説明

熱伝導性シリコーングリース組成物およびその硬化物

【課題】高熱伝導性を有し、かつ硬化前には優れた流動性を保つため作業性が良好であり、また、微細な凹凸に追従し、接触熱抵抗を低減させ、更に、硬化後にはオイル分離や熱伝導性材料の流出が防がれることにより、放熱性能及び信頼性に優れる熱伝導性シリコーングリース組成物を提供する。更に、作業性、放熱性能、信頼性に優れた該組成物の高温高湿条件における耐久性を高め、実装時の信頼性を更に向上させる。
【解決手段】ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、特定構造を有する25℃における動粘度が10〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサン、特定の置換基を有するアルコキシシラン、SiH基を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、熱伝導性充填剤、白金系触媒、付加反応抑制剤、を含有してなる熱伝導性シリコーングリース組成物;及びその硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた熱伝導性を付与するために熱伝導性充填剤を高充填した場合であっても、流動性を保ち、取扱い性が良好で、さらに高温高湿条件下における耐久性・信頼性に優れた熱伝導性シリコーングリース組成物、その硬化方法、その硬化物、その硬化物を含む電子装置、および電子部品と放熱部材との間に熱伝導性部材を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板上に実装される電子部品、例えば、CPU等のICパッケージは、使用時の発熱による温度上昇によって性能が低下したり破損したりすることがある。そのため、従来、ICパッケージと放熱フィンを有する放熱部材との間に、熱伝導性が良好な熱伝導性シートを配置したり、熱伝導性グリースを適用したりして、ICパッケージ等から生じる熱を効率よく放熱部材に伝導して放熱させることが行われている。しかしながら、電子部品等の高性能化に伴い、その発熱量は益々増加する傾向にあり、従来のものよりも更に熱伝導性に優れた材料・部材の開発が求められている。
【0003】
この熱を効果的に除去する手段として、これまでに多くの方法が提案されている。特に発熱量の多い電子部品では、電子部品とヒートシンク等の部材との間に熱伝導性グリースや熱伝導性シートなどの熱伝導性材料を介在させて熱を逃がす方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
熱伝導性シートは、手軽にマウント・装着することができるという作業・工程上の利点を有する。しかしながら、CPUや放熱フィン等の表面は一見平滑に見えてもミクロ的に観れば凸凹があるため、実際はそれらの被着面へ確実に密着ができず空気層が介在して、結果的には放熱効果を性能通りに発揮できない不都合がある。それを解決するために放熱シートの表面に粘着層等を設けて密着性を向上させることも提案されているが、放熱効果は十分ではない。
【0005】
さらに効果的な熱伝導性材料としては、シリコーンオイルをベースとし、酸化亜鉛やアルミナ粉末を配合した放熱グリースが知られている(特許文献3、特許文献4参照)。
【0006】
更に、熱伝導性を向上させるため、窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性材料として、上記特許文献1には、液状オルガノシリコーンキャリアと、シリカファイバーと、デンドライト状酸化亜鉛、薄片状窒化アルミニウム、及び薄片状窒化ホウ素から選択される少なくとも1種とからなる揺変性熱伝導材料が開示されている。特許文献5には、特定のオルガノポリシロキサンに一定粒径範囲の球状六方晶系窒化アルミニウム粉末を配合して得たシリコーングリース組成物が開示されている。特許文献6には、粒径の細かい窒化アルミニウム粉末と粒径の粗い窒化アルミニウム粉末とを組み合わせた熱伝導性シリコーングリースが開示されている。特許文献7には、窒化アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末とを組み合わせた熱伝導性シリコーングリースが開示されている。特許文献8には、オルガノシランで表面処理した窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性グリース組成物が開示されている。
【0007】
窒化アルミニウムの熱伝導率は70〜270W/(m・K)であり、ダイヤモンドの熱伝導性はこれより高く900〜2,000W/(m・K)である。特許文献9には、シリコーン樹脂、ダイヤモンド、酸化亜鉛および分散剤を含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。
【0008】
また、金属は熱伝導率の高い材料であり、電子部品の絶縁を必要としない個所には使用可能である。特許文献10には、シリコーンオイル等の基油に金属アルミニウム粉末を混合して得た熱伝導性グリース組成物が開示されている。
【0009】
熱伝導性グリースは、CPU等のICパッケージおよび放熱部材の表面の凹凸に影響されずに該凹凸に追随し、これらICパッケージと放熱部材との間に隙間を生ずることなく両者を密着させることができるので、界面熱抵抗が小さいという利点を有する。しかし、長時間使用するとオイルが流出する等の問題があった。このような理由から液状シリコーンゴム組成物をポッティング剤や接着剤として用いる方法が提案されている(特許文献11、特許文献12参照)。
【0010】
しかし、いずれの熱伝導性材料や熱伝導性グリースも、最近ではCPU等の集積回路素子の発熱量には不十分なものとなってきている。
【0011】
熱伝導性シートおよび熱伝導性グリースは、ともに熱伝導性を付与するために熱伝導性充填剤を配合してなるものである。しかし、熱伝導性シートの場合には、その製造工程における作業性・加工性に支障をきたさないようにするために、また熱伝導性グリースの場合には、電子部品等にシリンジ等を用いて塗工する際の作業性に問題が生じないように、そのみかけ粘度の上限を一定に抑制する必要がある。そのため、いずれの場合においても熱伝導性充填剤の配合量の上限は制限されるので、十分な熱伝導性が得られないという問題があった。
【0012】
マクスウェルやブラッゲマンの理論式からもわかるように、シリコーンオイルに熱伝導性充填剤を配合して得た材料の熱伝導率は、熱伝導性充填剤の容積分率が0.6以下では該熱伝導性充填剤の熱伝導率にはほとんど依存しない。容積分率が0.6を超えて初めて熱伝導性充填剤の熱伝導率への影響が出てくる。つまり、熱伝導性グリースの熱伝導性を上げるには、まずはいかに熱伝導性充填剤を高充填するかが重要であり、高充填できるならばいかに熱伝導性の高い充填剤を用いることができるか重要である。しかし、高充填により熱伝導性グリースの流動性が低下して、塗布性(ディスペンス性、スクリーンプリント性)等の作業性が悪くなり、実用上使用できなくなる問題がある。さらには流動性が低下する事で、電子部品やヒートシンク表面の微細な凹凸に追従できず、接触熱抵抗が大きくなる問題がある。
【0013】
高充填を達成し、かつ流動性の良好な熱伝導性材料を得ることを目的として、熱伝導性充填剤の表面を処理して分散性を大きく向上させるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを熱伝導性材料に配合する検討もなされている(特許文献13、特許文献14参照)。しかしながら、これら処理剤は高温高湿下において加水分解等により変質し、熱伝導性材料の性能劣化を誘発するという欠点がある。また、良好な流動性を持つが故に、前述したように、長時間使用するとオイルが流出する等の問題があった。
【特許文献1】特開昭56−28264号公報
【特許文献2】特開昭61−157587号公報
【特許文献3】特公昭52−33272号公報
【特許文献4】特公昭59−52195号公報
【特許文献5】特開平2−153995号公報
【特許文献6】特開平3−14873号公報
【特許文献7】特開平10−110179号公報
【特許文献8】特開2000−63872号公報
【特許文献9】特開2002−30217号公報
【特許文献10】特開2000−63873号公報
【特許文献11】特開昭61−157569号公報
【特許文献12】特開平8−208993号公報
【特許文献13】特開2004−262972号公報
【特許文献14】特開2005−162975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来技術を踏まえ、本発明の主たる目的は、高熱伝導性を有し、かつ硬化前には優れた流動性を保つため作業性が良好であり、さらには微細な凹凸に追従し、接触熱抵抗を低減させる熱伝導性シリコーングリース組成物を得ることにある。また、本発明は、硬化後にはオイル分離や熱伝導性材料の流出が防がれることにより、放熱性能および信頼性に優れる熱伝導性シリコーングリース組成物を得ることを目的とする。さらに、本発明は、作業性、放熱性能、信頼性に優れた該熱伝導性シリコーングリース組成物の高温高湿条件における耐久性を高め、実装時における信頼性をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、特定構造を有する25℃における動粘度が10〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサンと、特定の置換基を有するアルコキシシランと、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、熱伝導性充填剤と、白金系触媒と、付加反応抑制剤と、を含有してなる熱伝導性シリコーングリース組成物が、優れた熱伝導性を有するとともに、硬化前は良好な流動性を有することで優れた作業性、放熱効果を発揮すること、また、該組成物は、硬化後にオイル分離、熱伝導性材料の流出が防止されることにより、優れた信頼性を発揮すること、更に、該組成物の硬化物は、高温高湿条件下における耐久性にも非常に優れていることを見出した。本発明者は、本発明組成物の硬化物を電子部品と放熱部材との間に挟まれるように層状に配置した場合には、熱抵抗が低い熱伝導性部材として使用することができ、従って、電子部品の稼動時に発生する熱を、この熱伝導性部材を経由して速やかに放熱部材に伝導することができる放熱特性に優れた半導体装置等の電子装置が得られるとの知見を得た。これらの知見に基づき、本発明者は、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明は第一に、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン: 100容量部、
(B)下記一般式(1):
【0017】
【化1】

