説明

無線測位装置及び座標構成方法

【課題】基地局自身が、一点測位技術を用いて、他の基地局との相対的な位置を測定し(相対座標を得る)、この測定結果を統合して絶対座標に変換することにより、複数の基地局の位置関係を表す統一座標系を自動的に構築できる無線測位装置及び座標構成方法提供する。
【解決手段】本発明の無線測位装置は、複数の基地局を含み、前記複数の基地局のうち第1の基地局が送信する基準信号が、第2の基地局に含まれる前記基準信号再送信部により受信され、かつ再送信され、前記再送信された基準信号は前記第1の基地局に含まれる前記受信部で受信され、受信された基準信号に基づいて、前記第1の基地局に含まれる前記測位処理部は前記第2の基地局までの位置を測定する。そして、前記複数の基地局を相互に接続する伝送路と、前記伝送路により前記複数の基地局の各々と接続された統合処理部とをさらに備えてもいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線測位装置及び座標構成方法に関し、特にウルトラワイドバンド(Ultra Wide Band)無線を利用して、無線端末の位置を測定する無線測位装置及び座標構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された無線測位装置は、3個または4個の無線基地局を用いて端末局で受信される信号の到来時間差を利用して、無線端末の位置を検出する。
【0003】
図26は、特許文献1に記載された無線端末の位置検出を行うための測位システム全体図である。図26に示すように、測位システム1801は、複数の無線基地局1811、1812、1813と、計算サーバ1814から構成されている。各無線基地局1811、1812、1813と計算サーバ1814とは、有線ネットワーク1815を介して互いに接続されている。測位システム1801は、無線端末1810の位置座標を計測するために、無線端末1810と各無線基地局の間で送受信される測定用信号1816、1817、1818の伝搬時間差を用いる。測定用信号1816、1817、1818の信号伝搬の絶対的な時間を求めるためには、無線端末1810のクロックと無線基地局のクロックが同期している必要がある。
【0004】
しかし、一般的な無線通信を利用した測位システムでは、無線端末と無線基地局間は非同期である。このため、一般的な無線通信を利用した測位システム絶対的な伝搬時間を利用した測位(TOA:Time Of Arrival)を行うことはできない。しかし、複数の無線基地局のクロックを同期させた場合、無線端末から各無線基地局への測定用信号が到達に要した時間の差を求めることができる。そのため、相対的な伝搬時間(伝搬時間差)を利用した測位(TDOA:Time Difference Of Arrival)を行うことができる。図26に示す測位システム1801では、後者の方法で伝搬時間差を求めて、無線端末1810の位置座標を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−242122号公報(第6頁、第12頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に開示されている無線測位装置は、複数の基地局1811、1812、1813への伝搬時間差を用いて無線端末の位置測定を行うので、複数の基地局1811、1812、1813のクロックを同期させる必要がある。そのため、複数の基地局間をケーブルで接続するか、又は無線端末1810の位置座標を計測するための基地局1811、1812、1813とは別に、複数の基地局間のクロックを同期させるための基準局を設置する必要がある。
また、複数の基地局1811、1812、1813への伝搬時間差から、無線端末1810の位置を測定するためには、基地局間の相対的な位置関係を、データとしてあらかじめ保持する必要がある。そのため、各基地局の位置(統一座標)をあらかじめ測定し、各基地局へ、その位置情報を入力しなければならない
【0007】
本発明の目的は、一つの基地局で受信した信号のみから無線端末等の位置を特定することができる一点測位技術を用いて、基地局自身が、他の基地局との相対的な位置を測定し(相対座標を得る)、この測定結果を統合して絶対座標に変換することにより、複数の基地局の位置関係を表す統一座標系を自動的に構築できる無線測位装置及び座標構成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の基地局と、無線端末とから構成される無線測位装置であって、前記複数の基地局の各々は、測位のための基準信号を生成する基準信号生成部と、前記基準信号を送信する送信部と、外部からの信号を受信する受信部と、前記受信された信号に基づいて、前記信号の送信元である無線端末または基地局までの位置を算出する測位処理部と、他の基地局から送信された基準信号を受信し、再送信する基準信号再送信部とを有し、前記無線端末は、前記基準信号を受信する端末受信部と、受信した基準信号を再送信する端末送信部とを有し、前記複数の基地局のうち第1の基地局が送信する基準信号が、第2の基地局に含まれる前記基準信号再送信部により受信され、かつ再送信され、前記再送信された基準信号は前記第1の基地局に含まれる前記受信部で受信され、受信された基準信号に基づいて、前記第1の基地局に含まれる前記測位処理部は前記第2の基地局までの位置を測定する無線測位装置を提供する。そのため、各基地局は、基準信号を用いて他の基地局または無線端末との相対位置を測定することができる。
【0009】
上記無線測位装置において、前記複数の基地局を相互に接続する伝送路と、前記伝送路により前記複数の基地局の各々と接続された統合処理部とをさらに備えてもよく、前記統合処理部は、前記伝送路から情報を受信する通信部と、前記複数の基地局の各々で測定された測位結果から、前記複数の基地局の各々の位置関係を表す統一座標を作成し、前記複数の基地局の少なくともいずれかで測定された前記無線端末に関する測位結果から、前記無線端末の位置を統一座標に変換する統一座標変換部とを有する構成としてもよい。
そのため、複数の基地局間で測定した測位結果に基づき、複数の基地局の位置関係を表す統一座標を自動的に構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る無線測位装置及び座標構成方法によれば、一つの基地局で受信した信号のみから無線端末等の位置を特定することができる一点測位技術を用いて、基地局自身が、他の基地局との相対的な位置を測定し(相対座標を得る)、この測定結果を統合して絶対座標に変換することにより、複数の基地局の位置関係を表す統一座標系を自動的に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における無線測位装置の全体構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における測位の手順を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における基地局の構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における統合処理部の構成を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における基地局の構成を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における基地局リストの構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における無線測位装置の全体構成の複数の基地局の配置例を示す図
【図8】図7の基地局が有する基地局リストの一例を示す図
【図9】図9(a)、(b)は、基地局の環境に変化が生じた場合の、制御プロセッサにおける処理手順を示したフロー図
【図10】基地局が追加された場合の、本発明の実施の形態2における無線測位装置を示す図
【図11】図11(a)は基地局リスト(基地局の追加前)を示す図、図11(b)は基地局リスト(基地局の追加後)を示す図
【図12】2つの無線測位装置を結合して形成された本発明の実施の形態2における無線測位装置を示す図
【図13】本発明の実施の形態2における無線測位装置の基地局リストであって、図13(a)は、2つの無線測位装置のうち、一方の無線測位装置の基地局リストを示す図、図13(b)は、他方の無線測位装置の基地局リストを示す図、図13(c)は、2つの無線測位装置を結合して形成された新たな無線測位装置の基地局リストを示す図
【図14】基地局が相対局を変更した場合の、実施の形態2における無線測位装置を示す図
【図15】図15(a)は相対局の変更前の基地局リストの一例を示す図、図15(b)は相対局変更後の基地局リストの一例を示す図
【図16】基地局リストを分割した場合の、実施の形態2における無線測位装置を示す図
【図17】図17(a)は実施の形態2における無線測位装置の基地局リスト(分割前)を示す図、図17(b)(c)は実施の形態2における無線測位装置の基地局リスト(分割後)を示す図
【図18】本発明の実施の形態3の無線測位装置の全体構成図
【図19】本発明の実施の形態4の無線測位装置が設置される環境を示した図
【図20】本発明の実施の形態4のリーダ2001の構成を示すブロック図
【図21】測位処理部2200の内部構成を示すブロック図
【図22】(a)符号化列Mの機能を表す図、(b)符号化列Nの機能を表す図
【図23】無線端末タグ2005の構成を示すブロック図
【図24】変調部2301で変調した変調波を説明するための図
【図25】リーダ2002から送信される信号を示した図
【図26】従来の無線測位装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の無線測位装置を示した図である。図1において、無線測位装置は、一点測位が可能な第1の基地局100、第2の基地局101、第3の基地局102、第4の基地局103と、位置を測定される無線端末104と、通信を行うための有線ネットワーク105と、複数の基地局で測定した無線端末の位置情報を用いて無線端末の位置の精度を向上するための計算を行う統合処理部106で構成される。
【0014】
ここで、一点測位とは、従来例に示される装置のように、複数の基地局で受信した信号を利用して端末の位置を特定するのではなく、一つの基地局で受信した信号のみから無線端末の位置を特定する方法である。一点測位は、例えば基地局と無線端末の距離と、基地局に対する無線端末の方向を測定することにより無線端末の位置を特定する。
【0015】
第1の基地局100は、無線信号を用いて無線端末の位置を測定する機能を備える。第2の基地局〜第4の基地局101、102、103も第1の基地局100と同様に、無線端末の位置を測定する機能を備える。第1〜第4の基地局100、101、102、103は、それぞれ、設定された通信距離に対応する一定の範囲内に存在する無線端末の位置を測定する。設定された通信距離は、信号電力が減衰、壁、パーティションなどによる遮蔽、曲がった廊下など、無線端末が存在するエリアの伝搬環境条件により、ある範囲内に限定される。ここで、基地局、無線端末がUWB無線信号を使用するとすれば、送信電力の制約からその位置測定範囲は基地局を中心とする半径10〜30mと考えられる。
【0016】
そこで、移動無線端末の位置をより広い範囲で測定するために、図1のように複数の基地局を設置する。この時、隣接する基地局間の距離は、隣接する基地局が送信する信号を受信することができる間隔とする。例えば、基地局の位置測定可能エリアが基地局を中心として10m〜30m離れた範囲で有るとすると、基地局の位置測定可能エリアがお互いに接する範囲に置かれる場合が、距離について最悪条件となる。その場合、基地局は、自局を中心として20m〜60m離れた範囲で測位が可能である必要がある。一例として、複数の基地局は、一例として天井に離散的に配置され、お互いに伝搬直線距離が短く、見通し可能な伝搬である様な環境では、上述のように、距離についても最悪条件より緩和され、損失においてもリンクバジェットで考慮すべきマージンより少なくなる。しかしながら、基地局の配置は、必ずしも見通し可能な環境(Line of Site)に限定はされない。特に、基地局は一度設置された場合には、お互いに固定されているため、相対位置変化しない。このため、通信時間に比較して長時間の信号積分を用いることにより、信号感度を改善することができる。このため、例えば基地局が地上4mの高さに、互いに20m程度離れて設置される、すなわちそれぞれの測位エリアが半径10mでオーバーラップするような配置において、基地局を配置できる例が典型的な配置と考えられる。
