説明

煙感知器

【課題】増幅器の切り替えの前後において感度が滑らかに変化するようにして誤差を軽減させるようにした煙感知器を提供する。
【解決手段】LDユニット21と、フォトダイオード22と、フォトダイオード22の出力信号を増幅する増幅回路24と、増幅回路24の出力又はそれに基づいて得られる煙濃度に基づいて火災発生を判別するMPU10とを備えた煙感知器。増幅回路24は、直列に接続された複数段の増幅器を備え、各増幅器の出力を制御回路に出力し、MPU10は、増幅器の出力を、当該増幅器の出力とその前段側に隣接した増幅器の出力とに基づいて得られた補正値に基づいて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙感知器に関し、特に、直列に接続された複数段の増幅器の切り替えに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の感知装置には、例えば増幅器の増幅度を切り替えることにより煙濃度の検知範囲(ダイナミックレンジ)を変えて、増幅器の最終段の出力を火災信号又は煙濃度レベルに変換しているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平05−10718号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の感知装置では、増幅器の増幅度を切り替えることにより煙濃度の検知範囲(ダイナミックレンジ)を変えて、増幅器の最終段の出力を火災信号又は煙濃度レベルに変換しているが、その増幅度の切り替えの前後においては感度が段階的に変化し、誤差を生じるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、直列に接続された複数段の増幅器の切り替えの前後において感度が滑らかに変化するようにして誤差を軽減させるようにした煙感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る煙感知器は、検煙部内に配設された発光素子と、該発光素子から発光した光が前記検煙部に存在する煙粒子によって生じる散乱光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力に対応した煙濃度に基づいて火災発生を判別する制御回路とを備えた煙感知器において、前記増幅回路は、直列に接続された複数段の増幅器を備え、各増幅器の出力を前記制御回路に出力し、前記制御回路は、前記増幅器の出力に対応した煙濃度を、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、その前段側に隣接した増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて得られた補正値に基づいて補正する。
【0007】
また、本発明に係る煙感知器において、前記制御回路は、各増幅器の出力について切替上限値を設定するとともに、初段の増幅器を除いて各増幅器の出力について切替電圧値(切替電圧値<切替上限値)を設定し、そして、複数段の増幅器の出力の内、前記切替上限値の範囲内にある後段側の増幅器の出力を火災発生の判別に使用し、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、それよりも前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて補正値を求め、前記前段側の増幅器の出力に対応した煙濃度を前記補正値に基づいて補正する。
また、本発明に係る煙感知器において、前記制御回路は、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度とそれよりも前段側の増幅器の出力の煙濃度との差分に基づいて補正値を求めるとともに、その両者の大小に基づいて負又は正のフラグをセットし、前記前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度に、前記補正値を前記フラグに基づいて減算又は加算して補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る煙感知器によれば、前記制御回路が、 前記増幅器の出力に対応した煙濃度を、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、その前段側に隣接した増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて得られた補正値に基づいて補正しており、このため、増幅器の出力を切り替えて火災判別に使用しても増幅器の切り替えの前後において感度が滑らかに変化し、誤差が軽減される。このため、煙濃度がほぼ一定の上昇率で増加するような場合には、煙濃度が直線的に増加して出力されるため、広範囲の煙濃度に亘って正確な火災判断が可能になっている。
