説明

照明制御システム

【課題】撮像手段により撮像される所定範囲内の周期動作物体の有無にかかわらず、自動的に人体の検知精度を向上させることが可能な照明制御システムを提供する。
【解決手段】照明器具5と、所定範囲を撮像する撮像手段を具備する画像センサ1と、所定範囲内の人体の在否に基づいて照明器具5を制御する制御部2とを備える。制御部2は、複数の期間において画像センサ1により取得された各画像の差分画像群に繰り返し現れた物体を、周期的な動作をする周期動作物体と判定し、且つ、人体と判定せず、差分画像群に繰り返し現れた物体を周期動作物体と判定したのちに、画像センサ1により取得された画像の差分画像I30に基づいて所定範囲内の人体の在否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明空間における人体の在否に応じて照明器具の点滅および調光を制御する照明システム(照明制御システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された照明システムは、図10に示すように、複数の照明器具30と、照明空間を時系列に順次撮像して画像データを出力する撮像装置31とを有する。また、この照明システムは、撮像装置31により出力された画像データに基づいて照明空間における人体の在否を判断する判断装置32と、照明空間における人体の在否に応じて複数の照明器具30の点滅および調光を制御する照明制御装置33とを有する。
【0004】
撮像装置31は、CCDやCMOSなどの固体撮像素子と、広角レンズまたは魚眼レンズなどの光学レンズと、信号処理回路とで構成されている。
【0005】
判断装置32は、撮像装置31により出力された画像データから、キャンセルするための第1のテクスチャデータ(人体以外の動作する物体(例えば、天井側から見たときに水平面内で首振り動作をする扇風機など)の画像データ)を設定する設定部34と、撮像装置31から出力された画像データを表示する表示部35とを有する。なお、表示部35は、タッチパネル機能を有する液晶ディスプレイにより構成されている。
【0006】
設定部34は、表示部35に表示された画像データにおいてユーザが人体以外の動作する物体の周囲を指またはタッチペンで圧力を加えながらなぞったときに、表示部35に表示された上述の画像データを第1のテクスチャデータとして設定する。
【0007】
また、判断装置32は、撮像装置31から時系列に順次出力された画像データを差分演算して生成された第2のテクスチャデータと、設定部34により設定された第1のテクスチャデータとに基づいて照明空間における人体の在否を判断する。
【0008】
また、従来から、人体検知技術を適用した空気調和機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
特許文献2に開示された空気調和機は、図11に示すように、室内を撮像する撮像部36と、撮像部36により取得された基準画像を記憶する基準画像記憶部37とを有する。また、この空気調和機は、撮像部36により取得された画像(入力画像)と基準画像記憶部37に記憶された基準画像との間で画素ごとに画素値を差分演算して差分画像を生成する差分演算部38と、差分演算部38により生成された差分画像の各画素値を所定のしきい値L1でそれぞれ2値化して2値画像を生成する2値化部39とを有する。
【0010】
また、上述の空気調和機は、2値化部39により生成された複数の2値画像間で画素ごとに画素値を累積加算して加算画像を生成する加算演算部40と、加算演算部40により生成された加算画像の各画素値を所定のしきい値L2でそれぞれ2値化してマスク画像を生成するマスク画像生成部41とを有する。ここで、上述の空気調和機は、加算演算部40により生成された加算画像の画素値が所定のしきい値L2以上となる画素の集合を、周期的な動作をする周期動作物体(例えば、扇風機など)と判定する。
【0011】
また、上述の空気調和機は、マスク画像生成部41により生成されたマスク画像を用いて、2値化部39により生成された2値画像にマスク処理を行い、人体以外の部分(ここでは、周期動作物体)がマスク処理された画像を生成するマスク演算部42を有する。さらに、上述の空気調和機は、マスク演算部42により生成された画像に基づいて人体の存在有無および存在位置を判定する人体認識部43を有する。なお、上述の空気調和機は、人体認識部43から出力された人体の存在有無および存在位置の情報に基づいて図示しない空気調和部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−266501号公報
【特許文献2】特開2000−172827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図10に示した構成の照明システムでは、ユーザが、表示部35に表示された画像データにおいて周期動作物体を指定する必要がある(設定部34に周期動作物体を認識させる必要がある)ので、設定部34に第1のテクスチャデータを設定させるための手間がかかる。