(1)

(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、aは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
で表され、25℃における動粘度が10〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:0.1〜300容量部、
(C)下記一般式(2):
3c4dSi(OR54-c-d (2)
(式中、R3は同一または異種の炭素原子数9〜15のアルキル基であり、R4は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R5は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基であり、cは1〜3の整数であり、dは0〜2の整数であり、ただし、c+dは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン:0.1〜50容量部、
(D)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: (A)成分中のアルケニル基1個に対して、(D)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数が0.1〜5.0個となる量、
(E)熱伝導性充填剤:100〜2500容量部
(F)白金系触媒: 有効量、並びに
(G)付加反応抑制剤: 有効量
を含み、ただし、該熱伝導性充填剤は平均粒径が0.01〜50μmの熱伝導性充填剤のみからなる熱伝導性シリコーングリース組成物を提供する。
【0018】
本発明は第二に、前記組成物を80〜180℃で加熱することにより硬化させてなる熱伝導性シリコーン硬化物、を提供する。
【0019】
本発明は第三に、電子部品と、放熱部材と、これらの電子部品と放熱部材との間に設けられ前記硬化物からなる熱伝導性部材とを有してなる電子装置、を提供する。
【0020】
本発明は第四に、前記組成物の硬化方法であって、該組成物を80〜180℃で加熱する工程を有する硬化方法、を提供する。
【0021】
本発明は第五に、
(I)電子部品の表面に前記組成物を塗布する工程、
(II)こうして塗布した組成物に放熱部材を載置する工程、および
(III)次に、塗布した組成物を80〜180℃で加熱することにより硬化させる工程、
を含む電子部品と放熱部材との間に熱伝導性部材を形成する方法、を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、熱伝導性が良好であり、さらに硬化前においては良好な流動性が保たれることで、ICパッケージ等の電子部品上に塗工する際の作業性が良好である。さらに、この組成物は、電子部品および放熱部材の表面に凹凸が存在しても、両者間に隙間を生じることなく両者を密着できるので、界面熱抵抗が大幅に低減される。
【0023】
また、本発明組成物は、付加反応による硬化後には、従来の熱伝導性グリースの場合に問題とされた塗工部以外の部品への汚染が起こらず、また、経時的に油状物が漏出してくることがない。従って、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0024】
さらに本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、高温高湿下における耐久性にも優れており、例えば、一般の電源、電子機器等の放熱、パーソナルコンピュータ、デジタルビデオディスクドライブ等の電子機器に用いられるLSI、CPU等の集積回路素子の放熱に用いられた際に、非常に良好な信頼性を付与することができる。本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物により、発熱性電子部品やそれを用いた電子機器等の安定性や寿命を大幅に改善させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「容量部」で表わされる量、および粘度は25℃における値である。
【0026】
[(A)成分]
本発明組成物の(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンであり、本発明の付加反応硬化系における主剤(ベースポリマー)である。
【0027】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは25℃で液状であれば、その分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状等が挙げられるが、好ましくは直鎖状である。
【0028】
前記アルケニル基は、通常、炭素原子数が2〜10、好ましくは2〜6である。このアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−へキセニル基等が挙げられる。これらの中でも、汎用性が高いビニル基が好ましい。このアルケニル基は、オルガノポリシロキサンの分子鎖末端のケイ素原子または分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端)のケイ素原子のいずれかに結合していても、それらの両方に結合していてもよいが、得られる硬化物の柔軟性がよいものとするため、分子鎖末端のケイ素原子にのみ結合して存在することが好ましい。
【0029】
(A)成分中の前記アルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基としては、例えば、非置換または置換の炭素原子数が1〜12、好ましくは1〜10の一価炭化水素基等が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。合成面および経済性の点から、これらのアルケニル基以外のケイ素原子に結合した全有機基のうち、90モル%以上、とりわけ95モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0030】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、通常、50〜100000mm2/s、好ましくは500〜50000mm2/sの範囲である。前記動粘度が低すぎると、得られる組成物の保存安定性が悪くなることがある。また、前記動粘度が高すぎると、得られる組成物の伸展性が悪くなる場合がある。
【0031】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3):
【0032】
【化2】


(式中、R6は同一または異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、但し、少なくとも2個はアルケニル基であり、R7はアルケニル基以外の同一または異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、mは1以上の整数である。)
で表される。
【0033】
上記一般式(3)において、R6で表される非置換または置換の1価炭化水素基は、通常、炭素原子数が1〜12のものであり、具体的には、前述したアルケニル基、およびアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基の中の1価炭化水素基と同種のものである。R7で表されるアルケニル基以外の非置換または置換の1価炭化水素基は、前述したアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基の中の1価炭化水素基と同種のものである。
【0034】
また、mは好ましくは50〜3000、より好ましくは100〜1000の整数である。
【0035】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの好適な具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0036】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上(例えば粘度が異なる2種以上)を組み合わせても使用することができる。
【0037】
[(B)成分]
(B)成分は、下記一般式(1):
【0038】
【化3】

(1)

(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、aは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
で表され、25℃における動粘度が10〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサンである。(B)成分は、高熱伝導性のシリコーングリース組成物を得るために(E)成分の熱伝導性充填剤を本発明組成物に高充填しても、該組成物の流動性を保ち、該組成物に良好な取扱い性を付与するものである。(B)成分は一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0039】
上記R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価の炭化水素基であり、その例としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基が挙げられる。R1は好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0040】
上記Rは独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、またはアシル基である。アルキル基としては、例えば、R1について例示したのと同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシプロピル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、オクタノイル基が挙げられる。Rはアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基、エチル基であることが好ましい。
【0041】
aは5〜100の整数である。bは1〜3の整数であり、好ましくは3である。
【0042】
(B)成分の25℃における動粘度は、通常、10〜10,000mm/sであり、特に10〜5,000mm/sであることが好ましい。該動粘度が10mm/sより低いと、得られるシリコーングリース組成物から、硬化前にオイルブリードが発生しやすくなる。該動粘度が10,000mm/sより大きいと、得られるシリコーングリース組成物の流動性、伸展性が乏しくなりやすい。
【0043】
(B)成分の配合量は、(A)成分100容量部に対して、通常、0.1〜300容量部、好ましくは1〜150容量部である。前記配合量が少なすぎると、(B)成分による所望の効果が得られないことがある。前記配合量が多すぎると、得られる硬化物からのオイル分離、グリース成分の流出を防ぎにくくなり、また、耐熱性、耐高温高湿性が低下する傾向がでてくる。
【0044】
(B)成分の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0045】
【化4】

