説明

無線通信システム、無線通信方法および送受信機

【課題】送信側と受信側がフィードバックループを組んで無線通信を行うシステムにおいて、通信に要するオーバーヘッドとハードウェア規模の増加を抑制しつつ、受信状態に応じた適切な通信方法を用いて通信を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】無線通信システムで用いられるディジタル信号処理部204において、受信側はフィードバック情報を送信側に送る際に、送信側が受信側にとって望ましい通信方法を使用するための要求情報を付加する機能を有し、送信側は受信側からの要求情報を使用するか否かを判定する機能を有し、要求情報を使用して通信を行う際には、要求情報を使用したことを受信側へ通知する。あるいは、送信側で受信側にとって望ましい通信方法を使用するための要求情報を推定する機能を有し、要求情報を使用して通信を行う際には、要求情報を使用したことを受信側へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に、受信側からのフィードバック情報を送信側が用いる無線通信システム、この無線通信システムで用いられる無線通信方法および送受信機に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信システムでは、通信路状況変動に対応するために、同一のシステム内においても複数の送信信号生成方法を用いて通信を行う。この際、送信側では本来通信するデータ以外にも受信側での処理を可能にするための情報を受信側に通知する。
【0003】
近年では、チャネル情報(CSI:Channel State Information)として、より詳細な通信路状況を送信側へ通知するシステムも検討されている。このようなシステムでは、詳細な通信路状況を送信側が把握することによって、より適切な送信信号生成方法を選択できるため、周波数利用効率や受信品質を向上させることが可能となる。このようなシステムの例としては、例えば非特許文献1に記載される技術などが挙げられる。
【非特許文献1】Hairuo Zhuang、Lin Dai、Shidong Zhou、and Yan Yao、IEEE Trans.Commun.、51 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のような無線通信システムで用いる送信信号生成方法は、幾つかの送信パラメータの組み合わせで表され、例えば、誤り訂正符号の種類、符号化率、変調多値数等がパラメータとして挙げられる。近年、実用化されたMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)を用いるシステムでは、前記パラメータが並列に送信されるストリーム毎に定義可能であり、さらに使用するストリーム数、アンテナ数等がパラメータとして用いられる。
【0005】
通常、送受信装置は前記組み合わせの中で効率的な少数のサブセットから成るテーブルを有する。送信側は前記テーブルの中から送信信号生成方法を選択し、選択した生成方法をヘッダ情報として受信側へ通知して、通信を行う。受信側では受け取った送信信号を、通知されたヘッダ情報に基づいて受信信号を処理し、送信されたデータを復元する。
【0006】
送信側での送信信号生成方法の選択は、通常、受信機からのフィードバック情報を基に行われる。フィードバック情報としては、送信されたデータを受信側が復元できたか否かを示すACK(Acknowledgement)やNACK(Negative Acknowledgement)、受信電力やSNR(Signal to Noise Ratio)が用いられる。
【0007】
近年では、前記非特許文献1に記載されるように、CSIとしてより詳細な通信路状況を送信側へ通知し、この詳細な通信路状況を送信側が把握することによって、より適切な送信信号生成方法を選択することができる。この非特許文献1のような技術を、従来技術として図1〜図4を用いて説明する。
【0008】
図1は、従来の無線通信システムの一例を示す図である。無線通信システムは、送信側の無線通信機101と受信側の無線通信機102がフィードバックループを組んで通信を行う構成となっている。
【0009】
図2は、図1の無線通信システムで用いられる送受信機の一例を示す図である。図2では本発明の説明用に実際の送受信機201の構成を簡略化して示している。送受信機201は、複数の送受信アンテナ202−1〜202−u、アナログフロントエンド203、ディジタル信号処理部204、送受信信号制御部205から構成される。詳細なCSIをフィードバック情報として必要とする場合には、送信側から任意のタイミングでフィードバック要求を送り、明示的にフィードバック情報を取得する場合がある。
【0010】
図3は、図1の無線通信システムで用いられるデータ送受信手順の一例を示す図である。まず、送信側の無線通信機から受信側の無線通信機へフィードバック要求を送る(S11)。受信側の無線通信機では、このフィードバック要求を受信し、フィードバック情報としてチャネル情報を推定した後(S12)、このチャネル情報を送信側の無線通信機に返信する(S13)。そして、送信側の無線通信機では、このチャネル情報を受信し(S14)、送信信号を生成した後、この送信信号を受信側の無線通信機へ送信する(S15)。そして、受信側の無線通信機では、この送信信号を受信する(S16)。このようにして、送信側の無線通信機は、フィードバック要求を送り、フィードバック情報を取得することができる。
【0011】
図4は、図1の無線通信システムで用いられる送受信フレームフォーマットの一例を示す図である。送信側の無線通信機から受信側の無線通信機へ送られる信号の送信フレームのフォーマットは、(a)に示すように、基準信号、ヘッダ、データから構成される。受信側の無線通信機から送信側の無線通信機へ送られる信号のフィードバックフレームのフォーマットは、(b)に示すように、基準信号、ヘッダ、フィードバック情報から構成される。
