説明

無線通信システムおよびスケジュール方法

【課題】複数の基地局を備えた無線通信システムにおいて、フレーム全体でトータルスループットを向上する。
【解決手段】複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムのスケジューリング方法において、基地局は、無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、ゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握し、SINR2と、各端末局の他の基地局からの干渉電力に対応するSINR2/SINR1を参照して、各端末局を割り当てるゾーンを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局を備えた無線通信システムにおいて、システム全体のトータルスループットを向上させる無線リソースのスケジューリングを行う無線通信システムおよびスケジューリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.16で規格化されているIEEE802.16e-2005の通信方式(いわゆる Mobile WiMAX(Worldwide interoperability for microwave access ))では、高速なデータサービスに加えて、VoIPやストリーミング配信など、様々なアプリケーションに幅広く対応できるように設計されている。
【0003】
さらに、 Mobile WiMAXでは、周波数利用効率を向上させるために、FFR(Fractional Frequency Reuse) と呼ばれる柔軟性の高い周波数再利用の仕組みが利用できるように設計されている。図7は一般的なFFRのフレーム構成の一例であり、フレームは周波数再利用係数が異なる2 つのゾーンに分割される。基地局(以下、BS)近傍の端末(以下、SS)は、隣接BSと同じ周波数を使用する周波数再利用係数=1のゾーン(以下、セル中心ゾーン)に割り当て、セルエッジに位置するSSは、隣接BSと異なる周波数を使用する周波数再利用係数=3のゾーン(以下、セルエッジゾーン)に割り当てる (非特許文献1)。BS近傍に位置するSSは受信電力が大きく干渉波の影響が小さいため、BSはこのSSに対して、隣接するBSと同じ時間かつ同じ周波数を用いた通信が可能となる。一方、BSのセルエッジに位置するSSは、受信電力が小さく干渉波の影響が大きいため、BSは隣接するBSと、異なる時間または異なる周波数で送信するなどの干渉回避が行われる。 Mobile WiMAXにおけるFFRでは、セルエッジゾーンとセル中心ゾーンは一般的に時分割され、BSは各SSのデータを割当てるゾーンを適切に判断する必要がある。
【0004】
非特許文献2では、単一のSINR(信号対干渉雑音電力比)またはCINR(搬送波対干渉雑音電力比)の閾値によって各SSの割り当てるゾーンを決定する方法が示されている。図8に示すように、BSとSSとのSINR又はCINRが閾値以上であれば、SSはBS近傍に位置すると判別し、セル中心ゾーンに割当てる。一方、閾値以下であれば、SSはセルエッジに位置すると判別し、 セルエッジゾーンに割当てる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】庄納崇 他、「WiMAX教科書」、インプレスR&D、 pp.107-108
【非特許文献2】藤井啓正、吉野仁、「Fractional Frequency Reuseを用いるOFDMAセルラシステムの特性解析 通信容量およびアウテージレート」、無線通信システム研究会、 RCS2007-161、 2007 年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第一に、単一のSINRの閾値を基準にした従来技術では、トータルスループットを最大化するための最適なゾーン判別ができない問題がある。SINRだけでは他のBSからの干渉量の絶対量が把握できないからである。各SSとのSINRが閾値以上であればセル中心ゾーンに割当てるが、SINRが閾値以上でも干渉量が大きいSSにはセルエッジゾーンに割当てた方が高いスループットが得られるような場合がある。一方で、各SSとのSINRが閾値以下であればセルエッジゾーンに割当てるが、SINRが最低レート(QPSKなど)の変調方式で復調可能なレベル以上で干渉量が少ないSSに対しては、 セル中心ゾーンに割当てた方が、システム全体として高いスループットが得られる場合がある。干渉量が少ないSSはセルエッジゾーン、セル中心ゾーンのいずれに割当ててもスループットの大きな変化はないため、セル中心ゾーンに割当てることにより周波数利用効率を向上させることができるからである。
【0007】
第二に、ゾーン間でのスループットの公平性の問題がある。セルエッジゾーンとセル中心ゾーンにおける送信電力密度は一般的に異なる(非特許文献2)。したがって、干渉回避のために、複数BS間で連携して、複数BS共通のセルエッジゾーンとセル中心ゾーンの比率を動的に一括制御しない限りは、この比率は固定的に設定する必要がある。そのような場合、SINRが閾値以上のSSが閾値以下のSSに比べて多い時などでは、セル中心ゾーンに割当てるSS数が多く、それらの各SSに割当可能なリソース(時間×周波数)が少なくなる。このように、SS数の分布に片寄がある場合には、セル中心ゾーンに位置する各SSとセルエッジゾーンに位置する各SSとではスループットの公平性が保たれない。
【0008】