【0009】
また、本発明に係る煙感知器によれば、各増幅器の出力について切替上限値を設定するとともに、初段の増幅器を除いて各増幅器の出力について切替電圧値(切替電圧値<切替上限値)を設定し、そして、複数段の増幅器の出力の内、前記切替上限値の範囲内にある後段側の増幅器の出力を火災発生の判別に使用し、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、それよりも前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて補正値を求め、前記前段側の増幅器の出力に対応した煙濃度を前記補正値に基づいて補正するようにしたので、直列に接続された複数段の増幅器の切り替えの前後において感度が滑らかに変化する。
また、本発明に係る煙感知器によれば、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度とそれよりも前段側の増幅器の出力の煙濃度との差分に基づいて補正値を求めるとともに、その両者に大小に基づいて負又は正のフラグをセットし、前記前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度に、前記補正値を前記フラグに基づいて減算又は加算して補正するようにしたので、補正処理を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る煙感知器の機能ブロック図である。
【図2】図1のフォトダイオード、電流電圧変換部及び増幅回路の回路図である。
【図3】図1の煙感知器における増幅器の選択処理を示すフローチャート(その1)である。
【図4】図1の煙感知器における増幅器の選択処理を示すフローチャート(その2)である。
【図5】図1の煙感知器における増幅器の選択処理を示すフローチャート(その3)である。
【図6】フォトダイオード(センサ)の出力、増幅器の出力及び煙濃度の関係を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る煙感知器の構成を示すブロック図である。
煙感知器1は、例えば被検知領域からの空気を引き込むダクト(図示せず)等が煙検出部に接続されるものであり、図1に示されるように、本発明の制御回路として機能するマイクロプロセッサ(MPU)10を備えている。このマイクロプロセッサ10には、煙検出部20、環境監視・ファン制御部30、状態表示・音響部40等が接続されている。
【0012】
煙検出部20は、レーザダイオードを備えたLDユニット21、フォトダイオード(PD)22、電流電圧変換部23及び増幅回路24を備えている。この煙検出部20の詳細については後述の図2において詳細に説明する。なお、レーザダイオードは本発明の発光素子に相当し、フォトダイオード22は本発明の受光素子に相当する。
【0013】
環境監視・ファン制御部30は、ファン電圧制御/回転数監視部31、気流監視部32、電圧監視部33、電圧監視部34及び温度検出部35を備えている。ファン電圧制御/回転数監視部31は、ダクト(図示せず)に配置され、監視対象の空間から空気を取り込むファン71を制御するものであり、マイクロプロセッサ10の出力に基づいて駆動電圧を制御するとともに、その回転数を取り込んでこのマイクロプロセッサ10に出力する。気流監視部32は、例えばフローセンサを備えており、ダクトの流量を検出してマイクロプロセッサ10に出力する。電圧監視部33は、電源電圧(例えば24V)を監視してマイクロプロセッサ10に出力する。電圧監視部34は、マイクロプロセッサ10等に印加される内部電圧を監視してマイクロプロセッサ10に出力する。温度検出部35は、煙感知器1が設置された環境の温度を検出してマイクロプロセッサ10に出力する。マイクロプロセッサ10は、上記の環境監視・ファン制御部30からの出力を取り込んで、ファン電圧制御/回転数監視部31を介してファン71を制御したり、各種の演算処理をする。
【0014】
状態表示・音響部40は、表示部41及び音響部42を備えている。表示部41は、例えば正常、警報(アラームレベル1〜3)、フィルタ交換を表示する確認灯、煙濃度を示す10セグ(バーグラフ)LED、故障エラーコードを示す7セグLEDを備えている。音響部42は、例えば警報(2種類)、故障、フィルタ交換等について報知する。
【0015】
このマイクロプロセッサ10には、上記の他に、伝送・入出力部50、各種スイッチ61、不揮発性メモリ62、63、リアルタイムクロック64、ディップスイッチ(DIPSW)65等が接続されている。
伝送・入出力部50は、送受信部(RS422)51、アナログ出力部52及び無電圧接点53を備えている。送受信部51の出力は、受信機(図示せず)の伝送(NIU)基板に送信され、アナログ出力部52の出力は受信機のロガーなどの記録計に出力され、無電圧接点53は受信機の表示器等に接続される。伝送・入出力部50はこのように構成されており、煙感知器1の出力が受信機等に送信される。
