説明

無線通信装置およびその制御方法

【課題】ダイバーシチによって伝送品質を向上させつつ、状況に応じて十分な通信レートを確保して、複数の無線機の機能を十分に発揮させる。
【解決手段】無線通信装置(100)は、複数の無線部(110,120)を具え、ダイバーシチモードで複数の無線部が動作するように制御するダイバーシチ実行部(130)と、ダイバーシチ実行部により複数の無線部がダイバーシチモードで動作しているとき、無線部のデータレートを取得するレート取得部(142)と、算出されたデータレートに応じて、ダイバーシチモードで動作している複数の無線部の少なくとも一部が、ダイバーシチモードで動作するのを継続または停止するように制御する制御部(140)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線チップや無線モジュールの低コスト化および小型化が進み、1つの無線通信装置に複数の無線機を搭載する場合が多くなってきている。このような1台の無線通信装置に搭載された「複数の無線機」を制御するにあたって、片方の無線機を主無線機とし他方を従無線機として、ダイバーシチ技法を用いて動作する方式がある。図8は、従来の無線システムの構成例を示す図である。図に示すように、基地局と端末装置との間で無線通信が行われている。無線端末は、複数の無線機と複数のアンテナとを持つが、この例では2系統の場合を示してあり、それぞれの無線機(アンテナ)に対して周波数1、2それぞれによって通信を行っている例である。
【0003】
図9は、従来の無線機のブロック図である。1つの系統は、制御部(モデム)と主無線機と主アンテナとで構成され、他方の系統は、制御部(モデム)と従無線機と従アンテナとで構成されている。
【特許文献1】特開2004-297312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、図9のような従来の無線端末の各系統には、主従の関係が存在する。この無線端末は電波環境に関係なく、主となる無線機から通信を行い、その後、従となる無線機で通信を行う構成となっている。従って、主となる無線機の電波環境が悪い場合には、従となる無線機を活用しにくい場合がある。例えば、図10のような信号波形図の場合、SINR(Signal-to-Interference. and Noise power Ratio、信号対雑音比)が良い場合、これを主無線機が受信していれば、主無線機のデータレートは高くなり、従無線機を起動し易い環境となる。しかし、SINRが悪い場合(図10の右の信号)、これを主無線機が受信している場合は、従無線機を起動することができないばかりか、主無線機のデータレートも減少してしまう。また、主となる無線機の通信において電波環境が悪い場合には、余剰な送信出力を使うことになり、消費電力が増加する場合がある。また、無線システムからみても干渉量が増加することとなる。
【0005】
また、上述した特許文献1の従来技術は、受信転送レートが閾値よりも低い場合に、ダイバーシチ動作を停止して受信系統の電力消費を低減させるものであり、消費電力の低減に寄与するものである。しなしながら、1つの通信装置に搭載された複数の無線機の機能を十分に活用するものではない。例えば、この従来技術では、受信転送レートが十分に低い場合には、ダイバーシチは常に停止状態になり、このダイバーシチの停止によって開放された無線機は、まったく使用されない構成となっている。即ち、せっかく搭載した複数の無線機の機能を十分に活用できないといった問題がある。
【0006】
他方、現在の無線通信においては、高品位の映像、画像、音楽などの大容量のコンテンツをやりとりすることが多く、送受信されるデータはますます大きくなってきている。複数の無線機をダイバーシチ動作させていると、このような大容量のコンテンツの送受信に対応するだけの通信レートを確保することが困難になる。しかしながら、上述した従来技術では、ダイバーシチのオン/オフを行って消費電力の低減を図ることができるが、複数の無線機を活用して十分な通信レートを確保することができなかった。
【0007】
このように、複数の無線機を搭載した無線通信装置の従来技術は、電力消費に基づきダイバーシチのオン/オフを制御するものであった。しかしながら、データレートが大きく変動したり、フェージングなどにより受信品質が大きく変動したりする場合に、これらの状況に応じて複数無線機の性能を最大限に活用することが困難である。そこで、本発明は、ダイバーシチによって伝送品質を向上させつつ、状況に応じて十分な通信レートを確保して、複数の無線機の機能を十分に発揮させる技法(装置、方法)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による無線通信装置は、
複数の無線部を具えた無線通信装置であって、
ダイバーシチモード(選択ダイバーシチ、合成ダイバーシチ、空間ダイバーシチ、周波数ダイバーシチなどを含む)で前記複数の無線部が動作するように制御するダイバーシチ実行部と、
前記ダイバーシチ実行部により前記複数の無線部がダイバーシチモードで動作しているとき、該複数の無線部のデータレートを取得するレート取得部と、
