無線通信システム
【課題】管理端末装置1とソフトウエア無線機4と通信端末装置A1〜A3を有する無線通信システムで、適切な無線機情報を決定する。
【解決手段】管理端末装置の通信方式設定手段がソフトウエア無線機に対して無線通信方式の情報を設定し、ソフトウエア無線機の無線通信手段が設定された無線通信方式の情報を使用して外部の装置と無線通信し、通信端末装置の通信手段がソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する。通信状況検出手段1、32がソフトウエア無線機による無線通信における通信状況の情報を検出し、通信履歴記憶手段41がソフトウエア無線機による無線通信で使用された無線通信方式の情報及び検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶し、検索手段1が通信履歴情報を検索し、検索結果処理手段1が検索結果に基づいて無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う。
【解決手段】管理端末装置の通信方式設定手段がソフトウエア無線機に対して無線通信方式の情報を設定し、ソフトウエア無線機の無線通信手段が設定された無線通信方式の情報を使用して外部の装置と無線通信し、通信端末装置の通信手段がソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する。通信状況検出手段1、32がソフトウエア無線機による無線通信における通信状況の情報を検出し、通信履歴記憶手段41がソフトウエア無線機による無線通信で使用された無線通信方式の情報及び検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶し、検索手段1が通信履歴情報を検索し、検索結果処理手段1が検索結果に基づいて無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、適切な無線機情報を決定することができる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図11には、無線通信システムの構成例を示してある。
なお、後述する本発明の実施例に係る図1に示される構成部と概略的に同様なものについては同一の符号を付して詳しい説明を省略するが、これにより本発明を不要に限定する意図は無い。
図11に示される無線通信システムは、管理端末装置1と、メールサーバ2と、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機4と、通信端末装置A1〜A3がLAN(Local Area Network)7を介して接続されて構成されている。ソフトウエア無線機4は、電力増幅器5及びアンテナ6を備えている。
なお、特に、本例の無線通信システムには、図1に示される通信履歴サーバ31や他のシステム32や、これらに関する機能については、備えられていない。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/126558号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図11に示されるような無線通信システムでは、無線機情報を決定する場合に、情報や知識を基にして操作する人(例えば、管理端末装置1を操作する人)の経験により判断を行っており、このため、情報や知識や経験の差により判断が左右されることから、例えば、経験などが不足している人では適切な無線機情報を決定することができないといった問題があった。一例として、複数の拠点がある中で一部の拠点だけで通信したいようなときに、いずれの無線機情報を使用するのがよいかなどを決定することが難しかった。
ここで、情報としては、例えば、拠点の位置、季節、天候、ダクト(異常伝搬)などに関する情報がある。知識としては、例えば、電波伝搬理論などがある。判断のための経験としては、例えば、周波数の決定や、送信出力の決定などに関する経験がある。
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば無線機情報を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線機情報を決定することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、管理端末装置と、ソフトウエア無線機と、通信端末装置を有する無線通信システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記管理端末装置では、通信方式設定手段が、前記ソフトウエア無線機に対して、無線通信方式の情報を設定する。
前記ソフトウエア無線機では、無線通信手段が、前記管理端末装置により設定された無線通信方式の情報を使用して、外部の装置と無線により通信する。
前記通信端末装置では、通信手段が、前記ソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する。
【0007】
更に、当該無線通信システムでは、通信状況検出手段が、前記ソフトウエア無線機により行われる無線通信における通信状況の情報を検出する。通信履歴記憶手段が、前記ソフトウエア無線機により行われた無線通信で使用された無線通信方式の情報及び前記通信状況検出手段により検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶する。検索手段が、前記通信履歴記憶手段に記憶された通信履歴情報を検索する。検索結果処理手段が、前記検索手段による検索結果に基づいて、無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う。
【0008】
従って、過去に行われた無線通信における無線通信方式及び通信状況が通信履歴として記憶され、通信履歴を検索した結果を利用することができるため、例えば、無線通信方式の情報(無線機情報)を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線通信方式の情報(無線機情報)を容易に決定することができる。
【0009】
ここで、無線通信システムには、例えば、通信端末装置とソフトウエア無線機との間でメールのデータを中継するメールサーバや、ソフトウエア無線機に対して通信ソフトウエアを供給する通信ソフトウエアサーバなどが設けられてもよい。
また、無線通信システムに設けられる各装置の数としては、それぞれ、種々な数が用いられてもよい。
【0010】
また、無線通信方式の情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、名称(無線名)、メディア等(運用方式)、バンド、周波数、変調方式、送信出力(レベル)などの情報を用いることができる。
また、例えば、ソフトウエア無線機に複数のチャネルが設けられて、各チャネル毎に無線通信方式の情報が設定される構成が用いられてもよい。また、無線通信方式の情報が切り替え可能に設定されてもよい。
また、通信相手となる外部の装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、他の拠点のシステムに設けられた無線機(例えば、ソフトウエア無線機)などを用いることができる。
【0011】
また、通信状況の情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、日付、時刻、自己の位置(拠点位置)、通信相手の位置(相手位置)、気象、ダクト、通信状態(例えば、良好、不良など)などの情報を用いることができる。
また、記憶手段としては、例えば、メモリを用いて構成することができる。
【0012】
また、検索としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、キーを用いて該当する情報を検索する態様や、或いは、記憶された全ての情報を検索により検出する態様などを用いることができる。
なお、検索のキーとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、これから通信を行おうとする場合に、そのときの通信状況と同じ情報や、そのときの通信状況に近似する情報を用いると、そのときの通信状況と同じ或いは近似する過去の通信状況における通信履歴情報を検索することができて、好ましい。
【0013】
また、通信履歴情報の検索結果に基づいて行われる無線通信方式の情報に関する所定の処理としては、種々な処理が用いられてもよい。
例えば、通信履歴情報の検索結果をユーザ(人)に対して表示し、検索結果を参照したユーザにより新規に無線通信方式の情報を作成する操作を受け付ける処理や、ユーザにより検索結果の一部又は全部を使用して(例えば、書き換えて)無線通信方式の情報を作成する操作を受け付ける処理や、検索結果の一部又は全部をそのまま無線通信方式の情報としてユーザにより指定(選択)する操作を受け付ける処理などを用いることができる。
また、例えば、任意の装置(例えば、管理端末装置や通信端末装置など)が、予め設定された条件に従って、検索結果の中から適した(例えば、通信状態が良好であった)無線通信方式の情報を所定の数だけ選択する処理などを用いることができる。なお、所定の数としては、1つ以上の数を用いることができ、2つ以上である場合には例えば通信状態が良好な方から所定の数だけ通信履歴情報(無線通信方式の情報)を選択する。
