説明

無線通信システム

【課題】 特定のサブキャリアが妨害を受けても通信品質を維持すると共に、通信対象でない端末の消費電力を抑えることができる通信システムを提供する。
【解決手段】 複数のサブキャリアを使用して送受信装置間で無線通信を行う無線通信システムであって、送受信装置のベースバンド処理部36が、送信データを変調し、受信した信号を復調すると共に、受信した信号に含まれるサブキャリア毎の受信品質を検出し、CPU33が、検出されたサブキャリア毎の受信品質に基づいて、送信に使用する使用サブキャリアを決定すると共に、当該使用サブキャリアの数と送信時の変調方式及び符号化率を出力し、MAC処理部35が、送信時に、CPU33から出力された変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて回線使用期間を求め、当該回線使用期間を含む送信フレームを生成して、ベースバンド処理部36に出力する送受信装置である通信システムとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)変調の無線通信システムに係り、特に伝搬路状況に応じて安定した通信を行うことができると共に、無線送受信装置の消費電力を低減することができる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
無線LAN(Local Area Network)や無線PAN(Personal Area Network)といった移動体端末間でのデジタル無線通信で用いられる変調方式として、OFDMがある。
OFDMは、IEEE802.11無線LANでは、IEEE802.11a/g規格の物理レイヤの無線伝送方式に採用されている。
【0003】
OFDMは、高速のデータを複数の低速データ列に分割し、複数のサブキャリアを用いて並列伝送を行うため、各サブキャリア信号のシンボル時間がr.m.s遅延スプレッドに比較して相対的に長くなり、マルチパス歪の影響を低減することができるものである。r.m.s遅延スプレッドは、到来波(直接波と遅延波とを含む)の遅延時間とレベルとの関係を示した遅延プロファイルの特性を示す総合的な指数である。
【0004】
OFDMは、複数のサブキャリアを用いるマルチキャリア変調であり、ひとつひとつのサブキャリアの受信信号スペクトラムには歪みが生じにくく、受信信号の劣化はレベルの低下としてのみ発生する。そのため、誤り訂正との組み合わせによって良好な特性を実現できるものである。
【0005】
また、マルチパスによる干渉を軽減するための冗長時間として、ガードインターバル(Guard Interval)を挿入することにより、マルチパス遅延波の干渉を効率よく回避でき、マルチパス伝搬環境下でも優れた通信品質が得られるものである。
【0006】
マルチパス伝搬とは、送信アンテナから送信された送信波が、複数(マルチ)の経路(パス)を通って受信アンテナに到来する伝搬環境のことであり、無線LANの伝送速度の高速化を制限する最大の要因となっている。
【0007】
IEEE802.11a規格では、OFDM信号のサブキャリアは52本で構成されている。
このうち、4サブキャリアは、受信の位相回転補正に必要なパイロット信号の送信に用いられ、データ信号は、残りの48本のサブキャリアで伝送される。1サブキャリアでは、1シンボルにつき、変調方式及び符号化率に応じたビット数を伝送する。例えば、変調方式が16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、符号化率=1/2の場合は、1シンボル当たり2ビット伝送する。
【0008】
送信データは、まず誤り訂正のための冗長符号化として畳み込み符号化処理が行われ、次に符号誤りを生じにくくするインタリーブ処理が行われる。その後、48個のサブキャリアに分割され、変調される。このとき、データ信号は、各サブキャリアに規則性をもって割当てられる。
【0009】
OFDM信号は、高速伝送が可能であるが、広い周波数帯域を必要とし、IEEE802.11a規格では、16.6MHzとかなり広帯域になる場合がある。
そのため、一部の特定のサブキャリアが妨害電波などで影響を受けてしまっている伝搬状況では、正常にデータ通信が行えないこともある。
【0010】
[関連技術]
尚、OFDMを用いた無線通信システムに関する技術としては、特開2010−154417号公報「無線通信システム、無線通信方法、及び無線送受信装置」(株式会社日立国際電気、特許文献1)がある。
【0011】
特許文献1には、受信したデータに基づいて各サブチャネルの伝搬路状況を推定し、推定された伝搬路状況に基づいて複数のサブチャネルの内、使用するサブチャネル選択し、選択したサブチャネルの情報を相手局に送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−154417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の無線通信システムでは、OFDMの特定のサブキャリアが妨害を受けた場合には、正常なデータ通信が行えないという問題点があった。