【0046】
[(C)成分]
(C)成分は、下記一般式(2):
3c4dSi(OR54-c-d (2)
(式中、R3は同一または異種の炭素原子数9〜15のアルキル基であり、R4は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R5は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基であり、cは1〜3の整数であり、dは0〜2の整数であり、ただし、c+dは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシランである。(C)成分は、ウェッター成分でもあり、かつ(B)成分の高温高湿下における変質を防ぐ添加剤でもある。(E)成分の熱伝導性充填剤の表面を(C)成分で処理することにより、(E)成分と(B)成分との濡れ性をよくすることができる。結果として、(C)成分は、(E)成分の高充填化を補助する。また、(C)成分は(B)成分と併用されることで、高温高湿下における水蒸気と(B)成分との接触を抑制するように働く。その結果、(C)成分は、高温高湿条件における加水分解等を原因とした(B)成分の変質によって本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物の性能が劣化するのを防止する。(C)成分は一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0047】
上記Rは同一または異種の炭素原子数9〜15のアルキル基であり、その具体例としては、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。該炭素原子数が9より小さいと、熱伝導性充填剤((E)成分)との濡れ性が不充分となりやすく、15より大きいと、(C)成分が常温で固化しやすいのでその取扱いが不便になりやすい上、得られる組成物の耐熱性および難燃性が低下しやすい。
【0048】
上記Rは同一あるいは異種の非置換または置換の炭素原子数1〜8の飽和もしくは不飽和の一価炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0049】
上記Rは同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0050】
上記cは、通常、1〜3の整数であるが、特に好ましくは1である。上記dは0〜2の整数である。ただし、c+dは1〜3の整数である。
【0051】
(C)成分の具体例としては、
1021Si(OCH
1225Si(OCH
1225Si(OC
1021Si(CH)(OCH
1021Si(C)(OCH
1021Si(CH)(OC
1021Si(CH=CH)(OCH
1021Si(CHCHCF)(OCH
等が挙げられる。
【0052】
(C)成分の添加量は、(A)成分100容量部に対して、通常、0.1〜50容量部、好ましくは1〜20容量部である。該添加量がこの範囲内にあると、添加量に応じてウェッター効果および耐高温高湿効果が増大しやすく、経済的である。一方、(C)成分にはやや揮発性があるので、(C)成分を含む熱伝導性シリコーングリース組成物を開放系で放置しておくと、該組成物から(C)成分が蒸発して該組成物が徐々に硬くなってくる場合がある。しかし、該添加量がこの範囲内にあると、このような現象を防ぎやすい。
【0053】
[(D)成分]
本発明組成物の(D)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH」という)を、1分子中に2個以上、好ましくは2〜100個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分の架橋剤として作用する成分である。即ち、(D)成分中のSiHが、後述の(F)成分の白金系触媒の作用により、(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化反応により付加して、架橋結合を有する3次元網状構造を有する架橋硬化物を与える。
【0054】
(D)成分中のケイ素原子に結合した有機基としては、例えば、アルケニル基以外の非置換または置換の一価炭化水素基等が挙げられ、具体的には、(A)成分の項で説明したアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基と同種のものが挙げられる。その中でも、合成面および経済性の点から、メチル基であることが好ましい。
【0055】
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造は、特に限定されず、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0056】
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記一般式(4):
【0057】
【化5】


