説明

無線通信方法,無線通信システム,及び無線通信デバイス

【課題】隠れノード問題を解決することができる無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信方法では,無線通信を行うにあたり,まず,ピコネットコーディネーターが同期化パラメーター(ビーコンやシンクフレーム)を含む信号を送出する。続いて,信号の受信に成功した無線通信デバイスが,当該ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットを形成する。ここで,ピコネットコーディネーターは,同期化パラメーターを用いて,無線通信デバイスが当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨を設定することができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線通信方法,無線通信システム,及び無線通信デバイスに関し,同期化パラメーターを用いた無線通信方法及び無線通信システム,並びにそのような同期化パラメーターを含む信号を送信する無線通信デバイスなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では,無線通信システムとして,無線パーソナルエリアネットワークWPAN(WPAN)システムが注目されている。WPANシステムとしては,ミリ波帯を利用したミリ波WPANシステムがある。ミリ波WPANシステムは,毎秒ギガビット(Gbps)の送信能力を持つことが知られている。
【0003】
WPANシステムは,複数の無線通信デバイスを含む。そして,これら複数の無線通信デバイスのうち,1つの無線通信デバイスがピコネットコーディネーター(PNC)となる。ピコネットコーディネーター(PNC)とは,ピコネットに必要な無線通信デバイスのアクセス制御等を管理するためのデバイスである。
【0004】
WPANシステムでは,無線通信を始めるにあたり,まず,ピコネットコーディネーター(PNC)が,ビーコン(beacon)に,必要な制御情報を含ませ,そのビーコンを含む信号を各無線通信デバイスに向けて送出する。続いて,ピコネットコーディネーター(PNC)は,ビーコンの受信に成功した無線通信デバイスとの間でピコネットを形成する。したがって,無線通信デバイスにとっては,ビーコン受信可能範囲がピコネットを検出できる範囲に相当する。そして,ピコネットのメンバーが増えることで,無線通信デバイス間でも無線通信が可能な状態となる。
【0005】
ところで,2種類のピコネットが互いに近くにある場合において,たとえば,一方のピコネットを形成しているピコネットコーディネーター(PNC)が移動した結果,双方のビーコン受信可能範囲が部分的に重なることがある。
【0006】
図6には,無線通信デバイス1a〜1dがピコネットコーディネーター(PNC1)の制御のもとに,第1ビーコン受信可能範囲内で第1ピコネットを形成していたところに,別のピコネットコーディネーター(PNC2)が移動した結果,無線通信デバイス1c及び無線通信デバイス1dが第2ピコネットの第2ビーコン受信可能範囲内に入ったときの状態を示している。ただし,図6に示すように,第2ピコネットのピコネットコーディネーター(PNC2)は,第1ピコネットの第1ビーコン受信可能範囲内には入っていない。
【0007】
そして,図6に示した例の場合,ピコネットコーディネーター(PNC1)は,無線通信デバイス1cと無線通信デバイス1dとの間の無線通信を制御する。他方,図6に示した例の場合では,別のピコネットコーディネーター(PNC2)は,無線通信デバイス1cや無線通信デバイス1dとの間で同期をとるために,無線通信デバイス1cや無線通信デバイス1dからシンクパケット(Sync Packet)を受信しようとする。すなわち,無線通信デバイス1cや無線通信デバイス1dは,ピコネットコーディネーター(PNC1)による制御を受けているときに,別のピコネットコーディネーター(PNC2)による制御が開始されることとなる。
【0008】
つまり,ピコネットコーディネーター(PNC1)による制御と,別のピコネットコーディネーター(PNC2)による制御とが,同じチャネルを用いて行われることとなる。その結果,そのチャネルの信号や別のピコネットコーディネーター(PNC2)などに強い干渉が生じるという問題がある。
【0009】
なお,図6に示す例において,別のピコネットコーディネーター(PNC2)そのものがさらに移動した結果,第1ピコネットの第1ビーコン受信可能範囲内に入った場合には,ピコネットコーディネーター(PNC1,PNC2)同士は互いに検出できるので,いずれかがピコネットコーディネーター(PNC)として機能するようにすればよい。したがって,上記の問題は顕著には発生しない。
【0010】
したがって,上記の問題は,図6に示したように,一方のピコネットコーディネーター(PNC)の視界から他方のピコネットコーディネーター(PNC)があたかも隠れたような状態にあるときにのみ生じる問題であり,隠れPNC問題,又は隠れノード(hidden node)問題と呼ばれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】IEEE,「IEEE 802.15 WPAN Task Group 3c (TG3c) Millimeter Wave Alternative PHY」,[online],平成21年3月31日,IEEE,(平成21年3月31日検索),インターネット,<URL:http://www.ieee802.org/15/pub/TG3c.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで,本発明は,隠れノード問題を解決することができる無線通信方法,無線通信システム,及び無線通信デバイスを提供することを第1の目的とする。
