説明

焼物器

【課題】 熱源部の油汚れを防止し、食材の焼味の良い電気式焼き鳥器を提供をする。
【解決手段】 熱源部20のヒータ線にFeCrAlを使い、その表面をアルミナの酸化皮膜を形成することで、熱源部6の発熱効率を高めている。ヒータ線は石英管の内部に設けているため、油汚れを防止し、耐久性が向上する。油トレイ4には水を貯えるており、熱源からの放射熱で水を効率的に蒸発させ、水蒸気が熱源部6の側面を通過する構成となっているため、水蒸気が再加熱され食材に効率的に吸収されるため、食材の味を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラス管に内臓された発熱体により、食材を下方から過熱して焼き上げる下火式の焼物器に関する。特には、油汚れを抑えてメンテナンスが容易で、食材の焼味を向上した焼物器に関する。
【背景技術】
【0002】
下火式の焼物器は焼き鳥や魚を焼くものとして多用されている。この熱源としては、炭火やガスが主流であった。このうち備長炭に代表される炭火は焼調理に適した遠赤外線が得られ、熱量も多いため焼き上がりが良い。しかし、炭火の管理が難しく一定の火力を保つには長年の経験が必要となっている。
【0003】
近年、熱源として、電気も多用されるようになり、炭素質発熱体やニクロム線ヒータのものがある。これらのうち、FeCrAlによるヒータ線を用いたものは、短時間での加熱が可能で焼き味の良い焼物器を構成できる。
【0004】
特許文献1には、カーボンヒータを熱源にした焼物器が開示されている。油汚れを少なくするために、熱源の上部には透明な耐熱カバーを配置し加熱を迅速に行うために、熱源の下部には反射板を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2009−213595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1の焼物器では、熱源の下部に反射板を備えて、熱効率を改善しているが、一方では熱源の上部に耐熱カバーをそなえているため、熱効率が低下している。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、熱源の上部に汚れ防止用の耐熱カバーを用いることなく、効率的な加熱と同時に汚れ防止を行える焼物器を提供することを目的としている。また、食材に高温の水蒸気を吸収させることにより、食材の焼味を向上させることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の焼物器は、焼調理される食材が載置される外ケースと、概ケースの下部に配置されたヒータ保持台の上部に配置された熱源部と、油を受ける油トレイを備える焼物器であって、熱源部は、材質がFeCrAlによるヒータ線材の表面にアルミナの酸化膜を形成したヒータ線と汚れ防止のための石英ガラス管を有し、油トレイには、油を排出するための油排出パイプを有し、油トレイの下部の台の上面部に設けた水量検知センサーおよび過温検知センサーを有することを特徴としている。
【0008】
このような構成の焼物器によれば、食材からは油が滴下するが、石英ガラス管が高熱に熱せられるため、滴下する油は石英ガラス管の表面に付着することなく、石英ガラス管の表面を伝って油トレイに滴下することになるため、石英ガラス管の汚染が防止できる。また、油トレイには水が張ってあり、水は熱源部からの熱を吸収して水蒸気となって、外部カバーに載せられた食材と触れ合うことになる。このとき、水蒸気は熱源部の側部を通過するため、高温の水蒸気として食材と触れ合うことになる。
【0009】
このような構成の焼物器によれば、油トレイの上面に溜まった油を排出することが可能で、水蒸気の蒸発を継続的に行うことが可能である。
【0010】
このような構成の焼物器によれば、水量検知センサーで水量の低下を検知することができ、給水をうながすことが可能である。
【0011】
このような構成の焼物器によれば、過温検知センサーで水量の極度の低下を検知することができ、外部カバーの異常な温度上昇を防止することが可能である。
【0012】
このような構成の焼物器によれば、ヒータ保持台の外側面と外カバーの間には空間があり、下部からの冷気が進入してくることにより、外部カバーの温度上昇を軽減できるため、やけどを防止することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油汚れを抑えてメンタナンス性を向上できるとよもに、焼味の良い焼物器を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 図1(A)、(B)、(C)は本発明の実施形態に係る焼物器1の全体構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図2】 図1の熱源部を示す図である。
【図3】 図1の油トレイ部を示す図である。
【図4】 図1の水量検知センサーと過温検知センサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、焼物器1の全体構成を説明する。この焼物器1は以下の主要部品を備えている。
(1)外ケース2:焼調理される食材が載置される部材であり、板金により矩形状に成されて焼物器の外ケースの役目を果たしている。
(2)ヒータ保持台3:8基の熱源部6を保持するために矩形状に形成されており、熱源部6を固定するためのものである。上部には丸い穴を16個設け、熱源部6をこの穴に挿入することで、熱源部6を固定している。図2に示すように、熱源部6は、FeCrAlの材料からなるヒータ線11とヒータ線を保護するための石英ガラス管12で構成されている。
【0016】
(3)油トレイ4:板金により箱状に形成されており、内部に水を貯えることができる。油トレイ4の上部は開放されており、滴下する油を受ける構成となっている。図3に示すように、油トレイ4には、油排出パイプ21が備えてあり、油を外部に排出する構成となっている。排出された油及び水は受容器7に貯えられる。
