無線LANシステムおよび接続方法
【課題】複数の無線基地局を設置し無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、接続すべき無線基地局を特定するまでの通信手順の簡易化によって無線リソースと時間の浪費を抑制することを目的とする。
【解決手段】複数の無線基地局は自局の負荷情報を管理装置に通知するとともに、無線端末に対して自局の存在を隠蔽している。管理装置は、取得した負荷情報を比較して、接続対象とすべき無線基地局を選択する。管理装置は接続対象とすべき無線基地局に成り代わって、無線端末に当該無線基地局の存在を通知する。
【解決手段】複数の無線基地局は自局の負荷情報を管理装置に通知するとともに、無線端末に対して自局の存在を隠蔽している。管理装置は、取得した負荷情報を比較して、接続対象とすべき無線基地局を選択する。管理装置は接続対象とすべき無線基地局に成り代わって、無線端末に当該無線基地局の存在を通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムに関し、特に無線基地局の負荷を分散する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN環境の普及に伴い、駅や空港、ホテル、飲食店、図書館、展示場など人々が多く集まる場所に無線基地局(アクセスポイント)を設置し、インターネットへのアクセスを提供するサービスが行われている。利用者は、無線LAN機能を備えた無線端末(例えばノートパソコン)をこれらの場所(フリースポット)に持ち込み、無線基地局と接続することで、外出先からでもインターネットを利用することができる。
【0003】
ところで、こうしたシステムにおいては、多数の無線端末からアクセスが行われるので、無線基地局が1台の場合には、接続が集中し、負荷が過重になることがある。そこで、これを解決するために、複数の無線基地局を設置し、負荷を分散する方法がとられている。
【0004】
その具体的内容は次のとおりである。まず、無線LANシステムの管理者は、設置する複数の無線基地局に共通のSSID(ServiceSet Identifier)を設定する。そして、利用者側でも、自分の無線端末に、無線基地局と同じSSIDを設定する。こうすることで、利用者の無線端末は、接続候補となる複数の無線基地局の中から通信環境の良いものを選択し、それと接続することができる。その結果、特定の無線基地局に接続が集中することを回避し、負荷を分散することができる。
【0005】
ところで、このようなシステムにおいて、従来、複数の無線基地局の中から接続すべき無線基地局を選択するのは、無線端末側の処理であった。また、無線端末が無線基地局を選択するアルゴリズムは、無線端末の製造業者や機種ごとに異なっていた。したがって、無線端末の選択アルゴリズムの如何によっては、上記のシステムにおいても依然として、負荷が低い他の無線基地局があるにもかかわらず、特定の無線基地局に接続が集中するという問題があった。
【0006】
そこで、こうした問題を解決するものとして、特許文献1では、無線LANシステムに管理装置を設置し、管理装置が、どの無線基地局にどの無線端末を接続するかを決定する技術が開示されている。
【0007】
その具体的な内容は次のとおりである。まず、無線端末は、認識した全ての無線基地局の情報を無線基地局通知メッセージにまとめ、いずれかの無線基地局と接続した上で、これを管理装置に送信する。管理装置では、無線基地局通知メッセージを受信し、その内容に基づいて個々の無線基地局の負荷を分散させるように1つの無線基地局を選択し、これを無線基地局指定メッセージとして無線端末に通知する。無線端末は、無線基地局指定メッセージを受信すると、当該メッセージで指定された無線基地局と再接続を行う。
【0008】
このように特許文献1によれば、管理装置が複数の無線基地局の負荷状況を把握し、接続すべき無線基地局を決定するので、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2007−67745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1では、無線端末がいずれかの無線基地局と接続後、管理装置に対して無線基地局通知メッセージを送信し、また、管理装置から無線基地局指定メッセージを受信するため、無線端末は、上記メッセージの送受信を行う仕組みを実装しなければならないという問題がある。
【0011】
フリースポット等では、不特定の利用者が無線基地局を利用するため、利用できる無線端末として、特定の機能(この場合は管理装置と上記メッセージを送受信できる機能)を備えているものに限定されると、誰でも使えるというフリースポットのメリットが失われてしまう。こうした場所では、利用者の無線端末に別段の機能追加を行うことなく、一般的な無線LAN機能を備えているだけで利用できるということが求められている。
【0012】
また、上記特許文献1では、無線端末がいずれかの無線基地局と接続し管理装置とメッセージの交換を行い、利用すべき無線基地局が指示されると、それと再接続するので、利用すべき無線基地局と接続するまでに、無線リソースと時間を浪費するという問題がある。
【0013】
フリースポット等では、多くの利用者が利用するため、利用すべき無線基地局と接続するまでの通信手順と時間は、できるだけ少なくすることが求められている。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、無線端末には一般的な無線LAN通信機能以外の機能を備える必要のない無線LANシステムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、接続すべき無線基地局を特定するまでの通信手順の簡易化によって無線リソースと時間の浪費を抑制ができる無線LANシステムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、優先順位の高い無線端末は通信環境の良い無線基地局に優先的に接続できる無線LANシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の発明は、無線端末を複数の無線基地局のいずれかに接続させる方法であって、前記複数の無線基地局の情報を任意のタイミングで取得し集約管理する第1のステップと、前記複数の無線基地局の情報を参照して、接続対象とすべき指定無線基地局を選択する第2のステップと、前記指定無線基地局を前記無線端末に検出させる第3のステップと、を含み、少なくとも前記指定無線基地局が選択されるまでの間、前記複数の無線基地局は、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする。
【0018】
第2の発明は、第1の発明に記載された方法であって、前記情報は、前記複数の無線基地局の負荷情報を含むことを特徴とする。
【0019】
第3の発明は、第1または第2の発明に記載された方法であって、前記第1乃至第3のステップは、前記複数の無線基地局を管理する管理装置により実行されることを特徴とする。
【0020】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかに記載の方法であって、前記複数の無線基地局は、前記指定無線基地局が選択された後であっても、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする。
【0021】
第5の発明は、第1または第2の発明に記載の方法であって、前記第2のステップは、前記複数の無線基地局が、自局の情報および他の無線基地局の情報を参照して、自局が指定無線基地局になるか否かを選択するステップであることを特徴とする。
【0022】
第6の発明は、第1、第2および第5の発明のいずれかに記載の方法であって、前記第3のステップは、前記指定無線基地局が、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することを特徴とする。
【0023】
第7の発明は、第1乃至第6の発明のいずれかに記載の方法であって、前記第2のステップにおいて、前記無線端末に関連づけられた優先順位情報と前記無線基地局に関連づけられた区分情報を参照して、指定無線基地局を選択することを特徴とする。
【0024】
第8の発明は、無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記管理装置は、前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、前記無線基地局情報管理テーブルを参照し、前記複数の無線基地局の中から前記無線端末の接続対象とすべき指定無線基地局を選択する無線基地局選択手段と、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理報知応答手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第9の発明は、無線端末と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局以外の無線基地局から受信した無線基地局情報を負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶するとともに、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を当該負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶し、当該自局の負荷情報を含む無線基地局情報を他の無線基地局に送信する負荷・無線基地局情報管理手段と、前記負荷・無線基地局情報管理テーブルを参照し、自局が前記無線端末の接続対象となるべきか否かを判断する無線基地局動作管理手段と、前記無線基地局動作管理手段により自局が接続対象となるべきであると判断した場合、存在隠蔽機能を無効にする存在隠蔽機能切替手段と、報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記報知応答手段は、前記存在隠蔽機能が有効の場合、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことにより、自局の存在を前記無線端末に対して隠蔽するとともに、前記存在隠蔽機能が無効の場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することにより、前記無線端末に対して自局の存在を検出させることを特徴とする。
【0026】
第10の発明は、無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記管理装置は、前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、無線基地局選択手段と、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線基地局選択手段によって選択された指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理応答手段とを備え、前記無線基地局選択手段は、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線端末に設定された優先順位情報と、無線基地局ごとに設定された区分情報とに基づき、前記複数の無線基地局の中から接続対象とすべき指定無線基地局を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末に無線LAN通信機能以外の機能を追加することなく、特定の無線基地局に接続が集中することを回避できる無線LANシステムを構築することができる。
【0028】
また、本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末が接続すべき無線基地局を特定するまでの手順を簡易化し、無線リソースと時間の浪費を抑制できる無線LANシステムを構築することができる。
【0029】
また、本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末に優先順位を設定し、接続対象となる無線基地局を選択する際に、当該優先順位を考慮した選択を行う。これにより、優先順位の高い無線端末を有する利用者は、通信環境の良い無線基地局を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図示例に限定されるものではない。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の無線LANシステムの構成例を示す図である。
【0032】
無線LANシステム1は、管理装置2と、複数の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)と、複数の無線端末(無線端末3a、無線端末3b、無線端末3c)を含み、管理装置2と複数の無線基地局は、イーサネット(登録商標)等の有線LAN4で接続されている。複数の無線端末は、IEEE802.11規格に基づき無線基地局と通信することができる。無線端末は、例えば、ノートパソコンである。また、複数の無線基地局と複数の無線端末と管理装置には、同一のSSIDが設定されている。
【0033】
本発明の第1の実施形態における無線基地局(アクセスポイント)は、無線端末をネットワークに接続するために電波を中継する、という一般的な無線基地局の機能に加えて、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)無線端末に対してProbeResponseを応答しない、(3)無線基地局自身の負荷情報を有線LAN経由で管理装置に通知する、という3つの特徴を有している。
【0034】
図2は、無線基地局のハードウェア構成例を示す図である。
【0035】
CPU30は、ROM31に格納されたプログラムに従って、無線基地局5の各部を制御する。ROM31は、無線基地局5を制御するプログラムや無線基地局5の設定値が記憶されている。RAM32は、CPU30のワークエリアであり、実行時のプログラムやデータが一時的に記憶される。無線I/F(無線インタフェース)33は、無線端末と無線通信を行うための通信回路等である。有線I/F(有線インタフェース)34は、有線LAN4と通信を行うための通信回路等である。
【0036】
図3は、無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【0037】
接続管理部50は、接続処理部50aと制限付報知応答部50bを含んでいる。制限付報知応答部50bは、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)無線端末に対してProbeResponseを応答しない、という2つの処理を行う。
【0038】
接続処理部50aは、認証処理およびアソシエーション処理を行うことにより無線端末との接続を確立する。また、無線端末と接続した場合、もしくは切断した場合、その情報を負荷情報管理部51に伝える。
【0039】
負荷情報管理部51は、負荷の監視と登録を行う。具体的には、無線LAN通信部54と、有線LAN通信部53の負荷を監視し、得られた情報に基づき負荷情報管理テーブル52を更新する。同様に、接続処理部50aから無線端末の接続・切断情報を与えられたときも、負荷情報管理テーブル52を更新する。また、負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52から負荷情報を取得し、これを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部53経由で管理装置に対して送信する。
【0040】
負荷情報管理テーブル52には、無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0041】
無線LAN通信部54は、IEEE802.11規格に基づき、無線端末と無線通信を行う。有線LAN通信部53は、有線LAN4を介して接続された管理装置やインターネット等のネットワークとの通信を行う。
【0042】
図4は、負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0043】
負荷情報管理テーブルには、無線基地局の負荷情報が登録されている。BSSID(BasicService Set Identifier)100は、無線基地局を一意に特定する情報である。BSSID100には、一般に機器のMACアドレスが利用されている。チャンネル101は、無線の接続チャンネルである。接続台数/最大接続台数102は、無線基地局に現在接続している無線端末の台数と、仕様上、接続可能な最大台数を示している。無線LAN(Mbps)103は、無線LAN通信部54の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)104は、有線LAN通信部53の負荷を通信量で示している。これらの情報は、無線基地局情報として、管理装置に送信される。