本発明は、複数の基地局BSを備えた無線通信システムにおいて、フレーム全体でトータルスループットを向上させることができる無線通信システムおよびスケジューリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムのスケジューリング方法において、基地局は、無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINRを参照し、各ゾーンに割り当てた端末局のうち最大または最小のSINRを有する端末局を把握し、端末局1とのSINRが閾値以上で、ゾーン2に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値未満で、ゾーン1に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、データをゾーン1に割り当て、端末局1とのSINRが閾値以上で、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値未満で、ゾーン1に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータをゾーン1からゾーン2へ再割当し、端末局1のデータをゾーン1に割り当てる。
【0010】
第2の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムのスケジューリング方法において、基地局は、無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、ゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握し、SINR2と、各端末局の他の基地局からの干渉電力に対応するSINR2/SINR1を参照して、各端末局を割り当てるゾーンを決定する。
【0011】
第2の発明のスケジューリング方法において、基地局は、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR1とSINR2を参照し、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上である場合は、データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上ではない場合は、データをゾーン1に割り当てる。
【0012】
また、基地局は、複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握し、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上であり、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上ではなく、ゾーン1に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2が閾値1以上でSINR2/SINR1が最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータをゾーン1からゾーン2へ再割当し、端末局1のデータをゾーン1に割り当てる。
【0013】
第2の発明のスケジューリング方法において、基地局は、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR1とSINR2を参照し、複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握し、端末局1とのSINR2が閾値1以上で、ゾーン2に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1未満の場合は、データをゾーン1に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1以上で、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当てる。
【0014】
第2の発明のスケジューリング方法において、基地局がゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手順は、基地局が端末局にSINR1とSINR2の両方をフィードバックすることを指示し、指示を受けた端末局は、ゾーン1とゾーン2に相当する時間または周波数を把握し、各ゾーンの時間または周波数において基地局からの受信信号によりSINRを測定し、それらのSINRを基地局へフィードバックする。
【0015】
第3の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムにおいて、基地局は、無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINRを参照し、各ゾーンに割り当てた端末局のうち最大または最小のSINRを有する端末局を把握する手段と、端末局1とのSINRが閾値以上で、ゾーン2に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値未満で、ゾーン1に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、データをゾーン1に割り当て、端末局1とのSINRが閾値以上で、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値未満で、ゾーン1に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータをゾーン1からゾーン2へ再割当し、端末局1のデータをゾーン1に割り当てるスケジューリング処理手段とを備える。
【0016】
第4の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムにおいて、基地局は、無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、ゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手段と、SINR2と、各端末局の他の基地局からの干渉電力に対応するSINR2/SINR1を参照して、各端末局を割り当てるゾーンを決定するスケジューリング処理手段とを備える。
