説明

照明装置

【課題】有機EL素子及び発光ダイオードを用いて、発光効率が高く、かつ指向性を有する照明装置を提供する。
【解決手段】発光波長のピークが400nm以上500nm以下の発光ダイオードと、発光ダイオードの光と補色関係にある光を発する面状の有機EL発光体と、面状の反射体と、を有し、有機EL発光体と反射体とが、対向配置され、有機EL発光体を含む平面と反射体を含む平面とで囲まれる空間に発光ダイオードを配置し、発光ダイオードの光が有機EL発光体、反射体、又は被照射面に向いている照明装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に係り、例えば、ルミネッセンスにより光を放射する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型の発光素子として有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELとも記す)素子を有する発光装置の研究が活発化している。有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(以下、発光層)を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
有機EL素子は膜状に形成することが可能であるため、面状の発光を容易に得ることができる。このことは白熱電球に代表される点光源、あるいは、蛍光灯などに代表される線光源では得難い特色である。具体的には、面光源であることにより、光源が視野に入った際にまぶしさを感じがたい照明を提供することが可能となる。
【0004】
また、有機EL素子では、複数の発光層を設け、それぞれの発光層から発光させることで、複数の発光が混合された発光を得ることができる。例えば、それぞれ赤、緑、青に発光する発光層、又は互いに補色の関係にある色を発光する発光層を重ねる(積層する)ことによって、白色発光の有機EL素子を得ることができる。
【0005】
これらの特性を活かし、有機EL素子を用いた照明装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
一方で、有機EL素子とよく対比される技術としてLED(Light Emitting Diode、発光ダイオードとも言う)が挙げられる。LEDは指向性が高い点光源であり、近年、飛躍的な寿命の向上により急速に照明用途としてのシェアを伸ばしている。LED照明の寿命は10万時間を超えるものも出てきており、長期間の使用に耐える特徴を生かし、信号機や街灯などに採用されている。これにより交換の頻度が著しく低下するため、大幅な経費節減、資源の節約などにつながる。なお、本明細書中において、LEDとは、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子のうち、特に点発光する素子を指す。
【0007】
LEDから白色照明を作製する方法としては、様々な方法があるが、主に検討されているデバイス構成としては、青色のLEDと黄色等を発する蛍光体を組み合わせる構造がある。これは青色のLEDの周囲に蛍光体を設けた構造とし、蛍光体が青色のLEDからの光を吸収して変換した光と、吸収されずにそのまま通過した青色の光との混色によって白色光源を実現している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0248935号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0027781号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、青色の光を発する有機EL素子の発光効率は、赤色や緑色を発光する有機EL素子と比較して低く、照明装置に要求される十分な特性を有する青色の有機EL素子の実現はされていない。また、LEDを用いる白色照明として一般的な、青色のLEDに黄色の蛍光体を組み合わせる構成は、高いエネルギーを有する青色光を低いエネルギーの黄色光に変換するためエネルギー効率が悪い。そのため、有機EL素子のみ、又はLEDのみを用いた高効率の白色の照明を作製することは困難である。
【0010】
さらに、有機EL素子は面光源であるため、明るい照明を必要とする場合には駆動電流を増やすか、発光面積を広くして光束を増やす方法がとられている。しかしこの方法では、スタンドライトやスポットライトのように、消費電力を増やすことなく、指向性を高めて必要な領域のみを照射する部分照明として利用したい場合に、面光源である有機EL素子では、被照射面の側方へ漏れ出る光が存在するため不適切である。
【0011】
本発明はこのような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、本発明は、発光効率が高く、かつ指向性を有する照明装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では有機EL素子とLEDの両発光体を組み合わせて用いる構成に着眼した。青色のLEDの光を有機EL素子の光と混合することによって、発光効率の高い照明装置を作製する。
【0013】
基板上に有機EL素子を備えた有機EL発光体と、有機EL発光体に対峙して光を反射する反射体と、によって開放端を有する錐体を形成し、該錐体の内部にLEDを配置する。錐体構造とすることで、有機EL発光体から、被照射面の側方へ漏れ出る光を被照射面へと集光することができ、指向性を有する照明装置を提供することができる。
【0014】
また、有機EL発光体及びLEDの光を該反射体によって反射させてから混合し、被照射面へ照射することで、面光源である有機EL発光体と点光源であるLEDの光が混合された照明とすることができる。
【0015】
すなわち、本発明の一態様は、発光波長のピークが400nm以上500nm以下の発光ダイオードと、発光ダイオードの光と補色関係にある光を発する面状の有機エレクトロルミネッセンス発光体と、面状の反射体と、を有し、面状の有機エレクトロルミネッセンス発光体と面状の反射体とが、少なくとも一方に光が放射される開放端を有する錐形面を形成するように対向配置され、面状の有機エレクトロルミネッセンス発光体の発光面を含む面と面状の反射体の反射面を含む面とで囲まれる空間に発光ダイオードが配置され、発光ダイオードの光が面状の有機エレクトロルミネッセンス発光体、面状の反射体、又は被照射面に照射される照明装置である。
【0016】