【0013】
また,本発明は,ピコネットの検出範囲を拡大することができる無線通信方法,無線通信システム,及び無線通信デバイスを提供することを第2の目的とする。
【0014】
さらに,本発明は,単一のチャネルで動作するピコネットにおいて干渉を緩和することができる無線通信方法,無線通信システム,及び無線通信デバイスを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は,基本的には,無線通信方法などに関する。本発明の無線通信方法では,同期化パラメーターを用いて無線通信が行われる。
【0016】
本発明の無線通信方法では,無線通信を行うにあたり,送出ステップと,ピコネット形成ステップとが実行される。ここで,送出ステップは,ピコネットコーディネーターが同期化パラメーターを含む信号(たとえば,ビーコンを含む信号)を送出するステップである。また,ピコネット形成ステップは,ピコネットコーディネーターから送出された同期化パラメーターを含む信号の受信に成功した無線通信デバイスが,当該ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットを形成するステップである。
【0017】
そして,本発明では,上記送出ステップにおいて,設定ステップが行われる。設定ステップでは,ピコネットコーディネーターが,同期化パラメーターを用いて,無線通信デバイスが当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨が設定される。これにより,別の無線通信デバイスは,ピコネットを形成する無線通信デバイスと情報を共有することができる。その結果,ピコネット形成ステップで形成されたピコネットを別の無線通信デバイスが検出可能な範囲には,ピコネットコーディネーターが上記信号を送信可能な範囲と,別の無線通信デバイスがコンテンツを含む信号を送信可能な範囲とが含まれることとなる。つまり,ピコネットの検出範囲が広い。
【0018】
上記発明によれば,別の無線通信デバイスは,他のピコネットの情報を入手することができるので,その情報を利用して動作することで,隠れノード問題を解決することが可能となるとともに,単一のチャネルで動作するピコネットにおいて干渉を緩和することが可能となる。
【0019】
また,本発明の他の側面では,上記無線通信方法において,さらに決定ステップが実行される。この決定ステップは,上記別の無線通信デバイスが,上記コンテンツに基づいて,無線通信に用いられているチャネルを利用するかどうかを決定するためのステップである。
【0020】
そして,上記決定ステップの結果,上記チャネルを利用しない場合,別の無線通信デバイスは,当該チャネルとは別のチャネルに切り替える。これにより,チャネル内での干渉をなくすことができる。一方,上記チャネルを利用する場合,当該チャネルを用いて行われている無線通信のタイムスロットに対応する時間が経過するまで,別の無線通信デバイスは待機を行う。これにより,同じチャネルにおける競合がなくなり,干渉を回避することができる。
【0021】
また,本発明のさらに他の側面では,上記ピコネットにおける時間が,複数のスーパーフレームに分割されている。この場合,同期化パラメーターは,複数のスーパーフレームの各々に固有の連続番号を示す情報と,複数のスーパーフレームの各々の時間長を示す情報と,複数のスーパーフレームの各々に含まれる競合アクセス期間(CAP)の終了時刻に関する情報と,複数のスーパーフレームの各々の開始時刻を基準としたときの同期化パラメーターにおける時間オフセットに関する情報とを含んでいる。これにより,同期化パラメーターを受信した無線通信デバイスや,同じコンテンツを受信した上記別の無線通信デバイスは,各スーパーフレームにおいて無線通信が行われる時間を容易に特定することができるようになる。
【0022】
また,本発明の他の側面では,上記同期化パラメーターを含む信号が,複数のチャネル時間割当てブロック(CTAブロック)を含んでいる。複数のCTAブロックの各々は,開始時刻に関する情報と,CTAの期間に関する情報とを含んでいる。これにより,ピコネット内で無線通信が行われる時間を確実に特定することができる。
【0023】
さらに,本発明の好ましい側面では,上記CTAの期間において以下の動作が行われる。まず,無線通信デバイスが,上記コンテンツを含む信号を,ACKポリシーがlmp−ACKにセットされた状態で,別の無線通信デバイスに送信する。これに応じて,別の無線通信デバイスは,無線通信デバイスが送出した信号に返答する。その後,別の無線通信デバイスから返答を受けた無線通信デバイスは,別の無線通信デバイスに対してデータフレームを送信する。このようにすることで,無線通信(データ送信)が行われる。この好ましい側面によれば,隠れノード問題にかかわらず,確実に無線通信を行うことができる。
【0024】
また,本発明の他の側面では,上記同期化パラメーターを含む信号が,ビーコン又はビーコンを模したシンクフレームを含むようにフォーマットされている。これにより,ピコネットコーディネーターや無線通信デバイスの構成を変更する必要がなく,フォーマットを変更するだけで済むので,低コストで上述した効果を奏することができる。
【0025】