【0017】
第4の発明の無線通信システムにおいて、スケジューリング処理手段は、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR1とSINR2を参照し、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上である場合は、データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINRが閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上ではない場合は、データをゾーン1に割り当てる構成である。
【0018】
また、基地局は、複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握する手段を備え、スケジューリング処理手段は、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上であり、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上ではなく、ゾーン1に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2が閾値1以上でSINR2/SINR1が最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータをゾーン1からゾーン2へ再割当し、端末局1のデータをゾーン1に割り当てる構成である。
【0019】
第4の発明の無線通信システムにおいて、基地局は、データバッファからデータを取り出し、基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR1とSINR2を参照し、複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握する手段を備え、スケジューリング処理手段は、端末局1とのSINR2が閾値1以上で、ゾーン2に端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 データをゾーン2に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1未満の場合は、データをゾーン1に割り当て、端末局1とのSINR2が閾値1以上で、ゾーン2に既に端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータをゾーン2からゾーン1へ再割当し、端末局1のデータをゾーン2に割り当てる構成である。
【0020】
第4の発明の無線通信システムにおいて、基地局がゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手段は、基地局が端末局にSINR1とSINR2の両方をフィードバックすることを指示し、指示を受けた端末局は、ゾーン1とゾーン2に相当する時間または周波数を把握し、各ゾーンの時間または周波数において基地局からの受信信号によりSINRを測定し、それらのSINRを基地局へフィードバックする構成である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、FFRにおいて、複数のSINRをパラメータに用いてSSを割り当てるゾーンを判別し、干渉量が大きいSSはセルエッジゾーン(周波数再利用係数が大きいゾーン1)に、干渉量が小さいSSはセル中心ゾーン(周波数再利用係数が小さいゾーン2)に割当てることで、トータルスループットを向上させることができる。
【0022】
また、SINRに基づいてゾーン間でSSを割り当て変更することによって、トータルスループットを向上すると共に、ゾーン間でのスループットの公平性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の無線通信システムの実施例の構成を示す図である。
【図2】スケジューラ12の第1の構成例を示す図である。
【図3】スケジューラ12の第1の構成例におけるスケジューリング処理手順を示すフローチャートである。
【図4】スケジューラ12の第2の構成例を示す図である。
【図5】スケジューラ12の第2の構成例におけるスケジューリング処理手順を示すフローチャートである。
【図6】スケジューラ12の第2の構成例における他のスケジューリング処理手順を示すフローチャートである。
【図7】一般的なFFRのフレーム構成の一例を示す図である。
【図8】従来のスケジューリング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(無線通信システムの実施例)
図1は、本発明の無線通信システムの実施例の構成を示す。
図1において、本実施例の無線通信システムは、バックボーンネットワークに接続される複数(m個) のBS10(1) 〜10(m) と、複数(n個) のSS20(1) 〜20(n) から構成される。本実施例では、1つ以上のBSが本発明の基地局構成およびスケジューリング方式に対応していればよい。
【0025】
BS10のデータバッファ部11は、バックボーンネットワーク1からデータが入力する。データバッファ部11では、入力された時間順にデータを保存しているが、データの送信先SSのQoSクラスなどに応じて保存されているデータの順番を入れ換えることができる。スケジューラ12は、受信部17から入力する伝搬路情報を基にスケジュール情報を構築する。そして、そのスケジュール情報に従ってデータバッファ部11に保存されているデータを先頭から取り出し、送信データ生成部13へ出力する。送信データ生成部13は、スケジューラ12から入力するデータと、スケジュール情報から構成される制御メッセージを用いてフレーム構成を生成する。送信部14は、送信データ生成部13で作成されたフレームを変調および周波数変換により無線信号に変換し、スケジュール情報に基づいて送受信の切り替えが制御されるTDDスイッチ15を介してアンテナ16からBS配下のSS20に送信する。
