説明

熱交換器

【課題】低いコストで製造することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】水排出口31dは、第2筒体31に設けられ、第1筒体27の中心軸45が、第2筒体31の中心軸46に対して、水排出口31dに近付けて配置されている。
【効果】水導入口32aから水排出口31dまでの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する水の流量を減少させる。これにより、第1筒体27と第2筒体31との間の全周にわたってより均一に水を流すことができる。第1筒体27と第2筒体31との間の全周にわたってより均一に水を流すための部品を必要としないため、部品点数を削減することができ、熱交換器のコストを低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの熱で水を温める熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コージェネレーション装置が各種提案されている(例えば、特許文献1(図1、図3)参照。)。
【0003】
特許文献の図1にコージェネレーション装置(10)(括弧付き数字は特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)が示されている。エンジン(12)で発電機(27)を作動し、電気エネルギーを得る。エンジン(12)で発生する排気ガスは熱交換器(14)へ送られる。熱交換器(14)送られる排気ガスの熱で水を加熱する。熱効率を高める上で、熱交換器(14)は重要な機器である。この熱交換器(14)の詳細を次図で説明する。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9に示すように、熱交換器100は、排気ガス導入管101が繋がれる基体102と、この基体102に支持され排気ガスを浄化する触媒担体103と、この触媒担体103を囲うと共に外周に向かって螺旋状に突出する突出部104が形成された筒体105と、この筒体105を囲い筒体105との間に排気ガスが流される第1のケース106と、この第1のケース106を囲い複数の排気ガス管107,107を支持すると共に排気ガス管107,107の周りに水が流される第2のケース108と、この第2のケース108にそれぞれ繋がれている排気ガス排出管111、水導入管112、水排出管113とからなる。
【0005】
排気ガス導入管101から導入された排気ガスは、触媒担体103で浄化される。浄化された排気ガスは、図面上側に向かって、筒体105と第1のケース106との間を流される。筒体105と第1のケース106との間を流れる排気ガスは、螺旋状に形成される突出部104にガイドされて螺旋状に流れる。筒体105と第1のケース106との間を流れ、基体102の下面に達した排気ガスは、排気ガス管107,107を通って図面下側に向かって流れる。排気ガス管107,107を通過した排気ガスは、排気ガス排出管111から排出される。
【0006】
一方、水導入管112から導入された水は、図面上に向かって第2のケース108内を流れる。水も排気ガスと同様、第2のケース108内を螺旋状に流れる。
第2のケース108内を流れる水は、第1のケース106及び排気ガス管107,107を介して、排気ガスによって温められる。温められた水は、水排出管113から排出される。
【0007】
ところで、熱交換器100によれば、第2のケース108内の全体に渡って水を流すことができるよう、水の流れを規制する流路規制板115が第2のケース108内に複数接合されている。即ち、第2のケース108内の全体に渡って水を流すために、複数の部品を用いている。部品の点数が増加することで、熱交換器のコストが高まる。
低いコストで製造することのできる熱交換器の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−21562公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低いコストで製造することのできる熱交換器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、排気ガスを浄化する触媒担体と、この触媒担体の外周面を囲う触媒ケースと、この触媒ケースを囲い触媒ケースとの間に触媒担体で浄化された排気ガスを通す排気ガス通路を有する第1筒体と、この第1筒体を囲い第1筒体との間に水を通す水路を有する第2筒体とを備える熱交換器において、水が排出される水排出口は、第2筒体に設けられ、第1筒体の中心軸が、第2筒体の中心軸に対して、水排出口に近付けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、排気ガスを排出する排気ガス排出口は、第1ケースの中心軸を基準にして、水排出口の反対側に設けられ、第2ケースの中心軸が、触媒担体の中心軸に一致していることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、第1筒体の一端が第1底部で塞がれ、第2筒体の一端が、水を導入する水導入口を有する第2底部で塞がれ、第1底部に、触媒担体に向かって膨出させた膨出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、相対的に見て、第1筒体の中心軸が、第2筒体の中心軸に対して、水排出口に近付けて配置されている。