また,本発明の別の側面は,無線通信システムである。この別の側面に係る無線通信システムは,同期化パラメーターを含む信号を送出可能なピコネットコーディネーターと,同期化パラメーターを含む信号を受信可能な複数の無線通信デバイスとを含んでいる。ここで,複数の無線通信デバイスのうち,ピコネットコーディネーターから送出された同期化パラメーターを含む信号の受信に成功した無線通信デバイスが,当該ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットを形成するように構成されている。そして,本発明の無線通信システムでは,上述した無線通信方法にしたがって,動作する。したがって,本発明の別の側面においても,上述した効果と同等の効果を奏することができる。
【0026】
さらに,本発明のさらに別の側面は,無線通信デバイスである。このさらに別の側面に係る無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーターから送出された同期化パラメーターを用いて無線通信を行うものである。この無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットが形成可能である場合,ピコネットコーディネーターから,同期化パラメーターを含む信号を受信する際に,当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨を受信する。そして,この無線通信デバイスは,コンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信する。これにより,当該別の無線通信デバイスとでコンテンツを共有するように構成されている。
【0027】
このさらに別の側面によれば,別の無線通信デバイスは,ピコネットが形成できるかどうかにかかわらず,無線通信デバイスのピコネットの情報(コンテンツ)を入手することができるので,その情報を利用して動作することで,隠れノード問題を解決することが可能となるとともに,単一のチャネルで動作するピコネットにおいて干渉を緩和することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば,隠れノード問題を解決することができる。また,本発明によれば,ピコネット検出範囲を拡大することができる。さらに,本発明によれば,単一のチャネルで動作するピコネットにおいて干渉を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の無線通信システム1の構成例を示す図である。
【図2】図1のピコネットコーディネーター(PNC)10が送信するビーコンのフレームフォーマットを説明するための図である。
【図3】図3は,複数のスーパーフレームのうちの1つのスーパーフレームを説明するための図である。
【図4】図4は,図3におけるCTAPを構成する複数のCTAのうちの1つのCTAを詳細に説明するための図である。
【図5】図5は,図1の無線通信システム1において,隠れノード問題が生じ得るような状況にあるときの例を示す図である。
【図6】図6は,従来の無線通信システムにおける課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下,図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかしながら,以下説明する形態はある例であって,当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
【0031】
図1は,本発明の無線通信システム1の構成例を示す図である。図1に示すように,無線通信システム1は,無線通信デバイス(DEV)1A〜1D(以下,単に,無線通信デバイスともいう)と,ピコネットコーディネーター(PNC)10とを含んで構成されている。無線通信デバイス1A〜1D及びピコネットコーディネーター(PNC)10は,いずれも無線通信可能に構成されている。なお,本システム1は,無線通信デバイス1A〜1D以外の無線通信デバイスを含んでもよい。
【0032】
無線通信システム1は,アドホックモードでネットワークが形成されるシステムであり,たとえば,無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)システムである。このようなWPANシステムとしては,ミリ波帯を利用したミリ波WPANシステムを挙げることができる。ミリ波WPANシステムは,59〜76GHz(たとえば60GHz)の周波数帯域で動作し,毎秒ギガビット(Gbps)の送信能力を持つ。
【0033】
無線通信システム1としてWPANシステムを採用することにより,大容量のデータ転送が可能となる。このため,たとえば,広い周波数帯域を必要とする無線環境を整備することが可能となる。屋内における無線環境の例としては,高解像度テレビ(HDTV)における非圧縮データ送信,家庭用のビデオシステムにおけるデータ転送,インターネットでの高速アクセス,及びギガビット型のイーサネット(登録商標)が挙げられる。
【0034】
ピコネットコーディネーター(PNC)10は,無線通信システム1において制御局として機能するものであり,具体的には,同期や制御(特には各無線通信デバイスに対するアクセス制御)を行うためのものである。ピコネットコーディネーター(PNC)10は,無線通信システム1に含まれる複数の無線通信デバイスのうち,1つの無線通信デバイスが,主導権を握ることで制御局となったものであってもよいし,他の無線通信デバイスから制御局として特定又は指定されたものであってもよい。なお,ピコネットコーディネーター(PNC)10は,無線通信デバイスそのものであってもよいし,無線通信デバイスに内蔵された制御装置であってもよい。
【0035】
