説明

熱交換装置

【課題】熱交換装置を用いた結晶製品の製造において、滞ることなく結晶体を生成でき、かつ、結晶の滞積固着によって材料の出入り口が閉塞されないようにする。
【解決手段】シリンダ2の外周面に沿って流通する冷媒と、シリンダ内に送入された材料との間で、該シリンダを介して熱交換を行う熱交換装置であり、シリンダ内壁上で熱交換を受けて析出した結晶を掻き取るブレード65と、シリンダ内に設けられて材料を掻き乱すピン71とを有する。このようなピン71を設けることにより、シリンダ内を流動する材料に対し攪乱作用を与えることができる。掻取られた結晶を多量に含む材料に対し攪乱作用を与えることで、結晶が滞積したり或いは結晶同士が結合して大きな塊を形成するのを防止できる。その結果、シリンダ内での材料の流動性が確保され、該材料が入口から円滑に流入し、出口から円滑に排出されるようになり、結晶が出入り口を閉塞することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換作用を利用して加熱又は冷却を行うための熱交換装置の技術分野に関し、特に、結晶成分を含んだ流動性材料から結晶を生成するための熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬品などの結晶製品や、味噌などの粘性製品の製造現場では、特許文献1に開示されたような熱交換装置が広く一般に用いられている。図7に従来の熱交換装置の代表例を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−59042号公報
【0004】
図7の熱交換装置は、内部にシャフト6を備えたシリンダ2と、該シリンダの外壁面に沿って熱媒又は冷媒を流通させるためのジャケット4と、シャフト6を回転駆動するモータ8とを有している。シャフト6には複数のブレード64が設けられており、シャフト6が回転することでブレード64,64…がシリンダ内壁に沿って回動する。ジャケット4はシリンダ2の外壁を囲繞するように外装され、その内部には熱媒又は冷媒を流通させるための空間45が形成されている。
【0005】
ポンプを用いてシリンダ2内に流動性材料(原材料)を送入し、ブレード64,64…が回動する領域へ押し流すと、該流動性材料がシリンダ内壁面で熱交換作用を受けるとともに、熱交換を受けた部位の境膜が回動ブレード64,64…の各先端部によって掻取られる。このような作用を有する熱交換装置は、加熱に用いる場合には、材料の焦げ付きや熱影響などを防げるといった利点があり、また、冷却に用いる場合には、材料の固まりや凍てつきなどを防げるといった利点があるため、産業界で広く一般的に用いられている。
【0006】
例えば、薬品などの結晶製品の製造にあたっては、ジャケット4の供給口41および排出口42を介してその内部空間45に冷媒を流通させ、シリンダ2を外壁側から冷却する。一方、シリンダ2の原料入口21からは、結晶成分を含有する材料がポンプで送入される。シリンダ2内に送入された材料は、ジャケット4内の冷媒からシリンダを介して熱交換作用を受け、シリンダ内壁面上で晶析する。シリンダ内壁面上に析出した結晶は、回動するブレード64,64…によって掻取られるとともに、該結晶を多量に含んだスラリー状(ざら目状)の流体となって製品出口22へと押し流される。
【0007】
また熱交換装置は、粘性製品である味噌の仕上冷却工程においてアルコール(防腐剤)を添加する場合にも用いられる。この場合も、ジャケット4の供給口41および排出口42を介してその内部空間45に冷媒を流通させ、シリンダ2を外壁側から冷却する。一方、シリンダ2の原料入口21からは、仕上げ前の加熱された味噌とアルコールが送入される。シリンダ2内に送入されたこれらの材料は、押し流される過程で、シリンダ内壁面での熱交換作用と、ブレード64,64…による掻取作用を受け、やがて全体が冷却された状態で製品出口22から排出される。
【0008】
このような熱交換装置は、その優れた効果が認められ、上述したような種々の分野で広く利用されている。ところが、薬品などの結晶製品の製造にあたっては、析出させる「結晶」に起因して以下のような問題点が生じ、その改善が強く望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
