熱交換器
【課題】ヘッダタンクの十分な耐圧性を確保した上で軽量化を図りうる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器を適用したガスクーラのヘッダタンク2は、外側プレート7と、内側プレート8と、中間プレート9とからなる。ヘッダタンク2に、冷媒の流れる中空状の冷媒流路10aを有する少なくとも1つのヘッダ部10Aを形成する。冷媒流路10aは、外側プレート7の中間プレート9側を向いた面に形成された第1流路形成部28と、中間プレート9の外側プレート7側を向いた面に形成された第2流路形成部31とからなる。第2流路形成部31の内周面の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部31の最深部と対応する部分における中間プレート9と内側プレート8とを合わせた厚みが、第1流路形成部28の最深部と対応する部分における外側プレート7の厚み以上となっている。
【解決手段】熱交換器を適用したガスクーラのヘッダタンク2は、外側プレート7と、内側プレート8と、中間プレート9とからなる。ヘッダタンク2に、冷媒の流れる中空状の冷媒流路10aを有する少なくとも1つのヘッダ部10Aを形成する。冷媒流路10aは、外側プレート7の中間プレート9側を向いた面に形成された第1流路形成部28と、中間プレート9の外側プレート7側を向いた面に形成された第2流路形成部31とからなる。第2流路形成部31の内周面の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部31の最深部と対応する部分における中間プレート9と内側プレート8とを合わせた厚みが、第1流路形成部28の最深部と対応する部分における外側プレート7の厚み以上となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器に関し、さらに詳しくは、たとえばCO2(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられる超臨界冷凍サイクルのガスクーラやエバポレータに好適に使用される熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「超臨界冷凍サイクル」とは、高圧側において、冷媒が臨界圧力を超えた超臨界状態となる冷凍サイクルを意味するものとし、「超臨界冷媒」とは、超臨界冷凍サイクルに用いられる冷媒を意味するものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
【背景技術】
【0003】
超臨界冷凍サイクルに用いられる熱交換器として、互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管と、隣接する熱交換管間の通風間隙に配置されかつ熱交換管にろう付されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、アルミニウム製外側プレートと、アルミニウム製内側プレートと、これら両プレート間に介在させられたアルミニウム製中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、外側プレートの幅方向の中央部に、中間プレート側に開口する横断面略U字状の外方屈曲部が全長にわたって形成されているとともに、外方屈曲部の両端開口が閉鎖され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、中間プレートにおける同一のヘッダ部内の冷媒流路に通じる全連通穴が、中間プレートのおける隣り合う連通穴の長さ方向の中間部を切除することにより形成された連通部を介して通じさせられ、ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの外方屈曲部内の中空部からなる第1流路形成部と、当該ヘッダ部に通じる複数の連通穴およびこれらの連通穴を通じさせる連通部よりなる第2流路形成部とからなり、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献1記載の熱交換器においては、特に、中間プレートの内側プレートを向いた面における連通部に臨む部分と、内側プレートの中間プレートを向いた面とのろう付部に応力が集中しやすいので、内側プレートに大きな力が作用することになる。その結果、特許文献1記載の熱交換器において、ヘッダタンクの耐圧性を向上させるためには、内側プレートの肉厚を比較的大きくする必要がある。しかしながら、この場合、ヘッダタンクの重量、すなわち熱交換器全体の重量が大きくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−351520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヘッダタンクの十分な耐圧性を確保した上で軽量化を図りうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0007】
1)互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管とを備えており、ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器であって、
ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっている熱交換器。
【0008】
2)外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0009】
3)外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0010】
4)外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0011】
5)中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの直線部を有している上記4)記載の熱交換器。
【0012】
上記2)〜4)の熱交換器において、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6倍未満であると、冷媒流路断面積が小さくなって通路抵抗が上昇するおそれがあり、1.5倍を超えると、冷媒流路の内容積が大きくなってヘッダタンクの強度が低下するおそれがある。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の熱交換器によれば、ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなるので、ヘッダタンクのヘッダ部の流路内の熱交換管側への圧力は、中間プレートと内側プレートとによって受けられることになり、しかも第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっているので、ヘッダタンクの耐圧性が向上する。また、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であるから、中間プレートに生じる応力集中箇所が少なくなり、これによってもヘッダタンクの耐圧性が向上する。したがって、内側プレートの肉厚を特許文献1記載の熱交換器の場合よりも薄くすることが可能になり、ヘッダタンクの軽量化、ひいてはこれを用いた熱交換器全体の軽量化を図ることができる。
【0014】
上記2)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【0015】
上記3)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【0016】
上記4)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、超臨界冷凍サイクルのガスクーラに適用したものである。
【0018】
なお、以下の説明において、図1および図2の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。
【0019】
また、以下の説明において、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0021】
図1および図2はこの発明による熱交換器を適用したガスクーラの全体構成を示し、図3〜図7はその要部の構成を示す。
【0022】
図1および図2において、超臨界冷媒、たとえばCO2を使用する超臨界冷凍サイクルのガスクーラ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置されかつ上下方向にのびる2つのヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に、上下方向に間隔をおくとともに幅方向を前後方向に向けて配置された複数の扁平状熱交換管(4)と、隣接する熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたコルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側にそれぞれ配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)とを備えている。なお、この実施形態において、右側のヘッダタンク(2)を第1ヘッダタンク、左側のヘッダタンク(3)を第2ヘッダタンクというものとする。
【0023】
第1ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された外側プレート(7)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された内側プレート(8)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材から形成されかつ外側プレート(7)と内側プレート(8)との間に介在させられて外側プレート(7)および内側プレート(8)にろう付された中間プレート(9)とを備えており、内部が冷媒流路(10a)となった入口ヘッダ部(10A)および内部が冷媒流路(10b)となった出口ヘッダ部(10B)が上下に並んで設けられている。