前記レート取得部で算出されたデータレートに応じて、ダイバーシチモードで動作している該複数の無線部の少なくとも一部が、ダイバーシチモードで動作するのを継続または停止するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明による無線通信装置は、
前記制御部が、
前記レート取得部で算出されたデータレートが所定値を超えた場合には、ダイバーシチモードでの動作を停止させた状態で、前記停止によって開放された無線部を相互に別のチャネルとして使用して通信するように制御する、
ことを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明による無線通信装置は、
前記制御部が、
ダイバーシチモードでの動作を停止させた場合、前記停止によって開放された無線部を、相互に別の周波数で通信するように制御する、
ことを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明による無線通信装置は、
前記制御部が、
前記レート取得部で算出されたデータレートが所定値以下の場合には、ダイバーシチモードでの動作を継続するように制御する、
ことを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明による無線通信装置は、
ダイバーシチモードで動作している無線部の通信品質を示す値の変動量を取得する品質変動量取得部と、
ダイバーシチモードで動作しているときの消費電流(或いは電流値)を取得する消費電流取得部と、をさらに有し、
前記制御部は、
前記品質変動量取得部で取得した変動量が、第1の所定値の満たない場合、或いは、前記消費電流取得部で取得した消費電流が、第2の所定値を超えた場合、ダイバーシチモードで動作している無線部の少なくとも一部を停止させた状態で、前記停止によって開放された無線部を相互に別のチャネルとして使用して通信するように制御する、
ことを特徴とする。
【0013】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
【0014】
例えば、本発明を方法として実現させた第6の発明による無線通信装置の制御方法は、
複数の無線部を具えた無線通信装置の制御方法であって、
ダイバーシチモード(選択ダイバーシチ、合成ダイバーシチ、空間ダイバーシチ、周波数ダイバーシチなどを含む)で前記複数の無線部が動作するように制御するダイバーシチ実行ステップと、
前記複数の無線部がダイバーシチモードで動作しているとき、該複数の無線部のデータレートを算出するレート算出ステップと、
前記レート算出ステップで算出されたデータレートに応じて、ダイバーシチモードで動作している該複数の無線部の少なくとも一部が、ダイバーシチモードで動作するのを継続または停止するように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ダイバーシチによって伝送品質を向上させつつ、状況に応じて十分な通信レートを確保して複数の無線機の機能を十分に発揮させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施態様による通信システム構成を示す図である。図に示すように、無線端末100と基地局BSとが通信を行っている図である。無線端末100は、複数の無線機と複数のアンテナを持つが、図では2系統の場合を示す。それぞれの無線機(アンテナ)に対して周波数f1、f2それぞれにより通信を行っている例である。2つの無線機は、f1=f2の同一周波数を用いて通信する場合は、ダイバーシチモードで動作する。しかし、所定の閾値、例えば1つの無線機で処理可能なデータレートを超える場合は、片方の無線機は、ダイバーシチモードでの動作を停止し、停止によって開放された無線機は、それぞれ異なる周波数で通信を開始する。即ち、f1かf2かのいずれかを別の周波数で動作させる。このような動作によって、高データレートの通信と、低データレートの通信とを状況に応じて適宜切り替えることが可能となる。従って、搭載したハードウェア(複数の無線機)の性能を十分に発揮させて、高データレートで通信することが可能となる。
【0018】
図2は、本発明の一実施態様による無線端末のブロック図である。図に示すように無線端末100は、2つのアンテナANT1,2、第1無線機110、第2無線機120、ダイバーシチ実行部(モデム機能を含む)130、制御部140、および記憶部150を具える。アンテナANT1、第1無線機110、ダイバーシチ実行部130、および制御部140で、「第1の無線系統」を構成している。また、同様に、アンテナANT2、第2無線機120、ダイバーシチ実行部130、および制御部140で、「第2の無線系統」を構成している。本実施態様では、無線機(アンテナ)間には、主従の関係はなく、ダイバーシチモードで動作しているときは、第1無線機、第2無線機が受信した信号のうち、良好な無線機(アンテナ)の受信信号を選択して通信を行う。なお、本明細書においては、何らかのダイバーシチ技法に基づき無線機を動作させている状態を「ダイバーシチモード」と称するものとする。制御部140は、データレートを取得(或いは計算、推定)するレート取得部142、受信信号の品質の変動量を取得(或いは計算、推定)する品質変動量取得部144、および、消費電流(或いは消費電力)を取得(或いは計算、推定)する消費電流取得部146を有する。制御部140内の各部によって取得したデータは、記憶部150に格納される。消費電流取得部146は、各無線機の消費電流を取得することもできるが、無線端末の装置全体の電流を取得して、これを後述する処理の判定に用いてもよい。