上記本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス発光体と発光ダイオードの光が混合されて被照射面へ照射され白色の光が得られる。また、発光ダイオードによる発光が有機エレクトロルミネッセンス発光体の青色の発光を補うため、発光効率の高い照明装置が得られる。
【0017】
また、有機エレクトロルミネッセンス発光体と対峙して設けられた反射体が、有機エレクトロルミネッセンス発光体の光を反射して被照射面へと集光しているため、有機エレクトロルミネッセンス発光体から、被照射面の側方へ漏れ出る光が集光され、指向性を有する照明装置を提供することができる。
【0018】
さらに、有機エレクトロルミネッセンス発光体にも発光ダイオードの光を反射する機能を備えると集光性が高まるため好ましい。
【0019】
また、本発明の一態様は、該反射体が有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置である。反射体が光源の役割も兼ねるため、発光面積が大きくなり、照度の高い照明装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明の一態様は、有機エレクトロルミネッセンス発光体の非発光領域上に発光ダイオードを備える照明装置である。その結果、発光ダイオードが有機エレクトロルミネッセンス発光体の光を遮蔽することがないため、効率のよい照明装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明の一態様の照明装置が有する有機エレクトロルミネッセンス発光体は可視光に対する反射率が60%以上の反射電極を備える。その結果、有機エレクトロルミネッセンス発光体の反射効率が高まり、より高い集光性を示す照明装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明の一態様の照明装置が有する発光ダイオードは反射体又は有機エレクトロルミネッセンス発光体に向かって光を射出する。よって、本発明の一態様を適用した照明装置は、直視しても、指向性の高いLEDの光が直接目に入ることがなく、まぶしさを感じにくいという特長がある。
【0023】
また、本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス発光体は光を取り出す面に凹凸を有する。したがって有機エレクトロルミネッセンス発光体の光の取り出し効率が高まり、さらに効率のよい照明装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス発光体は光を取り出す面に誘電体ミラーを有する。該誘電体ミラーは、発光ダイオードの光を反射して有機エレクトロルミネッセンス発光体の光を透過する機能を有する。したがって、有機エレクトロルミネッセンス発光体が発光ダイオードの光を反射する際に、発光ダイオードの光が有機エレクトロルミネッセンス素子の内部を通る必要がなくなるため、光の減衰が少なくなり、より効率のよい照明装置を提供することができる。
【0025】
なお、本明細書中において錐体とは、円錐、並びに三角錐、四角錐、及び五角錐等の角錐を指す。また、錐体の底面は開口部を形成し、該底面の中心点を通る垂線は、該底面に対峙する頂点を通る。また、該底面の中心点を通る垂線を照明装置の第1の軸、照明装置が備えるLEDが光を射出する方向を照明装置の第2の軸とする。
【0026】
また、円錐台、三角錐台、四角錐台、及び五角錐台等のように錐体から一部を切りとった立体も錐体の一部に含むものとする。
【0027】
また、錐体の内部とは、錐体の側面及び底面によって囲まれた空間を指す。なお、錐体から一部を切りとった立体においては、当該立体を切り取る前の錐体の側面及び底面によって囲まれた空間も指す。また、錐体の内部には錐体の側面上、底面上も含まれる。
【0028】
なお、錐体の底面と平行であり、照明装置の光が照射される方向にある面を被照射面とする。本発明の一態様の照明装置は被照射面の一部に白色の光を照射する照明装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様は、発光効率が高く、かつ指向性を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一態様の照明装置の斜視図及び断面図。
【図2】有機EL発光体と反射体のなす角度について説明する図。
【図3】本発明の一態様の照明装置の断面図。
【図4】本発明の一態様の照明装置の斜視図。
【図5】本発明の一態様で使用する有機EL素子の概略図。
【図6】本発明の一態様で使用する有機EL発光体の概略図。
【図7】本発明の一態様の照明装置の作製方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の白色照明装置の構造及び作製方法について図1、図2、図4、図6及び図7を用いて説明する。
【0033】
本発明の一態様の白色照明装置は、有機EL発光体、反射体、及びLEDを含む。具体的には、有機EL発光体及び反射体を直接接続して形成した錐体の内部にLEDを有する構造とする。
【0034】
図1(A)に示す白色照明装置100は、反射体101a、有機EL発光体101b、101c、及びLED103を備える。
【0035】
まず、本発明の一態様の白色照明装置が備えるLED、有機EL発光体、反射体についてそれぞれ具体的に説明する。
【0036】
本発明の一態様の白色照明装置が備えるLEDの発光波長のピークは400nm以上500nm以下である。上述の波長域に発光波長のピークを有するLEDは高いエネルギーを有するため、高い発光効率を実現することができる。なお、本実施の形態では、白色照明装置が1つのLEDを備える例を示したが、白色照明装置は2つ以上のLEDを有していてもよい。
【0037】
また、有機EL発光体及びLEDの発光強度は、被照射面において混合された光が白色となるように適宜設定すればよい。
【0038】
本発明の一態様の白色照明装置が備える有機EL発光体は、一対の電極と少なくとも発光層を備える有機EL素子を含む。有機EL発光体の発光色はLEDの発光色と補色関係にある。
【0039】
有機EL発光体は可視光に対する反射率が高い電極(以下、反射電極と記す)を備えることが好ましい。有機EL発光体が備える反射電極によって、LEDの光または他の有機EL発光体の光を反射することができるため、他の有機EL発光体またはLEDの光を被照射面へ反射して効率よく集光することができる。
【0040】