【0044】
なお、負荷情報管理テーブル52に登録される情報は、上記の情報に限定されない。例えば上記例では、BSSIDやチャンネルも登録したが、これらの情報は無線基地局の負荷を特定する情報ではないので、必ずしも必要ではない。また、負荷を表す別の情報(例えばCPUの使用率等)があれば、それを追加してもよい。
【0045】
無線基地局情報は、無線基地局の負荷状況を管理装置に知らせるために、無線基地局から管理装置に対して送信される情報である。無線基地局の負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52に登録された情報を無線基地局情報にまとめ、管理装置に送信する。無線基地局情報には、例えば、無線基地局のBSSID、無線の接続チャンネル、現在接続している無線端末の台数、仕様上接続可能な最大台数、無線LAN通信部の負荷、有線LAN通信部の負荷等が含まれる。
【0046】
なお、無線基地局情報に含まれる情報は、上記に限定しない。送信すべき情報は、無線基地局の負荷を特定する情報であればよい。従って、無線基地局のBSSIDやチャンネルは、管理装置があらかじめこれらを知っている場合には、必ずしも必要でない。
【0047】
次に、管理装置について説明する。本発明の管理装置は、IEEE802.11規格に基づき、Beaconの送信と、ProbeRequestの受信、Probe Responseの送信を行うことができる。
【0048】
図5は、管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0049】
CPU40は、ROM41に格納されたプログラムに従って、管理装置2の各部を制御する。ROM41は、管理装置2を制御するプログラムや管理装置2の設定値が記憶されている。RAM42は、CPU40のワークエリアであり、実行時のプログラムやデータが一時的に記憶される。無線I/F43は、無線端末と無線通信を行うための通信回路等である。有線I/F44は、有線LAN4と通信を行うための通信回路等である。なお、一般的なパーソナルコンピュータを管理装置として利用することもできる。この場合、パーソナルコンピュータのHDD(HardDisc Drive)に管理装置の機能を実現するプログラムをインストールすればよい。
【0050】
図6は、管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【0051】
無線基地局情報管理部65は、有線LAN通信部63を経由して、無線基地局から無線基地局情報を受信する。また、無線基地局情報を受信すると、その内容を無線基地局情報管理テーブル62に登録する。
【0052】
無線基地局情報管理テーブル62には、各無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0053】
無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62を参照し、無線端末の接続対象とすべき無線基地局を選択するとともに、その情報を代理報知応答部60へ与える。
【0054】
代理報知応答部60は、(1)SSIDを含んだBeaconの送信、(2)無線端末に対するProbeResponseの応答、(3)無線の接続チャンネルの変更、の3つの処理を行う。なお、BeaconおよびProbe Responseには、無線基地局選択部61により選択された無線基地局のBSSIDと自装置のSSID(管理装置と無線基地局は同一のSSIDが設定されているので、選択された無線基地局のSSIDでもある)の情報が含まれている。
【0055】
無線LAN通信部64は、IEEE802.11規格に基づき、無線端末との無線通信を行う。有線LAN通信部63は、インターネット等のネットワークや無線基地局との通信を行う。
【0056】
図7は、管理装置の無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0057】
無線基地局情報管理テーブル62には、無線LANシステムに存在する複数の無線基地局の負荷情報がそれぞれ登録されている。Index110は、各エントリを示す識別番号である。BSSID111には、無線基地局のBSSIDが登録されている。チャンネル112は、無線基地局の無線の接続チャンネルである。接続台数/最大接続台数113は、無線基地局に現在接続されている無線端末の台数と、仕様上接続可能な最大台数を示している。無線LAN(Mbps)114は、無線基地局の無線LAN通信部の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)115は、無線基地局の有線LAN通信部の負荷を通信量で示している。なお、無線基地局情報管理テーブル62に含まれる情報は、上記の情報に限定されない。
【0058】
図1、図3、図4、図6、図7、図8を用いて、第1の実施形態における無線LANシステムの動作について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。以下では、図1の無線端末3aが無線LANシステムに接続する場合を例に説明する。
【0059】
まず、無線LANシステム1の管理者は、管理装置2と複数の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)に同一のSSIDを設定する。また、無線端末3aの利用者も、上記と同じSSIDを無線端末3aに設定する。
【0060】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)の動作が開始すると、各無線基地局の負荷情報管理部51は、自装置の負荷状況を監視し、その内容を負荷情報管理テーブル52に登録する。この負荷情報管理テーブル52の内容は、自装置の負荷状況の変化に応じて、適宜、負荷情報管理部51により更新される。
【0061】
また、各無線基地局の負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52から負荷情報を取得し、これを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部53を経由して、管理装置2に送信する(ステップS200)。なお、この送信タイミングは、一定間隔(例えば1秒のポーリング間隔)ごとに送信しても良いし、管理装置2からの送信要求を受信したときに送信しても良いし、負荷情報管理テーブル52の内容が更新されたときに送信してもよい。また、上記を組み合わせてもよい。
【0062】
上記の処理と平行して、各無線基地局の制限付報知応答部50bは、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信している(ステップS201)。なお、上記Beaconは、SSIDを含まないが、無線基地局自身のBSSIDが含まれている。また、各無線基地局の制限付報知応答部50bは、無線端末から無線基地局自身と同一のSSIDを指定したProbeRequestを受信した場合であっても、Probe Responseの応答をしない。
【0063】
無線端末は、BeaconにSSIDが含まれていないため、無線基地局のSSIDを知ることができず、無線基地局を検出することはできない。また、無線端末があらかじめ無線基地局のSSIDを知っている場合であっても、無線基地局からProbeResponseの応答を受信しないので、無線基地局を検出することはできない。
【0064】
つまり、無線基地局は、(1)BeaconにSSIDを含めないこと、(2)ProbeResponseの応答をしないこと、の2つの処理を行うことにより無線端末に対しその存在を隠蔽しているのである。
【0065】
このように、無線基地局は、無線端末に対してその存在を隠蔽しているので、無線基地局の代わりに、別の装置が無線端末にその存在を知らせる必要がある。ここで、その役割を担うのが管理装置2である。すなわち、管理装置2は、複数の無線基地局の負荷状況を確認した上で接続対象の無線基地局を選択し、当該選択された無線基地局に成り代わって、SSIDを含んだBeaconの送信と、ProbeResponseの応答を行う。
【0066】
管理装置2の無線基地局情報管理部65は、無線基地局情報の受信を待っている。無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を無線基地局情報管理テーブル62に登録する。図1では、3台の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)が存在するので、それぞれの情報が無線基地局情報管理テーブル62に登録される。図7の無線基地局情報管理テーブルの例によると、登録された情報は3つで、それぞれ、Index「1」は無線基地局5aの情報、「2」は無線基地局5bの情報、「3」は無線基地局5cの情報が登録されたものとする。
【0067】
管理装置2の無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62を参照し、一定の基準に従って無線端末が接続すべき無線基地局を選択する(ステップS202)。ここで、一定の基準とは、各無線基地局の負荷を平均化するよう負荷の一番低い無線基地局を選択するための基準である。なお、無線基地局の負荷状況のみを判断基準とするのでなく、各無線基地局のセキュリティレベルなど他の要素を選択の判断基準に加えることも可能である。
【0068】
図6の場合、この中で一番負荷が低いと考えられるものは、Index「2」に登録されている無線基地局5bであるので、無線基地局選択部61は、接続対象とすべき無線基地局として無線基地局5bを選択する。そして、無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62に登録された無線基地局5bの情報を代理報知応答部60へ与える。
【0069】
代理報知応答部60は、与えられた無線基地局の情報に従って、管理装置2の設定を変更する。この場合、無線基地局5bのチャンネルは「5」であるので、管理装置2の無線の接続チャンネルを「5」に設定する。また、与えられた「BSSID」が、「xx:yy:zz:aa:bb:cc」であるので、BeaconあるいはProbeResponseのBSSIDとして上記の値を使用する。代理報知応答部60は、接続チャンネル「5」の周波数において、Beaconの送信と、ProbeResponseの応答を行う。
【0070】
無線端末は、無線LANシステムに接続するために、周辺にある無線基地局を検出する必要がある。無線端末が周辺にある無線基地局を検出する方法としては、周辺の無線基地局が周期的に送信するBeaconを受信することによって、無線基地局を検出するパッシブスキャンと、無線端末から能動的にProbeRequestを送信し、周辺の無線基地局から返信されるProbe Responseを受信することによって、無線基地局を検出するアクティブスキャンとがある。アクティブスキャンの場合、無線基地局のSSIDを指定してProbeRequestを送信する場合と、無線基地局のSSIDが分からないときにAnyを指定してProbe Requestを送信する場合がある。いずれの場合もProbe Responseを無線基地局から受信することによって無線基地局を検出する。
【0071】
管理装置2の代理報知応答部60は、無線基地局選択部61により無線基地局5bの情報が与えられたので、自装置のSSID(管理装置2と無線基地局は同一のSSIDを付与されているので無線基地局5bのSSIDでもある)と無線基地局5bのBSSIDを含んだBeaconを周期的に送信する(ステップS203)。パッシブスキャンの場合、無線端末3aは、これを受信することで無線基地局5bを検出することができる。
【0072】
また、アクティブスキャンの場合、無線端末3aは、SSIDを指定したProbe Requestを送信する(ステップS204)。管理装置2の代理報知応答部60は、無線端末5bからSSIDを指定したProbe Requestを受信すると、そのSSIDが自装置に記憶されたSSIDと同一かを判断し、同一の場合は、自装置のSSID(管理装置と無線基地局は同一のSSIDを付与されているので無線基地局5bのSSIDでもある)と無線基地局5bのBSSIDを含んだProbeResponseを返信する(ステップS205)。これにより、無線端末3aは、無線基地局5bを検出することができる。
【0073】
このように、管理装置2が、無線端末の接続対象となる無線基地局に成り代わってBeaconの送信と、ProbeResponseの応答を行っているので、管理装置が選択した無線基地局以外の無線基地局(この場合は無線基地局5aと無線基地局5c)の存在は、無線端末3aと同一のSSIDを有している場合であっても、無線端末3aには検出されない。
【0074】
無線端末3aは、無線基地局5bを検出したので、無線基地局5bとの接続処理を開始する(ステップS206)。具体的には、認証処理とアソシエーション処理を行う。まず、無線端末3aは無線基地局5bに対して認証要求を送信する。無線基地局5bの接続処理部50aはこれを受信すると、認証応答を返信する。認証処理が終了すると、無線端末3aは無線基地局5bに対してアソシエーション要求を送信する。無線基地局5bの接続処理部50aはこれを受信すると、アソシエーション応答を返信する。これにより、無線LANにおける無線接続が確立する。この認証処理およびアソシエーション処理はIEEE802.11規格に基づくものである。無線接続が確立すると、無線端末3aと無線基地局5bとの間で無線によるデータの送受信が可能となる(ステップS207)。無線端末3aの利用者は、無線基地局5bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0075】
無線基地局5bの接続処理部50aは、無線端末3aとの接続が確立すると、その情報を負荷情報管理部51に与える。負荷情報管理部51はこれを受信すると、負荷情報管理テーブル52の内容を更新する。具体的には、負荷情報管理テーブル52に登録された接続台数102の値に1を加算する。
【0076】
また、無線基地局5bに無線端末3aが接続されたことにより、無線基地局5bの負荷が変化した場合(例えば無線基地局5bの通信量が増加した場合)、その情報は無線基地局情報として管理装置2に通知される。管理装置2は、無線基地局情報を受信した場合、無線基地局情報管理テーブル62の内容を更新し、その結果、他の無線基地局(例えば無線基地局5a)の方が低負荷と判断すれば、管理装置2の設定を変更する。具体的には、管理装置2の無線の接続チャンネルを無線基地局5aのチャンネルに変更し、BeaconやProbeResponseにセットするBSSIDを無線基地局5aのものに変更する。これにより、新たに無線LANシステムに接続しようとする無線端末(例えば無線端末3b)は、無線基地局5aを検出し、それと接続することになるのである。
【0077】
Beaconは、特許請求の範囲に記載の「報知情報」に相当し、SSIDは、特許請求の範囲に記載の「ネットワーク識別子」に相当する。また、ProbeRequestは、特許請求の範囲に記載の「探索要求」に相当し、Probe Responseは、特許請求の範囲に記載の「探索応答」に相当する。また、BSSIDは、特許請求の範囲に記載の「機器識別子」に相当する。
【0078】
本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、複数の無線基地局の負荷情報を、管理装置が集中的に把握し接続対象とすべき無線基地局を選択しているので、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0079】
また、本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、管理装置は、無線端末の接続対象とすべき無線基地局のみを無線端末に検出させるので、無線端末は検出された無線基地局とIEEE802.11規格に基づいた接続手順を行うだけでよい。従って、無線端末には一般的な無線LAN通信機能以外の機能を備える必要のない無線LANシステムを提供することができる。
【0080】
また、本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、管理装置は、無線端末の接続対象とすべき無線基地局のみを無線端末に検出させるので、無線端末は、検出された無線基地局とのみIEEE802.11規格に基づいた接続の手順を行うだけでよい。従って、無線端末から見れば、複数の無線基地局の中から接続すべき無線基地局を特定し接続する手順は、1つの無線基地局と接続する手順と同一である。これにより、無線基地局と接続確立するまでの通信手順を簡易化し、無線リソースと時間の浪費を抑制することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に本発明における第2の実施形態について説明する。
