説明

焼結材料、焼結接合部並びに焼結接合部の製造方法

本発明は、金属製の、有機被覆が設けられた構造粒子を有する焼結材料に関する。本発明によれば、有機被覆されていない金属製の及び/又はセラミック製の、焼結プロセスに際してガスを発生しない補助粒子(7)が設けられていることを予定している。更に、本発明は、焼結接合部(1)並びに焼結接合部(1)の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、2つの接合相手を互いに焼結するための焼結材料、請求項9の前提部分による、焼結接合並びに請求項12の前提部分による、焼結接合の製造方法に関する。
【0002】
電子素子を他の接合相手と接合するために、目下、無鉛のハンダ接合部が先行技術である。同様に、高い電力損失を伴いかつ高い周囲温度下での使用のためには、銀焼結技術を使用することが知られている。それは、例えばDE4315272号A1に記載されているものなどである。固体粒子の形態における高融点の金属又は金属合金の使用によって、焼結接合プロセスにおいて液相は回避される。従って、高温安定であり、電気的及び熱的な接触が保証され、かつ同時に使用される銀焼結ペーストの溶融のための高い接合温度を回避する焼結接合部を製造することができる。
【0003】
公知の銀焼結法は高いプロセス圧力で作業するので、この圧力を下げようと努力がなされている。このための1つの解決策は、非常に小さい構造粒子を使用することであり、それにより高められた表面エネルギーは焼結のための推進力として使用される。それどころか構造粒子は、ナノメートル領域で使用される。金属製の、蝋様に被覆された構造粒子の他に、公知の焼結ペーストは、一般に、焼結ペーストのペースト状の特性を保証するためになおも有機溶剤を有する。選択的に、しばしば付加的になおも他の化学的な化合物又は有機充填剤が存在する。
【0004】
ますます小さい金属製の構造粒子が使用され、それは、焼結ペースト中の有機成分の割合を一層高め、その一方で金属含有率が低下する。有機成分は、個々の構造粒子の焼結をもたらすために、接合プロセス(焼結プロセス)の間に除去されねばならないので、一層高い割合の有機分を気化もしくは燃焼させねばならない。このことは、焼結層から除去すべきガス量が非常に多いことに導く。これは、接合層(焼結層)中に細孔の形成をもたらす。これらの細孔は、所定量までは一様な分布が形成される限りは好ましいことがある。より高い有機分の場合には、とりわけ中間領域においては、焼結層中に残る大きな気泡が形成される。焼結層は電気的及び機械的な接触の他に熱伝導性による除熱も保証されねばならないので、特に焼結層によって電力半導体を他の接合相手と接合させる場合に、この気泡は、極端な場合にそれどころか層厚の寸法に至り、それは欠点である。
【0005】
例えばEP0330895号B1に記載される焼結法で使用せねばならない高いプロセス圧力は、単軸で又は等静圧で加えることができる。費用のかかる等静圧法の場合に、接合部位は、焼結ペーストの横方向への絞り出しを回避するために、例えばシリコーン材料で圧力衝撃の間に取り囲まれていなければならない。単軸の圧力衝撃の場合には接合力は限られている。それというのも、焼結ペーストは、取り囲まれることなく絞り出されうるからである。焼結ペーストの加工性と、塗布された、特に印刷された焼結ペーストの形状保持性とは、直接的に相反するものである。高い有機分によって、焼結ペーストの粘度、ひいては塗布性、特に印刷性は保証される。同時に、この粘性の特性は、必要な接合圧では好ましくない。それというのも、該焼結ペーストは初期状態ではさらに均展しうるからである。
【0006】
発明の概要
本発明の基礎を成す課題は、焼結プロセス時のガス形成を低減できる焼結材料を示すことである。好ましくは、該焼結材料は、接合相手の圧力衝撃に際して焼結材料の側方への絞り出しも少なくとも十分に回避されるように構成されるべきである。更に、本発明の課題は、焼結層中に大きな気泡が存在しない、最適化された焼結接合部を示すことにある。特に好ましくは、前記焼結接合部は、高いプロセス圧力でも、焼結材料を取り囲みを設けねばならないという必要性なくして製造できることが望ましい。更に、本発明の課題は、焼結接合部の製造方法であって、該方法によって焼結プロセスの間に焼結層における極端なガス形成が回避されるべき製造方法を示すことにある。好ましくは、前記方法は、焼結ペーストを圧力衝撃の前に取り囲まねばならないという必要性なくして、少なくとも2つの接合相手を焼結材料によって焼結することを可能にするべきである。
【0007】