【0017】
図2を用いて、無線端末104の位置を測定する方法について説明する。図2は、無線端末104の位置を測定するために、第1の基地局100と無線端末104との間で行われるやり取りを示したフロー図である。無線端末の位置を測定するために、第1の基地局100と無線端末104とで無線信号をやり取りする。無線信号を用いた位置測定方法はいくつか存在するが、一点測位を行う一例として、基地局が無線端末から受信する信号の距離と角度を求める方法で行う。
【0018】
図2の手順200において、第1の基地局100は、無線端末104へ基準信号を送信する。基準信号は、例えば、送信される時間の短いUWBパルス信号や、M系列のような自己相関特性の高い信号などを用いることができる。ここでは例としてUWBパルス信号を用いたパッシブ方式またはセミパッシブ方式であることを前提として説明する。
【0019】
手順201において、無線端末104は、第1の無線基地局100から送信された基準信号を受信する。無線端末104は、基地局からの受信信号を増幅する。
【0020】
次に、手順202において、増幅した第1の基地局100から受信した基準信号を再び第1の基地局へ送信する。
【0021】
次に、手順203において、無線端末104からの返信を第1の基地局100で受信する。このように、第1の基地局100から送信された基準信号は、無線端末104で増幅され後に反射され、再び第1の基地局100で受信される。
【0022】
次に、手順204において、第1の基地局100は、基準信号が第1の基地局100から送信されてから、無線端末104で反射され、再び第1の基地局100で受信されるまでに要した到来時間を測定する。
【0023】
次に、手順205において、測定した到来時間から、第1の基地局100と無線端末104との距離を算出する。以上の手順で、基地局から無線端末までの距離を求めることができる。
【0024】
手順206において、第1の基地局100で受信される無線端末104からの到来波の到来方向を求める。到来方向の算出には、複数の受信アンテナを用いて、それぞれの受信アンテナで受信される信号の位相差から到来方向推定アルゴリズムを用いて求める方法を用いる。各アンテナで受信された到来波の位相から到来方向を推定する方法としては、例えば、MUSIC(Uultiple Signal Classfication)法やESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法が挙げられる。単純に複数受信信号を合成してビームスイープして最大受信方向を求める方法も一般的である。以上の手順で第1の基地局100から無線端末104までの距離と、無線端末104から送信される信号を第1の基地局100で受信した時の到来方向を求めることによって、無線端末104の位置を測定することができる。
【0025】
次に、図1を用いて、無線測位装置における複数の基地局の位置検出について説明する。図1において、第1〜第4の基地局100、101、102、103は、それぞれ有線ネットワーク105、例えばイーサネット(登録商標)ケーブルで相互に接続され、さらに統合処理部106と接続されている。第1の基地局100で測定された無線端末104の位置情報は、有線ネットワーク105を介して、統合処理部106へ送信される。統合処理部106は、複数の基地局で測定された無線端末の位置情報を集め、一つの統一座標にまとめる処理を行う。この統一座標を絶対座標とする
【0026】
ここで、統合処理部106が統一座標にまとめる処理を行うためには、設置された複数の基地局の位置が検出されていることが必要である。以下に、基地局の座標を得て統一座標を作成する方法を説明する。複数の基地局が存在する場合、まず、座標軸(原点)を決定する必要がある。図1に示す例においては、第1の基地局100の位置を原点とした座標を作成する。1つの基地局を基準点に設定することにより、複数の基地局の絶対座標をあらかじめ求めておく必要のある従来の技術と比較して、容易に、基地局の位置関係を表す座標系を定めることができる。
【0027】
なお、原点の決定は、第1の基地局100に限られるものではなく、他の基地局が原点になっても良い。これにより基地局を構成する場合に、どれか一つの基地局を原点とすればいいので、基地局自体の機器を変更することなく測位範囲の変更が容易に行える。
【0028】
第1の基地局100の位置に原点を決めると、第2の基地局101において測定されるデータは、第1の基地局100を原点とする座標に対して第2の基地局101の位置座標をオフセットすることにより測定されることになる。そこで、第2の基地局101の原点からの座標を求め、この第2の基地局101の座標を用いて、第2の基地局101で測定された結果を補正することで、第2の基地局101で測定された端末104の位置を第1の基地局100の位置を基準とする統一座標に変換することができる。
【0029】
第2の基地局101は、原点との相対座標を得るために、第1の基地局100の位置を測位する。測位の方法は図2で説明したフロー図と同様である。基地局は、隣接する基地局の測位を可能とするために、第1乃至第4の無線基地局100、101、102、103は、それぞれ、無線端末104と同様の構成を備える。または、無線端末104と同様の構成の端末を第1乃至第4の基地局の内部に有しても良い。
【0030】
次に、測位の手順を説明する。第2の基地局101は、測位のための基準信号を送信する。第1の基地局100は、第2の基地局101から送信された基準信号を受信し、受信した信号を増幅した後に反射信号として送信する。第2の基地局101は、第1の基地局100において増幅され反射された基準信号を受信し、受信した信号から到来波の距離と到来角度を求めることで、第1の基地局100の位置を特定する。
【0031】
以下同様に、第3の基地局102は、隣接する第2の基地局101の位置を測定するために基準信号を送信する。第3の基地局102から送信された基準信号は、第2の基地局101で受信され増幅された後に、反射信号として送信される。第3の基地局102は、第2の基地局101において増幅され反射された基準信号を受信し、受信した信号から到来波の距離と到来角度を求めることで第2の基地局101の位置を特定する。
【0032】
この時、第3の基地局102は、隣接基地局として第1の基地局100と第2の基地局101が測位のために送信する基準信号が到達することができる範囲に存在するものとする。このため、相対座標を得るための基地局が二つ存在するが、どちらの基地局から相対座標を得てもかまわない。例えば第1の基地局100の位置を測位し第1の基地局100から相対座標を得ることで原点と補正を行うことも可能であるし、第2の基地局101の位置を測位し第2の基地局101からの相対座標を得た場合でも、第2の基地局101は、第1の基地局100を測位し基地局100との相対座標を得ているので、第3の基地局102は、間接的に第2基地局101を経由し、原点と補正を行うことができる。
【0033】
なお、第3の基地局102は、基準信号が到達することができる範囲内に存在する二つの隣接基地局の一方を選択し相対座標を求めたが、これに限らず、両方の基地局を測位し両方の基地局との相対座標を求めても良い。この場合、二つの相対座標を用いて合成することにより測定精度を高めることができる。二つのデータを合成する方法には、測定結果の平均を算出する方法や、到来波の受信電力を用いて重み付け合成する方法を用いる。
【0034】
次に、第4の基地局103は、隣接する第2の基地局101の位置を測定するために基準信号を送信する。第4の基地局103から送信された基準信号は、第2の基地局101で受信され増幅された後に、反射信号として送信される。第4の基地局103は、第2の基地局101において増幅され反射された基準信号を受信し、受信信号から到来波の距離と到来角度を求めることで第2の基地局101の位置を特定する。このようにそれぞれの基地局が隣接する基地局を測位することで得た相対座標のデータは、有線ネットワーク105を介して統合処理部106へ送信される。統合処理部106は、それぞれの基地局で測定された隣接基地局の相対座標を用いて、一つの基地局の位置を原点とした統一座標を作成する。図1の場合、例として第1の基地局100を原点としている。この方法により、それぞれの基地局は、隣接基地局の位置を測位することで、複数の基地局を一つの座標系上にマッピングすることができるので、一つの基地局の測位できる範囲に限りがある場合でも、大きな範囲を持った座標系を作成することができる。
【0035】
統合処理部106は、各基地局で測定された無線端末の位置を、上記に説明した統一座標上の座標へ変換する処理を行う。つまり、それぞれの基地局においては、自基地局の範囲内に存在する無線端末の位置に関して自基地局を原点とした座標で測定し、測定した座標のデータを統合処理部へ送信すればよく、それぞれの基地局で統一座標を保持する必要は無い。よって、各基地局の構成や位置が変更された場合でも、統一座標を容易に再構築することが可能である。
【0036】
図3は、第1の基地局100の内部構成を示したブロック図である。第1の基地局100は、測位のための基準信号を生成する基準信号生成部300と、基準信号を無線信号に変換する送信部301と、送信アンテナ302と、外部からの信号を受信するためのアレーアンテナ303と、無線端末からの反射信号を受信する受信部304と、受信部304で受信した信号から、その信号の送信元である無線端末または基地局までの距離と到来方向を算出する測位処理部305と、基地局及び無線端末からの反射信号の確からしさを算出する尤度算出部306と、他の基地局及び統合処理部とデータ通信を行う通信部307と、他の基地局から送信された基準信号を反射し送信するセミパッシブタグ308とで構成される。
【0037】
図3を用いて基地局の動作を説明する。基準信号生成部300は、測位に使用する基準信号を生成する。ここでは例としてUWBパルス信号を用いる。
【0038】
送信部301は、基準信号生成部で生成した基準信号のベースバンド信号を無線周波数の信号に変換する。この時、増幅、帯域制限等の処理を送信部301で行う。送信アンテナ302は、送信部301で無線周波数に変換された基準信号を空間に送信する。アレーアンテナ303は、無線端末及び基地局からの反射信号を受信する。
【0039】
受信部304は、アレーアンテナ303で受信された無線信号をベースバンド信号に変換する。この時、増幅、帯域制限等の処理を受信信号に対して施す。
【0040】
測位処理部305は、受信部でベースバンド信号に変換された基準信号を入力とする。測位処理部305は、反射信号の送信元である無線端末又は基地局までの距離を、別途生成される制御信号の入力に応じて基準信号を用いて求める処理と、アレーアンテナに含まれる、異なるアンテナ素子で受信された基準信号から、基準信号の到来方向を算出し、通信部307へ入力する。距離を求める方法は、前述したように基準信号を送信してから無線端末及び基地局で反射し、反射信号が受信されるまでの時間を測定する。到来方向の測定方法は、前述したように、複数のアンテナで反射信号を受信した信号を用いて到来方向推定アルゴリズムにより算出する。
【0041】
尤度算出部306は、受信部304から出力されるベースバンド信号に変換された基準信号を入力とする。尤度算出部306は、到来波から求めた測位結果の確からしさを表す尤度を算出する。尤度としては、受信電力を基準に算出する方法が考えられる。
【0042】
ここで、尤度とは、求めた測位結果の確からしさを表す値である。到来波の受信電力に注目すると、受信電力の高い到来波は、雑音の影響を受けにくいため、この到来波を用いて求めた測位結果は正確な値が得られる可能性が高い。しかし、受信電力の低くなればなるほど雑音の影響が大きく受けるため、測位結果の信頼性が低くなる。この特性を利用し、尤度算出部306は、到来波の受信電力を求めた測位結果の尤度として出力する。なお、尤度の例として受信電力を用いる場合を示したが、これに限るものではなく、到来波の特性を現したものであればよい。
【0043】
通信部307は、測位処理部305から出力される測位結果と尤度算出部306から出力される尤度を有線ネットワーク105に送信する。なお例として、通信部307は、有線ネットワークを対象としたが、これに限るものではなく、無線LANのような無線ネットワークを用いてもよい。この場合、基地局の設置容易性が向上する。基地局を追加或いは削除する場合において、ネットワークを設置或いは撤去する必要が無い。基地局の位置を変更する場合においても、ネットワークの変更の手間を省くことができる。
【0044】