したがって、有機EL発光体の反射電極の反射率は、可視光に対して60%以上とすることが好ましい。有機EL発光体の反射電極の反射率を十分に高めることで、他の有機EL発光体やLEDの発する光を反射することができ、発光効率を高めることができる。
【0041】
また、有機EL発光体は、光を取り出す面に凹凸を有していてもよい。凹凸を有することで、有機EL発光体の光の取り出し効率が高まり、さらに効率のよい照明装置とすることができる。
【0042】
なお、有機EL発光体及び有機EL発光体に用いる有機EL素子の作製方法については実施の形態3及び実施の形態4において詳細を述べる。
【0043】
本発明の一態様の白色照明装置が備える反射体は、有機EL発光体及びLEDの光を反射する機能を備える。具体的には、反射体は波長400nm以上800nm以下の可視光を反射する反射材を一又は複数含む。例えばアルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を一以上用いた金属板、または、これらの金属膜による反射膜が積層した構造や、ミラー、金属ハーフミラー、誘電体ミラー等を使用することができる。また、上述の有機EL発光体も反射体として用いることができる。特に、有機EL発光体を反射体に用いる場合、有機EL発光体が有する反射電極の反射率が可視光に対して60%以上であることが好ましい。
【0044】
反射体を有機EL発光体で構成することによって、発光面積が増し、照明装置の光束を増大させることができる。よって、照明装置が必要とする所望の光束に応じて、有機EL発光体の面積を調整すればよい。
【0045】
また、有機EL発光体及びLEDの発光強度は、被照射面において混合された光が白色となるように適宜設定すればよい。
【0046】
次に、有機EL発光体及び反射体の配置について図1を用いて説明する。
【0047】
図1(A)は本実施の形態の白色照明装置の斜視図である。図1(B)は図1(A)に示す点線A1―A2における断面図である。
【0048】
反射体101a及び有機EL発光体101b、101cは、三角錐110から、三角錐110の底面が備える3つの頂点を含む部分を切り取った立体の各面をなす。三角錐110の底面の中心点と、底面に対峙する頂点を通る直線を白色照明装置の第1の軸120とする。白色照明装置100は第1の軸120に沿った方向へ光を照射する。また、白色照明装置の第1の軸120は三角錐110の底面及び、三角錐110の底面と平行な被照射面と直交する。
【0049】
図1(A)に示すように、有機EL発光体101b、101cは白色照明装置の第1の軸120から傾けて配置される。反射体101aは、有機EL発光体101b、101cの光を反射するように設けられる。図1(B)に示すように、白色照明装置100は、反射体101aが有機EL発光体101bと90°の角をなして固定されている。
【0050】
ここで、有機EL発光体と反射体がなす角度について説明する。
【0051】
通常、有機EL発光体は図2(A)に示したように、様々な方向へ光を発している。そのため、有機EL発光体201を被照射面と平行に対峙させて配置すると、被照射面の側方へ漏れ出る光が存在する。
【0052】
そこで、図2(B)、(C)に示すように、有機EL発光体201を被照射面から傾斜させ、さらに有機EL発光体201の光を被照射面へ反射する反射体203を設けると、有機EL発光体201からの光が被照射面に向かって反射され、被照射面の側方へ漏れ出ていた光も被照射面に集光することができる。
【0053】
具体的には、有機EL発光体と反射体とがなす角度が0°より大きく180°未満とすればよい。有機EL発光体と反射体を組み合わせることで、有機EL発光体の光が反射体によって反射され、被照射面へ照射されるため、有機EL発光体からの光を集光することができる。
【0054】
特に有機EL発光体と反射体のなす角度が90°以上150°以下であることが好ましい。図2(B)に示すように、有機EL発光体201と反射体203のなす角度が90°未満であると、有機EL発光体201から発した光の一部は、反射体203によって反射された後、被照射面ではなくもとの有機EL発光体201のもとへと跳ね返ってしまう場合がある。一方、図2(C)に示すように、有機EL発光体201と反射体203のなす角度が90°以上180°未満であると、有機EL発光体201の光が反射体203によってもとの有機EL発光体201に跳ね返ることを抑制することができるため、跳ね返りによる光の損失を低減し、集光性を高めることができる。
【0055】
しかし、有機EL発光体と反射体のなす角度が大きすぎると、有機EL発光体の光のうち、反射体へ入射する光が少なくなってしまう。したがって、反射体及び有機EL発光体は、特に90°以上150°以下の角度をなして接続されている構成が好ましい。
【0056】
本実施の形態に例示する反射体101aは、図1に示すように有機EL発光体101b、101cの各々と90°の角度をなしている。そのため、反射体101aは有機EL発光体101b、101cの光のうち、被照射面の側方へ漏れ出る光を被照射面に反射し、白色照明装置の発光を効率よく集光することができる。
【0057】
また、有機EL発光体101b、101cは、互いに90°の角度をなして接続している。そのため、有機EL発光体101b、101cは互いの発する光を被照射面へと反射しており、白色照明装置の発光を効率よく集光している。
【0058】
つまり、有機EL発光体101bから、被照射面の側方へ漏れ出る光は反射体101a及び有機EL発光体101cによって被照射面へ集光されており、有機EL発光体101cから、被照射面の側方へ漏れ出る光は反射体101a及び有機EL発光体101bによって被照射面へ反射されている。
【0059】
また、白色照明装置100はLEDを錐体の内部に備え、LED103の光は有機EL発光体101bによって反射されてから被照射面へ照射されている。
【0060】
LEDは有機EL発光体や反射体の表面に配置してもよい。また、LEDを有機EL発光体の非発光領域上に配置すると、有機EL発光体の発光領域がLEDの陰に隠れることがないため好ましい。
【0061】
なお、有機EL発光体の非発光領域とは、有機EL発光体において、発光層が設けられておらず、発光しない領域である。例えば、非発光領域とは図6の点線で囲まれた領域420のように金属配線を行っている領域のことである。
【0062】
LEDが光を射出する方向である第2の軸は、有機EL発光体又は反射体へ向けて配置してもよく、被照射面に向けてもよい。第2の軸を有機EL発光体又は反射体へ向けると、指向性の高いLEDの光が直接目に入ることがなく、まぶしさを感じにくい照明とすることができるため好ましい。
