説明

無線携帯端末装置

【課題】待ち受け時に於いても端末の状態の確認が容易な無線携帯端末装置を提供する。
【解決手段】無線携帯端末装置本体3において、LCDディスプレイ4とは別に、待ち受け時に、待ち受け状態であることを間欠的に所定の表示形態で表示するLED(発光ダイオード)7を設け、待ち受け時の無線携帯端末装置の状態、例えば受信電界強度、電池の電圧または残存容量、あるいは待ち受け状態にあるサービスの種類に対応して、LED7の表示形態、例えば間欠表示周期等の時間ファクタ、または色、輝度等の視覚ファクタを変化させる。これにより、待ち受け時に於いても端末の状態の確認を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルラー、PHS、コ−ドレス電話などの無線携帯端末装置に関し、特にその待ち受け状態の表示方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種装置は、例えば特許文献1に示されているように、無線携帯端末装置に設けられたLED(発光ダイオード)で端末の状態を示すようになっている。図7は該特許の実施例で、送受話器1aと電話機本体1bとからなるコ−ドレス電話機であって、本体1b上にLED2を設け、使用中(通話中)に低電圧警報と圏外警報を、このLED2からなる一つの表示器で表示形態を変え、優先順位を付け選択的に表示したものである。
【0003】
該特許によると、低電圧警報、圏外警報という使用者に通話が危いという情報を1つの表示器で(警報音とともに)表すことができる。しかし、近年小形化し、より携帯性の向上したコードレス電話やセルラー、PHSなど待ち受け時に圏外に出る可能性が高い機器の状態を待ち受け時に表示するのには向いていない。
【0004】
これら小形の無線携帯端末装置にはLCDが設けられ、待ち受け時の情報が表示されるようになってきた。図8はこのような無線携帯端末装置の一例で、無線携帯端末装置本体3のLCDディスプレイ4上に、待ち受け時には常時電界強度を示す電界マ−ク5と電池残存容量を示す電池マ−ク6が表示され、利用者は待ち受け時にこれを見て確認できるようになっている。
【0005】
ところが、近年さらに小形化が進み、待ち受け中にLCDディスプレイ4を見ることが必ずしも容易でなくなった。例えば、ポケットの中に入れているときLCDディスプレイ4を見ることが容易でなく、また、折りたたみ形でLCDディスプレイ4が常時は見えないタイプも出現している。更に、LCDも小形であり、少し離れていると見えなかったり、LCDディスプレイ4のバックライトを省電力化するため、常時はオフとして、何らかのキー操作をしたときだけオンとして見えるようにしているため、確認が容易でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−1977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の如く、従来の装置では待ち受け時の端末の状態を確認するのが容易でなかった。そこで本発明はこの問題点を除去し、待ち受け時に於いても端末の状態の確認が容易な無線携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線携帯端末装置は、操作手段と、第1の表示手段と、前記第1の表示手段とは別に設けられた第2の表示手段と、前記操作手段の操作後または待ち受け状態に移行後一定時間経過すると前記第1の表示手段の表示をオフすると共に、少なくとも前記第1の表示手段がオフである場合、第1の無線通信方式によって待受時には第1の表示形態で、前記第1の無線通信方式と異なる第2の無線通信方式によって待受時には前記第1の表示形態と異なる第2の表示形態で、前記第2の表示手段を表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線携帯端末装置は、待ち受け時に於いても端末の状態の確認が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す外観図。
【図2】本発明の一実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を説明するためのタイムチャート。
【図4】本発明の他の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図5】本発明の他の実施形態の動作を説明するためのタイムチャート。
【図6】図3または図5に示すパルス波形の変形例を示す波形図。
【図7】従来例を示す外観図。
【図8】他の従来例を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図において、同符号は同一部分または対応部分を示す。図1は、本発明に係る無線携帯端末装置の一実施形態の構成を示す外観図であり、従来の無線携帯端末装置の構成に、LED(発光ダイオード)7を付加してある。なお、図1において、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【0012】
