説明

焼却炉

【解決手段】被焼却物が供給される一次燃焼室5を設けた燃焼箱1と、一次燃焼室5でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室15を一次燃焼室5に連通するように設けた火炎筒7と、一次燃焼室5で火炎筒7に連結されて助燃焼室15に連通する二次燃焼室31を設けた輻射筒8と、輻射筒8に連結されて二次燃焼室31に連通する排気室36を設けた排気筒9とを備えている。燃焼箱1には一次燃焼室5にエアを供給するエア供給口23aを設けている。輻射筒8で二次燃焼室31の温度を検出する温度センサ30と、エア供給量調節手段でエア供給口23aから一次燃焼室5に供給されるエアの量を調節する開閉弁と、火炎筒7で火炎を生じさせるバーナー17と、温度センサ30からの信号に基づき開閉弁の開度を調節するとともにバーナー17を着火または消火させるコントローラとを備えている。
【効果】乾留ガスの温度設定を容易にして完全燃焼を促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導燃焼式ガス化焼却炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この誘導燃焼式ガス化焼却炉においては、被焼却物が供給される一次燃焼室を設けた燃焼箱と、この一次燃焼室でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室を一次燃焼室に連通するように設けた火炎筒と、この一次燃焼室でこの火炎筒に連結されて助燃焼室に連通する二次燃焼室を設けた輻射筒と、この輻射筒に連結されて二次燃焼室に連通する排気室を設けた排気筒とを備え、輻射筒からの輻射熱により燃焼箱の一次燃焼室内で被焼却物が燃焼されてガス化及び炭化され、その際に発生する乾留ガスが火炎筒内の助燃焼室を経て輻射筒の二次燃焼室内に流れて完全燃焼され、さらに飛灰が輻射筒の二次燃焼室から排気筒の排気室に流れる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃焼箱内の一次燃焼室で被焼却物を輻射筒からの輻射熱により燃焼させる際に発生する乾留ガスを確実に完全燃焼させるには、輻射筒の二次燃焼室内での乾留ガスの温度設定が重要である。
【0004】
この発明は、乾留ガスの温度設定を容易にして完全燃焼を促進させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜6)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる焼却炉は下記のように構成されている。
この焼却炉は、被焼却物が供給される一次燃焼室5を設けた燃焼箱1と、この一次燃焼室5でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室15を一次燃焼室5に連通するように設けた火炎筒7と、この一次燃焼室5でこの火炎筒7に連結されて助燃焼室15に連通する二次燃焼室31を設けた輻射筒8と、この輻射筒8に連結されて二次燃焼室31に連通する排気室36を設けた排気筒9とを備えている。前記一次燃焼室5にエアを供給するエア供給口23aを燃焼箱1に設け、このエア供給口23aから一次燃焼室5に供給されるエアの量を調節するエア供給量調節手段25を備えている。
【0006】
請求項1の発明では、火炎筒7内の助燃焼室15に供給されるエア以外に、一次燃焼室5にもエアを供給することができるので、燃焼箱1内の一次燃焼室5で被焼却物を輻射筒8からの輻射熱により燃焼させる際に発生する乾留ガスの温度設定をエア供給口23aからのエア量に応じて容易に行うことができ、ひいてはその乾留ガスが流入される輻射筒8内の二次燃焼室31の温度設定も容易に行うことができる。また、一次燃焼室5に供給するエアの量を調節することができるので、それらの温度設定の変更も容易に行うことができる。
【0007】
請求項2の発明にかかる焼却炉は下記のように構成されている。
この焼却炉は、被焼却物が供給される一次燃焼室5を設けた燃焼箱1と、この一次燃焼室5でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室15を一次燃焼室5に連通するように設けた火炎筒7と、この一次燃焼室5でこの火炎筒7に連結されて助燃焼室15に連通する二次燃焼室31を設けた輻射筒8と、この輻射筒8に連結されて二次燃焼室31に連通する排気室36を設けた排気筒9とを備えている。前記火炎筒7の外周で一次燃焼室5にエアを供給する複数のエア供給口23aを燃焼箱1に対し周方向へ並べて配設している。
【0008】
