説明

無線通信装置とコンピュータプログラム

【課題】 記憶しておくべき無線設定データを低減する技術を開示すること。
【解決手段】 多機能機は、自動無線設定モードに従って取得される無線設定データ154,164を、揮発性記憶領域に記憶する。多機能機は、揮発性記憶領域に記憶される無線設定データに従って、無線通信160、166を実行する。多機能機は、AP又は第1PCから受信する特定信号に含まれ得る情報を用いて、LAN及びPANのどちらに接続すべきかを判断する。多機能機は、LANに接続すべきであると判断される場合に、APから取得される第1種の無線設定データ154を、不揮発性記憶領域に記憶するとともに、揮発性記憶領域にも記憶する(S12)。多機能機は、PANに接続すべきであると判断される場合に、第1PCから取得される第2種の無線設定データ164を、不揮発性記憶領域に記憶せずに、揮発性記憶領域に記憶する(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、無線設定データを用いて無線ネットワークに接続する無線通信装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置が無線ネットワークに接続するためには、その無線ネットワークで利用されている暗号化方式、認証方式等の無線設定データを無線通信装置が記憶しておく必要がある。例えば、特許文献1に、無線設定データ(プロファイル)が異なる複数の無線ネットワークに接続可能な無線通信装置が開示されている。この無線通信装置は、複数の無線ネットワークのそれぞれに対応する無線設定データを記憶部に記憶する。なお、この無線通信装置では、1つの無線ネットワークとの接続が切断されると、記憶部に記憶されている別の無線設定データを用いて、切断された無線ネットワークとは別の無線ネットワークと接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−7120号公報
【特許文献2】特開2008−167149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信装置内のメモリの記憶容量は有限であるために、メモリのリソースを適切に利用するための技術が必要である。本明細書では、無線設定データを適切に記憶し得る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される一つの技術は、無線通信装置である。この無線通信装置は、アクセスポイントを含む第1種の無線ネットワークに接続可能であるとともに、アクセスポイント機能を有する端末装置を含む第2種の無線ネットワークに接続可能である。この無線通信装置は、設定部と通信実行部と判断部とを備える。設定部は、自動無線設定モードに従って取得される無線設定データを、揮発性の記憶領域に記憶する。通信実行部は、揮発性の記憶領域に記憶される無線設定データに従って、無線通信を実行する。判断部は、アクセスポイント又は端末装置から受信する特定信号に含まれ得る情報を用いて、無線通信装置が第1種の無線ネットワーク及び第2種の無線ネットワークのどちらに接続すべきかを判断する。設定部は、無線通信装置が第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、アクセスポイントから取得される第1種の無線設定データを、不揮発性の記憶領域に記憶するとともに、揮発性の記憶領域にも記憶する。設定部は、無線通信装置が第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、端末装置から取得される第2種の無線設定データを、不揮発性の記憶領域に記憶せずに、揮発性の記憶領域に記憶する。
【0006】
上記した構成では、無線ネットワークの種類に応じて、無線設定データの記憶手法が変わる。即ち、無線通信装置は、第1種の無線設定データを不揮発性の記憶領域に記憶するが、第2種の無線設定データを不揮発性の記憶領域に記憶しない。従って、無線設定データによって不揮発性の記憶領域が圧迫されるのを抑制することができる。
【0007】
上記した判断部は、自動無線設定モードに従って無線設定データが取得される前にアクセスポイント又は端末装置から受信する上記した特定信号に、第2種の無線ネットワークを示す特定情報が含まれている場合に、無線通信装置が第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断してもよい。判断部は、上記した特定信号に特定情報が含まれていない場合に、無線装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断してもよい。
【0008】
上記した無線通信装置は、無線ネットワークとの接続の切断を検出する検出部をさらに備えていてもよい。通信実行部は、さらに、第1種の無線ネットワークとの接続の切断が検出される第1の場合に、揮発性の記憶領域に記憶されている第1種の無線設定データを用いて、第1種の無線ネットワークに再接続することを試行する第1の試行処理を実行してもよい。通信実行部は、第2種の無線ネットワークとの接続の切断が検出される第2の場合に、揮発性の記憶領域に記憶されている第2種の無線設定データに代えて、不揮発性の記憶領域に記憶されている第1種の無線設定データを、揮発性の記憶領域に記憶して、第1種の無線ネットワークに接続することを試行する第2の試行処理を実行してもよい。この構成によれば、第1種と第2種のどちらの無線ネットワークとの接続の切断が検出されても、第1種の無線ネットワークに接続することを試行することができる。
【0009】
上記した無線通信装置は、無線通信装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、第1の値を所定の記憶領域に記憶し、無線通信装置が第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、第2の値を上記した所定の記憶領域に記憶する値記憶制御部をさらに備えていてもよい。通信実行部は、無線ネットワークとの接続の切断が検出された際に、上記した所定の記憶領域に第1の値が記憶されている上記した第1の場合に、上記した第1の試行処理を実行してもよい。通信実行部は、無線ネットワークとの接続の切断が検出された際に、上記した所定の記憶領域に第2の値が記憶されている上記した第2の場合に、上記した第2の試行処理を実行してもよい。この構成によると、無線通信装置は、接続の切断が検出された無線ネットワークが、第1種と第2種のどちらの無線ネットワークであるのかを、判別することができる。