【0012】
このような無線通信システムでは、前述の通り、送信側では、所有しているCSIが多い程、適切な送信信号生成方法を選択することができる。しかし、通信に用いる送信信号生成方法の選択肢を増やすことは通信に要するオーバーヘッドやハードウェア規模の増加に繋がるため、選択可能な送信信号生成方法の数は制限される。従って、送信側が取得するCSIを増やしても、より適切な送信信号生成方法を選択できない場合が発生する。既存の方式を用いた場合に選択できる送信信号生成方法の一例を図5に示す。
【0013】
図5は、図1の無線通信システムで用いられる送信信号生成方法の選択方法の一例を示す図である。送信信号生成方法の全候補の中から、1つの送信信号生成方法を選択する。例えば、全候補の一部を取り出して作ったテーブルには、0に送信方法1、1に送信方法2、…、8に送信方法9のように、番号に各送信方法が対応付けられている。
【0014】
実際に使用されている通信方法の例として、無線LANの標準規格であるIEEE802.11aでは、複数のOFDMシンボルをまとめたフレームという単位で通信を行う。送信信号生成方法の選択はフレーム単位で行われるため、サブキャリア毎、OFDMシンボル毎の送信信号生成方法は全て同一となる。この場合、フィードバック情報によりサブキャリア毎、OFDMシンボル毎に最適な送信信号生成方法が分かったとしても、選択可能な方法の制限によりフィードバック情報を有効に利用することはできない。
【0015】
図6に、送信信号生成方法の周波数リソースへの割り当ての一例として、OFDM信号を構成する無線リソースを示す。(a)は周波数軸上で考えた場合、(b)は時間軸上で考えた場合である。所定の送信信号生成方法を用いて生成する信号の最小単位をシンボルとすると、通常、無線通信システムでは全てのシンボルに対して異なる送信信号生成方法を用いることは無く、無線リソースを適当なサイズでまとめたリソースブロックに対して送信信号生成方法を割り当てる。OFDMを用いて通信を行うシステムでは、シンボルはサブキャリアに割り当てる信号に相当し、幾つかのサブキャリアをまとめたものがリソースブロックとなる。時間軸上で考えた場合には、所定のサブキャリアをまとめてIFFTし、Cyclic Prefix(CP)を付加して生成されたOFDMシンボルが最小のリソースブロックとなる。IEEE802.11aにおいては、複数のOFDMシンボルをまとめたフレームがリソースブロックに相応する。
【0016】
以上説明したように、送信側では、所有しているCSIが多い程、適切な送信信号生成方法を選択することができるが、通信に用いる送信信号生成方法の選択肢を増やすことは通信に要するオーバーヘッドやハードウェア規模の増加に繋がるため、選択可能な送信信号生成方法の数は制限される。従って、送信側が取得するCSIを増やしても、より適切な送信信号生成方法を選択できない場合が発生する。
【0017】
そこで、本発明は前記のような課題を考慮してなされたもので、送信側と受信側がフィードバックループを組んで無線通信を行うシステムにおいて、通信に要するオーバーヘッドとハードウェア規模の増加を抑制しつつ、受信状態に応じた適切な通信方法を用いて通信を行うことができる技術を提供することを目的とするものである。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
すなわち、代表的なものの概要は、受信側はフィードバック情報を送信側に送る際に、送信側が受信側にとって望ましい通信方法を使用するための要求情報を付加する機能を有し、送信側は受信側からの要求情報を使用するか否かを判定する機能を有し、要求情報を使用して通信を行う際には、要求情報を使用したことを受信側へ通知することを特徴とする。あるいは、送信側で受信側にとって望ましい通信方法を使用するための要求情報を推定する機能を有し、要求情報を使用して通信を行う際には、要求情報を使用したことを受信側へ通知することを特徴とする。これにより、通信に要するオーバーヘッドを抑制しつつ、受信状況に適した通信方法を選択して通信を行うことを可能にするものである。
【0021】
例えば、無線通信システムとしては、少なくとも1つの送信側の無線通信機と、少なくとも1つの受信側の無線通信機がフィードバックループを組んで通信を行うシステムであって、受信側はチャネル情報を推定する手段と、推定されたチャネル情報から送信側への要求情報を生成する手段を有し、送信側は受信側から受け取った要求情報を使用するか否かを判定する手段と、受信側へ要求情報を使用したか否かを通知する手段を有することを特徴とする。
【0022】
また、受信側からの要求情報としては、例えば、送信信号生成方法であり、受信側は送信側からの要求情報に対する返答から送信信号生成方法を特定することを特徴とする。あるいは、送信信号生成方法の候補を絞り込むための付加情報であり、受信側は送信側からの要求情報に対する返答と、送信信号生成方法の通知から送信信号生成方法を特定することを特徴とする。あるいは、受信側で測定されたチャネル情報であることを特徴とする。
【0023】
さらに、この無線通信システムで用いられる無線通信方法および送受信機などにも適用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0025】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、送信側と受信側がフィードバックループを組んで無線通信を行うシステムにおいて、通信に要するオーバーヘッドとハードウェア規模の増加を抑制しつつ、受信状態に応じた適切な通信方法を用いて通信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態の無線通信システムについて、図7〜図12に基づいて説明する。
