説明

無線通信システム、サーバ、携帯通信端末、通信方法及びプログラム

【課題】ユーザが選択できない通信発生に起因して、その後に電池切れによる通信不能が発生することを防止する。
【解決手段】無線通信システム10は、電池残量を計測する電池残量計測部と、電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信する電池残量情報送信部とを有する携帯通信端末200と、電池残量情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、携帯通信端末200を着信先とする接続要求を受信すると、電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有する通信サーバ100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、そのサーバ及び携帯通信端末に関し、更に詳しくは、携帯通信端末における電池残量の低下に起因する通信の中断を予防することが出来る無線通信システム、並びに、そのような無線通信システムに用いるサーバ及び携帯通信端末に関する。本発明は、更にそのようなサーバ及び携帯通信端末で用いられる通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムで用いられる携帯電話機などの携帯通信端末では、相手との交信中に電池切れが発生し、交信の中断を余儀なくされることがしばしば発生する。このような場合には、交信相手側は、交信中断の理由が判らず、その時点では問い合わせの手段もないため、不快感や不安感を抱くことになる。
【0003】
特許文献1には、電池の残量がしきい値よりも低くなったときには、外部との交信開始を禁止する携帯電話機が記載されている。同特許文献に記載の携帯電話機では、相手との交信開始前に電池の残量を確認し、交信中に発生する電池切れを防止することで、相手に不快感や不安感を与えることが防止できる。しかし、通話が予定外に長引いたときなどには、やはり電池切れによる通話の中断は発生し、相手に不快感や不安感を与える。
【0004】
特許文献2には、通話中に電池の残量がしきい値よりも低下したときには、携帯電話機自身の機能により、電池切れのため通話が中断される旨を示すメールを通話中の相手に自動的に送信する旨が記載されている。同特許文献に記載の携帯電話機では、通話が予定よりも長引き、電池切れが発生した場合にも、通話相手にその旨が通知できるので、通話相手に不快感や不安感を与えることが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−199092号公報
【特許文献2】特開2009−71556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の携帯電話機では、電池の残量が不足しそうなときには通話を行わないので、電池切れによる通話の中断を防止する。また、特許文献2の携帯電話機では、通話中に電池切れが発生する際には、メールを送信することで、電池切れの旨を相手側に通知し、相手側に発生する不快感や不安感を防止する。しかし、一般的に、ユーザには、携帯電話機の電池の残量が少なく、電池切れが発生しそうなときにも、自身が重要と考える通信はこれを実行したいとする要望がある。このようなときに、さほど重要でない電話が掛かってきた場合には、それに対する応答を余儀なくされるので、ユーザの上記要望にも拘わらず、電池切れが発生し、重要な電話の機会を失することがある。上記双方の特許文献に記載の携帯電話機では、このような問題に対処できない。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、電池の残量が少なくなったときには、ユーザ自身が要望する通信以外はこれを規制することで、電池切れによる通信不能の発生を防止することが出来る無線通信システム、そのような無線通信システムに使用できるサーバ及び携帯通信端末、並びに、そのようなサーバや携帯通信端末で使用される通信方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信する電池残量情報送信部とを有する携帯通信端末と、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有するサーバと、を備える無線通信システムを提供する。
【0009】
また、本発明は、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを備える無線通信システムのサーバを提供する。
【0010】
更に、本発明は、電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する電池残量情報送信部と、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する相手先情報通知部とを備える携帯通信端末を提供する。
【0011】
更に、本発明は、携帯通信端末が電池残量を計測するステップと、携帯通信端末が、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信するステップと、サーバが、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップと、を有する無線通信システムにおける通信方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、サーバが、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップとを有する無線通信システムにおける通信方法を提供する。