【0019】
ダイバーシチモードを停止して、停止によって開放された各無線機をそれぞれ別個の周波数で通信する場合は、当該無線端末は、割当管理部(図示せず)を用いて相手端末や基地局に別周波数の割当を要求し、この割当が終了した後、以前から割り当てられていた周波数と、新たに割り当てられた別周波数とを用いて送受信動作を行うことになる。或いは、当該無線端末が、周波数やチャネル割当のイニシアチブをとる場合は、割当管理部(図示せず)を用いて相手端末や基地局に別周波数の割当を通知し、相手から肯定応答を得た後、2つの周波数を用いて送受信動作を行うことになる。
【0020】
図3は、第1無線機110の詳細なブロック図である。図に示すように、第1無線機110は、送受信切替スイッチ111、シンセサイザ112、送信部Tx、および受信部Rxを具える。送信部Txは、フィルタT1、パワーアンプT2、フィルタT3、アップコンバータT4、DAコンバータT5、フィルタT6、およびアンプT7から構成される。また、受信部Rxは、バンドパスフィルタR1、低雑音増幅器R2、フィルタR3、ダウンコンバータR4、フィルタR5、アンプR6、フィルタR7、およびADコンバータR8から構成される。
【0021】
受信部Rxの処理を説明する。送受信切替スイッチ111を通過した受信信号をバンドパスフィルタR1により不要成分を抑圧し、低雑音増幅器R2、フィルタR3、ダウンコンバータR4およびシンセサイザ112により中間周波数に変換する。さらに、フィルタR5により、中間周波数にした受信信号から不要成分を抑圧する。アンプR6によってADコンバータR8に必要なレベルまで受信信号を増幅した上、主にエイリアス成分を抑圧するフィルタR7を介してADコンバータR8に信号を入力する。ADコンバータR8でアナログからデジタルに変換された信号は、ダイバーシチ実行部130に渡され、ダイバーシチ実行部130に含まれるモデム機能部(図示せず)によって復調が行われる。
【0022】
次に送信部Txの処理を説明する。ダイバーシチ実行部130から出力されたデジタル信号が、DAコンバータT5よりアナログ信号に変換される。変換されたアナログ信号は、フィルタT6によりエイリアス成分を抑圧してアンプT7で増幅し、アップコンバータT4およびシンセサイザ112により無線周波数に変換される。ここで発生したスプリアス成分をフィルタT3により抑圧し、パワーアンプT2により必要出力まで増幅し、主に高調波成分をフィルタT1により抑圧し、送受信切替スイッチ111で経路を設定してアンテナANT1により空間に送信波として放出される。
【0023】
図4は、上述した無線端末で実行される制御の一例を示すフローチャートである。簡便化のため、第1受信機110,120は、それぞれ無線機a,bとする。図に示すように、ステップS1では、ダイバーシチモードでの通信を開始する。ステップS2では無線機a、bがそれぞれ受信したSINRを監視し、そして、ステップS3にて、監視しているSINRのログをとる(記憶部に格納する)。ステップS4にて、無線機a、bが得たSINRを比較し、良好である無線機を選択する。即ち、無線機aの受信品質を示すSINRが無線機bのそれ以上の場合には、ステップS5に進み、無線機aで受信した信号で信号処理行う。そうでない場合は、ステップS6に進み、無線機bで受信した信号で信号処理行う。このようなステップS3−5の処理は、従来の選択ダイバーシチと同じものである。なお、送信時には、ステップS4で選択されたSINRを受信する無線機を送信経路として使用する。
【0024】
ステップS7では、ステップS2で取得したSINRが、所定の変動閾値(記憶部に予め格納してある。)を超えて変動しているときの時間が、所定時間を超えているか否かを判定する。なお、所定変動範囲、所定時間、閾値、レート閾値などの数値は、記憶部に予め格納されているものであり、これを適宜読み出して使用する。図5に、変動パターン例の波形図を示す。この例では、変動パターンαの場合は、所定の変動範囲Aを超えて、所定時間Bにわたって変動を繰り返しているため、ステップS7の条件を満たすことになる。変動パターンβの場合は、所定の変動範囲Aを超えていないため、ステップS7の条件を満たしていない。
【0025】