【0014】
また、無線通信方式の情報は、例えば、人による操作に応じて又は装置(例えば、管理端末装置や通信端末装置など)により自動的に、管理端末装置のメモリに記憶されて設定され、また、管理端末装置からの制御によりソフトウエア無線機に設定され、或いは、管理端末装置を介さずに、通信端末装置などから直接的にソフトウエア無線機に設定される。
【0015】
また、通信状況検出手段や、通信履歴記憶手段や、検索手段や、検索結果処理手段としては、それぞれ、任意の装置に備えられてもよく、例えば、管理端末装置や通信端末装置に備えられてもよく、或いは、無線通信システムに別の装置が設けられてその別の装置に備えられてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムによると、過去に行われた無線通信における無線通信方式及び通信状況が通信履歴として記憶され、通信履歴を検索した結果を利用することができるため、例えば、無線通信方式の情報(無線機情報)を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線通信方式の情報(無線機情報)を容易に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る無線通信システムの構成例を示してある。
本例の無線通信システムは、管理端末装置1と、メールサーバ2と、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機4と、複数の通信端末装置A1〜A3と、これらを接続するネットワークの一例であるLAN7と、ソフトウエア無線機4に備えられた電力増幅器5及びアンテナ6から構成されている。
また、本例の無線通信システムには、LAN7を介して、通信履歴サーバ31が接続されて備えられている。
また、本例の無線通信システムには、LAN7を介して、他のシステム32が接続されている。
【0018】
ここで、本例では、図1に示されるようなシステム(本例では、図1に示される全て)が定期航路などの船舶(移動体の一例)に設置されており、複数の船舶のそれぞれ毎に同様なシステムが設置されている。本例では、各船舶を無線通信の各拠点とし、複数の拠点の間で音声やメールのデータを無線により通信することが可能である。
また、本例では、管理端末装置1は管理者となるユーザ(人)により操作され、各通信端末装置A1〜A3は音声やメールを通信するユーザ(人)により操作される。
【0019】
管理端末装置1は、無線機情報ファイル11と、無線機使用状況ファイル12と、端末情報ファイル13をメモリに記憶している。
メールサーバ2は、電子メールファイル21をメモリに記憶する機能を有している。
通信ソフトウエアサーバ3は、複数であるn個の異なる機能のそれぞれについて通信ソフトウエアB1〜Bnをメモリに記憶している。具体例として、メールA用通信ソフトウエアB1や、音声B用通信ソフトウエアB2などがある。
【0020】
ソフトウエア無線機4は、通信ソフトウエアサーバ3からLAN7を介して提供される通信ソフトウエアC1、C2をメモリに記憶する機能を有している。本例のソフトウエア無線機4では、2つのチャネル(CH)分の通信ソフトウエアC1、C2を記憶する。
各通信端末装置A1〜A3は、端末プログラムD1〜D3をメモリに記憶している。端末プログラムとしては、例えば、電子メールに関する処理を実行する端末プログラムD2や、音声通信に関する処理を実行する端末プログラムD1、D3などがある。
【0021】
通信履歴サーバ31は、通信履歴記憶部41を有している。
他のシステム32は、種々な機能を有しており、本例では、位置時刻情報取得部51と、ダクト情報取得部52と、気象情報取得部53を有している。
なお、本例では、他のシステム32としては、例えば、本例の無線通信システム(図1に示される他のシステム32以外の部分)と接続されて一体とされた構成例を示すが、他の構成例として、他のシステム32として、本例の無線通信システム(図1に示される他のシステム32以外の部分)とは分離したシステムが用いられてもよく、この場合、本例の無線通信システム(管理端末装置1や通信履歴サーバ31など)と他のシステム32との間の通信として無線通信を用いることもできる。
【0022】
本例の無線通信システムの構成を詳しく説明する。
管理端末装置1は、無線機情報ファイル11を作成及び保存する機能と、無線機使用状況ファイル12を管理する機能と、ソフトウエア無線機4の制御及び状態表示を行う機能を有している。
図2には、無線機情報ファイル11の情報内容の一例を示してある。
本例の無線機情報ファイル11では、無線通信システムで使用する無線機情報として、無線名と、無線通信システムで使用する運用方式と、使用するバンドと、使用する周波数と、使用する変調方式と、使用する送信出力が対応付けられて格納されている。運用方式は、ソフトウエア無線機4により通信するときに必要な通信ソフトウエアC1、C2を起動する際に用いられる情報である。無線名は、「運用方式、バンド、周波数、変調方式、送信出力」等の組み合わせ毎に、入力者により任意に付けられる名称である。
【0023】
図3には、無線機使用状況ファイル12の情報内容の一例を示してある。
本例の無線機使用状況ファイル12では、ソフトウエア無線機番号と、チャネル番号(CH番号)と、設定済み無線名と、端末使用状況が対応付けられて格納されている。
例えば、ソフトウエア無線機番号が「1−1」であるソフトウエア無線機4のCH番号「1」には、無線名「メールA1」が設定されており、メールサーバA(メールサーバ5)に使用許可が与えられている状況となっている。また、ソフトウエア無線機番号が「1−1」であるソフトウエア無線機4のCH番号「2」には、無線名「音声B2」が設定されており、通信端末装置A1に使用許可が与えられている状況となっている。
端末情報ファイル13は、各通信端末装置A1〜A3などに関する情報を格納する。
【0024】
また、管理端末装置1は、ソフトウエア無線機4に対する制御を行う。例えば、ソフトウエア無線機1−1(ソフトウエア無線機4)のCH1を無線名「音声B2」として機能させたい場合には、無線名「音声B2」に該当する無線機情報と、CH1への設定をソフトウエア無線機4に通知する。
また、管理端末装置1は、ソフトウエア無線機4の状態表示を行う。この表示の内容としては、例えば、各チャネルに設定されている無線名や、送信中であることや、受信中であること、などがある。
【0025】
ソフトウエア無線機4は、管理端末装置1からの制御に応じて、無線機の機能として必要な通信ソフトウエアC1、C2をチャネル毎にLAN7を介して通信ソフトウエアサーバ3から取得(ダウンロード)して記憶し、記憶した通信ソフトウエアC1、C2を起動することで、チャネル毎に無線機として機能して無線通信を行う。
例えば、図1では、ソフトウエア無線機4のチャネル1(CH1)は運用方式「メールA1」として動作しており、チャネル2(CH2)は運用方式「音声B2」として動作している。該当するチャネルのバンド、周波数、変調方式等の設定は、無線名による。
ソフトウエア無線機4は、送信対象となる信号を電力増幅器5へ出力することで当該信号を電力増幅器5により増幅してアンテナ6から無線により送信し、アンテナ6により無線受信された信号を電力増幅器5を介して入力する。
【0026】
各通信端末装置A1〜A3は、通信端末装置上で動作させる端末プログラムD1〜D3に応じて機能する。
通信端末装置A1、A3では、音声通信機能を有する端末プログラムD1、D3が動作させられることで、音声データを送受信する処理を行う。具体例としては、通信端末装置A1、A3では、LAN7を介して管理端末装置1から受信した端末情報ファイル13の内容を選択画面として表示し、人(ユーザ)により或いは自動的に使用する無線名が選択されて、LAN7を介してソフトウエア無線機4の該当チャネル(選択されたもの)との間で音声データを送受信することにより、音声通信端末として機能する。本例では、別の拠点のシステムに備えられた他の通信端末装置などとの間で音声による会話を行うことができる。
【0027】
図4には、端末情報ファイル13の情報内容の一例を示してある。
本例の端末情報ファイル13では、無線名と、使用状況と、端末プログラム名が対応付けて格納されている。例えば、無線名「メールA1」については、使用状況が「設定済み」であり、端末プログラム名が「AAAAAAA.exe」である。
ここで、端末プログラム名により特定される端末プログラムは、通信端末装置A1〜A3に搭載されるプログラムである。例えば、各通信端末装置A1〜A3毎に1つ以上の端末プログラムが搭載される。端末プログラムとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、音声を送受信するプログラムや、音声を聞く(受信する)だけのプログラムや、メールを通信するプログラムなどがある。
【0028】
図5には、音声通信を行う通信端末装置A1、A3における無線名の選択画面の一例を示してある。
本例の選択画面では、無線名と使用状況が対応付けられて表示される。
