説明

熱レンズの焦点距離を測定するための方法およびデバイス

本発明は、被検体(23)中に位置する熱レンズ(26)の焦点距離を測定するための方法に関し、その方法は、被検体(23)中に伸びる励起光ビーム(21.1)を提供して被検体中に熱レンズを形成するステップと、被検体(23)中に伸びるコヒーレントなプローブ光ビーム(22.1)を放射して励起光ビーム(21.1)と実質的に垂直に伝搬させるステップと、コヒーレントなプローブ光ビーム(22.1)を、被検体(23)を通過した後に検出器(24)で受けるステップとを含む。この方法はさらに、熱レンズ(26)がプローブ光ビーム(22.1)の一部だけ(22.1a)と交差するように熱レンズ(26)の上流または下流で励起光ビーム(21.1)を集光するステップと、検出器(24)によって干渉像を得るステップと、熱レンズ(26)の焦点距離を計算するために干渉像を処理するステップとを含む。本発明は、被検体(23)の物理的および化学的な分析に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中で生成される熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイス、および被検体を物理化学的に分析するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体中に形成される熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイスが、既に知られている。そのようなデバイスは、特に、被検体を物理化学的に分析することを可能にする。まず、熱レンズ形成の原理を確認しておく。
【0003】
光ビームが分子に吸収されると、分子の内部エネルギーの増加を引き起こす。分子は不安定なエネルギー状態へと変わり、このことによって、分子は余剰のエネルギーを取り除いて以前の安定な状態に戻る。このとき、いくつかの戻り方があり得る。分子は光学的放射を放つことがあり、これは発光である。分子は熱放射を放つことがあり、これは振動回転現象である。周囲の別の化学系にエネルギーが転移する現象も、あり得る。
【0004】
熱によるエネルギー損失が最もよく起きるが、発光または、別の化学系へのエネルギー転移による緩和もあり得る。
【0005】
被検体により吸収されるエネルギーが大きい場合は、分子緩和による温度の急激な上昇が媒質の膨張を引き起こし、したがって、屈折率の局所的な低下を引き起こす。熱レンズと呼ばれる、単一の実質的なレンズが形成される。熱レンズという呼び方は、励起光ビーム、通常はレーザービームの形から、および励起光ビームの波面のエネルギー分布から来ている。この熱レンズは、物理的なレンズと同様の形状および特性を有する。励起光ビームの伝搬方向または伝搬方向と実質的に垂直な方向で、熱的な効果および光ビームのタイプを検出するための照準デバイスが使用されているかどうかによっては、同じ熱レンズが得られない。
【0006】
第1のケースでは、励起光ビームの波面のエネルギー勾配の複合効果によって、および熱レンズの焦点における照準デバイスの開口角によって、熱レンズは球状の発散光学系として現れる。照準デバイスの開口角が大きいのでなおさら、所与の被検体濃度に対して、熱レンズは発散性になる。
【0007】
第2のケースでは、熱レンズは、励起光ビームの波面が生み出すエネルギー勾配の複合効果と、照準デバイスの照準点における励起光ビームの直径によって誘導される、実質的に円筒状の発散光学系として現れる。照準点における励起光ビームの直径が大きいのでなおさら、所与の被検体濃度に対して、熱レンズは発散性になる。
【0008】
励起光ビームの伝搬方向と実質的に垂直な照準デバイスによって観測される熱レンズの焦点距離は、励起光ビームの伝搬方向と実質的に同一線上の照準デバイスによって観測される熱レンズの焦点距離よりもはるかに小さいが、その他のことは全て同等であることに留意されたい。
【0009】
熱レンズの焦点距離は、分析される分子種の吸光度に依存し、この吸光度は、後で理解されるように、吸光する分子種の濃度に依存することが、示されている。
【0010】
分析の観点からは、熱レンズの焦点距離の数学的な定式化も、熱レンズの生成様式に依存する。励起光ビームは、集光していても集光していなくてもよく、その放射は、パルス状でも連続的でもよい。さらに、既に提示したように、熱レンズをプロービングする照準デバイスは、励起光ビームの伝搬方向と実質的に同一線上であるか、励起光ビームの伝搬方向と実質的に垂直であってよい。
【0011】
図1Aに、励起光ビームおよびプローブ光ビームが実質的に同一線上にある熱レンズを示し、図1Bに、励起光ビームおよびプローブ光ビームが実質的に垂直な熱レンズを示す。参照番号1は励起光ビームに対応し、参照番号2はプローブ光ビームを示し、参照番号3は被検体を示し、参照番号4はフィルタであり、参照番号5は検出器である。生成される熱レンズは点線で表され、参照番号6を有する。
【0012】
図1Aの熱レンズの焦点距離f’は、以下の式(1)および(2)によって与えられる。
【0013】
【数1】

【0014】
ただし、tC
【0015】
【数2】

【0016】
であるような熱レンズの寿命、
kはW.cm-1.K-1単位の被検体の熱伝導率、
ρはg.cm-3単位の被検体の密度、
CpはJ.g-1.K-1単位の被検体の熱容量、
ωOEは被検体におけるcm単位の励起光ビームの半径、