(式中、R8は独立にアルケニル基以外の非置換もしくは置換の1価炭化水素基または水素原子であり、但し、少なくとも2個は水素原子であり、nは1以上の整数である。)
で表される。
【0058】
上記一般式(4)において、R8で表されるアルケニル基以外の非置換または置換の1価炭化水素基は、(A)成分の項で前述したアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基の中の1価炭化水素基と同種のものである。
【0059】
また、nは好ましくは2〜100、より好ましくは5〜50の整数である。
【0060】
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの好適な具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。また、(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0061】
(D)成分の配合量は、(A)成分中のアルケニル基1個に対して、本成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数が0.1〜5.0個となる量であり、好ましくは0.5〜3.0個となる量である。この個数が0.1個となる量未満である場合には、三次元網状構造が十分に形成されず、硬化後に必要とされる硬さが得られないことがあり、さらに後述の熱伝導性充填剤を硬化物中に固定・保持することが困難になることがある。この個数が5.0個となる量を超える場合には、硬化物の物性の経時変化が大きくなり、保存安定性が悪化する場合がある。
【0062】
[(E)成分]
(E)成分は、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物において熱伝導性充填剤として機能する。(E)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0063】
(E)成分の平均粒径は、通常、0.01μm〜50μmの範囲内、好ましくは0.1μm〜50μmの範囲内、より好ましくは0.1〜35μmの範囲内、更により好ましくは0.5〜35μmの範囲内であり、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物において、上記熱伝導性充填剤は、平均粒径が上記範囲内である熱伝導性充填剤のみからなる。該平均粒径がこの範囲内にあると、(E)成分のかさ密度が大きくなりやすく、比表面積は小さくなりやすいので、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物中に(E)成分を高充填しやすい。また、平均粒径が大きすぎると、オイル分離が容易に進行する可能性がある。なお、本発明において、平均粒径は、レーザー回折法により体積基準の累積平均径として求めることができる。
【0064】
(E)成分の形状としては、例えば、球状、棒状、針状、円盤状、不定形状が挙げられるが、特に限定されない。
【0065】
(E)成分の具体例としては、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、ダイヤモンド、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属珪素、カーボンファイバー、フラーレンまたはこれらの二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0066】
(E)成分の添加量は、(A)成分100容量部に対して、通常、100〜2500容量部、好ましくは150〜2000容量部である。該添加量が100容量部より小さいと、得られる放熱部材の熱伝導率が低下しやすくなる。一方、該合計量が2500容量部より大きいと、得られる組成物は、粘度が高くなりすぎ、流動性、取扱い性が不良となる傾向にある。
【0067】
[(F)成分]
本発明組成物の(F)成分の白金系触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(D)成分中のSiHとの付加反応を促進し、本発明組成物から3次元網状構造の架橋硬化物を与えるために配合される成分である。
【0068】
(F)成分としては、通常のヒドロシリル化反応に用いられる公知の触媒を全て使用することができる。(D)成分の具体例としては、白金金属(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−ビニル基含有オルガノポリシロキサン錯体、白金配位化合物等が挙げられる。なお、(F)成分の白金系触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0069】
(F)成分の配合量は、本発明組成物を硬化させるのに必要な有効量であればよく、特に制限されないが、白金原子としてオイル成分((A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分、(G)成分、および場合によっては含まれる(H)成分の合計をいう。以下、同じ)の質量に対して、通常、200〜5000ppm程度とするのがよい。
【0070】
[(G)成分]
本発明組成物の(G)成分の付加反応抑制剤は、室温における白金系触媒の作用によるヒドロシリル化反応を抑制し、本発明組成物の可使時間(シェルフライフ、ポットライフ)を確保して、電子部品等への塗工作業に支障をきたさないようにするために配合される成分である。
【0071】
(G)成分としては、通常の付加反応硬化型シリコーン組成物に用いられる公知の付加反応抑制剤を全て使用することができる。その具体例としては、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3−ブチン−1−オール等のアセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。なお、(G)成分の付加反応抑制剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0072】
(G)成分の配合量は、(F)成分の使用量によっても異なるので一概には定義できないが、ヒドロシリル化反応の進行を抑制することができる有効量であればよく、通常、オイル成分の質量に対して、1000〜10000ppm程度とすることがよい。(G)成分の配合量が少なすぎる場合には十分な可使時間を確保することができないことがあり、また多すぎる場合には組成物の硬化性が低下することがある。
【0073】
なお、(G)成分は、組成物中への分散性を向上させるため、必要に応じて、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈して使用することもできる。
【0074】
[(H)成分]
本発明の組成物には、更に、任意成分として、下記平均組成式(5):
9eSiO(4-e)/2 (5)
(式中、R9は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基であり、eは1.8〜2.2の数である。)
で表される25℃における動粘度が10〜100,000mm2/sのオルガノポリシロキサンを添加することができる。(H)成分は、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物の粘度調整剤、粘着性付与剤等の特性付与を目的として適宜用いられるが、これに限定されるものではない。(H)成分は一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0075】
上記R9は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基である。R9としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基などが挙げられるが、特にメチル基、フェニル基、炭素数6〜18のアルキル基が好ましい。
【0076】
上記eは、シリコーングリース組成物として本発明組成物に要求される稠度の観点から、好ましくは1.8〜2.2の数であり、特に好ましくは1.9〜2.1の数である。
【0077】
また、(H)成分の25℃における動粘度は、通常、10〜100,000mm/sであり、特に10〜10,000mm/sであることが好ましい。該動粘度が10mm/sより低いと、得られるシリコーングリース組成物からオイルブリードが発生しやすくなる。該動粘度が100,000mm/sより大きいと、得られるシリコーングリース組成物の流動性が乏しくなりやすい。
【0078】
(H)成分の具体例としては、例えば、
【0079】
【化6】