【0013】
更に、本発明は、コンピュータが電池残量を計測するステップと、コンピュータが、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信するステップと、コンピュータが、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知するステップとを有する通信方法を提供する。
【0014】
更に、本発明は、コンピュータに、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する処理と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する処理と、を実行させるプログラムを提供する。
【0015】
更に、本発明は、コンピュータに、電池残量を計測する処理と、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する処理と、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する処理と、を実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の無線通信システム、そのサーバ、携帯通信端末、通信方法、及び、プログラムでは、携帯通信端末における電池残量に基づいてその携帯通信端末への接続要求が規制されるので、ユーザが要望する通信のために電池残量を有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムのブロック図。
【図2】図1の携帯通信端末のブロック図。
【図3】図1の通信サーバのブロック図。
【図4】電池残量プロファイルを例示するグラフ。
【図5】図1の無線通信システムにおける処理を示すフローチャート。
【図6】図5のフローチャートのステップの詳細を示すフローチャート。
【図7】電池残量プロファイルの別例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の概要を説明する。本発明の無線通信システムは、その最小構成において、電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信する電池残量情報送信部とを有する携帯通信端末と、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有するサーバとを備える。
【0019】
また、本発明の無線通信システムのサーバは、その最小構成において、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを備える。
【0020】
更に、本発明の携帯通信端末は、その最小構成において、電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する電池残量情報送信部と、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する相手先情報通知部とを備える。
【0021】
更に、本発明の無線通信システムにおける通信方法は、その最小構成において、携帯通信端末が電池残量を計測するステップと、携帯通信端末が、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信するステップと、サーバが、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップとを有する。
【0022】
更に、本発明の無線通信システムのサーバにおける通信方法は、その最小構成において、サーバが、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップとを有する。
【0023】
更に、本発明の携帯通信端末における通信方法は、その最小構成において、コンピュータが電池残量を計測するステップと、コンピュータが、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信するステップと、コンピュータが、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知するステップとを有する。
【0024】
更に、本発明のサーバのためのプログラムは、その最小構成において、コンピュータに、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する処理と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する処理とを実行させる。
【0025】
更に、本発明の携帯通信端末のためのプログラムは、コンピュータに、電池残量を計測する処理と、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する処理と、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する処理とを実行させる。