ピコネットコーディネーター(PNC)10は,無線通信システム1において,無線通信を開始するにあたり,同期化パラメーターを含む信号を外部に向けて(つまり,複数の無線通信デバイスに対して)送出するように構成されている。ここで,同期化パラメーターを含む信号とは,いわゆるビーコン(beacon)である。また,ピコネットコーディネーター(PNC)10は,無線通信システム1においてビーコンの受信に成功した無線通信デバイス(無線通信デバイス1A〜1D)との間で図1に示すようなピコネットAを形成するように構成されている。なお,ピコネットとは,WPANシステムにおいて複数のデバイスがアドホックモードで形成したネットワークをいう。言い換えると,ピコネットは,ピコネットコーディネーター(PNC)10からのビーコンを無線通信デバイスが受信可能な範囲で形成される。ところで,ビーコンには,同期化パラメーターが含まれているので,ピコネットA内で同期をとることができるようになっている。
【0036】
また,ピコネットコーディネーター(PNC)10は,必要な制御情報をビーコンに含ませることができるように構成されており,これにより,ピコネットAのメンバーとなっている無線通信デバイスを制御することができる。
【0037】
各無線通信デバイスは,無線通信可能に構成されており,具体的には,送信部と,受信部と,制御部とを含んで構成されている。このようなデバイスとしては,携帯型の無線通信装置(たとえば,ノート型PCや,携帯電話機,ディジタルカメラ)や,据置型の無線通信装置(たとえば,デスクトップ型PCや,ビデオシステムなどの動画再生装置,オーディオシステムなどの音声再生装置,又は,これらの複合装置)を挙げることができる。無線通信デバイスの送信部は,電波(信号)を送信する送信機として機能するものである。また,無線通信デバイスの受信部は,電波(信号)を受信する受信機として機能するものである。送信部や受信部は,アンテナ素子を含んでおり,アンテナ素子の数は,無線通信で用いることが可能なチャネルの数に応じたものとなっている。無線通信デバイスの制御部は,受信した信号や送信すべき信号を処理するためのものである。制御部は,ピコネットコーディネーター(PNC)10から受信したビーコンのコンテンツを読み出して,そのコンテンツに含まれている制御情報にしたがって無線通信デバイスが動作するように制御するとともに,ビーコンの送信元に関する情報(つまりピコネットコーディネーター(PNC)10に関する情報)を管理する。
【0038】
続いて,無線通信システム1において無線通信が確立するまでの動作やデータなどについて説明する。
【0039】
無線通信システム1において,まず,ピコネットコーディネーター(PNC)10は,ビーコン(以下,第1ビーコンともいう)を含む信号を,外部(つまり無線通信デバイス)に向けて送出する。ここで,ビーコンの送信可能範囲(無線通信デバイスにとっては第1ビーコンの受信可能範囲)は,ピコネットコーディネーター(PNC)10がビーコンを送出するときの方向や出力に応じて定まることとなる。
【0040】
ここで,ピコネットコーディネーター(PNC)10が送信するビーコンについて詳細に説明する。
【0041】
ビーコンを含む信号(以下,単にビーコンともいう)は,スーパーフレーム(SF)を1単位として送信される。スーパーフレームとは,ピコネットにおける期間を複数の期間に分割したものである。ピコネットにおける期間は,複数のスーパーフレームが時間的に連続するように分割される。本態様では,このスーパーフレームを1単位として,無線通信や無線通信に必要なアソシエーション処理が行われるようになっている。スーパーフレームの詳細については後述する。
【0042】
図2は,図1のピコネットコーディネーター(PNC)10が送信するビーコンのフレームフォーマットを説明するための図である。なお,本態様では,図2に示すフレームフォーマットは,無線通信デバイスが同期化パラメーターを送信するための信号(シンクフレーム)にも適用される(後述)。
【0043】
図2に示すビーコンは,概略的には,ヘッダー情報を格納するヘッダー部分と,実質的なデータ(送受信対象のデータ)を格納するペイロードと,末尾のフレームチェックシーケンス(FCS)とで構成されている。ヘッダー部分は,前提部(プリアンブル)と,PHYと,MACヘッダーと,ヘッダーチェックシーケンス(HCS)とを含んでいる。
【0044】
ペイロードは,同期化パラメーターに対応するフレームと,複数のCTAブロックとで構成されている。CTAの詳細については後述する。同期化パラメーターに対応するフレームには,図2に示すように,スーパーフレーム番号フィールドと,スーパーフレーム期間フィールドと,CAP終了時刻フィールドと,フレーム開始時刻フィールドとが含まれている。
【0045】
スーパーフレーム番号フィールドには,現在のスーパーフレームの連続番号に関する情報がスーパーフレーム番号として格納される。スーパーフレーム期間フィールドには,スーパーフレームの時間的な長さを示す情報がスーパーフレーム番号として格納される。
【0046】
CAP終了時刻フィールドには,現在のスーパーフレームにおいて競合アクセス期間(CAP)の終了時刻を示す情報が格納される。CAPの詳細については後述する。フレーム開始時刻フィールドには,ビーコン(又はSyncフレーム)の時間オフセットを示す情報が格納される。
【0047】
また,ペイロードに含まれる多数のCTAブロックの各々は,図2に示すように,CTAロケーションフィールドとCTA期間フィールドとを含んでいる。CTAロケーションフィールドには,CTAの開始時刻に関する情報が含まれている。また,CTA期間フィールドには,CTA期間に関する情報が含まれている。
【0048】
図2に示すようなフレームフォーマットを用いることによって,ピコネット内のメンバー(複数の無線通信デバイスやピコネットコーディネーター(PNC))は,現在のスーパーフレームの番号や期間に関する情報(同期化パラメーター)を共有することができるようになっているとともに,同期をとることができるようになっている。
