回折要素の少なくとも一部が所定の場所においてタグ上に配置された視準マークを表す、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項11】
前記回折要素は基板層上に配置される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項12】
前記回折シンボル要素はタグが関連する物品の構造内部に組み込まれる、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項13】
前記回折要素はRF放射の吸収、散乱、又は反射が可能な材料からできている、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載のタグによって保持される機械可読データを表す複数の回折要素を含むRFIDデータタグを読み取るシステムであって、
所定の偏波でタグに向かってRF送信放射信号を放射するように構成された送信(Tx)アンテナのアレイと、
送信アンテナの偏波と直交する偏波で、前記RF送信放射信号に応答してタグによって生成される再放射されたRF放射を収集し、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するように構成された受信(Rx)アンテナのアレイと、
タグに向かって放射されるRF送信信号を生成し、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによってデータ保持タグを読み取るため前記RF受信信号を処理するように構成されたインテロゲータユニットと、を含むシステム。
【請求項15】
前記送信(Tx)アンテナのアレイと前記受信(Rx)アンテナのアレイとがスィッチングアンテナアレイである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スィッチングアンテナアレイは「非対称」Tx/Rxアンテナ配列に基づく、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記インテロゲータユニットが、
前記送信(Tx)アンテナのアレイ及び前記受信(Rx)アンテナのアレイに接続され、出力増幅器(217)、入力増幅器(220)、制御ロジックユニット(215)、及びRFスィッチ(218)を含むRFフロントエンドユニット(211)と、
RFフロントエンドユニット(211)に接続され、送信信号を生成し、タグから散乱された受信信号を取得するように構成されたRFモジュール(212)と、
RFフロントエンドユニット(211)及びRFモジュール(212)に接続され、RFフロントエンドユニット(211)及びRFモジュール(212)の操作を制御し、振幅及び位相情報を用いて受信信号に基づきSAR画像を処理するように構成された、制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール(213)と、
システムに必要とされる電圧を提供する電源ユニット(214)とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1から13の何れか一項に記載のタグによって保持される機械可読データを表示する複数の回折要素を含むRFIDデータタグを読み取る方法であって、
RFIDデータタグに向かって所定の偏波でRF送信信号を生成し放射する段階と、
前記RF送信信号の偏波とは直交する偏波で、前記RF放射信号に応答してタグによって散乱された、再放射されたRF信号を収集する段階と、
列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るため前記RF受信信号を処理する段階と、を含む方法。
【請求項19】
列内の回折要素の配置の決定がSAR処理を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記SAR処理は通常のSAR処理又は超解像度SAR処理を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
行内の回折要素の配置の決定は干渉SAR(InSAR)処理を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記RF受信信号の処理は、
タグの初期画像の再構築、
初期画像の中のタグのパターンの歪みの補正、
初期画像の中のエラーの検知及び補正、
タグによって保持されたデータの解読及びデコーディング、を含む請求項18に記載の方法。
【請求項1】
タグによって保持される機械可読データを表す複数の回折要素を含む無線周波数識別(RFID)データタグであって、
前記回折要素が、一つの軸に沿った前記回折要素の寸法が、垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なるような形状を有し、
前記回折要素が所定のレイアウトスキームに従って行列内に配置され、
各列において、回折要素が隣接する列内の要素の方向以外の方向を向くことを特徴とする、RFIDデータタグ。
【請求項2】
タグのデータ情報コードが列内の回折要素の有無によって、及び要素に対応する行の数値番号によって規定される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項3】
タグのデータ情報コードが回折要素の型によって規定される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項4】
前記回折要素が少なくとも一つの帯を含む、請求項3に記載のRFIDデータタグ。
【請求項5】
前記回折要素が単一の帯状要素又は二重の帯状要素から選択される、請求項3に記載のRFIDデータタグ。
【請求項6】
列内に回折要素が存在しないことがゼロを表し、回折要素が存在することが要素に対応する行の数値番号に関連する特定の値を表す、請求項2に記載のRFIDデータタグ。
【請求項7】
隣接する列内の各二つの回折要素の方向が互いに垂直である、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項8】