【0014】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたもので、特定のサブキャリアが妨害を受けた場合に、妨害を受けていないサブキャリアのみを使用して通信を行うことにより、通信品質を維持すると共に、サブキャリア数を制限することで通信時間が長くなることを想定して、通信対象でない端末の消費電力を抑えることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数のサブキャリアを使用して、送受信装置間で無線通信を行う無線通信システムであって、送受信装置が、送信データを変調し、受信した信号を復調すると共に、受信した信号に含まれるサブキャリア毎の受信品質を検出するベースバンド処理部と、検出されたサブキャリア毎の受信品質に基づいて、送信に使用する使用サブキャリアを決定すると共に、当該使用サブキャリアの数と送信時の変調方式及び符号化率を出力する制御部と、送信時に、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて回線使用期間を求め、当該回線使用期間を含む送信フレームを生成して、ベースバンド処理部に出力する通信処理部とを備えた送受信装置であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、送受信装置の通信処理部が、自己宛ではない信号を受信した場合に、受信した信号に含まれる回線使用期間が予め設定された閾値以上であれば、省電力モードに移行することを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、送受信装置の通信処理部が、送信時に、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて、当該送信データに対して相手装置から送信される応答信号の待ち時間を算出して、送信後、算出された待ち時間以内に応答信号を受信しない場合には、送信データを再送することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のサブキャリアを使用して、送受信装置間で無線通信を行う無線通信システムであって、送受信装置が、送信データを変調し、受信した信号を復調すると共に、受信した信号に含まれるサブキャリア毎の受信品質を検出するベースバンド処理部と、検出されたサブキャリア毎の受信品質に基づいて、送信に使用する使用サブキャリアを決定すると共に、当該使用サブキャリアの数と送信時の変調方式及び符号化率を出力する制御部と、送信時に、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて回線使用期間を求め、当該回線使用期間を含む送信フレームを生成して、ベースバンド処理部に出力する通信処理部とを備えた送受信装置である通信システムとしているので、サブキャリアが妨害等により通信品質が劣化した場合には、品質が劣化していないサブキャリアのみを使用することにより良好な通信品質を維持することができ、また、使用サブキャリア数が少なくなってもそれに応じた回線使用期間を求めて、周囲の送受信装置に通知することにより、衝突を回避することができる効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、送受信装置の通信処理部が、自己宛ではない信号を受信した場合に、受信した信号に含まれる回線使用期間が予め設定された閾値以上であれば、省電力モードに移行する上記通信システムとしているので、自己の通信禁止期間が長い場合には、不要な動作を行わないようにして、消費電力を低減することができる効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、送受信装置の通信処理部が、送信時に、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて、当該送信データに対して相手装置から送信される応答信号の待ち時間を算出して、送信後、算出された待ち時間以内に応答信号を受信しない場合には、送信データを再送する上記通信システムとしているので、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数に応じた適切な待ち時間とすることができ、通信回線を効率的に利用することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る無線通信システムにおいて用いられる送受信装置の概略構成図である。
【図2】本装置のベースバンド部3の構成ブロック図である。
【図3】MAC処理部35の構成ブロック図である。
【図4】MAC処理部35の第2の演算処理部357の模式説明図である。
【図5】IEEE802.11規格のQoSデータフレームフォーマットを示す説明図である。
【図6】本装置のQoSデータフレームフォーマットを示す説明図である。
【図7】端末Aから端末BにStop&Wait方式でQoSデータフレーム等を送信する場合の模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、OFDM方式により無線送受信装置間で無線通信を行うものであり、送信側の無線送受信装置が、受信信号からサブキャリア毎の受信品質を検出し、当該受信品質に基づいて、品質の良好なサブキャリアを使用サブキャリアとして決定し、使用サブキャリアの数と、変調方式と、符号化率とに基づいて、通信回線を占有する期間を算出し、当該占有期間を示す情報を他局に通知する送信データを生成して、ベースバンド処理部で変調して無線送信するものであり、特定のサブキャリアが妨害を受けた場合に、妨害を受けていないサブキャリアのみを用いて良好な品質の通信を行うことができ、また、使用サブキャリア数の変化に応じた通信回線の占有期間を他局に報知することができ、使用サブキャリア数が減って占有期間が長くなっても通信の衝突を防ぐことができるものである。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、無線送受信装置が、自己宛ではない信号を受信した場合に、当該受信信号に含まれる通信回線の占有期間を示す情報に基づいて、自己が送信を行わない送信禁止期間を設定し、当該送信禁止期間が予め設定された閾値以上であった場合には、省電力モードに移行するものであり、使用サブキャリア数が少なく、送信禁止期間が長い場合には、通信対象外の装置は不要な動作を行わないようにして、消費電力を低減することができるものである。
