説明

無線装置

【課題】1の無線装置が2以上のアンテナ素子を有する場合に、アンテナ素子間のアイソレーションを改善する。
【解決手段】無線装置1は、筐体10に内蔵された回路基板11を有している。回路基板11の1の長辺近傍に、第1給電点13及び第2給電点14が設けられている。第1給電点13には、第1アンテナ素子15が接続されている。第2給電点14には、第2アンテナ素子16が接続されている。無線装置1は、面をなして形成された磁性体17を有している。磁性体17は、第1アンテナ素子15の少なくとも一部に対して第2アンテナ素子16の少なくとも一部を遮へいするように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線装置に係り、特に2以上のアンテナ素子を備えた無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や無線機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)等の無線装置の分野においては、従来から、伝搬特性を改善又は補償するためのダイバーシチ技術が用いられている。一方、無線装置の多用途・多機能化が進んでいる。そのため、様々なアンテナが搭載され、結果的に1つの端末内のアンテナ数は増加傾向にある。さらに、空間多重化により通信の安定性及び高速性を向上させることを目的として、Multi Input Multi Output(MIMO)と呼ばれる技術が開発されている。
【0003】
これらの技術動向に対応して、1台の無線装置が2以上のアンテナを備えることがある。しかし、特に携帯電話機のような小型の無線装置においては、それらのアンテナどうしが近接して配置されることに起因するアンテナ間の干渉が問題になることがある。
【0004】
もともと小型の無線装置は実装スペースが限られているために、アンテナを2以上備えないとしても、アンテナ素子又は回路の各部分の間の電磁的結合又は容量結合による干渉が問題になる(例えば放射効率の低下)場合がある。これらの問題に対して、磁性体を利用する解決策が検討されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
上記の特許文献1は、基板上の回路をシールドケースで囲むと共に該シールドケースからアンテナを引き出すようにした携帯無線装置の構成において、シールド効果を高めるための技術を記載している。その1つとして、シールドケースと基板の接地パターンの接続箇所のうち、シールドケース表面に励起される高周波電流の向きに直交する向きに当る箇所の電気的接続をより確実にすることが挙げられている。他の1つとして、シールドケース表面に励起される高周波電流の向きに磁化容易軸を有する磁性膜を積層して、電波の反射係数を高めることが挙げられている。
【0006】
上記の特許文献2は、内蔵するL型アンテナに対向する回路基板上に磁性材料板を具備した移動通信端末を記載している。その効果として、回路基板のGND(接地)導体層表面の磁界強度及び誘導電流の発生を抑え、アンテナ指向性を安定させることが挙げられている。
【特許文献1】特開2001−156484号公報(第2乃至4ページ、図1)
【特許文献2】特許第3713476号公報(第6、7ページ、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載された従来の技術は、引き出し型のアンテナを用いる携帯無線装置において、シールドケースのインピーダンスを下げて高周波電流を流しやすくすることにより、シールドケースに囲まれた部分の回路への高周波電流の回り込みを抑えようとするものである。即ち、1台の無線装置が2以上のアンテナを備える場合の、アンテナ間干渉の低減を図るものではない。
【0008】
上述した特許文献2に記載された従来の技術は、移動通信端末(無線装置)の内蔵アンテナにおいてアンテナ素子と接地導体層の間に磁性材料板を介在させることにより、接地回路に誘導される不平衡電流の影響を低減させるものである。即ち、1台の無線装置が2以上のアンテナを備える場合の、アンテナ間干渉の低減を図るものではない。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、2以上のアンテナを備える無線装置において、各アンテナのさまざまな配置条件の下でアンテナ間の相互干渉を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無線装置は、第1の給電点に接続された第1のアンテナ素子と、第2の給電点に接続された第2のアンテナ素子と、面をなして形成されると共に、前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部に対して前記第2のアンテナ素子の少なくとも一部を遮へいするように配設された磁性体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2以上のアンテナを備える無線装置において、各アンテナのさまざまな配置条件の下でアンテナ間を遮へいし得るように磁性体を内蔵し配置することにより、アンテナ間の相互干渉を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお以下の各図を参照しながら上下左右をいうときは、特に断らない限り、図が表された紙面における上下左右を意味するものとする。
【実施例1】
【0013】
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る無線装置1の主要な構成を表す斜視図である。無線装置1は、図1に破線で示した筐体10を有している。無線装置1は、例えば筐体10と図示しないもう1つの筐体が、相互に開閉可能に連結されて構成されたものであってもよい。
【0014】
