無線端末
【課題】緊急呼通話中において圏外により通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外の場合に、当初受理台との緊急呼の再接続を可能とする無線端末を提供すること。
【解決手段】本願の開示する無線端末は、緊急呼の発信があった場合にメモリ(2)に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部(12)と、メールの受信に応じて通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合にメールに含まれる端末識別子を抽出してメモリ(2)に記憶させるメール制御部(14)と、を備え、端末制御部(12)は、通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じて端末識別子を指定した発呼を行う。
【解決手段】本願の開示する無線端末は、緊急呼の発信があった場合にメモリ(2)に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部(12)と、メールの受信に応じて通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合にメールに含まれる端末識別子を抽出してメモリ(2)に記憶させるメール制御部(14)と、を備え、端末制御部(12)は、通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じて端末識別子を指定した発呼を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急呼を発信可能な無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の無線端末の普及に伴い、携帯電話機から警察や消防への緊急呼が増大しており、このような緊急呼(110番,119番等)を受理台に接続するための新たな仕組みが検討されている。
【0003】
緊急呼を受理台に接続するための技術として、たとえば、中断された緊急呼を自動的に再接続する技術が下記特許文献1に開示されている。具体的には、何らかの無線回線障害により緊急呼通話を行っている携帯電話機と受理台との間の通話回線が途切れてしまった場合に、交換局装置が、通話中の両者にて通話回線の切断を認識する前にこの状態を認識し、通話回線を再接続する処理を実行する。この技術では、受理台側でオンフックを行っていない状況であれば、交換局装置から携帯電話機への再接続要求により、緊急呼の再接続が実現可能である。
【0004】
また、緊急呼を受理台に接続するための技術として、緊急呼通話中に携帯電話機ユーザによる操作または圏外への移動等で通話が切断され、かつこれらの状態でエリアをまたいだ場合に、携帯電話機への呼び返しにより緊急呼の再接続を可能にする技術が下記特許文献2に開示されている。この特許文献には、携帯電話機ユーザおよび受理台オペレータによる再接続の操作を必要としないことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−10356号公報
【特許文献2】特開平9−247748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、緊急呼の受理台のオペレータは、通報者である携帯電話機のユーザとの会話によって必要な情報を収集することにより、通報の内容を把握し、その通報に対する対応を判断している。
【0007】
しかしながら、上記従来の技術においては、緊急呼通話中に携帯電話機が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外であった場合(県境のトンネルを出た場合など)には、緊急呼を再接続することができない、という問題があった。具体的には、通話回線の切断に伴い受理台側でオンフックを行い、かつ通報者の携帯電話機が当初受理台の管轄外のエリアで圏外から復帰した場合に、通報者の携帯電話機と当初受理台との間で緊急呼を再接続することができない。たとえば、上記県境のトンネルをぬけて他の県で圏外から復帰した携帯電話機を用いて、ユーザが緊急呼(110番,119番等)の発信を行った場合には、その携帯電話機は、復帰後の他の県の受理台に接続され、当初受理台には接続されない。そのため、復帰後の他の県の受理台では、通報内容が引き継がれていないために状況が把握できず、通報者に再度説明してもらう必要が生じ、その通報に対する対応が遅れる可能性がある。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、緊急呼通話中に無線端末が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外の場合であっても、当初受理台との緊急呼の再接続を可能とする無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する無線端末は、記憶部と、緊急呼の発信があった場合に、前記記憶部に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に、前記通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部と、メールの受信に応じて、前記通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合に、前記メールに含まれる端末識別子を抽出して前記記憶部に記憶させるメール制御部と、を備え、前記端末制御部は、前記通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じ、前記端末識別子を指定した発呼を行う。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する無線端末の一つの態様によれば、緊急呼通話中に無線端末が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外の場合であっても、当初受理台との緊急呼の再接続を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】図2は、携帯電話機の機能ブロック構成例を示す図である。
【図3】図3は、コールセンタのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】図4は、無線通信システムの一例を示す図である。
【図5】図5は、110番通報時の携帯電話機と受理台のやりとりを示す図である。
【図6】図6は、接続先情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、メールを受信した場合における携帯電話機内部の動作を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、携帯電話機の状態遷移を示す図である。
【図9】図9は、緊急モード時の携帯電話機内部の動作を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、従来の無線通信システムの動作例を示す図である。
【図11】図11は、実施例における無線通信システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する無線端末の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例の無線端末である携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。図1において、本実施例の携帯電話機は、プロセッサ1,メモリ2,操作部3,表示部4,カメラ部5,マイク6,スピーカ7(イヤホンを含む),アンテナ8,無線通信部9,音声入出力部10を有する。
【0014】
メモリ2は、携帯電話機の各種機能を実行するためのデータを格納するROM(Read Only Memory)2−1と、各種機能を実行するための各種プログラムを格納するRAM(Random Access Memory)2−2とを有する。
【0015】
プロセッサ1は、ROM2−1またはRAM2−2に格納された各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理部である。プロセッサ1は、ROM2−1またはRAM2−2に格納された各種プログラムを実行することにより、上述した操作部3,表示部4,カメラ部5,無線通信部9,音声入出力部10を制御する。なお、プロセッサ1で実行されるプログラムは、ROM2−1またはRAM2−2に格納されるだけではなく、CD(Compact Disc)−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておき、ネットワークを介して接続される携帯電話機からの要求に応じて、サービスを要求元の携帯電話機に提供することもできる。