前記複数の回折要素の少なくとも一部がデータエラー補正のためタグ内に冗長情報を導入する、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項9】
前記冗長情報が奇遇検査ビット又はチェックサムから選択される少なくとも一つのエラー補正スキームに基づく、請求項8に記載のRFIDデータタグ。
【請求項10】
前記複数の回折要素の少なくとも一部が所定の場所においてタグ上に配置された視準マークを表す、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項11】
前記回折要素は基板層上に配置される、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項12】
前記回折シンボル要素はタグが関連する物品の構造内部に組み込まれる、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項13】
前記回折要素はRF放射の吸収、散乱、又は反射が可能な材料からできている、請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載のタグによって保持される機械可読データを表す複数の回折要素を含むRFIDデータタグを読み取るシステムであって、
所定の偏波でタグに向かってRF送信放射信号を放射するように構成された送信(Tx)アンテナのアレイと、
送信アンテナの偏波と直交する偏波で、前記RF送信放射信号に応答してタグによって生成される再放射されたRF放射を収集し、タグによって保持されるデータを表す振幅及び位相情報を有するRF受信信号を生成するように構成された受信(Rx)アンテナのアレイと、
タグに向かって放射されるRF送信信号を生成し、列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによってデータ保持タグを読み取るため前記RF受信信号を処理するように構成されたインテロゲータユニットと、を含むシステム。
【請求項15】
前記送信(Tx)アンテナのアレイと前記受信(Rx)アンテナのアレイとがスィッチングアンテナアレイである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スィッチングアンテナアレイは「非対称」Tx/Rxアンテナ配列に基づく、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記インテロゲータユニットが、
前記送信(Tx)アンテナのアレイ及び前記受信(Rx)アンテナのアレイに接続され、出力増幅器(217)、入力増幅器(220)、制御ロジックユニット(215)、及びRFスィッチ(218)を含むRFフロントエンドユニット(211)と、
RFフロントエンドユニット(211)に接続され、送信信号を生成し、タグから散乱された受信信号を取得するように構成されたRFモジュール(212)と、
RFフロントエンドユニット(211)及びRFモジュール(212)に接続され、RFフロントエンドユニット(211)及びRFモジュール(212)の操作を制御し、振幅及び位相情報を用いて受信信号に基づきSAR画像を処理するように構成された、制御ユニット及びデジタル信号プロセッサ(DSP)モジュール(213)と、
システムに必要とされる電圧を提供する電源ユニット(214)とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1から13の何れか一項に記載のタグによって保持される機械可読データを表示する複数の回折要素を含むRFIDデータタグを読み取る方法であって、
RFIDデータタグに向かって所定の偏波でRF送信信号を生成し放射する段階と、
前記RF送信信号の偏波とは直交する偏波で、前記RF放射信号に応答してタグによって散乱された、再放射されたRF信号を収集する段階と、
列内のシンボル要素の配列を決定するための受信信号に基づくSAR画像の振幅情報、及び行内のシンボル要素の配列を決定するためのSAR画像の位相情報を用いることによって、データ保持タグを読み取るため前記RF受信信号を処理する段階と、を含む方法。
【請求項19】
列内の回折要素の配置の決定がSAR処理を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記SAR処理は通常のSAR処理又は超解像度SAR処理を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
行内の回折要素の配置の決定は干渉SAR(InSAR)処理を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記RF受信信号の処理は、
タグの初期画像の再構築、
初期画像の中のタグのパターンの歪みの補正、
初期画像の中のエラーの検知及び補正、
タグによって保持されたデータの解読及びデコーディング、を含む請求項18に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2010−503911(P2010−503911A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527959(P2009−527959)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【国際出願番号】PCT/IL2007/001119
【国際公開番号】WO2008/032313
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(508270772)インクシュア・アールエフ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【国際出願番号】PCT/IL2007/001119
【国際公開番号】WO2008/032313
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(508270772)インクシュア・アールエフ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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