無線装置1は、筐体10に内蔵された回路基板11を有している。回路基板11の1の長辺近傍に、第1給電点13及び第2給電点14が設けられている。第1給電点13には、第1アンテナ素子15が接続されている。第2給電点14には、第2アンテナ素子16が接続されている。第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16は、それぞれ第1給電点13及び第2給電点14を経由して回路基板11に設けられた図示しない無線回路に接続され、給電されることができる。
【0015】
図1において、第1アンテナ素子15は第1給電点13から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がった後、回路基板11の短辺に略平行の向きに折り曲げられて、横倒しのL字型をなす。また、第2アンテナ素子16は第2給電点14から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がった後、回路基板11の短辺に略平行の向きに折り曲げられて、横倒しのL字型をなす。
【0016】
なお、無線装置1が第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16を有するのは、例えば複数の無線システム(例えば、セルラ移動通信と無線ローカルエリアネットワーク)に対応することを目的とするが、これに限るものではない。第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16は、上記のように横倒しL字型の先端開放モノポールアンテナの形式で表されているが、これは本発明を適用し得るアンテナの種類又は方式を限定するものではない。また、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16が互いに異なる種類又は異なるサイズのものであってもよい。
【0017】
無線装置1は、面をなして形成された磁性体17を有している。磁性体17は、第1アンテナ素子15の少なくとも一部に対して第2アンテナ素子16の少なくとも一部を遮へいするように配設されている。ここで述べた第1アンテナ素子15、第2アンテナ素子16及び磁性体17の位置関係について、図2を参照して説明する。図2は、第1給電点13又は第2給電点14の近傍を図1と同じ方向から見て上記の位置関係を説明する図である。図2に表した無線装置1の各構成は、図1に同じ符号を付して表した構成とそれぞれ同じである(回路基板11及び磁性体17は、それぞれ一部分を示す。)から、説明を省略する。
【0018】
図2に示すように、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から、第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端の方向を見るものと仮定する。そうすると、図2に矢印で表した仮想的な視線は、磁性体17のなす面上の点17aにぶつかって遮られる。すなわち、磁性体17は、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から見て、少なくとも第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端近傍の一部を遮へいするように配設されている。
【0019】
磁性体17は、第1アンテナ素子15と第2アンテナ素子16の間の電磁的結合(電流結合)を低減し、両アンテナ素子15、16間のアイソレーションを改善する効果を有する。したがって図2に示す通り、第1アンテナ素子15が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第1給電点13との接続端近傍の部分と、第2アンテナ素子16が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第2給電点14との接続端近傍の部分を、互いに遮へいするように磁性体17を配設することが有効である。
【0020】
またさらに、図2に示すように第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11の短辺に略平行な部分どうしを互いに遮へいするように、磁性体17を配設してもよい。上記の回路基板11の短辺に略平行な部分どうしは、比較的広い範囲にわたって空間的に互いに近接することがあるため、その間を遮へいすることによっても両アンテナ素子15、16間のアイソレーション改善の効果を期待することができる。
【0021】
図3を参照して、磁性体17のサイズ又は形状及び両アンテナ素子15、16との位置関係と、両アンテナ素子15、16間のアイソレーション効果の関係を説明する。図3(a)乃至(d)は、図1に表した無線装置1の各構成(筐体10を除く。)を右手上方に当る位置から見たときの、磁性体17のサイズ又は形状と両アンテナ素子15、16との位置関係を例示する図である。図3(a)乃至(d)に表した無線装置1の各構成は、図1に同じ符号を付して表した構成とそれぞれ同じであるから、説明を省略する。
【0022】
図3(a)乃至(d)において、両アンテナ素子15、16間のアイソレーションをシミュレーションにより評価した際の条件は、回路基板11の長辺、短辺が各80ミリメートル(mm)、40mm長、第1給電点13と第2給電点14の間隔が10mm長、周波数が2ギガヘルツ(GHz)である。
【0023】
図3(a)において、磁性体17は、図1の場合と異なり回路基板11に近い側の下半分(回路基板11の短辺に平行な第1アンテナ素子15又は第2アンテナ素子16の部分よりも回路基板11に近い側であって、周囲を点線で表した範囲)を欠く状態にある。磁性体17の、回路基板11の短辺に平行な向きの長さは40mmである。
【0024】
