説明

無線通信システム、基地局、基地局間同期方法、プログラム

【課題】基地局の製造コストを低減すること。
【解決手段】本発明の無線通信システムは、端末と、前記端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信する基地局と、を有する。前記基地局は、第1の基地局と、前記第1の基地局と隣接し、前記第1の基地局とのフレーム同期を取る第2の基地局と、を含む。前記第2の基地局は、前記第1の基地局と前記第2の基地局とのセル境界に位置する端末から前記第1の基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定し、前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、基地局、基地局間同期方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の無線通信システムでは、データの送受信がサブフレーム単位で行われる。
【0003】
また、WiMAXの無線通信システムでは、多元接続方式にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式が採用され、複信方式にTDD(Time Division Duplex:時分割複信)方式が採用されている。
【0004】
OFDMA方式は、周波数方向をサブキャリア、時間方向を時間スロットでそれぞれ区切り、上りリンクおよび下りリンクのデータに対し、サブキャリアとそのサブキャリアを使用可能な時間スロットとを割り当てる方式である。
【0005】
TDD方式は、上りリンクおよび下りリンクに同一の周波数を用いて、時間軸で上りサブフレームおよび下りサブフレームを切り替える方式である。
【0006】
そのため、WiMAXの無線通信システムでは、基地局間は、下りサブフレームの送信タイミングを同期させるフレーム同期を取る必要がある。また、基地局は、UTC(協定世界時:Coordinated Universal Time)との時刻同期を、10μsecの精度(オプションで1μsecの精度)で取ることも要求されている。
【0007】
そのため、基地局は、通常、GPS(Global Positioning System)モジュールを実装し、GPS衛星から受信したUTC時刻情報に基づいて下りサブフレームの送信タイミングを制御することで、UTCとの時刻同期および基地局間のフレーム同期を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−318196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、無線通信システムを構成する全ての基地局にGPSモジュールを実装すれば、UTCとの時刻同期および基地局間のフレーム同期を実現することができる。
【0009】
しかし、GPSモジュールは、非常に高価である。
【0010】
そのため、無線通信システムを構成する基地局に一律にGPSモジュールを実装すると、基地局の製造コストが高くなってしまうという課題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決する無線通信システム、基地局、基地局間同期方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信システムは、
端末と、前記端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信する基地局と、を有してなる無線通信システムであって、
前記基地局は、
第1の基地局と、
前記第1の基地局と隣接し、前記第1の基地局とのフレーム同期を取る第2の基地局と、を含み、
前記第2の基地局は、
前記第1の基地局と前記第2の基地局とのセル境界に位置する端末から前記第1の基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定し、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0013】
本発明の基地局は、
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局であって、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定部と、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期部と、を有する。
【0014】
本発明の基地局間同期方法は、
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局による基地局間同期方法であって、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定ステップと、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期ステップと、を有する。
【0015】
本発明のプログラムは、
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局に、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定手順と、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第2の基地局は、第1の基地局とのセル境界に位置する端末から第1の基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定し、その推定結果に基づいて、端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0017】
このようにして、第2の基地局は、第1の基地局とのフレーム同期を取ることができるため、GPSモジュールを実装しているかまたはGPSモジュールを実装した基地局とフレーム同期を取っている第1の基地局に隣接して配置すれば、併せてUTCとの時刻同期を取ることができる。そのため、第2の基地局は、GPSモジュールを実装する必要がなく、製造コストを低減できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施形態では、WiMAXの無線通信システムを例に挙げて説明するが、本発明はWiMAXに限らず、OFDMA/TDD方式を採用する無線通信システム全般に適用可能である。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の無線通信システムは、第1の基地局である基地局(Base Station)10−1,10−3と、第2の基地局である基地局10−2と、端末(Mobile Station)20と、ASN−GW(Access Service Network-Gateway)30と、を有している。