【0049】
そして,ピコネットコーディネーター(PNC)10から送出されたビーコンは,ビーコンの送信可能範囲内にある複数の無線通信デバイス(図1に示す無線通信デバイス1A〜1D)によって受信される。このようにしてビーコンの受信に成功した各無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーター(PNC)に対してアソシエーション要求を行うこととなる。
【0050】
ピコネットコーディネーター(PNC)10は,アソシエーションを承諾している無線通信デバイスに対しては,その無線通信デバイス用のタイムスロットを割り当て,その割り当て情報とともにビーコンとして送信する。ここで送信されるビーコン(同期化パラメーター)には,ピコネットコーディネーター(PNC)10が送信したビーコンと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨(以下,承認情報ともいう)が制御情報として設定されている。
【0051】
そして,無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーター(PNC)10から上記承認情報を含むビーコンを受信した場合には,受信したビーコンのコンテンツを新しいビーコン用フレームにコピーし,割り当てられたタイムスロットに対応する時間内に外部へ向けて送出する。したがって,本態様では,無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーター(PNC)10が送信するビーコンと同じコンテンツを含むビーコンを送信することが可能となっている。
【0052】
図3には,複数のスーパーフレームのうちの1つのスーパーフレームを説明するための図である。ピコネットコーディネーター(PNC)10だけでなく,無線通信デバイスもビーコンが送信可能であることが示されている。
【0053】
図3に示すように,1つのスーパーフレームは,3つの部分から構成されており,具体的には,ビーコン(ビーコンフレーム)と,競合アクセス期間(CAP)と,チャネル時間割当て期間(CTAP)とから構成されている。
【0054】
ビーコンは,スーパーフレームの冒頭部分に設定された期間に相当し,無線通信システムにおいて同期をとるためのものである。ビーコンは,具体的には,スーパーフレームの開始を示すとともに,複数の無線通信デバイスにチャネルを利用すべき正しい時刻を通知するためのものである。このビーコンは,スーパーフレームが変わるごとに送信(報知)され,これにより,複数の無線通信デバイスの間で同期をとることができるようになっている。
【0055】
また,本態様では,ピコネットコーディネーター(PNC)10からビーコンを送出する期間の他にも,図3に示すように,各無線通信デバイス(DEV1,…,DEV4)からビーコンを送出する期間が設定されている。無線通信デバイスからのビーコンは,ピコネットコーディネーター(PNC)10から受信したビーコンのコンテンツをコピーしたものであり,同じコンテンツを含んでいる。
【0056】
競合アクセス期間(CAP)は,ビーコンに続く時間に設定された期間に相当し,キャリア検出多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA)型のアクセス方法に基づいたものである。CAPは,非同期のデータやコマンドに用いることが好ましい。
【0057】
チャネル時間割当て期間(CTAP)は,スーパーフレームの残りの期間に相当し,複数のチャネル時間割当て(CTA)から構成されている。各CTAは,あるデバイス対が無線通信を行うためのタイムスロットに相当し,このタイムタイムスロットは,ピコネットコーディネーター(PNC)の承認をもとに決定される。CTAPでは,ピコネット内において,時分割多重アクセス(TDMA)型の通信が可能となる。CTAは,たとえば,時間に敏感なトラフィック(例えば,オーディオ/ビデオのストリーミング)のために利用される。
【0058】
図3に示したように,本態様の無線通信システム1では,ピコネットコーディネーター(PNC)10だけでなく,ピコネットAを構成する無線通信デバイス(DEV1A〜1D)もビーコンを送出することが可能となっている(分配ビーコン送信方法)。すなわち,ビーコン送信を担うデバイスが,ピコネットコーディネーター(PNC)と,無線通信デバイスとに分配されている。このため,各無線通信デバイスは,ピコネットコーディネーター(PNC)10からの制御とは独立した制御も行うことが可能となっている。
【0059】
通常,新しいピコネットの開始を希望している無線通信デバイス(たとえば,電源がONになったばかりの無線通信デバイス)は,まず,ビーコン用のチャネルをスキャンして,ピコネットコーディネーター(PNC)の検出を試行する。続いて,その無線通信デバイスは,あるピコネットコーディネーター(PNC)からのビーコンを受信した場合,そのビーコンを用いて,そのピコネットコーディネーター(PNC)とアソシエーションを行う。アソシエーション応答がなされて,ピコネットが形成されると,ピコネットのメンバー同士での無線通信が可能な状態となる。図1に示す例では,無線通信デバイス1A〜1Dとピコネットコーディネーター(PNC)10との間でピコネットAが形成されている。
【0060】
