説明

熱処理炉用防塵部材および熱処理炉

【課題】長期間使用しても剥離や欠落が発生しない熱処理炉用防塵防部材および熱処理炉を提供する。
【解決手段】熱処理炉用防塵部材5Aは、熱処理炉1の炉壁2と被熱処理物7との間に配置される防塵部材5Aにおいて、結晶化ガラス又はセラミック焼結体からなる基材5Aaと、基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面のうち少なくとも片面に形成された耐熱膜5Abとからなり、当該耐熱膜5Abの膜厚が10nm〜10μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉用防塵部材および熱処理炉に関し、特に電子機器を製造する際に使用される熱処理炉の炉壁と被熱処理物の間に設置される防塵部材およびそれを使用した熱処理炉に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器産業の発達に伴い各種電子機器の製造工程において、熱処理時に被熱処理部品が熱処理炉からの粉塵や出ガス等により汚染されないようにする必要が高くなってきている。例えば、表示デバイスの多様化が進む中で、CRTに替わって大画面の平面ディスプレイが表示デバイスの主流になりつつあり、その代表格であるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)の製造工程においては、ガラス基板の上に電極、誘電体、硫化物等からなる蛍光体等を形成するために、それらを含むペーストが塗布された後、ローラーハースキルン等の熱処理炉において最高温度650℃程度の温度で熱処理される。このとき、熱処理炉の加熱室には炉の耐火物などの構造材等からの粉塵、灰、出ガスが被熱処理物に付着するのを防止するために、防塵部材が、炉壁や発熱体と被加熱物とを遮蔽するように設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
熱処理炉用防塵部材としては、例えば、30〜380℃の温度範囲において、−20〜20×10-7/℃の熱膨張係数を有するものが適しており、より具体的には、重量百分率で、SiO2 55〜70%、Al23 20〜35%、Li2O 3〜5%、TiO2 1〜3%、ZrO2 1〜4%、P25 1〜5%、Na2O 0〜4%、K2O 0〜4%の組成を有し、内部にβ−石英固溶体結晶あるいはβ−スポジューメン結晶のいずれかを析出したガラスセラミックが適しており、特に上記の組成を有し、β−石英固溶体結晶を析出してなり、熱線が透過する透明材料が最適であることが開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開平10−160359号公報
【特許文献2】特許第3152256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献2に記載の熱処理炉用防塵部材は、長期間使用すると、表面にクラックが入り、クラックが進行すると防塵部材表面の剥離や防塵部材自身の欠落が発生する、という問題を有していた。この剥離や欠落は、例えばPDP用ガラス基板の上の電極、誘電体、蛍光体等の形成に重大な欠陥を生じさせる原因になる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、長期間使用しても剥離や欠落が発生しない熱処理炉用防塵部材および熱処理炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、熱処理炉用防塵部材表面のクラックの発生は、雰囲気ガス中のH+イオンと、防塵部材表面のLi+イオンとのイオン交換反応によって発生する防塵部材表面における引張応力が原因であるということを突き止めた。すなわち防塵部材表面付近はLi+イオンより原子半径の小さなH+イオンでイオン交換されるため、表面近傍の体積が小さくなり、引張応力が発生する。イオン交換反応が進行すると、その引張応力が防塵部材自身の耐引張応力値を超えてしまい、クラックが発生し、更に反応が進行すれば、クラックが進展して、最悪の場合、防塵部材の剥離や欠落に至ることになる。尚、雰囲気中にH+イオンが存在するのは、熱処理中に、被熱処理物や、加熱室を構成する断熱材等の構成部材等に含まれる硫化物、塩化物、窒化物、りん化合物等の存在により加熱室内が酸性雰囲気になることによるものと考えられている。
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、耐熱性の高い膜を熱処理炉用防塵部材の基材表面に形成することによってバリア層を形成し、基材表面のアルカリイオンと雰囲気中のH+イオンとのイオン交換反応を防ぐことができることを見出し、本発明として提案するものである。
【0008】