【0014】
また、図11に示した構成の空気調和機は、加算演算部40により生成された加算画像の画素値が所定のしきい値L2以上となる画素の集合を周期動作物体と判定するので、ユーザがこの空気調和機に周期動作物体を認識させるための手間が省ける。また、この空気調和機は、マスク演算部42によりマスク画像を用いて2値画像にマスク処理を行うことによって、周期動作物体を人体として誤検知するのを抑制することが可能となる。そこで、このような空気調和機の技術を上述の照明システムに適用することが考えられる。
【0015】
しかしながら、このような照明システムでは、加算演算部40により生成された加算画像の画素値が所定のしきい値L2以上となる画素の集合が周期動作物体と判定されるので、例えば、人体が同じ場所で激しく動いた場合に、この人体を周期動作物体であると誤判定する可能性がある。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、撮像手段により撮像される所定範囲内の周期動作物体の有無にかかわらず、自動的に人体の検知精度を向上させることが可能な照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の照明制御システムは、照明器具と、所定範囲を撮像する撮像手段を具備する画像センサと、前記所定範囲内の人体の在否に基づいて前記照明器具を制御する制御部とを備え、前記制御部は、複数の期間において前記画像センサにより取得された各画像の差分画像群に繰り返し現れた物体を、周期的な動作をする周期動作物体と判定し、且つ、人体と判定せず、前記差分画像群に繰り返し現れた物体を前記周期動作物体と判定したのちに、前記画像センサにより取得された画像の差分画像に基づいて前記所定範囲内の人体の在否を判定することを特徴とする。
【0018】
この照明制御システムにおいて、前記制御部は、前記差分画像群に繰り返し現れた物体を前記周期動作物体と判定したのちに、前記差分画像群において前記周期動作物体が繰り返し現れた領域を、前記所定範囲内に人体が存在するか否かを判定する対象から除外することが好ましい。
【0019】
この照明制御システムにおいて、前記制御部には、前記差分画像の画素値に対して前記所定範囲内に人体が存在するか否かを判定するためのしきい値が設定されており、前記しきい値は、前記差分画像に対して前記周期動作物体が繰り返し現れた領域の第1のしきい値と、前記差分画像に対して前記周期動作物体が繰り返し現れた領域以外の領域の第2のしきい値とを有してなり、前記第1のしきい値が前記第2のしきい値よりも大きく設定されてなることが好ましい。
【0020】
この照明制御システムにおいて、前記制御部は、前記画像センサにより取得された各画像間で画素ごとに差分したのちに、前記画像センサにより取得された各画像間において差分が検出された領域のみを差分することが好ましい。
【0021】
この照明制御システムにおいて、前記制御部は、前記画像センサにより取得された一定数の画像をx行y列のエリアごとに分割し、x行y列のエリアごとに分割された各画像に対して前記周期動作物体が存在するエリアを所定の回数抽出したのちに、前記画像センサにより取得された画像に対して前記周期動作物体が存在するエリアとして抽出された頻度が高いエリアを、前記周期動作物体を検出するための画像処理を行うエリアとして限定することが好ましい。
【0022】
この照明制御システムにおいて、前記制御部は、人体の在否を検出するための通常モードと異なる設定モードを有し、前記設定モードの状態のときに、前記画像センサにより取得された画像において前記周期動作物体に付されたマーカーが検出された場合、前記画像センサにより取得された画像において前記マーカーを含む一定範囲の領域を、前記画像処理を行う領域として限定することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の照明制御システムにおいては、撮像手段により撮像される所定範囲内の周期動作物体の有無にかかわらず、自動的に人体の検知精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1の照明制御システムを示し、(a)は構成図、(b)は動作説明図である。
【図2】同上の照明制御システムを示し、(a)は使用例の説明図、(b)は画像センサにより取得された画像の説明図である。
【図3】同上の照明制御システムの制御部の概略構成図である。
【図4】同上の照明制御システムの動作説明図である。
【図5】実施形態2の照明制御システムの動作説明図である。
【図6】同上の照明制御システムの動作説明図である。
【図7】同上の照明制御システムの動作説明図である。
【図8】実施形態3の照明制御システムの使用例の説明図である。
【図9】同上の照明制御システムの構成図である。
【図10】従来例の人体検知技術を適用した照明システムの構成図である。