【0016】
操作部3は、テンキーや操作ボタン等のユーザによる操作部である。表示部4は、LCD等のディスプレイである。また、表示部4には、文字や画像などの各種情報を表示する機能とともに、ユーザの各種操作の入力を受け付けるタッチパネル等の操作部3も併設されている。カメラ部5は、デジタルカメラ機能およびビデオ機能を有する。無線通信部9は、アンテナ8を介して音声や文字などの各種データの無線通信を行う。音声入出力部10は、マイク6を介して音声を入力するとともに、スピーカ7を介して音声を出力する入出力インターフェースである。
【0017】
また、図2は、携帯電話機の機能ブロック構成例を示す図である。本実施例の携帯電話機は、警察や消防等へ緊急呼(110番や119番等)の発信を行うことにより、受理台との間に通話回線を確立する。なお、受理台とは、緊急呼を受け付けるコールセンタ内の電話機等である。また、コールセンタでは、受理台により通常の電話機能が使用できる他、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータを使用してメール送受信等の処理を行うことができる。
【0018】
また、本実施例の携帯電話機は、プロセッサ1がメモリ2から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される機能ブロックとして、送受信制御部11と端末制御部12と音声制御部13とメール制御部14と圏内復旧制御部15とデータ通信制御部16と操作制御部17と表示制御部18とカメラ制御部19と録音制御部20を有する。
【0019】
送受信制御部11は、アンテナ8を介して無線信号の送受信を行う。音声制御部13は、スピーカ7への音声出力処理およびマイク6からの音声入力処理を実行する。メール制御部14は、通常のメール送受信機能を有する。さらに、メール制御部14は、緊急呼通信時には、コールセンタからのメールを解析して受理台へ接続するための情報である接続先情報を抽出し、その接続先情報を端末制御部12に通知する。圏内復旧制御部15は、アンテナ8および送受信制御部11経由で受信した無線信号に基づいて携帯電話機の圏外/圏内を判断し、その旨を端末制御部12に通知する。端末制御部12は、携帯電話機における全体的な動作の制御、およびメモリ2に対する各種情報の読み出し/書き込みを行う。また、端末制御部12は、圏外により緊急呼が切断され、その後、圏内に復旧した場合に、メール制御部14より通知された接続先情報に基づいて元の受理台へ緊急呼を再接続する。データ通信制御部16は、IPプロトコル等のデータ通信機能を有し、送受信制御部11を介して受信したメールをメール制御部14へ転送する。
【0020】
操作制御部17は、操作部3からのキー押下情報等を端末制御部12へイベントとして通知する。表示制御部18は、表示部4への表示を制御する。カメラ制御部19は、カメラ部5を制御し、撮影した画像および映像の情報をメモリ2へ保存する。録音制御部20は、音声制御部13を制御し、音声データをメモリ2へ保存する。
【0021】
また、メモリ2には、上記受理台へ接続するための情報である接続先情報,画像および映像の情報,音声データの他、受信メールを認証するための送信元識別情報や、通話状態情報等が保存されている。メール制御部14は、コールセンタよりメールを受信した場合に、公開鍵等の送信元識別情報を用いてメール認証を行うことにより、メール送信元のなりすましを防止する。また、通話状態情報としては、緊急モードで受理台と通話中(緊急呼通信中)であることを示す情報である「緊急モード通話状態」,通常モードで動作中であることを示す情報である「通常モード通話状態」等が記録される。
【0022】
なお、上記携帯電話機の機能ブロック構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、携帯電話機のすべての機能を表現したものではない。
【0023】
また、図3は、コールセンタのハードウェア構成例を示すである。図3において、本実施例のコールセンタは、受理台21とメール送受信用のコンピュータ22−1,22−2,…,22−nとルータ23を有する。また、受理台21には、構内交換機25および電話機26−1,26−2,…,26−nが含まれている。なお、受理台21には、緊急呼の番号(110番,119番等)に加えて、電話機毎に、それぞれ固有の電話番号が割り振られているものとする。たとえば、受理台21の構内交換機25には、電話機と電話番号の対応表が記憶されており、固有の電話番号宛の着信があった場合には、この対応表に基づいて振り分けが行われる。
【0024】
つづいて、本実施例の携帯電話機を含む無線通信システムの動作を図面に従って詳細に説明する。以下、本実施例では、緊急呼の一例として、携帯電話機のユーザが、警察へ110番通報を行う場合について説明する。なお、消防,救急への119番通報や、その他の緊急呼の発信についても同様に動作するものとする。
【0025】
図4は、本実施例の無線通信システムの一例を示す図である。図4において、本実施例の無線通信システムは、F県警の110番の圏内である受信エリア34内に、上記図1および図2に示す携帯電話機である携帯電話機31と、携帯電話機31を収容する無線基地局32と、図3に示すコールセンタ内の受理台21であるF県警の受理台33−1〜33−nとを有する。また、本実施例の無線通信システムは、S県警の110番の圏内である受信エリア44内に、無線基地局42と、図3に示すコールセンタ内の受理台21であるS県警の受理台43とを有する。また、本実施例の無線通信システムは、受信エリア34,受信エリア44の他に、各エリアの間に110番の圏外であるトンネル等の圏外エリア51を有する。
【0026】
上記のように構成された無線通信システムにおいて、F県警の受理台33−1〜33−nは、F県内の110番通報に対する処理を行い、S県警の受理台43は、S県内の110番通報に対する処理を行う。なお、受理台33−1〜33−n,受理台43内の電話機には、それぞれ固有の電話番号が割り振られているものとする。また、S県警の受理台は、複数であってもよい。
【0027】
以下、本実施例では、受信エリア34に在圏する通報者が携帯電話機31を利用して110番通報を行い、携帯電話機31が、無線基地局32を介して、F県を管轄する受理台33−1と接続する場合を一例とする。
【0028】
まず、本実施例の無線通信システムの動作として、携帯電話機31が、緊急呼を受理台33−1に接続する場合の動作について説明する。図5は、110番通報時の携帯電話機と受理台のやりとりを示す図である。本実施例では、一例として、接続先情報の受け渡しに電子メールを使用する。また、初期状態として、携帯電話機31のメモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録されているものとする。
【0029】
この状態で、通報者の携帯電話機31から110番の発信が行われ、コールセンタ内の受理台33−1が通報を受けた場合(S1)、コールセンタ内のオペレータが、発信元電話番号から発信元携帯電話機のメールアドレスを特定する。携帯電話機31は、110番の発信と同時に通常モードから緊急モードに遷移し、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード通話状態」に変更する。なお、メールアドレスの特定方法としては、たとえば、電話番号がそのままメールアドレスとなるSMS(Short Message Service)の利用が考えられる。また、その他の特定方法としては、以下の方法がある。まず、県警のサイトにおいて、緊急呼用のメールアドレスを予め公開しておく。そして、各ユーザが、自身の携帯電話機の電話番号とメールアドレスを含むメールを緊急呼用のメールアドレス宛に送信し、これらの情報を予め県警のサーバに登録しておく。この状態で、携帯電話機31が110番の発信を行い、受理台33−1が緊急呼を着信すると、コールセンタ内のオペレータが、県警のサーバから110番の発信元電話番号に対応するメールアドレスを検索し、特定する。これらの処理により、オペレータは、緊急呼発信元携帯電話機のメールアドレスを容易に特定することができる。
【0030】