【0024】
図2〜図5に示すように、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)の前後方向(幅方向)の中央部に、左側(中間プレート(9)側)に開口した横断面略U字状の外方屈曲部(7a)が全長にわたって形成されている。外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の前後両側部分はそれぞれ同一平面内に位置する平坦部(7b)となっている。外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の左側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。外側プレート(7)の上下両端部および上下方向の中央部に、それぞれ前後方向に長くかつ一方の平坦部(7b)から他方の平坦部(7b)に至る貫通穴(25)が形成されている。
【0025】
外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の頂部における上端部の貫通穴(25)よりも若干下方の位置に冷媒入口(12)が形成されており、外方屈曲部(7a)外面に、冷媒入口(12)に通じる冷媒流入路(14)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製の直方体状入口部材(13)が、外側プレート(7)外面のろう材を利用してろう付されている。また、外方屈曲部(7a)の頂部における下端部の貫通穴(25)よりも若干上方の位置に冷媒出口(15)が形成されており、外方屈曲部(7a)外面に、冷媒出口(15)に通じる冷媒流出路(17)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製の直方体状出口部材(16)が、外側プレート(7)外面のろう材を利用してろう付されている。外側プレート(7)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施することにより形成されている。
【0026】
入口部材(13)および出口部材(16)には、その後面から前方にのびるねじ穴(35)(36)がそれぞれ形成されている。入口部材(13)のねじ穴(35)は、超臨界冷凍サイクルにおいて、圧縮機からのびる配管の先端部に取り付けられたジョイント部材をねじ止めするのに用いられ、出口部材(16)のねじ穴(36)は、中間熱交換器からのびる配管の先端部に取り付けられたジョイント部材をねじ止めするのに用いられる。
【0027】
第1ヘッダタンク(2)の内側プレート(8)には、前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(18)が、上下方向に間隔をおいて形成されている。上半部の複数の管挿入穴(18)は、入口ヘッダ部(10A)の冷媒流路(10a)の上下方向の範囲内に形成され、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)の上下方向の範囲内に形成されている。管挿入穴(18)の前後方向の長さは、外方屈曲部(7a)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(18)の前後両端部は外方屈曲部(7a)の前後両側縁よりも外方に突出している。また、内側プレート(8)の前後両側縁部に、それぞれ右方に突出して先端が外側プレート(7)の外面まで至り、かつ外側プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面を覆う側面被覆壁(19)が一体に形成され、外側プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面にろう付されている。各側面被覆壁(19)の突出端の上下両端部および上下方向中央部に、それぞれ前後方向内方に突出しかつ外側プレート(7)の外面に係合する係合爪(21)が一体に形成され、外側プレート(7)にろう付されている。上下両端部の係合爪(21)は、外側プレート(7)の貫通穴(25)の前後両端部を覆っている。なお、図5に実線で示すように、係合爪(21)は、3つのプレート(7)(8)(9)を組み合わせる前の状態では、側面被覆壁(19)に真っ直ぐに連なって左右方向外方にのびている。真っ直ぐな係合爪を(21A)で示す。そして、3つのプレート(7)(8)(9)を組み合わせた後に係合爪(21A)を前後方向内方に曲げることによって3つのプレート(7)(8)(9)が仮止めされる。内側プレート(8)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。
【0028】
第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)には、前後方向に長くかつ内側プレート(8)の管挿入穴(18)を入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)内に通じさせる複数の連通穴(22)が貫通状に形成されている。各連通穴(22)は管挿入穴(18)よりも一回り大きくなっている。中間プレート(9)の左右方向外面における前後方向の中央部に、左右方向内側に凹みかつ左右方向外方に開口した凹溝(23)が全長にわたって形成されている。また、中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に、外側プレート(7)の貫通穴(25)と対応するように、それぞれ前後方向に長くかつ貫通穴(25)と同一の幅および長さを有する貫通穴(26)が形成されている。外側プレート(7)の貫通穴(25)と中間プレート(9)の貫通穴(26)とによって、貫通状の仕切板挿入穴(27)が、両プレート(7)(9)に跨るように形成されている。各仕切板挿入穴(27)内に仕切板(11)が挿入されることによって、外側プレート(7)および中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に仕切板(11)が配置されている。
【0029】
仕切板(11)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成されたものであり、各仕切板挿入穴(27)内に外側から挿入され、仕切板(11)の前後両側縁部が外側プレート(7)および中間プレート(9)にろう付され、同じく左右方向内側縁部が内側プレート(8)にろう付され、さらに仕切板(11)の上下両面が外側プレート(7)および中間プレート(9)にろう付されている。また、内側プレート(8)の係合爪(21)が、外側プレート(7)の貫通穴(25)、すなわち仕切板挿入穴(27)と対応する位置に、貫通穴(25)(仕切板挿入穴(27))の前後両端部を覆うように形成されていることにより、係合爪(21)は仕切板(11)の前後両端部の外面にも係合し、仕切板(11)にろう付されている。そして、各仕切板挿入穴(27)内に仕切板(11)が挿入されることによって、外側プレート(7)および中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に仕切板(11)が配置され、これにより外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)の上下両端開口が仕切板(11)により閉鎖されるとともに、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)および中間プレート(9)の凹溝(23)が長さ方向の中央部において仕切板(11)により上下に区画されている。上下両端の仕切板(11)と中央部の仕切板(11)との間の部分において、内側プレート(8)の上半部の複数の管挿入穴(18)および下半部の複数の管挿入穴(18)が形成されている。
【0030】
第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下方向中央部の仕切板(11)よりも上側の部分により形成され、同じく出口ヘッダ部(10B)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下方向中央部の仕切板(11)よりも下側の部分によりている。第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)は、上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部中央部の仕切板(11)との間において、それぞれ外側プレート(7)の左右方向内面(中間プレート(9)側を向いた面)に形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部(28)(29)と、中間プレート(9)の左右方向外面(外側プレート(7)を向いた面)における各第1流路形成部(28)(29)と対応する部分にそれぞれ形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部(31)(32)とからなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)は、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)における上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部の仕切板(11)との間に存在する部分からなり、中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)は、凹溝(23)における上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部の仕切板(11)との間に存在する部分からなる。
【0031】
