説明

無線通信方法および無線通信装置

【課題】無線通信における通信信号の同期検出信頼性を向上し、かつ同期部に続くデータ部の受信を容易に可能とする。
【解決手段】第一のビット同期、第一のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信方法および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気、ガス、水道等の使用対象期間の使用料金は、検針員が定期的に家屋に設置された電気、ガス、水道等のメータを目視で確認し、メータの数値を記録した上で、前回の検針値との差に基づいて算出されてきた。しかし、検針員の人的コストが大きいこと、および家屋の住人(管理者等)が不在のときの対応が困難な場合があることが課題となっており、電気、ガス、水道等の使用量の検針業務を自動化するシステムが開発されてきている。本システムを自動検針システムと称する。
【0003】
自動検針システムでは、メータ間のデータ伝送において無線通信や電力線通信などを利用する。無線通信を利用する場合には、無線通信方式としてZigBeeや無線LAN、PHSなどの方式の利用が検討されている。無線通信では通信信号の受信処理において、データを復調するのに先立って通信信号の同期処理を行うことが必要である。
【0004】
例えば非特許文献1のZigBeeでは、物理層のプロトコルとしてIEEE802.15.4規格を使用する。IEEE802.15.4規格では同期処理を行うために同期ヘッダ(Synchronization Header)を設けており、プリアンブルシーケンス(Preamble Sequence)においてビット同期を行い、次にフレーム区切り(Start of Frame Delimiter)においてフレーム同期を行う。
【0005】
また、特許文献1に記載の従来技術では、ビット同期、システム識別符号フレーム同期、端末識別符号IDを含むヘッダーを、複数回(n回)繰り返し伝送する。これにより、システム内で妨害となる他の無線装置からの信号を短時間で判定し、複数の無線装置が接続される場合にも通信の信頼性を向上し、通信を確実に成功させることで、信頼性の高いメータ検針システムを提供することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−134781号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】IEEE Std 802.15.4−2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら無線通信では、空間伝搬による信号減衰やビルなどの壁面における反射波の影響によるマルチパス・フェージング、外来ノイズ等の影響を受けることで、通信信号の同期検出にエラーを生じることがある。
【0009】
この点に関し、非特許文献1のIEEE802.15.4規格に準じた通信信号では、フレーム先頭に設けられた同期ヘッダが1つのみであるため、同期検出にエラーを生じるとそのフレームに重畳されたデータを全て受信不可能になるという課題を有する。
【0010】
また、特許文献1に記載の従来技術は、ビット同期、システム識別符号フレーム同期、端末識別符号IDを含むヘッダを複数回(n回)繰り返し伝送することで、同期検出の信頼性は向上するが、ヘッダを複数回伝送しているため受信装置側では第何番目のヘッダにおいて同期を検出したかを判定する方法を明示しておらず、その結果、ヘッダの後に続く情報部を検出することができないという課題がある。
【0011】
そこで、本発明では、無線通信における通信信号の同期検出信頼性を向上し、かつ同期部に続くデータ部の受信を容易に可能とする無線通信方法および無線通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信方法では、同期部からはじまり、後部がデータチェック部となる無線フレームを単位フレームとし、単位フレーム内に同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備える。
【0013】
また同期単位構成は、第一のビット同期、第一のフレーム同期、第一のデータから構成される第1の同期単位構成と、第二のビット同期、第二のフレーム同期、第二のデータから構成される第2の同期単位構成とを備え、第1の同期単位構成、第2の同期単位構成、データチェック部の順に時系列的に伝送される。
【0014】
また、各同期単位構成は、フレーム同期とデータの間に、単位フレーム内のデータブロックの個数を示すフラグ部を備えるとともに、フラグ部に記述されるデータブロックの個数は、フラグ部以降のデータブロック数とされる。
【0015】
また、各同期単位構成は、フレーム同期の後段に、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述したレングスを含み、受信側ではレングス確認後、ここに記載されたビット列の長さの信号を有意の信号として取り込む。
