説明

無線通信システム

【課題】移動する無線端末に対しても通信品質を保証可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】通信制御装置2は、無線端末5が基地局3,4からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI1,RSSI2を周期的に無線端末5から受信する。そして、通信制御装置2は、受信信号強度RSSI1の平均値の変化量ΔRSSI1が閾値ΔRSSI_th以上となり、変化量ΔRSSI1が閾値ΔRSSI_th以上となる連続回数Nが閾値N_th以上となる判定条件が成立するとき、基地局3を経由する経路を使用不可にする。また、通信制御装置2は、この判定条件が成立しないとき、基地局3を経由する経路を使用可にする。通信制御装置2は、受信信号強度RSSI2の平均値の変化量ΔRSSI2に基づいて、同様にして経路判定を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信品質またはトラフィック環境に応じて、接続する無線通信方式を選択し、オーバーヘッドの少ない経路切換を実行する無線通信システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
そして、この無線通信システムにおいては、受信レベルまたはトラフィック環境を指標として、無線通信システムのスループットが最大となる無線通信方式が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−225126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、無線端末が移動している場合には、ハンドオーバーによるパケットロスが発生する。特に、性質の異なる無線アクセスシステム、例えば、携帯電話のような通信エリアの広い公衆無線アクセスシステムと無線LAN(Local Area Network)のような通信エリアの狭い自営無線アクセスシステムとが混在している環境では、受信レベルまたはトラフィック環境を用いて通信エリアの狭い無線アクセスシステムを選択すると、ハンドオーバーが高頻度に発生し、通信性能が劣化するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、移動する無線端末に対しても通信品質を保証可能な無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、複数の基地局と、無線端末と、通信端末と、通信制御装置とを備える。複数の基地局は、第1の通信範囲を有する第1のセルと第1の通信範囲よりも狭い第2の通信範囲を有する第2のセルとが存在する無線通信環境に配置される。無線端末は、無線通信環境において、複数の基地局の少なくとも1つと無線通信を行なう。通信端末は、無線端末と通信を行なう。通信制御装置は、複数の基地局および通信端末と有線ケーブルによって接続され、通信端末と無線端末との間の通信を制御する。そして、通信制御装置は、無線端末が複数の基地局からパケットを受信したときの複数の受信信号強度を複数の基地局から定期的に受信し、その受信した複数の受信信号強度から求めた複数の平均受信信号強度に基づいて、平均受信信号強度の変化量が第1の閾値以上となり、かつ、変化量が第1の閾値以上となる回数が第2の閾値以上となる判定条件が成立するか否かを判定する判定処理を複数の受信信号強度の全てについて定期的に実行し、その実行した判定処理の結果に基づいて、複数の基地局を経由する複数の経路のうち、判定条件が成立しない変化量が得られたときの受信信号強度を自己に送信した基地局を経由する経路を好適な経路として選択し、その選択した好適な経路を構成する基地局に通信端末から受信したパケットを分配する。複数の基地局の各々は、通信制御装置によって分配されたパケットを無線通信によって無線端末へ送信するとともに、無線端末から無線通信によってパケットを受信し、その受信したパケットを有線ケーブルを介して通信制御装置へ送信する。
【0008】
好ましくは、複数の平均受信信号強度の各々は、第n(nは正の整数)番目の周期における平均受信信号と第n+1番目の周期における受信信号強度とを、第n番目の周期における平均受信信号強度に対する重み付けを第n+1番目の周期における受信信号強度に対する重み付けよりも大きくして平均した平均値からなる。
【0009】
好ましくは、通信制御装置は、複数の基地局の各々と無線端末との間の距離によって変化量を補正し、その補正した補正変化量を用いて判定処理を実行する。
【0010】
好ましくは、通信制御装置は、無線端末が通信を行なう経路の変更回数である経路変更回数が第3の閾値以上であるか否かを判定し、経路変更回数が第3の閾値以上であるとき、経路変更回数が発生した経路を使用不可にし、経路変更回数が第3の閾値よりも小さいとき、判定処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
この発明の実施の形態による無線通信システムにおいては、通信制御装置は、平均受信信号強度の変化量が第1の閾値以上であり、かつ、平均受信信号強度の変化量が第1の閾値以上になる連続回数が第2の閾値以上である判定条件が成立したときに、平均受信信号強度の変化量が得られたときの受信信号強度を送信した基地局を経由する経路を使用不可にする。その結果、より広い通信範囲を有する基地局を経由する経路が優先的に選択される。そして、通信端末および無線端末は、その選択された経路を用いて相互に通信を行なう。
【0012】
従って、移動する無線端末に対しても、通信品質を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す通信制御装置の実施の形態1における構成図である。
【図3】図1に示す無線端末の構成図である。
【図4】経路判定の動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。