【図11】従来例の人体検知技術を適用した空気調和機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明制御システムについて、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0026】
本実施形態の照明制御システムは、造営面(例えば、天井面29(図2参照)など)に設置された照明器具5と、照明器具5を制御する制御回路からなる照明制御部4と、撮像手段(図示せず)を具備する画像センサ1を有して撮像手段により撮像される所定範囲12(図2参照)内に存在する人体20(図2参照)を検知する人体検知部11とを備えている。なお、照明制御部4は、照明器具5に設けてもよい。
【0027】
また、上述の照明制御システムは、人体検知部11により所定範囲12内に存在する人体20が検知されたときに、照明制御部4により照明器具5を点灯させる。つまり、この照明制御システムは、所定範囲12内に人体20が進入したときに自動的に照明器具5を点灯させることができる。また、上述の照明制御システムは、所定範囲12内に人体20が検知されなくなってから、予め設定された点灯保持時間を経過したのちに、照明制御部4により照明器具5を消灯させる。したがって、本実施形態の照明制御システムは、所定範囲12内の人体20の在否に基づいて照明器具5を制御するので、省エネルギー化や防犯効果を奏する。
【0028】
人体検知部11は、上述の撮像手段を具備する画像センサ1と、所定範囲12内の人体20の在否に基づいて照明制御部4を制御する制御部2とを有している。また、人体検知部11は、所定範囲12内に人体20が存在しない時点の画像(以下説明の便宜上、背景画像と称する)を記憶するDDRAM、DRAMなどの揮発性のメモリからなる記憶部3を有している。上述の撮像手段は、所定範囲12を撮像するCCDカメラまたはCMOSカメラにより構成すればよい。
【0029】
画像センサ1は、撮像手段が下方を撮像できるように照明器具5に固定されている(図2参照)。また、画像センサ1には、撮像手段により所定範囲12を連続的に撮像(例えば、毎秒30フレームの周期で撮像)して出力されたアナログの画像データを、ディジタルの画像データに変換するA/Dコンバータ(図示せず)が設けられている。この画像センサ1は、撮像手段により連続的に取得されたアナログの画像データを、A/Dコンバータにてディジタルの画像データに変換したのちに、制御部2へ時系列に順次出力する。
【0030】
制御部2は、例えば、DSP(DigitalSignal Processor)、イメージプロセッサなどの半導体デバイスにより構成すればよい。
【0031】
また、制御部2は、画像センサ1から時系列に順次出力された画像データからなる現在画像I10と記憶部3に予め記憶された背景画像I20とに基づいて、所定範囲12内の人体20の在否を判定する。
【0032】
具体的に説明すると、制御部2には、現在画像I10の各画素値から背景画像I20の各画素値をそれぞれ差分演算する差分演算器(図示せず)が設けられている。また、制御部2には、差分演算器により差分演算された各画素値に基づいて差分画像I30を生成する差分画像生成部6(図3参照)が設けられている。つまり、制御部2は、図1に示すように、差分演算器によって現在画像I10の各画素値から背景画像I20の各画素値をそれぞれ差分演算したのちに、差分画像生成部6により差分画像I30を生成する。ここで、差分画像I30において差分がない画素の画素値は「0」となる。また、差分画像I30において差分がある画素の画素値は、予め設定された第1の規定値以上の場合に「1」となる。一方、差分画像I30において差分がある画素の画素値は、第1の規定値未満の場合に「0」となる。図1(b)に示した一例で説明すると、現在画像I10には人体20と机などの物体21などが撮像されており、背景画像I20には物体21などが撮像されているので、第1の規定値を適宜設定しておくことにより、差分画像I30は、人体20が存在する領域の各画素値が「1」となる。
【0033】
ここにおいて、本実施形態の制御部2は、現在画像I10と背景画像I20との間で画素ごとに画素値を差分演算しているが、現在画像I10と背景画像I20との間で画素ごとに画素値を差分演算したのちに、現在画像I10と背景画像I20との間において差分が検出された画素値のみを差分演算してもよい。この場合には、差分演算器の演算処理を低減することが可能となるとともに、制御部2の処理負荷を低減することが可能となる。
【0034】
また、制御部2には、差分画像生成部6により生成された差分画像I30に基づいて所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定する人体判定部10(図3参照)が設けられている。この人体判定部10には、所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定するための第2の規定値が予め設定されている。
【0035】
