説明

無線通信装置および無線通信システム

【課題】無線通信信号の周波数チャネルを複数用いることで実効的な通信速度を向上させ、また干渉を抑制して通信信頼性を向上する。
【解決手段】第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、少なくとも二つの無線通信装置は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が第2の周波数チャネルを使用するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気、ガス、水道等の使用対象期間の使用料金は、検針員が定期的に家屋に設置された電気、ガス、水道等のメータを目視で確認し、メータの数値を記録した上で、前回の検針値との差に基づいて算出されてきた。しかし、検針員の人的コストが大きいこと、および家屋の住人(管理者等)が不在のときの対応が困難な場合があることが課題となっており、電気、ガス、水道等の使用量の検針業務を自動化するシステムが開発されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の従来技術では、自動検針システムに無線通信を用いる方法が開示されている。この自動検針システムでは、検針機能を備えた無線装置を、その無線装置間の通信路がツリー状になるように配置して、検針値を無線で伝達し、ツリーの頂点に位置する集約装置が検針値を収集する。そして、集約装置は、各無線装置から、定期的な検針値が到達しない場合に、再送を要求するための信号を、該当する無線装置に送信して、その無線装置から検針値を収集する。
【0004】
また、特許文献2に記載の従来技術では、特定の制御局を必要としない自律分散型の無線通信ネットワークにおいて、複数の周波数チャネルを利用してチャネルアクセスを行う方法が開示されている。無線通信ネットワークを構成する複数の無線通信装置は、自局のビーコン送信タイミング及び送信チャネルを決定する基となるシード情報を含んだビーコン情報を報知し、ネットワークへ新規参入するときには、他局から受信したビーコン情報中のシード情報を基に各チャネル上でビーコン送信を行うチャネル切替パターンを同定し、空いているビーコン送信タイミング及び送信チャネルの候補の中から自局のものを選択し、ビーコン情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−140184号公報
【特許文献2】特開2005−45637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は、単一の周波数チャネルを用いて無線通信を行うものである。特許文献1に記載されているようにツリー状のネットワークにおいてマルチホップ通信を行う場合、単一の周波数チャネルのみを用いるのであれば、ホップごとの通信信号の送信タイミングを時間的に分割して衝突を回避する必要があり、実効的な通信速度が低下するという課題がある。
【0007】
また通信信号の送信タイミングを時間的に分離せず、信号強度を検出して衝突を回避するアクセス制御方式であるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を用いる場合には、ネットワークを構成する無線通信装置の台数が増大するほど通信信号が衝突し易くなり、通信信頼性が低下するという課題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の従来技術では、複数の無線通信装置が互いのビーコン送信タイミング及び送信チャネルを報知し合い、ビーコン送信タイミング及び送信チャネルを同期させる必要がある。然しながら、他の無線通信装置が送信するビーコンを受信するには受信側の無線通信装置は同一時刻にその周波数チャネルに変更する必要があり、複雑な時刻同期技術が必要である。
【0009】
また多数の無線通信装置で構成される無線ネットワークでは、複数の無線通信装置に対して単一信号で情報を伝達するマルチキャスト通信を利用することで通信を効率化する方法を用いることが可能であるが、特許文献2に記載の従来技術では各無線通信装置は時間ごとに別々の周波数チャネルを利用するため、マルチキャスト通信を利用して通信を効率化することが困難であるという課題がある。
【0010】
そこで、本発明では、実効的な通信速度を向上させ、干渉を抑制して通信信頼性を向上しつつ、かつ通信を効率化するためのマルチキャスト通信を可能とすることのできる無線通信装置および無線通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線通信装置は、無線通信のためのアンテナと、無線通信信号処理を実行する無線通信部と、無線通信を制御する通信制御部と、無線通信信号の周波数チャネルを切替えるチャネル切替制御部と、周波数チャネルを切替えるための条件を検出するチャネル切替条件検出部と、チャネル切替信号の送信指示を与えるチャネル切替信号生成部と、アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定するチャネル切替信号判定部を備え、
チャネル切替制御部は、チャネル切替条件検出部とチャネル切替信号判定部から入力される信号に基づいて自局無線通信部の周波数チャネルを制御し、またチャネル切替制御部は、チャネル切替信号生成部を駆動してチャネル切替信号を他端に送信せしめる機能を有する。
【0012】
本発明の無線通信装置は、無線通信のためのアンテナと、無線通信信号処理を実行する無線通信部と、無線通信を制御する通信制御部と、無線通信信号の周波数チャネルを切替えるチャネル切替制御部と、周波数チャネルを切替えるための条件を検出するチャネル切替条件検出部と、チャネル切替信号の送信指示を与えるチャネル切替信号生成部と、アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定するチャネル切替信号判定部を備え、
チャネル切替制御部は、チャネル切替条件検出部から入力される信号に基づいて無線通信部の周波数チャネルを制御した後に、チャネル切替信号生成部を駆動してチャネル切替信号の送信指示を与えるとともに、チャネル切替信号判定部においてアンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに無線通信部の周波数チャネルを制御する機能を有する。
【0013】
なお、チャネル切替信号判定部においてアンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、チャネル切替信号を受信した旨の応答としてチャネル切替応答信号を、アンテナを介して送信し、かつ無線通信部の周波数チャネルを制御する機能を有するのがよい。
【0014】
また、チャネル切替信号の送信から所定時間内に、チャネル切替応答信号を受信しないときに、チャネル切替信号の再送信を実行するのがよい。
【0015】
本発明の無線通信システムは、第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
少なくとも二つの無線通信装置は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が第2の周波数チャネルを使用するようにした。
【0016】
なお、受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、チャネル切替信号を受信した旨の応答としてチャネル切替応答信号を送信し、かつ自己の使用する周波数チャネルを切替制御するのがよい。
【0017】
また、チャネル切替信号の送信から所定時間内に、チャネル切替応答信号を受信しないときに、チャネル切替信号の再送信を実行するのがよい。
【0018】
本発明の無線通信システムは、第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
少なくとも二つの無線通信装置は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを切替使用でき、第1の無線通信装置は、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能を有し、第2の無線通信装置は、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が第2の周波数チャネルを使用する。
【0019】
なお、第2の無線通信装置を2つ以上備え、各第2の無線通信装置は、受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、自己の使用する周波数チャネルを切替制御し、かつ他の第2の無線通信装置に向けてチャネル切替信号を送信する機能を有するのがよい。