【0082】
図9は、第2の実施形態のおける無線LANシステムの構成例を示す図である。第1の実施形態と異なるところは、管理装置が存在しない点である。
【0083】
複数の無線基地局(無線基地局15a、無線基地局15b、無線基地局15c)は、有線LAN4を経由して通信可能に接続されており、相互に無線基地局情報を交換している。複数の無線端末(無線端末3a、無線端末3b、無線端末3c)は、第1の実施形態の場合と同様である。また、無線基地局のハードウェア構成例は図2と同様である。
【0084】
図10は、第2の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【0085】
負荷・AP情報管理部71は、(1)無線基地局自身の負荷を監視し、その情報に基づき負荷・AP情報管理テーブル75を更新する、(2)接続処理部70aから無線端末の接続・切断情報を与えられたとき、負荷・AP情報管理テーブル75を更新する、(3)有線LAN通信部73経由で他の無線基地局から無線基地局情報を受信した場合、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する、(4)自局の負荷情報を無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部73経由で他の無線基地局に送信する、の4つの処理を行う。
【0086】
負荷・AP情報管理テーブル75には、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0087】
AP動作管理部72は、負荷・AP情報管理テーブル75を参照し、自局が接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断し、なるべきだと判断した場合は、その旨を接続管理部70に通知する。
【0088】
接続管理部70は、接続処理部70aとステルス機能切替部70bと報知応答部70cを含んでいる。ステルス機能切替部70bは、ステルス機能の有効・無効を切り替える。ステルス機能が有効の場合、報知応答部70cは、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する。また、ProbeResponseの応答は行わない。ステルス機能が無効の場合、報知応答部70cは、自局のSSIDとBSSIDが含まれたBeaconを周期的に送信する。また、ProbeRequestを受信した場合、自局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Responseを応答する。接続処理部70aの処理は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0089】
図11は、負荷・AP情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0090】
負荷・AP情報管理テーブルには、自局の負荷情報と、他の無線基地局の負荷情報が登録されている。図11において、例えばIndex「2」が自局の負荷情報であるならば、Index「1」と「3」に登録されている情報は他の無線基地局の負荷情報である。
【0091】
Index120は、各エントリを示す識別番号である。BSSID121は、無線基地局のBSSIDが登録されている。接続台数/最大接続台数122は、無線基地局に現在接続されている無線端末の台数と、無線基地局に仕様上接続可能な無線端末の最大台数とを示している。無線LAN(Mbps)123は、無線基地局の無線LAN通信部の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)124は、無線基地局の有線LAN通信部の負荷を通信量で示している。
【0092】
次に図9、図10、図11、図12を用いて、本発明の第2の実施形態における無線LANシステムの動作を説明する。図12は、本発明の第2の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。以下では、図9の無線端末3aが無線LANシステムに接続する場合を例に説明する。
【0093】
まず、無線LANシステム10の管理者は、複数の無線基地局(無線端末15a、無線端末15b、無線端末15c)に同一のSSIDを設定する。また、無線端末3aの利用者も無線端末3aに複数の無線基地局と同一のSSIDを設定する。
【0094】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局15a、無線基地局15b、無線基地局15c)の動作が開始すると、各無線基地局の負荷・AP情報管理部71は、(1)自局の負荷状況の監視とその登録、(2)他局からの無線基地局情報の受信とその登録、(3)自局の負荷情報を無線基地局情報として他の無線基地局へ通知、の3つの処理を行う。
【0095】
まず、負荷・AP情報管理部71は、自局の負荷状況を監視し、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する。負荷・AP情報管理テーブル75に登録された情報は、自局の負荷の変化に応じて、適宜、負荷・AP情報管理部71により更新される。
【0096】
また、負荷・AP情報管理部71は、負荷・AP情報管理テーブル75から自局の負荷情報を取得し、それを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部73を経由して、他の無線基地局に送信する(ステップS300)。なお、この送信タイミングは、一定間隔ごとに送信しても良いし、他の無線基地局からの送信要求を受信したときに送信しても良いし、自局の負荷が変化したときに送信してもよい。また、上記を組み合わせてもよい。
【0097】
また、負荷・AP情報管理部71は、無線基地局情報の受信を待っている。他の無線基地局から無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する。
【0098】
以下、図11の負荷・AP情報管理テーブルの例により説明を行う。負荷・AP情報管理テーブル75には、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報が含まれている。ここで、図11に示す負荷・AP情報管理テーブルは、無線基地局15bが持っているものとする。そして、Index「1」は無線基地局15aの負荷情報、「2」は無線基地局15bの負荷情報(つまり自局の情報)、「3」は無線基地局15cの負荷情報がそれぞれ登録されたものとする。
【0099】
なお、無線基地局15a、無線基地局15cも、無線基地局15bと同様に、負荷・AP情報管理テーブルを保有している。
【0100】
各無線基地局のステルス機能は、電源投入時には有効になっている。したがって、各無線基地局は、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信している(ステップS301)。また、無線端末から、無線基地局自身と同一のSSIDを指定したProbeRequestを受信した場合であっても、これに応答しない。
【0101】
各無線基地局のAP動作管理部72は、負荷・AP情報管理テーブル75を参照し、自局が接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断する。この場合、負荷が一番低いかどうかを判断することで、接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断すればよい。なお、負荷情報のみを判断基準とするのでなく、各無線基地局のセキュリティレベルなど他の要素を判断基準に加えることも可能である。
【0102】
図11の場合、Index「2」に登録されている無線基地局15b(自局)の負荷が、この中で一番低いと考えられるので、無線基地局15bのAP動作管理部72は、自局が接続対象の無線基地局になるべきだと判断する(ステップS302)。そして、その旨を接続管理部70へ伝える。
【0103】
これを受けて、無線基地局15bのステルス機能切替部70bは、ステルス機能を無効にする。これにより、無線基地局15bの報知応答部70cは、自局のBSSIDとSSIDを含んだBeaconを周期的に送信する(ステップS304)。また、無線端末からProbeRequestを受信した場合(ステップS305)、自局のBSSIDとSSIDを含んだProbe Responseを応答する(ステップS306)。
【0104】
これにより、パッシブスキャンの場合、無線端末3aは、Beaconを受信することで無線基地局15bを検出することができる。また、アクティブスキャンの場合、無線端末3aは、ProbeResponseを受信することで無線基地局15bを検出することができる。
【0105】
無線端末3aは、無線基地局15bを検出したので、無線基地局15bとの接続処理を開始する。具体的には、認証処理とアソシエーション処理を行う。この処理は第1の実施形態の場合と同様である。これにより、無線接続が確立する(ステップS307)。無線接続が確立すると、無線端末3aと無線基地局15bとの間で無線通信によるデータの送受信が可能となる(ステップS308)。無線端末3aの利用者は、無線基地局15bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0106】
無線基地局15bの接続処理部70aは、無線端末3aとの接続が確立すると、その情報を負荷・AP情報管理部71に与える。負荷・AP情報管理部71はこれを受信すると、負荷・AP情報管理テーブル75の内容を更新する。具体的には、負荷・AP情報管理テーブル75に登録された自局の接続台数の値に1を加算する。
【0107】
また、無線基地局15bに無線端末3aが接続されたことにより、無線基地局15bの負荷が変化した場合(例えば無線基地局15bの通信量が増加した場合)、その情報は無線基地局情報として他の無線基地局に送信される。他の無線基地局(例えば無線基地局15a)は、無線基地局情報を受信した場合、自局の負荷・AP情報管理テーブル75の内容を更新し、その結果、自局の方が低負荷だと判断すれば、自局が接続対象の無線基地局になるべきだと判断し、ステルス機能を無効にする。一方、無線基地局15bは、自局の負荷・AP情報管理テーブルの内容を更新したことにより、自局よりも低い負荷の無線基地局が他にあると判断すると、ステルス機能を有効にし、無線端末に対して自局の存在を隠蔽する。これにより、新たに無線LANシステムに接続しようとする無線端末(例えば無線端末3b)は、無線基地局15aを検出し、それと接続することになるのである。
【0108】
本発明の第2の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線基地局自身が他の無線基地局と負荷情報の交換を行い、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報を参照した上で、自局が接続対象の無線基地局になるかどうかを主体的に判断するので、管理装置のない無線LANシステムにおいても、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0109】
(第3の実施形態)
次に本発明における第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、無線端末ごとに優先順位を用意しておき、接続対象とすべき無線基地局を選択する場合、優先順位を選択基準の1つとする。
【0110】
図13は、第3の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【0111】
複数の無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)は、カテゴリによって区分されている。管理装置、複数の無線基地局、複数の無線端末には、同一のSSIDが設定されている。
【0112】
無線基地局のハードウェア構成例は図2と同様であり、管理装置のハードウェア構成例は図5と同様である。
【0113】
無線基地局のソフトウェア構成例は図3と同様である。しかし、負荷情報管理テーブルの内容が一部異なる。図14は、第3の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0114】
第1の実施形態の場合と異なるのは、接続台数/接続可能台数132のうち「接続可能台数」の項目と、「カテゴリ」135の項目である。例えば、図14では、無線基地局の接続可能台数は「2」とされているが、これは、無線基地局の仕様上の最大接続台数ではなく、管理者が意図的に制限した数である。つまり、一例として、当該無線基地局の仕様上の最大接続台数は「6」であるが、管理者が意図的に接続可能台数を「2」に制限しているのである。このように、接続できる無線端末の数を実際の仕様よりも少なくすることで、接続する無線端末の利用者に対して快適な環境を提供することができる。
【0115】
そして、第3の実施形態においては、複数の無線基地局を幾つかのカテゴリで区分している。一例として、カテゴリ「A」と設定される無線基地局は、接続可能台数が一番低く設定されており、最も快適な環境を提供できる無線基地局である。「B」は、「A」の次に良好な環境を提供できる無線基地局であり、接続可能台数が仕様上の最大接続台数よりも少し低く設定されている。「C」は、接続可能台数を制限していない無線基地局である。ここでは、接続可能台数と仕様上の最大接続台数の値が同一である。従って、最大接続台数まで無線端末が接続された場合、通信環境によっては、ネットワークの通信速度が低下することもある。なお、図14では、カテゴリ「A」と設定されているので、このテーブルを持つ無線基地局は、快適な環境を提供できる無線基地局であると分かる。
【0116】
負荷情報管理テーブルに登録される「接続可能台数」と「カテゴリ」の項目は、システムの管理者によってあらかじめ登録されるものである。管理者は、無線基地局のユーザインタフェース(図示せず)からこれらの項目を入力してもよいし、ネットワーク上の管理コンピュータ(図示せず)から無線基地局にアクセスして、これらの項目を入力してもよい。
【0117】
図15は、第3の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【0118】
代理応答部80と無線端末情報管理テーブル86がある点が第1の実施形態と異なる。また、無線基地局情報管理テーブル85の内容が第1の実施形態とは一部異なる。
【0119】
代理応答部80は、(1)無線端末に対してProbe Responseを応答する、(2)無線の接続チャンネルを変更する、という2つの処理を行う。なお、第3の実施形態における代理応答部は、Beaconを送信しない。
【0120】
図16は、第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0121】
無線基地局は、負荷情報管理テーブルに含まれる情報を無線基地局情報としてまとめ、管理装置に送信するのであるが、第3の実施形態の場合、負荷情報管理テーブルの中に「接続可能台数」と「カテゴリ」の情報が含まれているので、これらの情報も無線基地局情報に含めて管理装置に送信される。図16に示すように、第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルには、個々の無線基地局の「接続可能台数」と「カテゴリ」の情報が登録されている。
【0122】
図17は、無線端末情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0123】
Index150は、各エントリを示す識別情報である。無線端末情報151は、無線端末を一意に特定する識別情報であり、無線端末のMACアドレスが登録されている。優先順位152は、無線端末の優先順位を表す情報であり、ここでは一例として、3つのレベルで示す。「1」の優先順位が最も高く、一番良い通信環境を提供できる無線基地局に接続できる。ここではカテゴリ「A」を持つ無線基地局がそれに該当する。その次は、「2」であり、カテゴリ「B」を持つ無線基地局に接続できる。最後が「3」であり、カテゴリ「C」を持つ無線基地局に接続できる。
【0124】
無線端末情報管理テーブルに登録される「無線端末情報」と「優先順位」の項目は、システムの管理者によってあらかじめ登録されるものである。管理者は、管理装置のユーザインタフェース(図示せず)からこれらの項目を入力してもよいし、ネットワーク上の管理コンピュータ(図示せず)から管理装置にアクセスして、これらの項目を入力してもよい。
【0125】
