照明装置
【課題】光源にLEDを用いて混色光を出射する照明装置であって、使用時間が長くなっても照射された光の色の変化を抑制するとともに、照射光の色の個体差を低く抑えることができる照明装置を提供する。
【解決手段】LED素子と、前記LED素子が実装される構造体と、LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、前記蛍光部材は前記LED素子から離隔配置されている。
【解決手段】LED素子と、前記LED素子が実装される構造体と、LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、前記蛍光部材は前記LED素子から離隔配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源としてLEDを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、低電圧で高効率の光を照射することができるので、従来用いられている蛍光灯やフィラメントを用いた電球に比べて、消費電力を低減することができる。この特長により、LEDは照明装置の光源として用いられることが多くなっている。
【0003】
通常の照明装置のような白色光を出射するLEDパッケージはLED素子から出射された光は前記LED素子の外部に配置された蛍光部材を通過するときに、波長変換されて所望の混色光(白色光)の光として放出される。例えば、青色光を出射するLED素子に蛍光部材を取り付けたLEDパッケージでは、LED素子より出射される青色光と、前記蛍光部材にて変換された黄色光とが混合された白色光が出射される(例えば、特開2008−227485号公報参照)。
【特許文献1】特開2008−227485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LED素子は駆動されることで従来の蛍光灯や電球ほどではないが、発熱する。LED素子から発せられた熱は、LED素子と近接配置されている蛍光部材にも伝達され、前記蛍光部材の温度は上昇する。前記蛍光部材は温度が上昇することで、光変換効率が低下する。
【0005】
LED素子の発熱量は個体によって異なることが多く、前記LED素子からの発熱によって熱せられる前記蛍光部材の光変換効率も個体によってばらつきが出てしまう。これは、前記照明装置より出射される白色光(混色光)の色度の個体ごとのばらつきの原因となり、前記照明装置の歩留まりが悪化する原因となる。
【0006】
また、前記蛍光部材は高温状態で使用を続けると、徐々に劣化する。この蛍光部材の劣化により、光変換効率が徐々に低下する。この蛍光部材の劣化は、達している温度に左右されるものであり、LED素子からの熱量に差がある場合、同じ時間使用したとしても、前記蛍光部材の光変換効率に差が出てしまう。これにより、前記照明装置は、各個体ごとに出射される白色光(混色光)の色度のばらつきが発生してしまい、前記照明装置の特性が悪くなる。
【0007】
そこで本発明は、光源にLEDを用いて混色光を出射する照明装置であって、使用時間が長くなっても照射された光の色度の変化を抑制するとともに、照射光の色の個体差を低く抑えることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、LED素子と、前記LED素子が実装されるリード電極を備えた構造体と、前記構造体に取り付けられ、前記LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、前記蛍光部材は前記LED素子から離隔配置されている。
【0009】
この構成によると、前記LED素子と前記蛍光部材とが離隔配置されているので、前記LED素子の駆動による熱が、前記蛍光部材に伝達されるのを抑制することが可能である。これにより、前記蛍光部材の温度が上昇するのを抑制することができ、前記蛍光部材の温度による光変換効率が低下するのを抑制し、劣化の速度を遅らせることが可能である。これにより、照明装置から出射される白色光(混色光)の色度が温度上昇及び(又は)動作時間による変化の変化量を小さくすることが可能である。
【0010】
また、前記蛍光部材の温度を前記LED素子の温度よりも低くすることができ、前記蛍光部材の劣化速度と前記LED素子の劣化速度を同じ又は略同じにすることが可能である。これにより、照明装置より出射される白色光(混色光)の品質の劣化速度を低下させることが可能である。
【0011】
上記構成において、前記蛍光部材は前記カバー部材の前記透過部の前記LED素子と対向する側に配置されていてもよい。
【0012】
上記構成において、前記カバー部材は前記透過部の辺縁部の少なくとも一部より突出された側壁部を備えていてもよく、このとき、前記側壁部が筒状に形成されていてもよい。
【0013】
前記側壁部には前記LED素子より出射された光が透過するのを抑制する遮光処理が施されていてもよく、前記蛍光部材が配置されていてもよい。
【0014】
上記構成において、前記構造体は前記LED素子が実装された平板状の配線基板であってもよい。
【0015】
上記構成において、前記構造体は、底面部に前記LED素子が実装された凹部が形成された立体形状であり、前記カバー部材は前記凹部の開口部を覆い、前記側壁部が前記構造体の外壁部と接触するように前記構造体に外嵌されるものであってもよい。
【0016】
上記構成において、前記構造体の外壁部には前記カバー部材の側壁部に形成された係合凸部が係合される係合部が複数個形成されており、前記カバー部材は前記係合凸部と係合される係合凹部を選択することで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整することができるようにしてもよい。また、前記カバー部材の透過部及び前記構造体の前記開口部が形成された面は同じ点対称の形状で形成されており、前記構造体の外壁部には、前記開口部が形成された面からの距離が異なる複数の係合部が形成されており、前記カバー部材の側壁部は前記透過部の前記構造体の前記開口部が形成された面に対する角度によって、異なる係合部と係合する被係合部を備えていてもよい。
【0017】
この構成によると、前記LED素子と前記蛍光部材との距離を調整することができるので、前記LED素子の発熱量の個体差にかかわらず、前記蛍光部材に伝達される熱の量を一定の範囲内に調整することができる。これにより、前記蛍光部材の温度による、光変換効率の低下及び劣化の速度を調整することが可能である。
【0018】
上記構成において、前記透過部がフレネルレンズで形成されていてもよく、リニアフレネルレンズ、又は凸レンズで形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、光源にLEDを用いて混色光を出射する照明装置であって、使用時間が長くなっても照射された光の色の変化を抑制するとともに、照射光の色の個体差を低く抑えることができる照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明における線状照明装置について図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる照明装置の斜視図であり、図2は図1に示す照明装置の断面図である。
【0021】