セミパッシブタグ308は、無線端末104と同様の構成である。なお、このセミパッシブタグは、基準信号再送信部と称してもよい。セミパッシブタグ308は、基地局から送信される測位のための基準信号を受信し増幅処理を行った後に、再び基地局へ送信する。セミパッシブタグ308は、隣接基地局から測位する場合に用いる。隣接基地局は、測位する対象の基地局のセミパッシブタグに対して測位基準信号を送信し、送信した信号がセミパッシブタグにより反射して自基地局へ返ってくる信号を受信する。この信号の距離と到来方向を測定することで、隣接基地局の位置を測定できる。すなわち、無線端末104と同様の構成を基地局に備えることにより、他の基地局から、該基地局の位置を測定できる構成である。
【0045】
次に、図1の統合処理部106について、図4を用いて説明する。統合処理部106は、複数の基地局において測定されたデータを、統一座標にまとめる処理を行う。図4は、統合処理部106の構成を示したブロック図である。統合処理部106は、通信部400と、基地局座標生成部401と、統一座標変換部402と、合成部403で構成される。
【0046】
通信部400は、有線ネットワーク105と接続され、基地局とのデータのやり取りを行う。通信の方式としては例えばイーサネット(登録商標)やワイヤレスLAN(Wireless LAN)などがある。通信部400は、複数の基地局の各々から測位結果のデータを受信したり、統一座標に変換されたデータを各基地局へ送信したりする。なお、各基地局で得られた測位結果は、それを測定した基地局に固有の識別IDが付加されて、送信される。なお、無線端末104も、受信した信号を増幅して、反射信号として送信する際に、自端末に固有の識別IDを付加して送信する。
【0047】
基地局座標作成部401は、通信部400で受信した測位結果の中から、識別IDが「基地局」を表す測位結果を抽出する。抽出した測位結果から、ある基地局を原点として、それ以外の基地局の位置を表す統一座標を作成する。このとき、一つの識別IDについて、複数の測位結果が存在する場合がある。ここで、例えば基地局の送出信号をスペクトル拡散することにより、各基地局が符号分割多重をしている場合においては、基地局間の時間同期をする必要が無く、それぞれの基地局からの信号に対して無線端末が自IDを付加してそれぞれの基地局に返送している。これは、一つの基地局を複数の基地局が測位したことを表す。一つの識別IDに対して複数の測位結果が存在する場合は、それらの平均を算出することや、尤度算出部306が出力する尤度を用いて重み付け合成を行うことができる。平均処理や合成処理を行うことにより、ある基地局を原点とした、より精度の高い統一座標を作成することができる。
【0048】
統一座標変換部402は、基地局座標生成部401において生成された各基地局の統一座標と、通信部400から出力される、無線端末の位置を表す測位結果を入力とする。統一座標変換部402は、測位結果の中から基地局以外の識別IDを示す結果を抜き出し、その無線端末を測位した基地局の統一座標をもちいて、無線端末の測位結果を統一座標上の点に変換する。
【0049】
合成部403は、合成部に入力される測位結果を合成する。合成は、同じ無線端末の識別番号(ID)を持った測位結果で、異なる基地局で測定されたものについて行う。合成の方法は、複数の基地局で測定された同じ無線端末IDを示す結果の平均を演算する方法や、測位と同時に尤度算出部306において算出した尤度を用いて測位結果を重み付け合成する方法がある。重み付け合成に使用する尤度としては、測位に用いた到来波の受信電力がある。平均処理、或いは尤度合成処理を測位結果に施すことにより、測位結果の精度を高めることができる。これは、各基地局の位置を一つの座標系で表すことで、複数の基地局で測定された結果を関連づけることができるため、実現できる。
【0050】
図5は、図1における無線端末104の内部構成を示した図である。無線端末104は、アンテナ1001と、サーキュレータ1002と、増幅器1003で構成される。
【0051】
アンテナ1001は、基地局から空間に送信される基準信号を受信する。受信した信号はサーキュレータ1002へ入力される。
【0052】
サーキュレータ1002は、アンテナから入力される信号を増幅器1003へ送り、増幅器1003から出力される信号をアンテナ1001へ送る。サーキュレータは入力信号を一方向にのみ通す機能を有する電子部品である。したがって、アンテナから入力された信号が増幅器の出力へ送られることと、増幅器の出力が増幅器の入力に送られることは無い。
【0053】
増幅器1003は、サーキュレータを通ったアンテナで受信された基地局からの信号を入力される。入力された信号は増幅され、増幅器1003から出力される。増幅器から出力された信号はサーキュレータのアンテナからの入力とは別の端子から入力され、アンテナ1001へ送られる。
【0054】
アンテナ1001は、サーキュレータから送られてくる信号を空間へ送信する。
【0055】
このように、無線端末104では、入力信号を増幅して再び送信する。これにより、基地局から送信される基準信号を受信し、再び基地局へ送信することができる。
【0056】
なお、図5に示す無線端末104は、送受信アンテナを共用する構成だが、これに限らない。無線端末104は、送受信用にそれぞれ、アンテナを設けても良い。
【0057】
なお、図5の示す無線端末104は、受信信号を増幅し再び送信する構成だが、これに限らない。無線端末104は、受信信号を検波しベースバンド信号に変換した後、再び無線信号にアップコンバートし、増幅、再送信する構成としても良い。この場合、検波してダウンコンバートする受信部と、無線信号にアップコンバートし、増幅する送信部とで構成される。
【0058】
以上に説明したように、測位される無線端末と同様の構成の無線タグを一点測位の基地局に搭載することにより、基地局同士の測位結果を利用して、複数の基地局の統一座標を、あらかじめ設定することなく自動的に構築することができる。また、一度構築した座標系において、新たな基地局の追加や、既存の基地局の削除を行った場合に、自動的に統一座標を再構築することができる。これにより機器の設置容易性が高まる。さらに、作成した統一座標を用いて、複数の基地局で測定された結果に平均処理や重み付け合成処理を施すことにより、測定結果の精度を向上させることができる。
なお、統一座標を作成するときに、基地局を測位した結果を用いるだけでなく、無線端末の測位結果を用いてもよい。複数の基地局から測位できる位置に無線端末を配置し、複数の基地局から無線端末を測位する。それぞれの基地局で測定した無線端末の測位結果が一致するように統一座標を作成、或いは補正する。これにより、隣接する基地局がお互いに電波が到達できない距離にある場合でも、無線端末を隣接する基地局の両方に電波が到達できる距離に配置し、無線端末の測位結果を利用して統一座標を作成することができる。或いは、複数の基地局から測位した無線端末の結果を用いて統一座標を補正することで、統一座標を作成する精度を向上することができる。
なお、統一座標を作成するときに、一つの無線端末を利用する方法を示したが、これに限るものではなく、無線端末を複数利用してもよい。複数端末の測位結果を用いて統一座標を作成することで、作成する統一座標の精度を向上させることができる。
【0059】
本実施の形態で説明した構成により、本願発明にかかる基地局は、基地局と無線端末を区別することなく測位することができる。これにより、基地局は、基地局か無線端末のどちらの測位結果であるかを意識することなく、統合処理部に情報を送信すればよい。ただし、送信内容には、測位結果のそれぞれに、測位対象を示す識別IDが付加されている。
【0060】
統合処理部は、測位結果に付加されている識別IDから基地局の測位結果であるか無線端末の測位結果であるかを判断し、基地局の測位結果を利用して統一座標を構築することができる。基地局は、基地局か無線端末の測位結果であるかを意識しないので、基地局が追加或いは削除された場合でも、設定を変更する必要は無い。基地局が追加或いは削除された場合、統合処理部で統一座標を再作成すればよいので、基地局の設置容易性が高まる効果がある。
【0061】
(実施の形態2)
以下に、図6〜図17を参照し、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1と重複する部分について、同じ符号を用いてその説明を省略し、構成が異なる部分について、その機能と動作の説明を行う。実施の形態2の無線測位装置は、基地局が自立分散的に統一座標を作成する方法を説明する。また、一度構築した統一座標においても、新たな基地局の追加や、既存の基地局の削除等の基地局の環境に変化が生じた場合に、自律分散的に、統一座標を再構築することができる。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態2における無線測位装置の一例を示す図である。図6に示す実施の形態2の無線測位装置は、一点測位が可能な複数の基地局A〜基地局Gと、位置を測定される無線端末104と、通信を行うための有線ネットワーク105と、複数の基地局で測定した無線端末の位置情報を用いて無線端末の位置の精度を向上するための計算を行う統合処理部106とで構成される。図6の矢印(点線)先の基地局が、測位の対象となる基地局(相対局)であることを示す。
【0063】
ここで、一点測位とは、従来例に示される装置のように、複数の基地局で受信した信号を利用して端末の位置を特定するのではなく、一つの基地局で受信した信号のみから無線端末の位置を特定する方法である。一点測位は、例えば基地局と無線端末の距離と、基地局に対する無線端末の方向を測定することにより無線端末の位置を特定する。
【0064】
基地局A〜Gは、実施の形態1の基地局同様、無線信号を用いて無線端末の位置を測定する機能を備える。基地局A〜基地局Gは、それぞれ、設定された通信距離に対応する一定の範囲内に存在する無線端末の位置を測定する。設定された通信距離は、信号電力が減衰、壁、パーティションなどによる遮蔽、曲がった廊下など、無線端末が存在するエリアの伝搬環境条件により、ある範囲内に限定される。
【0065】
そこで、移動無線端末の位置をより広い範囲で測定するために、図6のように複数の基地局A〜Gを設置する。この時、隣接する基地局間の距離は、隣接する基地局が送信する信号を受信することができる間隔とする。また、複数の基地局は、一例として天井に離散的に配置され、お互いに伝搬直線距離が短く、見通し可能な伝搬である様な環境が想定されるが、必ずしも見通し可能な環境(Line of Site)に限定はされない。
【0066】
ここで、基地局の位置を測位する方法は、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。また、同様に、実施の形態2において、無線端末104の位置を測定する方法は、実施の形態1の手順(図2)と同じであるため、その説明を省略する。
【0067】
次に、図7を参照し、実施の形態2の基地局の内部構成を説明する。図7は、実施の形態2の基地局Aの内部構成を示したブロック図である。
ここで、実施の形態2の基地局Aの内部構成が、図3に示す第1の実施の形態の第1の基地局100の内部構成と異なる点は、実施の形態1の第1の基地局100の内部構成に加えて、隣接基地局が送信する基準信号から基地局の識別番号(ID)を取得するビーコン復調部500と、基地局の相対座標を保持した基地局リスト501と、基地局リスト501の情報を追加・削除等を管理するリスト管理部502と、基準信号生成部300、測位処理部305、尤度算出部306、ビーコン復調部500、及びリスト管理部502制御する制御プロセッサ503を備える点である。なお、ビーコン復調部500は、基地局識別番号取得部と称してもよい。
【0068】
制御プロセッサ503は、基準信号を送信する命令を基準信号生成部300へ出力する。基準信号生成部300は、制御プロセッサ503からの命令を受けて、測位に使用する基準信号を生成する。ここでは例としてUWBパルス信号を用いる。送信部301は、基準信号生成部で生成した基準信号のベースバンド信号を無線周波数の信号に変換する。この時、増幅、帯域制限等の処理を送信部301で行う。送信アンテナ302は、送信部301で無線周波数に変換された基準信号を空間に送信する。
【0069】
アレーアンテナ303は、無線端末及び基地局からの反射信号を受信する。受信部304は、アレーアンテナ303で受信された無線信号をベースバンド信号に変換する。この時、増幅、帯域制限等の処理を受信信号に対して施す。
【0070】