薬品などの結晶製品の製造では、シリンダ内での晶析と掻取りが繰り返されるため、シリンダ内における材料の流動性は徐々に失われていく。最終的には、スラリー状(ざら目状)の低温低流動性材料が、結晶を多量に含んだ状態で、製品出口へ押し流されてくる。このような低流動性で極低温の材料が、最後部のブレードを超えて製品出口付近に至ると、シリンダの内壁や製品出口の内壁に結晶が滞積して固着し始め、次第にその滞積量を増やし、やがて製品出口が詰まって閉塞するといった問題がある。
【0010】
また結晶製品の製造では、製品出口から排出される流体の結晶濃度を高めるために、排出された該流体を原料入口から再送入し循環させる場合がある。ところが、循環を繰り返す過程で、結晶濃度が高まるとともに流体が過冷却され、やがて、前述した製品出口の場合と同様に、滞積し固着した結晶によって原料入口も閉塞するといった問題がある。
【0011】
このように、析出した結晶によって原料入口や製品出口が閉塞されると、装置の運転を止めて、滞積した結晶を取り除く作業が必要となる。そのため、結晶製品の製造では、熱交換装置の度重なる停止によって製造効率が低下し、また、装置内に滞積した結晶の除去作業が必要なため作業効率が低下するといった問題がある。
【0012】
なお、上述した従来技術の問題点は、熱交換装置を結晶製品の製造に用いる場合に限って生じる特有の問題点であって、その他の製品の製造では生じることはない。例えば前述した味噌の製造では、熱交換により味噌は冷却作用を受けるにすぎず、該冷却過程で結晶を生ずることはないので、上述したような問題は発生しない。
【0013】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、熱交換装置を用いた結晶製品の製造において、滞ることなく確実に結晶体を生成することができ、かつ、材料の入口・出口を閉塞することなく材料の流入・流出が円滑にかつ確実に行える熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した本発明の目的は、
シリンダ外周面に沿って流通する熱交換用流体と、シリンダ内に送入された結晶成分含有の被処理物との間で、シリンダを介して熱交換を行う熱交換装置であって、前記被処理物から結晶製品を製造するために用いられる装置において、
伝熱体として機能し、内部で前記被処理物を流通させるシリンダと、
前記シリンダ内に設けられた回転自在のシャフトと、
前記シャフトに設けられ、シリンダ内壁上で熱交換を受けて析出した結晶を掻き取るための掻取部材と、
前記シリンダ内に設けられ、掻取った前記結晶を含有する被処理物をシリンダ内で掻き乱すための攪乱部材と、
を有する熱交換装置によって達成される。
【0015】
前記攪乱部材がピンから構成され、前記シャフト及び/又は前記シリンダ内壁に少なくとも1つ立設されている。当該ピンを、前記シャフト及び前記シリンダ内壁に櫛歯状に複数立設してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シリンダ内には、掻取部材だけでなく、シリンダ内で被処理物を掻き乱すための攪乱部材も設けられている。
このような攪乱部材を設けることにより、シリンダ内を流動する被処理物に対して攪乱作用(被処理物を掻き乱して結晶の滞積や塊の形成を妨げ流動性を確保する作用)を与えることができる。このように、掻取られた結晶を多量に含む被処理物に対し攪乱作用を与えることで、結晶が滞積したり或いは結晶同士が結合して大きな塊を形成するのを防止できる。
その結果、シリンダ内での被処理物の流動性が確保され、被処理物が入口から円滑に流入し、また、出口から円滑に排出されるようになる。
したがって、シリンダの入口付近や出口付近の内壁に結晶が滞積することがなく、材料の出入り口が詰まって閉塞されるのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る熱交換装置を示す図である。
【図2】図2(A)は図1のa−a線に沿った拡大断面図であり、図2(B)は図1のb−b線に沿った拡大断面図である。
【図3】図1に示す熱交換装置の製品出口側の構成を示す拡大図である。
【図4】本発明に係る熱交換装置の変形例を示す図である。
【図5】図4のc−c線に沿った断面図であって、シャフト側のピンを回動させている状態を示している。
【図6】本発明に係る熱交換装置の他の変形例を示す図である。
【図7】従来の熱交換装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図6に基づいて本発明の具体的実施形態について説明する。
