説明

焼鈍炉のハースロール装置

【課題】焼鈍炉内でストリップシート(strip sheet)の移送時に使われるハースロール装置(Hearth Roll Apparatus)が提供される。
【解決手段】本発明の焼鈍炉のハースロール装置は、焼鈍炉の内部にストリップシートを密着移送するよう露出配置されたセラミックチューブと、上記セラミックチューブの一端と結合し、上記セラミックチューブの内部を通して焼鈍炉を貫通するよう伸ばされたロールシャフトと、上記セラミックチューブの他端と結合し、上記ロールシャフトの一部が内部を通過するチューブ固定スリーブ及び、上記ロールシャフトとチューブ固定スリーブに連携設置され上記ロールシャフトをその長さ方向に引っ張る張力を提供する張力発生手段を含み焼鈍炉からストリップシートを移送するよう構成されている。
このような本発明によると、焼鈍炉の内部において高温状態で可動するハースロール装置のロールシャフトが下部に曲がる熱変形ベンディング(creep)が最大に抑制され、これによってハースロールの高速可動を通したストリップシートのラインスピードを増大させることを可能にするより改善された効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼鈍炉例えば、方向性または無方向性の電気鋼板製品を生産する電気鋼板生産工程の焼鈍炉内において、ストリップシート(strip sheet)を移送するのに使われるハースロール装置(Hearth Roll Apparatus)に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は焼鈍炉の内部で高温状態で可動するハースロール装置のロールシャフトが下部に曲がる熱変形ベンディング(例えばクリープ現象(creep))を最大に抑制させることにより、ハースロールの可動性を向上させた焼鈍炉のハースロール装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ストリップシート(鋼板)を焼鈍する過程は、図1及び図2に図示したように、熱延工場、冷延工場、または電気鋼板工場の各圧延機から生産されたストリップシート100を焼鈍炉110の入口側に設置されたペイオフリール(Pay Off Reel)120により解き、焼鈍炉110の出口側に設置されたテンションリール(Tension Reel)130から焼鈍炉を経たストリップシートを巻き戻して進行される。
【0004】
この際、ペイオフリールとテンションリールとの間で一定な張力を有するストリップシート100を焼鈍炉110内で移送させる設備がハースロール140である。
【0005】
例えば、電気鋼板工場において方向性または無方向性の電気鋼板の製品は、上記のような移送作業が連続して繰り返して実施され、焼鈍炉内で熱処理されることにより、製品として生産される。
【0006】
この際、図1の参照符号の112は焼鈍炉壁体で、図2の参照符号のCは図6のように焼鈍炉の壁体の内側面に図2の形態で配置され輻射熱により加熱される補助ヒータコイルである。
【0007】
次に、図3では図1及び図2に概略的に図示した従来の焼鈍炉ハースロールを図示し、図4では上記ハースロールの焼鈍炉の設置状態を部分的に図示している。
【0008】
即ち、図3に図示した従来のハースロール140は例えば、特許文献1に開示されたもので、図1及び図2のように焼鈍炉110の内部でストリップシート100を移送するよう設置可動される。
【0009】
一方、図3に図示した従来のハースロール140は、耐熱性に優れたセラミックチューブ142の内部貫通孔を通してロールシャフト144が組み立てられ、上記セラミックチューブ142の両側に貫通孔を通してロールシャフト144とセラミックチューブ142を固定するチューブ固定スリーブ146がそれぞれ結合される。
【0010】
この際、図3に図示したように、従来のハースロール140において、上記セラミックチューブ142とチューブ固定スリーブ146は第1固定ピン148aにより相互結合される。
【0011】
また、上記ロールシャフト144とチューブ固定スリーブ146は第2固定ピン148bにより相互結合される。
【0012】
図3及び図4に図示したように、従来のハースロール140において、上記ロールシャフト144の両端部にはロールシャフトの回転駆動のためのベアリングブロック148がそれぞれ組み立てられる。
【0013】
この際、図4に図示したように、上記ベアリングブロック148は焼鈍炉壁体112の外郭鉄皮114に固定されたブラケット(未符号)に定着され、従ってロールシャフト144はベアリングブロックを通して回転駆動される。
【0014】
そして、上記ベアリングブロック148の外側に、ロールシャフトの端部を囲うように連結固定されたカバー(未符号)の内側には、別途に図示しない注入管を通して供給されたグリースGが充填されている。
【0015】
このようなグリースGは、水素ガスで満たされて雰囲気ガスを形成する焼鈍炉の内部へ外部空気が流入されることを遮断する役割をする。
【0016】
また、次の本発明のハースロール装置でもこのようなグリースが使われるが、次の図13,14で再度説明する。
【0017】
通常のハースロール140は、複数個が焼鈍炉110の壁体112を貫通して個別駆動する形態で設置されるが、例えば図1に図示したように、動力装置の駆動モータ(未符号)と駆動チェーン(未符号)が連携されて、それぞれのハースロール140はそれぞれ個別軸回転しながらストリップシート100を移送するものである。
【0018】
このようなハースロール140のロールシャフトの一端には、図1及び図3に図示したように、駆動モータで駆動される駆動チェーンが締結されたスプロケット150が組み立てられる。
【0019】
ところが、図1の形態とは異なって現在にはそれぞれのハースロール毎に連動する駆動モータが独立して連結され、それぞれのハースロールが個別可動する形態が一般である。
【0020】