【0020】
本発明の無線通信システムは、第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループと、第3の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第3のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
第1のグループと、第2のグループのあいだの無線通信の実行のために、少なくとも二つの第1の無線通信装置が備えられ、第1の無線通信装置は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が第2の周波数チャネルを使用するとともに、
第2のグループと、第3のグループのあいだの無線通信の実行のために、少なくとも二つの第2の無線通信装置が備えられ、第2の無線通信装置は、第2の周波数チャネルと第3の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が第2の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が第3の周波数チャネルを使用するようにした。
【0021】
なお、無線通信装置は、検針対象設備の検針器に設置されて検針データを無線通信するものとされるのがよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な方法で複数の周波数チャネルを使用することで干渉を抑制可能な無線通信装置を提供することが可能である。また本発明による無線通信装置を複数用いることで干渉を抑制して実効的な通信速度を向上可能な自動検針システムを提供することが可能である。更にマルチキャスト通信を併用することでより通信を効率化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】無線通信装置の構成の一例を示す図。
【図2】ユニット式電力量計の設置例と、回路構成の一例を示す図。
【図3】無線通信の周波数チャネル配置の一例を示す図。
【図4】本発明の適用される自動検針システムの全体構成を示す図。
【図5】集約装置の構成の一例を示す図。
【図6】切替端末の周波数チャネルの切替の一例を示す図。
【図7】周波数チャネル切替処理の第一実施例を示す図。
【図8】図7の周波数チャネル切替方法を示すフロー図。
【図9】周波数チャネル切替処理の第二実施例を示す図。
【図10】図9の周波数チャネル切替方法を示すフロー図。
【図11】周波数チャネル切替処理の第三実施例を示す図。
【図12】図11の周波数チャネル切替方法を示すフロー図。
【図13】周波数チャネルの切替端末を3台用いる自動検針システムの全体構成を示す図。
【図14】周波数チャネル切替処理の第四実施例を示す図。
【図15】図14の周波数チャネル切替方法を示すフロー図。
【図16】周波数チャネルを3チャネル用いる自動検針システム一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0025】
本発明の適用される自動検針システムの全体構成が、図4に示されている。この自動検針システムは、複数の端末1a,1b,1c,1d,1eと、集約装置2で構成される。そして、集約装置2に集められた各家庭の電気使用量は、基幹ネットワーク5を介して図示せぬ電力会社などに送られる。なお、本システムの検針対象は、ガス、水道などであってもよいが、ここでは電力量検針の例で説明する。
【0026】
端末1a,1b,1c,1d,1eとは、自動検針の対象となっている各家庭に設置されたユニット式電力量計1のことであり、別途図2を用いて、その設置例と、回路構成について説明する。
【0027】
また、集約装置2について、別途図5を用いて説明する。
【0028】
さらに、これらの端末1及び集約装置2には、これら機器の間での通信を実現する為の無線通信装置10が搭載されており、無線通信装置10について、別途図1を用いて説明する。
【0029】
まず、図2において、端末1(ユニット式電力量計)は、商用交流の高電圧が重畳された高圧配電線21から、変圧器22によって低電圧に変換された電圧が重畳される低圧配電線23に複数個接続される。一般には10台〜20台程度のユニット式電力量計1が、一台の変圧器22に接続される。
【0030】
ここで、変圧器22とは、いわゆる柱上変圧器のことであり、集約装置2は柱上変圧器の位置に設置されることが多い。また、ユニット式電力量計1は、電力料金支払い単位となる各家庭に設けられ、ユニット式電力量計1を経由して、各家庭25の分電盤24に電力を供給する。
【0031】
ユニット式電力量計1は、電力量計測部30、開閉器40、および無線通信装置10を備える。電力量計測部30は、電力を時間的に積算した量(電力量)を計測し、その計測値(検針値)を、無線通信装置10を介して集約装置2側に向けて出力する。開閉器40は、無線通信装置10から出力される信号に基づき、開閉器40を切断状態(OFF)にした場合、分電盤24を介して家屋25内への電力供給を一度に遮断する。
【0032】
無線通信装置10は、電力量計測部30から受信した計測値を、無線通信(例えば、2.4GHz帯や950MHz帯)によって送信する。この無線通信装置10が送受信する信号としては、単に家庭の消費電力の検診結果のみではなく、各家庭での太陽光発電などの発電電力つまり、売電電力量の検針結果も含む。また、各家庭の開閉器40の開閉状態信号あるいは、操作信号も含まれ、単なる検針ばかりでなく、開閉器40の監視・制御操作も実行することができる。
【0033】
なお、ユニット式電力量計1から、集約装置2へ向けての信号送出(以下、この方向の信号送信を上り方向、逆方向を下り方向という)は、複数のユニット式電力量計1の間で予め定められた順番に従い、一定周期で行なうこともできるし、集約装置2からの送信指令を受けて、これに応答する形で行なうことも可能である。あるいは、通信の空き状態を検知して自己のデータを送信する形で行うこともできる。
【0034】
集約装置2は、図5に示すように無線通信装置10と基幹ネットワークインターフェース50で構成され、基幹ネットワーク5から入力されたデータを、基幹ネットワークインターフェース50を介して無線通信装置10でユニット式電力量計1に向けて送信し、また無線通信装置10で受信されたユニット式電力量計1からのデータを、基幹ネットワークインターフェース50を介して基幹ネットワーク5へ出力する機能を有する。なお基幹ネットワーク5は、光ファイバやメタル線、あるいは無線通信であっても構わない。
【0035】
このように、自動検針システムを構成する主要な機器である複数の端末1や集約装置2は、無線通信装置10によりネットワークを構成し、信号伝送を行なっている。
【0036】
次に、図1を用いて、本実施形態における無線通信装置10の構成について説明する。無線通信装置10は、無線通信部11、チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、記憶部14、通信制御部15、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17、入出力インターフェース部18、電源部19およびアンテナ20を備える。
【0037】
このうち、通信制御部15は、入出力インターフェース部18において外部と入出力されるデータを記憶部14に保存したり、あるいは無線通信部11を制御してデータを無線通信するためのデータに変換したりする機能を有する。
【0038】
通信制御部15は、一般的には中央処理装置CPU(Central Processing Unit)に相当するが、DSP(Digital Signal Processer)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成しても良い。
【0039】
記憶部14は、一般的にはSRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリで構成される。
【0040】
入出力インターフェース部18は、一般的にはEthernet(登録商標)やRS232C、IrDAなどの有線、無線、赤外線インターフェースなどで構成される。
【0041】
そして、入出力インターフェース部18は、無線通信装置10が図2のユニット式電力量計として使用されるときには、電力量計測部30から電力量を入手し、開閉器40の開閉状態を入手すると共に、開閉操作信号を与えるなどの機能を果たす。また、無線通信装置10が図5の集約装置2として使用されるときには、基幹ネットワークインターフェイス50に接続されて使用される。なお、入出力インターフェース部18は、無線通信装置10が設置された適用対象の状況に応じて適宜、複数個設けることが可能である。