【0063】
本実施の形態では、図1(B)に示すように、LED103が光を射出する方向は有機EL発光体101bを向いている。
【0064】
LED103から射出した光は、有機EL発光体101bに反射されて被照射面へと照射される。
【0065】
次に、本実施の形態の白色照明装置100の作製方法について説明する。
【0066】
まず、有機EL発光体101b、101c、及び反射体101aを用意し(図7(A))、有機EL発光体101b、101c、及び反射体101aが錐体を形成するように接続する。
【0067】
有機EL発光体101b、101c、及び反射体101aを接続する方法としては、特に限定はなく、接着剤、有機樹脂、蝶番、留め金等を用いて適宜接続すればよい。
【0068】
本実施の形態では、蝶番111や留め金112を用いて接続する(図7(B))。蝶番や留め金のように、接続後も可動性を有する部材を用いることで、有機EL発光体101b、101c及び反射体101aによって形成された錐体を折りたたんで平面状にすることができるため輸送時に便利である。
【0069】
次にLED103を配置する。LED103は有機EL発光体101b、101c及び反射体101aに直接貼り付ける、又はLED支持体を設けて支持体にはめ込むといった方法をとることができる。なお、図1及び図4においてはLED支持体や、LEDが有する配線等は省略し、あくまでLEDの錐体内部における配置についてのみ示している。
【0070】
本実施の形態では、LED103を反射体101aに直接貼り付ける。有機EL発光体101b、101c及び反射体101aを錐体状に組み立てた後に、反射体101aにLED103を貼り付ける(図7(C))。貼り付ける方法としては、市販の接着剤等を使えばよく、例えば、エポキシ樹脂系接着剤や樹脂添加剤等の接着剤を用いればよい。また、LEDは実施の形態2に示すように、LED支持体によって支持されていてもよい。
【0071】
以上のように、本実施の形態の白色照明装置100を作製することができる。
【0072】
本実施の形態では、有機EL発光体及び反射体によって三角錐の一部を形成する白色照明装置を示したが、本発明の白色照明装置が取り得る形状はこれに限らず、図4(A)に示すような三角錐や、図4(B)に示すような四角錐、角錐台等の形態であってもよい。
【0073】
また、可撓性を有する基板上に有機EL素子を作製することで、可撓性を有する有機EL発光体を作製できる。可撓性を有する有機EL発光体を用いれば、図4(C)に示すように曲面を備える円錐等の形状の照明装置も作製することができる。また、円錐台等の様々な構造をとることができる。
【0074】
なお、錐体を構成する面は、一つの面が一つの有機EL発光体または一つの反射体で形成されている必要はなく、複数の有機EL発光体又は反射体を連結して一つの面を形成してもよい。
【0075】
本実施の形態で示した白色照明装置を用いる事によって、発光効率が高く、指向性を有する白色照明装置を提供することができる。
【0076】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の別の態様である白色照明装置の構成について図3を用いて説明する。本実施の形態に示す白色照明装置は、有機EL発光体を備える有機EL支持体と、LEDを備えるLED支持体とを有し、有機EL支持体及びLED支持体は接続されている。
【0078】
本実施の形態の白色照明装置は図3に示すとおり、LED支持体301とLED支持体301に取り付けられたLED303と、有機EL支持体305と、有機EL支持体305に取り付けられた有機EL発光体307a、307bとを有しており、LED支持体301の周囲に有機EL支持体305が設けられている。
【0079】
なお、有機EL発光体307a、307bは反射電極を有し、反射体としての機能も有している。したがって、本実施の形態の一態様の白色照明装置は、有機EL発光体及び反射体が円錐の一部を形成し、該円錐の内部にLEDを有する本発明の一態様の白色照明装置と言える。
【0080】
LED支持体301は、LED303を支持する機能を有する。図3に示すように、LED支持体301は円錐台の形状をしている。なお、本発明の一態様に適用するLED支持体の形状は特に限定はなく、適宜定めることができる。LED支持体は、いずれも図示されていないが、外部電源接続端子、配線、LEDをはめ込むソケット等を有する。LED支持体301内部のソケットにLED303をはめ込むことで、LED303を外部電源と電気的に接続することができる。
【0081】
LED支持体には、例えばガラス、石英、サファイア、シリコン、プラスチック、金属単体及び金属合金などを用いる事ができる。
【0082】
LED支持体301はLED303の光が被照射面に照射されるように、所望の方向へ第2の軸を定めて配置することができる。具体的には、直接LEDの光を被照射面に向けることや、第2の軸を有機EL発光体又は反射体に向け、反射させてから被照射面へと照射することもできる。
【0083】
また、LED支持体の表面は反射機能を備えていてもよい。反射機能を有するLED支持体は有機EL発光体からの発光を反射することによって被照射面へと照射させることができる。
【0084】
LED303は実施の形態1で示したLEDと同様のものを用いる事ができる。
【0085】
有機EL支持体305は、有機EL発光体を支持する機能を有する。有機EL支持体305は、有機EL発光体をはめ込むための凹部と、該凹部内にある電極と、電極と外部電源とを接続する配線等を有する。凹部に有機EL発光体307a、307bをはめ込むことによって、有機EL発光体と外部電源とを電気的に接続することができる。なお、本発明の一態様に適用する有機EL支持体の形状は特に限定は無く、適宜定めることができる。
【0086】
有機EL支持体の材料には、例えばガラス、石英、サファイア、シリコン、プラスチック、金属単体及び金属合金などを用いる事ができる。
【0087】
また、有機EL支持体は、有機EL発光体を錐体の所定の位置に支持できるものであれば、可撓性を有していてもよい。可撓性を有する有機EL支持体は曲面などに容易に貼り付けられるため、LED支持体の設計の自由度が上がる。
【0088】
また、有機EL支持体はLEDや有機EL発光体からの光を被照射面に反射する機能を有していてもよい。
【0089】