測位処理部305は、制御プロセッサ503からの命令に基づき、反射信号の送信元である無線端末又は基地局までの距離を、別途生成される制御信号の入力に応じて基準信号を用いて求める処理を行う。また、測位処理部305は、制御プロセッサ503からの命令に基づき、アレーアンテナに含まれる異なるアンテナ素子で受信された基準信号から、基準信号の到来方向を算出し、制御プロセッサ503へ入力する。距離を求める方法は、前述したように基準信号を送信してから無線端末及び基地局で反射し、反射信号が受信されるまでの時間を測定する。到来方向の測定方法は、前述したように、複数のアンテナで反射信号を受信した信号を用いて到来方向推定アルゴリズムにより算出する。
【0071】
ビーコン復調部500は、通信部307から出力されるベースバンド信号に変換された基準信号を入力とする。ビーコン復調部500は、基準信号に載せて送信される各基地局に割り当てられた個別の基地局のIDを復調し、制御プロセッサ503へ基地局IDを出力する。これにより、基準信号がどの基地局から送信された信号であるかを識別することができる。基準信号を識別することにより、自基地局の周りに存在する隣接基地局を区別することができるため、相対座標を取得することができる隣接基地局を選択することができる。
【0072】
尤度算出部306は、受信部304から出力されるベースバンド信号に変換された基準信号を入力とする。尤度算出部306は、到来波から求めた測位結果の確からしさを表す尤度を算出する。尤度としては、受信電力を基準に算出する方法が考えられる。ここで、尤度とは、求めた測位結果の確からしさを表す値である。到来波の受信電力に注目すると、受信電力の高い到来波は、雑音の影響を受けにくいため、この到来波を用いて求めた測位結果は正確な値が得られる可能性が高い。しかし、受信電力の低くなればなるほど雑音の影響が大きく受けるため、測位結果の信頼性が低くなる。この特性を利用し、尤度算出部306は、到来波の受信電力を求めた測位結果の尤度として出力する。なお、尤度の例として受信電力を用いる場合を示したが、これに限るものではなく、到来波の特性を現したものであればよい。
【0073】
制御プロセッサ503は、測位処理部305から出力される測位結果と、ビーコン復調部500から出力される基地局IDと、尤度算出部306から出力される尤度とを入力とし、通信部307へこれら情報を出力する。制御プロセッサ503は、統一座標を作成する制御を行う。制御方法は後述する。
【0074】
基地局リスト501は、統一座標に存在する基地局の情報のリストである。リストには基地局ID、相対座標を取得した隣接基地局のID、隣接基地局の測位結果、原点を表すフラグが格納されている。このリストを全ての基地局で共有することで、どの基地局を経由すれば原点座標まで到達するかを調べることができる。
【0075】
図8は、図6に示す無線測位装置の基地局リスト501を示す図である。図8に示す基地局リスト501は、左から右へ順に基地局ID、相対局ID、相対局の測位結果、及びMasterフラグから構成される。基地局IDは、基地局の識別番号を表す。また、列方向は同じ基地局IDのデータを表す。相対局IDは、基地局が隣接基地局を測位し相対座標を取得した基地局の識別番号を表す。相対局の測位結果は、相対局IDの基地局の位置座標(x、y)を測位した結果である。Masterフラグは、基地局が原点の位置に存在するかどうかを示すフラグで、Masterフラグが1の場合、その基地局が原点の位置にあることを表し、Masterフラグが0の場合、その基地局は原点の位置ではない。例えば、図8に示す基地局リスト501の1行目を参照すると、基地局IDが1である基地局(図6の基地局A)は、相対局IDと相対局の測位結果は有しない。したがって、基地局Aは、図6に示すにように、座標軸(原点)に存在することを示す。基地局AのMasterフラグは、1となる。
【0076】
また、図8に示す基地局リスト501の2行目を参照すると、基地局IDが2である基地局(図6の基地局B)は、相対局IDが1であり、その相対局の測位結果は、x軸が−10、y軸が−10である。したがって、基地局Bは、基地局Bの相対局である基地局Aに対して、x軸方向へ−10、y軸方向へ−10移動した場所に位置する。そして、基地局Bは、座標軸(原点)に存在しないので、基地局BのMasterフラグは、0となる。
【0077】
同様に、図8には、基地局IDがそれぞれ3〜7である複数の基地局のそれぞれ(図6の基地局C〜基地局G)について、相対局ID、相対局の測位結果、及びMasterフラグが示されている。したがって、基地局は、基地局リスト501を参照することで、基地局リスト501にある相対局及びその相対局に対する相対的な位置を認識できる。なお、図8の基地局リスト501では、一例として相対局の測位結果を2次元の直交座標(x軸、y軸)で示しているが、これに限らず、相対局の測位結果を3次元の座標軸(x軸、y軸、z軸)で示しても良い。
【0078】
リスト管理部502は、制御プロセッサ503からの制御信号を入力とし、基地局リスト501の読み込み、追加、削除といった基地局リスト501の管理を行う。また、リスト管理部502は、制御プロセッサ503を介して、通信部307に接続される。これにより、有線ネットワーク105を介して、統合処理部106及び他の基地局に接続されている。基地局リスト501に新たな基地局を追加又は既存の基地局を削除した場合、基地局リスト501は、有線ネットワーク105を介して全ての基地局にブロードキャストされる。基地局リスト501をブロードキャストすることにより、統合処理部106及び他の全ての基地局で最新の基地局リストを共有することができる。
【0079】
通信部307は、制御プロセッサ503からのデータを有線ネットワーク105に送信する。また、他の基地局や統合処理部106から送信されるデータを制御プロセッサ503へ送信する。なお例として、通信部307は、有線ネットワークを対象としたが、これに限るものではなく、無線LANのような無線ネットワークを用いてもよい。この場合、基地局の設置容易性が向上する。基地局を追加或いは削除する場合において、ネットワークを設置或いは撤去する必要が無い。基地局の位置を変更する場合においても、ネットワークの変更の手間を省くことができる。
【0080】
セミパッシブタグ308は、無線端末104と同様の構成である。セミパッシブタグ308は、基地局から送信される測位のための基準信号を受信し増幅処理を行った後に、基地局へ再送信する。セミパッシブタグ308は、隣接基地局から測位する場合に用いる。隣接基地局は、測位する対象の基地局のセミパッシブタグに対して測位基準信号を送信し、送信した信号がセミパッシブタグにより反射して自基地局へ返ってくる信号を受信する。この信号の距離と到来方向を測定することで、隣接基地局の位置を測定できる。
【0081】
なお、実施の形態2の無線端末104の構成は、実施の形態1の無線端末104及び統合処理部とそれぞれ同じであり、その説明を省略する。また、統合処理部106の構成は同様であるが、基地局座標生成部401において、基地局リストを用いて統一座標を作成する点が異なる。
【0082】
次に、図9〜図17を用いて、実施の形態2の無線測位装置において、新たな基地局の追加や、既存の基地局の削除等の基地局の環境に変化が生じた場合に、複数の基地局の位置検出を行うための処理について説明する。なお、基地局の動作の説明のため、図10、図12、図14、図16に示す実施の形態2の無線測位装置では、各基地局のみを示して、無線端末104、各基地局を統合処理部106に接続する有線ネットワーク105、及び統合処理部106を省略する。また、これ以降、実施の形態2の説明では、基地局IDがn(n;自然数)である基地局を「基地局IDn」と記載する。
【0083】
図9(a)、(b)を参照して、実施の形態2の無線測位装置において、新たな基地局の追加や、既存の基地局の削除等の基地局の環境に変化が生じた場合に、各基地局の位置の検出するための各基地局の制御プロセッサ503で行われる処理を、説明する。図9(a)、(b)は、基地局の環境に変化が生じた場合の基地局の制御プロセッサ503における処理の手順を示したフロー図である。図9(a)、(b)では、基地局リストを単にリストと表記する。
【0084】
制御プロセッサ503は、自律分散的に統一座標を構築するために、測位処理部305から出力される測位結果と、ビーコン復調部500から出力される基地局IDと、尤度算出部306から出力される尤度とを入力とし、通信部307へこれら情報を出力する。
【0085】
まず、制御プロセッサ503は、統一座標を構築するための処理を開始する。
【0086】
手順701において、各基地局は、隣接基地局から測位のために送信される基準信号から基地局IDを取得する。
【0087】
次に、分岐703において、自基地局が基地局リストを保持しているかを確認する。自基地局が基地局リストを保持していない場合(NO)、分岐705へ進む。自基地局が基地局リストを保持している場合(YES)分岐719へ進む。
【0088】
次に、分岐705において、自基地局が保持する基地局リストに隣接基地局が存在するか否かと、隣接基地局が存在した場合に、その隣接基地局自身が基地局リストを保持しているかを判定する。
【0089】
(基地局の初期動作)
分岐705において、自基地局が保持する基地局リストに隣接基地局が存在しない場合(NO)、または隣接基地局は存在するが、隣接基地局自身が基地局リストを保持していない場合(NO)、手順707へ進み、自基地局が原点に位置するように、基地局リストを作成する。そして、手順709へ進み、有線ネットワーク105を介して作成したリストをブロードキャストし、処理を終了する。ここで、隣接基地局の存在の有無については、手順701において取得した基地局IDが、自基地局の基地局リストに載っているか否かで判定できる。この処理により、統一座標が存在しない場合に、自基地局が原点となる統一座標を新規に作成することができる。
【0090】
(基地局の追加)
また、分岐705において、自基地局が保持する基地局リストに隣接基地局が存在し、かつ隣接基地局自身が基地局リストを保持している場合(YES)、手順711へ進み、隣接する基地局から有線ネットワーク105を介して、隣接基地局が保持する基地局リストを、自基地局の基地局リストにコピーする。
【0091】
そして、手順713へ進み、隣接する基地局までの位置を測定する。
次に、手順715へ進み、コピーした基地局リストに隣接基地局の位置情報を追加する。このように、自基地局が保持する基地局リストは更新される。
【0092】
最後に、手順717へ進み、更新された基地局リストをブロードキャストし、処理を終了する。手順701、703、705、711、713、715で示す処理により、例えば、基地局を1台追加した場合に、既存の統一座標に自基地局を追加することができる。
【0093】
(リストの結合)
分岐703において、自基地局が基地局リストを保持しているかを確認する。自基地局が基地局リストを保持している場合(YES)、分岐719へ進む。
【0094】
次に、分岐719において、さらに、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局が存在するか否かを確認する。自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局が存在する場合、手順721へ進む。
【0095】
手順721において、有線ネットワーク105を介して、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局から、その隣接基地局が保持する基地局リストを自基地局のリストにコピーし、分岐723へ進む。
【0096】
次に、分岐723において、自基地局が存在する基地局リスト内で座標軸(原点)に位置する基地局IDと、自基地局が存在しない隣接基地局のリスト内で他の座標軸(他の原点)に位置する基地局IDとを比較する。そして、基地局IDの比較の結果、自基地局が存在する基地局リスト内で座標軸(原点)に位置する基地局のIDが、自基地局が存在しない隣接基地局のリスト内で、他の座標軸(他の原点)に位置する他の基地局のIDよりも大きい場合(YES)、手順725へ進む。
【0097】
次に、手順725において、自基地局は、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局の位置を測定し、手順727へ進む。
【0098】
次に、手順727において、自基地局は、隣接基地局の位置情報及び自基地局の情報を、隣接基地局の基地局リストに追加し、手順729へ進む。
【0099】
次に、手順729において、自基地局は、自基地局の基地局リストから自基地局の情報を削除し、手順731へ進む。
【0100】