また,本態様では,上述したとおり,各無線通信デバイスもビーコンを送信可能となっている。そのため,新しいピコネットの開始を希望している無線通信デバイスは,既存のピコネット(たとえば,図1のピコネットA)内の無線通信デバイスからもビーコンを受信することがある。そして,その無線通信デバイスは,ビーコンに含まれている情報を活用することは承認される。ただし,その無線通信デバイスは,既存のピコネットのメンバーに加わることが承認されないようになっている。したがって,無線通信デバイスは,ピコネットAにおいて,ピコネットコーディネーター(PNC)10からビーコンを受信しない限り,ピコネットAのメンバーに加わることができないようになっている。
【0061】
続いて,CTAについて説明する。図4は,図3におけるCTAPを構成する複数のCTAのうちの1つのCTAを詳細に説明するための図である。
【0062】
図4に示すように,CTAPは,複数のCTAを含んで構成されている。複数のCTAは,ピコネットコーディネーター(PNC)によって割り当てられる。具体的には,複数のCTAは,無線通信システム1に含まれる複数の無線通信デバイス及びピコネットコーディネーター(PNC)から2つのデバイス(以下,デバイス対ともいう)を選ぶときの組み合わせに応じて設定される。
【0063】
図4には,無線通信デバイス(DEV)1C用のCTAの詳細が示されている。このCTAでは,まず,デバイス対(図4に示す例では,DEV1C及びDEV1D)を構成する一方のデバイス(DEV1C)から,他方のデバイス(DEV1D)へとシンクフレーム(Syncフレーム)が,ACKポリシーがImp−ACK(インプライドACK)にセットされた状態で送信される。ここで,シンクフレームは,ビーコンを模したものであり,同期化パラメーターと同じコンテンツを含むものである。なお,インプライドACKとは,指定された受領者が受領に成功した場合,Imm−ACKフレーム,データフレーム,又はコマンドフレームを返送することを記述したものである。
【0064】
SIFSに対応する期間を待機した後,他方のデバイス(DEV1D)も応答としてシンクフレームを外部に向けて送出する。このCTAでは,一方のデバイス(DEV1C)がその他方のデバイス(DEV1D)からのシンクフレームを受信することとなる。このようにして,デバイス対(DEV1C及びDEV1D)においてシンクフレームの交換がなされることとなる。
【0065】
そして,シンクフレームの交換が完了したら,一方のデバイス(DEV1C)は,通常のデータフレームを他方のデバイス(DEV1D)へと送信する。これにより,通信対象のデータの送信が行われる。なお,無線通信デバイス(DEV)1D用のCTAでは,同様に,無線通信デバイス(DEV)1Cへのデータ送信が行われる。これにより,デバイス対でのデータの送受信も可能となる。
【0066】
次に,隠れノード問題が生じ得るような状況にある場合について,本態様による無線通信システム1における動作について説明する。概略的には,本態様では,各無線通信デバイスは,他の無線通信デバイスから送信されたビーコン又はシンクフレームといった同期化パラメーターに含まれる情報を利用することで,隠れノード問題が生じたとしても,干渉が生じないようになっている。
【0067】
図5は,図1の無線通信システム1において,隠れノード問題が生じ得るような状況にあるときの例を示す図である。図5に示すように,無線通信デバイス1Cと無線通信デバイス1Dは,ピコネットBのビーコン受信可能範囲にも含まれており,かつ,ピコネットコーディネーター(PNC)10とピコネットコーディネーター(PNC)20とは,1つのビーコン受信可能範囲内に入っておらず,互いに検出できない状況にある。したがって,背景技術で説明したような隠れノード問題が生じ得る。
【0068】
そこで,本態様では,各無線通信デバイスは,まず,同期化パラメーターに含まれる情報に基づいて,無線通信に用いられているチャネルを利用するかどうか(チャネルアクセス方法)を決定するように構成されている。
【0069】
ここで,利用する同期化パラメーターが,その無線通信デバイスが属するピコネットのメンバーである他の無線通信デバイスやピコネットコーディネーター(PNC)からの同期化パラメーターである場合,現在用いているチャネルを利用すると判断される。なお,利用する同期化パラメーターが,その無線通信デバイスが属するピコネットのメンバーである他の無線通信デバイスやピコネットコーディネーター(PNC)からの同期化パラメーターであることは,たとえば,制御情報に上記承認情報が含まれていることを確認することで容易に判断することができる。
【0070】
図5では,たとえば無線通信デバイス1Aは,ピコネットコーディネーター(PNC)10からの同期化パラメーターを利用するため,ピコネットコーディネーター(PNC)10を検出に成功しており,現在用いているチャネルを利用する。
【0071】
一方,利用する同期化パラメーターが,その無線通信デバイスが属するピコネットのメンバーではない無線通信デバイス(つまり,別のピコネットのメンバーである無線通信デバイス)からの同期化パラメーターを利用する場合,まず,現在用いているチャネルを直ちには利用しないと判断される。なお,利用する同期化パラメーターが,その無線通信デバイスが属するピコネットのメンバーではない無線通信デバイスやピコネットコーディネーター(PNC)からの同期化パラメーターであることは,たとえば,利用する同期化パラメーターの承認情報と,その無線通信デバイスが既に属しているピコネットにおいて既に得ている同期化パラメーターの承認情報とを比較することで容易に判断することができる。
【0072】