有機EL発光体307a、307bは実施の形態1で示した有機EL発光体と同様のものを使用することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では有機EL発光体307a、307bが反射電極を有している。有機EL発光体307a、307bは互いに対峙することで、被照射面の側方へ漏れ出ていた互いの光を被照射面へと反射している。
【0091】
図3に示すように、有機EL支持体305はLED支持体301の側面に沿うように取り付けられている。有機EL支持体はLED支持体の側面の一部または、LED支持体の側面全体を覆うように取り付けられていてもよい。
【0092】
有機EL発光体307aと有機EL発光体307bはともに反射電極を有しているため、本発明の反射体として機能する。有機EL発光体307a、307bは0°より大きく180°未満の角度をなして対峙している。よって、互いの光を反射しており、効率よく集光している。
【0093】
また、本実施の形態の白色照明装置が有する有機EL発光体は全てが同一の形状のものでなくてもよい。例えば、有機EL発光体307aと有機EL発光体307bは異なる形状としてもよく、所望の光束に応じて必要な箇所にのみ有機EL発光体を取り付けることができる。
【0094】
また、有機EL発光体及びLEDの発光強度は、混合された光が被照射面において白色となるように、適宜、設定すればよい。
【0095】
LED支持体及び有機EL支持体を設けることによって、有機EL発光体及びLEDの取り外しが容易に行える。そのため、白色照明装置内の有機EL発光体及びLEDのいずれかの寿命が切れた場合等、該当箇所のみを交換することによって再び白色照明装置として利用することが容易である。
【0096】
以上のように、本発明の一態様を適用することによって、発光効率が高く、指向性を有する白色照明装置を提供することができる。
【0097】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0098】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用することができる有機EL素子の一例について、図5を用いて説明する。
【0099】
図5(A)に示す有機EL素子は、第1の電極403と、第1の電極403上にEL層402と、EL層402上に第2の電極408を有する。本発明の一態様の白色照明装置に用いる有機EL発光体は、基板上に、図5に示す有機EL素子を一又は複数設ける事で作製することができる。
【0100】
本実施の形態に示す有機EL素子において、第1の電極403は陽極として機能し、第2の電極408は陰極として機能するが、本発明はこれに限らない。つまり、第1の電極403が陰極として機能し、第2の電極408が陽極と機能する構成としても良い。
【0101】
EL層402は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていれば良い。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層402は、第1の電極403側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。
【0102】
図5(A)に示す有機EL素子の作製方法について説明する。
【0103】
まず、第1の電極403を形成する。陽極として機能する、第1の電極403は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。この他、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン等を用いることができる。
【0104】
但し、EL層402のうち、第1の電極403に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極403に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金(例えば、Al−Si)等も用いることもできる。
【0105】
第1の電極403は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
【0106】
次に、第1の電極403上に、EL層402を形成する。本実施の形態において、EL層402は、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705を有する。
【0107】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0108】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0109】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0110】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極403からの正孔注入性を良好にし、有機EL素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極403からEL層402への正孔注入が容易となる。
【0111】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0112】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0113】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0114】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0115】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0116】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0117】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0118】
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0119】
また、正孔輸送層702には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0120】