最後に、手順731において、有線ネットワーク105を介して、自基地局の基地局リスト及び隣接基地局の基地局リストをブロードキャストし、処理を終了する。なお、手順723において、基地局IDの比較の結果、自基地局が存在する基地局リスト内で座標軸(原点)に位置する基地局のIDが、自基地局が存在しない隣接基地局のリスト内で、他の座標軸(他の原点)に位置する他の基地局のIDよりも小さい場合(NO)、処理を終了する。
【0101】
(相対局の変更)
分岐719において、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局が存在しない場合、分岐733へ進む。
【0102】
次に、分岐733において、自基地局の基地局リストに、自基地局の相対局の存在を確認する。存在する場合(YES)は、処理を終了する。存在しない場合(NO)は、分岐735へ進む。
【0103】
次に、分岐735において、自基地局の基地局リスト内の基地局のうち、自基地局の配下以外の隣接基地局の存在を確認する。存在する場合(YES)は、手順737へ進む。存在しない場合(NO)は、手順743へ進む。ここで、「自基地局の配下の基地局」とは、相対局をたどった場合に、自基地局へ到達する基地局のことを意味する。例えば、図6に示す実施の形態2の無線測位装置において、基地局ID4の配下の基地局とは、基地局ID5、基地局ID6、基地局ID7である。
【0104】
次に、手順737において、自基地局の配下以外の隣接基地局を測位する。さらに、手順739において、自基地局の保持する基地局リストにおける自基地局の相対局IDと測位結果を、新たに測位した結果を用いて更新する。自基地局の保持する基地局リストを更新した後に手順741へ進む。
【0105】
手順741において、更新した自基地局の基地局リストをブロードキャストし、処理を終了する。
【0106】
(リストの分割)
また、分岐735において、自基地局の基地局リスト内の基地局のうち、自基地局の配下以外の隣接基地局がない場合、手順743へ進む。
【0107】
次に、手順743において、自基地局の保持する基地局リストを、自基地局の配下の基地局のリストと、それ以外の基地局のリストとに分割する。そして、自基地局を含むリストの原点を自基地局に変更し、手順747に進む。
【0108】
次に、手順747において、分割した基地局のリストをブロードキャストし、処理を終了する。
【0109】
上述のように、図9(a)、(b)に示したフロー図のように制御することで、基地局の座標を自律分散的に作成し、基地局間で共有することができる。また、基地局の個数、配置の変更にも自動的に座標を再構築することができる。
【0110】
次に、実施の形態2の無線測位装置において、基地局の環境が変化する場合の具体例を、図9(a)、(b)のフロー図を参照しながら、説明する。
【0111】
(基地局の追加)
図10及び図11(a)、(b)を参照し、既存の無線測位装置に新たに基地局が加わる例について、具体的に説明する。図9(a)、(b)に示すフロー図において、分岐703、分岐705、手順711、713、715、717がこの具体例に対応する。図10は、新たに基地局が加わる場合の、実施の形態2の無線測位装置を示す図である。図11(a)は基地局が加わる前の基地局リストを示す図であり、図11(b)は基地局が加わった後の基地局リストを示す図である。なお、図11(a)、(b)に示す基地局リストの構成は、図8と同じであり、その説明を省略する。
【0112】
図10の無線測位装置において、新たに加わる基地局は、基地局ID8であり、基地局ID5、6,7は、基地局ID8が測位のために送信する基準信号が到達可能な範囲に存在するものとする。さらに、説明のため、ここでは、基地局ID8に隣接する複数の基地局ID5、6、7のうち、基地局ID5を基地局ID8の相対局とする。しかし、基地局ID8は、複数の基地局ID5,6,7のうち、いずれの基地局を相対局としても良い。又は、複数の基地局ID5,6,7を相対局として測位し、相対座標を求めても良い。これにより測定精度を高めることができる。複数の測位結果を合成する方法には、測定結果の平均を算出する方法や、到来波の受信電力を用いて重み付け合成する方法を用いることができる。
【0113】
次に、図9(a)、(b)のフロー図を参照し、基地局ID8の動作を説明する。
まず、基地局ID8は、自基地局に基地局リストが存在しないことを確認する(図9(a)の手順701)。これは、電源投入時には、基地局リストを保持していないためである。
【0114】
次に、複数の隣接基地局ID5〜基地局ID7の存在を確認する。そして、基地局ID8は、隣接基地局ID5の基準信号を受信し、隣接基地局ID5が基地局リストを保持しているかを確認する(図9(a)の分岐705)。ここで、隣接基地局ID5は、基地局リストを保持している。
【0115】
次に、基地局ID8は、基地局ID5が基地局リストを保持しているのを確認し、基地局ID5から、基地局ID5の基地局リストをコピーする(図9(a)の手順711)。
【0116】
次に、基地局ID8は、基地局ID5の位置を測位する(図9(a)の手順713)。
【0117】
次に、基地局ID8は、基地局ID5の位置測位の結果を、自基地局の基地局リストに追加する(図9(b)の手順715)。
【0118】
最後に、基地局ID8は、有線ネットワーク105を介して、基地局リストをブロードキャストし(図9(b)の手順717)、処理を終了する。
【0119】
上述の手順で、基地局ID8が動作すると、基地局リストは、図11(a)から図11(b)に遷移する。図11(b)に示すように、基地局ID8が追加された基地局リストには、基地局ID8に対応する、相対局IDとして5、相対局との測位結果としてx:−8、y:10、及びMasterフラグとして、0が追加されている。これにより、統合処理部106は、基地局ID1〜基地局ID8の相対座標を用いて、基地局ID1を原点とした統一座標を再構築することができる。
【0120】
上述のように、基地局ID1〜基地局ID8の各基地局が、隣接基地局の位置を測位することで、統合処理部106は、複数の基地局(基地局ID1〜基地局ID8)を一つの統一座標上にマッピングすることができる。そのため、一つの基地局の測位できる範囲に限りがある場合でも、大きな範囲を持った統一座標を作成することができる。また、統合処理部106は、各基地局で測定された無線端末の位置を、上記に説明した統一座標上の座標へ変換する処理を行う。そのため、基地局ID1〜基地局ID8の各基地局は、自基地局に対して、基準信号を送受信可能な範囲内に存在する無線端末の位置に関して、自基地局を原点とした座標で測定すればよい。さらに、各基地局は、有線ネットワーク105を介して、統合処理部106に、自基地局を原点とした座標で測定した座標データを統合処理部106へ送信すればよく、各基地局で統一座標を保持する必要は無い。そのため、各基地局の構成や位置が変更された場合でも、統一座標を容易に再構築することが可能である。
【0121】
(リストの結合)
次に、図12及び図13(a)、(b)、(c)を参照し、異なる統一座標で定義される2つの無線測位装置間に1つの基地局を新たに追加することで、異なる統一座標で定義される2つの無線測位装置を、新たな統一座標で定義される1つの無線相測位装置とする例について、具体的に説明する。図9(a)、(b)に示すフロー図において、分岐703、719、723、及び手順721、725、727、729、731がこの具体例に対応する。
【0122】
図12は、新たな基地局を追加することで、異なる統一座標で定義される2つの無線測位装置を結合して形成された無線測位装置を示す図である。図13(a)は、異なる統一座標で定義される2つの無線測位装置のうち、一方の無線測位装置の基地局リストを示す図であり、図13(b)は、他方の無線測位装置の基地局リストを示す図である。図13(c)は、2つの無線測位装置が結合された新たな無線測位装置の基地局リストを示す図である。
【0123】
図12に示すように、基地局ID1、基地局ID3で構成される無線測位装置と、基地局ID4〜基地局ID8で構成される他の無線測位装置とが存在する。
【0124】
基地局リストの結合処理は、二つの段階がある。第一段階の処理は、基地局ID1、基地局ID3で構成される無線測位装置の基地局リストに、新たな基地局ID9の情報を追加するための処理であり、第二段階の処理は、2つの無線測位装置の基地局リストを結合して、一つの基地局リストにするための処理である。
【0125】
[第一段階:基地局の追加]
図12に示すように、第一段階として、基地局ID3及び基地局ID6の基準信号を受信できる位置に、基地局ID9の基地局を配置する。ここで、追加された基地局ID9は、図10、11(a)(b)に示した追加方法と同じ方法で、基地局ID1、基地局ID3で構成される統一座標に追加する処理を行う。
【0126】
[第二段階:リストの結合]
次に、図9(a)、(b)及び図13を参照し、基地局ID1、基地局ID3、及び新たに追加された基地局ID9で構成される無線測位装置の基地局リストと、基地局ID4〜基地局ID8で構成される他の無線測位装置の基地局リストとを結合して、ひとつの基地局リストとするための処理を説明する。
【0127】
まず、基地局ID6は、自基地局の基地局リストが存在することを確認する(図9(a)の手順703)。
【0128】
次に、基地局ID6は、自基地局が保持するリストに存在しない基地局ID9が隣接基地局に存在することを確認する(図9(a)の分岐719)。
【0129】
次に、基地局ID6は、自基地局の基地局リストには存在しない基地局ID9が存在するので、隣接基地局としての基地局ID9から基地局リストをコピーする(図9(a)の手順721)。
【0130】
次に、基地局ID6は、隣接基地局である基地局ID9からコピーした基地局リストを用いて、自基地局の基地局リスト及び隣接基地局の基地局リストを比較し、座標軸(原点)に位置する基地局のIDを比較する(図9(a)の分岐723)。ここで、図13において、座標軸(原点)に位置する基地局は、基地局ID1、基地局ID4であり、基地局IDの若い基地局ID1をリスト結合後の原点とする。
【0131】
次に、基地局ID6は、基地局ID6の相対局である基地局ID9を測位する(図9(b)の手順725)。
【0132】
そして、測位した結果と、自基地局の情報は、基地局ID9の基地局リストに追加される(図9(b)の手順727)。
【0133】
次に、基地局ID6は、自基地局の基地局リストから自基地局の情報及び、自基地局の配下の基地局の情報を削除する(図9(b)の手順729)。
【0134】
最後に、基地局ID9は、有線ネットワーク105を介して、変更した基地局リストを、ブロードキャストし、処理を終了する(図9(b)の手順731)。
【0135】
上述の処理により、基地局ID6は、基地局ID1、基地局ID3、基地局ID9から構成される無線測位装置に移動する。なお、同様の手順により、基地局ID5、基地局ID4は、順次、基地局ID1、基地局ID3、基地局ID6,基地局ID9から構成される統一座標に移動することで、二つの統一座標を一つの統一座標に結合することができる。
【0136】
図13(c)に、上述の処理によって作成された一つの統一座標における、新たな無線測位装置の基地局リストの一例を示す。基地局ID9は新規に追加された基地局である。また基地局ID4、5、6の相対局IDが変更されている。さらに、図13(a)(b)に示すように結合前は、基地局ID1及び基地局ID4が原点であったが、図13(c)に示すように、結合後は、基地局ID1のみが原点となっている。
【0137】
(相対局の変更)
次に、図14及び図15(a)、(b)を参照し、相対局を変更する例について、具体的に説明する。図9(a)、(b)に示すフロー図において、分岐703、719、733、735及び手順737、739、741がこの具体例に対応する。
図14は、基地局が相対局を変更した場合の、実施の形態2における無線測位装置を示す図である。図15(a)は相対局の変更前の基地局リストの例、図15(b)は相対局変更後の基地局リストの一例を示す図である。
【0138】
図14の無線測位装置において、基地局ID5が削除されると、基地局ID6と、基地局ID8とが測位をやり直し、相対局を変更する。
【0139】
まず、相対局である基地局ID5が削除されたので、基地局ID8は、自基地局に基地局リストが存在するかを判定する(図9(a)の分岐703)。
【0140】
次に、基地局ID8は、基地局リストが存在する場合、基地局リストに存在しない隣接基地局の存在を判定する(図9(a)の分岐719)。
【0141】