図面に示すように、照明装置Aは、テーパー状の凹部を備える箱型の構造体であるケース1と、ケース1の内部に実装されたLED素子2と、ケース1の凹部の開口部を覆うカバー部材3と、カバー部材3に配置された蛍光部材4とを備えている。
【0022】
ケース1は、樹脂を成形して作製された上面が正方形の直方体形状の立体物である。ケース1は、上面側に開口部12が形成された凹部11を備えている。凹部11は開口部12に向けて拡大するテーパー形状の穴であり、断面円形状を有しているがそれに限定されるものではない。凹部11の内壁面111はLED素子2より出射された光を反射する反射部として用いられる。また、ケース1には、導電性を有する金属板である第1リード電極13と、第2リード電極14とが挿入されている。第1リード電極13及び第2リード電極14の一部は互いに接触しないように、凹部11の内部に配置されている。なお、ケース1として樹脂の成形体が例示されているがこれに限定されるものではなく、金属の成形体であってもよい。
【0023】
LED素子2は、青色波長の光を出射する発光ダイオード素子である。LED素子2は
第1リード電極13上に実装されており、ボンディングワイヤー21を介して第2リード電極14と接続されている。LED素子2は凹部11の底部の中央に配置されている。LED素子2は第1リード電極13と第2リード電極14とを介して電力が供給されており、電力が供給されることでLED素子2から光が出射される。ここでは、LED素子2から出射される光は青色波長の光である。なお、本実施形態のLED素子2の実装方法は第1リード電極13上に実装されたものを示しているが、これに限定されるものではなく、LED素子2として2ワイヤーのLED素子を用いることで、LED素子を電極以外の場所に配置することも可能である。また、以上の方法に限定されるものではなく、LED素子を凹部11の底部の中央又は中央近傍に配置される実装方法を広く採用することが可能である。
【0024】
カバー部材3はケース1の開口部12が形成されている面と同じ形状(正方形)を有し、前記LED素子より出射された光が透過する透過部31と、透過部31の辺縁部に連結された筒状の側壁部32とを有している。図1に示すように透過部31はフレネルレンズが形成されており、LED素子2より出射された光の指向性及び輝度を上げることができる。フレネルレンズは透過部31の側壁部32が連結されているのと反対側に形成されている。
【0025】
なお、透過部31は、フレネルレンズに限定されるものではなく、透過する光を集光或いは平行光にさせる光学素子、例えば、リニアフレネルレンズが形成されているもの、プリズムシートが貼付されているもの、凸レンズ等を挙げることができる。
【0026】
カバー部材3の側壁部32はケース1の外壁部10と接触するように、ケース1に外嵌される。カバー部材3の透過部31がケース1の開口部12を覆うように配置される。カバー部材3はケース1に適切に配置された状態で、側壁部32がケース1の外壁部10に接着される。このとき、カバー部材3の透過部31とLED素子2との間には空間が形成されている。
【0027】
蛍光部材4は、カバー部材3の透過部31の開口部12と対向する部分に配置されているものである。蛍光部材4の配置は例えば次のように行われる、すなわち、硬化前の蛍光部材4は流動体であり、側壁部32が上方となる状態でカバー部材3を保持し、透過部31に流動させる。流動体の蛍光部材4が透過部31上に均一又は略均一に流し込まれた状態で硬化させる。このようにして、流動させて配置させることで、蛍光部材4を均一又は略均一な厚さとなるように配置することができる。また、これに限定されるものではなく、シート状に形成された蛍光部材4を貼り付けるもの、液状の蛍光部材4を塗布するもの等を採用することが可能である。なお、蛍光部材4はLED素子2より出射された青色の波長の光の一部を黄色の波長の光に変換するものである。青色の波長の光と黄色の波長の光を混成することで、白色の混色光が照射される。
【0028】
蛍光部材4はカバー部材3の透過部31に配置されているので、蛍光部材4はLED素子2と空間を挟んで配置される。これにより、LED素子2が駆動されることでLED素子2からの熱が蛍光部材4に伝達されにくく、蛍光部材4の温度が上昇しにくい。これにより、温度上昇による蛍光部材4の光変換効率の低下を抑制することができる。また、光照射時の蛍光部材4の温度上昇を抑えることで、蛍光部材4の劣化を低減することができ、照明装置Aより出射される白色光(混色光)の色度が変化してしまうのを抑制することが可能である。
【0029】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかる照明装置の断面図である。図3に示す照明装置BはLED素子2を保持する部材として、ケース1の代わりに基板5が用いられているものである。これ以外の部分は照明目装置Aと同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分は同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分の説明は省略する。
【0030】
図3に示すように、照明装置Bは基板5に配置された第1リード電極51と、第2リード電極52とを備えている。第1リード電極51と第2リード電極52とは、非接触であり、第1リード電極51にLED素子2が実装されている。また、LED素子2にはボンディングワイヤー21が備えられており、ボンディングワイヤー21は第2リード電極52と接続されている。第1リード電極51及び第2リード電極52とを用いて、LED素子2に電力を供給している。LED素子2は基板5の上面より上方に向かって光を出射できるように配置されている。
【0031】
カバー部材3は、筒状の側壁部32の透過部31が連結されているのと反対側の端部が、基板5と接触するように配置されている。これにより、透過部31は基板5から側壁部32の長さだけ隔てて配置されるものであり、基板5上に配置されたLED素子2と透過部31との間には空間が形成される。さらに、LED素子2と蛍光部材4との間にも空間が形成されているので、LED素子2より発せられる熱が、蛍光部材4に到達しにくくそれだけ、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができる。また、LED素子2の駆動時の熱が蛍光部材4に伝わりにくいので、蛍光部材4の温度による劣化を抑制することができ、照明装置Bから照射される白色光(混色光)の色度が変化するのを抑制することが可能である。
【0032】
本発明にかかる照明装置の他の例について、図面を参照して説明する。図4は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図4に示す照明装置Cは蛍光部材4cが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0033】
図4に示すように、照明装置Cに用いられるカバー部材3の透過部31及び側壁部32は内面に蛍光部材4cが形成されている。このように、蛍光部材4cが側壁部32にまで形成されていることで、LED素子2より出射された光が、カバー部材3の側壁部32を透過する場合であっても、透過する光の一部が波長変換され白色光として、照明装置Cの外部に出射される。これにより、照明装置Cより出射される光の色度を、所望の色度にすることができ、照射される光の質が低下するのを抑制することが可能である。