【0042】
無線通信部11は、通信制御部15から入力されるデータに基づき、アンテナ20を介して無線通信信号を送信する。またアンテナ20を介して入力される無線通信信号は無線通信部11において受信され、通信制御部15に出力される。
【0043】
無線通信部11は、通常は変復調、周波数変換器、フィルタ、高周波スイッチ等の無線通信で用いられる回路にて構成される。このとき無線通信部11において無線通信信号の送信および受信に使用される周波数チャネルは、チャネル切替制御部12において選択され、チャネル切替制御部12から無線通信部11に入力される制御信号121に基づき決定される。
【0044】
チャネル切替制御部12は、チャネル切替条件検出部13からの信号201、およびチャネル切替信号判定部16からの信号123に基づき制御信号121を決定し、無線通信部11で使用する周波数チャネルを選択する。周波数チャネルの選択方法は纏めて後述する。
【0045】
チャネル切替信号判定部16は、無線通信部11または入出力インターフェース部18を介して通信制御部15に入力される信号を入力して、この中からチャネル切替信号123を抽出し、チャネル切替制御部12を駆動する。
【0046】
またチャネル切替信号生成部17は、チャネル切替制御部12から入力される信号122に基づいて、無線通信部11または入出力インターフェース部18へ出力されるチャネル切替信号を通信制御部15に出力する。
【0047】
チャネル切替条件検出部13の動作条件は、適宜設定することができるが、例えばタイマーを用いて予め決められた時刻になったらチャネル切替信号201を発生すればよい。あるいは、無線通信回数が一定回数に達したらチャネル切替信号201を発生するという条件にしてもよい。
【0048】
なお本実施形態では説明を簡易にするために、チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17は、別々の機能ブロックとして説明したが、通常の無線通信装置では、これらの機能を、通信制御部15を構成する中央処理装置CPUと同一の部品に実装し、ソフトによってこれらの複数の機能を実現することが多い。
【0049】
また、無線通信装置10は、標準的に図1の構成を備えるが、図4のネットワークの全ての端末2内の無線通信装置10が、これらの機能を常時使用するというものではなく、端末2の果たすべき役割に応じて、その機能の一部または全部が適宜選択して使用される。
【0050】
特に、チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17の機能を標準的に備え、かつこれらの機能を選択的に使用することで、本発明の3つの課題(実効的な通信速度の向上、干渉抑制による信頼性向上、通信効率向上)を達成することができる図4のネットワークの構成に貢献することができる。
【0051】
なお、電源部19は、外部から供給されるAC100Vなどの電源から無線通信装置10内で使用される複数の電源、例えばDC5Vなどに変換してから各部に供給する機能を有する。
【0052】
図4に全体構成を示す自動検針システムは、図1、図2、図5に示したような装置を用いて構成されているが、ここで使用する無線通信では、電波法によって通信に使用できる周波数が規定されている。
【0053】
図3に示すように、周波数軸上においてf1,f2,f3,f4,f5等の中心周波数を持ち、ある一定の周波数幅を持つ周波数チャネルが複数設けられている。図3では周波数チャネルCH1、チャネルCH2、チャネルCH3、チャネルCH4、チャネルCH5等のように複数存在する。例えば950MHz帯では、200kHzの周波数幅を持つ周波数チャネルが24個設けられている。
【0054】
本発明の適用される自動検針システムにおいては、上記のような無線通信設備と規定の周波数環境のもとで、本発明の3つの課題(実効的な通信速度の向上、干渉抑制による信頼性向上、通信効率向上)を達成する。
【0055】
本発明においては、図4の自動検針システムを構成するに際し、第1の課題である「実効的な通信速度の向上」と、第2の課題である「干渉抑制による信頼性向上」を図る目的で、無線通信装置のグルーピング化と、複数周波数チャネル化を行う。
【0056】
具体的には、集約装置2、端末1a、切替端末1b、1cは、第一の周波数チャネルCH1を使用するグループ4aに属することとする。同様に、切替端末1b、1c、端末1d、1eは、第二の周波数チャネルCH2を使用するグループ4bに属することとする。
【0057】
ここでグループ4aと4bが、異なる周波数チャネルを使用することが、本発明においては重要である。それぞれのグループ内における無線通信信号は、他のグループ内における無線通信信号には干渉しないため、信頼性が高く、かつ自動検針システム全体での実効的な通信速度を向上させることが可能である。
【0058】
なお、端末1b及び1cを切替端末と称しているが、これは説明の都合によるものであり、装置の構成は他の端末1a,1d,1eと同一の、図1の構成とすればよい。他の端末1a,1d,1eと、切替端末1b、1cとの相違は、前者が周波数チャネルを第一あるいは第二の周波数チャネルCH1,チャネルCH2のいずれかに固定されて使用されるのに対し、後者は第一、第二の周波数チャネルCH1,チャネルCH2を適宜切り替えて使用する点で相違している。
【0059】
このことを、図1の無線通信装置10の構成で説明すると、まず全ての端末1は無線通信装置10の構成を備えている。そして、他の端末1a,1d,1eは、標準的に備えたチャネル切替に関する構成(チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17の機能)を使用しない(機能させない)のに対して、切替端末1b、1cは、このチャネル切替に関する構成を積極的に利用する。
【0060】
しかしながら、単にグループ化したままでは、グループ4aとグループ4bは異なる周波数チャネルを使用するために、相互に無線通信によってデータを伝達することは通常は困難である。例えば、集約装置2が送信したデータを端末1eまでマルチホップ無線通信によって伝送することを想定すると、集約装置2から端末1aを介して切替端末1bまでは第一の周波数チャネルCH1で無線通信を行うことが可能であるが、端末1dは第二の周波数チャネルCH2を使用しているために端末1dを介して端末1eにデータを伝達することができないことになる。
【0061】
そこで切替端末1bおよび1cは、グループ4aと4bの間での無線通信を可能とするため、複数の周波数チャネルの間で周波数チャネルを交互に切替えることとする。
【0062】
この切替を可能にする為の設備は、図1で説明したように、無線通信装置10内に備えられている。つまり、無線通信信号の送信および受信に使用される周波数チャネルを適宜切替使用可能なチャネル切替制御部12が備えられている。そして、チャネル切替条件検出部13およびチャネル切替信号判定部16から入力される信号に基づき、自局のチャネルを切替ることができ、かつチャネル切替信号生成部17を介して、他局のチャネル切替を指示することができるように構成されている。
【0063】
切替端末1bおよび1cは、上記構成の装置、機能を利用してグループ4を跨ぐ通信を、図6に示すように実行する。具体的には、切替端末1bおよび1cは、グループ4a向けの無線通信チャネルCH1と、グループ4b向けの無線通信チャネルCH2とを、適宜切替使用する。
【0064】
例えば、チャネルCH1を使用してグループ4a向けの通信101aを実行中に、チャネル切替条件検出部13が切替条件201aを検出したときには、チャネル切替制御部12が、無線通信部11に作用して、チャネルCH2を使用するグループ4b向けの通信102aに切り替える。また、通信102a実行中に、チャネル切替条件検出部13が切替条件201bを検出したときには、チャネル切替制御部12が、無線通信部11に作用して、再度チャネルCH2を使用するグループ4a向けの通信に切り替わり、新たな通信101bを実行する。
【0065】
ここで、チャネルの切替は図6のように実行されるが、各通信において切替端末1bおよび1cが送出する情報は、その前段階において別のチャネルを利用して行っていた通信内容である。例えば、チャネルCH1を用いた通信101bのときの通信内容は、その前にチャネルCH2を用いた通信102aのときの通信内容とされる。これは、通信102aで、グループ4bの端末1d、1eが上流に向けて送信した内容を、通信101bで、切替端末1bおよび1cがグループ4aの集約装置2に向けて送信することを意味する。
【0066】