外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)および中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)の内周面の横断面形状は全体に円弧状であり、それぞれ1つの円弧部(28a)(29a)(31a)(32a)を有している。そして、第2流路形成部(31)(32)の最深部と対応する部分における中間プレート(9)と内側プレート(8)を合わせた厚み(A)が、第1流路形成部(28)(29)の最深部と対応する部分における外側プレート(7)の厚み(B)以上となっている(図3参照)。また、第2流路形成部(31)(32)の内周面の円弧部(31a)(32a)の曲率半径(R1)は、第1流路形成部(28)(29)の内周面の円弧部(28a)(29a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。ここでは、第2流路形成部(31)(32)の内周面の円弧部(31a)(32a)の曲率半径(R1)は、第1流路形成部(28)(29)の内周面の円弧部(28a)(29a)の曲率半径(r)の0.6倍以上で、かつ1.0倍未満となっている(図7参照)。
【0032】
図2および図6に示すように、第2ヘッダタンク(3)は、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であり、同一物および同一部分に同一符号を付す。両ヘッダタンク(2)(3)は、内側プレート(8)どうしが対向するように配置されている。
【0033】
第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)および中間プレート(9)には上下両端部のみに仕切板(11)が配置されており、外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)は、上下両端開口のみが仕切板(11)により閉鎖されている。これにより、外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)および中間プレート(9)の凹溝(23)は上下に区画されていない。その結果、第2ヘッダタンク(3)には、第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)に跨るように、内部が冷媒流路(20a)となった1つの中間ヘッダ部(20)が形成されている。なお、外側プレート(7)の外方屈曲部(7)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていない。
【0034】
第2ヘッダタンク(3)の内側プレート(8)のすべての管挿入穴(18)は、中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の上下方向の範囲、すなわち上下両端の仕切板(11)間に形成されており、内側プレート(8)のすべての管挿入穴(18)は、中間プレート(9)のすべての連通穴(22)を介して、中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)に通じさせられている。
【0035】
第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下の仕切板(11)間の部分により形成されている。第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)は、上下両端の仕切板(11)の間において、それぞれ外側プレート(7)の左右方向内面(中間プレート(9)側を向いた面)に形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部(33)と、中間プレート(9)の左右方向外面(外側プレート(7)を向いた面)における第1流路形成部(33)と対応する部分に形成され、かつ第2ヘッダタンク(3)の長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部(34)とからなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(33)は、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)における上下両端の仕切板(11)の間に存在する部分からなり、中間プレート(9)の第2流路形成部(34)は、凹溝(23)における上下両端の仕切板(11)の間に存在する部分からなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(33)および中間プレート(9)の第2流路形成部(34)の内周面の横断面形状は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)および中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)の場合と同一であり、1つの円弧部(33a)(34a)を有している(図7参照)。
【0036】
熱交換管(4)は、金属、ここではアルミニウム製押出形材からなり、前後方向に幅広の扁平状で、その内部に長さ方向にのびる複数の冷媒通路(4a)が並列状に形成されている。熱交換管(4)の両端部は、それぞれ両ヘッダタンク(2)(3)の管挿入穴(18)に挿入された状態で、内側プレート(8)のろう材層を利用して内側プレート(8)にろう付されている。なお、熱交換管(4)の両端は中間プレート(9)の厚さ方向の中間部まで連通穴(22)内に入り込んでおり、入口ヘッダ部(10A)、出口ヘッダ部(10B)および中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(10a)(10b)(20a)内に突出している。すべての熱交換管(4)は、右端部が第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)の冷媒流路(10a)に通じるとともに左端部が第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の上半部に通じる複数の熱交換管(4)からなる熱交換管群と、右端部が第1ヘッダタンク(2)の出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)に通じるとともに左端部が第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の下半部に通じる複数の熱交換管(4)からなる熱交換管群とに分けられることにより、第1および第2の2つのパス(P1)(P2)に区分されており、各パス(P1)(P2)を構成する全ての熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が同一となっているとともに、2つのパス(P1)(P2)の熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が異なっている。
【0037】
ガスクーラ(1)はすべての部品を組み合わせて一括ろう付することにより製造される。
【0038】
ガスクーラ(1)は、圧縮機、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともに超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0039】
上述したガスクーラ(1)において、圧縮機を通過したCO2 が、入口部材(13)の冷媒流入路(14)を通って冷媒入口(12)から第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)内の冷媒流路(10a)に入り、冷媒流路(10a)内を下方に流れながら分流して第1パス(P1)のすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入する。冷媒通路(4a)内に流入したCO2は、冷媒通路(4a)内を左方に流れて第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)の上半部に流入する。中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)の上半部に流入したCO2は、冷媒流路(20a)内を下方に流れ、分流して第2パス(P2)のすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(4a)内を右方に流れて第1ヘッダタンク(2)の出口ヘッダ部(10B)内の冷媒流路(10b)に入る。その後、CO2は、出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)内を下方に流れ、冷媒出口(15)および出口部材(16)の冷媒流出路(17)を通って流出する。そして、CO2が熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内を流れる間に、通風間隙を図1に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換し、冷却される。
【0040】
図8は、中間プレートの変形例を示す。
【0041】
図8に示す中間プレート(9)の場合、中間プレート(9)の外側プレート(7)を向いた面における第2流路形成部(31)(32)(34)の前後両側部分に、それぞれ上下方向にのびるとともに左右方向外方に突出した凸条(40)が一体に形成されている。凸条(40)の前後方向内面の横断面形状は、第2流路形成部(31)(32)(34)の内周面の円弧部(31a)(32a)(34a)と同一曲率を有する円弧状であり、第2流路形成部(31)(32)(34)の内周面に滑らかに連なっている。また、凸条(40)は、外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)(33)内に嵌っている。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す中間プレート(9)と同一である。
【0042】
図9〜図12は、入口ヘッダ部(10A)、出口ヘッダ部(10B)および中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(10a)(10b)(20a)の変形例を示す。
【0043】