前記課題は、請求項1の特徴部を有する焼結材料に関して、請求項9の特徴部を有する焼結接合部に関して、そして請求項12の特徴部を有する方法に関して解決される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。本発明の範囲には、発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び/又は図面に開示される少なくとも2つの特徴からなる全ての組み合わせが含まれる。繰り返しを避けるために、方法により開示される特徴は、装置により開示されたものとみなし、特許請求の範囲に記載されているべきである。同様に、装置により開示された特徴は、方法により開示されたものとみなし、特許請求の範囲に記載されているべきである。
【0008】
好ましい焼結材料の形成に関して、本発明は、金属製の、有機被覆が設けられた構造粒子、特に銅粒子、銀粒子及び/又は金粒子の他に補助粒子を予定し、その際、前記補助粒子が、金属製の及び/又はセラミック製の粒子であり、前記粒子は、前記構造粒子とは異なり有機被覆されておらず、従って焼結時のガスの発生が回避されるという思想に基づくものである。使用目的に応じて、前記補助粒子は、例えば微細粒子として、造粒物として、又は粉末と造粒物との混合物として使用することができる。上述の補助粒子を焼結材料中に導入することによって、焼結材料の有機分が低減され、それによって所望の細孔サイズの狙い通りの制御が可能となる。類似の効果は、後にさらに説明される、本発明の技術思想により構成される焼結接合部の場合に、前記補助粒子が少なくとも2つの接合相手の間の接合部位の範囲で予定されることによって達成されることがあり、その際に、前記補助粒子はこの場合に事前に焼結材料中に必ず導入される必要はなく、また接合部中にもしくは少なくとも一方の接合相手へと直接的に導入/塗布することも可能である。焼結材料のために使用される補助粒子は、単独種である必要はない。それはまた金属製の及びセラミック製の粒子からなる混合物であっても、又は種々の金属製の及び/又はセラミック製の粒子の混合物であってもよい。既に説明したように、焼結材料中の有機成分の割合は、前記の補助粒子を予定することによって低減され、こうしてより少ないガス量がペースト容量から除去されるはずである。そのことは、より少ない細孔割合もしくは大きい容積を有する細孔の低減をもたらし、従って製造される焼結接合部の改善された除熱がもたらされる。更に、前記補助粒子によって、焼結材料の熱膨張係数の変化を達成できる。これは、接合相手と焼結材料との接合の温度変化安定性に対して利点をもたらす。特に好ましくは、熱膨張挙動の低下は、セラミック製の補助粒子の使用によりもたらされる。それというのも、焼結層(接合層)は、前記のように接合される半導体エレメントの熱膨張係数に適合できるからである。更に、既に記載したように構成された補助粒子を焼結材料中に及び/又は接合相手の少なくとも一方上に直接的に設けることによって、焼結間隔の狙い通りの調整が可能となる。この使用目的のためには、補助粒子の粒度は、構造粒子の粒度を好ましくは数倍だけ上回る。粒度の選択と補助粒子の割合によって、接合相手の間の最小の距離を予め設定できる。ここで、必要な接合圧力にもかかわらず、接合相手の間の最小の間隔幅が保証される。それというのも、1層以上の補助粒子の層は、接合相手の更なる圧縮を妨げるからである。これによって、特に印刷された構造のより高い形状正確性がもたらされる。これによって、補助粒子を有する焼結材料の絞り出しを制御もしくは最小化することができる。焼結材料の押出しは、望ましくない場合には短絡をもたらすことがある。
【0009】
好ましくは、焼結材料は、焼結ペースト、殊に好ましくは銀焼結ペーストであり、その際、更に、該焼結ペーストが、ペースト状の特性の保証のための有機溶剤を含む場合に好ましい。選択的な一実施形態によれば、焼結材料は、また、粉末混合物であってよい。同様に、焼結材料が、焼結材料予備成形体(プリフォーム)として、従って既に成形体として形成されている一実施形態を実現できる。
【0010】
