無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法
【課題】実際に電波を発射したり、無線パラメータを変更してシステムの運用を開始した後に、PCIの衝突、混同を生じることのないPCIを選択し、設定することができるようにする。
【解決手段】基地局制御装置10の基地局データ管理制御部101は、あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、NCRリストを作成する機能が、あるセルの物理セル識別子を選択する際に、作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局20-1〜20-4の1つの選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、あるセルの物理セル識別子を選択し、選択した物理セル識別子を無線基地局の隣接セル関係を示すNCRリストに設定する。
【解決手段】基地局制御装置10の基地局データ管理制御部101は、あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、NCRリストを作成する機能が、あるセルの物理セル識別子を選択する際に、作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局20-1〜20-4の1つの選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、あるセルの物理セル識別子を選択し、選択した物理セル識別子を無線基地局の隣接セル関係を示すNCRリストに設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法に係り、特に、セルを識別する物理セル識別子が衝突したり混同を生じることのないように、物理セル識別子を選択することができるセルラ無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セルラ無線通信ネットワークシステムは、通信可能なエリアを構築するために、同一周波数帯域内の電波を使って、多数の基地局をいくらかの距離間隔を置いて設置して構成されている。それらの基地局のそれぞれには、同一周波数帯域内の電波を使用するため、隣接局、近隣局との間で電波の送信元の局(セル)を識別することができるようにするために、それぞれの無線通信方式による変復調を受けた伝送情報としてではなく、変復調の結果に依らない複数種類の送信電波の物理的パターンの1つが割り当てられている。このため、セルラ無線通信ネットワークシステムとしては、前記したような送信電波の物理的パターンを複数種類備える必要があり、各セルラ無線通信方式において複数種類の電波送信パターンを構成できるチャンネル構成が考案されている。
【0003】
前述の複数種類の電波送信パターンのパターン数を増大させることは、無線リソースを多く消費することを意味し、従ってその種類は有限である。この種類の数は、一般的なセルラ無線通信方式では、百〜数百種類程度である。この複数種類の電波送信パターンに対して、順番に番号を0,1,2,3,4,5,6,…と割り振ったものをここでは物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)と呼ぶこととする。移動局は、基地局からの電波を受信し、その電波送信パターンからPCIを特定することが可能である。
【0004】
例えば、第3.9世代の無線通信方式とされる3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)方式においても、移動局側は、セルと呼ばれる基地局に1つまたは複数収容される無線通信エリアを識別するために物理セル識別子PCIを用いている。物理セル識別子PCIは、移動局(UE)において、周辺セルからの受信電力を測定する用途に利用される。このPCIは、504種類設けられており、移動局(UE)は、504セルまで識別して受信電力を測定することができる。PCIの種類が多いほど、後述するようなPCIに関する問題は起きにくいが、PCIの種類が多いほど電波リソースを多く要するため、通常504種類とされている。一般に、セルラ無線通信ネットワークシステムのセルの数は、504より多いため、PCIは繰り返し利用され、同一のPCIを持つセルが複数存在することになる。
【0005】
移動局は、現在接続しているセルから隣接セルに接続を切り替える(ハンドオーバ)とき、ハンドオーバ先候補のPCIを受信するが、システム全体で同じPCIを持つセルが多数存在するため、PCIの情報だけでは隣接セルを一意に特定することができない。そのため、基地局は、PCIをシステム全体で一意なID(セルグローバル識別子:Cell Global Identifier: CGI)に変換するテーブルを持ち、移動局から報告されたPCIを基地局においてCGIに変換するか、基地局からこの変換テーブルを移動局に渡して移動局においてPCIをCGIに変換させる。これにより、移動局は、ハンドオーバ先のセル、を特定することができ、ハンドオーバのための必要な処理を、現在接続中の基地局とハンドオーバ先の基地局との間で開始することができる。この変換テーブルには隣接セルが一覧として記述されているため、このテーブルは、隣接セル関係(Neighbor Cell Relations: NCR)リストと呼ばれる。
【0006】
各セルのPCIの割り振りは、次に説明する2つの問題を引き起こさないように、行われる必要がある。
【0007】
第1の問題は、PCI衝突(PCI Collision)である。すなわち、同一のPCIを持つセル同士でカバレッジが重なり合う場合、ある移動局は、現在の接続セル(セルXとする)との通信中に、同じPCIを持つ近隣のセル(セルYとする)からも電波を受け、電波干渉を受けることになる。しかし、移動局は、セルXと同じPCIを持つセルYを識別することができず、セルYにハンドオーバできないばかりでなく、セルYからの電波干渉を受けている状況にも関わらず、それをセルXからのマルチパス電波としてセルXからの電波に合算し、セルXの電波強度を実際よりも強いと測定してしまう等の悪影響を受けてしまうことになるという問題である。
【0008】
第2の問題は、PCI混同(PCI Confusion)である。すなわち、あるセル(セルKとする)が同じPCIを持つ複数のセル(セルL,セルMとする)とカバレッジが重なっている場合、基地局側は、NCRリストに従ってPCIをCGIに一意に変換するため、セルLのPCIを受信した場合、正しくセルLのCGIに変換することができたとしても、セルMのPCIを受信した場合も、セルLのCGIに変換するということが生じてしまう。この場合、セルKからセルMにハンドオーバしようとしている移動局のハンドオーバ処理が、不適切にもセルKからセルLに対して処理され、移動局は、ハンドオーバが可能な程の強度の電波を受信しているわけではないセルLにハンドオーバさせられ、ハンドオーバが失敗してしまうことになるという問題である。一般に、NCRリストには、1つのPCIに対して1つのCGIしか記述されておらず、同一のPCIを持つそれ以外のセルへのハンドオーバが常に失敗することになる。
【0009】
新しく基地局を建設する際に新しいセルのためにPCIを選定するときにも、前述の2つの問題を回避すべきであり、局位置周辺のセルのPCI割り振り状況から、何らかの手段によって前述の2つの問題をクリアしたPCIが選択される。
【0010】
ある新しいセルのPCIの選択方法として考えられる方法の1つは、そのセルの位置から半径何km以内に位置するセルの全てのPCIを除いた残りのPCIからそのセルに設定するPCIを選択するという方法である。この方法以外にも、地形を考慮してPCIを選択する方法、各セルの電波伝播状況を電波伝播シミュレータによって推定してPCIを選択する方法等が考えられる。しかし、推定が100%正確であることは現実ではありえず、これらの方法によってPCIを選択したとしてもPCIの衝突や混同が発生する可能性がある。
【0011】
NCRリストは、そのセル周辺の電波状況を反映したものとすることが望ましいが、幾つかの手段によってセル周辺の電波状況を反映することができる。例えば、3GPPのLTE方式における自動隣接関係設定機能(3GPP TS36.300の22.3.2a項 Automatic Neighbour Relation Function)(ANR機能)のような方法が考えられる。この方法は、移動局が現在接続しているセルのNCRリストに存在しないPCIを検出したときに、移動局がそのPCIのセルの報知情報を読み取り、そこからCGIを取得し、接続しているセルに報告し、報告を受けた基地局がそのセルのNCRリストに新たなPCIとCGIのレコードを追加するというものである。
【0012】
このようにして作成されるNCRリストは、十分な移動局からの報告量があれば、ハンドオーバの目的に十分な程にセル周辺の電波状況を反映することができる。しかし、近隣にそのセル(セルAとする)と同一のPCIのセル(セルBとする)が存在した場合、移動局は、セルBのPCIを識別して報告することができないため、セルAのNCRリストに、セルBは追加されないことになる。また、近隣に同一のPCIのセルが複数(セルC,セルDとする)存在した場合、NCRリストにはどちらか1つのセル(例えば、先に移動局が検出して報告してきたセル)だけが追加されることになる。
【0013】
セルAのNCRリストに、セルBが追加されないことになる前者の場合、PCI衝突が発生し、サービスに悪影響が発生している状況であるが、ANR機能によって作成されたNCRリストからは、衝突の発生が判らない。また、NCRリストに2つのセルの1つのセルだけが追加されることになる後者の場合、NCRリストに追加されなかった局にはハンドオーバすることができないため、ハンドオーバ失敗が原因の呼切断が多く発生している可能性が高い状況であるが、ANR機能によって作成されたNCRリストからは、それを知ることができない。また、NCRリストからは、周辺の電波状況を知ることはできても、PCIの衝突と混同との発生の有無を知ることができない。
【0014】
PCIの衝突の発生の有無を知る方法としては、特許文献1に記載された方法が知られている。この方法は、移動局が接続しているセル(セルEとする)が、一時的に移動局に自らのPCIを検出させるための参照信号を送信しないようにし、移動局がセルE以外で、セルEと同じPCIを持つ周辺のセルの参照信号を検出できるようにするというものである。この方法によれば、PCIの衝突を検出することができる。PCIの混同の発生の有無を知る方法としては、NCRリストに存在するPCIについても移動局にそのPCIのセルの報知情報を読み取らせ、CGIを報告させるという方法もある。この方法により、報告を受けた基地局が、同一のPCIについて複数のCGIが報告されるケースの有無を判定することによりPCIの混同の発生の有無を知ることができる。これらのPCIの衝突や混同の発生の有無を知る方法は、基地局や移動局に専用の機能を実装することにより実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表2010−537479号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.2.0 (2010-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
セルラ無線通信ネットワークシステムを構成する各基地局のセル毎に設定される物理セル識別子(PCI)は、設定可能な種類が限られており(百〜数百)、いくらかの距離間隔で同じ識別子を設定せざるを得ない。しかし、近接する基地局同士で同じ識別子を設定してしまうと、PCIの衝突やPCIの混同といった問題が発生し、一方が他方の電波受信品質に大きな影響を与えてしまうことになる。
【0018】