各種スイッチ61には、例えば復旧、遮断、音響停止、模擬火災、模擬故障に対応したスイッチが含まれており、マイクロプロセッサ10はこれらのスイッチが操作されると、その操作されたスイッチに対応した演算処理をする。
不揮発性メモリ62には、例えば感度等が出荷の段階で工場で設定される。不揮発性メモリ63には、例えば濃度変化やイベントが記録される。リアルタイムクロック64は、マイクロプロセッサ10等を動作させるクロックを発生する。ディップスイッチ65は、例えば煙感知器1のアドレスを設定するものであり、出荷の段階で工場で設定される。
【0016】
本実施の形態に係る煙感知器1の構成は以上のとおりであるが、次に、本実施の形態の特徴部分である煙検出部20を図2に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図2は、煙検出部のフォトダイオード22、電流電圧変換部23及び増幅回路24の回路図である。
煙検出部20は、図2に示されるように、フォトダイオード22、電流電圧変換部23及び増幅回路24を備えている。フォトダイオード22には並列に抵抗R1が接続されており、LDユニット21からの光を受光する。電流電圧変換部23は、抵抗R2、R3、コンデンサC1及びアンプ(オペアンプ)AMP1から構成されており、フォトダイオード22からの電流を電圧に変換する。増幅回路24は、直列に接続された複数段の増幅器(図示の例では3段階)から構成されており、第1段の増幅器は、抵抗R2〜R4、コンデンサC1、C2及びアンプ(オペアンプ)AMP1から構成されている。なお、この第1段の増幅器の一部は、電流電圧変換部23を構成している。第2段の増幅器は、抵抗R5〜R7、コンデンサC3、C4及びアンプ(オペアンプ)AMP2から構成されている。第3段の増幅器は、抵抗R8、R9、コンデンサC5及びアンプ(オペアンプ)AMP3から構成されている。
【0018】
図2において、第1段の増幅器の出力はAMP1out、第2段の増幅器の出力はAMP2out、第3段の増幅器の出力はAMP3outと表記されており、第1段の増幅器の出力AMP1outは第2段の増幅器で増幅され、第2段の増幅器の出力AMP2outは第3段の増幅器で増幅されてAMP3outとして出力される。これらのAMP1out、AMP2out、及びAMP3outはマイクロプロセッサ10に入力し、マイクロプロセッサ10はその入力に基づいて煙濃度を求め、マイクロプロセッサ10に機能的に内蔵している火災判別手段が、その煙濃度が所定の閾値以上であると、火災が発生していると判定する。マイクロプロセッサ10がこの煙濃度を求める処理を図3〜図5に基づいて説明する。
【0019】
図3〜図5は、マイクロプロセッサ10が煙濃度を求める際の処理を示したフローチャートであり、図3はAMP3出力値(AMP3out)を煙濃度のデータとして適用する場合の処理、図4はAMP2出力値(AMP2out)を煙濃度のデータとして適用する場合の処理、図5はAMP1出力値(AMP1out)を煙濃度のデータとして適用する場合の処理である。図6は、増幅回路の出力(AMP1out〜AMP3out)と煙濃度との関係を示した特性図である。
【0020】
図3において、マイクロプロセッサ10は、AMP3出力値と(AMP3出力値あるいはAMP2出力値を適用するかの閾値である)AMP3切替上限値との関係が、
AMP3出力値≧AMP3の切替上限値、
であるかどうかを判定し(S11)、その条件が成立しない場合には(NO)、AMP3出力値を煙濃度に変換する。(S12)この変換は例えば図6の特性に基づいてなされる。
そして、AMP3出力値と(AMP3出力値からAMP2出力値へ切替付近の出力値である)AMP2切替電圧値との関係が
AMP3出力値≧AMP2の切替電圧値、
であるかどうかを判定する(S13)。
なお、例えば、AMP2切替電圧値は、AMP3切替上限値の70〜90%程度に設定される。ここで、その条件が成立しない場合には(NO)、AMP2リニアリティ調整値をクリアし(S14)、AMP1リニアリティ調整値をクリアする(S15)。これらのAMP2リニアリティ調整値及びAMP1リニアリティ調整値については後述する。
そして、AMP3出力値に基づいて変換された煙濃度(AMP3煙濃度)をそのときの煙濃度としてセットする(S16)。
【0021】
また、上記の判定(S13)において、その条件が成立した場合には(YES)、AMP2出力値を煙濃度に変換し(S16)、AMP3煙濃度とAMP2煙濃度との関係が、
AMP3煙濃度≧AMP2煙濃度
であるかどうかを判定し(S17)、その条件が成立しない場合には(NO)、
AMP2煙濃度−AMP3煙濃度(偏差分算出)
を求めて(S18)、その偏差分をAMP2リニアリティ調整値にセットし(S19)、