【0016】
また、第一のデータと第二のデータのいずれかまたは両方のデータ量を示すための受信したデータ数を含む応答信号を送信することで、受信することができなかった第一のデータと第二のデータのいずれかまたは両方を再送する。
【0017】
また、各同期単位構成のデータは、同一内容、または異なる内容とされる。
【0018】
また、各同期単位構成のデータが異なる内容のデータとされるときに、より優先度の高いデータを時系列的後段の第2のデータとする。
【0019】
本発明の無線通信装置は、第一のビット同期、第一のフレーム同期、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送する。
【0020】
本発明の無線通信装置は、第一のビット同期、第一のフレーム同期、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送する。
【0021】
本発明の無線通信装置は、第一のビット同期、第一のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、無線通信における通信信号の同期検出の誤りを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】無線フレーム40構成の一例を示す図。
【図2】電力量自動検針システム構成の一例を示す図。
【図3】無線通信装置10の構成の一例を示す図。
【図4】無線フレームの受信手順の一例を示す図。
【図5】無線フレームの受信手順の一例を示す図。
【図6】無線フレームの構成の一例を示す図。
【図7】無線フレームの受信手順の一例を示す図。
【図8】無線フレームの受信手順の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0025】
本発明の無線通信装置及び無線通信方法は、その適用対象が何であってもよいが、ここでは無線による電力量検針システムを適用対象として説明する。典型的な電力量自動検針システムの構成を図2に示している。
【0026】
図2の電力量自動検針システムにおいては、ユニット式電力量計1を、電力料金支払い単位となる各家庭、従って検針対象である各家庭に設置する。つまり、電力は高圧配電線LHから変圧器Tr,低圧配電線LLを経由して各家庭の分電盤Bに取り込まれるが、ユニット式電力量計1は、検針対象である各家庭の分電盤B単位にその電源側に設置される。
【0027】
ここで、変圧器Trとは、いわゆる柱上変圧器のことであり、例えば柱上変圧器の位置に、ユニット式電力量計1において計量された検針データを収集するための集約装置2が設置される。一般には10台〜20台程度のユニット式電力量計1が、一台の変圧器に接続される。また集約装置2には、複数の変圧器に接続されたユニット式電力量計が合計で数100台程度まで接続されることもある。
【0028】
ユニット式電力量計1は、通常の電力量計と同様に、電力量を計測する電力量計測部20と、家屋内への電力供給を一度に遮断する開閉器30を備えるが、それ以外に計測結果などを外部に送出し、あるいは外部からの指示を受信する無線通信装置10を内蔵している。このうち、電力量計測部20は、電力を時間的に積算した量(電力量)を計測し、その計測値(検針値)を、無線通信装置10を介して集約装置2側に向けて出力する。開閉器30は、無線通信装置10から出力される信号に基づき、開閉器30を切断状態(OFF)にした場合、分電盤を介して家屋内への電力供給を一度に遮断する。
【0029】
無線通信装置10は、電力量計測部20から受信した計測値を、無線通信(例えば、2.4GHz帯や950MHz帯)によって送信する。この無線通信装置10が送受信する信号としては、単に家庭の消費電力の検針結果のみではなく、各家庭での太陽光発電などの発電電力つまり、売電電力量の検針結果も含んでもよい。また、各家庭の開閉器30の開閉状態信号あるいは、操作信号も含まれ、単なる検針ばかりでなく、開閉器30の監視・制御操作も実行することができる。
【0030】
集約装置2は、これに接続された複数のユニット式電力量計1に対して、電力量検針開始指示を送信し、あるいは開閉器30の開閉指令信号を送信し、ユニット式電力量計1から電力量や開閉状態のデータを受信し、かつ図示せぬ上位の集約装置との間で各種信号の送受信を実行する。係る機能を有する集約装置は、特有の装置構成を備えた専用装置としてもよいが、一般にはユニット式電力量計1を使用し、内部の無線通信装置10の機能を生かす構成とするのがよい。つまり、集約装置2は、どの様に構成されるにしても、実質的にはユニット式電力量計1内部の無線通信装置10の機能を備えたものとされる。
【0031】