好ましくは、本発明の技術思想により構成された焼結材料は、電気素子への電気接続を製造せねばならない製品で使用される。特に、今まで使用されているハンダ接合部は、本発明の技術思想により構成された焼結材料によって製造された焼結接合部によって置き換えることができる。前記焼結材料によって製造される焼結接合部は、高温で及び/又は高い電力損失を有する素子で使用することができる。本発明により構成される焼結材料によって、今まで生じている寿命制限を克服することができる。そのことは、特に補助粒子を間隔保持体(Abstandhalter)として構成した場合に可能である。それというのも、定義された間隙を、高いプロセス圧力にもかかわらず保持できるからである。使用分野のための例は、電気的パワーステアリングのパワーアウトプット、ユニバーサルインバータのパワーアウトプット、コントロールユニット、特にスタータ及び/又はジェネレータでのコントロールユニット、ジェネレータシールドでの注入型ダイオード、高温安定性半導体、例えば炭化ケイ素又はセンサであって、高温で運転されかつセンサ近隣の評価電子回路を必要とするセンサである。また、半導体ダイオードでの使用も可能である。また、前記焼結材料は、インバータ用のモジュール、特に光起電装置のインバータ用のモジュールで使用可能である。
【0011】
前記の補助粒子に基づき、低い細孔含有率に調節でき、かつ好適な熱膨張係数を実現できるので、得られる焼結接合部のより高い使用温度を実現できる。
【0012】
細孔の最小化に基づいて、目下ガス抜きの問題により制限されている接合面を高めることもできる。これによって、最適な熱伝導特性を達成することができる。
【0013】
本発明の実施形態において、使用される補助粒子は、その溶融温度が焼結プロセス温度よりも高く、かつ前記補助粒子の溶融が焼結プロセスにおいて回避されるという点で優れている。殊に、補助粒子の溶融温度が、使用される構造粒子のそれよりも高いことが好ましい。特に好ましくは、焼結プロセスで使用される温度は、300℃未満、好ましくは250℃未満、殊に好ましくは100℃未満である。工業的に望ましいことは、使用されるプロセス圧力がゼロであることだが、これはほとんど実現できない。好ましくは、前記プロセス圧力は、最大で40MPaであり、好ましくは15MPa未満、更に好ましくは10MPa未満又は6MPa未満、又は3MPa未満、又は1MPa未満、又は0.5MPa未満である。
【0014】
補助粒子が、これが焼結プロセスの間に構造粒子と焼結するように構成されている場合に特に適切である。このためには、補助粒子は、例えば焼結可能な表面を有してよく、前記表面は、例えば好適な被覆によって実現することができる。また、補助粒子を、これが構造粒子中へと拡散するように選択することも可能である。
【0015】
特に好ましいのは、補助粒子がセラミック製の及び/又は金属製の粒子である場合である。補助粒子を予定する場合には、これを被覆すること、特に金属で被覆すること、好ましくは金属で及び/又は貴金属で又はニッケルで、殊に好ましくはリン割合を有するニッケルで被覆することが好ましいことがある。これによって、焼結材料中での補助粒子の付着性を改善することができる。補助粒子として金属粒子を使用する場合に、該粒子は、構造粒子と同じ材料から構成されていてよい(しかし有機被覆を有さない)。確かに熱膨張挙動の変化は結果的に起こらないが、焼結プロセス時に生ずるガスの容量は低下する。これにより、より緻密な焼結層がもたらされる。
【0016】
構造粒子の構成に関して、同様に種々の可能性が存在する。殊に、構造粒子が銀粒子である一実施形態が好ましい。付加的に又は代替的に、銅粒子、銀粒子又はパラジウム粒子として構成された構造粒子を予定することができる。また、上述の粒子からなる混合物を構造粒子として使用することも可能である。付加的に又は代替的に、構造粒子を、好ましくは上述の金属の少なくとも1種を含む合金から構成することが可能である。
【0017】
セラミック製の粒子を補助粒子として使用する場合に、補助粒子の熱伝導性が保証されるべきである。従って、ここでは特に、酸化アルミニウム(ドーピングされていてもよい)、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム及び窒化ケイ素などの材料が適している。セラミック製の補助粒子の導電性を低下させないために、例えば炭化ホウ素又は炭化ケイ素などの導電性のセラミックも使用できる。
【0018】
その際に、補助粒子が規定の幾何学形状を有する成形体として構成されている一実施形態が特に好ましい。ここで、例えば、補助粒子は、球形、直方体形、円柱形などの輪郭を有してもよい。これは、例えば薄板から補助粒子を打ち抜くことによって達成でき、その際、この場合に、薄板もしくは成形体が被覆を備え、補助粒子と構造粒子との焼結が可能であることが特に好ましいが、その際、前記被覆は、焼結プロセスに際して付加的にガス体積を生じないために、決して有機的性質であってはならない。また、不規則な輪郭を有する補助粒子を間隔保持体として使用することも可能である。特に、補助粒子が、構造粒子よりも本質的により大きい、特に数倍だけより大きい粒度を有することが好ましい。殊に好ましくは、補助粒子は、同時に、互いに接合される両方の接合相手が接触し、従って間隙幅を直接的に定義する大きさで選択される。