(4)台5:板金により箱状に形成されており、ヒータ保持台3は、台5に固定されている。台5の上面には水量検知センサー40と過温検知センサー41が固定されている。台5の内部には図示していないが、電気部品が備えられている。
【0017】
このような構成の焼物器によれば、ヒータ保持台3の外側面と外ケース2の間には空間があり、下部からの冷気が進入してくる。このことにより、外部カバーの温度上昇を軽減でき、外ケース2に手を触れた場合でもやけどをすることが防げる。
【実施例】
【0018】
以下、各部の詳細を説明する。外ケース2は、例えばステンレス板金製の直方体であって、図1(A)に示すように本体上面8は長方形に形成されている。その概中央に長方形の開口9を有する。この開口部9の上に食材を載置する。
【0019】
図1(B)に示すように、外ケース2の下部には、ヒータ保持台3が固定されて配置されている。ヒータ保持台3の上部には、円形の穴が対向する側板に8組設けられており、この穴に図2に示す熱源部6を8組挿入することで熱源部6をヒータ保持台3に固定している。
【0020】
図1(B)に示すように、ヒータ保持台の底面には、油トレイ4が載置されている。油トレイ4には、食材を調理する前に、十分な水を補給しておくものとする。熱源部6が加熱されると、熱源部6からの放射熱で外ケース2に載置した食材が加熱されるとともに、油トレイ4の内部の水も加熱される。油トレイ4には、図3に示すように油排出パイプ21が配置されている。
【0021】
熱源部20の加熱が進行すると、食材の加熱が進行し、食材の表面から油が出てくる。この油の一部は、油トレイ4上に滴下するが、一部は熱源部6にも滴下することになる。ところが、熱源部6は加熱され高温になっているため、熱源部6に滴下した油は熱源部6に付着することがなく、油トレイ4に落下することになる。
【0022】
熱源部6からの放射熱で、油トレイ4の内部の水は加熱され、水蒸気となって上昇する。上昇した水蒸気は、熱源部6の側面を通過する際に加熱され、高温の水蒸気となってその一部が食材に吸収されることになる。このことにより、食材の表面がこげるのが防止できるとともに、食材を内部から加熱することを助ける役目を果たすことになり、食材の焼味が良くなる。
【0023】
図2に示すように、油トレイには取手22が備えられており、焼物器は引き出せる構成となっている。油トレイに補給する水は、油排出パイプ21の上面に開口部を備えているため、適量に保たれる。
【0024】
図4に示すように、台5の上面部には水量検知センサー40が設けられており、油トレイ4の水量が一定量以下になることを検知する。水量が少なくなると、台5の上面部の温度が上昇することをサーモスタットで検知し、LEDを点灯させることで、油トレイに水を補給すること知らせる役目を果たす。水を補給することで、油トレイ4に貯まった油も油排出パイプ21を通して外部に排出される。油トレイ4には、適量の水が貯えられることになり、熱源部6で放射加熱されることで、水蒸気の発生も継続されることになる。
【0025】
図4に示すように、台5の上面部には過温検知センサー41が設けられており、水量検知センサーの故障により、油トレイ4に水が補給されない場合に、台5の上面部が高温になることをサーモスタットで検知して、熱源部6に供給される電源を遮断することで、事故を防止する役目を果たす。
【0026】
ヒータ保持台3の外側面と外ケース2の間には空間があるため、外カバー2の下部から冷気が進入してくることにより、外部カバーの温度上昇を軽減できる。このことにより、外部カバーの温度上昇を軽減でき、外ケース2に手を触れた場合でもやけどをすることが防げる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の電気焼き鳥器は、上記のような焼き鳥の調理だけでなく、他の食材の過熱調理にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0027】
1・・・焼物器本体、2・・・外ケース、3・・・ヒータ保持台、4・・・油トレイ、5・・・台、6・・・熱源部、7・・・受容器、8・・・外ケース上面、9・・・外ケース開口、11・・・ヒータ線、12・・・石英ガラス管、21・・・油排出パイプ、22・・・取手、40・・・水量検知センサー、41・・・過温検知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼調理される食材を載せる外部ケースと、概ケースの下部に配置されたヒータ保持台と、油を受ける油トレイを備える焼物器であって、ヒータ保持台が、FeCrAlからなるヒータ線及びヒータ線を内部に含む石英ガラス管を備えることを特徴とする焼物器。
【請求項2】
前記ヒータ線の表面に、酸化膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の焼物器。
【請求項3】
前記油トレイが、油排出パイプを有することを特徴とする請求項1に記載の焼物器。
【請求項4】
前記ヒータ保持台の下面部に、水量検知センサーを有することを特徴とする請求項1に記載の焼物器。
【請求項5】
前記ヒータ保持台の下面部に、過温検知センサーを有することを特徴とする請求項1に記載の焼物器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35018(P2012−35018A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184429(P2010−184429)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(504268308)ヤルカーセラミックス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】