説明

無線局、干渉回避方法及びシステム

【課題】少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、複数の通信システムが共用している場合において、第1の通信システムの無線局による通信が、第2の通信システムから干渉を受けた場合に、簡易かつ速やかに干渉を低減できるようにすること。
【解決手段】少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、少なくとも第1の通信システムと共用する第2の通信システムにおける無線局は、第1の通信システムから受信した信号の統計的な特徴を示す波形特徴量を抽出する波形特徴量抽出部と、抽出された波形特徴量が、干渉低減用に予め定められている波形特徴量であるか否かの判定結果に応じて、第2の通信システムにおける無線局の通信に使用される通信パラメータを決定する通信パラメータ決定部と、決定された通信パラメータにしたがって、第2の通信システムにおける無線通信信号を送受信する送受信部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局、干渉回避方法及びシステムに関連する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて無線局同士が通信する場合、互いに干渉しないように、周波数や時間等のリソースを適切に管理する必要がある。ロングタームエボリューション(LTE)方式の通信システムの場合、複数の基地局は互いにX2インターフェースにより接続されている。ある基地局のセル端における通信品質が劣化した場合、その基地局は、特定の周波数(すなわち、リソースブロック)について干渉が生じていることを、隣接する基地局に通知する。この通知は、オーバーロードインジケータ(overload indicator)により行われる。オーバーロードインジケータについては、非特許文献1に記載されている。隣接する基地局は、オーバーロードインジケータが指定している周波数(リソースブロック)を、セル端のユーザになるべく割り当てないようにスケジューリングを行う。これにより、セル端における通信品質の劣化を改善することができる。この方法は、複数の基地局が互いに通信可能である場合に実行可能であり、同一のシステム内におけるセル間干渉を低減する場合に有利である。逆に、基地局同士がそのようなインターフェースにより接続されていない場合、この方法を使用することはできない。すなわち異なるシステム同士の干渉を低減することは困難である。
【0003】
干渉を軽減する別の例として、特許文献1に記載の技術もある。この方法の場合、相手方無線局との通信を開始しようとしているネットワーク(NW)接続無線局が、使用する無線リソースを決定する際に、NW接続無線局が指定した波形特徴量について、相手方無線局が分析及び報告した波形特徴量を考慮している。通信システムに固有の統計的な性質を表す波形特徴量に基づいて、相手方無線局は周辺の状況を監視(センシング)するので、周辺に存在する信号(通信システム)の種別を適切に判断できる。この技術は、NW接続無線局が相手方無線局との通信を開始する前に、使用する無線リソースを適切に決定するための技術である。したがって、NW接続無線局及び相手方無線局による通信が始まった後に、その通信により他の無線局が干渉を受けた場合、その干渉を適切に抑制することは困難である。
【0004】
本願出願時現在、通信リソースをできるだけ有効に活用するため、複数の通信システムが、共通する又は近接する周波数帯域を利用できるようにすることが実現しつつある。このような場合、通信システム間の干渉を低減することは、特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−80178号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP RAN1 R1-073674, 'Overload Indicator Handling for LTE',Nokia Siemens Networks, Nokia.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、複数の通信システムが共用している場合において、第1の通信システムの無線局による通信が、第2の通信システムから干渉を受けた場合に、簡易かつ速やかに干渉を低減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例による無線局は、
少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、少なくとも第1の通信システムと共用する第2の通信システムにおける無線局であって、
前記第1の通信システムから受信した信号の統計的な特徴を示す波形特徴量を抽出する波形特徴量抽出部と、
抽出された前記波形特徴量が、干渉低減用に予め定められている波形特徴量であるか否かの判定結果に応じて、前記第2の通信システムにおける当該無線局の通信に使用される通信パラメータを決定する通信パラメータ決定部と、
決定された前記通信パラメータにしたがって、前記第2の通信システムにおける無線通信信号を送受信する送受信部と
を有する無線局である。
【発明の効果】
【0009】
一実施例によれば、少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、複数の通信システムが共用している場合において、第1の通信システムの無線局による通信が、第2の通信システムから干渉を受けた場合に、簡易かつ速やかに干渉を低減できるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例において使用される無線通信システムの概略図。