【0034】
また、側壁部32にも蛍光部材4cが配置されているので、ケース1の開口部12が形成されている面から透過部31が離れた状態でカバー部材3を取り付け固定することができる。カバー部3とケース1とで囲まれる空間が大きくなり、それだけ、蛍光部材4cに熱が伝達されにくく、蛍光部材4cの温度上昇を低減することが可能である。そして、蛍光部材4cの光変換効率の低下を抑制し、長期使用時の温度による劣化を低減することができる。また、照明装置Cより出射される白色光(混色光)の色度の低下を抑制することが可能である。
【0035】
なお、本例では蛍光部材4cが配置されたカバー部材3がケース1に外嵌されるものを示しているが、図3に示すような基板5の上面に実装されたLED素子2を囲むように配置してもよい。
【0036】
図5は本発明にかかる照明装置の断面図である。図5に示す照明装置C2では、カバー部材3の側壁部32が基板5の上面に配置されている。照明装置C2では、LED素子2より出射された光で側壁部32を透過する光は、側壁部32に形成されている蛍光部材4cを透過する。これにより、LED素子2より出射された光はすべて又は略すべて蛍光部材4cを透過するので、照明装置C2より出射される白色光(混色光)の色度は、側壁部32に蛍光部材が配置されていないものに比べて、ばらつきにくい。
【0037】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図6に示す照明装置Dはカバー部材3dが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0038】
図6に示すように、照明装置Dに用いられるカバー部材3dは側壁部32dに光が透過するのを抑制する遮光部33dが形成されている。このように、遮光部33dが側壁部32dに形成されていることで、LED素子2より出射された光が、カバー部材3dの側壁部32dを透過するのを抑制することができる。これにより、照明装置Dより出射される光の色度を、所望の色度にすることができ、照射される光の質が低下するのを抑制することが可能である。
【0039】
また、側壁部32dに遮光部33dが形成されているので、ケース1の開口部12が形成されている面から透過部31が離れた状態でカバー部材3dを取り付け固定することができる。カバー部3dとケース1とで囲まれる空間が大きくなり、それだけ、蛍光部材4に熱が伝達されにくく、蛍光部材4の温度上昇を低減することが可能である。そして、蛍光部材4の光変換効率の低下を抑制し、長期使用時の温度による劣化を低減することができる。また、照明装置Dより出射される白色光(混色光)の色度の低下を抑制することが可能である。なお、遮光部33dとしては、LED素子2から出射された光を吸収するもの(例えば、黒色の塗装)や、LED素子2から出射された光を反射するもの(例えば、鏡面状に形成されているもの)等を採用することが可能である。
【0040】
なお、本例では、遮光部33dがカバー部材3dの外面部に形成されているが、それに限定されるものではなく、内面部に形成されていてもよい。また、本例では遮光部33dが形成されたカバー部材3dがケース1に外嵌されるものを示しているが、図3で示したような、基板5の上面に実装されたLED素子2を囲むように配置してもよい。
【0041】
図7は本発明にかかる照明装置の他の例の断面図である。図7に示す照明装置D2では、基板5の上部にカバー部材3dが配置されている。照明装置D2では、LED素子2より出射された光で側壁部32を透過する光は、側壁部32に形成されている遮光部33dにて遮断される。これにより、LED素子2より出射された光が単色光のまま外部に出射されるのを抑制することができ、照明装置C2より出射される白色光(混色光)の色度は、側壁部32に遮光部33dが配置されていないものに比べて、ばらつきにくい。
【0042】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図8に示す照明装置Eはカバー部材3eが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0043】
図8に示すように照明装置Eに用いられるカバー部材3eは、側壁部32eが筒状ではなく、2個の平板状の壁部が対向して配置されているものである。このように、2個の平板状の側壁部32eが備えられているカバー部材3eを用いることで、側壁部32eを変形させてケース1に取り付けることができるので、ケース1及び(又は)カバー部材3eに誤差がある場合でも、カバー部材3eをケース1に外嵌することが可能である。
【0044】
図8に示すカバー部材3eの製造方法について図面を参照して説明する。図9は図8に示す照明装置のカバー部材の製造方法の手順を示す図である。図9に示すように、断面U字状の溝状部材Geの底面に蛍光部材4を形成する。そして、蛍光部材4が形成された溝状部材Geを長手方向に切断することで、カバー部材3eを形成することが可能である。カバー部材3eは簡単、容易に形成することが可能である。
【0045】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図8に示す照明装置Fはケース1f及びカバー部材3fが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0046】
図10に示すように、ケース1fは外壁部10fに、上面と平行に形成され、上面と直交する方向に配列された係合凹部15fが形成されている。また、カバー部材3fの側壁部32fは内側に、係合凹部15fと係合される係合凸部34fが形成されている。
【0047】
図10に示す係合凹部15fのいずれかに係合凸部34fを係合させることで、透過部32(すなわち、蛍光部材4)とLED素子2との距離を段階的に調整することが可能である。LED素子2は個体ごとに発熱量が異なるため、LED素子2と蛍光部材4との距離を調整することができる。これにより、照明装置Fより出射される白色光(混色光)の色度の個体差が出にくくなる。また、蛍光部材4が達する温度を一定にすることができるので、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができ、劣化を遅くすることが可能である。なお、図10に示す照明装置Fでは、ケース1fに係合凹部15fが、カバー部材3fに係合凸部34fが形成されているものが示されているが、それに限定されるものではなく、凸部がケースに凹部がカバー部材に形成されていてもよい。
【0048】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材を装着した状態の断面図であり、図12は図11に示す照明装置の平面図であり、図13は図11に示す照明装置のカバー部材をケースに対して切り欠き部が移動するようにねじった状態で装着した状態の断面図である。なお、図11に示す照明装置Gはケース1g及びカバー部材3gが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0049】
図11に示すように、ケース1gの外壁部10gには、係合部として外側に突出された突起部16gが形成されている。突起部16gは外壁部10gによって、上面からの距離が異なるように形成されている。また、カバー部材3gの係合側壁部32gは断面正方形状の一辺を形成する部分が他の側壁部32よりも長く形成されており、その長く形成された係合側壁部32gには突起部16gと係合する被係合部である切り欠き部35gが形成されている。
