説明

無線通信ネットワークシステムとその無線機器

【課題】 周辺に存在する無線ネットワークの構成を無線機器の加入登録前に確認できるようにして、所望のネットワークに対し確実に無線機器を加入登録できるようにし、これにより加入登録操作の簡単化と無線機器の消費電力の低減を可能にする。
【解決手段】 未加入の無線機器TAにおいて問い合わせコマンドを入力することで、インクワイヤリ・パケットを周辺のピコネットPA,B,PCに向け送信し、これに対しピコネットPA,PB,PCを構成する各無線機器からFHSパケットを返送する。そして、このFHSパケットから、ピコネットのシステムIDを表す同期ワード、及び返送元の無線機器のIDアドレスをそれぞれ抽出し、これらの同期ワード及びIDアドレスをピコネットPA,B,PCごとに分類した後LCD34に表示するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばBluetooth と呼ばれる近距離無線データ通信技術を採用した無線ネットワークシステムとその無線機器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信技術の発達とニーズの多様化に伴い種々の無線ネットワークシステムが開発実用化されており、その中にBluetooth と呼ばれる近距離無線データ通信技術を採用した無線ネットワークシステムがある。
【0003】Bluetooth は、2.4GHzのISM(Industry Science Medical)バンドを利用した短距離無線通信規格の一つであり、主としてパーソナル・コンピュータと、プリンタやモデム、キーボード等の周辺機器との間や、携帯電話機とパーソナル・コンピュータとの間を接続するために使用される。Bluetoothを使用すると、各機器間を接続するケーブルを不要にできることから、各種機器の使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0004】Bluetooth は、周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信技術を使用する。1MHz幅のチャネルを79個使い、これらのチャネルを1秒間に最大1600回切り替える。これによって、同じISMバンドを使用する他の無線通信に対する干渉を防止する。送信出力には3つのクラスがある。クラス1が+20dBm (最大伝送距離100m)、クラス2が+4dBm、クラス3が0dBm (最大伝送距離10m)である。最大データ伝送速度は1Mbps であるが、実効的には非対称伝送時に下りチャネルが721Kbps で、上りチャネルが57.6Kbps である。対称伝送時には、下りチャネル及び上りチャネルとも432.6Kbps となる。下りチャネルと上りチャネルとの多重化方式には、TDD(Time Division Duplex)方式を使用する。
【0005】Bluetooth の対応機器は、周波数ホッピング・パターンを決定するマスタと、それに従う最大7台のスレーブとに分かれる。マスタとスレーブとで構成される無線ネットワークをピコネットと呼ぶ。マスタは同時に他のピコネットのスレーブになることができる。この機能を利用して複数のピコネットを数珠つなぎにすることで、さらに大きな無線ネットワークシステムを構成することも可能である。これをスカッタネットと呼ぶ。各ピコネットにおいて、マスタとスレーブとの関係は任意に変更することが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、Bluetooth では機器をピコネットに加入登録する際に、周辺に複数のピコネットが存在すると、本来登録しようとするピコネットとは別のピコネットに登録されてしまうことがある。このような場合、ユーザは機器の登録を抹消したのち、希望するピコネットに登録するべく再度登録シーケンスを実行させる必要がある。したがって、機器の移動等に伴い頻繁に登録・抹消を繰り返すような場合には、ユーザの登録操作が面倒になると共に、登録のたびに機器で多くの電力が消費されるため、特にバッテリを使用した機器では動作時間に大きな影響を与え非常に好ましくない。
【0007】この発明の第1の目的は、周辺に存在する無線ネットワークの構成を無線機器の加入登録前に確認できるようにして、所望のネットワークに対し確実に無線機器を加入登録できるようにし、これにより加入登録操作の簡単化と無線機器の消費電力の低減を可能にした無線ネットワークシステムとその無線機器を提供することである。
【0008】また第2の目的は、加入登録後において無線ネットワークの構成を簡単に確認することができ、特に自己がマスタとして機能としているかスレーブとして機能しているかについて確認することができる無線機器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成するために第1の発明は、無線ネットワークに未加入の第1の無線機器から無線ネットワークに加入済みの第2の無線機器に対して機器の属性を問い合わせるための問い合わせ信号を送出する。第2の無線機器は、第1の無線機器から前記問い合わせ情報が到来した場合に、自己の属性を表す情報を含む応答情報を問い合わせ元の第1の無線機器に返送する。第1の無線機器は、第2の無線機器から返送された応答情報を受信し、これらの応答情報に含まれる属性情報を基に無線ネットワークの構成を表す情報を生成して表示する。
【0010】したがって第1の発明によれば、未加入の無線機器から問い合わせ情報を送出すると、無線ネットワークを構成している各無線機器からその属性情報が上記問い合わせ元の無線機器に返送され、この返送された各無線機器の属性情報をもとに無線ネットワークの構成を表す情報が生成されて表示される。このため、無線機器を無線ネットワークに新たに加入登録しようとする場合に、当該無線機器のユーザ又は無線ネットワークのシステム管理者は、周辺に存在する無線ネットワークの構成を事前に確認することが可能となる。
【0011】具体的には、上記表示手段において、応答情報を返送した複数の無線機器の属性情報を無線ネットワークごとに分類して表示する。このようにすると、ユーザ又はシステム管理者は、表示された情報をもとに無線ネットワークの構成をさらに明確に把握することが可能となる。
【0012】また、無線ネットワークに加入する可能性がある複数の無線機器について、その識別コードと属性の内容を表すキャラクタデータとを相互に対応付けて記憶した変換テーブルを設ける。そして、応答情報に含まれる属性情報が識別コードである場合に、この識別コードに対応する属性の内容を表すキャラクタデータを上記変換テーブルから読み出し、この読み出された属性の内容を表すキャラクタデータを表示する。