【図5】図1に示す通信制御装置の実施の形態2における構成図である。
【図6】経路判定の動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。
【図7】図1に示す通信制御装置の実施の形態3における構成図である。
【図8】経路判定の動作を説明するための実施の形態3におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、通信端末1と、通信制御装置2と、基地局3,4と、無線端末5と、有線ケーブル6〜8とを備える。
【0016】
通信端末1は、有線ケーブル6によって通信制御装置2に接続される。通信制御装置2は、有線ケーブル7によって基地局3に接続され、有線ケーブル8によって基地局4に接続される。
【0017】
通信端末1は、無線端末5へ送信すべきパケットを生成し、その生成したパケットを有線ケーブル6を介して通信制御装置2へ送信する。
【0018】
また、通信端末1は、通信制御装置2から有線ケーブル6を介してパケットを受信する。
【0019】
通信制御装置2は、通信端末1からパケットを受信し、その受信したパケットを後述する方法によって基地局3および/または基地局4に分配する。
【0020】
また、通信制御装置2は、有線ケーブル7および/または有線ケーブル8を介してパケットを基地局3および/または基地局4から受信する。そして、通信制御装置2は、その受信したパケットを有線ケーブル6を介して通信端末1へ送信する。
【0021】
基地局3は、通信範囲REG1を有し、例えば、WiMAXによって無線通信を行なう基地局である。そして、基地局3は、有線ケーブル7を介して通信制御装置2からパケットを受信し、その受信したパケットを無線通信によって無線端末5へ送信する。
【0022】
また、基地局3は、無線通信によって無線端末5からパケットを受信し、その受信したパケットを有線ケーブル7を介して通信制御装置2へ送信する。
【0023】
基地局4は、通信範囲REG1よりも狭い通信範囲REG2を有し、例えば、無線LANによって無線通信を行なう基地局である。ここで、通信範囲REG2は、通信範囲REG1内に存在する。
【0024】
そして、基地局4は、有線ケーブル8を介して通信制御装置2からパケットを受信し、その受信したパケットを無線通信によって無線端末5へ送信する。
【0025】
また、基地局4は、無線通信によって無線端末5からパケットを受信し、その受信したパケットを有線ケーブル8を介して通信制御装置2へ送信する。
【0026】
無線端末5は、通信範囲REG1内または通信範囲REG2内に配置され、WiMAXによる無線インターフェースRFI1と、無線LANによる無線インターフェースRFI2とを有する。
【0027】
そして、無線端末5は、通信範囲REG1内のみに存在する場合、無線インターフェースRFI1を用いて基地局3との間でパケットを送受信する。また、無線端末5は、通信範囲REG2内に存在する場合、無線インターフェースRFI1および/または無線インターフェースRFI2を用いて基地局3および/または基地局4との間でパケットを送受信する。
【0028】
また、無線端末5は、基地局3からパケットを受信すると、そのパケットを受信したときの受信信号強度RSSI1を検出し、その検出した受信信号強度RSSI1を基地局3を介して通信制御装置2へ送信する。更に、無線端末5は、基地局4からパケットを受信すると、そのパケットを受信したときの受信信号強度RSSI2を検出し、その検出した受信信号強度RSSI2を基地局4を介して通信制御装置2へ送信する。無線端末5は、この受信信号強度RSSI1,RSSI2の検出および通信制御装置2への送信を定期的に行なう。
【0029】
[実施の形態1]
【0030】
図2は、図1に示す通信制御装置2の実施の形態1における構成図である。図2を参照して、通信制御装置2は、移動検出部21と、経路判定部22と、受信処理部23,26と、パケット分配部24と、送信処理部25,27とを含む。
【0031】
移動検出部21は、無線端末5が基地局3および/または基地局4からパケットを受信したときの受信信号強度RSSI1および/または受信信号強度RSSI2を無線端末5から基地局3および/または基地局4を介して周期的に受信する。
【0032】
そして、移動検出部21は、第n+1(nは正の整数)番目の周期において、受信信号強度RSSI1(n+1)を受信すると、次式によって平均受信信号強度RSSI1_ave(n+1)を演算する。
【0033】
RSSI1_ave(n+1)=α×RSSI1(n+1)+(1−α)×RSSI1_ave(n)・・・・・(1)
【0034】
なお、式(1)において、RSSI1_ave(n)は、第n番目の周期における平均受信信号強度である。また、αは、重み付け係数であり、α<0.5を満たす実数である。
【0035】
このように、移動検出部21は、第n+1番目の周期における受信信号強度RSSI1(n+1)に対する重みαよりも第n番目の周期における平均受信信号強度RSSI1_ave(n)に対する重み(1−α)を大きくして平均受信信号強度RSSI1_ave(n+1)を演算する。
【0036】
これによって、受信信号強度RSSI1(n+1)の揺らぎを抑制して平均受信信号強度RSSI1_ave(n+1)を演算できる。
【0037】
その後、移動検出部21は、平均受信信号強度の変化量ΔRSSI1(n+1)を次式によって演算する。
【0038】
ΔRSSI1(n+1)=RSSI1_ave(n+1)−RSSI1_ave(n)・・・・・(2)
【0039】
そうすると、移動検出部21は、その演算した変化量ΔRSSI1(n+1)を経路判定部22へ出力する。
【0040】
移動検出部21は、受信信号強度RSSI2(n+1)を基地局4から受信したときも、上述した方法によって、変化量ΔRSSI2(n+1)を演算し、その演算した変化量ΔRSSI2(n+1)を経路判定部22へ出力する。