【0050】
カバー部材1gを透過部31が上面と平行な状態を保ってねじることで、切り欠き部35gが形成されている係合側壁部32gが異なる外壁部10gと当接する(図12参照)。突起部16gは外壁部10gによって上面からの距離が変わるので、図13に示すように透過部31とケース1の上面との距離を図11に示した状態に比べて長くすることができる。
【0051】
ケース1gの外壁部10gの各面に形成された突起部16gのうち、係合側壁部32gの切り欠き部35gと係合される突起部16gを適切に選択することで、透過部31(すなわち、蛍光部材4)とLED素子2との距離を適切な値に調整することが可能である。LED素子2の個体差による発熱量に差がある場合であっても、蛍光部材4までの距離を調整することで、蛍光部材の温度を一定にすることができるので、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができ、劣化を遅くすることが可能である。なお、被係合部として切り欠き部35gを例に示しているが、側壁部の先端部が突起部と接触することで距離を変更できる被係合部とされていてもよい。
【0052】
また、カバー部材をケースに対してねじって配置することで距離を調整することはできないが、点対称でないものであってもよい。さらに、上記構成において照明装置は、LED素子を1つ備えたものが挙げられているが、それに限定されるものではなく、複数個のLED素子が備えられているものであってもよい。
【0053】
さらに、LED素子として青色の光、蛍光部材として青色の光の波長を黄色の光の波長に変換するものを用いているがそれに限定されるものではなく、LED素子から出射される光と、蛍光部材で変換された光とを混合することで、白色光又は所望の混色光を得ることができるLED素子及び蛍光部材を用いることが可能である。
【0054】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、照射目標に光を照射する照明装置として採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は、本発明にかかる照明装置の斜視図である。
【図2】は、図1に示す照明装置の断面図である。
【図3】は、本発明にかかる照明装置の他の例の断面図である。
【図4】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図5】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図6】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図7】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図8】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図9】は、図8に示す照明装置のカバー部材の製造方法の手順を示す図である。
【図10】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図11】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材を装着した状態の断面図である。
【図12】は、図11に示す照明装置の平面図である。
【図13】は、図11に示す照明装置のカバー部材をねじって装着したときの断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A〜G 照明装置
1 ケース
11 凹部
12 開口部
13 第1リード電極
14 第2リード電極
2 LED素子
3 カバー部材
31 透過部
32 側壁部
4 蛍光部材
【技術分野】
【0001】
本発明は光源としてLEDを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、低電圧で高効率の光を照射することができるので、従来用いられている蛍光灯やフィラメントを用いた電球に比べて、消費電力を低減することができる。この特長により、LEDは照明装置の光源として用いられることが多くなっている。
【0003】
通常の照明装置のような白色光を出射するLEDパッケージはLED素子から出射された光は前記LED素子の外部に配置された蛍光部材を通過するときに、波長変換されて所望の混色光(白色光)の光として放出される。例えば、青色光を出射するLED素子に蛍光部材を取り付けたLEDパッケージでは、LED素子より出射される青色光と、前記蛍光部材にて変換された黄色光とが混合された白色光が出射される(例えば、特開2008−227485号公報参照)。
【特許文献1】特開2008−227485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LED素子は駆動されることで従来の蛍光灯や電球ほどではないが、発熱する。LED素子から発せられた熱は、LED素子と近接配置されている蛍光部材にも伝達され、前記蛍光部材の温度は上昇する。前記蛍光部材は温度が上昇することで、光変換効率が低下する。
【0005】
LED素子の発熱量は個体によって異なることが多く、前記LED素子からの発熱によって熱せられる前記蛍光部材の光変換効率も個体によってばらつきが出てしまう。これは、前記照明装置より出射される白色光(混色光)の色度の個体ごとのばらつきの原因となり、前記照明装置の歩留まりが悪化する原因となる。
【0006】
また、前記蛍光部材は高温状態で使用を続けると、徐々に劣化する。この蛍光部材の劣化により、光変換効率が徐々に低下する。この蛍光部材の劣化は、達している温度に左右されるものであり、LED素子からの熱量に差がある場合、同じ時間使用したとしても、前記蛍光部材の光変換効率に差が出てしまう。これにより、前記照明装置は、各個体ごとに出射される白色光(混色光)の色度のばらつきが発生してしまい、前記照明装置の特性が悪くなる。
【0007】
そこで本発明は、光源にLEDを用いて混色光を出射する照明装置であって、使用時間が長くなっても照射された光の色度の変化を抑制するとともに、照射光の色の個体差を低く抑えることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、LED素子と、前記LED素子が実装されるリード電極を備えた構造体と、前記構造体に取り付けられ、前記LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、前記蛍光部材は前記LED素子から離隔配置されている。
【0009】
この構成によると、前記LED素子と前記蛍光部材とが離隔配置されているので、前記LED素子の駆動による熱が、前記蛍光部材に伝達されるのを抑制することが可能である。これにより、前記蛍光部材の温度が上昇するのを抑制することができ、前記蛍光部材の温度による光変換効率が低下するのを抑制し、劣化の速度を遅らせることが可能である。これにより、照明装置から出射される白色光(混色光)の色度が温度上昇及び(又は)動作時間による変化の変化量を小さくすることが可能である。