請求項2の発明では、火炎筒7内の助燃焼室15に供給されるエア以外に、火炎筒7の外周の一次燃焼室5にもエアを供給することができるので、燃焼箱1内の一次燃焼室5で被焼却物を輻射筒8からの輻射熱により燃焼させる際に発生する乾留ガスの温度設定をエア供給口23aからのエア量に応じて容易に行うことができ、ひいてはその乾留ガスが流入される輻射筒8内の二次燃焼室31の温度設定も容易に行うことができる。また、複数のエア供給口23aを周方向へ並べて配設しているので、火炎筒7の外周の一次燃焼室5にエアを平均的に供給することができる。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記各エア供給口23aは、燃焼箱1の外周で周方向へ巻いた口管23に配設されている。請求項3の発明では、各エア供給口23aを設けるエア供給構造を簡単にすることができる。
【0010】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明においては、前記口管23に接続したエア供給量調節管22にエア供給量調節手段25を設けている。請求項4の発明では、一次燃焼室5に供給するエアの量を調節することができるので、燃焼箱1内の一次燃焼室5における乾留ガスの温度設定や輻射筒8内の二次燃焼室31の温度設定の変更も容易に行うことができる。
【0011】
請求項4の発明を前提とする請求項5の発明において、前記エア供給量調節管22は、ブロア19により火炎筒7の助燃焼室15にエアを供給する誘空気管20から分岐されている。請求項5の発明では、ブロア19を兼用してエア供給構造を簡単にすることができる。
【0012】
請求項1または請求項4または請求項5の発明を前提とする請求項6の発明においては、前記輻射筒8で二次燃焼室31の温度を検出する温度センサ30と、前記エア供給量調節手段25でエアの量を調節する調節弁26,27,28と、前記火炎筒7で火炎を生じさせるバーナー17とを備え、この温度センサ30からの信号に基づき、この調節弁26,27,28の開度を調節するとともにこのバーナー17を着火または消火させる制御手段43を備えている。請求項6の発明では、この温度センサ30からの信号に基づく制御により、輻射筒8内の二次燃焼室31の温度設定を容易に行うことができる。なお、このエア供給量調節手段25としては、請求項8の発明以外に、各エア供給口23aに調節弁を設けてもよい。
【0013】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記制御手段43は下記の第一段階処理と第二段階処理と第三段階処理とを行う。この第一段階処理では、タイマー40により設定された第一段階の所定処理時間範囲内で、温度センサ30からの信号に基づき、調節弁としての開閉弁26,27,28を開動または閉動するとともにバーナー17を着火または消火して、輻射筒8における二次燃焼室31の温度を第一段階の所定温度範囲内に維持する。この第一段階処理の終了後に、タイマー41により設定された第二段階の所定処理時間範囲内で、温度センサ30からの信号に基づき、調節弁としての開閉弁26,27,28を開動または閉動するとともにバーナー17を着火または消火して、輻射筒8における二次燃焼室31の温度を第一段階の所定温度範囲よりも低い第二段階の所定温度範囲内に維持する。この第二段階処理の終了後に、温度センサ30からの信号に基づき、輻射筒8における二次燃焼室31の温度が第二段階の所定温度範囲よりも低い所定温度以下であると判断した場合、タイマー42により設定された第三段階の所定処理時間範囲内で、タイマー48,49によりバーナー17を着火または消火する。請求項7の発明では、人手の掛からない自燃現象により、焼却の自動化を促進することができる。
【0014】
請求項1または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7の発明を前提とする請求項8の発明にかかるエア供給量調節手段25においては、複数のエア通路管22a,22b,22c,22dを互いに並列接続し、その各エア通路管22a,22b,22c,22dのうち少なくとも一つのエア通路管22b,22c,22dに調節弁としての開閉弁26,27,28を設け、この開閉弁26,27,28の開閉動に伴いエアの量を調節する。請求項8の発明では、開状態にする開閉弁26,27,28の数を増やすと、エア通路の有効断面積が増えて各エア供給口23aから一次燃焼室5に供給されるエアの量も増加する。そのため、エア供給口23aの数と比較して開閉弁26,27,28の数を少なくしてエア供給構造を簡単にすることができる。
【0015】
請求項1から請求項8のうちいずれかの請求項の発明を前提とする第9の発明において、前記排気筒9は輻射筒8に連結された案内筒32とこの案内筒32に連結された飛灰集積筒33とを備え、この排気筒9の案内筒32及び飛灰集積筒33における排気室36の有効断面積をこの輻射筒8における二次燃焼室31の有効断面積よりも大きくするとともに、この排気筒9の飛灰集積筒33における排気室36の有効断面積をこの排気筒9の案内筒32における排気室36の有効断面積よりも大きくした。また、第9の発明を前提とする第10の発明において、前記排気筒9の案内筒32は輻射筒8と排気筒9の飛灰集積筒33との間で順次連結した複数段の中間筒34,35を備え、この各中間筒34,35における排気室36の有効断面積は輻射筒8から排気筒9の飛灰集積筒33に至るほど大きくなっている。第9〜10の発明では、乾留ガスが輻射筒8の二次燃焼室31から排気筒9の排気室36に逃げる速度を抑えて二次燃焼室31における乾留ガスの滞留時間を長くすることができる。