例えば、次に説明するように、図6のように駆動モータの駆動軸(未図示)が連結されるカップリング(S)がロールシャフトに連結され個別駆動される形態で提供されることが出来る。
【0021】
ところが、通常焼鈍炉110を通過するよう設置されるハースロール140は、焼鈍炉の内部がストリップシートの熱処理操業のために1050℃程度の高温状態を維持するため、焼鈍炉から実際可動時には熱的影響を多量に受けることになる。
【0022】
一般にハースロール140のロールシャフト144は、耐熱鋼(例えばSCH24)の素材を用い、その外側に組み立てられるチューブ142はセラミック素材である。
【0023】
従って、焼鈍炉内部において1050℃程度の高温状態でハースロールが可動すると、耐熱鋼から成るロールシャフト144とセラミックから成るチューブ142はそれぞれ熱によるその線膨張係数が異なるため、問題が生じる。
【0024】
例えば、上記ロールシャフト144の線膨張係数がセラミックチューブ142の線膨張係数より約30倍程度大きいことが知られている。
【0025】
従って、ロールシャフトとセラミックチューブを比較すると、ロールシャフトの伸び量がセラミックチューブに比べて著しく大きいため、高温で可動する場合、従来のハースロール140においてセラミックチューブ142よりはロールシャフト144において熱的変形のクリープ(creep)現象がより発生しやすい。
【0026】
従来のハースロール140においてセラミックチューブ142とロールシャフト144との間の伸び量のバラツキによる問題点は下記の通りである。
【0027】
例えば、図3のハースロール140においてセラミックチューブ142は、外径が150mmで、内径が75mmの円筒体のセラミック素材で、ロールシャフト144は外径が74mmの耐熱鋼(例えばSCH24)素材の場合、ハースロールが可動する焼鈍炉の温度(約1050℃)でそれぞれの伸び量を測定すると、ロールシャフト144がセラミックチューブ142より伸び量が約5倍程度大きく測定された。
【0028】
即ち、耐熱性が耐熱鋼より優れるセラミックのチューブよりはロールシャフトの伸び量が大きい。
【0029】
ところが、このようなロールシャフトとセラミックチューブとの間の伸び量の差が発生すると、従来のハースロール140において、セラミックチューブ142とチューブ固定スリーブ146が組み立てられることにより、相互密着した密着部位(図3のX、Y部分)の間で相当の隙間(Gap)が発生することになり、各素材142,144,146間の結合力も緩くする。
【0030】
特に、上記セラミックチューブとチューブ固定スリーブとの間の密着部位(図3のX、Y)から発生した隙間を通して焼鈍炉内部の熱気が流入されると、耐熱鋼素材のロールシャフト144に熱が伝達されロールシャフトでは熱的に変形(反り)されるクリープ現象が発生しやすい。
【0031】
従って、図3のロールシャフト部分において点線で表したように、セラミックチューブ142より伸びているロールシャフト144の中心が下部に垂れることになる。
【0032】
結局、ロールシャフトの中心が下部に垂れると、ロールシャフト144を支持するベアリングブロック148のベアリングインナレースの内側にロールシャフトの荷重が集中して、ロールシャフト144の正常的な同心回転を難しくするという問題が発生した。
【0033】
この場合、従来のハースロール140は深刻な偏心駆動をすることになり、これによる振動が急速に増加することにより、従来のハースロールの場合、大体2週−2ヶ月以上使用すると、正常の可動が難しく焼鈍炉内における正常のストリップシート移送を不可能にするため、ハースロールの頻繁な取替えが必要となった。
【0034】
ところが、このように焼鈍炉で使われるハースロール140は高価の装備であり、一つの工程で大体200セットが必要であることを踏まえると、従来のハースロールのライン運用時に発生するロール取り換え時期の短縮や取り替え作業による費用は相当のものであった。
【0035】
さらに、ハースロールの取り替え時に焼鈍炉の可動も長時間中断されるため、結局ライン全体の生産性を低下させ、正常の生産の流れが切れ鋼板の品質にも悪影響を与える。
【0036】
一方、実際の操業現場ではハースロールのロールシャフトの変形による遠心力の影響、例えば、中心が垂れたハースロールシャフトが回転時にストリップシートを打撃することにより表面に欠陥を発生させるため、シャフト遠心力の影響を減らすために焼鈍炉のラインスピードを低くするようになる。
【0037】
即ち、現在の電気鋼板工程の場合、焼鈍炉からの正常的なラインスピードは160mpm程度であるが、実際には120mpmに低くして可動している。
【0038】
これによって、セラミック素材より素材特性上、伸び率の大きいロールシャフトを引っ張る張力を強制に伝達すると、熱的な影響によりロールシャフトの中心が垂れる場合にその垂れが補償されるため、ハースロールの可動性が向上され焼鈍炉からのストリップシートのラインスピードも高めることが出来るため好ましく、このようなハースロールに対する改善された技術が求められてきた。
【0039】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2003−0054539号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明は上記のような従来の種々の問題点を解決するためのもので、その目的は、焼鈍炉の内部において高温状態で可動するハースロール装置のロールシャフトが下部に曲がる熱変形ベンディング(creep)を抑制してその可動性が向上された焼鈍炉のハースロール装置を提供することにある。
【0041】
また、本発明の他の目的は、ハースロールの高速可動が可能でストリップシートのラインスピードが増大され、結果としてストリップ生産性を向上させる焼鈍炉のハースロール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上記のような本発明の目的を達成するための技術的側面において、本発明は、焼鈍炉の内部にストリップシートを密着移送するよう露出配置されたセラミックチューブと、