また、各セルのPCIは、フィールドでの電波状況に基づかず、机上でPCI衝突を避けるように検討されて設定されるのが一般的である。しかし、想定外の電波状況があった場合、PCIの衝突やPCIの混同が発生してしまう。高い電波伝播シミュレーション技術か、より多くの検討工数があれば、これらの問題を回避することができるかもしれないが、何れにしても多くのコストを要するという問題を生じさせることになる。
【0019】
また、先行技術文献に記載されているように各セルにPCIを設定した後にPCIの衝突やPCIの混同を検出する方法も提案されているが、これらの方法は、システムやシステム運用方法に様々な変更を要するため、多くのコストを要するという問題を生じさせることになる。
【0020】
本発明の目的は、前述したような従来からのセルラ無線通信ネットワークシステムにおける前述したような問題に鑑み、実際に電波を発射したり、無線パラメータを変更してシステムの運用を開始した後に、PCIの衝突、混同を生じることのないPCIを選択し、設定することができるようにした無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば前記目的は、複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することにより達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、実際に電波の発射を開始したり諸々の無線パラメータを変更して運用を開始した後の実運用設定における電波環境に即して、PCIの衝突や混同を起こさないPCI、あるいは、PCIの衝突や混同を起こしにくいPCIを選択し、選択したPCIをセルに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】基地局eNBの構成例を示すブロック図である。
【図3】移動局UEの構成例を示すブロック図である。
【図4】NCRリストの構成例を示す図である。
【図5】自動隣接関係設定処理部ANRがNCRリストにレコードを追加する処理を説明する図である。
【図6】自動隣接関係設定処理部ANRがNCRリストにレコードを追加する処理を説明するシーケンスチャートである。
【図7】本発明の実施形態における無線通信ネットワークシステムがセル識別子を再選択する処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その1)を説明する図である。
【図9】自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その2)を説明する図である。
【図10】基地局制御装置EMSでの回避すべきPCIの抽出処理の動作を説明するフローチャートである。
【図11】基地局制御装置EMS及び基地局内のPCIを再設定する処理動作を説明するフローチャートである。
【図12】仮PCIがPCIの混同を発生した場合に、取得することができないNCRリストについて説明する図である。
【図13】複数の仮PCIを利用する場合のPCI再設定の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による無線通信ネットワークシステムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示す本発明の実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局(以下、単に、基地局といい、また、eNBという)20−1〜20−4、…と、複数の移動局(以下、UEという)30−1〜30−5、…と、基地局の制御を行う基地局制御装置(以下、EMSという)10とを備えて構成されている。
【0027】
基地局eNBは、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容している。EMS10は、基地局制御部100を備えて構成され、基地局制御部100は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルデータベース(セルDB)102と、隣接セル関係(Neighbor Cell Relations : NCR)リストを一元管理するNCRデータベース(NCRDB)103と、セルDB102とNCRDB103とを管理制御し、eNBに物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)及びNCRリストを設定する基地局データ管理制御部101とを有して構成されている。
【0028】
図2は基地局eNBの構成例を示すブロック図である。eNB20−1〜20−4は、無線送受信を行う無線装置201と、移動局UEとの間での通信処理を行う通信処理部202と、隣接セル関係(Neighbor Cell Relation:NCR)リストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理部(Automatic Neighbor Relation:ANR)203と、隣接セルとの間のハンドオーバ処理を行うハンドオーバ処理部204とを有して構成されている。また、eNB20は、セル毎のNCRリストT01−1〜T01−3を保持している。
【0029】
通信処理部202は、ディジタルデータを変調し、移動局UEに送信する電波信号に変換したり、移動局UEから送信された電波信号を復調し、ディジタルデータに変換する機能等を有する。基地局eNBは、1あるいは複数個のセルを持ち、各セルは、それぞれ1つの物理セル識別子PCI、1つのセルグローバル識別子(Cell Global Identifier:CGI)、1つのNCRリストを保持している。物理セル識別子PCIは、移動局UEにおいて、周辺セルからの受信電力を測定するための用途に利用される。このPCIは、例えば、504種類あり、その場合、移動局UEは、504セルまで識別して受信電力を測定することができる。PCIの種類が多いほど後述するように、PCIに関する問題は起きにくいが、PCIの種類が多いほど電波リソースを多く要するため、ここで説明している本発明の実施形態では、PCIの種類を504種類としている。システム内のセルの総数は504より多いため、PCIは、繰り返し利用され、同一のPCIを持つセルが複数存在することになる。
【0030】
これに対して受信電力の測定とは関係がなく、十分な種類を用意することができるセルグローバル識別子CGIは、セルに対して一意である。NCRリストは、そのNCRリストを持つセル周辺の限定された範囲内におけるPCIとCGIとの対応関係を示しており、基地局eNBは、ハンドオーバ処理部204がNCRリストT01−1〜T01−3を参照することにより、移動局UEから報告されてくるPCI別の受信電力強度からハンドオーバ先候補のセルを一意に特定することができる。自動隣接関係設定処理部ANR203は、後述する方法によってNCRリストT01−1〜T01−3の設定処理を行う。
【0031】
図3は移動局UEの構成例を示すブロック図である。移動局UE30−1〜UE30−5(以下、単に、移動局UE30ということもある)は、無線送受信を行う無線装置301と、基地局eNBとの通信処理を行う通信処理部302と、PCI別に受信電波の測定を行う測定処理部303とを有して構成されている。
【0032】
通信処理部302は、基地局eNBから送信された電波信号を復調し、ディジタルデータに変換したり、ディジタルデータを変調し、基地局eNBに送信する電波信号に変換する機能等を有する。移動局UE30は、測定処理部303が、常にPCI別の電波受信品質を監視しており、必要に応じて通信処理部302を介して基地局eNBにPCI別の電波受信品質データを含めた報告メッセージを送信する。
【0033】
図4はNCRリストの構成例を示す図である。NCRリストT01は、セル単位で管理されるデータテーブルであり、基地局eNBに自身が持つセルの数だけ保持されている。また、基地局制御装置EMS10の基地局制御部100は、管理する基地局eNBのセル全てのNCRリストをNCRDB103に保持している。基地局eNBにおけるNCRリストの変更と、基地局制御装置におけるNCRリストの変更とは、通知メッセージによって相互に反映され、常に同期されている。
【0034】
図4に示すNCRリストのデータテーブルは、物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)と、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier:CGI)と、ハンドオーバを効率化するためのハンドオーバ(HO)情報とを関連付けた1つのレコードとして、複数のレコードを有して構成される。ハンドオーバ(HO)情報は、基地局eNBがハンドオーバ先のセルが属するeNBとのハンドオーバの手続きの通信宛先情報等が該当する。
【0035】
図5は自動隣接関係設定処理部ANR203がNCRリストにレコードを追加する処理を説明する図であり、次に、これについて説明する。
【0036】
(1)移動局UE30−1は、基地局eNB20−1のセルAを介した通信中に基地局eNB20−2のセルBのPCI(ここでは例として#10とする)を検出すると、セルAを持つ基地局eNB20−1に定期的送付している測定情報の中で、検出したPCI(PCI#10)の情報を送付する。セルAを持つ基地局eNB20−1は、送付されてきたPCI#10がNCRリスト内にあるか否かを確認し、あれば特に何もしない(ステップS1)。
【0037】
(2)前述の確認で、PCI#10がNCRリスト内になかった場合、移動局UEに対してPCI#10のCGI情報を取得するよう要求を出す。要求を受け取った移動局UEは、セルBを持つ基地局eNB20−2が出す報知情報からセルBのCGI(例えば、CGI=211100)を読み取る(ステップS2、S3)。
【0038】
(3)移動局UEは、読み取ったセルBのCGI(211100)をセルAを持つ基地局eNB20−1に報告する。セルAを持つ基地局eNB20−1は、受け取ったPCI#10とCGI(211100)とをNCRリストに新しいレコードとして追加する。なお、このCGI=211100を使用してHO情報を取得する処理については、その説明を省略する(ステップS4)。
【0039】
前述した処理において、セルAとセルBとのどちらか、あるいは、両方の電波受信範囲が小さくなる等により、移動局UEがセルAを持つ基地局eNB20−1との通信中にセルBを持つ基地局eNB20−2のPCI(PCI#10)を検出しなくなった場合、セルAを持つ基地局eNB20−1は、UEからPCI#10の情報を受け取ることがなくなる。基地局eNB20−1のANR203は、そのような一定時間検出されないPCIや単位時間内の検出回数が少ないPCIのレコードをNCRリストから削除する処理をも行っている。また、前述した処理の開始時におけるNCRリストには、当該基地局において、PCIの重複のないPCIが設定されており、既に含まれているPCIと同じPCIを持つレコードが追加されることはないため、NCRリストはPCIの重複のない状態を保つ。
【0040】
図6は自動隣接関係設定処理部ANR203がNCRリストにレコードを追加する処理を説明するシーケンスチャートである。ここに示す処理は、図5により説明した処理をシーケンスチャートとしたものである。なお、図6に示すS1〜S4のそれぞれは、図5のステップS1〜S4のぞれぞれに対応している。
【0041】
(1)移動局UEは、基地局eNB20−1のセルAを介した通信中に基地局eNB20−2のセルBのPCI(ここでは例として#10とする)を検出して受信すると、セルAを持つ基地局eNB20−1に定期的送付している測定情報の中で、検出したPCI(PCI#10)の情報を送付する(ステップK1、K2、S1)。
【0042】
(2)セルAを持つ基地局eNB20−1は、移動局UEから送付されてきたPCI#10がNCRリスト内にあるか否かを確認し、あれば特に何もしないで、ここでの処理を終了する(ステップK3)。
【0043】
(3)ステップK3での前述の確認で、PCI#10がNCRリスト内になかった場合、セルAを持つ基地局eNB20−1は、移動局UEに対してPCI#10のCGI情報を取得するよう要求を出す(ステップS2)。
【0044】