【0041】
経路判定部22は、変化量ΔRSSI1(n+1),ΔRSSI2(n+1)を移動検出部21から受ける。
【0042】
そして、経路判定部22は、変化量ΔRSSI1(n+1)が閾値ΔRSSI_th以上であるか否かを判定する。なお、経路判定部22は、閾値ΔRSSI_thを予め保持している。
【0043】
閾値ΔRSSI_thは、次の方法によって決定される。
【0044】
アプリケーションの要求パケットロス率をPreqとし、ハンドオーバーの時間をTHOとし、無線端末5が属するセルの半径をrとすると、無線端末5の移動速度vは、次式によって決定される。
【0045】
v=Preq×(2r/THO)・・・(3)
【0046】
そして、移動速度vを用いて無線端末5が単位時間当たりに移動する距離Lを求める。その後、無線通信における受信信号強度と距離との公知の関係式(=伝搬環境の式)を用いて、無線端末5が距離Lだけ移動したときの受信信号強度の変化量を求め、その求めた変化量を閾値ΔRSSI_thとする。
【0047】
経路判定部22は、変化量ΔRSSI1(n+1)が閾値ΔRSSI_thよりも小さいと判定したとき、変化量ΔRSSI1(n+1)が閾値ΔRSSI_th以上であると判定した連続回数N(Nは正の整数)をリセットする。
【0048】
一方、経路判定部22は、変化量ΔRSSI1(n+1)が閾値ΔRSSI_th以上であると判定したとき、連続回数Nをカウントアップする。そして、経路判定部22は、連続回数Nが閾値N_th以上であるか否かを判定する。閾値N_thは、一般的には、無線端末5が受信信号強度RSSI1,RSSI2を送信する周期、または受信信号強度RSSI1,RSSI2を平均化する方法によって決定される。そして、閾値N_thは、例えば、3回である。経路判定部22は、閾値N_thを予め保持している。
【0049】
経路判定部22は、連続回数Nが閾値N_th以上であると判定したとき、変化量ΔRSSI1(n+1)が閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上であることが成立したときの受信信号強度RSSI1(n+1)を移動検出部21に送信した基地局3を経由する経路を使用不可にする。
【0050】
一方、経路判定部22は、連続回数Nが閾値N_thよりも小さいと判定したとき、基地局3を経由する経路を使用可にする。
【0051】
経路判定部22は、変化量ΔRSSI2(n+1)を移動検出部21から受けたときも、上述した方法によって、基地局4を経由する経路を使用可または使用不可にする。
【0052】
そして、経路判定部22は、その経路判定の結果をパケット分配部24へ出力する。
【0053】
受信処理部23は、通信端末1からパケットを受信し、その受信したパケットの受信処理を行なう。そして、受信処理部23は、その受信処理後のパケットをパケット分配部24へ出力する。
【0054】
パケット分配部24は、経路判定部22から経路判定の結果を受け、受信処理部23から受信処理後のパケットを受ける。そして、パケット分配部24は、経路判定の結果に基づいて、パケットを基地局3および/または基地局4に分配する。
【0055】
より具体的には、パケット分配部24は、基地局3を経由する経路と基地局4を経由する経路との両方が使用可であるとき、例えば、パケットをラウンドロビン方式によって基地局3,4に分配する。また、パケット分配部24は、基地局3を経由する経路のみが使用可であるとき、パケットを基地局3に分配する。更に、パケット分配部24は、基地局4を経由する経路のみが使用可であるとき、パケットを基地局4に分配する。この場合、パケット分配部24は、基地局3および/または基地局4のアドレスをパケットの送信先に設定することによって、パケットを基地局3および/または基地局4に分配する。
【0056】
送信処理部25は、パケット分配部24からパケットを受ける。そして、送信処理部25は、その受けたパケットの送信処理を行ない、その送信処理後のパケットを基地局3および/または基地局4へ送信する。
【0057】
受信処理部26は、基地局3および/または基地局4からパケットを受信する。そして、受信処理部26は、その受信したパケットの受信処理を行ない、その受信処理後のパケットを送信処理部27へ出力する。
【0058】
送信処理部27は、受信処理部26からパケットを受け、その受けたパケットの送信処理を行なう。そして、送信処理部27は、その送信処理後のパケットを通信端末1へ送信する。
【0059】
図3は、図1に示す無線端末5の構成図である。図3を参照して、無線端末5は、アンテナ51と、無線インターフェース52,53と、検出部54と、パケット処理部55とを含む。
【0060】
アンテナ51は、基地局3および/または基地局4からパケットを受信し、その受信したパケットを無線インターフェース52および/または無線インターフェース53へ出力する。
【0061】
また、アンテナ51は、無線インターフェース52および/または無線インターフェース53からパケットを受け、その受けたパケットを送信する。
【0062】
無線インターフェース52は、例えば、WiMAXの無線インターフェースである。そして、無線インターフェース52は、アンテナ51からパケットを受け、その受けたパケットをパケット処理部55へ出力する。
【0063】
また、無線インターフェース52は、パケット処理部55からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ51を介して基地局3へ送信する。
【0064】
無線インターフェース53は、例えば、無線LANの無線インターフェースである。そして、無線インターフェース53は、アンテナ51からパケットを受け、その受けたパケットをパケット処理部55へ出力する。
【0065】
また、無線インターフェース53は、パケット処理部55からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ51を介して基地局4へ送信する。
