説明

照明装置

【課題】照明光の均斉度を損なうことなく簡単な構成で高いユニット効率を実現し光軸方向のサイズを小型化でき、設計の自由度を向上することができる照明装置を提供する。
【解決手段】発光素子17からの出射光を反射面15で反射して平行光を生成する反射型のLED12を光源としてもちい、このLED12で生成された平行光をフライアイレンズ22の各レンズ部22bに入射させる。これにより、コリメーションレンズ等を用いることのない簡単な構成で、照明光の均斉度を損なうことなく照明装置1の光軸方向のサイズを小型化できる。しかも、反射面15の作用によってLED12自体が平行光を生成するため、LED基板11上におけるLED12の実装位置は、フライアイレンズ22の入射側に正対する位置であれば特段の制約を受けず、設計の自由度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マップランプやステップランプ等の車載用照明、或いは、ダウンライトや看板照明等の各種照明のように特定の照射領域を均一に照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特定の照射領域に光を照射する照明装置においては、照射領域に均一照度の光を照射することが要求される。このような均一照度の光を得るための技術として、例えば、特許文献1には、点光源として扱うことが可能な発光ダイオード(LED)を光源として用い、LEDから出射される光をコリメーションレンズで平行光に変換してフライアイレンズの各レンズ部に入射させ、各レンズ部に入射させた光を互いに重畳する位置に出射させることで、均一照度の照明光を生成する技術が開示されている。
【特許文献1】2005−259653公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術において、LEDからの出射光をコリメーションレンズで平行光に変換するためには、LEDとコリメーションレンズとを適切な光軸距離で精度よく離間させる必要があり、構造が複雑化する。しかも、このようにLEDからコリメーションレンズまでの間に所定距離を必要とする上述の技術では、LEDから出射される光線の一部しかレンズに入射されないためユニット効率が低く、照明装置のサイズを光軸方向に小型化させるには限界がある。また、上述の技術では、LEDとコリメーションレンズのレンズ部とを1対1で対応させる必要があるため、設計の自由度が小さく、LEDの配置等が大きく制限される。
【0004】
本発明は、照明光の均斉度を損なうことなく簡単な構成で高いユニット効率を実現し、光軸方向のサイズを小型化でき、しかも、設計の自由度を向上することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、発光素子と当該発光素子に対向する反射面とを有し、前記発光素子からの出射光を前記反射面で反射して平行光を生成する反射型発光ダイオードと、マトリクス状に配列する複数のレンズ部を有し、前記反射型発光ダイオードで生成された平行光を前記各レンズ部で入射して互いに重畳する位置に出射するフライアイレンズとを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の照明装置によれば、照明光の均斉度を損なうことなく簡単な構成で高いユニット効率を実現し、光軸方向のサイズを小型化でき、しかも、設計の自由度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1,2は本発明の第1の実施形態に係わり、図1は照明装置の要部断面図、図2は照明装置の分解斜視図である。
【0008】
図1,2に示す照明装置1は、例えば、車載のマップランプ等に好適な照明装置であり、この照明装置1は、発光ダイオード(LED)12を光源とする光源ユニット10と、この光源ユニット10に冠設する筐体20とを有する。
【0009】
光源ユニット10は、LED基板11を有する。LED基板11は、例えば、平面略矩形形状をなし、その略中央部に半田付け等によって、LED12を保持する。さらに、LED基板11には、LED12を図示しない電源回路と電気的に接続するためのコネクタ13が固設されている。なお、LED12の発光効率を向上するため、LED基板11は、例えば、熱伝導性の高いアルミ基板等で構成されている。
【0010】
ここで、LED12は、発光素子17に反射面15が対向配置された反射型発光ダイオードで構成されている。具体的に説明すると、本実施形態において、LED12は、反射枠体14を有し、この反射枠体14には、例えば、回転放物線形状をなす反射面15が凹設されている。また、反射枠体14には、互いに対向する側壁に沿って、一対のリードフレーム16a,16bが配設されている。各リードフレーム16a,16bの中途は反射枠体14の上部で内側に折曲され、これにより、各リードフレーム16a,16bの端部が反射面15に臨まされている。これらリードフレーム16a,16bのうち、一方のリードフレーム16aは、その端部が反射面15の焦点位置まで延設され、このリードフレーム16aの端部には、反射面15に対向する面上に、発光素子17がマウントされている。また、他方のリードフレーム16bの端部は、リード線16cを介して、発光素子17に接続されている。これにより、発光素子17のアノード及びカソードは、リードフレーム16a,16bを介してLED基板11にそれぞれ電気的に接続され、発光素子17は、通電時に、反射面15に向けて光を発光する。そして、反射面15は、発光素子17から発光された光を反射することにより、平行光を生成する。