【0016】
第9の発明または第10の発明を前提とする第11の発明においては、前記排気筒9の飛灰集積筒33に連通する飛灰貯留筒39を備えている。第11の発明では、飛灰を排気筒9から飛灰貯留筒39に回収することができる。
【0017】
第11の発明を前提とする第12の発明において、前記飛灰貯留筒39は排気筒9に対し着脱可能に設けられている。第12の発明では、飛灰貯留筒39に回収された飛灰を燃焼箱1内の一次燃焼室5に戻して再処理することができる。
【0018】
請求項1から請求項8のうちいずれかの請求項の発明、または第9の発明または第10の発明または第11の発明または第12の発明を前提とする第13の発明において、前記燃焼箱1は一次燃焼室5に被焼却物を供給する供給口10に搬送装置12を備え、この搬送装置12は、回転軸13の外周に複数の回転羽根14を回転方向13aへ並設してその供給口10を各回転羽根14により遮断した状態で各回転羽根14により被焼却物を供給口10から一次燃焼室5に搬送する。第13の発明では、燃焼箱1内の一次燃焼室5で被焼却物の燃焼中に新たな被焼却物を供給口10から一次燃焼室5に供給しても、一次燃焼室5内の温度が低下しにくくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、乾留ガスの温度設定を容易にして完全燃焼を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる焼却炉について図1〜6を参照して説明する。
この焼却炉においては、図1に示すように、配管室6の上方で底壁2と周壁3と天壁4とで囲まれた一次燃焼室5を有する燃焼箱1と、この一次燃焼室5内でこの底壁2上の中央部に立設された火炎筒7と、この一次燃焼室5内でこの火炎筒7上に連結されてこの天壁4まで延設された輻射筒8と、この輻射筒8上に連結されてこの天壁4上から上方へ延設された排気筒9とを備えている。
【0021】
前記燃焼箱1において、周壁3の前側上部には一次燃焼室5に被焼却物を供給する供給口10が設けられ、周壁3の後側上部には開閉可能な窓11が設けられている。この供給口10内には搬送装置12が設けられている。この搬送装置12においては、回転軸13の外周に複数の回転羽根14が回転方向13aへ並設され、その供給口10の内周面に各回転羽根14の先端部が摺接して供給口10が遮断された状態で各回転羽根14により被焼却物が供給口10から一次燃焼室5に搬送される。
【0022】
前記火炎筒7において、その内部には助燃焼室15が設けられ、その外周部にはこの助燃焼室15を一次燃焼室5に連通する火格子16が設けられている。この火炎筒7内の助燃焼室15にはバーナー17に接続された誘炎管18とブロア19に接続された誘空気管20とが配管室6内を通して底壁2から導入されている。この誘炎管18の上端部に設けられた集炎管18aは助燃焼室15の上下方向中央部で上方へ開放されている。この誘空気管20はこの誘炎管18内を通ってこの集炎管18a内の中央部から上方へ前記輻射筒8の下端部まで延び、この誘空気管20の上端部には拡開口20aが設けられている。
【0023】
図2に示すように、前記誘空気管20には第1手動開閉弁21が取り付けられ、この第1手動開閉弁21と前記ブロア19との間にエア供給量調節管22が接続されている。そのエア供給量調節管22に接続された口管23は、前記燃焼箱1において底壁2から上方へ少し離間した高さで周壁3の外周面に沿って周方向へ円弧状に延びている。その口管23には複数(例えば8個)のエア供給口23aが直列的に接続されて前記火炎筒7の外周で燃焼箱1の周壁3に取着され、火炎筒7の下端部の高さで誘空気管20の付近に向けて一次燃焼室5にエアを供給するように設けられている。このエア供給量調節管22には口管23と前記ブロア19との間に第2手動開閉弁24が取り付けられている。この第2手動開閉弁24と口管23との間にはエア供給量調節手段25が設けられている。このエア供給量調節手段25においては、第1エア通路管22aから第2エア通路管22bが分岐されて第1電磁開閉弁26(調節弁)を介してこの第1エア通路管22aに戻り、この第1電磁開閉弁26よりも上流側でこの第2エア通路管22bから第3エア通路管22cが分岐されて第2電磁開閉弁27(調節弁)を介してこの第1エア通路管22aに戻り、この第2電磁開閉弁27よりも上流側でこの第3エア通路管22cから第4エア通路管22dが分岐されて第3電磁開閉弁28(調節弁)を介してこの第1エア通路管22aに戻る。すなわち、第1エア通路管22aと第2エア通路管22bと第3エア通路管22cと第4エア通路管22dとが互いに並列接続され、その各エア通路管22a,22b,22c,22dのうち第2エア通路管22bと第3エア通路管22cと第4エア通路管22dとにそれぞれ電磁開閉弁26,27,28が設けられている。各電磁開閉弁26,27,28よりも上流側で各エア通路管22a,22b,22c,22dを互いに接続する構成や、各電磁開閉弁26,27,28よりも下流側で各エア通路管22a,22b,22c,22dを互いに接続する構成については、適宜変更してもよい。ちなみに、各エア通路管22a,22b,22c,22dについては、それらの内径を互いに同一にしたり異にしたりしてもよい。