【0066】
検出部54は、無線インターフェース52がパケットを受信したときの受信信号強度RSSI1を周期的に検出する。また、検出部54は、無線インターフェース53がパケットを受信したときの受信信号強度RSSI2を周期的に検出する。そして、検出部54は、その検出した受信信号強度RSSI1,RSSI2をパケット処理部55へ出力する。
【0067】
パケット処理部55は、無線インターフェース52および/または無線インターフェース53からパケットを受け、その受けたパケットの受信処理を行なう。そして、パケット処理部55は、その受信処理後のパケットを上位層(図示せず)へ出力する。
【0068】
また、パケット処理部55は、上位層(図示せず)からパケットを受け、その受けたパケットの送信処理を行なう。そして、パケット処理部55は、その送信処理後のパケットを無線インターフェース52および/または無線インターフェース53へ出力する。
【0069】
更に、パケット処理部55は、検出部54から受信信号強度RSSI1および/または受信信号強度RSSI2を受ける。そして、パケット処理部55は、受信信号強度RSSI1を含むパケットおよび/または受信信号強度RSSI2を含むパケットを生成し、その生成したパケットを無線インターフェース52および/または無線インターフェース53へ出力する。
【0070】
図4は、経路判定の動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。図4を参照して、経路判定の動作が開始されると、通信制御装置2の移動検出部21は、無線端末5から受信信号強度RSSIi(i=1,2)を周期的に受信する(ステップS1)。
【0071】
そして、移動検出部21は、その受信した受信信号強度RSSIiの平均値RSSIi_aveを上述した方法によって演算する(ステップS2)。
【0072】
その後、移動検出部21は、その演算した平均値RSSIi_aveの変化量ΔRSSIiを上述した方法によって演算する(ステップS3)。そして、移動検出部21は、その演算した変化量ΔRSSIiを経路判定部22へ出力する。
【0073】
経路判定部22は、変化量ΔRSSIiを移動検出部21から受け、その受けた変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0074】
ステップS4において、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であると判定されたとき、経路判定部22は、連続回数Nをカウントアップする(ステップS5)。
【0075】
一方、ステップS4において、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_thよりも小さいと判定されたとき、経路判定部22は、連続回数Nをリセットする(ステップS6)。
【0076】
そして、ステップS5またはステップS6の後、経路判定部22は、連続回数Nが閾値N_th以上であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0077】
ステップS7において、連続回数Nが閾値N_th以上であると判定されたとき、経路判定部22は、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上であると判定されたときの受信信号強度RSSIiを移動検出部21へ送信した基地局(基地局3または基地局4)を経由する経路を使用不可にする。即ち、経路判定部22は、該当の経路を使用不可にする(ステップS8)。
【0078】
一方、ステップS7において、連続回数Nが閾値N_thよりも小さいと判定されたとき、経路判定部22は、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上である判定条件が成立しなかったときの受信信号強度RSSIiを移動検出部21へ送信した基地局(基地局3または基地局4)を経由する経路を使用可にする。即ち、経路判定部22は、該当の経路を使用可にする(ステップS9)。
【0079】
そして、ステップS8またはステップS9の後、経路判定部22は、経路判定の結果をパケット分配部24へ通知する(ステップS10)。これによって、経路判定の動作が終了する。
【0080】
なお、経路判定の動作がステップS6からステップS7へ移行した場合、ステップS7においては、必ず、連続回数Nが閾値N_thよりも小さいと判定され、ステップS9において、該当の経路が使用可になる。
【0081】
このように、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上である判定条件が成立したときに、変化量ΔRSSIiが得られたときの受信信号強度RSSIiを送信した基地局(基地局3または基地局4)を経由する経路を使用不可にする。これは、次の理由による。
【0082】
無線端末5が高速に移動しているとき、受信信号強度RSSI2は、時間とともに大きく変化するため、受信信号強度RSSI2の変化量ΔRSSI2が閾値ΔRSSI_th以上になることは、無線端末5が高速に移動していることを検出することに相当する。無線端末5が高速に移動しているとき、基地局4の通信範囲REG2は、基地局3の通信範囲REG1よりも狭いため、基地局4を経由して通信を行なった場合、ハンドオーバーが繰り返し発生することが予測され、良好な通信品質を確保することができない。
【0083】
従って、上述した判定条件が成立すると判定することは、ハンドオーバーが頻繁に発生する移動環境であることを検出することに相当する。
【0084】
そこで、経路判定部22は、無線端末5が通信範囲REG2においてハンドオーバーが頻繁に発生する移動環境であることを検出したとき、基地局4を経由する経路を使用不可にし、基地局3を経由する経路を使用可にする。
【0085】