同様に、チャネルCH2を用いた通信102aのときの通信内容は、その前にチャネルCH1を用いた通信101aのときの通信内容とされる。これは、通信101aで、グループ4aの集約装置2が下流に向けて送信した内容を、通信102aで、切替端末1bおよび1cがグループ4bの端末1d、1eに向けて送信することを意味する。
【0067】
この結果を纏めると、例えば通信101aで、集約装置2が下流の端末に向けて送信した内容を、グループ4a内の端末1a、1bおよび1cはこの期間内に受信可能であり、さらには必要な応答をこの期間内にすることができる。これに対し、グループ4b内の端末1d、および1eは、切替端末1bおよび1cを介して通信102aで受信することになる。従って、必要な応答をこの通信102aの期間内にすることができたとしても、届くのは切替端末1bおよび1cまでであり、集約装置2へ応答が到達するのは、通信101bによってである。係る通信によって、一部グループへの時間遅れは発生するが、上下方向の通信が達成される。
【0068】
このことから明らかなように、チャネルCH2からチャネルCH1に切り替えるということは、図4の上り線PUを形成したことを意味している。逆にチャネルCH1からチャネルCH2に切り替えるということは、図4の下り線PDを形成したことを意味している。
【0069】
なお、チャネル切替条件は、適宜設定することができるが、例えばタイマーを用いて予め決められた時刻になったらチャネルを切替えるという条件にすればよい。あるいは、無線通信回数が一定回数に達したら切替えるという条件にしてもよい。
【0070】
このように、例えば時間ごとに切替端末の周波数チャネルを切替えることによって、周波数チャネルCH1に設定されている期間はグループ4aに属する端末と無線通信を行うことが可能となり、また周波数チャネルCH2に設定されている期間はグループ4bに属する端末と無線通信を行うことが可能となる。
【0071】
このようにして、切替端末が時間ごとに周波数チャネルを切替えることによって複数のグループに属する端末と無線通信することが可能となる。しかし時間によっては、切替端末が使用する周波数チャネルとは異なる周波数チャネルを使用するグループの端末は、切替端末との無線通信を行うことができない。つまり、図6の方式のままでは、本発明の第3の課題である「通信効率向上」の目的を十分には達成できない。
【0072】
このため、本発明では、図4に示すようにグループ4aと4bの境界に、2台の切替端末1bと1cを設ける。そして切替端末1bと1cの間では、チャネル切替信号3aと3bを相互に伝達することとする。この結果として、一方の切替端末が一方のグループ向けに通信しているときには、他方の切替端末が他方のグループ向けに通信している状況としておく。これにより、システム全体としては常時双方向の通信を行なっている状況を実現できる。
【0073】
切替端末1bと1cを使用して、常時双方向の通信を実現するための周波数チャネル切替処理の第一の実施例を、図7を用いて説明する。なお、図7の上部には切替端末1bの動作を記載し、下部には切替端末1cの動作を記載している。
【0074】
この切替動作説明に当り、初期状態では切替端末1bはグループ4b向けにチャネルCH2を使用して通信102bを実行し、同時にこの期間において切替端末1cはグループ4a向けにチャネルCH1を使用して通信101dを実行しているものとする。
【0075】
この状態において、切替端末1b内のチャネル切替制御部12は、チャネル切替条件検出部13からの、チャネルを切り替えるための切替条件検出信号201cを検出し、無線通信部11に作用して自局のチャネル切替を時刻t1で実行する。これにより、切替端末1bの周波数チャネルはチャネルCH2からチャネルCH1へと変更され、通信内容が102bから101cに変更される。
【0076】
チャネルCH1に変更後、切替端末1b内のチャネル切替制御部12は、信号122をチャネル切替信号生成部17に送り、通信制御部15に作用して、他局に送信するデータの一部に他局でのチャネル切替を指示するチャネル切替信号を含ませた通信を実行する。このときの通信は、チャネルCH1を用いて行われ、他局として、切替端末1cを指定するチャネル切替信号3aが送信される。
【0077】
この信号3aは、グループ4a内の端末及び集約装置に受信される。この状態では、切替端末1cは、チャネルCH1を使用中であるので、チャネル切替信号3aの受信が可能である。切替端末1c内のチャネル切替信号判定部16では、通信制御部15の受信データに含まれたチャネル切替信号3aが自局宛の指示であると判定した場合、チャネル切替制御部12に信号123を送り、無線通信部11に作用して時刻t2において自局の周波数チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2へと変更する。そして、通信内容が101dから102dに変更される。
【0078】
複数の切替端末1間における以上の働きは、無線通信装置10のチャネル切替に関する構成(チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17の機能)の相互の働きにより、上記の手順で各部が動作することにより達成されている。このため、本発明の以下の説明においては、特別に必要のない限り、結果として達成される事象のみ説明し、逐一のチャネル切替に関する構成の詳細な動作説明を割愛する。
【0079】
その後、切替端末1cはチャネルCH2での通信を継続するが、切替条件検出信号201dを検出した時には、切替を時刻t3で実行する。これにより、切替端末1cの周波数チャネルはチャネルCH2からチャネルCH1へと変更され、通信内容が102dから101eに変更される。
【0080】
チャネルCH1に変更後、切替端末1cはチャネル切替信号3bを送信する。この信号3bはグループ4b内の端末に受信される。この状態では、切替端末1bは、チャネルCH1を使用中であるので、チャネル切替信号3bの受信が可能である。切替端末1bは、チャネル切替信号3bを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、時刻t4において周波数チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2へと変更し、通信内容が101cから102cに変更される。
【0081】
以上述べたように、2つの切替端末1b、1cは、通常は一方がチャネルCH1、他方がチャネルCH2を利用して通信を行っており、チャネル切替条件201を検出すると、まず自分のチャネルを他方のチャネルに合わせるべく切替を実行し、通信を確保する。その上でチャネル切替信号3を送信し、これを確認したときに相手側がチャネル切替を行うことで、当初の状態「一方がチャネルCH1、他方がチャネルCH2を利用した通信」に復帰する。
【0082】
この方式によれば、切替端末1bと1cの間で無線通信を行なうためには、2つの切替端末が、同一の周波数チャネルにおいて伝送する必要があるため、チャネル切替時間300の間は、切替端末1bと1cが共に周波数チャネルCH1を使用することが必須条件となる。
【0083】
しかしこのことは、周波数チャネルCH2を使用するグループ4bに属する端末からの無線通信信号を、この期間は受信できないことを意味する。一方でのチャネル切替条件検出時刻t1(またはt3)から、他方でのチャネル切替信号受信、確認後のチャネルの追従切替の時刻t2(またはt4)までは、周波数チャネルCH2を使用する通信が行えない。
【0084】
この事自体は、常時双方向通信を行う上では障害となるが、以下のようにして障害の度合いを軽減することが可能である。その1つは、切替を短期間で実行することである。
【0085】
他の手法は、常に周波数チャネルCH1が生きていることから、下り方向の通信が確保されていることを利用する。つまり、上り方向の通信が確保されずとも、集約装置2が端末からの応答が受信できない場合に、常時通信が確保されている下り通信を利用してデータの再送要求をすることで、端末からの送信データの欠損を防ぐことができる。
【0086】
以上述べたように、本実施例によれば、切替端末1bと1cのどちらか一方は、常に周波数チャネルCH1を使用していることになる。すなわち、グループ4aに属する端末が送信する無線通信信号は、切替端末1bまたは1cのどちらかが必ず受信することが可能である。
【0087】
これにより、例えば集約装置2から端末1eに向けて下り方向のマルチホップ通信によってデータを伝送する場合には、切替端末1bまたは1cが周波数チャネルを切替えることによる無線通信信号のロスを回避することが可能である。すなわち、データの通信方向を優先的に制御することが可能である。
【0088】