人体判定部10は、差分画像I30において画素値が「1」である画素の合計数を抽出して、この合計数が第2の規定値を超えた場合に、所定範囲12内に人体20が存在すると判定する。ここにおいて、本実施形態の照明制御システムでは、人体判定部10が、差分画像I30において画素値が「1」である画素の合計数を抽出して所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定しているが、例えば、差分画像I30において画素値が「1」である画素同士が隣接する画素の集合の大きさを抽出して所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定してもよい。
【0036】
制御部2は、人体判定部10により所定範囲12内に人体20が存在すると判定されたときに、人体20の検知情報を含む検知信号S1を照明制御部4へ出力する。
【0037】
照明制御部4は、制御部2から検知信号S1が入力されると、照明器具5に設けられた図示しない光源(例えば、蛍光灯、LEDなど)へ電力が供給されるように照明器具5を点灯または調光させる。なお、照明器具5は、図示しない商用電源に電気的に接続されている。
【0038】
ここにおいて、本実施形態の照明制御システムでは、記憶部3に記憶された背景画像として、所定範囲12内に人体20が存在しない時点の画像を常に使用しているが、これに限らず、例えば、画像センサ1により時系列に順次取得された現在画像を使用してもよい。
【0039】
また、制御部2には、図3に示すように、差分画像生成部6により生成された一定数(図4(a)では、k枚:kは自然数)の差分画像I30により構成された差分画像群G30(図4(a)参照)に基づいて累積差分画像H30(図4(b)参照)を生成する累積差分画像生成部7が設けられている。さらに、制御部2には、累積差分画像生成部7により生成された累積差分画像H30において周期的な動作をする周期動作物体(例えば、扇風機、換気扇、コピーまたはプリンタの紙排出部など)の候補領域P(図4(c)参照)を抽出する抽出部8が設けられている。また、制御部2には、複数の期間(図4では、第〔M〕期間〜第〔M+1〕期間)において抽出部8によりそれぞれ抽出された各候補領域P,PM+1が周期動作物体の領域であるか否かを判定する判定部9が設けられている。
【0040】
累積差分画像生成部7には、所定期間(図4中の一例では、第〔M〕期間)の差分画像群G30における各差分画像I30の画素ごとに画素値を累積加算する累積加算器(図示せず)が設けられている。つまり、累積差分画像生成部7は、累積加算器により累積加算された各画素値に基づいて累積差分画像H30を生成する。
【0041】
ここにおいて、本実施形態の照明制御システムでは、累積加算器が各差分画像I30の各画素の画素値を累積加算しているが、例えば、各差分画像I30において画素値が「1」である画素j1〜j3(図4(a)参照)の画素値のみを累積加算してもよい。この場合には、累積加算器の演算処理を低減することが可能となるとともに、制御部2の処理負荷を低減することが可能となる。また、本実施形態の照明制御システムでは、上述の複数の期間において差分画像群G30を一定数(図示例では、k枚)の差分画像I30で構成しているが、例えば、期間ごとに差分画像群を異なる数の差分画像I30でそれぞれ構成してもよい。
【0042】
抽出部8には、累積差分画像生成部7により生成された累積差分画像H30に対して候補領域Pを抽出するための第3の規定値が予め設定されている。ここで、抽出部8は、累積差分画像生成部7により生成された累積差分画像H30の画素値が第3の規定値以上となる画素同士が隣接する画素の集合を、候補領域Pとして抽出する。
【0043】
判定部9には、累積差分画像生成部7によりそれぞれ生成された各累積差分画像H30,H31において、抽出部8によりそれぞれ抽出された各候補領域P,PM+1の重なり率を算出する演算部(図示せず)が設けられている。また、判定部9には、各累積差分画像H30,H31それぞれにおいて抽出部8によりそれぞれ抽出された各候補領域P,PM+1が重なる領域(共通領域)A1(図4(d)参照)を、周期動作物体の領域であるか否かを判定するための第4の規定値が予め設定されている。つまり、判定部9は、演算部により算出された各候補領域P,PM+1の重なり率が第4の規定値以上となる場合に、上述の共通領域A1を周期動作物体の領域と判定し、且つ、人体20の領域と判定しない。
【0044】
具体的に説明すると、判定部9は、例えば、図4に示すように、第〔M〕期間(第nフレーム目〜第n+k−1フレーム目の期間)の累積差分画像H30および第〔M+1〕期間(第n+kフレーム目〜第n+k+k−1フレーム目の期間)の累積差分画像H31それぞれにおいて、抽出部8によりそれぞれ抽出された各候補領域P,PM+1の重なり率Aを、演算部にて算出する。
【0045】
演算部は、下記の式を用いて各候補領域P,PM+1の重なり率Aを算出する。
A=共通領域A1の面積/(候補領域Pの面積−共通領域A1の面積+候補領域PM+1の面積)