即ち、上述した判定条件が成立すると判定したとき、ハンドオーバーが繰り返し行なわれ、通信品質が低下すると予測される経路を避けるために、上述した判定条件が成立したときの受信信号強度RSSIiを送信した基地局(基地局3または基地局4)を経由する経路を使用不可にするのである。
【0086】
従って、移動する無線端末5に対しても通信品質を保証できる。
【0087】
また、この発明の実施の形態においては、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上になる連続回数Nが閾値N_th以上になったときに、該当の経路を使用不可にする(ステップS7の“YES”,S8参照)。これは、次の理由による。
【0088】
無線端末5の小さい動きによる瞬時的な無線端末5の移動による誤判定を防止するためである。
【0089】
無線端末5が通信範囲REG2内に存在するとき、通信制御装置2は、図4に示すフローチャートに従って基地局3を経由する経路および基地局4を経由する経路の両方を使用可にする。
【0090】
そして、通信制御装置2は、通信端末1から受信したパケットをラウンドロビンによって基地局3および基地局4に分配する。
【0091】
基地局3は、通信制御装置2から受信したパケットを無線通信によって無線端末5へ送信する。また、基地局4は、通信制御装置2から受信したパケットを無線通信によって無線端末5へ送信する。
【0092】
無線端末5は、基地局3および基地局4からのパケットをそれぞれ無線インターフェース52,53によって受信し、その受信したパケットの受信処理を行なう。
【0093】
その後、無線端末5は、パケットを無線インターフェース52,53によってそれぞれ基地局3,4へ送信する。
【0094】
基地局3,4は、無線端末5からのパケットを受信し、その受信したパケットを通信制御装置2へ送信する。そして、通信制御装置2は、基地局3,4から受信したパケットを通信端末1へ送信し、通信端末1は、通信制御装置2からパケットを受信する。
【0095】
これによって、通信端末1は、基地局3,4を経由して無線端末5との間で良好な通信を行なうことができる。
【0096】
また、無線端末5が通信範囲REG2から通信範囲REG1へ移動した場合、通信制御装置2は、図4に示すフローチャートに従って基地局3を経由する経路を使用可にし、基地局4を経由する経路を使用不可にする。
【0097】
そして、通信制御装置2は、通信端末1から受信したパケットを基地局3に分配する。基地局3は、通信制御装置2から受信したパケットを無線通信によって無線端末5へ送信する。
【0098】
無線端末5は、基地局3からのパケットを無線インターフェース52によって受信し、その受信したパケットの受信処理を行なう。
【0099】
その後、無線端末5は、パケットを無線インターフェース52によって基地局3へ送信する。
【0100】
基地局3は、無線端末5からのパケットを受信し、その受信したパケットを通信制御装置2へ送信する。そして、通信制御装置2は、基地局3から受信したパケットを通信端末1へ送信し、通信端末1は、通信制御装置2からパケットを受信する。
【0101】
これによって、通信端末1は、基地局3を経由して無線端末5との間で良好な通信を行なうことができる。
【0102】
このように、通信制御装置2は、無線端末5が通信範囲REG1内で移動する限り、良好な通信性能が得られる経路を選択する。
【0103】
従って、移動する無線端末5に対しても通信品質を保証できる。
【0104】
[実施の形態2]
【0105】
図5は、図1に示す通信制御装置2の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、通信制御装置2は、通信制御装置2Aからなる。図5を参照して、通信制御装置2Aは、図2に示す通信制御装置2の経路判定部22を経路判定部22Aに代え、距離検出部28を追加したものであり、その他は、通信制御装置2と同じである。
【0106】
距離検出部28は、受信信号強度RSSIiを無線端末5から基地局3および/または基地局4を経由して周期的に受信する。
【0107】
また、距離検出部28は、GPS衛星(図示せず)から基地局3,4および無線端末5のGPS信号を常時受信する。
【0108】
そして、距離検出部28は、受信信号強度RSSIiを受信したときにGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、受信信号強度RSSIiを受信したときの基地局3,4および無線端末5の位置を公知の方法によって演算する。
【0109】
その後、距離検出部28は、その演算した基地局3,4および無線端末5の位置に基づいて、基地局3と無線端末5との間の距離L3−5および基地局4と無線端末5との間の距離L4−5を演算する。
【0110】
そうすると、距離検出部28は、その演算した距離L3−5,L4−5を経路判定部22Aへ出力する。
【0111】
経路判定部22Aは、移動検出部21から変化量ΔRSSIiを受け、距離検出部28から距離L3−5,L4−5を受ける。
【0112】
そして、経路判定部22Aは、無線端末5が接続している基地局(基地局3および/または基地局4)に関する情報を受信処理部26から受け、その受けた情報に基づいて、無線インターフェースの無線通信方式を検出する。即ち、経路判定部22Aは、WiMAXによる無線通信方式、または無線LANによる無線通信方式を検出する。
【0113】
そうすると、経路判定部22Aは、その検出した無線通信方式に対して、無線端末5の移動環境および周波数帯を考慮して適切な減衰モデルを選択する。例えば、経路判定部22Aは、理想的な伝搬環境である自由空間の減衰モデル、または屋外移動体無線システムに用いられるCOST231モデルを選択する。
【0114】
そして、経路判定部22Aは、その選択した減衰モデルを表す式を距離によって微分し、その微分結果に距離L3−5または距離L4−5を代入して受信信号強度RSSIiの傾きK3−5または傾きK4−5を演算する。
【0115】
