説明

無線通信機及び無線通信機の制御方法

【課題】無線通信機の音量調節を周囲の騒音の状態に応じてきめ細かく設定する。
【解決手段】通信相手から受信音声信号が与えられていない非受信期間に、制御部17は、騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定し、受信音声信号の受信期間になったことを検出したときに、最新の判定結果が、騒音が基準値を超えることを示す場合には、設定されているボリューム値を所定量高くし、受信期間が終了したときにはボリューム値を前記設定された値に戻す音量調節を行う。これにより、スピーカ13の音量が、周囲の騒音の状態に応じてきめ細かく自動的に設定され、音声の聞き取りが容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に音量調節機能を持つ無線通信機及び無線通信機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マリン用無線通信機等では、交信する際、受信側の周囲の騒音環境(船のエンジンや発電機の発生する音等)により、通信相手の音声が聞き取れない場合がある。通信相手の音声が聞き取れない場合には、普通はアップ・ダウンキーを用いてボリュームを調節し、スピーカから発生する音を大きくしている。しかしながら、アップ・ダウンキーでボリュームを調整することは煩わしく、操縦ミスの原因にもなりうる。そのため、周囲の騒音環境に応じて、ボリューム調整が可能な無線通信機が望まれる。
周囲の騒音環境に応じてボリューム調整を行う技術には、下記特許文献1,2に記載されたものがあった。
【0003】
【特許文献1】特許第3252892号公報
【特許文献2】特開2008−34928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、プレストークスイッチ等の切替えで受信状態になった時にマイクで騒音を測定し、スピーカの音量を調節する。しかしながら、受信した音声信号によって、ボリューム値が影響されることがある。
一方、特許文献2では、送信時のノイズを除去するノイズキャンセラを備え、除去されたノイズのレベルをノイズレベル検出部で検出し、検出したノイズレベルに基づいてアンプの増幅率を調整して音量調整を行う。しかしながら、通話が終了するまで、アンプの増幅率の調整量が一定であるため、通話中に騒音が変化したときには音量調整が不十分となることが予想される。
【0005】
本発明は、騒音の状態に応じて、音量調整が可能な無線通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る無線通信機は、
集音手段と、
集音手段によって集音された音声に対応する送信音声信号を送信信号に組み入れて送信する送信手段と、
通信相手からの受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号に含まれる受信音声信号を再生する音量を、設定されたボリューム値に応じて調整する音量調節手段と、
前記受信音声信号を再生した音声を前記調整された音量で出力するスピーカと、
を備える無線通信機であって、
前記受信音声信号を含む受信信号を受信している受信期間か、前記受信音声信号を含む受信信号を受信していない非受信期間かを検出する期間検出手段と、
前記非受信期間に、前記集音手段によって集音された騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定する判定手段と、
前記期間検出手段が前記受信期間になったことを検出したときに、前記判定手段の最新の判定結果が、前記騒音が基準値を超えることを示す場合には、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出手段が該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻す音量設定手段と、
を備えることを特徴とする無線通信機。
【0007】
なお、前記受信信号の信号強度を検出する信号強度検出手段を備え、
前記音量設定手段は、前記期間検出手段が前記受信期間になったことを検出し、且つ、前記受信信号の信号強度が所定強度以上ある場合にのみ、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出手段が該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻してもよい。
【0008】
又、前記集音手段は、前記騒音を含む前記音声を集音して第1の電気信号に変換する第1のマイクと、前記騒音を集音して第2の電気信号に変換する第2のマイクと、前記第1の電気信号から前記第2の電気信号を減じて前記送信音声信号を発生するノイズキャンセラとを備え、
前記判定手段は、前記第2の電気信号に基づいて前記騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定してもよい。
【0009】
又、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて音声の再生の有無を制御するためのスケルチ制御信号を出力するスケルチ制御手段を備え、
前記期間検出手段は、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて前記受信期間か、前記非受信期間かを検出し、
前記非受信期間には、前記スピーカが前記音声を発生しない構成にしてもよい。
【0010】
また、前記判定手段で前記騒音と比較する基準値は、変更可能であってもよい。