図3(a)の場合は図2に表した状態と異なり、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から見て、磁性体17が第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端近傍の(当該接続端を含む)一部を遮へいしていない。また、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11の短辺に略平行な部分どうしの遮へいも、不十分である。図3(a)の条件下で第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間のアイソレーションをシミュレーションにより評価したところ、磁性体17が存在しない場合に比較して改善効果が得られなかった。
【0025】
図3(b)において、磁性体17は、図1の場合と異なり回路基板11から遠い側の上半分(回路基板11の短辺に平行な第1アンテナ素子15又は第2アンテナ素子16の部分よりも回路基板11から遠い側であって、周囲を点線で表した範囲)を欠く状態にある。磁性体17の、回路基板11の短辺に平行な向きの長さは40mmである。
【0026】
図3(b)の場合は図2に表した状態と異なり、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から見て、磁性体17が第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端近傍の一部(回路基板11に略垂直な立ち上がり部分の上方)を遮へいしていない。また、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11の短辺に略平行な部分どうしの遮へいも、不十分である。図3(b)の条件下で第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間のアイソレーションをシミュレーションにより評価したところ、磁性体17が存在しない場合に比較して改善効果が得られなかった。
【0027】
図3(c)において、磁性体17は、図1の場合と異なり第1給電点13又は第2給電点14に近い側の左半分(回路基板11の左側の長辺から20mm長の、周囲を点線で表した範囲)を欠く状態にある。
【0028】
図3(c)の場合は図2に表した状態と異なり、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から見て、磁性体17が第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端近傍の(当該接続端を含む)一部を遮へいしていない。図3(c)の条件下で第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間のアイソレーションをシミュレーションにより評価したところ、磁性体17が存在しない場合に比較して改善効果が得られなかった。
【0029】
図3(d)において、磁性体17は、図1の場合と異なり第1給電点13又は第2給電点14から遠い側の右半分(回路基板11の右側の長辺から20mm長の、周囲を点線で表した範囲)を欠く状態にある。
【0030】
図3(d)の場合は図2に表した状態と同じく、第1アンテナ素子15の第1給電点13との接続端から見て、磁性体17が第2アンテナ素子16の第2給電点14との接続端近傍の(当該接続端を含む)一部を遮へいしている。図3(d)の条件下で第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間のアイソレーションをシミュレーションにより評価したところ、磁性体17が存在しない場合に比較して10デシベル(dB)の改善効果が得られた。
【0031】
なお、図3(d)における磁性体17の右半分が欠けていない条件(図1に表した状態)の下で第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間のアイソレーションを同じシミュレーションにより評価したところ、磁性体17が存在しない場合に比較して12dBの改善効果が得られた。これに対して、図3(d)のように磁性体17の右半分を欠く場合のアイソレーションの劣化は2dBにとどまっており、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16間を給電点に近い側で遮へいするように磁性体17を配設するのが効果的であることがわかる。
【0032】
本発明の実施例1によれば、1の無線装置において個別に給電される2のアンテナ素子の間を互いに遮へいするように磁性体を配設することにより、アンテナ素子間のアイソレーションを改善することができる。
【実施例2】
【0033】
以下、図4を参照して、本発明の実施例2を説明する。実施例2に係る無線装置は、実施例1に係る無線装置1の構成のうち磁性体17を、次に述べる磁性体20で置き換えたものである。その他の構成は、すべて無線装置1の構成と同じであるから、同じ符号を付して表すものとして説明を省略する。図4は、実施例2に係る第1アンテナ素子15、第2アンテナ素子16及び磁性体20の位置関係を、図2と同じように表して説明する図である(回路基板11及び磁性体20は、一部分を示す。)。
【0034】
図1を参照して説明したように、第1アンテナ素子15は、第1給電点13から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がる部分と、回路基板11の短辺に略平行な部分を有する。また、第2アンテナ素子16は、第2給電点14から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がる部分と、回路基板11の短辺に略平行な部分を有する。
【0035】
磁性体20は、図4に示すように、2つの磁性体部分20a及び20bを含む。磁性体部分20a、20bは、それぞれ異方性を有する。ここで説明の便宜上、図4の左上部に示したように直交座標系を定義する。当該直交座標系のX軸は、回路基板11の長辺の向きに略平行とする。Y軸はX軸と直交し、回路基板11の短辺の向きに略平行とする。Z軸はX軸及びY軸と直交し、回路基板11のなす面に略直交する。
【0036】