図9に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(41)(42)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(43)の内周面の横断面形状は全体に円弧状であり、それぞれ1つの円弧部(41a)(42a)(43a)を有している。第2流路形成部(41)(42)(43)の内周面の円弧部(41a)(42a)(43a)の曲率半径(R2)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましいが、ここでは、第2流路形成部(41)(42)(34)の内周面の円弧部(41a)(42a)(43a)の曲率半径(R2)は、第1流路形成部(28)(29)(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の1.0倍よりも大きく、かつ1.5倍以下となっている。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0044】
図10に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(45)(46)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(47)の内周面は、その横断面形状において1つの円弧部(45a)(46a)(47a)と、円弧部(45a)(46a)(47a)の前後方向両端に連なりかつ左右方向外方に向かって前後方向外方に傾斜した2つの直線部(45b)(46b)(47b)とを有している。第2流路形成部(45)(46)(47)の内周面の円弧部(45a)(46a)(47a)の曲率半径(R3)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0045】
図11に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(50)(51)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(52)の内周面は、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部(50a)(51a)(52a)(50b)(51b)(52b)を有している。ここでは、曲率半径が(R4)である1つの第1円弧部(50a)(51a)(52a)と、第1円弧部(50a)(51a)(52a)の前後方向両端に連なり、かつ第1円弧部(50a)(51a)(52a)の曲率半径(R4)よりも小さい曲率半径(R5)を有する2つの第2円弧部(50b)(51b)(52b)とを有している。第2流路形成部(50)(51)(52)の内周面の第1円弧部(50a)(51a)(52a)および第2円弧部(50b)(51b)(52b)の曲率半径(R4)(R5)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0046】
図12に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(55)(56)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(57)の内周面は、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部(55a)(56a)(57a)(55b)(56b)(57b)と、直線部(55c)(56c)(57c)とを有している。ここでは、曲率半径が(R6)である1つの第1円弧部(55a)(56a)(57a)と、第1円弧部(55a)(56a)(57a)の前後方向両端に連なり、かつ第1円弧部(55a)(56a)(57a)の曲率半径(R6)よりも小さい曲率半径(R7)を有する2つの第2円弧部(55b)(56b)(57b)と、第2円弧部(55b)(56b)(57b)の前後両端に連なりかつ左右方向外方に真っ直ぐに伸びる2つの直線部(55c)(56c)(57c)とを有している。第2流路形成部(55)(56)(57)の内周面の第1円弧部(55a)(56a)(57a)および第2円弧部(55b)(56b)(57b)の曲率半径(R6)(R7)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0047】
図示は両略したが、図9〜図12に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)においても、第2流路形成部(31)(32)の最深部と対応する部分における中間プレート(9)と内側プレート(8)を合わせた厚み(A)が、第1流路形成部(28)(29)の最深部と対応する部分における外側プレート(7)の厚み以上となっている。
【0048】
上記実施形態においては、ヘッダタンク(2)(3)は3枚のプレート(7)(8)(9)により形成されているが、内側プレート(8)と中間プレート(9)との間に、さらに1枚以上のプレートが介在させられていてもよい。当該プレートは、第2流路形成部(31)(32)が設けられていないことを除いては、中間プレート(9)と同様な構成である。
【0049】
また、上記の実施形態においては、超臨界冷凍サイクルの超臨界冷媒として、CO2が使用されているが、これに限定されるものではなく、エチレン、エタン、酸化窒素などが使用可能である。
【0050】
また、上記の実施形態においては、熱交換管(4)は、アルミニウム押出形材からなるが、これに両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる管製造用金属板を曲げた折り曲げ体からなるものであってもよい。
【0051】
さらに、上記の実施形態においては、この発明の方法により製造されたヘッダタンク用外側プレートが超臨界冷凍サイクルのガスクーラのヘッダタンクに用いられているが、これに限定されるものではなく、他の熱交換器に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の方法により製造された外側プレートを有するヘッダタンクを用いたガスクーラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のガスクーラの後方から前方を見た一部省略垂直断面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のB−B線拡大断面図である。
【図5】図1のガスクーラの第1ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図6】図1のガスクーラの第2ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図7】図1のガスクーラの入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路を示す拡大横断面図である。
【図8】中間プレートの変形例を示す図7相当の図である。
【図9】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第1の変形例を示す図7相当の図である。
【図10】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第2の変形例を示す図7相当の図である。
【図11】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第3の変形例を示す図7相当の図である。
【図12】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第4の変形例を示す図7相当の図である。
【符号の説明】
【0053】
(1):ガスクーラ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7):外側プレート
(8):内側プレート
(9):中間プレート
(10A):入口ヘッダ部
(10a):冷媒流路
(10B):出口ヘッダ部
(10b):冷媒流路
(18):管挿入穴
(20):中間ヘッダ部
(20a):冷媒流路
(22):連通穴
(28)(29)(33):第1流路形成部
(28a)(29a)(33a):円弧部
(31)(32)(34)(41)(42)(43):第2流路形成部
(31a)(32a)(34a)(41a)(42a)(43a):円弧部
(45)(46)(47):第2流路形成部
(45a)(46a)(47a):円弧部
(45b)(46b)(47b):直線部
(50)(51)(52):第2流路形成部
(50a)(50b)(51a)(51b)(52a)(52b):円弧部
(55)(56)(57):第2流路形成部
(55a)(55b)(56a)(56b)(57a)(57b):円弧部
(55c)(56c)(57c):直線部
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器に関し、さらに詳しくは、たとえばCO2(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられる超臨界冷凍サイクルのガスクーラやエバポレータに好適に使用される熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「超臨界冷凍サイクル」とは、高圧側において、冷媒が臨界圧力を超えた超臨界状態となる冷凍サイクルを意味するものとし、「超臨界冷媒」とは、超臨界冷凍サイクルに用いられる冷媒を意味するものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
【背景技術】
【0003】