【図2】周波数帯域の利用状況の一例を示す図。
【図3】周波数帯域の利用状況の別の例を示す図。
【図4】実施例において使用される被干渉無線局の機能ブロック図。
【図5】OFDM信号に対する周期自己相関値CAFの計算例を示す図。
【図6】CDMA信号に対する周期自己相関値CAFの計算例を示す図。
【図7】様々なパラメータ(α,ν)においてピークを付与できることを模式的に示す図。
【図8】実施例において使用される与干渉無線局の機能ブロック図。
【図9】図1に示されるような状況において、被干渉無線局及び与干渉無線局により使用される方法を示す図。
【図10】図9に示す動作例において使用される各無線局を示す図。
【図11】複数のサブキャリアが同じ信号を送信する際の具体例を示す図。
【図12】複数のサブキャリアが同じ信号を送信する際の別の具体例を示す図。
【図13】複数のサブキャリアが同じ信号を送信する際の別の具体例を示す図。
【図14】パイロット信号を利用して周期定常性を実現する場合の具体例を示す図。
【図15】パイロット信号を利用して周期定常性を実現する場合の別の具体例を示す図。
【図16】複数のサブキャリアが同じの信号を送信する場合の送信側の機能ブロック図。
【図17】複数のサブキャリアに位相回転を加えることで周期定常性を実現する方法を模式的に示す図。
【図18】複数のサブキャリアに位相回転を加える場合の送信側の機能ブロック図。
【図19】複製した信号に位相回転を加えることで周期定常性を実現する方法を模式的に示す図。
【図20】複製した信号に位相回転を加える場合の送信側の機能ブロック図。
【図21】時間シフトを利用することで周期定常性を実現する方法を模式的に示す図。
【図22】時間シフトを利用する場合の送信側の機能ブロック図。
【図23】巡回シフトを利用することで周期定常性を実現する方法を模式的に示す図。
【図24】巡回シフトを利用する場合の送信側の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の観点から実施例を説明する。
【0012】
1.無線通信システム
2.被干渉無線局
3.与干渉無線局
4.動作例
5.波形特徴量を付与する具体的な方法
5.1 複数のサブキャリアが同一信号を送信する
5.2 複数のサブキャリアに位相回転を加える
5.3 複製した信号に位相回転を加える
5.4 時間シフトを利用する
5.5 巡回シフトを利用する
【実施例1】
【0013】
<1.無線通信システム>
図1は、実施例において使用される無線通信システムの概略図を示す。無線通信システムは、第1及び第2の2つの通信システムを含む。第1及び第2の通信システムのサービスエリアは、図中の楕円によりそれぞれ示されている。第1及び第2の通信システムにおいて、複数の無線局が通信を行う。図示の簡明化のため、第1及び第2の通信システム各々において、2つの無線局が通信しているが、通信システムの数及び無線局の数は任意である。無線局は、ユーザによる通信を可能にする適切な如何なる装置でもよく、移動局でも固定局でもよい。無線局は、具体的には、ユーザ装置、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ又はデスクトップコンピュータ等のようなユーザが使用する装置でもよいし、あるいは基地局又はアクセスポイント等のようにユーザの通信を可能にするための装置でもよいが、列挙された具体例に限定されない。
【0014】
無線通信システムに含まれている第1及び第2の通信システムが使用する周波数は、少なくとも一部が共通する又は隣接している。図2に示す例の場合、第1の通信システム及び第2の通信システム各々が使用する周波数は、周波数軸上で隣接する位置関係になっている。図3に示す例の場合、第1の通信システム及び第2の通信システム各々が使用する周波数は、周波数軸上で一部が共通する位置関係になっている。図2及び図3に示す周波数の利用例は単なる一例に過ぎず、他の利用状況が実現されていてもよい。図2及び図3に示すような周波数の利用状況は、一般的には時間と共に変動するが、不変であってもよい。
【0015】
第1の通信システムにおいて、被干渉無線局は、通信相手と無線通信を行っている。第2の通信システムにおいて、与干渉無線局は、通信相手と無線通信を行っている。被干渉無線局の位置では、第1の通信システムからの電波だけでなく、第2の通信システムからの電波も届く。このため、被干渉無線局が行う通信は、第2の通信システムの与干渉無線局が行う通信から、干渉を受けてしまう。無線局の位置関係によっては、第2の通信システムにおける与干渉無線局の通信も、第1の通信システムから干渉を受けることになるが、説明の便宜上、第1の通信システムにおける被干渉無線局が干渉を受けており、第2の通信システムにおける与干渉無線局が干渉を与えているものとする。後述するように、与干渉無線局は、干渉報知信号を受信したことに応じて、干渉を低減するための対策を実行するので、被干渉無線局の通信が被る干渉が軽減されるだけでなく、与干渉無線局の通信が被る干渉も軽減される。
【0016】
<2.被干渉無線局>
図4は、実施例において使用される被干渉無線局の機能ブロック図を示す。図示の無線局は、図1における被干渉無線局又はその通信相手の無線局として使用可能であるが、便宜上、図1の被干渉無線局であるとする。図4には、被干渉無線局に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能が示されている。具体的には、アンテナ41、送受分離部42、受信信号取得部43、通信品質測定部44、波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46が示されている。波形特徴量付与部45は、干渉検知部451及び通信パラメータ制御部452を含む。