【0026】
また、BS10のアンテナ16で受信する無線信号は、TDDスイッチ15を介して受信部17に入力される。受信部17は、ULサブフレームの無線信号を周波数変換および復調し、復調された受信データをデータバッファ部11に出力し、さらにバックボーンネットワーク1に出力する。
【0027】
SS20は、アンテナ31を介してBS10が送信するスケジュール情報を参照して送受信を行う。
【0028】
(BS10のスケジューラ12の第1の構成例とそのスケジューリング処理)
図2は、スケジューラ12の第1の構成例を示す。図3は、スケジューラ12の第1の構成例におけるスケジューリング処理手順を示す。
【0029】
図2において、スケジューラ12は、受信部17から入力する伝搬路情報を記憶する伝搬路情報記憶部121、SINR閾値判定部122、最大・最小SINRの端末探索部123、スケジュール情報を構築するスケジュール情報構築部124から構成される。
【0030】
伝搬路情報記憶部121は、BS配下のSSとのSINRを保存している。BSによるSINRの把握手段としては、SSがBSからの信号を受信してSINRを把握し、その値がBSへフィードバックされることによってSINRを把握する手段や、BSがSSからの信号を受信することでSINRを把握する手段などが考えられる。
【0031】
SINR閾値判定部122は、伝搬路情報記憶部121を参照し、保存されている各SSとのSINRと予め設定されている閾値との高低関係を判定し、その判定結果をスケジュール情報構築部124に入力する。
【0032】
最大・最小SINRの端末探索部123は、伝搬路情報記憶部121を参照し、保存されている各SSとのSINRが最大のSSと最小のSSを探索し、そのSSの情報をスケジュール情報構築部124入力する。
【0033】
スケジュール情報構築部124は、伝搬路情報記憶部121に保存されている情報と、SINR閾値判定部122と最大・最小SINRの端末探索部123から入力する情報を参照し、フレームごとにスケジューリング処理を実行する。各SSを割り当てるゾーン判別処理と、フレームに割り当てるデータの取り出し処理について、図3のスケジューリング処理手順を参照して説明する。
【0034】
スケジュール情報構築部124は、データバッファ部11からデータを取り出し(S101)、取り出したデータの宛先SSx を把握する(S102)。続いて、伝搬路情報記憶部121を参照し、BSとSSx とのSINRを把握する(S103)。続いて、SINRが閾値1以上であるか否かを判断する(S104)。なお、閾値1は任意に設定できる値とする。例えば、閾値1の一例としては、最低レート(例えばQPSKなど)が復調可能なSINR値の設定が可能である。
【0035】
SSx とのSINRが閾値1以上であれば(S104:Yes)、セル中心ゾーンに当該データを割当可能なスペース(無線リソース)があるか否かを判断し(S105)、当該スペースがあれば(S105:Yes)、SSx をセル中心ゾーンに割り当てる(S106)。SSx とのSINRが閾値1以上であり(S104:yes)、セル中心ゾーンにデータを割当可能なスペースがない場合(S105:No) は、既にセル中心ゾーンにデータを割り当てたSSまたはSSx のうち、SINRが最小のSSy を把握する(S107)。SSx とSSy が等しい場合(S108:No) は、SSx をセルエッジゾーンに割り当て(S110)、SSx とSSy が異なる場合(S108:Yes)は、SSy をセル中心ゾーンからセルエッジゾーンへ再割当し、 SSx をセル中心ゾーンに割り当てる(S109)。
【0036】
SSx とのSINRが閾値1未満であり(S104:No) 、セルエッジゾーンに当該データを割当可能なスペースがあるか否かを判断し(S111)、当該スペースがあれば(S111:Yes)、SSx をセルエッジゾーンに割り当てる(S110)。
【0037】
SSx とのSINRが閾値1未満であり(S104:No) 、セルエッジゾーンに当該データを割当可能なスペースがない場合(S111:No) は、既にセルエッジゾーンにデータを割り当てたSSまたはSSx のうち、SINRが閾値1以上のSSがあるか否かを判断し(S112)、当該SSがなければ(S112:No) 、SSx のデータをフレームに割り当てることができず、次フレームに割り当てるためにデータバッファに戻す(S113)。一方、当該SSがあれば(S112:Yes)、既にセルエッジに割り当てたSSまたはSSx のうち、SINRが閾値1以上で、SINRが最大のSSy を把握する(S114)。SSx とSSy が等しい場合(S115:No) は、SSx をセル中心ゾーンに割り当て(S106)、SSx とSSy が異なる場合(S115:Yes)は、SSy をセルエッジゾーンからセル中心ゾーンへ再割当し、SSx をセルエッジゾーンに割り当てる(S116)。
【0038】
SSx をいずれかのゾーンに割り当てた後 (S106、S109、S110、S116の後) では、セル中心ゾーンとセルエッジゾーン(フレーム全体) にさらにデータを割り当てられるスペースがあるか否かを判断し(S117)、スペースがあれば(S117:No) 、さらにデータバッファ11からデータを取り出し、ステップS102〜S117の処理を実行する。スペースがない場合(S117:Yes)は、各SSを割り当てるゾーン判別処理とフレームに割り当てるデータの取り出し処理を終了する。
【0039】
(BS10のスケジューラ12の第2の構成例とそのスケジューリング処理)