εはdm3.cm-1.mol-1単位で表され、素子が光を吸収する能力を表す、被検体のモル吸光係数(モル減衰係数とも呼ばれる)、
Cはmol.dm-3単位の被検体濃度、
lはcm単位の被検体中の光路長、
EはJ単位のパルス励起レーザーのエネルギー、
PはW単位の連続的な励起レーザーの電力、
【0017】
【数3】

【0018】
はK-1単位の被検体の屈折率勾配である。
【0019】
式(1)は、励起光ビーム1が連続的である場合に対応し、式(2)は、励起光ビームがパルス状である場合に対応する。
【0020】
図1Bでは、プローブ光ビーム2が、熱レンズ6の近傍に集光する。そのような構成によって、液体または気体の被検体の場合には、使用される被検体を数ピコリットルのオーダー、または10-12立方デシメートルの数倍のオーダーという非常に少量の体積にできる。しかし、実験の実施には大きな注意を要することに、留意すべきである。
【0021】
図1Bの熱レンズの焦点距離f’は、以下の式(3)および(4)によって与えられる。
【0022】
【数4】

【0023】
式(3)は、励起光ビーム1が連続的である場合に対応し、式(4)は、励起光ビーム1がパルス状である場合に対応する。
【0024】
励起光ビーム1が連続的である場合、励起光ビームを生成する光源(示されていない)と被検体との間で機械的なシャッターを用いて、被検体を熱的に緩和できるようにすることが好ましい。機械的なシャッターと結合する連続的な励起光ビーム1は、多くの励起モードを提供して、被検体の励起時間および、被検体が励起している時と励起していない時のデューティサイクルを変化させることができる。被検体は、安定状態に達するために、一定の時間励起されなければならないことに、留意されたい。
【0025】
熱レンズの焦点距離を測定するための方法、および、熱レンズの焦点距離から例えば被検体中の分子種の濃度を推定するための方法が、いくつか知られている。
【0026】
図2A、2Bおよび2Cでは、既知の熱レンズ3の焦点距離を測定するためのデバイスが示される。そのようなデバイスは、例えば、本明細書の最後で参照される非特許文献1、及び2に記載されている。プローブ光ビーム2は、光ダイオードタイプの検出器5で受光される前に、絞り7を通過する。励起光ビームは、示されていない。絞り7は、被検体3と検出器5との間に位置する。検出器は、屈折光学システム(示されていない)と関連していても関連していなくてもよい。検出器5により得られる強度の比は、2つの構成によって測定される。第1の構成では、図2Aに示されるように、熱レンズが生成せず、すなわち励起光ビームは被検体を照光しない。第2の構成では、熱レンズ6が存在する。
【0027】
図2Cは、図2Aとともに検討されるべきである。検出器5により得られる強度は、図2Aに示される構成によって測定される。第2の構成では、熱レンズ6が存在し、検出器5または、存在する場合には検出器と屈折光学システムの集合体が、検出器5によって得られる強度が第1の構成で測定された強度と等しくなるまで、プローブ光ビームの伝搬方向に移動させられる。距離Δzが分かっているので、検出器5の変位と対応づけることで、熱レンズ6の焦点距離を推定することができる。
【0028】
図2Dでは、既知の熱レンズ6の焦点距離を測定するための別のデバイスが示されている。そのようなデバイスは、例えば、本明細書の最後で参照される非特許文献3、4、及び5に記載されている。検出器5により得られる強度は、図2Aに示された構成で測定される。熱レンズ6が生成されると、プローブ光ビーム2’が、被検体3の上流でプローブ光ビームの伝搬方向からそれる。同じ強度を得ることを可能にするずれΔxを測定することで、焦点距離を推定することができる。
【0029】
干渉を用いて熱レンズの焦点距離を計算するための方法も、存在する。図3Aでは、フィゾー干渉計が示されている。そのようなデバイスは、例えば、本明細書の最後で参照される非特許文献6に記載されている。同じ光源から来る2つのプローブ光ビーム2.1、2.2が使用される。プローブ光ビーム2は、被検体3の上流に位置するビームスプリッタ8を通過することで、2つに分割される。そのうちの1つのプローブ光ビーム2.1は、熱レンズが存在しない領域で被検体3を通過し、もう一方のプローブ光ビーム2.2は、熱レンズ6を含む領域で被検体を通過する。被検体3から遠ざかる両方の光ビームは、参照番号2.1’および2.2’を有する。熱レンズ6は、被検体3から遠ざかる両方の光ビーム2.1’および2.2’の間に位相シフトを引き起こし、干渉が発生する。検出器5は両方の光ビームを受け、干渉像を明らかにする。この干渉像によって、元となる波面および熱レンズの焦点距離を推定することができる。
【0030】
図3Bでは、マイケルソン干渉計が示されている。2つの理想的な被検体3、3’が使用される。参照番号3を有するそのうちの1つには、熱レンズ6が形成され、参照番号3’を有する別の被検体には、熱レンズは存在しない。プローブ光ビーム2は、ビームスプリッタ9に到達する。ビームスプリッタ9は、プローブ光ビームの第1の部分2.3を、第1の被検体3の方に逸らす。プローブ光ビームのこの第1の部分2.3は、まず第1の被検体3を通過し、鏡10.1で反射され、再び第1の被検体3を通過し、ビームスプリッタ9を通過して検出器5に到達する。ビームスプリッタ9は、プローブ光ビームの第2の部分2.4が第2の被検体3’を通過できるようにする。プローブ光ビームの第2の部分2.4は第2の被検体3’を通過し、第2の鏡10.2で反射され、第2の被検体3’を再び通過し、ビームスプリッタによって検出器5に向けて反射される。第1の被検体3に熱レンズ6が存在するため、プローブ光ビームの両方の部分2.3、2.4には経路の違いがある。