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムを示すブロック図である。無線通信システム10は、サーバ(通信サーバ)100と、複数の無線基地局110、110A、110Bと、複数の携帯通信端末200、200A、200Bとを備える。通信サーバ100は、各無線基地局110、110A、110Bと通信回線120を介して接続されている。携帯通信端末200、200A、200Bは、各エリアを管轄する無線基地局110、110A、110B、及び、これらと接続された通信サーバ100を介して、他の携帯通信端末と通話又は電子メールによる交信が可能である。
【0027】
図2は、図1の携帯通信端末200の構成を示すブロック図である。他の携帯通信端末200A、200Bも同様な構成を有する。携帯通信端末200は、無線基地局110との間で無線通信回線を介して交信する無線ブロック201と、通話を処理する通話処理ブロック202と、電子メールを処理する電子メール処理ブロック203と、電池300の残量に基づいて着信を規制する着信規制データ生成ブロック204とを有する。
【0028】
着信規制データ生成ブロック204は、電池残量計測部205と、電池残量プロファイル推定部206と、電池残量情報送信部207と、優先交信相手通知部208と、記憶部209とを有する。電池残量計測部205は、定期的に電池300の端子電圧を測定し、その端子電圧に基づいて電池残量を求め、記憶部209の電池残量データ211として記憶する。電池残量プロファイル推定部206は、計測された電池残量に基づいて、現時点以降の時系列的な電池残量プロファイルを推定する。また、その推定に基づいて、例えば1回又は所定回数の通話にのみ耐える電池残量となる時刻(以下、この時刻を電池切れ時刻と呼び、また、この状態を電池切れと呼ぶ)を推定する。電池残量情報送信部207は、電池残量プロファイル推定部206が推定した電池残量プロファイル及び電池切れ時刻を含む電池残量情報を、無線ブロック201、及び、無線基地局110を介して、通信サーバ100に送信する。なお、送信する電池残量情報は、電池切れの推定時刻のみでもよい。
【0029】
優先交信相手通知部208は、ユーザが入力した優先交信相手先のリストである優先端末IDリスト210を記憶部209から取り出し、この優先端末IDリスト210を通信サーバ100に向けて送信する。優先交信相手先は、電池切れが発生した後にも、この相手からの接続要求を受け付けるものと、ユーザが定めた交信相手である。例えば、ユーザは、本実施形態では、優先交信相手として図1の携帯通信端末200Aを指定する。
【0030】
図3は、図1の通信サーバの構成を示すブロック図である。通信サーバ100は、送受信部101と、電池残量情報取得部102と、接続要求判定部103と、優先度情報取得部104と、記憶部105とを有する。送受信部101は、無線基地局110、110A、110Bを経由して、携帯通信端末200、200A、200Bから必要な情報及び接続要求を受信する。また、受け付けた接続要求を該当する携帯通信端末200、200A、200Bに転送する。電池残量情報取得部102は、送受信部101を経由して、携帯通信端末200から携帯通信端末200内の電池300の電池切れ時刻を含む電池残量情報を受信し、記憶部105に電池残量情報106として保存する。
【0031】
図4は、電池残量プロファイルを例示している。携帯通信端末200は、例えば定期的に電池残量を計測する。その計測結果A1、A2、...、A4は、時間軸上でプロットされる。プロットされたグラフの勾配で、電池残量がしきい値に達する点A5の時刻、つまり電池切れの時刻t1が推定される。携帯通信端末200の電池残量プロファイル推定部206は、このようにプロットした電池残量プロファイル及び電池切れ推定時刻を電池残量データ211として保存し、且つ、その電池残量プロファイル及び電池切れ推定時刻を含む電池残量情報を通信サーバ100に通知する。通信サーバ100の電池残量情報取得部102は、この情報を電池残量情報106として記憶部105に保存する。
【0032】
本実施形態では、通信サーバ100は、電池残量プロファイル及び電池切れの推定時刻を含む電池残量情報106を記憶部105に記憶している。しかし、電池残量情報106は、電池切れ時刻のみを含む情報として保存することも出来る。或いは、上記実施形態の構成に代えて、電池残量の計測値を定期的又は間欠的に通信サーバ100に送信して、通信サーバ100で電池切れ時刻を推定してもよい。電池残量情報取得部102による電池残量情報の取得は、例えば携帯通信端末200が新たに電池残量を計測する時点毎に実行される。
【0033】
優先度情報取得部104は、携帯通信端末200から、優先端末IDリストを受信し、これを記憶部105に優先端末IDリスト107として記憶する。優先度が高い通信相手先を送信元とする呼又は電子メールの接続要求は、優先端末IDリスト107を参照して特定され、優先的に携帯通信端末200に送られる。より詳細には、優先端末IDリスト107に記載された優先端末を送信元とする呼又は電子メールは、電池残量が図4の電池残量プロファイルにおける残量しきい値に達したと推定される時刻、つまり電池切れの時刻t1においても、携帯通信端末200に送信される。なお、しきい値を2段階に設け、最初に電池残量が到達する第1のしきい値では、優先度が高い通信相手先からの呼又は電子メールを受け付け、次に到達する第2のしきい値では、例えば電子メールのみを受け付ける、或いは、接続要求の全てを拒否するなどとしてもよい。
【0034】
携帯通信端末200の電池残量情報送信部207は、図4のA1、A2、...、A4で示したように、残量情報を一定の周期で送信している。しかし、これに代えて、現時点の電池残量が多いため電池切れのおそれが小さい時期には送信間隔を長くとり、電池残量が低下し電池切れが近づいた時期には送信間隔を短くした送信間隔を採用してもよい。この場合には、データ送信による電力消費を低減しつつ、正確な電池切れ時刻が予測可能となる。