【0028】
本発明の第1の実施の形態においても、無線通信システムは、前述した図1に示すように、送信側の無線通信機101と、受信側の無線通信機102とを有し、この送信側の無線通信機101と受信側の無線通信機102とがフィードバックループを組んで通信を行う構成となっている。また、この無線通信システムで用いられる送受信機も、前述した図2に示すように、複数の送受信アンテナ202−1〜202−uと、アナログフロントエンド203と、ディジタル信号処理部204と、送受信信号制御部205とを有して構成される。通常、無線通信機は送受信機能を有しているので、図1に示す送信側の無線通信機101と受信側の無線通信機102は、図2に示す送受信機の構成を有している。
【0029】
まず、本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるディジタル信号処理部を、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態の無線通信システムで用いられるディジタル信号処理部の構成の一例を示す図である。
【0030】
図7に示すように、ディジタル信号処理部204は、アナログフロントエンド203と送受信信号制御部205との間でデータ及び信号の送受信が可能であり、送信信号生成部702、要求情報確認/送信方法決定部703、送信要求/ウェイト生成部704、受信信号補足部705、チャネル推定/等化部706、要求応答/ヘッダ解析部707、データ復元部708などから構成される。このディジタル信号処理部701において、送信処理には、送信信号生成部702、要求情報確認/送信方法決定部703、送信要求/ウェイト生成部704が用いられ、受信処理には、受信信号捕捉部705、チャネル推定/等化部706、要求応答/ヘッダ解析部707、データ復元部708が用いられる。
【0031】
このディジタル信号処理部204において、特に、チャネル推定/等化部706は、送信側からのフィードバック要求に対してチャネル情報を推定する推定部として機能する。送信要求/ウェイト生成部704は、推定されたチャネル情報から送信方法要求情報を生成して送信側へ返信する生成部として機能する。要求情報確認/送信方法決定部703は、受信側から受信した送信方法要求情報を使用するか否かを判定する判定部として機能する。送信信号生成部702は、判定の結果により送信方法要求情報を使用したか否かを受信側へ通知する通知部として機能する。また、送信信号生成部702は、送信方法要求情報に対する応答以外に、既定の複数の送信信号生成方法の中から1つの送信信号生成方法を通知する機能を有する。また、要求情報確認/送信方法決定部703は、送信方法要求情報、または既定の複数の送信信号生成方法の中の1つの送信信号生成方法を選択する選択部として機能する。詳細には以下のとおりである。
【0032】
送信信号生成部702は、送受信信号制御部205からデータを受け取り、送信信号を生成し、アナログフロントエンド203へ信号を送り出す。送信信号生成部702では、要求情報確認/送信方法決定部703からの送信方法の通知に従って信号を生成する。送信信号生成時にチャネル推定結果から生成した送信ウェイトを必要とする場合には、送信信号生成部702は送信要求/ウェイト生成部704からウェイトを受け取る。アナログフロントエンド203の信号情報を用いて送信信号を補正する場合には、送信信号生成部702はアナログフロントエンド203からのフィードバック情報を受け取る。
【0033】
要求情報確認/送信方法決定部703では、送受信信号制御部205からの送信方法の指示、受信処理ブロックからのエラーレート、CSI、エラー検査結果等の受信状況測定結果に加えて、受信側からの送信方法要求情報を受け取る。要求情報確認/送信方法決定部703では、これらの送信方法の指示、受信状況測定結果、送信方法要求情報を基に送信方法を決定する。受信側からの送信方法要求情報がない場合には、従来技術と同様に、送信方法の指示、受信状況測定結果から送信信号生成方法を決定する。
【0034】
また、本実施の形態の送受信機では、受信状況測定結果を基にウェイトを生成する機能に加えて、送信方法要求情報を生成する機能を備える。送信信号生成部702では、送信方法要求情報を送る場合には、決定された送信信号生成方法に従って、送信データと送信方法要求情報から送信信号を生成する。この際、送信フレームに含まれるデータ部のみを前記決定された送信信号生成方法に従って送信信号に変換し、送信方法要求情報は、例えばヘッダ部のように、データ部と異なる送信信号生成方法を用いて送信信号に変換しても良い。
【0035】
図7においては、本実施の形態の説明のために、ディジタル信号処理部204が要求情報確認/送信方法決定部703、送信要求/ウェイト生成部704を備える例を示したが、これらの一部、若しくは全ての機能は送受信信号制御部205で決定され、その結果が送信信号生成部702に直接通知される構成を取っても良い。
【0036】
受信信号捕捉部705は、アナログフロントエンド203から受信信号を受け取り捕捉し、チャネル推定/等化部706に受け渡す。チャネル推定/等化部706では、受信信号に含まれる基準信号からチャネルを推定し、必要に応じてチャネル等化を行う。受信信号に含まれる基準信号から推定されるチャネル推定結果を用いて、送信側への送信信号生成方法の要求や送信ビームフォーミングで使用するウェイトを生成する場合には、データの復元を待たずに、チャネル推定結果から前記の送信要求、ウェイトを生成しても良い。この際には、送信要求/ウェイト生成部704はチャネル推定/等化部706からチャネル推定結果を受け取り、生成した送信要求/ウェイトを送信信号生成部702に通知する。送信要求/ウェイト生成部704がチャネル推定結果から送信要求及びウェイトを生成する場合には、チャネル推定/等化部706の後段のチャネル推定結果が引き出せる任意のブロックから、チャネル推定結果を受け取っても良い。つまり、チャネル推定結果を要求応答/ヘッダ解析部707、データ復元部708、送受信信号制御部205でも保持している場合にはこれらのブロックからチャネル推定結果を受け取っても良い。