次に、図13、図14、図15、図16、図17、図18を用いて、本発明の第3の実施形態における無線LANシステムの動作を説明する。図17は、第3の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。図13の無線端末3aが接続を行う場合を例に説明する。
【0126】
無線LANシステム20の管理者は、管理装置22と複数の無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)に同一のSSIDを設定する。そして、無線端末3aの利用者も、上記と同じSSIDを無線端末3aに設定する。
【0127】
また、無線LANシステム20の管理者は、複数の無線基地局の負荷情報管理テーブルに登録される「接続可能台数」と「カテゴリ」の項目を設定し(ステップS500)、また管理装置の無線端末情報管理テーブルに登録される「無線端末情報」と「優先順位」の項目を設定しておく(ステップS501)。
【0128】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)の動作が開始すると、各無線基地局は、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)ProbeResponseの応答は行わない、(3)自局の負荷情報を無線基地局情報として管理装置に送信する、という処理を行う。これらの処理は第1の実施形態の場合と同様である。
【0129】
管理装置22は、無線基地局情報の受信を待っている。無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を無線基地局情報管理テーブルに登録する(ステップS502)。
【0130】
以下、無線基地局情報管理テーブルおよび無線端末情報管理テーブルには、図16および図17の内容が登録されたものとして説明する。図16において、Index「1」が無線基地局25a、Index「2」が無線基地局25b、Index「3」が無線基地局25cの情報とする。また、図17において、Index「1」が無線端末3a、Index「2」が無線端末3b、Index「3」が無線端末3cの情報とする。
【0131】
無線端末3aは、Probe Requestを送信する。
【0132】
管理装置22の代理応答部80は、無線端末からProbe Requestを受信するのを待っている。Probe Requestを受信すると(ステップS504)、そこに含まれるSSIDが管理装置22のSSIDと一致するかどうかを判断する。一致する場合には、代理応答部80は、ProbeRequestに含まれる送信元MACアドレスを無線基地局選択部81に与える。この場合、無線端末3aがProbe Requestを送信しているので、無線端末3aのMACアドレスが無線基地局選択部81に与えられる。
【0133】
管理装置22の無線基地局選択部81は、送信元MACアドレスが与えられると、それに基づき無線端末情報管理テーブル86の無線端末情報を検索し、一致するエントリを特定する。この場合、無線端末3aからのProbeRequestなので、無線端末3aのエントリ(Index「1」)が特定される。すると、無線端末3aの優先順位は「1」であると分かる。無線基地局選択部81は、優先順位を基に、接続対象とすべき無線基地局を選択する。この場合、優先順位が「1」なので、カテゴリ「A」の無線基地局が接続対象の無線基地局となる。
【0134】
図14の場合、カテゴリで「A」が設定されているのは、Index「2」に登録された無線基地局25bなので、無線端末3aと接続させるべきは、無線基地局25bであると判断する。なお、「A」が設定されている無線基地局が複数あった場合、それらの中から負荷が一番低いものを選択すればよい。
【0135】
無線基地局選択部81は無線基地局25bが選択されたので、無線基地局情報管理テーブル85にある無線基地局25bの情報を代理応答部80へ与える。
【0136】
代理応答部80は、与えられた無線基地局の情報に従って、管理装置22の設定を変更する。この場合、無線基地局25bのチャンネルは「5」であるので、管理装置22の無線チャンネルを「5」に設定する。また、与えられた「BSSID」が、「xx:yy:zz:aa:bb:cc」であるので、ProbeResponseのBSSIDとして上記の値を使用する。代理応答部80は、無線チャンネル「5」の周波数にて、無線端末3aに対して、ProbeResponseの応答を行う(ステップS506)。
【0137】
これにより、無線端末3aは、無線基地局25bの存在を検出し、無線基地局25bと接続処理を行うことができる。接続処理(認証処理およびアソシエーション処理)の手順は第1の実施形態の場合と同様である。接続処理が完了すると、無線端末3aの利用者は、無線基地局25bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0138】
ここで、無線基地局選択部81の判断について、別の例を用いて説明する。
【0139】
一例として、Probe Requestを送信した無線端末の優先順位が「3」であった場合、上位カテゴリの無線基地局(カテゴリ「A」および「B」が設定されている無線基地局)の接続可能台数に空きがあったとしても、カテゴリ「C」が設定されている無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0140】
また、一例として、Probe Requestを送信した無線端末のMACアドレスが、無線端末情報管理テーブルに登録されていない場合、下位のカテゴリが設定されている無線基地局(ここではカテゴリ「C」が該当する)の中から、負荷の低い無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0141】
また、一例として、Probe Requestを送信した無線端末の優先順位が「1」であった場合、カテゴリ「A」の無線基地局を接続対象とすべきであるが、当該無線基地局は既に接続可能台数に達していた場合、次順位の無線基地局(この場合はカテゴリ「B」)の中から、負荷の低い無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0142】
なお、上記の説明では、無線基地局のカテゴリを「A」「B」「C」の3つで区分したが、カテゴリの区分の種類・指定方法は任意である。また、同じように、無線端末の優先順位を「1」から「3」までの数値で示したが、優先順位の種類・指定方法は任意である。
【0143】
本発明の第3の実施形態によれば、管理装置は、接続すべき無線基地局を選択する際に、無線端末の優先順位と無線基地局のカテゴリを考慮に入れるので、優先順位の高い無線端末は、管理者によって意図的に負荷が抑えられるように設定された無線基地局に接続することができる。これにより、特定の無線端末に対して、良い通信環境を提供することができる。
【0144】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、様々に変形が可能である。例えば、上記各実施形態において、管理装置と複数の無線基地局とは有線LANで接続されていたが、無線LANで接続されていても良い。
【0145】
また、上記各実施形態において、特定の無線基地局の負荷が増大した場合、その無線基地局に接続している無線端末に対して、無線基地局もしくは管理装置がDeauthパケットを送信することで強制的に無線基地局との通信を切断させることができる。この場合、再度、接続処理を行わせることで、無線端末が無線LANシステムに接続した後も負荷の分散を行うことができる。
【0146】
また、上記各実施形態において、無線端末にも管理装置や無線基地局と同一のSSIDを設定したが、無線LANシステムがAny指定の接続を許可する場合には、無線端末にSSIDを設定する必要はない。この場合、第1および第3の実施形態においては、管理装置がAny指定のProbeRequestを受信した場合、無線基地局選択部によって選択した無線基地局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Requestを送信すればよい。また、第2の実施形態においては、ステルス機能が無効になっているときに、無線基地局がAny指定のProbeRequestを受信した場合、自局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Requestを送信すればよい。
【0147】
また、第1および第3の実施形態の場合、複数のRF端子をもつ無線基地局に管理装置の機能を実装することで、単一のハードウェアで運用することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、フリースポット等、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散化する無線LANシステムを利用する環境において、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】第1の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1乃至第3の実施形態における無線基地局のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】第1および第3の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【図4】第1および第2の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】第1乃至第3の実施形態における管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図7】第1の実施形態における無線基地局情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【図9】第2の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図10】第2の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【図11】第2の実施形態における負荷・AP情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【図13】第3の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図14】第3の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図16】第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図17】第3の実施形態における無線端末情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図18】第3の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
1 無線LANシステム
2 管理装置
3a、3b、3c 無線端末
4 有線LAN
5a、5b、5c 無線基地局
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムに関し、特に無線基地局の負荷を分散する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN環境の普及に伴い、駅や空港、ホテル、飲食店、図書館、展示場など人々が多く集まる場所に無線基地局(アクセスポイント)を設置し、インターネットへのアクセスを提供するサービスが行われている。利用者は、無線LAN機能を備えた無線端末(例えばノートパソコン)をこれらの場所(フリースポット)に持ち込み、無線基地局と接続することで、外出先からでもインターネットを利用することができる。
【0003】
ところで、こうしたシステムにおいては、多数の無線端末からアクセスが行われるので、無線基地局が1台の場合には、接続が集中し、負荷が過重になることがある。そこで、これを解決するために、複数の無線基地局を設置し、負荷を分散する方法がとられている。
【0004】
その具体的内容は次のとおりである。まず、無線LANシステムの管理者は、設置する複数の無線基地局に共通のSSID(ServiceSet Identifier)を設定する。そして、利用者側でも、自分の無線端末に、無線基地局と同じSSIDを設定する。こうすることで、利用者の無線端末は、接続候補となる複数の無線基地局の中から通信環境の良いものを選択し、それと接続することができる。その結果、特定の無線基地局に接続が集中することを回避し、負荷を分散することができる。
【0005】
ところで、このようなシステムにおいて、従来、複数の無線基地局の中から接続すべき無線基地局を選択するのは、無線端末側の処理であった。また、無線端末が無線基地局を選択するアルゴリズムは、無線端末の製造業者や機種ごとに異なっていた。したがって、無線端末の選択アルゴリズムの如何によっては、上記のシステムにおいても依然として、負荷が低い他の無線基地局があるにもかかわらず、特定の無線基地局に接続が集中するという問題があった。
【0006】
そこで、こうした問題を解決するものとして、特許文献1では、無線LANシステムに管理装置を設置し、管理装置が、どの無線基地局にどの無線端末を接続するかを決定する技術が開示されている。
【0007】
その具体的な内容は次のとおりである。まず、無線端末は、認識した全ての無線基地局の情報を無線基地局通知メッセージにまとめ、いずれかの無線基地局と接続した上で、これを管理装置に送信する。管理装置では、無線基地局通知メッセージを受信し、その内容に基づいて個々の無線基地局の負荷を分散させるように1つの無線基地局を選択し、これを無線基地局指定メッセージとして無線端末に通知する。無線端末は、無線基地局指定メッセージを受信すると、当該メッセージで指定された無線基地局と再接続を行う。
【0008】
このように特許文献1によれば、管理装置が複数の無線基地局の負荷状況を把握し、接続すべき無線基地局を決定するので、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2007−67745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1では、無線端末がいずれかの無線基地局と接続後、管理装置に対して無線基地局通知メッセージを送信し、また、管理装置から無線基地局指定メッセージを受信するため、無線端末は、上記メッセージの送受信を行う仕組みを実装しなければならないという問題がある。
【0011】
フリースポット等では、不特定の利用者が無線基地局を利用するため、利用できる無線端末として、特定の機能(この場合は管理装置と上記メッセージを送受信できる機能)を備えているものに限定されると、誰でも使えるというフリースポットのメリットが失われてしまう。こうした場所では、利用者の無線端末に別段の機能追加を行うことなく、一般的な無線LAN機能を備えているだけで利用できるということが求められている。
【0012】
また、上記特許文献1では、無線端末がいずれかの無線基地局と接続し管理装置とメッセージの交換を行い、利用すべき無線基地局が指示されると、それと再接続するので、利用すべき無線基地局と接続するまでに、無線リソースと時間を浪費するという問題がある。
【0013】
フリースポット等では、多くの利用者が利用するため、利用すべき無線基地局と接続するまでの通信手順と時間は、できるだけ少なくすることが求められている。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、無線端末には一般的な無線LAN通信機能以外の機能を備える必要のない無線LANシステムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、接続すべき無線基地局を特定するまでの通信手順の簡易化によって無線リソースと時間の浪費を抑制ができる無線LANシステムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的とするところは、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決するとともに、優先順位の高い無線端末は通信環境の良い無線基地局に優先的に接続できる無線LANシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の発明は、無線端末を複数の無線基地局のいずれかに接続させる方法であって、前記複数の無線基地局の情報を任意のタイミングで取得し集約管理する第1のステップと、前記複数の無線基地局の情報を参照して、接続対象とすべき指定無線基地局を選択する第2のステップと、前記指定無線基地局を前記無線端末に検出させる第3のステップと、を含み、少なくとも前記指定無線基地局が選択されるまでの間、前記複数の無線基地局は、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする。