つぎに、オペレータは、コールセンタ内のコンピュータを使用して、上記で特定した携帯電話機31のメールアドレス宛に、受理台33−1へ接続するための接続先情報を含めたメールを送信する(S2)。そして、このメールを受信した携帯電話機31は、メールに含まれた接続先情報をメモリ2に保存する。これにより、携帯電話機31は、たとえば、圏外から圏内に復帰した場合に、メモリ2に保存しておいた接続先情報に基づいて、圏外へ移動する前に接続していた受理台33−1へ再接続することが可能となる。
【0031】
図6は、接続先情報の一例を示す図である。接続先情報には、圏外から圏内へ復帰後の接続先情報として、たとえば、受理台33−1内の電話機に割り当てられた固有の電話番号等の端末識別子を含める。なお、各受理台には、緊急呼の特番(110番等)とは別に、受理台内の電話機毎に固有の電話番号を割り当てることが可能であり、固有の電話番号による受理台への発呼が可能である。また、上記では、圏外から圏内へ復帰後の接続先情報として、受理台内の電話機の電話番号をメールに含めることとしたが、これに限らない。たとえば、回線の種類に応じて、DID(Direct Inward Dialing),SIP(Session Initiation Protocol)番号,IPアドレス等、を含めることとしてもよい。また、上記接続先情報を含めたメールには、オプションとして、さらに、画像,映像,音声等の送信先情報、およびメールの送信先情報(メールアドレス)を含めることとしてもよい。画像,映像,音声等の送信先情報としては、たとえば、IPアドレス,URL(Uniform Resource Locator)等が考えられる。
【0032】
また、図7は、メールを受信した場合における携帯電話機31内部の動作を示すシーケンス図である。まず、アンテナ8,送受信制御部11を介してメールを受信したデータ通信制御部16では、そのメールをメール制御部14に転送する(S11,S12)。そして、メールを受け取ったメール制御部14は、メモリ2から現在の通話状態情報を読み出す(S13)。
【0033】
たとえば、現在の通話状態情報が「緊急モード通話状態」以外の場合(S14,No)、メール制御部14は、受け取ったメールが緊急呼に対する応答として送られてくるメール以外の通常メールであると判断し、通常のメール受信処理を実行する(S15)。一方、現在の通話状態情報が「緊急モード通話状態」の場合(S14,Yes)、メール制御部14は、メモリ2から送信元識別情報を読み出す(S16)。そして、メール制御部14は、送信元識別情報に基づいて、受け取ったメールが緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールであるかどうかを確認する(S17)。確認方法としては、たとえば、送信元識別子情報を鍵情報とし、公開鍵暗号方式や電子署名による復号が正常に行えるかによって、コールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールであるかどうかを判断する。
【0034】
たとえば、緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてくるメール以外のメールの場合(S18,No)、メール制御部14は、通常のメール受信処理を実行する(S15)。一方、緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールの場合(S18,Yes)、メール制御部14は、そのメールから接続先情報を抽出する(S19)。そして、抽出した接続先情報を端末制御部12に通知し(S20)、その後、受信したメールを削除する(S21)。また、S20の処理で接続先情報を受信した端末制御部12は、その接続先情報をメモリ2に保存する(S22)。
【0035】
以上、上記図5および図7の動作を行うことにより、携帯電話機31は、F県を管轄する受理台33−1と接続するとともに、圏外から圏内に復帰した場合に受理台33−1へ再接続するための情報である接続先情報をメモリ2に保存する。なお、上記接続先情報をメモリ2に保存する処理は、110番通報後の「緊急モード通話状態」のときに実施されるものとするが、「緊急モード通話状態」移行後の、できるだけ早期に実施されることが望ましい。
【0036】
つづいて、携帯電話機31の状態遷移について説明する。図8は、携帯電話機31の状態遷移の示す図である。図8において、「通常モード通話状態」としては、「電源OFF状態」,「待受状態」,「発信中状態」,「通信中状態」の4つの状態がある。たとえば、「電源OFF状態」のときに操作部3の電源ボタンが押下された場合、携帯電話機31は「待受状態」に移行する。また、「待受状態」のときに操作部3の電源ボタンが押下された場合、携帯電話機31は「電源OFF状態」に移行する。また、「待受状態」のときに操作部3を用いてオフフックおよび電話番号入力が行われた場合、携帯電話機31は「発信中状態」に移行する。また、「発信中状態」のときにアンテナ8を介して相手装置から応答信号を受信した場合、携帯電話機31は「通話中状態」に移行する。また、「通話中状態」のときに操作部3を用いてオンフックが行われた場合、携帯電話機31は「待受状態」に移行する。なお、これら4つの状態の場合、メモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録されている。
【0037】
また、図8において、緊急モードとしては、「緊急モード通話状態」,「緊急モード圏外状態」,「緊急モード再接続状態」,「緊急モード再接続通話中状態」の4つの状態がある。たとえば、「待受状態」のときに操作部3を用いてオフフックおよび110番入力が行われた場合、携帯電話機31は「緊急モード通話状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード通話状態」が記録される。
【0038】
また、「緊急モード通話状態」のときに圏内復旧制御部15にて受信エリア34から圏外エリア51への移動が検知された場合、すなわち、緊急呼の通信が切断された場合、携帯電話機31は、「緊急モード圏外状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード圏外状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、圏外中の音声,画像,映像の収集を開始する。
【0039】
また、「緊急モード圏外状態」のときに圏内復旧制御部15にて受信エリア34または受信エリア44への移動が検知された場合、携帯電話機31は、「緊急モード再接続状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード再接続状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、自律的に、接続先情報として記録された電話番号による受理台33−1への発呼を行う。
【0040】
また、「緊急モード再接続状態」のときにアンテナ8を介して受理台33−1から応答信号を受信した場合、携帯電話機31は、「緊急モード再接続通話中状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード再接続通信中状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、音声,画像,映像の収集を停止する。また、携帯電話機31は、アンテナ8を介して、収集した音声,画像,映像の情報をコールセンタ宛に送信する。この送信は、たとえば、メモリ2に記録された接続先情報に含まれた、画像,映像,音声等の送信先情報に基づいて行われる。
【0041】
また、「緊急モード再接続通話中状態」のときに上記音声,画像,映像の情報の送信が完了した場合、携帯電話機31は、「緊急モード通話状態」に戻る。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード通話状態」が記録される。そして、この状態で、通報者は、受理台33−1のオペレータとの通話を再開する。
【0042】
また、「緊急モード通話状態」のときに操作部3を用いてオンフックが行われた場合、携帯電話機31は、「待受状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録される。
【0043】
図9は、上記緊急モード時の携帯電話機31内部の動作を示すシーケンス図である。なお、図9では、すでに携帯電話機31により110番通報が実施されており、端末制御部12が、メモリ2内の通話状態情報を「通常モード通話状態」から「緊急モード通話状態」に変更済みであることを前提とする。