次に、図3を用いて、本実施形態における無線通信装置10の構成について説明する。なお、先に説明したように、この無線通信装置10の装置構成は複数のユニット式電力量計1ばかりでなく、集約装置2にも備えられている。無線通信装置10は、アンテナ11、無線通信部12、通信制御部13、記憶部14、入出力インターフェース部15、および電源部16を備える。
【0032】
このうち、通信制御部13は、入出力インターフェース部15において外部と入出力されるデータを記憶部14に保存したり、あるいは無線通信部12を制御してデータを無線通信するためのデータに変換したりする機能を有する。
【0033】
また、通信制御部13は、一般的には中央処理装置CPU(Central Processing Unit)に相当するが、DSP(Digital Signal Processer)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成しても良い。
【0034】
記憶部14は、一般的にはSRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリで構成される。
【0035】
入出力インターフェース部15は、一般的にはEthernet(登録商標)やRS232C、IrDAなどの有線、無線、赤外線インターフェースなどで構成される。
【0036】
そして、入出力インターフェース部15は、無線通信装置10が図2のユニット式電力量計1として使用されるときには、電力量計測部20から電力量を入手し、開閉器30の開閉状態を入手すると共に、開閉操作信号を与えるなどの機能を果たす。無線通信装置10が集約装置2として使用されるとき、入出力インターフェース部15は、電力量計測、開閉操作の目的上は不要な回路部分であるが、配電線の電流、電圧情報を上位の集約装置に送るように接続され、使用されるのがよい。なお、入出力インターフェース部15は、無線通信装置10が設置された適用対象の状況に応じて適宜、複数個設けることが可能である。
【0037】
無線通信部12は、通信制御部13から入力されるデータに基づき、アンテナ11を介して無線通信信号を送信する。またアンテナ11を介して入力される無線通信信号は、無線通信部12において受信され、通信制御部13に出力される。
【0038】
無線通信部12は、通常は変復調、周波数変換器、フィルタ、高周波スイッチ等の無線通信で用いられる回路にて構成される。
【0039】
なお、電源部16は、外部から供給されるAC100Vなどの電源から無線通信装置10内で使用される複数の電源、例えばDC5Vなどに変換してから各部に供給する機能を有する。
【0040】
図1は、以上の前提装置において無線通信を確実に実行せしめるに有効な、本実施形態における無線フレーム40の構成を示している。この無線フレーム40は、ビット同期41a、41b、フレーム同期42a、42b、レングス(A)43a、43b、レングス(B)47、フラグ44a、44b、データ45a、45b、CRC(巡回冗長検査符号)46a、46bを備える。
【0041】
この無線フレーム40は、先頭が同期部からはじまり、後部がデータチェック部となるデータフレームを単位フレームとしている。そして、単位フレーム内には同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備えている。図1の場合、ビット同期41aからCRC46bまでが、単位フレームであり、同期部41a、42aとデータ部45aからなる部分が第1の同期単位構成、同期部41b、42bとデータ部45bからなる部分が第2の同期単位構成を表している。これにより、単位フレーム内には同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備えている。
【0042】
以下、図1の単位フレーム構成とその特徴について説明する。ビット同期41a、41bは、無線フレーム40を受信し、復調するために、ビット単位での同期を検出するために用いられる。例えば、無線フレーム40をFSK(周波数シフトキーイング)変調した場合には、データビット「1」に相当する高周波数とデータビット「0」に相当する低周波数との切替タイミングを、無線通信部12において適合させる機能を実現するために用いられる。
【0043】
フレーム同期42a、42bは、ビット同期41a、41bを行った後に無線フレーム40から復調される一定長のデータビット列であり、例えば1バイト(8ビット)の長さとする。無線通信部12または通信制御部13に予め保持された固有のビットパターンと照合し、自己に充てた無線フレーム40を受信したことを検知するために用いられる。
【0044】
レングス(A)43a、43b、レングス(B)47は、フレーム同期42a、42bを行った後に、無線フレーム40から受信する必要のあるビット列の長さを判定するために用いられる。レングスには、その後段のビット列の長さが記載されている。従って、受信側ではレングス確認後、ここに記載されたビット列の長さの信号を取り込めば、これが受信側にとって有意の信号を確実に取り込んだことになる。因みに、各レングスに予め記載され、ここで定義された後段のビット列は、以下の通りである。