【0010】
上記した無線通信装置では、通信実行部は、さらに、上記した第2の場合に、揮発性の記憶領域に記憶されている第2種の無線設定データを所定期間維持して、上記した所定期間の間に、第2種の無線ネットワークに再接続することを試行する第3の試行処理を実行してもよい。通信実行部は、上記した所定期間の間に第3の試行処理を実行しても、第2種の無線ネットワークに再接続することができない場合に、第2の試行処理を実行してもよい。
【0011】
あるいは、通信実行部は、さらに、上記した第2の場合に、揮発性の記憶領域に記憶されている第2種の無線設定データを維持して、第2種の無線ネットワークに再接続することを試行する第3の試行処理を実行してもよい。通信実行部は、第3の試行処理を所定回数実行しても、第2種の無線ネットワークに再接続することができない場合に、第2の試行処理を実行してもよい。
【0012】
なお、上記の無線通信装置を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも、新規で有用である。また、上記の無線通信装置と第1種の無線ネットワークと第2種の無線ネットワークとを含むシステムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】多機能機の構成の一例を示す。
【図2】各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図3】多機能機が実行する無線接続処理のフローチャートを示す。
【図4】第1実施例の多機能機が実行する再接続処理のフローチャートを示す。
【図5】第2実施例の多機能機が実行する再接続処理のフローチャートを示す。
【図6】第3実施例の多機能機が実行する再接続処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)
(多機能機10の構成)
図1を参照しながら、多機能機10の構成について詳しく説明する。図1は、本実施例の多機能機10とLAN(Local Area Network)100とPAN(Personal Area Network)140の構成を示す。多機能機10は、アクセスポイント(図中及び以下ではAPと呼ぶ)80を含むLAN100に接続可能であるとともに、AP機能を有する第1PC110を含むPAN140に接続可能である。
【0015】
多機能機10は、操作部12、表示部14、記憶部16、無線通信インターフェイス(図中及び以下では「無線通信I/F」と呼ぶ)42、印刷部44、スキャナ部46、制御部48等を備える。操作部12は、ユーザによって操作されるべき複数のボタンによって構成されている。図1では、操作部12を構成する自動無線設定ボタン13が示されている。自動無線設定ボタン13は、自動無線設定モードに従って、無線設定データ(後述の認証方式22と暗号化方式24)を多機能機10に設定するためのボタンである。なお、自動無線設定モードに対立する概念として、手動無線設定モードが存在する。手動無線設定モードを利用する場合、ユーザは、多機能機10に設定されるべき無線設定データを、操作部12を操作して入力する必要がある。例えば、ユーザは、複数種類の認証方式の中から1種類の認証方式を選択し、さらに、複数種類の暗号化方式から1種類の認証方式を選択する必要がある。詳しくは後述するが、自動無線設定モードを利用すると、ユーザは、簡単な操作を実行することにより、多機能機10に無線設定データを設定することができる。
【0016】
表示部14は、様々な情報を表示する。スキャナ部46は、スキャナ部46にセットされた文書等を読取ってスキャンデータを生成する。印刷部44は、外部からの印刷データ、又は、多機能機10が備えるスキャナ部46によって生成されたスキャンデータを印刷媒体に印刷する。無線通信I/F42は、外部装置(例えばAP80、第1PC110)と無線通信するためのインターフェイスである。なお、図1において、無線通信I/F42とAP80の無線通信I/F82との間の破線は、多機能機10がLAN100と無線接続している場合に、多機能機10とAP80とが無線通信可能であることを示す。また、図1において、無線通信I/F42と第1PC110の無線通信I/F112との間の破線は、多機能機10がPAN140と無線接続している場合に、多機能機10と第1PC110とが無線通信可能であることを示す。
【0017】
記憶部16は、揮発性記憶領域18、不揮発性記憶領域28等を備える。揮発性記憶領域18は、例えばDRAMによって構成されている。揮発性記憶領域18に記憶されているデータは、多機能機10の電源がOFFにされると消去される。揮発性記憶領域18は、無線設定記憶領域20とフラグ記憶領域26等を備える。無線設定記憶領域20は、多機能機10が無線ネットワーク(例えばLAN100、PAN140)に接続して無線通信を行なう際に利用する無線設定データ(認証方式22及び暗号化方式24)を記憶するための記憶領域である。フラグ記憶領域26は、接続フラグのON又はOFFを記憶する。フラグ記憶領域26のフラグは、後述する制御部48のフラグ制御部60によって変更される。
【0018】
不揮発性記憶領域28は、例えば、NVRAMによって構成される。不揮発性記憶領域28に記憶されるデータは、多機能機10の電源がOFFされても消去されない。不揮発性記憶領域28は、無線設定記憶領域30等を備える。無線設定記憶領域30は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶される無線設定データのうち、多機能機10がLAN100と接続するために用いられる無線設定データ(認証方式32及び暗号化方式34)を記憶するための記憶領域である。即ち、無線設定記憶領域30は、多機能機10がPAN140と接続するために用いられる無線設定データを記憶しない。