図4は、スケジューラ12の第2の構成例を示す。図5は、スケジューラ12の第2の構成例におけるスケジューリング処理手順を示す。図6は、スケジューラ12の第2の構成例における他のスケジューリング処理手順を示す。
【0040】
図4において、スケジューラ12は、受信部17から入力する伝搬路情報を記憶するゾーン毎の伝搬路情報記憶部125、SINR閾値判定部126、最大・最小SINRの端末探索部127、スケジュール情報を構築するスケジュール情報構築部128から構成される。
【0041】
ゾーン毎の伝搬路情報記憶部125は、BS配下のSSとのSINRをゾーン毎に保存する。例えば、セルエッジゾーンにおけるSINR(SINR1)と、セル中心ゾーンのSINR(SINR2)が保存されている。BSによるSINR1とSINR2の把握手段の一例は以下の通りである。BSはSSに対して、2つのSINRをフィードバックすることをフレームの先頭の制御信号で指示する。前記のように指示されたSSは、DLリンクフレームにおけるセルエッジゾーンの時間とセル中心ゾーンの時間を把握し、それぞれの時間においてSINRを把握する。続いてアップリンクにおいて、各ゾーンのSINRをBSへフィードバックする。BSはこの信号をアンテナ16、TDDスイッチ15、受信部17を介して受信し、セルエッジゾーンのSINRをSINR1と、セル中心ゾーンのSINRをSINR2として把握し、ゾーン毎の伝搬路情報記憶部125に保存する。
【0042】
SINR閾値判定部126は、ゾーン毎の伝搬路情報記憶部125を参照し、保存されている各SSとのSINRと予め設定されている閾値との高低関係を判定し、その判定結果をスケジュール情報構築部128に入力する。この判定はセルエッジゾーンのSINR1とセル中心ゾーンのSINR2のそれぞれに対して行われる。また、SINR閾値判定部126では、複数SINRの商(例えばSINR2/SINR1)の閾値判定も行われる。
【0043】
最大・最小SINRの端末探索部127は、ゾーン毎の伝搬路情報記憶部125を参照し、保存されている各SSとのSINRが最大または最小のSSを探索し、そのSSの情報をスケジュール情報構築部128に入力する。この探索はセルエッジゾーンのSINR1とセル中心ゾーンのSINR2のそれぞれに対して行われる。また、最大・最小SINRの端末探索部127では、複数SINRの商(例えばSINR2/SINR1)が最大または最小の端末についても探索する。
【0044】
スケジュール情報構築部128は、ゾーン毎の伝搬路情報記憶部125に保存されている情報と、SINR閾値判定部126と最大・最小SINRの端末探索部127から入力される情報を参照し、フレームごとにスケジューリング処理を実行する。各SSを割り当てるゾーン判別処理と、フレームに割り当てるデータの取出し処理について、図5のスケジューリング処理手順を参照して説明する。
【0045】
スケジュール情報構築部128は、データバッファ部11からデータを取り出し(S201)、取り出したデータの宛先をSSx として把握する(S202)。続いて、伝搬路情報記憶部125を参照し、BSと前記SSx とのSINR1とSINR2を把握する(S203)。続いて、SINR2が閾値1以上、かつSINR2/SINR1が閾値2以上であるか否かを判断する(S204)。SINR2/SINR1をパラメータに使用しているのは干渉量の大きさを考慮しているからである。
【0046】
SINR1はセルエッジゾーンにおけるSINRを示し、
SINR1=S/(I1+N)
と表される。ここで、SはSSが従属しているBSからの信号電力、I1 は周波数再利用係数=3で送信する他のBSからの干渉電力である。SINR2はセル中心ゾーンにおけるSINRを示し、
SINR2=S/(I1+I2+N)
と表される。ここで、I2 は他の全てのBS(周波数再利用係数=3で送信するBSは除く)からの干渉電力であり、主にSSが従属しているBSの隣接BSの干渉電力が含まれる。
【0047】
ここで、
SINR2/SINR1=1/(I2/(I1+N) +1)
となる。I1 +Nは各SSで変動がないと考えると、各SSのSINR2/SINR1を比較することは、各SSの他の全てのBS(周波数再利用係数=3で送信するBSは除く)からの干渉電力を比較することにつながる。なお、閾値1と閾値2は任意に設定できる値とする。例えば、閾値1の一例としては、最低レート(例えばQPSKなど)が復調可能なSINR値として設定可能である。
【0048】
SINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上であれば(S204:Yes)、セル中心ゾーンにデータを割当可能なスペースがあるか否かを判断し(S205)、当該スペースがあれば(S205:Yes)、SSx をセル中心ゾーンに割当てる(S206)。SINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上であり(S204:Yes)、セル中心ゾーンにデータを割当可能なスペースがない場合(S205:No) は、既にセル中心ゾーンにデータを割当てたSSまたはSSx のうち、SINR2/SINR1が最小のSSy を把握する(S207)。SSx とSSy が等しい場合(S208:No) は、SSx をセルエッジゾーンに割り当て(S210)、SSx とSSy が異なる場合(S208:Yes)は、SSy をセル中心ゾーンからセルエッジゾーンへ再割当し、 SSx をセル中心ゾーンに割り当てる(S209)。
【0049】
SINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上でない場合(S204:No)で、セルエッジゾーンに当該データを割り当て可能なスペースがあるか否かを判断し(S211)、当該スペースがあれば(S211:Yes)は、SSx をセルエッジゾーンに割り当てる(S210)。
【0050】