すなわち、本発明の熱処理炉用防塵部材は、熱処理炉の炉壁と被熱処理物との間に配置される防塵部材において、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなる基材と、その表面の少なくとも一面に基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面のうち少なくとも片面に形成された耐熱膜とからなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の熱処理炉は、炉壁と被熱処理物との間に配置される防塵部材を使用してなる熱処理炉において、防塵部材が、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなる基材と、基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面のうち少なくとも片面に形成された耐熱膜とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱処理炉用防塵部材は、上記のように構成したので、基材表面のアルカリイオンと雰囲気中のH+イオンとのイオン交換反応を防ぐことができる。その結果、長期間使用しても防塵部材の剥離や欠落が発生しない。特に、防塵部材は、炉壁と発熱体との間に配置されても、上記した効果が得られるが、炉壁の内側に設けられた発熱体と被熱処理物との間に配置されると、雰囲気ガスによる発熱体の劣化や発熱体、炉壁等からの発塵、出ガス等による被熱処理物への異物付着、汚染等を抑制できるため好ましい。
【0011】
耐熱膜は、その肉厚が10nm〜10μmであると、酸性雰囲気に対するバリア効果がより大きく、膜にクラックや剥離が発生しにくいため好ましい。耐熱膜の膜厚のより好ましい範囲は50nm〜6μmである。
【0012】
上記した構成において、耐熱膜が、下記の(a)、(b)及び(c)からなる群から選択された少なくとも1成分を含む膜からなり、
(a)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、
(b)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物であり、
(c)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の窒化物であることが好ましい。このようにすれば、膜が熱的又は化学的に安定であるため、長期に亘り酸性ガスを含む雰囲気中で熱処理を行っても、膜の変質が起こりにくく、バリア効果が高くなる。
【0013】
耐熱膜が、酸化ケイ素膜、酸化錫膜、窒化ケイ素及び窒化チタン膜からなる群から選択された1種の膜からなることがより好ましい。特に、シリカガラス酸化ケイ素からなる膜であると、Li2O−Al23−SiO2系結晶化ガラスやセラミックス焼結体からなる基材との熱膨張係数が近似しているため、バリア効果を高くするために膜厚を厚くしてもクラックが発生しにくく、剥離し難い。また比較的安価に形成できる。
【0014】
また、上記した構成において、耐熱膜は、基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面の両面に形成されてなることが好ましい。このようにすれば、雰囲気中の酸性ガスが、防塵部材と炉壁及び防塵部材と被熱処理物との間に存在した場合であっても、基材のアルカリイオンと雰囲気ガス中のH+イオンとの反応を防ぐことができるため、防塵部材の剥離や欠落の危険を回避することが可能となる。また、基材が板状の場合、耐熱膜が、基材の端面にも形成されてなることがより好ましい。このようにすれば、端面でのイオン交換反応によるクラックや剥離を防止でき、防塵部材からの発塵を完全に防止できる。
【0015】
上記した構成において、基材が、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス又は、結晶相としてペタライト、β−石英又はβ−スポジュメンを含有するLi2O−Al23−SiO2系セラミック焼結体からなると、耐熱性に優れ、熱膨張係数が30〜380℃の温度範囲において、−20〜20×10-7/℃になりやすく、耐熱衝撃性にも優れるため、熱処理炉用防塵部材の基材として好適であるが、アルカリイオンの中でもLi+イオンが最もイオン半径が小さく、イオン交換反応が起こりやすいため、上記した基材の場合に耐熱膜を形成することが効果的である。
【0016】
上記した構成において、基材がLi2Oを1.0〜10質量%含有することが好ましい。Li2O含有量は、イオン交換反応を抑制するために、少なければ少ないほど良く、具体的には10質量%以下であることが好ましいが、外気の急激な進入による急加熱・急冷却による破損がないようにするために、防塵部材の熱膨張係数が20×10-7×/℃以下となる必要があることから、熱膨張係数が小さいもしくは負の結晶を含有させるためにLi2Oの含有量は、1.0質量%以上必要である。
【0017】
上記した構成において、被熱処理物は、特に限定はないが、プラズマディスプレイパネル(PDP)の背面板であると、耐熱膜を基材表面に形成する(特に被熱処理物側の基材表面に形成する)ことが特に効果があり好ましい。すなわち、プラズマディスプレイパネル(PDP)の背面板には、酸性ガスの一種のSOxガス源である硫化物を多量に含んでいるため、熱処理炉の雰囲気が酸性になりやすいからである。
【0018】
尚、上記した耐熱膜の形成方法としては、ディッピング(ディップ)法、スプレー法、CVD法、蒸着法、スパッタリング(スパッタ)法、溶射法等の一般的な方法を用いることができる。
【0019】
本発明の熱処理炉は、上述した防塵部材を使用してなるため、基材のアルカリイオンと雰囲気中のH+イオンとのイオン交換反応を防ぐことができる。その結果、長期間使用しても防塵部材の剥離や欠落が発生しない。
【0020】