第1筒体が水排出口側にずらされることで、第1筒体と第2筒体との間に形成される水路は、水排出口側で狭く、水排出口から離れた部位で広く形成される。水導入口から水排出口までの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する水の流量を減少させる。一方、水排出口から遠く、水の流れにくい部位の流路面積を広げ、水の流量を増加させる。これにより、第1筒体と第2筒体との間の全周にわたってより均一に水を流すことができる。第1筒体と第2筒体との間の全周にわたってより均一に水を流すための部品を必要としないため、部品点数を削減することができ、熱交換器のコストを低下させることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、第1筒体は、触媒担体の中心軸を基準にして、水排出口側にずらされる。即ち、第1筒体を排気ガス排出口から離れる方向にずらす。ずらすことで、触媒ケースと第1筒体との間に形成される排気ガスの流路面積を、排気ガス排出口側で狭く、排気ガス排出口から離れた部位(図面左側)で広くすることができる。排気ガス排出口までの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する排気ガスの流量を減少させる。一方、排気ガス排出口から遠く、排気ガスの流れにくい部位の流路面積を広げ、排気ガスの流量を増加させる。これにより、触媒ケースと第1筒体との間の全周にわたってより均一に排気ガスを流すことができる。より均一に排気ガスを流すことで、排気ガスを円滑に流すことができ、熱交換の効率を高めることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、第1底部に、触媒担体に向かって膨出させた膨出部が形成されている。膨出部が形成されることで、噴流で流すことができ、また、水の流路面積を大きく取ることができる。水の流路面積を大きくすることで、水の流量を増やすことができる。水の流量が多いことで水温の急激な上昇を防ぎ、水が沸騰することを防ぐことができる。水の沸騰を防ぐことで、水を円滑に流し、効率よく熱交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る熱交換器の断面図である。
【図2】本発明に係る熱交換器の斜視図である。
【図3】基体及び第1ケースの分解斜視図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】排気ガスが導入されてから触媒担体を通過するまでを説明する図である。
【図6】浄化された排気ガスの流れ及び水の流れを説明する図である。
【図7】実施例2に係る熱交換器の断面図である。
【図8】実施例3に係る熱交換器を説明する図である。
【図9】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、熱交換器10は、排気ガスを浄化する円筒状の触媒担体11と、この触媒担体11を囲うと共に保持する触媒ケース12と、この触媒ケース12が支持される基体13と、この基体13に支持され触媒ケース12を囲う第1のケース15と、この第1のケース15を囲うと共に基体13に支持される第2のケース16と、この第2のケース16の下端中央部に接合され水を第2のケース16内に導入する水導入管17と、この水導入管17の上方で第2のケース16の側面に接合され水を排出する水排出管18と、基体13の下面に接合され基体13内を通過した排気ガスを排出する排気ガス排出管21とからなる。基体13の上端には、他の部材に締結するためのフランジ22が接合されている。
【0019】
基体13は、触媒ケース12が下面に接合されている第1の部材24と、この第1の部材24に接合される第2の部材25とからなる。基体13は、これらの第1の部材24と第2の部材25とを重ね合わせることで中空状に形成されている。
【0020】
第2の部材25に接合されている第1のケース15は、触媒ケース12を囲う円筒形状の第1筒体27と、この第1筒体27の下端部に接合され触媒担体11の下端部を被う第1底部28とからなる。プレス成形により成形された鋼製の第1筒体27及び第1底部28を溶接することで、第1のケース15を製造することができる。
【0021】
第2のケース16は、第1筒体27を囲う略円筒状の第2筒体31と、この第2筒体31の下端に接合され第1底部28を被う第2底部32とからなる。
【0022】
第1の部材24は、底34と、この底34の周縁から第2の部材25に向かって延びる壁部35とからなる。底34に形成されている開口から、排気ガスの導入側(図面上側)に向かって縮径し、断面視テーパ状に形成されるテーパ部36が形成される。テーパ部36の先端には、排気ガスを導入すると共にフランジ22が取り付けられる排気ガス導入口37が形成される。これらのテーパ部36及び排気ガス導入口37が、第1の部材24に一体的に形成されている。