【0018】
第2の発明は、第1の発明に記載された方法であって、前記情報は、前記複数の無線基地局の負荷情報を含むことを特徴とする。
【0019】
第3の発明は、第1または第2の発明に記載された方法であって、前記第1乃至第3のステップは、前記複数の無線基地局を管理する管理装置により実行されることを特徴とする。
【0020】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかに記載の方法であって、前記複数の無線基地局は、前記指定無線基地局が選択された後であっても、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする。
【0021】
第5の発明は、第1または第2の発明に記載の方法であって、前記第2のステップは、前記複数の無線基地局が、自局の情報および他の無線基地局の情報を参照して、自局が指定無線基地局になるか否かを選択するステップであることを特徴とする。
【0022】
第6の発明は、第1、第2および第5の発明のいずれかに記載の方法であって、前記第3のステップは、前記指定無線基地局が、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することを特徴とする。
【0023】
第7の発明は、第1乃至第6の発明のいずれかに記載の方法であって、前記第2のステップにおいて、前記無線端末に関連づけられた優先順位情報と前記無線基地局に関連づけられた区分情報を参照して、指定無線基地局を選択することを特徴とする。
【0024】
第8の発明は、無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記管理装置は、前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、前記無線基地局情報管理テーブルを参照し、前記複数の無線基地局の中から前記無線端末の接続対象とすべき指定無線基地局を選択する無線基地局選択手段と、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理報知応答手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第9の発明は、無線端末と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局以外の無線基地局から受信した無線基地局情報を負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶するとともに、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を当該負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶し、当該自局の負荷情報を含む無線基地局情報を他の無線基地局に送信する負荷・無線基地局情報管理手段と、前記負荷・無線基地局情報管理テーブルを参照し、自局が前記無線端末の接続対象となるべきか否かを判断する無線基地局動作管理手段と、前記無線基地局動作管理手段により自局が接続対象となるべきであると判断した場合、存在隠蔽機能を無効にする存在隠蔽機能切替手段と、報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記報知応答手段は、前記存在隠蔽機能が有効の場合、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことにより、自局の存在を前記無線端末に対して隠蔽するとともに、前記存在隠蔽機能が無効の場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することにより、前記無線端末に対して自局の存在を検出させることを特徴とする。
【0026】
第10の発明は、無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、前記複数の無線基地局は、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、前記管理装置は、前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、無線基地局選択手段と、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線基地局選択手段によって選択された指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理応答手段とを備え、前記無線基地局選択手段は、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線端末に設定された優先順位情報と、無線基地局ごとに設定された区分情報とに基づき、前記複数の無線基地局の中から接続対象とすべき指定無線基地局を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末に無線LAN通信機能以外の機能を追加することなく、特定の無線基地局に接続が集中することを回避できる無線LANシステムを構築することができる。
【0028】
また、本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末が接続すべき無線基地局を特定するまでの手順を簡易化し、無線リソースと時間の浪費を抑制できる無線LANシステムを構築することができる。
【0029】
また、本発明によれば、複数の無線基地局を設置し、複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線端末に優先順位を設定し、接続対象となる無線基地局を選択する際に、当該優先順位を考慮した選択を行う。これにより、優先順位の高い無線端末を有する利用者は、通信環境の良い無線基地局を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図示例に限定されるものではない。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の無線LANシステムの構成例を示す図である。
【0032】
無線LANシステム1は、管理装置2と、複数の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)と、複数の無線端末(無線端末3a、無線端末3b、無線端末3c)を含み、管理装置2と複数の無線基地局は、イーサネット(登録商標)等の有線LAN4で接続されている。複数の無線端末は、IEEE802.11規格に基づき無線基地局と通信することができる。無線端末は、例えば、ノートパソコンである。また、複数の無線基地局と複数の無線端末と管理装置には、同一のSSIDが設定されている。
【0033】
本発明の第1の実施形態における無線基地局(アクセスポイント)は、無線端末をネットワークに接続するために電波を中継する、という一般的な無線基地局の機能に加えて、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)無線端末に対してProbeResponseを応答しない、(3)無線基地局自身の負荷情報を有線LAN経由で管理装置に通知する、という3つの特徴を有している。
【0034】
図2は、無線基地局のハードウェア構成例を示す図である。
【0035】
CPU30は、ROM31に格納されたプログラムに従って、無線基地局5の各部を制御する。ROM31は、無線基地局5を制御するプログラムや無線基地局5の設定値が記憶されている。RAM32は、CPU30のワークエリアであり、実行時のプログラムやデータが一時的に記憶される。無線I/F(無線インタフェース)33は、無線端末と無線通信を行うための通信回路等である。有線I/F(有線インタフェース)34は、有線LAN4と通信を行うための通信回路等である。
【0036】
図3は、無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【0037】
接続管理部50は、接続処理部50aと制限付報知応答部50bを含んでいる。制限付報知応答部50bは、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)無線端末に対してProbeResponseを応答しない、という2つの処理を行う。
【0038】
接続処理部50aは、認証処理およびアソシエーション処理を行うことにより無線端末との接続を確立する。また、無線端末と接続した場合、もしくは切断した場合、その情報を負荷情報管理部51に伝える。
【0039】
負荷情報管理部51は、負荷の監視と登録を行う。具体的には、無線LAN通信部54と、有線LAN通信部53の負荷を監視し、得られた情報に基づき負荷情報管理テーブル52を更新する。同様に、接続処理部50aから無線端末の接続・切断情報を与えられたときも、負荷情報管理テーブル52を更新する。また、負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52から負荷情報を取得し、これを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部53経由で管理装置に対して送信する。
【0040】
負荷情報管理テーブル52には、無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0041】
無線LAN通信部54は、IEEE802.11規格に基づき、無線端末と無線通信を行う。有線LAN通信部53は、有線LAN4を介して接続された管理装置やインターネット等のネットワークとの通信を行う。
【0042】
図4は、負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0043】
負荷情報管理テーブルには、無線基地局の負荷情報が登録されている。BSSID(BasicService Set Identifier)100は、無線基地局を一意に特定する情報である。BSSID100には、一般に機器のMACアドレスが利用されている。チャンネル101は、無線の接続チャンネルである。接続台数/最大接続台数102は、無線基地局に現在接続している無線端末の台数と、仕様上、接続可能な最大台数を示している。無線LAN(Mbps)103は、無線LAN通信部54の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)104は、有線LAN通信部53の負荷を通信量で示している。これらの情報は、無線基地局情報として、管理装置に送信される。
【0044】
なお、負荷情報管理テーブル52に登録される情報は、上記の情報に限定されない。例えば上記例では、BSSIDやチャンネルも登録したが、これらの情報は無線基地局の負荷を特定する情報ではないので、必ずしも必要ではない。また、負荷を表す別の情報(例えばCPUの使用率等)があれば、それを追加してもよい。
【0045】
無線基地局情報は、無線基地局の負荷状況を管理装置に知らせるために、無線基地局から管理装置に対して送信される情報である。無線基地局の負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52に登録された情報を無線基地局情報にまとめ、管理装置に送信する。無線基地局情報には、例えば、無線基地局のBSSID、無線の接続チャンネル、現在接続している無線端末の台数、仕様上接続可能な最大台数、無線LAN通信部の負荷、有線LAN通信部の負荷等が含まれる。
【0046】
なお、無線基地局情報に含まれる情報は、上記に限定しない。送信すべき情報は、無線基地局の負荷を特定する情報であればよい。従って、無線基地局のBSSIDやチャンネルは、管理装置があらかじめこれらを知っている場合には、必ずしも必要でない。
【0047】
次に、管理装置について説明する。本発明の管理装置は、IEEE802.11規格に基づき、Beaconの送信と、ProbeRequestの受信、Probe Responseの送信を行うことができる。
【0048】
図5は、管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0049】
CPU40は、ROM41に格納されたプログラムに従って、管理装置2の各部を制御する。ROM41は、管理装置2を制御するプログラムや管理装置2の設定値が記憶されている。RAM42は、CPU40のワークエリアであり、実行時のプログラムやデータが一時的に記憶される。無線I/F43は、無線端末と無線通信を行うための通信回路等である。有線I/F44は、有線LAN4と通信を行うための通信回路等である。なお、一般的なパーソナルコンピュータを管理装置として利用することもできる。この場合、パーソナルコンピュータのHDD(HardDisc Drive)に管理装置の機能を実現するプログラムをインストールすればよい。
【0050】
図6は、管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【0051】
無線基地局情報管理部65は、有線LAN通信部63を経由して、無線基地局から無線基地局情報を受信する。また、無線基地局情報を受信すると、その内容を無線基地局情報管理テーブル62に登録する。
【0052】
無線基地局情報管理テーブル62には、各無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0053】
無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62を参照し、無線端末の接続対象とすべき無線基地局を選択するとともに、その情報を代理報知応答部60へ与える。
【0054】
代理報知応答部60は、(1)SSIDを含んだBeaconの送信、(2)無線端末に対するProbeResponseの応答、(3)無線の接続チャンネルの変更、の3つの処理を行う。なお、BeaconおよびProbe Responseには、無線基地局選択部61により選択された無線基地局のBSSIDと自装置のSSID(管理装置と無線基地局は同一のSSIDが設定されているので、選択された無線基地局のSSIDでもある)の情報が含まれている。
【0055】
無線LAN通信部64は、IEEE802.11規格に基づき、無線端末との無線通信を行う。有線LAN通信部63は、インターネット等のネットワークや無線基地局との通信を行う。
【0056】
図7は、管理装置の無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0057】
無線基地局情報管理テーブル62には、無線LANシステムに存在する複数の無線基地局の負荷情報がそれぞれ登録されている。Index110は、各エントリを示す識別番号である。BSSID111には、無線基地局のBSSIDが登録されている。チャンネル112は、無線基地局の無線の接続チャンネルである。接続台数/最大接続台数113は、無線基地局に現在接続されている無線端末の台数と、仕様上接続可能な最大台数を示している。無線LAN(Mbps)114は、無線基地局の無線LAN通信部の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)115は、無線基地局の有線LAN通信部の負荷を通信量で示している。なお、無線基地局情報管理テーブル62に含まれる情報は、上記の情報に限定されない。
【0058】
図1、図3、図4、図6、図7、図8を用いて、第1の実施形態における無線LANシステムの動作について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。以下では、図1の無線端末3aが無線LANシステムに接続する場合を例に説明する。
【0059】
まず、無線LANシステム1の管理者は、管理装置2と複数の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)に同一のSSIDを設定する。また、無線端末3aの利用者も、上記と同じSSIDを無線端末3aに設定する。
【0060】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)の動作が開始すると、各無線基地局の負荷情報管理部51は、自装置の負荷状況を監視し、その内容を負荷情報管理テーブル52に登録する。この負荷情報管理テーブル52の内容は、自装置の負荷状況の変化に応じて、適宜、負荷情報管理部51により更新される。
【0061】