【0044】
まず、メール制御部14は、図3に示すコールセンタ内のコンピュータからの受信メールから接続先情報を抽出し、抽出した接続先情報を端末制御部12に通知する(S31、図7のS20参照)。つぎに、接続先情報を受け取った端末制御部12は、その接続先情報をメモリ2に保存する(S32、図7のS22参照)。
【0045】
この状態において、圏内復旧制御部15が受信エリア34から圏外エリア51への自機の移動を検知した場合、圏内復旧制御部15では、端末制御部12に対し、自機が圏外エリア51に移動したことを通知する(S33)。端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード通話状態」から「緊急モード圏外状態」に変更する(S34)。
【0046】
つぎに、端末制御部12は、録音制御部20に対して音声の録音を指示し(S35)、さらに、カメラ制御部19に対して画像および映像(動画)の撮影を指示する(S36)。そして、録音制御部20は、音声制御部13を介して録音した音声データをメモリ2に保存する。また、カメラ制御部19は、カメラ部5で撮影された画像および映像の情報をメモリ2に保存する。なお、本実施例では、音声の録音および画像,映像の撮影を行うことにより圏外中の情報を収集しているが、これに限らず、音声,画像,映像の少なくともいずれか1つの情報を収集することとしてもよい。また、圏外中にこれらの情報を収集しないこととしてもよい。
【0047】
その後、圏内復旧制御部15が圏外エリア51から圏内、すなわち、受信エリア34または受信エリア44への自機の移動を検知した場合、圏内復旧制御部15では、端末制御部12に対し、自機が圏内に移動したことを通知する(S37)。端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード圏外状態」から「緊急モード再接続状態」に変更する(S38)。
【0048】
つぎに、端末制御部12は、表示制御部18に対して110番の発呼画面表示を指示する(S39)。そして、表示制御部18は、発呼画面表示の指示に従い、表示部4に対し、110番の発呼であることを表示するための制御を行う(S40)。同時に、端末制御部12は、送受信制御部11を介して、メモリ2内の接続先情報に含まれる電話番号による受理台33−1への発呼を行う(S41)。そして、端末制御部12は、送受信制御部11を介して、受理台33−1から応答信号を受信する(S42)。これにより、携帯電話機31と受理台33−1との間の回線が接続される。携帯電話機31と受理台33−1との間の回線が接続されると、端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード再接続状態」から「緊急モード再接続通話中状態」に変更する(S43)。
【0049】
つぎに、端末制御部12は、録音制御部20に対して音声の録音停止を指示し(S44)、さらに、カメラ制御部19に対して画像および映像(動画)の撮影停止を指示する(S45)。また、端末制御部12は、データ通信制御部16を制御して、メモリ2に保存された音声,画像,映像の情報を、接続先情報に含まれた所定の送信先宛に送信する(S46)。これにより、受理台33−1のオペレータは、コールセンタ内のコンピュータを介して、圏外中の携帯電話機31の周辺の状況を知ることができる。そして、端末制御部12は、データ通信制御部16から音声,画像,映像の情報の送信完了を受け取った場合に(S47)、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード再接続通話中状態」から「緊急モード通話状態」に変更する(S48)。
【0050】
つづいて、図面を用いて従来の無線通信システムと本実施例の無線通信システムにおける動作の違いを説明する。図10は、従来の無線通信システムの動作例を示す図であり、詳細には、従来の携帯電話機31aが受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合を示している。なお、図10では、受信エリア34に在圏する通報者が従来の携帯電話機31aを利用して110番通報を行い、携帯電話機31aが、無線基地局32を介して、F県を管轄する受理台33a−1〜33a−nのうちの受理台33a−1と接続している場合を想定する。
【0051】
この状態で、通報者が圏外エリア51に移動すると、携帯電話機31aと受理台33a−1との間の通話回線が切断される。すなわち、通報者と受理台のオペレータとの会話が切断される。また、通話回線の切断に伴い、受理台33a−1では、オペレータの操作によりオンフックが行われる。その後、通報者がさらに圏外エリア51から受信エリア44に移動し、携帯電話機31aが圏内に復帰した場合、通報者は、受理台33a−1のオペレータとの会話を再開するために、受信エリア44内で携帯電話機31aを用いて再度110番通報を行う。しかしながら、従来の無線通信システムにおいては、携帯電話機31aは、圏外へ移動する前の受信エリア34内の受理台33a−1には接続されず、図10に示すように、無線基地局42を介してS県を管轄する受理台43aに接続されてしまう。すなわち、従来の携帯電話機31aは、圏外へ移動する前に接続されていた受理台33a−1と再接続することはできない。
【0052】
一方、本実施例では、受理台33−1と通話中の携帯電話機31が、受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合に、受信エリア44内において、元の受信エリア34内の受理台33−1と再接続することを可能とした。
【0053】
図11は、本実施例の無線通信システムの動作例を示す図であり、詳細には、携帯電話機31が受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合を示している。
【0054】
具体的には、携帯電話機31が、上記図7に示すとおり、「緊急モード通話状態」において、図3に示すコールセンタ内のコンピュータから送られてくる接続先情報をメモリ2に保存する。そして、携帯電話機31は、圏外エリア51への移動により受理台33−1との通話回線が切断され、その後、受信エリア44に復帰した場合に、受理台33−1と再接続するために、上記図9に示すとおり、受理台33−1の電話番号による発呼を行う。これにより、携帯電話機31は、図11に示すように、無線基地局42,無線基地局32を介して、圏外に移動する前に接続していた受理台33−1と再接続することが可能となる。なお、本実施例では、たとえば、携帯電話機31が受信エリア34から圏外エリア51を経由して再度受信エリア34へ移動した場合についても、携帯電話機31が、受理台33−1の電話番号による発呼を行うことで、受理台33−1との再接続が可能となる。
【0055】
上述してきたように、本実施例では、携帯電話機31が、自身が発信した緊急呼が接続された受理台33−1を含むコールセンタ内のコンピュータから、受理台33−1へ接続するための情報である接続先情報を受信して保存しておく。そして、携帯電話機31は、移動により圏外で通話が長時間切断した後に、圏内復帰で再接続を行う場合に、上記接続先情報に基づいて受理台33−1へ緊急呼の発信を行うこととした。これにより、携帯電話機31は、圏外へ移動する前に接続されていた受理台33−1との緊急呼の再接続を可能とする。
【符号の説明】
【0056】
1 プロセッサ
2 メモリ
3 操作部
4 表示部
5 カメラ部
6 マイク
7 スピーカ
8 アンテナ
9 無線通信部
10 音声入出力部
11 送受信制御部
12 端末制御部
13 音声制御部
14 メール制御部
15 圏内復旧制御部
16 データ通信制御部
17 操作制御部
18 表示制御部
19 カメラ制御部
20 録音制御部
21 受理台
22−1,22−2,22−n コンピュータ
23 ルータ
25 構内交換機
26−1,26−2,26−n 電話機
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急呼を発信可能な無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の無線端末の普及に伴い、携帯電話機から警察や消防への緊急呼が増大しており、このような緊急呼(110番,119番等)を受理台に接続するための新たな仕組みが検討されている。
【0003】