【0024】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、送信側の無線送受信装置が、更に、使用サブキャリアの数と、変調方式と、符号化率とに基づいて、相手局から応答を受信する期限であるRSPタイマ時間を算出して、フレーム送信後、当該RSPタイマ時間を上限として応答を待ち受けるものであり、通信パラメータに応じて適切な応答待ち受け時間を設定でき、通信回線を効率的に利用することができるものである。
【0025】
[本システムにおいて用いられる送受信装置の構成:図1]
本システムにおいて用いられる送受信装置(本装置)の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて用いられる送受信装置の概略構成図である。
図1に示すように、本システムで用いられる送受信装置2は、ベースバンド部3と、無線部(RF部)4と、空中線5とを備えており、ベースバンド部3とRF部4とは同軸ケーブルで接続され、RF部4と空中線5とはRF同軸ケーブルで接続されている。
【0026】
ベースバンド部3は、イーサネット(Ethernet;登録商標)1に接続し、イーサネットフレームと無線フレームとの変換処理を行う。また、無線信号の送受信に伴うベースバンド信号の信号処理を行う。ベースバンド部3の構成及び動作については後で説明する。
RF部4は、ベースバンド信号と無線信号の相互変換を行い、無線信号の送受信を行う。
空中線5は、送信信号を電磁波として空間に放出すると共に、空間の電磁波を受信信号として捕捉する。
【0027】
[ベースバンド部3の構成:図2]
次に、本装置のベースバンド部3の構成について図2を用いて説明する。図2は、本装置のベースバンド部3の構成ブロック図である。
図2に示すように、ベースバンド部3は、コネクタ部(RJ45)31と、Ether PHY(Physical Layer;物理層)部32と、CPU33と、ローカルバス34と、MAC(Media Access Control;メディアアクセス制御)処理部35と、ベースバンド処理部36と、D/A変換部37と、A/D変換部38とを備えている。
尚、CPU33、MAC処理部35は、それぞれ、請求項に記載した制御部、通信処理部に相当している。
【0028】
コネクタ部31は、イーサネットに接続するコネクタである。
Ether PHY部32は、イーサネットの物理層の処理を行い、イーサネットフレームを生成する。
【0029】
CPU33は、イーサネットフレームが入力された場合には、イーサネットフレームを解体して、無線用の送信データとしてローカルバス34を介してMAC処理部35に出力する。
また、CPU33は、MAC処理部35から入力されたデータを、IPのルーティングテーブルに従って変換し、Ether PHY部32に出力する。
更に、本装置の特徴として、CPU33は、受信信号の品質に基づいて、送信時に使用するサブキャリアを設定し、MAC処理部35に通知する。尚、CPU33が設定する使用サブキャリア情報を、コネクタ部31を介してイーサネット上からCPU33に設定することも可能である。
また、CPU33は、送信時に用いられる変調方式及び符号化率をMAC処理部35に通知する。
【0030】
MAC処理部35は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance;搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)による無線アクセス制御、無線用MACフレームの生成及び解析、CPU33に対する制御、ベースバンド処理部36に対する制御、ユーザデータ送受のインタフェース制御等を行う。
例えば、本装置のMAC処理部35は、無線アクセス制御を行いつつ、CPU33から使用サブキャリアの情報が設定又は変更された場合には、それに応じて、無線用MACフレームの生成や、ベースバンド処理部36に対する送信データ量の調整(制御)を行い、更に、使用サブキャリアの情報を通知する。
【0031】
また、本装置の特徴として、MAC処理部35は、フレーム送信時に、使用サブキャリア数と変調方式と符号化率の情報に基づいて、当該通信で回線を占有する期間(Duration値)を算出し、周囲の無線送受信装置に通知する情報を生成する。
【0032】
また、別の特徴として、本装置のMAC処理部35は、自己宛ではない無線信号を受信した場合に、当該信号に含まれるDuration値を読み取り、Duration値から、他者の通信により回線が占有されていて自己の送信が禁止される期間(NAV(Network Allocation Vector)時間;送信停止期間)を設定し、NAV時間が予め設定された閾値以上であれば、スリーピングモードに移行する制御を行う。
【0033】