図1〜図3には本発明の実施形態の代表例を示し、図4〜図6には変形例を示す。
【0019】
(熱交換装置の構成)
図1〜図3に示す本発明の熱交換装置は、原材料である被処理物が送入されるシリンダ2と、該シリンダの外壁に沿って熱交換用流体(熱媒又は冷媒)を流通させるためのジャケット4と、シリンダ2内に同軸的に設けられたシャフト6と、該シャフトを回転駆動するモータ8とを有している。シャフト6の外周面には、羽根状の掻取部材であるブレード65と、攪乱部材であるピン71が設けられている。
【0020】
なお、本発明において「被処理物」とは、熱交換装置によって熱交換処理される流動性の原材料である。送入される被処理物は、結晶を析出させるための原材料(熱交換を受けて晶出する結晶成分を含んだ流動性材料)であり、1種に限らず、2種以上の被処理物が同時に送入される場合も含まれる。
【0021】
シリンダ2は、反応容器として機能するとともに伝熱体として機能する。シリンダ2の両端側にはそれぞれ、原材料である被処理物を連続して送入するための原料入口21と、熱交換作用を受けた被処理物が製品となって排出される製品出口22とが設けられている。原料入口21への被処理物の送入は、圧送ポンプを用いて行われる。シリンダ2内に送入されると、被処理物は、シリンダ内の熱交換領域24において熱交換作用を受けるとともに、回動するブレード65,65…によって掻取られて、製品出口22側へ押し流される。
【0022】
シリンダ2の外周には、シリンダ外壁を囲繞するようにジャケット4が外装されている。ジャケット4の内側には、熱交換用流体(被処理物との間で熱交換される熱媒又は冷媒)を流通させるための円筒状空間45が形成されている。熱交換用流体の具体例としては、スチームや温水などの熱媒や、チルドウォーターやブラインなどの冷媒が挙げられる。
【0023】
ジャケット4の内側にある円筒状空間45は、シリンダ外壁とジャケット内壁とによって画成されている。この円筒状空間45には、供給口41を介して熱交換用流体が流入し、シリンダ外壁に沿ってその周囲を流通し、熱交換作用に供されて排出口42から排出される。熱交換用流体は、空間45内を流通する過程で、シリンダ2を介してシリンダ内の被処理物との間で熱交換を受ける。なお、熱交換効率を上げるために、必要に応じて、ジャケット4に保温材を外装することも可能である。
【0024】
シャフト6は、後述するブレード65及びピン71が設けられるシャフト本体61と、回転自在に支持される両端の回転軸62,63とを有している。シャフト本体61は、その両端がそれぞれシリンダ2の原料入口21及び製品出口22を臨むように位置決めされている。両端の回転軸62,63はそれぞれ、メカニカルシールされた状態で図示しない軸受によって回転自在によって支持されている。シャフト6の一端はモータ8の回転軸に連結されている。シャフト6の外周には、その軸方向に沿ってブレード65(掻取部材)が複数配設されている。また本発明では、ブレード65に加えて、シリンダ2内の材料を掻き乱すためのピン71(攪乱部材)が複数立設されている。
【0025】
本実施形態において、複数のブレード65,65…は、図1に示すようにシャフト軸方向では直列状に2列設けられ、また、図2(A)の断面図に示すように周方向において180°間隔で2列設けられている。なお、ブレード65,65…の配置は図示するものに限定されず、例えば、ブレードを3列以上設けるようにしてもよい。或いは、複数のブレードを列状ではなく分散配置するようにしてもよい。
【0026】
各ブレード65は、図2(A)に示すようにシャフト本体61に植設されたベース67に連結されており、それぞれがスクレーパのような掻取部材として機能する。シャフト6が回転している間、各ブレード65はその先端部がシリンダ2の内壁に接触した状態で、該シャフトと一体となってシリンダ内壁に沿って回動する。
【0027】
シリンダ6内の熱交換領域24を流動する被処理物は、シリンダ内壁面(伝熱面)に接する部位において熱交換(急冷作用又は急熱作用)を受け、この熱交換を受けた部位は、回動するブレード65,65…の各先端部によって速やかに掻取られる。掻取られて空いた壁面上のスペースには、被処理物の別の部位が速やかに流れ込み、再び同様の熱交換と掻取りが行われる。したがって、被処理物がシリンダ内の熱交換領域24を流動する過程で、被処理物に対する部分的な熱交換と当該部分に対する掻取が連続して行われ、最終的に、被処理物の全体に対して満遍なく熱交換が行われる。