その後、経路判定部22Aは、傾きK3−5または傾きK4−5の逆数を変化量ΔRSSIiに乗算し、重み付き変化量ΔRSSIi_wを演算する。
【0116】
そうすると、経路判定部22Aは、重み付き変化量ΔRSSIi_wを用いて経路判定部22と同じ方法によって経路判定を行なう。
【0117】
なお、実施の形態2においては、受信処理部26は、パケットを受信した基地局のアドレスを検出し、その検出した基地局のアドレスを基地局に関する情報として経路判定部22Aへ出力する。
【0118】
図6は、経路判定の動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートのステップS1〜ステップS4をステップS11〜ステップS19に代えたものであり、その他は、図4に示すフローチャートと同じである。
【0119】
図6を参照して、経路判定の動作が開始されると、通信制御装置2Aの移動検出部21および距離検出部28は、無線端末5から受信信号強度RSSIi(i=1,2)を周期的に受信する(ステップS11)。
【0120】
そして、移動検出部21は、その受信した受信信号強度RSSIiの平均値RSSIi_aveを上述した方法によって演算する(ステップS12)。
【0121】
その後、移動検出部21は、その演算した平均値RSSIi_aveの変化量ΔRSSIiを上述した方法によって演算する(ステップS13)。そして、移動検出部21は、その演算した変化量ΔRSSIiを経路判定部22Aへ出力する。
【0122】
一方、距離検出部28は、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、上述した方法によって、基地局3,4と無線端末5との間の距離を演算する(ステップS14)。そして、距離検出部28は、その演算した距離を経路判定部22Aへ出力する。
【0123】
一方、通信制御装置2Aの経路判定部22Aは、基地局に関する情報に基づいて無線通信方式を検出し(ステップS15)、その検出した無線通信方式に対する減衰モデルを選択する(ステップS16)。
【0124】
そして、経路判定部22Aは、その選択した減衰モデルと距離検出部28から受けた距離とを用いて上述した方法によって受信信号強度の傾きKを演算する(ステップS17)。
【0125】
そうすると、経路判定部22Aは、移動検出部21から受けた受信信号強度の変化量ΔRSSIiに傾きKの逆数を乗算して重み付き変化量ΔRSSIi_wを演算する(ステップS18)。
【0126】
そして、経路判定部22Aは、その演算した重み付き変化量ΔRSSIi_wが閾値ΔRSSI_th以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0127】
その後、上述したステップS5〜ステップS10が順次実行され、経路判定の動作が終了する。
【0128】
この場合、ステップS19において、重み付き変化量ΔRSSIi_wが閾値ΔRSSI_th以上であると判定されたとき、経路判定の動作は、ステップS5へ移行し、重み付き変化量ΔRSSIi_wが閾値ΔRSSI_thよりも小さいと判定されたとき、経路判定の動作は、ステップS6へ移行する。
【0129】
このように、実施の形態2においては、重み付け変化量ΔRSSIi_wを用いて経路判定を行なう。
【0130】
従って、無線端末5の位置または無線環境の変化に依存せずに経路判定を行なうことができる。
【0131】
なお、上記においては、経路判定部22Aは、基地局3,4と無線端末5との距離と、減衰モデルとを用いて受信信号強度の傾きKを演算すると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、経路判定部22Aは、受信信号強度の傾きKと距離との関係を示すテーブルを予め保持しており、距離検出部28から基地局3,4と無線端末5との距離を受けると、その受けた距離に対する傾きKをテーブルから抽出することによって傾きKを求めてもよい。
【0132】
また、経路判定部22Aは、無線端末5がハンドオーバーしたときの状況(受信信号強度の変化割合および変化量等)を予め保持しており、式(3)を用いて演算した移動速度vから推定した移動環境と、ハンドオーバーの状況が異なる場合、選択した減衰モデルを変更して使用してもよいし、テーブルを修正して使用してもよい。
【0133】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0134】
[実施の形態3]
【0135】
図7は、図1に示す通信制御装置2の実施の形態3における構成図である。実施の形態3においては、通信制御装置2は、通信制御装置2Bからなる。図7を参照して、通信制御装置2Bは、図2に示す通信制御装置2の経路判定部2を経路判定部2Bに代え、経路変更検出部29を追加したものであり、その他は、通信制御装置2と同じである。
【0136】
経路変更検出部29は、無線端末5がハンドオーバーしたことを示すハンドオーバー信号を無線端末5から周期的に受信する。
【0137】
なお、実施の形態3においては、無線端末5は、ハンドオーバー信号を周期的に通信制御装置2Bへ送信する。この場合、無線端末5の上位層は、次の方法によってハンドオーバーを検出する。無線端末5がハンドオーバーすれば、無線端末5が属するセルのIDを示すBSSIDが変化するので、無線端末5の上位層は、基地局3,4から受信したパケットに含まれるBSSIDを参照してハンドオーバーが発生したか否かを判定する。そして、無線端末5の上位層は、ハンドオーバーが発生すれば、ハンドオーバー信号を生成してパケット処理部55へ送信し、パケット処理部55は、無線インターフェース52および/または無線インターフェース53を用いてハンドオーバー信号を通信制御装置2Bへ出力する。
【0138】