更に、別の特徴として、本装置のMAC処理部35は、フレーム送信時に、使用サブキャリア数及び変調方式に基づいて、相手装置からのACK(ACKnowledgement;確認応答)を待ち受ける期間(RSPタイマ時間)を算出する。RSPタイマ時間は、請求項に記載した応答信号の待ち時間に相当する。
MAC処理部35の構成及び動作については、後で詳細に説明する。
【0034】
ベースバンド処理部36は、送信用の処理手段として、ヘッダ付加手段と、畳み込み符号化処理手段と、インタリーブ処理手段と、サブキャリア変調手段と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)処理手段と、ガードインターバル付加手段と、シンボル整形手段とを備え、受信用の処理手段として、AFC(Automatic Frequency Control)処理手段と、ガードインターバル除去手段と、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理手段と、チャネル等化手段と、サブキャリア復調手段と、デインタリーブ処理手段と、ビタビ復号処理手段と、MACフレーム生成手段とを備えている。
【0035】
そして、ベースバンド処理部36は、送信時には、MAC処理部35から入力されたMACフレームにPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダ情報を付加し、畳み込み符号化、インタリーブ処理、サブキャリア変調、IFFT処理、ガードインターバル付加、シンボル整形等の処理を行って、D/A変換部37に出力する。
【0036】
また、ベースバンド処理部36は、受信時には、A/D変換部38から入力された信号に対して、AFC処理、ガードインターバル除去、FFT処理、チャネル等化(フェージング補償)、サブキャリア復調、デインタリーブ処理、ビタビ復号処理等を行い、MACフレームデータを生成してMAC処理部35に出力する。
【0037】
本装置の特徴として、ベースバンド処理部36は、送信時に、MAC処理部35から使用サブキャリア情報を受け取り、PLCPヘッダ(又は拡張したPLCPヘッダ)のヘッダ情報に書き込んで送信する。これにより、受信側の装置にどのサブキャリアを使用して送信したか、また、使用サブキャリアの数を通知するものである。
【0038】
更に、受信時には、ベースバンド処理部36は、受信した全てのサブキャリアの受信信号品質(受信品質)を検出して、MAC処理部35を介してCPU33に通知すると共に、PLCPヘッダに含まれていた使用サブキャリア情報を用いて復調処理を行い、更に当該使用サブキャリア情報をMAC処理部35に通知する。受信品質としては、例えば、チャネル等化手段で検出するサブキャリア毎の等化誤差情報(以下、「等化誤差」とする)が考えられる。
等化誤差の代わりに、例えば、ベースバンド処理部36において全てのサブキャリアについて受信信号レベルを検出し、検出された受信レベル情報を受信信号品質としてCPU33に出力してもよい。
【0039】
[受信品質推定]
ベースバンド処理部36における受信品質推定について説明する。
ベースバンド処理部36のチャネル等化手段は、伝搬路補償(等化処理)と、サブキャリア毎に等化誤差を検出する処理を行う。
そして、チャネル等化手段は、検出したサブキャリア毎の等化誤差をCPU33に出力する。
【0040】
[使用サブキャリアの決定]
CPU33における使用サブキャリアの決定について説明する。
CPU33では、ベースバンド処理部36のチャネル等化手段によって算出された各サブキャリアの等化誤差を入力し、その値に基づいて、各サブキャリアが妨害を受けているか否かを判定し、送信に使用するサブキャリアを決定する。
具体的には、各サブキャリアの等化誤差を予め設定されている閾値と比較して、閾値よりも大きい場合には、当該サブキャリアは妨害を受けているとして使用しないものとし、等化誤差が閾値以下であるサブキャリアは妨害を受けていないものとして、使用可能とする。
【0041】
そして、CPU33は、全てのサブキャリアについて妨害を受けているか否かを判断して、使用するサブキャリアを決定し、その情報を使用サブキャリア情報としてMAC処理部35に出力する。尚、使用するサブキャリアが決定されると、その数も求められるものである。
【0042】
[MAC処理部35の構成:図3]
次に、MAC処理部35の構成及び動作について図3を用いて説明する。図3は、MAC処理部35の構成ブロック図である。
図3に示すように、MAC処理部35は、CPU I/F処理部351と、情報格納部352と、MACフレーム生成処理部353と、第1の演算処理部354と、無線アクセス制御部355と、ベースバンドI/F処理部356と、MACフレーム解析処理部358と、制御情報伝送路359とを備えている。また、ベースバンドI/F処理部356は、第2の演算処理部357を備えている。
【0043】
CPU I/F処理部351は、図2に示したCPU33に接続するインタフェース部である。
情報格納部352は、CPU33から設定された送信時の通信パラメータとして、変調方式、符号化率、使用するサブキャリアの情報(使用サブキャリア情報)を記憶する。また、情報格納部352は、受信時の通信パラメータとして、受信信号の変調方式、符号化率、受信信号から読み取った使用サブキャリア情報を記憶する。尚、使用サブキャリア情報として、どのサブキャリアを使用するかという情報に加えて、使用するサブキャリアの数を示す情報を記憶するようにしてもよい。
【0044】