(4)要求を受け取った移動局UEは、セルBを持つ基地局eNB20−2が出す報知情報からセルBのCGI(例えば、CGI=211100)を読み取り、読み取ったセルBのCGI(211100)をセルAを持つ基地局eNB20−1に報告する(ステップS3、S4)。
【0045】
(5)セルAを持つ基地局eNB20−1は、受け取ったPCI#10とCGI(211100)とをNCRリストに新しいレコードとして追加する。なお、このCGI=211100を使用してHO情報を取得する処理については、その説明を省略する(ステップK4)。
【0046】
図7は本発明の実施形態における無線通信ネットワークシステムがセル識別子を再選択する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0047】
(1)オペレータは、新基地局の建設や、既設セルの無線パラメータの変更、既設セル周辺の地物の変化等の電波環境の変化がある場合に、PCIの衝突やPCIの混同が新たに起こらないように、セル識別子再選択の処理をシステムに開始させ、電波環境の変化の中心となるセル(新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセル)を持つ基地局eNB内のそのセルに対応するPCIを仮のPCIに変更する。この仮のPCIとして用いるPCIは、それ自体がPCIの衝突やPCIの混同を起こさないPCIが望ましい。例えば、ここでの処理のために予約したPCIを仮のPCIとする方法があるが、仮のPCIの選択方法については後述する(ステップS60)。
【0048】
(2)その後、十分な時間(例えば1週間)が経過すると、各セルに対応するNCRリストが基地局eNBが有する自動隣接関係設定処理部ANR203によって更新され、セルの周辺の電波環境の変化を反映したものとなる。そこで、図10に示して詳細を後述する回避すべきPCIの抽出処理を基地局制御装置EMSに実行させる(ステップS61、S62)。
【0049】
(3)回避すべきPCIの抽出処理による抽出結果により、抽出された回避すべきPCI以外から新しいPCIを、衝突やPCIの混同のないPCIとして選択し、その後、選択したPCIを、新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセルに設定するPCIの再設定処理を実施し、ここでの処理を終了する。なお、PCIの再設定処理の詳細については、図11を参照して後述する(ステップS63、S64)。
【0050】
新たに設置した基地局のセルのPCIを再選択する場合と既設の基地局のセルのPCIを再選択する場合との相違は、後者がすでに何らかのPCIが設定されて運用開始しており、自セルの情報が周辺セルのNCRリストにすでに取込まれていることも考えられ、従って電波環境の変化によってNCRリストに自セルの情報が追加されることもあれば、逆に削除されることもあることと、仮PCIの設定時に後述する図11のPCIの再設定処理を実施する必要があることである。
【0051】
図8は自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その1)を説明する図である。ここで説明する例は、基地局eNB20−1のセルAが仮PCI#2で電波発射を開始した後の自動隣接関係設定処理部ANR203によるNCRリストの更新の様子の例である。
【0052】
図8に示す例では、基地局eNB20−1のセルAに接続している移動局UE30−1とUE30−2とからの報告によって基地局eNB20−2のセルBの情報(PCI=#10、CGI=211100)、基地局eNB20−3のセルCの情報(PCI=#33、CGI=278626)が基地局eNB20−1のセルAのNCRリストに追加されるものとしている。ここで、基地局eNB20−1のセルAが、基地局eNB20−2のセルBか基地局eNB20−3のセルCと同一のPCIを持っていたとすると、PCIの衝突が発生していたことが判る。従って、基地局eNB20−1のセルAにPCIを再設定する場合、これらセルAのNCRリストに追加されたセル(ここでは、セルB及びセルC)のPCIは、自セルのNCRリストに含まれるPCIであるため、そのPCIを再設定に使用することを避けなければならないことが判る。
【0053】
図9は自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その2)を説明する図である。
【0054】
図9に示す例では、基地局eNB20−1のセルAではなく、基地局eNB20−4のセルDに接続している移動局UE30−3からの報告によって、基地局eNB20−1のセルAの情報(PCI=#2、CGI=212020)が基地局eNB20−4のセルDのNCRリストに追加され、同様に、移動局UE30−4からの報告によって、基地局eNB20−5のセルEの情報(PCI=#33、CGI=225475)が基地局eNB20−4のセルDのNCRリストに追加されるものとしている。ここで、基地局20−1のセルAが、基地局20−4のセルDと同一のPCIを持っていたとすると、PCIの衝突が発生していたことが判る。また、基地局20−1のセルAが基地局20−5のセルEと同一のPCIを持っていたとすると、基地局20−4のセルDのNCRリストにおいてPCIの混同が発生していたことが分かる。従って、セルAにPCIを再設定する場合、これらの基地局20−1のセルA(のCGI)が追加されたNCRリスト(ここでは、セルDのNCRリスト)が属するセル(ここでは、セルD)のPCIと、このNCRリストに追加されたセル(ここでは、セルE)のPCIは、基地局20−1のセルである自セルのCGIを含むNCRリストを持つセルのPCIであり、また、基地局20−1のセルである自セルのCGIを含むNCRリストに含まれるPCIであるため、そのPCIを再設定に使用することを避けなければならないことが判る。
【0055】
図10は基地局制御装置EMSでの回避すべきPCIの抽出処理の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここでの処理は、基地局制御装置EMSがPCIを再設定する基地局eNBのセルについて、(a)自セルのNCRリストに含まれるPCI、(b)自セルのCGIを含むNCRリストを持つセルのPCI、(c)自セルのCGIを含むNCRリストに含まれるPCIの3つの条件のいずれかに当てはまるPCIを、セルDB102とNCRDB103とから回避すべきPCIとして抽出する処理である。
【0056】
(1)基地局制御装置EMSは、あるセル(PCIを変更するセル)のPCIを再選択するために、回避すべきPCIの抽出処理が開始されると、NCRDB103からPCIを変更するセルのNCRリストを取得すると共に、同じくNCRDB103からPCIを変更するセルのCGIを含むNCRリストを取得する(ステップS70、S71)
(2)次に、セルDB102から前述のNCRリストが属するセルのPCIを取得すると共に、NCRDB103から前述の2種類のNCRリストに含まれるPCIを取得して、ここでの処理を終了する(ステップS72、S73)。
【0057】
504種類のPCIから前述した処理により抽出されたPCIを除いた残りのPCIの中から新しいPCIを選択し、選択したPCIをeNBのPCIを変更するセルに対して設定する処理が行われる。504種類のPCIから前述の処理で抽出したPCIを除いた残りのPCIの中から新しいPCIを選択する方法は、例えば、将来設定が予定されている他の新しいセルが、PCIを変更するセルとのPCIの衝突もしくは混同の可能性があると推定されるときに、その新しいセルが現段階において選択可能と推定されるPCIを、PCIを変更するセルのためにはできる限り選択せず、それ以外のPCIを選択するという方法が考えられる。これによって、将来、PCIを選択する際に選択可能なPCIが無くなっている可能性を減ずることができる。
【0058】
PCIの衝突あるいは混同の可能性を推定する方法は、例えば、電波伝播シミュレータを利用する方法等が考えられるが、簡便な方法としては、セルを収容するeNB同士の距離を利用して、eNB同士の距離が15km以内ならPCIの混同の可能性あり、5km以内ならPCIの衝突の可能性あり等、とする方法が考えられる。ここで、この15km、5kmといった距離を大きく取ることで推定誤りによるPCIの衝突や混同の可能性は減るが、選択可能なPCIが少なくなってしまう。
【0059】
504種類のPCIから前述の処理で抽出したPCIを除いた残りのPCIが1つもない場合でも、新しいPCIを選択する必要がある。その場合に新しいPCIを選択する方法としては、例えば、PCIに次のように優先度付けをし、優先度の高いPCIを選択するという方法がある。すなわち、PCIの衝突を起こすPCI(前述した条件(a)、(b)のPCI)の優先度を最低とし、PCIの衝突は起こさずPCIの混同を起こすPCI(前述した条件(a)、(b)以外で条件(c)に該当するPCI)の優先度を高くするという方法である。それらの中で更に優先度付けするには、前述の条件(c)において、自セルのCGIを含むNCRリストが複数存在し、同じPCIがその内の幾つかのNCRリストに含まれることがあり、その含まれる回数が多い程PCIの混同の影響範囲が大きいので、その回数が多い程優先度を低くするという方法をとることもできる。
【0060】
図11は基地局制御装置EMS及び基地局内のPCIを再設定する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0061】
(1)基地局制御装置EMS10内の基地局制御部100は、PCIの選択結果を受け、NCRDB103内に、選択されたPCIを、PCIを変更するセルの新しいPCIとして設定する(ステップS80)。
【0062】
(2)そして、基地局制御部100は、NCRDB103内のPCIを変更するセルのCGIを含むNCRリストに含まれるそのセルのPCIを新しいPCIに置換し、そのNCRリストを、PCIを変更するセルを有する基地局eNBに送信し、その基地局eNBのNCRリストに反映させる(ステップS81、S82)。
【0063】
仮PCIについては、すでに説明したように、仮PCI以外には使用しない予約PCIを仮PCIとして用いるという方法に限らず、実際の電波状態を完全には反映できない何らかのシミュレータや幾何学的方法から仮PCIを決定する方法が考えられる。しかし、そのような何らかの推定手法によって選択された仮PCIは、PCIの衝突やPCIの混同を発生させないという保証がなされたものではない。
【0064】
仮PCIがPCIの衝突を発生した場合、その衝突の発生を知ることはできず、前述した条件(a)、(b)、(c)によっては、回避すべきPCIとして仮PCIと同じPCIがリストアップされることはないため、仮PCIがPCIの衝突を発生しているか、いないか、に関わらず、仮PCIと同じPCIを新しいPCIとして選択しないようにする必要がある。仮PCIと同じPCIが選択可能なPCIとしてリストアップされることがないようにするには、前述した条件(a)、(b)、(c)に、(d)自セルの現PCI(仮PCI)を回避すべきPCIとして抽出するという条件を加えることにより回避することができる。
【0065】
また、仮PCIがPCIの混同を発生した場合、前述した条件(b)、(c)に述べた自セルのCGIを含むNCRリストのうち、PCIの混同が発生したNCRリストは取得することができないため、このNCRリストを持つセルのPCI及びこのNCRリストに含まれるPCIを抽出することができなくなることになる。これについては図12を参照して後述する。
【0066】
図12は仮PCIがPCIの混同を発生した場合に、前述した取得することができないNCRリストについて説明する図である。
【0067】
図12に示すように、基地局eNB20−4のセルDのサービスエリア内にいる移動局UE30−3が基地局eNB20−4を介して通信を行っている状態で、新設あるいはPCIを変更しようとしているセルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#2を設定して電波を発射し、あるいは、仮PCIとして#22を設定して電波を発射したものとする。基地局eNB20−4のセルDのNCRリスト内には、図12内にNCRリストT01−4として示しているような内容(但し、PCI=#44のデータを除く)が保持されているものとし、また、移動局UE30−3が基地局eNB20−1からの電波をも受信することができるセルAとセルDとのサービスエリアが重なるような場所にいるものとする。