【0035】
図5は、上記実施形態の無線通信システムにおける処理を示すフローチャートである。携帯通信端末200は、ステップS1において、携帯通信端末200の電池残量計測部205で電池300の残量を測定する。次いで、携帯通信端末200は、ステップS2において、電池残量プロファイル及び電池切れ時刻を推定し、これを電池残量情報として通信サーバ100に送信する。通信サーバ100は、ステップS3において、受信した電池残量情報をそのまま、或いは、これから電池切れ時刻を抜き出して記憶部105に電池残量情報106として記憶する。その後、ステップS4において通信サーバ100は、携帯通信端末200の電池切れ推定時刻から所定時間前の時刻に達すると、準備処理を含む送信元制限処理を開始する。送信元制限処理では、携帯通信端末200A、200Bなどから接続要求があると、優先端末IDリスト107を参照して、その接続要求を許可するか否かを判定する。送信元が優先端末IDリスト107に含まれる携帯通信端末200Aであれば接続を許可し、優先端末IDリスト107に含まれない携帯通信端末、例えば携帯通信端末200Bであれば、接続を拒否する。接続を拒否した旨は、送信元の携帯通信端末200Bには、その旨をメッセージによって通知される。また、携帯通信端末200には、例えば電池切れが解消した時点で通知され、交信履歴に表示される。
【0036】
図6は、図5のフローチャートにおけるステップS4の詳細処理を示す。通信サーバ100は、記憶部105に記憶された電池残量情報106の電池切れの推定時刻よりも所定時間前の時刻になると、送信元限定処理の準備処理を開始する(ステップS11)。携帯通信端末200は、通信サーバ100から送信元限定処理の準備処理開始通知を受けると、電池残量情報の送信周期を短くする(ステップS12)。携帯通信端末200は、その送信間隔に従って電池残量の計測間隔を短くする(ステップS13)。携帯通信端末200は、ステップS14で、電池切れ推定時刻に達したか否かを判定し、電池切れ推定時刻に達していなければ、その時点で電池残量を計測する。携帯通信端末200は、その計測した電池残量が残量しきい値に達したか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15の判定で、残量しきい値に達していなければステップS13に戻る。これは、図7に示すように、電池切れの推定時刻(t2)になっても、実際には電池切れが発生しなかった場合の処理である。電池残量の計測結果及び推定された電池切れ時刻を含む電池残量プロファイルは、通信サーバ100に送信され、その内容に従って、通信サーバ100における電池切れの推定時刻が更新される。この場合には、例えば図7に示した電池残量の計測結果A11、A12、...、A15から、その勾配が再計算され、電池切れの時刻が新たに推定される。
【0037】
ステップS15の判定で、電池残量がしきい値以下であると判定されると、ステップS16に進み、携帯通信端末200は、通信サーバに送信元制限処理を実行するように依頼する。ステップS14で、電池切れ予定時刻に達したと判定されると、ステップS17に進み、電池残量の計測を行い、電池残量がしきい値以下に達したか否かが判定される。ステップS17の判定で、電池残量がしきい値以下と判定されると、携帯通信端末200は、通信サーバ100による送信元制限処理をスタートさせて、そのまま待機する(ステップS18)。これは、図4に示したように、電池切れの推定時刻が、実際の電池切れの時刻とほぼ一致していた場合に実行される処理である。
【0038】
ステップS18からステップS19に進み、優先度が低い携帯通信端末200Bが通信サーバ100に対して、携帯通信端末200への接続要求を送信すると、通信サーバ100は、優先端末IDリスト107を参照して、その接続要求を拒否する(ステップS20)。一方、ステップS17で電池残量がしきい値以上であると判定されると、携帯通信端末200は、その電池残量を通知すると共に、通信サーバ100に送信元制限処理を解除するように依頼する(ステップS21)。この時点で、電池切れ時刻は、送信された電池残量に基づいて更新される。
【0039】
ステップS22で、携帯通信端末200Bが通信サーバ100に対して、携帯通信端末200への接続要求を送信すると、通信サーバ100は、優先端末IDリスト107を参照することなく、その接続要求を許可する(ステップS23)。その後、携帯通信端末200Bからの接続要求、例えば呼は、通信サーバ100を介して携帯通信端末200に送信され、双方の間で通話が可能になる(ステップS24)。
【0040】
上記実施形態では、携帯通信端末200における電池残量の情報を無線通信システム10の通信サーバ100内で保存しておき、その電池残量情報に基づいて接続要求を許可するか否かを判定する。このため、ユーザ自身の選択が及ばない接続要求に応答することで電池切れによる交信不能の事態が発生することを防止できる。
【0041】
また、携帯通信端末200から、特定の通信相手先のIDリストを通信サーバ100に予め通知し、電池切れが発生した場合には、それ以外の送信元の接続要求を制限する。このため、ユーザにとって優先度が低い接続要求に応答することで電池切れによる交信不能の事態が発生することを防止できる。
【0042】