図5では,たとえば,無線通信デバイス1Cは,ピコネットコーディネーター(PNC)10から承認情報を受信した状態にあるときに,ピコネットBのメンバーである無線通信デバイス1XからもピコネットBに関する同期化パラメーターを受信することがある。しかし,無線通信デバイス1Cは,ピコネットコーディネーター(PNC)20から承認情報を受信していないか,又は,受信していたとしても,その受信は,ピコネットコーディネーター(PNC)10からの受信よりも後の受信であるため,ピコネットBのメンバーには加入することができない。このような場合,無線通信デバイス1Cは,無線通信デバイス1Xから受信した同期化パラメーターを用いることは許されているが,この同期化パラメーターを利用する場合,無線通信デバイス1Cは,現在用いているチャネル(無線通信デバイス1Xとのチャネル)を直ちには利用しないと判断する。
【0073】
そして,現在用いているチャネルを直ちには利用しないとき,無線通信デバイスは,そのチャネルとは別の利用可能なチャネルがあるかどうかを判断する。その判断の結果,利用可能なチャネルがある場合には,チャネルをそのチャネルに切り替え,そのチャネルを用いて無線通信を行う。これにより,2つのピコネットで同じチャネルを用いることによる干渉をなくすことができる。上記の例では,無線通信デバイス1Cは,無線通信デバイス1Xとの間で利用可能なチャネルを探し,そのチャネルを用いて両者の間で無線通信を行う。これにより,同一のチャネル内での干渉がなくなる。
【0074】
一方,その判断の結果,利用可能なチャネルがない場合には,現在のチャネルを用いて行われている無線通信のタイムスロットに対応する時間が経過するまで待機し,その時間が経過した後に,そのチャネルを用いて無線通信を行う。すなわち,タイムスロットのスケジューリングが行われる。上記の例では,無線通信デバイス1Cは,ピコネットA内のデバイスとの無線通信が完了した後に,無線通信デバイス1Xとの間で無線通信を行う。スケジューリングは,図2に示したスーパーフレームの情報などに基づいて行うことで容易に行うことができる。このようにすることで,2つのピコネットで同じチャネルを用いたとしても,用いる時間を異ならせることができ,競合をなくして干渉をなくすことができる。
【0075】
以上詳細に説明したように,本態様による無線通信システム1によれば,ピコネットコーディネーター(PNC)10は,ピコネットAを構成する無線通信デバイス(1A〜1D)がビーコンの同期化パラメーターと同じコンテンツを利用できるようにするための承認情報を,ビーコンの制御情報に含ませる。そして,各無線通信デバイスは,同期化パラメーターを利用して,他の無線通信デバイスとの間で情報交換が可能となる。
【0076】
また,この情報交換の結果,各無線通信デバイスは,1つのピコネットのビーコン受信範囲内にあるのか,2つ又はそれ以上のピコネットのビーコン受信範囲内にあるのかを容易に判断することができる。すなわち,本態様によれば,ビーコンの受信可能範囲を実質的に拡大することができる。言い換えると,1つのピコネットに属していた無線通信デバイスは,他の無線通信デバイスとの情報交換によって,他のピコネットコーディネーター(PNC)に関する情報を取得することができる。
【0077】
さらに,その判断結果に応じて,現在用いているチャネルを利用するかどうかを決定する。そして,現在用いているチャネルを利用しない場合には,チャネルを切り替える。これにより,干渉が生じないようにすることができる。又は,現在用いているチャネルを直ちに利用しない場合には,干渉がなくなるのを待って,つまり,1つのチャネル内で競合しないように,無線通信が行われる。また,現在用いているチャネルを利用する場合,その決定に際し,干渉がないことを確認したことになるので,無線通信システム1の利用者にとっても安心度の高いシステムを提供することができる。
【0078】
また,上述した態様では,上記同期化パラメーターを含む信号が,ビーコン又はビーコンを模したシンクフレームを含むようにフォーマットされている。これにより,ピコネットコーディネーターや無線通信デバイスの構成を変更する必要がなく,フォーマットを変更するだけで済むので,低コストで上述した効果を奏することができる。
【0079】
なお,図5を用いた説明では,ピコネットコーディネーター(PNC)20が移動した結果,ビーコン受信可能範囲が部分的に重なるとしたが,ピコネットコーディネーター(PNC)10が移動した結果,又はピコネットコーディネーター(PNC)10,20の双方が移動した結果,ビーコン受信可能範囲が部分的に重なるとしてもよい。また,ピコネットコーディネーター(PNC)20が図5に示すような位置にあるときに,ピコネットコーディネーター(PNC)20の電源がオフからオンになった結果,ビーコンの受信可能範囲が部分的に重なる場合にも同様の説明が適用される。
【0080】
また,上述した態様は,主に,無線通信システム1及び無線通信方法に関するものであった。しかし,上記態様において説明したフィールドを含むデータのフォーマットやフレーム構造も本発明又は本発明の一部を構成することとなる。また,上述した無線通知システム1を構成する無線通信デバイスやピコネットコーディネーター(PNC),さらには,上述した処理の一部又は全部に対応するプログラム(アルゴリズム)や当該プログラムを記憶した情報記憶媒体も,本発明又は本発明の一部を構成するのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は,無線通信を行う分野で好適に利用することができ,特に,ミリ波帯を利用したWPANシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 無線通信システム
10,20 ピコネットコーディネーター(PNC)
1A,1B,1C,1D,1X,1Y 無線通信デバイス(DEV)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期化パラメーターを用いて無線通信を行うための無線通信方法であって,