【0068】
前述の場合、基地局eNB20−4は、NCRリストT01−4内にPCI=#2、PCI=#22のデータが保持されているため、セルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#2または#22が設定された場合、PCIの混同が発生することになることが判る。前述した図5と図6の方法によって、基地局eNB20−4は、移動局UE30−3からこれらのPCIデータが受信することができたことの報告があった場合にも、これらのPCIデータは既にNCRリストT01−4内に含まれているため、これらのPCIデータとセルAのCGIをNCRリストT01−4内に取込まない。NCRリストT01−4はセルAのCGIを含まないため、前述した条件(b)、(c)の自セルのCGIを含むNCRリストに当たらないため、前述した図10のステップS71において取得できない。従って、NCRリストT01−4が属するセルのPCIとNCRリストT01−4に含まれるPCIが回避すべきPCIとして抽出できないことになる。
【0069】
一方、セルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#44を設定して電波を発射した場合、基地局eNB20−4は、NCRリストT01−4内にPCI=#44のデータが保持されていないため、PCIの混同が発生しないことが判る。前述した図5と図6の方法によって、基地局eNB20−4は、移動局UE30−3からこのPCIデータが受信することができたことの報告があった場合に、このPCIデータはNCRリストT01−4内に含まれていないため、セルDのNCRリストT01−4内に、セルAの仮PCIとしての#44のデータとセルAのCGIを取込む。これにより、NCRリストT01−4はセルAのCGIを含み、前述した条件(b)、(c)の自セルのCGIを含むNCRリストに当たるため、前述した図10のステップS71において取得される。従って、NCRリストT01−4が属するセルのPCIとNCRリストT01−4に含まれるPCIが回避すべきPCIとして抽出されることになる。ここで、あるNCRリストが、#2を含む確率、#22を含む確率、#2と#22との両方を含む確率を比較すると、#2と#22との両方を含む確率が最も小さい。また、#2と#22と#44との全てを含む確率は更に小さくなる。従って、1つの仮PCI(ここでは#2または#22または#44)だけで、図7の手順を実施するよりも、できるだけ多くの仮PCIを用いて図7の手順を実施する方が、回避すべきPCIを抽出するためのNCRリストを取得することができないケースを減らすことができる。これによって、本発明の実施形態のPCIの衝突、混同を生じることのないPCIを選択することの信頼性を向上させることができる。
【0070】
図13は複数の仮PCIを利用する場合のPCI再設定の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0071】
(1)オペレータは、新基地局の建設や、既設セルの無線パラメータの変更、既設セル周辺の地物の変化等の電波環境の変化がある場合に、PCIの衝突やPCIの混同が新たに起こらないように、セル識別子再選択の処理をシステムに開始させ、電波環境の変化の中心となるセル(新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセル)を持つ基地局eNB内のそのセルに対応するPCIを仮のPCIに変更する。この仮のPCIとして用いるPCIは、それ自体がPCIの衝突やPCIの混同を起こさないPCIが望ましい。例えば、すでに説明したように、ここでの処理のために予約したPCIを仮のPCIとする方法がある(ステップS90)。
【0072】
(2)その後、十分な時間(例えば1週間)が経過すると、各セルに対応するNCRリストが基地局eNBが有する自動隣接関係設定処理部ANR203によって更新され、セルの周辺の電波環境の変化を反映したものとなる。そこで、図10に示して詳細を後述する回避すべきPCIの抽出処理を基地局制御装置EMSに実行させる(ステップS91、S92)。
【0073】
なお、ここまでの処理は、図7に示すフローで説明したステップS60〜S62の処理と同一である。
【0074】
(3)この回避すべきPCIの抽出処理の後、回避すべきPCIの抽出処理を規定の回数(例えば、3回)実行したか否かを判定して、規定の回数以内であった場合、回避すべきPCI以外から次の仮PCIを選択する。複数の仮PCIを利用する場合には、2つ目以降の仮PCIは、すでに抽出された回避すべきPCI以外から選択することが望ましい。なぜなら、回避すべきPCIは、NCRリストを一部取得できない可能性が高いからである(ステップS93)。
【0075】
(4)ステップS93の処理で、次の仮PCIを選択した後、再度、仮PCIを設定し、ステップS91からの処理に戻って、システム内の基地局eNBのNCRリストがANR203によって十分に更新されるまで待つ処理に戻って処理を繰り返す(ステップ94)。
【0076】
(5)回避すべきPCIの抽出処理が規定の回数実行されていた場合、回避すべきPCI以外から新しい仮PCIを選択し、再度、仮PCIを設定して、ここでの処理を終了する(ステップS95、S96)。
【0077】
PCIの衝突や混同が発生する可能性を実際の電波環境から正しく知るためには、実際の基地局の設置状態と無線パラメータの設定の下に、システムを運用状態として電波を発射し、PCIの衝突や混同の発生有無を確認するか、何らかの手法によって電波の到達範囲、影響範囲などを解析してPCIの衝突や混同の発生可能性を確認するような機能や方法が要求される。
【0078】
次に、自セルの周辺セルにおいて周辺セル同士でPCIの衝突や混同が発生している場合について説明する。
【0079】
周辺セル同士でPCIの衝突と混同が発生している場合、衝突や混同している周辺セル全てのデータがNCRリストに取り込まれないことがあるが、条件(a)によっては、それらの周辺セルに共通するPCIが抽出される。これは回避すべきPCIは正しく抽出できることを意味する。また、自セルのPCI自体が衝突や混同を発生しているのでなければ、前述した図5、6の方法によって自セルのCGIは取り込まれるため、条件(b)、(c)によっては、正しくNCRリストを取得することができる。これは、本実施形態の回避すべきPCIの抽出処理の動作にも、本発明の目的にも、差し障らない。周辺セル同士でPCIの衝突や混同が発生していなかった場合でも、新しい自セルのNCRリストにおいて周辺セル同士でPCIの混同が発生する場合があるが、その場合でも、条件(a)によっては、それらの周辺セルに共通するPCIが抽出される。これも同じく、本実施形態の回避すべきPCIの抽出処理の動作にも、本発明の目的にも、差し障らない。
【0080】
本発明はPCIの衝突や混同の検出を目的としていないため、周辺セル同士のPCIの衝突や混同を検出することはできない。一方で、周辺セル同士でのPCIの衝突と混同を解決するためには、本発明の実施形態を当該の周辺セルにおいても実施することによって解決することができる。しかし、その実施するセルの選択方法は、本発明の範囲外である。
【0081】
前述した本発明の実施形態によれば、前者の方法であるPCIの衝突や混同がすでに発生していることを検知するための機能を実装することなく、また、後者の方法であるPCIの衝突や混同を机上シミュレーション等により推定することなく、実際に電波の発射を開始したり諸々の無線パラメータを変更して運用を開始した後の実運用設定における電波環境に即して、PCIの衝突や混同を起こさないPCI、あるいは、PCIの衝突や混同を起こしにくいPCIを選択し、選択したPCIをセルに設定することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 基地局制御装置(EMS)
20−1〜20−4 無線基地局(eNB)
30−1〜30−5 移動局(UE)
100 基地局制御部
101 基地局データ管理制御部
102 セルDB
103 NCRDB
201、301 無線装置
202、302 通信処理部
203 自動隣接関係設定処理部
204 ハンドオーバ処理部
303 測定処理部
T01−1〜T01−3 NCRリスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法に係り、特に、セルを識別する物理セル識別子が衝突したり混同を生じることのないように、物理セル識別子を選択することができるセルラ無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セルラ無線通信ネットワークシステムは、通信可能なエリアを構築するために、同一周波数帯域内の電波を使って、多数の基地局をいくらかの距離間隔を置いて設置して構成されている。それらの基地局のそれぞれには、同一周波数帯域内の電波を使用するため、隣接局、近隣局との間で電波の送信元の局(セル)を識別することができるようにするために、それぞれの無線通信方式による変復調を受けた伝送情報としてではなく、変復調の結果に依らない複数種類の送信電波の物理的パターンの1つが割り当てられている。このため、セルラ無線通信ネットワークシステムとしては、前記したような送信電波の物理的パターンを複数種類備える必要があり、各セルラ無線通信方式において複数種類の電波送信パターンを構成できるチャンネル構成が考案されている。
【0003】
前述の複数種類の電波送信パターンのパターン数を増大させることは、無線リソースを多く消費することを意味し、従ってその種類は有限である。この種類の数は、一般的なセルラ無線通信方式では、百〜数百種類程度である。この複数種類の電波送信パターンに対して、順番に番号を0,1,2,3,4,5,6,…と割り振ったものをここでは物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)と呼ぶこととする。移動局は、基地局からの電波を受信し、その電波送信パターンからPCIを特定することが可能である。
【0004】
例えば、第3.9世代の無線通信方式とされる3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)方式においても、移動局側は、セルと呼ばれる基地局に1つまたは複数収容される無線通信エリアを識別するために物理セル識別子PCIを用いている。物理セル識別子PCIは、移動局(UE)において、周辺セルからの受信電力を測定する用途に利用される。このPCIは、504種類設けられており、移動局(UE)は、504セルまで識別して受信電力を測定することができる。PCIの種類が多いほど、後述するようなPCIに関する問題は起きにくいが、PCIの種類が多いほど電波リソースを多く要するため、通常504種類とされている。一般に、セルラ無線通信ネットワークシステムのセルの数は、504より多いため、PCIは繰り返し利用され、同一のPCIを持つセルが複数存在することになる。
【0005】
移動局は、現在接続しているセルから隣接セルに接続を切り替える(ハンドオーバ)とき、ハンドオーバ先候補のPCIを受信するが、システム全体で同じPCIを持つセルが多数存在するため、PCIの情報だけでは隣接セルを一意に特定することができない。そのため、基地局は、PCIをシステム全体で一意なID(セルグローバル識別子:Cell Global Identifier: CGI)に変換するテーブルを持ち、移動局から報告されたPCIを基地局においてCGIに変換するか、基地局からこの変換テーブルを移動局に渡して移動局においてPCIをCGIに変換させる。これにより、移動局は、ハンドオーバ先のセル、を特定することができ、ハンドオーバのための必要な処理を、現在接続中の基地局とハンドオーバ先の基地局との間で開始することができる。この変換テーブルには隣接セルが一覧として記述されているため、このテーブルは、隣接セル関係(Neighbor Cell Relations: NCR)リストと呼ばれる。
