無線周波数分割多重化ネットワークにおいてセル間干渉を低減する方法
【課題】OFDM/OFDMA/SC−FDMAを基にする無線ネットワークのためのプロトコルが、明確にスペクトル又は周波数を計画することなく、適応的なセル間干渉管理を提供する。
【解決手段】基地局及び移動局が、ハンドオフプロトコルから、サブキャリア割当てについての情報を入手する。移動局は、コグニティブセンシングを用いて、この情報を入手することもできる。コグニティブセンシングは、基地局によって報酬を与えられることができる。この情報を用いて、サブキャリアをランダムに、又はブラインド最適化で、又は同時最適化によって割り当てることができる。それらの局はゲーム理論を用いて、異なる最適化戦略の中から選択を行うことができる。
【解決手段】基地局及び移動局が、ハンドオフプロトコルから、サブキャリア割当てについての情報を入手する。移動局は、コグニティブセンシングを用いて、この情報を入手することもできる。コグニティブセンシングは、基地局によって報酬を与えられることができる。この情報を用いて、サブキャリアをランダムに、又はブラインド最適化で、又は同時最適化によって割り当てることができる。それらの局はゲーム理論を用いて、異なる最適化戦略の中から選択を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には無線ネットワークにおいて干渉を管理することに関し、より詳細には、無線直交周波数分割多重化(OFDM)ネットワークにおいてセル間干渉を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM、OFDMA及びSC−FDMA
直交周波数分割多重化(OFDM)では、利用可能な無線周波数(RF)スペクトルが、互いに直交している複数のサブキャリアに分割される。スペクトル効率、高速フーリエ変換(FFT)を用いて容易に実施できること、及びマルチパス効果を緩和するのに有効であること等の、OFDM技術の魅力的な特徴に起因して、OFDMは、ネットワークの物理層(PHY)の設計において広く用いられる。
【0003】
直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)では、同時に送受信するために、サブキャリアが複数の組に分割され、異なる移動局に割り当てられる。OFDMAは、アップリンク及びダウンリンクの両方についてのIEEE802.16e、並びにダウンリンクについての3GPP−LTEのように、ブロードバンド無線通信のための多種多様な標準規格において採用されている。
【0004】
3GPP LTEの基本的なアップリンク(UL)伝送方式は、サイクリックプレフィックス(CP)を有するシングルキャリアFDMA(SC−FDMA)を用いて、アップリンクユーザ間の直交性を達成し、且つ受信機側において、周波数領域で効率的に等化できるようにする。これにより、ダウンリンクOFDM方式と比較的高い度合いで共通化することができ、同じパラメータ、たとえば、同じクロック周波数を用いることができるようなる。
【0005】
ネットワーク構造
無線OFDMAネットワークでは、セルの概ね中心に位置する基地局が、そのサービスエリア内の複数の移動局と通信する。移動局がセルから出るとき、その移動局は、隣接する基地局にハンドオーバする。ネットワーク内の基地局は、バックボーン又はインフラストラクチャを介して、互いに情報を交換する。
【0006】
セル間干渉
地理的に隣接している基地局が同じスペクトルを割り当てるとき、特に移動局(MS)が2つ以上の基地局のサービスエリア内にある場合に、セル間干渉がネットワークスループットに影響を及ぼす。衝突するメッセージが再送されなければならないため、この干渉は消費電力も増加させる。
【0007】
サブキャリア衝突に起因するセル間干渉を低減するために、一般的に、2つの技法が用いられる。1つの技法は、ランダムなサブキャリア割当てを用いて、隣接するセル内の移動局が同じサブキャリアを割り当てられる確率を下げる。
【0008】
もう1つの技法は、協力的なサブキャリア割当てを用いる。これは、移動局がセル間干渉を受けない場合であっても、基地局が全てのサブキャリア割当て情報を交換することを必要とする。サブキャリアが割り当てられるときに、両方のセルにおいて全てのサブキャリアが利用可能であることも必要とされ、実際にスケジュールするのは、一般的に不可能である。
【0009】
ゲーム理論
ゲーム理論は、経済学において、及び合理的に意思決定することができるエンティティの挙動の研究において広く適用される応用数学の一部門である。ゲーム理論では、対話型意思決定の過程がゲームとしてモデル化される。その概念は、人の利益を最大にすることである。ゲームの結果は、一般的に、効用として知られている数によって表される。効用は、結果に伴う満足度、すなわち利益を表す。
【0010】
ゲームにおけるナッシュ均衡は、現在の戦略から1人で逸脱しても、ゲームのプレーヤが、さらに高い効用を達成することができない安定した動作点である。すなわち、他のプレーヤの戦略が決まっているとき、プレーヤがナッシュ均衡において選択された戦略を続けるときに、ゲームのどのプレーヤも最良の利益を達成する。
【0011】
コグニティブセンシング
トランシーバが、免許のある他のトランシーバ又は無免許の他のトランシーバと干渉を生じることなく、互いに効率的に通信できるように、送信パラメータ又は受信パラメータを学習するために、無線ネットワークにおいてコグニティブセンシングが用いられる。コグニティブセンシングは、無線周波数スペクトル、並びにトランシーバ・ネットワーク状態のような外部無線環境内及び内部無線環境内のいくつかの要因を能動的にモニタすることに基づく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、OFDMA無線ネットワークにおいてサブキャリア衝突を適応的に低減する。本発明の実施の形態は、セル間干渉を受ける移動局(MS)を特定する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
基地局は、ハンドオフプロトコルから、サブキャリア割当てについての情報を入手することができる。BSは、インフラストラクチャを介して互いに通信するが、BSに所定の行動が強制されることはなく、それにより、非適応的なサブキャリア割当てが回避される。
【0014】
MSは、コグニティブセンシングを用いて、この情報を入手することもできる。コグニティブセンシングは、BSによって報酬を与えられることができる。他の点では、電力を消耗することになるものの、その報酬は、MSにコグニティブセンシングを実行するだけの動機を与える。
【0015】
この情報を用いて、サブキャリアをランダムに、又はブラインド最適化によって、又は同時最適化によって割り当てることができる。それらの局は、ゲーム理論を用いて、3つの異なる戦略の中から選択することができる。実施の形態は、また、音声及びデータのトラフィックのような異なるトラフィックタイプの場合に、干渉情報が最適に入手される周期性を求める方法と、無線資源の異なるタイプのスケジューリングに対して最適化する方法とを特定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ネットワークトポロジ
図1は、本発明の1つの実施の形態による無線OFDMAネットワークを示す。そのネットワークは、基地局101と、移動局102及び103とを含む。円104は、基地局の範囲(R)を近似する。その範囲内にあるサービスエリアは、セルと呼ばれる。基地局は、そのセル内のサブキャリアを割り当てる。実世界のネットワークでは、セルは、円である必要はなく、サービスエリアは、アンテナ構成及び環境条件によることがあることは理解されたい。本発明人らは、適当な近似として円を用いるにすぎない。
【0017】
セルが交差するセグメント内の移動局は、セル間干渉を受けることがある。2つのセルは、αR107の重なり合う半径を有する。すなわち、2つの基地局間の距離は、2R−αRである。ただし、αは、基地局の地理的な配置による定数である。
【0018】
周波数再利用
隣接する基地局間でスペクトルを割り当てる過程は、周波数再利用と呼ばれる。ネットワークが隣接する基地局に同じスペクトルを割り当てるとき、周波数再利用係数は、1である。
【0019】
トラフィック負荷
トラフィック負荷βは、利用可能な全サブキャリアNに対する、使用されるサブキャリアSの比であり、すなわち、βi=Ni/Sである。本発明人らは、トラフィック負荷がβi∈[0,1]である事例を考える。
【0020】
干渉ゾーン
干渉ゾーン(IZ)105は、セル間干渉又はサブキャリア衝突が生じることがある場所である。サービスエリアの残りの部分は、非干渉ゾーン(nIZ)106である。IZでは、BSiによってサービスを受けるMSは、集合Γiに属し、BSjによってサービスを受けるMSは、集合Γjに属する。集合Γi内のMSは、BSjによって集合Γj内のMSに対して同じサブキャリアが割り当てられるときにセル間干渉を受け、その逆の状況も起こり得る。
【0021】
そのネットワーク例では、セルのサービスエリア全体に対する、IZ105の部分の面積は、以下のようになる。
【0022】
【数1】
【0023】
干渉ゾーンの大きさ及び輪郭は、ハンドオフしきい値及びRF伝搬環境の関数である。
【0024】
非干渉ゾーン
nIZ106内のMSは、集合ΓCi及びΓCjに属する。
【0025】
OFDMAシステムの場合の同一チャネル干渉管理
再利用係数が1であるとき、隣接するセル内の同じスペクトルは、S個の直交するサブキャリアに分割される。これらのサブキャリアが、OFDMAを用いて、異なるMSに割り当てられる。本発明の実施の形態による干渉管理は、集合Γi及びΓj内のMSに異なるサブキャリアを割り当てる。
【0026】
セル内のMSの分布
MSがセル内に均一に分布している場合には、MSの位置は、2次元ポアソン点過程によってモデル化することができ、それは、密度λi=Mi/(πR2)を有する。ただし、Miは、セル内のMSの全数であり、Rは、セルの半径である。本発明は、MSの不均一な分布でも良好に機能することができることは理解されたい。
【0027】
ハンドオフでIZ内のMSを特定すること
図2に示されるように、移動ネットワークは、典型的には、ハンドオフ250を実行して、セル間で移動局を移動させる。多数のハンドオーバ技法が知られている。ハンドオフを実行するために、MSは、アクティブセット201及び202を保持することができる。ハンドオフしきい値HAdd及びHDeleteが、アクティブセットにBSを追加するか否かを決定する。BSの搬送波対干渉雑音比(CINR)が削除ハンドオフしきい値HDeleteよりも小さい場合には、MSは、アクティブセットから、そのBSを削除する。CINRが追加ハンドオフしきい値HAddよりも大きい場合には、BSは、その基地局をアクティブセットに追加する。現時点でMSにサービスを提供しているBSは、アクティブセット内のアンカーBSである。
【0028】
さらに、上記のハンドオフしきい値は、CINRは大きくないが、干渉を引き起こすのに十分な電力を有するサブキャリア又はサブキャリアのブロックを含むように小さくすることができる。典型的には、これらの「変更されたハンドオフしきい値」は、干渉しきい値と呼ばれ、上記の通常のハンドオフしきい値よりも10dB以上小さい。これらの干渉しきい値は、ハンドオフのためには用いられない。代わりに、干渉しきい値は、本明細書において記述されるような、干渉管理のための占有スペクトルの情報を与える。
【0029】
言い換えると、本発明は、占有チャネル及びスペクトルの情報を伝達するために、従来のハンドオフプロトコルを利用する。干渉しきい値は、システム要件に従って変更することができ、キャリア、チャネル又はスペクトルが占有されるか否かを定義するために用いることができる値である。干渉しきい値を求めることによって、同じキャリア、チャネル又はスペクトルにおいて、RF干渉に対する許容度又は余裕度も定義される。簡単にするために、本明細書では、ハンドオフ又はハンドオフ情報に言及することは、暗に、干渉しきい値を設定するために、ハンドオフ情報を使用することを含むであろう。
【0030】
図2では、MSxjが、IZ105内に位置し、BSjによってサービスを受ける。それゆえ、MSxjのためのアクティブセットは{j(A),i}202であり、BSjがアンカー(A)として指示される。そのアクティブセットがBSに送信される場合には、そのBSは、MSがIZ内に位置するか否かを判断することができる。図2の例の場合、アクティブセットがBSiを含むので、BSjは、MSxjがIZ内にあるものと判断することができる。そのアクティブセットが{j(A)}201であり、それは、アンカーBSjだけを含むので、BSjは、MSyjがnIZ内にあることも判断することができる。
【0031】
本発明の1つの実施の形態によれば、本発明人らは、ハンドオフ情報201〜203を用いて、セル間干渉を低減する。
【0032】
部分情報交換による情報収集
BS間の情報交換
BSは、図2のバックボーン又はインフラストラクチャ210を介して、上記の情報を交換することができる。以下に記述される同時サブキャリア最適化過程では、BSは、全てのサブキャリア使用情報211を交換する。ランダム割当てでは、BS間でサブキャリア使用情報は交換されない。本発明の実施の形態では、部分サブキャリア使用情報が交換される。
【0033】
部分サブキャリア情報交換による干渉回避のための運用方式
図3は、本発明の1つの実施の形態によるセル間干渉を管理する方法を示す。第1段階では、先に説明されたように、ハンドオフ情報から、2つのBSが、IZ105及びIZ106内に位置するMSを特定する(310)。IZ105においてMSを特定すると、各BSは、nIZ106内のMSに、すなわち、集合ΓCi及びΓCj内のMSに、サブキャリアをランダムに割り当てる(320)。その後、BSは、インフラストラクチャを介して、依然として利用可能であるサブキャリアに関する情報211を交換する(330)。交換中に、セルi内で利用可能なサブキャリアの集合NAiがBSjに通信され、集合NAjがBSiに通信される。入手可能であるなら、他の情報、たとえば、サブキャリア使用の履歴記録も交換することができる。
【0034】
第2段階中に、各基地局は、最適化するか(351)、最適化しないか(352)を選択することができる(350)。後続のステップは、ランダム割当て371、ブラインド最適化372又は同時最適化373であり、他のBSの決定360に基づくことができる。
【0035】
最適化しない
両方のBSが最適化しないこと(352)を選択する場合には、交換される情報211は使用されず、両方のBSは、利用可能なサブキャリアのランダム割当て371を使用する。
【0036】
この場合、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0037】
【数2】
【0038】
ただし、fは、サブキャリアの周波数を表す。
【0039】
これは、両方のセルにおいてトラフィック負荷βが比較的小さい場合であっても、サブキャリア衝突数は、かなりの数になり、各セルのトラフィック負荷に正比例することを示す。
【0040】
ブラインド最適化
図4は、ブラインド最適化372を概略的に示す。BSjが最適化せず(352)、BSiが最適化351を選択するとき、BSiは「ブラインド」最適化を実行する。ブラインド最適化では、BSiは、他方のBSの集合Γjへの厳密なサブキャリア割当てを知らない。しかしながら、BSiは、サブキャリア情報を交換した後に、セルj内の利用可能なサブキャリア、すなわちNAjを有する。それゆえ、BSiは、サブキャリア集合NAi401及びNAj402の交わり403を特定することができる。
【0041】
サブキャリア衝突を低減するために、BSiは、最初に交わりNAi∩NAjの外側にあるサブキャリアを割り当てることによって、ブラインド最適化を実行する。たとえば、BSiは、交わりNAi∩NAj内のサブキャリアが1、2、3・・・Viと論理的に番号を付されるように、NAi内のサブキャリアに論理的に番号を付けることができる。ただし、Vi=|NAi∩NAj|は、サブキャリアの交わりの大きさである。NAi∩NAj内の順序は、任意に選択することができる。NAi¥(NAi∩NAj)内のサブキャリアは、論理的にVi+1、Vi+1、…Wiを付される。ただし、Wi=|NAi|は、セルi内の利用可能なサブキャリアの全数である。集合Γiにランダムにサブキャリアを割り当てる場合、基地局は、逆の順序410を用いてサブキャリアを選択する。すなわち、高い論理番号を有するサブキャリアが最初に選択される。このようにして、重なり合わないサブキャリア、すなわち、衝突が起こり得ないサブキャリアが最初に用いられ、サブキャリア衝突が低減される。
【0042】
それにもかかわらず、集合ΓiにおいてMSによって必要とされるサブキャリアの数がWi−Viよりも大きいとき、交わりNAi∩NAj内のサブキャリアが用いられる必要があり、サブキャリア衝突が起こり得る。
【0043】
図5は、ブラインド最適化の一例を示しており、BSiがブラインド最適化を実行しており、一方、BSjが利用可能なサブキャリアを集合Γj内のMSにランダムに割り当てる。nIZ105内のMSにサブキャリアをランダムに割り当てた後に、セルi内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAi={f10,f6,f14,f9,f11,f8}501であり、セルj内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAj={f19,f13,f17,f26,f7,f11,f8}502である。
【0044】
集合Γi内のMSは、4つのサブキャリア511を必要とし、一方、集合Γj内のMSは、3つのサブキャリア512を必要とする。この例では、BSiは、NAi∩NAj={f11,f8}と決定する。それゆえ、BSは、サブキャリアf8及びf11に最も低い論理番号を付し、残りの利用可能なサブキャリアは、論理ラベル3、4、5、6を付される。
【0045】
サブキャリアを割り当てる過程において、BSは、高い方の論理ラベルを有するサブキャリアから優先的に使用する。それゆえ、4つのサブキャリア511が必要とされるので、BSiは、集合Γiにおいて使用するためにサブキャリア{f10,f6,f14,f9}を割り当てる。集合Γj内のMSに割り当てられる3つのサブキャリア512は、ランダムに選択される。BSjは、集合Γj内のMSに、サブキャリア{f7,f8,f13}を割り当てる。集合Γj内のサブキャリア使用は、サブキャリアf8∈NAi∩NAjを含むが、BSiによって実行されるブラインド最適化に起因して、それでもサブキャリア衝突は低減される。
【0046】
BSiによって実行されるブラインド最適化を用いるときに、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0047】
【数3】
【0048】
ただし、Mは、以下のとおりである。
【0049】
【数4】
【0050】
Ip(a,b)は、正則ベータ関数であり、以下のようになる。
【0051】
【数5】
【0052】
他のパラメータは、以下のとおりである。
【0053】
【数6】
【0054】
ブラインド最適化372の場合の予想されるサブキャリア衝突数は、常に、ランダム割当て371に起因する衝突数よりも小さい。すなわち、以下の式が成り立つ。
【0055】
【数7】
【0056】
トラフィック負荷が相対的に小さいとき、予想されるサブキャリア衝突数は、ブラインド最適化の場合に著しく低い。たとえば、両方のセルにおけるトラフィック負荷が0.5よりも小さいとき、予想されるサブキャリア衝突数は、0に近づく。
【0057】
ブラインド最適化の有効性は、両方のセル内のトラフィック負荷、及びIZ内のMSによって必要とされるサブキャリアの数による。BSiがブラインド最適化を実行するとき、予想されるサブキャリア衝突数は、βiと共に単調に減少する。しかしながら、セルj内のトラフィック負荷が低くても、予想されるサブキャリア衝突数が必ずしも減少しないことがある。これは、βjが減少すると、集合ΓCi内のMSと干渉を引き起こす可能性があるサブキャリアの数が減少するためである。
【0058】
しかしながら、トラフィックが小さくなるほど、NAi∩NAjが大きな集合になり、ブラインド最適化の有効性に悪影響を及ぼすことも意味する。それゆえ、βjが小さくなるほどブラインド最適化の有効性が高くなるか否かを判断するために、トラフィックを小さくする場合の影響が考慮されなければならない。さらに、サブキャリア衝突は、両方のBSにとって、互いに同等に望ましくないので、一方のBSにおいてサブキャリア衝突を低減するあらゆる努力が、両方のBSに利益をもたらす。
【0059】
同時最適化