【0017】
送受分離部42は、アンテナ41を介して受信した信号と、アンテナ41を介して送信する信号とを適切に分離する。具体的には、送受分離部42は、アンテナ41から受信した信号を受信信号取得部43へ与える一方、送信信号生成部46からの信号をアンテナ41へ与える。
【0018】
受信信号取得部43は、他の無線局から受信した信号を取得する。受信した信号は、通信相手の無線局からの信号と及び干渉元の無線局からの干渉信号とを含む。図示の無線局が、被干渉無線局であった場合、他の無線局は、被干渉無線局の通信相手の無線局と、与干渉無線局と、与干渉無線局の通信相手の無線局とを含む。受信信号取得部43は、受信した信号の中から通信相手からの受信データを復元し、不図示の後続の処理部にわたす。また、受信信号取得部43は、受信した信号に含まれているパイロット信号を抽出し、通信品質測定部44に与える。
【0019】
通信品質測定部44は、受信したパイロット信号の受信レベルに基づいて、通信品質を測定する。「受信レベル」は、瞬時値であるか平均値であるかを問わず、広く、無線状態の良否を表す量として定義される。受信レベルは、例えば受信電力、電界強度RSSI、希望波受信電力RSCP、パスロス、SNR、SIR、Ec/N等により表現されてもよい。通信品質は、一例として、ビット誤り率又はブロック誤り率により表現される。誤り率は、例えば巡回冗長検査法(Cyclic Redundancy Check:CRC)等により測定できる。受信レベル及び通信品質の使い分けは厳格なものではなく、混乱のおそれがなければ同義語として使用されてよい。
【0020】
波形特徴量付与部45は、通信品質測定部44により測定された通信品質が、所定値より悪いか否かを判定し、悪かった場合、送信信号が所定の波形特徴量を有するように、通信パラメータを制御する。波形特徴量は、信号波形の持つ統計的な特性に関する情報であり、二次の周期自己相関値によって得られる周期定常性や、信号振幅の分散値、周波数相関値等により表現される。
【0021】
信号の波形は、中心周波数、周波数帯域幅、送信電力、変調方式、送信シンボル等の様々な通信パラメータによって決定されるものであり、逆に言えば信号波形には上記のような通信パラメータの特徴が含まれている。このような特徴は、本願において「波形特徴量」又は「特徴量」と言及される。例えば、信号の周期自己相関値(Cyclic Autocorrelation Function:CAF)を利用して、その信号の存否を検出することができる。この場合、信号に用いられている変調方式等に起因して、ある固有のパラメータ(サイクリック周波数及びラグパラメータ)が周期自己相関値の計算に使用された場合にのみ、周期自己相関値CAFの値が大きくなる、という性質が利用される。また、後述するように、同一の変調方式を用いる信号に対して異なる周期定常性の特徴量を付与することもできる。これらは一例に過ぎず、信号波形の特徴を表す特徴量は、信号の相関値や統計値等のような様々な観点から表現することができる。本実施例の場合、第1及び第2の通信システムにおいて、特定の波形特徴量が予め定められており、その波形特徴量の性質を有する干渉報知信号により、干渉が生じていることを干渉元の無線局に通知する。
【0022】
信号x(t)に対する二次の周期自己相関関数の値(CAF)は、以下の数式により算出される。
【0023】
【数1】

ここで、*は複素共役を表す。Iは観測時間長を表す。αはサイクリック周波数(cyclic frequency)を表す。τはラグパラメータ(lag parameter)を表す。
【0024】
CAFに関し、一般に、α≠0のときにRxα(τ)≠0ならば、x(t)は周期定常性を有する。
【0025】
また、式(1)の離散時間表現は次のようになる。
【0026】
【数2】

ここで、I0は観測サンプル数を表す。νはラグパラメータの離散時間表現を表す。なお、x[i]≡x(iTs)であり、Tsはサンプリング周期を表す。
【0027】
波形特徴量付与部45の干渉検知部451は、通信品質測定部44により測定された通信品質が、所定値を下回っているか否かを判定することで、干渉の有無を検知する。干渉が検出された場合、通信パラメータ制御部452にその旨が通知される。
【0028】
通信パラメータ制御部452は、干渉検知部451において、干渉が検知されたか否かに応じて、通信パラメータを制御する。干渉が検知された場合、所定の波形特徴量を有する送信信号(干渉報知信号)が、送信信号生成部46において生成されるように、通信パラメータが変更される。干渉検知部451において、閾値を上回る干渉が検出されなかった場合、所定の波形特徴量をもたらす通信パラメータは送信信号に使用されない。所定の波形特徴量が、二次の周期自己相関値CAFであった場合、通信信号が、所定のサイクリック周波数及び所定のラグパラメータにおいて、周期自己相関値CAFのピークをもたらすように、通信パラメータが変更される。送信信号が直交周波数分割多重(OFDM)方式の信号であった場合、変更される通信パラメータの具体例は、(1)同一の信号を送信する複数のサブキャリアが何であるかを示すパラメータ、(2)位相回転が加えられるサブキャリアが何であるかを示すパラメータ、(3)どのように時間シフトを行うかを示すパラメメータ及び(4)どのように時間シフト及び巡回シフトを行うかを示すパラメータ等である。これらは一例に過ぎず、他の事柄を示す通信パラメータを使用して、所望の波形特徴量を有する送信信号(干渉報知信号)が実現されもよい。所望の波形特徴量を有する送信信号をどのようにして作成するかについては、「5.波形特徴量を付与する具体的な方法」においてする。