【0006】
各セルのPCIの割り振りは、次に説明する2つの問題を引き起こさないように、行われる必要がある。
【0007】
第1の問題は、PCI衝突(PCI Collision)である。すなわち、同一のPCIを持つセル同士でカバレッジが重なり合う場合、ある移動局は、現在の接続セル(セルXとする)との通信中に、同じPCIを持つ近隣のセル(セルYとする)からも電波を受け、電波干渉を受けることになる。しかし、移動局は、セルXと同じPCIを持つセルYを識別することができず、セルYにハンドオーバできないばかりでなく、セルYからの電波干渉を受けている状況にも関わらず、それをセルXからのマルチパス電波としてセルXからの電波に合算し、セルXの電波強度を実際よりも強いと測定してしまう等の悪影響を受けてしまうことになるという問題である。
【0008】
第2の問題は、PCI混同(PCI Confusion)である。すなわち、あるセル(セルKとする)が同じPCIを持つ複数のセル(セルL,セルMとする)とカバレッジが重なっている場合、基地局側は、NCRリストに従ってPCIをCGIに一意に変換するため、セルLのPCIを受信した場合、正しくセルLのCGIに変換することができたとしても、セルMのPCIを受信した場合も、セルLのCGIに変換するということが生じてしまう。この場合、セルKからセルMにハンドオーバしようとしている移動局のハンドオーバ処理が、不適切にもセルKからセルLに対して処理され、移動局は、ハンドオーバが可能な程の強度の電波を受信しているわけではないセルLにハンドオーバさせられ、ハンドオーバが失敗してしまうことになるという問題である。一般に、NCRリストには、1つのPCIに対して1つのCGIしか記述されておらず、同一のPCIを持つそれ以外のセルへのハンドオーバが常に失敗することになる。
【0009】
新しく基地局を建設する際に新しいセルのためにPCIを選定するときにも、前述の2つの問題を回避すべきであり、局位置周辺のセルのPCI割り振り状況から、何らかの手段によって前述の2つの問題をクリアしたPCIが選択される。
【0010】
ある新しいセルのPCIの選択方法として考えられる方法の1つは、そのセルの位置から半径何km以内に位置するセルの全てのPCIを除いた残りのPCIからそのセルに設定するPCIを選択するという方法である。この方法以外にも、地形を考慮してPCIを選択する方法、各セルの電波伝播状況を電波伝播シミュレータによって推定してPCIを選択する方法等が考えられる。しかし、推定が100%正確であることは現実ではありえず、これらの方法によってPCIを選択したとしてもPCIの衝突や混同が発生する可能性がある。
【0011】
NCRリストは、そのセル周辺の電波状況を反映したものとすることが望ましいが、幾つかの手段によってセル周辺の電波状況を反映することができる。例えば、3GPPのLTE方式における自動隣接関係設定機能(3GPP TS36.300の22.3.2a項 Automatic Neighbour Relation Function)(ANR機能)のような方法が考えられる。この方法は、移動局が現在接続しているセルのNCRリストに存在しないPCIを検出したときに、移動局がそのPCIのセルの報知情報を読み取り、そこからCGIを取得し、接続しているセルに報告し、報告を受けた基地局がそのセルのNCRリストに新たなPCIとCGIのレコードを追加するというものである。
【0012】
このようにして作成されるNCRリストは、十分な移動局からの報告量があれば、ハンドオーバの目的に十分な程にセル周辺の電波状況を反映することができる。しかし、近隣にそのセル(セルAとする)と同一のPCIのセル(セルBとする)が存在した場合、移動局は、セルBのPCIを識別して報告することができないため、セルAのNCRリストに、セルBは追加されないことになる。また、近隣に同一のPCIのセルが複数(セルC,セルDとする)存在した場合、NCRリストにはどちらか1つのセル(例えば、先に移動局が検出して報告してきたセル)だけが追加されることになる。
【0013】
セルAのNCRリストに、セルBが追加されないことになる前者の場合、PCI衝突が発生し、サービスに悪影響が発生している状況であるが、ANR機能によって作成されたNCRリストからは、衝突の発生が判らない。また、NCRリストに2つのセルの1つのセルだけが追加されることになる後者の場合、NCRリストに追加されなかった局にはハンドオーバすることができないため、ハンドオーバ失敗が原因の呼切断が多く発生している可能性が高い状況であるが、ANR機能によって作成されたNCRリストからは、それを知ることができない。また、NCRリストからは、周辺の電波状況を知ることはできても、PCIの衝突と混同との発生の有無を知ることができない。
【0014】
PCIの衝突の発生の有無を知る方法としては、特許文献1に記載された方法が知られている。この方法は、移動局が接続しているセル(セルEとする)が、一時的に移動局に自らのPCIを検出させるための参照信号を送信しないようにし、移動局がセルE以外で、セルEと同じPCIを持つ周辺のセルの参照信号を検出できるようにするというものである。この方法によれば、PCIの衝突を検出することができる。PCIの混同の発生の有無を知る方法としては、NCRリストに存在するPCIについても移動局にそのPCIのセルの報知情報を読み取らせ、CGIを報告させるという方法もある。この方法により、報告を受けた基地局が、同一のPCIについて複数のCGIが報告されるケースの有無を判定することによりPCIの混同の発生の有無を知ることができる。これらのPCIの衝突や混同の発生の有無を知る方法は、基地局や移動局に専用の機能を実装することにより実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表2010−537479号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.2.0 (2010-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
セルラ無線通信ネットワークシステムを構成する各基地局のセル毎に設定される物理セル識別子(PCI)は、設定可能な種類が限られており(百〜数百)、いくらかの距離間隔で同じ識別子を設定せざるを得ない。しかし、近接する基地局同士で同じ識別子を設定してしまうと、PCIの衝突やPCIの混同といった問題が発生し、一方が他方の電波受信品質に大きな影響を与えてしまうことになる。
【0018】
また、各セルのPCIは、フィールドでの電波状況に基づかず、机上でPCI衝突を避けるように検討されて設定されるのが一般的である。しかし、想定外の電波状況があった場合、PCIの衝突やPCIの混同が発生してしまう。高い電波伝播シミュレーション技術か、より多くの検討工数があれば、これらの問題を回避することができるかもしれないが、何れにしても多くのコストを要するという問題を生じさせることになる。
【0019】
また、先行技術文献に記載されているように各セルにPCIを設定した後にPCIの衝突やPCIの混同を検出する方法も提案されているが、これらの方法は、システムやシステム運用方法に様々な変更を要するため、多くのコストを要するという問題を生じさせることになる。
【0020】
本発明の目的は、前述したような従来からのセルラ無線通信ネットワークシステムにおける前述したような問題に鑑み、実際に電波を発射したり、無線パラメータを変更してシステムの運用を開始した後に、PCIの衝突、混同を生じることのないPCIを選択し、設定することができるようにした無線通信ネットワークシステム及び該システムにおける物理セル識別子の選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば前記目的は、複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することにより達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、実際に電波の発射を開始したり諸々の無線パラメータを変更して運用を開始した後の実運用設定における電波環境に即して、PCIの衝突や混同を起こさないPCI、あるいは、PCIの衝突や混同を起こしにくいPCIを選択し、選択したPCIをセルに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】基地局eNBの構成例を示すブロック図である。
【図3】移動局UEの構成例を示すブロック図である。
【図4】NCRリストの構成例を示す図である。
【図5】自動隣接関係設定処理部ANRがNCRリストにレコードを追加する処理を説明する図である。
【図6】自動隣接関係設定処理部ANRがNCRリストにレコードを追加する処理を説明するシーケンスチャートである。
【図7】本発明の実施形態における無線通信ネットワークシステムがセル識別子を再選択する処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その1)を説明する図である。
【図9】自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その2)を説明する図である。
【図10】基地局制御装置EMSでの回避すべきPCIの抽出処理の動作を説明するフローチャートである。
【図11】基地局制御装置EMS及び基地局内のPCIを再設定する処理動作を説明するフローチャートである。
【図12】仮PCIがPCIの混同を発生した場合に、取得することができないNCRリストについて説明する図である。
【図13】複数の仮PCIを利用する場合のPCI再設定の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による無線通信ネットワークシステムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示す本発明の実施形態によるセルラ無線通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局(以下、単に、基地局といい、また、eNBという)20−1〜20−4、…と、複数の移動局(以下、UEという)30−1〜30−5、…と、基地局の制御を行う基地局制御装置(以下、EMSという)10とを備えて構成されている。
【0027】
基地局eNBは、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容している。EMS10は、基地局制御部100を備えて構成され、基地局制御部100は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルデータベース(セルDB)102と、隣接セル関係(Neighbor Cell Relations : NCR)リストを一元管理するNCRデータベース(NCRDB)103と、セルDB102とNCRDB103とを管理制御し、eNBに物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)及びNCRリストを設定する基地局データ管理制御部101とを有して構成されている。
【0028】
図2は基地局eNBの構成例を示すブロック図である。eNB20−1〜20−4は、無線送受信を行う無線装置201と、移動局UEとの間での通信処理を行う通信処理部202と、隣接セル関係(Neighbor Cell Relation:NCR)リストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理部(Automatic Neighbor Relation:ANR)203と、隣接セルとの間のハンドオーバ処理を行うハンドオーバ処理部204とを有して構成されている。また、eNB20は、セル毎のNCRリストT01−1〜T01−3を保持している。
【0029】
