説明

無線LANシステム、移動端末及び移動端末のIPアドレス切替方法

【課題】移動端末が通信中に異なるセグメントに属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の通信データの欠落をより少なくすることができる無線LANシステムを提供する。
【解決手段】新たなアクセスポイント3a2(又は3b)へのハンドオーバが完了した時、DHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバ4a(又は4b)に送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておき、DHCPサーバ4a(又は4b)からのDHCP−Offerパケットを受信すると共に、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、保持したIPアドレスと比較し、両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスをそのまま保持し、両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持するIPアドレス切替手段23を有する無線LANシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)システム、移動端末及び移動端末のIP(Internet Protocol)アドレス切替方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のセグメント(ネットワークアドレスにより区切られるネットワークの単位)で構成されている無線LANシステムにおいて、移動端末(無線通信端末)がセグメントをまたぐハンドオーバを行う場合、ハンドオーバ先のセグメントにおいて、当該移動端末には、ハンドオーバ前のセグメントで使用したIPアドレスとは異なるIPアドレスが割り当てられる必要がある。
【0003】
特許文献1には、通信ネットワークに接続された通信管理サーバを備え、異なるセグメントへハンドオーバを行う場合に、無線LAN端末に新たなIPアドレスが割り当てられて通信の再開が可能となるまで、無線LAN端末宛の通信データを通信管理サーバ内に蓄積する技術が記載されている。
【0004】
特許文献1の技術によれば、異なるセグメントへハンドオーバを行う場合の通信データの欠落を少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−243693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、通信ネットワークに通信管理サーバを設ける必要があるとともに、各アクセスポイントは、無線LAN端末が異なるセグメントへハンドオーバを行う場合に通信管理サーバと所定の通信を行うプロトコルに対応する必要がある。したがって、この技術を導入するさいには、ネットワーク側の構成やプロトコルを変更しなければならない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ネットワーク側の構成やプロトコルを変更することなく、移動端末が通信中に異なるセグメントに属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の通信データの欠落をより少なくすることができる無線LANシステム、移動端末及び移動端末のIPアドレス切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、無線通信を行う移動端末と、通信データを伝送するための複数のセグメントを含むネットワークと、前記ネットワークに接続され、前記移動端末により無線通信を用いて送受信される通信データを、前記ネットワークを介して中継する複数のアクセスポイントと、前記ネットワークの前記セグメントごとに接続され、前記アクセスポイントを介して前記移動端末によって行われるDHCPパケットの通信を交換するDHCPサーバと、を備え、前記移動端末は、新たなアクセスポイントへのハンドオーバが完了した時、DHCP−Discoverパケットを生成すると共に前記DHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておき、前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケットを受信すると、前記DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスと比較し、両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスにそのまま保持し、両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持するIPアドレス切替手段を有する、無線LANシステムである。
【0009】
請求項2の発明は、前記IPアドレス切替手段は、前記アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、ハンドオーバ時に帰属要求を生成すると共に前記無線通信部を介して前記アクセスポイントに送信し、また、前記アクセスポイントからの帰属応答を前記無線通信部を介して受信する帰属処理部と、DHCPパケットを生成すると共に前記無線通信部を介して前記DHCPサーバに送信し、また、前記DHCPサーバからのDHCPパケットを前記無線通信部を介して受信し、受信したDHCPパケット内のIPアドレスを、自身が保持しているIPアドレスと比較するIPアドレス送受信・監視部とからなる、請求項1記載の無線LANシステムである。
【0010】