【0010】
また、前記蛍光部材の温度を前記LED素子の温度よりも低くすることができ、前記蛍光部材の劣化速度と前記LED素子の劣化速度を同じ又は略同じにすることが可能である。これにより、照明装置より出射される白色光(混色光)の品質の劣化速度を低下させることが可能である。
【0011】
上記構成において、前記蛍光部材は前記カバー部材の前記透過部の前記LED素子と対向する側に配置されていてもよい。
【0012】
上記構成において、前記カバー部材は前記透過部の辺縁部の少なくとも一部より突出された側壁部を備えていてもよく、このとき、前記側壁部が筒状に形成されていてもよい。
【0013】
前記側壁部には前記LED素子より出射された光が透過するのを抑制する遮光処理が施されていてもよく、前記蛍光部材が配置されていてもよい。
【0014】
上記構成において、前記構造体は前記LED素子が実装された平板状の配線基板であってもよい。
【0015】
上記構成において、前記構造体は、底面部に前記LED素子が実装された凹部が形成された立体形状であり、前記カバー部材は前記凹部の開口部を覆い、前記側壁部が前記構造体の外壁部と接触するように前記構造体に外嵌されるものであってもよい。
【0016】
上記構成において、前記構造体の外壁部には前記カバー部材の側壁部に形成された係合凸部が係合される係合部が複数個形成されており、前記カバー部材は前記係合凸部と係合される係合凹部を選択することで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整することができるようにしてもよい。また、前記カバー部材の透過部及び前記構造体の前記開口部が形成された面は同じ点対称の形状で形成されており、前記構造体の外壁部には、前記開口部が形成された面からの距離が異なる複数の係合部が形成されており、前記カバー部材の側壁部は前記透過部の前記構造体の前記開口部が形成された面に対する角度によって、異なる係合部と係合する被係合部を備えていてもよい。
【0017】
この構成によると、前記LED素子と前記蛍光部材との距離を調整することができるので、前記LED素子の発熱量の個体差にかかわらず、前記蛍光部材に伝達される熱の量を一定の範囲内に調整することができる。これにより、前記蛍光部材の温度による、光変換効率の低下及び劣化の速度を調整することが可能である。
【0018】
上記構成において、前記透過部がフレネルレンズで形成されていてもよく、リニアフレネルレンズ、又は凸レンズで形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、光源にLEDを用いて混色光を出射する照明装置であって、使用時間が長くなっても照射された光の色の変化を抑制するとともに、照射光の色の個体差を低く抑えることができる照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明における線状照明装置について図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる照明装置の斜視図であり、図2は図1に示す照明装置の断面図である。
【0021】
図面に示すように、照明装置Aは、テーパー状の凹部を備える箱型の構造体であるケース1と、ケース1の内部に実装されたLED素子2と、ケース1の凹部の開口部を覆うカバー部材3と、カバー部材3に配置された蛍光部材4とを備えている。
【0022】
ケース1は、樹脂を成形して作製された上面が正方形の直方体形状の立体物である。ケース1は、上面側に開口部12が形成された凹部11を備えている。凹部11は開口部12に向けて拡大するテーパー形状の穴であり、断面円形状を有しているがそれに限定されるものではない。凹部11の内壁面111はLED素子2より出射された光を反射する反射部として用いられる。また、ケース1には、導電性を有する金属板である第1リード電極13と、第2リード電極14とが挿入されている。第1リード電極13及び第2リード電極14の一部は互いに接触しないように、凹部11の内部に配置されている。なお、ケース1として樹脂の成形体が例示されているがこれに限定されるものではなく、金属の成形体であってもよい。
【0023】
LED素子2は、青色波長の光を出射する発光ダイオード素子である。LED素子2は
第1リード電極13上に実装されており、ボンディングワイヤー21を介して第2リード電極14と接続されている。LED素子2は凹部11の底部の中央に配置されている。LED素子2は第1リード電極13と第2リード電極14とを介して電力が供給されており、電力が供給されることでLED素子2から光が出射される。ここでは、LED素子2から出射される光は青色波長の光である。なお、本実施形態のLED素子2の実装方法は第1リード電極13上に実装されたものを示しているが、これに限定されるものではなく、LED素子2として2ワイヤーのLED素子を用いることで、LED素子を電極以外の場所に配置することも可能である。また、以上の方法に限定されるものではなく、LED素子を凹部11の底部の中央又は中央近傍に配置される実装方法を広く採用することが可能である。
【0024】
カバー部材3はケース1の開口部12が形成されている面と同じ形状(正方形)を有し、前記LED素子より出射された光が透過する透過部31と、透過部31の辺縁部に連結された筒状の側壁部32とを有している。図1に示すように透過部31はフレネルレンズが形成されており、LED素子2より出射された光の指向性及び輝度を上げることができる。フレネルレンズは透過部31の側壁部32が連結されているのと反対側に形成されている。
【0025】
なお、透過部31は、フレネルレンズに限定されるものではなく、透過する光を集光或いは平行光にさせる光学素子、例えば、リニアフレネルレンズが形成されているもの、プリズムシートが貼付されているもの、凸レンズ等を挙げることができる。
【0026】
カバー部材3の側壁部32はケース1の外壁部10と接触するように、ケース1に外嵌される。カバー部材3の透過部31がケース1の開口部12を覆うように配置される。カバー部材3はケース1に適切に配置された状態で、側壁部32がケース1の外壁部10に接着される。このとき、カバー部材3の透過部31とLED素子2との間には空間が形成されている。
【0027】
蛍光部材4は、カバー部材3の透過部31の開口部12と対向する部分に配置されているものである。蛍光部材4の配置は例えば次のように行われる、すなわち、硬化前の蛍光部材4は流動体であり、側壁部32が上方となる状態でカバー部材3を保持し、透過部31に流動させる。流動体の蛍光部材4が透過部31上に均一又は略均一に流し込まれた状態で硬化させる。このようにして、流動させて配置させることで、蛍光部材4を均一又は略均一な厚さとなるように配置することができる。また、これに限定されるものではなく、シート状に形成された蛍光部材4を貼り付けるもの、液状の蛍光部材4を塗布するもの等を採用することが可能である。なお、蛍光部材4はLED素子2より出射された青色の波長の光の一部を黄色の波長の光に変換するものである。青色の波長の光と黄色の波長の光を混成することで、白色の混色光が照射される。
【0028】