また、図2、及び図3は、それぞれこの実施形態の回路構成を示す機能ブロック図、及びその動作を説明するためのタイムチャートである。即ち、この実施形態の無線携帯端末装置は、図2に示すように、GSM方式無線部(GSM)8とそのアンテナ9、及びDCS1800方式無線部(DCS)10とそのアンテナ11を持つもので、2つの無線方式(周波数バンド)に対応したものである。
【0013】
図示しない基地局からの電波はこれら無線部8、10で復調され、復調された信号は信号処理部(SIG)12で音声信号に復号化され、受話器18から音声として出力される。また送話器14から入力された音声は信号処理部(SIG)12で符号化され、無線部8、10とアンテナ9、11を介して基地局に送信される。制御部(CONT)13は基地局との接続制御や端末の各種制御を行う。LCDディスプレイ4は制御部(CONT)13により表示を制御される。キー操作部15は電話番号の入力や発信操作などの入力を制御部(CONT)13に対して行う。電池16の出力は各部に供給され、電池電圧検出部(DET)17で検出された電圧情報(または残存容量情報)は制御部(CONT)13に入力される。
【0014】
受信電界はLCDディスプレイ4上に電界マ−ク5として表示されるが、この実施形態において、これをLED7に表示する場合について説明する。待ち受け時、無線部8、10の出力から受信電界強度情報は信号処理部(SIG)12により求められ、制御部(CONT)13に入力される。制御部(CONT)13は、そのレベルを判断し、LCDディスプレイ4上のバーにより3段階表示している。このバーが2本または3本のとき、図3(a)のように、制御部(CONT)13はLED7を駆動する。
【0015】
ここで一例をあげると、GSM方式やDCS1800方式のようなディジタル方式の携帯電話の場合、間欠受信することにより、待ち受け時の平均消費電流は、無線部約2mA、制御部(CONT)13/信号処理部(SIG)12で約2mAとすることができ、LCDディスプレイ4は約0.2mAとなる。一方、LED7は視認性上、オン時には約5mA流す必要がある。
【0016】
図3は、LED7を駆動する図2のラインGの信号のタイムチャートを示し、電界バー2本および3本の時、同図(a)とし、t=100ms、T=2sとする。また電界バー0本および1本の時、同図(b)とし、T=4sとする。
【0017】
従って、図3(a)のときの待ち受け時総合平均消費電流IAVE(a)は、
AVE(a)=2mA+2mA+0.2mA+0.1s/2s×5mA
=4.45mA
と、LED7を用いない場合と比べて、僅か0.25mAの増加で実現でき、図3(b)のときの待ち受け時総合平均消費電流IAVE(b)は、
AVE(b)=2mA+2mA+0.2mA+0.1s/4s×5mA
=4.325mA
となり、0.125mAしか増加しない。
【0018】
ここで(b)の場合に、周期を長く(即ち消費電流を少なく)したのは、受信電界が低いとき(即ち電界バーが少ないとき)、通話しようとすると送信出力が大きく制御され消費電流が大きくなるので、待ち受け時の消費を抑えたものである。
【0019】
電池電圧情報はLCDディスプレイ4上に電池マーク6として表示されるが、次にこれをLED7に表示する場合について説明する。この場合も、受信電界情報を示さない場合は、電池電圧が高いとき、即ち電池バーが2または3のとき図3(a)で、電池バーが1または0のとき図3(b)としてもよいが、両情報を同時に示すこともできる。即ち、受信電界と電池電圧がともに高い場合は図3(a)、受信電界が低く、電池電圧が高い場合は同図(b)、受信電界が高く、電池電圧が低い場合は同図(c)、受信電界と電池電圧がともに低い場合は同図(d)とすることができる。(c)の場合と(d)の場合は、1回毎に、交互に、LED7に5mAとその半分の2.5mAをそれぞれ供給することにより輝度を変えたものである。
【0020】
次に、図4は、2色発光ダイオード7´を使用した実施形態の場合の回路構成を示すものである。この場合、制御部(CONT)13は、例えば緑色を駆動するラインGと赤色を駆動するラインRを制御する。最も単純に制御すると、図3と同じようにしてGSM方式に赤、DCM1800方式に緑を配分すれば、現在端末がどちらのシステムで待ち受けしているかを表示することが同時にできる。
【0021】
しかし、2色とすることでさらに分かりやすい表示が可能である。図5にその例を示す。同図(a)、(b)は図3と同様であるが、GSM方式の場合である。同図(d)は、DCS1800方式の場合で、電界バーが多いときで2回に1回赤と緑をそれぞれ2.5mAで駆動して、1回毎にオレンジ色(ラインRとラインGを同時に駆動したときはオレンジ色となる。)と緑色を出し、電界バーが少ないときは、図示しないが、この周期を(d)の場合の倍にする。このように、1回毎にオレンジ色と緑色を交互に出すことによりDCS1800方式であることが分かる。
【0022】
この場合、同図(a)、(b)とする代わりに、(e)を電界バーが多いとき、(b)を電界バーが少ないときとすることもできる。同図(f)は、さらに変形した例で、(a)に対して輝度を下げるが、時間t=0.2sとして低い輝度でも見易くしたものである。