更に、携帯通信端末200が、時系列的な電池残量プロファイルから電池切れの時刻を予測することで、正確な電池切れの時刻が推定できる。このため、通信サーバ100における処理が容易になる。
【0043】
更に、携帯通信端末200から送信する電池残量情報の送信間隔を、計測された電池残量に依存するように構成する。この場合、例えば電池切れの推定時刻が近づいたときには、送信間隔を短くすることで、電池切れの時刻がよりきめ細かに推定でき、また、例えば電池切れが発生しないと予測されるときに、送信間隔を長く設定することで、電力の浪費を抑えることが出来る。
【0044】
以上、本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【0045】
(付記1)
電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信する電池残量情報送信部とを有する携帯通信端末と、
前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有するサーバと、を備える無線通信システム。
【0046】
(付記2)
前記サーバは、前記受信した電池残量情報に基づいて、時系列的な電池残量プロファイル又は電池切れ時刻を予測する電池残量推定部を更に備える、付記1に記載の無線通信システム。
【0047】
(付記3)
前記電池残量情報送信部による前記電池残量情報の送信間隔が、前記計測された電池残量に依存する、付記1又は2に記載の無線通信システム。
【0048】
(付記4)
携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有する無線通信システムのサーバ。
【0049】
(付記5)
前記接続要求判定部は、更に前記携帯通信端末から受信した優先端末IDリストを参照して、前記接続要求を許可するか否かを判定する、付記4に記載の無線通信システムのサーバ。
【0050】
(付記6)
電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する電池残量情報送信部と、特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する相手先情報通知部とを備え、前記電池残量に依存して前記特定の通信相手先を送信元とする通信以外の通信を規制する通信規制を前記通信サーバに依頼する携帯通信端末。
【0051】
(付記7)
前記電池残量情報送信部は、前記計測した電池残量に依存して前記電池残量情報を送信する間隔を選定する、付記6に記載の携帯通信端末。
【0052】
(付記8)
携帯通信端末が電池残量を計測するステップと、
携帯通信端末が、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信するステップと、
サーバが、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、
サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップと、を有する無線通信システムにおける通信方法。
【0053】
(付記9)
前記携帯通信端末が、特定の通信相手のIDを前記サーバに予め通知するステップを更に有し、サーバは、前記接続要求を判定するステップでは、前記特定の通信相手のIDを更に参照して、前記接続要求を許可するか否かを判定する、付記8に記載の無線通信システムにおける通信方法。
【0054】
(付記10)
サーバが、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、
サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップとを有する無線通信システムにおける通信方法。
【0055】
(付記11)
サーバは、前記接続要求を判定するステップでは、更に前記携帯通信端末から受信した優先端末IDリストを参照して、前記接続要求を許可するか否かを判定する、付記10に記載の無線通信システムにおける通信方法。
【0056】
(付記12)
コンピュータが電池残量を計測するステップと、
コンピュータが、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信するステップと、
コンピュータが、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知するステップとを有する携帯通信端末における通信方法。
【0057】
(付記13)
コンピュータは、前記電池残量情報を送信するステップでは、前記計測した電池残量に依存して前記電池残量情報を送信する間隔を選定する、請求項付記12に記載の携帯通信端末における通信方法。
【0058】
(付記14)
コンピュータに、
携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する処理と、
前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する処理と、を実行させるプログラム。
【0059】
(付記15)
前記接続要求を判定する処理では、更に前記携帯通信端末から受信した優先端末IDリストを参照して、前記接続要求を許可するか否かを判定する、付記14に記載のプログラム。
【0060】
(付記16)
コンピュータに、
電池残量を計測する処理と、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する処理と、