【0024】
前記輻射筒8において、前記火炎筒7の上端部よりも少し上方位置には上方へ広がる拡開筒部29が設けられ、この拡開筒部29の上端部付近に温度センサ30が取り付けられている。この輻射筒8内では火炎筒7内の助燃焼室15に連通する二次燃焼室31が燃焼箱1の天壁4まで上方へ延びている。
【0025】
前記排気筒9は前記輻射筒8の上端部に連結された案内筒32とこの案内筒32の上端部に連結された飛灰集積筒33とを備えている。この飛灰集積筒33の外周部には網33aが張られている。この案内筒32は輻射筒8の上端部と飛灰集積筒33の下端部との間で順次連結された複数段(例えば二段)の中間筒34,35を備えている。この排気筒9内では前記輻射筒8内の二次燃焼室31に連通する排気室36が燃焼箱1の天壁4から上方へ延びている。この飛灰集積筒33の底部には案内筒32との間で排気室36を仕切る網状の区画板33bが設けられている。この案内筒32の各中間筒34,35及び飛灰集積筒33における排気室36の有効断面積は前記輻射筒8における二次燃焼室31の有効断面積よりも大きくなっている。この各中間筒34,35のうち上側の中間筒35における排気室36の有効断面積は下側の中間筒34における排気室36の有効断面積よりも大きくなっている。この飛灰集積筒33における排気室36の有効断面積はこの各中間筒34,35における排気室36の有効断面積よりも大きくなっている。この排気筒9において、下側の中間筒34の外側には載置台37が設けられているとともに、上側の中間筒35の外側には螺旋状の排出路38が前記飛灰集積筒33内の区画板33bから載置台37まで設けられている。この載置台37には飛灰貯留筒39が着脱可能に載せられて排出路38に連通する。
【0026】
図3に示すように、前記バーナー17とブロア19とエア供給量調節手段25の各電磁開閉弁26,27,28とは、温度センサ30と第1メインタイマー40と第2メインタイマー41と第3メインタイマー42とからの信号に基づき、コントローラ43(制御手段)により駆動制御される。このコントローラ43には第1サブタイマー44と第2サブタイマー45と第3サブタイマー46と第4サブタイマー47と第5サブタイマー48と第6サブタイマー49とが内蔵されている。
【0027】
次に、このような焼却炉を利用して被焼却物を自動的に燃焼させる焼却制御の一例を
図4〜6を参照して詳述する。
* 第一段階処理(図4参照)
被焼却物を供給口10から回転式搬送装置12を通して燃焼箱1の一次燃焼室5に投入する。前記誘空気管20の第1手動開閉弁21とエア供給量調節管22の第2手動開閉弁24とを手動により適宜開度に設定した後、ブロア19を稼動させる。自動モードボタン(図示せず)を選定した後にスタートボタン(図示せず)を押すと、焼却炉が自動的に起動し、エア供給量調節手段25の各電磁開閉弁26,27,28がすべて閉状態になり、ステップS1においてバーナー17が着火される。バーナー17からの炎は、誘炎管18を通って集炎管18aから輻射筒8の二次燃焼室31に向けて火炎筒7内の助燃焼室15で吹き上がる。ブロア19からのエアは、誘空気管20の拡開口20aから広がって流出し、バーナー17からの炎に供給される。第一段階の所定処理時間範囲(例えば1時間)は起動前に予め設定された第1メインタイマー40により管理される。
【0028】
ステップS2において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃を超えたと判断されると、ステップS3においてエア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26が開状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量が増加する。第1電磁開閉弁26の開状態時間(例えば5分)は第1サブタイマー44により自動的に管理される。ステップS4において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃を超えたと判断されるか、またはステップS5において第1電磁開閉弁26の開状態時間(例えば5分)が経過して第1サブタイマー44がタイムアップしたと判断されると、ステップS6においてバーナー17が消火されるとともに、エア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26が閉状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量が減少する。
【0029】