【0045】
レングス(A)43a:フラグ44a、レングス(B)47、データ45a、ビット同期41b、フレーム同期42b、レングス(A)43b、フラグ44b、データ45b、CRC46a、CRC46bの合計のビットサイズTB1。
【0046】
レングス(A)43b:フラグ44b、データ45b、CRC46aの合計のビットサイズTB2。
【0047】
レングス(B)47:データ45aのビットサイズTB3。
【0048】
フラグ44a、44bは、レングス(A)43a、43bにて受信し確認した有意のビット列の内、データとして含まれているブロック数を判定するために用いる。例えば、時系列的に先頭側のフラグ44aに「2」と記述されていた場合には、受信したビット列中に、2個のデータブロック、データ45aとデータ45bが含まれていると判定することができる。これに対し、時系列的に後尾側のフラグ44bに「1」と記述されていた場合には、後段で受信したビット列の中に、1個のデータブロック、データ45bのみが含まれていると判定することができる。
【0049】
レングス(B)によって、データ45aとビット同期41bの区切り位置を判定することが可能である。なお、例えばデータ45aのビットサイズが、送信側の無線通信装置10と受信側の無線通信装置10との間で既知となっている場合には、レングス(B)47は無くてもよい。
【0050】
CRC46a、46bは、レングス(A)43a、43bにて受信したビット列において誤りビットが含まれているかどうかを判定するために用いる。例えば、レングス(A)43aによって受信したビット列TB1(フラグ44a、レングス(B)47、データ45a、ビット同期41b、フレーム同期42b、レングス(A)43b、フラグ44b、データ45b、CRC46a、CRC46b)において、誤りビットが含まれているかを判定するために、CRC46bを計算することによって判定することができる。
【0051】
例えば、レングス(A)43bによって受信したビット列(フラグ44b、データ45b、CRC46a)において誤りビットが含まれているかを判定するために、CRC46aを計算することによって判定することができる。
【0052】
なお、以上の説明において、ビット同期41a、41b、フレーム同期42a、42b、レングス(A)43a、43b、レングス(B)47、フラグ44a、44b、CRC(巡回冗長検査符号)46a、46bの各々のビットサイズが送信側の無線通信装置10と受信側の無線通信装置10との間で既知となっていることを想定して説明した。
【0053】
以上図1で説明したように、ビット同期41aからCRC46bまでが、単位フレームであり、同期部41a、42aとデータ部45aからなる部分が第1の同期単位構成、同期部41b、42bとデータ部45bからなる部分が第2の同期単位構成を表している。
【0054】
上記構成の単位フレームによれば、1単位フレームで複数のデータ45a、45bを、送信側の無線通信装置10から受信側の無線通信装置10へ伝送できる。このときに伝送するデータ45aとデータ45bは、同一内容のデータとしても良いし、異なる内容のデータとしても良い。また複数のデータの内で、伝送における優先度に差異がある場合には、データ45aとデータ45bに割り当てるデータを優先度に応じて変更してもよい。
【0055】
例えば、データ45aとデータ45bを同一内容のデータとした場合には、ビット同期41a、フレーム同期42a、またはビット同期41b、フレーム同期42bのいづれか一方によって同期を検出することによって、データ45aとデータ45bの少なくとも一方を受信することが可能となるため、通信の信頼性が向上するという効果を有する。
【0056】
例えば、データ45aとデータ45bを異なる内容のデータとした場合には、ビット同期41a、フレーム同期42aによって同期を検出することで、データ45aとデータ45bの両方を受信することが可能となり、ビット同期41b、フレーム同期42bによって同期を検出することで、少なくともデータ45bを受信することが可能となるため、無線通信の実効的な通信速度の低下を抑制するという効果を有する。
【0057】
例えば、第一のデータの優先度が高く、第二のデータの優先度が低い場合には、データ45aに第二のデータを割り当て、データ45bに第一のデータを割り当てることとする。このようにすることで、ビット同期41a、フレーム同期42a、またはビット同期41b、フレーム同期42bのいづれか一方によって同期を検出することによって、データ45bに割り当てた第一のデータを受信することが可能となるため、優先度の高いデータの伝送に対する無線通信の信頼性が向上するという効果を有する。
【0058】
次に図4を用いて、本実施形態における無線フレーム40の受信手順について説明する。
【0059】