なお、切替端末1bと1cの周波数チャネルを切替える順番とチャネル切替信号の送信方向を入れ替えることで、切替端末1bと1cのどちらか一方は、常に周波数チャネルCH2を使用することにし、グループ4bに属する端末からの無線通信信号を切替端末1bまたは1cのどちらか一方が必ず受信可能なように制御することも可能である。
【0089】
この場合には、常時周波数チャネルCH2が生きていることから、上り方向の通信が確保されているので、集約装置2は端末1からの通信を欠損することなく受信可能である。但し、下り方向の通信が常時確保されるわけではないので、集約装置2からの指令に対する端末からの応答がない場合には、再度集約装置2からの指令を与える必要がある。
【0090】
切替端末における以上の図7での周波数チャネル切替方法について、図8のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは、左側に切替端末1bの動きを、右側に切替端末1cの動きを示す。なお、フローチャートの初期状態は図7の場合と同じとし、最初に切替端末1bが切替条件を検知するものとする。
【0091】
図8において、切替端末1bはステップS70において、まず周波数チャネルを切替える条件を検出する。このとき切替る条件は、例えばタイマーを用いて予め設定しておいた時刻になったら周波数チャネルを切り替えるとすればよい。
【0092】
次に切替端末1bは、ステップS71において、周波数チャネルをチャネルCH2から101へ変更する。その後、ステップS72において切替端末1bはチャネル切替信号3aを送信する。切替端末1bは、以後、指示があるまでは切替に関する動作を実施しない。ここで、指示とは切替端末1cからのチャネル切替信号3bの受信である。
【0093】
これに対して切替端末1cは、切替端末1bからチャネル切替信号3aを受信するまでは、自ら切替を実施しない。切替端末1cでは、ステップS73において、チャネル切替信号3aの受信を確認し、受信した信号が自局宛のチャネル切替指示であることを判定する。ステップS74において、自局宛のチャネル切替信号である場合には、切替端末1cは周波数チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2へ変更する。
【0094】
次にステップS75では、切替端末1cは、まず周波数チャネルを切替える条件を検出するまで待機し、検出したときは、ステップS76において、切替端末1cは周波数チャネルをチャネルCH2からチャネルCH1へ変更する。このとき切り替える条件は、例えばタイマーを用いて予め設定しておいた時刻になったら周波数チャネルを切り替えるとすればよい。
【0095】
ステップS77では、チャネル切替後、切替端末1cはチャネル切替信号3bを送信する。以後、切替端末1cはチャネル切替信号3aを再度受信するまで、チャネル切替に関与しない。
【0096】
なお、続いて切替端末1bは、ステップS78において受信したチャネル切替信号3bが自局宛のチャネル切替指示であるかを判定し、ステップS79において自局宛のチャネル切替信号であれば、切替端末1bは、周波数チャネルをチャネルCH1から102へ変更する。
【0097】
切替端末1bにおける以降の動作は、ステップS70からステップS72までの繰り返しである。切替端末も、ステップS73からステップS77までの手順を繰り返し実行する。
【0098】
以上、本実施形態では、無線通信装置10が周波数チャネルを切り替える機能を有し、また周波数チャネルによって複数の端末をグループ化することで無線通信信号の干渉を抑制し、異なる周波数チャネルのグループに属する端末とは周波数チャネルを切り替える端末がデータを中継する機能を有することで、無線通信信号の干渉を抑制して無線通信ネットワークの実効的な通信速度を向上し、通信信頼性を向上させることが可能である。また同じ周波数チャネルを使用するグループ内の端末に対してはマルチキャスト通信を行うことで、効率的にデータを伝達することが可能である。
【0099】
次に、本発明を実施するための第二の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0100】
本実施形態では、周波数チャネルの切替条件検出を一方の切替端末1bでのみ行いながら切替端末1bと1cのチャネル切替を実行する。先に述べた第一の実施形態では、一方のチャネルが常時通信可能とされるのに対し、他方のチャネルは通信できない空白期間を生じていた。本実施形態では、空白期間を一方のチャネルに集中させるのではなく、2つのチャネルに均等に配分することで、通信速度を共に平均的な速度にすることが可能である。
【0101】
この場合の、切替端末1bと1cにおける周波数チャネル切替処理を、図9を用いて説明する。但し、初期状態では、切替端末1bはチャネルCH2を使用して通信102eを実行しており、切替端末1cはチャネルCH1を使用して通信102gを実行しているものとする。
【0102】
まず、切替端末1bは、チャネルを切り替えるための切替条件検出201eを検出し、時刻t1において切替端末1bの周波数チャネルを、チャネルCH2を使用する通信102eからチャネルCH1を使用する通信101fに変更する。但し、チャネル切替条件は、例えばタイマーを用いて予め決められた時刻になったらチャネルを切替えるという条件にすればよい。
【0103】
チャネルCH1に変更後、切替端末1bはチャネル切替信号3cを切替端末1cへ送信する。切替端末1cはチャネル切替信号3cを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、時刻t2において、チャネルCH1による通信101gからチャネルCH2による通信102gへと変更する。
【0104】
次に再び切替端末1bは、チャネルを切り替えるための切替条件検出201fを検出し、時刻t3において切替端末1bの周波数チャネルを、チャネルCH1を使用する通信102fからチャネルCH2を使用する通信102fに変更する。チャネルCH2に変更後、切替端末1bはチャネル切替信号3dを切替端末1cへ送信する。切替端末1cはチャネル切替信号3dを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、時刻t4において、チャネルCH2による通信102gからチャネルCH1による通信101hへと変更する。
【0105】
第二実施例における各切替端末の切替処理は以上のようなものであるが、この図で明らかなように、切替端末の一方(ここでは1b)でのみ、先行切替を実行し、他方の切替端末(ここでは1c)は、従属的にチャネル切替信号を受信して従うのみである。係る、主従の関係を実現すべく、図1の無線通信装置10のチャネル切替に関する構成(チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17の機能)は、それぞれ以下のようにされる。
【0106】
まず、先行切替を実行する切替端末1bでは、自己の判断で切替を実行し、その結果(チャネル切替信号)を相手に伝達するだけなので、チャネル切替信号判定部16を使用しない。従属的にチャネル切替信号を受信して従うのみの切替端末1cでは、チャネル切替信号を受信して切替るのみなので、チャネル切替条件検出部13とチャネル切替信号生成部17を使用しない。双方をこのように構成するときの図1各部の連携的な働きは、今までの説明から容易に理解できることなので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0107】
上記のようにしたときには、チャネル切替信号3cと3dは、同一の周波数チャネルにおいて伝送する必要があるため、チャネル切替時間300の間は、切替端末1bと1cが共に周波数チャネルCH1または102のどちらかを使用しており、他方の周波数チャネルを使用するグループに属する端末からの無線通信信号を受信できない。本実施形態では、この無線通信信号が受信できない期間(通信空白期間)を双方のグループの端末に公平化する目的で実施するものである。
【0108】
つまり、図9の切替端末1bがチャネルCH2からチャネルCH1に、そして切替端末1cがチャネルCH1からチャネルCH2に切り替えるときには、チャネルCH2側に空白期間301(t1からt2までの期間)を生じ、逆に切替端末1bがチャネルCH1からチャネルCH2に、そして切替端末1cがチャネルCH2からチャネルCH1に切り替えるときには、チャネルCH1側に空白期間302(t3からt4までの期間)を生じることになり、この間の空白期間は、概ね均一化することができる。
【0109】
図9の場合に、切替端末が周波数チャネルを切替える方法について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0110】