【0019】
記憶部16は、さらに、プログラム36を記憶する。プログラム36は、印刷処理や表示処理等の多機能機10の基本機能を実行するための基本機能プログラム、後述する多機能機10の処理を実行するための無線設定プログラム38、無線切断判定プログラム40等を含む。
【0020】
制御部48は、図示省略のCPUによって構成される。制御部48は、記憶部16に記憶されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。制御部48がプログラム36に従って処理を実行することによって、設定部52、通信実行部54、判断部56、検出部58及びフラグ制御部60の機能が実現される。
【0021】
(LAN100の構成)
図1を参照しながら、LAN100の構成について詳しく説明する。LAN100は、AP80がAP機能を発揮することによって構成される無線ネットワークである。LAN100は、AP80、第2PC70等を含む。AP80と第2PC70とは、無線通信可能に無線接続されている。AP80は、無線通信I/F82、制御部84、記憶部90等を備える。無線通信I/F82は、外部装置(例えば多機能機10、第2PC70)と無線通信するためのインターフェイスである。なお、図1において、無線通信I/F82と第2PC70との間の破線は、AP80と第2PC70とが無線通信可能であることを示す。
【0022】
制御部84は、図示省略のCPUによって構成される。制御部84は、記憶部90に記憶されているプログラム98(例えばAP機能プログラム等)に従って、様々な処理を実行する。記憶部90は、無線設定記憶領域92を備える。無線設定記憶領域92は、AP80がLAN110に含まれるデバイス(例えば、第2PC70、LAN110に接続した後の多機能機10)と無線通信を行なう際に利用する無線設定データ(認証方式94及び暗号化方式96)を記憶するための記憶領域である。記憶部90は、さらに、プログラム98を記憶する。プログラム98は、AP80がAP機能を実行するためのAP機能プログラムを含む。
【0023】
(PAN140の構成)
図1を参照しながら、PAN140の構成について詳しく説明する。PAN140は、第1PC110がAP機能を発揮することによって構成される無線パーソナルエリアネットワークである。PAN140は、第1PC110を含む。第1PC110は、携帯型のPCである。第1PC110は、無線通信I/F112、操作部114、表示部116、制御部118、記憶部120等を備える。無線通信I/F112は、外部装置(例えば多機能機10)と無線通信するためのインターフェイスである。操作部114は、マウスとキーボードとによって構成されている。表示部116は、様々な情報を表示する。
【0024】
制御部118は、図示省略のCPUによって構成される。制御部118は、記憶部120に記憶されているプログラム128(例えばAP機能プログラム130等)に従って、様々な処理を実行する。記憶部120は、無線設定記憶領域122を備える。無線設定記憶領域122は、第1PC110がPAN140に含まれるデバイス(例えば、PAN140に接続した後の多機能機10)と無線通信を行なう際に利用する無線設定データ(認証方式124及び暗号化方式126)を記憶するための記憶領域である。記憶部120は、さらに、プログラム128を記憶する。プログラム128は、第1PC110がAP機能を実行するためのAP機能プログラム130を含む。
【0025】
AP機能プログラム130は、Intel(登録商標)が提唱するMy WiFi Technologyの機能を含む。PAN140は、Bluetooth(登録商標)とは異なる。PAN140は、IEEE802.11に基づいて行われる無線通信であるのに対して、Bluetooth(登録商標)は、IEEE802.15に基づいて行われる無線通信である。第1PC110がAP機能を発揮すると、PAN140に含まれる複数のデバイスが、第1PC110(第1PC110のAP)を介して通信することができる。一方において、Bluetooth(登録商標)では、複数のデバイスは、他のデバイスを介して通信することができない。
【0026】
(各デバイスが実行する処理)
図2を参照しながら、各デバイス10,80,110が実行する処理の概要について説明する。ユーザが多機能機10の自動無線設定ボタン13を操作すると、多機能機10は、外部装置(AP80、第1PC110)から発信されるBeacon信号を受信する。最初に、多機能機10が、AP80から発信されるBeacon信号を受信する場合について説明し、続いて、多機能機10が、第1PC110から発信されるBeacon信号を受信する場合について説明する。
【0027】
ユーザは、多機能機10をLAN100に接続することを望む場合に、多機能機10の自動無線設定ボタン13を操作すると共に、AP80の図示省略の所定のボタンを操作する。AP80は、上記の所定のボタンが操作された場合に、自身の周囲の所定範囲に向けて、Beacon信号を送信する。この結果、多機能機10は、AP80からのBeacon信号を受信する。多機能機10は、AP80からのBeacon信号を受信すると、AP80との間で、無線設定のための通信152を実行する。自動無線設定のための通信152では、自動無線設定モードの一種であるWPS(Wi-Fi Protected Setup)が利用される。なお、本実施例では、WPSのプッシュボタン方式が利用される。自動無線設定のための通信152は、多機能機10から送信されるProbe RequestをAP80が受信すること、AP80から送信されるProbe Responseを多機能機10が受信すること等を含む。多機能機10は、Probe Responseを解析する。具体的には、多機能機10は、Probe Responseの送信元がMy WiFi Technologyに対応していることを示す特定情報が、Probe Responseに含まれているか否かを確認する。ここでのProbe Responseの送信元は、AP80であり、AP80は、My WiFi Technologyに対応していない。従って、Probe Responseには、上記した特定情報が含まれていない。多機能機10は、Probe Responseに上記した特定情報が含まれていないために、接続すべき無線ネットワークがLAN100であると判断する。