【0013】このようにすると、無線機器のユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、表示された内容を見るだけで、無線ネットワークを構成する無線機器の属性の内容、例えばベンダ名や機種名を即時把握することができる。したがって、ユーザ又は管理者自身がコード対応表を参照して属性の内容を確認する必要がなくなり、これにより作業能率を大幅に高めることができる。
【0014】また、上記第1の無線機器に加入登録制御手段をさらに設け、この加入登録制御手段により、第2の無線機器から返送された応答情報に基づいて、当該第2の無線機器との間で自己を無線ネットワークに加入登録するためのシーケンスを実行するようにしてもよい。
【0015】具体的には、第1の無線機器に、第2の無線機器から返送された応答情報に含まれる属性情報又は上記表示手段により生成された無線ネットワークの構成を表す情報を記憶保持する手段を設け、無線ネットワークへの加入登録を要求するコマンドが入力された場合に、上記記憶保持されている情報をもとに第2の無線機器との間で自己を加入登録するためのシーケンスを実行する。
【0016】このようにすることで、記憶保持された情報をもとに加入登録のためのシーケンスが実行されるので、ユーザ又はシステム管理者は無線機器の加入登録に際し、加入登録先の無線ネットワークや無線機器のアドレス情報をマニュアル操作で入力する必要がなくなり、この結果誤ることなく簡単かつ短時間に登録処理を完了することができる。
【0017】一方、第2の目的を達成するために第2の発明は、無線チャネルを介して相互に通信を行う複数台の無線機器のうち、1台がマスタ、他の1台以上がスレーブとしてそれぞれ機能する無線ネットワークで使用される無線機器において、上記各無線機器が無線ネットワークにいずれも加入登録済みである状態で、上記無線ネットワークにすでに加入登録された他の無線機器から送信される報知要求信号を受信し、この報知要求信号を受信したことに応じて少なくとも自己がマスタとして機能としているかスレーブとして機能しているかを示す情報を報知するようにしたものである。
【0018】したがって第2の発明によれば、例えば無線機器を無線ネットワークに新規加入登録させた後、この新規加入登録させた無線機器から表示要求を加入済みの無線機器に送ると、加入済みの各無線機器において各々当該無線機器自身の所在を表す情報が表示されることになる。したがって、ユーザ又はシステム管理者は、無線機器の新規加入登録処理後に、当該無線機器が確かに希望した無線ネットワークに登録されたか否かを簡単に確認することができる。また、その際にどの無線機器がマスタであるかスレーブであるかについても確認することができる。
【0019】またこの発明は、無線ネットワーク内の他の無線機器から表示要求が到来した場合に、自己の属性を表す情報を含む応答情報を上記表示要求の送信元の無線機器へ返送し、上記表示要求を送出した無線機器において、上記応答情報が返送された場合にこの応答情報に含まれる属性情報を表示することも特徴とする。
【0020】このようにすることで、無線機器を無線ネットワークに新規加入登録させた後、この新規加入登録した無線機器から加入済みの無線機器に表示要求を送ると、この加入済みの無線機器の属性情報が表示要求元の無線機器に返送されて表示される。このため、新規加入登録した無線機器のユーザ又はシステム管理者は、自身が加入した無線ネットワークを構成する無線機器の属性情報を、加入登録後において自身の表示手段で確認することが可能となる。したがって、ユーザ又はシステム管理者は、新規加入登録した無線機器が確かに希望した無線ネットワークに登録できたか否かを簡単に確認することができる。
【0021】なお、各請求項に記載した発明を任意に組み合わせて構成した別の発明や、上記各請求項に記載した発明の構成要件の一部を削除して構成した他の発明も、すべて本願の発明に含まれる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。図1は、この発明に係わる無線ネットワークシステムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0023】Bluetooth (以後BTと称する)を採用した本実施形態の無線ネットワークシステムは、3つのピコネットPA,PB,PCを備えている。ピコネットPAは、マスタとして機能する無線機器AMと、このマスタ無線機器AMに対し無線チャネルを介して接続される3台のスレーブ無線機器AS1〜AS3とから構成される。ピコネットPBは、マスタとして機能する無線機器BMと、このマスタ無線機器AMに対し無線チャネルを介して接続される1台のスレーブ無線機器BS1とから構成される。ピコネットPCは、マスタとして機能する無線機器CMと、このマスタ無線機器CMに対し無線チャネルを介して接続される2台のスレーブ無線機器CS1,CS2とから構成される。
【0024】また、ピコネットPBのマスタ無線機器BMには、ピコネットPAの無線機器AS1がスレーブとして接続され、さらにピコネットPCのマスタ無線機器CMには、ピコネットPBの機器BS1がスレーブとして接続される。これにより、ピコネットPA,PB,PCはスキャタネットを構成する。
【0025】各無線機器のマスタとスレーブとの関係は、例えばマスタとして機能している無線機器で電波障害やバッテリ出力の低下等が発生した場合に、随時変更することが可能である。
【0026】ところで、上記各無線機器は例えば次のように構成される。図2は、無線機器の一つとして使用が予想されるW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式に対応した携帯電話機の概略構成図である。
【0027】すなわち、この携帯電話機は、無線部1と、ベースバンド部2と、入出力部3と、電源部4と、BT無線部5とから構成される。同図において、図示しない携帯通信用の基地局から無線チャネルを介して到来した無線周波信号は、携帯通信用のアンテナ11で受信されたのちアンテナ共用器(DUP)12を介して受信回路(RX)13に入力される。
【0028】受信回路13は、高周波増幅器、周波数変換器、スペクトラム逆拡散回路及び復調器を備える。すなわち、上記無線周波信号は、先ず低雑音増幅器で低雑音増幅される。次に、周波数変換器において、周波数シンセサイザ(SYN)14から発生された受信局部発振信号とミキシングされ、これにより受信中間周波信号又は受信ベースバンド信号にダウンコンバートされる。このダウンコンバート後の受信信号は、スペクトラム逆拡散回路でスペクトラム逆拡散されたのち復調器でディジタル復調される。復調方式としては、例えばQPSK方式に対応した直交復調方式が用いられる。なお、上記周波数シンセサイザ14から発生される受信局部発振信号の周波数は、ベースバンド部2に設けられた主制御部21から指示される。