【0029】
上述したように、二次の周期自己相関値CAFの計算に必要なパラメータは、サイクリック周波数α及びラグパラメータνである。したがって、所定の波形特徴量が二次の周期自己相関値CAFであった場合、ピークの位置は、一般的にはサイクリック周波数及びラグパラメータの組み合わせ(α,ν)により指定される。図5は、OFDM信号に対する周期自己相関値CAFを、サイクリック周波数α及びラグパラメータνの様々な組み合わせについて計算した例を示す。図6は、CDMA信号に対する周期自己相関値CAFを、サイクリック周波数α及びラグパラメータνの様々な組み合わせについて計算した例を示す。図示されているように、相対的に高いピークをもたらすパラメータ(α,ν)は、使用される信号によって異なる。言い換えれば、高いピークをもたらすパラメータ(α,ν)が所定の組み合わせであるように、所定の通信パラメータが予め決定されている。受信側は、どのようなパラメータの組み合わせにおいてピークが生じるかを分析することで、所定の波形特徴量が付与された干渉報知信号が受信されたか否かを判別できる。判別に使用されるピークの数は、1つでもよいし、複数個でもよい。図5及び図6は、二次の周期自己相関値CAFの計算例を示すにすぎず、他の場所にピークを有する二次の周期自己相関値CAFが使用されてもよい。より一般的には、図7に示すように、サイクリック周波数α及びラグパラメータνの任意の組み合わせ(α,ν)において、周期自己相関値CAFのピークを有する干渉報知信号を実現することができる。サイクリック周波数は周波数軸方向のシフト量を表し、ラグパラメータは時間軸方向のシフト量に対応する。この点については後述する。
【0030】
図4の送信信号生成部46は、通信パラメータ制御部452により制御された通信パラメータにしたがって、送信信号を生成する。所定の波形特徴量の性質を有する送信信号(干渉報知信号)は、干渉元となっている無線局に、干渉が生じていることを通知するための信号である。すなわち、干渉報知信号用の波形特徴量は、干渉が生じていることを、異なる通信システムの無線局に通知するために予め確保されている。被干渉無線局が送信する干渉報知信号は、与干渉無線局及び与干渉無線局の通信相手の無線局に届くことのみを意図して送信される干渉報知専用の信号でもよいし、そのような干渉報知に加えて、被干渉無線局の通信相手に送る情報を含んだ信号でもよい。例えば、OFDM方式の信号の場合、一部のサブキャリアを使って干渉報知用の波形特徴量を実現し、残りのサブキャリアを使って通信相手へのデータを送信することが考えられる。後述するように、与干渉無線局等は、干渉報知信号を受信すると、干渉を回避するための対策を実行する。
【0031】
<3.与干渉無線局>
図8は、実施例において使用される無線局の機能ブロック図を示す。図示の無線局は、図1における与干渉無線局又はその通信相手の無線局として使用可能であるが、図1の与干渉無線局であるとする。図8には、与干渉無線局に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能が示されている。具体的には、アンテナ81、送受分離部82、受信信号取得部83、波形特徴量抽出部84、通信パラメータ制御部85及び送信信号生成部86が示されている。
【0032】
送受分離部82は、アンテナ81を介して受信した信号と、アンテナ81を介して送信する信号とを適切に分離する。具体的には、送受分離部82は、アンテナ81から受信した信号を受信信号取得部83又は波形特徴量抽出部84へ与える一方、送信信号生成部86からの信号をアンテナ81へ与える。
【0033】
受信信号取得部83は、他の無線局から受信した信号を取得する。図示の無線局が、与干渉無線局であった場合、受信した信号は、与干渉無線局の通信相手の無線局からの信号と、被干渉無線局からの干渉信号と、被干渉無線局の通信相手の無線局からの干渉信号とを含む。受信信号取得部83は、受信した信号の中から通信相手からの受信データを復元し、不図示の後続の処理部にわたす。
【0034】
波形特徴量抽出部84は、アンテナ81及び送受分離部82を介して受信した信号から、波形特徴量を抽出する。上述したように、波形特徴量は、信号波形の持つ統計的な特性に関する情報であり、二次の周期自己相関値によって得られる周期定常性や、信号振幅の分散値、周波数相関値等が利用されてもよい。本実施例の場合、第1及び第2の通信システムにおいて予め定められている波形特徴量の有無が判定される。この波形特徴量は、干渉報知信号が受信されたか否かを判定するために使用される。例えば、所定の波形特徴量がOFDM信号の二次の周期自己相関値CAFであった場合、図5に示すような位置に相対的に高いピークが生じているか否かを分析することで、干渉報知信号を受信したか否かが判定される。
【0035】
図8の通信パラメータ制御部85は、波形特徴量抽出部84による分析結果に基づいて、与干渉無線局が送受信する際の通信パラメータを制御する。上述したように、干渉報知信号は、被干渉無線局において干渉が生じていることを、干渉元の無線局に通知するためのものである。このため、干渉報知信号を受信した無線局は、自身が与干渉無線局又はその通信相手である可能性がある。干渉報知信号を受信していた場合、通信パラメータ制御部85は、通信相手との通信に使用する通信パラメータを変更する。通信パラメータは、例えば、通信に使用する周波数リソース、タイムスロット、送信電力、ビーム制御用のウェイト(重み係数)等であるが、これらに限定されない。いずれにせよ、変更後の通信パラメータにより通信される信号が、被干渉無線局に与えてしまう干渉を低減できるように、通信パラメータが変更される。したがって、具体的には、変更後の通信パラメータは、変更前とは異なるリソースにより通信すること、変更前よりも弱い送信電力で送信すること、及び変更前とは異なる指向性のビームで通信すること等を示す。