【0023】
なお、上述の説明で、GSM方式の場合は緑色を、またDCS1800方式の場合はオレンジ色と緑色を使用して表示する場合に、赤色は他の用途(例えば低電圧警告)に使用することができる。
【0024】
図5のように、周期、時間、輝度、色などの組み合わせにより、電界、電池、システム(ネットワーク名)などLCDディスプレイ4上に表示させている情報を直観的に知ることができる。これらの表示形態はさらに任意に変形できることは明らかである。例えば、電流さえ許せば、(e)の2回点灯の代わりに3回点灯でも構わないし、(f)のt=0.2sの代わりにt=0.3sとしてもよいし、組み合わせは自由である。更に、図3または図5に示すラインGとラインRの各パルス波形を、図6(a)〜(c)に示すように時間的に変化する波形のものとし、輝度を変化させてもよい。
【0025】
また、ユーザーにより、どの場合にどの表示形態をとるかを選択設定することも、一般に行われているメニュー選択により実施できるし、消費電流(図3(a)の例で0.25mA)を節約するため、周期Tをメニュー選択で設定できるようにしてもよい。
【0026】
さらに、通常はLED7または2色発光ダイオード7´で凡その状態が把握できることから、制御部(CONT)13内の図示しないタイマーにより、キー操作部15の操作後あるいは待ち受け状態に移行後、一定時間でLCDディスプレイ4をオフ、または低消費電力モードに制御すればよい。この場合LCDディスプレイ4で消費する0.2mAを削減できるので、消費電流の増加はないといえる。
【0027】
ここでいう低消費電力モードとは、例えば、一部の固定ピクトグラム(例えば図1のアンテナのマーク)だけ点灯して他は消しておくものや、LCDディスプレイ4も間欠的に点灯するものである。
【0028】
以上に説明したLED7または2色発光ダイオード7´は上述の動作に限定されて使用されるものではない。即ち上述の動作に加えて、着信時にはベル音の周期に連動して緑を点灯させ、電池が低電圧となり、充電を必要としたときは、赤を連続点灯させ低電圧警報とすることができる。
【0029】
また、上述の実施形態では、一つのLED(2色発光ダイオードの場合も含む)の場合を示したが複数のLEDを用いても構わない。ただし、目的からして1つのLEDで表示するのが最も経済的である。
【0030】
更に、上述の実施形態では、表示形態を変化させることにより、即ち色を変化させることにより、待受け時の状態として、GSM方式とDCS1800方式との別を認知することができることとしたが、これに限らず、例えば、表示形態を変化させることにより、待受け時の状態として、音声サービスとデータサービスとの別、更には、データサービスにおける、インターネットの受信、電子メールの受信、予約サービスの回答待ちなどの別を認知することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1a…送受話器
1b…電話機本体
2、7…LED(発光ダイオード)
3…無線携帯端末装置本体
4…LCDディスプレイ
5…電界マーク
6…電池マーク
7´…2色発光ダイオード
8…GSM方式無線部(GSM)
9、11…アンテナ
10…DCS1800方式無線部(DCS)
12…信号処理部(SIG)
13…制御部(CONT)
14…送話器
15…キー操作部
16…電池
17…電池電圧検出部(DET)
18…受話器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段と、
第1の表示手段と、
前記第1の表示手段とは別に設けられた第2の表示手段と、
前記操作手段の操作後または待ち受け状態に移行後一定時間経過すると前記第1の表示手段の表示をオフすると共に、少なくとも前記第1の表示手段がオフである場合、第1の無線通信方式によって待受時には第1の表示形態で、前記第1の無線通信方式と異なる第2の無線通信方式によって待受時には前記第1の表示形態と異なる第2の表示形態で、前記第2の表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする無線携帯端末装置。
【請求項2】
前記第1の表示形態と、前記第2の表示形態とは、表示色が異なることを特徴とする請求項1に記載の無線携帯端末装置。
【請求項3】
前記第1の表示形態と、前記第2の表示形態とは、表示周期が異なることを特徴とする請求項1に記載の無線携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−158037(P2010−158037A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20668(P2010−20668)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願平10−204932の分割
【原出願日】平成10年7月21日(1998.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】