磁性体部分20aは、例えばナノグラニュラー材又はナノコラムナー材等の異方性磁性材料からなり、Y軸と略平行(図4に示した左側のブロック矢印の向き)に磁化困難軸を向けて配設されている。その場合、図4に示した直交座標系における磁束密度と磁界の関係式は、磁性体部分20aの磁化困難軸(図4の場合Y軸)方向の比透磁率をμyとすると、概ね式1のように表される。
【0037】
式1の左辺は、異方性を有する磁性体部分20aに磁界が印加されたときの磁束密度を、上記の直交座標系におけるベクトルとして表したものである。式1の右辺は、上記の直交座標系における行列として表される磁性体部分20aの比透磁率と、ベクトルとして表される磁界の積を表したものである。
【数1】

【0038】
式1は、磁界が印加されたとき、磁化困難軸方向の磁界成分に対しては固有の透磁率が作用し、その他の方向の磁界成分に対しては透磁率が作用しない(自由空間の透磁率と同じである。)異方性磁性体の特性を表現したものである。
【0039】
一般の(等方性の)磁性体材料の比透磁率の上限値は高い周波数におけるほど低下するという事実が、いわゆるスヌークの限界として知られている。例えば周波数1GHzにおいて、フェライト等の比透磁率の上限値は10以下である。
【0040】
これに対して、異方性を有する磁性体材料は磁化困難軸方向に高い比透磁率を示すことが知られており、例えば周波数1GHzにおいて50程度の値をとることも期待できる。したがって、図4に示したように異方性を有する磁性体部分20aの磁化困難軸を第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11のなす面に略垂直な部分に略直交するように(Y軸に平行に)向けて配設することにより、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11のなす面に略垂直な部分の間でそれぞれに分布するアンテナ電流によって生じる磁界の相互作用は、等方性磁性体を設けた場合よりも強く遮られる。
【0041】
したがって第1アンテナ素子15が励振されたとき、第1アンテナ素子15のうち回路基板11のなす面に略垂直な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略平行な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体部分20aの磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体部分20aを超えて第2アンテナ素子16の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0042】
第2アンテナ素子16が励振されたときも同様に、第2アンテナ素子16のうち回路基板11のなす面に略垂直な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略平行な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体部分20aの磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体部分20aを超えて第1アンテナ素子15の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0043】
磁性体部分20bは、磁性体部分20aと同様の異方性磁性材料からなり、Z軸と略平行(図4に示した右側のブロック矢印の向き)に磁化困難軸を向けて配設されている。異方性を有する磁性体部分20bがこのように配設されると、磁性体部分20aの効果について上述したのと同じ理由により、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11の短辺に略平行な部分の間でそれぞれに分布するアンテナ電流によって生じる磁界の相互作用は、等方性磁性体を設ける場合よりも強く遮られる。
【0044】
したがって第1アンテナ素子15が励振されたとき、第1アンテナ素子15のうち回路基板11の短辺に略平行な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略垂直な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体部分20bの磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体部分20bを超えて第2アンテナ素子16の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0045】
第2アンテナ素子16が励振されたときも同様に、第2アンテナ素子16のうち回路基板11の短辺に略平行な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略垂直な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体部分20bの磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体部分20bを超えて第1アンテナ素子15の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0046】
以上述べた通り、実施例2に係る無線装置においては、第1アンテナ素子15と第2アンテナ素子16の間を等方性磁性体により遮へいする場合より、さらに両アンテナ素子15、16間のアイソレーションを改善することが可能である。
【0047】
本発明の実施例2によれば、一方のアンテナ素子が2以上の互いに向きの異なる直線状の部分を有し、他方のアンテナ素子がこれらにそれぞれ平行な2以上の直線状の部分を有するとき、それぞれの向きに磁化困難軸の向きを略直交させて配設された異方性磁性体の組み合わせにより、アンテナ素子間のアイソレーションを改善することができる。
【実施例3】
【0048】