MACフレーム生成処理部353は、無線アクセス制御部355からの使用サブキャリア情報、変調方式、符号化率に基づいて送信データをマッピングし、QoS(Quality of Service;サービス品質)データフレームや、無線アクセス制御を行う上で必要な制御及びマネジメントフレームを生成する。
【0045】
第1の演算処理部354は、送信時の回線占有時間であるDuration値や、NAV時間といった無線アクセス制御に関連する時間パラメータを算出する。
また、本装置の特徴として、第1の演算処理部354は、QoSフレーム送信時に、使用サブキャリアの情報、変調方式、符号化率に基づいて、ACKを待ち受ける許容時間となるRSPタイマ時間を算出する。
【0046】
無線アクセス制御部355は、CSMA/CAによる無線アクセス制御を行う。
また、本装置の特徴として、無線アクセス制御部355は、自己宛ではない信号を受信した場合に、受信したMACフレームに含まれるDuration値に基づいて第1の演算処理部354で算出されたNAV時間が、予め設定されている閾値以上であれば、MAC処理部35内の処理手段に対してスリープモードに移行させ、消費電力を抑える制御を行う。
これは、妨害等により使用可能なサブキャリア数が少なくなった場合には、伝送時間が長引くことを想定して、通信対象になっていない場合には不要な動作を抑えて消費電力の低減を図るものである。
尚、スリープモードは、請求項に記載した省電力モードに相当する。
【0047】
ベースバンドI/F処理部356は、図2に示したベースバンド処理部36に接続するインタフェース部である。
第2の演算処理部357は、送信時に、ベースバンド部36に送出するビットデータのデータ量(1シンボル当たりのデータビット数)を算出する。第2の演算処理部357の動作については後述する。
【0048】
MACフレーム解析処理部358は、相手局から受信したMACフレームの解析及び解体を行って無線アクセス制御部355及びCPU I/F処理部351に出力する。
制御情報伝送路359は、図2に示したベースバンド処理部36からの通信制御情報及び受信品質としての等化誤差を図2に示したCPU33に伝送する伝送路である。
【0049】
[本装置の動作:図2,図3]
次に、本装置における動作について、図2及び図3を用いて説明する。
[QoSデータフレーム等送信時の動作(1)]
まず、本装置が、QoSデータフレーム又はマネージメントフレームを送信する場合の動作について説明する。
まず、本装置のベースバンド処理部36は、例えば、RTS(Request to Send)に応じて相手装置から応答されたCTS(Clear to Send)に基づいてサブキャリア毎の等化誤差を算出する。
【0050】
CPU33は、MAC処理部35を介して受け取った等化誤差に基づいて、どのサブキャリアが妨害等を受けて使用できない状態であるかを判断し、使用可能と判断したサブキャリアの情報をMAC処理部35に出力する。それと共に、送信に使用する変調方式及び符号化率を送信時の通信パラメータとしてMAC処理部35に出力する。
【0051】
MAC処理部35では、送信時の通信パラメータである使用サブキャリアの情報、変調方式及び符号化率を情報格納部352に格納する。
そして、MAC処理部35のCPU I/F処理部351にユーザデータが入力されると、MACフレーム生成処理部353は、データフレームとしてQoSデータフレームを生成する。
【0052】
QoSデータフレームの構成については後述するが、回線占有時間であるDuration値を書き込むDurationフィールドが設けられている。Duration値は、変調方式、符号化率、使用サブキャリア数によって値が変化するものである。
【0053】
[Duration値の算出]
ここで、本装置の特徴部分であるDuration値の算出について説明する。
本装置の第1の演算処理部354では、QoSデータ又はマネージメントフレームを送信する場合には、送信を行う度にDuration値の算出を行う。
具体的には、第1の演算処理部354は、無線アクセス制御部355からの指示により、無線アクセス制御部355が情報格納部352から読み出した送信時の変調方式、符号化率及び使用サブキャリア数に基づいてDuration値を算出し、無線アクセス制御部355に出力する。
【0054】
変調方式、符号化率及び使用サブキャリア数からDuration値を求める方法としては、予め各パラメータの組み合わせとDuration値とを対応付けた対応テーブルを設け、CPU33から設定されたパラメータの組み合わせに基づいて対応するDuration値を読み取ってもよいし、パラメータの組み合わせに応じたDuration値を求める計算式を記憶しておき、当該計算式に基づいてDuration値を算出してもよいし、テーブルと計算式とを組み合わせて求めるようにしてもよい。
【0055】
更に、本装置の特徴として、第1の演算処理部352は、QoSデータ又はマネージメントフレームを送信する場合に、ACKを待ち受ける期間であるRSPタイマ時間を算出するが、これについては後で説明する。
【0056】
[QoSデータフレーム等送信時の動作(2)]
そして、無線アクセス制御部355は、MACフレーム生成処理部353に、Duration値を出力し、MACフレーム生成処理部353がMACフレームのDurationフィールドに算出されたDuration値を書き込んでQoSデータフレームを生成する。その際、当該装置のMACアドレス及び相手先のMACアドレス情報等の必要な情報も無線アクセス制御部355から受け取ってQoSデータフレームを生成する。