発光層703は、発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0121】
本発明の一態様では、有機EL素子の発光色が、青色のLEDの発光色と補色の関係になるようにすることで、照明装置全体として白色発光する照明装置を得る。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。
【0122】
発光層703は、赤色〜緑色の発光材料を適宜選択することで、青色のLEDの発光色と補色の関係になる発光色を実現することができる。
【0123】
なお、本発明の一態様において、有機EL素子は発光層を2層以上備えていても良い。複数の発光層を設け、それぞれの発光層の発光色を異なるものにすることで、有機EL素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。
【0124】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、緑色系の発光材料として、9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、9,10−(ビフェニル−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)、9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)、9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)、9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)、9−(N,N−ジフェニルアミノ)−10−フェニルアントラセン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0125】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリナト)白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0126】
なお、発光層703としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0127】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−[4−(3,6−ジフェニル−N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、9−{4−[3−(N、N−ジフェニルアミノ)−N−カルバゾリル]フェニル}−10−フェニルアントラセン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、9−フェニル−10−(4−[N−フェニル−N−{3−(N−フェニル)カルバゾリル}]アミノ)フェニルアントラセン(略称:PCAPA)、9−[4’−{N−フェニル−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)}アミノビフェニル−4−イル]−10−フェニルアントラセン(略称:PCAPBA)、9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0128】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0129】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0130】
また、発光層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0131】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0132】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0133】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0134】
EL層402は、図5(B)に示すように、第1の電極403と第2の電極408との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1のEL層800と第2のEL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。なお、第1のEL層800と第2のEL層801は、それぞれEL層402に対応する。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する有機EL素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ有機EL素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0135】
EL層402は、図5(C)に示すように、第1の電極403と第2の電極408との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極408と接する複合材料層708を有していても良い。
【0136】
第2の電極408と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極408を形成する際に、EL層402が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0137】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0138】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0139】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0140】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0141】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0142】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0143】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