【0036】
送信信号生成部86は、通信パラメータ制御部85により制御された通信パラメータにしたがって、通信相手の無線局に送信する信号を生成する。
【0037】
<4.動作例>
図9は、図1に示されるような状況において、被干渉無線局及び与干渉無線局により使用される方法を示す。図10は、図1に示される状況を、各無線局の観点から詳細に示した図である。以下、図9及び図10を参照しながら実施例における動作例を説明する。
【0038】
図9のステップS91において、第1の通信システムにおいて、被干渉無線局は通信相手と通信するために、周辺の電波の状況を監視又はセンシングを行う。与干渉無線局は、如何なる有意の信号も検出できなかったことに応じて、第1の通信システムにおいて、所望信号Aによる通信を開始する。何らかの有意の信号の有無を検出するには、例えば、衝突回避を行うキャリアセンス多重接続法(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:CSMA/CA)のような電力に基づく信号検出を使用することが可能である。あるいは、被干渉無線局のアンテナに入力された信号に対して、波形特徴量を分析することで、被干渉無線局が通信して良いか否かを判断してもよい。
【0039】
ステップS92において、被干渉無線局は、第2の通信システムの与干渉無線局又はその通信相手による干渉信号Bの影響を受け、下り品質が劣化してしまう。
【0040】
ステップS93において、被干渉無線局は、所定の波形特徴量が付加された上り信号(干渉報知信号)Cを作成し、送信する。上述したように、干渉報知信号は、干渉元が受信することを意図して作成された干渉報知専用の信号でもよいし、干渉報知に加えて通信相手に送るデータを含んだ信号でもよい。
【0041】
ステップS94において、第2の通信システムにおける与干渉無線局は、干渉報知信号Cを受信したことに応答して、自身の通信を停止し、干渉を回避できるような別の通信パラメータを決定する。干渉報知信号Cを受信したか否かは、アンテナに入力された信号の波形特徴量が、所定の波形特徴量であるか否かを判別することで判別できる。例えば、アンテナに入力された信号の周期自己相関値CAFが、所定のパラメータ(α,ν)においてピークを有するか否かを判別することで、干渉報知信号が受信されたか否かを判別することができる。判別に使用されるピークの数は1つでもよいし、複数個でもよい。
【0042】
ステップS95において、与干渉無線局は、変更後の通信パラメータによる信号Dを用いて、通信相手との通信を再開する。変更後の通信パラメータによる信号は、被干渉無線局の通信に干渉が及ばないようにした信号である。そのような信号は、例えば、変更前と異なるリソース(周波数リソース又は時間リソース)、変更前と異なる送信電力及び変更前と異なる指向性ビームの内の1つ以上を用いて通信される。
【0043】
このように本実施例によれば、所定の波形特徴量が付加された干渉報知信号が、被干渉無線局から与干渉無線局へ送信されることで、与干渉無線局は、干渉を低減するための適切な対策を実行することができる。波形特徴量の分析は、通信システムにおける事前情報をほとんど必要とせず、単にピークが生じるパラメータの組み合わせ(α,ν)が分かっていれば実行できる。したがって、特定の波形特徴量の性質を有する干渉報知信号を、被干渉無線局から与干渉無線局へ通知して干渉を低減する本実施例は、異なる通信システム同士の干渉回避に特に有利である。さらに、本実施例による干渉低減法は、複数の通信システムが使用する周波数帯域がどのようになっているかに依存せずに使用可能である。例えば、周波数の利用状況が、図3に示すような場合だけでなく、図2に示すような場合にも使用可能である。図2に示すような利用状況の場合、各通信システムが使用する周波数は異なるので、理論上、通信システム間の干渉は生じない。しかしながら、例えば、一方の通信システムにおける送信電力が強かった場合、他方の通信システムに干渉が生じてしまうことが懸念される。本実施例はこのような場合でも干渉を効果的に低減できる。
【0044】
<5.波形特徴量を付与する具体的な方法>
上述したように、波形特徴量として様々な量を使用することができる。さらに、波形特徴量として、二次の周期自己相関値CAFを使用する場合、様々なパラメータ(α,ν)においてピークが生じるように、送信信号の通信パラメータを設定することができる。以下、二次の周期自己相関値CAFのピークが、意図するパラメータ(α,ν)において生じるようにするための具体的な方法を説明する。説明する方法は例示的なものであり、他の方法によって、ピークが生じる位置を変更することもできる。以下の例ではOFDM信号に波形特徴量を付与する例が説明されるが、OFDM信号以外の信号、例えばCDMA信号に任意の波形特徴量を付与することも可能である。
【0045】
<<5.1 複数のサブキャリアが同一信号を送信する>>
図11は、1つのシンボルに含まれる多数のサブキャリアを示す。図示の例では、周波数軸方向に並ぶ複数のサブキャリア(「複製」として示されているサブキャリア)が同じ信号を送信する。図示の例の場合、低周波数側の所定数のサブキャリアの信号が複製され、一定の周波数を隔てて高周波側に付加されている。この場合、このOFDMシンボルと、このOFDMシンボルを周波数方向に一定の周波数だけシフトしたOFDMシンボルとの相関が、高い値を示す。このように複数のサブキャリアが同一の信号を送信するようにすることで、周期自己相関値CAFにおけるピークが生じる位置を、周波数軸方向において制御できる。図示の例の場合、サイクリック周波数が、同じ信号を送信するサブキャリア間を隔てている一定の周波数に等しい場合、高い相関値(ピーク)が生じる。なお、高周波側のサブキャリアの信号を複製したものが、低周波側に付加されてもよい。