上記セラミックチューブの一端と結合し、上記セラミックチューブの内部を通して焼鈍炉を貫通するよう伸ばされたロールシャフトと、
上記セラミックチューブの他端と結合し、上記ロールシャフトの一部が内部を通過するチューブ固定スリーブと、
上記ロールシャフトとチューブ固定スリーブに連携設置され上記ロールシャフトをその長さ方向に引っ張る張力を提供する張力発生手段と、
を含む焼鈍炉のハースロール装置を提供する。
【0043】
好ましくは、上記ロールシャフトとチューブ固定スリーブは、上記セラミックチューブの一端及び他端に備えられた第1結合部とそれぞれ緊密に結合される外周まわりに突出された第2、3結合部を備える。
【0044】
さらに好ましくは、上記セラミックチューブの第1結合部は、上記セラミックチューブの一端及び他端に円周方向に交代に形成される凹部と凸部とで構成され、上記ロールシャフトの第2結合部及びチューブ固定スリーブの第3結合部は、上記第1結合部の凹部と凸部と相互かみ合って結合される凹部及び凸部を備える。
【0045】
ここで、上記第1ないし第3結合部の各凹部と凸部は、先細にされることが好ましい。
【0046】
また、上記セラミックチューブとロールシャフト及びセラミックチューブとチューブ固定スリーブとの間の各結合部の外側を囲うカバー部材がさらに備えられる。
【0047】
この際、上記ロールシャフトは長さ方向に順次に段差があるよう伸ばされた第1−3段で構成され、上記チューブ固定スリーブは上記ロールシャフトの第2、3段が順次に挿入された段差のある第1、2段で構成され得る。
【0048】
好ましくは、上記ロールシャフトの第1段とチューブ固定スリーブの第1段が同じ長さでセラミックチューブ内に挿入され組み立てられ、上記ロールシャフトの第2段とチューブ固定スリーブの第2段との間にはギャップが形成され、上記チューブ固定スリーブの第2段とこれに挿入されるロールシャフトの第3段との間は有隔されるようにする。
【0049】
また、上記ロールシャフトの第3段とチューブ固定スリーブの第2段との間にはシーリング部材が設置される。
【0050】
上記張力発生手段は、上記チューブ固定スリーブとロールシャフトの端部に連携されロールシャフトに伝達される張力を発生させる弾性体または油,空圧手段を含む。
【0051】
ここで、好ましくは、上記弾性体は、チューブ固定スリーブの第2段に一端が支持され、弾性体の内部を通過するロールシャフトの第3段に連結された締結部材で他端が支持され、弾性力でロールシャフトを長さ方向に引っ張りチューブ固定スリーブを圧着するコイルスプリングで提供される。
【0052】
この際、上記締結部材は弾性体の他端が連結されロールシャフトの第3段が通過するガイドリングと、上記ロールシャフトの第3段に締結される一つ以上のナット部材で構成され、上記弾性体とガイドリングの外側にはチューブ固定スリーブの第2段から一体に伸ばされた突出端部がさらに配置されると好ましい。
【0053】
または、上記油,空圧手段は、上記チューブ固定スリーブの第2段から一体に突出し伸ばされた突出端部に結合された固定蓋にスリーブの内側に水平装着されたシリンダーと、スリーブの内側に上記ロールシャフトの第3段に連結されたピストンロッドで構成され、上記突出端部にはシリンダーから漏れたエアーまたは作動油の排出のための孔が形成されることが好ましい。
【0054】
そして、より好ましくは、上記チューブ固定スリーブとロールシャフトに連携した張力発生手段の外郭には、焼鈍炉壁体と連結されたベアリングブロックに密封するように装着される保護カバーが配置され、上記保護カバーの内部にはベアリングブロック側に充填されたグリースを塞いで外部空気の焼鈍炉流入を遮断する隔壁リングがさらに備えられ、上記保護カバーにはグリース、エアー又は作動油の排出のための孔が形成される。
【0055】
また、上記ロールシャフトの一端と上記チューブ固定スリーブの他端には、上記焼鈍炉の壁体に装着されたブラケットに設置されたベアリングブロックが組み立てられ駆動力が伝達されるロールシャフトとセラミックチューブ及びチューブ固定スリーブが回転駆動できるよう構成される。
【発明の効果】
【0056】
本発明による焼鈍炉のハースロール装置によると、焼鈍炉内部の高温可動の条件で、ロールシャフトがセラミックチューブよりその長さ方向に伸ばされても、張力発生手段がロールシャフトを長さ方向に引っ張ることにより、ロールシャフトが下部に曲がる熱変形ベンディング、即ちクリープ現象を最大に抑制する。
【0057】
かつ、ロールシャフトとセラミックチューブ及びセラミックチューブとチューブ固定スリーブとの間の各結合部位が緊密に組み立てられ、別途の保護カバーにより囲われることにより、各結合部位での隙間の発生が抑制され、隙間が発生しても熱の流入を遮断するため、ロールシャフトの熱変形を最少化する。
【0058】
特に、本発明のハースロール装置は焼鈍炉からラインスピードを所望の正常状態の160mpmまで上昇させることができ、究極的には全体の生産性を向上させるものである。
【0059】
最後に、ロールシャフトの熱変形を抑制して装置の使用寿命を延ばすことにより、設備取替えによるコストの低減を可能にし、不安定な移送によるストリップシートの製品不良も予防する種々の優れた効果を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下では、本発明による焼鈍炉ハースロール装置の好ましい実施例を添付の図面を参照に詳しく説明する。但し、ストリップシート100と焼鈍炉110に関する構成は従来と同一符号で表す。
【0061】