ここで、使用状況の「設定済み」は、現在においてソフトウエア無線機4で動作している無線名を表しており、また、使用状況の「使用可」は、ソフトウエア無線機4に設定することが可能な無線名を表している。つまり、「設定済み」の無線名はすぐに使用できる状態にあり、「使用可」の無線名はソフトウエアの更新により使用できる状態となる。
【0029】
通信端末装置A2では、電子メール送受信機能を有する端末プログラムD2が動作させられることで、メールサーバ2との間で電子メールを送受信する処理などを行う。具体的には、電子メールの作成や送信に使用する無線名を選択する機能や、送信操作を行う機能や、受信された電子メールの内容を表示する機能などを有している。
例えば、通信端末装置A2では、LAN7を介して管理端末装置1から受信した端末情報ファイル13の内容を選択画面として表示し、人(ユーザ)により或いは自動的に使用する無線名が選択されて、メール通信端末として機能する。
【0030】
図6には、電子メール通信を行う通信端末装置A2における無線名の選択画面の一例を示してある。
本例の選択画面では、無線名が表示される。なお、メールについてはメールサーバ2を介して通信されるため、本例では、図5に示されるような使用状況については表示されない。
各無線名のメールの機能としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、通常の電子メール通信の機能や、或いは、電子メールに添付する画像情報を自動的に圧縮するアプリケーションが付いている機能などを用いることができる。
【0031】
メールサーバ2は、通信端末装置A1〜A3からの電子メールを受信する機能と、通信端末装置A1〜A3への電子メールを送信する機能と、別の拠点への電子メールを送信する機能と、別の拠点からの電子メールを受信する機能を有している。
通信端末装置A1〜A3からの電子メールを受信する機能では、通信端末装置A1〜A3で作成された電子メールを受信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使用することができる。
通信端末装置A1〜A3への電子メールを送信する機能では、通信端末装置A1〜A3からの要求に応じて、該当するユーザ宛ての電子メールを通信端末装置A1〜A3へ送信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なPOP(Post Office Protocol)を使用することができる。
【0032】
別の拠点への電子メールを送信する機能では、例えば、別の拠点に設置されている次の転送先となるメールサーバ宛てに、ソフトウエア無線機4を介して、電子メールを送信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTPを使用することができる。
別の拠点からの電子メールを受信する機能では、例えば、別の拠点に設置されているメールサーバから送信された電子メールを受信して保存する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTPを使用することができる。
【0033】
図7には、管理端末装置1により無線機情報を作成して、通信端末装置A1〜A3により音声通信を開始する際の処理フローの一例を示してある。なお、ここでは音声通信を例として説明するが、メール通信についても概略的には同様である。
本例では、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機1−m(図1に示されるソフトウエア無線機4に相当するもの)と、管理端末装置1と、通信端末装置Ap(図1に示される通信端末装置A1〜A3に相当するもの)により行われる処理を例として説明する。
【0034】
管理端末装置1では、例えばユーザ(人)により或いは自動的に無線機情報を作成して、それを無線機情報ファイル11に保存する(処理T1)。
管理端末装置1では、例えばユーザなどからの指示に応じて或いは自動的に、通信に使用する無線機情報を決定する(処理T2)。例えば、初期設定では、ユーザにより、通信に使用する無線機情報が決定される。また、通信端末装置からの要求(指示)により音声通信に使用する無線機情報が決定される態様や、或いは、メールサーバ2からの要求(指示)によりメール通信に使用する無線機情報が決定される態様を用いることもできる。
【0035】
管理端末装置1は、ソフトウエア無線機1−mに対して、無線機情報とチャネル番号を指示する(処理T3)。
ソフトウエア無線機1−mは、管理端末装置1からの指示に従って、通信ソフトウエアサーバ3から必要な通信ソフトウエアをダウンロードして取得し(処理T4)、このダウンロードが完了すると、ダウンロードを完了して該当する無線機能の準備が完了したことを管理端末装置1へ通知する(処理T5)。
【0036】
なお、必要な通信ソフトウエアが既にソフトウエア無線機1−mに格納されている場合には、ダウンロードは不要である。
また、例えば、通信ソフトウエアとしてはプログラムのみが用いられ、そのパラメータとして図2に示されるような無線機情報が用いられる。
このように、本例では、通信ソフトウエアサーバ3から通信ソフトウエアB1〜Bnをソフトウエア無線機1−m(ソフトウエア無線機4)にダウンロードすることで通信することが可能となるが、他の構成が用いられてもよい。
【0037】
管理端末装置1は、端末情報ファイル13を各通信端末装置Apへ送信する(処理T6)。
通信端末装置Apでは、使用することを希望する無線名を選択する(処理T7)。なお、この選択は、例えば、ユーザが所望の無線名を選んで、選択ボタンをクリックすることにより行われる。
通信端末装置Apは、使用を希望する無線名を管理端末装置1へ通知する(処理T8)。
通信端末装置Apは、端末情報ファイル13内に記述されている該当する端末プログラムを起動する(処理T9)。これにより、音声通信が開始され(処理T10)、例えば、ソフトウエア無線機1−mを介して、ある拠点と別の拠点との間で音声通信が可能となる。
【0038】
このように、本例では、通信端末装置A1〜A3は、LAN7を介してソフトウエア無線機4と接続することで、音声通信を行うことができる。
また、本例では、通信端末装置A1〜A3は、LAN7を介してメールサーバ2と接続することで、ソフトウエア無線機4を介して電子メールの送受信を行うことができる。
【0039】
以下で、更に、本例の無線通信システムについて説明する。
本例では、通信履歴サーバ31の通信履歴記憶部31に通信履歴を保存する機能を有している。通信履歴の保存は、管理端末装置1などにより(自動的に)行われる。例えば、管理端末装置1において、図7に示す音声通話の開始と同時に通信履歴として保存すべき情報(後述)の取得を開始し、その後定期的(例えば何分毎、あるいは何秒毎など)に保存処理を行う。通信履歴の保存は、例えば、全ての通信について行われてもよく、或いは、人による指示に応じて行われてもよく、或いは、予め設定された条件に合致する通信についてのみ行われてもよい。
【0040】
図8には、通信履歴の情報内容の一例を示してある。
本例の通信履歴では、無線機情報、日付、時刻、拠点位置、相手位置、気象、ダクト情報、通信状態が対応付けられて格納される。また、他の情報が用いられてもよい。
また、図8には、1回分の通信履歴のみを示してあるが、複数回分の通信履歴が記憶される。
【0041】
ここで、通信履歴における各データの設定例を示す。
無線機情報としては、ソフトウエア無線機4に設定されている無線名に対応した無線機情報が保存される。
日付としては、管理端末装置1により管理される日付(本例では、年、月、日)が保存される。
時刻としては、管理端末装置1により管理される時刻(本例では、時、分)が保存される。
【0042】
なお、日付及び時刻は、現在の通信状況を通信履歴に記録する際には現在の日付及び時刻となり、過去の通信履歴となったときにはその過去の通信時における日付及び時刻を表す。
また、日付及び時刻としては、例えば、他のシステム32の位置時刻情報取得部51により取得される情報に基づいて決定されてもよい。
【0043】
拠点位置としては、自己の拠点の位置(本例では、経度、緯度、高度)が保存される。本例では、拠点位置の情報は、他のシステム32の位置時刻情報取得部51からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
相手位置としては、通信相手の拠点の位置(本例では、経度、緯度、高度)の情報が保存される。本例では、相手位置の情報は、通信の開始時に無線を介してデータとして取得され、或いは、音声により互いの位置情報を交換して保存されてもよい。
【0044】
気象としては、天候(例えば、晴れ、曇り、など)や、気温や、湿度が保存される。気象の情報は、他のシステム32の気象情報取得部53からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
ダクト情報としては、ダクト伝播の有無が保存される。ダクト情報は、他のシステム32のダクト情報取得部52からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
通信状態としては、通信の状態が保存される。通信の状態としては、例えば、操作員(人)の主観により良好或いは不良を選択して保存することや、又は、一定時間内に発生したデータの再送回数若しくはパケット抜けの回数を保存するようなこともできる。
【0045】