【0031】
図3Cでは、ビームスプリッタ9および2つの鏡10.1、10.2とともに別の干渉デバイスが示されており、2つの鏡は熱レンズによって波面の干渉像を乱すことができ、その乱れから物理的特性を推定することができる。そのようなデバイスは、例えば、本明細書の最後で参照される非特許文献7、及び8に記載されている。この場合、熱レンズ6が形成される、1つだけの被検体3がある。プローブ光ビーム2は、2つの部分2.5、2.6に分割される前に、熱レンズ6を通過する。2つの部分2.5、2.6は、鏡のうちの1つ10.2が別の鏡よりもビームスプリッタ9から離れているために、光路の長さが異なることになる。光ビーム2.6の光路は、光ビーム2.5の光路よりも長い。熱レンズ6は、プローブ光ビーム2の波面を、プローブ光ビームが分割される前に歪ませる。検出器5で得られる干渉は、熱レンズの出現およびその焦点距離を反映することになる。
【0032】
図3D1、3D2では、シャックハルトマン分析器が示されている。そのようなデバイスは、例えば、本明細書の最後で参照される非特許文献9、及び10に記載されている。この装置は、検出器5の前に配置されるマイクロレンズの列12を含む。プローブ光ビーム2は、まず分析される被検体3を通過し、次いで、検出器5によって受光される前に、マイクロレンズ12の列を通過する。検出器5が受ける位置的な照光の違いが、2つの構成で測定される。第1の構成では、図3D1で示されるように、熱レンズは生成せず、すなわち励起光ビーム(示されていない)は被検体3を照光しない。図3D2に示される第2の構成では、熱レンズ6が被検体3に存在する。したがって、被検体3から出てきてマイクロレンズ12の列を通過する光ビームの波面の出現にしたがって、異なるずれが発生することになる。波面は、参照番号13を有する。
【0033】
両方の構成で検出器5が受ける照光は、干渉のない単一の畳み込みによる波面の主要な歪みに対応する。得られた照光から、レンズの形状を推定することができる。
【0034】
上述のデバイスでは、強度測定を実行するものだけが、濃度測定の目的で使用される。濃度測定は、光源の光強度の安定性、また調査される媒質による吸収の可能性という問題をもたらす。
【0035】
実行される測定は、レーザー源の強度に変動を引き起こす不安定性のために、信頼性がない可能性がある。この不安定性は、被検体がプローブ光ビームを吸収するときのプローブ光ビーム伝達の不安定性と、励起光ビームとプローブ光ビームとの、それらの光軸上に位置する交点のための、極めて精密な光源の光学調整に固有の機械的な不安定性である。温度のわずかな変化、または被検体領域での「マトリクス効果」と呼ばれる被検体の化学化合物のわずかな変化によって引き起こされる、被検体の屈折率のわずかな変化、熱的な変化、および機械的な衝撃の影響を受けるため、ミクロン単位でこの交点を制御することは難しい。より正確には、マトリクス効果は、被検体の原子に対する化学的な環境の影響に対応する。
【0036】
これらの擾乱によって、ある著者によれば再現性がわずか30%と低いため、上記の測定は不良となる。これらの技術は、物理化学的な分析における制約と両立しないことが多い。図2A、2C、および2Dに示されるような、可動部分を有するデバイスの別の欠点は、デバイスが十分にロバストではないことが多いということである。
【0037】
干渉またはシャックハルトマンデバイスが、熱レンズの形状を調査することが意図されている。
【0038】
干渉を用いる構成は、2つの測定方法の実装を必要とする処理が関わる。空間的な干渉の局所的な観測と、熱レンズを通過すると強く変化する波面のため、デバイスの較正は複雑になる。
【0039】
最後に、シャックハルトマン分析器は感度が低いデバイスであり、化学種の定量的な測定に使用場面を移すのは難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0040】
【非特許文献1】Chenming hu and J.R Whinnery, 「New thermooptical measurement method and a comparison with other method」, Applied optics, 1973, 第12巻, 第1号, p. 72-79
【非特許文献2】T. Berthoud, N. Delorme and P. Mauchien Anal, 「Beam geometry optimization in dual-beam thermal-lensing spectrometry」, Chemistry, 1985, 第57巻, 第7号, p. 1216-1219
【非特許文献3】R. Paugstadtand and M. Bass, 「Method for temporally and spatially resolved thermal-lensing measurements」, Applied optics, 1994, 第33巻, 第6号, p. 954-959
【非特許文献4】Syun-Ru and Daniel E. Falvey, 「Applications of photothermal beam deflection calorimetry to organic photochemistry」, Journal of photochemistry and photobiology, A: chemistry. 1995, 第87号, p. 13-21