切替端末1bは、まずステップS80において周波数チャネルを切替える条件を検出する。このとき切り替える条件は、例えばタイマーを用いて予め設定しておいた時刻になったら周波数チャネルを切り替えるとすればよい。次に切替端末1bは、ステップS81において周波数チャネルをチャネルCH2からチャネルCH1へ変更する。その後切替端末1bは、ステップS82においてチャネル切替信号3cを切替端末1cに送信する。
【0111】
チャネル切替信号3cを受信した切替端末1cは、ステップS83において受信したチャネル切替信号3cが自局宛のチャネル切替指示であるかを判定する。自局宛のチャネル切替信号であれば、切替端末1cはステップS84において周波数チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2へ変更する。
【0112】
次に、再び切替端末1bは、ステップS80において周波数チャネルを切替える条件を検出する。そして切替端末1bは、ステップS81において周波数チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2へ変更する。その後切替端末1bは、ステップS82においてチャネル切替信号3dを切替端末1cに送信する。
【0113】
チャネル切替信号3dを受信した切替端末1cは、ステップS83において受信したチャネル切替信号3dが自局宛のチャネル切替指示であるかを判定する。自局宛のチャネル切替信号であれば、切替端末1cはステップS84において周波数チャネルをチャネルCH2からチャネルCH1へ変更する。
【0114】
このようにして、切替端末1bと1cは、以降この動作を継続して実施する。この実施形態では、チャネル切替信号3は常に切替端末1bが与え、切替端末はチャネル切替信号3受信のたびに、追従してチャネル切替を実行する。
【0115】
以上、本実施形態では、切替端末における周波数チャネルの切替方法を変更することで、切替端末の周波数チャネルとは異なる周波数チャネルを使用するグループに属する端末の無線通信信号を受信できない期間(通信空白期間)を公平に割り当て、通信の上りまたは下り方向の実効的な通信速度を共に平均的な速度にすることが可能であるという効果を有する。
【0116】
次に、本発明を実施するための第三の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0117】
本実施形態では、切替端末間で周波数チャネルを切り替えるために、チャネル切替信号とチャネル切替応答信号を送受信する。チャネル切替応答信号は、相手の切替端末において周波数チャネルの切替が適切に行われているかを確認するためであり、周波数チャネル切替処理をより高信頼化するという効果がある。チャネル切替応答信号が受信されなかった場合、再度チャネル切替信号を送信することで互いの周波数チャネル切替処理を適切に行うことが可能になる。
【0118】
切替端末1bと1cにおける周波数チャネル切替処理を図11を用いて説明する。但し、図11における通信チャネルの切替は、図7の実施形態に適用するものとする。また、初期状態では、切替端末1bはチャネルCH2を使用して通信102hを実行しており、切替端末1cはチャネルCH1を使用して通信101jを実行しているものとする。
【0119】
まず、切替端末1bは、チャネルを切り替えるための切替条件検出201gを検出し、時刻t1において切替端末1bの周波数チャネルを、チャネルCH2を使用する通信102hからチャネルCH1を使用する通信101iに変更する。但し、チャネル切替条件は、例えばタイマーを用いて予め決められた時刻になったらチャネルを切替えるという条件にすればよい。
【0120】
チャネルCH1に変更後、切替端末1bはチャネル切替信号3eを切替端末1cへ送信する。切替端末1cはチャネル切替信号3eを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、チャネル切替応答信号6aを切替端末1bに向けて送信する。また切替端末1cは、引き続き時刻t2において、チャネルCH1による通信101jからチャネルCH2による通信102jへと変更する。なお、チャネル切替応答信号6aを受信した切替端末1bは、その受信を持って切替端末1cが正常に作動していることを確認する。もし、所定期間内にチャネル切替応答信号6aを受信しない場合には、再度チャネル切替信号3eを送信して、切替端末1cの動作を促す。
【0121】
引き続いて、切替端末1cは、チャネルを切り替えるための切替条件検出201hを検出し、時刻t3において切替端末1cの周波数チャネルを、チャネルCH2を使用する通信102jからチャネルCH1を使用する通信101kに変更する。
【0122】
チャネルCH1に変更後、切替端末1cはチャネル切替信号3fを切替端末1bへ送信する。切替端末1bはチャネル切替信号3fを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、チャネル切替応答信号6bを切替端末1cに向けて送信する。また切替端末1bは、引き続き時刻t4において、チャネルCH1による通信101iからチャネルCH2による通信102iへと変更する。なお、チャネル切替応答信号6bを受信した切替端末1cは、その受信を持って切替端末1bが正常に作動していることを確認する。もし、所定期間内にチャネル切替応答信号6bを受信しない場合には、再度チャネル切替信号3fを送信して、切替端末1bの動作を促す。
【0123】
図11を図7と比較して明らかなように、第三実施例は第一実施例において、チャネル切替応答信号を追加し、これを相互に送信しあう方式である。従って、図1の無線通信装置10のチャネル切替に関する構成(チャネル切替制御部12、チャネル切替条件検出部13、チャネル切替信号判定部16、チャネル切替信号生成部17の機能)は、双方とも全て使用する。
【0124】
その上で、チャネル切替制御部12に以下の機能を追加する。まず、自己がチャネル切替信号3を送信した立場であるときには、チャネル切替信号制御部12はこの送信時刻から時間カウントを開始し、所定時間内にチャネル切替信号判定部16にチャネル切替応答信号6が得られない場合には、チャネル切替信号生成部17を駆動して、もう一度チャネル切替信号3を送信する。この動作をチャネル切替信号判定部16にチャネル切替応答信号6が得られるまで継続実行すればよい。自己がチャネル切替信号3を受信する立場であるときには、チャネル切替信号制御部12は、チャネル切替信号生成部17を駆動して、チャネル切替応答信号6を送信し、自己のチャネル切替を実行すればよい。
【0125】
次に、切替端末が周波数チャネルを切替える方法について図12を用いて説明する。但し、この第3の実施形態は、基本的には第1の実施形態の手法を受け継いだものである。図7と、図8で説明済みの事項に一部動作を追記したものであり、かつ図7に対応する動作を図11で説明済みであることから、図12については、図8と相違する点のみを主体に説明する。
【0126】
図12において、チャネル切替信号3eを受信した切替端末1cでは、ステップS73において、チャネル切替信号3eの受信を判定すると、ステップS74のチャネル切替に先行して、新たなステップS90を実行する。ステップS90では、チャネル切替信号3eを受信したことを切替端末1bに通知する為のチャネル切替応答信号6aを送信する。
【0127】
一方、チャネル切替信号3eを送信した側の切替端末1bでは、ステップS91とステップS92が追加されている。ステップS91では、チャネル切替信号3eを送信してから、チャネル切替応答信号6aを受信するまでの時間を監視しており、当該時間内に受信があれば、次にチャネル切替信号3fを受信するまで、切替端末1bとしての切替動作は実行しない。そして、当該時間内に受信がない場合には、ステップS92においてチャネル切替信号3eの再送信を決定し、ステップS72から、チャネル切替信号3eを再送信せしめる。
【0128】
これと同様の処理は、逆の立場になったときにも実行される。つまり、切替端末1bが、チャネル切替信号3fを受信したときである。図12において、チャネル切替信号3fを受信した切替端末1bでは、ステップS78において、チャネル切替信号3fの受信を判定すると、ステップS79のチャネル切替に先行して、新たなステップS100を実行する。ステップS100では、チャネル切替信号3fを受信したことを切替端末1cに通知する為のチャネル切替応答信号6bを送信する。
【0129】
一方、チャネル切替信号3fを送信した側の切替端末1cでは、ステップS101とステップS102が追加されている。ステップS101では、チャネル切替信号3fを送信してから、チャネル切替応答信号6bを受信するまでの時間を監視しており、当該時間内に受信があれば、次にチャネル切替信号3eを受信するまで、切替端末1cとしての切替動作は実行しない。そして、当該時間内に受信がない場合には、ステップS102においてチャネル切替信号3fの再送信を決定し、ステップS76から、チャネル切替信号3fを再送信せしめる。