【0021】
なお、図1においては、基地局10−2が、基地局10−1,10−3とそれぞれ隣接して配置されている。また、基地局10−1,10−2のセル境界に位置する1つの端末20のみ図示し、基地局10−1,10−2のセル境界に位置する他の端末や、基地局10−2,10−3のセル境界に位置する端末は省略している。また、基地局10の数を3つにしたが、本発明はこれに限定されない。また、基地局10−1〜10−3およびASN−GW30は、ネットワークを介して接続されており、互いに通信可能である。
【0022】
基地局10−1,10−3は、GPSモジュールを実装し、GPS衛星から受信したUTC時刻情報に基づいて下りサブフレームの送信タイミングを制御することで、UTCとの時刻同期および他の基地局とのフレーム同期を実現している。
【0023】
これに対して、基地局10−2は、GPSモジュールを実装していない。そのため、基地局10−2は、GPSモジュールを実装している基地局10−1または10−3とのフレーム同期を取ることで、併せてUTCとの時刻同期を取ることになる。
【0024】
このとき、基地局10−2は、本実施形態の無線通信システムで用いる、図2に示すようなフレーム構造を利用して、基地局10−1または10−3とのフレーム同期を取る。なお、図2に示したフレーム構造は、WiMAXで規定されたものである。
【0025】
図2を参照すると、本実施形態のフレーム構造は、時間軸で上りサブフレーム(Uplink Sub-frame)および下りサブフレーム(Downlink Sub-frame)が切り替えられる構造になっている(TDD方式)。なお、上りサブフレームと下りサブフレームとの間には、TTG(Transmit/Receive Transition Gap)およびRTG(Receive/Transmit Transition Gap)と呼ばれるギャップ時間が存在する。
【0026】
下りサブフレームおよび上りサブフレームは、周波数方向をサブキャリア、時間方向を時間スロットで区切った各領域に、信号やデータがのせられる(OFDMA方式)。
【0027】
下りサブフレームは、先頭に、Pilot信号であるPreamble信号をのせたPreamble領域が配置され、続いて、下りデータ(DL Burst)の位置等を表す信号をのせたDL−MAP領域、上りデータ(UL Burst)の位置等を表す信号をのせたUL−MAP領域が順に配置される。これ以降の領域に下りデータがのせられる。
【0028】
一方、上りサブフレームは、先頭に、端末側でタイミング、周波数、パワーを調整するRangingを実行するためのRanging信号をのせるRanging領域等が配置される。これ以降の領域に上りデータがのせられる。
【0029】
Ranging領域には、端末が、無線接続している基地局に対して、Rangingを実行するために定期的に送信するPeriodic Ranging信号をのせるPeriodic Ranging領域が含まれている。Periodic Ranging信号とは、端末側で測定した受信CINR(Carrier to Interference plus Noise Ratio)等を表す信号である。
【0030】
したがって、基地局10−2は、例えば、端末20と基地局10−1とが無線接続している状況において、端末20から基地局10−1に向けて送信されたPeriodic Ranging信号を受信すれば、その受信タイミングに基づいて、端末20から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定することができる。
【0031】
そのため、基地局10−2は、上記の推定結果を利用して、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御することで、基地局10−1とフレーム同期を取ることができる。
【0032】
また、この場合、端末20は、基地局10−1,10−2の双方から下りサブフレームを受信することになるため、それぞれの下りサブフレームに含まれるPreamble信号の受信タイミングのタイミング差を、基地局10−2に通知する。
【0033】
そのため、基地局10−2は、端末20から通知されたタイミング差に基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを微調整することで、基地局10−1とのフレーム同期のさらなる高精度化を図ることができる。
【0034】
ここで、上記の動作を実現する基地局10−1〜10−3および端末20の内部構成について説明する。
【0035】
まず、GPSモジュールを実装している基地局10−1,10−3の内部構成について説明する。ここでは、図3を参照して、基地局10−1の内部構成を説明するが、基地局10−3の構成も同様である。
【0036】
図3を参照すると、基地局10−1は、無線通信部111と、ネットワーク通信部112と、基地局動作部113と、GPSモジュール115と、を有している。
【0037】
無線通信部111は、端末20との間で無線通信を行う。
【0038】
ネットワーク通信部112は、他の基地局10−2,10−3およびASN−GW30との間でネットワーク通信を行う。
【0039】
GPSモジュール115は、GPS衛星からUTC時刻情報を受信する。
【0040】
基地局動作部113は、同期部114を有している。
【0041】
同期部114は、GPSモジュール115にてGPS衛星から受信したUTC時刻情報に基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0042】
その他にも、基地局動作部113は、WiMAXの無線通信システムにおいて一般的に用いられる基地局と同等の機能を実現する構成要素を有しているが、これらの構成要素は周知であるので、その説明を省略する。
【0043】
次に、GPSモジュールを不実装の基地局10−2の内部構成について、図4を参照して説明する。
【0044】
図4を参照すると、基地局10−2は、無線通信部121と、ネットワーク通信部122と、基地局動作部123と、を有している。
【0045】
無線通信部121は、端末20との間で無線通信を行う。
【0046】
ネットワーク通信部122は、他の基地局10−1,10−3およびASN−GW30との間でネットワーク通信を行う。
【0047】
基地局動作部123は、推定部124および同期部125を有している。
【0048】