他のシステム32において、位置時刻情報取得部51は、GPS(Global Positioning System)の機能を有しており、自己の拠点の位置の情報を取得する。自己の拠点の位置が変化した場合には、その位置情報も変化する。
また、他の拠点の位置の情報は、例えば、他の拠点との間で無線通信を行うことにより受信して検出する。
他の構成例として、定期航路のように各拠点がそれぞれの日付及び時刻にいずれの位置に存在するかが定められている場合には、その情報(航路の予定の情報)に基づいて自己の拠点の位置や他の拠点の位置を検出することも可能である。
また、位置時刻情報取得部51は、時刻を計時する時計の機能又はGPSの機能により、時刻の情報を取得する。
【0046】
気象情報取得部53は、例えば、自己の拠点の周囲の位置に関する気象の情報を無線受信して取得する。このような気象情報は、通常、第三者により無線配信されており、それを利用することも可能である。
ダクト情報取得部52は、例えば、ダクトが発生したか否かの情報を無線受信して取得する。このようなダクト情報は、例えば他の拠点からの無線配信により取得することができる。
【0047】
本例の管理端末装置1は、例えばキーワードを用いて、通信履歴サーバ31のデータベース(通信履歴記憶部31)の中から無線機情報を検索する機能を有している。
図9には、検索キーワードの一例を示してある。検索キーワードは、例えば、管理端末装置1のユーザにより手入力される。
本例の検索キーワードでは、日付や、時刻や、相手位置や、天候を設定することが可能である。また、他の情報がキーワードとして用いられてもよい。
【0048】
本例では、日付としては、基準日(何年何月何日)から前後何日以内であるかを特定する情報が用いられている。
時刻としては、基準時間(何時何分)から前後何時間(何分まで設定されてもよい)以内であるかを特定する情報が用いられている。
相手位置としては、基準位置(例えば、自己の拠点の位置)から半径何キロ以内であるかを特定する情報が用いられている。
天候としては、晴れや曇りなどを特定する情報が用いられている。
なお、検索キーワードとしては、本例の態様に限られず、例えば、通信履歴の情報内容の内の1つ以上の要素を指定することができる。
【0049】
図10には、無線機情報の検索結果の一例を示してある。
本例の検索結果では、例えば、図9に示されるような検索キーワードの条件に合致する無線機情報が図8に示されるような通信履歴から検索された結果として、無線名と運用方式とバンドと周波数と変調方式と送信出力と通信状態の対応が、検索された無線名の数だけ管理端末装置1の画面に表示されている。
ユーザは、このような検索結果を参照して、検索結果を参考にして無線機情報を作成することや、或いは、検索結果の中のいずれかの無線機情報をそのまま使用することや、或いは、検索結果の中のいずれかの無線機情報を書き換えて使用することなどが可能である。
【0050】
具体例として、図7に示される処理T1において、ユーザは、これから通信を行う場合に、そのときと同様な日付や時刻や相手位置や天候などのキーワードを入力して、それに合致する過去の無線機情報を通信履歴の中から検索する。そして、ユーザは、その検索結果に基づいて、これから行う通信に使用する無線機情報を作成する、或いは、その検索結果の中で通信状態が良好な無線機情報(例えば、最も良好と思われる無線機情報)をそのまま使用してもよい。図7に示される処理T2において、ユーザは、作成した無線機情報或いはそのまま使用することとした無線機情報を選択する。
また、このようにして無線機情報を決定した後に、周波数や、送信出力等の変更が生じた場合においても、その変更後の情報を通信履歴として保存しておくことで、その後の通信に役立てることができる。
【0051】
他の構成例として、管理端末装置1などが検索結果の中から通信状態が良好である無線機情報(或いは、予め設定された条件に基づいて最も良いと判定される無線機情報)を(自動的に)決定して、これからの通信に使用することも可能である。この場合、過去に使用した最適な無線機情報を使用するように決定することができる。
また、本例では、管理端末装置1において通信履歴に対する検索や検索結果の表示を行ったが、例えば、これらの処理が通信端末装置A1〜A3などにより行われてもよい。また、無線機情報が通信端末装置A1〜A3などにより作成されてもよい。
【0052】
以上のように、本例の無線通信システムでは、過去の通信履歴に基づいて無線機情報の候補を示し、その中から適切な無線機情報を決定することができる。
従って、例えば、通信端末装置A1〜A3が日付や時刻や位置や天候などのデータベースを基にソフトウエア無線機4のチャネルを使用して音声や電子メールの送受信を行うに際して、移動体(本例では、船舶)の位置情報などに基づいて、最適な周波数や送信出力などの無線機情報を設定することができる。
【0053】
ここで、本例の無線通信システムでは、例えば、通信の開始後に、フィードバック制御により、自動的に送信出力を変更するようなことも可能である。一例として、通信のエラー(例えば、誤り率)を検出して、そのエラーを減らすように出力レベルを上げるようなことが可能である。また、同様に、混線状態を検出して、混線を回避するように、無線通信に使用する周波数帯を変更するようなことが可能である。
【0054】
また、例えば、通信端末装置A1〜A3において、通信履歴サーバ31の通信履歴記憶部41に記憶された通信履歴を画面に表示させてユーザにより見て、ユーザの操作により、所望の無線機情報などを直接的にソフトウエア無線機4に設定するようなことが可能である。
また、例えば、管理端末装置1が、リアルタイムに、現在の通信状況(例えば、通信履歴として記憶される要素の内の1つ以上の要素に関する情報)を検出して、その検出結果に適した無線機情報を通信履歴の中から検出してソフトウエア無線機4に設定して現在の通信で使用するようなことも可能である。
【0055】
なお、本例の無線通信システムでは、管理端末装置1はソフトウエア無線機4に対して無線通信方式の情報(本例では、無線機情報)を設定する手段(通信方式設定手段)を備えており、ソフトウエア無線機4は各チャネルの無線機情報を使用して他の拠点のシステムの装置と無線通信する手段(無線通信手段)を備えており、通信端末装置A1〜A3はソフトウエア無線機4(メール通信では、メールサーバ2とソフトウエア無線機4)を介して他の拠点のシステムの装置と通信する手段(通信手段)を備えている。
【0056】
また、本例の無線通信システムでは、管理端末装置1により通信状況の情報(例えば、日付、時刻、通信相手から受信される相手位置、ユーザにより入力される通信状態)を検出する機能や、他のシステム32に設けられた位置時刻情報取得手段51やダクト情報取得部52や気象情報取得部53の機能により通信状況の情報(例えば、拠点位置、時刻、ダクト、気象)を検出する機能により、通信状況検出手段が構成されている。
また、本例の無線通信システムでは、例えば管理端末装置1による制御により通信履歴サーバ31に設けられた通信履歴記憶部41に通信履歴情報を記憶する機能により通信履歴記憶手段が構成されており、管理端末装置1や通信端末装置A1〜A3により通信履歴記憶部41に記憶された通信履歴情報を検索する機能により検索手段が構成されており、管理端末装置1や通信端末装置A1〜A3により通信履歴情報の検索結果に基づく処理を行う機能により検索結果処理手段が構成されている。
【0057】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】無線機情報ファイルの一例を示す図である。
【図3】無線機使用状況ファイルの一例を示す図である。
【図4】端末情報ファイルの一例を示す図である。
【図5】通信端末装置(音声通信)の無線名選択画面の一例を示す図である。
【図6】通信端末装置(電子メール)の無線名選択画面の一例を示す図である。
【図7】管理端末装置による無線機情報の作成及び通信端末装置による音声通信の開始のためのフローの一例を示す図である。
【図8】通信履歴の一例を示す図である。
【図9】検索キーワードの一例を示す図である。
【図10】検索結果の一例を示す図である。
【図11】無線通信システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1・・管理端末装置、 2・・メールサーバ、 3・・通信ソフトウエアサーバ、 4・・ソフトウエア無線機、 5・・電力増幅器、 6・・アンテナ、 7・・LAN、 11・・無線機情報ファイル、 12・・無線機使用状況ファイル、 13・・端末情報ファイル、 21・・電子メールファイル、 31・・通信履歴サーバ、 32・・他のシステム、 41・・通信履歴記憶部、 51・・位置時刻情報取得部、 52・・ダクト情報取得部、 53・・気象情報取得部、 A1〜A3・・通信端末装置、 B1〜Bn、C1、C2・・通信ソフトウエア、 D1〜D3・・端末プログラム、
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、適切な無線機情報を決定することができる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図11には、無線通信システムの構成例を示してある。
なお、後述する本発明の実施例に係る図1に示される構成部と概略的に同様なものについては同一の符号を付して詳しい説明を省略するが、これにより本発明を不要に限定する意図は無い。