無線通信装置10は、受信開始(ステップS50)の後、ビット同期、およびフレーム同期の検出を行う(ステップS51)。このとき単位フレームである無線フレーム40のビット同期41a、フレーム同期42a、またはビット同期41b、フレーム同期42bのどちらも検出できずにNGとなった場合、受信終了となる(ステップS57)。
【0060】
ステップS51において、ビット同期41a、フレーム同期42a、またはビット同期41b、フレーム同期42bのいづれか一方を検出してOKとなった場合、ステップS52においてレングス(A)43aまたはレングス(A)43bにより、フレーム同期42aまたは42bを行った後に無線フレーム40から受信する必要のあるビット列の長さを判定して受信する。
【0061】
このときレングス(A)43a、43bが示すデータビット列の長さは、例えば、レングス(A)43aの場合は、フラグ44a、レングス(B)47、データ45a、ビット同期41b、フレーム同期42b、レングス(A)43b、フラグ44b、データ45b、CRC46a、CRC46bの合計のビットサイズTB1とすればよい。
【0062】
レングス(A)43bが示すデータビット列の長さは、例えば、フラグ44b、データ45b、CRC46aの合計のビットサイズTB2とすればよい。
【0063】
次にステップS53では、CRC46aまたは46bによって、レングス(A)43aまたは43bにて受信したビット列において誤りビットが含まれているかどうかを判定する。
【0064】
例えば、レングス(A)43aによって受信したビット列TB1(フラグ44a、レングス(B)47、データ45a、ビット同期41b、フレーム同期42b、レングス(A)43b、フラグ44b、データ45b、CRC46a、CRC46b)において誤りビットが含まれているかを判定するために、CRC46bを計算することによって判定することができる。
【0065】
また、レングス(A)43bによって受信したビット列TB2(フラグ44b、データ45b、CRC46a)において誤りビットが含まれているかを判定するために、CRC46aを計算することによって判定することができる。
【0066】
このときCRC46aまたは46bによってビット列に誤りがあると判定されてNGとなった場合、ステップS57において受信終了となる
ステップS53においてCRC46aまたは46bによってビット列に誤りが無くOKとなった場合、ステップS54においてフラグ44aまたは44bにより、レングス(A)43aまたは43bにて受信したビット列の内、データとして含まれているブロック数を判定する。
【0067】
例えば、フラグ44aが「2」と判断した場合には、受信したビット列中にデータ45aとデータ45bが含まれていると判定することができる。一方、フラグ44bが「1」と判断した場合には、受信したビット列の中にデータ45bのみが含まれていると判定することができる。
【0068】
フラグ44aがデータ数「2」であった場合、ステップS55ではレングス(B)47によりデータ45aを保存し、次にステップS56においてレングス(A)43bによりデータ45bを保存し、受信終了となる(ステップS57)。
【0069】
フラグ44bがデータ数「1」であった場合、ステップS56ではレングス(A)43bによりデータ45bを保存し、受信終了となる(ステップS57)。
【0070】
なお、ステップS50からステップS57までの受信手順は、無線通信装置10の無線通信部12、通信制御部13、記憶部14を使用することでこれらの機能を実現することが可能である。
【0071】
以上、本実施形態では、同期部41a、42aとデータ部45aからなる部分が第1の同期単位構成、同期部41b、42bとデータ部45bからなる部分が第2の同期単位構成を表している。このように、単一無線フレーム40においてビット同期、フレーム同期を複数設けることで同期検出を容易にすることが可能であり、通信の信頼性を向上するという効果を有する。また、ビット同期、フレーム同期に続いてレングス(A)、レングス(B)、フラグを設けることで、データの受信を容易に可能とする無線通信方法および無線通信装置を提供することが可能である。
【0072】
次に、本発明を実施するための第二の実施形態について、図5を参照しながら説明する。
【0073】
図5では、図4に示した受信手順ステップS50からステップS57に加えて、ステップS58を追加している。ステップS58は、いわゆる応答処理であり、受信の際に、送信側に受信できたことを返信する確認処理を行うものである。ここでは、無線フレーム40に含まれるデータ45a、45bの内、実際に受信できたデータ数を含む応答信号を送信する手順である。
【0074】
受信側の無線通信装置10から実際に受信したデータ数を送信側の無線通信装置10へ送信することで、送信側の無線通信装置10は、次回の無線フレームの送信時において、受信側の無線通信装置10において受信されなかったデータ45a、45bの内の一方または両方を再送することを可能とする。