経路変更検出部29は、無線端末5から受信したハンドオーバー信号に基づいて、単位時間当たりのハンドオーバーの回数、即ち、単位時間当たりの経路変更回数N_chを演算する。そして、経路変更検出部29は、その演算した経路変更回数N_chが得られたときのハンドオーバー信号を自己に送信した基地局(基地局3または基地局4)のアドレスを検出する。そうすると、経路変更検出部29は、経路変更回数N_chおよび基地局のアドレスを経路判定部22Bへ出力する。
【0139】
経路判定部22Bは、移動検出部21から変化量ΔRSSIiを受け、経路変更検出部29から経路変更回数N_chおよび基地局のアドレスを受ける。
【0140】
そして、経路判定部22Bは、経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であるか否かを判定する。
【0141】
閾値N_ch_thは、アプリケーションの通信品質要求によって決定される。閾値N_ch_thは、例えば、ハンドオーバーによるパケットロスが通信時間に占める割合がアプリケーションの要求パケットロス率を満たすように決定される。
【0142】
また、閾値N_ch_thは、アプリケーションの要求遅延ジッタ量に基づいて決定された経路変更における遅延を考慮して決定されてもよい。
【0143】
なお、経路判定部22Bは、予め、閾値N_ch_thを保持している。
【0144】
経路判定部22Bは、経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であるとき、経路変更回数N_chと共に受けたアドレスを有する基地局(基地局3または基地局4)を経由する経路を使用不可にする。
【0145】
一方、経路判定部22Bは、経路変更回数N_chが閾値N_ch_thよりも小さいとき、実施の形態1による判定方法によって経路判定を行なう。
【0146】
そして、経路判定部22Bは、その経路判定の結果をパケット分配部24へ出力する。
【0147】
図8は、経路判定の動作を説明するための実施の形態3におけるフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートにステップS21,S22を追加したものであり、その他は、図4に示すフローチャートと同じである。
【0148】
図8を参照して、経路判定の動作が開始されると、通信制御装置2Bの経路変更検出部29は、上述した方法によって経路変更回数N_chを検出する(ステップS21)。そして、経路変更検出部29は、その検出した経路変更回数N_chが検出されたときのハンドオーバー信号を自己に送信した基地局のアドレスを検出する。そうすると、経路変更検出部29は、経路変更回数N_chおよび基地局のアドレスを経路判定部22Bへ出力する。
【0149】
その後、経路判定部22Bは、経路変更回数N_chおよび基地局のアドレスを経路変更検出部29から受け、その受けた経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0150】
ステップS22において、経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であると判定されたとき、経路判定の動作は、上述したステップS8へ移行する。
【0151】
一方、ステップS22において、経路変更回数N_chが閾値N_ch_thよりも小さいと判定されたとき、経路判定の動作は、上述したステップS1へ移行する。
【0152】
そして、上述したステップS9〜ステップS10が順次実行される。
【0153】
上述したように、ステップS22において、経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であると判定されたとき、経路判定の動作は、ステップS9へ移行し、経路変更回数N_chが発生した経路が使用不可になる。その結果、通信端末1および無線端末5は、その使用不可になった経路以外の経路を用いてパケットを送受信する。
【0154】
従って、通信範囲REG1,REG2の境界付近を移動するユーザに対しても通信品質を確保することができる。
【0155】
また、ステップS22において、経路変更回数N_chが閾値N_ch_thよりも小さいと判定されたとき、実施の形態1による判定方法によって経路判定が行なわれる。
【0156】
従って、正確に経路判定を行なうことができる。
【0157】
なお、実施の形態3においては、上述した実施の形態2における重み付け変化量ΔRSSIi_wを用いて経路判定を行なうようにしてもよい。この場合、通信制御装置2Bは、距離検出部28を更に含み、経路判定部22Bは、距離検出部28からの距離を用いて経路判定部22Aにおける方法と同じ方法によって重み付け変化量ΔRSSIi_wを演算する。
【0158】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0159】
上述した実施の形態1においては、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上である判定条件が成立するか否かを判定することによって、使用可にする経路と使用不可にする経路とを判定した。
【0160】
また、上述した実施の形態2においては、変化量ΔRSSIiを基地局3,4と無線端末5との間の距離に依存しない重み付け変化量ΔRSSIi_wに変換し、その変換した重み付け変化量ΔRSSIi_wが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上である判定条件が成立するか否かを判定することによって、使用可にする経路と使用不可にする経路とを判定した。
【0161】
更に、上述した実施の形態3においては、経路変更回数N_chが閾値N_ch_th以上であるか否かを判定し、経路変更回数N_chが閾値N_ch_thよりも小さいとき、実施の形態1による判定方法を用いて経路判定を行なう。
【0162】
従って、この発明の実施の形態による通信制御装置は、変化量ΔRSSIiが閾値ΔRSSI_th以上であり、かつ、連続回数Nが閾値N_th以上である判定条件が成立するか否かを判定することによって、使用可にする経路と使用不可にする経路とを判定するものであればよい。