【0037】
また、送信要求/ウェイト生成に必要となる情報が、受信信号に含まれる基準信号から推定されるチャネル情報でない場合には、送信要求/ウェイト生成はチャネル推定/等化部706以外のブロックから信号を受け取り、送信要求/ウェイトを生成する。例えば、送信ウェイトや要求応答をヘッダ情報に含まれる制御信号やヘッダのエラー検査結果から決定する場合は、要求応答/ヘッダ解析部707、若しくはその後段のブロックから送信要求/ウェイト生成部704は信号を受け取る。またはデータ部に含まれるチャネル情報や、エラー特性、機器構成情報やデータ部のエラー検査結果から送信ウェイト/要求情報を生成する場合には、送信要求/ウェイト生成部704はデータ復元部708の後段のブロックから信号を受け取る。
【0038】
データ復元部708では、チャネル推定/等化部706から受信信号とチャネル推定結果、チャネル等化結果を受け取り、データを復元する。通常、データ部はヘッダ部に比べて大きなデータサイズを有し、無線伝搬路に応じて適切な送信信号生成方法を用いて送信される。データ部の送信信号生成方法が既知で無い場合、ヘッダ部はデータの復元に先立って要求応答/ヘッダ解析部707で解析され、ヘッダ解析結果に含まれるデータ復元方法がデータ復元部708に通知される。データ復元部708は、このデータ復元方法を用いてデータを復元し、送受信信号制御部205に渡す。この際に必要に応じて、復元データをチャネル推定/等化部706へフィードバックする。また、必要に応じて、受信状況、CSI情報を要求情報確認/送信方法決定部703、送信要求/ウェイト生成部704に通知する。
【0039】
要求応答/ヘッダ解析部707では、従来技術でのヘッダ情報に加えて、送信側からの要求応答結果を受け取り、解析する機能を備える。要求応答結果にはデータ部を復元するために必要な情報が含まれており、従来技術のヘッダ情報と同じく、データ部復元前に解析される。送信側からの要求応答が既知の場合や送信側からの要求応答が無いことが既知の場合には、要求応答の解析を行う必要はない。また、図7では本実施の形態の説明のため、要求応答/ヘッダ解析部707はデータ復元部708や送受信信号制御部205と分けて記載しているが、ヘッダ解析に要する時間の制約やデータパスとヘッダ解析結果のパスの共通化が問題にならない場合には、要求応答/ヘッダ解析部707はデータ復元部708や送受信信号制御部205に含まれても良い。
【0040】
次に、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるフレームフォーマットを、図8〜図10を用いて説明する。図8は、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるフレームフォーマットの一例を示す図であり、(a)は送信フレームのフォーマット、(b)はフィードバックフレームのフォーマットを示す。図9及び図10は、送信フレーム中のヘッダと要求応答の一例を示す図である。
【0041】
図8に示すように、本実施の形態で使用される送信フレームのフォーマットでは、データ部の送信に先立ってヘッダと要求応答が通知される。またヘッダ/要求応答の前に、伝搬路推定、フレームの捕捉、同期に用いる基準信号が通知される。ヘッダでは、既定の汎用性の高い少数の送信信号生成方法の中のどの方法が送信信号の生成に使用されているのかが通知される。要求応答では、受信側からの要求情報を使用したか否かを通知する。最も簡単な例では要求応答は1bitの信号で表現される。要求情報に対する返答が複数bitの情報に成り得る場合には要求応答は1bitの信号でなくても良い。また、要求応答は既存のヘッダ情報と同様に、リソースブロック毎に異なる信号を割り当てても良い。受信側では要求応答から要求情報を使用していないことを確認した場合、ヘッダ中の既定の送信信号生成方法を基にデータを復元する。図8では本実施の形態の説明のため、ヘッダと要求応答は分けて記載しているが、要求応答をヘッダ部に含めて通知しても良い。ヘッダの情報と要求情報の一例を図9に示す。
【0042】
図9では、ヘッダの情報として、テーブルに既定の送信信号生成方法(0:送信方法1、1:送信方法2、…、8:送信方法9)が9種類用意されており、ヘッダでは9種類の内、どの方法が用いられるかが通知される。要求応答としては、要求応答を使わない場合を含めて4種類の送信信号生成方法要求に対する応答(0:要求情報を使わない、1:要求された方法1、2:要求された方法2、3:要求された方法3)が用意されており、4種類の内のどれを使用したかを通知する。既定の送信信号生成方法が1種類の場合や、要求情報を使わない場合にはデータ送信を行なわない無線通信システムでは、既定の送信信号生成方法の通知は省略しても良い。
【0043】
要求応答が送信信号生成方法そのものの場合の様に、受信側が要求応答のみを用いてデータ部の復元を行える場合には、ヘッダに含まれる既定の少数の送信信号生成方法と合わせて1つのテーブルを作り、これを通知することによって、データ部の復元方法を通知しても良い。例えば、既定の送信方法が9種類あり、これをヘッダで受信側へ通知するシステムがあった場合、要求情報が送信信号生成方法そのもので、既定の送信方法と異なる4種類の送信方法であったとすると、既定の方法と要求応答を組み合わせても送信信号生成方法は13種類となり、既定の送信信号生成方法を送るオーバーヘッドと同様に4bitの情報で表現することができる。この場合には既存のヘッダ領域を利用することにより、要求応答の通知に要するオーバーヘッドを小さくすることができる。このフレーム構成を図10に示す。