SINR2が閾値1以上かつSINR2/SINR1が閾値2以上でない場合(S204:No)で、セルエッジゾーンに当該データを割り当て可能なスペースがない場合(S211:No) は、既にセルエッジゾーンにデータを割り当てたSSまたはSSxのうち、SINR2が閾値1以上のSSがあるか否かを判断し(S212)、当該SSがなければ(S212:No) 、SSx のデータをフレームに割り当てることができず、次フレームに割り当てるためにデータバッファに戻す(S213)。一方、当該SSがあれば(S212:Yes)、既にセルエッジに割り当てたデータでSINR2が閾値1以上で、SINR2/SINR1が最大のSSy を把握する(S214)。SSx とSSy が等しい場合(S215:No) は、SSx をセル中心ゾーンに割当て(S206)、SSx とSSy が異なる場合(S215:Yes)は、SSy をセルエッジゾーンからセル中心ゾーンへ再割当し、SSx をセルエッジゾーンに割り当てる(S216)。
【0051】
SSx をいずれかのゾーンに割り当てた後 (S206、S209、S210、S216の後) では、セル中心ゾーンとセルエッジゾーン(フレーム全体) にさらにデータを割り当てられるスペースがあるか否かを判断し(S217)、スペースがあれば(S217:No) 、さらにデータバッファ11からデータを取り出し、ステップS202`217の処理を実行する。スペースがない場合(S217:Yes)は、各SSを割り当てるゾーン判別処理と、フレームに割り当てるデータの取り出し処理を終了する。
【0052】
次に、図6のスケジューリング処理手順を参照し、図5の手順と異なる各SSを割り当てるゾーン判別処理と、フレームに割り当てるデータの取り出し処理について説明する。
【0053】
図6のスケジューリング処理手順では、図5におけるSINR2が閾値1以上、かつSINR2/SINR1が閾値2以上であるか否かを判断する処理(S204)に代えて、SINR2が閾値1以上か否かを判断する(S304)。そして、SINR2が閾値1以上のとき(S304:Yes)は、図5におけるステップS205〜S210は同じになり、SINR2が閾値1未満のとき(S304:No)は、SSx をセルエッジゾーンに割り当て(S210)、図5におけるステップS211〜S216の処理を省略している。
【0054】
SSx をいずれかのゾーンに割り当てた後 (S206、S209、S210の後) では、セル中心ゾーンとセルエッジゾーン(フレーム全体) にさらににデータを割り当てられるスペースがあるか否かを判断し(S217)、スペースがあれば(S217:No) 、さらにデータバッファ11からデータを取り出し、ステップS202`217の処理を実行する。スペースがない場合(S217:Yes)は、各SSを割り当てるゾーン判別処理と、フレームに割り当てるデータの取り出し処理を終了する。
【0055】
なお、各SSのゾーン判別処理とフレームに割り当てるデータの取り出し処理を終了した後に、各ゾーンに割り当てたSSのゾーン内での割り当ての調整や修正も可能である。これらの手段を経て、最終的にスケジュール情報を構築する。
【0056】
また、以上の実施例では、図1のようにBSはバックボーンネットワークと有線接続されているが、複数のBSがバックボーンネットワークと直接的に接続されていない構成であってもよい。そのBSはいわゆる無線中継局となる。この場合、バックボーンネットワークからのデータバッファへのデータ入力に替えて、その他のBSが送信する無線信号がアンテナ、TDDスイッチ、受信部を介してデータバッファへ入力される。
【0057】
また、本実施例は、 Mobile WiMAXの仕様に基づいたものであり、図7のようにセル中心ゾーンとセルエッジゾーンは時間的に分割されているが、これらのゾーンは周波数で分割されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 バックボーンネットワーク
10 基地局(BS)
11 データバッファ部
12 スケジューラ
121 伝搬路情報記憶部
122 SINR閾値判定部
123 最大・最小SINRの端末探索部
124 スケジュール情報構築部
125 ゾーン毎の伝搬路情報記憶部
126 SINR閾値判定部
127 最大・最小SINRの端末探索部
128 スケジュール情報構築部
13 送信データ生成部
14 送信部
15 TDDスイッチ
16 アンテナ
17 受信部
30 端末局(SS)
31 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムのスケジューリング方法において、
前記基地局は、
無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR(信号電力対雑音+干渉電力比) を参照し、前記各ゾーンに割り当てた端末局のうち最大または最小のSINRを有する端末局を把握し、
前記端末局1とのSINRが閾値以上で、前記ゾーン2に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 前記データを前記ゾーン2に割り当て、
前記端末局1とのSINRが閾値未満で、前記ゾーン1に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当て、
前記端末局1とのSINRが閾値以上で、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当て、
前記端末局1とのSINRが閾値未満で、前記ゾーン1に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータを前記ゾーン1から前記ゾーン2へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン1に割り当てる
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項2】