図5及び図14を参照すると、本発明の焼鈍炉のハースロール装置1は、焼鈍炉の内部にストリップシートを密着移送するよう露出配置されたセラミックチューブ10と、上記セラミックチューブ10の一端と結合し、上記セラミックチューブ10の内部を通して焼鈍炉を貫通するよう伸ばされたロールシャフト30と、上記セラミックチューブ10の他端と結合し、上記ロールシャフト30の一部が内部を通過するチューブ固定スリーブ50及び、上記チューブ固定スリーブ50に備えられ上記ロールシャフト30をその長さ方向に引っ張る張力を提供する第1、2実施例の張力発生手段70,80を含んで構成されている。
【0062】
先ず、図5ないし図7では第1実施例の張力発生手段70を含む本発明による焼鈍炉のハースロール装置1を図示している。
【0063】
即ち、図5ないし図7に図示されたように、本発明のハースロール装置1において、焼鈍炉の内部に露出され耐熱性に優れた素材であるセラミックから成るセラミックチューブ10の一端に耐熱鋼(例えばSCH24)から成るロールシャフト30が連結され、上記セラミックチューブ10の他端にはチューブ固定スリーブ50が連結される。
【0064】
また、本発明のハースロール装置1において上記チューブ固定スリーブ50の内部貫通孔には、上記セラミックチューブ10に比べて伸び率が大きく熱変形されやすいロールシャフト30が位置する。
【0065】
このような本発明のチューブ固定スリーブ50の一端部には、内側のロールシャフト30の第3段30cと連携される弾性体72または油,空圧手段82を含みその弾性力または空,油圧力でロールシャフトを長さ方向に引っ張る第1、2実施例の張力発生手段(図13の70)(図14の80)が選択的に設置される。
【0066】
従って、本発明のハースロール装置1は、焼鈍炉110の内部が1050℃程度に維持され、先に説明したように、相互異なる素材のロールシャフト30がセラミックチューブ10より伸ばされても、上記それぞれの張力発生手段70,80はロールシャフト30を長さ方向に引っ張るため、ロールシャフト30の中心が下部に垂れたり熱変形される現象(creep)を最少化する。
【0067】
この際、上記それぞれの張力発生手段70,80は上記ロールシャフトを引っ張ると同時に、上記ロールシャフトを引っ張る反対方向に上記チューブ固定スリーブ50を圧着させる。
【0068】
このようなチューブ固定スリーブ50の圧着は次に詳しく説明する本発明のハースロール装置1の核心構成部品であるセラミックチューブ10とロールシャフト30及びチューブ固定スリーブ50の結合部(第1−3結合部)との間の緊密な組み立てを可能にする。
【0069】
従って、図5に図示したように、本発明のハースロール装置1において、セラミックチューブ10とロールシャフト30及びチューブ固定スリーブ50の第1−3結合部は素材間の別途のスクリュー締結が無くても一つの胴体のように緊密に組み立て可動できる。
【0070】
一方、本発明において第1実施例の張力発生手段70を含む本発明のハースロール装置は、図5ないし図13を基に説明し、他の第2実施例の張力発生手段80を含むハースロール装置は、図14を基に説明する。
【0071】
図5、図8ないし図11では、本発明のハースロール装置1において、上記セラミックチューブ10とロールシャフト30及びチューブ固定スリーブ50の結合関係を図示している。
【0072】
先ず、図5及び図8に図示したように、本発明のハースロール装置1において上記ロールシャフト30は、長さ方向に順次に段差があるよう伸ばされた第1−3段30a,30b,30cで構成される。
【0073】
また、図5及び図9に図示したように、上記ロールシャフト30が挿入される孔が内部に段差があるよう形成された本発明のチューブ固定スリーブ50は、上記ロールシャフト30の第2、3段30b、30cが順次に挿入された段差のある第1、2段50a,50bで構成されている。
【0074】
従って、図5及び図9に図示したように、本発明のセラミックチューブ10は、その内部に沿って一定な直径の貫通孔が形成された円筒状で、このような貫通孔の一方向からその内部にロールシャフト30の第1段30aが嵌められる。
【0075】
そして、図8及び図9に図示したように、上記ロールシャフト30とチューブ固定スリーブ50には、上記セラミックチューブ10の一端及び他端にそれぞれ一体に形成された第1結合部12とそれぞれ緊密に結合するよう外周まわりに突出された第2,3結合部32,52が一体に形成されている。
【0076】
この際、図5及び図10に図示したように、上記セラミックチューブ10の第1結合部12は、上記セラミックチューブ10の一端及び他端に円周方向に交代に形成される凹部12aと凸部12bとで構成されている。
【0077】
同時に、上記ロールシャフト30の第2結合部32及びチューブ固定スリーブ50の第3結合部52は、上記第1結合部の凹部12aと凸部12bにそれぞれ緊密に相互かみ合って結合される凹部32a,52a及び凸部32b,52bをそれぞれ一体に備える。
【0078】
図10ではセラミックチューブ10の他端の第1結合部12の凹凸部12a,12b及びチューブ固定スリーブ50の第3結合部52の凹凸部52a,52bを斜視図として図示しているが、チューブ反対側の一端の第1結合部の凹凸部とこれにかみ合うロールシャフトの第2結合部32の凹凸部(図7及び図8の32a,32b)の場合も図10と同じ形状と理解できる。
【0079】
従って、図5及び図10に図示したように、本発明のハースロール装置1で実質的なシャフト素材のロールシャフト30とその外郭のセラミックチューブ10及びこれらを固定するためのチューブ固定スリーブ50において、それぞれの第1−3結合部12,32,52は相互交差するよう配置された凹部と凸部を備えるため、結合時に相互緊密にかみ合う。
【0080】
特に、図11(但し、図11ではチューブ固定スリーブを図示したが、第1、2結合部の凹凸部は同じ形状と理解できる)に図示したように、上記第1ないし第3結合部の各凹部と凸部は先端部から各素材側にいくほど傾斜するよう先が細く(T)なる。
【0081】
従って、各結合部の先細になった凹凸部は、組み立て時に相互密着するほど緊密に嵌められ、組み立て結合力を増大させる。
【0082】