これにより、当該QoSデータフレームを受信した装置に、回線占有期間を通知することが可能となる。
更に、MAC処理部35の第2の演算処理部357は、1シンボル長のデータビット数を算出する。第2の演算処理部357の動作については後で説明する。
【0057】
そして、生成されたQoSフレームは、ベースバンド処理部36に出力され、サブキャリア変調、IFFT処理、ガードインターバル挿入等が行われて送信される。その際に、ベースバンド処理部36では、PLCPヘッダに使用サブキャリアの情報を書き込んで送信する。このようにして、本装置におけるQoSデータフレーム等の送信時の動作が行われるものである。
【0058】
[QoSデータフレーム等受信時の動作]
次に、QoSデータフレーム又はマネージメントフレームを受信した場合の本装置の動作について説明する。
QoSデータフレーム又はマネージメントフレームの受信時には、ベースバンド処理部36でFFT処理、チャネル等化等が行われて、サブキャリア毎の等化誤差が求められ(又はサブキャリア毎の受信信号レベルが求められ)、また、PLCPヘッダに含まれる使用サブキャリアの情報に基づいて復調が行われ、復調データ(MACフレーム)、等化誤差(又は受信レベル情報)、使用サブキャリアの情報がMAC処理部35に出力される。
【0059】
そして、MAC処理部35では、等化誤差(又は受信レベル情報)をCPU33に出力すると共に、MACフレーム解析処理部358でMACフレームを解析し、Duration値、宛先情報、使用サブキャリアの情報を無線アクセス制御部355に出力する。
無線アクセス制御部355は、ベースバンド処理部36から入力された使用サブキャリアの情報と、受信時の変調方式と、受信時の符号化率を情報格納部352に記憶する。受信時の変調方式、受信時の符号化率、受信時の使用サブキャリアの情報は、受信時の通信パラメータ情報である。
【0060】
無線アクセス制御部355は、入力された宛先情報から、受信したQoSデータフレーム等が自己宛であると判断すると、ACKを送信するため、第1の演算処理部354にDuration値の算出を指示する。
第1の演算処理部354では、受信時の通信パラメータである、受信時の使用サブキャリアの情報と、受信時の変調方式と、受信時の符号化率に基づいてDuration値を算出する。算出されたDuration値は、無線アクセス制御部355を介してMACフレーム生成処理部353に出力される。
【0061】
MACフレーム生成処理部353は、入力されたDuration値を使用してACKフレームを生成する。
更に、ACK送信時に、MAC処理部35の無線アクセス制御部355が、情報格納部352に記憶されている受信時の使用サブキャリアの数と、受信時の変調方式と、受信時の符号化率とを第2の演算処理部357に出力し、第2の演算処理部357が、1シンボル長のデータビット数を算出し、ベースバンド処理部36に出力する。第2の演算処理部357の動作については後で説明する。
【0062】
一方、CPU33は、入力された各サブキャリアの等化誤差(又は受信レベル情報)に基づいて使用サブキャリアを決定する処理を行って、送信時の使用サブキャリアの情報としてMAC処理部35の情報格納部352に記憶する。これは、自己がQoSデータフレーム等を送信する際に用いられる。
【0063】
尚、受信したQoSデータフレーム等が自己宛ではなかった場合には、無線アクセス性制御部355は、受信したDuration値に基づいて設定されたNAV時間に応じて、スリープモードに移行する制御を行うが、この処理については後述する。
【0064】
[第2の演算処理部357の動作:図4]
次に、第2の演算処理部357の構成及び動作について図4を用いて説明する。図4は、MAC処理部35の第2の演算処理部357の模式説明図である。
第2の演算処理部357は、送信フレームの1シンボル長のデータビット数を算出するものであるが、図4に示すように、入力された使用サブキャリア数と、変調方式と、符号化率とに基づいて1シンボル長のデータビット数を算出する。
【0065】
そして、図4に示すように、第2の演算処理部357には、選択手段71,72,73から演算に必要なパラメータが入力される。各選択手段71,72,73は、無線アクセス制御部355内に設けられている。
【0066】
選択手段71は、送信時の使用サブキャリア数又は受信時の使用サブキャリア数のいずれかを第2の演算処理部357に出力するものであり、選択手段72は、送信時の変調方式又は受信時の変調方式のいずれかを第2の演算処理部357に出力するものであり、選択手段73は、送信時の符号化率又は受信時の符号化率のいずれかを第2の演算処理部357に出力するものである。
【0067】
これらのパラメータは、情報格納部352に送信時の通信パラメータ/受信時の通信パラメータとして記憶されており、選択手段71,72,73は、QoSデータフレーム等の送信時であれば送信時の通信パラメータを選択し、Ackフレームの送信時であれば受信時の通信パラメータ(送信側から指定されたパラメータ)を選択する。
そして、選択された使用サブキャリア数、変調方式、符号化率に基づいて第2の演算処理部357は送信フレームの1シンボル長のデータビット数を算出して、ベースバンド処理部36に出力する。
このようにして第2の演算処理部357の動作が行われる。
【0068】
[QoSデータフレーム:図5]
次に、QoSデータフレームのフォーマットについて図5を用いて説明する。図5は、IEEE802.11規格のQoSデータフレームフォーマットを示す説明図である。