【非特許文献5】Raj M. Misra and Partha P. Banerjee, 「Theoretical and experimental studies of pump-induced probe deflection in a thermal medium」, Applied optics, 1995, 第34巻, 第18号, p. 3358-3366
【非特許文献6】L. Rodriguez and R. Escalonia, 「Fourier transforms method for measuring thermal lens induced in diluted liquid samples」, Optics communications, 2007, 第227号, p. 57-62
【非特許文献7】J. Primot, 「Three waves lateral shearing interferometer.」, Applied optics, 1993, 第32巻, 第31号, p. 6242-6249
【非特許文献8】J. Primot et L. Sogno, 「Achromatic three waves (or more) lateral shearing interferometer」, Optical society of America, 1995, 第12巻, 第12号, p. 2679-2685
【非特許文献9】G. Artzner, 「Aspherical wavefront measurements: Shack-Hartmann numerical and practical experiments」, Pure Applied Opt. 7, 1998, p. 435-448
【非特許文献10】V.V. Molebny, R. Gordon, V. N. Kurashov, D. V. Podanchuk, V. Kovalenko et J. Wu, 「Refraction mapping of translucent objects with Shack-Hartmann sensor」, Proc. SPIE, 1998, 第3548号, p. 31-33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明の1つの目的は実際に、上述の欠点がなく、特に、プローブ光ビームを生成する光源のエネルギー変動の影響を受けにくい被検体中で生成される熱レンズの焦点距離を測定するための方法を、提供することである。
【0042】
本発明の別の目的は、被検体によるプローブ光ビームの吸収の影響下においても、プローブ光ビームを生成する光源が伝達するエネルギーの変動の影響を受けない方法を提供することである。
【0043】
本発明のさらに別の目的は、プローブ光ビームと励起光ビームとの間の交点のわずかな位置的な変化の影響を受けない方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明による、被検体中に生成される熱レンズの焦点距離を測定する方法は、
励起光源による励起光ビームを提供するステップであって、上記励起光ビームが被検体を通過して被検体中に熱レンズを生成し、上記熱レンズが1つだけ存在し実質的に円筒形の形状である、ステップと、
プローブ光源によるコヒーレントなプローブ光ビームを放射するステップであって、上記プローブ光ビームが被検体を通過し、励起光ビームと実質的に垂直に伝播する、ステップと、
プローブ光ビームが被検体を通過した後、検出器によってプローブ光ビームを受けるステップとを含み、さらに、
プローブ光ビームの一部だけが熱レンズを通過するように、熱レンズの上流または下流でプローブ光ビームを集光するステップと、
検出器によって干渉像を得るステップと、
干渉像を処理して熱レンズの焦点距離を計算するステップと
を含むことを特徴とする。
【0045】
有利には、励起光ビームはレーザービームである。
【0046】
この方法は、励起光ビームが被検体を通過する前に集光手段によって励起光ビームを集光するステップをさらに含み、これにより小さいサイズの被検体を使用することができる。
【0047】
検出器はCCDカメラであってもよい。
【0048】
この方法は、励起光源と同期して検出器を始動させ、プローブ光ビームのパルスによる電界ノイズならびに、レイリー散乱およびラマン散乱から保護するステップを含むことが好ましい。
【0049】
励起光源は、パルス状であっても連続的であってもよい。
【0050】
被検体の上流に位置する設定手段によって、プローブ光ビームの強度を設定するステップが好ましくは提供され、設定手段は変動する、増加する、または低下する吸光度を有するロータリーフィルタであってもよい。
【0051】
本発明は、被検体を物理化学的に分析するための方法にも関し、その方法は、焦点距離を測定するための方法のステップを含み、したがって、被検体に関する少なくとも1つの物理化学的な量を、判定手段を用いて判定するステップを特徴とする。この量は、測定された焦点距離に依存する。
【0052】
物理化学的な量は、被検体の濃度、吸光度、熱容量、熱伝導率、密度またはモル吸光係数であり得る。
【0053】