【0029】上記復調器から出力された復調信号はベースバンド部2に入力される。ベースバンド部2は、主制御部21と、多重分離部22と、音声符号復号部(以後音声コーデックと呼称する)23と、マルチメディア処理部24と、LCD制御部25とを備えている。
【0030】上記復調信号は、主制御部21において制御情報であるかマルチメディア情報であるかが識別され、マルチメディア情報であれば多重分離部22に供給されてここで音声データと画像データとに分離される。そして、音声データは音声コーデック23に入力されてここで音声復号される。そして、これにより再生された音声信号は入出力部3のスピーカ32から拡声出力される。これに対し画像データは、マルチメディア処理部24に入力されてここで画像復号処理される。そして、これにより再生された画像信号は、LCD制御部25を介して入出力部3のLCD34に供給され表示される。
【0031】なお、上記受信画像データは、必要に応じて主制御部21内のRAMに格納される。またLCD34には、主制御部21から出力された自装置の動作状態を表す種々の管理情報も表示される。表示される管理情報としては、例えば電話帳データや受信電界強度の検出値、バッテリの残量等がある。
【0032】一方、入出力部3のマイクロホン31から出力されたユーザの送話音声信号は、ベースバンド部2の音声コーデック23に入力され、ここで音声符号化されたのち多重分離部22に入力される。またカメラ(CAM)33から出力された画像信号は、ベースバンド部2のマルチメディア処理部24に入力され、ここで画像符号化処理が施されたのち上記多重分離部22に入力される。多重分離部22では、上記符号化された音声データと画像データとが所定のフォーマットで多重化される。そして、この多重化された送信データは主制御部21から無線部1の送信回路(TX)15に入力される。
【0033】送信回路15は、変調器、スペクトラム拡散回路、周波数変換器及び送信電力増幅器を備える。上記送信データは、先ず変調器でディジタル変調されたのち、スペクトラム拡散回路において所定の拡散符号によりスペクトラム拡散処理される。変調方式としては、QPSK方式が用いられる。スペクトラム拡散後の送信信号は、周波数変換器において周波数シンセサイザ14から発生された送信局部発振信号とミキシングされることにより無線伝送帯域の信号にアップコンバートされる。そして、送信電力増幅器で所定の送信レベルに増幅されたのち、アンテナ共用器12を介して携帯通信用のアンテナ11に供給され、このアンテナ11から図示しない携帯通信用の基地局に向け送信される。
【0034】なお、電源部4には、リチウムイオン電池等のバッテリ41と、このバッテリ41を充電するための充電回路(CHG)42と、電圧生成回路(PS)43とが設けられている。電圧生成回路43は、例えばDC/DCコンバータからなり、バッテリ41の出力電圧をもとに所定の電源電圧Vccを生成する。
【0035】BT無線部5は、BT通信用のアンテナ51を備えたBT無線回路52と、BT制御部としてのCPU53と、リンク・ベースバンド・コントローラ(LBC)54と、外部インタフェース55とを備えている。このうちCPU53はLBC54と協働してBT通信制御を統括する。BT通信制御には、通信相手の無線機器との間に無線リンクを形成する処理や、送受信信号の符号化復号処理等が含まれる。すなわち、CPU53及びLBC54はリンクマネージャとしての機能を備える。これに対しCPU53及び外部インタフェース55は、ホスト・コマンド・インタフェース(HCI)としての機能を有する主制御部21との間で、BT通信に係わる制御信号及び送受信データの転送処理を行う。
【0036】BT無線回路51は、上記LBC54から出力された送信データにより搬送波信号をディジタル変調し、その被変調搬送波信号を周波数ホッピングによりスペクトラム拡散する。そして、この送信信号を規定値以下の送信出力レベルに増幅した後、アンテナ51から通信相手の無線機器に向け送信する。また、通信相手の無線機器から到来した無線信号を、アンテナ51を介して受信した後スペクトラム逆拡散し、しかるのちディジタル復調して上記LBC53に入力する。
【0037】ところで、この実施形態の携帯電話機は、BT通信制御に係わる新たな機能として、ピコネット情報収集制御機能21aと、ピコネット情報表示制御機能21bと、表示コマンド送受信制御機能21cとを備えている。
【0038】このうち先ずピコネット情報収集制御機能21aは、ピコネットPA,PB,PCに未加入の状態で、ユーザがインクワイヤリ・コマンドを入力したときに、周辺のピコネットに関する情報を収集するための制御を実行する。
【0039】すなわち、キー入力部35からインクワイヤリ・コマンドが入力されると、インクワイヤリ要求をBT無線部5のCPU53に与える。CPU53及びLBC54は、上記インクワイヤリ要求に応じてインクワイヤリIDパケットを生成し、このインクワイヤリIDパケットをBT無線回路51から周辺のピコネットPA,PB,PCに向け送信する。
【0040】また、上記インクワイヤリIDパケットに対し、周辺の他の無線機器がFHSパケットを返送すると、このFHSパケットをBT無線回路51を介してLBC54及びCPU53で受信する。そして、この受信した各無線機器からのFHSパケットの内容を外部インタフェース55から主制御部21に転送する。
【0041】ピコネット情報表示制御機能21bは、上記ピコネット情報収集制御機能21aにより収集された情報をLCD34に表示する制御を実行するもので、第1の表示モードと第2の表示モードとを備える。
【0042】第1の表示モードは、各無線機器のFHSパケットから返送元の無線機器のIDアドレス及びピコネット固有のIDコードをそれぞれ抽出し、これらを各ピコネットごとに編集してコードのままLCD34に表示する。
【0043】第2の表示モードは、各無線機器のFHSパケットから抽出した返送元の無線機器のIDコード及びピコネット識別するためのIDコードをもとに記憶部26を検索し、これにより上記IDコードに対応するキャラクタデータを読み出す。そして、このキャラクタデータをLCD34に表示する。すなわち、受信した無線機器のIDアドレス及びピコネット固有のIDコードを、無線機器のベンダ名及び製品の機種と型番を表すキャラクタデータに変換して表示する。
【0044】表示コマンド送受信制御機能21cは、無線機器がピコネットPA,PB,PCに加入登録された状態で、表示コマンドの入力に応じて当該無線機器から同じピコネット内の各無線機器へ「表示コマンド」パケットを送信する。また、この「表示コマンド」パケットを受信した場合に、自身の所在を例えばLEDの点灯又は点滅により表示する。またその際に、自身がマスタであるかスレーブであるかを判別し、この判別結果をもとに上記表示のパターンを異ならせる。