図4の説明に戻るが、ステップS7の条件を満たさない場合、即ち、所定時間を超えて変動していない場合は、ステップS13にて、ダイバーシチモードを停止し、停止によって開放された無線機a、bを別個独立して同時に動作させる。ステップS7の条件を満たす場合、即ち、所定時間を超えて変動している場合は、ステップS8に進み、使用(消費)電流量が、閾値よりも小さいか否かを判定する。使用(消費)電流量が閾値よりも小さい場合は、ダイバーシチモードを継続し、多い場合はステップS13に進み、ダイバーシチモードを停止する。ステップS9およびステップS14の処理の後、ステップS10にて、使用無線機の受信時のデータレートが、レート閾値を越えているか否かを判定する。この例では、レート閾値は、1無線機が処理可能なデータレートを設定してある。即ち、このステップの判定は、ダイバーシチモードを停止し、「2つの無線機を別個に動作させる」方が高データレートを得られるか否かを判定している。データレートがレート閾値を超えていれば、ダイバーシチモードを停止し、停止によって開放された無線機を別個独立に動作させて、高レートに備える。超えなければ、ステップS2に戻って、SINRの監視動作および以降のステップを繰り返す。
【0026】
図6は、実施態様による効果の概念図である。図に示すように、無線機aにて受信したSINRが無線機bにて受信したSINRよりも良好な状態を示している。この場合、ダイバーシチ動作を行うことで、良好な左側の希望信号を選択、もしくは、双方の希望信号を合成することができる。このとき、送信側も良好となる経路である無線機aを選択することで、送信側では消費電力を軽減することができる。このことは、基地局にとっても同様のことが言え、システム全体の干渉量が減少することにつながる。
【0027】
図7は、送信機の出力電力対消費電流特性の一例を示す図である。上述したように、受信信号が良好であれば、基地局側の受信信号も良好であることが推測でき、送信出力を低く設定することが可能となる。特に無線機の消費電流の大部分を占めるパワーアンプは、図のように高出力となるほどΔI/ΔdBが大きくなり、消費電力の観点より効果が大きくなる。一方、出力電力が低い場合は、複数の受信機を動作させることが逆に消費電流を増加させる結果となり得るため、どちらを使用するか総合的な判断を行う。以上は、2系統の場合を示したが、系統を増やすことは容易であり、例えば3系統であれば、2系統が処理可能なデータレートを上回るまでダイバーシチモードで動作させることが可能である。
【0028】
上述した実施態様では、2系統の無線機を搭載した通信端末を挙げたが、本発明は、3個以上の無線機を搭載した無線通信装置に広く適用することができる。例えば、複数の無線機Nを搭載する端末において、(N−1)個の無線機に処理可能なデータレートを満たすまでは、複数の無線機でダイバーシチを行うことで信号品質の改善と送信電力を軽減して低消費電力化しつつ,被干渉および与干渉レベルを抑圧する。(N−1)個の無線機に処理可能なデータレートを満たした場合、もしくは電波環境により複数の無線機を動作させることが(N−1)個の無線機のデータレートよりも高データレートを得る場合には、ダイバーシチを停止してデータレートを確保する動作に移行する。
【0029】
複数の無線機Nを搭載する端末において、(N−1)個の無線機に処理可能なデータレートを満たすまでは、複数の無線機によるダイバーシチ動作によって、ダウンリンクについては信号品質の改善とアップリンクについては送信電力を軽減することで低消費電力化する。また、基地局側についても同様の効果があり、システムとして被干渉および与干渉レベルを抑圧することにつながる。なお、ダイバーシチは、合成でも選択方式でも実現できる。複数の無線機を搭載する端末でも、サービスの契約上、上位ではなく下位となる場合では、1無線機のみ搭載する端末よりも接続性、品質を確保でき、優位なサービスを提供できる。特に信号品質に変動がないときなど、間欠的なダイバーシチ動作に切り替える。(N−1)個の無線機に処理可能なデータレートを越えた場合、各無線機のSINRから最適となるデータレートが得られるように各無線機に割り当てる。例えば、ある無線機はフェージングマージンを極力減らし、ある無線機は十分にマージンをとることで、移動性、高データレートを両立する。自ら統計をとることで電波環境(フェージングが多い環境か、そうでないかなど)を知り、適応的にマージンを調整することで最適化を行う。或いは、間欠ダイバーシチの周期を決めることにも用いることができる。
【0030】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。例えば、レート取得部は、制御部に設けた実施態様を挙げたが、制御部とは別に設けてもよい。或いは、ダイバーシチ実行部、制御部、レート取得部などの各部は、1つのDSPやCPUなどに含ませることも可能である。
【0031】
上述したように実施態様では、選択ダイバーシチを用いた形式で説明したが、周波数ダイバーシチを用いてもよい。この場合は、通信端末には、2つの周波数が割り当てられており、ダイバーシチモードでは、相手端末や基地局は、2つの周波数で同じデータを送信する。通信端末は、2つの無線機を用いて、2つの周波数の信号を合成したり、選択したりして受信を行う。空間分割多重接続方式を使用する場合には、同じ周波数で別の空間IDを割り当てた2つの電波を送受信することによって、同様のダイバーシチ動作を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施態様による通信システム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施態様による無線端末のブロック図である。