【0080】
【化7】

【0081】
【化8】


などが挙げられる。
【0082】
(H)成分を本発明の組成物に添加する場合、その添加量は、限定されず、所望の効果が得られる量であればよいが、(A)成分100容量部に対して、好ましくは200容量部以下、より好ましくは100容量部以下である。該添加量がこの範囲内にあると、本発明組成物の顕著に良好な流動性、作業性を維持しやすく、また、(E)成分の熱伝導性充填剤を該組成物に高充填するのが容易である。
【0083】
[その他の添加剤]
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分として、通常、使用される添加剤または充填剤等を更に添加することができる。具体的には、フッ素変性シリコーン界面活性剤;着色剤としてカーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラなど;難燃性付与剤として白金触媒、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物、または金属水酸化物などを添加してもよい。更に、熱伝導性充填剤の高温時での沈降防止剤として、沈降性シリカまたは焼成シリカなどの微粉末シリカ、チクソ性向上剤等を添加することも任意である。
【0084】
[粘度]
本発明の組成物は、室温(25℃)でグリース状態(ペースト状態も含む)のものである。そのため、本発明の組成物は、例えば、電子部品の表面に塗布する場合等に作業性が良好である。
【0085】
本発明の組成物は、例えば、シリンジに充填して用いられる。具体的には、組成物をシリンジ内に充填し、このシリンジからCPU等の電子部品の表面に組成物を吐出し、塗布し、被覆層を形成させ、この被覆層に放熱部材を圧接する。また、本発明組成物の塗布は、例えば、スクリーンプリントによっても行うことができる。スクリーンプリントは、例えば、メタルマスクもしくはスクリーンメッシュを用いて行うことができる。したがって、本発明の組成物の25℃における粘度は、好ましくは500Pa・s以下(1〜500Pa・s)であり、より好ましくは300Pa・s以下(10〜300Pa・s)である。該粘度がこの範囲内にあると、得られる組成物は、塗布時に液垂れが生じにくく、かつ、流動性が良好となりやすいため、ディスペンス性、スクリーンプリント性などの作業性が向上しやすく、該組成物を基材に薄く塗布することも容易になりやすい。塗布にシリンジを用いる場合は、該組成物をシリンジから押し出しやすくなる。
【0086】
[本発明組成物の調製]
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物は、例えば、
(a)(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(E)成分と、場合によっては含まれる(H)成分とを、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃の範囲内の温度で混練して均一な混合物を得る工程、および
(b)得られた混合物に、(D)成分と、(F)成分と、(G)成分と、場合によっては含まれるその他の成分とを添加し、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜50℃の範囲内の温度で混練して均一な混合物を得る工程、
を含む調製方法によって得ることができる。
【0087】
これらの工程において、混練には、加熱手段および必要に応じて冷却手段を備えたコンディショニングミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌・混練機を使用すればよい。
【0088】
工程(b)は、(A)、(D)、(F)および(G)成分が経時で反応し、組成物の組成が変化することを防ぐため、できるだけ短時間で終了させることが好ましい。一般的に、工程(b)の終了後は、得られた組成物を容器内に収容し、速やかに約−30〜−10℃、好ましくは−25〜−15℃の温度の冷凍庫、冷凍室等で保存するのがよい。組成物を輸送する場合には、冷凍設備を備えた車両等を用いるのがよい。このように低温下で保管・輸送することにより、例えば、長期間の保存によっても、本発明組成物の組成および分散状態を安定に保持することができる。
【0089】
[硬化方法]
本発明の組成物は、加熱して硬化させることにより硬化物とすることができる。この硬化は、80〜180℃で行うことが好ましく、100〜150℃で行うことがより好ましい。この硬化物は、例えば、薄い層状の熱伝導性層等の熱伝導性部材として、電子部品の放熱に用いることができる。
【0090】
さらに、例えば、組成物を加圧下で80〜180℃で加熱する工程を有する硬化方法によって、好ましいとされる薄い(例えば、5〜100μm)層状の硬化物を得ることができる。加圧は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等の金属板等で組成物を挟み、クリップ等で圧力を加える方法等により行えばよく、特に限定されない。また、加圧の際の圧力は、通常、50〜1500kPaであり、典型的には100〜700kPaとすればよい。
【0091】
[熱抵抗]
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物およびその硬化物は、レーザーフラッシュ法で測定した25℃における熱抵抗が、10mm2・K/W以下であることが好ましく、特に6mm2・K/W以下であることが好ましい。該熱抵抗がこの範囲内にあると、本発明組成物およびその硬化物は、発熱量の多い電子部品に適用した場合でも、該電子部品から発生する熱を効率よく放熱部品へ放散させることができる。なお、レーザーフラッシュ法による熱抵抗の測定は、ASTM E 1461に準拠して行うことができる。