緊急呼を受理台に接続するための技術として、たとえば、中断された緊急呼を自動的に再接続する技術が下記特許文献1に開示されている。具体的には、何らかの無線回線障害により緊急呼通話を行っている携帯電話機と受理台との間の通話回線が途切れてしまった場合に、交換局装置が、通話中の両者にて通話回線の切断を認識する前にこの状態を認識し、通話回線を再接続する処理を実行する。この技術では、受理台側でオンフックを行っていない状況であれば、交換局装置から携帯電話機への再接続要求により、緊急呼の再接続が実現可能である。
【0004】
また、緊急呼を受理台に接続するための技術として、緊急呼通話中に携帯電話機ユーザによる操作または圏外への移動等で通話が切断され、かつこれらの状態でエリアをまたいだ場合に、携帯電話機への呼び返しにより緊急呼の再接続を可能にする技術が下記特許文献2に開示されている。この特許文献には、携帯電話機ユーザおよび受理台オペレータによる再接続の操作を必要としないことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−10356号公報
【特許文献2】特開平9−247748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、緊急呼の受理台のオペレータは、通報者である携帯電話機のユーザとの会話によって必要な情報を収集することにより、通報の内容を把握し、その通報に対する対応を判断している。
【0007】
しかしながら、上記従来の技術においては、緊急呼通話中に携帯電話機が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外であった場合(県境のトンネルを出た場合など)には、緊急呼を再接続することができない、という問題があった。具体的には、通話回線の切断に伴い受理台側でオンフックを行い、かつ通報者の携帯電話機が当初受理台の管轄外のエリアで圏外から復帰した場合に、通報者の携帯電話機と当初受理台との間で緊急呼を再接続することができない。たとえば、上記県境のトンネルをぬけて他の県で圏外から復帰した携帯電話機を用いて、ユーザが緊急呼(110番,119番等)の発信を行った場合には、その携帯電話機は、復帰後の他の県の受理台に接続され、当初受理台には接続されない。そのため、復帰後の他の県の受理台では、通報内容が引き継がれていないために状況が把握できず、通報者に再度説明してもらう必要が生じ、その通報に対する対応が遅れる可能性がある。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、緊急呼通話中に無線端末が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外の場合であっても、当初受理台との緊急呼の再接続を可能とする無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する無線端末は、記憶部と、緊急呼の発信があった場合に、前記記憶部に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に、前記通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部と、メールの受信に応じて、前記通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合に、前記メールに含まれる端末識別子を抽出して前記記憶部に記憶させるメール制御部と、を備え、前記端末制御部は、前記通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じ、前記端末識別子を指定した発呼を行う。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する無線端末の一つの態様によれば、緊急呼通話中に無線端末が圏外となることにより通話回線が切断し、かつ圏外からの復帰が当初受理台の管轄外の場合であっても、当初受理台との緊急呼の再接続を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】図2は、携帯電話機の機能ブロック構成例を示す図である。
【図3】図3は、コールセンタのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】図4は、無線通信システムの一例を示す図である。
【図5】図5は、110番通報時の携帯電話機と受理台のやりとりを示す図である。
【図6】図6は、接続先情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、メールを受信した場合における携帯電話機内部の動作を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、携帯電話機の状態遷移を示す図である。
【図9】図9は、緊急モード時の携帯電話機内部の動作を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、従来の無線通信システムの動作例を示す図である。
【図11】図11は、実施例における無線通信システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する無線端末の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例の無線端末である携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。図1において、本実施例の携帯電話機は、プロセッサ1,メモリ2,操作部3,表示部4,カメラ部5,マイク6,スピーカ7(イヤホンを含む),アンテナ8,無線通信部9,音声入出力部10を有する。
【0014】
メモリ2は、携帯電話機の各種機能を実行するためのデータを格納するROM(Read Only Memory)2−1と、各種機能を実行するための各種プログラムを格納するRAM(Random Access Memory)2−2とを有する。
【0015】
プロセッサ1は、ROM2−1またはRAM2−2に格納された各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理部である。プロセッサ1は、ROM2−1またはRAM2−2に格納された各種プログラムを実行することにより、上述した操作部3,表示部4,カメラ部5,無線通信部9,音声入出力部10を制御する。なお、プロセッサ1で実行されるプログラムは、ROM2−1またはRAM2−2に格納されるだけではなく、CD(Compact Disc)−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておき、ネットワークを介して接続される携帯電話機からの要求に応じて、サービスを要求元の携帯電話機に提供することもできる。
【0016】
操作部3は、テンキーや操作ボタン等のユーザによる操作部である。表示部4は、LCD等のディスプレイである。また、表示部4には、文字や画像などの各種情報を表示する機能とともに、ユーザの各種操作の入力を受け付けるタッチパネル等の操作部3も併設されている。カメラ部5は、デジタルカメラ機能およびビデオ機能を有する。無線通信部9は、アンテナ8を介して音声や文字などの各種データの無線通信を行う。音声入出力部10は、マイク6を介して音声を入力するとともに、スピーカ7を介して音声を出力する入出力インターフェースである。
【0017】
また、図2は、携帯電話機の機能ブロック構成例を示す図である。本実施例の携帯電話機は、警察や消防等へ緊急呼(110番や119番等)の発信を行うことにより、受理台との間に通話回線を確立する。なお、受理台とは、緊急呼を受け付けるコールセンタ内の電話機等である。また、コールセンタでは、受理台により通常の電話機能が使用できる他、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータを使用してメール送受信等の処理を行うことができる。
【0018】
また、本実施例の携帯電話機は、プロセッサ1がメモリ2から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される機能ブロックとして、送受信制御部11と端末制御部12と音声制御部13とメール制御部14と圏内復旧制御部15とデータ通信制御部16と操作制御部17と表示制御部18とカメラ制御部19と録音制御部20を有する。
【0019】