【0028】
AP80は、第1種の無線設定データ154を多機能機10に送信する。第1種の無線設定データ154は、AP80の記憶部90に予め記憶されている認証方式94と暗号化方式96を含む。多機能機10は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20と、不揮発性記憶領域28の無線設定記憶領域30との両方に第1種の無線設定データ154を記憶する(S12)。この結果、多機能機10は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶された第1種の無線設定データ154を用いて、LAN100に接続することが可能になる。多機能機10は、LAN100に接続するために、まず、無線設定記憶領域20から第1種の無線設定データ154を読み出す。次いで、多機能機10は、第1種の無線設定データ154を用いて、AP80に第1の信号を送信する。例えば、多機能機10は、第1種の無線設定データ154に含まれる暗号化方式によって暗号化された情報を含む第1の信号を送信する。AP80は、第1の信号の応答として、第2の信号を送信する。多機能機10とAP80との間で、少なくとも第1及び第2の信号が通信されることによって、多機能機10がLAN100に接続される。多機能機10がLAN100に接続された状態では、多機能機10は、LAN100に含まれるデバイス(例えば第2PC70)と、様々なデータを無線通信することができる(無線通信156参照)。例えば、AP80を介した無線通信156を利用して、第2PC70は、多機能機10が印刷すべきデータを多機能機10に送信することができる。また、例えば、AP80を介した無線通信156を利用して、多機能機10は、自身が生成したスキャンデータを第2PC70に送信することができる。なお、無線通信156では、第1種の無線設定データ154に従って、データが暗号化される。
【0029】
多機能機10は、AP80との無線接続が切断されたことを検出する(S14)。多機能機10は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶されている第1種の無線設定データ154を用いて、LAN100に対する再接続を試行するための通信158(上記した第1及び第2の信号の通信)を実行する。これにより、多機能機10は、LAN100に再接続される(無線通信160)。
【0030】
次に、多機能機10が、第1P110から発信されるBeacon信号を受信する場合について説明する。ユーザは、多機能機10をPAN140に接続することを望む場合に、多機能機10の自動無線設定ボタン13を操作すると共に、第1PC110の操作部114において所定の操作を実行する。第1PC110は、上記の所定の操作が実行された場合に、自身の周囲の所定範囲に向けて、Beacon信号を送信する。この結果、多機能機10は、第1PC110からのBeacon信号を受信する。多機能機10は、第1PC110から発信されるBeacon信号を受信すると、第1PC110との間で、自動無線設定のための通信162を実行する。無線設定のための通信162では、自動無線設定モードの一種であるWPSが利用される。自動無線設定のための通信162は、多機能機10から送信されるProbe Requestを第1PC110が受信すること、第1PC110から送信されるProbe Responseを多機能機10が受信すること等を含む。多機能機10は、上記と同様に、Probe Responseを解析する。ここでのProbe Responseの送信元は、第1PC110であり、第1PC110は、My WiFi Technologyに対応している。従って、Probe Responseには、上記した特定情報が含まれている。このために、多機能機10は、接続すべき無線ネットワークが、PAN140であると判断する。
【0031】
第1PC110は、第2種の無線設定データ164を多機能機10に送信する。第2種の無線設定データ164は、第1PC110の記憶部120に予め記憶されている認証方式130と暗号化方式132を含む。多機能機10は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に、第2種の無線設定データ164を記憶する(S16)。上記したS12の処理と異なり、多機能機10は、第2種の無線設定データ164を、不揮発性記憶領域28の無線設定記憶領域30に記憶しない。なお、仮に、S16が実行される際に、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に第1種の無線設定データ154が記憶されている場合には、多機能機10は、第1種の無線設定データ154を無線設定記憶領域20から消去し、第2種の無線設定データ164を無線設定記憶領域20に記憶する。即ち、多機能機10は、無線設定記憶領域20において、第2種の無線設定データ164を上書きする。第2種の無線設定データ164が無線設定記憶領域20に記憶されている状態では、多機能機10は、無線設定記憶領域20の第2種の無線設定データ164を用いて、PAN140に接続することが可能になる。多機能機10は、LAN100に接続する場合と同様の処理を実行することによって、PAN140に接続する。即ち、多機能機10は、無線設定記憶領域20から第2種の無線設定データ164を読み出し、その第2種の無線設定データ164を用いて、第1PC110との間で、上記した第1及び第2の信号の通信を実行する。多機能機10がPAN140に接続された状態では、多機能機10は、PAN140に含まれるデバイス(例えば第1PC110)と、様々なデータ(印刷データ、スキャンデータ等)を無線通信することができる(無線通信166参照)。なお、無線通信166では、第2種の無線設定データ164に従って、データが暗号化される。