複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムのスケジューリング方法において、
前記基地局は、
無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、ゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握し、
前記SINR2と、前記各端末局の他の基地局からの干渉電力に対応するSINR2/SINR1を参照して、前記各端末局を割り当てるゾーンを決定する
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項3】
請求項2に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局は、
データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1との前記SINR1と前記SINR2を参照し、
前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上である場合は、前記データを前記ゾーン2に割り当て、
前記端末局1とのSINRが閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上ではない場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当てる
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項4】
請求項3に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局は、
前記複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握し、
前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上であり、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当て、
前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上ではなく、前記ゾーン1に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、前記ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2が閾値1以上で前記SINR2/SINR1が最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータを前記ゾーン1から前記ゾーン2へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン1に割り当てる
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項5】
請求項2に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局は、
データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1との前記SINR1と前記SINR2を参照し、前記複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握し、
前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上で、前記ゾーン2に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 前記データを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1との前記SINR2が閾値1未満の場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当て、
前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上で、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当てる
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項6】
請求項2に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局が前記ゾーン1における各端末局とのSINR1と、前記ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手順として、
前記基地局が前記端末局に前記SINR1と前記SINR2の両方をフィードバックすることを指示し、
前記指示を受けた端末局は、前記ゾーン1と前記ゾーン2に相当する時間または周波数を把握し、各ゾーンの時間または周波数において前記基地局からの受信信号によりSINRを測定し、それらのSINRを前記基地局へフィードバックする
ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項7】
複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1とのSINR(信号電力対雑音+干渉電力比) を参照し、前記各ゾーンに割り当てた端末局のうち最大または最小のSINRを有する端末局を把握する手段と、