【0044】
図10において、(a)に示すフレームフォーマット1はヘッダと要求応答を個別に通知する場合を、(b)に示すフレームフォーマット2はヘッダと要求応答を組み合わせて作ったテーブルを通知する場合を示している。フレームフォーマット1では、要求応答とヘッダに含まれる送信信号生成方法は個別に通知されるため、両者を組み合わせた送信信号生成方法を用いることが可能だが、送信方法の指定に6bitの情報が必要となる。フレームフォーマット2は、ヘッダと要求応答を組み合わせて作ったテーブルを通知しているため、送信方法の指定に必要な情報は4bitとなり、オーバーヘッドを抑制できる。
【0045】
図8に示すように、本実施の形態で使用されるフィードバックフレームのフォーマットでは、基準信号、ヘッダの後にフィードバック情報、送信方法要求情報が通知される。広義には、明示的なフィードバック要求、若しくは暗黙のフィードバック要求を受けて送り返される信号は全てフィードバック情報であり、前記の基準信号、ヘッダ、フィードバック情報、送信方法要求情報は全て広義のフィードバック情報である。以下では説明のため、信号の中で、フレームを無線伝搬路を介して受け取るために必要な基準信号を含む部分を基準信号、制御信号を含む部分をヘッダ、それ以外の部分で通知されるフィードバック情報の内、要求応答を必要としない部分をフィードバック情報、要求応答を必要とする部分を送信方法要求情報と呼ぶ。以下では、前記フィードバックフレームのフォーマットに従った例について説明するが、実際には同じフィードバック情報を送受信機が受け取れる形でフレームフォーマットを適当に変更しても良い。
【0046】
図8に示すフィードバックフレームのフォーマットでは、フィードバック情報、及び、送信方法要求情報が、ヘッダに比べて十分に大きいbit数である場合を想定しており、フィードバック情報及び送信方法要求情報は、送信フレームのフォーマットのデータ部に相当する部分に割当てられているが、フィードバック情報及び送信方法要求情報の復元にヘッダの情報を必要としない構成を取っても良い。この場合、フィードバック情報及び送信方法要求情報は基準信号の後の任意の位置で通知して良い。
【0047】
本実施の形態のフィードバック情報及び送信方法要求情報には、チャネル情報、受信信号品質、受信側の構成や使用可能なデータ復元方法、使用する誤り訂正符号の構成方法、既定のヘッダに含まれる送信信号生成方法、既定のヘッダに含まれない送信信号生成方法や、既定のヘッダ情報と組み合わせることで、送信信号生成方法を決定するための既定のヘッダ情報に対する希望する送信信号生成方法の差分情報、リソースブロックの組み合わせの指定やリソースブロックに対する送信信号生成方法の指定、MIMOのストリーム数や送信ウェイト演算方法が含まれる。
【0048】
時分割複信(TDD:Time Division Duplex)のような明示的なフィードバック情報が無くても良い場合や要求情報が送信信号生成方法そのものの場合には、図8に示すフィードバック情報は無くても良い。
【0049】
フィードバックフレームのエラー検査結果や受信側から通知されたチャネル情報要求情報及び送受信信号制御部205の制御情報に基づいて、要求情報確認/送信方法決定部703が要求情報を使用しないと判定した場合には既定のヘッダに含まれる送信信号生成方法を使用するか、再度、フィードバック要求を受信側へ送付するか、若しくは送信を中断する。通常のフィードバックループを組むシステムと同様にフィードバック情報、送信方法要求情報は常に送信する必要はなく、一定期間、フィードバック情報や送信方法要求情報を維持し、任意のタイミングで更新しても良い。
【0050】
次に、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機におけるデータ送受信手順を、図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機におけるデータ送受信手順の一例を示す図である。図11は、フィードバックループを組んでデータの送信を行う際の手順の一例を示している。前述した図3と同じ手順には同じ番号を付している。
【0051】
まず、送信側が受信側へフィードバック要求を通知する(S11)。受信側はフィードバック要求を受信し、受信したフレームの基準信号からチャネル推定を行い(S12)、得られたチャネル情報を基に、受信側にとって望ましい送信方法要求情報を生成する(S21)。このときに、フィードバック要求に用いられるフレームが、基準信号以外のヘッダ部やデータ部を持つ場合には、それらを復元、解析し、得られたデータやエラーレートを送信方法要求情報の生成に用いても良い。
【0052】
さらに、受信側はチャネル情報及び送信方法要求情報を生成した後、これらの少なくとも一方を送信側へ通知する(S22)。このときのチャネル情報は、チャネル推定結果に用いたチャネル情報と同一のものでなくても良い。例えば、得られたチャネル情報を任意のbit数に再量子化し、チャネル情報を圧縮したものを返信しても良いし、あらかじめ用意したコードブックの中から最も近いものを返信しても良い。
【0053】
続いて、送信側では受信側からのフィードバック情報、送信方法要求情報が含まれたフィードバックフレームを受け取り(S23)、復元、解析し、要求情報とチャネル情報を確認し、得られたチャネル情報と送信方法要求情報及び送受信信号制御部205の制御情報を用いて、送信方法を決定し、送信方法要求情報の使用に関する情報から要求応答を生成する(S24)。さらに、送信側の送信信号生成部702では、決定された送信信号生成方法に従って、データ部の信号を生成し、生成されたデータ部と基準信号、ヘッダ、要求応答から送信信号のフレームを生成し、この送信信号を受信側へ送信する(S15)。そして、受信側は送信信号を受信する(S16)。