以下、図5を参照して、本発明の実施例3を説明する。実施例3に係る無線装置は、実施例1に係る無線装置1の構成のうち磁性体17を、次に述べる磁性体31及び付加磁性体32の対で置き換えたものである。その他の構成は、すべて無線装置1の構成と同じであるから、同じ符号を付して表すものとして説明を省略する。図5は、実施例3に係る第1アンテナ素子15、第2アンテナ素子16並びに異方性を有する磁性体31及び付加磁性体32の位置関係を、図2と同じように表して説明する図である(回路基板11、磁性体31及び付加磁性体32は、一部分を示す。)。
【0049】
図1を参照して説明したように、第1アンテナ素子15は、第1給電点13から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がる部分と、回路基板11の短辺に略平行な部分を有する。また、第2アンテナ素子16は、第2給電点14から回路基板11のなす面に略垂直の向きに立ち上がる部分と、回路基板11の短辺に略平行な部分を有する。
【0050】
磁性体31及び付加磁性体32はそれぞれ面をなして、第1アンテナ素子15の少なくとも一部に対して第2アンテナ素子16の少なくとも一部を遮へいするように配設されている。また、磁性体31及び付加磁性体32は、相互に略平行に配設されている。説明の便宜上、図5においても図4と同様に直交座標系を定義する。
【0051】
磁性体31は、例えばナノグラニュラー材又はナノコラムナー材等の異方性磁性材料からなり、Y軸と略平行(図5に示した右側のブロック矢印の向き)に磁化困難軸を向けて配設されている。異方性を有する磁性体31がこのように配設されると、実施例2の磁性体部分20aの効果について述べたのと同じ理由により、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11のなす面に略垂直な部分の間でそれぞれZ軸方向に分布するアンテナ電流によって生じる磁界の相互作用は、等方性磁性体を設ける場合よりも強く遮られる。
【0052】
したがって第1アンテナ素子15が励振されたとき、第1アンテナ素子15のうち回路基板11のなす面に略垂直な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略平行な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体31の磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体31を超えて第2アンテナ素子16の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0053】
第2アンテナ素子16が励振されたときも同様に、第2アンテナ素子16のうち回路基板11のなす面に略垂直な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略平行な面内に励起される磁界は、大部分が磁性体31の磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、磁性体31を超えて第1アンテナ素子15の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0054】
付加磁性体32は磁性体31と同様の異方性磁性材料からなり、Z軸と略平行(図5に示した左側のブロック矢印の向き)に磁化困難軸を向けて配設されている。異方性を有する付加磁性体32がこのように配設されると、実施例2の磁性体部分20bの効果について述べたのと同じ理由により、第1アンテナ素子15及び第2アンテナ素子16それぞれの回路基板11の短辺に略平行な部分の間でそれぞれY軸方向に分布するアンテナ電流によって生じる磁界の相互作用は、等方性磁性体を設ける場合よりも強く遮られる。
【0055】
したがって第1アンテナ素子15が励振されたとき、第1アンテナ素子15のうち回路基板11の短辺に略平行な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略垂直な面内に励起される磁界は、大部分が付加磁性体32の磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、付加磁性体32を超えて第2アンテナ素子16の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0056】
第2アンテナ素子16が励振されたときも同様に、第2アンテナ素子16のうち回路基板11の短辺に略平行な部分に分布するアンテナ電流によって回路基板11のなす面に略垂直な面内に励起される磁界は、大部分が付加磁性体32の磁化困難軸の向きに高い磁束密度を形成し、付加磁性体32を超えて第1アンテナ素子15の側に伝搬する磁界はわずかである。
【0057】
以上述べた通り、実施例3に係る無線装置においては、第1アンテナ素子15と第2アンテナ素子16の間を等方性磁性体により遮へいする場合より、さらに両アンテナ素子15、16間のアイソレーションを改善することができる。
【0058】
本発明の実施例3によれば、一方のアンテナ素子が2以上の互いに向きの異なる直線状の部分を有し、他方のアンテナ素子がこれらにそれぞれ略平行な2以上の直線状の部分を有するとき、それぞれの向きに磁化困難軸の向きを略直交させて互いに略平行に配設された2の異方性磁性体を用いて両アンテナ素子間を遮へいすることにより、アンテナ素子間のアイソレーションを改善することができる。
【実施例4】
【0059】
以下、図6乃至図8を参照して、本発明の実施例4を説明する。図6は、本発明の実施例4に係る無線装置4の主要な構成を表す斜視図である。無線装置4は、図6に破線で示した筐体40を有している。無線装置4は、例えば筐体40と図示しないもう1つの筐体が、相互に開閉可能に連結されて構成されたものであってもよい。
【0060】