図6は、サブキャリア情報NAi及びNAjを交換した後の同時最適化373を示す。両方のBSが集合NAi∩NAj403を特定し、さらに、V個の重なり合う利用可能なサブキャリアがそれぞれWi、Wi−1…、Wi−V+1及びWj、Wj−1…、Wj−V+1の順に並べられるように、両方のBSが利用可能なサブキャリアに論理番号を付ける。図6を参照されたい。NAi∩NAj内の厳密な順序は重要ではない。
【0060】
同時最適化によれば、nIZ内のサブキャリア使用がランダムに選択されるなら、最小のサブキャリア衝突を達成することができる。すなわち、nIZ内でサブキャリアがランダムに割り当てられた後に、同時最適化が最初に、集合Γi内のMSにNAi内の重なり合わないサブキャリアを割り当て、集合Γj内のMSにNAj内の重なり合わないサブキャリアを割り当てる。いずれのBSとも、やむを得ない場合を除いて、NAi∩NAj内のサブキャリアを割り当てない。このようにして、サブキャリア使用についての部分的な情報しか交換されないときに、いずれのBSとも、IZ内で干渉を避けるために最善を尽くし、予想されるサブキャリア衝突数をさらに低減することができる。
【0061】
図7は、同時最適化の一例を示す。nIZ内のMSにランダムにサブキャリアを割り当てた後に、セルi内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAi={f10,f6,f14,f9,f11,f8}701であり、セルj内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAj={f19,f13,f17,f26,f7,f11,f8}702である。集合Γi内のMSは、5つのサブキャリア711を必要とし、一方、Γj内のMSは、6つのサブキャリア712を必要とする。この場合、両方のBSi及びBSjが、2つのセル内の利用可能なサブキャリアセットの交わりNAi∩NAj={f11,f8}713を特定する。それゆえ、両方のBSi及びBSjがサブキャリアf8及びf11に最も高い論理番号を付し、具体的には、f8及びf11は、BSiによって、それぞれ論理番号6及び5を付され、一方、f11及びf8は、BSjによって、論理番号7及び6を付される。利用可能なサブキャリアの残りは、1から始まる論理番号を付される。
【0062】
サブキャリアを割り当てる過程において、両方のBSは、低い方の論理ラベルを有するサブキャリアから優先的に使用する。それゆえ、5つのサブキャリアが必要とされるため、BSiは、集合Γiにおいて使用するためにサブキャリア{f10,f6,f14,f9,f11}を割り当て、BSjは、集合Γj内のMSに、6つのサブキャリア{f19,f13,f17,f26,f7,f8}を割り当てる。集合Γi内のサブキャリア使用は、サブキャリアf11∈NAi∩NAjを含み、集合Γj内のサブキャリア使用は、サブキャリアf8∈NAi∩NAjを含む。しかしながら、両方のBSが同時最適化に関わるので、サブキャリア衝突は、回避される。
【0063】
同時最適化が実行されるとき、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0064】
【数8】
【0065】
ただし、以下の式が成り立つ。
【0066】
【数9】
【0067】
また、以下の式が成り立つことが明らかである。
【0068】
【数10】
【0069】
これは、ブラインド最適化に比べて、サブキャリア衝突が減少することを示す。式(5)は、両方のセル内のトラフィック負荷が0.8よりも小さいときに、同時最適化が、ほとんど全てのサブキャリア衝突を回避できることを示す。
【0070】
対話型意思決定
ランダム割当て、ブラインド最適化及び同時最適化は、BS間の対話によって可能にされ、一方のBSだけで決定することはできない。たとえば、BSiが最適化することを選択する場合には、BSjが具体的な意思決定を行うまで、その結果を決定することはできない。BSjが最適化しない場合には、その結果は、BSiによるブラインド最適化372である。BSjも最適化することを決定する場合には、その結果は、同時最適化373である。
【0071】
決定は、2つのエンティティ、すなわち、基地局の対話によるので、ゲーム理論を用いて、見返り、すなわち、ネットワーク性能を最大にすることができる。
【0072】
戦略的ゲーム
図8は、本発明の1つの実施の形態による戦略的ゲームの結果を示す。2人のプレーヤは、BS1及びBS2である。これにより、本発明のゲームは、基地局中心になる。以下に説明するように、そのゲームは、移動局中心にすることもできる。いずれのプレーヤも、2値戦略空間{O,NO}から自分の行動を選択することができる。ただし、Oは「最適化する」801を表し、NOは「最適化しない」802を表す。BS1の行動は、行方向に変化し、BS2の行動は、列方向に変化する。2人のプレーヤによって取られる行動対が異なる結果として、ゲームの結果が異なることになり、それは、2人のプレーヤにとって異なる効用(利益)に関連付けられる。
【0073】
ゲームの結果は、2次元のベクトルX( ̄)で表すことができ、4つの取り得るゲームの結果810が表1に示される。ただし、( ̄)は、()の前の文字の上に ̄が付されたものを意味する。
【0074】
【表1】
【0075】
戦略の効用は、実数によって表され、効用の値が高くなるほど、結果についてのプレーヤの満足度が高くなる。図8の2人のプレーヤの効用は、[プレーヤ1の効用,プレーヤ2の効用]という形式で表される。たとえば、対{O,O}は、同時最適化という結果を生じ、この同時最適化では、プレーヤは効用[4,4]を得る。
【0076】
合理的なプレーヤは、その効用を最大にしようとする。種々のプレーヤが最大効用を得ようとする結果として、他のプレーヤの行動がわかっているという制約の下で、全てのプレーヤがその最大効用を達成するような安定した結果が得られる。ナッシュ均衡は、そのような安定した結果を示し、その結果から1人で逸脱しても、どのプレーヤもさらに良い状態になることができない結果と定義される。
【0077】
図8では、唯一のナッシュ均衡は、戦略対{O,O}である。しかしながら、種々の結果に関連付けられる効用が変化するとき、戦略のナッシュ均衡も変化することがある。場合によっては、1つのゲームにおいて、複数のナッシュ均衡が存在することもある。効用のモデル化は、ゲームの安定した結果、すなわち、ナッシュ均衡を求める上で極めて重要である。
【0078】
効用関数のモデル化
図8に示される戦略的ゲームでは、プレーヤの効用は、実数として直に与えられる。しかしながら、注意深くモデル化するには、異なる結果に関連付けられる異なる効用を厳密に表す必要がある。本発明では、ある戦略の効用は、プレーヤに対する特定の結果から、そのような結果を達成するために必要とされるコストを引いた値と定義される。
【0079】
具体的には、予想されるサブキャリア衝突数をθとし、結果がX( ̄)であるときに、集合Γi内の予想されるサブキャリア衝突数を
【0080】
【数11】
【0081】
とする。その際、BSiに対する結果X( ̄)の値は、以下のように与えることができる。
【0082】
【数12】
【0083】
ただし、合理的なBSは、サブキャリア衝突が低減されている結果を好むので、Ψ(θ)は、θの単調減少関数であり、[∂Ψ(θ)/∂θ]<0である。
【0084】
さらに、最適化の過程は、コストに関連付けることができる。それゆえ、異なる結果は、異なるコストに関連付けられる。コストは、最適化を実行することに関する悪影響を反映する。たとえば、最適化は、リアルタイムに実行されないことがある。これは、サブキャリア割当てにおいて遅延を引き起こすことがある。X( ̄)という結果を達成するためにBSiが被るコストは、以下の非負関数である。
【0085】
【数13】
【0086】
この関数
【0087】
【数14】
【0088】
の値は、具体的な結果X( ̄)及び異なるタイプの最適化、たとえば、同時最適化又はブラインド最適化を実行する複雑さによる。コスト関数をモデル化するための経験則は、BSがブラインド最適化を実行する場合に比べて、BSiが同時最適化に関係するときに、コストが高くなるというものである。BSiによってランダムなサブキャリア割当てが選択されるとき、コストは、0である。それゆえ、結果X( ̄)におけるBSiの効用は、以下のようになる。
【0089】
【数15】
【0090】
この関数によれば、最適化を実行するコストが高いほど、同時最適化及びブラインド最適化の結果は、可能性が低くなる。逆に、予想されるサブキャリア衝突数の減少と共に利益が迅速に増加する場合、すなわち、サブキャリアの衝突数がわずかに減少するだけでも、BSによって極めて価値があると見なされる場合には、同時最適化及び/又はブラインド最適化の結果は、可能性が高くなる。
【0091】
価値関数Ψ(θ)及びコスト関数
【0092】
【数16】
【0093】
の機能は、BSが最適化の結果及びコストをいかに評価するかを反映する。これらの関数は、上記の包括的な指針の下で、用途毎に個別に選択することができる。関数Ψ(θ)が単調に減少し、関数
【0094】
【数17】
【0095】
が非負関数である限り、2つのBSによって、ナッシュ均衡を見つけることができる。
【0096】
BS間の対話からの安定した結果
図8及び表1におけるゲームの結果、たとえば、4つの異なる戦略対は、2つのBS間の対話から生じる。2つのBSのいずれも、独立して結果を求めることはできない。本発明人らは、2つの基地局間の対話を、2値のシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームとしてモデル化する。シュタッケルベルクリーダシップモデルは、最初にリーダが意思決定し、順次にフォロワが意思決定する戦略的ゲームである。
【0097】
図9は、この戦略的ゲームの規則を擬似コードの形で示す。利用可能なサブキャリアに関する部分的な情報を交換した後に、一方のBSiは、リーダであり、他方のBSjは、フォロワである。用語「リーダ」は、フォロワへのいかなる優位性も示さない。代わりに、その用語は、厳密には、そのゲームにおいて、異なるプレーヤによって行われる順次の動きの順序を示す。リーダ又はフォロワが有利であるか、不利であるかを保証するものではない。
【0098】
利益(効用)を最大にするために、BSiは、最初に、BSiの種々の行動に対するBSjの合理的な(最適な)応答を予測する(ステートメント(i)901)。このようにして、BSiは、BSjが合理的であるとの仮定の下で、自身の異なる行動に関連付けられる異なる結果を求めることができる。これらの予想される結果から、その後、BSiは、最適な結果A*iに導く自身の最適な決定を選択することができる(ステートメント(ii)902)。
【0099】
BSiが意思決定した後に、BSjが、SBiの行動を観察する。ここで、BSjは、自身の異なる行動からの結果を完全に知っており、BSjが合理的である場合には、BSiは、BSiによって早期に予測された最適な決定を行う(ステートメント(iii)902)。この結果として、ナッシュ均衡が生じ、その結果は、[A*i,A*j]である。この合理的な意思決定は、上記のモデル化された効用に基づく。その戦略的ゲームは、システムの種々のパラメータ、たとえば、トラフィック負荷及び干渉ゾーンのサイズに応じて変化する。
【0100】
MSを通じての情報収集
MSによるコグニティブセンシング
独立したBSが互いに通信せず、且つMSが別のセルのBSと直に通信することができないとき、起こり得る干渉源に関する情報は、他のMSからのみ収集することができる。たとえば、情報収集は、セルiにおいて開始される。集合Γi内のMSは、コグニティブセンシングを実行することができる。コグニティブセンシングでは、一般的に、トランシーバが学習し、動作する環境に適合する。本発明の1つの実施の形態では、起こり得る干渉源が特定される。
【0101】
図10は、本発明の1つの実施の形態による、MSのコグニティブセンシングを示す。起こり得る干渉源を特定するために、集合Γi内のMSl1001が、プローブ用信号lを送出し、その信号は、半径rl1003のセンシング領域Al1002の範囲に及ぶ。集合Γj内のMS1004(稼動又は非稼動)が領域Al内、すなわち、MSlからrlの範囲内に位置する場合には、MS1004は、lのプローブ用信号に応答し、現在使用中のサブキャリア(複数可)を報告する。
【0102】
自発的で信頼できる応答
集合Γi内のMSがプローブ用信号を送出する場合には、そのプローブ用信号を受信する、集合Γj内の全てのMSが、プローブ要求に応答する。このモデルは、相互衝突の理論的根拠に基づいており、すなわち、同一チャネルサブキャリア衝突が、関連する全てのMSに対して等しく有害である。それゆえ、集合Γj内のMSがプローブ用信号を受信するときには必ず、その存在及びサブキャリア使用を報告して、BSiによって実行される取り得る最適化を容易にし、相互サブキャリア衝突を回避する。しかしながら、プローブ用信号の範囲外にあるMS1005は、検出されないままになることがある。
【0103】
MSによって収集される情報の完全性
図11に示されるように、集合Γi内のMSのコグニティブセンシングの結果として、BSiによって入手されるサブキャリア使用に関する精度は、集合Γi内の種々のMSにおいて分散的に実行されるコグニティブセンシングによって覆われるIZ内のエリアの部分による。覆われないエリア1101の部分は、図11の空き領域の部分に対応する。たとえば、IZの80%がΓi内のいくつかのMSのコグニティブセンシングによって覆われる場合には、BSiは、IZ内のΓjによって使用されるサブキャリアの80%を入手することができる。図11に示される例では、集合Γj内の2つのMS1105が、空き領域1101内に配置され、Γi内のいずれのMSのセンシング領域にも入らない。それゆえ、これら2つのMSの存在、及び2つのMSによって使用されるサブキャリアは、収集できないので、BSiに報告することはできない。
【0104】
MSが均一に分布している場合、現在のサブキャリア使用に関して収集される情報の完全性は、Γi内のMSによって覆われるエリアの部分に等価である。干渉は、IZ内でのみ起こり得るので、現在のサブキャリア使用情報の完全性は、以下のようになる。
【0105】
【数18】
【0106】
ただし、AIZは、IZを表し、Alは、MSl(l∈Γi)のセンシング領域であり、|AIZ|は、IZの面積を表す。値pμ∈[0,1]は、収集される情報の完全性の範囲であり、γAは、コグニティブセンシングによって覆われるAIZ内のエリアの部分である。それゆえ、以下の式が成り立つ。
【0107】
【数19】
【0108】
MSの分布が均一である、たとえば、2次元ポアソン分布であるとき、値γA及びpμは、センシング半径rlに依存する。本発明の実施の形態では、集合Γi内の全てのMSのセンシング半径は、同じになるようにモデル化される。
【0109】
図11に示されるネットワーク例では、コグニティブ領域は、半径rlをそれぞれ有する、小さい方の円によって示される。その円は、互いに重なり合うことがある。IZ内のエリアの大部分は、1つ又は複数のセンシング円内にあるが、Γj内の2つのMS1105は、いずれのコグニティブセンシング円内にも入らない。
【0110】
図12に示されるように、IZ内の空き領域は、センシング半径rl1201が大きくなるのに応じて減少することがある。図12では、センシング半径1201は、Γj内のありとあらゆるMSがコグニティブセンシングによって覆われるように拡大される。この場合、サブキャリア使用に関する完全な情報は、BSiにおいて入手することができる。図12に示される例では、IZ内に依然として覆われていない空き領域が存在するが、Γj内の各MSは、センシング円のうちの少なくとも1つの中にあり、完全なサブキャリア使用情報を入手することができる。
【0111】
臨界センシング半径及び臨界比
サブキャリア使用情報の完全性は、センシング半径rlによる。それゆえ、集合Γi内のMSによる半径rlの選択は、BSiが、起こり得る干渉源、すなわち、集合Γj内のMSからサブキャリア使用をいかに良好に特定することができるかに影響を及ぼす。最適なセンシング半径は、以下のようになる。
【0112】
【数20】
【0113】
ただし、IZの面積f(α)は式(1)において定義される。半径r(^)は、以下のようになる。ただし、(^)は、()の前の文字の上に^が付されたものを意味する。
【0114】
【数21】
【0115】
センシング半径r(^)は、面積|AIZ|を、重なり合わないセンシング領域を有する|Γi|MSで覆うための実際のセンシング半径の理想的な下限を与える。概ね円形のAlを与えると、重なり合わないセンシング領域で、より大きな面積を覆うことはできない。しかしながら、r(^)は、それでも下限として用いることができる。
【0116】
MSの実際のセンシング半径は、式(10)によってr(^)に関連付けることができる。
【0117】
【数22】
【0118】
ただし、ε∈R+は、センシング半径の臨界比である。ε∈[0,1]であるとき、臨界比は、実際のセンシング半径の不足を定義する。なぜなら、センシング半径の下限でさえ、まだ満たされないためである。ε∈[1,+∞)であるとき、それは、異なるセンシング領域内のIZを覆う確率を改善するために、センシング半径を意図的に過剰にすることを示す。
【0119】
情報の完全性及びセンシング半径
ブールセンシングモデルでは、複数の点が、無限の平面上に密度λDでランダムに配置されており、ランダムに配置された点を中心にして、半径rの円が描かれる場合には、これらの円のうちのいずれによっても、無限の平面上のスポットが覆われない確率は、以下のようになる。
【0120】
【数23】
【0121】
本発明人らは、無限の平面の代わりに、有限のIZを用いるが、それでも上記の結果を用いて、情報の完全性とセンシング半径rlとの間の関係を近似することができる。ただし、センシング半径は、集合Γi内の全てのMSの場合に同じであると仮定される。具体的には、密度パラメータがλD=|Γi|/|AIZ|であり、センシング半径が、
【0122】
【数24】
【0123】
である場合には、IZ内のサブキャリア使用に関して収集される情報の予想される完全性は、以下のようになる。
【0124】
【数25】
【0125】
臨界比が高くなると、IZ全体が覆われる確率が、指数関数的に増加する。それゆえ、集合Γi内のMSがセンシング半径を増加できるとき、すなわち、センシング範囲が最小要件r(^)よりも大きいとき、BSiにおいて入手されるΓj内のサブキャリア使用情報は、迅速に完全になる。
【0126】
BSからの報酬
プローブ用信号を送信して、サブキャリア使用を収集するのに電力を消費するので、BSは、コグニティブセンシングを実行するMSに報酬を与えることによって、コグニティブセンシングを促進すべきである。センシングのための電力消費は、センシング範囲が広いほど増加するので、この報酬は、MSのセンシング範囲と共に単調に増加すべきである。1つの実施の形態では、BSからの報酬は、ダウンリンク送信電力の増加の形をとる。送信電力を増加することによって、MSの範囲を増加することができ、MSにおいて受信SNRを増加することができ、MSのための必要とされる受信電力を減少することができる。
【0127】
MSがコグニティブセンシングを実行せず、報酬が得られないとき、IZ内のMSは、送信電力P0を割り当てられる。しかしながら、IZ内のMSlは、半径rl内のサブキャリア使用情報を収集する場合には、BSiは、送信電力P0+Rrrρlを割り当てる。付加的な報酬電力Rrrρlにおいて、Rrは、BSiによって選択される報酬係数であり、ρは、経路損指数であり、通常は、2〜5の範囲内の値をとり、センシング範囲に対して、そのMSの場合のセンシング過程がいかに電力を消費するかを示す。
【0128】
コグニティブセンシングにおけるMSのためのトレードオフ
先に述べられたように、Γi内のMSがコグニティブセンシングを実行するための1つのコストは、センシングに関連する電力消費である。C1を、単位半径の円形領域内でコグニティブセンシングを実行するために必要とされる電力を指定する正の定数であるとする。その際、半径rl内でのセンシングのために消費される電力のコストは、PS=C1rρlとして与えることができる。経路損指数ρは、センシングにおける電力消費が、センシング半径と共にいかに変化するかを示し、MSの無線環境に依存する。ρの値は、通常、[2,5]の範囲内にあり、ρ=2は、自由空間見通し(LOS)環境に対応し、ρ=5は、損失のある室内環境を示す。
【0129】
コグニティブセンシングを実行する利益は、2つある。第1に、BSからの電力報酬が、MSそのものによって消費される電力を補償することができる。第2に、BSがコグニティブセンシングによって収集される情報を用いて、MSの受信電力を無駄にするサブキャリア衝突を低減することができる。
【0130】