次に、基地局リストに存在しない隣接基地局が無い場合、基地局ID8は、基地局リストに自身の相対局が存在するか判定する(図9(a)の分岐733)。ここで、基地局ID8の相対局は、すでに削除された基地局ID5である。したがって、基地局ID8の基地局リストには、相対局は存在しない(図15(a)参照)。
【0142】
次に、自基地局リストに自身の相対局がないので、基地局ID8は、自基地局の配下以外の隣接基地局の存在を判定する(図9(a)の分岐735)。基地局ID8の配下以外の隣接基地局は、ID7の基地局とID6の基地局が存在する。基地局ID8の配下以外の隣接する基地局として、基地局ID7が存在する。
【0143】
次に、基地局ID8は、基地局ID8の配下以外の隣接する基地局である基地局ID7を測位する(図9(a)の手順737)。
【0144】
次に、基地局ID8は、基地局ID7を測位した結果に基づき、自基地局の基地局リストの自基地局の情報を更新する(図9(b)の手順739)。
【0145】
最後に、基地局ID8は、有線ネットワーク105を介して、更新した基地局リストを、ブロードキャストし、処理を終了する。
【0146】
上述の手順により、基地局ID8は、相対局であった基地局ID5が削除されても、自基地局の配下ではない他の隣接する基地局ID7を測位し、その測位した基地局ID7を新たに自基地局の相対局とすることできる。つまり、基地局ID8は、自律的に、基地局リストから削除された基地局ID5から、基地局ID7に相対局を変更することができる。なお、相対局が基地局ID5であった基地局ID6は、基地局ID8と同じ処理を実行することで、相対局を基地局ID5から基地局ID8へ変更することができる(図15(b)参照)。これにより、図14に示す無線測位装置は、基地局が削除されたとしても、自律的に装置を再構築する。
【0147】
図15(a)は、相対局の変更前の基地局リスト示す図であり、図15(b)は相対局変更後の基地局リストを示す図である。図15(a)では、基地局ID5が、基地局リストから削除されている。図15(b)では、基地局ID6及び基地局ID8について、相対局IDと相対局の測位結果が変更されている(図15(b)斜線部参照)。
【0148】
上述のように、実施の形態2の無線測位装置において、無線測位装置内の基地局が削除されても、削除された基地局を相対局としていた基地局自体が、自基地局の配下ではない他の隣接する基地局を測位し、測位した基地局を新たな相対局とすることができる。そのため、実施の形態2の無線測位装置は、無線測位装置内の基地局が削除されても、無線測位装置の統一座標を自律分散的に再構成することができる。
【0149】
(リストの分割)
次に、図16及び図17(a)、(b)、(c)を参照し、基地局リストを分割し、異なる統一座標を有する2つの無線測位装置を形成する例について、具体的に説明する。図9(a)、(b)に示すフロー図において、分岐703、719、733、735及び手順743、745、747がこの具体例に対応する。
図16は、基地局リストを分割した場合の、実施の形態2における無線測位装置を示す図である。図17(a)は、実施の形態2における無線測位装置の基地局リスト(分割前)を示す図であり、図17(b)(c)は実施の形態2における無線測位装置の分割された基地局リストを示す図である。
【0150】
図16において、基地局ID4の相対局である基地局ID2が削除されている。この場合、基地局ID4は、新たに測位する相対局を探すが、自基地局の配下の基地局ID5〜基地局ID8以外の基地局は存在しない。そのため、基地局ID4が原点となり、基地局ID1〜基地局ID8で構成されていた無線測位装置を、異なる統一座標を有する2つの無線測位装置に分けることになる。
【0151】
まず、基地局ID4は、自基地局の基地局リストが存在するかを確認する(図9(a)の手順703)。ここで、基地局ID4は基地局リストを保持している。
【0152】
次に、基地局ID4は基地局リストを保持しているので、自基地局の基地局リストに存在しない隣接する基地局の存在の有無を確認する(図9(a)の分岐719)。ここで、図16に示すように、基地局ID4について、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局が無い。
【0153】
次に、基地局ID4は、自基地局の基地局リストに存在しない隣接基地局が無いので、自基地局の基地局リスト中に、自基地局の相対局の存在の有無を確認する(図9(a)の分岐733)。ここで、基地局ID4の相対局である基地局ID2は削除されている。
【0154】
次に、基地局ID4の相対局である基地局ID2は削除されているので、基地局ID4は、隣接する基地局に自基地局の配下以外の基地局の存在の有無を確認する(図9(a)の分岐735)。ここで、図16に示すように隣接する基地局の中で基地局ID4の配下以外の基地局は存在しない。
【0155】
次に、基地局ID4は、自基地局の配下の基地局とそれ以外の基地局とに、自基地局の基地局リストを分割する(図9(a)の手順743)。ここで、分割された基地局リストに基づき、基地局ID1〜基地局ID8で構成される無線測位装置は、図16に示すように、基地局ID1及び基地局ID3で構成される無線測位装置Aと基地局ID4、5、6、7、8で構成される無線測位装置Bとに分割される。
【0156】
次に、基地局ID4は、自基地局の基地局リストにおいて、自基地局を座標軸(原点)に位置するように変更する(図9(b)の手順745)。
【0157】
最後に、基地局ID4は、分割した基地局リストを、有線ネットワーク105を介してブロードキャストする。
【0158】
図17は、基地局リスト分割前後の無線測位装置の基地局リストの一例を示す図である。図17(a)に示す基地局ID1〜基地局ID8で構成される無線測位装置の基地局リストは、図17(b)(c)に示すように、基地局ID1及び基地局ID3で構成される無線測位装置Aの基地局リストと、基地局ID4、5、6、7、8で構成される無線測位装置Bの基地局リストとに分割される。また、基地局ID4に関して、基地局リスト分割前の図17(a)では、相対局ID及び相対局との測位結果はいずれも存在し、Masterフラグが0である。しかし、基地局リスト分割後には、基地局ID4は原点に位置するように処理がなされたため、基地局リスト分割後の図17(c)では、基地局ID4の相対局ID及び相対局との測位結果はいずれも存在せず、Masterフラグが1となっている。
【0159】
上述の処理により、実施の形態2の無線測位装置は、複数の基地局で構成される無線測位装置において、基地局が削除されても、手動で設定することなく自律分散的に、異なる統一座標を有する2つの無線測位装置に分けることができる。
【0160】
以上に説明したように、本発明の実施の形態2の無線測位装置は、測位される無線端末と同様の構成の無線タグを一点測位の基地局に搭載する構成と、これを利用し、複数の基地局の座標を構成する手順により、複数の基地局の座標を、あらかじめ設定することなく自動的に構築することができる。また、一度構築した座標系において、新たな基地局の追加や、既存の基地局の削除を行った場合に、自動的に統一座標を再構築することができる。これにより機器の設置容易性が高まる。さらなる効果として、作成した統一座標を用いて、複数の基地局で測定された結果に平均処理や重み付け合成処理を施すことにより、測定結果の精度を向上させることができる
【0161】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の無線測位装置について、図18を参照し説明する。図18は、実施の形態3の無線測位装置の全体構成図である。
【0162】
実施の形態3の無線測位装置は、複数の基地局として機能する第1のリーダ801及び第2のリーダ802、測位カメラ803、測位の対象である無線端末タグ804、及び統合処理部(マネージャー)805で構成されている。
【0163】
第1のリーダ801及び第2のリーダ802は、図3に示す実施の形態1の基地局と同じ構成である。測位カメラ803は、測位用のセミパッシブタグ810、図示しない統合処理部と無線で通信可能な通信部を備える。また、撮像した画像収差から物体の位置を測定する機能を有している。測位カメラ803の例として、複数の撮像部を備えるステレオカメラ等がある。
【0164】
測位の対象である無線端末タグ804、及び統合処理部(マネージャー)805はそれぞれ、実施の形態1の無線端末104、統合処理部106と同じ構成であるため、その構成についての詳細な説明を省略する。
なお、実施の形態3の無線測位装置では、第1のリーダの位置801を座標軸(原点)として、統一座標を構築するものとする。
【0165】
ここで、実施の形態3の無線測位装置は、測位カメラ803及び第2のリーダ802の測位結果を基に、測位カメラ803の絶対位置と視線方位を補正する。以下、図18を参照し、実施の形態3の無線測位装置の動作を説明する。
【0166】
まず、第1のリーダ801及び第2のリーダ802は、それぞれ、測位用のセミパッシブタグを用いて、互いに相対位置を測定する。
【0167】
次に、第2のリーダ802は、無線端末タグ804及び測位カメラ803の位置を測定する。測定結果は、通信部を介して、統合処理部(マネージャー)805に送信される。
【0168】
測位カメラ803は、ステレオカメラの原理を用いて、無線端末タグ804を装着した物体の位置を測定する。測定結果は、通信部を介して、統合処理部(マネージャー)805に送信される
【0169】
また、統合処理部805は、第1のリーダ801と第2のリーダ802の位置関係から、第1のリーダ、第2のリーダの絶対位置をあらかじめ取得しているので、上述した同様の方法で、無線端末タグ804、並びに測位カメラ803の絶対位置及び測位カメラ803の視線方位を決定することができる。
【0170】
以上のように、実施の形態3の無線測位装置によれば、リーダ801,802、無線端末タグ804、及び測位カメラ803の相対位置が得られ、無線端末タグ804の測位結果と測位カメラ803の測定結果の比較することで、補正データが得られるので、容易に高精度な無線端末の測位を行うことができる。
【0171】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4の無線測位装置について、図19を用いて説明する。本実施の形態の無線測位装置において、リーダ2001及びリーダ2002は、上記各実施の形態で説明した基地局に対応し、リーダに搭載されていない無線端末タグ2005は、無線端末104に対応する。そのため、上記各実施の形態と重複する部分について、同じ符号を用いてその説明を省略し、構成が異なる部分について、その機能と動作の説明を行う。
【0172】
図19は、無線測位装置が設置される環境を示した図である。図19に示す環境は、リーダ2001と、リーダ2002と、エリア2003と、エリア2004と、無線端末タグ2005と、統合処理部106とで構成される。図19において、リーダ2001とリーダ2002とは、それぞれ有線ネットワーク105、例えばイーサネット(登録商標)ケーブルで、統合処理部106と接続されている。なお、統合処理部106は、複数のリーダで測定されたデータに基づき、統一座標を生成するが、上記各実施の形態の統合処理部106と同じ構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0173】
リーダ2001は、リーダ2001を中心とする半径10mの範囲(エリア2003に相当)に存在する無線端末タグ2005を測位する。リーダ2001は、3〜4m程度の高さの場所に設置される。これは、オフィス環境等で考えられる障害物の影響を軽減するためである。オフィスや家庭内など屋内環境での使用を想定した場合、リーダは天井に設置することが望ましい。エリア2003は、リーダ2001が無線端末タグの位置を測位できる範囲を示している。エリア2003は、リーダ2001を中心とした半径10mの円である。
【0174】
リーダ2002は、リーダ2001に隣接し、リーダ2002を中心とする半径10mの範囲(エリア2004に相当)に存在する無線端末タグを測位する。リーダ2002は、リーダ2001と同様の高さに設置される。エリア2004は、リーダ2002が無線端末タグの位置を測位可能な範囲を示している。エリア2004は、リーダ2002を中心とした半径10mの円である。
【0175】
エリア2003とエリア2004とは互いに隣接し、両エリアは少しオーバーラップするようにリーダ2001とリーダ2002が設置されている。このようにエリア2003とエリア2004とに、リーダ2001とリーダ2002とを設置した場合、半径10mのエリアを隣接するように形成するため、リーダ2001とリーダ2002との距離は、20mとなる。
【0176】