推定部124は、例えば、端末20と基地局10−1とが無線接続している状況において、端末20から基地局10−1に向けて送信された上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging信号を受信し、Periodic Ranging信号の受信タイミングに基づいて、端末20から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する。
【0049】
同期部125は、推定部124にて推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0050】
また、同期部125は、端末20から、基地局10−1と10−2との間のPreamble信号の受信タイミングのタイミング差が通知されると、そのタイミング差に基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを微調整する。
【0051】
その他にも、基地局動作部123は、WiMAXの無線通信システムにおいて一般的に用いられる基地局と同等の機能を実現する構成要素を有しているが、これらの構成要素は周知であるので、その説明を省略する。
【0052】
次に、端末20の内部構成について、図5を参照して説明する。
【0053】
図5を参照すると、端末20は、無線通信部201と、端末動作部202と、を有している。
【0054】
無線通信部201は、基地局10−1,10−2との間で無線通信を行う。
【0055】
端末動作部202は、タイミング差通知部203を有している。
【0056】
タイミング差通知部203は、例えば、端末20と基地局10−1とが無線接続している状況において、基地局10−2から下りサブフレームを受信すると、基地局10−1,10−2からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれるPreamble信号の受信タイミングのタイミング差を、基地局10−2に通知する。
【0057】
その他にも、端末動作部202は、WiMAXの無線通信システムにおいて一般的に用いられる端末と同等の機能を実現する構成要素を有しているが、これらの構成要素は周知であるので、その説明を省略する。
【0058】
以下、本実施形態の無線通信システムの動作について、図6を参照して説明する。
【0059】
なお、図6では、説明を簡単にするために、基地局10−1,10−2のセル境界には端末20のみが位置し、基地局10−2,10−3のセル境界には端末が位置しないものとする。また、端末20と基地局10−1とが無線接続し、サブフレームを送受信している状況であるものとする。
【0060】
図6を参照すると、まず、初期化時に、基地局10−2の同期部125は、ステップS601,S602において、自局がGPSモジュールを実装していない旨を、隣接する基地局10−1,10−3およびASN−GW30に通知する。
【0061】
次に、基地局10−1の同期部114は、ステップS603において、基地局10−2に対し、直接またはASN−GW30を介して、端末20から送信された上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging信号を受信するための情報を通知する。ここで通知する情報は、基地局10−1のBSID、端末20のMSID、周波数、Bandwidth mode、DL/UL比(TTG/RTGを含む)などである。
【0062】
なお、図6では、基地局10−2,10−3のセル境界に端末が位置しないことを想定しているため、ステップS603において、基地局10−3からの通知は省略することができる。
【0063】
初期化後に、基地局10−2は、サブフレームの受信のみを行い、送信は行わない連続受信モードに移行する。なお、GPSモジュールを実装している基地局は、通常、初期化後に、サブフレームの送受信を行う運用モードに移行する。
【0064】
次に、基地局10−2の推定部124は、ステップS604において、ステップS603で基地局10−1から通知された情報に基づいて、端末20から基地局10−1に向けて送信された上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging信号を受信し、ステップS605において、Periodic Ranging信号の受信タイミングに基づいて、端末20から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する。
【0065】
なお、図6では、1つの端末20のみが位置することを想定しているが、基地局10−1,10−2のセル境界や基地局10−2,10−3のセル境界に複数の端末が位置している場合は、基地局10−2は、これら複数の端末のそれぞれからPeriodic Ranging信号を受信することになる。この場合、基地局10−2は、複数のPeriodic Ranging信号の受信タイミングを平均化し、その受信タイミングに基づいて、端末20から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する。
【0066】
次に、基地局10−2の同期部125は、ステップS606において、推定部124にて推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0067】
この時点で、基地局10−2は、運用モードに移行し、ステップS607において、同期部125にて制御された送信タイミングで、無線通信部121から端末20に対し、下りサブフレームが送信される。
【0068】
これにより、基地局10−2は、基地局10−1とのフレーム同期を取ることができ、併せてUTCとの時刻同期を取ることができる。
【0069】
次に、端末20のタイミング差通知部203は、基地局10−2から下りサブフレームを受信すると、ステップS608において、基地局10−1,10−2のそれぞれから受信した下りサブフレームに含まれるPreamble信号の受信タイミングのタイミング差を測定し、測定されたタイミング差を基地局10−2に通知する。このとき、タイミング差通知部203は、例えば、測定されたタイミング差を表す信号を上りサブフレームの先頭のCQICH(Channel Quality Indicator Channel)領域などにのせて通知を行う。
【0070】
その後、基地局10−2の同期部125は、ステップS609において、端末20から通知されたタイミング差に基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを微調整する。
【0071】
これにより、基地局10−2は、基地局10−1とのフレーム同期のさらなる高精度化を図ることができる。
【0072】