コグニティブセンシングの2つの利益をモデル化するために、C’2を、サブキャリア衝突が生じるときに無駄にされる受信電力の量とし、pICを、収集される情報の不完全性、すなわち、図11の空きエリアに起因するサブキャリア衝突の確率とする。その際、以下の式が成り立つ。
【0131】
【数26】
【0132】
C2=C’2βjf(α)である場合には、衝突したダウンリンク送信を受信する際に無駄にされる電力は、以下のようになる。
【0133】
【数27】
【0134】
MSがBSから受信するダウンリンク送信電力報酬は、Rrrρlであり、それは、MSがコグニティブセンシングを実行するための動機としての役割も果たす。そのような報酬は、MSにとって好都合であるので、その報酬は、MSが有するバッテリの電力消費における等価な節約に関連付けられる。この等価性は、変換係数σt,r∈R+によってモデル化することができる。変換係数σt,rによれば、ダウンリンク送信電力へのBSによる報酬Rrrρlは、MSにおけるRrrρl/σt,rの電力節約に等価である。
【0135】
変換係数σt,rは、MSが、自身の電力節約に対してダウンリンク送信電力の増加の値を評価するのを容易にする「為替レート」である。σt,rの選択は、MSが、ダウンリンク電力を増加させる利益、及びセンシング電力消費を減少させることをいかに比較するかに関連する。たとえば、σt,r>1であるとき、その係数は、ダウンリンク送信電力の増加が、自身の電池電力の節約よりも価値が少ないことを示し、一方、σt,r<1は、MSがダウンリンク送信電力の増加を好むことを意味する。
【0136】
それゆえ、rlの半径内のコグニティブセンシングを実行するMSのための全電力節約は、以下のようになる。
【0137】
【数28】
【0138】
コグニティブセンシングを奨励するためのトレードオフ
BSのダウンリンク送信電力は、通常、規制によっても制限される。それゆえ、BSは、MSにサービスを提供しながら、そのダウンリンク送信電力を最小限に抑えることにも関心がある。
【0139】
Γi内のMSが、Γj内のサブキャリア使用の情報を収集することに関わる動機を与えるために、BSiは、MSへの送信電力を増加して、コグニティブセンシングを奨励する。この送信電力の増加の報酬は、BSiがΓj内の起こり得る干渉源に関する情報を入手できることである。それゆえ、MSのコグニティブセンシングに報酬を与えることによって、BSiに対する、電力を節約する際の正味の報酬は、以下のようになる。
【0140】
【数29】
【0141】
BSとMSとの間の連続シュタッケルベルクリーダ−フォロワゲーム
BS及びMSのための効用のモデル化
BS及びMSの挙動を理解するために、その対話を、複数のシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームとしてモデル化することができる。具体的には、そのモデルを簡単にするために、集合Γi内の全てのMSが、同じセンシング半径rlを選択する。この場合、複数のシュタッケルベルクゲームは、BSとMSとの間の一度の2プレーヤゲームによってモデル化することができる。以下の説明では、変換係数は、σt,r=1である。
【0142】
そのゲームは、電力節約を最大にすることである。BS及びMSの効用は、単位円領域をセンシングするために必要とされる電力C1のような、多数のパラメータによる。これは、MSユニットのハードウエア設計の直接の結果である。サブキャリア衝突において無駄にされる電力の量は、C2=C’2βjf(α)である。ただし、C’2は、サブキャリア衝突が生じるときに無駄にされる受信電力の量である。MSの分布及びネットワークトポロジによって決定される臨界半径は、以下のようになる。
【0143】
【数30】
【0144】
ρは、MS付近の無線環境によってのみ決定される経路損指数である。それゆえ、パラメータC1、C2、r(^)又はρは、いずれも、ゲームにおいてMS又はBSによって制御することはできない。さらに、電力P0は、コグニティブセンシングに向かういずれのプレーヤの態度にも直に影響を及ぼさない。変換係数σt,rの値は、送信電力報酬をMSの電力節約に変換するための役割を果たし、BSとMSとの間の対話を理解するのに不可欠な態様を取り込まないので、ゲームにおいて予め固定されているものと仮定される。
【0145】
上記のことから、ゲームの2人のプレーヤ(BS及びMS)によって決定することができ、ゲームの結果に影響を及ぼすパラメータは、Rr及びεである。それゆえ、ゲームにおける2人のプレーヤの効用は、以下のように書くことができる。
【0146】
【数31】
【0147】
上記の式は、それぞれ、式(14)及び(15)から導出される。詳細には、BSは、Rrを選択することができるのに対して、MSは、εの値を選択する。
【0148】
BSとMSとの間のシュタッケルベルグゲームにおける意思決定
BSの決定空間は、{Rr:Rr∈R+}であり、MSの決定空間は、{ε:ε∈R+}である。すなわち、ゲームにおける両方のプレーヤの決定は、連続空間R+に及ぶ。このシュタッケルベルグゲームでは、BSiによって一連の決定が開始され、BSiは、リーダとしての役割を果たし、最初に意思決定を行う。MSは、フォロワであり、BSiからの決定を観察した後に意思決定する。
【0149】
r(^)は、式(9)によって決定され、所与のネットワークトポロジの場合に一定であるので、その値は、BSiによって客観的に決定される。リーダとしてのBSiは、報酬係数Rrの値を決定し、RrをΓi内の全てのMSに報知する。フォロワ(MS)は、BSiの決定を観察し、εの値を決定することによって、以下のセンシング範囲を決定する。
【0150】
【数32】
【0151】
図13は、対話型意思決定過程のための擬似コードを示す。初期化によって、非決定関連パラメータ、すなわち、C1、C2、r(^)、P0、ρ、及びρt,rの値が決定される。2人のプレーヤ間の意思決定は、BSで開始する。その自身の効用を最大にするために、BSは、Rrの最適な決定を導出しなければならない。BSの効用UBS(ε,Rr)は、ε及びRrの両方によって決定されるので、BSは、MSによって行われるεの決定を予測しなければならない。これを果たすために、BSは、MSが合理的であると仮定し、MSが常に、自身の効用を同じように最大にする最適な意思決定を行うものと予測する。こうして、BSは、ステートメント(i)1301において、MSの最適な応答を以下のようにRrの関数として決定することができる。
【0152】
【数33】
【0153】
その後、BSは、ステートメント(ii)1302において、自身の効用関数をただ1つの変数Rrの関数、すなわち、以下の関数に変形することができる。
【0154】
【数34】
【0155】
そこから、BSは、ステートメント(iii)1303において、その自身の最適な決定R*rを決定することができる。BSが報酬係数Rr=R*rについて意思決定した後に、MSは、その決定を観察し、センシング半径が以下のようになるように、臨界値ε*の最適値を決定することによって、コグニティブセンシングのための範囲を決定する。
【0156】
【数35】
【0157】
この範囲は、ステートメント(iv)1304において、その自身の効用UBS(ε,R*r)を最大にする。
【0158】
最適な戦略及びナッシュ均衡
種々のプレーヤによって採用される最適な戦略を決定するために、ρ=2の経路損指数が用いられる。MSからの合理的な応答に関するBSによる予測は、MSの最適な決定を以下のように記述できることを示唆する。
【0159】
Rr≧σt,rC1である場合には、MSは、常に、そのセンシング能力に従って、最大センシング範囲を用いてコグニティブセンシングを実行する。
【0160】
【数36】
【0161】
である場合には、MSは、コグニティブセンシングを決して実行しない。
【0162】
【数37】
【0163】
である場合には、MSの最適な応答は、
【0164】
【数38】
【0165】
の範囲内でコグニティブセンシングを実行することである。ただし、
【0166】
【数39】
【0167】
は、Rrの関数であり、以下のように与えることができる。
【0168】
【数40】
【0169】
上記のような、MSの最適な応答は、MSがダウンリンク送信電力における報酬を好み、且つ/又は報酬係数がセンシングのコストに比べて十分に大きいとき、すなわち、Rr≧σt,rC1であるときに、コグニティブセンシングによって消費される電力は、常に有益であることを示唆する。この場合、MSは、できる限り大きなセンシング領域を網羅しようとする。
【0170】
対照的に、センシングのコストが取り得る報酬に比べて大きい場合には、MSは、コグニティブセンシングを決して実行しない。
【0171】
上記の2つのシナリオは、コグニティブセンシングがMSにとって常に有利であるか、又は常に不利であるという自明の事例に対応する。そのような極端な事例が存在することもあるが、実際には、極端な事例の間で均衡しているのが一般的である。
【0172】
【数41】
【0173】
であるとき、ある特定のセンシング半径が有利であるか否かは、BSによって約束される報酬係数Rrに直に依存し、最適な応答は、式(18)においてRrの関数として与えることができる。
【0174】
以下の実施の形態は、最後のシナリオに基づく。MSが最適な応答を選択するときのBSの効用は、以下のようになる。
【0175】
【数42】
【0176】
Rrに関するBSによる最適な決定は、以下の式を解くことによって求めることができる。
【0177】
【数43】
【0178】
これは、Rrについての以下の式に対する解R*rである。
【0179】
【数44】
【0180】
ただし、以下の3つの式が成り立つ。
【0181】
【数45】
【0182】
R*rのための閉じた形の解は、式(20)から導出するのは難しいが、BSの計算能力が大きいものとすると、それでも最適な決定を数値計算することができる。R*rの値を求めた後に、MSは、R*rを通知されることになり、その際、MSの最適な決定を以下のように与えることができる。
【0183】
【数46】
【0184】
この対話型意思決定過程では、BSは、最適な決定のための計算作業の大部分を担う。たとえば、BSは、最初に、MSの最適な応答関数を予測し、その後、逆方向に導出することによって、その自身の最適な戦略を導出する。
【0185】
対照的に、BSにおいて意思決定された後に、MSは、関数ではなく、その戦略のための最適値を求めることしか必要としない。この計算の複雑さが不均衡であることは、実際には望ましい。なぜなら、BSは、高度な計算能力を有し、その計算能力に制約がないのに対して、MSは、通常、限られた計算能力及びバッテリ電力で動作するためである。
【0186】
【数47】
【0187】
であるとき、連続シュタッケルベルクゲームの合理的な結果は、戦略対{R*r,ε*}であり、そこで、BSは、rlの範囲でコグニティブセンシングを実行するMSに対して、報酬として付加的な送信電力R*rrl2を与えることを約束し、MSは、以下の範囲でセンシングを実行することを決定する。
【0188】
【数48】
【0189】
この結果は、
【0190】
【数49】
【0191】
の条件下で、そのゲームのための固有のナッシュ均衡である。これは、ナッシュ均衡の定義から検証することができる。MSが半径
【0192】
【数50】
【0193】
でセンシングを実行することを決定するものとすると、BSのための結果が{R*r,ε*}である場合には、その効用は、R*rを変更することによって増加することはできない。なぜなら、R*rは既に、図13のステートメント(i)及び(ii)によって、最大の取り得る効用を達成しているからである。一方、MSの場合、報酬係数R*rであるとすると、その効用は、図13のステートメント(iv)によって、ε*以外の臨界値を選択することによって増加することはできない。ナッシュ均衡は、独立して行動することによって、いずれのプレーヤも、さらに良い状態になることができない結果を記述するので、結果{R*r,ε*}は、定義により、固有のナッシュ均衡である。
【0194】
統計的トラフィックモデルによる干渉回避
経時的に収集される情報の不正確さ
動的な移動ネットワークでは、サブキャリア使用情報211は、限られた時間にわたってのみ有効である。しかしながら、収集される情報は、リアルタイムに更新することができない。なぜなら、連続して更新することは、資源を無駄にし、通常は、実用的でないためである。それゆえ、現在の使用を定期的に更新することが好ましい。更新間の間隔の長さは、干渉回避の性能に大きく影響を及ぼすことがある。
【0195】
図14は、本発明の1つの実施の形態による更新のタイミングを示す。サブキャリア使用情報の有効性のための持続時間は、Tt1401であり、それは、インフラストラクチャによって指示される未知の確率変数である。時間Ta1402にわたってサブキャリアが使用された後に、BSiは、ランダムな時刻t1404において、サブキャリア使用を通知される。その問題は、その使用が有効なままである時間Tbの長さ、すなわち、Tb=Tt−Taを求めることである。
【0196】
現在の送信の現在の経過時間及び将来寿命
本発明人らは、再生報酬過程を用いて、この問題を解決する。再生報酬理論は、ランダムな保持時間にわたるポアソン過程を一般化する確率理論の一分野である。ランダムな時点tにおいて検出が行われる場合には、検出の時刻において予想される持続時間は、以下のようになる。
【0197】
【数51】
【0198】
一方、全持続時間Ttの任意の分布の場合に、将来持続時間Tbの長さは、以下のようになる。
【0199】
【数52】
【0200】
干渉するセルにおける一定トラフィック負荷
本発明人らは、干渉するセル内のトラフィック負荷が、時間が経っても相対的に一定であるものと考える。これは、現在のサブキャリア使用が終了した後に、新たなサブキャリア使用が開始されることを示す。さらに、現在のサブキャリア使用の終了時に、新たなダウンリンクサブキャリアが、終了後にランダムに選択される。それゆえ、時刻tにおいて収集されるサブキャリア使用情報は、ランダムな持続時間Tb=Tt−Taにわたって正確であると考えることができる。
【0201】
情報の正確さ及び更新間隔
IZ内の現在のサブキャリア使用に関して周期的に更新する場合、その周期がTrであるとすると、次回の情報収集前に、干渉するセル内の現在のサブキャリアの割当てが変化しない、すなわち、現在の送信が終了しない限り、その情報は、正確である。したがって、時間Trにわたる情報の正確さは、以下のようになる。
【0202】
【数53】
【0203】
具体的には、Tr=0は、情報が連続して収集され、更新される理想的な場合に相当する。本発明人らは、異なるタイプのトラフィックの場合の更新を記述する。
【0204】
音声トラフィック
予想される将来寿命及び指数関数的に分布する持続時間
音声トラフィックの場合、各送信及びサブキャリア使用の持続時間は、裾野が短い指数分布によって示すことができる。ダウンリンク送信の持続時間が、確率変数X=Ttによって表される場合には、その確率分布関数(pdf)は、以下のようになる。
【0205】
【数54】
【0206】
送信持続時間に関するこの分布を与えるとき、現在のサブキャリア使用の予想される将来寿命は、式(23)から、以下のように求めることができる。
【0207】
【数55】
【0208】
ただし、X=Ttは、音声トラフィックの全持続時間を記述する確率変数である。
【0209】
すなわち、ランダムな時刻においてセルi内で観測されるような、Γj内の現在のサブキャリア使用の予想される残りの持続時間は、1/λである。この予想される残りの持続時間は、Ttの予想される持続時間に等しく、指数分布の特有の無記憶性からも得ることができる。しかしながら、式(22)は、さらに一般的であり、任意の分布の場合に有効である。
【0210】
正規化された情報更新頻度(NIUF)
実際には、BSiは、過去の観察を通じて、セルj内のサブキャリア使用の持続時間を支配する指数分布のレートλを得ることができ、現在の送信の予想される将来寿命を求めることができる。その際、セルi内の局は、更新の頻度を求める。
【0211】
正規化された情報更新頻度(NIUF)は、以下のようになる。
【0212】
【数56】
【0213】
ただし、Trは、2回の連続した情報収集間の間隔である。この場合、Trの持続時間にわたる現在の情報の正確さは、以下のようになる。
【0214】
【数57】
【0215】
すなわち、以下の式が成り立つ。
【0216】
【数58】
【0217】
更新間隔中の物理的なサブキャリアにおける一度の遷移
時刻tにおいて現在のサブキャリア使用情報が入手され、T’<Trであるような時刻t+T’において現在の使用のトラフィックが終了する場合には、トラフィック負荷が一定であるという仮定の下で、新たに開始されるトラフィックにランダムなサブキャリアが割り当てられる。この実施の形態において、本発明人らは、ある特定のサブキャリアが、更新間隔Tr中に一度の遷移だけを受けることがあるものと仮定する。
【0218】
遷移が一度だけであるという上記の仮定によれば、新たなトラフィックは、時刻t+Tr前に終了しない。遷移が一度だけであるという仮定によって、不当に長くない更新間隔Trにわたって不正確さの影響を調べることができるようになる。時間Tにわたって性能を調査するとき、Tは、複数の更新間隔に分割することができる。
【0219】
ブラインド最適化における経時的な不正確さの影響
IZ105におけるサブキャリア使用に関する情報211が、インフラストラクチャ210を介して交換されるとき、それは、完全且つ正確である。ブラインド最適化のための衝突数は、先に説明されている。しかしながら、間隔Tb中に、且つブラインド最適化のための次回の情報収集の前に、現在の送信が早く終了することに起因して、セル内のサブキャリア使用が変化することがある。これは、現在の情報を不正確にし、付加的なサブキャリア衝突を導入することがある。
【0220】
TがTrによって分割できるものと仮定すると、Tの将来の持続時間中に生じることがある、予想される付加的なサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0221】
【数59】
【0222】
∂Φ(T,Tr)/∂Tr<0であり、それゆえ、経時的な情報の不正確さによって導入される予想される衝突数は、Trの単調減少関数であることが明らかであり、それは、更新周期が短い、すなわち、NIUFが高いほど、経時的な不正確さの影響を低減することができることを示唆する。任意のTの値の場合に、以下の式が成り立つことが明らかである。
【0223】
【数60】
【0224】
Tの持続時間にわたる、予想されるサブキャリア全衝突数は、以下のようになる。
【0225】
【数61】
【0226】
式(3)から以下の等式が成り立つ。
【0227】
【数62】
【0228】
ただし、
【0229】
【数63】
【0230】
は、半静的なサブキャリア使用下での予想されるサブキャリア衝突数を表しており、すなわち、サブキャリア割当ては、T中に、すなわち、連続情報更新中(すなわち、Tr→0)に動的ではない。
【0231】
比較すると、情報が収集されず、干渉回避が実行されないときに、Tの持続時間にわたる、ランダムにサブキャリアを割り当てる場合に予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0232】
【数64】
【0233】
式(30)及び(31)は、いずれも、Trの持続時間中に一度だけ遷移が生じるという仮定に基づく。
【0234】
適当な更新間隔が選択されるとき、たとえば、Tr≦E[Tb]又はμ≧1であるとき、更新間隔間でサブキャリア使用情報が不正確であっても、ブラインド最適化372が依然として、予想されるサブキャリア衝突数を大幅に低減できることがわかっている。たとえば、μ=1であるとき、トラフィック負荷が約90%未満であるときに、サブキャリア衝突の80%低減を達成することができる。
【0235】
情報更新間隔を時分割する際に公平を期すためのスケジューリング
サブキャリア使用情報を収集する際に、現在収集されている情報が時間Trにわたって有効であることをBSが予測精度ξA(Tr)で仮定することができるように、更新間隔Trが決定される。そのような情報は、通常、入手するのにコストがかかるので、その情報を最大限に活用するために、注意深いスケジューリングが実行される。
【0236】
具体的には、Γi内の複数のMSが、次のTr時間周期中に確率ξA(Tr)で衝突がないものと仮定されるサブキャリアを時分割することになる場合には、複数のMSが共用する順序を公平に決定することは、MS間の公平性を達成し、且つ/又は種々のMSの種々のQoS要求を満たすのに不可欠である。
【0237】