【0011】
又、前記音量設定手段で前記ボリューム値を高くする所定量は、変更可能であってもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る無線通信機の制御方法は、
集音手段によって集音された音声に対応する送信音声信号を送信信号に組み入れて送信する送信処理と、
通信相手からの受信信号を受信する受信処理と、
前記受信信号に含まれる受信音声信号を再生する音量を、設定されたボリューム値に応じて調整する音量調節処理と、
前記受信音声信号を再生した音声を前記調整された音量で出力するスピーカ処理と、
を行う無線通信機の制御方法であって、
前記受信音声信号を含む受信信号を受信している受信期間か、前記受信音声信号を含む受信信号を受信していない非受信期間かを検出する期間検出処理と、
前記非受信期間に、前記集音手段によって集音された騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定する判定処理と、
前記期間検出処理で前記受信期間になったことを検出したときに、前記判定処理の最新の判定結果が、前記騒音が基準値を超えることを示す場合には、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出処理で該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定した値に戻す音量設定処理と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
なお、前記受信信号の信号強度を検出する信号強度検出処理を行い、
前記音量設定処理では、前記期間検出処理で前記受信期間になったことを検出し、且つ、前記受信信号の信号強度が所定強度以上ある場合にのみ、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出処理で該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻してもよい。
【0014】
又、前記集音手段は、前記騒音を含む前記音声を集音して第1の電気信号に変換する第1のマイクと、前記騒音を集音して第2の電気信号に変換する第2のマイクとを備え、前記第1の電気信号から前記第2の電気信号を減じて前記送信音声信号を発生するノイズキャンセル処理を行い、
前記判定処理では、前記第2の電気信号に基づいて前記騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定してもよい。
【0015】
又、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて音声の再生の有無を制御するためのスケルチ制御信号を出力するスケルチ制御処理を含み、
前記期間検出処理では、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて前記受信期間か、前記非受信期間かを検出し、
前記非受信期間には、前記スピーカが前記音声を発生しないようにする処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、騒音の状態が変化しても、それに応じて、音量調整が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信機の概要を示す図である。
【0018】
この無線通信機は、マリン用無線通信機や業務用無線通信機として用いることが可能な無線通信機であり、集音手段としての音声用マイク11及びノイズ検出用マイク12と、スピーカ13と、受信手段として復調を行う中間周波数処理用IC(以下、IF−ICという)14と、音量調節手段であるD/Aコンバータ15と、送信手段としての送信回路16と、音量設定手段及び期間検出手段として機能すると共にその他無線通信機全体の動作を制御する制御部17とを備える。制御部17は、CPU及びEEPRPOM等で構成することができる。
【0019】
音声用マイク11は、音声を周囲の騒音と共に集音して第1の電気信号に変換するものであり、音声用マイク11の出力端子は、差動増幅器(アンプ)18の一方の入力端子に接続されている。ノイズ検出用マイク12は、騒音を集音して第2の電気信号に変換するものであり、差動増幅器18の他方の入力端子がノイズ検出用マイク12の出力端子に接続されている。ノイズ検出用マイク12の出力端子は、増幅器(アンプ)19の入力端子にも接続されている。
【0020】
差動増幅器18は、第1の電気信号から第2の電気信号を減じる。即ち、騒音成分を除去した送信音声信号を生成する。
差動増幅器18の出力端子は、ローパスフィルタ20を介して送信回路16に接続されている。送信回路16は、ローパスフィルタ20から与えられた送信音声信号に基づいて搬送波を周波数変調して送信信号を生成し、図示しないアンテナを介して送信信号を送信する。
【0021】
増幅器19の出力側には、検波増幅器21が接続され、検波増幅器21の出力側が制御部17に接続されている。増幅器19は、ノイズ検出用マイク12から入力された騒音に相当する第2の電気信号を増幅し、検波増幅器21は、増幅器19の出力信号を直流電圧に変換して制御部17に与える。即ち、騒音レベルが直流電圧に変換されて制御部17に与えられる。
【0022】
IF−IC14は、受信信号を復調して復調信号を生成し、復調信号に含まれる受信音声信号をD/Aコンバータ15に、復調信号に含まれる高周波成分を雑音強度検出部22に出力する。IF−IC14は、さらに、受信音声信号の強度を検出する機能を有し、受信音声信号の強度を示す受信信号強度(RSSI)を制御部17に送るように構成されている。