超臨界冷凍サイクルに用いられる熱交換器として、互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管と、隣接する熱交換管間の通風間隙に配置されかつ熱交換管にろう付されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、アルミニウム製外側プレートと、アルミニウム製内側プレートと、これら両プレート間に介在させられたアルミニウム製中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、外側プレートの幅方向の中央部に、中間プレート側に開口する横断面略U字状の外方屈曲部が全長にわたって形成されているとともに、外方屈曲部の両端開口が閉鎖され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、中間プレートにおける同一のヘッダ部内の冷媒流路に通じる全連通穴が、中間プレートのおける隣り合う連通穴の長さ方向の中間部を切除することにより形成された連通部を介して通じさせられ、ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの外方屈曲部内の中空部からなる第1流路形成部と、当該ヘッダ部に通じる複数の連通穴およびこれらの連通穴を通じさせる連通部よりなる第2流路形成部とからなり、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献1記載の熱交換器においては、特に、中間プレートの内側プレートを向いた面における連通部に臨む部分と、内側プレートの中間プレートを向いた面とのろう付部に応力が集中しやすいので、内側プレートに大きな力が作用することになる。その結果、特許文献1記載の熱交換器において、ヘッダタンクの耐圧性を向上させるためには、内側プレートの肉厚を比較的大きくする必要がある。しかしながら、この場合、ヘッダタンクの重量、すなわち熱交換器全体の重量が大きくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−351520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヘッダタンクの十分な耐圧性を確保した上で軽量化を図りうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0007】
1)互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管とを備えており、ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器であって、
ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっている熱交換器。
【0008】
2)外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0009】
3)外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0010】
4)外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である上記1)記載の熱交換器。
【0011】
5)中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの直線部を有している上記4)記載の熱交換器。
【0012】
上記2)〜4)の熱交換器において、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6倍未満であると、冷媒流路断面積が小さくなって通路抵抗が上昇するおそれがあり、1.5倍を超えると、冷媒流路の内容積が大きくなってヘッダタンクの強度が低下するおそれがある。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の熱交換器によれば、ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなるので、ヘッダタンクのヘッダ部の流路内の熱交換管側への圧力は、中間プレートと内側プレートとによって受けられることになり、しかも第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっているので、ヘッダタンクの耐圧性が向上する。また、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であるから、中間プレートに生じる応力集中箇所が少なくなり、これによってもヘッダタンクの耐圧性が向上する。したがって、内側プレートの肉厚を特許文献1記載の熱交換器の場合よりも薄くすることが可能になり、ヘッダタンクの軽量化、ひいてはこれを用いた熱交換器全体の軽量化を図ることができる。
【0014】
上記2)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【0015】
上記3)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【0016】
上記4)の熱交換器によれば、外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍であるから、通路抵抗の上昇、およびヘッダタンクの強度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、超臨界冷凍サイクルのガスクーラに適用したものである。
【0018】
なお、以下の説明において、図1および図2の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。
【0019】
また、以下の説明において、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0021】
図1および図2はこの発明による熱交換器を適用したガスクーラの全体構成を示し、図3〜図7はその要部の構成を示す。
【0022】
図1および図2において、超臨界冷媒、たとえばCO2を使用する超臨界冷凍サイクルのガスクーラ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置されかつ上下方向にのびる2つのヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に、上下方向に間隔をおくとともに幅方向を前後方向に向けて配置された複数の扁平状熱交換管(4)と、隣接する熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたコルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側にそれぞれ配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)とを備えている。なお、この実施形態において、右側のヘッダタンク(2)を第1ヘッダタンク、左側のヘッダタンク(3)を第2ヘッダタンクというものとする。
【0023】
第1ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された外側プレート(7)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された内側プレート(8)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材から形成されかつ外側プレート(7)と内側プレート(8)との間に介在させられて外側プレート(7)および内側プレート(8)にろう付された中間プレート(9)とを備えており、内部が冷媒流路(10a)となった入口ヘッダ部(10A)および内部が冷媒流路(10b)となった出口ヘッダ部(10B)が上下に並んで設けられている。
【0024】
図2〜図5に示すように、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)の前後方向(幅方向)の中央部に、左側(中間プレート(9)側)に開口した横断面略U字状の外方屈曲部(7a)が全長にわたって形成されている。外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の前後両側部分はそれぞれ同一平面内に位置する平坦部(7b)となっている。外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の左側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。外側プレート(7)の上下両端部および上下方向の中央部に、それぞれ前後方向に長くかつ一方の平坦部(7b)から他方の平坦部(7b)に至る貫通穴(25)が形成されている。
【0025】
外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の頂部における上端部の貫通穴(25)よりも若干下方の位置に冷媒入口(12)が形成されており、外方屈曲部(7a)外面に、冷媒入口(12)に通じる冷媒流入路(14)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製の直方体状入口部材(13)が、外側プレート(7)外面のろう材を利用してろう付されている。また、外方屈曲部(7a)の頂部における下端部の貫通穴(25)よりも若干上方の位置に冷媒出口(15)が形成されており、外方屈曲部(7a)外面に、冷媒出口(15)に通じる冷媒流出路(17)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製の直方体状出口部材(16)が、外側プレート(7)外面のろう材を利用してろう付されている。外側プレート(7)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施することにより形成されている。
【0026】
入口部材(13)および出口部材(16)には、その後面から前方にのびるねじ穴(35)(36)がそれぞれ形成されている。入口部材(13)のねじ穴(35)は、超臨界冷凍サイクルにおいて、圧縮機からのびる配管の先端部に取り付けられたジョイント部材をねじ止めするのに用いられ、出口部材(16)のねじ穴(36)は、中間熱交換器からのびる配管の先端部に取り付けられたジョイント部材をねじ止めするのに用いられる。
【0027】