図15は、情報が間隔Trにわたって周期的に入手される例を示す。時点tにおいて、現在のサブキャリア使用が検出される。それゆえ、[t,t+Tr]の時間間隔中に、干渉源に関する情報更新を利用することはできない。セルiにおいて、現在のサブキャリアxが使用中である。後続の新たに開始される使用は、サブキャリアzである。他の2つのMSは、Tr1+Tr2=Trであるような、それぞれTr1及びTr2の持続時間のダウンリンク送信を必要とする。周波数資源を有効に利用するために、2つのMSは、次の周期Tr中に、サブキャリアyを順次に共用することができる。それゆえ、本発明人らは、これら2つのMSのための順序を決定する必要がある。タイムスロットTr1及びTr2において衝突する確率は、異なる。
【0238】
脆弱性確率
サブキャリアyが間隔Tr中にセルi内の複数のMSによって時分割される場合には、PVkは、次に新たに開始されるサブキャリアzの使用の持続時間が部分的に、又は全体的に、第kのMSの送信持続時間と重なり合う確率である。図15に示される例では、現在のサブキャリアxの使用は、時刻t+Tbにおいて終了し、その後、新たなサブキャリアzを開始することができる。Tr1<Tb<Tr1+Tr2であるので、時間Tr2中の送信は、衝突を起こしやすいが、時間Tr1中の送信は、衝突を起こしにくい。
【0239】
送信が衝突を起こしやすいときに、それは、サブキャリア衝突が起こらなければならないことを意味しないことに留意されたい。そのセル内で新たに生成されるトラフィックは、ランダムにサブキャリアを割り当てられるので、新たなサブキャリアzは、サブキャリアyと衝突することも、しないこともある。y=zであるときに、衝突が生じる。第kのタイムスロットにおいて送信する、セルi内のMSのためのサブキャリア衝突の確率は、以下のようになる。
【0240】
【数65】
【0241】
一般性を失うことなく、MS1がTr1=ηTr(0<η<1)で最初にサブキャリア使用を許され、MS2が、残りの持続時間Tr2=(1−η)Trにわたって同じサブキャリアを割り当てられるものと仮定すると、2つのMSが時間Tr中に同じサブキャリアを順次に共用するときに、2つのMSの脆弱性確率は、以下のようになる。
【0242】
【数66】
【0243】
ただし、ξA(Tr)は、式(23)において求められる時間Trに関連付けられる予測精度であり、Yt=Tb+T’tは、2つの指数確率変数の和である。それゆえ、Ytは、形状パラメータ2及びレートλを有するガンマ分布である。予測精度が適度に正確であり、たとえば、ξA(Tr)>0.2であるときに、第1のMSの脆弱性確率は、常に、第2のMSの脆弱性確率よりも低いことが明らかである。したがって、第1のMSは、サブキャリア衝突を受けにくい。
【0244】
より一般的には、間隔TrがK個のMS(K>1)の間で共用される場合には、その周期TrをK個のタイムスロットに分割することができ、第kのMSは、第kのタイムスロットを割り当てられる。第kのスロットの持続時間は、ηkTrである。ただし、η0=0であり、以下の式が成り立つ。
【0245】
【数67】
【0246】
第kのMS内の衝突の確率は、以下のようになる。
【0247】
【数68】
【0248】
スケジューリングの公平性及び優先順位
セル内の複数のMSが、2回の連続した情報更新間で送信間隔Trを共用するとき、先に導出された解析結果は、MSがTr中に異なるスロットに割り当てられるときに、サブキャリア衝突の確率も異なることを示す。この起こり得る不公平の問題を解決するために、プロトコルを設計することができる。
【0249】
種々のMSが種々の間隔において割り当てられるスロットに関する履歴を保持することによって、公平なスケジューリングを実施することができる。図15の例では、2つのMSが共用するシナリオが示されており、適度な予測精度が達成され、第1のスロットが割り当てられることが好ましいように、Trが選択される。その履歴が、MS1が、通常、好ましくないタイムスロット(複数可)に割り当てられていたことを示す場合には、公平を期すために、MS1は、現在のサブキャリア割当てにおいて、第1のタイムスロットに割り当てられるべきである。
【0250】
より一般的には、集合Γi内のMSl毎に、履歴インデックスをh=1、2、・・・とし、PVk(l)を現在行われているサブキャリア割当てにおけるMSlの脆弱性確率であるとする。h回目のMSlのための脆弱性確率履歴が、PV(l,h)として記録される。この場合、長さH(h=0、1・・・H−1)の履歴が記録されているとき、特定の第kスロットへのMSlの現在の割当ては、以下の式が満たされるように選択されるべきである。
【0251】
【数69】
【0252】
すなわち、間隔Tr内のタイムスロットの現在の割当ては、履歴にわたる平均脆弱性確率が、集合Γi内の全てのMSの場合にPAに近づくように選択されるべきである。
【0253】
対照的に、特定のMSの送信タスクが他のタスクよりも優先度が高い場合には、BSは、公平性に関する優先順位を行使し、最も小さな脆弱性確率に関連付けられるタイムスロットを、高い優先度のMSに割り当てることができる。実際には、遅延の影響を受けやすいこと、送信の緊急性のような、より高い優先順位を正当化するために、異なる判断基準を用いることができる。
【0254】
データトラフィック
パレート分布及び打切りパレート分布
トラフィックがデータ伝送によって支配されるとき、その送信長の分布は、通常、長い裾野を有し、それは、パレート分布又はブラッドフォード分布によって記述することができる。そのpdfは、以下のようになる。
【0255】
【数70】
【0256】
データトラフィックの持続時間を記述するために用いられるとき、パレート分布は、データトラフィックの裾野が長い特性に対応して、少なくともbの長さ、及び通常(0,2)の区間からの値をとる形状係数aの伝送を記述する。しかしながら、式(36)の分布によって支配される確率変数Xは、明確な有限の積率を持たない。具体的には、パレート分布Xの全ての有限の積率は、0<a≦1であるときに無限である。1<a<2であるとき、Xは、有限の第1の積率(平均)を有するが、全ての第i(i>1)は、定義されない。
【0257】
非有界パレート分布の解析的な合意を意識して、無線データトラフィックの持続時間の分布を記述するために、通常、打切りパレート分布が用いられる。具体的には、送信の最大長mに関して上限があるときに、本発明人らは、以下の打切りパレート分布を用いて、データトラフィック持続時間の分布を記述する。
【0258】
【数71】
【0259】
実際には、式(37)の上限は、ネットワークによって許されるデータトラフィックの最大持続時間に対応する。
【0260】
パレート分布の持続時間を有する予想される将来寿命
再生報酬過程を用いるとき、データトラフィックのための現在のサブキャリア使用の予想される将来寿命は、式(23)及び式(37)から、以下のように求めることができる。
【0261】
【数72】
【0262】
ただし、X=Ttは、データトラフィックの全持続時間を記述する確率変数である。
【0263】
予測の精度
指数分布とは異なり、データトラフィックのための予測精度を評価する際の主な課題は、支配するパレート分布が無記憶でないことである。それゆえ、現在観測されているサブキャリア使用の場合に、将来寿命の予想される値は、式(23)の再生報酬過程によって求めることができるが、異なる予測方式の精度を評価するには、さらに別の情報が必要とされる。
【0264】
本発明人らが、データトラフィックのためにNIUFを用いる場合には、予測の精度は、NIUFの異なる値毎に評価することができる。a=1.1、b=2及びm=55であるとき、パレート分布のデータトラフィックのための予測精度は、指数分布のデータトラフィックの精度よりもわずかだけ低い。
【0265】
現在の経過時間に基づく予測
使用の履歴が、インフラストラクチャ又はコグニティブセンシングから入手可能であるとき、Trの時間にわたる現在収集されている情報の精度を、解析的に評価することができる。具体的には、サブキャリアの使用が、時間Taにわたって続いていることがわかっており、次の回の情報収集が、時刻Tr(Tr≦m−Ta)において実行される場合には、その情報は、この間隔Tr内で、確率ξA(Ta,Tr)で正確であり、その確率は、以下のようになる。
【0266】
【数73】
【0267】
情報収集間の間隔がTr>m−Taであるとき、集合Γj内のサブキャリア使用は、間隔Tr中に間違いなく変化することになり、時間間隔Trにわたる予測精度は、0である。そのような選択は、全てのデータトラフィックがm未満の長さを有するという事実に明らかに反する。それゆえ、その選択は、持続時間Trにわたるランダムな割当てよりも優れた利点を提供しない。
【0268】
式(39)に対応するように、特定の予測精度ξ*Aが干渉管理のタスクのために望ましく、Taが入手可能である場合には、情報更新間の間隔が以下のようになることを決定することによって、逆に、所望の精度を達成することができる。
【0269】
【数74】
【0270】
情報収集間隔の決定
指数分布とは異なり、パレート分布は、記憶を有する。それゆえ、異なる現在の経過時間の値が異なる結果として、予想される将来の使用有効期間の値が異なる。しかしながら、サブキャリア使用情報が、インフラストラクチャを通じて収集されるにしても、コグニティブセンシングを通じて収集されるにしても、1つのサブキャリアのためだけにそのような情報を収集すること、及び毎回、複数の収集を実行することは、現実的ではない。代わりに、情報更新間の間隔は、対象となる全てのサブキャリアの場合に同じにすべきである。その際、BSは、干渉管理を実施する度に、1回の情報収集しか必要としない。この間隔は、現在のサブキャリア使用の予想される将来有効期間、及び所望の予測精度を反映すべきである。
【0271】
この課題に対処することができる2つの実用的な手法がある。第1の手法は、「経過時間にわたる平均」(AoA)であり、第2の手法は、「間隔にわたる平均」(AoI)と呼ばれる。2回の情報収集及び干渉回避間の間隔を求めるために、最初に、集合Γj内の現在のサブキャリア使用が入手される。その間、データトラフィックのために、現在使用中のサブキャリアの経過時間が入手される。集合Γj内のMSによって用いられるサブキャリアs毎に、その経過時間は、少なからず、他の経過時間とは異なること、すなわち、Ta,s1≠Ta,s2であることは明らかである。
【0272】
AoAでは、所望のT*rを計算するために、最初に、集合Γjにおいて用いられる全てのサブキャリアの経過時間の平均が得られる。本発明人らは、集合Γjにおいて用いられるサブキャリアが集合Ωjを形成するものと仮定する。その際、平均は、以下のようになる。
【0273】
【数75】
【0274】
また、更新間隔は、式(40)によって、以下のように求められる。
【0275】
【数76】
【0276】
AoIでは、サブキャリア使用毎の所望の間隔T*r,s(Ta,s,ξ*A)は最初に、サブキャリア毎に個別に求められ、最終的な所望の間隔は、以下のようになる。
【0277】
【数77】
【0278】
AoI方式は、数値シミュレーションによって評価することができる。所望の精度が0.5よりも大きい場合、式(41)によって求められる更新間隔にわたって達成される実際の予測精度は、所望の精度の2%以内である。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【図1】本発明の実施の形態によって用いられる無線ネットワークの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態による、インフラストラクチャ及びハンドオフ情報を用いて干渉源を特定する、図1のネットワークの概略図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態による、セル間干渉を低減する方法の流れ図である。
【図4】本発明の1つの実施の形態による、ブラインド最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図5】本発明の1つの実施の形態による、ブラインド最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図6】本発明の1つの実施の形態による、同時最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図7】本発明の1つの実施の形態による、同時最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図8】本発明の1つの実施の形態による、サブキャリアを割り当てるための2プレーヤによる戦略的ゲームの結果の表である。
【図9】本発明の1つの実施の形態による、2つの基地局間で行われるシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームのための擬似コードを示す図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングの概略図である。
【図11】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングによるサービスエリアの概略図である。
【図12】センシング範囲が拡大されているコグニティブセンシングによるサービスエリアの概略図である。
【図13】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングを容易にするために、MSとBSとの間で行われるシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームの擬似コードを示す図である。
【図14】本発明の1つの実施の形態による、現在の経過時間及び将来のサブキャリア使用のタイミング図である。
【図15】本発明の1つの実施の形態による、共用サブキャリア割当てのタイミング図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には無線ネットワークにおいて干渉を管理することに関し、より詳細には、無線直交周波数分割多重化(OFDM)ネットワークにおいてセル間干渉を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM、OFDMA及びSC−FDMA
直交周波数分割多重化(OFDM)では、利用可能な無線周波数(RF)スペクトルが、互いに直交している複数のサブキャリアに分割される。スペクトル効率、高速フーリエ変換(FFT)を用いて容易に実施できること、及びマルチパス効果を緩和するのに有効であること等の、OFDM技術の魅力的な特徴に起因して、OFDMは、ネットワークの物理層(PHY)の設計において広く用いられる。
【0003】
直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)では、同時に送受信するために、サブキャリアが複数の組に分割され、異なる移動局に割り当てられる。OFDMAは、アップリンク及びダウンリンクの両方についてのIEEE802.16e、並びにダウンリンクについての3GPP−LTEのように、ブロードバンド無線通信のための多種多様な標準規格において採用されている。
【0004】
3GPP LTEの基本的なアップリンク(UL)伝送方式は、サイクリックプレフィックス(CP)を有するシングルキャリアFDMA(SC−FDMA)を用いて、アップリンクユーザ間の直交性を達成し、且つ受信機側において、周波数領域で効率的に等化できるようにする。これにより、ダウンリンクOFDM方式と比較的高い度合いで共通化することができ、同じパラメータ、たとえば、同じクロック周波数を用いることができるようなる。
【0005】
ネットワーク構造
無線OFDMAネットワークでは、セルの概ね中心に位置する基地局が、そのサービスエリア内の複数の移動局と通信する。移動局がセルから出るとき、その移動局は、隣接する基地局にハンドオーバする。ネットワーク内の基地局は、バックボーン又はインフラストラクチャを介して、互いに情報を交換する。
【0006】
セル間干渉
地理的に隣接している基地局が同じスペクトルを割り当てるとき、特に移動局(MS)が2つ以上の基地局のサービスエリア内にある場合に、セル間干渉がネットワークスループットに影響を及ぼす。衝突するメッセージが再送されなければならないため、この干渉は消費電力も増加させる。
【0007】
サブキャリア衝突に起因するセル間干渉を低減するために、一般的に、2つの技法が用いられる。1つの技法は、ランダムなサブキャリア割当てを用いて、隣接するセル内の移動局が同じサブキャリアを割り当てられる確率を下げる。
【0008】
もう1つの技法は、協力的なサブキャリア割当てを用いる。これは、移動局がセル間干渉を受けない場合であっても、基地局が全てのサブキャリア割当て情報を交換することを必要とする。サブキャリアが割り当てられるときに、両方のセルにおいて全てのサブキャリアが利用可能であることも必要とされ、実際にスケジュールするのは、一般的に不可能である。
【0009】
ゲーム理論
ゲーム理論は、経済学において、及び合理的に意思決定することができるエンティティの挙動の研究において広く適用される応用数学の一部門である。ゲーム理論では、対話型意思決定の過程がゲームとしてモデル化される。その概念は、人の利益を最大にすることである。ゲームの結果は、一般的に、効用として知られている数によって表される。効用は、結果に伴う満足度、すなわち利益を表す。
【0010】
ゲームにおけるナッシュ均衡は、現在の戦略から1人で逸脱しても、ゲームのプレーヤが、さらに高い効用を達成することができない安定した動作点である。すなわち、他のプレーヤの戦略が決まっているとき、プレーヤがナッシュ均衡において選択された戦略を続けるときに、ゲームのどのプレーヤも最良の利益を達成する。
【0011】
コグニティブセンシング
トランシーバが、免許のある他のトランシーバ又は無免許の他のトランシーバと干渉を生じることなく、互いに効率的に通信できるように、送信パラメータ又は受信パラメータを学習するために、無線ネットワークにおいてコグニティブセンシングが用いられる。コグニティブセンシングは、無線周波数スペクトル、並びにトランシーバ・ネットワーク状態のような外部無線環境内及び内部無線環境内のいくつかの要因を能動的にモニタすることに基づく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、OFDMA無線ネットワークにおいてサブキャリア衝突を適応的に低減する。本発明の実施の形態は、セル間干渉を受ける移動局(MS)を特定する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
基地局は、ハンドオフプロトコルから、サブキャリア割当てについての情報を入手することができる。BSは、インフラストラクチャを介して互いに通信するが、BSに所定の行動が強制されることはなく、それにより、非適応的なサブキャリア割当てが回避される。
【0014】
MSは、コグニティブセンシングを用いて、この情報を入手することもできる。コグニティブセンシングは、BSによって報酬を与えられることができる。他の点では、電力を消耗することになるものの、その報酬は、MSにコグニティブセンシングを実行するだけの動機を与える。
【0015】
この情報を用いて、サブキャリアをランダムに、又はブラインド最適化によって、又は同時最適化によって割り当てることができる。それらの局は、ゲーム理論を用いて、3つの異なる戦略の中から選択することができる。実施の形態は、また、音声及びデータのトラフィックのような異なるトラフィックタイプの場合に、干渉情報が最適に入手される周期性を求める方法と、無線資源の異なるタイプのスケジューリングに対して最適化する方法とを特定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ネットワークトポロジ
図1は、本発明の1つの実施の形態による無線OFDMAネットワークを示す。そのネットワークは、基地局101と、移動局102及び103とを含む。円104は、基地局の範囲(R)を近似する。その範囲内にあるサービスエリアは、セルと呼ばれる。基地局は、そのセル内のサブキャリアを割り当てる。実世界のネットワークでは、セルは、円である必要はなく、サービスエリアは、アンテナ構成及び環境条件によることがあることは理解されたい。本発明人らは、適当な近似として円を用いるにすぎない。
【0017】
セルが交差するセグメント内の移動局は、セル間干渉を受けることがある。2つのセルは、αR107の重なり合う半径を有する。すなわち、2つの基地局間の距離は、2R−αRである。ただし、αは、基地局の地理的な配置による定数である。
【0018】
周波数再利用
隣接する基地局間でスペクトルを割り当てる過程は、周波数再利用と呼ばれる。ネットワークが隣接する基地局に同じスペクトルを割り当てるとき、周波数再利用係数は、1である。
【0019】
トラフィック負荷
トラフィック負荷βは、利用可能な全サブキャリアNに対する、使用されるサブキャリアSの比であり、すなわち、βi=Ni/Sである。本発明人らは、トラフィック負荷がβi∈[0,1]である事例を考える。