【0032】
多機能機10は、第1PC110との無線接続が切断されたことを検出する(S18)。多機能機10は、第1PC110との間で、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶されている第2種の無線設定データ164を用いて、PAN140に対する再接続を試行するための通信168(上記した第1及び第2の信号の通信)を実行する。多機能機10は、予め設定された回数又は予め設定された時間に亘って、上記した第1の信号を第1PC110に送信することを繰り返し、実行する。この結果として、第1の信号の応答である第2の信号が受信されない場合に、多機能機10は、PAN140に再接続することができないと判断する。この場合、多機能機10は、AP80との間で、S12の処理で不揮発性記憶領域28の無線設定記憶領域30に記憶された第1種の無線設定データ154を用いて、LAN100に対する接続を試行するための通信170(上記した第1及び第2の信号の通信)を実行する。この結果、多機能機10は、LAN100に接続される(無線通信172)。
【0033】
(多機能機での無線接続処理)
続いて、上記した処理における、多機能機10が実行する無線接続処理を詳しく説明する。無線接続処理は、多機能機10がAP80又は第1PC110からBeacon信号を受信すると開始される。図3に示すように、多機能機10の通信実行部54は、Beacon信号の発信元に、Probe Requestを送信する(S32)(図2の無線設定のための通信152、162)。通信実行部54は、Probe Requestの送信先からProbe Responseを受信することを監視している(S34)。S34でYESの場合、判断部56は、受信したProbe Responseを解析する(S36)。判断部56は、Probe Responseに上記した特定情報が含まれているか否かを判断する(S38)。S38でYESの場合、即ち、多機能機10が接続すべきネットワークがPAN140である場合、フラグ制御部60は、フラグ記憶領域26に記憶されている接続フラグをONにする(S40)。一方において、S38でNOの場合、即ち、多機能機10が接続すべきネットワークがLAN100である場合、フラグ制御部60は、フラグ記憶領域26に記憶されている接続フラグをOFFにする(S42)。
【0034】
次いで、設定部52は、AP80又は第1PC110から無線設定データ(認証方式、暗号化方式等)を取得する(S44)(図2の第1種の無線設定データ154又は第2種の無線設定データ164)。設定部52は、取得した無線設定データを、揮発性記憶領域18に記憶する(S46)(図2のS12、S16)。続いて、設定部52は、接続フラグがONであるか否かを判断する(S48)。S48でYESの場合、即ち、多機能機10が接続すべきネットワークがPAN140である場合、S52に進む。一方において、S48でNOの場合、即ち、多機能機10が接続すべきネットワークがLAN100である場合、第1種の無線設定データ154を不揮発性記憶領域28に記憶して(S50)(図2のS12)、S52に進む。S52では、通信実行部54は、S44で取得した無線設定データを用いて、換言すれば、S46で揮発性記憶領域18内の無線設定記憶領域20に記憶された無線設定データを用いて、LAN100又はPAN140に上記した第1の信号を送信する。通信実行部54は、第1の信号の応答として、AP80又は第1PC110から第2の信号を受信することによって、多機能機10がLAN100又はPAN140に接続される。これにより、多機能機10は、LAN100又はPAN140に含まれるデバイスと無線通信(図2の無線通信156又は無線通信166)可能となる。
【0035】
(多機能機での再接続処理)
続いて、多機能機10が実行する再接続処理について説明する。多機能機10の通信実行部54は、多機能機10がLAN100又はPAN140に接続されると、LAN100又はPAN140に接続されているか否かを、定期的に判定する処理を実行する。まず、多機能機10の通信実行部54は、制御部48の図示省略したタイマをリセットする(S62)。通信実行部54は、LAN100又はPAN140との接続が切断されたか否かを判定する(S64)。例えば、多機能機10がLAN100に接続されている場合、通信実行部54は、AP80を検索する検索信号を定期的にAP80に送信する。AP80のCPU86は、検索信号に応答して、多機能機10に応答信号を送信する。多機能機10の通信実行部54は、AP80から応答信号を受信すると、LAN100と接続されていると判定して(S66でNO)、S62に戻る。
【0036】
通信実行部54は、所定回数の検索信号を送信しても応答信号を受信しない場合に、接続が切断されたと判定する(S66でYES)。通信実行部54は、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶されている無線設定データ(認証方式22,暗号化方式24)を用いて、切断された無線ネットワークに再接続することを試行する(S68)((図2の再接続試行158、168))。即ち、通信実行部54は、無線設定記憶領域20に記憶されている無線設定データを用いて、上記した第1の信号を送信する。通信実行部54は、S68の試行によって、接続の切断が検出された無線ネットワークに再接続されたか否かを判定する(S70)。通信実行部54は、第1の信号の応答である第2の信号を受信する場合に、通信実行部54は、接続の切断が検出された無線ネットワークに再接続されたと判定する。S70でYESの場合、S62に戻る。一方において、S70でNOの場合、通信実行部54は、タイマが所定時間を過ぎているか否かを判断する(S72)。S72でNOの場合、S64に戻る。この構成では、通信実行部54は、接続の切断が検出されると、揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶されている無線設定データを維持して、所定期間の間、無線ネットワークに再接続することを試行する。即ち、通信実行部54は、所定期間の間、無線ネットワークに、上記した第1の信号を送信する処理を続ける。