【0011】
筐体20は、LED12の光軸O方向に沿う筒状形状をなし、LED12からの出射光を均一照度の照明光に調光するためのレンズ光学系21を内部に収容する。本実施形態において、筐体20は、略円筒形状をなし、先端部に内向フランジ20aが設けられている。また、筐体20の基端部には、光源ユニット10のLED基板11が当接する外向フランジ20bが設けられている。
【0012】
レンズ光学系21は、入射面側がLED12に対向するフライアイレンズ22と、このフライアイレンズ22とLED基板11との間に介在するスペーサ23とを具備する。
【0013】
フライアイレンズ22は、例えば、筐体20の内周に外周が摺接する環状のフランジ部22aの内側に、複数のレンズ部22bがマトリクス状に一体形成された光透過性の樹脂成型品で構成されている。
【0014】
また、スペーサ23は、例えば、筐体20の内周に外周が摺接する略円筒形状をなす樹脂成型品で構成されている。このスペーサ23は、先端面がフライアイレンズ22の入射側でフランジ部22aに当接されることにより、フライアイレンズ22をLED12から光軸O方向に所定距離離間させる。
【0015】
これらレンズ光学系21の各構成部材22,23は、例えば、図1に示すように、フライアイレンズ22、スペーサ23の順に、筐体20の基部側の開口部20cを通じて筐体20内に収容される。そして、各構成部材22,23の収容後に、筐体20の外向フランジ20bには、光源ユニット10のLED基板11がネジ止め等によって固設される。
【0016】
これにより、筐体20の基部側の開口部20cが閉塞されると共に、LED12が筐体20内に露呈される。また、基端面がLED基板11に当接するスペーサ23と、筐体20の内向フランジ20aとの間に、フライアイレンズ22が挟持される。そして、フライアイレンズ22の各レンズ部22bは、LED12から入射する平行光を互いに重畳する位置に出射することにより、特定の照射領域を均一に照射する。
【0017】
なお、外向フランジ20bに対するLED基板11の固定は、ネジ止めに限定されるものではなく、例えば、プッシュナット、熱溶着、或いは接着等によって行われてもよい。
【0018】
このような実施形態によれば、発光素子17からの出射光を反射面15で反射して平行光を生成する反射型のLED12を光源として用い、このLED12で生成された平行光をフライアイレンズ22の各レンズ部22bに入射させることにより、コリメーションレンズ等を用いることのない簡単な構成で、照明光の均斉度を損なうことなく照明装置1の光軸方向のサイズを小型化できる。しかも、反射面15の作用によってLED12自体が平行光を生成するため、発光素子17からの出射光のほとんどをフライアイレンズ22に入射させることができ、ユニット効率を向上することができる。さらに、反射面15の作用によってLED12自体が平行光を生成するため、LED基板11上におけるLED12の実装位置は、フライアイレンズ22の入射側に正対する位置であれば特段の制約を受けず、設計の自由度を向上させることができる。
【0019】
次に、図3,4は本発明の第2の実施形態に係わり、図3は照明装置の要部断面図、図2は照明装置の分解斜視図である。なお、本実施形態においては、フライアイレンズ22の入射側に遮光マスクを一体的に保持させた点が上述の第1の実施形態と主として異なる。その他、同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、フライアイレンズ22において、少なくとも、フランジ22aの入射側のフランジ面は、その光軸O方向の高さが、各レンズ部22bの入射側の高さと略一致する高さで形成されている。すなわち、フランジ22aの入射側のフランジ面は、各レンズ部22bの入射側の頂部と略同等の突出量でLED基板11側に突設されている。そして、この入射側のフランジ面が、フライアイレンズ22に遮光マスク30を一体的に保持するための遮光マスク保持面22cとして設定されている。
【0021】
図3,4に示すように、遮光マスク30は遮光性を有するフィルム材で構成され、このフィルム面上には、フライアイレンズ22の各レンズ部22bにそれぞれ対応した所定模様の透光部30aが開口されている。
【0022】
ここで、遮光マスク保持面22c上には、光軸Oを中心とする非対称位置に、複数(例えば3本)のピン22dが突設されており、遮光マスク30は、これらのピン22dを介して遮光マスク保持面22c上に保持される。
【0023】