【0054】
次に、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機における受信側での受信データ処理手順を、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機における受信側での受信データ処理手順の一例を示す図である。
【0055】
まず、受信側では受信した送信フレームの基準信号を用いてフレームの捕捉、同期、チャネル推定を行う(S31)。この推定結果を用いてヘッダ/要求応答を復元、解析し(S32)、要求応答から、要求情報を使用したか否かを判定する(S33)。この判定の結果、要求情報が使用されている場合(yes)には要求情報若しくは要求情報とヘッダ情報の両方に基づいてデータ復元方法を選択し(S34)、このデータ復元方法に基づいてデータの復元を行う(S36)。一方、S33の判定の結果、要求情報が使用されていない場合(no)にはヘッダ中に含まれる既定のデータ復元方法を選択し(S35)、このデータ復元方法に基づいてデータの復元を行う(S36)。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、受信側はフィードバック情報を送信側に送る際に、送信側が受信側にとって望ましい送信方法を使用するための要求情報を付加し、送信側は受信側からの要求情報を使用するか否かを判定し、要求情報を使用して通信を行う際には、要求情報を使用したことを受信側へ通知することにより、送信側と受信側がフィードバックループを組んで無線通信を行うシステムにおいて、通信に要するオーバーヘッドとハードウェア規模の増加を抑制しつつ、受信状態(例えば無線伝搬路、受信信号品質及び受信側の構成等)に応じた適切な送信信号生成方法を用いて通信を行うことができる。
【0057】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態の無線通信システムについて、図13に基づいて説明する。
【0058】
前記第1の実施の形態では、受信側から送信側へ明示的に送信方法要求情報を送る手法を示したが、第2の実施の形態では、送信側は、受信側が通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きに関する知識を有しており、送信側は受信側からのフィードバック情報を参照することにより、受信側が決定した送信方法要求を知ることができる。この点が、本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる点である。
【0059】
前記送信側が有する知識は、事前に送受信間で通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きを通知することにより得られる。また、前記通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きを変更する場合には、再度、送受信間で通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きを通知する。このような暗黙の送信方法要求を用いることにより、通信路状況の時間的変動が少ない場合や、送信方法要求のデータ量が大きい場合には、さらなるオーバーヘッドの抑制が可能となる。
【0060】
通常、フィードバック情報として送信側へ送り返すことのできる情報量は、オーバーヘッド抑制の観点から、受信側が得ることのできる通信路状況の情報量より小さい。なぜならば、TDDを用いるシステムでは、送受信間の無線伝搬路は同一であり、基準信号に加えてアナログフロントエンドやデバイスの特性差を補正する分の情報を通知することにより、送受信間が観測する通信路状況を合わせることが可能となるが、送受信間で周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)を用いる無線通信システムでは、送受信間の無線伝搬路が異なるため、通信路状況はデータとして明示的に通知しなくてはならず、フィードバック情報として観測したチャネル情報をそのまま通知するのは通信に要するオーバーヘッドの観点から困難である。従って、前記の手法を用いて通信を行う際には、受信側は、実際に測定した通信路情報ではなく、フィードバック情報として送信側へ送る情報を用いて、送信方法要求を求める。送信側では、受信側の送信要求を推定し、推定した方法で送るか否かを要求応答として受信側へ通知する。
【0061】
送信方法要求応答を含む、送信フレームを受信する際には、受信側では、前記第1の実施の形態と同様に要求応答結果から、送信側が推定した要求情報に基づいて送信信号を生成したかを判定し、推定した要求情報に基づいて送信信号を生成した場合には、受信側がフィードバック情報を用いて求めた送信方法要求に基づいてデータを復元する。推定した要求情報に基づいていない場合にはヘッダに含まれる既定の送信信号生成方法に基づいてデータを復元する。受信側が通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きに関する知識を送信側が有している場合の本実施の形態のデータ送信手順を図13に示す。
【0062】
図13に示すデータ送信手順を実現する本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるディジタル信号処理部は、前記第1の実施の形態で示した図7と同様の構成であるが、特に、要求情報確認/送信方法決定部703、チャネル推定/等化部706、送信信号生成部702は、次のような機能を有している。要求情報確認/送信方法決定部703は、送信側へフィードバックするチャネル情報に基づいて、受信側にとって望ましい送信信号生成方法を決定する決定部として機能する。チャネル推定/等化部706は、受信側からフィードバックされたチャネル情報に基づいて、受信側にとって望ましい送信信号生成方法を推定する推定部として機能する。送信信号生成部702は、推定された送信信号生成方法を用いて送信信号を生成する生成部と、推定された送信信号生成方法を用いて送信信号を生成したか否かを受信側へ通知する通知部として機能する。