【0023】
D/Aコンバータ15には、制御部17から後述するボリューム値が与えられる。D/Aコンバータ15は、簡易的に電子ボリュームに相当する機能を持ち、IF−IC14から与えられた受信音声信号を制御部17から与えられたボリューム値に応じて制御する。即ち、音量調整を行う。D/Aコンバータ15の出力側は、増幅器23に接続され、増幅器23の出力側はスイッチ24の一方の端子に接続され、スイッチ24の他方の端子がスピーカ13に接続されている。
【0024】
雑音強度検出部22は、例えば増幅器及び検波器等を備え、IF−IC14から与えられる高周波成分を増幅し検波して得られる直流電圧を雑音強度として制御部17に出力する。
スイッチ24は、制御部17から与えられたスケルチ制御信号に基づき、開または閉する。スイッチ24が開(閉)のとき、スピーカ13からの音声は遮断(出力)されるので、スケルチクローズ(オープン)となる。
【0025】
この無線通信機には、さらに、ボリューム値をユーザが事前に設定するための図示しないアップ・ダウンキーや、後述する基準値やボリューム値の変化量を指定するための図示しない指定キーや、押し下げにより送信状態と非送信状態を切り替えるPTT(Push to Talk)ボタンを備えている。
【0026】
制御部17は、PTTボタンの状態を検出する。PTTボタンが押下されている期間には、受信時にのみ動作するIF−IC14、D/Aコンバータ15への電源供給を遮断させて、受信系の動作を停止させると共に、送信回路16から送信信号を送信する。また、PTTボタンの押下が解除されたときには、非送信状態に切り替えられるので、受信時にのみ動作するIF−IC14、D/Aコンバータ15への電源供給を再開して受信系の動作を再開させる。
【0027】
また、制御部17は、雑音強度検出部22から与えられる雑音強度を閾値と比較してスケルチ判定を行い、判定結果に基づいて音声の再生の有無を切替えるスケルチ制御信号をスイッチ24に出力する。スケルチ制御信号は、雑音強度が閾値よりも高い(低い)場合には、スイッチ24の開(閉)に制御する。制御部17は、スケルチクローズとなる期間を、受信音声信号を含む受信信号を受信していない非受信期間とし、スケルチオープンとなる期間を、受信音声信号を含む受信信号を受信している受信期間とする。
【0028】
さらに、制御部17は、IF−IC14から与えられる受信信号強度と所定の閾値と比較し、受信音声信号の強度が適正値であるか否かを判定する。
また、制御部17は、検波増幅器21から与えられた、騒音レベルを示す直流電圧と基準値と比較し、比較結果に応じて検出フラグをオン、オフする。
また、制御部17は、騒音レベルを示す直流電圧と比較する基準値を、工場出荷段階で設定された値から、変更する機能を持つ。
また、制御部17は、D/Aコンバータ15に与えるボリューム値を、高騒音時に通常値から増加させる機能を持つ。
また、制御部17は、通常時のボリューム値を変更する機能と、高騒音時にボリューム値を増加させる量を設定する機能を持つ。
【0029】
ここで、通常時のボリューム値の設定や、基準値やボリューム値の変化量の指定について説明する。
図2は、テーブルデータ例を示す図である。
ボリューム値は、受信した音声信号を再生する際に、再生した音声の取りえる最大値を指定するものであり、例えば図2のように、通常時のボリューム値として♯0〜♯31の31段階が用意され、制御部17のEEPROMにテーブルデータとして格納されている。ユーザがアップ・ダウンキーを用いて、♯0〜♯31を指定することにより、騒音のないとき(通常時)のボリューム値を選択して設定できる。
【0030】
制御部17のEEPROMには、騒音のレベルと比較するための基準値も、ボリューム値の段階に対応させて“H”,“L”の2種類ずつ用意され、記憶されている。ユーザが指定キーを用いて、“H”か“L”を指定することができる。基準値は、騒音レベルの閾値となるので、基準値の高い“H”を選択すると感度が低くなり、“L”を選択すると感度が高くなる。
【0031】
制御部17のEEPROMには、ボリューム値の変化量も、通常時のボリューム値の段階に対応させて“H”,“L”の2種類ずつ用意され、記憶されている。ユーザが指定キーを用いて、“H”か“L”を指定することができる。ボリューム値の変化量は、騒音のレベルが高いと判定された場合に、D/Aコンバータ15に出力するボリューム値を通常時のボリューム値として設定された値から上昇させる値である。
【0032】
次に、この無線通信機の動作を説明する。
図3は、無線通信機の受信動作を示すフローチャートである。
電源をオンした後、或いはPTTボタンの押下が解除された後、例えば1秒経過すると(ステップS1:YES)、制御部17は、スケルチクローズ状態であることを確認し、スケルチクロース状態の場合に(ステップS2:YES)、ノイズ検出を開始する(ステップS3)。
【0033】
制御部17は、検波増幅器21から与えられた直流電圧と設定されている基準値との比較を行い、直流電圧が基準値以上の場合(ステップS4:YES)、検出フラグをオン(ON)にする(ステップS5)。直流電圧が低い場合(ステップS4:NO)、検出フラグをオフ(OFF)にする(ステップS6)。
【0034】
ステップS5又はステップS6の後、スケルチクローズ状態であることを確認する。スケルチクローズ状態の場合(ステップS7:YES)処理をステップS3に戻し、ノイズ検出を繰り返す。スケルチオープン状態である場合(ステップS7:NO)、受信音声信号が存在する受信期間である。このときには、制御部17は、検出フラグがオンで、且つ、受信信号強度が適正な値以上であるかを確認する(ステップS8)。受信信号強度が適正な値であることは、受信音声信号の強度が、音声を再生できる程度になっていることである。