【0130】
以上、本実施形態では、切替端末における周波数チャネルの切替方法を変更し、チャネル切替信号とチャネル切替応答信号を送受信することで、相手の切替端末において周波数チャネルの切替が適切に行われているかを確認することが可能となり、周波数チャネル切替処理をより高信頼化するという効果を有する。
【0131】
次に、本発明を実施するための第四の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0132】
本実施形態では、周波数チャネルの切替端末を3台用いる構成とする。切替端末が2台の場合は、一時的にチャネル切替時間において2台の切替端末の周波数チャネルが同一とならざるを得ず、他の周波数チャネルを使用するグループに属する端末からの無線通信信号を受信できないという問題を改善する。
【0133】
図13に示すようにグループ4aと4bの境界に切替端末1f、1g、1hの3台の切替端末を設ける。そして切替端末1f、1g、1hの間では互いにチャネル切替信号3を送受信することとする。
【0134】
切替端末1f、1g、1hにおける周波数チャネル切替処理について図14を用いて説明する。但し、初期状態では、切替端末1fはチャネルCH2を使用して通信102kを実行し、切替端末1gはチャネルCH1を使用して通信101nを実行しており、切替端末1hはチャネルCH2を使用して通信102nを実行しているものとする。この結果、チャネルCH1を使用する通信が1つ、チャネルCH2を使用する通信が2つ行われていることになる。
【0135】
かかる状況において、チャネル切替の開始は、2つの通信が実行されているチャネルCH2を使用する切替端末の1つである切替端末1fから行い、その切替後に1つの通信が行われていたチャネルCH1を使用する切替端末1gの切替を行ない、最後に残された切替端末1hの切替を行うという順序で逐次実行する。
【0136】
まず、最初に開始する切替端末1fは、チャネルを切り替えるための切替条件検出201iを検出し、時刻t1において切替端末1fの周波数チャネルを、チャネルCH2を使用する通信102kからチャネルCH1を使用する通信101mに変更する。
【0137】
チャネルCH1に変更後、切替端末1fはチャネル切替信号3gを切替端末1gへ送信する。切替端末1gはチャネル切替信号3gを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、時刻t2において、チャネルCH1による通信101nからチャネルCH2による通信102mへと変更する。
【0138】
また、切替端末1gは、チャネルCH2に変更後、チャネル切替信号3hを切替端末1hへ送信する。切替端末1hはチャネル切替信号3hを受信後、チャネル切替信号が自局宛の指示であると判定した場合、時刻t3において、チャネルCH2による通信102nからチャネルCH1による通信101oへと変更する。
【0139】
この結果、時刻t1以前から、最終切替後の時刻t3後までの間、チャネル1も、またチャネル2も、3組の切替端末1f、1g、1hにより常時通信が確保されていることがわかる。つまり、最終切替時刻t3までは、チャネルCH2は切替端末1hにより通信が確保され、チャネルCH1については、切替端末1fと1gが期間を重複して切り替えることにより常時通信が確保されていることがわかる。
【0140】
なお、次回の切替も、上記と同じ流れで逐次、切替端末1f、1g、1hの順番に切替を実行すれば良く、この場合にも、一貫してチャネル1も、またチャネル2も、3組の切替端末1f、1g、1hにより常時通信が確保される。
【0141】
図14を図9と比較して明らかなように、第四実施例は第二実施例の変形例である。つまり、図14の切替端末1fと1hは、図9の切替端末1bと1cと全く同じように動いている。従って、切替端末1fと1hは、図9の切替端末1bと1cと同じ図1の回路構成とされればよい。これに対し、図14の切替端末1gは、以下のように構成される。
【0142】
切替端末1gは、チャネル切替信号3gを受信して自己チャネルを切替え、チャネル切替信号3hを送信する機能のものであるので、図1のチャネル切替条件検出部13を使用しない。そして、チャネル切替制御部12は、チャネル切替信号判定部16がチャネル切替信号3gを確認したことを持って、チャネル切替信号生成部17を駆動してチャネル切替信号3hを切替端末1h宛に送出する。また、無線通信部11を用いて、自己のチャネルを切り替える。
【0143】
次に、切替端末が周波数チャネルを切替える方法について図15を用いて説明する。切替端末1fはまずステップS110において、周波数チャネルを切替える条件を検出する。次に切替端末1fは、ステップS111において周波数チャネルをチャネルCH2から101へ変更する。その後切替端末1fは、ステップS112において、チャネル切替信号3gを送信する。
【0144】
続いて切替端末1gの動作について説明する。切替端末1gは、まずステップS113において、切替端末1fから受信したチャネル切替信号3gを判定し、これが自分に向けられたものであることを検出する。次に切替端末1gは、ステップS114において周波数チャネルをチャネルCH1から102へ変更する。その後切替端末1gは、ステップS115において、チャネル切替信号3hを、切替端末1hに向けて送信する。
【0145】
続いて切替端末1hの動作について説明する。切替端末1hは、まずステップS116において、切替端末1gから受信したチャネル切替信号3hを判定し、これが自分に向けられたものであることを検出する。次に切替端末1hは、ステップS117において周波数チャネルをチャネルCH2から101へ変更する。
【0146】
以上、本実施形態では、切替端末を3台用いる構成とし、チャネル切替時間においても、3台の切替端末の内の少なくとの1台は必ずチャネルCH1または102を使用しているため、グループ4aおよび4bに属する端末から送信される無線通信信号を、切替端末3台の内の少なくとも1台は必ず受信することが可能であり、無線通信ネットワークを高信頼化することが可能である。
【0147】
次に、本発明を実施するための第五の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0148】
本実施形態では、周波数チャネルを3チャネル用いる構成とする。端末数が多い場合には、チャネル数が2チャネルのみでは1チャネル当りの端末数が多くなり、同じ周波数チャネルを使用するグループ内の端末どうしで無線通信信号が干渉し易くなり信頼性が低下する。そこでチャネル数を3チャネル使用することで、1チャネル当りの端末数を少なくし、グループ内での端末の無線通信信号の干渉を抑制する。なおより端末数が多い場合は3チャネルに限らず、4チャネル以上を用いても構わない。
【0149】
周波数チャネルを3チャネル用いる場合の構成について、図16を用いて説明する。集約装置2、端末1a、切替端末1b、1cは、第一の周波数チャネルCH1を使用するグループ4aに属することとする。切替端末1b、1c、1i、1j、端末1d、1eは、第二の周波数チャネルCH2を使用するグループ4bに属することとする。切替端末1i、1j、端末1kは、第三の周波数チャネルCH3を使用するグループ4cに属することとする。
【0150】
グループ4aとグループ4bの境界に位置する切替端末1bと1cの間では、チャネル切替信号3aと3bを送受信し、周波数チャネルを、チャネルCH1とチャネルCH2の間で切り替える。チャネルを切り替えるための方法は、既に図7、図8で示した方法とすればよい。同様に、グループ4bとグループ4cの境界に位置する切替端末1iと1jの間では、チャネル切替信号3iと3jを送受信し、周波数チャネルを、チャネルCH2とチャネルCH3の間で切り替える。チャネルを切り替えるための方法は、同様に図7、図8で示した方法とすればよい。
【0151】
以上、本実施形態では、周波数チャネルを3チャネル用いる構成とし、1チャネル当りの端末数を少なくし、グループ内での端末の無線通信信号の干渉を抑制する。そのため無線通信ネットワークとしても信頼性が向上するという効果を有する。
【0152】
なお、以上述べた第一から第五の実施形態では、ユニット式電力量計1が、電力量計測部30、開閉器40、無線通信装置10を構成要素とするものとして説明したが、電力量計測部30と開閉器40を独立の装置として無線通信装置10を外付けする構成としても構わない。また、電力量計測部30または開閉器40が無線通信装置10を内蔵する構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明によれば、各種の検針を容易に実現することができるので、電力検針以外、水道、ガス検針に適用可能であり、検針に限らず無線通信システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0154】