【0045】次に、以上のように構成された無線ネットワークシステム及びその無線機器の動作を説明する。いま仮に、図1に示すように携帯電話機からなる無線機器TAをピコネットPAに加入登録させる場合を考える。この場合、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、事前に周辺の各ピコネットPA,PB,PCの構成を知るために、先ず無線機器TAにおいてキー入力部2を操作して予め定めたインクワイヤリ・コマンドを入力する。
【0046】そうすると図3に示すように、主制御部(HCI)21からBT無線部5のCPU53にHCIインクワイヤリ要求が通知される。この要求を受けてBT無線部5のCPU53では、インクワイヤリ・パケット(IDパケット)が生成され、このインクワイヤリ・パケットがBT無線回路52から周辺の各ピコネットPA,PB,PCに向け送信される。
【0047】これに対し各ピコネットPA,PB,PCを構成する各無線機器AM,AS1〜AS3、BM,BS1、CM,CS1,CS2は、BT無線信号の到来をランダムなタイミングで監視している。この状態で、上記無線機器TAからインクワイヤリ・パケットが到来すると、このインクワイヤリ・パケットを受信した各無線機器AM,AS1〜AS3、BM,BS1、CM,CS1,CS2はFHSパケットを生成して送信元の無線機器TAへ返送する。
【0048】このときFHSパケットには、図4に示すようにアクセスコードにマスタのアドレスをもとに生成した同期ワードが挿入され、またペイロードにはシステムにおいてユニークな自己のIDアドレス「BD_ADDR」と、問い合わせ元の無線機器TAに割り当てる物理アドレス(MACアドレス)が挿入される。IDアドレスは、下位アドレス、上位アドレス及び付加アドレスにより構成され、これらはそれぞれペイロードに設けられたLAPフィールド、UAPフィールド及びNAPフィールドに分散されて挿入される。なお、FHSパケットのヘッダにはパケットのタイプを表すフィールド(TYPE)が設けられており、このタイプ・フィールドにFHSパケットコードが挿入される。
【0049】上記無線機器TAは、インクワイヤリ・パケットの送信後、各無線機器AM,AS1〜AS3、BM,BS1、CM,CS1,CS2からのFHSパケットの返送を監視している。そして、この状態で各無線機器AM,AS1〜AS3、BM,BS1、CM,CS1,CS2からFHSパケットが到来すると、これを順次受信する。このとき、受信パケットがFHSパケットであるかどうかの判定は、ヘッダのタイプ・フィールドに挿入されているFHSパケットコードをもとに行われる。
【0050】上記FHSパケットを受信すると無線機器TAは、LBC54において、ペイロードに挿入されているクロックCLKをもとに同期を確立した後、CPU53においてFHSパケットに挿入されている同期ワード、IDアドレス及びMACアドレスを解読し、この解読した情報を主制御部21に通知する。
【0051】主制御部21は、この解読された同期ワード、IDアドレス及びMACアドレスをステップ3aで主制御部11内のメモリに記憶すると共に、各ピコネットPA,PB,PCごとに分類したのち、ステップ3bでLCD制御部25を介してLCD34に送り表示させる。図5はその表示結果の一例を示すものである。同図に示すように、各スレーブ無線機器AS1〜AS3,BS1,CS1,CS2のIDアドレスが、各ピコネットPA,PB,PCごとにそのマスタ無線機器AM,BM,CMの同期ワードに対応付けて表示される。
【0052】したがって、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、加入登録前に、LCD34に表示されたピコネット情報から、周辺に存在する各ピコネットPA,PB,PCの構成を把握することができる。上記ピコネット情報の表示は、ユーザ又は管理者の消去操作によって消去される。また、一定時間が経過した時点で自動的に消去されるように構成してもよい。
【0053】なお、無線機器TAにおいて、途中でインクワイヤリ手順の使用を取り消すためのコマンドが入力された場合には、図6に示すように主制御部21からBT無線部5のCPU53に対しHCIインクワイヤリ取り消し要求が通知される。このHCIインクワイヤリ取り消し要求を受け取るとBT無線部5のCPU53は、主制御部21に対しHCIコマンド完了通知を送信する。
【0054】また、すべての周辺無線機器に対するインクワイヤリ手順が終了すると、BT無線部5のCPU53から主制御部21にHCIインクワイヤリ完了通知が送られる。この通知を受けて主制御部21は、先に述べたインクワイヤリ結果の表示制御を行う。
【0055】ところで、以上述べたピコネット情報の表示制御動作(第1の表示モード)では、各無線機器から到来した同期ワード及びIDアドレスがそのまま表示される。このため、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、別途用意したコード対応表を参照して、表示されたコードに対応する機器のベンダ名と機種名を把握する必要がある。したがって作業能率が良くない。
【0056】そこでこの発明では、その改善策として第2の表示モードを備えている。すなわち、記憶部26には表示データの変換テーブルが設けてある。この変換テーブルには、共にピコネットを構成する可能性がある他の複数の無線機器の各々について、その同期ワード及びIDアドレスと、ベンダ名及び機種名を表す文字データ(キャラクタデータ)とが相互に対応付けられて記憶されている。
【0057】主制御部21は、図8に示すようにステップ8aにおいて無線機器が送信したFHSパケットの到来を検出すると、ステップ8bでこのFHSパケットから同期ワード及びIDアドレスを抽出して、主制御部21の内部メモリに格納する。そして、周辺のすべての無線機器からFHSパケットを受信すると、ステップ8cにおいて各無線機器から受信した同期ワード及びIDアドレスをもとに記憶部26をアクセスし、これにより当該同期ワード及びIDアドレスに対応する無線機器のベンダ名及び機種名を表すキャラクタデータをそれぞれ読み出す。そして、これらのキャラクタデータをピコネットごとに分類して並べたのち、ステップ8dによりLCD制御部25を介してLCD34に供給し表示させる。図9は、その表示結果の一例を示すものである。