また、各無線基地局の負荷情報管理部51は、負荷情報管理テーブル52から負荷情報を取得し、これを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部53を経由して、管理装置2に送信する(ステップS200)。なお、この送信タイミングは、一定間隔(例えば1秒のポーリング間隔)ごとに送信しても良いし、管理装置2からの送信要求を受信したときに送信しても良いし、負荷情報管理テーブル52の内容が更新されたときに送信してもよい。また、上記を組み合わせてもよい。
【0062】
上記の処理と平行して、各無線基地局の制限付報知応答部50bは、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信している(ステップS201)。なお、上記Beaconは、SSIDを含まないが、無線基地局自身のBSSIDが含まれている。また、各無線基地局の制限付報知応答部50bは、無線端末から無線基地局自身と同一のSSIDを指定したProbeRequestを受信した場合であっても、Probe Responseの応答をしない。
【0063】
無線端末は、BeaconにSSIDが含まれていないため、無線基地局のSSIDを知ることができず、無線基地局を検出することはできない。また、無線端末があらかじめ無線基地局のSSIDを知っている場合であっても、無線基地局からProbeResponseの応答を受信しないので、無線基地局を検出することはできない。
【0064】
つまり、無線基地局は、(1)BeaconにSSIDを含めないこと、(2)ProbeResponseの応答をしないこと、の2つの処理を行うことにより無線端末に対しその存在を隠蔽しているのである。
【0065】
このように、無線基地局は、無線端末に対してその存在を隠蔽しているので、無線基地局の代わりに、別の装置が無線端末にその存在を知らせる必要がある。ここで、その役割を担うのが管理装置2である。すなわち、管理装置2は、複数の無線基地局の負荷状況を確認した上で接続対象の無線基地局を選択し、当該選択された無線基地局に成り代わって、SSIDを含んだBeaconの送信と、ProbeResponseの応答を行う。
【0066】
管理装置2の無線基地局情報管理部65は、無線基地局情報の受信を待っている。無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を無線基地局情報管理テーブル62に登録する。図1では、3台の無線基地局(無線基地局5a、無線基地局5b、無線基地局5c)が存在するので、それぞれの情報が無線基地局情報管理テーブル62に登録される。図7の無線基地局情報管理テーブルの例によると、登録された情報は3つで、それぞれ、Index「1」は無線基地局5aの情報、「2」は無線基地局5bの情報、「3」は無線基地局5cの情報が登録されたものとする。
【0067】
管理装置2の無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62を参照し、一定の基準に従って無線端末が接続すべき無線基地局を選択する(ステップS202)。ここで、一定の基準とは、各無線基地局の負荷を平均化するよう負荷の一番低い無線基地局を選択するための基準である。なお、無線基地局の負荷状況のみを判断基準とするのでなく、各無線基地局のセキュリティレベルなど他の要素を選択の判断基準に加えることも可能である。
【0068】
図6の場合、この中で一番負荷が低いと考えられるものは、Index「2」に登録されている無線基地局5bであるので、無線基地局選択部61は、接続対象とすべき無線基地局として無線基地局5bを選択する。そして、無線基地局選択部61は、無線基地局情報管理テーブル62に登録された無線基地局5bの情報を代理報知応答部60へ与える。
【0069】
代理報知応答部60は、与えられた無線基地局の情報に従って、管理装置2の設定を変更する。この場合、無線基地局5bのチャンネルは「5」であるので、管理装置2の無線の接続チャンネルを「5」に設定する。また、与えられた「BSSID」が、「xx:yy:zz:aa:bb:cc」であるので、BeaconあるいはProbeResponseのBSSIDとして上記の値を使用する。代理報知応答部60は、接続チャンネル「5」の周波数において、Beaconの送信と、ProbeResponseの応答を行う。
【0070】
無線端末は、無線LANシステムに接続するために、周辺にある無線基地局を検出する必要がある。無線端末が周辺にある無線基地局を検出する方法としては、周辺の無線基地局が周期的に送信するBeaconを受信することによって、無線基地局を検出するパッシブスキャンと、無線端末から能動的にProbeRequestを送信し、周辺の無線基地局から返信されるProbe Responseを受信することによって、無線基地局を検出するアクティブスキャンとがある。アクティブスキャンの場合、無線基地局のSSIDを指定してProbeRequestを送信する場合と、無線基地局のSSIDが分からないときにAnyを指定してProbe Requestを送信する場合がある。いずれの場合もProbe Responseを無線基地局から受信することによって無線基地局を検出する。
【0071】
管理装置2の代理報知応答部60は、無線基地局選択部61により無線基地局5bの情報が与えられたので、自装置のSSID(管理装置2と無線基地局は同一のSSIDを付与されているので無線基地局5bのSSIDでもある)と無線基地局5bのBSSIDを含んだBeaconを周期的に送信する(ステップS203)。パッシブスキャンの場合、無線端末3aは、これを受信することで無線基地局5bを検出することができる。
【0072】
また、アクティブスキャンの場合、無線端末3aは、SSIDを指定したProbe Requestを送信する(ステップS204)。管理装置2の代理報知応答部60は、無線端末5bからSSIDを指定したProbe Requestを受信すると、そのSSIDが自装置に記憶されたSSIDと同一かを判断し、同一の場合は、自装置のSSID(管理装置と無線基地局は同一のSSIDを付与されているので無線基地局5bのSSIDでもある)と無線基地局5bのBSSIDを含んだProbeResponseを返信する(ステップS205)。これにより、無線端末3aは、無線基地局5bを検出することができる。
【0073】
このように、管理装置2が、無線端末の接続対象となる無線基地局に成り代わってBeaconの送信と、ProbeResponseの応答を行っているので、管理装置が選択した無線基地局以外の無線基地局(この場合は無線基地局5aと無線基地局5c)の存在は、無線端末3aと同一のSSIDを有している場合であっても、無線端末3aには検出されない。
【0074】
無線端末3aは、無線基地局5bを検出したので、無線基地局5bとの接続処理を開始する(ステップS206)。具体的には、認証処理とアソシエーション処理を行う。まず、無線端末3aは無線基地局5bに対して認証要求を送信する。無線基地局5bの接続処理部50aはこれを受信すると、認証応答を返信する。認証処理が終了すると、無線端末3aは無線基地局5bに対してアソシエーション要求を送信する。無線基地局5bの接続処理部50aはこれを受信すると、アソシエーション応答を返信する。これにより、無線LANにおける無線接続が確立する。この認証処理およびアソシエーション処理はIEEE802.11規格に基づくものである。無線接続が確立すると、無線端末3aと無線基地局5bとの間で無線によるデータの送受信が可能となる(ステップS207)。無線端末3aの利用者は、無線基地局5bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0075】
無線基地局5bの接続処理部50aは、無線端末3aとの接続が確立すると、その情報を負荷情報管理部51に与える。負荷情報管理部51はこれを受信すると、負荷情報管理テーブル52の内容を更新する。具体的には、負荷情報管理テーブル52に登録された接続台数102の値に1を加算する。
【0076】
また、無線基地局5bに無線端末3aが接続されたことにより、無線基地局5bの負荷が変化した場合(例えば無線基地局5bの通信量が増加した場合)、その情報は無線基地局情報として管理装置2に通知される。管理装置2は、無線基地局情報を受信した場合、無線基地局情報管理テーブル62の内容を更新し、その結果、他の無線基地局(例えば無線基地局5a)の方が低負荷と判断すれば、管理装置2の設定を変更する。具体的には、管理装置2の無線の接続チャンネルを無線基地局5aのチャンネルに変更し、BeaconやProbeResponseにセットするBSSIDを無線基地局5aのものに変更する。これにより、新たに無線LANシステムに接続しようとする無線端末(例えば無線端末3b)は、無線基地局5aを検出し、それと接続することになるのである。
【0077】
Beaconは、特許請求の範囲に記載の「報知情報」に相当し、SSIDは、特許請求の範囲に記載の「ネットワーク識別子」に相当する。また、ProbeRequestは、特許請求の範囲に記載の「探索要求」に相当し、Probe Responseは、特許請求の範囲に記載の「探索応答」に相当する。また、BSSIDは、特許請求の範囲に記載の「機器識別子」に相当する。
【0078】
本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、複数の無線基地局の負荷情報を、管理装置が集中的に把握し接続対象とすべき無線基地局を選択しているので、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0079】
また、本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、管理装置は、無線端末の接続対象とすべき無線基地局のみを無線端末に検出させるので、無線端末は検出された無線基地局とIEEE802.11規格に基づいた接続手順を行うだけでよい。従って、無線端末には一般的な無線LAN通信機能以外の機能を備える必要のない無線LANシステムを提供することができる。
【0080】
また、本発明の第1の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、管理装置は、無線端末の接続対象とすべき無線基地局のみを無線端末に検出させるので、無線端末は、検出された無線基地局とのみIEEE802.11規格に基づいた接続の手順を行うだけでよい。従って、無線端末から見れば、複数の無線基地局の中から接続すべき無線基地局を特定し接続する手順は、1つの無線基地局と接続する手順と同一である。これにより、無線基地局と接続確立するまでの通信手順を簡易化し、無線リソースと時間の浪費を抑制することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に本発明における第2の実施形態について説明する。
【0082】
図9は、第2の実施形態のおける無線LANシステムの構成例を示す図である。第1の実施形態と異なるところは、管理装置が存在しない点である。
【0083】
複数の無線基地局(無線基地局15a、無線基地局15b、無線基地局15c)は、有線LAN4を経由して通信可能に接続されており、相互に無線基地局情報を交換している。複数の無線端末(無線端末3a、無線端末3b、無線端末3c)は、第1の実施形態の場合と同様である。また、無線基地局のハードウェア構成例は図2と同様である。
【0084】
図10は、第2の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【0085】
負荷・AP情報管理部71は、(1)無線基地局自身の負荷を監視し、その情報に基づき負荷・AP情報管理テーブル75を更新する、(2)接続処理部70aから無線端末の接続・切断情報を与えられたとき、負荷・AP情報管理テーブル75を更新する、(3)有線LAN通信部73経由で他の無線基地局から無線基地局情報を受信した場合、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する、(4)自局の負荷情報を無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部73経由で他の無線基地局に送信する、の4つの処理を行う。
【0086】
負荷・AP情報管理テーブル75には、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報が登録されている。詳しい説明は後述する。
【0087】
AP動作管理部72は、負荷・AP情報管理テーブル75を参照し、自局が接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断し、なるべきだと判断した場合は、その旨を接続管理部70に通知する。
【0088】
接続管理部70は、接続処理部70aとステルス機能切替部70bと報知応答部70cを含んでいる。ステルス機能切替部70bは、ステルス機能の有効・無効を切り替える。ステルス機能が有効の場合、報知応答部70cは、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する。また、ProbeResponseの応答は行わない。ステルス機能が無効の場合、報知応答部70cは、自局のSSIDとBSSIDが含まれたBeaconを周期的に送信する。また、ProbeRequestを受信した場合、自局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Responseを応答する。接続処理部70aの処理は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0089】
図11は、負荷・AP情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0090】
負荷・AP情報管理テーブルには、自局の負荷情報と、他の無線基地局の負荷情報が登録されている。図11において、例えばIndex「2」が自局の負荷情報であるならば、Index「1」と「3」に登録されている情報は他の無線基地局の負荷情報である。
【0091】
Index120は、各エントリを示す識別番号である。BSSID121は、無線基地局のBSSIDが登録されている。接続台数/最大接続台数122は、無線基地局に現在接続されている無線端末の台数と、無線基地局に仕様上接続可能な無線端末の最大台数とを示している。無線LAN(Mbps)123は、無線基地局の無線LAN通信部の負荷を通信量で示している。有線LAN(Mbps)124は、無線基地局の有線LAN通信部の負荷を通信量で示している。
【0092】
次に図9、図10、図11、図12を用いて、本発明の第2の実施形態における無線LANシステムの動作を説明する。図12は、本発明の第2の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。以下では、図9の無線端末3aが無線LANシステムに接続する場合を例に説明する。
【0093】
まず、無線LANシステム10の管理者は、複数の無線基地局(無線端末15a、無線端末15b、無線端末15c)に同一のSSIDを設定する。また、無線端末3aの利用者も無線端末3aに複数の無線基地局と同一のSSIDを設定する。
【0094】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局15a、無線基地局15b、無線基地局15c)の動作が開始すると、各無線基地局の負荷・AP情報管理部71は、(1)自局の負荷状況の監視とその登録、(2)他局からの無線基地局情報の受信とその登録、(3)自局の負荷情報を無線基地局情報として他の無線基地局へ通知、の3つの処理を行う。
【0095】
まず、負荷・AP情報管理部71は、自局の負荷状況を監視し、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する。負荷・AP情報管理テーブル75に登録された情報は、自局の負荷の変化に応じて、適宜、負荷・AP情報管理部71により更新される。
【0096】
また、負荷・AP情報管理部71は、負荷・AP情報管理テーブル75から自局の負荷情報を取得し、それを無線基地局情報としてまとめ、有線LAN通信部73を経由して、他の無線基地局に送信する(ステップS300)。なお、この送信タイミングは、一定間隔ごとに送信しても良いし、他の無線基地局からの送信要求を受信したときに送信しても良いし、自局の負荷が変化したときに送信してもよい。また、上記を組み合わせてもよい。
【0097】
また、負荷・AP情報管理部71は、無線基地局情報の受信を待っている。他の無線基地局から無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を負荷・AP情報管理テーブル75に登録する。
【0098】