【0019】
本発明は、また、接合領域で互いに焼結されている少なくとも2つの接合相手を含む焼結接合部に関する。前記焼結接合部は、前記の発明の詳細な説明と特許請求の範囲などにおいて焼結材料について記載された補助粒子が接合領域に設けられており、それをもって一方で過度のガス生成を有機分の低減に基づき回避でき、かつ相応の粒度で接合間隙の調整のための間隔保持機能を果たすという点で優れている。
【0020】
間隙保持体として補助粒子を構成した場合については、補助粒子が、構造粒子より大きい、好ましくは数倍だけより大きい粒度を有することが好ましい。特に好ましい一実施形態においては、前記補助粒子は、同時に両方の接合相手と接触する。
【0021】
互いに接合される少なくとも2つの接合相手の実施形態に関して、種々の可能性が存在する。ここで、接合相手の少なくとも一方は、例えば電子素子として、特に半導体素子として、好ましくは電力半導体素子として構成されていてよい。その際、前記素子が、ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、リン化ガリウム又はヒ化ガリウムを含むことが特に好ましい。更に、かかる素子が電気回路板と1層の焼結層で接続されることが好ましい。また、回路板、特に取り付けられた回路板及び基板及び/又はケーシングを1層の焼結層によって焼結させることも可能である。また、素子、特に電子素子を、2つの、好ましくは互いに反対側の焼結層で、2つの融合相手の間でサンドウィッチ状に組み込むことができ、それらにより素子の電気的接触は上方に及び/又は下方に確保される。接合相手の一方を基板とする構成の場合には、これは、いわゆるDCB基板又はAMB基板又はIMS基板又はPCB基板又はLTCC基板又は標準的セラミック基板として構成されることが好ましい。
【0022】
更に、本発明は、焼結接合部の製造方法に関する。前記接合部は、焼結プロセスで焼結材料を使用して互いに焼結された少なくとも2つの接合相手を含む。前記思想の骨子は、接合領域において、上述の発明の詳細な説明又は特許請求の範囲などに記載された構成される補助粒子を設けることであり、その際、かかる補助粒子が設けられた焼結材料を使用することができ、かつ/又は前記補助粒子を、接合相手の少なくとも一方に接合領域で塗布し、かつ/又は塗布された、特に印刷された焼結材料に塗布するものとして使用することができる。補助粒子を予定する目的は、過剰の気泡形成を有機分の低減によって回避することである。補助粒子の粒度に応じて、これによってまた、接合相手の間の間隔も、すなわち間隙も調整できる。
【0023】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、以下の好ましい実施形態例の記載から図面をもとにもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、2つの接合相手を有する焼結接合部の可能な一実施形態を示す。
【図2】図2は、全体で3つの接合相手と2つの焼結層を有する焼結接合部の代替的な一実施形態を示す。
【図3】図3は、球形の補助粒子が間隔保持体として設けられている代替的な焼結接合部を示す。
【図4】図4は、間隔保持体として用いられる球形の焼結粒子が、非有機被覆の設けられた粒子である代替的な更なる焼結接合部を示す。
【図5】図5は、間隔保持体として用いられる補助粒子が直方体として構成されている焼結接合部の代替的な更なる実施形態の一例を示す。
【図6】図6は、補助粒子が粗粒粉末として構成されている焼結接合部の代替的な更なる実施形態の一例を示す。
【図7】図7は、2つの焼結層を互いに結合する、球形の補助粒子を有する焼結接合部の図を示す。
【0025】
図面において、同じ構成要素及び同じ機能を有する構成要素は、同じ符号で示されている。
【0026】