【0058】このように第2の表示モードを採用することで、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、LCD34に表示された内容を見るだけで、各ピコネットPA,PB,PCを構成するマスタ機器及びスレーブ機器のベンダ名と機種名を即時把握することができる。したがって、コード対応表を参照する必要がなくなり、これにより作業能率を大幅に高めることができる。
【0059】さて、そうして周辺の各ピコネットPA,PB,PCの構成を把握すると、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、次に無線機器TAを所望のピコネットに加入登録するための操作を行う。
【0060】例えば、いま加入を希望するピコネットがPAだとすれば、無線機器TAのLCD34に表示された各ピコネットPA,PB,PCの構成データのうち、上記ピコネットPAを図5又は図9に示すようにカーソルCLで選択指定した上で、このピコネットPAを構成するマスタ無線機器AM又はスレーブ無線機器の一つ(例えばAS2)を選択し指定する。
【0061】そうすると無線機器TAでは、主制御部21からBT無線部5へ接続要求が送られ、以後この要求に応じBT無線部5において非同期コネクションレス型接続(以後ACLリンク接続と称する)手順に従い、ピコネットPAのスレーブ無線機器AS2との間にACLリンクを確立するための制御が実行される。
【0062】図10はその制御手順を示すシーケンス図、図11はBT無線部5におけるACL接続確立・切断手順とその内容を示すフローチャートである。すなわち、BT無線部5は、ステップ7aで主制御部21からACL接続要求を受け取ると、リンク接続相手のマスタ無線機器AMとの間で先ずページ/ページ応答処理を実行する(ステップ7bで)。そして、このページ/ページ応答処理の終了後、無線機器TAからリンク接続相手のマスタ無線機器AM或いはスレーブ無線機器AS2へ接続要求を送出し、それに対するACK応答を受信する。また、このとき各無線機器TA,AM又はAS2のBT無線部5では、ステップ7cでペアリングを行ってステップ7dでリンク鍵を生成するか、もしくはステップ7eで認証を行った後、ステップ7gで暗号化処理を行う。なお、無線機器間のマスタとスレーブの役割を変更する場合には、ページ/ページ応答処理の終了後、ステップ7fにおいて行われる。
【0063】そうしてセットアップを完了すると(ステップ7h)、無線機器TAと接続先のマスタ無線機器AM或いはスレーブ無線機器AS2との間ではACLリンク接続動作が行われ(ステップ7i)、以後加入を希望した無線機器TAとマスタ無線機器AM或いはスレーブ無線機器AS2との間では無線通信が可能になる。なお、無線リンクの接続形態としては、上記したACLリンク接続手順のほか、同期コネクション型リンク接続(以後SCOリンク接続と称する)手順があり、このSCOリンク接続手順はステップ7jで実行される。
【0064】以上述べた無線通信リンクの確立を以て、無線機器TAはピコネットPAに加入登録される。すなわち、ピコネットPAへの加入登録処理は、無線機器TAのLCD34に表示中のピコネット情報の一つをカーソルCLで選択指定するだけで自動的に実行される。したがって、ユーザ或いはシステム管理者は、無線機器TAを加入登録する際に、加入登録先のピコネットのシステムIDや無線機器のIDアドレス等をキー入力部35から入力する必要がなくなり、この結果簡単な操作で誤ることなく登録を完了することができる。
【0065】次に、以上のように無線機器TAの新規加入登録を終了すると、無線機器TAのユーザ又は無線ネットワークのシステム管理者は、当該無線機器TAが確かに希望するピコネットPAに加入登録されたか否かを確認するために、表示コマンド送信手順を実行する。図1212は、この表示コマンド送信手順を示すシーケンス図である。
【0066】すなわち、ユーザ又はシステム管理者は、無線機器TAにおいてキー入力部35を操作することで特定の表示コマンドを入力する。この表示コマンドとしては、例えば無線機器TAが加入したピコネットPAを構成する各無線機器AM,AS1〜AS3において、その所在或いは機能を表す情報をこれらの無線機器AM,AS1〜AS3自身に表示させることを要求するコマンドが用いられる。そして、この表示要求コマンドの送信先としてマスタ無線機器AMを指定する。
【0067】そうすると、主制御部21からBT無線部5に当該表示要求コマンドが通知される。これを受けるとBT無線部5のCPU53は、主制御部21の内部メモリに記憶されているピコネット情報をもとに「表示コマンド」パケットを生成し、これをBT無線回路52からピコネットPAのマスタ無線機器AMに向け送信する。
【0068】図13は、この「表示コマンド」パケットのフォーマットの一例を示すものである。すなわち、アクセスコードの同期ワードには、マスタ無線機器AMのIDの下位アドレスが挿入され、またヘッダの宛先フィールドには送信先となる各スレーブ無線機器AS1〜AS3の物理アドレスが挿入される。さらに、ペイロードのユーザ情報フィールドには表示コマンドが挿入される。
【0069】上記「表示コマンド」パケットを受信したマスタ無線機器AMは、上記受信した「表示コマンド」パケットの内容をBT無線部5で解読し、この解読した情報を主制御部21に転送して内部メモリに保持すると共に、LCD34に表示させる。なお、その表示形態としては発光ダイオードを点灯させることが有効である。また、このときスピーカから鳴音を発生させるようにしてもよい。このようにすると、ユーザ又はシステム管理者は遠方からでもマスタ無線機器AMの所在を容易に確認することが可能となる。
【0070】またマスタ無線機器AMは、上記受信した「表示コマンド」パケットを、自身に接続されている各スレーブ無線機器AS1〜AS3へそれぞれ転送する。このとき、自己のマスタ無線機器AMと各スレーブ無線機器AS1〜AS3との間には既に無線リンクが確立しているため、マスタ無線機器AMはこの無線リンクを介して所定のスロットにより「表示コマンド」パケットを転送する。この表示コマンドの転送は、例えばSCOリンク接続手順に従い行われる。
【0071】図15はその手順を示すシーケンス図である。すなわち、マスタ無線機器AMは、各スレーブ無線機器AS1〜AS3に対し偶数スロットを使用して順次表示コマンドを送出し、各スレーブ無線機器AS1〜AS3はそれぞれ表示コマンドを受信すると奇数スロットを使用してマスタ無線機器AMへ「表示コマンド」応答パケットを返送する。
【0072】図14に、この「表示コマンド」応答パケットのフォーマットの一例を示す。なお、マスタ無線機器AMから各スレーブ無線機器AS1〜AS3への表示コマンドの転送は、ACLリンク接続動作により行うことも可能である。
【0073】さて、各スレーブ無線機器AS1〜AS3では、「表示コマンド」パケットを受信すると、その要求内容に応じて自身の所在や機能を自身のLCD34に表示するための制御を実行する。