【0023】
即ち、排気ガスを導入する排気ガス導入口37と、この排気ガス導入口37の上流側から連続的に拡径し、排気ガスを触媒担体11に向かって円滑に流すテーパ部36とが、基体13に一体的に形成されている。一体的に形成することで、熱交換器10の部品点数を削減することができる。
【0024】
第2の部材25は、底41と、この底41の周縁から第1の部材24に向かって立ち上げられる壁部42と、基体13内を通過した排気ガスを排出する排気ガス排出口43とからなる。排気ガス排出口43に排気ガス排出管21が接合される。
【0025】
なお、第1の部材及び第2の部材は、共に底部及び壁部からなる構造の他、底部のみからなる部材に底部及び壁部からなる部材を重ね合わせる構造等も採用することができる。即ち、中空状になるものであれば、任意の形状を採用することができる。また、互いの壁部を外周方向に向かって延ばした上で溶接する等、容易に溶接するために適宜形状を変更することや、互いの壁部同士を突き合せて突き合せ溶接を行うこともできる。
【0026】
第1筒体27から触媒ケース12に向かって突出すると共に、先端が触媒ケース12に接触することで排気ガスの流路を規制する排気ガス規制部27aが形成されている。即ち、排気ガスは、この排気ガス規制部27aの形成されている部分を避けるようにして、蛇行して流れる。詳細は後述する。
第1底部28の略中央に、触媒担体11に向かって膨出するドーム形状の膨出部28aが形成されている。
【0027】
第2筒体31は、水導入管17が接続されると共に下端が第2底部32で塞がれる一般部31aと、この一般部31aから拡径し水排出管18が接合される拡径部31bとからなる。拡径部31bに水排出管18が接合される水排出口31dが形成されている。
第2底部32の中央に、水導入管17が接合され、水が導入される水導入口32aが形成されている。
【0028】
触媒担体11の中心軸45に対して、第2筒体31の一般部31aの中心軸46が、水排出口31dから離れる方向にずらされている。
一方、触媒担体11の中心軸45に対して、排気ガス導入口37、テーパ部36、第1筒体27の中心軸は一致している。理由は後述する。
第1の部材24及び第2の部材25の詳細について次図で説明する。
【0029】
図2に示すように、第1の部材24の底34は、第2筒体31の上部に沿って略円形状に形成される一般部34aと、この一般部34aから延び排気ガス排出口(図1、符号43)に被せられる延出部34bとからなる。
【0030】
第2の部材25の底41も同様である。即ち、第2筒体31に一般部41aが被せられ、この一般部41aから延出される延出部41bに排気ガス排出口が設けられると共に排気ガス排出管21が接合されている。排気ガス排出口を形成するのに必要な分だけ延出部41bを設ければよく、第2の部材25を楕円形とした場合等に比べ、コンパクトにすることができる。
第1筒体(図1、符号27)の詳細を次図で説明する。
【0031】
図3に示すように、第1筒体27に複数の排気ガス規制部27aが形成されている。円筒状の第1筒体27の一部に形成されることで、排気ガス規制部27aは、平面視で略C字状を呈する。これらの排気ガス規制部27aは、それぞれが同じ形状に形成されると共に、高さ方向で同じ高さに2箇所ずつ形成されている。同じ高さに形成された2つの排気ガス規制部27aを1段としたときに、このような排気ガス規制部27aが7段形成されている。
【0032】
なお、排気ガス規制部27aの段数は任意である。排気ガスが通過する排気ガス通路と水が通過する水路について、詳細を次図で説明する。
【0033】
図4に示すように、触媒担体11の中心軸45に、触媒ケース12、第1筒体27の中心軸が一致している。即ち、触媒担体11の中心軸45は、第1筒体27の中心軸45であるともいえる。
第2筒体31の一般部31aの中心軸46に対して、第1筒体27の中心軸45が、σ1だけ水排出管18(水排出口)側にずらされている。
即ち、相対的に見て、第1筒体27の中心軸45は、第2筒体31の中心軸46に対して、水排出口側に近付けて配置されている。
【0034】
排気ガスは、触媒担体11内を図面表から裏に向かって流れ、浄化された排気ガスが、触媒ケース12と第1筒体27との間の排気ガス通路を図面裏から表に向かって通過する。
【0035】
水は、第1筒体27と第2筒体31との間の水路を、図面裏から表に向かって流れる。第1筒体27の中心軸45を水排出管18(水排出口)側に近付けて配置することで、第1筒体27と第2筒体31との間に形成される水路は、水排出管18側で狭く(σ2)、水排出管18から離れた部位で広く形成される(σ3)。即ち、水排出口近傍で流路面積が狭く、水排出口から離れた部位で流路面積が広い。このように形成されている理由については、後述する。
熱交換器10の作用を次図以降で説明する。
【0036】