特に、従来において重要な問題として提起したセラミックチューブとロールシャフト及びセラミックチューブとチューブ固定スリーブとの各結合部の間での隙間の発生も効果的に抑制させる。
【0083】
そして、図7及び図8に図示したように、本発明のロールシャフト30は最も大きい直径の第1段30aがセラミックチューブ10の内部孔に挿入されて形成され、第1段30aより小さい直径の段差のある第2段30bがチューブ固定スリーブ50の貫通孔に挿入されるよう形成され、最も小さい直径の段差のある第3段30cが張力発生手段(図13の70または図14の80)と連携される。
【0084】
また、図7及び図9に図示したように、本発明のチューブ固定スリーブ50は、その内部に軸の長さ方向に貫通するよう段差のある貫通孔が形成され、このような貫通孔に上記ロールシャフト30の第2、3段30b,30cがそれぞれ挿入結合される。
【0085】
この際、図5に図示したように、上記セラミックチューブ10の内側には、上記ロールシャフト30の第1段30aとチューブ固定スリーブ50の第1段50aが同じ長さで挿入され組み立てられている。
【0086】
従って、セラミックチューブの内部には同じ長さでロールシャフトとチューブ固定スリーブが挿入され組み立てられるため、偏心回転が発生しない。
【0087】
そして、図10のようにセラミックチューブ10の両側第1結合部12の凹凸部12a,12bは両端が同じ形状で、これにかみ合うロールシャフト30とチューブ固定スリーブ50の第2、3結合部32,52の各凹部32a,52aと凸部32b,52bも相互同じ形状である。
【0088】
このような本発明のセラミックチューブは、どの側に組み立てても組み立てが可能で、これは組み立て性を向上させる。
【0089】
この際、図5に図示したように、上記ロールシャフト30の第2段30bとチューブ固定スリーブ50の第2段50bとの間には、ロールシャフトの伸び率を考えてギャップD1が形成されている。
【0090】
同時に、上記チューブ固定スリーブの第2段50bの内側表面と上記ロールシャフト30の第3段30cの間は、ロールシャフトの流動のために微細なギャップD2が形成されている。
【0091】
従って、図5及び図6に図示したように、本発明のハースロール装置1において、ロールシャフト30が熱膨張された状態で張力発生手段(図13の70または図14の80)により引っ張られると、上記チューブ固定スリーブ50の内側で流動することになる。
【0092】
この際、上記ロールシャフト30の第2段30bは、チューブ固定スリーブ50の第1段50aの内側孔に組み立てられ、ハースロール装置1のシャフト部位の可動性を安定して保持させる。
【0093】
即ち、本発明のロールシャフト30は、図5に図示したように、張力発生手段70(または図14の80)のチューブ固定スリーブ50への圧着力によりチューブ固定スリーブ50に嵌められた状態でその長さ方向の挙動が可能となる。
【0094】
従って、本発明のハースロール装置1において、チューブ固定スリーブ50の内部に組み立てられたロールシャフト30は、熱膨張しても張力が伝達され下に曲がること無く同心回転できる。
【0095】
これによって、本発明のハースロール装置1の場合、焼鈍炉110においてストリップシートのラインスピードを160mpmに正常に可動しても従来のような問題が発生しない。
【0096】
次に、図5及び図7に図示したように、上記セラミックチューブ10とロールシャフト30及びチューブ固定スリーブ50の第1と2及び第1と3結合部の外郭はカバー部材60により囲われる。
【0097】
即ち、このようなカバー部材60は図7に図示したように、一面は開放され、他面の内部中心には上記ロールシャフト30とチューブ固定スリーブ50がそれぞれ通過できる孔が形成された円筒体で、好ましくは耐熱性素材で製作される。
【0098】
従って、上記カバー部材60は、セラミックチューブ10の一端及び他端側の第1結合部12とロールシャフト30の第2結合部32及びチューブ固定スリーブ50の第3結合部52が結合される結合部位を囲い、この結合部位を保護する。
【0099】
特に、上記カバー部材60は本発明のハースロール装置では発生する可能性が殆ど無いが、結合部の部分で隙間が発生しても、焼鈍炉の内部の輻射熱がロールシャフト30側に浸透することを遮断し、熱伝達を遅延させる他の役割をする。
【0100】
この際、上記カバー部材60は図7ないし図9に図示したように、ロールシャフト30の第2結合部32とチューブ固定スリーブ50の第3結合部52にそれぞれ形成された締結孔hに締結される固定ボルトBにより堅固に組み立てられることが出来る。
【0101】
勿論、上記カバー部材60は移送されるストリップシートが接触しないよう、図6に図示したように、その長さは調整する。
【0102】
また、図5及び図7に図示したように、本発明のハースロール装置1は、ロールシャフト30の第1段30aとチューブ固定スリーブ50の第2段50bにそれぞれベアリングブロック90が連結される。
【0103】
このようなベアリングブロック90は、図6に図示したように、焼鈍炉壁体112の鉄皮114に水平固定されたブラケット92により固定されている。
【0104】
そして、図6及び図7のように、上記ロールシャフト30の第1段の端部にはそれぞれの駆動モータの駆動軸が連結されるカップリングSが組み立てられている。
【0105】
従って、本発明のハースロール装置1は図6に図示したように、焼鈍炉を貫通してそれぞれ個別に回転駆動されるよう設置され、ストリップシート100はセラミックチューブ10上で密着移送される。
【0106】
また、図6においてCは、焼鈍炉の壁体122の内側に図2のように配置される補助加熱用ヒータコイルであり、このコイルは輻射熱で加熱される形態で、バーナー(図2参照)のようなメイン加熱手段と共に焼鈍炉の内部温度を一定に保持させる。
【0107】
次に、本発明のハースロール装置1には先に説明したように、2つの形態の張力発生手段70,80を含むが、図12、13のようなスプリング形態の弾性体72を含むか、或いは、図14のように油,空圧手段82を含む形態に分けられる。