本発明は、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイスにも関する。そのデバイスは、被検体を通過して被検体中に熱レンズを生成する励起光ビームを提供するための励起光源と、被検体を通過して励起光ビームと実質的に垂直に伝播するコヒーレントなプローブ光ビームを放射するためのプローブ光源と、被検体を通過した後にプローブ光ビームを受ける検出器とを含む。測定デバイスはさらに、プローブ光ビームの一部だけが熱レンズを通過して検出器によって干渉像が得られるように熱レンズの上流または下流でプローブ光ビームを集光するための手段と、干渉像を処理して熱レンズの焦点距離を計算するための手段とを含む。
【0054】
本発明は、少しでも限定するような例ではなく単に例を表すものとして与えられる、例示的な実施形態の説明を読むことによって、添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】既に説明された、被検体中で生成する1つのタイプの熱レンズを示す図である。
【図1B】既に説明された、被検体中で生成するもう1つのタイプの熱レンズを示す図である。
【図2A】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、既知のタイプの可動部分を有するデバイスを示す図である。
【図2B】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、既知のタイプの可動部分を有するデバイスを示す図である。
【図2C】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、既知のタイプの可動部分を有するデバイスを示す図である。
【図2D】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、既知のタイプの可動部分を有するデバイスを示す図である。
【図3A】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、干渉を用いて動作する、既知のタイプのデバイスを示す図である。
【図3B】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、干渉を用いて動作する、既知のタイプのデバイスを示す図である。
【図3C】既に説明された、被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するための、干渉を用いて動作する、既知のタイプのデバイスを示す図である。
【図3D1】既に説明された、シャックハルトマンタイプの被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイスを示す図である。
【図3D2】既に説明された、シャックハルトマンタイプの被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイスを示す図である。
【図4】本発明による被検体中で生成する熱レンズの焦点距離を測定するためのデバイスとともに、本発明の目的である、被検体を物理化学的に分析するためのデバイスを示す図であり、これらのデバイスにより本発明による方法の実施が可能になる。
【図5A】図4の測定デバイスのプローブ光ビームを集光するための手段であって、集光が熱レンズの上流で行われる構成である手段を示す図である。
【図5B】熱レンズにおいて遮られる構成を示す図である。
【図5C】図4の測定デバイスのプローブ光ビームを集光するための手段であって、集光が熱レンズの下流で行われる構成である手段を示す図である。
【図6A】図5Aの構成における検出器が受けるプローブ光ビームの波面の変化を示す図である。
【図6B】図5Bの構成における検出器が受けるプローブ光ビームの波面の変化を示す図である。
【図6C】図5Cの構成における検出器が受けるプローブ光ビームの波面の変化を示す図である。
【図7】図4のデバイスにより得られるインターフェログラムおよび、同様の条件で得られる理論的なインターフェログラムを示す図である。
【図8】エタノールおよびコバルト溶液中で生成する熱レンズの焦点距離の変化をコバルト濃度の関数として示す図であり、この焦点距離は本発明の方法を実施することにより本発明の目的である測定デバイスで測定された。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下で説明される異なる図面の同一の、同様の、または等価な部分は、ある図面から別の図面への移行を簡単にするために、同じ参照番号を有する。
【0057】
図面に示される異なる部分は、図面を分かりやすくするために、必ずしも同じ縮尺では描かれていない。
【0058】
ここで図4を参照する。図4は、被検体23中に生成する熱レンズ26の焦点距離を測定するためのデバイスを示す。本発明では、被検体は単一の相の媒質であり、1つまたは複数の化学種が溶解していることが理解される。被検体23は液体、気体、または固体であってよい。
【0059】
この測定デバイスは、本発明による方法の実施を可能にする。
【0060】
測定デバイスは、被検体23を通過する励起光ビーム21.1を放射するための励起光源21を含み、被検体23中に熱レンズ26を生成する。熱レンズは1つだけであり、上述のように実質的に円筒形の形状である。励起光源21は、被検体の化学種の吸光波長に調整された波長を有するレーザー源であり、被検体の化学種が熱レンズの生成に寄与する。例えば、エタノールおよびコバルト溶液で形成される被検体の場合、励起光源の波長は約532nmになる。励起光源21は、連続的でもパルス状でもよい。励起光源21が連続的である場合、機械的なシャッター20が励起光源21と被検体23との間に設けられる。