【0163】
また、上記においては、無線通信システム10は、2個の基地局3,4を備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線通信システム10は、3個以上の基地局を備えていてもよく、一般的には、複数の基地局を備えていればよい。
【0164】
そして、この発明の実施の形態による無線通信システムは、複数の基地局を備え、複数の基地局は、第1の通信範囲REG1を有する第1のセルと前記第1の通信範囲REG1よりも狭い第2の通信範囲REG2を有し、かつ、前記第1のセル内に配置された第2のセルとの間で少なくともハンドオーバーが発生する無線通信環境に配置されていればよい。このような無線通信環境は、3個の通信範囲REG1,REG2,REG3が同心円状に配置されている場合にも実現される。
【0165】
更に、上記においては、基地局3,4は、相互に異なる無線通信方式によって無線通信を行なうと説明したが、この発明の実施の形態においては、基地局3,4は、相互に同じ無線通信方式によって無線通信を行なってもよい。この場合、無線端末5の無線インターフェース52,53は、相互に同じ無線通信方式によって無線通信を行なう。
【0166】
更に、上記においては、パケット分配部24は、ラウンドロビンによってパケットを複数の基地局に分配すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、パケット分配部24は、ラウンドロビン以外の方法によってパケットを複数の基地局に分配してもよく、一般的には、どのような方法を用いてパケットを複数の基地局に分配してもよい。
【0167】
なお、この発明の実施の形態においては、閾値ΔRSSI_thは、「第1の閾値」を構成し、閾値N_thは、「第2の閾値」を構成し、閾値N_ch_thは、「第3の閾値」を構成する。
【0168】
また、この発明の実施の形態においては、基地局3,4は、「複数の基地局」を構成する。
【0169】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0170】
この発明は、無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0171】
1 通信端末、2,2A,2B 通信制御装置、3,4,9 基地局、5 無線端末、6〜8 有線ケーブル、10 無線通信システム、21 移動検出部、22,22A,22B 経路判定部、23,26 受信処理部、24 パケット分配部、25,27 送信処理部、28 距離検出部、29 経路変更検出部、51 アンテナ、52,53 無線インターフェース、54 検出部、55 パケット処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信範囲を有する第1のセルと前記第1の通信範囲よりも狭い第2の通信範囲を有する第2のセルとが存在する無線通信環境に配置された複数の基地局と、
前記無線通信環境において、前記複数の基地局の少なくとも1つと無線通信を行なう無線端末と、
前記無線端末と通信を行なう通信端末と、
前記複数の基地局および前記通信端末と有線ケーブルによって接続され、前記通信端末と前記無線端末との間の通信を制御する通信制御装置とを備え、
前記通信制御装置は、前記無線端末が前記複数の基地局からパケットを受信したときの複数の受信信号強度を前記複数の基地局から定期的に受信し、その受信した複数の受信信号強度から求めた複数の平均受信信号強度に基づいて、前記平均受信信号強度の変化量が第1の閾値以上となり、かつ、前記変化量が前記第1の閾値以上となる回数が第2の閾値以上となる判定条件が成立するか否かを判定する判定処理を前記複数の受信信号強度の全てについて定期的に実行し、その実行した判定処理の結果に基づいて、前記複数の基地局を経由する複数の経路のうち、前記判定条件が成立しない前記変化量が得られたときの受信信号強度を自己に送信した基地局を経由する経路を好適な経路として選択し、その選択した好適な経路を構成する基地局に前記通信端末から受信したパケットを分配し、
前記複数の基地局の各々は、前記通信制御装置によって分配されたパケットを無線通信によって前記無線端末へ送信するとともに、前記無線端末から無線通信によってパケットを受信し、その受信したパケットを前記有線ケーブルを介して前記通信制御装置へ送信する、無線通信システム。
【請求項2】
前記複数の平均受信信号強度の各々は、第n(nは正の整数)番目の周期における平均受信信号と第n+1番目の周期における受信信号強度とを、前記第n番目の周期における平均受信信号強度に対する重み付けを前記第n+1番目の周期における受信信号強度に対する重み付けよりも大きくして平均した平均値からなる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記複数の基地局の各々と前記無線端末との間の距離によって前記変化量を補正し、その補正した補正変化量を用いて前記判定処理を実行する、請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信制御装置は、前記無線端末が通信を行なう経路の変更回数である経路変更回数が第3の閾値以上であるか否かを判定し、前記経路変更回数が前記第3の閾値以上であるとき、前記経路変更回数が発生した経路を使用不可にし、前記経路変更回数が前記第3の閾値よりも小さいとき、前記判定処理を実行する、請求項1に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−217225(P2011−217225A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84879(P2010−84879)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】