図5の矢印(1)で示すように、排気ガス導入口37から導入された排気ガスは、触媒担体11に向かって流れる。排気ガスは、矢印(2)で示すように、触媒担体11内を通過し、浄化される。浄化された排気ガスは、矢印(3)で示すように、触媒担体11の下端から触媒ケース12と第1筒体27との間の排ガス流路に向かって流れる。
【0037】
第1底部28に膨出部28aが形成されていることで、排気ガスを触媒ケース12と第1筒体27との間に向かって円滑に流すことができる。即ち、膨出部28aは、排気ガスの流れを導くガイドの役割を果たす。
触媒担体11から出た後の作用について次図で説明する。
【0038】
図6に示すように、排気ガスは、排気ガス規制部27aを避けるようにして、蛇行しながら上に向かって流れる。蛇行し第1筒体27の上端から出た排気ガスは、基体13の内部を通過し、排気ガス排出口43及び排気ガス排出管21から外部へ排出される。
【0039】
白抜き矢印(5)で示すように、水導入管17及び水導入口32aから導入された水は、一部が白抜き矢印(6)で示されるように、水排出口31dに向かって水排出口31dまでの最短経路を通過する。導入された水の残部は、白抜き矢印(7)で示すように、水排出口31dから離れた部位を上に向かって流れる。上に向かって流れた水は、白抜き矢印(8)で示すように、水排出口31d及び水排出管18から外に向かって流れる。第1筒体27を介して、排気ガスの熱が水に伝わる。即ち、水が温められる。
【0040】
水排出口31d側(図面左側)の水の流路面積を狭く、水排出口31dから離れた部位(図面右側)の水の流路面積を広くした(併せて図4も参照)。水導入口32aから水排出口31dまでの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する水の流量を減少させる。一方、水排出口31dから遠く、水の流れにくい部位の流路面積を広げ、水の流量を増加させる。これにより、第1筒体27と第2筒体31との間の全周にわたってより均一に水を流すことができる。より均一に水を流すことで、水を円滑に流すことができ、熱交換の効率を高めることができる。第1筒体27と第2筒体31との間の全周にわたってより均一に水を流すための部品を必要としないため、部品点数を削減することができ、熱交換器10のコストを低下させることができる。
また、σ3の値はσ2の値に対して、1.5〜2.0倍となるように設定されることが望ましい。
【0041】
さらに、第1底部28に膨出部28aが形成されている。膨出部28aが形成されることで、噴流で流すことができ、また、水の流路面積を大きく取ることができる。水の流路面積を大きくすることで、水の流量を増やすことができる。水の流量が多いことで水温の急激な上昇を防ぎ、水が沸騰することを防ぐことができる。水の沸騰を防ぐことで、水を円滑に流し、効率よく熱交換を行うことができる。
【0042】
加えて、膨出部28aの下方に水導入口32aを形成し、膨出部28aに向かって水を導入する。即ち、排気ガスによって温められる前の水を膨出部28aに向かって流す。膨出部28a近傍には、触媒担体11を通過したばかりの温度の高い排気ガスが流れるため、効率よく熱を回収することができると共に、より確実に沸騰の発生を防ぐことができる。
また、水導入口32aの上方に球面形状(断面視円弧形状)の膨出部28aが形成されていることで、水を円滑に流すことができる。
【0043】
加えて、基体13は、第1の部材24と、この第1の部材24に接合される第2の部材25とからなる、排気ガスの通路を兼ねる中空体である。触媒担体11や筒体27,31を支持するための基体13を、排気ガスの通路としても用いる。基体13の周縁に別途排気ガスの通路を設ける必要がなくなり、熱交換器10を小型化することができる。
本発明の別実施例について次図以降で説明する。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図7は実施例2の熱交換器の断面構成を示し、上記図4に対応させて表している。
熱交換器70は、触媒担体71の中心軸72に、第2筒体73の中心軸が一致している。即ち、第2筒体の中心軸72ということもできる。また、第1筒体75の中心軸76は、触媒担体71の中心軸72からσ5水排出口31d側にずらされている。即ち、第2筒体73の中心軸72に対して、第1筒体75の中心軸76が、水排出口31d側にずらされている。
【0045】
水排出口31dと排気ガス排出口43とは、触媒担体71の中心軸72を基準に180°離して設けられている。
なお、排気ガス規制部(図1、符号27a)の形成は任意である。排気ガス規制部を形成する場合には、触媒ケース77と第1筒体75との距離が変化するのに合わせて、周方向で深さが変化する。
【0046】
触媒担体71及び第2筒体73に対して、第1筒体75を水排出口31d側にずらす。水排出口31d側にずらすことで、水排出口31d側の水の流路面積を狭く(σ6)、水排出口31dから離れた部位の流路面積を広くする(σ7)。水導入口から水排出口31dまでの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する水の流量を減少させる。一方、水排出口31dから遠く、水の流れにくい部位の流路面積を広げ、水の流量を増加させる。これにより、第1筒体75と第2筒体73との間の全周にわたってより均一に水を流すことができる。より均一に水を流すことで、水を円滑に流すことができ、熱交換の効率を高めることができる。