プラス方向調整フラグをセットして(S20)、上記の処理(S16)に移行する。
【0022】
また、上記の判定(S17)において、その条件が成立した場合には(YES)、
AMP3煙濃度−AMP2煙濃度(偏差分算出)
を求めて(S21)、その偏差分をAMP2リニアリティ調整値にセットし(S22)、
マイナス方向調整フラグをセットして(S23)、上記の処理(S16)に移行する。
ここで、AMP2リニアリティ調整値、プラス方向調整フラグ及びマイナス方向調整フラグは、AMP3煙濃度のレベルとAMP2煙濃度のレベルを調整するためのものであり、後述の図4においてAMP2煙濃度を補正する際に用いられる。なお、例えば図6に示されるように、0.000%/m〜0.200%/mの範囲は、AMP3出力値(AMP3out)が煙濃度の検知に適用される。
【0023】
図3において、マイクロプロセッサ10は、AMP3出力値がAMP3切替上限値との関係が、AMP3出力値≧AMP3の切替上限値、という条件が成立した場合には(S11、YES)、
図4において、AMP2出力値と(AMP2出力値あるいはAMP1出力値を適用するかの閾値である)AMP2切替上限値との関係が、
AMP2出力値≧AMP2の切替上限値、
という条件が成立するかどうかを判定し(S31)、その条件が成立しない場合には(NO)、AMP2出力値を煙濃度に変換する(S32)。この変換処理においても図6の特性に基づいてなされる。そして、
AMP2煙濃度土AMP2リニアリティ調整値
という補正演算をし(S33)、その補正されたAMP2煙濃度をそのときの煙濃度として設定する。なお、上記の補正演算においては、既にAMP2リニアリティ調整値(S19、S22)とプラス方向調整フラグ及びマイナス方向調整フラグの何れかがセットされており(S20、S23)、そのセットされているフラグに基づいて加算又は減算がなされる。
次に、AMP2出力値と(AMP2出力値からAMP1出力値へ切替付近の出力値である)AMP1切替電圧値との関係が
AMP2出力値≧AMP1の切替電圧値、
であるかどうかを判定する(S34)。なお、例えば、AMP1切替電圧値は、AMP2切替上限値の70〜90%程度に設定される。この条件が成立しない場合には、上記の処理(S16)に移行し、上記にて補正されたAMP2煙濃度がそのときの煙濃度として設定される。
【0024】
また、上記の判定(S34)において、その条件が成立した場合には(YES)、AMP1出力値を煙濃度に変換し(S35)、AMP2煙濃度とAMP1煙濃度との関係が、
AMP2煙濃度≧AMP1煙濃度
であるかどうかを判定し(S36)、その条件が成立しない場合には(NO)、
AMP1煙濃度−AMP2煙濃度(偏差分算出)
を求めて(S37)、その偏差分をAMP1リニアリティ調整値にセットし(S38)、
プラス方向調整フラグをセットして(S39)、上記の処理(S16)に移行する。
また、上記の判定(S36)において、その条件が成立した場合には(YES)、
AMP2煙濃度−AMP1煙濃度(偏差分算出)
を求めて(S40)、その偏差分をAMP1リニアリティ調整値にセットし(S41)、マイナス方向調整フラグをセットして(S42)、上記の処理(S16)に移行する。
ここで、AMP1リニアリティ調整値、プラス方向調整フラグ及びマイナス方向調整フラグは、AMP3煙濃度のレベルとAMP2煙濃度のレベルを調整するためのものであり、後述の図5においてAMP1煙濃度を補正する際に用いられる。なお、例えば図6に示されるように、0.200%/m〜20.000%/mの範囲は、AMP2出力値(AMP2out)が煙濃度の検知に適用される。
【0025】
図4において、マイクロプロセッサ10は、AMP2出力値がAMP2切替上限値との関係が、AMP2出力値≧AMP2の切替上限値、という条件が成立した場合には(S31、YES)、
図5において、AMP1出力値と(AMP1出力値あるいは煙濃度上限値を適用するかの閾値である)AMP1切替上限値との関係が、
AMP1出力値≧AMP1の切替上限値、
という条件が成立するかどうかを判定し(S51)、その条件が成立しない場合には(NO)、AMP1出力値を煙濃度に変換する(S52)。そして、
AMP1煙濃度土AMP1リニアリティ調整値
という補正演算をし(S53)、上記の処理(S16)に移行し、その補正されたAMP1煙濃度をそのときの煙濃度として設定する。なお、上記の補正演算においても、既にAMP1リニアリティ調整値(S38、S41)とプラス方向調整フラグ及びマイナス方向調整フラグの何れかがセットされており(S39、S42)、そのセットされているフラグに基づいて加算又は減算がなされる。
なお、AMP1出力値(AMP1out)は、例えば図6に示されるように2.000%/m〜20.000%/mの範囲が、煙濃度の検知に適用される。