【0092】
[電子装置]
本発明組成物を用いて放熱特性に優れた半導体装置等の電子装置、即ち、発熱性電子部品(例えば、LSI、CPU等の集積回路素子)等の電子部品と、放熱部品(例えば、ヒートスプレッダ、ヒートシンク等)、ヒートパイプ、放熱板等の放熱部材と、これらの電子部品と放熱部材との間に設けられ本発明の組成物の硬化物からなる熱伝導性部材とを有してなる電子装置を製造することができる。熱伝導性部材の厚さは、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは10〜30μmである。この電子装置を製造するために、電子部品と放熱部材との間に熱伝導性部材を設けるには、例えば、
(I)電子部品の表面に組成物を塗布する工程、
(II)こうして塗布した組成物に放熱部材を載置する工程、および
(III)次に、塗布した組成物を80〜180℃、好ましくは100〜150℃で加熱することにより硬化させる工程、
を含む電子部品と放熱部材との間に熱伝導性部材を形成する方法で行うことが好ましい。該熱伝導性部材を電子部品と放熱部材との間に設けることにより、該電子部品から該放熱部材へ効率よく熱を伝導させることができるので、該電子部品から効果的に熱を取り除くことができる。
【0093】
<電子装置の例>
電子装置およびその製造方法について、電子装置の一例である半導体装置を表す縦断面概念図である図1を参照しながら説明する。なお、図1に記載の装置は、本発明組成物の半導体装置への適用の一例を示したものに過ぎず、本発明に係る電子装置を図1に記載のものに限定するとの趣旨ではない。
【0094】
図1に示すように、この半導体装置は、プリント配線基板3の上に実装されたCPU等のICパッケージ2と、ICパッケージ2の上であって放熱部材4との間に介在されている熱伝導性シリコーングリース組成物を硬化させてなる熱伝導性部材1により構成されている。ここで、放熱部材4は表面積を広くとって放熱作用を向上させるためにフィン付き構造となっている。また、放熱部材4とプリント配線基板3は、クランプ5で締め付け固定され押圧されている。
【0095】
この半導体装置の製造方法は、以下のとおりである。
まず、シリンジ等の塗工用具に組成物を充填する。なお、組成物を冷凍状態で保存している場合には、室温で放置して自然解凍させてグリース状の組成物としてから用いる。
【0096】
次に、プリント配線基板3上に実装されたICパッケージ2の表面に、シリンジ等から組成物を吐出し、塗布(ディスペンス)して組成物層1を形成させる。この組成物層1の上に、放熱部材4を載置し、クランプ5を用いて放熱部材4を、組成物層1を介してICパッケージ2に圧接した状態で固定させる。
【0097】
このとき、ICパッケージ2と放熱部材4とに挟まれて存在する組成物層1の厚さが、通常、5〜100μm、好ましくは10〜30μmとなるように、クランプ5を調整または選択するのがよい。この厚さが薄すぎると、前記圧接に際し、ICパッケージ2および放熱部材4への本発明組成物の追随性が不十分となり、これらICパッケージ2と放熱部材4との間に隙間が生じるおそれがある。また、この厚さが厚すぎると、熱抵抗が大きくなり十分な放熱効果が得られないことがある。
【0098】
その後、こうして得られた圧接した状態の装置を、リフロー炉等の加熱装置内を通過させ、組成物層1を硬化させて熱伝導性部材1とする。この硬化に要する温度条件は、80〜180℃であり、特に好ましくは100〜150℃である。この硬化温度が80℃未満であると硬化が不十分となることがあり、この硬化温度が180℃を超えると電子部品もしくは基材が劣化するおそれがある。
【0099】
こうして得られた半導体装置等の電子装置を稼動・使用する場合には、ICパッケージ等の電子部品は、表面温度が、通常、60〜120℃程度の高温となる。この発熱に対して、本発明組成物の硬化物からなる熱伝導性部材は高い熱伝導性を示すので、従来の熱伝導性シートあるいは熱伝導性グリースに比較して著しく放熱特性に優れるものである。さらに、半導体装置等の電子装置の長期連続稼動・使用によっても、オイル成分は硬化物の三次元架橋網状構造中に固定・保持されているため、熱伝導性部材から漏出することがない。
【0100】
さらに、熱伝導性部材はタック性を有し、放熱部材がずれた場合であってもあるいは長期使用時においても安定した柔軟性を有し、電子部品および放熱部材から剥離し難い。
【0101】
なお、予め本発明組成物から所望の厚さのシート状硬化物を作製し、これを従来の熱伝導性シートと同様に電子部品と放熱部材との間に介在させることによっても、同様な効果を得ることができる。その他にも、熱伝導性および耐熱性が必要とされる他の装置等の部品として、本発明組成物のシート状硬化物等を適宜使用することもできる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0103】
まず、本発明の組成物を形成する以下の各成分を用意した。
<(A)成分>
・(A−1)25℃における動粘度が600mm/sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン
・(A−2)25℃における動粘度が30000mm/sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン
<(B)成分>
・(B−1)下記式:
【0104】
【化9】