図1には、焼結接合部1が示されている。この図1は、図平面の上方の第一の接合相手2と下方にある第二の接合相手3とを含む。両方の接合相手2,3は、示されていない焼結材料から製造された焼結層4を介して互いに焼結されている。焼結材料は、焼結プロセスの前に、かつ前記材料から得られる焼結層4は、焼結プロセスの後に、金属製の構造粒子の他に、有機被覆されていない補助粒子を含有する。使用される焼結材料は、選択的に、焼結ペースト、粉末混合物又は焼結成形部材であってよい。前記補助粒子は、有機分の低減のために用いられ、それにより焼結相手の焼結に際してガス形成の低減に役立つ。補助粒子は、本質的に、それが焼結プロセスに対して不活性であること、すなわち焼結プロセスを少なくともほぼ不変に切り抜けるという点で優れている。第一の接合相手2は、例えば電子素子、例えば電力半導体であり、かつ第二の接合相手3は、例えば回路板である。また、第一の接合相手2がプリント回路板であり、かつ第二の接合相手3が基板(ヒートシンク)であることが可能である。
【0027】
図2には、代替的な焼結接合部1が示されている。この図2は、第一の両方の、ここでは外側に配置された接合相手2,3の他に、第三の接合相手5を含み、前記接合相手は、示される実施形態例においては、例えば電子素子である。第一及び第二の接合相手2,3は、好ましくはそれぞれ回路板として又は基板として又はケーシングなどとして構成される。第一の接合相手2と第三の接合相手5との間にも、第三の接合相手5と第二の接合相手3との間にも、それぞれ焼結層4,6が存在し、それらはそれぞれ1つの焼結材料から製造されている。前記の焼結材料は、金属製の又はセラミック製の、有機被覆されていない補助粒子であって、焼結プロセスに際して圧力と温度を適用してもガスを発さない粒子を含有する。
【0028】
図3〜図6において、焼結接合部1であって、それぞれ2つの互いに焼結によって接合された接合相手2,3を含むものが示されている。接合相手2,3の間に存在する焼結層4は、それぞれ、金属製の又はセラミック製の有機被覆されていない、焼結プロセスの間にガスを発さない補助粒子7を含む1つの焼結材料(例えば焼結ペースト、粉末混合物又は焼結成形部材)から製造されている。図3〜図6による実施形態例においては、補助粒子7は、焼結間隔もしくは焼結層4の層厚の間隙の調整のための間隔保持体として用いられる。図示される補助粒子7は、図3〜図6による全体の実施形態例において、明瞭にすることを理由として書き込まれていない焼結層4の構造粒子よりも本質的に大きい粒度を有する。補助粒子7は、本質的に、それが焼結プロセスに対して不活性であること、すなわち焼結プロセスを少なくともほぼ不変に切り抜けるという点で優れている。
【0029】
図3による実施形態例では、補助粒子7は、図4による実施形態例の場合と同様に球形の形態を有するが、補助粒子7が図4による実施形態例では被覆されているという相違点を有する。好ましくは、それは金属で被覆されたセラミック粒子である。
【0030】
図5による実施形態例では、直方体形又は円柱体形の輪郭を有する補助粒子7が設けられており、図6による実施形態例では粗粒の粉末が設けられており、その際、個々の補助粒子7は不規則な輪郭を有している。
【0031】
例えば、図3〜図5に示される補助粒子7では、例えば更に薄板から打ち抜かれた成形体であってもよい。これらの成形体には、例えば図4に示されるように、焼結材料もしくは焼結層の構造粒子に固く接合するために、被覆(表面仕上げ)が設けられていることが好ましい。
【0032】
図7においては、焼結接合部1の他の実施形態例が示されている。互いに焼結によって固く接合される2つの接合相手2,3が確認でき、その際、各接合相手2,3のそれぞれの一方の側に1つの焼結層4,6が構成されており、その際、焼結層4,6は、示される実施形態例においては直接的に接触していないが、比較的大きい寸法の補助粒子7を介して互いに接合されており、その際、前記補助体7は、焼結層4,6の構造粒子に対して焼結付着されている。
【符号の説明】
【0033】
1 焼結接合部、 2,3,5 接合相手、 4,6 焼結層、 7 補助粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機被覆が設けられた金属製の構造粒子と、有機被覆されていない金属製の及び/又はセラミック製の補助粒子(7)とを有する焼結材料であって、前記補助粒子(7)が焼結プロセスに際してガスを放出しない前記焼結材料において、前記補助粒子(7)、特に球形の、直方体形の、円柱形の又は不規則な形状の輪郭を有する、好ましくは成形体として形成された補助粒子(7)が、前記構造粒子よりも大きい粒度を、特に前記構造粒子よりも数倍だけ大きい粒度を有することを特徴とする前記焼結材料。
【請求項2】
焼結ペーストとして、好ましくは少なくとも1種の有機溶剤を含む焼結ペーストとして、又は粉末混合物として、又は焼結材料予備成形体として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の焼結材料。