請求項3の発明は、新たなアクセスポイントへのハンドオーバが完了した時、DHCP−Discoverパケットを生成すると共に前記DHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておき、前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケットを受信すると、前記DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスと比較し、両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスにそのまま保持し、両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持するIPアドレス切替手段を有する、移動端末である。
【0011】
請求項4の発明は、前記IPアドレス切替手段は、前記アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、ハンドオーバ時に帰属要求を生成すると共に前記無線通信部を介して前記アクセスポイントに送信し、また、前記アクセスポイントからの帰属応答を前記無線通信部を介して受信する帰属処理部と、DHCPパケットを生成すると共に前記無線通信部を介して前記DHCPサーバに送信し、また、前記DHCPサーバからのDHCPパケットを前記無線通信部を介して受信し、受信したDHCPパケット内のIPアドレスを、自身が保持しているIPアドレスと比較するIPアドレス送受信・監視部とからなる、請求項3記載の移動端末である。
【0012】
請求項5の発明は、移動端末は、現在接続中のアクセスポイントから新たなアクセスポイントへハンドオーバした時、DHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持し、前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、前記移動端末に保持させたIPアドレスと比較し、両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスをそのまま保持し、両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持する、移動端末のIPアドレス切替方法である。
【0013】
請求項6の発明は、前記DHCPシーケンスは、DHCP−Requestパケットを前記DHCPサーバに送信する工程と、前記DHCPサーバからのDHCP−Ackパケット内のIPアドレスを新たに保持する工程とを備える、請求項5記載の移動端末のIPアドレス切替方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク側の構成やプロトコルを変更することなく、移動端末が通信中に異なるセグメントに属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の通信データの欠落をより少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線LANシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図1の無線LANシステムにおける移動端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の無線LANシステムにおいて、移動端末が通信中に異なるセグメント(レイヤ3)に属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の動作シーケンスを示す図である。
【図4】図1の無線LANシステムにおいて、移動端末が通信中に同一セグメント(レイヤ2)に属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の動作シーケンスを示す図である。
【図5】図1の無線LANシステムにおける移動端末のIPアドレス切替方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る無線LANシステムを示すシステム構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る無線LANシステム10は、無線通信を行う移動端末1と、セグメント2a,2bを含んで構成されるネットワークと、セグメント2a,2bにそれぞれ接続されたアクセスポイント3a1,3a2,3bと、セグメント2a,2bにそれぞれ接続されたDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ4a,4bとを備える。
【0019】
移動端末1は、最寄りのアクセスポイント3a1,3a2,3bを無線LANに基づく通信を行うことによって、当該アクセスポイント3a1,3a2,3bを介して通信を行う。
【0020】
ネットワークは、セグメント2a,2bからなり、通信データを伝送するための伝送路を有する。セグメント2a,2bはルータ5を介して接続され、互いに異なるセグメントを構成する。なお、図1では、セグメント2a,2bが有線通信によって実現される例を示したが、これに限られるものではなく、無線通信によって実現されてもよい。
【0021】
アクセスポイント3a1,3a2,3bは、移動端末1により無線通信を用いて送受信される通信データを、セグメント2a,2bを介して中継するものである。アクセスポイント3a1,3a2はセグメント2aに接続され、アクセスポイント3bはセグメント2bに接続される。つまり、アクセスポイント3a1,3a2は同一セグメントに属しており、アクセスポイント3a1,3a2とアクセスポイント3bは異なるセグメントに属している。これらアクセスポイント3a1,3a2,3bは、それぞれカバーエリア6a1,6a2,6b内の移動端末1の通信を中継するようになっている。