蛍光部材4はカバー部材3の透過部31に配置されているので、蛍光部材4はLED素子2と空間を挟んで配置される。これにより、LED素子2が駆動されることでLED素子2からの熱が蛍光部材4に伝達されにくく、蛍光部材4の温度が上昇しにくい。これにより、温度上昇による蛍光部材4の光変換効率の低下を抑制することができる。また、光照射時の蛍光部材4の温度上昇を抑えることで、蛍光部材4の劣化を低減することができ、照明装置Aより出射される白色光(混色光)の色度が変化してしまうのを抑制することが可能である。
【0029】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかる照明装置の断面図である。図3に示す照明装置BはLED素子2を保持する部材として、ケース1の代わりに基板5が用いられているものである。これ以外の部分は照明目装置Aと同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分は同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分の説明は省略する。
【0030】
図3に示すように、照明装置Bは基板5に配置された第1リード電極51と、第2リード電極52とを備えている。第1リード電極51と第2リード電極52とは、非接触であり、第1リード電極51にLED素子2が実装されている。また、LED素子2にはボンディングワイヤー21が備えられており、ボンディングワイヤー21は第2リード電極52と接続されている。第1リード電極51及び第2リード電極52とを用いて、LED素子2に電力を供給している。LED素子2は基板5の上面より上方に向かって光を出射できるように配置されている。
【0031】
カバー部材3は、筒状の側壁部32の透過部31が連結されているのと反対側の端部が、基板5と接触するように配置されている。これにより、透過部31は基板5から側壁部32の長さだけ隔てて配置されるものであり、基板5上に配置されたLED素子2と透過部31との間には空間が形成される。さらに、LED素子2と蛍光部材4との間にも空間が形成されているので、LED素子2より発せられる熱が、蛍光部材4に到達しにくくそれだけ、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができる。また、LED素子2の駆動時の熱が蛍光部材4に伝わりにくいので、蛍光部材4の温度による劣化を抑制することができ、照明装置Bから照射される白色光(混色光)の色度が変化するのを抑制することが可能である。
【0032】
本発明にかかる照明装置の他の例について、図面を参照して説明する。図4は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図4に示す照明装置Cは蛍光部材4cが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0033】
図4に示すように、照明装置Cに用いられるカバー部材3の透過部31及び側壁部32は内面に蛍光部材4cが形成されている。このように、蛍光部材4cが側壁部32にまで形成されていることで、LED素子2より出射された光が、カバー部材3の側壁部32を透過する場合であっても、透過する光の一部が波長変換され白色光として、照明装置Cの外部に出射される。これにより、照明装置Cより出射される光の色度を、所望の色度にすることができ、照射される光の質が低下するのを抑制することが可能である。
【0034】
また、側壁部32にも蛍光部材4cが配置されているので、ケース1の開口部12が形成されている面から透過部31が離れた状態でカバー部材3を取り付け固定することができる。カバー部3とケース1とで囲まれる空間が大きくなり、それだけ、蛍光部材4cに熱が伝達されにくく、蛍光部材4cの温度上昇を低減することが可能である。そして、蛍光部材4cの光変換効率の低下を抑制し、長期使用時の温度による劣化を低減することができる。また、照明装置Cより出射される白色光(混色光)の色度の低下を抑制することが可能である。
【0035】
なお、本例では蛍光部材4cが配置されたカバー部材3がケース1に外嵌されるものを示しているが、図3に示すような基板5の上面に実装されたLED素子2を囲むように配置してもよい。
【0036】
図5は本発明にかかる照明装置の断面図である。図5に示す照明装置C2では、カバー部材3の側壁部32が基板5の上面に配置されている。照明装置C2では、LED素子2より出射された光で側壁部32を透過する光は、側壁部32に形成されている蛍光部材4cを透過する。これにより、LED素子2より出射された光はすべて又は略すべて蛍光部材4cを透過するので、照明装置C2より出射される白色光(混色光)の色度は、側壁部32に蛍光部材が配置されていないものに比べて、ばらつきにくい。
【0037】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図6に示す照明装置Dはカバー部材3dが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0038】
図6に示すように、照明装置Dに用いられるカバー部材3dは側壁部32dに光が透過するのを抑制する遮光部33dが形成されている。このように、遮光部33dが側壁部32dに形成されていることで、LED素子2より出射された光が、カバー部材3dの側壁部32dを透過するのを抑制することができる。これにより、照明装置Dより出射される光の色度を、所望の色度にすることができ、照射される光の質が低下するのを抑制することが可能である。
【0039】
また、側壁部32dに遮光部33dが形成されているので、ケース1の開口部12が形成されている面から透過部31が離れた状態でカバー部材3dを取り付け固定することができる。カバー部3dとケース1とで囲まれる空間が大きくなり、それだけ、蛍光部材4に熱が伝達されにくく、蛍光部材4の温度上昇を低減することが可能である。そして、蛍光部材4の光変換効率の低下を抑制し、長期使用時の温度による劣化を低減することができる。また、照明装置Dより出射される白色光(混色光)の色度の低下を抑制することが可能である。なお、遮光部33dとしては、LED素子2から出射された光を吸収するもの(例えば、黒色の塗装)や、LED素子2から出射された光を反射するもの(例えば、鏡面状に形成されているもの)等を採用することが可能である。
【0040】
なお、本例では、遮光部33dがカバー部材3dの外面部に形成されているが、それに限定されるものではなく、内面部に形成されていてもよい。また、本例では遮光部33dが形成されたカバー部材3dがケース1に外嵌されるものを示しているが、図3で示したような、基板5の上面に実装されたLED素子2を囲むように配置してもよい。
【0041】
図7は本発明にかかる照明装置の他の例の断面図である。図7に示す照明装置D2では、基板5の上部にカバー部材3dが配置されている。照明装置D2では、LED素子2より出射された光で側壁部32を透過する光は、側壁部32に形成されている遮光部33dにて遮断される。これにより、LED素子2より出射された光が単色光のまま外部に出射されるのを抑制することができ、照明装置C2より出射される白色光(混色光)の色度は、側壁部32に遮光部33dが配置されていないものに比べて、ばらつきにくい。
【0042】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図8に示す照明装置Eはカバー部材3eが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0043】