【0035】
検出フラグがオンで、且つ、受信信号強度が適正な値以上でない場合(ステップS8:NO)、制御部17は、ユーザによって指定されたボリューム値をD/Aコンバータ15に与える(ステップS9)。D/Aコンバータ15は、IF−IC14から与えられた受信音声信号をユーザによって指定された通常時のボリューム値に応じて変換し、増幅器23を介してスピーカ13に出力する。これにより、音声が通常の大きさでスピーカ13から出力される。
【0036】
検出フラグがオンで、且つ、受信信号強度が適正な値以上である場合(ステップS8:YES)、制御部17は、ユーザによって選択されたボリューム値の変化量をユーザによって設定された通常時のボリューム値に加算した変更ボリューム値を、D/Aコンバータ15に与える(ステップS10)。D/Aコンバータ15は、IF−IC14から与えられた受信音声信号を変更ボリューム値に応じて変換し、増幅器23を介してスピーカ13に出力する。これにより、音声が通常よりも大きな音でスピーカ13から出力される。
【0037】
ステップS9,ステップS10の後、スケルチクローズ状態になるのを待ち、スケルチクローズ状態になった場合(ステップS11:YES)、処理をステップS3に戻す。
以上が音量調節を行いつつ受信を行う受信動作である。
【0038】
通信相手に、音声用マイク11から入力された音声に対応する送信音声信号を送る場合、ユーザはPTTボタンを押下する。差動増幅器18は、音声用マイク11から入力された信号から、ノイズ検出用マイク12から入力された雑音を表す信号を減じ、ノイズをキャンセルする。ローパスフィルタ20は、音声に対応する信号を通過させ、送信回路16に与える。送信回路16は、ローパスフィルタ20から与えられた信号に基づいて搬送波を周波数変調した変調波を送信する。
【0039】
以上のように、本実施形態の無線通信機では、受信音声信号が存在せず、スケルチクローズ状態である非受信期間に、騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定し、受信期間になったことを検出したときに、最新の判定結果が、騒音が基準値を超えることを示す場合には、設定されているボリューム値を所定量高くし、受信期間が終了したときにはボリューム値を前記設定された値に戻す音量調節を行う。これにより、スピーカの音量が、周囲の騒音の状態に応じてきめ細かく自動的に設定され、音声の聞き取りが容易になる。
【0040】
又、送信時にノイズキャンセルのために使用するノイズ検出用マイク12を受信時の騒音収集に利用するので、資源を効率的に使用でき、コストの上昇もない。
【0041】
又、音量調節の条件に受信信号強度が加味されるので、適正に音声を受信している時のみ音量調節が実施され、スピーカ13がノイズを再生しているとき突然大音量に切り替ることを防ぐことができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、受信期間か非受信期間かを判定するために、受信音声信号の有無に応じて音声の再生の有無を切替えるノイズスケルチ回路を使用したが、特定の単一周波数のトーン信号が受信信号に含まれているか否かに応じて、音声の再生の有無を切替えるトーンスケルチ回路を使用してもよい。
また、上記実施形態では、半二重通信を行う無線通信機を説明したが、本発明を全二重通信を行う無線通信機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信機の構成図である。
【図2】テーブルデータ例を示す図である。
【図3】無線通信機の受信動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
11 音声用マイク
12 ノイズ検出用マイク
13 スピーカ
14 IFーIC
15 D/Aコンバータ
16 送信回路
17 制御部
18 差動増幅器
20 ローパスフィルタ
19,23 増幅器
21 検波増幅器
22 雑音強度検出部
24 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集音手段と、
集音手段によって集音された音声に対応する送信音声信号を送信信号に組み入れて送信する送信手段と、
通信相手からの受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号に含まれる受信音声信号を再生する音量を、設定されたボリューム値に応じて調整する音量調節手段と、
前記受信音声信号を再生した音声を前記調整された音量で出力するスピーカと、
を備える無線通信機であって、
前記受信音声信号を含む受信信号を受信している受信期間か、前記受信音声信号を含む受信信号を受信していない非受信期間かを検出する期間検出手段と、
前記非受信期間に、前記集音手段によって集音された騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定する判定手段と、
前記期間検出手段が前記受信期間になったことを検出したときに、前記判定手段の最新の判定結果が、前記騒音が基準値を超えることを示す場合には、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出手段が該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻す音量設定手段と、