【0037】
一方、S72でYESの場合、即ち、所定期間の間、再接続を試行しても無線ネットワークに接続できない場合に、通信実行部54は、フラグ記憶領域26に記憶されている接続フラグがONであるか否かを判断する(S74)。S74でNOの場合、即ち、接続が切断された無線ネットワークがLAN100である場合、S80に進む。一方において、S74でYESの場合、即ち、接続が切断されたネットワークがPAN140である場合、通信実行部54は、不揮発性記憶領域28の無線設定記憶領域30に記憶されている第1種の無線設定データ154を読み出す(S76)。次いで、通信実行部54は、読み出した第1種の無線設定データ154を、無線設定記憶領域20に記憶されている第2種の無線設定データ164に上書きして記憶させる(S78)。通信実行部54は、無線設定記憶領域20に記憶されている第1種の無線設定データ154を用いて、LAN100に接続することを試行して(S80)、即ち、第1種の無線設定データ154を用いて、上記した第1の信号をAP80に送信して、処理を終了する。
【0038】
本実施例の多機能機10について詳しく説明した。本実施例によると、多機能機10は、LAN100との無線通信に用いられる第1種の無線設定データ154を不揮発性記憶領域28内の無線設定記憶領域30に記憶する。一方において、多機能機10は、PAN140との無線通信に用いられる第2種の無線設定データ164を無線設定記憶領域30に記憶しない。この結果、不揮発性記憶領域28に記憶すべき無線設定データを低減することができる。
【0039】
多機能機10がLAN100に接続される環境では、通常、AP80は多機能機10の近くに固定されており、多機能機10は、同じLAN100内で利用され続ける。従って、本実施例では、多機能機10の電源がOFFされて再びONされた場合に、AP80から第1種の無線設定データ154を再取得しなくてもLAN100に再接続できるように、第1種の無線設定データ154が不揮発性記憶領域28に記憶される。一方において、実施例の第1PC110のような携帯型のデバイスのユーザは、多機能機10を一時的に利用したいと考える場合がある。このような場合、第1PC110が多機能機10を一時的に利用可能となるように、多機能機10が一時的にPAN140に接続される。多機能機10がPAN140に接続される環境では、多機能機10は、第1PC110のAP機能を利用してPAN140を一時的に利用することがある。多機能機10が一時的に接続されるPAN140(携帯型のデバイス)のための第2種の無線設定データ164は、多機能機10に記憶され続ける必要はなく、多機能機10の電源がOFFされた際に消去されても構わない。従って、本実施例では、第2種の無線設定データ164を不揮発性に記憶しない。このために、不揮発性に記憶される無線設定データが少なくて済む。
【0040】
多機能機10とLAN100との接続の切断が検出される場合とは、通常、AP80が一時的にダウンした場合や、一時的な通信障害が発生した場合である。従って、上記した問題が解決されれば、多機能機10は、LAN100に再接続することができる。本実施例では、多機能機10は、LAN100との接続の切断が検出されると、第1種の無線設定データ154を利用して、LAN100に再接続することを試行する。これにより、多機能機10は、LAN100に再接続することができる。
一方において、多機能機10とPAN140との接続の切断が検出される場合は、PAN140に再接続可能となる場合と、PAN140に再接続不可能となる場合とを含む。PAN140に再接続可能となる場合は、例えば、第1PC110が一時的にダウンした場合、一時的な通信障害が発生した場合等、問題が解決されるとPAN140に再接続可能となる場合を含む。PAN140に再接続不可能となる場合は、第1PC110のユーザが第1PC110を移動させることによって第1PC110が多機能機10の付近に存在しなくなった場合、第1PC110が多機能機10から遠ざかった場合、第1PC110の電源をOFFにした場合とを含む。本実施例では、多機能機10は、PAN140との接続の切断が検出されると、第2種の無線設定データ164を利用して、PAN140に再接続することを試行する。これにより、多機能機10とPAN140とが再接続可能な場合には、多機能機10は、PAN140と再接続することができる。多機能機10は、PAN140に再接続することができない場合、第1種の無線設定データ154を利用して、LAN100に接続することを試行する。これにより、PAN140との接続が切断された場合に、LAN100に接続することができる。
【0041】
多機能機10では、第2種の無線設定データ164に代えて、第1種の無線設定データ154を揮発性記憶領域18の無線設定記憶領域20に記憶する際に、第1種の無線設定データ154を、第2種の無線設定データ164に上書きして記憶させる。この構成では、接続が切断されたPAN140に対応する第2種の無線設定データ164は、多機能機10から消去される。PAN140に接続するための無線設定データ164が、PAN140に接続されていない多機能機10に記憶されることを防止することができる。
【0042】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、多機能機10の通信実行部54が切断されたネットワーク(LAN100又はPAN140)に再接続することを試行して(図4のS68)、所定期間の間に再接続できない場合に、図4のS74以下の処理を実行する。本実施例では、多機能機10の通信実行部54が切断されたネットワークに再接続することを試行して、所定回数試行しても再接続できない場合に、S74以下の処理を実行する点が、第1実施例と異なる。
【0043】
(多機能機での再接続処理)