【0020】
干渉ゾーン
干渉ゾーン(IZ)105は、セル間干渉又はサブキャリア衝突が生じることがある場所である。サービスエリアの残りの部分は、非干渉ゾーン(nIZ)106である。IZでは、BSiによってサービスを受けるMSは、集合Γiに属し、BSjによってサービスを受けるMSは、集合Γjに属する。集合Γi内のMSは、BSjによって集合Γj内のMSに対して同じサブキャリアが割り当てられるときにセル間干渉を受け、その逆の状況も起こり得る。
【0021】
そのネットワーク例では、セルのサービスエリア全体に対する、IZ105の部分の面積は、以下のようになる。
【0022】
【数1】
【0023】
干渉ゾーンの大きさ及び輪郭は、ハンドオフしきい値及びRF伝搬環境の関数である。
【0024】
非干渉ゾーン
nIZ106内のMSは、集合ΓCi及びΓCjに属する。
【0025】
OFDMAシステムの場合の同一チャネル干渉管理
再利用係数が1であるとき、隣接するセル内の同じスペクトルは、S個の直交するサブキャリアに分割される。これらのサブキャリアが、OFDMAを用いて、異なるMSに割り当てられる。本発明の実施の形態による干渉管理は、集合Γi及びΓj内のMSに異なるサブキャリアを割り当てる。
【0026】
セル内のMSの分布
MSがセル内に均一に分布している場合には、MSの位置は、2次元ポアソン点過程によってモデル化することができ、それは、密度λi=Mi/(πR2)を有する。ただし、Miは、セル内のMSの全数であり、Rは、セルの半径である。本発明は、MSの不均一な分布でも良好に機能することができることは理解されたい。
【0027】
ハンドオフでIZ内のMSを特定すること
図2に示されるように、移動ネットワークは、典型的には、ハンドオフ250を実行して、セル間で移動局を移動させる。多数のハンドオーバ技法が知られている。ハンドオフを実行するために、MSは、アクティブセット201及び202を保持することができる。ハンドオフしきい値HAdd及びHDeleteが、アクティブセットにBSを追加するか否かを決定する。BSの搬送波対干渉雑音比(CINR)が削除ハンドオフしきい値HDeleteよりも小さい場合には、MSは、アクティブセットから、そのBSを削除する。CINRが追加ハンドオフしきい値HAddよりも大きい場合には、BSは、その基地局をアクティブセットに追加する。現時点でMSにサービスを提供しているBSは、アクティブセット内のアンカーBSである。
【0028】
さらに、上記のハンドオフしきい値は、CINRは大きくないが、干渉を引き起こすのに十分な電力を有するサブキャリア又はサブキャリアのブロックを含むように小さくすることができる。典型的には、これらの「変更されたハンドオフしきい値」は、干渉しきい値と呼ばれ、上記の通常のハンドオフしきい値よりも10dB以上小さい。これらの干渉しきい値は、ハンドオフのためには用いられない。代わりに、干渉しきい値は、本明細書において記述されるような、干渉管理のための占有スペクトルの情報を与える。
【0029】
言い換えると、本発明は、占有チャネル及びスペクトルの情報を伝達するために、従来のハンドオフプロトコルを利用する。干渉しきい値は、システム要件に従って変更することができ、キャリア、チャネル又はスペクトルが占有されるか否かを定義するために用いることができる値である。干渉しきい値を求めることによって、同じキャリア、チャネル又はスペクトルにおいて、RF干渉に対する許容度又は余裕度も定義される。簡単にするために、本明細書では、ハンドオフ又はハンドオフ情報に言及することは、暗に、干渉しきい値を設定するために、ハンドオフ情報を使用することを含むであろう。
【0030】
図2では、MSxjが、IZ105内に位置し、BSjによってサービスを受ける。それゆえ、MSxjのためのアクティブセットは{j(A),i}202であり、BSjがアンカー(A)として指示される。そのアクティブセットがBSに送信される場合には、そのBSは、MSがIZ内に位置するか否かを判断することができる。図2の例の場合、アクティブセットがBSiを含むので、BSjは、MSxjがIZ内にあるものと判断することができる。そのアクティブセットが{j(A)}201であり、それは、アンカーBSjだけを含むので、BSjは、MSyjがnIZ内にあることも判断することができる。
【0031】
本発明の1つの実施の形態によれば、本発明人らは、ハンドオフ情報201〜203を用いて、セル間干渉を低減する。
【0032】
部分情報交換による情報収集
BS間の情報交換
BSは、図2のバックボーン又はインフラストラクチャ210を介して、上記の情報を交換することができる。以下に記述される同時サブキャリア最適化過程では、BSは、全てのサブキャリア使用情報211を交換する。ランダム割当てでは、BS間でサブキャリア使用情報は交換されない。本発明の実施の形態では、部分サブキャリア使用情報が交換される。
【0033】
部分サブキャリア情報交換による干渉回避のための運用方式
図3は、本発明の1つの実施の形態によるセル間干渉を管理する方法を示す。第1段階では、先に説明されたように、ハンドオフ情報から、2つのBSが、IZ105及びIZ106内に位置するMSを特定する(310)。IZ105においてMSを特定すると、各BSは、nIZ106内のMSに、すなわち、集合ΓCi及びΓCj内のMSに、サブキャリアをランダムに割り当てる(320)。その後、BSは、インフラストラクチャを介して、依然として利用可能であるサブキャリアに関する情報211を交換する(330)。交換中に、セルi内で利用可能なサブキャリアの集合NAiがBSjに通信され、集合NAjがBSiに通信される。入手可能であるなら、他の情報、たとえば、サブキャリア使用の履歴記録も交換することができる。
【0034】
第2段階中に、各基地局は、最適化するか(351)、最適化しないか(352)を選択することができる(350)。後続のステップは、ランダム割当て371、ブラインド最適化372又は同時最適化373であり、他のBSの決定360に基づくことができる。
【0035】
最適化しない
両方のBSが最適化しないこと(352)を選択する場合には、交換される情報211は使用されず、両方のBSは、利用可能なサブキャリアのランダム割当て371を使用する。
【0036】
この場合、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0037】
【数2】
【0038】
ただし、fは、サブキャリアの周波数を表す。
【0039】
これは、両方のセルにおいてトラフィック負荷βが比較的小さい場合であっても、サブキャリア衝突数は、かなりの数になり、各セルのトラフィック負荷に正比例することを示す。
【0040】
ブラインド最適化
図4は、ブラインド最適化372を概略的に示す。BSjが最適化せず(352)、BSiが最適化351を選択するとき、BSiは「ブラインド」最適化を実行する。ブラインド最適化では、BSiは、他方のBSの集合Γjへの厳密なサブキャリア割当てを知らない。しかしながら、BSiは、サブキャリア情報を交換した後に、セルj内の利用可能なサブキャリア、すなわちNAjを有する。それゆえ、BSiは、サブキャリア集合NAi401及びNAj402の交わり403を特定することができる。
【0041】
サブキャリア衝突を低減するために、BSiは、最初に交わりNAi∩NAjの外側にあるサブキャリアを割り当てることによって、ブラインド最適化を実行する。たとえば、BSiは、交わりNAi∩NAj内のサブキャリアが1、2、3・・・Viと論理的に番号を付されるように、NAi内のサブキャリアに論理的に番号を付けることができる。ただし、Vi=|NAi∩NAj|は、サブキャリアの交わりの大きさである。NAi∩NAj内の順序は、任意に選択することができる。NAi¥(NAi∩NAj)内のサブキャリアは、論理的にVi+1、Vi+1、…Wiを付される。ただし、Wi=|NAi|は、セルi内の利用可能なサブキャリアの全数である。集合Γiにランダムにサブキャリアを割り当てる場合、基地局は、逆の順序410を用いてサブキャリアを選択する。すなわち、高い論理番号を有するサブキャリアが最初に選択される。このようにして、重なり合わないサブキャリア、すなわち、衝突が起こり得ないサブキャリアが最初に用いられ、サブキャリア衝突が低減される。
【0042】
それにもかかわらず、集合ΓiにおいてMSによって必要とされるサブキャリアの数がWi−Viよりも大きいとき、交わりNAi∩NAj内のサブキャリアが用いられる必要があり、サブキャリア衝突が起こり得る。
【0043】
図5は、ブラインド最適化の一例を示しており、BSiがブラインド最適化を実行しており、一方、BSjが利用可能なサブキャリアを集合Γj内のMSにランダムに割り当てる。nIZ105内のMSにサブキャリアをランダムに割り当てた後に、セルi内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAi={f10,f6,f14,f9,f11,f8}501であり、セルj内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAj={f19,f13,f17,f26,f7,f11,f8}502である。
【0044】
集合Γi内のMSは、4つのサブキャリア511を必要とし、一方、集合Γj内のMSは、3つのサブキャリア512を必要とする。この例では、BSiは、NAi∩NAj={f11,f8}と決定する。それゆえ、BSは、サブキャリアf8及びf11に最も低い論理番号を付し、残りの利用可能なサブキャリアは、論理ラベル3、4、5、6を付される。
【0045】
サブキャリアを割り当てる過程において、BSは、高い方の論理ラベルを有するサブキャリアから優先的に使用する。それゆえ、4つのサブキャリア511が必要とされるので、BSiは、集合Γiにおいて使用するためにサブキャリア{f10,f6,f14,f9}を割り当てる。集合Γj内のMSに割り当てられる3つのサブキャリア512は、ランダムに選択される。BSjは、集合Γj内のMSに、サブキャリア{f7,f8,f13}を割り当てる。集合Γj内のサブキャリア使用は、サブキャリアf8∈NAi∩NAjを含むが、BSiによって実行されるブラインド最適化に起因して、それでもサブキャリア衝突は低減される。
【0046】
BSiによって実行されるブラインド最適化を用いるときに、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0047】
【数3】
【0048】
ただし、Mは、以下のとおりである。
【0049】
【数4】
【0050】
Ip(a,b)は、正則ベータ関数であり、以下のようになる。
【0051】
【数5】
【0052】
他のパラメータは、以下のとおりである。
【0053】
【数6】
【0054】
ブラインド最適化372の場合の予想されるサブキャリア衝突数は、常に、ランダム割当て371に起因する衝突数よりも小さい。すなわち、以下の式が成り立つ。
【0055】
【数7】
【0056】
トラフィック負荷が相対的に小さいとき、予想されるサブキャリア衝突数は、ブラインド最適化の場合に著しく低い。たとえば、両方のセルにおけるトラフィック負荷が0.5よりも小さいとき、予想されるサブキャリア衝突数は、0に近づく。
【0057】
ブラインド最適化の有効性は、両方のセル内のトラフィック負荷、及びIZ内のMSによって必要とされるサブキャリアの数による。BSiがブラインド最適化を実行するとき、予想されるサブキャリア衝突数は、βiと共に単調に減少する。しかしながら、セルj内のトラフィック負荷が低くても、予想されるサブキャリア衝突数が必ずしも減少しないことがある。これは、βjが減少すると、集合ΓCi内のMSと干渉を引き起こす可能性があるサブキャリアの数が減少するためである。
【0058】
しかしながら、トラフィックが小さくなるほど、NAi∩NAjが大きな集合になり、ブラインド最適化の有効性に悪影響を及ぼすことも意味する。それゆえ、βjが小さくなるほどブラインド最適化の有効性が高くなるか否かを判断するために、トラフィックを小さくする場合の影響が考慮されなければならない。さらに、サブキャリア衝突は、両方のBSにとって、互いに同等に望ましくないので、一方のBSにおいてサブキャリア衝突を低減するあらゆる努力が、両方のBSに利益をもたらす。
【0059】
同時最適化
図6は、サブキャリア情報NAi及びNAjを交換した後の同時最適化373を示す。両方のBSが集合NAi∩NAj403を特定し、さらに、V個の重なり合う利用可能なサブキャリアがそれぞれWi、Wi−1…、Wi−V+1及びWj、Wj−1…、Wj−V+1の順に並べられるように、両方のBSが利用可能なサブキャリアに論理番号を付ける。図6を参照されたい。NAi∩NAj内の厳密な順序は重要ではない。
【0060】
同時最適化によれば、nIZ内のサブキャリア使用がランダムに選択されるなら、最小のサブキャリア衝突を達成することができる。すなわち、nIZ内でサブキャリアがランダムに割り当てられた後に、同時最適化が最初に、集合Γi内のMSにNAi内の重なり合わないサブキャリアを割り当て、集合Γj内のMSにNAj内の重なり合わないサブキャリアを割り当てる。いずれのBSとも、やむを得ない場合を除いて、NAi∩NAj内のサブキャリアを割り当てない。このようにして、サブキャリア使用についての部分的な情報しか交換されないときに、いずれのBSとも、IZ内で干渉を避けるために最善を尽くし、予想されるサブキャリア衝突数をさらに低減することができる。
【0061】
図7は、同時最適化の一例を示す。nIZ内のMSにランダムにサブキャリアを割り当てた後に、セルi内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAi={f10,f6,f14,f9,f11,f8}701であり、セルj内の1組の利用可能なサブキャリアは、NAj={f19,f13,f17,f26,f7,f11,f8}702である。集合Γi内のMSは、5つのサブキャリア711を必要とし、一方、Γj内のMSは、6つのサブキャリア712を必要とする。この場合、両方のBSi及びBSjが、2つのセル内の利用可能なサブキャリアセットの交わりNAi∩NAj={f11,f8}713を特定する。それゆえ、両方のBSi及びBSjがサブキャリアf8及びf11に最も高い論理番号を付し、具体的には、f8及びf11は、BSiによって、それぞれ論理番号6及び5を付され、一方、f11及びf8は、BSjによって、論理番号7及び6を付される。利用可能なサブキャリアの残りは、1から始まる論理番号を付される。
【0062】
サブキャリアを割り当てる過程において、両方のBSは、低い方の論理ラベルを有するサブキャリアから優先的に使用する。それゆえ、5つのサブキャリアが必要とされるため、BSiは、集合Γiにおいて使用するためにサブキャリア{f10,f6,f14,f9,f11}を割り当て、BSjは、集合Γj内のMSに、6つのサブキャリア{f19,f13,f17,f26,f7,f8}を割り当てる。集合Γi内のサブキャリア使用は、サブキャリアf11∈NAi∩NAjを含み、集合Γj内のサブキャリア使用は、サブキャリアf8∈NAi∩NAjを含む。しかしながら、両方のBSが同時最適化に関わるので、サブキャリア衝突は、回避される。
【0063】
同時最適化が実行されるとき、予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0064】
【数8】
【0065】
ただし、以下の式が成り立つ。
【0066】
【数9】
【0067】
また、以下の式が成り立つことが明らかである。
【0068】
【数10】
【0069】
これは、ブラインド最適化に比べて、サブキャリア衝突が減少することを示す。式(5)は、両方のセル内のトラフィック負荷が0.8よりも小さいときに、同時最適化が、ほとんど全てのサブキャリア衝突を回避できることを示す。
【0070】
対話型意思決定
ランダム割当て、ブラインド最適化及び同時最適化は、BS間の対話によって可能にされ、一方のBSだけで決定することはできない。たとえば、BSiが最適化することを選択する場合には、BSjが具体的な意思決定を行うまで、その結果を決定することはできない。BSjが最適化しない場合には、その結果は、BSiによるブラインド最適化372である。BSjも最適化することを決定する場合には、その結果は、同時最適化373である。
【0071】
決定は、2つのエンティティ、すなわち、基地局の対話によるので、ゲーム理論を用いて、見返り、すなわち、ネットワーク性能を最大にすることができる。
【0072】
戦略的ゲーム
図8は、本発明の1つの実施の形態による戦略的ゲームの結果を示す。2人のプレーヤは、BS1及びBS2である。これにより、本発明のゲームは、基地局中心になる。以下に説明するように、そのゲームは、移動局中心にすることもできる。いずれのプレーヤも、2値戦略空間{O,NO}から自分の行動を選択することができる。ただし、Oは「最適化する」801を表し、NOは「最適化しない」802を表す。BS1の行動は、行方向に変化し、BS2の行動は、列方向に変化する。2人のプレーヤによって取られる行動対が異なる結果として、ゲームの結果が異なることになり、それは、2人のプレーヤにとって異なる効用(利益)に関連付けられる。
【0073】
ゲームの結果は、2次元のベクトルX( ̄)で表すことができ、4つの取り得るゲームの結果810が表1に示される。ただし、( ̄)は、()の前の文字の上に ̄が付されたものを意味する。
【0074】
【表1】
【0075】
戦略の効用は、実数によって表され、効用の値が高くなるほど、結果についてのプレーヤの満足度が高くなる。図8の2人のプレーヤの効用は、[プレーヤ1の効用,プレーヤ2の効用]という形式で表される。たとえば、対{O,O}は、同時最適化という結果を生じ、この同時最適化では、プレーヤは効用[4,4]を得る。
【0076】
合理的なプレーヤは、その効用を最大にしようとする。種々のプレーヤが最大効用を得ようとする結果として、他のプレーヤの行動がわかっているという制約の下で、全てのプレーヤがその最大効用を達成するような安定した結果が得られる。ナッシュ均衡は、そのような安定した結果を示し、その結果から1人で逸脱しても、どのプレーヤもさらに良い状態になることができない結果と定義される。
【0077】
図8では、唯一のナッシュ均衡は、戦略対{O,O}である。しかしながら、種々の結果に関連付けられる効用が変化するとき、戦略のナッシュ均衡も変化することがある。場合によっては、1つのゲームにおいて、複数のナッシュ均衡が存在することもある。効用のモデル化は、ゲームの安定した結果、すなわち、ナッシュ均衡を求める上で極めて重要である。
【0078】
効用関数のモデル化
図8に示される戦略的ゲームでは、プレーヤの効用は、実数として直に与えられる。しかしながら、注意深くモデル化するには、異なる結果に関連付けられる異なる効用を厳密に表す必要がある。本発明では、ある戦略の効用は、プレーヤに対する特定の結果から、そのような結果を達成するために必要とされるコストを引いた値と定義される。
【0079】
具体的には、予想されるサブキャリア衝突数をθとし、結果がX( ̄)であるときに、集合Γi内の予想されるサブキャリア衝突数を
【0080】
【数11】
【0081】
とする。その際、BSiに対する結果X( ̄)の値は、以下のように与えることができる。
【0082】
【数12】
【0083】
ただし、合理的なBSは、サブキャリア衝突が低減されている結果を好むので、Ψ(θ)は、θの単調減少関数であり、[∂Ψ(θ)/∂θ]<0である。
【0084】
さらに、最適化の過程は、コストに関連付けることができる。それゆえ、異なる結果は、異なるコストに関連付けられる。コストは、最適化を実行することに関する悪影響を反映する。たとえば、最適化は、リアルタイムに実行されないことがある。これは、サブキャリア割当てにおいて遅延を引き起こすことがある。X( ̄)という結果を達成するためにBSiが被るコストは、以下の非負関数である。
【0085】
【数13】
【0086】
この関数
【0087】
【数14】
【0088】
の値は、具体的な結果X( ̄)及び異なるタイプの最適化、たとえば、同時最適化又はブラインド最適化を実行する複雑さによる。コスト関数をモデル化するための経験則は、BSがブラインド最適化を実行する場合に比べて、BSiが同時最適化に関係するときに、コストが高くなるというものである。BSiによってランダムなサブキャリア割当てが選択されるとき、コストは、0である。それゆえ、結果X( ̄)におけるBSiの効用は、以下のようになる。
【0089】
【数15】
【0090】
この関数によれば、最適化を実行するコストが高いほど、同時最適化及びブラインド最適化の結果は、可能性が低くなる。逆に、予想されるサブキャリア衝突数の減少と共に利益が迅速に増加する場合、すなわち、サブキャリアの衝突数がわずかに減少するだけでも、BSによって極めて価値があると見なされる場合には、同時最適化及び/又はブラインド最適化の結果は、可能性が高くなる。