前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する処理と、を実行させるプログラム。
【0061】
(付記17)
前記電池残量情報を送信する処理では、前記計測した電池残量に依存して前記電池残量情報を送信する間隔を選定する、付記16に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0062】
10:無線通信システム
100:通信サーバ
101:送受信部
102:電池残量情報取得部
103:接続要求判定部
104:優先度情報取得部
105:記憶部
106:電池残量情報
107:優先端末IDリスト
110、110A、110B:無線基地局
200、200A、200B:携帯通信端末
201:無線ブロック
202:通話処理ブロック
203:電子メール処理ブロック
204:着信規制データ生成ブロック
205:電池残量計測部
206:電池残量プロファイル推定部
207:電池残量情報送信部
208:優先交信相手通知部
209:記憶部
210:優先端末IDリスト
211:電池残量データ
300:電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信する電池残量情報送信部とを有する携帯通信端末と、
前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有するサーバと、を備える無線通信システム。
【請求項2】
前記携帯通信端末は、特定の通信相手のIDを前記サーバに予め通知しており、前記接続要求判定部は、該特定の通信相手のIDを記憶する記憶装置を更に参照して、前記接続要求を許可するか否かを判定する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記携帯通信端末は、前記電池残量計測部で計測した電池残量に基づいて、時系列的な電池残量プロファイル又は電池切れの時刻を予測する電池残量推定部を更に備え、前記電池残量情報送信部は、前記予測した電池残量プロファイル又は電池切れの時刻の情報を含む電池残量情報を送信する、請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する電池残量情報取得部と、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する接続要求判定部とを有する無線通信システムのサーバ。
【請求項5】
電池残量を計測する電池残量計測部と、該電池残量計測部で計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する電池残量情報送信部と、特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する相手先情報通知部とを備え、前記電池残量に依存して前記特定の通信相手先を送信元とする通信以外の通信を規制する通信規制を前記通信サーバに依頼する携帯通信端末。
【請求項6】
携帯通信端末が電池残量を計測するステップと、
携帯通信端末が、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に送信するステップと、
サーバが、前記電池残量情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、
サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップと、を有する無線通信システムにおける通信方法。
【請求項7】
サーバが、携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶するステップと、
サーバが、前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定するステップとを有する無線通信システムにおける通信方法。
【請求項8】
コンピュータが電池残量を計測するステップと、
コンピュータが、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信するステップと、
コンピュータが、前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知するステップとを有する携帯通信端末における通信方法。
法。
【請求項9】
コンピュータに、
携帯通信端末から該携帯通信端末の電池残量に関する情報を受信し記憶装置に記憶する処理と、
前記携帯通信端末を着信先とする接続要求を受信すると、前記電池残量情報を参照して該接続要求を許可するか否かを判定する処理と、を実行させるプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
電池残量を計測する処理と、前記計測した電池残量に関する情報を含む電池残量情報を間欠的に通信サーバに送信する処理と、
前記電池残量が所定値以下と予測された場合に規制すべき接続要求の要求元の例外を規定する特定の通信相手先を前記通信サーバに通知する処理と、を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−135391(P2011−135391A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293678(P2009−293678)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】