第1ヘッダタンク(2)の内側プレート(8)には、前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(18)が、上下方向に間隔をおいて形成されている。上半部の複数の管挿入穴(18)は、入口ヘッダ部(10A)の冷媒流路(10a)の上下方向の範囲内に形成され、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)の上下方向の範囲内に形成されている。管挿入穴(18)の前後方向の長さは、外方屈曲部(7a)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(18)の前後両端部は外方屈曲部(7a)の前後両側縁よりも外方に突出している。また、内側プレート(8)の前後両側縁部に、それぞれ右方に突出して先端が外側プレート(7)の外面まで至り、かつ外側プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面を覆う側面被覆壁(19)が一体に形成され、外側プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面にろう付されている。各側面被覆壁(19)の突出端の上下両端部および上下方向中央部に、それぞれ前後方向内方に突出しかつ外側プレート(7)の外面に係合する係合爪(21)が一体に形成され、外側プレート(7)にろう付されている。上下両端部の係合爪(21)は、外側プレート(7)の貫通穴(25)の前後両端部を覆っている。なお、図5に実線で示すように、係合爪(21)は、3つのプレート(7)(8)(9)を組み合わせる前の状態では、側面被覆壁(19)に真っ直ぐに連なって左右方向外方にのびている。真っ直ぐな係合爪を(21A)で示す。そして、3つのプレート(7)(8)(9)を組み合わせた後に係合爪(21A)を前後方向内方に曲げることによって3つのプレート(7)(8)(9)が仮止めされる。内側プレート(8)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。
【0028】
第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)には、前後方向に長くかつ内側プレート(8)の管挿入穴(18)を入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)内に通じさせる複数の連通穴(22)が貫通状に形成されている。各連通穴(22)は管挿入穴(18)よりも一回り大きくなっている。中間プレート(9)の左右方向外面における前後方向の中央部に、左右方向内側に凹みかつ左右方向外方に開口した凹溝(23)が全長にわたって形成されている。また、中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に、外側プレート(7)の貫通穴(25)と対応するように、それぞれ前後方向に長くかつ貫通穴(25)と同一の幅および長さを有する貫通穴(26)が形成されている。外側プレート(7)の貫通穴(25)と中間プレート(9)の貫通穴(26)とによって、貫通状の仕切板挿入穴(27)が、両プレート(7)(9)に跨るように形成されている。各仕切板挿入穴(27)内に仕切板(11)が挿入されることによって、外側プレート(7)および中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に仕切板(11)が配置されている。
【0029】
仕切板(11)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成されたものであり、各仕切板挿入穴(27)内に外側から挿入され、仕切板(11)の前後両側縁部が外側プレート(7)および中間プレート(9)にろう付され、同じく左右方向内側縁部が内側プレート(8)にろう付され、さらに仕切板(11)の上下両面が外側プレート(7)および中間プレート(9)にろう付されている。また、内側プレート(8)の係合爪(21)が、外側プレート(7)の貫通穴(25)、すなわち仕切板挿入穴(27)と対応する位置に、貫通穴(25)(仕切板挿入穴(27))の前後両端部を覆うように形成されていることにより、係合爪(21)は仕切板(11)の前後両端部の外面にも係合し、仕切板(11)にろう付されている。そして、各仕切板挿入穴(27)内に仕切板(11)が挿入されることによって、外側プレート(7)および中間プレート(9)の上下両端部および上下方向の中央部に仕切板(11)が配置され、これにより外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)の上下両端開口が仕切板(11)により閉鎖されるとともに、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)および中間プレート(9)の凹溝(23)が長さ方向の中央部において仕切板(11)により上下に区画されている。上下両端の仕切板(11)と中央部の仕切板(11)との間の部分において、内側プレート(8)の上半部の複数の管挿入穴(18)および下半部の複数の管挿入穴(18)が形成されている。
【0030】
第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下方向中央部の仕切板(11)よりも上側の部分により形成され、同じく出口ヘッダ部(10B)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下方向中央部の仕切板(11)よりも下側の部分によりている。第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)は、上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部中央部の仕切板(11)との間において、それぞれ外側プレート(7)の左右方向内面(中間プレート(9)側を向いた面)に形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部(28)(29)と、中間プレート(9)の左右方向外面(外側プレート(7)を向いた面)における各第1流路形成部(28)(29)と対応する部分にそれぞれ形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部(31)(32)とからなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)は、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)における上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部の仕切板(11)との間に存在する部分からなり、中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)は、凹溝(23)における上下両端の仕切板(11)と上下方向中央部の仕切板(11)との間に存在する部分からなる。
【0031】
外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)および中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)の内周面の横断面形状は全体に円弧状であり、それぞれ1つの円弧部(28a)(29a)(31a)(32a)を有している。そして、第2流路形成部(31)(32)の最深部と対応する部分における中間プレート(9)と内側プレート(8)を合わせた厚み(A)が、第1流路形成部(28)(29)の最深部と対応する部分における外側プレート(7)の厚み(B)以上となっている(図3参照)。また、第2流路形成部(31)(32)の内周面の円弧部(31a)(32a)の曲率半径(R1)は、第1流路形成部(28)(29)の内周面の円弧部(28a)(29a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。ここでは、第2流路形成部(31)(32)の内周面の円弧部(31a)(32a)の曲率半径(R1)は、第1流路形成部(28)(29)の内周面の円弧部(28a)(29a)の曲率半径(r)の0.6倍以上で、かつ1.0倍未満となっている(図7参照)。
【0032】
図2および図6に示すように、第2ヘッダタンク(3)は、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であり、同一物および同一部分に同一符号を付す。両ヘッダタンク(2)(3)は、内側プレート(8)どうしが対向するように配置されている。
【0033】
第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)および中間プレート(9)には上下両端部のみに仕切板(11)が配置されており、外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)は、上下両端開口のみが仕切板(11)により閉鎖されている。これにより、外側プレート(7)の外方屈曲部(7a)の内部空間(24)および中間プレート(9)の凹溝(23)は上下に区画されていない。その結果、第2ヘッダタンク(3)には、第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)に跨るように、内部が冷媒流路(20a)となった1つの中間ヘッダ部(20)が形成されている。なお、外側プレート(7)の外方屈曲部(7)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていない。
【0034】
第2ヘッダタンク(3)の内側プレート(8)のすべての管挿入穴(18)は、中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の上下方向の範囲、すなわち上下両端の仕切板(11)間に形成されており、内側プレート(8)のすべての管挿入穴(18)は、中間プレート(9)のすべての連通穴(22)を介して、中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)に通じさせられている。
【0035】