【0061】
本発明の目的である測定デバイスは、プローブ光ビーム22.1を放射するためのプローブ光源22も含む。プローブ光ビーム22.1は、励起光ビーム21.1が生成する熱的な効果を検出するために使用される。プローブ光ビーム22.1は、被検体23に向かって伝播し、被検体23を通過する。プローブ光ビーム22.1の伝播方向は、励起光ビームの伝播方向と実質的に垂直である。プローブ光ビーム22.1はコヒーレントな光ビームであり、好ましくは単色である。プローブ光ビームは好ましくは連続的な光ビームであるが、パルス状でもよい。プローブ光源22は、波長が633nmであり当然コヒーレンスなままでエネルギーが調整された、HeNeレーザー源であってよい。プローブ光ビーム22.1は、被検体23を通過した後、プローブ光ビームの波面(図4では見えない)の強度を測定するための検出器24によって受光される。検出器24はCCD(電荷結合素子)タイプのカメラであってもよい。
【0062】
本発明による測定デバイスはさらに、プローブ光ビーム22.1を集光するための手段27を含み、集光は熱レンズ26の上流または下流で行われ、熱レンズでは行われない。さらに、集光は、プローブ光ビーム22.1の一部だけが熱レンズ26を通過するようにされる。詳細は、順次説明する。集光手段27は、プローブ光源22と被検体23との間に配置される。これを示す図5Aおよび5Cを参照することができる。プローブ光ビーム22を集光するための手段27が、約100mmの焦点距離を有することが、説明される例では仮定されている。当然、これは単に非限定的な例であり、この焦点距離の値は検出器24のサイズおよび予想される感度によって異なっていてもよい。
【0063】
本発明の目的である測定デバイスはさらに、励起光ビームを集光するための手段25を含むことが可能である。その手段は、励起光源21と被検体23との間に配置される。これにより、サイズの小さい被検体23を使用することができる。説明される例では、励起光ビーム21.1を集光するための手段の焦点距離は、約25.4mmであり得る。この焦点距離の値は、測定デバイスの予測される感度によって異なっていてもよい。
【0064】
本発明による測定デバイスは、プローブ光ビーム22の強度を調整するためのフィルタ28をさらに含んでもよい。フィルタ28は、プローブ光源22とプローブ光ビームを集光するための手段27との間に配置される。フィルタ28は、増加するまたは低下する吸光度を有するロータリータイプであってもよい。
【0065】
検出器24は、熱レンズ26の焦点距離を計算するための処理手段29に入力する、信号を送達する。
【0066】
図4では、示されているデバイスは、被検体を物理化学的に分析するためのデバイスであることが仮定される。デバイスは、測定デバイスに加えて、被検体23に関する少なくとも1つの物理化学的な量を判定するための判定手段29’を含み、この量は焦点距離に依存する。この判定手段29’は、処理手段29が計算した焦点距離を受け取り、被検体23に関する少なくとも1つの物理化学的な量を送達する。当然、この量は計算された焦点距離に依存する。この量は、例えば、被検体に含まれる化学種の濃度である被検体濃度、被検体の吸光度、熱容量、熱伝導率、密度またはモル吸光係数であってよい。
【0067】
判定手段29’は、処理手段29と間違われることがある。
【0068】
レーザービームの電界ノイズならびに、被検体23のレイリー散乱およびラマン散乱から保護するために、検出器24は励起光源21と同期して始動されることが好ましい。
【0069】
図5Aは、プローブ光ビーム22.1を集光するための手段27が熱レンズ26の上流で集光される場合を示す。図5Cは、プローブ光ビーム22.1を集光するための手段27が熱レンズ26の下流で集光される場合を示す。いずれの場合でも、プローブ光ビーム22.1の一部22.1aだけが熱レンズ26を通過する。熱レンズ26を通過しないプローブ光ビーム22のもう一方の部分は、参照番号22.1bを有する。プローブ光ビーム22の両方の部分22.1aおよび22.1bは、検出器24で干渉像を形成することになる。検出器24で、同じ光路を通っていない波が結合される。その結果、交互に構成波と破壊波があり、それらによる縞の間隔は熱レンズ26の焦点距離に依存する。
【0070】
図5Bでは、プローブ光ビーム22.1は熱レンズ26で集光する。この光ビーム22.1からの光線は全て熱レンズ26を通過し、検出器24における干渉がない。図5Bの構成は、本発明の一部ではない。
【0071】
図6A、6Bおよび6Cでは、検出器24により送達された像が示されており、プローブ光ビームを集光するための手段はそれぞれ、図5A、5Bおよび5Cの集光手段に対応する。図6Aおよび6Cは、利用可能な干渉像である。図6Bでは、干渉がなくこの像は利用できない。
【0072】
本発明の目的である測定デバイスの体積を低減するため、図5Cの構成を選択することが好ましく、この構成では熱レンズ26がプローブ光ビームの焦点の上に位置するように、集光および空間的な調整がされている。同じ目的で、熱レンズの断面積がプローブ光ビームの断面積よりも確実に小さくなるようにすることが重要である。
【0073】
図7は、図6Aに示される検出器によって得られる干渉像から得られるインターフェログラムを、参照記号(a)とともに示す。インターフェログラムのために、処理手段は、列の各ピクセルによって得られる強度を、列ごとに追加していった。参照記号(b)を有するインターフェログラムは、同じ条件に対応する理論的なインターフェログラムである。