通信処理部202は、ディジタルデータを変調し、移動局UEに送信する電波信号に変換したり、移動局UEから送信された電波信号を復調し、ディジタルデータに変換する機能等を有する。基地局eNBは、1あるいは複数個のセルを持ち、各セルは、それぞれ1つの物理セル識別子PCI、1つのセルグローバル識別子(Cell Global Identifier:CGI)、1つのNCRリストを保持している。物理セル識別子PCIは、移動局UEにおいて、周辺セルからの受信電力を測定するための用途に利用される。このPCIは、例えば、504種類あり、その場合、移動局UEは、504セルまで識別して受信電力を測定することができる。PCIの種類が多いほど後述するように、PCIに関する問題は起きにくいが、PCIの種類が多いほど電波リソースを多く要するため、ここで説明している本発明の実施形態では、PCIの種類を504種類としている。システム内のセルの総数は504より多いため、PCIは、繰り返し利用され、同一のPCIを持つセルが複数存在することになる。
【0030】
これに対して受信電力の測定とは関係がなく、十分な種類を用意することができるセルグローバル識別子CGIは、セルに対して一意である。NCRリストは、そのNCRリストを持つセル周辺の限定された範囲内におけるPCIとCGIとの対応関係を示しており、基地局eNBは、ハンドオーバ処理部204がNCRリストT01−1〜T01−3を参照することにより、移動局UEから報告されてくるPCI別の受信電力強度からハンドオーバ先候補のセルを一意に特定することができる。自動隣接関係設定処理部ANR203は、後述する方法によってNCRリストT01−1〜T01−3の設定処理を行う。
【0031】
図3は移動局UEの構成例を示すブロック図である。移動局UE30−1〜UE30−5(以下、単に、移動局UE30ということもある)は、無線送受信を行う無線装置301と、基地局eNBとの通信処理を行う通信処理部302と、PCI別に受信電波の測定を行う測定処理部303とを有して構成されている。
【0032】
通信処理部302は、基地局eNBから送信された電波信号を復調し、ディジタルデータに変換したり、ディジタルデータを変調し、基地局eNBに送信する電波信号に変換する機能等を有する。移動局UE30は、測定処理部303が、常にPCI別の電波受信品質を監視しており、必要に応じて通信処理部302を介して基地局eNBにPCI別の電波受信品質データを含めた報告メッセージを送信する。
【0033】
図4はNCRリストの構成例を示す図である。NCRリストT01は、セル単位で管理されるデータテーブルであり、基地局eNBに自身が持つセルの数だけ保持されている。また、基地局制御装置EMS10の基地局制御部100は、管理する基地局eNBのセル全てのNCRリストをNCRDB103に保持している。基地局eNBにおけるNCRリストの変更と、基地局制御装置におけるNCRリストの変更とは、通知メッセージによって相互に反映され、常に同期されている。
【0034】
図4に示すNCRリストのデータテーブルは、物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)と、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier:CGI)と、ハンドオーバを効率化するためのハンドオーバ(HO)情報とを関連付けた1つのレコードとして、複数のレコードを有して構成される。ハンドオーバ(HO)情報は、基地局eNBがハンドオーバ先のセルが属するeNBとのハンドオーバの手続きの通信宛先情報等が該当する。
【0035】
図5は自動隣接関係設定処理部ANR203がNCRリストにレコードを追加する処理を説明する図であり、次に、これについて説明する。
【0036】
(1)移動局UE30−1は、基地局eNB20−1のセルAを介した通信中に基地局eNB20−2のセルBのPCI(ここでは例として#10とする)を検出すると、セルAを持つ基地局eNB20−1に定期的送付している測定情報の中で、検出したPCI(PCI#10)の情報を送付する。セルAを持つ基地局eNB20−1は、送付されてきたPCI#10がNCRリスト内にあるか否かを確認し、あれば特に何もしない(ステップS1)。
【0037】
(2)前述の確認で、PCI#10がNCRリスト内になかった場合、移動局UEに対してPCI#10のCGI情報を取得するよう要求を出す。要求を受け取った移動局UEは、セルBを持つ基地局eNB20−2が出す報知情報からセルBのCGI(例えば、CGI=211100)を読み取る(ステップS2、S3)。
【0038】
(3)移動局UEは、読み取ったセルBのCGI(211100)をセルAを持つ基地局eNB20−1に報告する。セルAを持つ基地局eNB20−1は、受け取ったPCI#10とCGI(211100)とをNCRリストに新しいレコードとして追加する。なお、このCGI=211100を使用してHO情報を取得する処理については、その説明を省略する(ステップS4)。
【0039】
前述した処理において、セルAとセルBとのどちらか、あるいは、両方の電波受信範囲が小さくなる等により、移動局UEがセルAを持つ基地局eNB20−1との通信中にセルBを持つ基地局eNB20−2のPCI(PCI#10)を検出しなくなった場合、セルAを持つ基地局eNB20−1は、UEからPCI#10の情報を受け取ることがなくなる。基地局eNB20−1のANR203は、そのような一定時間検出されないPCIや単位時間内の検出回数が少ないPCIのレコードをNCRリストから削除する処理をも行っている。また、前述した処理の開始時におけるNCRリストには、当該基地局において、PCIの重複のないPCIが設定されており、既に含まれているPCIと同じPCIを持つレコードが追加されることはないため、NCRリストはPCIの重複のない状態を保つ。
【0040】
図6は自動隣接関係設定処理部ANR203がNCRリストにレコードを追加する処理を説明するシーケンスチャートである。ここに示す処理は、図5により説明した処理をシーケンスチャートとしたものである。なお、図6に示すS1〜S4のそれぞれは、図5のステップS1〜S4のぞれぞれに対応している。
【0041】
(1)移動局UEは、基地局eNB20−1のセルAを介した通信中に基地局eNB20−2のセルBのPCI(ここでは例として#10とする)を検出して受信すると、セルAを持つ基地局eNB20−1に定期的送付している測定情報の中で、検出したPCI(PCI#10)の情報を送付する(ステップK1、K2、S1)。
【0042】
(2)セルAを持つ基地局eNB20−1は、移動局UEから送付されてきたPCI#10がNCRリスト内にあるか否かを確認し、あれば特に何もしないで、ここでの処理を終了する(ステップK3)。
【0043】
(3)ステップK3での前述の確認で、PCI#10がNCRリスト内になかった場合、セルAを持つ基地局eNB20−1は、移動局UEに対してPCI#10のCGI情報を取得するよう要求を出す(ステップS2)。
【0044】
(4)要求を受け取った移動局UEは、セルBを持つ基地局eNB20−2が出す報知情報からセルBのCGI(例えば、CGI=211100)を読み取り、読み取ったセルBのCGI(211100)をセルAを持つ基地局eNB20−1に報告する(ステップS3、S4)。
【0045】
(5)セルAを持つ基地局eNB20−1は、受け取ったPCI#10とCGI(211100)とをNCRリストに新しいレコードとして追加する。なお、このCGI=211100を使用してHO情報を取得する処理については、その説明を省略する(ステップK4)。
【0046】
図7は本発明の実施形態における無線通信ネットワークシステムがセル識別子を再選択する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0047】
(1)オペレータは、新基地局の建設や、既設セルの無線パラメータの変更、既設セル周辺の地物の変化等の電波環境の変化がある場合に、PCIの衝突やPCIの混同が新たに起こらないように、セル識別子再選択の処理をシステムに開始させ、電波環境の変化の中心となるセル(新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセル)を持つ基地局eNB内のそのセルに対応するPCIを仮のPCIに変更する。この仮のPCIとして用いるPCIは、それ自体がPCIの衝突やPCIの混同を起こさないPCIが望ましい。例えば、ここでの処理のために予約したPCIを仮のPCIとする方法があるが、仮のPCIの選択方法については後述する(ステップS60)。
【0048】
(2)その後、十分な時間(例えば1週間)が経過すると、各セルに対応するNCRリストが基地局eNBが有する自動隣接関係設定処理部ANR203によって更新され、セルの周辺の電波環境の変化を反映したものとなる。そこで、図10に示して詳細を後述する回避すべきPCIの抽出処理を基地局制御装置EMSに実行させる(ステップS61、S62)。
【0049】
(3)回避すべきPCIの抽出処理による抽出結果により、抽出された回避すべきPCI以外から新しいPCIを、衝突やPCIの混同のないPCIとして選択し、その後、選択したPCIを、新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセルに設定するPCIの再設定処理を実施し、ここでの処理を終了する。なお、PCIの再設定処理の詳細については、図11を参照して後述する(ステップS63、S64)。
【0050】
新たに設置した基地局のセルのPCIを再選択する場合と既設の基地局のセルのPCIを再選択する場合との相違は、後者がすでに何らかのPCIが設定されて運用開始しており、自セルの情報が周辺セルのNCRリストにすでに取込まれていることも考えられ、従って電波環境の変化によってNCRリストに自セルの情報が追加されることもあれば、逆に削除されることもあることと、仮PCIの設定時に後述する図11のPCIの再設定処理を実施する必要があることである。
【0051】
図8は自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その1)を説明する図である。ここで説明する例は、基地局eNB20−1のセルAが仮PCI#2で電波発射を開始した後の自動隣接関係設定処理部ANR203によるNCRリストの更新の様子の例である。
【0052】
図8に示す例では、基地局eNB20−1のセルAに接続している移動局UE30−1とUE30−2とからの報告によって基地局eNB20−2のセルBの情報(PCI=#10、CGI=211100)、基地局eNB20−3のセルCの情報(PCI=#33、CGI=278626)が基地局eNB20−1のセルAのNCRリストに追加されるものとしている。ここで、基地局eNB20−1のセルAが、基地局eNB20−2のセルBか基地局eNB20−3のセルCと同一のPCIを持っていたとすると、PCIの衝突が発生していたことが判る。従って、基地局eNB20−1のセルAにPCIを再設定する場合、これらセルAのNCRリストに追加されたセル(ここでは、セルB及びセルC)のPCIは、自セルのNCRリストに含まれるPCIであるため、そのPCIを再設定に使用することを避けなければならないことが判る。
【0053】
図9は自動隣接関係設定処理ANRによる基地局のセルのNCRリストの更新の例(その2)を説明する図である。
【0054】
図9に示す例では、基地局eNB20−1のセルAではなく、基地局eNB20−4のセルDに接続している移動局UE30−3からの報告によって、基地局eNB20−1のセルAの情報(PCI=#2、CGI=212020)が基地局eNB20−4のセルDのNCRリストに追加され、同様に、移動局UE30−4からの報告によって、基地局eNB20−5のセルEの情報(PCI=#33、CGI=225475)が基地局eNB20−4のセルDのNCRリストに追加されるものとしている。ここで、基地局20−1のセルAが、基地局20−4のセルDと同一のPCIを持っていたとすると、PCIの衝突が発生していたことが判る。また、基地局20−1のセルAが基地局20−5のセルEと同一のPCIを持っていたとすると、基地局20−4のセルDのNCRリストにおいてPCIの混同が発生していたことが分かる。従って、セルAにPCIを再設定する場合、これらの基地局20−1のセルA(のCGI)が追加されたNCRリスト(ここでは、セルDのNCRリスト)が属するセル(ここでは、セルD)のPCIと、このNCRリストに追加されたセル(ここでは、セルE)のPCIは、基地局20−1のセルである自セルのCGIを含むNCRリストを持つセルのPCIであり、また、基地局20−1のセルである自セルのCGIを含むNCRリストに含まれるPCIであるため、そのPCIを再設定に使用することを避けなければならないことが判る。