図11に示される無線通信システムは、管理端末装置1と、メールサーバ2と、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機4と、通信端末装置A1〜A3がLAN(Local Area Network)7を介して接続されて構成されている。ソフトウエア無線機4は、電力増幅器5及びアンテナ6を備えている。
なお、特に、本例の無線通信システムには、図1に示される通信履歴サーバ31や他のシステム32や、これらに関する機能については、備えられていない。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/126558号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図11に示されるような無線通信システムでは、無線機情報を決定する場合に、情報や知識を基にして操作する人(例えば、管理端末装置1を操作する人)の経験により判断を行っており、このため、情報や知識や経験の差により判断が左右されることから、例えば、経験などが不足している人では適切な無線機情報を決定することができないといった問題があった。一例として、複数の拠点がある中で一部の拠点だけで通信したいようなときに、いずれの無線機情報を使用するのがよいかなどを決定することが難しかった。
ここで、情報としては、例えば、拠点の位置、季節、天候、ダクト(異常伝搬)などに関する情報がある。知識としては、例えば、電波伝搬理論などがある。判断のための経験としては、例えば、周波数の決定や、送信出力の決定などに関する経験がある。
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば無線機情報を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線機情報を決定することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、管理端末装置と、ソフトウエア無線機と、通信端末装置を有する無線通信システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記管理端末装置では、通信方式設定手段が、前記ソフトウエア無線機に対して、無線通信方式の情報を設定する。
前記ソフトウエア無線機では、無線通信手段が、前記管理端末装置により設定された無線通信方式の情報を使用して、外部の装置と無線により通信する。
前記通信端末装置では、通信手段が、前記ソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する。
【0007】
更に、当該無線通信システムでは、通信状況検出手段が、前記ソフトウエア無線機により行われる無線通信における通信状況の情報を検出する。通信履歴記憶手段が、前記ソフトウエア無線機により行われた無線通信で使用された無線通信方式の情報及び前記通信状況検出手段により検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶する。検索手段が、前記通信履歴記憶手段に記憶された通信履歴情報を検索する。検索結果処理手段が、前記検索手段による検索結果に基づいて、無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う。
【0008】
従って、過去に行われた無線通信における無線通信方式及び通信状況が通信履歴として記憶され、通信履歴を検索した結果を利用することができるため、例えば、無線通信方式の情報(無線機情報)を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線通信方式の情報(無線機情報)を容易に決定することができる。
【0009】
ここで、無線通信システムには、例えば、通信端末装置とソフトウエア無線機との間でメールのデータを中継するメールサーバや、ソフトウエア無線機に対して通信ソフトウエアを供給する通信ソフトウエアサーバなどが設けられてもよい。
また、無線通信システムに設けられる各装置の数としては、それぞれ、種々な数が用いられてもよい。
【0010】
また、無線通信方式の情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、名称(無線名)、メディア等(運用方式)、バンド、周波数、変調方式、送信出力(レベル)などの情報を用いることができる。
また、例えば、ソフトウエア無線機に複数のチャネルが設けられて、各チャネル毎に無線通信方式の情報が設定される構成が用いられてもよい。また、無線通信方式の情報が切り替え可能に設定されてもよい。
また、通信相手となる外部の装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、他の拠点のシステムに設けられた無線機(例えば、ソフトウエア無線機)などを用いることができる。
【0011】
また、通信状況の情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、日付、時刻、自己の位置(拠点位置)、通信相手の位置(相手位置)、気象、ダクト、通信状態(例えば、良好、不良など)などの情報を用いることができる。
また、記憶手段としては、例えば、メモリを用いて構成することができる。
【0012】
また、検索としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、キーを用いて該当する情報を検索する態様や、或いは、記憶された全ての情報を検索により検出する態様などを用いることができる。
なお、検索のキーとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、これから通信を行おうとする場合に、そのときの通信状況と同じ情報や、そのときの通信状況に近似する情報を用いると、そのときの通信状況と同じ或いは近似する過去の通信状況における通信履歴情報を検索することができて、好ましい。
【0013】
また、通信履歴情報の検索結果に基づいて行われる無線通信方式の情報に関する所定の処理としては、種々な処理が用いられてもよい。
例えば、通信履歴情報の検索結果をユーザ(人)に対して表示し、検索結果を参照したユーザにより新規に無線通信方式の情報を作成する操作を受け付ける処理や、ユーザにより検索結果の一部又は全部を使用して(例えば、書き換えて)無線通信方式の情報を作成する操作を受け付ける処理や、検索結果の一部又は全部をそのまま無線通信方式の情報としてユーザにより指定(選択)する操作を受け付ける処理などを用いることができる。
また、例えば、任意の装置(例えば、管理端末装置や通信端末装置など)が、予め設定された条件に従って、検索結果の中から適した(例えば、通信状態が良好であった)無線通信方式の情報を所定の数だけ選択する処理などを用いることができる。なお、所定の数としては、1つ以上の数を用いることができ、2つ以上である場合には例えば通信状態が良好な方から所定の数だけ通信履歴情報(無線通信方式の情報)を選択する。
【0014】
また、無線通信方式の情報は、例えば、人による操作に応じて又は装置(例えば、管理端末装置や通信端末装置など)により自動的に、管理端末装置のメモリに記憶されて設定され、また、管理端末装置からの制御によりソフトウエア無線機に設定され、或いは、管理端末装置を介さずに、通信端末装置などから直接的にソフトウエア無線機に設定される。
【0015】
また、通信状況検出手段や、通信履歴記憶手段や、検索手段や、検索結果処理手段としては、それぞれ、任意の装置に備えられてもよく、例えば、管理端末装置や通信端末装置に備えられてもよく、或いは、無線通信システムに別の装置が設けられてその別の装置に備えられてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムによると、過去に行われた無線通信における無線通信方式及び通信状況が通信履歴として記憶され、通信履歴を検索した結果を利用することができるため、例えば、無線通信方式の情報(無線機情報)を決定するための経験などが豊富な人がいなくとも、適切な無線通信方式の情報(無線機情報)を容易に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る無線通信システムの構成例を示してある。
本例の無線通信システムは、管理端末装置1と、メールサーバ2と、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機4と、複数の通信端末装置A1〜A3と、これらを接続するネットワークの一例であるLAN7と、ソフトウエア無線機4に備えられた電力増幅器5及びアンテナ6から構成されている。
また、本例の無線通信システムには、LAN7を介して、通信履歴サーバ31が接続されて備えられている。
また、本例の無線通信システムには、LAN7を介して、他のシステム32が接続されている。
【0018】
ここで、本例では、図1に示されるようなシステム(本例では、図1に示される全て)が定期航路などの船舶(移動体の一例)に設置されており、複数の船舶のそれぞれ毎に同様なシステムが設置されている。本例では、各船舶を無線通信の各拠点とし、複数の拠点の間で音声やメールのデータを無線により通信することが可能である。