【0108】
このような本発明の張力発生手段70,80は、上記チューブ固定スリーブ50の第2段50bの端部に連携されると同時に、その内側のロールシャフト30の第3段30cと連携される。
【0109】
従って、本発明の張力発生手段70,80は、チューブ固定スリーブ50を弾性体の弾性力や油,空圧手段の空圧または油圧により圧着してチューブ固定スリーブを圧着させ、この圧着されるチューブ固定スリーブはロールシャフトとセラミックチューブを密着させ、全体の各素材の第1−3結合部の組み立て密着性を保持するようにする。
【0110】
特に、このような本発明の張力発生手段70,80は、セラミックチューブ10と伸び率の異なる耐熱鋼からなる熱変形されやすいロールシャフト30を、その長さ方向に引っ張ることにより、組み立てられたロールシャフト30が熱によって下部にその中心が反れないように誘導する重要な役割をする。
【0111】
先ず、本発明のハースロール装置1において第1実施例の張力発生手段70は、図12及び図13に図示したように、備えた弾性体72はコイルスプリングであって、その内部にロールシャフト30、即ちロールシャフトの第3段30cが通過し、この弾性体の一端は上記チューブ固定スリーブ50の第2段50bに付着する。
【0112】
この際、好ましくは図7及び図13のように、上記スリーブの第2段から一体に伸びる突出端部50b’を形成させる。
【0113】
即ち、図12及び図13に図示したように、上記スリーブの第2段突出端部50b’は、その内側に配置されたスプリングの弾性体72の組み立て状態と流動を安定にし、異物の流入などを遮断する役割をする。
【0114】
また、上記スプリングの弾性体72の他端は、上記ロールシャフトの第3段に連携される締結部材74に支持される。
【0115】
即ち、図12及び図13に図示したように、上記締結部材74は、内側にロールシャフトの第3段30cが通過するガイドリング74aと、ロールシャフトの第3段30cのねじ部に締結される少なくとも一つのナット74bで構成される。
【0116】
この際、ナット74bが2つ以上であると、その間にワッシャ74cが介在される。
【0117】
従って、図12及び図13のように、ロールシャフト30の第3段30cに形成されたねじ部(未図示)にガイドリング74aが組み立てられ、その後第1ナット74b、ワッシャ74c及び、第2ナット74bが順次に締結され組み立てられる。
【0118】
また、図13及び図14に図示したように、ベアリングブロック90には本発明の張力発生手段70又は80を保護して外部から異物が浸透しないようにする内部構成部品を囲う保護カバー94をそれぞれ設ける。
【0119】
上記保護カバー94は図13及び図14のように、ベアリングブロック90に緊密に密封状態で付着しなければならない。
【0120】
この際、図13に図示したように、上記ロールシャフトの第3段30cが内部に通過組み立てられた上記チューブ固定スリーブの第2段50bの端部にはシーリング部材、例えばオーリングO、パッキングなどが設置されることが好ましい。
【0121】
また、上記保護カバー94の内側にベアリングブロック90に隣接した位置には、回転する上記スリーブの突出端部50b’と接触しない状態で最大に伸ばされた隔壁リング94bが備えられている。
【0122】
この際、上記隔壁リング94bの内側にベアリングブロックの間には、図4に説明したように、グリースGが図示しない供給管を通して緊密に充填されている。
【0123】
従って、本発明のハースロール装置1の保護カバー94とスプリング弾性体72とを備える第1実施例の張力発生手段70において、上記オーリングOなどのシーリング部材とグリースGは外部空気がロールシャフトに沿って焼鈍炉の内部へ流入されることを防ぐ。
【0124】
この際、図13に図示したように、上記保護カバー94の下部には焼鈍炉可動時に溶けたグリースGが隔壁リング94bを外れる場合、外部排出させるための孔94aが形成されることも好ましい。
【0125】
次に、図14では先に説明したように、油,空圧手段82を含む第2実施例の本発明による張力発生手段80を図示している。
【0126】
即ち、図14に図示されたように、チューブ固定スリーブ50の第2段50bがロールシャフト30の第3段30cより長く突出形成される突出端部50b’に固定蓋84(固定板)が結合される。
【0127】
また、上記固定蓋84には上記チューブ固定スリーブの内側に配置された本発明の油,空圧手段82が水平装着される。
【0128】
図14に図示したように、上記油,空圧手段82は上記固定蓋84に結合されたシリンダー82aの内部ピストン82cと連結され、前後進作動されるピストンロッド82bを含む。
【0129】
ここで、上記ピストンロッド82bは図14のように、上記ロールシャフト30の第3段30cに一体に連結固定されている。
【0130】
従って、本発明のハースロール装置1において第2実施例の張力発生手段80は、空圧または油圧で作動制御されるシリンダー内のピストン82a作動に沿って移動するピストンロッド82bが上記ロールシャフト30をその長さ方向に引っ張ることにより、張力をロールシャフトに伝達してロールシャフトが熱膨張しても軸の中心が下部に垂れることを防ぎ、軸に沿ってその長さ方向に熱変形されるようにする。
【0131】
そして、上記油,空圧手段80のピストンロッド82bがロールシャフトを引っ張るよう後進すると、反対に固定蓋が固定されたチューブ固定スリーブ50は、セラミックチューブとロールシャフト側に圧着され各素材の結合部が緊密な組み立て状態で保持される。
【0132】
本発明の張力発生手段80において、油,空圧手段82が連携されるチューブ固定スリーブ50の第2段突出端部50b’の下部には、孔50b’’が形成され、従って、シリンダー82aから漏れた空気または作動油がロールシャフト側に流入する前に排出される。
【0133】