【図3】第1無線機110の詳細なブロック図である。
【図4】無線端末で実行される制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】変動パターン例の波形図である。
【図6】実施態様による効果の概念図である。
【図7】送信機の出力電力対消費電流特性の一例を示す図である。
【図8】従来の無線システムの構成例を示す図である。
【図9】従来の無線機のブロック図である。
【図10】信号波形図である。
【符号の説明】
【0033】
BS 基地局
100 無線端末
110 第1無線機
110,120 受信機
111 送受信切替スイッチ
111 スイッチ
112 シンセサイザ
120 第2無線機
130 ダイバーシチ実行部
140 制御部
142 レート取得部
144 品質変動量取得部
146 消費電流取得部
150 記憶部
ANT1,2 アンテナ
Rx 受信部
R1 バンドパスフィルタ
R2 低雑音増幅器
R3 フィルタ
R4 ダウンコンバータ
R5 フィルタ
R6 アンプ
R7 フィルタ
R8 コンバータ
Tx 送信部
T1 フィルタ
T2 パワーアンプ
T3 フィルタ
T4 アップコンバータ
T5 コンバータ
T6 フィルタ
T7 アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線部を具えた無線通信装置であって、
ダイバーシチモードで前記複数の無線部が動作するように制御するダイバーシチ実行部と、
前記ダイバーシチ実行部により前記複数の無線部がダイバーシチモードで動作しているとき、該複数の無線部のデータレートを取得するレート取得部と、
前記レート取得部で算出されたデータレートに応じて、ダイバーシチモードで動作している該複数の無線部の少なくとも一部が、ダイバーシチモードで動作するのを継続または停止するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記制御部が、
前記レート取得部で算出されたデータレートが所定値を超えた場合には、ダイバーシチモードでの動作を停止させた状態で、前記停止によって開放された無線部を相互に別のチャネルとして使用して通信するように制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記制御部が、
ダイバーシチモードでの動作を停止させた場合、前記停止によって開放された無線部を、相互に別の周波数で通信するように制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信装置において、
前記制御部が、
前記レート取得部で算出されたデータレートが所定値以下の場合には、ダイバーシチモードでの動作を継続するように制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置において、
ダイバーシチモードで動作している無線部の通信品質を示す値の変動量を取得する品質変動量取得部と、
ダイバーシチモードで動作しているときの消費電流を取得する消費電流取得部と、をさらに有し、
前記制御部は、
前記品質変動量取得部で取得した変動量が、第1の所定値の満たない場合、或いは、前記消費電流取得部で取得した消費電流が、第2の所定値を超えた場合、ダイバーシチモードで動作している無線部の少なくとも一部を停止させた状態で、前記停止によって開放された無線部を相互に別のチャネルとして使用して通信するように制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
複数の無線部を具えた無線通信装置の制御方法であって、
ダイバーシチモードで前記複数の無線部が動作するように制御するダイバーシチ実行ステップと、
前記複数の無線部がダイバーシチモードで動作しているとき、該複数の無線部のデータレートを算出するレート算出ステップと、
前記レート算出ステップで算出されたデータレートに応じて、ダイバーシチモードで動作している該複数の無線部の少なくとも一部が、ダイバーシチモードで動作するのを継続または停止するように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする無線通信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−159071(P2009−159071A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332512(P2007−332512)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】