以下、図11の負荷・AP情報管理テーブルの例により説明を行う。負荷・AP情報管理テーブル75には、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報が含まれている。ここで、図11に示す負荷・AP情報管理テーブルは、無線基地局15bが持っているものとする。そして、Index「1」は無線基地局15aの負荷情報、「2」は無線基地局15bの負荷情報(つまり自局の情報)、「3」は無線基地局15cの負荷情報がそれぞれ登録されたものとする。
【0099】
なお、無線基地局15a、無線基地局15cも、無線基地局15bと同様に、負荷・AP情報管理テーブルを保有している。
【0100】
各無線基地局のステルス機能は、電源投入時には有効になっている。したがって、各無線基地局は、SSIDを含まないBeaconを周期的に送信している(ステップS301)。また、無線端末から、無線基地局自身と同一のSSIDを指定したProbeRequestを受信した場合であっても、これに応答しない。
【0101】
各無線基地局のAP動作管理部72は、負荷・AP情報管理テーブル75を参照し、自局が接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断する。この場合、負荷が一番低いかどうかを判断することで、接続対象の無線基地局になるべきかどうかを判断すればよい。なお、負荷情報のみを判断基準とするのでなく、各無線基地局のセキュリティレベルなど他の要素を判断基準に加えることも可能である。
【0102】
図11の場合、Index「2」に登録されている無線基地局15b(自局)の負荷が、この中で一番低いと考えられるので、無線基地局15bのAP動作管理部72は、自局が接続対象の無線基地局になるべきだと判断する(ステップS302)。そして、その旨を接続管理部70へ伝える。
【0103】
これを受けて、無線基地局15bのステルス機能切替部70bは、ステルス機能を無効にする。これにより、無線基地局15bの報知応答部70cは、自局のBSSIDとSSIDを含んだBeaconを周期的に送信する(ステップS304)。また、無線端末からProbeRequestを受信した場合(ステップS305)、自局のBSSIDとSSIDを含んだProbe Responseを応答する(ステップS306)。
【0104】
これにより、パッシブスキャンの場合、無線端末3aは、Beaconを受信することで無線基地局15bを検出することができる。また、アクティブスキャンの場合、無線端末3aは、ProbeResponseを受信することで無線基地局15bを検出することができる。
【0105】
無線端末3aは、無線基地局15bを検出したので、無線基地局15bとの接続処理を開始する。具体的には、認証処理とアソシエーション処理を行う。この処理は第1の実施形態の場合と同様である。これにより、無線接続が確立する(ステップS307)。無線接続が確立すると、無線端末3aと無線基地局15bとの間で無線通信によるデータの送受信が可能となる(ステップS308)。無線端末3aの利用者は、無線基地局15bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0106】
無線基地局15bの接続処理部70aは、無線端末3aとの接続が確立すると、その情報を負荷・AP情報管理部71に与える。負荷・AP情報管理部71はこれを受信すると、負荷・AP情報管理テーブル75の内容を更新する。具体的には、負荷・AP情報管理テーブル75に登録された自局の接続台数の値に1を加算する。
【0107】
また、無線基地局15bに無線端末3aが接続されたことにより、無線基地局15bの負荷が変化した場合(例えば無線基地局15bの通信量が増加した場合)、その情報は無線基地局情報として他の無線基地局に送信される。他の無線基地局(例えば無線基地局15a)は、無線基地局情報を受信した場合、自局の負荷・AP情報管理テーブル75の内容を更新し、その結果、自局の方が低負荷だと判断すれば、自局が接続対象の無線基地局になるべきだと判断し、ステルス機能を無効にする。一方、無線基地局15bは、自局の負荷・AP情報管理テーブルの内容を更新したことにより、自局よりも低い負荷の無線基地局が他にあると判断すると、ステルス機能を有効にし、無線端末に対して自局の存在を隠蔽する。これにより、新たに無線LANシステムに接続しようとする無線端末(例えば無線端末3b)は、無線基地局15aを検出し、それと接続することになるのである。
【0108】
本発明の第2の実施形態によれば、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散する無線LANシステムにおいて、無線基地局自身が他の無線基地局と負荷情報の交換を行い、自局の負荷情報と他の無線基地局の負荷情報を参照した上で、自局が接続対象の無線基地局になるかどうかを主体的に判断するので、管理装置のない無線LANシステムにおいても、特定の無線基地局に接続が集中するという問題を解決することができる。
【0109】
(第3の実施形態)
次に本発明における第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、無線端末ごとに優先順位を用意しておき、接続対象とすべき無線基地局を選択する場合、優先順位を選択基準の1つとする。
【0110】
図13は、第3の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【0111】
複数の無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)は、カテゴリによって区分されている。管理装置、複数の無線基地局、複数の無線端末には、同一のSSIDが設定されている。
【0112】
無線基地局のハードウェア構成例は図2と同様であり、管理装置のハードウェア構成例は図5と同様である。
【0113】
無線基地局のソフトウェア構成例は図3と同様である。しかし、負荷情報管理テーブルの内容が一部異なる。図14は、第3の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0114】
第1の実施形態の場合と異なるのは、接続台数/接続可能台数132のうち「接続可能台数」の項目と、「カテゴリ」135の項目である。例えば、図14では、無線基地局の接続可能台数は「2」とされているが、これは、無線基地局の仕様上の最大接続台数ではなく、管理者が意図的に制限した数である。つまり、一例として、当該無線基地局の仕様上の最大接続台数は「6」であるが、管理者が意図的に接続可能台数を「2」に制限しているのである。このように、接続できる無線端末の数を実際の仕様よりも少なくすることで、接続する無線端末の利用者に対して快適な環境を提供することができる。
【0115】
そして、第3の実施形態においては、複数の無線基地局を幾つかのカテゴリで区分している。一例として、カテゴリ「A」と設定される無線基地局は、接続可能台数が一番低く設定されており、最も快適な環境を提供できる無線基地局である。「B」は、「A」の次に良好な環境を提供できる無線基地局であり、接続可能台数が仕様上の最大接続台数よりも少し低く設定されている。「C」は、接続可能台数を制限していない無線基地局である。ここでは、接続可能台数と仕様上の最大接続台数の値が同一である。従って、最大接続台数まで無線端末が接続された場合、通信環境によっては、ネットワークの通信速度が低下することもある。なお、図14では、カテゴリ「A」と設定されているので、このテーブルを持つ無線基地局は、快適な環境を提供できる無線基地局であると分かる。
【0116】
負荷情報管理テーブルに登録される「接続可能台数」と「カテゴリ」の項目は、システムの管理者によってあらかじめ登録されるものである。管理者は、無線基地局のユーザインタフェース(図示せず)からこれらの項目を入力してもよいし、ネットワーク上の管理コンピュータ(図示せず)から無線基地局にアクセスして、これらの項目を入力してもよい。
【0117】
図15は、第3の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【0118】
代理応答部80と無線端末情報管理テーブル86がある点が第1の実施形態と異なる。また、無線基地局情報管理テーブル85の内容が第1の実施形態とは一部異なる。
【0119】
代理応答部80は、(1)無線端末に対してProbe Responseを応答する、(2)無線の接続チャンネルを変更する、という2つの処理を行う。なお、第3の実施形態における代理応答部は、Beaconを送信しない。
【0120】
図16は、第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0121】
無線基地局は、負荷情報管理テーブルに含まれる情報を無線基地局情報としてまとめ、管理装置に送信するのであるが、第3の実施形態の場合、負荷情報管理テーブルの中に「接続可能台数」と「カテゴリ」の情報が含まれているので、これらの情報も無線基地局情報に含めて管理装置に送信される。図16に示すように、第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルには、個々の無線基地局の「接続可能台数」と「カテゴリ」の情報が登録されている。
【0122】
図17は、無線端末情報管理テーブルの一例を示す図である。
【0123】
Index150は、各エントリを示す識別情報である。無線端末情報151は、無線端末を一意に特定する識別情報であり、無線端末のMACアドレスが登録されている。優先順位152は、無線端末の優先順位を表す情報であり、ここでは一例として、3つのレベルで示す。「1」の優先順位が最も高く、一番良い通信環境を提供できる無線基地局に接続できる。ここではカテゴリ「A」を持つ無線基地局がそれに該当する。その次は、「2」であり、カテゴリ「B」を持つ無線基地局に接続できる。最後が「3」であり、カテゴリ「C」を持つ無線基地局に接続できる。
【0124】
無線端末情報管理テーブルに登録される「無線端末情報」と「優先順位」の項目は、システムの管理者によってあらかじめ登録されるものである。管理者は、管理装置のユーザインタフェース(図示せず)からこれらの項目を入力してもよいし、ネットワーク上の管理コンピュータ(図示せず)から管理装置にアクセスして、これらの項目を入力してもよい。
【0125】
次に、図13、図14、図15、図16、図17、図18を用いて、本発明の第3の実施形態における無線LANシステムの動作を説明する。図17は、第3の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。図13の無線端末3aが接続を行う場合を例に説明する。
【0126】
無線LANシステム20の管理者は、管理装置22と複数の無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)に同一のSSIDを設定する。そして、無線端末3aの利用者も、上記と同じSSIDを無線端末3aに設定する。
【0127】
また、無線LANシステム20の管理者は、複数の無線基地局の負荷情報管理テーブルに登録される「接続可能台数」と「カテゴリ」の項目を設定し(ステップS500)、また管理装置の無線端末情報管理テーブルに登録される「無線端末情報」と「優先順位」の項目を設定しておく(ステップS501)。
【0128】
電源投入等により各無線基地局(無線基地局25a、無線基地局25b、無線基地局25c)の動作が開始すると、各無線基地局は、(1)SSIDを含まないBeaconを周期的に送信する、(2)ProbeResponseの応答は行わない、(3)自局の負荷情報を無線基地局情報として管理装置に送信する、という処理を行う。これらの処理は第1の実施形態の場合と同様である。
【0129】
管理装置22は、無線基地局情報の受信を待っている。無線基地局情報を受信すると、都度、その内容を無線基地局情報管理テーブルに登録する(ステップS502)。
【0130】
以下、無線基地局情報管理テーブルおよび無線端末情報管理テーブルには、図16および図17の内容が登録されたものとして説明する。図16において、Index「1」が無線基地局25a、Index「2」が無線基地局25b、Index「3」が無線基地局25cの情報とする。また、図17において、Index「1」が無線端末3a、Index「2」が無線端末3b、Index「3」が無線端末3cの情報とする。
【0131】
無線端末3aは、Probe Requestを送信する。
【0132】
管理装置22の代理応答部80は、無線端末からProbe Requestを受信するのを待っている。Probe Requestを受信すると(ステップS504)、そこに含まれるSSIDが管理装置22のSSIDと一致するかどうかを判断する。一致する場合には、代理応答部80は、ProbeRequestに含まれる送信元MACアドレスを無線基地局選択部81に与える。この場合、無線端末3aがProbe Requestを送信しているので、無線端末3aのMACアドレスが無線基地局選択部81に与えられる。
【0133】
管理装置22の無線基地局選択部81は、送信元MACアドレスが与えられると、それに基づき無線端末情報管理テーブル86の無線端末情報を検索し、一致するエントリを特定する。この場合、無線端末3aからのProbeRequestなので、無線端末3aのエントリ(Index「1」)が特定される。すると、無線端末3aの優先順位は「1」であると分かる。無線基地局選択部81は、優先順位を基に、接続対象とすべき無線基地局を選択する。この場合、優先順位が「1」なので、カテゴリ「A」の無線基地局が接続対象の無線基地局となる。
【0134】
図14の場合、カテゴリで「A」が設定されているのは、Index「2」に登録された無線基地局25bなので、無線端末3aと接続させるべきは、無線基地局25bであると判断する。なお、「A」が設定されている無線基地局が複数あった場合、それらの中から負荷が一番低いものを選択すればよい。
【0135】
無線基地局選択部81は無線基地局25bが選択されたので、無線基地局情報管理テーブル85にある無線基地局25bの情報を代理応答部80へ与える。
【0136】
代理応答部80は、与えられた無線基地局の情報に従って、管理装置22の設定を変更する。この場合、無線基地局25bのチャンネルは「5」であるので、管理装置22の無線チャンネルを「5」に設定する。また、与えられた「BSSID」が、「xx:yy:zz:aa:bb:cc」であるので、ProbeResponseのBSSIDとして上記の値を使用する。代理応答部80は、無線チャンネル「5」の周波数にて、無線端末3aに対して、ProbeResponseの応答を行う(ステップS506)。
【0137】
これにより、無線端末3aは、無線基地局25bの存在を検出し、無線基地局25bと接続処理を行うことができる。接続処理(認証処理およびアソシエーション処理)の手順は第1の実施形態の場合と同様である。接続処理が完了すると、無線端末3aの利用者は、無線基地局25bを経由してインターネット等のネットワークを利用することができる。
【0138】
ここで、無線基地局選択部81の判断について、別の例を用いて説明する。
【0139】
一例として、Probe Requestを送信した無線端末の優先順位が「3」であった場合、上位カテゴリの無線基地局(カテゴリ「A」および「B」が設定されている無線基地局)の接続可能台数に空きがあったとしても、カテゴリ「C」が設定されている無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0140】
また、一例として、Probe Requestを送信した無線端末のMACアドレスが、無線端末情報管理テーブルに登録されていない場合、下位のカテゴリが設定されている無線基地局(ここではカテゴリ「C」が該当する)の中から、負荷の低い無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0141】
また、一例として、Probe Requestを送信した無線端末の優先順位が「1」であった場合、カテゴリ「A」の無線基地局を接続対象とすべきであるが、当該無線基地局は既に接続可能台数に達していた場合、次順位の無線基地局(この場合はカテゴリ「B」)の中から、負荷の低い無線基地局を選択し、それと接続させる。
【0142】
なお、上記の説明では、無線基地局のカテゴリを「A」「B」「C」の3つで区分したが、カテゴリの区分の種類・指定方法は任意である。また、同じように、無線端末の優先順位を「1」から「3」までの数値で示したが、優先順位の種類・指定方法は任意である。
【0143】
本発明の第3の実施形態によれば、管理装置は、接続すべき無線基地局を選択する際に、無線端末の優先順位と無線基地局のカテゴリを考慮に入れるので、優先順位の高い無線端末は、管理者によって意図的に負荷が抑えられるように設定された無線基地局に接続することができる。これにより、特定の無線端末に対して、良い通信環境を提供することができる。
【0144】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、様々に変形が可能である。例えば、上記各実施形態において、管理装置と複数の無線基地局とは有線LANで接続されていたが、無線LANで接続されていても良い。