また、本例では、管理端末装置1は管理者となるユーザ(人)により操作され、各通信端末装置A1〜A3は音声やメールを通信するユーザ(人)により操作される。
【0019】
管理端末装置1は、無線機情報ファイル11と、無線機使用状況ファイル12と、端末情報ファイル13をメモリに記憶している。
メールサーバ2は、電子メールファイル21をメモリに記憶する機能を有している。
通信ソフトウエアサーバ3は、複数であるn個の異なる機能のそれぞれについて通信ソフトウエアB1〜Bnをメモリに記憶している。具体例として、メールA用通信ソフトウエアB1や、音声B用通信ソフトウエアB2などがある。
【0020】
ソフトウエア無線機4は、通信ソフトウエアサーバ3からLAN7を介して提供される通信ソフトウエアC1、C2をメモリに記憶する機能を有している。本例のソフトウエア無線機4では、2つのチャネル(CH)分の通信ソフトウエアC1、C2を記憶する。
各通信端末装置A1〜A3は、端末プログラムD1〜D3をメモリに記憶している。端末プログラムとしては、例えば、電子メールに関する処理を実行する端末プログラムD2や、音声通信に関する処理を実行する端末プログラムD1、D3などがある。
【0021】
通信履歴サーバ31は、通信履歴記憶部41を有している。
他のシステム32は、種々な機能を有しており、本例では、位置時刻情報取得部51と、ダクト情報取得部52と、気象情報取得部53を有している。
なお、本例では、他のシステム32としては、例えば、本例の無線通信システム(図1に示される他のシステム32以外の部分)と接続されて一体とされた構成例を示すが、他の構成例として、他のシステム32として、本例の無線通信システム(図1に示される他のシステム32以外の部分)とは分離したシステムが用いられてもよく、この場合、本例の無線通信システム(管理端末装置1や通信履歴サーバ31など)と他のシステム32との間の通信として無線通信を用いることもできる。
【0022】
本例の無線通信システムの構成を詳しく説明する。
管理端末装置1は、無線機情報ファイル11を作成及び保存する機能と、無線機使用状況ファイル12を管理する機能と、ソフトウエア無線機4の制御及び状態表示を行う機能を有している。
図2には、無線機情報ファイル11の情報内容の一例を示してある。
本例の無線機情報ファイル11では、無線通信システムで使用する無線機情報として、無線名と、無線通信システムで使用する運用方式と、使用するバンドと、使用する周波数と、使用する変調方式と、使用する送信出力が対応付けられて格納されている。運用方式は、ソフトウエア無線機4により通信するときに必要な通信ソフトウエアC1、C2を起動する際に用いられる情報である。無線名は、「運用方式、バンド、周波数、変調方式、送信出力」等の組み合わせ毎に、入力者により任意に付けられる名称である。
【0023】
図3には、無線機使用状況ファイル12の情報内容の一例を示してある。
本例の無線機使用状況ファイル12では、ソフトウエア無線機番号と、チャネル番号(CH番号)と、設定済み無線名と、端末使用状況が対応付けられて格納されている。
例えば、ソフトウエア無線機番号が「1−1」であるソフトウエア無線機4のCH番号「1」には、無線名「メールA1」が設定されており、メールサーバA(メールサーバ5)に使用許可が与えられている状況となっている。また、ソフトウエア無線機番号が「1−1」であるソフトウエア無線機4のCH番号「2」には、無線名「音声B2」が設定されており、通信端末装置A1に使用許可が与えられている状況となっている。
端末情報ファイル13は、各通信端末装置A1〜A3などに関する情報を格納する。
【0024】
また、管理端末装置1は、ソフトウエア無線機4に対する制御を行う。例えば、ソフトウエア無線機1−1(ソフトウエア無線機4)のCH1を無線名「音声B2」として機能させたい場合には、無線名「音声B2」に該当する無線機情報と、CH1への設定をソフトウエア無線機4に通知する。
また、管理端末装置1は、ソフトウエア無線機4の状態表示を行う。この表示の内容としては、例えば、各チャネルに設定されている無線名や、送信中であることや、受信中であること、などがある。
【0025】
ソフトウエア無線機4は、管理端末装置1からの制御に応じて、無線機の機能として必要な通信ソフトウエアC1、C2をチャネル毎にLAN7を介して通信ソフトウエアサーバ3から取得(ダウンロード)して記憶し、記憶した通信ソフトウエアC1、C2を起動することで、チャネル毎に無線機として機能して無線通信を行う。
例えば、図1では、ソフトウエア無線機4のチャネル1(CH1)は運用方式「メールA1」として動作しており、チャネル2(CH2)は運用方式「音声B2」として動作している。該当するチャネルのバンド、周波数、変調方式等の設定は、無線名による。
ソフトウエア無線機4は、送信対象となる信号を電力増幅器5へ出力することで当該信号を電力増幅器5により増幅してアンテナ6から無線により送信し、アンテナ6により無線受信された信号を電力増幅器5を介して入力する。
【0026】
各通信端末装置A1〜A3は、通信端末装置上で動作させる端末プログラムD1〜D3に応じて機能する。
通信端末装置A1、A3では、音声通信機能を有する端末プログラムD1、D3が動作させられることで、音声データを送受信する処理を行う。具体例としては、通信端末装置A1、A3では、LAN7を介して管理端末装置1から受信した端末情報ファイル13の内容を選択画面として表示し、人(ユーザ)により或いは自動的に使用する無線名が選択されて、LAN7を介してソフトウエア無線機4の該当チャネル(選択されたもの)との間で音声データを送受信することにより、音声通信端末として機能する。本例では、別の拠点のシステムに備えられた他の通信端末装置などとの間で音声による会話を行うことができる。
【0027】
図4には、端末情報ファイル13の情報内容の一例を示してある。
本例の端末情報ファイル13では、無線名と、使用状況と、端末プログラム名が対応付けて格納されている。例えば、無線名「メールA1」については、使用状況が「設定済み」であり、端末プログラム名が「AAAAAAA.exe」である。
ここで、端末プログラム名により特定される端末プログラムは、通信端末装置A1〜A3に搭載されるプログラムである。例えば、各通信端末装置A1〜A3毎に1つ以上の端末プログラムが搭載される。端末プログラムとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、音声を送受信するプログラムや、音声を聞く(受信する)だけのプログラムや、メールを通信するプログラムなどがある。
【0028】
図5には、音声通信を行う通信端末装置A1、A3における無線名の選択画面の一例を示してある。
本例の選択画面では、無線名と使用状況が対応付けられて表示される。
ここで、使用状況の「設定済み」は、現在においてソフトウエア無線機4で動作している無線名を表しており、また、使用状況の「使用可」は、ソフトウエア無線機4に設定することが可能な無線名を表している。つまり、「設定済み」の無線名はすぐに使用できる状態にあり、「使用可」の無線名はソフトウエアの更新により使用できる状態となる。
【0029】
通信端末装置A2では、電子メール送受信機能を有する端末プログラムD2が動作させられることで、メールサーバ2との間で電子メールを送受信する処理などを行う。具体的には、電子メールの作成や送信に使用する無線名を選択する機能や、送信操作を行う機能や、受信された電子メールの内容を表示する機能などを有している。
例えば、通信端末装置A2では、LAN7を介して管理端末装置1から受信した端末情報ファイル13の内容を選択画面として表示し、人(ユーザ)により或いは自動的に使用する無線名が選択されて、メール通信端末として機能する。
【0030】
図6には、電子メール通信を行う通信端末装置A2における無線名の選択画面の一例を示してある。
本例の選択画面では、無線名が表示される。なお、メールについてはメールサーバ2を介して通信されるため、本例では、図5に示されるような使用状況については表示されない。
各無線名のメールの機能としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、通常の電子メール通信の機能や、或いは、電子メールに添付する画像情報を自動的に圧縮するアプリケーションが付いている機能などを用いることができる。
【0031】
メールサーバ2は、通信端末装置A1〜A3からの電子メールを受信する機能と、通信端末装置A1〜A3への電子メールを送信する機能と、別の拠点への電子メールを送信する機能と、別の拠点からの電子メールを受信する機能を有している。
通信端末装置A1〜A3からの電子メールを受信する機能では、通信端末装置A1〜A3で作成された電子メールを受信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使用することができる。
通信端末装置A1〜A3への電子メールを送信する機能では、通信端末装置A1〜A3からの要求に応じて、該当するユーザ宛ての電子メールを通信端末装置A1〜A3へ送信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なPOP(Post Office Protocol)を使用することができる。
【0032】