図5に示すように、QoSフレームフォーマットは、フレーム制御、Duration等を含むMACヘッダに続き、IPパケット(データ)、FCSから成る。Durationフィールドは、2byteである。
【0069】
[本装置のQoSデータフレーム:図6]
次に、本装置のQoSデータフレームフォーマットについて図6を用いて説明する。図6は、本装置のQoSデータフレームフォーマットを示す説明図である。
図6に示すように、本装置のQoSデータフレームフォーマットでは、Durationフィールドを4byteとしている。これは、使用サブキャリアを制限することにより、回線占有期間が長くなったとしても、Duration値を書き込めるようにしたものである。
【0070】
[RSPタイマ時間の算出:図7]
次に、本装置の特徴であるRSPタイマ時間の算出について図3及び図7を用いて説明する。図7は、端末Aから端末BにStop&Wait方式でQoSデータフレーム等を送信する場合の模式説明図である。
MAC処理部35の第1の演算処理部352は、QoSデータ又はマネージメントフレームを送信する場合に、ACKを待ち受ける許容期間であるRSPタイマ時間を算出する。図7の例では、端末Aの第1の演算処理部352がRSPタイマ時間を算出する処理を行う。
【0071】
まず、基本的な動作について図7を用いて説明する。
本通信システムでは、ARQ(Auto ReQuest;自動再送要求)方式による通信を行っており、図7に示すように、送信側の端末Aは、QoSデータフレーム等の送信後、RSPタイマ時間がタイムアウトするまでACKを待ち受け、RSPタイマ時間以内にACKを受信しない場合にはデータ再送等の処理を行う。
【0072】
端末Bでは、端末AからのQoSデータフレーム等を受信し、それが自己宛であると判断すると、SIFS期間後にACKを送信する。
また、通信対象ではない端末Cが端末AからのQoSデータフレーム等を受信すると、当該QoSデータフレームに含まれるDuration値に基づいてNAV時間(送信禁止期間)を設定し、この間は送信を行わない。
【0073】
端末AがQoSデータフレーム等を送信してから、端末BからのACKを受信するまでに要する時間は、変調方式、符号化率及び使用サブキャリア数によって異なる。例えば、使用サブキャリア数が少なく変調方式がBPSKであれば応答時間は長く、使用サブキャリア数が多く変調方式が16QAMであれば応答時間は短くなる。ここで用いられるパラメータは、情報格納部352に記憶されている送信時の通信パラメータである。
【0074】
RSPタイマ時間を決定する第1の演算処理部352は、予め各パラメータ(変調方式、符号化率及び使用サブキャリア数)の組み合わせとRSPタイマ時間とを対応付けた対応テーブルを設け、CPU33から設定されたパラメータの組み合わせに基づいて対応するRSPタイマ時間を読み取ってもよいし、パラメータに応じてRSPタイマ時間を算出する計算式を記憶しておき、当該計算式に基づいてRSPタイマ時間を算出してもよい。また、テーブルと計算式とを組み合わせてもよい。
【0075】
そして、本装置の無線アクセス制御部355は、QoSデータフレーム等の送出後、第1の演算処理部352で算出されたRSPタイマ時間を期限として端末BからのACKを待ち受け、RPSタイマ時間内にACKを受信しなければ、ARQ(Automatic Repeat reQuest;自動再送要求)通信による再送を行う。
このように、本装置では、送信時の使用サブキャリア数、変調方式、符号化率に応じたRSPタイマ時間を設定してACKを待ち受けることにより、適切なRSPタイマ時間とすることができ、通信回線を効率的に利用することができるものである。
【0076】
[スリープモード]
次に、本装置の特徴であるスリープモードへの移行について図3、図7を用いて説明する。
MAC処理部35の無線アクセス制御部355は、受信したQoSデータフレーム等が自己宛ではなかった場合には、受信信号中のDuration値に基づいてNAV時間を設定する。
【0077】
ここで、本装置の無線アクセス制御部355は、設定されたNAV時間が閾値以上であれば、MAC処理部35の各処理手段をスリープモードに移行させる。
具体的には、本装置の無線アクセス制御部355は、受信したDuration値に基づいて自己の送信禁止期間であるNAV時間を算出し、当該NAV時間と予め設定されている閾値とを比較して、NAV時間が閾値以上であった場合には、CPU I/F処理部351、第1の演算処理部352、MACフレーム生成処理部353、ベースバンドI/F処理部356、第2の演算処理部357、MACフレーム解析処理部358をスリープモードに移行させる。
【0078】
また、ここでは、受信したDuration値に基づいて設定されるNAV時間を閾値と比較したが、受信したMACフレームに記載されたDuration値そのものを用いてスリープモードに移行するか否かを判断するようにしてもよい。
つまり、受信したDuration値が、予め設定された別の閾値以上であった場合に、無線アクセス制御部355は、MAC処理部35の各処理手段をスリープモードに移行させるものである。
【0079】
これにより、本装置では、妨害等により使用できないサブキャリアがあった場合には、少ないサブキャリア数で通信を行わねばならないため、通信時間が長くなることを想定して、当該通信に直接関係のない装置での不要な動作を抑制し、消費電力を低減することができるものである。