【0145】
また、上記各実施形態において、特定の無線基地局の負荷が増大した場合、その無線基地局に接続している無線端末に対して、無線基地局もしくは管理装置がDeauthパケットを送信することで強制的に無線基地局との通信を切断させることができる。この場合、再度、接続処理を行わせることで、無線端末が無線LANシステムに接続した後も負荷の分散を行うことができる。
【0146】
また、上記各実施形態において、無線端末にも管理装置や無線基地局と同一のSSIDを設定したが、無線LANシステムがAny指定の接続を許可する場合には、無線端末にSSIDを設定する必要はない。この場合、第1および第3の実施形態においては、管理装置がAny指定のProbeRequestを受信した場合、無線基地局選択部によって選択した無線基地局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Requestを送信すればよい。また、第2の実施形態においては、ステルス機能が無効になっているときに、無線基地局がAny指定のProbeRequestを受信した場合、自局のSSIDとBSSIDを含んだProbe Requestを送信すればよい。
【0147】
また、第1および第3の実施形態の場合、複数のRF端子をもつ無線基地局に管理装置の機能を実装することで、単一のハードウェアで運用することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、フリースポット等、複数の無線基地局を設置し複数の無線端末からの接続を分散化する無線LANシステムを利用する環境において、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】第1の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1乃至第3の実施形態における無線基地局のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】第1および第3の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【図4】第1および第2の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】第1乃至第3の実施形態における管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図7】第1の実施形態における無線基地局情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【図9】第2の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図10】第2の実施形態における無線基地局のソフトウェア構成例を示す図である。
【図11】第2の実施形態における負荷・AP情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【図13】第3の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
【図14】第3の実施形態における負荷情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における管理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図16】第3の実施形態における無線基地局情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図17】第3の実施形態における無線端末情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図18】第3の実施形態における無線LANシステムの動作を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
1 無線LANシステム
2 管理装置
3a、3b、3c 無線端末
4 有線LAN
5a、5b、5c 無線基地局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末を複数の無線基地局のいずれかに接続させる方法であって、
前記複数の無線基地局の情報を任意のタイミングで取得し集約管理する第1のステップと、
前記複数の無線基地局の情報を参照して、接続対象とすべき指定無線基地局を選択する第2のステップと、
前記指定無線基地局を前記無線端末に検出させる第3のステップと、
を含み、少なくとも前記指定無線基地局が選択されるまでの間、前記複数の無線基地局は、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記情報は、前記複数の無線基地局の負荷情報を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1乃至第3のステップは、前記複数の無線基地局を管理する管理装置により実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の無線基地局は、前記指定無線基地局が選択された後であっても、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2のステップは、
前記複数の無線基地局が、自局の情報および他の無線基地局の情報を参照して、自局が指定無線基地局になるか否かを選択するステップであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記第3のステップは、
前記指定無線基地局が、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することを特徴とする請求項1、2および5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2のステップにおいて、
前記無線端末に関連づけられた優先順位情報と前記無線基地局に関連づけられた区分情報を参照して、指定無線基地局を選択することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、
報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記管理装置は、
前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、
前記無線基地局情報管理テーブルを参照し、前記複数の無線基地局の中から前記無線端末の接続対象とすべき指定無線基地局を選択する無線基地局選択手段と、
前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理報知応答手段とを備えることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項9】
無線端末と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局以外の無線基地局から受信した無線基地局情報を負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶するとともに、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を当該負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶し、当該自局の負荷情報を含む無線基地局情報を他の無線基地局に送信する負荷・無線基地局情報管理手段と、
前記負荷・無線基地局情報管理テーブルを参照し、自局が前記無線端末の接続対象となるべきか否かを判断する無線基地局動作管理手段と、
前記無線基地局動作管理手段により自局が接続対象となるべきであると判断した場合、存在隠蔽機能を無効にする存在隠蔽機能切替手段と、
報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記報知応答手段は、前記存在隠蔽機能が有効の場合、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことにより、自局の存在を前記無線端末に対して隠蔽するとともに、前記存在隠蔽機能が無効の場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することにより、前記無線端末に対して自局の存在を検出させることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項10】
無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、
報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記管理装置は、
前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、
無線基地局選択手段と、
前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線基地局選択手段によって選択された指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理応答手段とを備え、
前記無線基地局選択手段は、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線端末に設定された優先順位情報と、無線基地局ごとに設定された区分情報とに基づき、前記複数の無線基地局の中から接続対象とすべき指定無線基地局を選択することを特徴とする無線LANシステム。
【請求項1】
無線端末を複数の無線基地局のいずれかに接続させる方法であって、
前記複数の無線基地局の情報を任意のタイミングで取得し集約管理する第1のステップと、
前記複数の無線基地局の情報を参照して、接続対象とすべき指定無線基地局を選択する第2のステップと、
前記指定無線基地局を前記無線端末に検出させる第3のステップと、
を含み、少なくとも前記指定無線基地局が選択されるまでの間、前記複数の無線基地局は、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記情報は、前記複数の無線基地局の負荷情報を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1乃至第3のステップは、前記複数の無線基地局を管理する管理装置により実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の無線基地局は、前記指定無線基地局が選択された後であっても、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2のステップは、
前記複数の無線基地局が、自局の情報および他の無線基地局の情報を参照して、自局が指定無線基地局になるか否かを選択するステップであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記第3のステップは、
前記指定無線基地局が、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することを特徴とする請求項1、2および5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2のステップにおいて、
前記無線端末に関連づけられた優先順位情報と前記無線基地局に関連づけられた区分情報を参照して、指定無線基地局を選択することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、
報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記管理装置は、
前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、
前記無線基地局情報管理テーブルを参照し、前記複数の無線基地局の中から前記無線端末の接続対象とすべき指定無線基地局を選択する無線基地局選択手段と、
前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理報知応答手段とを備えることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項9】
無線端末と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局以外の無線基地局から受信した無線基地局情報を負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶するとともに、自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を当該負荷・無線基地局情報管理テーブルに記憶し、当該自局の負荷情報を含む無線基地局情報を他の無線基地局に送信する負荷・無線基地局情報管理手段と、
前記負荷・無線基地局情報管理テーブルを参照し、自局が前記無線端末の接続対象となるべきか否かを判断する無線基地局動作管理手段と、
前記無線基地局動作管理手段により自局が接続対象となるべきであると判断した場合、存在隠蔽機能を無効にする存在隠蔽機能切替手段と、
報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記報知応答手段は、前記存在隠蔽機能が有効の場合、報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しないことにより、自局の存在を前記無線端末に対して隠蔽するとともに、前記存在隠蔽機能が無効の場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む報知情報を送信するとともに、前記無線端末から探索要求を受信した場合、自局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信することにより、前記無線端末に対して自局の存在を検出させることを特徴とする無線LANシステム。
【請求項10】
無線端末と管理装置と複数の無線基地局とを含む無線LANシステムであって、前記管理装置と前記複数の無線基地局には同一のネットワーク識別子が設定されており、
前記複数の無線基地局は、
自局の負荷状況を監視し、当該監視から得られた自局の負荷情報を負荷情報管理テーブルに記憶するとともに、当該負荷情報を含む無線基地局情報を前記管理装置に送信する負荷情報管理手段と、
報知情報にネットワーク識別子を含めず、かつ、前記無線端末から探索要求を受信した場合であっても当該探索要求に対する探索応答を送信しない制限付報知応答手段と、
前記無線端末から接続要求を受信した場合、前記無線端末との接続処理を行う接続処理手段とを備え、
前記管理装置は、
前記複数の無線基地局から前記無線基地局情報を受信し、その内容を無線基地局情報管理テーブルに記憶する無線基地局情報管理手段と、
無線基地局選択手段と、
前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線基地局選択手段によって選択された指定無線基地局のネットワーク識別子と機器識別子を含む探索応答を送信する代理応答手段とを備え、
前記無線基地局選択手段は、前記無線端末から探索要求を受信した場合、前記無線端末に設定された優先順位情報と、無線基地局ごとに設定された区分情報とに基づき、前記複数の無線基地局の中から接続対象とすべき指定無線基地局を選択することを特徴とする無線LANシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図5】
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【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−141535(P2009−141535A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314161(P2007−314161)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(500112146)サイレックス・テクノロジー株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(500112146)サイレックス・テクノロジー株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
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