別の拠点への電子メールを送信する機能では、例えば、別の拠点に設置されている次の転送先となるメールサーバ宛てに、ソフトウエア無線機4を介して、電子メールを送信する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTPを使用することができる。
別の拠点からの電子メールを受信する機能では、例えば、別の拠点に設置されているメールサーバから送信された電子メールを受信して保存する。アプリケーションプロトコルとしては、例えば、一般的なSMTPを使用することができる。
【0033】
図7には、管理端末装置1により無線機情報を作成して、通信端末装置A1〜A3により音声通信を開始する際の処理フローの一例を示してある。なお、ここでは音声通信を例として説明するが、メール通信についても概略的には同様である。
本例では、通信ソフトウエアサーバ3と、ソフトウエア無線機1−m(図1に示されるソフトウエア無線機4に相当するもの)と、管理端末装置1と、通信端末装置Ap(図1に示される通信端末装置A1〜A3に相当するもの)により行われる処理を例として説明する。
【0034】
管理端末装置1では、例えばユーザ(人)により或いは自動的に無線機情報を作成して、それを無線機情報ファイル11に保存する(処理T1)。
管理端末装置1では、例えばユーザなどからの指示に応じて或いは自動的に、通信に使用する無線機情報を決定する(処理T2)。例えば、初期設定では、ユーザにより、通信に使用する無線機情報が決定される。また、通信端末装置からの要求(指示)により音声通信に使用する無線機情報が決定される態様や、或いは、メールサーバ2からの要求(指示)によりメール通信に使用する無線機情報が決定される態様を用いることもできる。
【0035】
管理端末装置1は、ソフトウエア無線機1−mに対して、無線機情報とチャネル番号を指示する(処理T3)。
ソフトウエア無線機1−mは、管理端末装置1からの指示に従って、通信ソフトウエアサーバ3から必要な通信ソフトウエアをダウンロードして取得し(処理T4)、このダウンロードが完了すると、ダウンロードを完了して該当する無線機能の準備が完了したことを管理端末装置1へ通知する(処理T5)。
【0036】
なお、必要な通信ソフトウエアが既にソフトウエア無線機1−mに格納されている場合には、ダウンロードは不要である。
また、例えば、通信ソフトウエアとしてはプログラムのみが用いられ、そのパラメータとして図2に示されるような無線機情報が用いられる。
このように、本例では、通信ソフトウエアサーバ3から通信ソフトウエアB1〜Bnをソフトウエア無線機1−m(ソフトウエア無線機4)にダウンロードすることで通信することが可能となるが、他の構成が用いられてもよい。
【0037】
管理端末装置1は、端末情報ファイル13を各通信端末装置Apへ送信する(処理T6)。
通信端末装置Apでは、使用することを希望する無線名を選択する(処理T7)。なお、この選択は、例えば、ユーザが所望の無線名を選んで、選択ボタンをクリックすることにより行われる。
通信端末装置Apは、使用を希望する無線名を管理端末装置1へ通知する(処理T8)。
通信端末装置Apは、端末情報ファイル13内に記述されている該当する端末プログラムを起動する(処理T9)。これにより、音声通信が開始され(処理T10)、例えば、ソフトウエア無線機1−mを介して、ある拠点と別の拠点との間で音声通信が可能となる。
【0038】
このように、本例では、通信端末装置A1〜A3は、LAN7を介してソフトウエア無線機4と接続することで、音声通信を行うことができる。
また、本例では、通信端末装置A1〜A3は、LAN7を介してメールサーバ2と接続することで、ソフトウエア無線機4を介して電子メールの送受信を行うことができる。
【0039】
以下で、更に、本例の無線通信システムについて説明する。
本例では、通信履歴サーバ31の通信履歴記憶部31に通信履歴を保存する機能を有している。通信履歴の保存は、管理端末装置1などにより(自動的に)行われる。例えば、管理端末装置1において、図7に示す音声通話の開始と同時に通信履歴として保存すべき情報(後述)の取得を開始し、その後定期的(例えば何分毎、あるいは何秒毎など)に保存処理を行う。通信履歴の保存は、例えば、全ての通信について行われてもよく、或いは、人による指示に応じて行われてもよく、或いは、予め設定された条件に合致する通信についてのみ行われてもよい。
【0040】
図8には、通信履歴の情報内容の一例を示してある。
本例の通信履歴では、無線機情報、日付、時刻、拠点位置、相手位置、気象、ダクト情報、通信状態が対応付けられて格納される。また、他の情報が用いられてもよい。
また、図8には、1回分の通信履歴のみを示してあるが、複数回分の通信履歴が記憶される。
【0041】
ここで、通信履歴における各データの設定例を示す。
無線機情報としては、ソフトウエア無線機4に設定されている無線名に対応した無線機情報が保存される。
日付としては、管理端末装置1により管理される日付(本例では、年、月、日)が保存される。
時刻としては、管理端末装置1により管理される時刻(本例では、時、分)が保存される。
【0042】
なお、日付及び時刻は、現在の通信状況を通信履歴に記録する際には現在の日付及び時刻となり、過去の通信履歴となったときにはその過去の通信時における日付及び時刻を表す。
また、日付及び時刻としては、例えば、他のシステム32の位置時刻情報取得部51により取得される情報に基づいて決定されてもよい。
【0043】
拠点位置としては、自己の拠点の位置(本例では、経度、緯度、高度)が保存される。本例では、拠点位置の情報は、他のシステム32の位置時刻情報取得部51からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
相手位置としては、通信相手の拠点の位置(本例では、経度、緯度、高度)の情報が保存される。本例では、相手位置の情報は、通信の開始時に無線を介してデータとして取得され、或いは、音声により互いの位置情報を交換して保存されてもよい。
【0044】
気象としては、天候(例えば、晴れ、曇り、など)や、気温や、湿度が保存される。気象の情報は、他のシステム32の気象情報取得部53からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
ダクト情報としては、ダクト伝播の有無が保存される。ダクト情報は、他のシステム32のダクト情報取得部52からLAN7を介して取得され、或いは、人により手入力で設定される。
通信状態としては、通信の状態が保存される。通信の状態としては、例えば、操作員(人)の主観により良好或いは不良を選択して保存することや、又は、一定時間内に発生したデータの再送回数若しくはパケット抜けの回数を保存するようなこともできる。
【0045】
他のシステム32において、位置時刻情報取得部51は、GPS(Global Positioning System)の機能を有しており、自己の拠点の位置の情報を取得する。自己の拠点の位置が変化した場合には、その位置情報も変化する。
また、他の拠点の位置の情報は、例えば、他の拠点との間で無線通信を行うことにより受信して検出する。
他の構成例として、定期航路のように各拠点がそれぞれの日付及び時刻にいずれの位置に存在するかが定められている場合には、その情報(航路の予定の情報)に基づいて自己の拠点の位置や他の拠点の位置を検出することも可能である。
また、位置時刻情報取得部51は、時刻を計時する時計の機能又はGPSの機能により、時刻の情報を取得する。
【0046】
気象情報取得部53は、例えば、自己の拠点の周囲の位置に関する気象の情報を無線受信して取得する。このような気象情報は、通常、第三者により無線配信されており、それを利用することも可能である。
ダクト情報取得部52は、例えば、ダクトが発生したか否かの情報を無線受信して取得する。このようなダクト情報は、例えば他の拠点からの無線配信により取得することができる。
【0047】
本例の管理端末装置1は、例えばキーワードを用いて、通信履歴サーバ31のデータベース(通信履歴記憶部31)の中から無線機情報を検索する機能を有している。
図9には、検索キーワードの一例を示してある。検索キーワードは、例えば、管理端末装置1のユーザにより手入力される。
本例の検索キーワードでは、日付や、時刻や、相手位置や、天候を設定することが可能である。また、他の情報がキーワードとして用いられてもよい。
【0048】
本例では、日付としては、基準日(何年何月何日)から前後何日以内であるかを特定する情報が用いられている。
時刻としては、基準時間(何時何分)から前後何時間(何分まで設定されてもよい)以内であるかを特定する情報が用いられている。
相手位置としては、基準位置(例えば、自己の拠点の位置)から半径何キロ以内であるかを特定する情報が用いられている。
天候としては、晴れや曇りなどを特定する情報が用いられている。
なお、検索キーワードとしては、本例の態様に限られず、例えば、通信履歴の情報内容の内の1つ以上の要素を指定することができる。
【0049】
図10には、無線機情報の検索結果の一例を示してある。
本例の検索結果では、例えば、図9に示されるような検索キーワードの条件に合致する無線機情報が図8に示されるような通信履歴から検索された結果として、無線名と運用方式とバンドと周波数と変調方式と送信出力と通信状態の対応が、検索された無線名の数だけ管理端末装置1の画面に表示されている。