【0074】
以下の単純化された前提が適用される。ガウス条件が満たされている。熱レンズは実質的に円筒形の形状で生成された。熱レンズの効果は、検出器に到達する波の位相シフトに対して広まっている。熱レンズの厚さは無視される。
【0075】
このインターフェログラムでは、次元xにおける強度I(x)は、振幅分割マイケルソン干渉計の通常の式にしたがって表すことができる。
I(x) = 2Ix(1+cos(Δφx)) (6)
ただし、
【0076】
【数5】

【0077】
である。
【0078】
Ixは熱レンズが存在しないときの次元xのプローブ光ビームの強度であり、
λはプローブ光ビームの波長であり、δxはプローブ光ビームの両方の部分の間の経路差である。
【0079】
Dを熱レンズと検出器の間の距離、
Lをプローブ光ビームを集光するための手段と熱レンズの間の距離、
f’LTを熱レンズの焦点距離、
f’LFをプローブ光ビームを集光するための手段の焦点距離
とする。
【0080】
すると、
【0081】
【数6】

【0082】
である。
【0083】
プローブ光ビームを集光するための手段によって誘導される経路差を導入して境界条件を満たすことで、次元xでの強度I(x)の最終的な表現は
【0084】
【数7】

【0085】
となり、ただし
【0086】
【数8】

【0087】
である。
【0088】
この一連の測定で使用される本発明による測定デバイスでは、さらに本発明による測定方法を実施する際には、
D = 132mm
L = 128mm
f’LF = 100mm
であり、熱レンズの焦点距離f’LTは、最小二乗法によって最適化され、理論的な関数と図7に示される実験によるインターフェログラムを合わせることを前提とする。当然、これらの値は被検体によって変化してよい。コバルトを含むエタノール溶液で、コバルト濃度が0.1mol/Lである被検体については、熱レンズの理論的な焦点距離f’LTは-10.4mmである。
【0089】
処理手段によって計算される焦点距離f’LTは-10.4mmである。
【0090】
ここで、エタノールおよびコバルト溶液である被検体中で生成する熱レンズの焦点距離をコバルト濃度の関数として表す、較正曲線を示す図8を参照する。
【0091】
エタノールおよびコバルト溶液は、以下の特性を有する。
モル吸光係数:ε= 20dm3.mol-1.cm-1
熱伝導率:k = 0.0018W.cm-1.K-1
密度:ρ= 0.789g.cm-3
熱容量:Cp = 2.44J.g-1.K-1
屈折率勾配:dn/dT = 397×10-6K-1
【0092】
5×10-4〜0.1mol/Lの範囲の濃度について、TLS(熱レンズ分光法)によって調査されている。
【0093】
励起光ビームはパルス状であり、その波長は532nmに等しい。プローブ光ビームの波長は633nmである。プローブ光ビームは連続的である。
【0094】
被検体は、かき回すことなく、1mmの光路長を有する石英管に導入される。異なる寸法の別の容器も、もちろん使用できる。
【0095】
それぞれの濃度に対して、本発明による測定方法を実施し焦点距離が式[8]を用いて推定されると、本発明の目的である測定デバイスによってインターフェログラムが測定される。
【0096】
励起光ビームの各パルスの後には被検体の置換はないので、図8の曲線の出現は、最後に導入された要因に対して式[8]によって予測される曲線に対応する。
【0097】
測定感度は、分子吸光度分析によって得られる測定感度と同等であり、プローブされる体積は大きさが数桁のオーダーで小さくなり得る。熱レンズ分光法における通常の性能は、変化しない。
【0098】
本発明による測定デバイスおよび対応する方法の1つの利点は、検出器によって得られる干渉像がプローブ光ビームの強度または被検体によるプローブ光ビームの可能な吸収と無関係であるということである。フィルタはプローブ光ビームの一部を吸収することができるが、その役割は、検出器が飽和しないように検出器に到達する強度を最適化することである。
【0099】
この測定デバイスおよび対応する方法の別の要点は、検出器によって送達される信号が、異なる光学部品を互いに調整するための機械的な条件に大きくは依存しないということである。
【0100】
本発明の目的である測定デバイスおよび対応する方法は、熱レンズを用いる分析技術を実質的に改善することができる。
【0101】
改善の要点は、以下の通りである。
【0102】
測定は、検出器が受ける波長の強度に対して無関係である。この改善の具体的な態様は以下の通りである。プローブ光源のエネルギーの制御が要求されないこと、プローブ光源のエネルギーが安定していなくてもよいこと、さらに、プローブ光ビームの波長において、被検体は吸光性でもよいことである。
【0103】
測定デバイスの部品の機械的な調整に対する制約がこのように少ないことから、設定の安定性は従来技術よりもはるかに良好になる。
【0104】
熱レンズが誘導するインターフェログラムは、分析的なアプローチにおいても利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
20 機械的なシャッター
21 励起光源
22 プローブ光源
23 被検体
24 検出器
25 集光手段
26 熱レンズ
27 集光手段
28 熱レンズ