【0063】
図13は、本実施の形態の無線通信システムおよび送受信機におけるデータ送受信の手順の一例を示す図である。
【0064】
前述した図11と同様に、まず、送信側がフィードバック要求を受信側へ通知する(S11)。受信側ではフィードバック要求のフレームを受信し捕捉し、基準信号からチャネル推定を行う(S12)。次に受信側では、送信側へ送り返すフィードバック情報と同じ情報を用いて、受信側にとって望ましい送信方法要求情報を生成し(S21)、チャネル情報を送信側へ通知する(S41)。本実施の形態を用いた場合には、この際に送信方法要求情報を送信側へ返信する必要はない。
【0065】
続いて、送信側は受信側からのフィードバック情報を受け取り(S42)、通知された受信側が観測したチャネル情報を確認し、このチャネル情報から、事前に通知されている受信側が通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きに関する知識を用いて、受信側が要求している要求情報を推定し(S43)、得られたチャネル情報と要求情報及び送受信信号制御部の制御情報を用いて、送信方法を決定し、要求情報の使用に関する情報から要求応答を生成する(S44)。さらに、送信側の送信信号生成部702では、決定された送信信号生成方法に従って、データ部の信号を生成し、生成されたデータ部と基準信号、ヘッダ、要求応答から送信信号のフレームを生成し、この送信信号を受信側へ送信する(S15)。そして、受信側は送信信号を受信する(S16)。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、送信側は、受信側が通信路状況の測定結果に対して行う所定の手続きに関する知識を有しており、送信側は受信側からのフィードバック情報を参照することにより、受信側が決定した送信方法要求を知ることができるので、前記第1の実施の形態と比較して、通信路状況の時間的変動が少ない場合や、送信方法要求のデータ量が大きい場合には、さらなるオーバーヘッドの抑制が可能となる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0068】
また、本発明は、受信側からのフィードバック情報を送信側が用いる無線通信システム、あるいは、その無線通信システムで用いられる無線通信方法および送受信機に用いて特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来の無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】従来の無線通信システムで用いられる送受信機の一例を示す図である。
【図3】従来の無線通信システムで用いられるデータ送受信手順の一例を示す図である。
【図4】従来の無線通信システムで用いられる送受信フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図5】従来の無線通信システムで用いられる送信信号生成方法の選択方法の一例を示す図である。
【図6】従来の無線通信システムで用いられる送信信号生成方法の周波数リソースへの割り当ての一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるディジタル信号処理部の構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられるフレームフォーマットの一例を示す図であり、(a)は送信フレームのフォーマット、(b)はフィードバックフレームのフォーマットを示す。
【図9】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムで用いられる送信フレーム中のヘッダと要求応答の一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機で用いられる送信フレーム中のヘッダと要求応答の一例を示す図であり、(a)はヘッダと要求応答を個別に通知する場合、(b)はヘッダと要求応答を組み合わせて作ったテーブルを通知する場合を示す。
【図11】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機におけるデータ送受信の手順の一例を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機における受信側での受信データ処理手順の一例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態の無線通信システムおよび送受信機におけるデータ送受信の手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
101,102…無線通信機、
201…送受信機、202…送受信アンテナ、203…アナログフロントエンド、204…ディジタル信号処理部、205…送受信信号制御部、
702…送信信号生成部、703…要求情報確認/送信方法決定部、704…送信要求/ウェイト生成部、705…受信信号捕捉部、706…チャネル推定/等化部、707…要求応答/ヘッダ解析部、708…データ復元部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの送信側の無線通信機と、少なくとも1つの受信側の無線通信機とを具備し、前記送信側の無線通信機と前記受信側の無線通信機とがフィードバックループを組んで通信を行う無線通信システムであって、