また、上記の判定(S51)において、その条件が成立した場合には(YES)、煙濃度上限値を固定するべく、20.000(%/m)をそのときの煙濃度として設定し(S54)、上記の処理(S16)に移行する。
【0026】
以上のように、本実施の形態によれば、フォトダイオード22の出力に応じて適用する増幅器の出力AMP1out、AMP2out及びAMP3outを使い分けており、複数段の出力の内、切替上限値の範囲内にある後段側の増幅器の出力を火災発生の判別に使用し、増幅器の出力が切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力とそれよりも前段側にある増幅器の出力とに基づいて補正値(リニアリティ調整値)を求めて、前段側にある増器の出力をその補正値に基づいて補正している。このため、煙濃度がほぼ一定の上昇率で増加するような場合には、煙濃度が直線的に増加して出力されるため、煙濃度を広範囲に亘って検知することができ、正確な火災判定が可能になっている。
【0027】
また、マイクロプロセッサ10は、その補正演算においては、増幅器の出力とそれよりも前段側にある増幅器の出力の差分に基づいて補正値を求めるとともに、その両者の大小に基づいて負又は正のフラグ(マイナス方向調整フラグ、プラス方向調整フラグ)をセットし、前段側にある増幅器の出力に、上記の補正値をフラグに基づいて減算又は加算して補正するようにしたので、補正処理を簡単に行うことができる。
【0028】
なお、本発明の補正演算は、上記の例に限定されるものではなく、隣接する増幅器の出力の相対比を求め、その相対比を補正値とし、増幅器の出力値に乗算又は除算するようにしても良い。
【符号の説明】
【0029】
10 マイクロプロセッサ、20 煙検出部、21 LDユニット、22 フォトダイオード、23 電流電圧変換部、24 増幅回路、30 環境監視・ファン制御部、31 ファン電圧制御/回転数監視部、32 気流監視部、33 電圧監視部、34 電圧監視部、35 温度検出部、40 状態表示・音響部、41 表示部、42 音響部、50 伝送・入出力部、51 送受信部、52 アナログ出力部、53 無電圧接点、61 各種スイッチ、62 不揮発性メモリ、63 不揮発性メモリ、64 リアルタイムクロック、65 ディップスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検煙部内に配設された発光素子と、
該発光素子から発光した光が前記検煙部に存在する煙粒子によって生じる散乱光を受光する受光素子と、
前記受光素子の出力信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路の出力に対応した煙濃度に基づいて火災発生を判別する制御回路と、
を備えた煙感知器において、
前記増幅回路は、直列に接続された複数段の増幅器を備え、各増幅器の出力を前記制御回路に出力し、
前記制御回路は、
前記増幅器の出力に対応した煙濃度を、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、その前段側に隣接した増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて得られた補正値に基づいて補正することを特徴とする煙感知器。
【請求項2】
前記制御回路は、
各増幅器の出力について切替上限値を設定するとともに、初段の増幅器を除いて各増幅器の出力について切替電圧値(切替電圧値<切替上限値)を設定し、そして、複数段の増幅器の出力の内、前記切替上限値の範囲内にある後段側の増幅器の出力を火災発生の判別に使用し、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度と、それよりも前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度とに基づいて補正値を求め、前記前段側の増幅器の出力に対応した煙濃度を前記補正値に基づいて補正することを特徴とする請求項1に記載の煙感知器。
【請求項3】
前記制御回路は、前記増幅器の出力が前記切替電圧値に到達すると、当該増幅器の出力に対応した煙濃度とそれよりも前段側の増幅器の出力の煙濃度との差分に基づいて補正値を求めるとともに、その両者の大小に基づいて負又は正のフラグをセットし、前記前段側にある増幅器の出力に対応した煙濃度に、前記補正値を前記フラグに基づいて減算又は加算して補正することを特徴とする請求項2記載の煙感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215685(P2011−215685A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80335(P2010−80335)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】