【0074】図16は、その手順及び内容を示すフローチャートである。すなわち、マスタ無線機器AM及び各スレーブ無線機器AS1〜AS3は、「表示コマンド」パケットを受信すると、先ずステップ12aでそのアクセスコードに含まれる同期ワードをもとに、自己が所属するピコネットPA宛のパケットであるか否かを判定する。そして、自己が所属するピコネットPA宛のパケットでなければ、ステップ12bでこの受信パケットを棄却する。
【0075】一方、自己が所属するピコネットPA宛のパケットだったとすると、ステップ12cでユーザ情報フィールドに表示コマンドが含まれているか否かを判定する。そして、表示コマンドが含まれていれば、ステップ12dで自身が現在マスタとして機能しているかスレーブとして機能しているかを判定し、この判定結果に応じてステップ12e及びステップ12fでマスタ及びスレーブそれぞれの表示処理を行う。
【0076】例えば、マスタとして機能している無線機器AMでは、発光ダイオード等の発光素子を点灯させたままとし、一方各スレーブ無線機器AS1〜AS3では、発光素子を点滅させる。このようにするとユーザ或いはシステム管理者は、一目でマスタ無線機器AMと各スレーブ機器AS1〜AS3とを識別することができる。なお、この場合各スレーブ無線機器AS1〜AS3ごとに点滅周期を異ならせてもよい。このようにすると、マスタとスレーブとの識別に加え、各スレーブ無線機器AS1〜AS3を個々に識別することが可能となる。
【0077】その他、表示形態としては、表示色を異ならせることでマスタとスレーブとを区別するものや、発光素子の点灯とスピーカからの鳴音発生とを組み合わせることでマスタとスレーブとを区別するもの等が考えられる。
【0078】また、上記各無線機器の所在及び機能の表示は、ユーザ又はシステム管理者から表示消去コマンドを送ることで消去される。また、一定時間が経過した時点で各無線機器が自主的に消去するように構成してもよい。
【0079】以上述べたようにこの実施形態では、未加入の無線機器TAにおいて問い合わせコマンドを入力することで、インクワイヤリ・パケットを周辺のピコネットPA,PB,PCに向け送信し、これに対しピコネットPA,PB,PCを構成する各無線機器からFHSパケットを返送し、このFHSパケットからピコネットのシステムIDを表す同期ワード及び返送元の無線機器のIDアドレスをそれぞれ抽出してLCD34に表示するようにしている。
【0080】したがって、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、このLCD34に表示されたピコネット情報から、周辺に存在する各ピコネットPA,PB,PCの構成を加入登録前に把握することが可能となる。
【0081】またこの実施形態では、ピコネット情報の表示モードとして第2の表示モードを備えている。そして、受信した同期ワード及びIDアドレスをもとに記憶部26をアクセスする。そして、この記憶部26から上記同期ワード及びIDアドレスに対応する無線機器のベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを読み出し、これらのピコネットごとに分類して並べたのちLCD34に表示するようにしている。
【0082】したがって、無線機器TAのユーザ或いは無線ネットワークのシステム管理者は、LCD34に表示された内容を見るだけで、各ピコネットPA,PB,PCを構成するマスタ機器及び各スレーブ機器のベンダ名と機種名を即時把握することができる。したがって、コード対応表を参照する必要がなくなり、これにより作業能率を大幅に高めることができる。
【0083】さらにこの実施形態では、LCD34に表示されたピコネット情報をカーソルCLにより選択指定すると、主制御部21の内部メモリに記憶保持したピコネット情報をもとに、この選択指定した無線機器との間でACLリンク接続手順が実行され、このACLリンクの確立を以て無線機器TAがピコネットに登録される。
【0084】したがって、ユーザ或いは管理者は、無線機器TAを加入登録する際に、登録先のピコネットのシステムIDや無線機器のIDアドレス等を、キー入力部35から入力する必要がなく、簡単な操作で誤ることなく加入登録を完了することができる。
【0085】さらにこの実施形態では、無線機器TAの新規加入登録の終了後に、自己が登録されたピコネットを構成する各無線機器へ「表示コマンド」パケットを送信し、これにより各無線機器にそれ自身の機能、つまりマスタとして機能しているかスレーブとして機能しているかを表示させるようにしている。
【0086】したがって、無線機器TAのユーザ又は無線ネットワークのシステム管理者は、表示コマンドを当該無線機器TAが確かに希望するピコネットPAに加入登録されたか否かを簡単に確認することができ、しかもその際にマスタとして機能している無線機器の所在及びスレーブとして機能している無線機器の所在をそれぞれ一目で確認することができる。
【0087】なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他に例えば以下のような種々実施形態が考えられる。すなわち、前記実施形態では複数台の無線機器AM,AS1〜AS3が既に加入しているピコネットPAに対し未加入の無線機器TAからインクワイヤリ・パケットを送信してピコネットPAの情報を収集する場合を例にとって説明した。しかしそれに限らず、ピコネットを構成していない第1の無線機器に対し別の第2の無線機器からインクワイヤリ・パケットを送信し、これに対し第1の無線機器から返送されるFHSパケットを第2の無線機器で受信し、このFHSパケットから同期ワード又はIDアドレスを抽出して表示するようにしてもよい。
【0088】またその際、第2の無線機器において、FHSパケットから抽出した同期ワード又はIDアドレスをキーに記憶部をアクセスすることで、対応する無線機器のベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを読み出し、このキャラクタデータを表示するようにしてもよい。
【0089】このようにすることで、1対1の無線機器間でもインクワイヤリ手順を実行して相手側の無線機器の情報を取得し表示することができ、これにより接続前に接続先の機器を確認することができる。この場合の接続例としては、パーソナル・コンピュータに携帯電話機を接続しようとする場合や、パソコンにプリンタやマウス等の周辺機器を接続しようとする場合、携帯電話機にキーボード又はディジタルカメラを接続しようとする場合、さらには記録媒体として半導体メモリを使用したオーディオプレーヤにイヤホン又はヘッドホンを接続しようとする場合等が考えられる。