ユーザは、このような検索結果を参照して、検索結果を参考にして無線機情報を作成することや、或いは、検索結果の中のいずれかの無線機情報をそのまま使用することや、或いは、検索結果の中のいずれかの無線機情報を書き換えて使用することなどが可能である。
【0050】
具体例として、図7に示される処理T1において、ユーザは、これから通信を行う場合に、そのときと同様な日付や時刻や相手位置や天候などのキーワードを入力して、それに合致する過去の無線機情報を通信履歴の中から検索する。そして、ユーザは、その検索結果に基づいて、これから行う通信に使用する無線機情報を作成する、或いは、その検索結果の中で通信状態が良好な無線機情報(例えば、最も良好と思われる無線機情報)をそのまま使用してもよい。図7に示される処理T2において、ユーザは、作成した無線機情報或いはそのまま使用することとした無線機情報を選択する。
また、このようにして無線機情報を決定した後に、周波数や、送信出力等の変更が生じた場合においても、その変更後の情報を通信履歴として保存しておくことで、その後の通信に役立てることができる。
【0051】
他の構成例として、管理端末装置1などが検索結果の中から通信状態が良好である無線機情報(或いは、予め設定された条件に基づいて最も良いと判定される無線機情報)を(自動的に)決定して、これからの通信に使用することも可能である。この場合、過去に使用した最適な無線機情報を使用するように決定することができる。
また、本例では、管理端末装置1において通信履歴に対する検索や検索結果の表示を行ったが、例えば、これらの処理が通信端末装置A1〜A3などにより行われてもよい。また、無線機情報が通信端末装置A1〜A3などにより作成されてもよい。
【0052】
以上のように、本例の無線通信システムでは、過去の通信履歴に基づいて無線機情報の候補を示し、その中から適切な無線機情報を決定することができる。
従って、例えば、通信端末装置A1〜A3が日付や時刻や位置や天候などのデータベースを基にソフトウエア無線機4のチャネルを使用して音声や電子メールの送受信を行うに際して、移動体(本例では、船舶)の位置情報などに基づいて、最適な周波数や送信出力などの無線機情報を設定することができる。
【0053】
ここで、本例の無線通信システムでは、例えば、通信の開始後に、フィードバック制御により、自動的に送信出力を変更するようなことも可能である。一例として、通信のエラー(例えば、誤り率)を検出して、そのエラーを減らすように出力レベルを上げるようなことが可能である。また、同様に、混線状態を検出して、混線を回避するように、無線通信に使用する周波数帯を変更するようなことが可能である。
【0054】
また、例えば、通信端末装置A1〜A3において、通信履歴サーバ31の通信履歴記憶部41に記憶された通信履歴を画面に表示させてユーザにより見て、ユーザの操作により、所望の無線機情報などを直接的にソフトウエア無線機4に設定するようなことが可能である。
また、例えば、管理端末装置1が、リアルタイムに、現在の通信状況(例えば、通信履歴として記憶される要素の内の1つ以上の要素に関する情報)を検出して、その検出結果に適した無線機情報を通信履歴の中から検出してソフトウエア無線機4に設定して現在の通信で使用するようなことも可能である。
【0055】
なお、本例の無線通信システムでは、管理端末装置1はソフトウエア無線機4に対して無線通信方式の情報(本例では、無線機情報)を設定する手段(通信方式設定手段)を備えており、ソフトウエア無線機4は各チャネルの無線機情報を使用して他の拠点のシステムの装置と無線通信する手段(無線通信手段)を備えており、通信端末装置A1〜A3はソフトウエア無線機4(メール通信では、メールサーバ2とソフトウエア無線機4)を介して他の拠点のシステムの装置と通信する手段(通信手段)を備えている。
【0056】
また、本例の無線通信システムでは、管理端末装置1により通信状況の情報(例えば、日付、時刻、通信相手から受信される相手位置、ユーザにより入力される通信状態)を検出する機能や、他のシステム32に設けられた位置時刻情報取得手段51やダクト情報取得部52や気象情報取得部53の機能により通信状況の情報(例えば、拠点位置、時刻、ダクト、気象)を検出する機能により、通信状況検出手段が構成されている。
また、本例の無線通信システムでは、例えば管理端末装置1による制御により通信履歴サーバ31に設けられた通信履歴記憶部41に通信履歴情報を記憶する機能により通信履歴記憶手段が構成されており、管理端末装置1や通信端末装置A1〜A3により通信履歴記憶部41に記憶された通信履歴情報を検索する機能により検索手段が構成されており、管理端末装置1や通信端末装置A1〜A3により通信履歴情報の検索結果に基づく処理を行う機能により検索結果処理手段が構成されている。
【0057】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】無線機情報ファイルの一例を示す図である。
【図3】無線機使用状況ファイルの一例を示す図である。
【図4】端末情報ファイルの一例を示す図である。
【図5】通信端末装置(音声通信)の無線名選択画面の一例を示す図である。
【図6】通信端末装置(電子メール)の無線名選択画面の一例を示す図である。
【図7】管理端末装置による無線機情報の作成及び通信端末装置による音声通信の開始のためのフローの一例を示す図である。
【図8】通信履歴の一例を示す図である。
【図9】検索キーワードの一例を示す図である。
【図10】検索結果の一例を示す図である。
【図11】無線通信システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1・・管理端末装置、 2・・メールサーバ、 3・・通信ソフトウエアサーバ、 4・・ソフトウエア無線機、 5・・電力増幅器、 6・・アンテナ、 7・・LAN、 11・・無線機情報ファイル、 12・・無線機使用状況ファイル、 13・・端末情報ファイル、 21・・電子メールファイル、 31・・通信履歴サーバ、 32・・他のシステム、 41・・通信履歴記憶部、 51・・位置時刻情報取得部、 52・・ダクト情報取得部、 53・・気象情報取得部、 A1〜A3・・通信端末装置、 B1〜Bn、C1、C2・・通信ソフトウエア、 D1〜D3・・端末プログラム、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理端末装置と、ソフトウエア無線機と、通信端末装置を有する無線通信システムにおいて、
前記管理端末装置は、前記ソフトウエア無線機に対して無線通信方式の情報を設定する通信方式設定手段を備え、
前記ソフトウエア無線機は、前記管理端末装置により設定された無線通信方式の情報を使用して外部の装置と無線により通信する無線通信手段を備え、
前記通信端末装置は、前記ソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する通信手段を備え、
更に、当該無線通信システムは、前記ソフトウエア無線機により行われる無線通信における通信状況の情報を検出する通信状況検出手段と、
前記ソフトウエア無線機により行われた無線通信で使用された無線通信方式の情報及び前記通信状況検出手段により検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶する通信履歴記憶手段と、
前記通信履歴記憶手段に記憶された通信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索結果に基づいて無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う検索結果処理手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
管理端末装置と、ソフトウエア無線機と、通信端末装置を有する無線通信システムにおいて、
前記管理端末装置は、前記ソフトウエア無線機に対して無線通信方式の情報を設定する通信方式設定手段を備え、
前記ソフトウエア無線機は、前記管理端末装置により設定された無線通信方式の情報を使用して外部の装置と無線により通信する無線通信手段を備え、
前記通信端末装置は、前記ソフトウエア無線機による無線通信を介して通信する通信手段を備え、
更に、当該無線通信システムは、前記ソフトウエア無線機により行われる無線通信における通信状況の情報を検出する通信状況検出手段と、
前記ソフトウエア無線機により行われた無線通信で使用された無線通信方式の情報及び前記通信状況検出手段により検出された通信状況の情報を含む通信履歴情報を記憶する通信履歴記憶手段と、
前記通信履歴記憶手段に記憶された通信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索結果に基づいて無線通信方式の情報に関する所定の処理を行う検索結果処理手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−5063(P2009−5063A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163807(P2007−163807)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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