【0022】
DHCPサーバ4a,4bは、それぞれのアクセスポイント3a1,3a2,3bを介して移動端末1によって行われるDHCPパケットの通信を交換するものである。DHCPサーバ4aはセグメント2aに属し、DHCPサーバ4bはセグメント2bに属する。
【0023】
移動端末のIPアドレス切替方法を実現するための移動端末1の一例を説明する。図2は、移動端末の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、移動端末1はIPアドレス切替手段23を備える。IPアドレス切替手段23は、具体的に、無線通信部20と、帰属処理部21と、IPアドレス送受信・監視部22とからなる。
【0025】
無線通信部20は、アクセスポイント3a1,3a2,3bと無線通信を行うものである。
【0026】
帰属処理部21は、ハンドオーバ時に帰属要求を生成すると共に無線通信部20を介してアクセスポイント3a1(又は3a2或いは3b)に送信するものである。また、帰属処理部21は、アクセスポイント3a1(又は3a2或いは3b)からの帰属応答を無線通信部20を介して受信するものである。
【0027】
IPアドレス送受信・監視部22は、DHCPパケットを生成すると共に無線通信部20を介してDHCPサーバ4a(又は4b)に送信するものである。また、IPアドレス送受信・監視部22は、DHCPサーバ4a(又は4b)からのDHCPパケットを無線通信部20を介して受信し、受信したDHCPパケット内のIPアドレスを、自身が保持しているIPアドレスと比較するものである。
【0028】
これらを有したIPアドレス切替手段23は、新たなアクセスポイント3a1(又は3a2或いは3b)へのハンドオーバが完了した時、IPアドレス送受信・監視部22でDHCP−Discoverパケットを生成すると共に無線通信部20を介してDHCPサーバ4a(又は4b)に送信する。且つ、IPアドレス切替手段23は、IPアドレス送受信・監視部22に、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておく。
【0029】
次いで、IPアドレス切替手段23は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCPサーバ4a(又は4b)からのDHCP−Offerパケットを無線通信部20を介して受信すると共に、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、IPアドレス送受信・監視部22に保持したIPアドレスと比較する。
【0030】
そして、両IPアドレスが同一セグメントである場合は、IPアドレス切替手段23は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスをIPアドレス送受信・監視部22にそのまま保持する。
【0031】
一方、両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、IPアドレス切替手段23は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスをIPアドレス送受信・監視部22に保持する。
【0032】
次に、IPアドレス切替手段23を備えた移動端末1を用いた無線LANシステム10の動作シーケンスを説明する。
【0033】
先ず、無線LANシステム10において、移動端末1が通信中に異なるセグメント(レイヤ3)に属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の動作シーケンスを図3で説明する。
【0034】
図3では、図1に示したように配置されたアクセスポイント3a1及びアクセスポイント3b間を移動端末1がハンドオーバする場合を想定している。なお、本動作シーケンスでは、移動端末1は既にDHCPサーバ4aから配布されたIPアドレスを保持しているものとする。
【0035】
図3に示すように、先ず、移動端末1は、帰属中のアクセスポイント3a1との通信状態が悪くなると、ハンドオーバを開始し(S300)、帰属要求を最寄りのアクセスポイント3bに送信する(S301)。
【0036】
その後、アクセスポイント3bからの帰属応答を待ち(S302)、帰属応答を受信できた場合はハンドオーバが完了する。
【0037】
ハンドオーバが完了すると、移動端末1は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCP−Discoverパケットを生成すると共に無線通信部20を介してDHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバ4bに送信する(S303)。
【0038】
そして、移動端末1は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCPサーバ4bからの応答であるDHCP−Offerパケットを無線通信部20を介して受信し(S304)、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、IPアドレス送受信・監視部22に保持したIPアドレスと比較する(S305)。
【0039】
このとき、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスは、IPアドレス送受信・監視部22に保持したIPアドレスと異なるセグメントのIPアドレスであるため、移動端末1は、異なるセグメントへ移動したことを検知し、IPアドレス送受信・監視部22でDHCP−Requestパケットを生成すると共に無線通信部20を介してDHCPサーバ4bに送信する(S306)。