図8に示すように照明装置Eに用いられるカバー部材3eは、側壁部32eが筒状ではなく、2個の平板状の壁部が対向して配置されているものである。このように、2個の平板状の側壁部32eが備えられているカバー部材3eを用いることで、側壁部32eを変形させてケース1に取り付けることができるので、ケース1及び(又は)カバー部材3eに誤差がある場合でも、カバー部材3eをケース1に外嵌することが可能である。
【0044】
図8に示すカバー部材3eの製造方法について図面を参照して説明する。図9は図8に示す照明装置のカバー部材の製造方法の手順を示す図である。図9に示すように、断面U字状の溝状部材Geの底面に蛍光部材4を形成する。そして、蛍光部材4が形成された溝状部材Geを長手方向に切断することで、カバー部材3eを形成することが可能である。カバー部材3eは簡単、容易に形成することが可能である。
【0045】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。なお、図8に示す照明装置Fはケース1f及びカバー部材3fが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0046】
図10に示すように、ケース1fは外壁部10fに、上面と平行に形成され、上面と直交する方向に配列された係合凹部15fが形成されている。また、カバー部材3fの側壁部32fは内側に、係合凹部15fと係合される係合凸部34fが形成されている。
【0047】
図10に示す係合凹部15fのいずれかに係合凸部34fを係合させることで、透過部32(すなわち、蛍光部材4)とLED素子2との距離を段階的に調整することが可能である。LED素子2は個体ごとに発熱量が異なるため、LED素子2と蛍光部材4との距離を調整することができる。これにより、照明装置Fより出射される白色光(混色光)の色度の個体差が出にくくなる。また、蛍光部材4が達する温度を一定にすることができるので、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができ、劣化を遅くすることが可能である。なお、図10に示す照明装置Fでは、ケース1fに係合凹部15fが、カバー部材3fに係合凸部34fが形成されているものが示されているが、それに限定されるものではなく、凸部がケースに凹部がカバー部材に形成されていてもよい。
【0048】
本発明にかかる照明装置の他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材を装着した状態の断面図であり、図12は図11に示す照明装置の平面図であり、図13は図11に示す照明装置のカバー部材をケースに対して切り欠き部が移動するようにねじった状態で装着した状態の断面図である。なお、図11に示す照明装置Gはケース1g及びカバー部材3gが異なる以外は、照明装置Aと同じ構成であり、実質上同じ部分には、同じ符号が付してある。なお、照明装置Aと実質上同じ部分の説明は省略する。
【0049】
図11に示すように、ケース1gの外壁部10gには、係合部として外側に突出された突起部16gが形成されている。突起部16gは外壁部10gによって、上面からの距離が異なるように形成されている。また、カバー部材3gの係合側壁部32gは断面正方形状の一辺を形成する部分が他の側壁部32よりも長く形成されており、その長く形成された係合側壁部32gには突起部16gと係合する被係合部である切り欠き部35gが形成されている。
【0050】
カバー部材1gを透過部31が上面と平行な状態を保ってねじることで、切り欠き部35gが形成されている係合側壁部32gが異なる外壁部10gと当接する(図12参照)。突起部16gは外壁部10gによって上面からの距離が変わるので、図13に示すように透過部31とケース1の上面との距離を図11に示した状態に比べて長くすることができる。
【0051】
ケース1gの外壁部10gの各面に形成された突起部16gのうち、係合側壁部32gの切り欠き部35gと係合される突起部16gを適切に選択することで、透過部31(すなわち、蛍光部材4)とLED素子2との距離を適切な値に調整することが可能である。LED素子2の個体差による発熱量に差がある場合であっても、蛍光部材4までの距離を調整することで、蛍光部材の温度を一定にすることができるので、蛍光部材4の光変換効率が低下するのを抑制することができ、劣化を遅くすることが可能である。なお、被係合部として切り欠き部35gを例に示しているが、側壁部の先端部が突起部と接触することで距離を変更できる被係合部とされていてもよい。
【0052】
また、カバー部材をケースに対してねじって配置することで距離を調整することはできないが、点対称でないものであってもよい。さらに、上記構成において照明装置は、LED素子を1つ備えたものが挙げられているが、それに限定されるものではなく、複数個のLED素子が備えられているものであってもよい。
【0053】
さらに、LED素子として青色の光、蛍光部材として青色の光の波長を黄色の光の波長に変換するものを用いているがそれに限定されるものではなく、LED素子から出射される光と、蛍光部材で変換された光とを混合することで、白色光又は所望の混色光を得ることができるLED素子及び蛍光部材を用いることが可能である。
【0054】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、照射目標に光を照射する照明装置として採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は、本発明にかかる照明装置の斜視図である。
【図2】は、図1に示す照明装置の断面図である。
【図3】は、本発明にかかる照明装置の他の例の断面図である。
【図4】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図5】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図6】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図7】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図8】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図9】は、図8に示す照明装置のカバー部材の製造方法の手順を示す図である。
【図10】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材をはずした状態の断面図である。
【図11】は、本発明にかかる照明装置のさらに他の例のカバー部材を装着した状態の断面図である。
【図12】は、図11に示す照明装置の平面図である。
【図13】は、図11に示す照明装置のカバー部材をねじって装着したときの断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A〜G 照明装置
1 ケース
11 凹部
12 開口部
13 第1リード電極
14 第2リード電極
2 LED素子
3 カバー部材
31 透過部
32 側壁部
4 蛍光部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子と、