0144】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、CuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0145】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより有機EL素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0146】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0147】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、有機EL素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0148】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、有機EL素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0149】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0150】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、ビスベンゾイミダゾ[2,1−a:2’,1’−a]アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリン−10,21−ジオン(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0151】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0152】
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0153】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すれば良い。
【0154】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すれば良い。
【0155】
そして、EL層402上に、第2の電極408を形成する。
【0156】
陰極として機能する、第2の電極408は、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、およびマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属およびこれらを含む合金の他、アルミニウムや銀などを用いることができる。
【0157】
但し、EL層402のうち、第2の電極408に接して形成される層が、上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いる場合には、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いることができる。
【0158】
なお、第2の電極408を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
【0159】
本実施の形態で示した、有機EL素子を実施の形態1又は実施の形態2で示した白色照明装置の有機EL発光体に用いる事によって、発光効率が高く、かつ指向性を有する白色照明装置を作製することができる。
【0160】
また、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせて用いる事ができる。
【0161】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機EL発光体の作製方法について図6を用いて説明する。図6は本実施の形態の有機EL発光体を示す概略図である。
【0162】
図6に示す、有機EL発光体40は、基板400上に有機EL素子(第1の電極403、発光層を含むEL層402、第2の電極408)を有する。さらに、第1の電極403と同様の材料で作製した導電層411を有する。導電層411は、接続端子として機能する。また、第2の電極408上には封止基板410を有する。
【0163】
基板400としては、例えばガラス、石英、プラスチックなどを用いることができる。
【0164】
なお、有機EL素子が下面射出(ボトムエミッション)構造である場合、有機EL素子の支持基板は、光を取り出す側に凹凸構造を有することが好ましい。有機EL素子の光を取り出す側に、凹凸構造を有することで、支持基板と大気との界面で全反射が起こりにくく、従来では支持基板内を導波していた基板モード光を外部に取り出すことができる。よって、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0165】
まず、基板400上に有機EL素子を作製する。有機EL素子は、例えば実施の形態3に示した構成、方法で作製すればよい。本実施の形態では、第1の電極403と同時に導電層411を形成する。
【0166】
なお、本実施の形態において、有機EL素子の光を取り出す方向は、上面射出(トップエミッション)でも下面射出でもどちらでも構わない。
【0167】
光を取り出す方向とは反対側に設けられる電極は反射電極として機能する。例えば、上面射出構造の場合、基板とは反対側から光を取り出すため、基板とEL層に挟まれた第1の電極が反射電極となる。また、下面射出構造の場合は、基板と反対側の第2の電極が反射電極として機能する。反射電極は可視光を反射する材料を用いて形成する。反射電極の可視光に対する反射率は60%以上がよく、好ましくは反射率が80%以上、より好ましくは反射率が90%以上とする。
【0168】
反射電極に用いることができる材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料が挙げられる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。
【0169】
さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、又は金属酸化物膜を積層することでアルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタン等が挙げられる。上述の材料は、地殻における存在量が多く安価であるため、有機EL素子の作製コストを低減することができ、好ましい。