ここで、本実施の形態では、一例として、リーダ2001とリーダ2002との設置場所を、3〜4m程度の高さの場所にある天井を想定しているので、リーダ2001とリーダ2002の間に障害物は存在しない。したがって、リーダ2001とリーダ2002の間は見通し可能な環境(Line of Site)となる。
【0177】
前述した実施の形態1〜2で説明した無線測位装置では、無線端末104と同じ機能を有する無線端末を基地局に搭載し、ある基地局から、その基地局に隣接する隣接基地局の位置を測位し、各実施の形態に係る無線測位装置の統一座標を構築した。しかしながら、本実施の形態では、リーダ2001と、リーダ2001に隣接するリーダ2002との距離は、20mあるために、実施の形態1〜3で説明した隣接基地局の測位方法を単純に適用するだけでは、測位に使用する信号が減衰し、正確に測位できない場合が発生する。
【0178】
そこで、本実施の形態では、リーダは、他の隣接するリーダに搭載された無線端末タグからの送信信号を加算する処理を行うことで、加算利得を得て、無線端末タグを搭載した他のリーダを、送信信号に含まれるタグIDから特定する。
【0179】
図20は、本実施の形態のリーダ2001の構成を示すブロック図である。図20に示すリーダ2001は、実施の形態1に係る基地局と同様、測位のための基準信号を生成する基準信号生成部300と、基準信号を無線信号に変換する送信部301と、送信アンテナ302と、外部からの信号を受信するためのアレーアンテナ303と、無線端末タグからの反射信号を受信する受信部304と、受信部304で受信した信号から、その信号の送信元である無線端末タグ又は他のリーダまでの距離と到来方向を算出する測位処理部2200と、リーダ及び無線端末タグからの反射信号の確からしさを算出する尤度算出部306と、他のリーダ及び統合処理部とデータ通信を行う通信部307と、他のリーダから送信された基準信号を反射し送信するセミパッシブタグ308とで構成される。
【0180】
ここで、本実施の形態のリーダ2001が、図3に示す第1の基地局100と構成が異なるのは、測位処理部の構成であり、以下、本実施の形態のリーダ2100の構成のうち、測位処理部2200について説明する。
【0181】
図21は、本実施の形態のリーダ2001の測位処理部2200の内部構成を示すブロック図である。図21に示す測位処理部2200は、第一の相関演算部2101と、到来方向測定部2102と、第二の相関演算部2103と、リーダ測位用相関演算部2104と、加算部2105と、ID復調部2106と、距離算出部2107で構成される。
【0182】
第一の相関演算部2101は、アレーアンテナ303及び受信部304を介して、外部から受信した受信信号から、リーダ2001から送信されるパルス系列との相関演算を行い、相関結果を出力する。相関演算は、リーダ2001から送信するパルスの符号系列と、受信信号のスライディング相関を行う。
【0183】
ここで、受信信号には、(1)リーダ2002に搭載された無線端末タグが、リーダ2001の基準信号生成部300で生成した、測位のための基準信号を受信し、当該基準信号を処理して、リーダ2001へ送信した信号、(2)無線端末タグ2005が、基準信号生成部300で生成した、測位のための基準信号を受信し、当該基準信号を処理して、リーダ2001へ送信した信号、などが含まれる。
【0184】
到来方向測定部2102は、アレーアンテナ303からの受信信号を用いて、到来方向測定を行う。到来方向測定の方法は、さまざまな方法が考えられるが、ここでは例としてビームフォーミングを行う。ビームフォーミングは、アレーアンテナ303で受信した信号の位相と振幅を制御することにより、特定の方向に指向性を作り出し、その方向の信号電力から受信波の到来方向を求める方法である。
【0185】
第二の相関演算部2103は、無線端末タグ2005がリーダ2001から受信した測位のための基準信号を再送信する時に付加した符号系列Mと、第一の相関演算部の出力結果との相関演算を行い、相関結果を出力する。
【0186】
ここで、符号系列Mを、図22(a)を用いて説明する。図22(a)は、リーダに搭載されていない、通常の無線端末タグ2005がリーダ2001から受信した測位のための基準信号である受信パルスを、再送信する時に付加する符号系列の機能を表している。ここで、符号系列Mを二つの機能に分ける。符号系列Mの前半をプリアンブル2201とし、全無線端末タグで同じ符号系列を付加する。符号系列Mの後半は、無線端末タグ2005にユニーク(固有)な無線端末タグID2202を付加する。前半のプリアンブルは、リーダ2001で、無線端末タグ2005が送信した信号を検出するために用いる。
【0187】
第二の相関演算部2103は、図22(a)に示す符号系列Mのうち、プリアンブル2201の系列と第一の相関演算部2101の出力との相関演算を行う。第二の相関演算部2103は、相関結果からID復調を行うためのタイミング信号を出力する。
【0188】
リーダ測位用相関演算部2104は、詳細は後述するが、リーダ2002に搭載された無線端末タグが付加したプリアンブル2203を検出する(図22(b)参照)。リーダ測位用相関演算部2104は、第一の相関演算部2101から出力される相関演算結果を入力とし、入力と既知のプリアンブルパターンとの相関演算を行い、タイミング信号を出力する。
【0189】
ここで、図22(b)を用いて、リーダ2002に搭載された無線端末タグが、リーダ2001から受信した測位のための基準信号を送信する時に付加する符号系列Nの機能を説明する。
【0190】
図22(b)は、リーダ2002を測位するためにリーダ2002に搭載された無線端末タグにおいて、再送信パルスに付加する符号系列を表している。図左が再送信されるパルスの先頭を表し、右方向へ時間軸をあらわす。図22(b)に示す符号系列Nのうち、プリアンブル2203は、リーダ2002に搭載された無線端末タグにおいて再送信パルスに付加する符号系列の前半部で、リーダに搭載された無線端末タグのすべてにおいて共通の既知のパターンの系列である。ここで、符号系列Nのうち、プリアンブル2203の符号長は、符号系列M(図22(a)参照)のうち、プリアンブル2201の符号長よりも長い。
【0191】
また、図22(b)に示す符号系列NのうちタグID2204は、リーダ2002に搭載された無線端末タグにおいて再送信パルスに付加する符号系列の後半部で、無線端末タグ固有のIDをあらわす。ここで、符号系列Nのうち、タグID2204の符号長は、符号系列M(図22(a)参照)のうち、タグID2202の符号長よりも長い。
【0192】
上述のように、リーダ2002に搭載した無線端末タグは、リーダに搭載されていない、通常の無線端末タグ2005と比較して、プリアンブル2203、タグID2204ともに長い符号長を用いる。
【0193】
加算部2105は、リーダ測位用相関演算部2104からのタイミング信号と第一の相関演算部2101からの相関結果を入力とし、リーダ測位用相関演算部2104から入力されるタイミング信号に応じてあらかじめ決められた数のパルスを加算する。加算部2105は、決められたパルス分加算した信号を出力する。このように、加算部2105は、リーダ2002に搭載された無線端末タグからの送信信号を加算することで、加算利得を得ることができる。
【0194】
ID復調部2106は、第一の相関演算部から入力される相関演算結果と、第二の相関演算部2103から入力されるタグ検出を示すタイミング信号と、リーダ測位用相関演算部2104から入力されるリーダ2002に搭載されたタグを検出したタイミング信号と、加算部2105から出力される加算信号とを入力とする。
【0195】
また、ID復調部2106は、第二の相関演算部からのタイミング信号が入力された場合、そのタイミングに応じて、第一の相関演算部から入力される相関演算結果をASK復調する。これにより、受信パルスからタグIDを検出する。或いは、ID復調部2106は、リーダ測位用相関演算部2104からのタイミング信号が入力された場合、加算部2105から入力される信号をASK復調する。ID復調部2106は、ASK復調することで取得したタグIDを出力する。
【0196】
距離算出部2107は、第二の相関演算部2103から出力されるタイミング信号と、リーダ測位用相関演算部2104から出力されるタイミング信号を入力とする。距離算出部2107は、パルスを送信してからの時間をカウントする。パルスの送信タイミングから無線端末タグからの応答が受信されるまでの時間を計算する。これにより、パルスがリーダから無線端末タグまでの往復時間を測定でき、この時間からリーダから無線端末タグまでの距離を求める。このような方法で距離を算出する。
【0197】
以上のような構成により、本実施の形態に係るリーダ2001は、隣接するリーダ2002に搭載された無線端末タグからの再送信信号を加算する処理を行うことで、加算利得を得ることができる。そのため、本実施の形態に係るリーダ2001は、無線端末タグを搭載したリーダ2002を、送信信号に含まれるタグIDから特定することができる。
【0198】
さらに、本実施の形態に係るリーダ2001は、隣接するリーダ2002に搭載された無線端末タグからの再送信信号を加算することで加算利得を得て、リーダに搭載されない、通常の無線端末タグ(例えば、無線端末タグ2005)よりも、受信パルスの伝搬距離が長くても、通常の無線端末タグと同様に、無線端末タグ2005又はリーダ2002を測距することができる。
【0199】
次に、図23を参照して、本実施の形態における、無線端末タグ2005の構成について説明する。図23は、無線端末タグ2005の構成を示すブロック図である。なお、図5に示した無線端末と同様の構成については同じ符号を用い、その動作の説明を省略する。
【0200】
図23に示す無線端末タグ2005は、アンテナ1001と、サーキュレータ1002と、変調部2301と、増幅器1003とで構成される。
【0201】
アンテナ1001で受信された信号が、サーキュレータ1002を介して変調部2301へと入力される。
【0202】
変調部2301は、アンテナ1001で受信された信号を入力とする。変調部2301は、繰り返し入力されるUWBパルスに対してASK変調によりタグIDを付加する。ASK変調されたパルス信号は増幅器1003へと入力される。
【0203】
ここで、図24を参照し、変調部2301において、入力信号2501に対してタグIDを付加した変調波について説明する。図24は、変調部2301で変調した変調波を説明するための図である。
【0204】
入力信号2501は、サーキュレータ1002から入力される受信信号である。なお、入力信号2501は、リーダ2001から送信された信号を無線端末タグ2005で受信した信号である。入力信号2501は、100nsec間隔にパルスが生成され、生成パルスに対して、リーダ2001のリーダIDでASK変調された信号である。図24に示す例では、リーダ2001のリーダIDは、5ビットで繰り返されているものとする。また、タグID2502は、リーダID5ビットの系列長をタグIDの1ビットとする。タグID2502は、タグ固有のIDである。
【0205】
変調部2301は、図24を参照して説明したように、入力信号2501に対してタグID2502でASK変調し、送信信号2503を生成する。
【0206】
送信信号2503は、タグIDが0の時に、信号を送信しない。このように、ASK変調により、受信パルス(入力信号2501)にタグIDを付加する。送信信号2503は、無線端末タグ2005から送信される。
【0207】
次に、図25を参照して、リーダ2002から送信される信号について説明する。リーダ2002から送信される信号を示した図である。なお、リーダ2002に搭載される無線端末タグは、無線端末タグ2005と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0208】
リーダ2001は、UWBパルス信号を一定間隔で繰り返し送信する。送信するUWB信号のパルス2408のパルス幅は、例えば1nsecである。パルス2408のパルス幅は、障害物や壁から反射して到来する受信信号を分離する分解能となる。したがって、想定するシステムに応じてパルス幅を決定すればよい。ここでは、屋内環境を想定し、30cm程度の分解能が必要とし、1nsec幅とする。
【0209】
生成信号を構成する、パルス2401、2402、2403、2404は、いずれも1nsec幅のUWBパルスである。パルス2401は、リーダ2001で生成される。パルス2402は、パルス2401がリーダ2001から送信されてから100nsec後にリーダ2002において生成される。以下、同様に、100nsec後にパルス2403が、さらに100nsec後にパルス2404が生成される。リーダ2001は、このように100nsec間隔で、生成信号を構成するUWBパルスの生成を繰り返す。なお、リーダ2002についても、リーダ2001と同様の信号を生成する。