送受信制御部11は、アンテナ8を介して無線信号の送受信を行う。音声制御部13は、スピーカ7への音声出力処理およびマイク6からの音声入力処理を実行する。メール制御部14は、通常のメール送受信機能を有する。さらに、メール制御部14は、緊急呼通信時には、コールセンタからのメールを解析して受理台へ接続するための情報である接続先情報を抽出し、その接続先情報を端末制御部12に通知する。圏内復旧制御部15は、アンテナ8および送受信制御部11経由で受信した無線信号に基づいて携帯電話機の圏外/圏内を判断し、その旨を端末制御部12に通知する。端末制御部12は、携帯電話機における全体的な動作の制御、およびメモリ2に対する各種情報の読み出し/書き込みを行う。また、端末制御部12は、圏外により緊急呼が切断され、その後、圏内に復旧した場合に、メール制御部14より通知された接続先情報に基づいて元の受理台へ緊急呼を再接続する。データ通信制御部16は、IPプロトコル等のデータ通信機能を有し、送受信制御部11を介して受信したメールをメール制御部14へ転送する。
【0020】
操作制御部17は、操作部3からのキー押下情報等を端末制御部12へイベントとして通知する。表示制御部18は、表示部4への表示を制御する。カメラ制御部19は、カメラ部5を制御し、撮影した画像および映像の情報をメモリ2へ保存する。録音制御部20は、音声制御部13を制御し、音声データをメモリ2へ保存する。
【0021】
また、メモリ2には、上記受理台へ接続するための情報である接続先情報,画像および映像の情報,音声データの他、受信メールを認証するための送信元識別情報や、通話状態情報等が保存されている。メール制御部14は、コールセンタよりメールを受信した場合に、公開鍵等の送信元識別情報を用いてメール認証を行うことにより、メール送信元のなりすましを防止する。また、通話状態情報としては、緊急モードで受理台と通話中(緊急呼通信中)であることを示す情報である「緊急モード通話状態」,通常モードで動作中であることを示す情報である「通常モード通話状態」等が記録される。
【0022】
なお、上記携帯電話機の機能ブロック構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、携帯電話機のすべての機能を表現したものではない。
【0023】
また、図3は、コールセンタのハードウェア構成例を示すである。図3において、本実施例のコールセンタは、受理台21とメール送受信用のコンピュータ22−1,22−2,…,22−nとルータ23を有する。また、受理台21には、構内交換機25および電話機26−1,26−2,…,26−nが含まれている。なお、受理台21には、緊急呼の番号(110番,119番等)に加えて、電話機毎に、それぞれ固有の電話番号が割り振られているものとする。たとえば、受理台21の構内交換機25には、電話機と電話番号の対応表が記憶されており、固有の電話番号宛の着信があった場合には、この対応表に基づいて振り分けが行われる。
【0024】
つづいて、本実施例の携帯電話機を含む無線通信システムの動作を図面に従って詳細に説明する。以下、本実施例では、緊急呼の一例として、携帯電話機のユーザが、警察へ110番通報を行う場合について説明する。なお、消防,救急への119番通報や、その他の緊急呼の発信についても同様に動作するものとする。
【0025】
図4は、本実施例の無線通信システムの一例を示す図である。図4において、本実施例の無線通信システムは、F県警の110番の圏内である受信エリア34内に、上記図1および図2に示す携帯電話機である携帯電話機31と、携帯電話機31を収容する無線基地局32と、図3に示すコールセンタ内の受理台21であるF県警の受理台33−1〜33−nとを有する。また、本実施例の無線通信システムは、S県警の110番の圏内である受信エリア44内に、無線基地局42と、図3に示すコールセンタ内の受理台21であるS県警の受理台43とを有する。また、本実施例の無線通信システムは、受信エリア34,受信エリア44の他に、各エリアの間に110番の圏外であるトンネル等の圏外エリア51を有する。
【0026】
上記のように構成された無線通信システムにおいて、F県警の受理台33−1〜33−nは、F県内の110番通報に対する処理を行い、S県警の受理台43は、S県内の110番通報に対する処理を行う。なお、受理台33−1〜33−n,受理台43内の電話機には、それぞれ固有の電話番号が割り振られているものとする。また、S県警の受理台は、複数であってもよい。
【0027】
以下、本実施例では、受信エリア34に在圏する通報者が携帯電話機31を利用して110番通報を行い、携帯電話機31が、無線基地局32を介して、F県を管轄する受理台33−1と接続する場合を一例とする。
【0028】
まず、本実施例の無線通信システムの動作として、携帯電話機31が、緊急呼を受理台33−1に接続する場合の動作について説明する。図5は、110番通報時の携帯電話機と受理台のやりとりを示す図である。本実施例では、一例として、接続先情報の受け渡しに電子メールを使用する。また、初期状態として、携帯電話機31のメモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録されているものとする。
【0029】
この状態で、通報者の携帯電話機31から110番の発信が行われ、コールセンタ内の受理台33−1が通報を受けた場合(S1)、コールセンタ内のオペレータが、発信元電話番号から発信元携帯電話機のメールアドレスを特定する。携帯電話機31は、110番の発信と同時に通常モードから緊急モードに遷移し、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード通話状態」に変更する。なお、メールアドレスの特定方法としては、たとえば、電話番号がそのままメールアドレスとなるSMS(Short Message Service)の利用が考えられる。また、その他の特定方法としては、以下の方法がある。まず、県警のサイトにおいて、緊急呼用のメールアドレスを予め公開しておく。そして、各ユーザが、自身の携帯電話機の電話番号とメールアドレスを含むメールを緊急呼用のメールアドレス宛に送信し、これらの情報を予め県警のサーバに登録しておく。この状態で、携帯電話機31が110番の発信を行い、受理台33−1が緊急呼を着信すると、コールセンタ内のオペレータが、県警のサーバから110番の発信元電話番号に対応するメールアドレスを検索し、特定する。これらの処理により、オペレータは、緊急呼発信元携帯電話機のメールアドレスを容易に特定することができる。
【0030】
つぎに、オペレータは、コールセンタ内のコンピュータを使用して、上記で特定した携帯電話機31のメールアドレス宛に、受理台33−1へ接続するための接続先情報を含めたメールを送信する(S2)。そして、このメールを受信した携帯電話機31は、メールに含まれた接続先情報をメモリ2に保存する。これにより、携帯電話機31は、たとえば、圏外から圏内に復帰した場合に、メモリ2に保存しておいた接続先情報に基づいて、圏外へ移動する前に接続していた受理台33−1へ再接続することが可能となる。
【0031】
図6は、接続先情報の一例を示す図である。接続先情報には、圏外から圏内へ復帰後の接続先情報として、たとえば、受理台33−1内の電話機に割り当てられた固有の電話番号等の端末識別子を含める。なお、各受理台には、緊急呼の特番(110番等)とは別に、受理台内の電話機毎に固有の電話番号を割り当てることが可能であり、固有の電話番号による受理台への発呼が可能である。また、上記では、圏外から圏内へ復帰後の接続先情報として、受理台内の電話機の電話番号をメールに含めることとしたが、これに限らない。たとえば、回線の種類に応じて、DID(Direct Inward Dialing),SIP(Session Initiation Protocol)番号,IPアドレス等、を含めることとしてもよい。また、上記接続先情報を含めたメールには、オプションとして、さらに、画像,映像,音声等の送信先情報、およびメールの送信先情報(メールアドレス)を含めることとしてもよい。画像,映像,音声等の送信先情報としては、たとえば、IPアドレス,URL(Uniform Resource Locator)等が考えられる。
【0032】
また、図7は、メールを受信した場合における携帯電話機31内部の動作を示すシーケンス図である。まず、アンテナ8,送受信制御部11を介してメールを受信したデータ通信制御部16では、そのメールをメール制御部14に転送する(S11,S12)。そして、メールを受け取ったメール制御部14は、メモリ2から現在の通話状態情報を読み出す(S13)。
【0033】