【0090】また前記実施形態では、問い合わせ元の無線機器において、受信したFHSパケットから抽出した同期ワード及びIDアドレスをもとに記憶部をアクセスすることで、対応する無線機器のベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを読み出し表示するようにした。
【0091】しかしこれに限らず、インクワイヤリ・パケットを受信した無線機器において、自身のベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを記憶部から読み出し、これをFHSパケットのペイロードに挿入して問い合わせ元の無線機器へ送信する。そして、問い合わせ元の無線機器において、受信した上記FHSパケットからベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを抽出し、このキャラクタデータを表示するようにしてもよい。
【0092】このようにすると、各無線機器には自身のベンダ名と機種名を表すキャラクタデータを記憶しておくだけでよくなり、他の複数の無線機器についてその同期ワード及びIDアドレスをベンダ名及び機種名を表すキャラクタデータに変換するための変換テーブルが不要となる。このため、機器の構成及び変換テーブルの管理を簡単化することができる。
【0093】さらに、マスタ無線機器AMから各スレーブ無線機器AS1〜AS3へ「表示コマンド」パケットを配信した際に、各スレーブ無線機器AS1〜AS3からマスタ無線機器AMに返送される「表示コマンド」応答パケットを、図12に示すようにマスタ無線機器AMから「表示コマンド」パケット送信元の無線機器TAへさらに返送する。そして、無線機器TAにおいて、上記返送された応答パケットに含まれる同期ワード、返送元の無線機器のIDアドレス等を抽出して表示部3に表示するように構成してもよい。
【0094】このようにすると、自己が加入したピコネットの構成を無線機器TAで再確認することができ、これにより電波障害等によって通信不能になっている無線機器の有無等を把握することが可能となる。
【0095】さらに前記実施形態では、「表示コマンド」パケットを無線機器TAから自己が加入登録されたピコネットPAに対し送信することで、自己の登録確認を行うようにした場合について述べた。しかし、それに限らず「表示コマンド」パケットを自己が加入していない他のピコネットに対し送り、これにより他のピコネットにおける各無線機器の所在と機能を自主表示させるようにしてもよい。
【0096】このようにすると、無線機器TAのユーザ又は無線ネットワークのシステム管理者は、各ピコネットの構成と、その各無線機器の所在及び機能を、任意の無線機器TAを使用することですべて把握することが可能となる。これは保守管理上きわめて有効である。
【0097】さらに前記実施形態では、近距離無線データ通信技術としてBluetoothを例にとって説明したが、類似する他の技術、例えばHOME RFにもこの発明は適用可能である。
【0098】その他、インクワイヤリ制御シーケンス、加入登録制御シーケンス及び表示要求シーケンスの手順とその内容、無線機器の種類や構成、ピコネット情報の表示内容及び表示形態等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0099】また、以上述べた各実施形態を任意に組み合わせて別の実施形態とすることや、上記各実施形態の構成要件の一部を削除して他の実施形態とすることも、すべてこの発明に含まれる。
【0100】
【発明の効果】以上詳述したように第1の発明では、例えば問い合わせのためのコマンド入力に応じて、無線ネットワークに未加入の第1の無線機器から無線ネットワークに加入済みの第2の無線機器に対し、無線ネットワークの構成を問い合わせるための問い合わせ情報を送出する。第2の無線機器は、上記第1の無線機器から上記問い合わせ情報が到来した場合に、自己の属性を表す情報を含む応答情報を問い合わせ元の第1の無線機器に返送する。第1の無線機器は、上記問い合わせ情報の送信後に、上記第2の無線機器から返送された応答情報を受信し、これらの応答情報に含まれる属性情報をもとに無線ネットワークの構成を表す情報を生成して表示するようにしている。
【0101】したがって第1の発明によれば、周辺に存在する無線ネットワークの構成を無線機器の加入登録前に確認できるようになり、所望のネットワークに対し確実に無線機器を加入登録することができ、これにより加入登録操作の簡単化と無線機器の消費電力の低減を可能にした無線ネットワークシステムとその無線機器を提供することができる。
【0102】一方、第2の発明では、無線機器が無線ネットワークに加入登録された状態で、表示要求コマンドの入力に応じて、無線ネットワークを構成する他の無線機器に対し表示要求を送出し、無線ネットワーク内の他の無線機器から上記表示要求が到来した場合に、当該表示要求に応じて少なくとも自己がマスタとして機能としているかスレーブとして機能しているかを示す情報を報知するようにしている。
【0103】したがって第2の発明によれば、ユーザ又はシステム管理者は、無線機器の新規加入登録処理後に、当該無線機器が確かに希望した無線ネットワークに登録されたか否かを簡単に確認することができ、特に自己がマスタとして機能としているかスレーブとして機能しているかについて確認することができる無線機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる無線ネットワークシステムの一実施形態を示す概略構成図。
【図2】 無線機器の一つとして使用が予想されるW−CDMA方式に対応した携帯電話機の概略構成図。
【図3】 インクワイヤリコマンド動作手順を示すシーケンス図。
【図4】 FHSパケットのフォーマットの一例を示す図。
【図5】 第1の表示モードにおけるピコネット情報の表示結果の一例を示す図。
【図6】 途中でインクワイヤリ手順の使用を取り消すためのコマンドが入力された場合のインクワイヤリコマンド動作手順を示すシーケンス図。
【図7】 すべての周辺無線機器に対するインクワイヤリ手順が終了した場合の動作手順を示すシーケンス図。
【図8】 第2の表示モードにおけるピコネット情報表示制御の手順とその内容を示すフローチャート。
【図9】 第2の表示モードにおけるピコネット情報の表示結果の一例を示す図。
【図10】 ACLリンク接続シーケンスの手順を示すシーケンス図。
【図11】 ACL/SCO接続確立・切断制御手順とその制御内容を示すフローチャート。
【図12】 表示コマンド転送手順を示すシーケンス図。
【図13】 表示コマンドパケットのフォーマットの一例を示す図。
【図14】 表示コマンド応答パケットのフォーマットの一例を示す図。
【図15】 SCOリンク接続動作を示すタイミング図。