第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)は、外側プレート(7)、内側プレート(8)および中間プレート(9)における上下の仕切板(11)間の部分により形成されている。第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)は、上下両端の仕切板(11)の間において、それぞれ外側プレート(7)の左右方向内面(中間プレート(9)側を向いた面)に形成され、かつ第1ヘッダタンク(2)の長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部(33)と、中間プレート(9)の左右方向外面(外側プレート(7)を向いた面)における第1流路形成部(33)と対応する部分に形成され、かつ第2ヘッダタンク(3)の長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部(34)とからなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(33)は、外方屈曲部(7a)の内部空間(24)における上下両端の仕切板(11)の間に存在する部分からなり、中間プレート(9)の第2流路形成部(34)は、凹溝(23)における上下両端の仕切板(11)の間に存在する部分からなる。外側プレート(7)の第1流路形成部(33)および中間プレート(9)の第2流路形成部(34)の内周面の横断面形状は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)および中間プレート(9)の第2流路形成部(31)(32)の場合と同一であり、1つの円弧部(33a)(34a)を有している(図7参照)。
【0036】
熱交換管(4)は、金属、ここではアルミニウム製押出形材からなり、前後方向に幅広の扁平状で、その内部に長さ方向にのびる複数の冷媒通路(4a)が並列状に形成されている。熱交換管(4)の両端部は、それぞれ両ヘッダタンク(2)(3)の管挿入穴(18)に挿入された状態で、内側プレート(8)のろう材層を利用して内側プレート(8)にろう付されている。なお、熱交換管(4)の両端は中間プレート(9)の厚さ方向の中間部まで連通穴(22)内に入り込んでおり、入口ヘッダ部(10A)、出口ヘッダ部(10B)および中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(10a)(10b)(20a)内に突出している。すべての熱交換管(4)は、右端部が第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)の冷媒流路(10a)に通じるとともに左端部が第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の上半部に通じる複数の熱交換管(4)からなる熱交換管群と、右端部が第1ヘッダタンク(2)の出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)に通じるとともに左端部が第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)の下半部に通じる複数の熱交換管(4)からなる熱交換管群とに分けられることにより、第1および第2の2つのパス(P1)(P2)に区分されており、各パス(P1)(P2)を構成する全ての熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が同一となっているとともに、2つのパス(P1)(P2)の熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が異なっている。
【0037】
ガスクーラ(1)はすべての部品を組み合わせて一括ろう付することにより製造される。
【0038】
ガスクーラ(1)は、圧縮機、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともに超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0039】
上述したガスクーラ(1)において、圧縮機を通過したCO2 が、入口部材(13)の冷媒流入路(14)を通って冷媒入口(12)から第1ヘッダタンク(2)の入口ヘッダ部(10A)内の冷媒流路(10a)に入り、冷媒流路(10a)内を下方に流れながら分流して第1パス(P1)のすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入する。冷媒通路(4a)内に流入したCO2は、冷媒通路(4a)内を左方に流れて第2ヘッダタンク(3)の中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)の上半部に流入する。中間ヘッダ部(20)内の冷媒流路(20a)の上半部に流入したCO2は、冷媒流路(20a)内を下方に流れ、分流して第2パス(P2)のすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(4a)内を右方に流れて第1ヘッダタンク(2)の出口ヘッダ部(10B)内の冷媒流路(10b)に入る。その後、CO2は、出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10b)内を下方に流れ、冷媒出口(15)および出口部材(16)の冷媒流出路(17)を通って流出する。そして、CO2が熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内を流れる間に、通風間隙を図1に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換し、冷却される。
【0040】
図8は、中間プレートの変形例を示す。
【0041】
図8に示す中間プレート(9)の場合、中間プレート(9)の外側プレート(7)を向いた面における第2流路形成部(31)(32)(34)の前後両側部分に、それぞれ上下方向にのびるとともに左右方向外方に突出した凸条(40)が一体に形成されている。凸条(40)の前後方向内面の横断面形状は、第2流路形成部(31)(32)(34)の内周面の円弧部(31a)(32a)(34a)と同一曲率を有する円弧状であり、第2流路形成部(31)(32)(34)の内周面に滑らかに連なっている。また、凸条(40)は、外側プレート(7)の第1流路形成部(28)(29)(33)内に嵌っている。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す中間プレート(9)と同一である。
【0042】
図9〜図12は、入口ヘッダ部(10A)、出口ヘッダ部(10B)および中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(10a)(10b)(20a)の変形例を示す。
【0043】
図9に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(41)(42)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(43)の内周面の横断面形状は全体に円弧状であり、それぞれ1つの円弧部(41a)(42a)(43a)を有している。第2流路形成部(41)(42)(43)の内周面の円弧部(41a)(42a)(43a)の曲率半径(R2)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましいが、ここでは、第2流路形成部(41)(42)(34)の内周面の円弧部(41a)(42a)(43a)の曲率半径(R2)は、第1流路形成部(28)(29)(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の1.0倍よりも大きく、かつ1.5倍以下となっている。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0044】
図10に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(45)(46)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(47)の内周面は、その横断面形状において1つの円弧部(45a)(46a)(47a)と、円弧部(45a)(46a)(47a)の前後方向両端に連なりかつ左右方向外方に向かって前後方向外方に傾斜した2つの直線部(45b)(46b)(47b)とを有している。第2流路形成部(45)(46)(47)の内周面の円弧部(45a)(46a)(47a)の曲率半径(R3)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0045】
図11に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(50)(51)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(52)の内周面は、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部(50a)(51a)(52a)(50b)(51b)(52b)を有している。ここでは、曲率半径が(R4)である1つの第1円弧部(50a)(51a)(52a)と、第1円弧部(50a)(51a)(52a)の前後方向両端に連なり、かつ第1円弧部(50a)(51a)(52a)の曲率半径(R4)よりも小さい曲率半径(R5)を有する2つの第2円弧部(50b)(51b)(52b)とを有している。第2流路形成部(50)(51)(52)の内周面の第1円弧部(50a)(51a)(52a)および第2円弧部(50b)(51b)(52b)の曲率半径(R4)(R5)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0046】