無線装置4は、筐体40に内蔵された回路基板41を有している。回路基板41の一方の長辺近傍に、第1給電点43が設けられている。回路基板41の他方の長辺近傍に、第2給電点44が設けられている。第1給電点43には、第1アンテナ素子45が接続されている。第2給電点44には、第2アンテナ素子46が接続されている。第1アンテナ素子45及び第2アンテナ素子46は、それぞれ第1給電点43及び第2給電点44を経由して回路基板41に設けられた図示しない無線回路に接続され、給電されることができる。
【0061】
図6において、第1アンテナ素子45は第1給電点43から回路基板41のなす面に略垂直の向きに立ち上がった後、回路基板41の短辺に略平行の向きに折り曲げられて、横倒しのL字型をなす。また、第2アンテナ素子46は第2給電点44から回路基板41のなす面に略垂直の向きに立ち上がった後、回路基板41の短辺に略平行の向きに折り曲げられて、横倒しのL字型をなす。
【0062】
上述した各構成間の位置関係を、図6の右方にブロック矢印で示した方向から見て表した断面図の形で、図7に示す。第1アンテナ素子45及び第2アンテナ素子46それぞれの回路基板41の短辺に略平行な部分どうしは、上下の位置関係にある。なお、図7においては、筐体40の断面の図示を省略する。
【0063】
無線装置4は、面をなして形成された磁性体47を有している。磁性体47は、第1アンテナ素子45の少なくとも一部に対して第2アンテナ素子46の少なくとも一部を遮へいするように配設されている。より具体的に説明すると、磁性体47は、第1アンテナ素子45の第1給電点43との接続端から見て、少なくとも第2アンテナ素子46の第2給電点44との接続端近傍の一部を遮へいするように配設されている。
【0064】
無線装置4は、磁性体47のなす面に交差する向きに面をなして形成された付加磁性体48を有している。付加磁性体48は、第1アンテナ素子45の少なくとも一部に対して第2アンテナ素子46の少なくとも一部を遮へいするように配設されている。より具体的に説明すると、付加磁性体48は、第1アンテナ素子45及び第2アンテナ素子46それぞれの回路基板41の短辺に略平行な部分どうしを互いに遮へいするように配設されている。
【0065】
磁性体47は、実施例1の磁性体17と同じように、第1アンテナ素子45が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第1給電点43との接続端近傍の部分と、第2アンテナ素子46が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第2給電点44との接続端近傍の部分を互いに遮へいすることにより、両アンテナ素子45、46間のアイソレーションを改善する効果を有する。
【0066】
付加磁性体48は、実施例1の磁性体17と同じように、第1アンテナ素子45及び第2アンテナ素子46それぞれの回路基板41の短辺に略平行な空間的に近接する部分どうしを互いに遮へいすることにより、両アンテナ素子45、46間のアイソレーションを改善する効果を有する。
【0067】
図8は、本発明の実施例4に係る無線装置4の変形例である無線装置4Aの構成を、図7と同様の断面図の形で表す図である。無線装置4Aは無線装置4と同様に、筐体40及び筐体40に内蔵された回路基板41を有している。筐体40は、上側部材40aと下側部材40bが図の上下の向きに向かい合って係合することにより構成されている。図8に表したその他の構成は、図6に同じ符号を付して表したものにそれぞれ対応する。
【0068】
図8に示すように、無線装置4Aの第1アンテナ素子45は、その大部分が上側部材40aの外側の面に例えばめっき又は貼付の方法によって形成されている。回路基板41上の第1給電点43は、例えば板ばね等により上側部材40aの内側の面に接続され、上側部材40aの内側の面と外側の面は例えばめっき処理がされたビアホール等によって接続される。
【0069】
図8に示すように、無線装置4Aの磁性体47は、例えば回路基板41のなす面に略直交するように設けられたシールド壁に貼付されている。また、無線装置4Aの付加磁性体48は、例えば上側部材40aの内側の面(回路基板41のなす面に略平行な面)に貼付されている。
【0070】
図8に示すように構成された無線装置4Aにおいても、磁性体47は、第1アンテナ素子45が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第1給電点43との接続端近傍の部分と、第2アンテナ素子46が励振されたとき分布するアンテナ電流値が最大となる第2給電点44との接続端近傍の部分を互いに遮へいすることにより、両アンテナ素子45、46間のアイソレーションを改善する効果を有する。
【0071】
図8に示すように構成された無線装置4Aにおいても、付加磁性体48は、第1アンテナ素子45及び第2アンテナ素子46それぞれの回路基板41の短辺に略平行な空間的に近接する部分どうしを互いに遮へいすることにより、両アンテナ素子45、46間のアイソレーションを改善する効果を有する。
【0072】
図6若しくは図7又は図8に表したいずれの場合においても、実施例2又は実施例3について述べたように、磁性体47又は付加磁性体48を異方性材料により構成することもできる。磁性体47に異方性を持たせた場合は、磁化困難軸を回路基板41の長辺と略平行(第1アンテナ素子45又は第2アンテナ素子46の、回路基板41のなす面に略直交する部分に略直交する向き)に向けることが有効である。付加磁性体48に異方性を持たせた場合は、磁化困難軸を回路基板41の長辺と略平行(第1アンテナ素子45又は第2アンテナ素子46の、回路基板41の短辺に略平行な部分に略直交する向き)に向けることが有効である。
【0073】
本発明の実施例4によれば、一方のアンテナ素子が2以上の互いに向きの異なる直線状の部分を有し、他方のアンテナ素子がこれらにそれぞれ略平行な2以上の直線状の部分を有するとき、互いに交差する向きに配設された2の磁性体を用いて略平行な部分どうしをそれぞれ遮へいすることにより、アンテナ素子間のアイソレーションを改善することができる。
【実施例5】