【0046】
図12は、複数のサブキャリアが同じ信号を送信する場合の別の例を示す。信号Sは、周波数軸上において、左側に示すように、f0おきに並んでいたとする。このような信号の二次の周期自己相関値CAFは、右側に示すようになる。すなわち、信号Sを周波数軸方向にずらさなかった場合(α=0)、2f0だけずらした場合(α=2f0)及び4f0だけずらした場合(α=4f0)に相対的に高いピークが生じる。
【0047】
図13は、複数のサブキャリアが同じ信号を送信する場合の別の例を示す。信号Sは、周波数軸上において、左側に示すように、0〜2f0までの間及び4f0〜5f0までの間に存在する。このような信号の二次の周期自己相関値CAFは、右側に示すようになる。すなわち、信号Sを周波数軸方向にずらさなかった場合(α=0)、f0だけずらした場合(α=f0)、3f0だけずらした場合(α=3f0)及び4f0だけずらした場合(α=4f0)に相対的に高いピークが生じる。
【0048】
図14も、複数のサブキャリアが同じ信号を送信する場合の別の例を示す。通常、1つのOFDMシンボルの中には、パイロット信号とデータ信号とが含まれている。パイロット信号として同じものを使用した場合、パイロット信号のマッピングの仕方に応じて、周期定常性を付与することができる。図示されているように、周波数軸上の4個所にパイロット信号がマッピングされる場合において、第1及び第2の位置におけるパイロット信号は同じものであり、第3及び第4の位置におけるパイロット信号は同じものである。この場合、第1及び第2の位置の間の周波数間隔(又は第3及び第4の位置の間の周波数間隔)に対応するサイクリック周波数において、ピークが生じる。
【0049】
図15も、図14と同様に、複数のサブキャリアが同じ信号を送信する場合の別の例を示す。しかしながら、図15に示す例の場合、第1及び第3の位置におけるパイロット信号が同じものであり、第2及び第4の位置におけるパイロット信号が同じものである。この場合、第1及び第3の位置の間の周波数間隔(又は第2及び第4の位置の間の周波数間隔)に対応するサイクリック周波数において、ピークが生じる。
【0050】
図11−図15に示すように、複数のサブキャリアが同じ信号を送信する場合、図16に示すような送信側の構成により、意図する波形特徴量を付与することができる。このような構成は、少なくとも被干渉無線局の波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46に備わっている。図中、「送信データ」とあるのは、データ変調、チャネル符号化及びインターリーブ等の処理が施された送信データである。送信データは、直並列変換部S/Pにより並列的な信号に変換される。並列的な信号の一部分は複製されて高速逆フーリエ変換部IFFTに入力され、他の部分は複製されずに高速逆フーリエ変換部IFFTに入力される。高速逆フーリエ変換部IFFTにより高速逆フーリエ変換された信号に対して、ガードインターバルが付与され、並直列変換部P/Sにより直列信号に変換され、送信信号が出力される。なお、受信側は、図8に示すような波形特徴量を分析することが可能な構成により実現できる。
【0051】
<<5.2 複数のサブキャリアに位相回転を加える>>
図17は、複数のサブキャリアに正弦波を離散化した位相回転を与えることで、周期定常性を実現する方法を模式的に示す。図中のCAF付与用の第1のサブキャリア群(CAF付与用SC群#1)に属するk番目の信号(シンボル)skに与えられる因子は、sk=exp(j2πm1k)により表現される。すなわち、(1/m1)個のシンボルにより正弦波が離散化された場合における正弦波の値が、CAF付与用SC群#1に付与される因子である。同様に、CAF付与用の第2のサブキャリア群(CAF付与用SC群#2)に属するk番目の信号(シンボル)skに与えられる因子は、sk=exp(j2πm2k)により表現される。すなわち、(1/m2)個のシンボルにより正弦波が離散化された場合における正弦波の値が、CAF付与用SC群#2に付与される因子である。このようにして各サブキャリアに位相因子が与えられた場合、二次の周期自己相関値CAFは、サイクリック周波数αが、(m1−m2+d)/T0に等しい場合にピークをもたらす。ただし、T0はOFDMシンボルの期間を表し、dは整数である。
【0052】
図17に示すようにして複数のサブキャリアが信号を送信する場合、図18に示すような送信側の構成により、意図する波形特徴量を付与することができる。このような構成は、少なくとも被干渉無線局の波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46に備わっている。図中、「送信データ」とあるのは、データ変調、チャネル符号化及びインターリーブ等の処理が施された送信データである。送信データは、直並列変換部S/Pにより並列的な信号に変換される。並列的な信号の一部分(CAF付与用SC群#1、#2)には位相回転が与えられて高速逆フーリエ変換部IFFTに入力され、他の部分は位相回転が与えられずに高速逆フーリエ変換部IFFTに入力される。高速逆フーリエ変換部IFFTにより高速逆フーリエ変換された信号に対して、ガードインターバルが付与され、並直列変換部P/Sにより直列信号に変換され、送信信号が出力される。なお、受信側は、図8に示すような波形特徴量を分析することが可能な構成により実現できる。
【0053】