で表されるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度:35mm2/s)
<(C)成分>
・(C−1)下記式:
1021Si(OCH
で表されるアルコキシシラン
・(C−2)下記式:
1225Si(OC
で表されるアルコキシシラン
<(D)成分>
・(D−1)下記構造式:
【0105】
【化10】


で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
<(E)成分>
・(E−1)アルミニウム粉末(平均粒径10.7μm、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩下画分
・(E−2)アルミナ粉末(平均粒径10.2μm、同規格の目開き32μmの篩下画分)
・(E−3)アルミニウム粉末(平均粒径1.5μm、同規格の目開き32μmの篩下画分)
・(E−4)アルミナ粉末(平均粒径1.2μm、同規格の目開き32μmの篩下画分)
・(E−5)酸化亜鉛粉末(平均粒径1.0μm、同規格の目開き32μmの篩下画分)
・(E−6)アルミナ粉末(平均粒径103μm、分級なし)
なお、(E)成分の平均粒径は、日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXにより測定した体積基準の累積平均径である。
<(F)成分>
・(F-1)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン(分子鎖両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖されたもの)溶液〔白金原子含有量:1質量%〕。
<(G)成分>
・(G-1)1−エチニル−1−シクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液
<(H)成分>
・(H−1)下記式:
【0106】
【化11】


で表される動粘度が500mm2/sのオルガノポリシロキサン
【0107】
<組成物の調製>
表1および表2に記載の化合物を同表に記載の配合量で用いて、次のとおりにして、組成物を調製した。
【0108】
内容積700ミリリットルのプラネタリーミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名:T.K.ハイビスミックス)に、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、および場合によって(H)成分を加え、80℃に昇温してその温度を維持し、60分間混練した。次いで混練を停止し、25℃になるまで冷却した。その後、(D)成分、(F)成分および(G)成分を加え、均一になるように混練して組成物を調製した。
【0109】
[試験方法]
得られた組成物の特性を下記の試験方法で測定した。結果を表1および2に併記する。
【0110】
〔粘度測定〕
得られた組成物を25℃の恒温室に3時間放置後、粘度計(商品名:スパイラル粘度計PC−1TL、株式会社マルコム製)を使用して回転数10rpmでの粘度を測定した。
【0111】
〔熱伝導率測定〕
得られた組成物を3cm厚の型に流し込み、その上にキッチン用ラップを被せて、京都電子工業株式会社製の熱伝導率計(商品名:QTM−500)で該組成物の熱伝導率を測定した。
【0112】
〔硬化物の調製〕
上記で得られた組成物(但し、比較例1および比較例2のものを除く)を、標準アルミニウムの円板状プレート(直径:約12.7mm、厚み:約1.0mm)の全面に0.2g塗布し、その上に他の標準アルミニウムプレートを重ね、得られる構造体をクリップで挟むことにより約175.5kPa(1.80kgf/cm2)の圧力をかけて3層構造体を得た。次いで、このクリップで挟まれ加圧状態にある3層構造体を電気炉内で125℃まで昇温しその温度を90分間保持して組成物を硬化させ、その後、室温になるまで放置して冷却し、熱抵抗の測定用試験片を調製した。
【0113】
〔厚み測定〕
試験片の厚みをマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、型式:M820−25VA)で測定し、予め測定してあったアルミニウム板2枚分の厚みを差し引いて、該硬化物の厚みを算出した。
【0114】
〔熱抵抗の測定〕
上記試験片を用いて、該硬化物の熱抵抗(単位:mm2・K/W)をレーザーフラッシュ法に基づく熱抵抗測定器(ネッチ社製、キセノンフラッシュアナライザー;LFA447 NanoFlash)により25℃において測定した。
【0115】
〔高温高湿下放置後の熱抵抗の測定〕
熱抵抗測定後の上記試験片を130℃/85%RH雰囲気下で192時間放置した後、再度、該硬化物の熱抵抗(単位:mm2・K/W)を同熱抵抗測定器により測定した。
【0116】
〔半導体装置への適用〕
上記実施例1〜5で得られた組成物0.2gを、2cm×2cmのCPUの表面に塗布して組成物層を形成させた。この組成物層に放熱部材を重ねて圧接し、上記「硬化物の調製」の項と同様に、組成物層を加圧状態のまま、加熱することにより硬化させて、10〜30μmの厚さの熱伝導性部材を介してCPUと放熱部材が接合されている半導体装置を得た。これらの各装置をホストコンピューター、パーソナルコンピュータ等に組み込み、稼動させたところ、CPUの発熱温度は約100℃であったが、何れの装置の場合も長時間にわたって安定した熱伝導および放熱が可能であり、過熱蓄積によるCPUの性能低下、破損等が防止できた。よって、本発明の組成物の硬化物を採用することにより、半導体装置の信頼性が向上することが確認できた。
【0117】
【表1】