【請求項3】
補助粒子(7)の溶融温度及び/又は分解温度が、焼結プロセス温度よりも高い、好ましくは構造粒子の溶融温度もしくは分解温度よりも高いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の焼結材料。
【請求項4】
補助粒子(7)は、これが焼結プロセスの間に構造粒子とともに焼結するように、特に焼結可能な表面もしくは被覆を設けることによって及び/又は拡散によって焼結するように構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の焼結材料。
【請求項5】
補助粒子(7)が、金属及び/又はセラミックで被覆されている、特に構造粒子の金属で、又は貴金属で、又はニッケルで、好ましくはリン割合を有するニッケルで被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の焼結材料。
【請求項6】
構造粒子が、銀粒子、銅粒子、金粒子、白金粒子もしくはパラジウム粒子として、又は前記の粒子の混合物として、及び/又は上述の金属の少なくとも1種を有する合金として構成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の焼結材料。
【請求項7】
補助粒子(7)が、タングステン粒子、金粒子、銀粒子、酸化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム粒子、酸化ベリリウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子もしくは炭化ケイ素粒子として、又は上述の粒子の混合物として構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の焼結材料。
【請求項8】
1つの第一の接合相手(2)と少なくとも1つの第二の接合相手(3)とを有する焼結接合部であって、前記接合相手は接合領域で互いに焼結されており、前記接合領域において、金属製の及び/又はセラミック製の、焼結プロセスの前と後で有機被覆されていない補助粒子(7)が設けられており、前記補助粒子は焼結プロセスに際してガスを放出しない前記焼結接合部において、前記補助粒子(7)の粒度は、構造粒子の粒度よりも大きく、好ましくは構造粒子の粒度よりも数倍だけ大きく、好ましくは補助粒子(7)の少なくとも一部が、好ましくは該粒子の半分より多くが、両方の接合相手(2,3)に接触する大きさであることを特徴とする前記焼結接合部。
【請求項9】
第一の及び/又は第二の、好ましくは被覆された、特にニッケル−リンで、銀で及び/又は金で被覆された接合相手(2,3)が、電子素子として、好ましくはケイ素、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ガリウムインジウムホスファイト又はヒ化ガリウム製の電子素子として、又は電気回路板、特に電気プリント回路板として、又はケーシングとして、又は基板として、特にDCB基板、AMB基板、IMS基板、PCB基板、LTCC基板、標準的セラミック基板として構成された基板として構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の焼結接合部。
【請求項10】
焼結接合部(1)、好ましくは請求項8又は9に記載の焼結接合部(1)の製造方法であって、1つの第一の接合相手及び少なくとも1つの第二の接合相手(2,3)を焼結プロセスにおいて圧力及び温度の作用下に焼結材料を使用して互いに焼結させる前記製造方法において、請求項1から7までのいずれか1項に記載の焼結材料を使用すること、及び/又は接合領域で接合相手(2,3,5)の少なくとも1つに、好ましくは焼結材料の塗布の前に、有機被覆されていない金属製の及び/又はセラミック製の、焼結プロセスに際してガスを放出しない補助粒子(7)を設けることを特徴とする前記製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−515266(P2012−515266A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545705(P2011−545705)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050013
【国際公開番号】WO2010/081752
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】