【0210】
リーダID2405は、リーダが持つ固有のIDである。リーダ2001とリーダ2002は、お互いに異なるIDを持つ。また、リーダID2405は、1と0からなる系列である。ここでは擬似ランダム系列を用いる。リーダID2405は、1をHigh、0をLowであらわしている。
【0211】
リーダ2002は、リーダID2405と上述した生成信号を構成するパルス2401〜2404を用いて、送信信号を生成する。つまり、リーダ2002は、生成パルスをリーダID2405でASK変調し、リーダ2001から送信する送信信号を生成する。
【0212】
図25に示すように、リーダIDが0の区間Aに存在するパルス2403は、ASK変調されたことにより、区間Aで送信信号が送信されない。したがって、パルス2406、2407、2408が、リーダ2001から、送信信号として、送信される。なお、リーダ2002においても同様の方法で送信信号を生成し、送信する。なお、図25で示したリーダIDは一例であり、さらに、説明を簡略化するために、4ビットの系列長とした。
【0213】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0214】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0215】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0216】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0217】
本出願は、2008年11月19日出願の日本特許出願(特願2008−295510)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明にかかる無線測位装置は、基地局自身が、他の基地局との相対的な位置を測定する(相対座標を得る)ことにより、複数の基地局の位置関係を表す座標系を自動的に構築でき、UWBセミパッシブ方式の基地局、移動端末を有し、リモコン、名札等に装着されたタグのロケータ等として有用である。また物体間の精密な距離測定等の用途にも応用できる。
【符号の説明】
【0219】
100 第1の基地局
101 第2の基地局
102 第3の基地局
103 第4の基地局
104 無線端末
105 有線ネットワーク
106 統合処理部
300 基準信号生成部
301 送信部
302 送信アンテナ
303 アレーアンテナ
304 受信部
305 測位処理部
306 尤度算出部
307 通信部
308 セミパッシブタグ
400 通信部
401 基地局座標生成部
402 統一座標変換部
403 合成部
500 ビーコン復調部(基地局識別番号取得部)
501 基地局リスト
502 リスト管理部
503 制御プロセッサ
801 第1のリーダ
802 第2のリーダ
803 測位カメラ
804 タグ
805 統合処理部
810 セミパッシブタグ
2001、2002 リーダ
2005 無線端末タグ
2200 測位処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局と、無線端末とから構成される無線測位装置であって、
前記複数の基地局の各々は、測位のための基準信号を生成する基準信号生成部と、前記基準信号を送信する送信部と、外部からの信号を受信する受信部と、前記受信された信号に基づいて、前記信号の送信元である無線端末または基地局までの位置を算出する測位処理部と、他の基地局から送信された基準信号を受信し、再送信する基準信号再送信部とを有し、
前記無線端末は、前記基準信号を受信する端末受信部と、受信した基準信号を再送信する端末送信部とを有し、
前記複数の基地局のうち第1の基地局が送信する基準信号が、第2の基地局に含まれる前記基準信号再送信部により受信され、かつ再送信され、前記再送信された基準信号は前記第1の基地局に含まれる前記受信部で受信され、受信された基準信号に基づいて、前記第1の基地局に含まれる前記測位処理部は前記第2の基地局までの位置を測定する無線測位装置。
【請求項2】
前記複数の基地局を相互に接続する伝送路と、前記伝送路により前記複数の基地局の各々と接続された統合処理部とをさらに備え、
前記統合処理部は、前記伝送路から情報を受信する通信部と、前記複数の基地局の各々で測定された測位結果から、前記複数の基地局の各々の位置関係を表す統一座標を作成し、前記複数の基地局の少なくともいずれかで測定された前記無線端末に関する測位結果から、前記無線端末の位置を統一座標に変換する統一座標変換部とを有する請求項1記載の無線測位装置。
【請求項3】
各基地局が近傍にある基地局の位置を測定し、その測位結果を前記統合処理部に送信することを繰り返すことにより、前記統合処理部がすべての基地局の位置関係を表す統一座標を生成することを特徴とする請求項2記載の無線測位装置。
【請求項4】
前記統合処理部は、前記複数の基地局の各々で測定される無線端末の位置情報を平均化する平均処理部をさらに有することを特徴とする請求項2又は3記載の無線測位装置。
【請求項5】
前記基地局は、前記受信部において受信した信号から尤度を算出する尤度算出部をさらに有し、
前記統合処理部は、前記複数の基地局の各々で測定された特定の無線端末の位置と尤度とを用いて、前記特定の無線端末の位置情報を重み付けし、重み付けされた位置情報を合成する合成部とをさらに有する請求項2乃至4いずれか一項に記載の無線測位装置。
【請求項6】
前記複数の基地局の各々は、前記受信部において受信した他の基地局から送信された基準信号を用いて、前記他の基地局に固有の識別番号を取得する基地局識別番号取得部と、前記他の基地局までの位置を示す測位結果を該基地局の識別番号と対応づけることにより基地局リストとして格納する基地局リスト記憶部と、前記測位処理部による測位結果の前記基地局リストへの追加または削除を管理するリスト管理部と、前記測位処理部による測位結果及び前記基地局リスト記憶部に格納された基地局リストに基づいて、前記複数の基地局の各々の位置関係を表す統一座標を作成する処理を行う制御プロセッサと、他の基地局と情報を通信する通信部とをさらに有する請求項2乃至5いずれか一項に記載の無線測位装置。
【請求項7】
各基地局が近傍にある基地局の位置を測定し、その測位結果を前記統合処理部に送信することを繰り返すことにより、前記統合処理部がすべての基地局の位置関係を表す統一座標を取得することを特徴とする請求項2乃至6いずれか一項に記載の無線測位装置。
【請求項8】
基準となる基地局が、隣接基地局のIDを取得し、
前記基準となる基地局が、前記隣接基地局までの位置を測定し、
前記基準となる基地局が、前記位置測定結果を該基地局のIDと対応づけて、自己の保持する基地局リストに格納し、
前記隣接基地局から、前記隣接基地局が保持する基地局リストをコピーすることにより、前記自己の保持する基地局リストを更新し、
前記更新された基地局リストを、他の基地局にブロードキャストする、
座標構成方法。
【請求項9】
基準となる基地局が、隣接基地局が存在するか否かを検索し、
前記隣接基地局が存在する場合に、前記基準となる基地局が、自己の保持する基地局リストに前記隣接基地局に関する位置情報が存在するか否かを確認し、
前記隣接基地局に関する位置情報が前記自己の保持する基地局リストに存在する場合に、前記基地局リストに自基地局の相対局が存在するかを検索し、
前記基地局リストに前記相対局が存在しない場合に、自基地局の配下以外の隣接基地局が存在するか否かを検索し、
前記自基地局の配下以外の前記隣接基地局が存在する場合に、前記自基地局の配下以外の前記隣接基地局が保持する基地局リストをコピーし、
前記隣接基地局までの位置を測位し、
前記隣接基地局の測位結果と、前記コピーされた基地局リストとを用いて、前記自己の保持する基地局リストを更新し、
前記更新されたリストを、ネットワークへブロードキャストする座標構成方法。
【請求項10】
前記基準となる基地局が、前記自基地局の配下以外の隣接基地局が存在するか否かを検索する際に、前記自基地局の配下以外の前記隣接基地局が存在しない場合に、
前記基準となる基地局が保持する基地局リストを分割し、
前記基地局リストにおける、前記自基地局配下の基地局の位置情報を、前記自基地局を原点として更新し、
前記更新された基地局リストをブロードキャストする
請求項9記載の座標構成方法。
【請求項11】
前記隣接基地局が存在する場合において、前記基準となる基地局が、自己の保持する基地局リストに前記隣接基地局に関する位置情報が存在するか否かを確認する際に、前記自己の保持する基地局リストに前記隣接基地局が存在しない場合に、前記隣接基地局が保持する基地局リストをコピーし、
前記コピーされた前記隣接基地局の基地局リストにおける原点基地局のIDと、前記基準となる基地局が保持する基地局リストにおける原点基地局のIDとを比較し、
前記基準となる基地局が保持する基地局リストにおける原点基地局のIDよりも、前記隣接基地局の基地局リストにおける原点基地局のIDの方が若い場合、前記隣接基地局までの位置を測位し、
前記基準となる基地局の保持する基地局リストから自基地局の位置情報を削除し、
前記隣接基地局からコピーした基地局リストに対して、前記基準となる基地局の位置情報を追加することにより、前記隣接基地局の保持する基地局リストを更新し、
前記更新された前記基地局リストをネットワークにブロードキャストする
請求項9記載の座標構成方法。
【請求項12】
前記測位処理部は、
前記複数の基地局のうち、自基地局が送信する前記基準信号を前記無線端末が再送信した信号を、前記受信部を介して受信した後、当該信号を加算する加算部を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項7に記載の無線測位装置。
【請求項13】
前記測位処理部は、
前記複数の基地局のうち、前記自基地局が送信する前記基準信号を前記無線端末が再送信した信号を、前記受信部を介して受信した後、当該信号から前記無線端末が付加したIDを復調するID復調部と、
前記信号から、前記自基地局から前記無線端末までの距離を算出する距離算出部と、を有することを特徴とする請求項12記載の無線測位装置。
【請求項14】
前記測位処理部は、
前記複数の基地局のうち、前記自基地局が送信する前記基準信号を前記無線端末が再送信した信号と前記基準信号の相関演算を行う第一の相関演算部と、
前記無線端末が前記基準信号を受信し、再送信する時に当該基準信号に付加する符号系列と、前記第一の相関演算部の演算結果との相関演算を行う第二の相関演算部と、
前記隣接基地局を測位するために、前記隣接基地局に搭載された他の無線端末が前記基準信号を受信し、再送信する時に付加する符号系列と相関演算を行う基地局測位用相関演算部と、を有することを特徴とする請求項12又は請求項13記載の無線測位装置。
【請求項15】
前記測位処理部は、前記隣接基地局に搭載された前記他の無線端末が送信する信号の到来波の到来角度を算出する到来方向測定部を有することを特徴とする請求項14記載の無線測位装置。
【請求項16】
請求項12に記載の無線測位装置において、前記複数の基地局のうち、前記基準となる基地局は、
前記隣接基地局に搭載された無線端末からの再送信パルスから抽出した符号系列が、前記隣接基地局に搭載された前記他の無線端末からの再送信信号であるか、前記隣接基地局に搭載された前記無線端末以外の無線端末から送信された再送信信号であるかを検出し、
前記基準となる基地局は、
前記隣接基地局に搭載された前記他の無線端末からの再送信パルスから抽出した符号系列が、前記隣接基地局に搭載された前記他の無線端末からの再送信信号であると検出した場合、
前記基準となる基地局と前記隣接する他の基地局の相対位置が変化しないことを前提として、前記隣接基地局に搭載された前記他の無線端末以外の無線端末からの再送信信号よりも多い数のパルスを加算し、
前記隣接基地局の位置を測位し、当該測位結果から、前記隣接基地局の座標を構成する座標構成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−151807(P2010−151807A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263302(P2009−263302)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】