(注1):表中の(F)成分および(G)成分の濃度はそれぞれ、オイル成分((A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分、(G)成分、および(H)成分の合計)の質量に対する(F−1)成分および(G−1)成分の濃度である。
(注2):「SiH/Vi」とは、(A)成分中のビニル基1個に対する(D)成分中のSiH基(ケイ素原子に結合した水素原子)の個数を意味する。
【0118】
【表2】


(注1):表中の(F)成分および(G)成分の濃度はそれぞれ、オイル成分((A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分の合計)の質量に対する(F−1)成分および(G−1)成分の濃度である。
(注2):「SiH/Vi」とは、(A)成分中のビニル基1個に対する(D)成分中のSiH基(ケイ素原子に結合した水素原子)の個数を意味する。
(注3):比較例1および比較例2では、何れの場合もグリース状の均一な組成物を得ることはできなかったので、測定ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の組成物を適用する半導体装置の一例を示す縦断面概念図である。
【符号の説明】
【0120】
1.熱伝導性部材(組成物層)
2.ICパッケージ
3.プリント配線基板
4.放熱部材
5.クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン: 100容量部、
(B)下記一般式(1):
【化1】

(1)

(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、aは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
で表され、25℃における動粘度が10〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:0.1〜300容量部、
(C)下記一般式(2):
3c4dSi(OR54-c-d (2)
(式中、R3は同一または異種の炭素原子数9〜15のアルキル基であり、R4は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R5は同一または異種の炭素原子数1〜6のアルキル基であり、cは1〜3の整数であり、dは0〜2の整数であり、ただし、c+dは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン:0.1〜50容量部、
(D)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: (A)成分中のアルケニル基1個に対して、(D)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数が0.1〜5.0個となる量、
(E)熱伝導性充填剤:100〜2500容量部
(F)白金系触媒: 有効量、並びに
(G)付加反応抑制剤: 有効量
を含み、ただし、該熱伝導性充填剤は平均粒径が0.01〜50μmの熱伝導性充填剤のみからなる熱伝導性シリコーングリース組成物。
【請求項2】
前記(C)成分がC1021Si(OCH、C1225Si(OCH、C1225Si(OC、C1021Si(CH)(OCH、C1021Si(C)(OCH、C1021Si(CH)(OC、C1021Si(CH=CH)(OCH、C1021Si(CHCHCF)(OCH、またはこれらの二種以上の組み合わせである請求項1に係る組成物。
【請求項3】
前記(E)成分がアルミニウム、銀、銅、ニッケル、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、ダイヤモンド、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属珪素、カーボンファイバー、フラーレン、またはこれらの二種以上の組み合わせである請求項1または2に係る組成物。
【請求項4】
更に、
(H)下記平均組成式(5):
9eSiO(4-e)/2 (5)
(式中、R9は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基であり、eは1.8〜2.2の数である。)
で表される25℃における動粘度が10〜100,000mm2/sのオルガノポリシロキサン
を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が500Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に係る組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物を80〜180℃で加熱することにより硬化させてなる熱伝導性シリコーン硬化物。
【請求項7】
レーザーフラッシュ法で測定した25℃における熱抵抗が10mm2・K/W以下であることを特徴とする請求項6に係る硬化物。
【請求項8】
電子部品と、放熱部材と、これらの電子部品と放熱部材との間に設けられ請求項6または7に記載の硬化物からなる熱伝導性部材とを有してなる電子装置。
【請求項9】
前記熱伝導性部材の厚さが5〜100μmである請求項8に係る電子装置。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の硬化方法であって、該組成物を80〜180℃で加熱する工程を有する硬化方法。
【請求項11】
(I)電子部品の表面に請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程、
(II)こうして塗布した組成物に放熱部材を載置する工程、および
(III)次に、塗布した組成物を80〜180℃で加熱することにより硬化させる工程、
を含む電子部品と放熱部材との間に熱伝導性部材を形成する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−38137(P2008−38137A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158792(P2007−158792)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】