【0040】
その後、移動端末1は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCPサーバ4bからDHCP−Ackパケットを無線通信部20を介して受信し(S307)、DHCP−Ackパケット内のIPアドレスをIPアドレス送受信・監視部22に新たに保持する(S308)。
【0041】
以上の動作シーケンスにより、移動端末1のIPアドレスの切り替えが完了する。
【0042】
次に、無線LANシステム10において、移動端末1が通信中に同一セグメント(レイヤ2)に属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の動作シーケンスを図4で説明する。
【0043】
図4では、図1に示したように配置されたアクセスポイント3a1及びアクセスポイント3a2間を移動端末1がハンドオーバする場合を想定している。なお、本動作シーケンスでは、移動端末1は既にDHCPサーバ4aから配布されたIPアドレスを保持しているものとする。
【0044】
図4に示すように、先ず、移動端末1は、帰属中のアクセスポイント3a1との通信状態が悪くなると、ハンドオーバを開始し(S400)、帰属要求を最寄りのアクセスポイント3a2に送信する(S401)。
【0045】
その後、アクセスポイント3a2からの帰属応答を待ち(S402)、帰属応答を受信できた場合はハンドオーバが完了する。
【0046】
ハンドオーバが完了すると、移動端末1は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCP−Discoverパケットを生成すると共に無線通信部20を介してDHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバ4aに送信する(S403)。
【0047】
そして、移動端末1は、IPアドレス送受信・監視部22でDHCPサーバ4aからの応答であるDHCP−Offerパケットを無線通信部20を介して受信し(S404)、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、IPアドレス送受信・監視部22に保持したIPアドレスと比較する(S405)。
【0048】
このとき、DHCP−Offerパケット内のIPアドレスは、IPアドレス送受信・監視部22に保持したIPアドレスと同一セグメントのIPアドレスであるため、移動端末1は、同一セグメント内での移動であることを検知し、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスをIPアドレス送受信・監視部22にそのまま保持する(S406)。
【0049】
以上の動作シーケンスにより、移動端末1のIPアドレスの切り替え(維持)が完了する。
【0050】
これらの動作シーケンスをまとめた移動端末1の動作のフローチャートを図5に示す。
【0051】
本発明では、移動端末1は、帰属中のアクセスポイントとの通信状態が悪くなると、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0052】
(S500)
帰属要求をアクセスポイントへ送信する。
【0053】
(S501)
帰属応答をアクセスポイントから受信できたか否かを判断する。帰属応答をアクセスポイントから受信できた場合はS502を実行し、帰属応答をアクセスポイントから受信できなかった場合はS503を実行する。
【0054】
(S502)
帰属応答をアクセスポイントから受信できた場合はハンドオーバが完了する。
【0055】
(S503)
帰属応答をアクセスポイントから受信できなかった場合は帰属要求をアクセスポイントへ再送信する。
【0056】
(S504)
DHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバに送信する。
【0057】
(S505)
DHCPサーバからの応答(DHCP−Offerパケット)内のIPアドレスが自身の持っているIPアドレスと同一セグメントのIPアドレスか否かを判断する。同一セグメントである場合はS506を実行し、異なるセグメントである場合はS507を実行する。
【0058】
(S506)
同一セグメントである場合は自身の持っているIPアドレスをそのまま保持する。
【0059】
(S507)
異なるセグメントである場合はDHCP−RequestパケットをDHCPサーバに送信する。
【0060】
(S508)
DHCPサーバからDHCP−Ackパケットを受信する。
【0061】
(S509)
DHCP−Ackパケット内のIPアドレスを新たに保持する。
【0062】
(S510)
動作シーケンスを終了する。
【0063】
以上説明してきたように、本実施の形態に係る無線LANシステム10では、移動端末を上述の動作を行うように構成することで実現できるため、ネットワーク側は既存システムをそのまま流用できる。よって、ネットワーク側の構成やプロトコルを変更する必要はなく、無線LANシステムの構築にかかるコストを抑えることができる。
【0064】
また、移動端末1は、ハンドオーバを実行する場合に、最初にDHCP−Discoverパケットを送信し、DHCPサーバから受信したDHCP−Offerパケット内のIPアドレスをハンドオーバ前に使用していたIPアドレスと比較することで、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスにそのまま保持する、又は新たなIPアドレスを保持するという動作を行う。このように、新たなIPアドレスを取得する動作はDHCPプロトコルの手順のみであり、従来技術のアクセスポイントと通信管理サーバ間の通信のような追加の通信手順は含まれない。したがって、IPアドレスの再取得にかかる時間をより短縮することができると共に移動端末1が通信中に異なるセグメントに属するアクセスポイントへハンドオーバを行った場合の通信データの欠落をより少なくすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 移動端末