【0075】
以上、本実施形態では、第一の実施形態に、受信したデータ数を含む応答信号を送信する手順(ステップS58)を加えることで、データの再送を可能とし、通信の信頼性を向上するという効果を有する。
【0076】
次に、本発明を実施するための第三の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0077】
図6を用いて、本実施形態における無線フレーム40の構成について説明する。単位無線フレーム40は、ビット同期41a、41b、フレーム同期42a、42b、レングス(A)43a、43b、データ45a、45b、CRC(巡回冗長検査符号)46a、46bを備える。図1で説明した無線フレーム40からレングス(B)47とフラグ44a、44bを不要とする構成となっている。
【0078】
この図6の無線フレーム40も、先頭が同期部からはじまり、後部がデータチェック部となるデータフレームを単位フレームとしている。そして、単位フレーム内には同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備えている。図6の場合、ビット同期41aからCRC46bまでが、単位フレームであり、同期部41a、42aとデータ部45aからなる部分が第1の同期単位構成、同期部41b、42bとデータ部45bからなる部分が第2の同期単位構成を表している。これにより、単位フレーム内には同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備えている。
【0079】
次に図7を用いて、本実施形態における無線フレーム40の受信手順について説明する。なお、ステップS50からステップS53までの手順は図4に示した第二の実施形態と同様である。図7では、ステップS53においてCRCエラーの判定がOKとなった場合、ステップS59において受信したデータ中におけるビット同期、フレーム同期の検出を行う。
【0080】
ビット同期、フレーム同期は送信側と受信側で既知の固有ビットパターンであるため、受信側で検出可能である。またデータにおいてビット同期、フレーム同期と一致するパターンが偶然に発生する可能性もあるが、通常ビット同期、フレーム同期は数バイトの長さであるため、その確率は非常に低い。したがって、データ45aとビット同期41bの区切りを検出することが可能である。
【0081】
ステップS59において、ビット同期、フレーム同期を検出してOKとなった場合は、データ45aを保存し(ステップS60)、次にデータ45bを保存し(ステップS61)、受信終了となる(ステップS57)。
【0082】
一方、ステップS59においてビット同期、フレーム同期を検出できずにNGとなった場合は、データ45bを保存し(ステップS61)、受信終了となる(ステップS57)。
【0083】
以上、本実施形態では、受信したデータ中におけるビット同期、フレーム同期の検出を行うことでデータ45a、45bの受信を可能とした。無線フレーム40からレングス(B)47とフラグ44a、44bを不要とする構成としたことで、無線通信の実効的な通信速度を向上させるという効果を有する。
【0084】
次に、本発明を実施するための第四の実施形態について、図8を参照しながら説明する。
【0085】
図8では、図7に示した受信手順ステップS50からステップS61に加えて、ステップS62を追加している。ステップS62は、いわゆる応答処理であり、受信の際に、送信側に受信できたことを返信する確認処理を行うものである。ここでは、無線フレーム40に含まれるデータ45a、45bの内、実際に受信できたデータ数を含む応答信号を送信する手順である。
【0086】
受信側の無線通信装置10から実際に受信したデータ数を送信側の無線通信装置10へ送信することで、送信側の無線通信装置10は次回の無線フレームの送信時において、受信側の無線通信装置10において受信されなかったデータ45a、45bの内の一方または両方を再送することを可能とする。
【0087】
以上、本実施形態では、第三の実施形態に、受信したデータ数を含む応答信号を送信する手順(ステップS62)を加えることで、データの再送を可能とし、通信の信頼性を向上するという効果を有する。
【0088】
また同期検出後にデータ部の位置および長さを一意に特定することが可能であるため、容易にデータを受信することが可能である。また同期検出のための信号を少なくすることが可能であるため実効的な伝送速度の低下を抑制することが可能である。これらの結果、無線通信の信頼性を向上することが可能である。
【0089】