【0055】
図10は基地局制御装置EMSでの回避すべきPCIの抽出処理の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここでの処理は、基地局制御装置EMSがPCIを再設定する基地局eNBのセルについて、(a)自セルのNCRリストに含まれるPCI、(b)自セルのCGIを含むNCRリストを持つセルのPCI、(c)自セルのCGIを含むNCRリストに含まれるPCIの3つの条件のいずれかに当てはまるPCIを、セルDB102とNCRDB103とから回避すべきPCIとして抽出する処理である。
【0056】
(1)基地局制御装置EMSは、あるセル(PCIを変更するセル)のPCIを再選択するために、回避すべきPCIの抽出処理が開始されると、NCRDB103からPCIを変更するセルのNCRリストを取得すると共に、同じくNCRDB103からPCIを変更するセルのCGIを含むNCRリストを取得する(ステップS70、S71)
(2)次に、セルDB102から前述のNCRリストが属するセルのPCIを取得すると共に、NCRDB103から前述の2種類のNCRリストに含まれるPCIを取得して、ここでの処理を終了する(ステップS72、S73)。
【0057】
504種類のPCIから前述した処理により抽出されたPCIを除いた残りのPCIの中から新しいPCIを選択し、選択したPCIをeNBのPCIを変更するセルに対して設定する処理が行われる。504種類のPCIから前述の処理で抽出したPCIを除いた残りのPCIの中から新しいPCIを選択する方法は、例えば、将来設定が予定されている他の新しいセルが、PCIを変更するセルとのPCIの衝突もしくは混同の可能性があると推定されるときに、その新しいセルが現段階において選択可能と推定されるPCIを、PCIを変更するセルのためにはできる限り選択せず、それ以外のPCIを選択するという方法が考えられる。これによって、将来、PCIを選択する際に選択可能なPCIが無くなっている可能性を減ずることができる。
【0058】
PCIの衝突あるいは混同の可能性を推定する方法は、例えば、電波伝播シミュレータを利用する方法等が考えられるが、簡便な方法としては、セルを収容するeNB同士の距離を利用して、eNB同士の距離が15km以内ならPCIの混同の可能性あり、5km以内ならPCIの衝突の可能性あり等、とする方法が考えられる。ここで、この15km、5kmといった距離を大きく取ることで推定誤りによるPCIの衝突や混同の可能性は減るが、選択可能なPCIが少なくなってしまう。
【0059】
504種類のPCIから前述の処理で抽出したPCIを除いた残りのPCIが1つもない場合でも、新しいPCIを選択する必要がある。その場合に新しいPCIを選択する方法としては、例えば、PCIに次のように優先度付けをし、優先度の高いPCIを選択するという方法がある。すなわち、PCIの衝突を起こすPCI(前述した条件(a)、(b)のPCI)の優先度を最低とし、PCIの衝突は起こさずPCIの混同を起こすPCI(前述した条件(a)、(b)以外で条件(c)に該当するPCI)の優先度を高くするという方法である。それらの中で更に優先度付けするには、前述の条件(c)において、自セルのCGIを含むNCRリストが複数存在し、同じPCIがその内の幾つかのNCRリストに含まれることがあり、その含まれる回数が多い程PCIの混同の影響範囲が大きいので、その回数が多い程優先度を低くするという方法をとることもできる。
【0060】
図11は基地局制御装置EMS及び基地局内のPCIを再設定する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0061】
(1)基地局制御装置EMS10内の基地局制御部100は、PCIの選択結果を受け、NCRDB103内に、選択されたPCIを、PCIを変更するセルの新しいPCIとして設定する(ステップS80)。
【0062】
(2)そして、基地局制御部100は、NCRDB103内のPCIを変更するセルのCGIを含むNCRリストに含まれるそのセルのPCIを新しいPCIに置換し、そのNCRリストを、PCIを変更するセルを有する基地局eNBに送信し、その基地局eNBのNCRリストに反映させる(ステップS81、S82)。
【0063】
仮PCIについては、すでに説明したように、仮PCI以外には使用しない予約PCIを仮PCIとして用いるという方法に限らず、実際の電波状態を完全には反映できない何らかのシミュレータや幾何学的方法から仮PCIを決定する方法が考えられる。しかし、そのような何らかの推定手法によって選択された仮PCIは、PCIの衝突やPCIの混同を発生させないという保証がなされたものではない。
【0064】
仮PCIがPCIの衝突を発生した場合、その衝突の発生を知ることはできず、前述した条件(a)、(b)、(c)によっては、回避すべきPCIとして仮PCIと同じPCIがリストアップされることはないため、仮PCIがPCIの衝突を発生しているか、いないか、に関わらず、仮PCIと同じPCIを新しいPCIとして選択しないようにする必要がある。仮PCIと同じPCIが選択可能なPCIとしてリストアップされることがないようにするには、前述した条件(a)、(b)、(c)に、(d)自セルの現PCI(仮PCI)を回避すべきPCIとして抽出するという条件を加えることにより回避することができる。
【0065】
また、仮PCIがPCIの混同を発生した場合、前述した条件(b)、(c)に述べた自セルのCGIを含むNCRリストのうち、PCIの混同が発生したNCRリストは取得することができないため、このNCRリストを持つセルのPCI及びこのNCRリストに含まれるPCIを抽出することができなくなることになる。これについては図12を参照して後述する。
【0066】
図12は仮PCIがPCIの混同を発生した場合に、前述した取得することができないNCRリストについて説明する図である。
【0067】
図12に示すように、基地局eNB20−4のセルDのサービスエリア内にいる移動局UE30−3が基地局eNB20−4を介して通信を行っている状態で、新設あるいはPCIを変更しようとしているセルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#2を設定して電波を発射し、あるいは、仮PCIとして#22を設定して電波を発射したものとする。基地局eNB20−4のセルDのNCRリスト内には、図12内にNCRリストT01−4として示しているような内容(但し、PCI=#44のデータを除く)が保持されているものとし、また、移動局UE30−3が基地局eNB20−1からの電波をも受信することができるセルAとセルDとのサービスエリアが重なるような場所にいるものとする。
【0068】
前述の場合、基地局eNB20−4は、NCRリストT01−4内にPCI=#2、PCI=#22のデータが保持されているため、セルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#2または#22が設定された場合、PCIの混同が発生することになることが判る。前述した図5と図6の方法によって、基地局eNB20−4は、移動局UE30−3からこれらのPCIデータが受信することができたことの報告があった場合にも、これらのPCIデータは既にNCRリストT01−4内に含まれているため、これらのPCIデータとセルAのCGIをNCRリストT01−4内に取込まない。NCRリストT01−4はセルAのCGIを含まないため、前述した条件(b)、(c)の自セルのCGIを含むNCRリストに当たらないため、前述した図10のステップS71において取得できない。従って、NCRリストT01−4が属するセルのPCIとNCRリストT01−4に含まれるPCIが回避すべきPCIとして抽出できないことになる。
【0069】
一方、セルAを持つ基地局eNB20−1のセルAに仮PCIとして#44を設定して電波を発射した場合、基地局eNB20−4は、NCRリストT01−4内にPCI=#44のデータが保持されていないため、PCIの混同が発生しないことが判る。前述した図5と図6の方法によって、基地局eNB20−4は、移動局UE30−3からこのPCIデータが受信することができたことの報告があった場合に、このPCIデータはNCRリストT01−4内に含まれていないため、セルDのNCRリストT01−4内に、セルAの仮PCIとしての#44のデータとセルAのCGIを取込む。これにより、NCRリストT01−4はセルAのCGIを含み、前述した条件(b)、(c)の自セルのCGIを含むNCRリストに当たるため、前述した図10のステップS71において取得される。従って、NCRリストT01−4が属するセルのPCIとNCRリストT01−4に含まれるPCIが回避すべきPCIとして抽出されることになる。ここで、あるNCRリストが、#2を含む確率、#22を含む確率、#2と#22との両方を含む確率を比較すると、#2と#22との両方を含む確率が最も小さい。また、#2と#22と#44との全てを含む確率は更に小さくなる。従って、1つの仮PCI(ここでは#2または#22または#44)だけで、図7の手順を実施するよりも、できるだけ多くの仮PCIを用いて図7の手順を実施する方が、回避すべきPCIを抽出するためのNCRリストを取得することができないケースを減らすことができる。これによって、本発明の実施形態のPCIの衝突、混同を生じることのないPCIを選択することの信頼性を向上させることができる。
【0070】
図13は複数の仮PCIを利用する場合のPCI再設定の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0071】
(1)オペレータは、新基地局の建設や、既設セルの無線パラメータの変更、既設セル周辺の地物の変化等の電波環境の変化がある場合に、PCIの衝突やPCIの混同が新たに起こらないように、セル識別子再選択の処理をシステムに開始させ、電波環境の変化の中心となるセル(新基地局のセル、無線パラメータを変更するセル、地物変化の影響を大きく受けるセル)を持つ基地局eNB内のそのセルに対応するPCIを仮のPCIに変更する。この仮のPCIとして用いるPCIは、それ自体がPCIの衝突やPCIの混同を起こさないPCIが望ましい。例えば、すでに説明したように、ここでの処理のために予約したPCIを仮のPCIとする方法がある(ステップS90)。
【0072】
(2)その後、十分な時間(例えば1週間)が経過すると、各セルに対応するNCRリストが基地局eNBが有する自動隣接関係設定処理部ANR203によって更新され、セルの周辺の電波環境の変化を反映したものとなる。そこで、図10に示して詳細を後述する回避すべきPCIの抽出処理を基地局制御装置EMSに実行させる(ステップS91、S92)。
【0073】
なお、ここまでの処理は、図7に示すフローで説明したステップS60〜S62の処理と同一である。
【0074】
(3)この回避すべきPCIの抽出処理の後、回避すべきPCIの抽出処理を規定の回数(例えば、3回)実行したか否かを判定して、規定の回数以内であった場合、回避すべきPCI以外から次の仮PCIを選択する。複数の仮PCIを利用する場合には、2つ目以降の仮PCIは、すでに抽出された回避すべきPCI以外から選択することが望ましい。なぜなら、回避すべきPCIは、NCRリストを一部取得できない可能性が高いからである(ステップS93)。
【0075】