【0028】
ピン71は、シャフト本体61の両端に複数立設されており、各ピンが材料を掻き乱すための攪乱部材として機能する。図1〜図3に例示する実施形態では、櫛歯状に直列に並んだ一群のピン71,71…が、複数セット設けられている。原料入口21と熱交換領域24の間のシャフト部分(図1でシャフト本体61の左端側)には、一例として、櫛歯状の並んだピン71,71…が、周方向に180°ずらして2セット設けられている。同様に、製品出口22と熱交換領域24の間のシャフト部分(図1でシャフト本体61の右端側)にも、櫛歯状に並んだピンが2セット設けられている。シャフト本体61の両端に設けられた櫛歯状のピン71は、周方向の反対側にある櫛歯状のピン71に対し、回動軌跡が重ならないようにずらした位置に立設されている(図3参照)。
【0029】
図1でシャフト本体61の右端側に立設されたピン71,71…は、後述する結晶製品の製造において、掻取った結晶によって製品出口22が閉塞されるのを防止する役割を担っている。
一方、図1でシャフト本体61の左端側に立設されたピン71,71…は、後述する結晶製品を循環式(送入→熱交換→排出→再送入…の繰り返し方式)で製造する場合において、掻取った結晶によって原料入口21が閉塞されるのを防止する役割を担っている。
【0030】
なお、ブレード65及びピン71の数・取付位置・寸法・形状は、図示するものに限定されず、用途やシリンダのサイズ等に応じて適宜変更することが可能である。
【0031】
以下、本発明の熱交換装置の具体的作用について説明する。
【0032】
(結晶製品を製造する場合の作用)
薬品などの結晶製品を製造する場合には、ジャケット4内に熱交換用流体として冷媒を供給し、シリンダ外壁に沿って流通させてシリンダ2を十分に冷却する。続いて、モータ8を駆動させてシャフト6を回転させるとともに、結晶成分を含んだ流動性材料(被処理物)を圧送ポンプで原料入口21に連続送入する。原料入口21からシリンダ2内に流入した材料は、圧送される後続の材料によってブレード65が配設された方向へ押し流される。
【0033】
続いて、シリンダ内の熱交換領域24(ジャケット4が外装された範囲のシリンダ2内の領域)に達すると、材料中の結晶成分が、シリンダ内壁面に接する部分で熱交換(急冷)を受けて晶析するとともに、析出した結晶が凍てつく前に、回動するブレード65,65…の各先端部によって速やかに掻取られる(削り取られる)。したがって、材料が熱交換領域24を流動する過程で、熱交換による晶析とブレード65,65…による結晶の掻取りが繰り返され、次第に材料中の結晶量が増し、やがて、所定の結晶を大量に含んだ低流動性のスラリー状材料(ざら目状)となって、当該熱交換領域24から押し流される。
【0034】
図1及び図3に示すように熱交換領域24の外ではブレード65が設けられていないため、過冷却状態の低流動性の材料は、シリンダ2の内壁や製品出口22の内壁に滞積し易く、また、結晶同士が結合し易い状態となっており、従来装置であれば製品出口22を閉塞する可能性がある。
【0035】
しかしながら本発明では、シリンダ内の製品出口22側に、材料を掻き乱す攪乱部材として回動するピン71,71…が立設されているため、熱交換領域から出てきた材料が掻き乱される。これにより、シリンダ内壁や製品出口の内壁への材料の滞積が妨げられ、また、結晶同士が結合して塊を形成している場合には、それを破砕して流動性が確保される。その結果、結晶を多量に含有するスラリー状の材料が、製品出口22を閉塞することなく、押し流されて製品出口22から円滑に排出される。
【0036】
なお、排出されたスラリー状の材料は、結晶を分離するための次工程に供されてもよく、或いは、再度熱交換装置に送入して結晶量の増加を図るようにしてもよい。後者の場合(結晶量の増加を図る場合)には、シリンダに対して材料を循環させるようにしてもよい。ここでいう循環とは、シリンダ内の熱交換領域24を経て製品出口22から排出された材料を、原料入口21を介して再びシリンダ内に再送入し熱交換領域24に流通させること、すなわち、下記の工程1)〜4)を必要サイクル繰り返すことをいう。
1)原料槽に貯留された材料を原料入口21からシリンダ内にポンプで送入する。
2)熱交換領域24を流通する過程で熱交換(晶析)させとともに結晶を掻き取る。
3)製品出口22から結晶混じりの材料を排出させる。