図5は、多機能機10の再接続処理を示すフローチャートを示す。図4のフローチャートを同一の処理には、同一の符号を付して説明を省略する。多機能機10の通信実行部54は、記憶部16の所定の記憶領域に記憶されている図示省略した切断カウンタの値をリセットする(S92)。通信実行部54は、S64からS70までの処理を実行する。S70でNOの場合、通信実行部54は、切断カウンタの値に「1」を加算する(S94)。次いで、通信実行部54は、切断カウンタの値が予め決められた最大カウント数以上であるか否かを判断する(S96)。S96でNOの場合、S64に戻る。一方において、S96でYESの場合、通信実行部54は、S74からS80の処理を実行する。
【0044】
第2実施例の多機能機10によっても、第1実施例の多機能機10と同様の効果を奏することができる。
【0045】
(第3実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、多機能機10の通信実行部54は、検出部58によって検出された接続の切断が、LAN100との接続の切断であるのか、PAN140との接続の切断であるのかに関わらず、接続の切断が検出されたネットワークの無線設定データを用いて、再接続することを試行する(図4,5のS68)。本実施例では、検出部58によって接続の切断が検出されると、接続の切断が検出されたネットワークがLAN100かPAN140かによって、通信実行部54が実行する処理が異なる点が、第1実施例と異なる。
【0046】
(多機能機での再接続処理)
図6は、多機能機10の再接続処理を示すフローチャートを示す。図4のフローチャートを同一の処理には、同一の符号を付して説明を省略する。多機能機10の検出部58は、S62からS66の処理を実行する。続いて、多機能機10の通信実行部54は、フラグ記憶領域26に記憶されている接続フラグがONであるか否かを判断する(S74)。即ち、通信実行部54は、接続の切断が検出されたネットワークが、LAN100であるのか、PAN140であるのかを判断する。S74でYESの場合、即ち、接続の切断が検出されたネットワークがPAN140である場合、通信実行部54は、S68からS72、S76からS80までの処理を実行する。一方において、S74でNOの場合、即ち、接続の切断が検出されたネットワークがLAN100である場合、通信実行部54は、S68からS72とS76の処理を実行しないで、S80に進む。
【0047】
第3実施例の多機能機10によっても、第1実施例の多機能機10と同様の効果を奏することができる。
【0048】
上記の説明から明らかなように、実施例のLAN100が第1種の無線ネットワークに対応し、実施例のPAN140が第2種の無線ネットワークに対応する。実施例の多機能機10が本発明における無線通信装置に対応し、第1PC110が本発明における端末装置に対応する。実施例のProbe Responseが本発明の特定信号に対応する。実施例のフラグ制御部60が値記憶制御部に対応し、フラグ記憶領域26が第1の値又は第2の値を記憶する所定の記憶領域に対応し、接続フラグOFFが第1の値に対応し、接続フラグONが第2の値に対応する。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0050】
(1)上記した第1実施例では、多機能機10の検出部58がPAN140との接続の切断を検出すると、通信実行部54は、PAN140に再接続することを試行する(図4のS68)。しかしながら、検出部58がPAN140との接続の切断を検出しても、通信実行部54はPAN140に再接続することを試行しなくてもよい。即ち、通信実行部54は、図4のフローチャートにおいて、S66でYESの場合、S68からS72までの処理を実行せずに、S74の処理を実行してもよい。
【0051】
(2)上記した第3実施例の多機能機10が実行する再接続処理は、第1実施例の多機能機10が実行する再接続処理(図4)の処理手順を変更することによって実現する。しかしながら、第3実施例の多機能機10が実行する再接続処理は、第2実施例の多機能機10が実行する再接続処理(図5)の処理手順を変更することによって実現してもよい。
【0052】
(3)上記した実施例では、判断部56は、Probe Responseに、My WiFi Technologyに対応していることを示す特定情報が含まれている場合に、多機能機10がPAN140に接続すべきであると判断し、上記した特定情報が含まれていない場合に、多機能機10がLAN100に接続すべきであると判断する。しかしながら、判断部56は、Probe Responseに、LAN100を示す特定情報が含まれている場合に、多機能機10がLAN100に接続すべきであると判断し、LAN100を示す特定情報が含まれていない場合に、多機能機10がPAN140に接続すべきであると判断してもよい。
【0053】
(4)上記実施例では、自動無線設定のために、WPSのプッシュボタン方式が利用されている。しかしながら、WPSのPINコード方式が利用されてもよい。
【0054】
(5)上記した実施例では、自動無線設定モードの一種であるWPSが利用される。しかしながら、自動無線設定モードは、例えば、AOSS(登録商標)(AirStation One-Touch Secure System)、SESであってもよい。
【0055】
(6)上記の実施例の技術は、多機能機10のみならず、PC、サーバ、プリンタ、スキャナ、電話機、ファクシミリ等の他の無線通信装置にも適用することができる。
【0056】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
10:多機能機、18:揮発性記憶領域、28:不揮発性記憶領域、48:制御部、52:設定部、54:通信実行部、56:判断部、58:検出部、60:フラグ制御部、80:AP、110:第1PC、154:第1種の無線設定データ、164:第2種の無線設定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントを含む第1種の無線ネットワークに接続可能であるとともに、アクセスポイント機能を有する端末装置を含む第2種の無線ネットワークに接続可能である無線通信装置であって、
自動無線設定モードに従って取得される無線設定データを、揮発性の記憶領域に記憶する設定部と、