尚、スリープモードに移行した場合には、少なくともNAV時間が経過するまではスリープモードを維持し、その後、受信又は送信のイベントが発生した場合にはスリープモードから通常の動作を行うモードに復帰する、といった制御が考えられる。
【0080】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る無線送受信装置及びそれを用いた無線通信システムによれば、ベースバンド処理部36が、受信信号の全てのサブキャリアについて受信品質として等化誤差を検出し、CPU33が、予め設定されている閾値と各サブキャリアの等化誤差とを比較して、等化誤差が閾値未満であれば、妨害を受けていないとして送信時に使用可能なサブキャリアとして決定し、送信時の使用サブキャリアの情報と、送信時の変調方式と、送信時の符号化率とを通信パラメータとしてMAC処理部35に出力し、MAC処理部35が、通信パラメータに基づいて、通信回線の占有期間であるDuration値を算出し、当該Duration値を含むQoSデータフレームを生成して、ベースバンド処理部36で変調して無線送信するようにしているので、特定のサブキャリアが妨害等により伝送路の品質が劣化した場合には、妨害を受けていないサブキャリアを用いて良好な品質の通信を行うことができ、また、使用サブキャリア数に応じた通信回線の占有期間を他の無線送受信装置に報知して、通信の衝突を防ぐことができる効果がある。
【0081】
また、本実施の形態に係る無線送受信装置及び無線通信システムによれば、MAC処理部35が、自己宛ではないQoSデータフレームを受信した場合に、当該受信信号に含まれるDuration値から、自己が送信を行わないNAV時間を設定し、当該NAV時間が予め設定されている閾値以上であった場合には、MAC処理部35の処理手段がスリープモードに移行する無線送受信装置としているので、送信禁止期間が長い場合には、通信対象外の装置では不要な動作を行わないようにして、消費電力を低減することができる効果がある。
【0082】
更に、本実施の形態に係る無線送受信装置及び無線通信システムによれば、QoSデータフレーム等を送信する場合に、MAC処理部35が、送信時の使用サブキャリアの数と、送信時の変調方式と、送信時の符号化率とに基づいて、相手局からACKを受信する期限であるRSPタイマ時間を算出して、QoSデータフレーム送信後、当該RSPタイマ時間を上限として応答を待ち受ける無線送受信装置としているので、使用サブキャリア数、変調方式、符号化率に応じて適切な待ち受け時間を設定することができ、通信回線を効率的に利用することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、伝搬路状況に応じて安定した通信を行うことができると共に、無線送受信装置の消費電力を低減することができる無線通信システムに適している。
【符号の説明】
【0084】
1...イーサネット、 2...送受信装置、 3...ベースバンド部、 4...無線部(RF部)、 5...空中線、 31...コネクタ部、 32...Ether PHY部、 33...CPU、 34...ローカルバス、 35...MAC処理部、 36...ベースバンド処理部、 37...D/A変換部、 38...A/D変換部、 351...CPU I/F処理部、 352...情報格納部、 353...MACフレーム生成処理部、 354...第1の演算処理部、 355...無線アクセス制御部、 356...ベースバンドI/F処理部、 357...第2の演算処理部、 358...MACフレーム解析処理部、 359...制御情報伝送路、 71,72,73...選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブキャリアを使用して、送受信装置間で無線通信を行う無線通信システムであって、
前記送受信装置が、送信データを変調し、受信した信号を復調すると共に、前記受信した信号に含まれるサブキャリア毎の受信品質を検出するベースバンド処理部と、
前記検出されたサブキャリア毎の受信品質に基づいて、送信に使用する使用サブキャリアを決定すると共に、前記使用サブキャリアの数と送信時の変調方式及び符号化率を出力する制御部と、
送信時に、前記変調方式と前記符号化率及び前記使用サブキャリアの数とに基づいて回線使用期間を求め、前記回線使用期間を含む送信フレームを生成して、前記ベースバンド処理部に出力する通信処理部とを備えた送受信装置であることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
送受信装置の通信処理部が、自己宛ではない信号を受信した場合に、前記受信した信号に含まれる回線使用期間が予め設定された閾値以上であれば、省電力モードに移行することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
送受信装置の通信処理部が、送信時に、変調方式と符号化率及び使用サブキャリアの数とに基づいて、当該送信データに対して相手装置から送信される応答信号の待ち時間を算出して、送信後、前記算出された待ち時間以内に応答信号を受信しない場合には、前記送信データを再送することを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238985(P2012−238985A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105893(P2011−105893)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】