その後、ステップS7において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃未満になったと判断されると、ステップS8においてエア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26が再び開状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量が増加する。さらに、ステップS9において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃未満になったと判断されると、ステップS10においてバーナー17が着火される。
【0030】
一方、ステップS1におけるバーナー17の着火後に第2サブタイマー45がステップS11において所定時間(例えば30分)を経過してタイムアップした後に、ステップS12において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃未満になったと判断されると、ステップS13においてエア供給量調節手段25の第2電磁開閉弁27が開状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量がより一層増加する。さらに、ステップS14において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃未満になったと判断されると、ステップS10においてバーナー17が着火される。
【0031】
バーナー17の着火時間(例えば5分)は第3サブタイマー46により自動的に管理される。ステップS15において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃を超えたと判断されるか、またはステップS16においてバーナー17の着火時間(例えば5分)が経過して第3サブタイマー46がタイムアップしたと判断されると、ステップS17においてステップS1におけるバーナー17の着火後に第1メインタイマー40が第一段階の所定処理時間範囲(例えば1時間)を経過してタイムアップしたか否かを判断する。タイムアップしていないと判断した場合には、ステップS6に戻り、再び、バーナー17が消火されるとともに、エア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26が閉状態となる。タイムアップしたと判断した場合には、次の第二段階処理に移る。
【0032】
この第一段階処理では、輻射筒8の二次燃焼室31内の温度が、第一段階の所定処理時間範囲(例えば1時間)で、第一段階の所定温度範囲として800〜900℃程度に維持される。
【0033】
* 第二段階処理(図5参照)
第一段階処理でステップS1におけるバーナー17の着火後にステップS17において第1メインタイマー40が第一段階の所定処理時間範囲(例えば1時間)を経過してタイムアップしたと判断した場合には、ステップS18において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃を超えていないと判断されると、ステップS19においてエア供給量調節手段25の第3電磁開閉弁28が開状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量がより一層増加する。第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)は起動前に予め設定された第2メインタイマー41により管理される。ステップS20において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃を超えたと判断されると、ステップS21においてバーナー17が消火される。その後、ステップS22において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が700℃未満になったと判断されると、ステップS23においてバーナー17が着火される。バーナー17の着火時間(例えば2分)は第4サブタイマー47により自動的に管理される。ステップS24において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃を超えたと判断されるか、またはステップS25においてバーナー17の着火時間(例えば2分)が経過して第4サブタイマー47がタイムアップしたと判断されると、ステップS26においてバーナー17が消火される。ステップS27においては、ステップS19で第3電磁開閉弁28が開状態となった後に第2メインタイマー41が第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)を経過してタイムアップしたか否かを判断する。タイムアップしていないと判断した場合には、ステップS22に戻る。タイムアップしたと判断した場合には、次の第三段階処理に移る。
【0034】