を備えることを特徴とする無線通信機。
【請求項2】
前記受信信号の信号強度を検出する信号強度検出手段を備え、
前記音量設定手段は、前記期間検出手段が前記受信期間になったことを検出し、且つ、前記受信信号の信号強度が所定強度以上ある場合にのみ、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出手段が該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻すことを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項3】
前記集音手段は、前記騒音を含む前記音声を集音して第1の電気信号に変換する第1のマイクと、前記騒音を集音して第2の電気信号に変換する第2のマイクと、前記第1の電気信号から前記第2の電気信号を減じて前記送信音声信号を発生するノイズキャンセラとを備え、
前記判定手段は、前記第2の電気信号に基づいて前記騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信機。
【請求項4】
前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて音声の再生の有無を制御するためのスケルチ制御信号を出力するスケルチ制御手段を備え、
前記期間検出手段は、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて前記受信期間か、前記非受信期間かを検出し、
前記非受信期間には、前記スピーカが前記音声を発生しない構成にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線通信機。
【請求項5】
前記判定手段で前記騒音と比較する基準値は、変更可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無線通信機。
【請求項6】
前記音量設定手段で前記ボリューム値を高くする所定量は、変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無線通信機。
【請求項7】
集音手段によって集音された音声に対応する送信音声信号を送信信号に組み入れて送信する送信処理と、
通信相手からの受信信号を受信する受信処理と、
前記受信信号に含まれる受信音声信号を再生する音量を、設定されたボリューム値に応じて調整する音量調節処理と、
前記受信音声信号を再生した音声を前記調整された音量で出力するスピーカ処理と、
を行う無線通信機の制御方法であって、
前記受信音声信号を含む受信信号を受信している受信期間か、前記受信音声信号を含む受信信号を受信していない非受信期間かを検出する期間検出処理と、
前記非受信期間に、前記集音手段によって集音された騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定する判定処理と、
前記期間検出処理で前記受信期間になったことを検出したときに、前記判定処理の最新の判定結果が、前記騒音が基準値を超えることを示す場合には、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出処理で該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定した値に戻す音量設定処理と、
を含むことを特徴とする無線通信機の制御方法。
【請求項8】
前記受信信号の信号強度を検出する信号強度検出処理を行い、
前記音量設定処理では、前記期間検出処理で前記受信期間になったことを検出し、且つ、前記受信信号の信号強度が所定強度以上ある場合にのみ、前記設定されているボリューム値を所定量高くし、前記期間検出処理で該受信期間が終了したことを検出したときには該ボリューム値を前記設定された値に戻すことを特徴とする請求項7に記載の無線通信機の制御方法。
【請求項9】
前記集音手段は、前記騒音を含む前記音声を集音して第1の電気信号に変換する第1のマイクと、前記騒音を集音して第2の電気信号に変換する第2のマイクとを備え、前記第1の電気信号から前記第2の電気信号を減じて前記送信音声信号を発生するノイズキャンセル処理を行い、
前記判定処理では、前記第2の電気信号に基づいて前記騒音が基準値を超えるか否かを繰り返して判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の無線通信機の制御方法。
【請求項10】
前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて音声の再生の有無を制御するためのスケルチ制御信号を出力するスケルチ制御処理を含み、
前記期間検出処理では、前記受信信号に含まれる前記受信音声信号以外の成分の状態に基づいて前記受信期間か、前記非受信期間かを検出し、
前記非受信期間には、前記スピーカが前記音声を発生しないようにする処理を行うことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の無線通信機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−130301(P2010−130301A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302374(P2008−302374)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】