(4)ステップS93の処理で、次の仮PCIを選択した後、再度、仮PCIを設定し、ステップS91からの処理に戻って、システム内の基地局eNBのNCRリストがANR203によって十分に更新されるまで待つ処理に戻って処理を繰り返す(ステップ94)。
【0076】
(5)回避すべきPCIの抽出処理が規定の回数実行されていた場合、回避すべきPCI以外から新しい仮PCIを選択し、再度、仮PCIを設定して、ここでの処理を終了する(ステップS95、S96)。
【0077】
PCIの衝突や混同が発生する可能性を実際の電波環境から正しく知るためには、実際の基地局の設置状態と無線パラメータの設定の下に、システムを運用状態として電波を発射し、PCIの衝突や混同の発生有無を確認するか、何らかの手法によって電波の到達範囲、影響範囲などを解析してPCIの衝突や混同の発生可能性を確認するような機能や方法が要求される。
【0078】
次に、自セルの周辺セルにおいて周辺セル同士でPCIの衝突や混同が発生している場合について説明する。
【0079】
周辺セル同士でPCIの衝突と混同が発生している場合、衝突や混同している周辺セル全てのデータがNCRリストに取り込まれないことがあるが、条件(a)によっては、それらの周辺セルに共通するPCIが抽出される。これは回避すべきPCIは正しく抽出できることを意味する。また、自セルのPCI自体が衝突や混同を発生しているのでなければ、前述した図5、6の方法によって自セルのCGIは取り込まれるため、条件(b)、(c)によっては、正しくNCRリストを取得することができる。これは、本実施形態の回避すべきPCIの抽出処理の動作にも、本発明の目的にも、差し障らない。周辺セル同士でPCIの衝突や混同が発生していなかった場合でも、新しい自セルのNCRリストにおいて周辺セル同士でPCIの混同が発生する場合があるが、その場合でも、条件(a)によっては、それらの周辺セルに共通するPCIが抽出される。これも同じく、本実施形態の回避すべきPCIの抽出処理の動作にも、本発明の目的にも、差し障らない。
【0080】
本発明はPCIの衝突や混同の検出を目的としていないため、周辺セル同士のPCIの衝突や混同を検出することはできない。一方で、周辺セル同士でのPCIの衝突と混同を解決するためには、本発明の実施形態を当該の周辺セルにおいても実施することによって解決することができる。しかし、その実施するセルの選択方法は、本発明の範囲外である。
【0081】
前述した本発明の実施形態によれば、前者の方法であるPCIの衝突や混同がすでに発生していることを検知するための機能を実装することなく、また、後者の方法であるPCIの衝突や混同を机上シミュレーション等により推定することなく、実際に電波の発射を開始したり諸々の無線パラメータを変更して運用を開始した後の実運用設定における電波環境に即して、PCIの衝突や混同を起こさないPCI、あるいは、PCIの衝突や混同を起こしにくいPCIを選択し、選択したPCIをセルに設定することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 基地局制御装置(EMS)
20−1〜20−4 無線基地局(eNB)
30−1〜30−5 移動局(UE)
100 基地局制御部
101 基地局データ管理制御部
102 セルDB
103 NCRDB
201、301 無線装置
202、302 通信処理部
203 自動隣接関係設定処理部
204 ハンドオーバ処理部
303 測定処理部
T01−1〜T01−3 NCRリスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、
前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とするセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記隣接セル関係を示すNCRリストの中で、前記選択対象セルのデータをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記選択対象セルのデータをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストが属するセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記物理セル識別子を物理識別子の選択候補から外す条件に該当するか非該当か、もしくは条件に該当する回数によって、物理セル識別子に選択優先度を付与して、その選択優先度に従って前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
前記選択対象セルに仮の物理セル識別子を設定して前記選択対象セルを有する無線基地局から電波の発射が行われた後に、前記隣接セル関係を示すNCRリストの更新を行い、前記仮の物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記仮の物理セル識別子として、他の目的に使用しない専用の物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
前記仮の物理セル識別子として、物理セル識別子の衝突や混同が起こりにくいと推測される物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項8】
前記仮の物理セル識別子として、複数の仮の物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項9】
前記隣接セル関係を示すNCRリストの更新を行った後に、前記選択対象セルに仮の物理セル識別子を再設定して前記隣接セル関係を示すNCRリストの再更新を行うことを複数回繰り返すことを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項10】
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
設定対象セルをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストを取得し、取得したNCRリストに含まれる前記設定対象セルの物理セル識別子を、前記選択した新しい物理セル識別子に変更し、前記隣接セル関係を示すNCRリストを運用している前記無線基地局の前記隣接セル関係を示すNCRリストに、前記変更を反映させることを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項11】
複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおける物理セル識別子の選択方法において、
前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、
前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とする物理セル識別子の選択方法。
【請求項1】
複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、
前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とするセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記隣接セル関係を示すNCRリストの中で、前記選択対象セルのデータをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記選択対象セルのデータをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストが属するセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記物理セル識別子を物理識別子の選択候補から外す条件に該当するか非該当か、もしくは条件に該当する回数によって、物理セル識別子に選択優先度を付与して、その選択優先度に従って前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
前記選択対象セルに仮の物理セル識別子を設定して前記選択対象セルを有する無線基地局から電波の発射が行われた後に、前記隣接セル関係を示すNCRリストの更新を行い、前記仮の物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外すことを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記仮の物理セル識別子として、他の目的に使用しない専用の物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
前記仮の物理セル識別子として、物理セル識別子の衝突や混同が起こりにくいと推測される物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項8】
前記仮の物理セル識別子として、複数の仮の物理セル識別子を用いることを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項9】
前記隣接セル関係を示すNCRリストの更新を行った後に、前記選択対象セルに仮の物理セル識別子を再設定して前記隣接セル関係を示すNCRリストの再更新を行うことを複数回繰り返すことを特徴とする請求項4記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項10】
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
設定対象セルをNCRリストに含む隣接セル関係を示すNCRリストを取得し、取得したNCRリストに含まれる前記設定対象セルの物理セル識別子を、前記選択した新しい物理セル識別子に変更し、前記隣接セル関係を示すNCRリストを運用している前記無線基地局の前記隣接セル関係を示すNCRリストに、前記変更を反映させることを特徴とする請求項1記載のセルラ無線通信ネットワークシステム。
【請求項11】
複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局に接続され前記複数の無線基地局を制御する基地局制御装置を備えて構成されるセルラ無線通信ネットワークシステムにおける物理セル識別子の選択方法において、
前記無線基地局は、無線通信エリアであるセルの1つあるいは複数個を収容し、前記1または複数のセル毎に、1つの物理セル識別子と1つのセルグローバル識別子とを対応付けたNCRリストと、隣接セル関係のNCRリストの設定処理を行う自動隣接関係設定処理手段とを有し、
前記基地局制御装置は、複数のセルの構成情報を一元管理するセルDBと、隣接セル関係のNCRリストを一元管理するNCRDBと、前記セルDB及びNCRDBを管理制御し、前記無線基地局のセルに前記物理セル識別子及び前記NCRリストを設定する基地局データ管理制御手段と有し、
前記基地局制御装置の基地局データ管理制御手段は、
あるセルの周囲の電波環境に応じてそのセルの隣接セル関係を示すNCRリストを作成する機能を有し、該NCRリストを作成する機能が、前記あるセルの物理セル識別子を選択する際に、前記作成したセルの隣接セル関係を示すNCRリストの中で、すでに電波の発射を開始している無線基地局の選択対象セルの隣接セル関係を示すNCRリストに含まれるセルの物理セル識別子を物理セル識別子の選択候補から外して、前記あるセルの物理セル識別子を選択することを特徴とする物理セル識別子の選択方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−21450(P2013−21450A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151972(P2011−151972)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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