前記揮発性の記憶領域に記憶される前記無線設定データを用いて、無線通信を実行する通信実行部と、
前記アクセスポイント又は前記端末装置から受信する特定信号に含まれ得る情報を用いて、前記無線通信装置が前記第1種の無線ネットワーク及び前記第2種の無線ネットワークのどちらに接続すべきかを判断する判断部と、を備え、
前記設定部は、
前記無線通信装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、前記アクセスポイントから取得される第1種の前記無線設定データを、不揮発性の記憶領域に記憶するとともに、前記揮発性の記憶領域にも記憶し、
前記無線通信装置が前記第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、前記端末装置から取得される第2種の前記無線設定データを、前記不揮発性の記憶領域に記憶せずに、前記揮発性の記憶領域に記憶する、無線通信装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記自動無線設定モードに従って前記無線設定データが取得される前に前記アクセスポイント又は前記端末装置から受信する前記特定信号に、前記第2種の無線ネットワークを示す特定情報が含まれている場合に、前記無線通信装置が前記第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断し、
前記特定信号に前記特定情報が含まれていない場合に、前記無線装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記無線ネットワークとの接続の切断を検出する検出部をさらに備え、
前記通信実行部は、さらに、
前記第1種の無線ネットワークとの接続の切断が検出される第1の場合に、前記揮発性の記憶領域に記憶されている前記第1種の無線設定データを用いて、前記第1種の無線ネットワークに再接続することを試行する第1の試行処理を実行し、
前記第2種の無線ネットワークとの接続の切断が検出される第2の場合に、前記揮発性の記憶領域に記憶されている前記第2種の無線設定データに代えて、前記不揮発性の記憶領域に記憶されている前記第1種の無線設定データを、前記揮発性の記憶領域に記憶して、前記第1種の無線ネットワークに接続することを試行する第2の試行処理を実行する、請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、第1の値を所定の記憶領域に記憶し、前記無線通信装置が前記第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、第2の値を前記所定の記憶領域に記憶する値記憶制御部をさらに備え、
前記通信実行部は、
前記無線ネットワークとの接続の切断が検出された際に、前記所定の記憶領域に前記第1の値が記憶されている前記第1の場合に、前記第1の試行処理を実行し、
前記無線ネットワークとの接続の切断が検出された際に、前記所定の記憶領域に前記第2の値が記憶されている前記第2の場合に、前記第2の試行処理を実行する、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記通信実行部は、さらに、
前記第2の場合に、前記揮発性の記憶領域に記憶されている前記第2種の無線設定データを所定期間維持して、前記所定期間の間に、前記第2種の無線ネットワークに再接続することを試行する第3の試行処理を実行し、
前記所定期間の間に前記第3の試行処理を実行しても、前記第2種の無線ネットワークに再接続することができない場合に、前記第2の試行処理を実行する、請求項3又は4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通信実行部は、さらに、
前記第2の場合に、前記揮発性の記憶領域に記憶されている前記第2種の無線設定データを維持して、前記第2種の無線ネットワークに再接続することを試行する第3の試行処理を実行し、
前記第3の試行処理を所定回数実行しても、前記第2種の無線ネットワークに再接続することができない場合に、前記第2の試行処理を実行する、請求項3又は4に記載の無線通信装置。
【請求項7】
アクセスポイントを含む第1種の無線ネットワークに接続可能であるとともに、アクセスポイント機能を有する端末装置を含む第2種の無線ネットワークに接続可能である無線通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記無線通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
自動無線設定モードに従って取得される無線設定データを、揮発性の記憶領域に記憶する設定処理と、
前記揮発性の記憶領域に記憶される前記無線設定データを用いて、無線通信を実行する通信実行処理と、
前記アクセスポイント又は前記端末装置から受信する特定信号に含まれ得る情報を用いて、前記無線通信装置が前記第1種の無線ネットワーク及び前記第2種の無線ネットワークのどちらに接続すべきかを判断する判断処理と、を実行させ、
前記設定処理では、
前記無線通信装置が前記第1種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、前記アクセスポイントから取得される第1種の前記無線設定データを、不揮発性の記憶領域に記憶するとともに、前記揮発性の記憶領域にも記憶し、
前記無線通信装置が前記第2種の無線ネットワークに接続すべきであると判断される場合に、前記端末装置から取得される第2種の前記無線設定データを、前記不揮発性の記憶領域に記憶せずに、前記揮発性の記憶領域に記憶する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−61326(P2011−61326A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206351(P2009−206351)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】