ピコネットコーディネーターが同期化パラメーターを含む信号を送出する送出ステップと,
前記ピコネットコーディネーターから送出された前記同期化パラメーターを含む信号の受信に成功した無線通信デバイスが,当該ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットを形成するピコネット形成ステップと
を含み,
前記送出ステップは,
前記ピコネットコーディネーターが,前記同期化パラメーターを用いて,前記無線通信デバイスが当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨を設定する設定ステップを含み,
これにより,前記別の無線通信デバイスが前記ピコネット形成ステップで形成されたピコネットを検出可能な範囲は,
前記ピコネットコーディネーターが前記信号を送信可能な範囲と,
前記別の無線通信デバイスが前記コンテンツを含む信号を送信可能な範囲と
を含む,
無線通信方法。
【請求項2】
前記無線通信方法は,さらに,
前記別の無線通信デバイスが,前記コンテンツに含まれる情報に基づいて,前記無線通信に用いられているチャネルを利用するかどうかを決定する決定ステップ
をさらに含み,
前記決定ステップの結果,
前記チャネルを利用しない場合,前記別の無線通信デバイスは,当該チャネルとは別のチャネルに切り替え,
前記チャネルを利用する場合,当該チャネルを用いて行われている無線通信のタイムスロットに対応する時間が経過するまで待機する,
請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記ピコネットにおける時間は,
複数のスーパーフレームに分割されており,
前記同期化パラメーターは,
前記複数のスーパーフレームの各々に固有の連続番号を示す情報と,
前記複数のスーパーフレームの各々の時間長を示す情報と,
前記複数のスーパーフレームの各々に含まれる競合アクセス期間(CAP)の終了時刻に関する情報と,
前記複数のスーパーフレームの各々の開始時刻を基準としたときの前記同期化パラメーターにおける時間オフセットに関する情報と
を含む,
請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記同期化パラメーターを含む信号は,複数のチャネル時間割当てブロック(CTAブロック)を含み,
前記複数のCTAブロックの各々は,
開始時刻に関する情報と,
CTAの期間に関する情報と
を含む,
請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項5】
前記CTAの期間では,
前記無線通信デバイスが,前記コンテンツを含む信号を,ACKポリシーがlmp−ACKにセットされた状態で,前記別の無線通信デバイスに送信し,
前記別の無線通信デバイスが,前記無線通信デバイスが送出した信号に返答し,
前記別の無線通信デバイスから返答を受けた無線通信デバイスが,前記別の無線通信デバイスに対してデータフレームを送信することで,無線通信を行う,
請求項4に記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記同期化パラメーターを含む信号は,
ビーコン又はビーコンを模したシンクフレームを含むようにフォーマットされている,
請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項7】
同期化パラメーターを用いて無線通信を行う無線通信システムであって,
前記無線通信システムは,
同期化パラメーターを含む信号を送出可能なピコネットコーディネーターと,
前記同期化パラメーターを含む信号を受信可能な複数の無線通信デバイスと
を含み,
前記複数の無線通信デバイスのうち,前記ピコネットコーディネーターから送出された前記同期化パラメーターを含む信号の受信に成功した無線通信デバイスは,当該ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットを形成するように構成されており,
前記ピコネットコーディネーターは,前記同期化パラメーターを用いて,前記無線通信デバイスが当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨を設定可能に構成されており,
これにより,前記別の無線通信デバイスが前記ピコネット形成ステップで形成されたピコネットを検出可能な範囲は,
前記ピコネットコーディネーターが前記信号を送信可能な範囲と,
前記別の無線通信デバイスが前記コンテンツを含む信号を送信可能な範囲と
を含む,
無線通信システム。
【請求項8】
ピコネットコーディネーターから送出された同期化パラメーターを用いて無線通信を行う無線通信デバイスであって,
当該無線通信デバイスは,前記ピコネットコーディネーターとの間で,無線通信用のピコネットが形成可能である場合,前記ピコネットコーディネーターから,前記同期化パラメーターを含む信号を受信する際に,当該同期化パラメーターと同じコンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信することを承認する旨を受信し,前記コンテンツを含む信号を別の無線通信デバイスに送信して,当該別の無線通信デバイスとで前記コンテンツを共有する,
無線通信デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−251981(P2010−251981A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98237(P2009−98237)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】