<<5.3 複製した信号に位相回転を加える>>
図19は、複製した信号に正弦波を離散化した位相回転を与えることで、周期定常性を実現する方法を模式的に示す。図中のCAF付与用のサブキャリア群(CAF付与用SC群)中のk番目の信号に与えられるデータは、複製元のシンボルakに等しく、そのk番目の信号に与えられる因子は、exp(j2πmk)により表現される。すなわち、(1/m)個のシンボルにより正弦波が離散化された場合における正弦波の値が、CAF付与用SC群に付与される因子である。概して、この例は、上記の5.1による方法と5.2による方法とを組み合わせたものに相当する。
【0054】
図19に示すようにして複数のサブキャリアが信号を送信する場合、図20に示すような送信側の構成により、意図する波形特徴量を付与することができる。このような構成は、少なくとも被干渉無線局の波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46に備わっている。図中、「送信データ」とあるのは、データ変調、チャネル符号化及びインターリーブ等の処理が施された送信データである。送信データは、直並列変換部S/Pにより並列的な信号に変換される。並列的な信号の一部分は複製された後に位相回転が与えられて高速逆フーリエ変換部IFFTに入力され、他の部分は位相回転が与えられずに高速逆フーリエ変換部IFFTに入力される。高速逆フーリエ変換部IFFTにより高速逆フーリエ変換された信号に対して、ガードインターバルが付与され、並直列変換部P/Sにより直列信号に変換され、送信信号が出力される。なお、受信側は、図8に示すような波形特徴量を分析することが可能な構成により実現できる。
【0055】
<<5.4 時間シフトを利用する>>
図21は、時間シフトを利用して周期定常性を実現する方法を模式的に示す。図示の例の場合、4つのOFDM信号(OFDMシンボル1−4)が時間的に連続的に送信されている。図中、矢印で結ばれている四角い枠で囲まれた部分は同じ信号である。すなわち、ある時間に送信されるOFDM信号における所定のサブキャリアと、別の時間に送信されるOFDM信号における所定のサブキャリアとが同じ信号を送信するように、OFDM信号が形成される。この場合、ある時間に受信した信号と別の時間に受信した信号との相関が高くなる。具体的には、サイクリック周波数αが、複製元と複製先との間の周波数間隔に等しく、かつラグパラメータνが、ある時間と別の時間との間の期間に等しい場合に、二次の周期自己相関値CAFが相対的に高い値(ピーク)をもたらす。このようにすることで、周期自己相関値CAFのピークが生じる位置を、サイクリック周波数方向だけでなく、ラグパラメータ方向にも制御できるようになる。
【0056】
図21に示すようにして複数のサブキャリアが信号を送信する場合、図22に示すような送信側の構成により、意図する波形特徴量を付与することができる。このような構成は、少なくとも被干渉無線局の波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46に備わっている。図中、「送信データ」とあるのは、データ変調、チャネル符号化及びインターリーブ等の処理が施された送信データである。送信データは、直並列変換部S/Pにより並列的な信号に変換される。並列的な信号の一部分は複製された後に時間軸方向にシフトされて高速逆フーリエ変換部IFFTに入力され、他の部分はそのまま高速逆フーリエ変換部IFFTに入力される。時間軸方向のシフトは、過去に処理した信号を蓄積し、過去のOFDM信号を適宜抽出することで可能になる。高速逆フーリエ変換部IFFTにより高速逆フーリエ変換された信号に対して、ガードインターバルが付与され、並直列変換部P/Sにより直列信号に変換され、送信信号が出力される。なお、受信側は、図8に示すような波形特徴量を分析することが可能な構成により実現できる。
【0057】
<<5.5 巡回シフトを利用する>>
図23は、巡回シフトを利用して周期定常性を実現する方法を模式的に示す。図示の例の場合も四角い枠で囲まれた部分は同じ信号を含む。ただし、一方のOFDM信号は、サブキャリア全体に関して所定数個のサンプルだけ(例えば、1サンプルだけ)巡回的にシフトされる。例えば、サブキャリアにマッピングされたN個のサンプルが、y1、y2、...yNであったとする。巡回的にシフトされた後の内容は、1サンプルだけ巡回シフトする場合、y2、...yN y1となる。2サンプルだけ巡回シフトする場合、y3、y4、...yNy1、y2となる。この場合も、受信した信号と巡回シフトした信号との相関が高くなる。具体的には、サイクリック周波数αが、複製元と複製先との間の周波数間隔に等しく、かつラグパラメータνが、巡回シフト量に対応する時間の長さに等しい場合に、二次の周期自己相関値CAFがピークをもたらす。このようにすることによっても、周期自己相関値CAFのピークが生じる位置を、サイクリック周波数方向だけでなく、ラグパラメータ方向にも制御できるようになる。
【0058】
図23に示すようにして複数のサブキャリアが信号を送信する場合、図24に示すような送信側の構成により、意図する波形特徴量を付与することができる。このような構成は、少なくとも被干渉無線局の波形特徴量付与部45及び送信信号生成部46に備わっている。図中、「送信データ」とあるのは、データ変調、チャネル符号化及びインターリーブ等の処理が施された送信データである。送信データは、直並列変換部S/Pにより並列的な信号に変換される。並列的な信号の一部分は複製され、時間シフトされた後に高速逆フーリエ変換部IFFTに入力され多後に時間軸方向に巡回シフトされる。他の部分はそのまま高速逆フーリエ変換部IFFTに入力される。高速逆フーリエ変換部IFFTからの信号と巡回シフト後の信号とは合成され、ガードインターバルが付与され、並直列変換部P/Sにより直列信号に変換され、送信信号が出力される。なお、受信側は、図8に示すような波形特徴量を分析することが可能な構成により実現できる。