具体的に説明すると、各ピン22dは先細りの円柱形状をなすピンで構成されている。一方、遮光マスク30には、各ピン22dに対応する位置にピン穴30bが開口されている。本実施形態において、各ピン22dの基部側の径は、各ピン穴30bの開口径と略一致するように設定されており、各ピン22dの基部に各ピン穴30bが圧入することによって、遮光マスク30は遮光マスク保持面22c上に保持されている。すなわち、本実施形態において、遮光マスク30は、遮光マスク保持面22cから突設する複数のピン22dで貫通支持されることにより、各レンズ部22bと各透光部30aとが精度よく対応付けられた状態で、遮光マスク保持面22c上に保持されるようになっている。その際、各ピン22dの配設位置が光軸Oを中心とする非対称位置に設定されることにより、遮光マスク30の誤組が的確に防止されるようになっている。なお、図3に示すように、スペーサ23の先端面には、各ピン22dに対応する逃げ穴23aが開口されている。
【0024】
このような実施形態によれば、上述の実施形態で得られる効果に加え、各レンズ部22bに対応して遮光マスク30に開口する透光部30aを任意の模様形状に形成することにより、照明光で任意の模様を形成できるという効果を奏する。
【0025】
次に、図5乃至図7は本発明の第3の実施形態に係わり、図5は照明装置の要部断面図、図6は照明装置の分解斜視図、図7は光源ユニットの変形例を示す斜視図である。なお、本実施形態においては、光源として複数のLED12をLED基板11に実装した点が上述の各実施形態と異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0026】
図5,6に示すように、本実施形態の光源ユニット10は、LED基板11上に、例えば、4個のLED12が実装されて要部が構成されている。これら各LED12は、例えば、各々がフライアイレンズ22の入射面に対して正対された状態で所定の間隔毎隔ててLED基板11上に配列され、各レンズ部22bに平行光を供給する。
【0027】
このような実施形態によれば、上述の実施形態で得られる効果に加え、複数のLED12をLED基板11上に実装することにより、照明光の光量アップを容易に実現できるという効果を奏する。この場合、特に、個々のLED12が平行光を生成する構成であり、しかも、フライアイレンズ22は各レンズ部22bの作用によって入射光の輝度ムラを分散させる機能を有するため、光源ユニット10に要求される形状やサイズ等に応じて、LED12をLED基板11上の任意の位置に実装させることができ、照明光の光量アップを効率よく実現できる。
【0028】
ここで、LED12の実装効率を向上させるため、例えば、図7に示すように、反射枠体14の光軸O方向からの平面視形状を正六角形に形成し、各LED12をハニカム状に配列させてフライアイレンズ22に対向することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わり、照明装置の要部断面図
【図2】同上、照明装置の分解斜視図
【図3】本発明の第2の実施形態に係わり、照明装置の要部断面図
【図4】同上、照明装置の分解斜視図
【図5】本発明の第3の実施形態に係わり、照明装置の要部断面図
【図6】同上、照明装置の分解斜視図
【図7】同上、光源ユニットの変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1…照明装置、10…光源ユニット、11…LED基板、12…発光ダイオード(反射型発光ダイオード)、14…反射枠体、15…反射面、16a,16b…リードフレーム、16c…リード線、17…発光素子、21…レンズ光学系、22…フライアイレンズ、22a…フランジ部、22b…レンズ部、22c…遮光マスク保持面、22d…ピン、30…遮光マスク、30a…透光部、30b…ピン穴、O…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と当該発光素子に対向する反射面とを有し、前記発光素子からの出射光を前記反射面で反射して平行光を生成する反射型発光ダイオードと、
マトリクス状に配列する複数のレンズ部を有し、前記反射型発光ダイオードで生成された平行光を前記各レンズ部で入射して互いに重畳する位置に出射するフライアイレンズとを具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記フライアイレンズに対し、複数の前記反射型発光ダイオードを対向させたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記各反射型発光ダイオードの前記反射面が凹設する反射枠体の光軸方向からの平面視形状を正六角形に形成し、
前記各反射型発光ダイオードをハニカム状に配列させて前記フライアイレンズに対向させたことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射型発光ダイオードと前記フライアイレンズとの間に介装され、前記フライアイレンズの各レンズ部に入射する光を制限する遮光手段を具備したことを特徴とする請求項1請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−294197(P2007−294197A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119769(P2006−119769)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】