また、図13の張力発生手段70と同様に、図14の張力発生手段80の場合にもロールシャフトの第3段30cが内部に通過する上記チューブ固定スリーブの第2段50bの端部分にはオーリングOが設置され、このオーリングはロールシャフトとスリーブとの間に空気が流入されることを防ぐ。
【0134】
上記保護カバー94の内側にベアリングブロック90に隣接した位置には、隔壁リング94bが備えられ、その内側にグリースGが充填され、外部空気の流入が遮断される。
【0135】
また、図13と同様に図14でも保護カバー94の下部に孔94aを形成させグリースGが隔壁リング94bを外れる場合、外部排出させることを可能にすることが好ましい。
【0136】
次に、これまで説明した本発明のハースロール装置1の組み立て手順をみると次の通りであるが、弾性体72のある第1実施例の張力発生手段70を備えるハースロール装置を基に説明する。
【0137】
先ず、図5及び図7に図示したように、一方側のカバー部材60の内側にロールシャフト30の第2結合部32が締まりばめ方式によりはめられ、固定ボルトBにより締結孔hを通して結合される。
【0138】
次に、ロールシャフト30を組み立てジグで動かないように固定させた状態で、セラミックチューブ10を少しずつ回しながら一端(左側端部)の第1結合部12の凹部12aと凸部12bが、ロールシャフト30の第2結合部32の凹部32aと凸部32bと正確に相互かみ合うよう組み立てる。
【0139】
また、他方側のカバー部材60の内側にチューブ固定スリーブ50の第3結合部52を締まりばめ方式ではめ固定ボルトBにより結合する。
【0140】
次に、ロールシャフト30の組み立て方法と同様にロールシャフト30が結合されたセラミックチューブ10をジグで固定し、チューブ固定スリーブ50を少しずつ回しながらチューブ固定スリーブ50の第3結合部52の凹部52aと凸部52b及びセラミックチューブ10の他端側(右側)の第1結合部12の凹部12aと凸部12bとが相互かみ合うよう緊密に組み立てる。
【0141】
次いで、図7及び図13に図示したように、ロールシャフト30及びチューブ固定スリーブ50の端部にそれぞれベアリングブロック90、カップリングS及び張力発生手段70を組み立てる。
【0142】
ここで、上記張力発生手段70の組み立ては、図7、図12及び図13に図示したように、スプリングの弾性体72、締結部材のガイドリング74aをロールシャフト30の第3段30cを通過させた状態で順番に嵌めて組み立てる。
【0143】
次に、ロールシャフトの第3段30cのねじ部に一対のナット84b及びワッシャ74cを順番に締結する。
【0144】
従って、このように組み立てられた場合、張力発生手段70はスプリングの弾性体72の弾性力によりチューブ固定スリーブ50は軸方向に圧着し、同時に締結部材が結合されこれに弾性体が支持されることにより、ロールシャフト30はその長さ方向に引っ張られる力を持続的に受けることになる。
【0145】
結局、本発明のハースロール装置1ではロールシャフトがセラミックチューブと伸び率が異なって曲がる熱変形量をロールシャフトの流動で補償する。
【0146】
この際、本発明の張力発生手段70は上記ロールシャフト30の長さ方向の熱変形量と適正な結合力(安全率を含む)を十分考えて、適切な弾性力を有したスプリング、即ち弾性体72を選択することが必要で、締結部材のナットの締力で調整できる。
【0147】
次に、図14の油,空圧手段82を備える張力発生手段80の場合にもスプリングの弾性体72を用いる張力発生手段(図13の70)と同様に、ピストンロッドの作動距離によって熱変形されるロールシャフト30を長さ方向に引っ張ることにより、ロールシャフト30の熱変形が吸収補償される。
【0148】
本発明は特定の実施例に係わり図示して説明したが、添付の特許請求の範囲による本発明の精神や分野を外れない範囲内で本発明が多様に改造及び変化できることを当業界において通常の知識を有する者は容易に分かることを明らかにする。
【産業上の利用可能性】
【0149】
上記のような本発明は、焼鈍炉のハースロール装置においてロールシャフトの熱変形を抑制して装置の使用寿命を延長し、これによる設備取替えによるコストの低減を可能とし、特に不安定な移送によるストリップシートの製品不良を予防することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】従来の焼鈍炉の一例として電気鋼板工程の焼鈍炉を図示した概略図である。
【図2】図1の焼鈍炉を通したストリップシートの焼鈍工程を図示した工程図である。
【図3】従来の焼鈍炉のハースロールを図示した構造図である。
【図4】図3のハースロールが焼鈍炉に設置された状態を図示した要部図である。
【図5】本発明による焼鈍炉ハースロール装置の全体構成を図示した構造図である。
【図6】本発明のハースロール装置の焼鈍炉の設置状態を図示した設置状態図である。
【図7】本発明のハースロール装置を図示した分解図である。
【図8】本発明のハースロール装置においてロールシャフトを図示した要部図である。
【図9】本発明のハースロール装置においてチューブ固定スリーブを図示した要部図である。
【図10】図5の‘A’部分を図示した分解斜視図である。
【図11】図10のチューブ固定スリーブを図示した構造図である。
【図12】本発明のハースロール装置において張力発生手段の一実施例を図示した要部斜視図である。
【図13】図12の張力発生手段の組み立て状態図である。
【図14】本発明のハースロール装置において張力発生手段の他の実施例を図示した組み立て状態図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼鈍炉の内部にストリップシートを密着移送するよう露出配置されたセラミックチューブと、
前記セラミックチューブの一端と結合し、前記セラミックチューブの内部を通して焼鈍炉を貫通するよう伸ばされたロールシャフトと、