一方、ステップS18において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃を超えたと判断されると、ステップS28においてバーナー17が消火されるとともにエア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26及び第2電磁開閉弁27がいずれも閉状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量が減少する。その後、ステップS29において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が900℃未満になったと判断されると、ステップS30においてエア供給量調節手段25の第1電磁開閉弁26と第2電磁開閉弁27と第3電磁開閉弁28とがいずれも開状態となり、各エア供給口23aから燃焼箱1の一次燃焼室5に供給されるエアの量がより一層増加する。その後、ステップS31において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が800℃を超えたと判断されると、前記ステップS22に移る。その後、ステップS22からステップS22〜26を経てステップS27に移るが、ステップS27においては、ステップS30で第3電磁開閉弁28が開状態となった後に第2メインタイマー41が第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)を経過してタイムアップしたか否かを判断する。タイムアップしていないと判断した場合には、ステップS22に戻る。タイムアップしたと判断した場合には、次の第三段階処理に移る。
【0035】
この第二段階処理では、輻射筒8の二次燃焼室31内の温度が、第一段階の所定処理時間範囲(例えば1時間)よりも短い第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)で、第一段階の所定温度範囲よりも低い第二段階の所定温度範囲として700〜800℃程度に維持される。
【0036】
* 第三段階処理(図6参照)
第二段階処理でステップS19において第3電磁開閉弁28が開状態となった後に第2メインタイマー41がステップS27において第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)を経過してタイムアップしたと判断した場合には、ステップS32においてブロア19からのエア供給量が増加する。そのため、火炎筒7の助燃焼室15や輻射筒8の二次燃焼室31が攪拌されて飛灰等が燃焼され易くなる。その後、ステップS33において輻射筒8の二次燃焼室31で温度センサ30による検出温度が600℃未満になったか否かを判断する。600℃未満になった場合、ステップS34においてバーナー17が着火される。第三段階の所定処理時間範囲(例えば15分)は起動前に予め設定された第3メインタイマー42により管理される。ステップS35においてバーナー17の着火時間(例えば1分)が経過して第5サブタイマー48がタイムアップしたと判断されると、ステップS36においてバーナー17が消火される。ステップS37においてバーナー17の消火時間(例えば2分)が経過して第6サブタイマー49がタイムアップしたと判断されると、ステップS38において第3メインタイマー42が第三段階の所定処理時間範囲(例えば15分)を経過してタイムアップしたか否かを判断する。タイムアップしていないと判断した場合には、ステップS34に戻り、再び、バーナー17が着火される。タイムアップしたと判断した場合には、ステップS39において手動モードに切り替わる。その手動モードでは補充的な後処理が行われる。
【0037】
この第三段階処理では、輻射筒8の二次燃焼室31内の温度が第二段階の所定処理時間範囲(例えば30分)よりも短い第三段階の所定処理時間範囲(例えば15分)で、第二段階の所定温度範囲よりも低い第三段階の所定温度範囲として600〜700℃程度に維持される。
【0038】
このようにして第一段階処理と第二段階処理と第三段階処理とを順次経る間に、所定処理時間範囲が次第に短くなるとともに所定温度範囲が次第に低くなる時間差予約燃焼方式による焼却が行われ、輻射筒8からの輻射熱により、燃焼箱1の一次燃焼室5内で被焼却物が燃焼されてガス化及び炭化される。その際に発生する乾留ガスは、一次燃焼室5から火格子16を通り、火炎筒7内の助燃焼室15を経て輻射筒8の二次燃焼室31内に流れ、完全燃焼される。さらに、輻射筒8の二次燃焼室31から排気筒9の排気室36に流れた飛灰は、飛灰集積筒33から排出路38を通って飛灰貯留筒39に集められる。その飛灰貯留筒39を排気筒9から取り外し、燃焼箱1で飛灰を窓11から一次燃焼室5に戻して再処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態にかかる焼却炉を示す縦断面図である。
【図2】(a)は本実施形態にかかる焼却炉を示す部分横断面図であり、(b)はエア供給回路図である。