たとえば、現在の通話状態情報が「緊急モード通話状態」以外の場合(S14,No)、メール制御部14は、受け取ったメールが緊急呼に対する応答として送られてくるメール以外の通常メールであると判断し、通常のメール受信処理を実行する(S15)。一方、現在の通話状態情報が「緊急モード通話状態」の場合(S14,Yes)、メール制御部14は、メモリ2から送信元識別情報を読み出す(S16)。そして、メール制御部14は、送信元識別情報に基づいて、受け取ったメールが緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールであるかどうかを確認する(S17)。確認方法としては、たとえば、送信元識別子情報を鍵情報とし、公開鍵暗号方式や電子署名による復号が正常に行えるかによって、コールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールであるかどうかを判断する。
【0034】
たとえば、緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてくるメール以外のメールの場合(S18,No)、メール制御部14は、通常のメール受信処理を実行する(S15)。一方、緊急呼に対する応答としてコールセンタ内のコンピュータから送られてきたメールの場合(S18,Yes)、メール制御部14は、そのメールから接続先情報を抽出する(S19)。そして、抽出した接続先情報を端末制御部12に通知し(S20)、その後、受信したメールを削除する(S21)。また、S20の処理で接続先情報を受信した端末制御部12は、その接続先情報をメモリ2に保存する(S22)。
【0035】
以上、上記図5および図7の動作を行うことにより、携帯電話機31は、F県を管轄する受理台33−1と接続するとともに、圏外から圏内に復帰した場合に受理台33−1へ再接続するための情報である接続先情報をメモリ2に保存する。なお、上記接続先情報をメモリ2に保存する処理は、110番通報後の「緊急モード通話状態」のときに実施されるものとするが、「緊急モード通話状態」移行後の、できるだけ早期に実施されることが望ましい。
【0036】
つづいて、携帯電話機31の状態遷移について説明する。図8は、携帯電話機31の状態遷移の示す図である。図8において、「通常モード通話状態」としては、「電源OFF状態」,「待受状態」,「発信中状態」,「通信中状態」の4つの状態がある。たとえば、「電源OFF状態」のときに操作部3の電源ボタンが押下された場合、携帯電話機31は「待受状態」に移行する。また、「待受状態」のときに操作部3の電源ボタンが押下された場合、携帯電話機31は「電源OFF状態」に移行する。また、「待受状態」のときに操作部3を用いてオフフックおよび電話番号入力が行われた場合、携帯電話機31は「発信中状態」に移行する。また、「発信中状態」のときにアンテナ8を介して相手装置から応答信号を受信した場合、携帯電話機31は「通話中状態」に移行する。また、「通話中状態」のときに操作部3を用いてオンフックが行われた場合、携帯電話機31は「待受状態」に移行する。なお、これら4つの状態の場合、メモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録されている。
【0037】
また、図8において、緊急モードとしては、「緊急モード通話状態」,「緊急モード圏外状態」,「緊急モード再接続状態」,「緊急モード再接続通話中状態」の4つの状態がある。たとえば、「待受状態」のときに操作部3を用いてオフフックおよび110番入力が行われた場合、携帯電話機31は「緊急モード通話状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード通話状態」が記録される。
【0038】
また、「緊急モード通話状態」のときに圏内復旧制御部15にて受信エリア34から圏外エリア51への移動が検知された場合、すなわち、緊急呼の通信が切断された場合、携帯電話機31は、「緊急モード圏外状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード圏外状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、圏外中の音声,画像,映像の収集を開始する。
【0039】
また、「緊急モード圏外状態」のときに圏内復旧制御部15にて受信エリア34または受信エリア44への移動が検知された場合、携帯電話機31は、「緊急モード再接続状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード再接続状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、自律的に、接続先情報として記録された電話番号による受理台33−1への発呼を行う。
【0040】
また、「緊急モード再接続状態」のときにアンテナ8を介して受理台33−1から応答信号を受信した場合、携帯電話機31は、「緊急モード再接続通話中状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード再接続通信中状態」が記録される。そして、携帯電話機31は、音声,画像,映像の収集を停止する。また、携帯電話機31は、アンテナ8を介して、収集した音声,画像,映像の情報をコールセンタ宛に送信する。この送信は、たとえば、メモリ2に記録された接続先情報に含まれた、画像,映像,音声等の送信先情報に基づいて行われる。
【0041】
また、「緊急モード再接続通話中状態」のときに上記音声,画像,映像の情報の送信が完了した場合、携帯電話機31は、「緊急モード通話状態」に戻る。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「緊急モード通話状態」が記録される。そして、この状態で、通報者は、受理台33−1のオペレータとの通話を再開する。
【0042】
また、「緊急モード通話状態」のときに操作部3を用いてオンフックが行われた場合、携帯電話機31は、「待受状態」に移行する。この時点で、メモリ2には、通話状態情報として「通常モード通話状態」が記録される。
【0043】
図9は、上記緊急モード時の携帯電話機31内部の動作を示すシーケンス図である。なお、図9では、すでに携帯電話機31により110番通報が実施されており、端末制御部12が、メモリ2内の通話状態情報を「通常モード通話状態」から「緊急モード通話状態」に変更済みであることを前提とする。
【0044】
まず、メール制御部14は、図3に示すコールセンタ内のコンピュータからの受信メールから接続先情報を抽出し、抽出した接続先情報を端末制御部12に通知する(S31、図7のS20参照)。つぎに、接続先情報を受け取った端末制御部12は、その接続先情報をメモリ2に保存する(S32、図7のS22参照)。
【0045】
この状態において、圏内復旧制御部15が受信エリア34から圏外エリア51への自機の移動を検知した場合、圏内復旧制御部15では、端末制御部12に対し、自機が圏外エリア51に移動したことを通知する(S33)。端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード通話状態」から「緊急モード圏外状態」に変更する(S34)。
【0046】
つぎに、端末制御部12は、録音制御部20に対して音声の録音を指示し(S35)、さらに、カメラ制御部19に対して画像および映像(動画)の撮影を指示する(S36)。そして、録音制御部20は、音声制御部13を介して録音した音声データをメモリ2に保存する。また、カメラ制御部19は、カメラ部5で撮影された画像および映像の情報をメモリ2に保存する。なお、本実施例では、音声の録音および画像,映像の撮影を行うことにより圏外中の情報を収集しているが、これに限らず、音声,画像,映像の少なくともいずれか1つの情報を収集することとしてもよい。また、圏外中にこれらの情報を収集しないこととしてもよい。
【0047】
その後、圏内復旧制御部15が圏外エリア51から圏内、すなわち、受信エリア34または受信エリア44への自機の移動を検知した場合、圏内復旧制御部15では、端末制御部12に対し、自機が圏内に移動したことを通知する(S37)。端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード圏外状態」から「緊急モード再接続状態」に変更する(S38)。
【0048】
つぎに、端末制御部12は、表示制御部18に対して110番の発呼画面表示を指示する(S39)。そして、表示制御部18は、発呼画面表示の指示に従い、表示部4に対し、110番の発呼であることを表示するための制御を行う(S40)。同時に、端末制御部12は、送受信制御部11を介して、メモリ2内の接続先情報に含まれる電話番号による受理台33−1への発呼を行う(S41)。そして、端末制御部12は、送受信制御部11を介して、受理台33−1から応答信号を受信する(S42)。これにより、携帯電話機31と受理台33−1との間の回線が接続される。携帯電話機31と受理台33−1との間の回線が接続されると、端末制御部12は、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード再接続状態」から「緊急モード再接続通話中状態」に変更する(S43)。