【0091】
価値関数Ψ(θ)及びコスト関数
【0092】
【数16】
【0093】
の機能は、BSが最適化の結果及びコストをいかに評価するかを反映する。これらの関数は、上記の包括的な指針の下で、用途毎に個別に選択することができる。関数Ψ(θ)が単調に減少し、関数
【0094】
【数17】
【0095】
が非負関数である限り、2つのBSによって、ナッシュ均衡を見つけることができる。
【0096】
BS間の対話からの安定した結果
図8及び表1におけるゲームの結果、たとえば、4つの異なる戦略対は、2つのBS間の対話から生じる。2つのBSのいずれも、独立して結果を求めることはできない。本発明人らは、2つの基地局間の対話を、2値のシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームとしてモデル化する。シュタッケルベルクリーダシップモデルは、最初にリーダが意思決定し、順次にフォロワが意思決定する戦略的ゲームである。
【0097】
図9は、この戦略的ゲームの規則を擬似コードの形で示す。利用可能なサブキャリアに関する部分的な情報を交換した後に、一方のBSiは、リーダであり、他方のBSjは、フォロワである。用語「リーダ」は、フォロワへのいかなる優位性も示さない。代わりに、その用語は、厳密には、そのゲームにおいて、異なるプレーヤによって行われる順次の動きの順序を示す。リーダ又はフォロワが有利であるか、不利であるかを保証するものではない。
【0098】
利益(効用)を最大にするために、BSiは、最初に、BSiの種々の行動に対するBSjの合理的な(最適な)応答を予測する(ステートメント(i)901)。このようにして、BSiは、BSjが合理的であるとの仮定の下で、自身の異なる行動に関連付けられる異なる結果を求めることができる。これらの予想される結果から、その後、BSiは、最適な結果A*iに導く自身の最適な決定を選択することができる(ステートメント(ii)902)。
【0099】
BSiが意思決定した後に、BSjが、SBiの行動を観察する。ここで、BSjは、自身の異なる行動からの結果を完全に知っており、BSjが合理的である場合には、BSiは、BSiによって早期に予測された最適な決定を行う(ステートメント(iii)902)。この結果として、ナッシュ均衡が生じ、その結果は、[A*i,A*j]である。この合理的な意思決定は、上記のモデル化された効用に基づく。その戦略的ゲームは、システムの種々のパラメータ、たとえば、トラフィック負荷及び干渉ゾーンのサイズに応じて変化する。
【0100】
MSを通じての情報収集
MSによるコグニティブセンシング
独立したBSが互いに通信せず、且つMSが別のセルのBSと直に通信することができないとき、起こり得る干渉源に関する情報は、他のMSからのみ収集することができる。たとえば、情報収集は、セルiにおいて開始される。集合Γi内のMSは、コグニティブセンシングを実行することができる。コグニティブセンシングでは、一般的に、トランシーバが学習し、動作する環境に適合する。本発明の1つの実施の形態では、起こり得る干渉源が特定される。
【0101】
図10は、本発明の1つの実施の形態による、MSのコグニティブセンシングを示す。起こり得る干渉源を特定するために、集合Γi内のMSl1001が、プローブ用信号lを送出し、その信号は、半径rl1003のセンシング領域Al1002の範囲に及ぶ。集合Γj内のMS1004(稼動又は非稼動)が領域Al内、すなわち、MSlからrlの範囲内に位置する場合には、MS1004は、lのプローブ用信号に応答し、現在使用中のサブキャリア(複数可)を報告する。
【0102】
自発的で信頼できる応答
集合Γi内のMSがプローブ用信号を送出する場合には、そのプローブ用信号を受信する、集合Γj内の全てのMSが、プローブ要求に応答する。このモデルは、相互衝突の理論的根拠に基づいており、すなわち、同一チャネルサブキャリア衝突が、関連する全てのMSに対して等しく有害である。それゆえ、集合Γj内のMSがプローブ用信号を受信するときには必ず、その存在及びサブキャリア使用を報告して、BSiによって実行される取り得る最適化を容易にし、相互サブキャリア衝突を回避する。しかしながら、プローブ用信号の範囲外にあるMS1005は、検出されないままになることがある。
【0103】
MSによって収集される情報の完全性
図11に示されるように、集合Γi内のMSのコグニティブセンシングの結果として、BSiによって入手されるサブキャリア使用に関する精度は、集合Γi内の種々のMSにおいて分散的に実行されるコグニティブセンシングによって覆われるIZ内のエリアの部分による。覆われないエリア1101の部分は、図11の空き領域の部分に対応する。たとえば、IZの80%がΓi内のいくつかのMSのコグニティブセンシングによって覆われる場合には、BSiは、IZ内のΓjによって使用されるサブキャリアの80%を入手することができる。図11に示される例では、集合Γj内の2つのMS1105が、空き領域1101内に配置され、Γi内のいずれのMSのセンシング領域にも入らない。それゆえ、これら2つのMSの存在、及び2つのMSによって使用されるサブキャリアは、収集できないので、BSiに報告することはできない。
【0104】
MSが均一に分布している場合、現在のサブキャリア使用に関して収集される情報の完全性は、Γi内のMSによって覆われるエリアの部分に等価である。干渉は、IZ内でのみ起こり得るので、現在のサブキャリア使用情報の完全性は、以下のようになる。
【0105】
【数18】
【0106】
ただし、AIZは、IZを表し、Alは、MSl(l∈Γi)のセンシング領域であり、|AIZ|は、IZの面積を表す。値pμ∈[0,1]は、収集される情報の完全性の範囲であり、γAは、コグニティブセンシングによって覆われるAIZ内のエリアの部分である。それゆえ、以下の式が成り立つ。
【0107】
【数19】
【0108】
MSの分布が均一である、たとえば、2次元ポアソン分布であるとき、値γA及びpμは、センシング半径rlに依存する。本発明の実施の形態では、集合Γi内の全てのMSのセンシング半径は、同じになるようにモデル化される。
【0109】
図11に示されるネットワーク例では、コグニティブ領域は、半径rlをそれぞれ有する、小さい方の円によって示される。その円は、互いに重なり合うことがある。IZ内のエリアの大部分は、1つ又は複数のセンシング円内にあるが、Γj内の2つのMS1105は、いずれのコグニティブセンシング円内にも入らない。
【0110】
図12に示されるように、IZ内の空き領域は、センシング半径rl1201が大きくなるのに応じて減少することがある。図12では、センシング半径1201は、Γj内のありとあらゆるMSがコグニティブセンシングによって覆われるように拡大される。この場合、サブキャリア使用に関する完全な情報は、BSiにおいて入手することができる。図12に示される例では、IZ内に依然として覆われていない空き領域が存在するが、Γj内の各MSは、センシング円のうちの少なくとも1つの中にあり、完全なサブキャリア使用情報を入手することができる。
【0111】
臨界センシング半径及び臨界比
サブキャリア使用情報の完全性は、センシング半径rlによる。それゆえ、集合Γi内のMSによる半径rlの選択は、BSiが、起こり得る干渉源、すなわち、集合Γj内のMSからサブキャリア使用をいかに良好に特定することができるかに影響を及ぼす。最適なセンシング半径は、以下のようになる。
【0112】
【数20】
【0113】
ただし、IZの面積f(α)は式(1)において定義される。半径r(^)は、以下のようになる。ただし、(^)は、()の前の文字の上に^が付されたものを意味する。
【0114】
【数21】
【0115】
センシング半径r(^)は、面積|AIZ|を、重なり合わないセンシング領域を有する|Γi|MSで覆うための実際のセンシング半径の理想的な下限を与える。概ね円形のAlを与えると、重なり合わないセンシング領域で、より大きな面積を覆うことはできない。しかしながら、r(^)は、それでも下限として用いることができる。
【0116】
MSの実際のセンシング半径は、式(10)によってr(^)に関連付けることができる。
【0117】
【数22】
【0118】
ただし、ε∈R+は、センシング半径の臨界比である。ε∈[0,1]であるとき、臨界比は、実際のセンシング半径の不足を定義する。なぜなら、センシング半径の下限でさえ、まだ満たされないためである。ε∈[1,+∞)であるとき、それは、異なるセンシング領域内のIZを覆う確率を改善するために、センシング半径を意図的に過剰にすることを示す。
【0119】
情報の完全性及びセンシング半径
ブールセンシングモデルでは、複数の点が、無限の平面上に密度λDでランダムに配置されており、ランダムに配置された点を中心にして、半径rの円が描かれる場合には、これらの円のうちのいずれによっても、無限の平面上のスポットが覆われない確率は、以下のようになる。
【0120】
【数23】
【0121】
本発明人らは、無限の平面の代わりに、有限のIZを用いるが、それでも上記の結果を用いて、情報の完全性とセンシング半径rlとの間の関係を近似することができる。ただし、センシング半径は、集合Γi内の全てのMSの場合に同じであると仮定される。具体的には、密度パラメータがλD=|Γi|/|AIZ|であり、センシング半径が、
【0122】
【数24】
【0123】
である場合には、IZ内のサブキャリア使用に関して収集される情報の予想される完全性は、以下のようになる。
【0124】
【数25】
【0125】
臨界比が高くなると、IZ全体が覆われる確率が、指数関数的に増加する。それゆえ、集合Γi内のMSがセンシング半径を増加できるとき、すなわち、センシング範囲が最小要件r(^)よりも大きいとき、BSiにおいて入手されるΓj内のサブキャリア使用情報は、迅速に完全になる。
【0126】
BSからの報酬
プローブ用信号を送信して、サブキャリア使用を収集するのに電力を消費するので、BSは、コグニティブセンシングを実行するMSに報酬を与えることによって、コグニティブセンシングを促進すべきである。センシングのための電力消費は、センシング範囲が広いほど増加するので、この報酬は、MSのセンシング範囲と共に単調に増加すべきである。1つの実施の形態では、BSからの報酬は、ダウンリンク送信電力の増加の形をとる。送信電力を増加することによって、MSの範囲を増加することができ、MSにおいて受信SNRを増加することができ、MSのための必要とされる受信電力を減少することができる。
【0127】
MSがコグニティブセンシングを実行せず、報酬が得られないとき、IZ内のMSは、送信電力P0を割り当てられる。しかしながら、IZ内のMSlは、半径rl内のサブキャリア使用情報を収集する場合には、BSiは、送信電力P0+Rrrρlを割り当てる。付加的な報酬電力Rrrρlにおいて、Rrは、BSiによって選択される報酬係数であり、ρは、経路損指数であり、通常は、2〜5の範囲内の値をとり、センシング範囲に対して、そのMSの場合のセンシング過程がいかに電力を消費するかを示す。
【0128】
コグニティブセンシングにおけるMSのためのトレードオフ
先に述べられたように、Γi内のMSがコグニティブセンシングを実行するための1つのコストは、センシングに関連する電力消費である。C1を、単位半径の円形領域内でコグニティブセンシングを実行するために必要とされる電力を指定する正の定数であるとする。その際、半径rl内でのセンシングのために消費される電力のコストは、PS=C1rρlとして与えることができる。経路損指数ρは、センシングにおける電力消費が、センシング半径と共にいかに変化するかを示し、MSの無線環境に依存する。ρの値は、通常、[2,5]の範囲内にあり、ρ=2は、自由空間見通し(LOS)環境に対応し、ρ=5は、損失のある室内環境を示す。
【0129】
コグニティブセンシングを実行する利益は、2つある。第1に、BSからの電力報酬が、MSそのものによって消費される電力を補償することができる。第2に、BSがコグニティブセンシングによって収集される情報を用いて、MSの受信電力を無駄にするサブキャリア衝突を低減することができる。
【0130】
コグニティブセンシングの2つの利益をモデル化するために、C’2を、サブキャリア衝突が生じるときに無駄にされる受信電力の量とし、pICを、収集される情報の不完全性、すなわち、図11の空きエリアに起因するサブキャリア衝突の確率とする。その際、以下の式が成り立つ。
【0131】
【数26】
【0132】
C2=C’2βjf(α)である場合には、衝突したダウンリンク送信を受信する際に無駄にされる電力は、以下のようになる。
【0133】
【数27】
【0134】
MSがBSから受信するダウンリンク送信電力報酬は、Rrrρlであり、それは、MSがコグニティブセンシングを実行するための動機としての役割も果たす。そのような報酬は、MSにとって好都合であるので、その報酬は、MSが有するバッテリの電力消費における等価な節約に関連付けられる。この等価性は、変換係数σt,r∈R+によってモデル化することができる。変換係数σt,rによれば、ダウンリンク送信電力へのBSによる報酬Rrrρlは、MSにおけるRrrρl/σt,rの電力節約に等価である。
【0135】
変換係数σt,rは、MSが、自身の電力節約に対してダウンリンク送信電力の増加の値を評価するのを容易にする「為替レート」である。σt,rの選択は、MSが、ダウンリンク電力を増加させる利益、及びセンシング電力消費を減少させることをいかに比較するかに関連する。たとえば、σt,r>1であるとき、その係数は、ダウンリンク送信電力の増加が、自身の電池電力の節約よりも価値が少ないことを示し、一方、σt,r<1は、MSがダウンリンク送信電力の増加を好むことを意味する。
【0136】
それゆえ、rlの半径内のコグニティブセンシングを実行するMSのための全電力節約は、以下のようになる。
【0137】
【数28】
【0138】
コグニティブセンシングを奨励するためのトレードオフ
BSのダウンリンク送信電力は、通常、規制によっても制限される。それゆえ、BSは、MSにサービスを提供しながら、そのダウンリンク送信電力を最小限に抑えることにも関心がある。
【0139】
Γi内のMSが、Γj内のサブキャリア使用の情報を収集することに関わる動機を与えるために、BSiは、MSへの送信電力を増加して、コグニティブセンシングを奨励する。この送信電力の増加の報酬は、BSiがΓj内の起こり得る干渉源に関する情報を入手できることである。それゆえ、MSのコグニティブセンシングに報酬を与えることによって、BSiに対する、電力を節約する際の正味の報酬は、以下のようになる。
【0140】
【数29】
【0141】
BSとMSとの間の連続シュタッケルベルクリーダ−フォロワゲーム
BS及びMSのための効用のモデル化
BS及びMSの挙動を理解するために、その対話を、複数のシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームとしてモデル化することができる。具体的には、そのモデルを簡単にするために、集合Γi内の全てのMSが、同じセンシング半径rlを選択する。この場合、複数のシュタッケルベルクゲームは、BSとMSとの間の一度の2プレーヤゲームによってモデル化することができる。以下の説明では、変換係数は、σt,r=1である。
【0142】
そのゲームは、電力節約を最大にすることである。BS及びMSの効用は、単位円領域をセンシングするために必要とされる電力C1のような、多数のパラメータによる。これは、MSユニットのハードウエア設計の直接の結果である。サブキャリア衝突において無駄にされる電力の量は、C2=C’2βjf(α)である。ただし、C’2は、サブキャリア衝突が生じるときに無駄にされる受信電力の量である。MSの分布及びネットワークトポロジによって決定される臨界半径は、以下のようになる。
【0143】
【数30】
【0144】
ρは、MS付近の無線環境によってのみ決定される経路損指数である。それゆえ、パラメータC1、C2、r(^)又はρは、いずれも、ゲームにおいてMS又はBSによって制御することはできない。さらに、電力P0は、コグニティブセンシングに向かういずれのプレーヤの態度にも直に影響を及ぼさない。変換係数σt,rの値は、送信電力報酬をMSの電力節約に変換するための役割を果たし、BSとMSとの間の対話を理解するのに不可欠な態様を取り込まないので、ゲームにおいて予め固定されているものと仮定される。
【0145】
上記のことから、ゲームの2人のプレーヤ(BS及びMS)によって決定することができ、ゲームの結果に影響を及ぼすパラメータは、Rr及びεである。それゆえ、ゲームにおける2人のプレーヤの効用は、以下のように書くことができる。
【0146】
【数31】
【0147】
上記の式は、それぞれ、式(14)及び(15)から導出される。詳細には、BSは、Rrを選択することができるのに対して、MSは、εの値を選択する。
【0148】
BSとMSとの間のシュタッケルベルグゲームにおける意思決定
BSの決定空間は、{Rr:Rr∈R+}であり、MSの決定空間は、{ε:ε∈R+}である。すなわち、ゲームにおける両方のプレーヤの決定は、連続空間R+に及ぶ。このシュタッケルベルグゲームでは、BSiによって一連の決定が開始され、BSiは、リーダとしての役割を果たし、最初に意思決定を行う。MSは、フォロワであり、BSiからの決定を観察した後に意思決定する。
【0149】
r(^)は、式(9)によって決定され、所与のネットワークトポロジの場合に一定であるので、その値は、BSiによって客観的に決定される。リーダとしてのBSiは、報酬係数Rrの値を決定し、RrをΓi内の全てのMSに報知する。フォロワ(MS)は、BSiの決定を観察し、εの値を決定することによって、以下のセンシング範囲を決定する。
【0150】
【数32】
【0151】
図13は、対話型意思決定過程のための擬似コードを示す。初期化によって、非決定関連パラメータ、すなわち、C1、C2、r(^)、P0、ρ、及びρt,rの値が決定される。2人のプレーヤ間の意思決定は、BSで開始する。その自身の効用を最大にするために、BSは、Rrの最適な決定を導出しなければならない。BSの効用UBS(ε,Rr)は、ε及びRrの両方によって決定されるので、BSは、MSによって行われるεの決定を予測しなければならない。これを果たすために、BSは、MSが合理的であると仮定し、MSが常に、自身の効用を同じように最大にする最適な意思決定を行うものと予測する。こうして、BSは、ステートメント(i)1301において、MSの最適な応答を以下のようにRrの関数として決定することができる。
【0152】
【数33】
【0153】
その後、BSは、ステートメント(ii)1302において、自身の効用関数をただ1つの変数Rrの関数、すなわち、以下の関数に変形することができる。
【0154】
【数34】
【0155】
そこから、BSは、ステートメント(iii)1303において、その自身の最適な決定R*rを決定することができる。BSが報酬係数Rr=R*rについて意思決定した後に、MSは、その決定を観察し、センシング半径が以下のようになるように、臨界値ε*の最適値を決定することによって、コグニティブセンシングのための範囲を決定する。
【0156】
【数35】
【0157】
この範囲は、ステートメント(iv)1304において、その自身の効用UBS(ε,R*r)を最大にする。
【0158】
最適な戦略及びナッシュ均衡
種々のプレーヤによって採用される最適な戦略を決定するために、ρ=2の経路損指数が用いられる。MSからの合理的な応答に関するBSによる予測は、MSの最適な決定を以下のように記述できることを示唆する。
【0159】
Rr≧σt,rC1である場合には、MSは、常に、そのセンシング能力に従って、最大センシング範囲を用いてコグニティブセンシングを実行する。
【0160】
【数36】
【0161】
である場合には、MSは、コグニティブセンシングを決して実行しない。
【0162】
【数37】
【0163】
である場合には、MSの最適な応答は、
【0164】
【数38】
【0165】
の範囲内でコグニティブセンシングを実行することである。ただし、
【0166】
【数39】
【0167】
は、Rrの関数であり、以下のように与えることができる。
【0168】
【数40】
【0169】
上記のような、MSの最適な応答は、MSがダウンリンク送信電力における報酬を好み、且つ/又は報酬係数がセンシングのコストに比べて十分に大きいとき、すなわち、Rr≧σt,rC1であるときに、コグニティブセンシングによって消費される電力は、常に有益であることを示唆する。この場合、MSは、できる限り大きなセンシング領域を網羅しようとする。
【0170】
対照的に、センシングのコストが取り得る報酬に比べて大きい場合には、MSは、コグニティブセンシングを決して実行しない。
【0171】