前記セラミックチューブの他端と結合し、前記ロールシャフトの一部が内部を通過するチューブ固定スリーブと、
前記ロールシャフトとチューブ固定スリーブに連携設置されて前記ロールシャフトをその長さ方向に引っ張る張力を提供する張力発生手段と、
を含む焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項2】
前記ロールシャフトとチューブ固定スリーブは、前記セラミックチューブの一端及び他端に備えられた第1結合部とそれぞれ緊密に結合されて外周まわりに突出した第2、3結合部を備えることを特徴とする請求項1に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項3】
前記セラミックチューブの第1結合部は、前記セラミックチューブの一端及び他端に円周方向に交代に形成される凹部と凸部とで構成され、
前記ロールシャフトの第2結合部及びチューブ固定スリーブの第3結合部は、前記第1結合部の凹部と凸部と相互かみ合って結合される凹部及び凸部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項4】
前記第1ないし第3結合部の各凹部と凸部は、先細にされたことを特徴とする請求項3に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項5】
前記セラミックチューブとロールシャフト及びセラミックチューブとチューブ固定スリーブとの間の各結合部の外側を囲うカバー部材がさらに備えられたことを特徴とする請求項3に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項6】
前記ロールシャフトは長さ方向に順次に段差があるよう伸ばされた第1−3段で構成され、前記チューブ固定スリーブは前記ロールシャフトの第2、3段が順次に挿入された段差のある第1、2段で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項7】
前記ロールシャフトの第1段とチューブ固定スリーブの第1段が同じ長さでセラミックチューブ内に挿入され組み立てられ、前記ロールシャフトの第2段とチューブ固定スリーブの第2段との間にはギャップが形成され、前記チューブ固定スリーブの第2段とこれに挿入されるロールシャフトの第3段との間は有隔されたことを特徴とする請求項6に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項8】
前記ロールシャフトの第3段とチューブ固定スリーブの第2段との間には、シーリング部材が設置されたことを特徴とする請求項6に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項9】
前記張力発生手段は、前記チューブ固定スリーブとロールシャフトの端部に連携されてロールシャフトに伝達される張力を発生させる弾性体または油,空圧手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項10】
前記弾性体は、チューブ固定スリーブの第2段に一端が支持され、弾性体の内部を通過するロールシャフトの第3段に組み立てられた締結部材で他端が支持され、弾性力でロールシャフトを長さ方向に引っ張りチューブ固定スリーブを圧着するコイルスプリングで構成されたことを特徴とする請求項9に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項11】
前記締結部材は、弾性体の他端が連結されロールシャフトの第3段が通過するガイドリングと、前記ロールシャフトの第3段に締結される一つ以上のナット部材とで構成され、前記弾性体とガイドリングの外側にはチューブ固定スリーブの第2段から一体に伸ばされた突出端部がさらに配置されたことを特徴とする請求項10に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項12】
前記油,空圧手段は、前記チューブ固定スリーブの第2段から一体に突出し伸ばされた突出端部に結合された固定蓋にスリーブの内側に水平装着されたシリンダーと、スリーブの内側に前記ロールシャフトの第3段に連結されるピストンロッドとで構成され、前記突出端部にはシリンダーから漏れたエアーまたは作動油の排出のための孔が形成されたことを特徴とする請求項9に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項13】
前記チューブ固定スリーブとロールシャフトに連携した張力発生手段の外郭には、焼鈍炉の壁体と連結されたベアリングブロックに密封するように装着された保護カバーが配置され、前記保護カバーの内部にはベアリングブロック側に充填されたグリースを塞いで外部空気の焼鈍炉流入を遮断する隔壁リングがさらに備えられ、前記保護カバーにはグリース、漏れエアーまたは作用油の排出のための孔が形成されたことを特徴とする請求項9に記載の焼鈍炉のハースロール装置。
【請求項14】
前記ロールシャフトの一端と前記チューブ固定スリーブの他端には、前記焼鈍炉の壁体に装着されたブラケットに設置されたベアリングブロックが組み立てられ、駆動力が伝達されるロールシャフトとセラミックチューブ及びチューブ固定スリーブが回転駆動されることを特徴とする請求項1に記載の焼鈍炉のハースロール装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2009−508007(P2009−508007A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530998(P2008−530998)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001740
【国際公開番号】WO2007/032589
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【Fターム(参考)】