前記受信側の無線通信機は、前記送信側の無線通信機からのフィードバック要求に対してチャネル情報を推定する推定部と、この推定されたチャネル情報から送信方法要求情報を生成して前記送信側の無線通信機へ返信する生成部とを具備し、
前記送信側の無線通信機は、前記受信側の無線通信機から受信した前記送信方法要求情報を使用するか否かを判定する判定部と、この判定の結果、前記送信方法要求情報を使用したか否かを前記受信側の無線通信機へ通知する通知部とを具備してなる
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記送信側の無線通信機の前記通知部は、前記送信方法要求情報に対する応答以外に、既定の複数の送信信号生成方法の中から1つの送信信号生成方法を通知するものであり、
前記受信側の無線通信機は、前記送信方法要求情報、または前記既定の複数の送信信号生成方法の中の1つの送信信号生成方法を選択する選択部をさらに具備してなる
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記受信側の無線通信機の前記選択部は、前記送信側の無線通信機から前記送信方法要求情報を使用しなかったことを通知された場合に、前記既定の複数の送信信号生成方法の中から1つの送信信号生成方法を選択するものである
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記送信方法要求情報の通知は複数回の送信の間に1回の間隔で行われ、
前記送信側の無線通信機は、前記送信方法要求情報の通知が無い期間は前の送信方法要求情報を維持し、次の送信方法要求情報を受け取ったときに更新する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
少なくとも1つの送信側の無線通信機と、少なくとも1つの受信側の無線通信機とを具備し、前記送信側の無線通信機と前記受信側の無線通信機とがフィードバックループを組んで通信を行う無線通信システムであって、
前記受信側の無線通信機は、前記送信側の無線通信機へフィードバックするチャネル情報に基づいて、前記受信側の無線通信機にとって望ましい送信信号生成方法を決定する決定部を具備し、
前記送信側の無線通信機は、前記受信側の無線通信機からフィードバックされたチャネル情報に基づいて、前記受信側の無線通信機にとって望ましい送信信号生成方法を推定する推定部と、この推定された送信信号生成方法を用いて送信信号を生成する生成部と、前記推定された送信信号生成方法を用いて送信信号を生成したか否かを前記受信側の無線通信機へ通知する通知部とを具備してなる
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
少なくとも1つの送信側の無線通信機と、少なくとも1つの受信側の無線通信機とを具備してなる無線通信システムにおいて、前記送信側の無線通信機と前記受信側の無線通信機とがフィードバックループを組んで行う無線通信方法であって、
前記受信側の無線通信機において、前記送信側の無線通信機からのフィードバック要求に対してチャネル情報を推定し、この推定されたチャネル情報から送信方法要求情報を生成して前記送信側の無線通信機へ返信し、
前記送信側の無線通信機において、前記受信側の無線通信機から受信した前記送信方法要求情報を使用するか否かを判定し、この判定の結果、前記送信方法要求情報を使用したか否かを前記受信側の無線通信機へ通知する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記送信側の無線通信機への前記送信方法要求情報は、前記チャネル情報と、受信信号品質と、前記受信側の無線通信機の構成とのうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記送信側の無線通信機への前記送信方法要求情報は、既定の送信信号生成方法に含まれない送信信号生成方法である
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
請求項6において、
前記送信側の無線通信機への前記送信方法要求情報は、送信信号生成方法の候補を絞り込むための付加情報であり、
前記受信側の無線通信機は、既定の送信信号生成方法の通知と、前記送信方法要求情報に対する応答との両方に基づいてデータ復元方法を決定する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
請求項6において、
前記送信側の無線通信機への前記送信方法要求情報は、既定の送信信号生成方法に対する前記受信側の無線通信機が希望する送信信号生成方法の差分情報と、同一の送信信号生成方法を割り当てるリソースブロックの組み合わせと、使用するMIMOのストリーム数と、使用する誤り訂正符号の構成方法と、送信ウェイト演算方法とのうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
送信および受信を行う送受信機であって、
フィードバック要求に対してチャネル情報を推定する推定部と、
この推定されたチャネル情報から送信方法要求情報を生成して返信する生成部と、
この返信により受信した前記送信方法要求情報を使用するか否かを判定する判定部と、
この判定の結果、前記送信方法要求情報を使用したか否かを通知する通知部と、
この通知された前記送信方法要求情報に基づいてデータ復元方法を決定する決定部と
を具備してなることを特徴とする送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−81092(P2010−81092A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244768(P2008−244768)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】