2a,2b セグメント
3a1,3a2,3b アクセスポイント
4a,4b DHCPサーバ
5 ルータ
6a1,6a2,6b カバーエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う移動端末と、
通信データを伝送するための複数のセグメントを含むネットワークと、
前記ネットワークに接続され、前記移動端末により無線通信を用いて送受信される通信データを、前記ネットワークを介して中継する複数のアクセスポイントと、
前記ネットワークの前記セグメントごとに接続され、前記アクセスポイントを介して前記移動端末によって行われるDHCPパケットの通信を交換するDHCPサーバと、
を備え、
前記移動端末は、
新たなアクセスポイントへのハンドオーバが完了した時、DHCP−Discoverパケットを生成すると共に前記DHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておき、
前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケットを受信すると、前記DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスと比較し、
両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスにそのまま保持し、
両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持するIPアドレス切替手段を有する、
無線LANシステム。
【請求項2】
前記IPアドレス切替手段は、
前記アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、
ハンドオーバ時に帰属要求を生成すると共に前記無線通信部を介して前記アクセスポイントに送信し、また、前記アクセスポイントからの帰属応答を前記無線通信部を介して受信する帰属処理部と、
DHCPパケットを生成すると共に前記無線通信部を介して前記DHCPサーバに送信し、また、前記DHCPサーバからのDHCPパケットを前記無線通信部を介して受信し、受信したDHCPパケット内のIPアドレスを、自身が保持しているIPアドレスと比較するIPアドレス送受信・監視部とからなる、
請求項1記載の無線LANシステム。
【請求項3】
新たなアクセスポイントへのハンドオーバが完了した時、DHCP−Discoverパケットを生成すると共に前記DHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持しておき、
前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケットを受信すると、前記DHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスと比較し、
両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスにそのまま保持し、
両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持するIPアドレス切替手段を有する、
移動端末。
【請求項4】
前記IPアドレス切替手段は、
前記アクセスポイントと無線通信を行う無線通信部と、
ハンドオーバ時に帰属要求を生成すると共に前記無線通信部を介して前記アクセスポイントに送信し、また、前記アクセスポイントからの帰属応答を前記無線通信部を介して受信する帰属処理部と、
DHCPパケットを生成すると共に前記無線通信部を介して前記DHCPサーバに送信し、また、前記DHCPサーバからのDHCPパケットを前記無線通信部を介して受信し、受信したDHCPパケット内のIPアドレスを、自身が保持しているIPアドレスと比較するIPアドレス送受信・監視部とからなる、
請求項3記載の移動端末。
【請求項5】
移動端末は、現在接続中のアクセスポイントから新たなアクセスポイントへハンドオーバした時、DHCP−DiscoverパケットをDHCPサーバに送信し、且つ、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスを保持し、
前記DHCPサーバからのDHCP−Offerパケット内のIPアドレスを、前記移動端末に保持させたIPアドレスと比較し、
両IPアドレスが同一セグメントである場合は、ハンドオーバ前に使用していたIPアドレスをそのまま保持し、
両IPアドレスが異なるセグメントである場合は、DHCPシーケンスを続行して新たなIPアドレスを保持する、
移動端末のIPアドレス切替方法。
【請求項6】
前記DHCPシーケンスは、
DHCP−Requestパケットを前記DHCPサーバに送信する工程と、
前記DHCPサーバからのDHCP−Ackパケット内のIPアドレスを新たに保持する工程とを備える、
請求項5記載の移動端末のIPアドレス切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−199732(P2011−199732A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66092(P2010−66092)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】