【0059】
上記の5.1ないし5.5において説明された方法は、それぞれ単独で使用されてもよいし、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。2つ以上の方法を組み合わせることで、任意の値のサイクリック周波数及びラグパラメータにCAFのピークを設定することができる。
【0060】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、複数の通信システムが並存する適切な如何なる状況において使用されてもよい。そのような通信システムは、例えば、W−CDMA方式のシステム、HSDPA/HSUPA方式のW−CDMAシステム、LTE方式のシステム、LTE−Advanced方式のシステム、IMT−Advanced方式のシステム、WiMAX、Wi−Fi方式のシステム等であるが、これらに限定されない。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0061】
41 アンテナ
42 送受分離部
43 受信信号取得部
44 通信品質測定部
45 波形特徴量付与部
451 干渉検知部
452 通信パラメータ制御部
46 送信信号生成部
81 アンテナ
82 送受分離部
83 受信信号取得部
84 波形特徴量抽出部
85 通信パラメータ制御部
86 送信信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、少なくとも第1の通信システムと共用する第2の通信システムにおける無線局であって、
前記第1の通信システムから受信した信号の統計的な特徴を示す波形特徴量を抽出する波形特徴量抽出部と、
抽出された前記波形特徴量が、干渉低減用に予め定められている波形特徴量であるか否かの判定結果に応じて、前記第2の通信システムにおける当該無線局の通信に使用される通信パラメータを決定する通信パラメータ決定部と、
決定された前記通信パラメータにしたがって、前記第2の通信システムにおける無線通信信号を送受信する送受信部と
を有する無線局。
【請求項2】
前記波形特徴量が、二次の周期自己相関値により表現される、請求項1記載の無線局。
【請求項3】
前記第1の通信システムから受信した信号が、直交周波数分割多重接続(OFDM)方式の信号である、請求項1又は2に記載の無線局。
【請求項4】
前記OFDM方式の信号における複数のサブキャリアが同一の信号を含む、請求項3記載の無線局。
【請求項5】
複数のサブキャリアの各々に、所定の位相回転因子が乗算されている、請求項3記載の無線局。
【請求項6】
あるサブキャリアに対応付けられている信号は、別のサブキャリアに対応付けられている信号を複製し、位相回転因子を乗算したものである、請求項3記載の無線局。
【請求項7】
ある時間に前記第1の通信システムから受信した信号の所定のサブキャリアと、別の時間に前記第1の通信システムから受信した信号の所定のサブキャリアとが、同一の信号を含んでいる、請求項3記載の無線局。
【請求項8】
前記第1の通信システムから受信した信号のうち、一部のサブキャリア成分が、別のサブキャリア成分を巡回シフトしたものに等しい、請求項3記載の無線局。
【請求項9】
少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を、少なくとも第1の通信システムと共用する第2の通信システムにおける干渉回避方法であって、
前記第1の通信システムから受信した信号の統計的な特徴を示す波形特徴量を抽出し、
抽出された前記波形特徴量が、干渉低減用に予め定められている波形特徴量であるか否かの判定結果に応じて、前記第2の通信システムにおける当該無線局の通信に使用される通信パラメータを決定し、
決定された前記通信パラメータにしたがって、前記第2の通信システムにおける無線通信信号を送受信するステップ
を有する干渉回避方法。
【請求項10】
少なくとも一部が共通する又は隣接する周波数帯域を共用する少なくとも第1及び第2の通信システムを含むシステムであって、
前記第1の通信システムにおける無線局は、
通信相手との所望信号の受信レベルを監視する監視部と、
前記受信レベルが所定値より低くなった場合に、干渉低減用に予め定められている波形特徴量を含む送信信号を作成する信号作成部と、
前記送信信号を送信する送信部とを有し、
前記第2の通信システムにおける無線局は、
前記第1の通信システムから受信した信号の統計的な特徴を示す波形特徴量を抽出する波形特徴量抽出部と、
抽出された前記波形特徴量が、干渉低減用に予め定められている波形特徴量であるか否かの判定結果に応じて、前記第2の通信システムにおける当該無線局の通信に使用される通信パラメータを決定する通信パラメータ決定部と、
決定された前記通信パラメータにしたがって、前記第2の通信システムにおける無線通信信号を送受信する送受信部と
を有するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−175195(P2012−175195A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32649(P2011−32649)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 総務省「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】