上記の2つのシナリオは、コグニティブセンシングがMSにとって常に有利であるか、又は常に不利であるという自明の事例に対応する。そのような極端な事例が存在することもあるが、実際には、極端な事例の間で均衡しているのが一般的である。
【0172】
【数41】
【0173】
であるとき、ある特定のセンシング半径が有利であるか否かは、BSによって約束される報酬係数Rrに直に依存し、最適な応答は、式(18)においてRrの関数として与えることができる。
【0174】
以下の実施の形態は、最後のシナリオに基づく。MSが最適な応答を選択するときのBSの効用は、以下のようになる。
【0175】
【数42】
【0176】
Rrに関するBSによる最適な決定は、以下の式を解くことによって求めることができる。
【0177】
【数43】
【0178】
これは、Rrについての以下の式に対する解R*rである。
【0179】
【数44】
【0180】
ただし、以下の3つの式が成り立つ。
【0181】
【数45】
【0182】
R*rのための閉じた形の解は、式(20)から導出するのは難しいが、BSの計算能力が大きいものとすると、それでも最適な決定を数値計算することができる。R*rの値を求めた後に、MSは、R*rを通知されることになり、その際、MSの最適な決定を以下のように与えることができる。
【0183】
【数46】
【0184】
この対話型意思決定過程では、BSは、最適な決定のための計算作業の大部分を担う。たとえば、BSは、最初に、MSの最適な応答関数を予測し、その後、逆方向に導出することによって、その自身の最適な戦略を導出する。
【0185】
対照的に、BSにおいて意思決定された後に、MSは、関数ではなく、その戦略のための最適値を求めることしか必要としない。この計算の複雑さが不均衡であることは、実際には望ましい。なぜなら、BSは、高度な計算能力を有し、その計算能力に制約がないのに対して、MSは、通常、限られた計算能力及びバッテリ電力で動作するためである。
【0186】
【数47】
【0187】
であるとき、連続シュタッケルベルクゲームの合理的な結果は、戦略対{R*r,ε*}であり、そこで、BSは、rlの範囲でコグニティブセンシングを実行するMSに対して、報酬として付加的な送信電力R*rrl2を与えることを約束し、MSは、以下の範囲でセンシングを実行することを決定する。
【0188】
【数48】
【0189】
この結果は、
【0190】
【数49】
【0191】
の条件下で、そのゲームのための固有のナッシュ均衡である。これは、ナッシュ均衡の定義から検証することができる。MSが半径
【0192】
【数50】
【0193】
でセンシングを実行することを決定するものとすると、BSのための結果が{R*r,ε*}である場合には、その効用は、R*rを変更することによって増加することはできない。なぜなら、R*rは既に、図13のステートメント(i)及び(ii)によって、最大の取り得る効用を達成しているからである。一方、MSの場合、報酬係数R*rであるとすると、その効用は、図13のステートメント(iv)によって、ε*以外の臨界値を選択することによって増加することはできない。ナッシュ均衡は、独立して行動することによって、いずれのプレーヤも、さらに良い状態になることができない結果を記述するので、結果{R*r,ε*}は、定義により、固有のナッシュ均衡である。
【0194】
統計的トラフィックモデルによる干渉回避
経時的に収集される情報の不正確さ
動的な移動ネットワークでは、サブキャリア使用情報211は、限られた時間にわたってのみ有効である。しかしながら、収集される情報は、リアルタイムに更新することができない。なぜなら、連続して更新することは、資源を無駄にし、通常は、実用的でないためである。それゆえ、現在の使用を定期的に更新することが好ましい。更新間の間隔の長さは、干渉回避の性能に大きく影響を及ぼすことがある。
【0195】
図14は、本発明の1つの実施の形態による更新のタイミングを示す。サブキャリア使用情報の有効性のための持続時間は、Tt1401であり、それは、インフラストラクチャによって指示される未知の確率変数である。時間Ta1402にわたってサブキャリアが使用された後に、BSiは、ランダムな時刻t1404において、サブキャリア使用を通知される。その問題は、その使用が有効なままである時間Tbの長さ、すなわち、Tb=Tt−Taを求めることである。
【0196】
現在の送信の現在の経過時間及び将来寿命
本発明人らは、再生報酬過程を用いて、この問題を解決する。再生報酬理論は、ランダムな保持時間にわたるポアソン過程を一般化する確率理論の一分野である。ランダムな時点tにおいて検出が行われる場合には、検出の時刻において予想される持続時間は、以下のようになる。
【0197】
【数51】
【0198】
一方、全持続時間Ttの任意の分布の場合に、将来持続時間Tbの長さは、以下のようになる。
【0199】
【数52】
【0200】
干渉するセルにおける一定トラフィック負荷
本発明人らは、干渉するセル内のトラフィック負荷が、時間が経っても相対的に一定であるものと考える。これは、現在のサブキャリア使用が終了した後に、新たなサブキャリア使用が開始されることを示す。さらに、現在のサブキャリア使用の終了時に、新たなダウンリンクサブキャリアが、終了後にランダムに選択される。それゆえ、時刻tにおいて収集されるサブキャリア使用情報は、ランダムな持続時間Tb=Tt−Taにわたって正確であると考えることができる。
【0201】
情報の正確さ及び更新間隔
IZ内の現在のサブキャリア使用に関して周期的に更新する場合、その周期がTrであるとすると、次回の情報収集前に、干渉するセル内の現在のサブキャリアの割当てが変化しない、すなわち、現在の送信が終了しない限り、その情報は、正確である。したがって、時間Trにわたる情報の正確さは、以下のようになる。
【0202】
【数53】
【0203】
具体的には、Tr=0は、情報が連続して収集され、更新される理想的な場合に相当する。本発明人らは、異なるタイプのトラフィックの場合の更新を記述する。
【0204】
音声トラフィック
予想される将来寿命及び指数関数的に分布する持続時間
音声トラフィックの場合、各送信及びサブキャリア使用の持続時間は、裾野が短い指数分布によって示すことができる。ダウンリンク送信の持続時間が、確率変数X=Ttによって表される場合には、その確率分布関数(pdf)は、以下のようになる。
【0205】
【数54】
【0206】
送信持続時間に関するこの分布を与えるとき、現在のサブキャリア使用の予想される将来寿命は、式(23)から、以下のように求めることができる。
【0207】
【数55】
【0208】
ただし、X=Ttは、音声トラフィックの全持続時間を記述する確率変数である。
【0209】
すなわち、ランダムな時刻においてセルi内で観測されるような、Γj内の現在のサブキャリア使用の予想される残りの持続時間は、1/λである。この予想される残りの持続時間は、Ttの予想される持続時間に等しく、指数分布の特有の無記憶性からも得ることができる。しかしながら、式(22)は、さらに一般的であり、任意の分布の場合に有効である。
【0210】
正規化された情報更新頻度(NIUF)
実際には、BSiは、過去の観察を通じて、セルj内のサブキャリア使用の持続時間を支配する指数分布のレートλを得ることができ、現在の送信の予想される将来寿命を求めることができる。その際、セルi内の局は、更新の頻度を求める。
【0211】
正規化された情報更新頻度(NIUF)は、以下のようになる。
【0212】
【数56】
【0213】
ただし、Trは、2回の連続した情報収集間の間隔である。この場合、Trの持続時間にわたる現在の情報の正確さは、以下のようになる。
【0214】
【数57】
【0215】
すなわち、以下の式が成り立つ。
【0216】
【数58】
【0217】
更新間隔中の物理的なサブキャリアにおける一度の遷移
時刻tにおいて現在のサブキャリア使用情報が入手され、T’<Trであるような時刻t+T’において現在の使用のトラフィックが終了する場合には、トラフィック負荷が一定であるという仮定の下で、新たに開始されるトラフィックにランダムなサブキャリアが割り当てられる。この実施の形態において、本発明人らは、ある特定のサブキャリアが、更新間隔Tr中に一度の遷移だけを受けることがあるものと仮定する。
【0218】
遷移が一度だけであるという上記の仮定によれば、新たなトラフィックは、時刻t+Tr前に終了しない。遷移が一度だけであるという仮定によって、不当に長くない更新間隔Trにわたって不正確さの影響を調べることができるようになる。時間Tにわたって性能を調査するとき、Tは、複数の更新間隔に分割することができる。
【0219】
ブラインド最適化における経時的な不正確さの影響
IZ105におけるサブキャリア使用に関する情報211が、インフラストラクチャ210を介して交換されるとき、それは、完全且つ正確である。ブラインド最適化のための衝突数は、先に説明されている。しかしながら、間隔Tb中に、且つブラインド最適化のための次回の情報収集の前に、現在の送信が早く終了することに起因して、セル内のサブキャリア使用が変化することがある。これは、現在の情報を不正確にし、付加的なサブキャリア衝突を導入することがある。
【0220】
TがTrによって分割できるものと仮定すると、Tの将来の持続時間中に生じることがある、予想される付加的なサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0221】
【数59】
【0222】
∂Φ(T,Tr)/∂Tr<0であり、それゆえ、経時的な情報の不正確さによって導入される予想される衝突数は、Trの単調減少関数であることが明らかであり、それは、更新周期が短い、すなわち、NIUFが高いほど、経時的な不正確さの影響を低減することができることを示唆する。任意のTの値の場合に、以下の式が成り立つことが明らかである。
【0223】
【数60】
【0224】
Tの持続時間にわたる、予想されるサブキャリア全衝突数は、以下のようになる。
【0225】
【数61】
【0226】
式(3)から以下の等式が成り立つ。
【0227】
【数62】
【0228】
ただし、
【0229】
【数63】
【0230】
は、半静的なサブキャリア使用下での予想されるサブキャリア衝突数を表しており、すなわち、サブキャリア割当ては、T中に、すなわち、連続情報更新中(すなわち、Tr→0)に動的ではない。
【0231】
比較すると、情報が収集されず、干渉回避が実行されないときに、Tの持続時間にわたる、ランダムにサブキャリアを割り当てる場合に予想されるサブキャリア衝突数は、以下のようになる。
【0232】
【数64】
【0233】
式(30)及び(31)は、いずれも、Trの持続時間中に一度だけ遷移が生じるという仮定に基づく。
【0234】
適当な更新間隔が選択されるとき、たとえば、Tr≦E[Tb]又はμ≧1であるとき、更新間隔間でサブキャリア使用情報が不正確であっても、ブラインド最適化372が依然として、予想されるサブキャリア衝突数を大幅に低減できることがわかっている。たとえば、μ=1であるとき、トラフィック負荷が約90%未満であるときに、サブキャリア衝突の80%低減を達成することができる。
【0235】
情報更新間隔を時分割する際に公平を期すためのスケジューリング
サブキャリア使用情報を収集する際に、現在収集されている情報が時間Trにわたって有効であることをBSが予測精度ξA(Tr)で仮定することができるように、更新間隔Trが決定される。そのような情報は、通常、入手するのにコストがかかるので、その情報を最大限に活用するために、注意深いスケジューリングが実行される。
【0236】
具体的には、Γi内の複数のMSが、次のTr時間周期中に確率ξA(Tr)で衝突がないものと仮定されるサブキャリアを時分割することになる場合には、複数のMSが共用する順序を公平に決定することは、MS間の公平性を達成し、且つ/又は種々のMSの種々のQoS要求を満たすのに不可欠である。
【0237】
図15は、情報が間隔Trにわたって周期的に入手される例を示す。時点tにおいて、現在のサブキャリア使用が検出される。それゆえ、[t,t+Tr]の時間間隔中に、干渉源に関する情報更新を利用することはできない。セルiにおいて、現在のサブキャリアxが使用中である。後続の新たに開始される使用は、サブキャリアzである。他の2つのMSは、Tr1+Tr2=Trであるような、それぞれTr1及びTr2の持続時間のダウンリンク送信を必要とする。周波数資源を有効に利用するために、2つのMSは、次の周期Tr中に、サブキャリアyを順次に共用することができる。それゆえ、本発明人らは、これら2つのMSのための順序を決定する必要がある。タイムスロットTr1及びTr2において衝突する確率は、異なる。
【0238】
脆弱性確率
サブキャリアyが間隔Tr中にセルi内の複数のMSによって時分割される場合には、PVkは、次に新たに開始されるサブキャリアzの使用の持続時間が部分的に、又は全体的に、第kのMSの送信持続時間と重なり合う確率である。図15に示される例では、現在のサブキャリアxの使用は、時刻t+Tbにおいて終了し、その後、新たなサブキャリアzを開始することができる。Tr1<Tb<Tr1+Tr2であるので、時間Tr2中の送信は、衝突を起こしやすいが、時間Tr1中の送信は、衝突を起こしにくい。
【0239】
送信が衝突を起こしやすいときに、それは、サブキャリア衝突が起こらなければならないことを意味しないことに留意されたい。そのセル内で新たに生成されるトラフィックは、ランダムにサブキャリアを割り当てられるので、新たなサブキャリアzは、サブキャリアyと衝突することも、しないこともある。y=zであるときに、衝突が生じる。第kのタイムスロットにおいて送信する、セルi内のMSのためのサブキャリア衝突の確率は、以下のようになる。
【0240】
【数65】
【0241】
一般性を失うことなく、MS1がTr1=ηTr(0<η<1)で最初にサブキャリア使用を許され、MS2が、残りの持続時間Tr2=(1−η)Trにわたって同じサブキャリアを割り当てられるものと仮定すると、2つのMSが時間Tr中に同じサブキャリアを順次に共用するときに、2つのMSの脆弱性確率は、以下のようになる。
【0242】
【数66】
【0243】
ただし、ξA(Tr)は、式(23)において求められる時間Trに関連付けられる予測精度であり、Yt=Tb+T’tは、2つの指数確率変数の和である。それゆえ、Ytは、形状パラメータ2及びレートλを有するガンマ分布である。予測精度が適度に正確であり、たとえば、ξA(Tr)>0.2であるときに、第1のMSの脆弱性確率は、常に、第2のMSの脆弱性確率よりも低いことが明らかである。したがって、第1のMSは、サブキャリア衝突を受けにくい。
【0244】
より一般的には、間隔TrがK個のMS(K>1)の間で共用される場合には、その周期TrをK個のタイムスロットに分割することができ、第kのMSは、第kのタイムスロットを割り当てられる。第kのスロットの持続時間は、ηkTrである。ただし、η0=0であり、以下の式が成り立つ。
【0245】
【数67】
【0246】
第kのMS内の衝突の確率は、以下のようになる。
【0247】
【数68】
【0248】
スケジューリングの公平性及び優先順位
セル内の複数のMSが、2回の連続した情報更新間で送信間隔Trを共用するとき、先に導出された解析結果は、MSがTr中に異なるスロットに割り当てられるときに、サブキャリア衝突の確率も異なることを示す。この起こり得る不公平の問題を解決するために、プロトコルを設計することができる。
【0249】
種々のMSが種々の間隔において割り当てられるスロットに関する履歴を保持することによって、公平なスケジューリングを実施することができる。図15の例では、2つのMSが共用するシナリオが示されており、適度な予測精度が達成され、第1のスロットが割り当てられることが好ましいように、Trが選択される。その履歴が、MS1が、通常、好ましくないタイムスロット(複数可)に割り当てられていたことを示す場合には、公平を期すために、MS1は、現在のサブキャリア割当てにおいて、第1のタイムスロットに割り当てられるべきである。
【0250】
より一般的には、集合Γi内のMSl毎に、履歴インデックスをh=1、2、・・・とし、PVk(l)を現在行われているサブキャリア割当てにおけるMSlの脆弱性確率であるとする。h回目のMSlのための脆弱性確率履歴が、PV(l,h)として記録される。この場合、長さH(h=0、1・・・H−1)の履歴が記録されているとき、特定の第kスロットへのMSlの現在の割当ては、以下の式が満たされるように選択されるべきである。
【0251】
【数69】
【0252】
すなわち、間隔Tr内のタイムスロットの現在の割当ては、履歴にわたる平均脆弱性確率が、集合Γi内の全てのMSの場合にPAに近づくように選択されるべきである。
【0253】
対照的に、特定のMSの送信タスクが他のタスクよりも優先度が高い場合には、BSは、公平性に関する優先順位を行使し、最も小さな脆弱性確率に関連付けられるタイムスロットを、高い優先度のMSに割り当てることができる。実際には、遅延の影響を受けやすいこと、送信の緊急性のような、より高い優先順位を正当化するために、異なる判断基準を用いることができる。
【0254】
データトラフィック
パレート分布及び打切りパレート分布
トラフィックがデータ伝送によって支配されるとき、その送信長の分布は、通常、長い裾野を有し、それは、パレート分布又はブラッドフォード分布によって記述することができる。そのpdfは、以下のようになる。
【0255】
【数70】
【0256】
データトラフィックの持続時間を記述するために用いられるとき、パレート分布は、データトラフィックの裾野が長い特性に対応して、少なくともbの長さ、及び通常(0,2)の区間からの値をとる形状係数aの伝送を記述する。しかしながら、式(36)の分布によって支配される確率変数Xは、明確な有限の積率を持たない。具体的には、パレート分布Xの全ての有限の積率は、0<a≦1であるときに無限である。1<a<2であるとき、Xは、有限の第1の積率(平均)を有するが、全ての第i(i>1)は、定義されない。
【0257】
非有界パレート分布の解析的な合意を意識して、無線データトラフィックの持続時間の分布を記述するために、通常、打切りパレート分布が用いられる。具体的には、送信の最大長mに関して上限があるときに、本発明人らは、以下の打切りパレート分布を用いて、データトラフィック持続時間の分布を記述する。
【0258】
【数71】
【0259】
実際には、式(37)の上限は、ネットワークによって許されるデータトラフィックの最大持続時間に対応する。
【0260】
パレート分布の持続時間を有する予想される将来寿命
再生報酬過程を用いるとき、データトラフィックのための現在のサブキャリア使用の予想される将来寿命は、式(23)及び式(37)から、以下のように求めることができる。
【0261】
【数72】
【0262】
ただし、X=Ttは、データトラフィックの全持続時間を記述する確率変数である。
【0263】
予測の精度
指数分布とは異なり、データトラフィックのための予測精度を評価する際の主な課題は、支配するパレート分布が無記憶でないことである。それゆえ、現在観測されているサブキャリア使用の場合に、将来寿命の予想される値は、式(23)の再生報酬過程によって求めることができるが、異なる予測方式の精度を評価するには、さらに別の情報が必要とされる。
【0264】
本発明人らが、データトラフィックのためにNIUFを用いる場合には、予測の精度は、NIUFの異なる値毎に評価することができる。a=1.1、b=2及びm=55であるとき、パレート分布のデータトラフィックのための予測精度は、指数分布のデータトラフィックの精度よりもわずかだけ低い。
【0265】
現在の経過時間に基づく予測
使用の履歴が、インフラストラクチャ又はコグニティブセンシングから入手可能であるとき、Trの時間にわたる現在収集されている情報の精度を、解析的に評価することができる。具体的には、サブキャリアの使用が、時間Taにわたって続いていることがわかっており、次の回の情報収集が、時刻Tr(Tr≦m−Ta)において実行される場合には、その情報は、この間隔Tr内で、確率ξA(Ta,Tr)で正確であり、その確率は、以下のようになる。
【0266】
【数73】
【0267】
情報収集間の間隔がTr>m−Taであるとき、集合Γj内のサブキャリア使用は、間隔Tr中に間違いなく変化することになり、時間間隔Trにわたる予測精度は、0である。そのような選択は、全てのデータトラフィックがm未満の長さを有するという事実に明らかに反する。それゆえ、その選択は、持続時間Trにわたるランダムな割当てよりも優れた利点を提供しない。
【0268】
式(39)に対応するように、特定の予測精度ξ*Aが干渉管理のタスクのために望ましく、Taが入手可能である場合には、情報更新間の間隔が以下のようになることを決定することによって、逆に、所望の精度を達成することができる。