【図16】 表示コマンド受信に応じた無線機器の表示制御手順とその内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
PA,PB,PC…ピコネット
AM,BM,CM…マスタ無線機器
AS1〜AS3,BS1,CS1,CS2…スレーブ無線機器
1…無線部
2…ベースバンド部
3…入出力部
4…電源部
5…BT無線部
11…携帯通信用のアンテナ
12…アンテナ共用器(DUP)
13…受信回路(RX)
14…シンセサイザ(SYN)
15…送信回路(TX)
21…主制御部(HCI)
21a…ピコネット情報収集制御機能
21b…ピコネット情報表示制御機能
21c…表示コマンド送受信制御機能
22…多重分離部
23…音声コーデック
24…マルチメディア処理部
25…LCD制御部
31…マイクロフォン
32…スピーカ
33…カメラ
34…液晶表示器(LCD)
35…キー入力部
41…バッテリ
42…充電回路
43…電源回路
51…BT通信用のアンテナ
52…BT無線回路
53…BT制御部(CPU)
54…リンク・ベースバンド・コントローラ(LBC)
55…外部インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線チャネルを介して相互に通信を行う複数台の無線機器よりなる無線ネットワークシステムにおいて、無線ネットワークに未加入の第1の無線機器は、無線ネットワークに加入済みの第2の無線機器に対して機器の属性を問い合わせるための問い合わせ信号を送出する手段を備え、前記第2の無線機器は、前記第1の無線機器から前記問い合わせ情報が到来した場合に、自己の属性を表す情報を含む応答情報を問い合わせ元の第1の無線機器に返送する手段を備え、かつ前記第1の無線機器は、前記第2の無線機器から返送された応答情報を受信し、これらの応答情報に含まれる属性情報を基に前記無線ネットワークの構成を表す情報を生成して表示する表示手段を備えたことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】 前記第1の無線機器は、前記第2の無線機器から返送された応答情報に基づいて、前記第2の無線機器との間で自己を無線ネットワークに加入登録するためのシーケンスを実行する加入登録制御手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】 無線チャネルを介して相互に通信を行う複数台の無線機器よりなる無線ネットワークシステムで使用される無線機器において、無線ネットワークに未加入の状態で、無線ネットワークに加入済みの無線機器に対して機器の属性を問い合わせるための問い合わせ情報を送出する問い合わせ手段と、前記問い合わせ情報送信後に、前記無線ネットワークに加入済みの無線機器から返送された応答情報を受信する応答情報受信手段と、前記応答情報から無線ネットワークに加入済みの無線機器の属性情報を得て、当該属性情報を基に前記無線ネットワークの構成を表す情報を生成して表示する表示手段とを備えたことを特徴とする無線機器。
【請求項4】 前記表示手段は、応答情報を返送した複数の無線機器の属性情報を、前記無線機器が加入する無線ネットワークごとに分類して表示することを特徴とする請求項3記載の無線機器。
【請求項5】 前記無線機器は、前記無線ネットワークに加入する可能性のある複数の無線機器について、その無線機器の識別コードと属性の内容を表すキャラクタデータとの対応を表す対応表を記憶する手段と、前記応答情報に含まれる属性情報が識別コードである場合、この識別コードに対応する属性の内容を表すキャラクタデータを前記対応表から読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段で読み出したキャラクタデータを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の無線機器。
【請求項6】 前記無線ネットワークに加入済みの無線機器から返送された応答情報には、前記無線ネットワークに加入済みの無線機器の属性の内容を表すキャラクタデータが含まれており、前記表示手段は、受信した応答情報から前記キャラクタデータを抽出して表示することを特徴とする請求項3記載の無線機器。
【請求項7】 前記無線機器は、前記無線ネットワークに加入済みの無線機器から返送された応答情報に基づいて、自己を前記無線ネットワークに加入登録するためのシーケンスを実行する加入登録制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の無線機器。
【請求項8】 無線チャネルを介して相互に通信を行う複数台の無線機器を備え、これらの無線機器は1台がマスタ、他の1台以上がスレーブとしてそれぞれ機能する無線ネットワークシステムで使用される無線機器において、前記無線機器は前記無線ネットワークに加入登録済みであり、前記無線ネットワークシステムにすでに加入登録された他の無線機器から送信される報知要求信号を受信する手段と、前記報知要求信号を受信したことに応じて、少なくとも自己がマスタとして機能としているかスレーブとして機能しているかを示す情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする無線機器。
【請求項9】 前記無線ネットワークにすでに加入登録された他の無線機器から送信される報知要求信号を受信したことに応じて、自己の属性を表す情報を報知要求信号送信元の無線機器に送信する送信手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の無線機器。
【請求項10】 ブルートゥース規格に従い複数の無線機器間で無線ネットワークを構成するシステムで使用される前記無線機器において、接続先の候補となる無線機器に対して問い合わせ情報を送信し、この問い合わせ情報に対し前記接続先の候補となる無線機器から返送される応答情報を受信することにより、前記接続先の候補となる無線機器の属性情報を収集する属性情報収集手段と、前記属性情報収集手段により収集された属性情報を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする無線機器。

【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2001−168881(P2001−168881A)
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−289522(P2000−289522)
【出願日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】