【0170】
次いで、有機EL素子の第2の電極408上に封止缶や封止基板などの封止材を用いて封止する。ここでは、封止基板410としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて基板400と封止基板410とを貼り合わせ、接着材で囲まれた空間を密閉なものとしている。
【0171】
密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。なお、シール材にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0172】
また、封止基板に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、発光装置の信頼性を向上させるために、基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥材によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0173】
ただし、有機EL素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0174】
以上により、本実施の形態の有機EL発光体を作製することができる。
【0175】
また、有機EL発光体は光を取り出す表面側に誘電体ミラーを取り付けてもよい。誘電体ミラーは波長選択性のあるミラーである。本発明の一態様では、LEDの光を反射し、有機EL素子の光は透過する性質を持つ誘電体ミラーを取り付ける。誘電体ミラーを、有機EL発光体の光を取り出す側に設けることで、有機EL発光体の光を透過させたままに、LEDの光は有機EL発光体の表面で反射させることができる。そのため、LEDの光が有機EL発光体内部を透過することを抑制できるため、LEDの光の減衰が少なくなり、より効率のよい白色照明装置を作製することができる。
【0176】
誘電体ミラーは屈折率の異なる2種類の透明な材料を交互に積層すること等によって作製することができる。このとき2種類の透明な材料の屈折率が大きいほど、また、層数が多いほど反射効率は高くなる。誘電体ミラーの積層構造としては、二酸化チタン、酸化珪素、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、アモルファスシリコン、窒化珪素等から積層する材料を適宜選択して積層することで形成できる。
【0177】
また、本発明の一態様の白色照明装置に用いる有機EL発光体は、本実施の形態に示した有機EL発光体40をマトリクス状に複数配列したものでもよい。
【0178】
本実施の形態で示した有機EL発光体を、実施の形態1又は実施の形態2で示した白色照明装置に用いる事によって、発光効率が高く、指向性を有する白色照明装置を作製することができる。
【0179】
また、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせて用いる事ができる。
【符号の説明】
【0180】
40 有機EL発光体
100 白色照明装置
101a 反射体
101b 有機EL発光体
101c 有機EL発光体
103 LED
110 三角錐
111 蝶番
112 留め金
120 第1の軸
201 有機EL発光体
203 反射体
301 LED支持体
303 LED
305 有機EL支持体
307a 有機EL発光体
307b 有機EL発光体
400 基板
402 EL層
403 第1の電極
408 第2の電極
410 封止基板
411 導電層
420 領域
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
800 EL層
801 EL層
803 電荷発生層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光波長のピークが400nm以上500nm以下の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードの光と補色関係にある光を発する面状の有機エレクトロルミネッセンス発光体と、
面状の反射体と、を有し、
前記有機エレクトロルミネッセンス発光体と前記反射体とが、対向配置され、
前記有機エレクトロルミネッセンス発光体の発光面を含む面と前記反射体の反射面を含む面とで囲まれる空間に前記発光ダイオードが配置され、
前記発光ダイオードの光が前記有機エレクトロルミネッセンス発光体、前記反射体、又は被照射面に照射される照明装置。
【請求項2】
請求項1において、前記反射体は前記発光ダイオードの光を反射する照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体は前記発光ダイオードの光を反射する照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記反射体が有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体の非発光領域上に前記発光ダイオードを備える照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体は可視光に対する反射率が60%以上の反射電極を備えた照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記発光ダイオードは前記反射体又は前記有機エレクトロルミネッセンス発光体に対して光を射出する照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体は光を取り出す面に凹凸を有する照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体は光を取り出す面に、前記発光ダイオードの光を反射し、前記有機エレクトロルミネッセンス発光体の光を透過する誘電体ミラーを有する照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−114083(P2012−114083A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241772(P2011−241772)
【出願日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】