上述したように本実施形態においては、基地局10−2は、基地局10−1,10−2のセル境界に位置する端末20から基地局10−1に向けて送信された上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging信号の受信タイミングに基づいて、端末20から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定し、その推定結果に基づいて、端末20に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する。
【0073】
したがって、基地局10−2は、GPSモジュールを実装している基地局10−1とのフレーム同期を取ることができ、併せてUTCとの時刻同期を取ることができるため、GPSモジュールを実装する必要がなく、製造コストを低減することができるという効果が得られる。また、基地局10−2は、GPSモジュールを実装する必要がないため、小型化を図る上で有利になるという効果も得られる。
【0074】
また、本実施形態においては、端末20は、基地局10−2に対し、基地局10−1,10−2からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれるPreamble信号の受信タイミングのタイミング差を通知し、基地局10−2は、端末20から通知されたタイミング差に基づいて、下りサブフレームの送信タイミングを微調整する。
【0075】
したがって、基地局10−2は、基地局10−1とのフレーム同期のさらなる高精度化を図ることができる。
【0076】
なお、本実施形態においては、基地局10−2が下りサブフレームの送信タイミングの制御において、上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging信号を用いる場合の動作について説明したが、下りサブフレームの送信タイミングの制御に用いる信号は、上りサブフレームに含まれるRanging信号であればよく、Periodic Ranging信号に限定されない。
【0077】
また、本実施形態においては、基地局10−2が、GPSモジュールを実装している基地局10−1をリファレンスとしてフレーム同期を取る場合の動作について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0078】
すなわち、基地局10−2は、GPSモジュールを不実装であるが、上記のフレーム同期動作により、結果的にUTCとの時刻同期を取ることができる。そのため、基地局10−2に隣接し、GPSモジュール不実装の基地局は、基地局10−2をリファレンスとしてフレーム同期を取ることでUTCとの時刻同期を取ることができる。
【0079】
したがって、GPSモジュール不実装の基地局が、GPSモジュールを実装しているかまたはGPSモジュールを実装した基地局とフレーム同期を取っている基地局をリファレンスとした上記のフレーム同期動作を実行することで、マルチホップ構成の無線通信システムを安価に構築することができるという効果が得られる。
【0080】
また、本実施形態においては、基地局10−2は、GPSモジュールを実装する必要がないため、GPS衛星を補足できない場所や補足しにくい場所にも設置できることから、無線通信システムのカバーするエリアを拡げることができるという効果が得られる。
【0081】
また、無線通信システムのカバーするエリアが拡がるため、MBS(Multicast Broadcast Service)の運用時に、送信ダイバーシティ効果により下りリンクで多値変調方式を用いる高速無線サービスを提供する上で有利になるという効果が得られる。
【0082】
なお、本発明の基地局10−1〜10−3および端末20にて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した無線通信システムに用いられるフレーム構造を説明する図である。
【図3】図1に示した基地局のうち、GPSモジュールを実装している基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した基地局のうち、GPSモジュールを不実装の基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した端末の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示した無線通信システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
10−1〜10−3 基地局
20 端末
30 ASN−GW
111 無線通信部
112 ネットワーク通信部
113 基地局動作部
114 同期部
115 GPSモジュール
121 無線通信部
122 ネットワーク通信部
123 基地局動作部
124 推定部
125 同期部
201 無線通信部
202 端末動作部
203 タイミング差通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、前記端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信する基地局と、を有してなる無線通信システムであって、
前記基地局は、
第1の基地局と、
前記第1の基地局と隣接し、前記第1の基地局とのフレーム同期を取る第2の基地局と、を含み、
前記第2の基地局は、
前記第1の基地局と前記第2の基地局とのセル境界に位置する端末から前記第1の基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定し、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する、無線通信システム。
【請求項2】
前記第2の基地局は、
前記第1の基地局と前記第2の基地局とのセル境界に位置する複数の端末から前記特定の上り信号を受信した場合、前記特定の上り信号の受信タイミングを平均化したものに基づいて、前記複数の端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるRanging領域の信号である、請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging領域の信号である、請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記端末は、
前記第1および第2の基地局からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれる特定の下り信号の受信タイミングのタイミング差を前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局は、