つまり、判定部9は、演算部により算出された各候補領域P,PM+1の重なり率Aが第4の規定値以上となる場合に、共通領域A1を周期動作物体の領域と判定し、且つ、人体20の領域と判定しない。
【0046】
ここにおいて、本実施形態の照明制御システムでは、演算部が、連続する2つの期間(図4では、第〔M〕期間〜第〔M+1〕期間)において各候補領域P,PM+1の重なり率Aを算出しているが、例えば、連続しない2つの期間において各候補領域の重なり率Aを算出してもよい。また、本実施形態の照明制御システムでは、3つ以上の期間における重なり率Aを算出してもよく、これら3つ以上の期間それぞれが連続していても、連続していなくてもよい。
【0047】
そして、制御部2は、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、人体判定部10において、差分画像I30に基づいて所定範囲12内の人体20の在否を判定する。したがって、本実施形態の照明制御システムは、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、人体判定部10により差分画像I30に基づいて所定範囲12内の人体20の在否を判定するので、撮像手段により撮像される所定範囲12内の周期動作物体の有無にかかわらず、自動的に人体20の検知精度を向上させることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の制御部2には、差分画像I30の画素値に対して所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定するためのしきい値が設定されてもよい。具体的に説明すると、上述のしきい値は、差分画像I30に対して判定部9により周期動作物体の領域と判定された共通領域A1を含む領域A2(図4(b)参照)の第1のしきい値と、差分画像I30に対して共通領域A1を含む領域A2以外の領域A3(図4(b)参照)の第2のしきい値とを有する。また、制御部2には、差分画像I30の画素値に対して、第1のしきい値が第2のしきい値よりも大きく設定されている。したがって、本実施形態の照明制御システムは、差分画像I30の画素値に対して所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定するためのしきい値を設定しているので、周期動作物体を人体20として誤検知するのを抑制するとともに、人体20を周期動作物体であると誤判定するのを抑制可能となる。
【0049】
また、本実施形態の制御部2は、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、差分画像I30に対して判定部9により周期動作物体の領域と判定された共通領域A1を含む領域A2を、所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定する対象から除外することが望ましい。これによって、本実施形態の照明制御システムは、周期動作物体を人体20として誤検知するのを抑制可能で、且つ、制御部2の処理負荷を低減することが可能となる。ここにおいて、本実施形態の制御部2は、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、差分画像I30に対して共通領域A1を含む領域A2を、所定範囲12内に人体20が存在するか否かを判定する対象から除外しているが、差分画像I30に対して共通領域A1を含む領域A2をマスク処理してもよい。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態の照明制御システムの基本構成は実施形態1と同じであり、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、画像センサ1により取得された現在画像において周期動作物体が存在する領域を特定する点が実施形態1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0051】
以下、本実施形態の照明制御システムについて、図5および図6を参照しながら説明する。
【0052】
制御部2は、判定部9により各候補領域P,PM+1の共通領域A1が周期動作物体の領域と判定されたのちに、図5に示すように、画像センサ1から時系列に順次出力された一定数の現在画像I11を、x行y列(図示例では、8行13列)のエリアごとに分割する。なお、x行y列のエリアごとに分割された現在画像I11の各エリアの座標をI11(x,y)として説明する。
【0053】
また、制御部2は、x行y列のエリアごとに分割された各現在画像I11に対して周期動作物体B1が存在する領域C1を構成する各エリア(図5では、I11(6,8)、I11(6,9)、I11(7,8)、I11(7,9))それぞれを抽出する。
【0054】