リード電極を備えるとともに前記LED素子が実装された構造体と、
前記構造体に取り付けられ、前記LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、
前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、
前記蛍光部材は前記LED素子と空間を介在して離隔配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記蛍光部材は前記カバー部材の前記透過部の前記LED素子と対向する側に配置されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記カバー部材は前記透過部の辺縁部の少なくとも一部より突出された側壁部を備えている請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記側壁部は筒状に形成されている請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記側壁部には前記LED素子より出射された光が透過するのを抑制する遮光処理が施されている請求項3又は請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記蛍光部材が前記側壁部にも配置されている請求項3又は請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記構造体は前記LED素子が実装された平板状の配線基板である請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記構造体は、底面部に前記LED素子が実装された凹部が形成された立体形状であり、
前記カバー部材は前記凹部の開口部を覆い、前記側壁部が前記構造体の外壁部と接触するように前記構造体に外嵌される請求項2から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
前記構造体の外壁部には前記カバー部材の側壁部に形成された係合凸部が係合される係合部が複数個形成されており、
前記カバー部材は前記係合凸部と係合される係合凹部を選択することで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整することができる請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記カバー部材の透過部及び前記構造体の前記開口部が形成された面は同じ点対称の形状で形成されており、
前記構造体の外壁部には、前記開口部が形成された面からの距離が異なる複数の係合部が形成されており、
前記カバー部材の側壁部は前記複数の係合部のいずれかと係合する被係合部を備えており、
前記カバー部材は前記被係合部が係合される前記係合部を変えることで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整できる請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記透過部がフレネルレンズで形成されている請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記透過部がリニアフレネルレンズ、又は凸レンズで形成されている請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項1】
LED素子と、
リード電極を備えるとともに前記LED素子が実装された構造体と、
前記構造体に取り付けられ、前記LED素子から出射される光が透過する透過部を有するカバー部材とを備え、
前記カバー部材の前記透過部には、前記LED素子の波長を変換するための蛍光部材が配置されており、
前記蛍光部材は前記LED素子と空間を介在して離隔配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記蛍光部材は前記カバー部材の前記透過部の前記LED素子と対向する側に配置されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記カバー部材は前記透過部の辺縁部の少なくとも一部より突出された側壁部を備えている請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記側壁部は筒状に形成されている請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記側壁部には前記LED素子より出射された光が透過するのを抑制する遮光処理が施されている請求項3又は請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記蛍光部材が前記側壁部にも配置されている請求項3又は請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記構造体は前記LED素子が実装された平板状の配線基板である請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記構造体は、底面部に前記LED素子が実装された凹部が形成された立体形状であり、
前記カバー部材は前記凹部の開口部を覆い、前記側壁部が前記構造体の外壁部と接触するように前記構造体に外嵌される請求項2から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
前記構造体の外壁部には前記カバー部材の側壁部に形成された係合凸部が係合される係合部が複数個形成されており、
前記カバー部材は前記係合凸部と係合される係合凹部を選択することで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整することができる請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記カバー部材の透過部及び前記構造体の前記開口部が形成された面は同じ点対称の形状で形成されており、
前記構造体の外壁部には、前記開口部が形成された面からの距離が異なる複数の係合部が形成されており、
前記カバー部材の側壁部は前記複数の係合部のいずれかと係合する被係合部を備えており、
前記カバー部材は前記被係合部が係合される前記係合部を変えることで、前記LED素子と前記透過部との距離を調整できる請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記透過部がフレネルレンズで形成されている請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記透過部がリニアフレネルレンズ、又は凸レンズで形成されている請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−103404(P2010−103404A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275354(P2008−275354)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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