【0074】
以下、図9を参照して、本発明の実施例5を説明する。図9は、本発明の実施例5に係る無線装置5の主要な構成を表す斜視図である。無線装置5は、図9に破線で示した筐体50を有している。無線装置5は、例えば筐体50と図示しないもう1つの筐体が、相互に開閉可能に連結されて構成されたものであってもよい。
【0075】
無線装置5は、筐体50に内蔵された回路基板51を有している。回路基板51の上面の図中右側の部分には、接地導体部52が設けられている。接地導体部52の1の端辺は、回路基板51の上面の中ほどを横断するように設けられている。該端辺の近傍に、第1給電点53及び第2給電点54が設けられている。図9に示すように、回路基板51の長辺の向きに略平行なX軸、回路基板51の短辺の向きに略平行なY軸及び回路基板51のなす面に略直交するZ軸からなる直交座標系を定義する。
【0076】
第1給電点53には、回路基板51の一方の長辺に沿った導体パターンとして形成された第1アンテナ素子55が接続されている。第1アンテナ素子55は、回路基板51の上面の中ほどを横断するように設けられた接地導体部52の端辺の向きと交差する向きに配設されている。第2給電点54には、回路基板51の他方の長辺に沿った導体パターンとして形成された第2アンテナ素子56が接続されている。第2アンテナ素子56は、第1アンテナ素子55と略平行に配設されている。
【0077】
無線装置5は、回路基板51のなす面に形成された磁性体57を、第1アンテナ素子55と第2アンテナ素子56の間に有している。磁性体57は、例えば回路基板51のなす面上に貼付されて形成される。磁性体57は異方性を有し、第1アンテナ素子55又は第2アンテナ素子56の向きと略直交する(図9左側の両向きブロック矢印で表す。)ように磁化困難軸を向けて配設されている。
【0078】
無線装置5は、回路基板51のなす面に形成された磁性体58を、第1給電点53と第2給電点54の間に相当する接地導体部52の範囲に有している。磁性体58は、例えば回路基板51のなす面上に貼付されて形成される。磁性体58は異方性を有し、第1アンテナ素子55又は第2アンテナ素子56の向きと略平行である(図9右側の両向きブロック矢印で表す。)ように磁化困難軸を向けて配設されている。
【0079】
第1アンテナ素子55が励振されたときX軸の向きに分布するアンテナ電流によって、回路基板51の磁性体57を含む面と交差して励起される磁界のうち一定の部分は、磁性体57においてY軸の向きに比較的高い磁束密度を形成し、第2アンテナ素子56の側に伝搬する磁界の大きさはその分抑えられる。
【0080】
このとき、回路基板51の上面の中ほどを横断するように設けられた接地導体部52の端辺に沿うように(図9の場合、ほぼY軸の正方向に)高周波電流が流れる(図9の白抜き一方向矢印(左側)で示す。)。この高周波電流によって、接地導体部52上の磁性体58を含む面と交差して励起される磁界のうち一定の部分は、磁性体58においてX軸の向きに比較的高い磁束密度を形成し、第2アンテナ素子56の側に伝搬する磁界の大きさはその分抑えられる。
【0081】
第2アンテナ素子56が励振されたときX軸の向きに分布するアンテナ電流によって、回路基板51の磁性体57を含む面と交差して励起される磁界のうち一定の部分は、磁性体57においてY軸の向きに比較的高い磁束密度を形成し、第1アンテナ素子55の側に伝搬する磁界の大きさはその分抑えられる。
【0082】
このとき、回路基板51の上面の中ほどを横断するように設けられた接地導体部52の端辺に沿うように(図9の場合、ほぼY軸の負方向に)高周波電流が流れる(図9の白抜き一方向矢印(右側)で示す。)。この高周波電流によって、接地導体部52上の磁性体58を含む面と交差して励起される磁界のうち一定の部分は、磁性体58においてX軸の向きに比較的高い磁束密度を形成し、第1アンテナ素子55の側に伝搬する磁界の大きさはその分抑えられる。
【0083】
以上述べた通り、実施例5に係る無線装置においては、回路基板51のなす面上に接地導体部52及び2のアンテナ素子55、56を平面的に形成する場合に、両アンテナ素子55、56間に異方性を持つ磁性体57及び付加磁性体58を平面的に形成してそれぞれ磁化困難軸の向きを選ぶことにより、両アンテナ素子55、56間のアイソレーションを改善することが可能である。
【0084】
本発明の実施例5によれば、2のアンテナ素子が回路基板上に形成されるか、又はそれに近い位置関係をとる場合において、回路基板上の両アンテナ素子間及び対応する接地導体部の範囲にそれぞれ異方性磁性体を設けて磁化困難軸の向きを選ぶことにより、両アンテナ素子間のアイソレーションを改善することができる。
【0085】
以上の各実施例の説明において、無線装置、筐体、回路基板、アンテナ素子、磁性体の形状、構成、配置等は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施例1に係る無線装置の主要な構成を表す斜視図。
【図2】実施例1に係る無線装置の主要な構成間の位置関係を表す斜視図。
【図3】実施例1に係る無線装置の磁性体のサイズ又は形状とアンテナ素子との位置関係について、(a)乃至(d)の4通りを挙げて例示する図。
【図4】本発明の実施例2に係る無線装置の主要な構成間の位置関係を表す斜視図。
【図5】本発明の実施例3に係る無線装置の主要な構成間の位置関係を表す斜視図。
【図6】本発明の実施例4に係る無線装置の主要な構成を表す斜視図。
【図7】実施例4に係る無線装置の主要な構成間の位置関係を表す断面図。
【図8】実施例4に係る無線装置の変形例の主要な構成間の位置関係を表す断面図。
【図9】本発明の実施例5に係る無線装置の主要な構成間の位置関係を表す斜視図。
【符号の説明】
【0087】
1、4、4A、5 無線装置
10、40、50 筐体
40a 上側部材
40b 下側部材
11、41、51 回路基板
13、43、53 第1給電点
14、44、54 第2給電点
15、45、55 第1アンテナ素子
16、46、56 第2アンテナ素子