ここにおいて、制御部2には、画像センサ1から時系列に順次出力された一定数の現在画像I11の各エリアに対して制御部2により抽出された回数をカウントするカウンタ(図示せず)が設けられている。また、制御部2には、画像センサ1から時系列に順次出力された一定数の現在画像I11の各エリアに対して周期動作物体B1が存在する領域C1のエリアであるか否かを判定するための所定のカウント値が予め設定されている。
【0055】
つまり、制御部2は、図6に示すように、画像センサ1から時系列に順次出力された一定数の現在画像I12の各エリアに対してカウンタによりカウントされた回数が所定のカウント値以上であるエリアにより構成された領域(図7では、C2〜C6)を、周期動作物体が存在する領域であると特定する。そして、制御部2は、画像センサ1から時系列に順次出力された一定数の現在画像に対して周期動作物体が存在する領域を特定したのちに、画像センサ1から時系列に順次出力された現在画像に対して周期動作物体が存在する領域を構成するエリアとして抽出された頻度が高いエリアを、周期動作物体を検出するための画像処理を行うエリアとして限定する。したがって、本実施形態の照明制御システムは、撮像手段により撮像される所定範囲12内の周期動作物体の有無にかかわらず、自動的に人体20の検知精度をさらに向上させることが可能となる。また、本実施形態の照明制御システムは、一定数の現在画像に対して周期動作物体が存在する領域を特定したのちに、画像センサ1から時系列に順次出力された現在画像に対して周期動作物体が存在する領域を構成するエリアとして抽出された頻度が高いエリアを、周期動作物体を検出するための画像処理を行うエリアとして限定するので、制御部2の処理負荷を低減することが可能となる。なお、本実施形態の照明制御システムでは、記憶部3に、カウンタによりカウントされた回数(頻度)を記憶するための記憶エリアが設けられてもよい。
【0056】
ところで、本実施形態の照明制御システムでは、制御部2に、所定範囲12内の人体20の在否を検出するための通常モードと異なる設定モードを予め設けておき、この設定モードの状態のときに、画像センサ1から時系列に順次出力された現在画像に対して周期動作物体が存在する領域を特定する方法も考えられる。
【0057】
具体的に説明すると、本実施形態の制御部2は、例えば、リモコン等から出力された第1のリモコン信号を受信することによって、強制的に通常モードの状態から設定モードの状態へ移行する。また、本実施形態の制御部2は、設定モードの状態から通常モードの状態に戻す方法として、例えば、リモコン等からの第2のリモコン信号を受信することによって、強制的に設定モードの状態から通常モードの状態に移行する。なお、通常モードの状態から設定モードの状態に移行させる方法は、リモコン等からの第1のリモコン信号を受信する方法に限らず、例えば、電源を投入してから所定時間だけ、制御部2が設定モードの状態を維持する方法などであってもよい。
【0058】
また、制御部2は、設定モードの状態のときに、図7に示すように、画像センサ1により取得された現在画像I13において周期動作物体(図示せず)に付されたマーカー19が検出された場合、このマーカー19が配置された各エリアで構成された領域(図7では、C7〜C11)を、周期動作物体が存在する領域であると特定して上述の画像処理を行う領域として限定する。これによって、本実施形態の照明制御システムでは、画像センサ1により取得された現在画像I13に対して周期動作物体が存在する領域を特定するための時間を短縮することが可能で、且つ、人体20の検知精度を向上させることが可能となる。なお、周期動作物体においてマーカー19を設置する位置としては、周期動作物体の中央部付近に設置し、撮像手段により撮像される所定範囲12内で、且つ、遮蔽されない位置が望ましい。
【0059】
また、本実施形態の照明制御システムでは、例えば、オフィスなどのレイアウトが変更された場合に、周期動作物体が存在する領域を再び特定する必要がある。この場合には、例えば、記憶部3に記憶された周期動作物体が存在する領域の頻度を一括消去する方法がある。しかしながら、記憶部3に記憶された周期動作物体が存在する領域の頻度のうち、マーカー19が設置された周期動作物体が存在する領域の頻度だけを消去する場合も考えられる。この場合、本実施形態の制御部2は、例えば、通常モードの状態のときに、画像センサ1から時系列に順次出力された現在画像I13に対して周期動作物体に付されたマーカー19が検出された場合、このマーカー19が配置された各エリアで構成された領域の頻度のみを、記憶部3に記憶された周期動作物体が存在する領域の頻度から消去する。
【0060】
なお、本実施形態の照明制御システムでは、人体検知部11として、人体20の在否を検出する焦電素子を具備する人感センサを設けてもよい。この場合には、画像センサ1と人感センサとを用いて人体20を検知することによって、人体20の検知精度をさらに向上させることが可能となる。
【0061】
(実施形態3)
本実施形態の照明制御システムの基本構成は実施形態2と同じであり、図8に示すように画像センサ1が照明器具14に固定されていない点など(内蔵されていない点など)が実施形態2と相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0062】