1:ユニット式電力量計(電力量計)
1a,1d,1e,1k:端末
1b,1c,1f,1g,1h,1i,1j:切替端末
2:集約装置
3:チャネル切替信号
4:グループ
5:基幹ネットワーク
6a,6b:チャネル切替応答信号
10:無線通信装置
11:無線通信部
12:チャネル切替制御部
13:チャネル切替条件検出部
14:記憶部
15:通信制御部
16:チャネル切替信号判定部
17:チャネル切替信号生成部
18:入出力インターフェース部
19:電源部
20:アンテナ
30:電力量計測部
40:開閉器
50:基幹ネットワークインターフェース
CH1−CH5:周波数チャネル
201a,201b,201c,201d:チャネル切替条件検出
201e,201g,201h:チャネル切替条件検出
300,301:チャネル切替時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信のためのアンテナと、無線通信信号処理を実行する無線通信部と、無線通信を制御する通信制御部と、無線通信信号の周波数チャネルを切替えるチャネル切替制御部と、周波数チャネルを切替えるための条件を検出するチャネル切替条件検出部と、チャネル切替信号の送信指示を与えるチャネル切替信号生成部と、前記アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定するチャネル切替信号判定部を備える無線通信装置であって、
前記チャネル切替制御部は、前記チャネル切替条件検出部と前記チャネル切替信号判定部から入力される信号に基づいて自局の前記無線通信部の周波数チャネルを制御し、また前記チャネル切替制御部は、前記チャネル切替信号生成部を駆動してチャネル切替信号を他端に送信せしめる機能を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線通信のためのアンテナと、無線通信信号処理を実行する無線通信部と、無線通信を制御する通信制御部と、無線通信信号の周波数チャネルを切替えるチャネル切替制御部と、周波数チャネルを切替えるための条件を検出するチャネル切替条件検出部と、チャネル切替信号の送信指示を与えるチャネル切替信号生成部と、前記アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定するチャネル切替信号判定部を備える無線通信装置であって、
前記チャネル切替制御部は、前記チャネル切替条件検出部から入力される信号に基づいて前記無線通信部の周波数チャネルを制御した後に、前記チャネル切替信号生成部を駆動してチャネル切替信号の送信指示を与えるとともに、前記チャネル切替信号判定部において前記アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに前記無線通信部の周波数チャネルを制御する機能を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線通信装置において、
前記チャネル切替信号判定部において前記アンテナを介して受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、当該チャネル切替信号を受信した旨の応答としてチャネル切替応答信号を、前記アンテナを介して送信し、かつ前記無線通信部の周波数チャネルを制御する機能を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
請求項2記載の無線通信装置において、
前記チャネル切替信号の送信から所定時間内に、前記チャネル切替応答信号を受信しないときに、前記チャネル切替信号の再送信を実行する機能を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
少なくとも二つの無線通信装置は、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が前記第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が前記第2の周波数チャネルを使用するようにしたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項5記載の無線通信システムにおいて、
前記受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、当該チャネル切替信号を受信した旨の応答としてチャネル切替応答信号を送信し、かつ自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項6記載の無線通信システムにおいて、
前記チャネル切替信号の送信から所定時間内に、前記チャネル切替応答信号を受信しないときに、前記チャネル切替信号の再送信を実行する機能を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
少なくとも二つの無線通信装置は、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを切替使用でき、第1の無線通信装置は、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能を有し、第2の無線通信装置は、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が前記第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が前記第2の周波数チャネルを使用するようにしたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線通信システムにおいて、
前記第2の無線通信装置を2つ以上備え、各第2の無線通信装置は、前記受信したチャネル切替信号が自局宛の指示であることを判定したときに、自己の使用する周波数チャネルを切替制御し、かつ他の第2の無線通信装置に向けてチャネル切替信号を送信する機能を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
第1の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第1のグループと、第2の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第2のグループと、第3の周波数チャネルを使用する複数の無線通信装置により形成された第3のグループとの間で無線通信を実行するための無線通信システムであって、
前記第1のグループと、前記第2のグループのあいだの無線通信の実行のために、少なくとも二つの第1の無線通信装置が備えられ、該第1の無線通信装置は、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が前記第1の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が前記第2の周波数チャネルを使用するとともに、
前記第2のグループと、前記第3のグループのあいだの無線通信の実行のために、少なくとも二つの第2の無線通信装置が備えられ、該第2の無線通信装置は、前記第2の周波数チャネルと前記第3の周波数チャネルを切替使用でき、チャネル切替条件を検出したときに自己の使用する周波数チャネルを切替制御した後に、チャネル切替信号を送信する機能と、受信したチャネル切替信号が自局宛信号であることを判定して自己の使用する周波数チャネルを切替制御する機能を有し、一方の無線通信装置が前記第2の周波数チャネルを使用するときに、他方の無線通信装置が前記第3の周波数チャネルを使用するようにしたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項5から10のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置は、検針対象設備の検針器に設置されて検針データを無線通信するものとされたことを特徴とする検針用の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−254204(P2011−254204A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125669(P2010−125669)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】