なお、以上述べた第一から第四の実施形態では、ユニット式電力量計1が、電力量計測部20、開閉器30、無線通信装置10を構成要素とするものとして説明したが、電力量計測部20と開閉器30を独立の装置として無線通信装置10を外付けする構成としても構わない。また、電力量計測部20または開閉器30が無線通信装置10を内蔵する構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、各種の検針を容易に実現することができるので、電力検針以外、水道、ガス検針に適用可能であり、検針に限らず無線通信システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1:ユニット式電力量計(電力量計)
10:無線通信装置
11:アンテナ
12:無線通信部
13:通信制御部
14:記憶部
15:入出力インターフェース部
16:電源部
20:電力量計測部
30:開閉器
40:無線フレーム
41a,41b:ビット同期
42a,42b:フレーム同期
43a,43b:レングス(A)
44a,44b:フラグ
45a,45b:データ
46a,46b:CRC
47:レングス(B)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期部からはじまり、後部がデータチェック部となる無線フレームを単位フレームとし、該単位フレーム内に同期部とデータ部からなる同期単位構成を複数備えていることを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
第1項記載の無線通信方法において、
前記同期単位構成は、第一のビット同期、第一のフレーム同期、第一のデータから構成される第1の同期単位構成と、第二のビット同期、第二のフレーム同期、第二のデータから構成される第2の同期単位構成とを備え、第1の同期単位構成、第2の同期単位構成、データチェック部の順に時系列的に伝送されることを特徴とする無線通信方法。
【請求項3】
第2項記載の無線通信方法において、
各同期単位構成は、フレーム同期とデータの間に、当該単位フレーム内のデータブロックの個数を示すフラグ部を備えるとともに、フラグ部に記述されるデータブロックの個数は、当該フラグ部以降のデータブロック数とされることを特徴とする無線通信方法。
【請求項4】
第2項記載の無線通信方法において、
各同期単位構成は、フレーム同期の後段に、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述したレングスを含み、受信側ではレングス確認後、ここに記載されたビット列の長さの信号を有意の信号として取り込むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項5】
第2項記載の無線通信方法において、
第一のデータと第二のデータのいずれかまたは両方のデータ量を示すための受信したデータ数を含む応答信号を送信することで、受信することができなかった第一のデータと第二のデータのいずれかまたは両方を再送することを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
第2項記載の無線通信方法において、
各同期単位構成のデータは、同一内容、または異なる内容とされることを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
第6項記載の無線通信方法において、
各同期単位構成のデータが異なる内容のデータとされるときに、より優先度の高いデータを時系列的後段の第2のデータとすることを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
第一のビット同期、第一のフレーム同期、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送することを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
第一のビット同期、第一のフレーム同期、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送することを特徴とする無線通信装置。
【請求項10】
第一のビット同期、第一のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第一のデータから構成される第1の同期単位構成、第二のビット同期、第二のフレーム同期、受信して取り込むべきビット列の長さの情報を記述した第1のレングス、データブロックの個数を示す第1のフラグ部、第二のデータから構成される第2の同期単位構成、データチェック部を単位フレームとし、この順に時系列的に伝送することを特徴とする無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−85188(P2012−85188A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231109(P2010−231109)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】