図12に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)の場合、第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)に設けられた入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第2流路形成部(55)(56)および第2ヘッダタンク(3)の中間プレート(9)に設けられた中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第2流路形成部(57)の内周面は、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部(55a)(56a)(57a)(55b)(56b)(57b)と、直線部(55c)(56c)(57c)とを有している。ここでは、曲率半径が(R6)である1つの第1円弧部(55a)(56a)(57a)と、第1円弧部(55a)(56a)(57a)の前後方向両端に連なり、かつ第1円弧部(55a)(56a)(57a)の曲率半径(R6)よりも小さい曲率半径(R7)を有する2つの第2円弧部(55b)(56b)(57b)と、第2円弧部(55b)(56b)(57b)の前後両端に連なりかつ左右方向外方に真っ直ぐに伸びる2つの直線部(55c)(56c)(57c)とを有している。第2流路形成部(55)(56)(57)の内周面の第1円弧部(55a)(56a)(57a)および第2円弧部(55b)(56b)(57b)の曲率半径(R6)(R7)は、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された入口ヘッダ部(10A)および出口ヘッダ部(10B)の冷媒流路(10a)(10b)を形成する第1流路形成部(28)(29)および第2ヘッダタンク(3)の外側プレート(7)に形成された中間ヘッダ部(20)の冷媒流路(20a)を形成する第1流路形成部(33)の内周面の円弧部(28a)(29a)(33a)の曲率半径(r)の0.6〜1.5倍であることが好ましい。その他の構成は、上記実施形態の図7に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)と同一である。
【0047】
図示は両略したが、図9〜図12に示す冷媒流路(10a)(10b)(20a)においても、第2流路形成部(31)(32)の最深部と対応する部分における中間プレート(9)と内側プレート(8)を合わせた厚み(A)が、第1流路形成部(28)(29)の最深部と対応する部分における外側プレート(7)の厚み以上となっている。
【0048】
上記実施形態においては、ヘッダタンク(2)(3)は3枚のプレート(7)(8)(9)により形成されているが、内側プレート(8)と中間プレート(9)との間に、さらに1枚以上のプレートが介在させられていてもよい。当該プレートは、第2流路形成部(31)(32)が設けられていないことを除いては、中間プレート(9)と同様な構成である。
【0049】
また、上記の実施形態においては、超臨界冷凍サイクルの超臨界冷媒として、CO2が使用されているが、これに限定されるものではなく、エチレン、エタン、酸化窒素などが使用可能である。
【0050】
また、上記の実施形態においては、熱交換管(4)は、アルミニウム押出形材からなるが、これに両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる管製造用金属板を曲げた折り曲げ体からなるものであってもよい。
【0051】
さらに、上記の実施形態においては、この発明の方法により製造されたヘッダタンク用外側プレートが超臨界冷凍サイクルのガスクーラのヘッダタンクに用いられているが、これに限定されるものではなく、他の熱交換器に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の方法により製造された外側プレートを有するヘッダタンクを用いたガスクーラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のガスクーラの後方から前方を見た一部省略垂直断面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のB−B線拡大断面図である。
【図5】図1のガスクーラの第1ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図6】図1のガスクーラの第2ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図7】図1のガスクーラの入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路を示す拡大横断面図である。
【図8】中間プレートの変形例を示す図7相当の図である。
【図9】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第1の変形例を示す図7相当の図である。
【図10】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第2の変形例を示す図7相当の図である。
【図11】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第3の変形例を示す図7相当の図である。
【図12】入口ヘッダ部、出口ヘッダ部および中間ヘッダ部の冷媒流路の第4の変形例を示す図7相当の図である。
【符号の説明】
【0053】
(1):ガスクーラ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7):外側プレート
(8):内側プレート
(9):中間プレート
(10A):入口ヘッダ部
(10a):冷媒流路
(10B):出口ヘッダ部
(10b):冷媒流路
(18):管挿入穴
(20):中間ヘッダ部
(20a):冷媒流路
(22):連通穴
(28)(29)(33):第1流路形成部
(28a)(29a)(33a):円弧部
(31)(32)(34)(41)(42)(43):第2流路形成部
(31a)(32a)(34a)(41a)(42a)(43a):円弧部
(45)(46)(47):第2流路形成部
(45a)(46a)(47a):円弧部
(45b)(46b)(47b):直線部
(50)(51)(52):第2流路形成部
(50a)(50b)(51a)(51b)(52a)(52b):円弧部
(55)(56)(57):第2流路形成部
(55a)(55b)(56a)(56b)(57a)(57b):円弧部
(55c)(56c)(57c):直線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管とを備えており、ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器であって、
ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっている熱交換器。
【請求項2】
外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項5】
中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの直線部を有している請求項4記載の熱交換器。
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に、幅方向を前後方向に向けるとともにヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管とを備えており、ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、ヘッダタンクに、冷媒の流れる中空状の冷媒流路を有する少なくとも1つのヘッダ部が形成され、内側プレートにおけるヘッダ部の冷媒流路と対応する部分に、前後方向に長い複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、前後方向に長くかつ内側プレートの各管挿入穴をヘッダ部の冷媒流路内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の端部がヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴内に挿入されて内側プレートにろう付されるとともに、熱交換管の端部がヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路内に臨んでいる熱交換器であって、
ヘッダタンクのヘッダ部の冷媒流路が、外側プレートの中間プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに外側に凹んだ第1流路形成部と、中間プレートの外側プレート側を向いた面に形成され、かつヘッダタンクの長さ方向にのびるとともに内側に凹んだ第2流路形成部とからなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面における少なくとも底部の横断面形状が円弧状であり、第2流路形成部の最深部と対応する部分における中間プレートと内側プレートとを合わせた厚みが、外側プレートの第1流路形成部の最深部と対応する部分における外側プレートの厚み以上となっている熱交換器。
【請求項2】
外側プレートの第1流路形成部および中間プレートの第2流路形成部の内周面の横断面形状がそれぞれ全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、第2流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの円弧部と少なくとも1つの直線部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
外側プレートの第1流路形成部の内周面の横断面形状が全体に円弧状であって1つの円弧部からなり、中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において曲率半径の異なる複数の円弧部を有しており、第2流路形成部の内周面における全円弧部の曲率半径が、第1流路形成部の内周面における円弧部の曲率半径の0.6〜1.5倍である請求項1記載の熱交換器。
【請求項5】
中間プレートの第2流路形成部の内周面が、その横断面形状において少なくとも1つの直線部を有している請求項4記載の熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−250518(P2009−250518A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98995(P2008−98995)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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