17、20、31、47、57、58 磁性体
20a、20b 磁性体部分
32、48 付加磁性体
52 接地導体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の給電点に接続された第1のアンテナ素子と、
第2の給電点に接続された第2のアンテナ素子と、
面をなして形成されると共に、前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部に対して前記第2のアンテナ素子の少なくとも一部を遮へいするように配設された磁性体とを
備えたことを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記磁性体は、前記第1のアンテナ素子の前記第1の給電点との接続端から見て、少なくとも前記第2のアンテナ素子の前記第2の給電点との接続端近傍の一部を遮へいするように配設されたことを特徴とする無線装置。
【請求項3】
前記第1のアンテナ素子は、互いに異なる向きにそれぞれ略直線をなす第1の部分及び第2の部分を有し、
前記第2のアンテナ素子は、前記第1の部分と略平行な部分及び前記第2の部分と略平行な部分を有し、
前記磁性体は、異方性を有すると共に磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第1の部分と略直交するように配設された部分と、異方性を有すると共に磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第2の部分と略直交するように配設された部分を含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線装置。
【請求項4】
面をなして形成され、かつ、前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部に対して前記第2のアンテナ素子の少なくとも一部を遮へいすると共に前記磁性体のなす面に略平行に配設された付加磁性体をさらに備え、
前記第1のアンテナ素子は、互いに異なる向きにそれぞれ略直線をなす第1の部分及び第2の部分を有し、
前記第2のアンテナ素子は、前記第1の部分と略平行な部分及び前記第2の部分と略平行な部分を有し、
前記磁性体は異方性を有すると共に、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第1の部分と略直交するように配設され、
前記付加磁性体は異方性を有すると共に、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第2の部分と略直交するように配設された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線装置。
【請求項5】
面をなして形成され、かつ、前記第1のアンテナ素子の少なくとも一部に対して前記第2のアンテナ素子の少なくとも一部を遮へいすると共に前記磁性体のなす面に交差する向きに配設された付加磁性体をさらに備え、
前記第1のアンテナ素子は、互いに異なる向きにそれぞれ略直線をなす第1の部分及び第2の部分を有し、
前記第2のアンテナ素子は、前記第1の部分と略平行な部分及び前記第2の部分と略平行な部分を有し、
前記磁性体は、前記第1のアンテナ素子の第1の部分に対して前記第2のアンテナ素子の前記第1の部分と略平行な部分を遮へいするように配設され、
前記付加磁性体は、前記第1のアンテナ素子の第2の部分に対して前記第2のアンテナ素子の前記第2の部分と略平行な部分を遮へいするように配設された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線装置。
【請求項6】
筐体用部材を有してなると共に、前記第1のアンテナ素子の第1の部分又は第2の部分は前記筐体用部材の外側の面に形成され、前記磁性体又は前記付加磁性体は前記筐体用部材の内側の面に形成されたことを特徴とする請求項5に記載の無線装置。
【請求項7】
前記磁性体は異方性を有すると共に、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第1の部分と略直交するように配設され、
前記付加磁性体は異方性を有すると共に、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子の第2の部分と略直交するように配設された
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の無線装置。
【請求項8】
接地部分が設けられた回路基板と、
前記接地部分の1の端辺近傍に設けられた第1の給電点に接続され、前記端辺の向きと交差する向きに配設された第1のアンテナ素子と、
前記端辺近傍に設けられた第2の給電点に接続され、前記第1のアンテナ素子と略平行に配設された第2のアンテナ素子と、
前記回路基板のなす面において前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子の間に設けられ、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子又は前記第2のアンテナ素子の向きと略直交するように配設された第1の磁性体と、
前記回路基板のなす面において前記第1の給電点及び前記第2の給電点の間に相当する前記接地部分の範囲に設けられ、磁化困難軸が前記第1のアンテナ素子又は前記第2のアンテナ素子の向きと略平行であるように配設された第2の磁性体とを
備えたことを特徴とする無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−245132(P2008−245132A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85770(P2007−85770)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】