前記端末局1とのSINRが閾値以上で、前記ゾーン2に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 前記データを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1とのSINRが閾値未満で、前記ゾーン1に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当て、前記端末局1とのSINRが閾値以上で、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1とのSINRが閾値未満で、前記ゾーン1に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、SINRが最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータを前記ゾーン1から前記ゾーン2へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン1に割り当てるスケジューリング処理手段と
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
無線フレームが時間または周波数で分割された複数のゾーンに対して、周波数再利用係数が大きいゾーン1と周波数再利用係数が小さいゾーン2を設定し、ゾーン1における各端末局とのSINR1と、ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手段と、
前記SINR2と、前記各端末局の他の基地局からの干渉電力に対応するSINR2/SINR1を参照して、前記各端末局を割り当てるゾーンを決定するスケジューリング処理手段と
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線通信システムにおいて、
前記スケジューリング処理手段は、データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1との前記SINR1と前記SINR2を参照し、前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上である場合は、前記データを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1とのSINRが閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上ではない場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当てる構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握する手段を備え、
前記スケジューリング処理手段は、前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上であり、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上かつ前記SINR2/SINR1が閾値2以上ではなく、前記ゾーン1に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合、前記ゾーン1に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2が閾値1以上で前記SINR2/SINR1が最大の端末局3を選択し、当該端末局3のデータを前記ゾーン1から前記ゾーン2へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン1に割り当てる構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項8に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、データバッファからデータを取り出し、前記基地局とそのデータの送信先の端末局1との前記SINR1と前記SINR2を参照し、前記複数の端末局のうち、最大または最小のSINR2/SINR1を有する端末局を把握する手段を備え、
前記スケジューリング処理手段は、前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上で、前記ゾーン2に前記端末局1に割り当てる無線リソースがある場合は、 前記データを前記ゾーン2に割り当て、前記端末局1との前記SINR2が閾値1未満の場合は、前記データを前記ゾーン1に割り当て、前記端末局1との前記SINR2が閾値1以上で、前記ゾーン2に既に前記端末局1に割り当てる無線リソースがない場合は、前記ゾーン2に既にデータを割り当てた端末局のうち、前記SINR2/SINR1が最小の端末局2を選択し、当該端末局2のデータを前記ゾーン2から前記ゾーン1へ再割当し、前記端末局1のデータを前記ゾーン2に割り当てる構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項8に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局が前記ゾーン1における各端末局とのSINR1と、前記ゾーン2における各端末局とのSINR2を把握する手段は、前記基地局が前記端末局に前記SINR1と前記SINR2の両方をフィードバックすることを指示し、前記指示を受けた端末局は、前記ゾーン1と前記ゾーン2に相当する時間または周波数を把握し、各ゾーンの時間または周波数において前記基地局からの受信信号によりSINRを測定し、それらのSINRを前記基地局へフィードバックする構成である
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−15336(P2011−15336A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159723(P2009−159723)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】