【0049】
つぎに、端末制御部12は、録音制御部20に対して音声の録音停止を指示し(S44)、さらに、カメラ制御部19に対して画像および映像(動画)の撮影停止を指示する(S45)。また、端末制御部12は、データ通信制御部16を制御して、メモリ2に保存された音声,画像,映像の情報を、接続先情報に含まれた所定の送信先宛に送信する(S46)。これにより、受理台33−1のオペレータは、コールセンタ内のコンピュータを介して、圏外中の携帯電話機31の周辺の状況を知ることができる。そして、端末制御部12は、データ通信制御部16から音声,画像,映像の情報の送信完了を受け取った場合に(S47)、メモリ2内の通話状態情報を「緊急モード再接続通話中状態」から「緊急モード通話状態」に変更する(S48)。
【0050】
つづいて、図面を用いて従来の無線通信システムと本実施例の無線通信システムにおける動作の違いを説明する。図10は、従来の無線通信システムの動作例を示す図であり、詳細には、従来の携帯電話機31aが受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合を示している。なお、図10では、受信エリア34に在圏する通報者が従来の携帯電話機31aを利用して110番通報を行い、携帯電話機31aが、無線基地局32を介して、F県を管轄する受理台33a−1〜33a−nのうちの受理台33a−1と接続している場合を想定する。
【0051】
この状態で、通報者が圏外エリア51に移動すると、携帯電話機31aと受理台33a−1との間の通話回線が切断される。すなわち、通報者と受理台のオペレータとの会話が切断される。また、通話回線の切断に伴い、受理台33a−1では、オペレータの操作によりオンフックが行われる。その後、通報者がさらに圏外エリア51から受信エリア44に移動し、携帯電話機31aが圏内に復帰した場合、通報者は、受理台33a−1のオペレータとの会話を再開するために、受信エリア44内で携帯電話機31aを用いて再度110番通報を行う。しかしながら、従来の無線通信システムにおいては、携帯電話機31aは、圏外へ移動する前の受信エリア34内の受理台33a−1には接続されず、図10に示すように、無線基地局42を介してS県を管轄する受理台43aに接続されてしまう。すなわち、従来の携帯電話機31aは、圏外へ移動する前に接続されていた受理台33a−1と再接続することはできない。
【0052】
一方、本実施例では、受理台33−1と通話中の携帯電話機31が、受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合に、受信エリア44内において、元の受信エリア34内の受理台33−1と再接続することを可能とした。
【0053】
図11は、本実施例の無線通信システムの動作例を示す図であり、詳細には、携帯電話機31が受信エリア34から圏外エリア51を経由して受信エリア44へ移動した場合を示している。
【0054】
具体的には、携帯電話機31が、上記図7に示すとおり、「緊急モード通話状態」において、図3に示すコールセンタ内のコンピュータから送られてくる接続先情報をメモリ2に保存する。そして、携帯電話機31は、圏外エリア51への移動により受理台33−1との通話回線が切断され、その後、受信エリア44に復帰した場合に、受理台33−1と再接続するために、上記図9に示すとおり、受理台33−1の電話番号による発呼を行う。これにより、携帯電話機31は、図11に示すように、無線基地局42,無線基地局32を介して、圏外に移動する前に接続していた受理台33−1と再接続することが可能となる。なお、本実施例では、たとえば、携帯電話機31が受信エリア34から圏外エリア51を経由して再度受信エリア34へ移動した場合についても、携帯電話機31が、受理台33−1の電話番号による発呼を行うことで、受理台33−1との再接続が可能となる。
【0055】
上述してきたように、本実施例では、携帯電話機31が、自身が発信した緊急呼が接続された受理台33−1を含むコールセンタ内のコンピュータから、受理台33−1へ接続するための情報である接続先情報を受信して保存しておく。そして、携帯電話機31は、移動により圏外で通話が長時間切断した後に、圏内復帰で再接続を行う場合に、上記接続先情報に基づいて受理台33−1へ緊急呼の発信を行うこととした。これにより、携帯電話機31は、圏外へ移動する前に接続されていた受理台33−1との緊急呼の再接続を可能とする。
【符号の説明】
【0056】
1 プロセッサ
2 メモリ
3 操作部
4 表示部
5 カメラ部
6 マイク
7 スピーカ
8 アンテナ
9 無線通信部
10 音声入出力部
11 送受信制御部
12 端末制御部
13 音声制御部
14 メール制御部
15 圏内復旧制御部
16 データ通信制御部
17 操作制御部
18 表示制御部
19 カメラ制御部
20 録音制御部
21 受理台
22−1,22−2,22−n コンピュータ
23 ルータ
25 構内交換機
26−1,26−2,26−n 電話機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末であって、
記憶部と、
緊急呼の発信があった場合に、前記記憶部に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に、前記通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部と、
メールの受信に応じて、前記通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合に、前記メールに含まれる端末識別子を抽出して前記記憶部に記憶させるメール制御部と、
を備え、
前記端末制御部は、
前記通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じ、前記端末識別子を指定した発呼を行う、
ことを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記メール制御部は、
前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が前記無線エリアの圏外に移動した場合に、音声、画像、映像の少なくともいずれか1つの情報を収集し、
その後、前記無線端末が前記無線エリアの圏内に移動して前記端末識別子を指定した発呼を行った場合に、収集した前記情報を前記メールの送信元に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項1】
無線端末であって、
記憶部と、
緊急呼の発信があった場合に、前記記憶部に記憶されている通話状態を緊急モード通話状態に変更し、前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が無線エリアの圏外に移動した後に再度無線エリアの圏内に移動した場合に、前記通話状態を緊急モード再接続状態に変更する端末制御部と、
メールの受信に応じて、前記通話状態が緊急モード通話状態であるか否かを判定し、緊急モード通話状態であった場合に、前記メールに含まれる端末識別子を抽出して前記記憶部に記憶させるメール制御部と、
を備え、
前記端末制御部は、
前記通話状態が緊急モード再接続状態に変更されたことに応じ、前記端末識別子を指定した発呼を行う、
ことを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記メール制御部は、
前記通話状態が緊急モード通話状態である自端末が前記無線エリアの圏外に移動した場合に、音声、画像、映像の少なくともいずれか1つの情報を収集し、
その後、前記無線端末が前記無線エリアの圏内に移動して前記端末識別子を指定した発呼を行った場合に、収集した前記情報を前記メールの送信元に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−249197(P2012−249197A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121018(P2011−121018)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]