【0269】
【数74】
【0270】
情報収集間隔の決定
指数分布とは異なり、パレート分布は、記憶を有する。それゆえ、異なる現在の経過時間の値が異なる結果として、予想される将来の使用有効期間の値が異なる。しかしながら、サブキャリア使用情報が、インフラストラクチャを通じて収集されるにしても、コグニティブセンシングを通じて収集されるにしても、1つのサブキャリアのためだけにそのような情報を収集すること、及び毎回、複数の収集を実行することは、現実的ではない。代わりに、情報更新間の間隔は、対象となる全てのサブキャリアの場合に同じにすべきである。その際、BSは、干渉管理を実施する度に、1回の情報収集しか必要としない。この間隔は、現在のサブキャリア使用の予想される将来有効期間、及び所望の予測精度を反映すべきである。
【0271】
この課題に対処することができる2つの実用的な手法がある。第1の手法は、「経過時間にわたる平均」(AoA)であり、第2の手法は、「間隔にわたる平均」(AoI)と呼ばれる。2回の情報収集及び干渉回避間の間隔を求めるために、最初に、集合Γj内の現在のサブキャリア使用が入手される。その間、データトラフィックのために、現在使用中のサブキャリアの経過時間が入手される。集合Γj内のMSによって用いられるサブキャリアs毎に、その経過時間は、少なからず、他の経過時間とは異なること、すなわち、Ta,s1≠Ta,s2であることは明らかである。
【0272】
AoAでは、所望のT*rを計算するために、最初に、集合Γjにおいて用いられる全てのサブキャリアの経過時間の平均が得られる。本発明人らは、集合Γjにおいて用いられるサブキャリアが集合Ωjを形成するものと仮定する。その際、平均は、以下のようになる。
【0273】
【数75】
【0274】
また、更新間隔は、式(40)によって、以下のように求められる。
【0275】
【数76】
【0276】
AoIでは、サブキャリア使用毎の所望の間隔T*r,s(Ta,s,ξ*A)は最初に、サブキャリア毎に個別に求められ、最終的な所望の間隔は、以下のようになる。
【0277】
【数77】
【0278】
AoI方式は、数値シミュレーションによって評価することができる。所望の精度が0.5よりも大きい場合、式(41)によって求められる更新間隔にわたって達成される実際の予測精度は、所望の精度の2%以内である。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【図1】本発明の実施の形態によって用いられる無線ネットワークの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態による、インフラストラクチャ及びハンドオフ情報を用いて干渉源を特定する、図1のネットワークの概略図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態による、セル間干渉を低減する方法の流れ図である。
【図4】本発明の1つの実施の形態による、ブラインド最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図5】本発明の1つの実施の形態による、ブラインド最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図6】本発明の1つの実施の形態による、同時最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図7】本発明の1つの実施の形態による、同時最適化を用いるサブキャリア割当てのブロック図である。
【図8】本発明の1つの実施の形態による、サブキャリアを割り当てるための2プレーヤによる戦略的ゲームの結果の表である。
【図9】本発明の1つの実施の形態による、2つの基地局間で行われるシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームのための擬似コードを示す図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングの概略図である。
【図11】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングによるサービスエリアの概略図である。
【図12】センシング範囲が拡大されているコグニティブセンシングによるサービスエリアの概略図である。
【図13】本発明の1つの実施の形態による、コグニティブセンシングを容易にするために、MSとBSとの間で行われるシュタッケルベルクリーダ−フォロワゲームの擬似コードを示す図である。
【図14】本発明の1つの実施の形態による、現在の経過時間及び将来のサブキャリア使用のタイミング図である。
【図15】本発明の1つの実施の形態による、共用サブキャリア割当てのタイミング図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数分割多重化ネットワークにおいてセル間干渉を低減する方法であって、該ネットワークは、1組の基地局を含み、該基地局のそれぞれによってサービス提供されるエリアがセルを形成し、該セルのそれぞれは、前記基地局によってサービス提供される1組の移動局を含み、前記セル間の重なり合うエリアが干渉ゾーンを形成し、該干渉ゾーンを含まない前記セルの残りのエリアが非干渉ゾーンを形成し、前記基地局のそれぞれによって用いられる無線周波数のスペクトルは同じであり、該スペクトルは、複数のサブキャリアに分割され、
割り当てられるサブキャリアは、利用できなくなり、前記スペクトル内の残りのサブキャリアは、利用可能であるように、前記複数のサブキャリアを、前記非干渉ゾーン内の前記1組の移動局にランダムに割り当てることと、
前記基地局のそれぞれにおいて、前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局に前記利用可能なサブキャリアを割り当てる戦略として、ランダム割当て、ブラインド最適化、及び同時最適化のいずれかの戦略を選択することと
を含む方法。
【請求項2】
選択された前記戦略がランダム割当てである場合には、前記基地局のそれぞれによって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックをランダムに割り当てることと、
選択された前記戦略がブラインド割当てである場合には、一方の基地局によって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックをランダムに割り当てると共に、他方の基地局によって、前記サブキャリアを最適に割り当てることと、
選択された前記戦略が同時最適化である場合には、前記基地局のそれぞれによって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックを最適に割り当てることと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハンドオフ情報を用いて、前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局を特定することをさらに含み、前記ハンドオフ情報は干渉しきい値と比較され、前記サブキャリアが割り当てられるか否かが判断される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1組の基地局間でサブキャリア使用の履歴を交換することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブラインド割当ては、
前記利用可能なサブキャリアに論理的に順序を付けることと、
前記他方の基地局によって、逆の順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記同時最適化は、
前記利用可能なサブキャリアに論理的に順序を付けることと、
前記一方の基地局によって、ある順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと、
前記他方の基地局によって、逆の順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記選択することは、戦略的ゲームを用いて実行される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記戦略的ゲームは、ナッシュ均衡に至る順次意思決定過程を用いる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記戦略的ゲームは、基地局中心である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記戦略的ゲームは、最小の最適化コストで最小のサブキャリア衝突を達成する請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記戦略的ゲームは、移動局中心である請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記戦略的ゲームは、電力報酬を等価な全電力節約に変換するために、前記移動局及び前記基地局の効用関数をモデル化することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コグニティブセンシングを用いて干渉情報を収集することをさらに含み、前記戦略的ゲームは、前記コグニティブセンシング中に、臨界センシング半径と、該臨界センシング半径の臨界比とを用いる請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記干渉情報収集の有効性は、前記臨界センシング半径及び前記臨界比に関連する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記戦略的ゲームは、2値シュタッケルベルグリーダ−フォロワゲームである請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記戦略的ゲームは、トラフィック負荷及び前記干渉ゾーンのサイズに順応化する請求項7に記載の方法。
【請求項17】
コグニティブセンシングを用いて前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局を特定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局によってプローブ信号を送信することと、
前記プローブ用信号を受信するのに応答して、サブキャリア使用を返送することと
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記1組の基地局からの送信電力が高まるように、前記プローブ用信号を送信する前記移動局に報酬を与えることをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記送信すること及び前記報酬を与えることは、戦略的ゲームを用いて、前記プローブ用信号のセンシング半径を決定する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記割り当てることは、前記サブキャリア使用の前記履歴に従う請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記干渉しきい値は、ハンドオフしきい値よりも約10dB低い請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記1組の基地局内の現在のサブキャリア使用情報を周期的に更新することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記更新用の時間間隔は、トラフィックのタイプに依存し、該トラフィックのタイプは、音声トラフィック及びデータトラフィックを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記更新することは、正規化された情報更新頻度を用いる請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記サブキャリアを前記割り当てることは、公平なスケジューリングを用いる請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1組の基地局は、ハンドオフプロトコルを用いて干渉情報を収集し、該干渉情報は、前記割り当てる最中及び前記選択する最中に用いられる請求項1に記載の方法。
【請求項1】
無線周波数分割多重化ネットワークにおいてセル間干渉を低減する方法であって、該ネットワークは、1組の基地局を含み、該基地局のそれぞれによってサービス提供されるエリアがセルを形成し、該セルのそれぞれは、前記基地局によってサービス提供される1組の移動局を含み、前記セル間の重なり合うエリアが干渉ゾーンを形成し、該干渉ゾーンを含まない前記セルの残りのエリアが非干渉ゾーンを形成し、前記基地局のそれぞれによって用いられる無線周波数のスペクトルは同じであり、該スペクトルは、複数のサブキャリアに分割され、
割り当てられるサブキャリアは、利用できなくなり、前記スペクトル内の残りのサブキャリアは、利用可能であるように、前記複数のサブキャリアを、前記非干渉ゾーン内の前記1組の移動局にランダムに割り当てることと、
前記基地局のそれぞれにおいて、前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局に前記利用可能なサブキャリアを割り当てる戦略として、ランダム割当て、ブラインド最適化、及び同時最適化のいずれかの戦略を選択することと
を含む方法。
【請求項2】
選択された前記戦略がランダム割当てである場合には、前記基地局のそれぞれによって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックをランダムに割り当てることと、
選択された前記戦略がブラインド割当てである場合には、一方の基地局によって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックをランダムに割り当てると共に、他方の基地局によって、前記サブキャリアを最適に割り当てることと、
選択された前記戦略が同時最適化である場合には、前記基地局のそれぞれによって、前記利用可能なサブキャリア又はサブキャリアのブロックを最適に割り当てることと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハンドオフ情報を用いて、前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局を特定することをさらに含み、前記ハンドオフ情報は干渉しきい値と比較され、前記サブキャリアが割り当てられるか否かが判断される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1組の基地局間でサブキャリア使用の履歴を交換することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブラインド割当ては、
前記利用可能なサブキャリアに論理的に順序を付けることと、
前記他方の基地局によって、逆の順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記同時最適化は、
前記利用可能なサブキャリアに論理的に順序を付けることと、
前記一方の基地局によって、ある順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと、
前記他方の基地局によって、逆の順序で番号を付されたサブキャリアを割り当てることと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記選択することは、戦略的ゲームを用いて実行される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記戦略的ゲームは、ナッシュ均衡に至る順次意思決定過程を用いる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記戦略的ゲームは、基地局中心である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記戦略的ゲームは、最小の最適化コストで最小のサブキャリア衝突を達成する請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記戦略的ゲームは、移動局中心である請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記戦略的ゲームは、電力報酬を等価な全電力節約に変換するために、前記移動局及び前記基地局の効用関数をモデル化することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コグニティブセンシングを用いて干渉情報を収集することをさらに含み、前記戦略的ゲームは、前記コグニティブセンシング中に、臨界センシング半径と、該臨界センシング半径の臨界比とを用いる請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記干渉情報収集の有効性は、前記臨界センシング半径及び前記臨界比に関連する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記戦略的ゲームは、2値シュタッケルベルグリーダ−フォロワゲームである請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記戦略的ゲームは、トラフィック負荷及び前記干渉ゾーンのサイズに順応化する請求項7に記載の方法。
【請求項17】
コグニティブセンシングを用いて前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局を特定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記干渉ゾーン内の前記1組の移動局によってプローブ信号を送信することと、
前記プローブ用信号を受信するのに応答して、サブキャリア使用を返送することと
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記1組の基地局からの送信電力が高まるように、前記プローブ用信号を送信する前記移動局に報酬を与えることをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記送信すること及び前記報酬を与えることは、戦略的ゲームを用いて、前記プローブ用信号のセンシング半径を決定する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記割り当てることは、前記サブキャリア使用の前記履歴に従う請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記干渉しきい値は、ハンドオフしきい値よりも約10dB低い請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記1組の基地局内の現在のサブキャリア使用情報を周期的に更新することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記更新用の時間間隔は、トラフィックのタイプに依存し、該トラフィックのタイプは、音声トラフィック及びデータトラフィックを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記更新することは、正規化された情報更新頻度を用いる請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記サブキャリアを前記割り当てることは、公平なスケジューリングを用いる請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1組の基地局は、ハンドオフプロトコルを用いて干渉情報を収集し、該干渉情報は、前記割り当てる最中及び前記選択する最中に用いられる請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−89361(P2009−89361A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−194666(P2008−194666)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194666(P2008−194666)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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