【図3】概略的電気ブロック回路図である。
【図4】フローチャートである。
【図5】フローチャートである。
【図6】フローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1…燃焼箱、5…一次燃焼室、7…火炎筒、8…輻射筒、9…排気筒、15…助燃焼室、17…バーナー、19…ブロア、20…誘空気管、22…エア供給量調節管、22a,22b,22c,22d…エア通路管、23…口管、23a…エア供給口、25…エア供給量調節手段、26,27,28…調節弁としての電磁開閉弁、30…温度センサ、31…二次燃焼室、36…排気室、40,41,42…メインタイマー、43…制御手段としてのコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物が供給される一次燃焼室を設けた燃焼箱と、この一次燃焼室でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室を一次燃焼室に連通するように設けた火炎筒と、この一次燃焼室でこの火炎筒に連結されて助燃焼室に連通する二次燃焼室を設けた輻射筒と、この輻射筒に連結されて二次燃焼室に連通する排気室を設けた排気筒とを備えた焼却炉において、前記一次燃焼室にエアを供給するエア供給口を燃焼箱に設け、このエア供給口から一次燃焼室に供給されるエアの量を調節するエア供給量調節手段を備えたことを特徴とする焼却炉。
【請求項2】
被焼却物が供給される一次燃焼室を設けた燃焼箱と、この一次燃焼室でエアの供給に伴い火炎を生じさせる助燃焼室を一次燃焼室に連通するように設けた火炎筒と、この一次燃焼室でこの火炎筒に連結されて助燃焼室に連通する二次燃焼室を設けた輻射筒と、この輻射筒に連結されて二次燃焼室に連通する排気室を設けた排気筒とを備えた焼却炉において、前記火炎筒の外周で一次燃焼室にエアを供給する複数のエア供給口を燃焼箱に対し周方向へ並べて配設したことを特徴とする焼却炉。
【請求項3】
前記各エア供給口は、燃焼箱の外周で周方向へ巻いた口管に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の焼却炉。
【請求項4】
前記口管に接続したエア供給量調節管にエア供給量調節手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の焼却炉。
【請求項5】
前記エア供給量調節管は、ブロアにより火炎筒の助燃焼室にエアを供給する誘空気管から分岐されていることを特徴とする請求項4に記載の焼却炉。
【請求項6】
請求項1または請求項4または請求項5に記載の焼却炉において、前記輻射筒で二次燃焼室の温度を検出する温度センサと、前記エア供給量調節手段でエアの量を調節する調節弁と、前記火炎筒で火炎を生じさせるバーナーとを備え、この温度センサからの信号に基づき、この調節弁の開度を調節するとともにこのバーナーを着火または消火させる制御手段を備えたことを特徴とする焼却炉。
【請求項7】
前記制御手段は、
タイマーにより設定された第一段階の所定処理時間範囲内で、温度センサからの信号に基づき、調節弁としての開閉弁を開動または閉動するとともにバーナーを着火または消火して、輻射筒における二次燃焼室の温度を第一段階の所定温度範囲内に維持する第一段階処理と、
この第一段階処理の終了後に、タイマーにより設定された第二段階の所定処理時間範囲内で、温度センサからの信号に基づき、調節弁としての開閉弁を開動または閉動するとともにバーナーを着火または消火して、輻射筒における二次燃焼室の温度を第一段階の所定温度範囲よりも低い第二段階の所定温度範囲内に維持する第二段階処理と、
この第二段階処理の終了後に、温度センサからの信号に基づき、輻射筒における二次燃焼室の温度が第二段階の所定温度範囲よりも低い所定温度以下であると判断した場合、タイマーにより設定された第三段階の所定処理時間範囲内で、タイマーによりバーナーを着火または消火する第三段階処理と
を行うことを特徴とする請求項6に記載の焼却炉。
【請求項8】
前記エア供給量調節手段においては、複数のエア通路管を互いに並列接続し、その各エア通路管のうち少なくとも一つのエア通路管に調節弁としての開閉弁を設け、この開閉弁の開閉動に伴いエアの量を調節することを特徴とする請求項1または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7に記載の焼却炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−3124(P2007−3124A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185045(P2005−185045)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(392028848)クマクラ工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】