4)排出された結晶混じりの材料をもとの原料槽で受ける。
【0037】
(変形例)
上述した実施形態は本発明の一例であって、特許請求の範囲の記載の範囲内で種々の変形例を採用することが可能である。
【0038】
例えば、攪乱部材をなすピンの配置は、図1〜図3に示すものに限定されず、図4及び図5に示すような態様で配置することもできる。図4及び図5に示す熱交換装置では、シャフト本体61に対し櫛歯状にピン72(回動ピン)を複数立設するとともに、シリンダ内壁側にもピン73(非回動の固定ピン)を複数配設している。シリンダ側の固定ピン73は、回動ピン72の動作の障害とならないように、該回動ピンの立設位置に対しずらした位置に設けられている。シャフト6と一体となって回動ピン72が回動すると、該回動ピンは、シリンダ側の固定ピン73,73間の間隙(又は端にある固定ピン73の脇)を通って擦れ違うようになっている。
【0039】
なお図4には、製品出口22側のピン配置の変形例について図示したが、同様のピン配置を、図1に示す原料入口21側にも採用することが可能である。これにより、製品出口22側の閉塞が防止されるだけでなく、原料入口21側の閉塞も防止される。したがって、前述した循環式に熱交換を行う場合であっても、結晶の滞積と出入り口21,22の閉塞を確実に防止して、効率的に結晶の生成と材料の排出を行うことができる。
【0040】
また図1では、シャフト本体61の両端(原料入口21側および製品出口22側)に、ピン71,71…を配置する構成を図示しているが、これらのピンの取付位置は図示するものに限定されるものではない。本発明において、攪乱部材をなすピンは、シャフト本体61の両端に限定されず、必要に応じて任意の位置に取り付けることが可能である。
【0041】
例えば、用途に応じて、原料入口21側にのみピンを備えたものや、逆に、製品出口22側にのみピンを備えたものを提供することが可能である。
【0042】
また、例えば図6に示すように、シリンダ2内の原料入口21側および製品出口22側に加えて、その中間領域(熱交換領域24の範囲)にピン72,73を設けることも可能である。
【0043】
その他、上述した実施形態では、断面円形のピンを用いているが、ピンの形状はこれに限定されるものではなく、断面楕円形、断面半円形、断面多角形(矩形・三角形・四角形、台形、楔形を含む)など、必要に応じて様々な形状を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
2 シリンダ
4 ジャケット
6 シャフト
8 モータ
21 原料入口
22 製品出口
24 熱交換領域
41 供給口
42 排出口
45 円筒状空間
61 シャフト本体
62 回転軸
63 回転軸
64 ブレード
65 ブレード(掻取部材)
67 ベース
71 ピン(攪乱部材)
72 回動ピン(攪乱部材)
73 固定ピン(攪乱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ外周面に沿って流通する熱交換用流体と、シリンダ内に送入された被処理物との間で、シリンダを介して熱交換を行う熱交換装置であって、
伝熱体として機能するシリンダと、
前記シリンダ内に設けられた回転自在のシャフトと、
前記シャフトに設けられ、シリンダ内壁上で熱交換を受けた被処理物を掻き取るための掻取部材と、
前記シリンダ内に設けられ、該シリンダ内の被処理物を掻き乱すための攪乱部材と、
を有することを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記攪乱部材がピンから構成され、前記シャフト及び/又は前記シリンダ内壁に少なくとも1つ立設されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記攪乱部材がピンから構成され、前記シャフト及び前記シリンダ内壁に櫛歯状に複数立設されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−106202(P2012−106202A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258245(P2010−258245)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000156178)株式会社櫻製作所 (5)
【Fターム(参考)】