29 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体(23)中に生成される熱レンズ(26)の焦点距離を測定する方法であって、
励起光源(21)による励起光ビーム(21.1)を提供するステップであって、前記励起光ビームが前記被検体(23)を通過して前記熱レンズ(26)を生成し、前記熱レンズが1つだけ存在し実質的に円筒形の形状である、ステップと、
プローブ光源(22)によるコヒーレントなプローブ光ビーム(22.1)を放射するステップであって、前記プローブ光ビームが前記被検体(23)を通過し、前記励起光ビーム(21.1)と実質的に垂直に伝播する、ステップと、
前記プローブ光ビームが前記被検体(23)を通過した後、検出器(24)によって前記プローブ光ビームを受けるステップとを含む方法において、さらに、
前記プローブ光ビーム(22.1)の一部(22.1a)だけが前記熱レンズ(26)を通過するように、前記熱レンズ(26)の上流または下流で前記プローブ光ビーム(22.1)を集光するステップと、
前記検出器(24)によって干渉像を得るステップと、
前記干渉像を処理して前記熱レンズ(26)の前記焦点距離を計算するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記励起光ビーム(21.1)がレーザービームである、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記励起光ビームが前記被検体(23)を通過する前に集光手段によって前記励起光ビームを集光させるステップをさらに含む、請求項1または2に記載の測定方法。
【請求項4】
前記検出器(24)がCCDカメラである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項5】
前記励起光源(21)と同期して前記検出器を始動させるステップを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項6】
前記励起光源(21)が、パルス状または連続的である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項7】
前記被検体(23)の上流に位置する設定手段(28)によって、前記プローブ光ビーム(22.1)の強度を設定するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項8】
前記設定手段(28)が変動する、増加する、または低下する吸光度を有するロータリーフィルタである、請求項7に記載の測定方法。
【請求項9】
被検体(23)を物理化学的に分析するための方法であって、請求項1〜8のいずれか一項による前記焦点距離を測定するための前記方法の前記ステップと、前記被検体(23)に関する少なくとも1つの物理化学的な量を判定手段(29’)を用いて判定するステップとを含み、前記量が前記測定された焦点距離に依存することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記物理化学的な量が、前記被検体(23)の濃度、吸光度、熱容量、熱伝導率、密度またはモル吸光係数である、請求項9に記載の分析方法。
【請求項11】
被検体(23)中に生成する熱レンズ(26)の焦点距離を測定するためのデバイスであって、前記被検体(23)を通過して前記被検体中に単独で実質的に円筒形の前記熱レンズ(26)を生成する励起光ビーム(21.1)を提供するための励起光源(21)と、前記被検体(23)を通過して前記励起光ビーム(21.1)と実質的に垂直に伝播するコヒーレントなプローブ光ビーム(22.1)を放射するためのプローブ光源(22)と、前記被検体(23)を通過した後に前記プローブ光ビーム(22.1)を受ける検出器(24)とを含むデバイスにおいて、さらに、前記プローブ光ビーム(22.1)の一部(22.1a)だけが前記熱レンズ(26)を通過して前記検出器(24)によって干渉像が得られるように前記熱レンズ(26)の上流または下流で前記プローブ光ビーム(22.1)を集光するための手段(27)と、前記干渉像を処理して前記熱レンズ(26)の前記焦点距離を計算するための手段(29)とを含むことを特徴とする、デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A−2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D1】
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【図3D2】
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【図4】
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【図5A−6C】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−519836(P2012−519836A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552424(P2011−552424)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052647
【国際公開番号】WO2010/100168
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】