前記端末から通知されたタイミング差に基づいて、前記制御された下りサブフレームの送信タイミングを微調整する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記特定の下り信号は、下りサブフレームに含まれるPreamble領域の信号である、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局であって、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定部と、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期部と、を有する基地局。
【請求項8】
前記推定部は、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する複数の端末から前記特定の上り信号を受信した場合、前記特定の上り信号の受信タイミングを平均化したものに基づいて、前記複数の端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する、請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるRanging領域の信号である、請求項7または8に記載の基地局。
【請求項10】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging領域の信号である、請求項7または8に記載の基地局。
【請求項11】
前記同期部は、
前記端末にて自局および隣接基地局からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれる特定の下り信号の受信タイミングのタイミング差が、該端末から通知されると、該タイミング差に基づいて、前記制御された下りサブフレームの送信タイミングを微調整する、請求項7から10のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項12】
前記特定の下り信号は、下りサブフレームに含まれるPreamble領域の信号である、請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局による基地局間同期方法であって、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定ステップと、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期ステップと、を有する基地局間同期方法。
【請求項14】
前記推定ステップでは、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する複数の端末から前記特定の上り信号を受信した場合、前記特定の上り信号の受信タイミングを平均化したものに基づいて、前記複数の端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する、請求項13に記載の基地局間同期方法。
【請求項15】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるRanging領域の信号である、請求項13または14に記載の基地局間同期方法。
【請求項16】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging領域の信号である、請求項13または14に記載の基地局間同期方法。
【請求項17】
前記同期ステップでは、
前記端末にて自局および隣接基地局からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれる特定の下り信号の受信タイミングのタイミング差が、該端末から通知されると、該タイミング差に基づいて、前記制御された下りサブフレームの送信タイミングを微調整する、請求項13から16のいずれか1項に記載の基地局間同期方法。
【請求項18】
前記特定の下り信号は、下りサブフレームに含まれるPreamble領域の信号である、請求項17に記載の基地局間同期方法。
【請求項19】
端末との間でOFDMA/TDD方式によりサブフレームを送受信し、隣接基地局とのフレーム同期を取る基地局に、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する端末から隣接基地局に向けて送信された上りサブフレームに含まれる特定の上り信号を受信し、前記特定の上り信号の受信タイミングに基づいて、前記端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する推定手順と、
前記推定された上りサブフレームの先頭の送信タイミングに基づいて、前記端末に送信する下りサブフレームの送信タイミングを制御する同期手順と、を実行させるプログラム。
【請求項20】
前記推定手順では、
自局と隣接基地局とのセル境界に位置する複数の端末から前記特定の上り信号を受信した場合、前記特定の上り信号の受信タイミングを平均化したものに基づいて、前記複数の端末から送信された上りサブフレームの先頭の送信タイミングを推定する、請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるRanging領域の信号である、請求項19または20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記特定の上り信号は、上りサブフレームに含まれるPeriodic Ranging領域の信号である、請求項19または20に記載のプログラム。
【請求項23】
前記同期手順では、
前記端末にて自局および隣接基地局からそれぞれ受信した下りサブフレームに含まれる特定の下り信号の受信タイミングのタイミング差が、該端末から通知されると、該タイミング差に基づいて、前記制御された下りサブフレームの送信タイミングを微調整する、請求項19から22のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項24】
前記特定の下り信号は、下りサブフレームに含まれるPreamble領域の信号である、請求項23に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−284315(P2009−284315A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135562(P2008−135562)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【特許番号】特許第4352281号(P4352281)
【特許公報発行日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】