以下、本実施形態の照明制御システムについて、図8および図9を参照しながら説明する。
【0063】
本実施形態の照明制御システムは、複数の照明器具14と、これらの照明器具14を制御する照明制御端末13とを有する。なお、複数の照明器具14は、図示しない商用電源に電気的に接続されている。また、照明制御端末13は、信号線15を介して複数の照明器具14に電気的に接続されている。
【0064】
照明制御端末13は、図9に示すように、画像センサ1と、制御部2と、記憶部3と、制御部2から検知信号S1が入力されたときに複数の照明器具14を調光するための調光信号S2を生成して出力する調光信号生成部16とを備えている。また、照明制御端末13は、造営面(例えば、天井面29など)に設置されている。なお、画像センサ1は、撮像手段が下方を撮像できるように照明制御端末13に固定されている。
【0065】
調光信号生成部16は、FET(FieldEffect Transistor)などのスイッチング素子により構成されており、生成した調光信号S2を、信号線15を介して複数の照明器具14へ出力する。なお、調光信号生成部16は、制御部2に設けてもよい。
【0066】
以上説明した本実施形態の照明制御システムは、照明制御端末13を有することによって、複数の照明器具14を一括制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像センサ
2 制御部
5 照明器具
12 所定範囲
14 照明器具
19 マーカー
20 人体
I30 差分画像
G30 差分画像群


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具と、所定範囲を撮像する撮像手段を具備する画像センサと、前記所定範囲内の人体の在否に基づいて前記照明器具を制御する制御部とを備え、前記制御部は、複数の期間において前記画像センサにより取得された各画像の差分画像群に繰り返し現れた物体を、周期的な動作をする周期動作物体と判定し、且つ、人体と判定せず、前記差分画像群に繰り返し現れた物体を前記周期動作物体と判定したのちに、前記画像センサにより取得された画像の差分画像に基づいて前記所定範囲内の人体の在否を判定することを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記差分画像群に繰り返し現れた物体を前記周期動作物体と判定したのちに、前記差分画像群において前記周期動作物体が繰り返し現れた領域を、前記所定範囲内に人体が存在するか否かを判定する対象から除外することを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御部には、前記差分画像の画素値に対して前記所定範囲内に人体が存在するか否かを判定するためのしきい値が設定されており、前記しきい値は、前記差分画像に対して前記周期動作物体が繰り返し現れた領域の第1のしきい値と、前記差分画像に対して前記周期動作物体が繰り返し現れた領域以外の領域の第2のしきい値とを有してなり、前記第1のしきい値が前記第2のしきい値よりも大きく設定されてなることを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像センサにより取得された各画像間で画素ごとに差分したのちに、前記画像センサにより取得された各画像間において差分が検出された領域のみを差分することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像センサにより取得された一定数の画像をx行y列のエリアごとに分割し、x行y列のエリアごとに分割された各画像に対して前記周期動作物体が存在するエリアを所定の回数抽出したのちに、前記画像センサにより取得された画像に対して前記周期動作物体が存在するエリアとして抽出された頻度が高いエリアを、前記周期動作物体を検出するための画像処理を行うエリアとして限定することを特徴とする請求項4記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、人体の在否を検出するための通常モードと異なる設定モードを有し、前記設定モードの状態のときに、前記画像センサにより取得された画像において前記周期動作物体に付されたマーカーが検出された場合、前記画像センサにより取得された画像において前記マーカーを含む一定範囲の領域を、前記画像処理を行う領域として限定することを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−155918(P2012−155918A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12532(P2011−12532)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】