【0047】
さらに、触媒担体71の中心軸72を挟んで排気ガス排出口43を設けることで、以下の効果を奏する。
【0048】
第1筒体75は、触媒担体71の中心軸72を基準にして、水排出口31d側にずらされる。即ち、第1筒体75を排気ガス排出口43から離れる方向にずらす。ずらすことで、触媒ケース77と第1筒体75との間に形成される排気ガスの流路面積を、排気ガス排出口43側で狭く(σ8)、排気ガス排出口43から離れた部位(図面左側)で広くすることができる(σ9)。排気ガス排出口43までの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する排気ガスの流量を減少させる。一方、排気ガス排出口43から遠く、排気ガスの流れにくい部位の流路面積を広げ、排気ガスの流量を増加させる。これにより、触媒ケース77と第1筒体75との間の全周にわたってより均一に排気ガスを流すことができる。より均一に排気ガスを流すことで、排気ガスを円滑に流すことができ、熱交換の効率を高めることができる。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図8(a)に示すように、第1底部81は、中央に膨出部81aが形成されている。膨出部81aは、平板を湾曲形成してなり、さらに凹凸成型して補強された補強ビード部81bが複数形成されている。
【0050】
図8(b)に示すように、膨出部81aは、全体が断面視で略台形状を呈すると共に、この台形状の部位に補強ビード部81bが形成されている。補強ビード部81bが形成されることで、略台形状の表面は凹凸を有する。
【0051】
このような膨出部81aを形成した場合も、噴流で流すことができ、また、水の流路面積を大きく取ることができる。水の流路面積を大きくすることで、水の流量を増やすことができる。水の流量が多いことで水温の急激な上昇を防ぎ、水が沸騰することを防ぐことができる。水の沸騰を防ぐことで、水を円滑に流し、効率よく熱交換を行うことができる。
【0052】
さらに、膨出部81aに補強ビード部81bを形成することで、膨出部81aを補強する。加えて、膨出部81aに補強ビード部81bが形成されることで、膨出部81aの凹凸形状により、排気ガス及び水との接触面積を広げることができる。接触面積を広げることで、熱交換効率をさらに高めることができる。
【0053】
尚、本発明に係る熱交換器は、コージェネレーション装置や、その他の用途に適用することは差し支えない。また、本発明に係る熱交換器には、水に冷却水を用いることが望ましく、用途に応じて、最適な種類の媒体を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の熱交換器は、コージェネレーション装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
10,70…熱交換器、11,71…触媒担体、12,77…触媒ケース、27,75…第1筒体、28,81…第1底部、28a,81a…膨出部、31,73…第2筒体、31d…水排出口、32…第2底部、32a…水導入口、43…排気ガス排出口、45,76…第1筒体の中心軸、46,72…第2筒体の中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを浄化する触媒担体と、この触媒担体の外周面を囲う触媒ケースと、この触媒ケースを囲い前記触媒ケースとの間に前記触媒担体で浄化された排気ガスを通す排気ガス通路を有する第1筒体と、この第1筒体を囲い前記第1筒体との間に水を通す水路を有する第2筒体とを備える熱交換器において、
前記水が排出される水排出口は、前記第2筒体に設けられ、
前記第1筒体の中心軸が、前記第2筒体の中心軸に対して、前記水排出口に近付けて配置されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記排気ガスを排出する排気ガス排出口は、前記第1ケースの中心軸を基準にして、前記水排出口の反対側に設けられ、
前記第2ケースの中心軸が、前記触媒担体の中心軸に一致していることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1筒体の一端が第1底部で塞がれ、
前記第2筒体の一端が、前記水を導入する水導入口を有する第2底部で塞がれ、
前記第1底部に、前記触媒担体に向かって膨出させた膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68377(P2013−68377A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208315(P2011−208315)
【出願日】平成23年9月25日(2011.9.25)
【出願人】(000138521)株式会社ユタカ技研 (134)
【Fターム(参考)】