上記した構成において、耐熱膜が、基材の少なくとも炉壁側に臨む表面に形成されてなることが好ましい。すなわち、ローラーハースキルンの場合、被熱処理物の周囲の防塵部材によって取り囲まれた空間の雰囲気ガスは、強制的な排気により、滞留せず外部に排気されるため、酸性ガスが被熱処理物から発生し、基材の熱処理物側に臨む表面に耐熱膜が無くてもクラックが発生しにくいが、炉壁と防塵部材によって囲まれた空間は、雰囲気ガスが強制排気されず滞留しやすいため、炉壁等の耐熱部材や断熱材から酸性ガスが発生する場合には、耐熱膜が無いとクラックが発生しやすくなるからである。
【0021】
上記した構成において、防塵部材が、被熱処理物から発熱体を隔離するように配置されていることが好ましい。具体的には、板状の防塵部材が、発熱体と被熱処理物との間に炉壁を覆うように配置されている、もしくは発熱体が炉壁との間に空間を設けて配置されてなる熱処理炉において、板状の防塵部材が、発熱体と炉壁との間の空間に炉壁を覆うように配置され、筒状の防塵部材が、発熱体を覆うように配置されていることがより好ましい。
【0022】
このようにすれば、熱処理炉内が酸性雰囲気になっても、発熱体が防塵部材によって、炉内雰囲気と隔離されているため、発熱体が劣化しにくくなる。また、発熱体や炉壁からの発塵等があっても、防塵部材によって、被熱処理物が汚染されることがない。
【0023】
また、発熱体が炉壁との間に空間を設けて配置されてなる熱処理炉において、発熱体と炉壁との間の空間に炉壁を覆うように配置されてなる板状の防塵部材の耐熱膜が、熱線反射膜であると、具体的には、SnO2膜(ネサ膜)等であると、エネルギー効率が高くなるため好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の熱処理炉用防塵部材及び熱処理炉を、実施例を用いて詳細に説明する。
【0025】
表1は、本発明の実施例1〜4を、表2は、実施例5〜6及び比較例1〜2を示す。図1は、本発明における熱処理炉(ローラーハースキルン)の実施形態を示し、(a)は、搬送方向に対して垂直な縦断面図であり、(b)は、搬送方向に対して平行な縦断面図である。また、図2は、本発明における熱処理炉の他の実施形態を示し、(a)は、搬送方向に対して垂直な縦断面図であり、(b)は、搬送方向に対して平行な縦断面図である。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
実施例1〜4及び比較例1の結晶化ガラスは、日本電気硝子株式会社製透明結晶化ガラス、ネオセラムN−0(30〜600℃での熱膨張係数:0×10-7/K、Li2O含有量:4質量%)からなる。また、実施例5〜6及び比較例2のセラミックス焼結体は、ペタライト結晶を70質量%含有するLi2O−Al23−SiO2系セラミック焼結体(30〜600℃での熱膨張係数:10×10-7/K、Li2O含有量:2.5質量%)からなる。また、実施例の熱処理炉用防塵部材は、これらの結晶化ガラス及びセラミック焼結体からなる基材の表面に、表1、2に示す膜材料と膜厚の耐熱膜を同表に示す塗布方法により形成してある。尚、実施例2及び5におけるディッピング法(ディップ)では、日本曹達株式会社製のアトロンSを含む溶液に浸漬し、700℃で焼成してSiO2膜(シリカ膜)を形成した。また、実施例3におけるスプレー法では、表面に塩化スズを含む溶液をスプレーし、600℃で焼成してSnO2膜を形成した。
【0029】
また、これらの防塵部材をガラス製容器内に入れ、380℃に加熱した状態で75ppmのSO2ガスを流し、7日間経過した後、取り出して評価した。イオン交換反応の有無は、イオン交換反応の副次生成物であるLi2SO4・H2OがX線回折で検出されるかどうかで評価した。
【0030】
また、実施例1〜4及び比較例1の透明結晶化ガラスについては、イオン交換反応の有無は、イオン交換反応によって発現する引張応力の有無を、20mm厚の状態で、歪計を用いて切断面観察することによっても評価した。
【0031】
表1、2からわかるように、実施例1〜6は、基材のLi+イオンと雰囲気中のH+イオンとのイオン交換反応はいずれも起こらなかった。また、実施例1〜4は、いずれも歪は観察されなかった。従って、実施例では、耐熱膜がバリア効果を発揮して、剥離や欠落にいたるような引張応力を発生させるイオン交換反応を防止していることが確認された。それに対し、比較例1、2は、いずれもイオン交換反応が確認された。また、比較例1は、歪が観察された。
【0032】
図1に示すように、本発明の熱処理炉(ローラーハースキルン)1は、上部炉壁2Aと下部炉壁2Bとからなる炉壁2と、炉壁2の全ての内壁2aに設置された複数のパネル状電熱ヒーター(発熱体)3と、搬送方向に等間隔で並べられた複数本の搬送用ローラー4と、炉壁2の全ての内壁2aを覆うように配設された板状の防塵部材5Aとからなる。搬送ローラー4上には、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなるセッター6が載置され、セッター6上には、被熱処理物7が載置され、複数本の搬送用ローラー4が同速度で回転することによって、被熱処理物7が載置されたセッター6が搬送される。また、板状の防塵部材5Aは、上記した実施例1〜6に示したように、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなる基材5Aaと、基材5Aaの被熱処理物7側に臨む表面と炉壁2側に望む表面に形成された耐熱膜5Abとからなる。上部の板状の防塵部材5Aは、炉壁2の内壁2aから突出した支持部2Aaによって、下部の板状の防塵部材5Aは、支持台8と下部炉壁2Bの支持部2Baによってそれぞれ固定されている。
【0033】
他の実施形態として、図2に示す熱処理炉(ローラーハースキルン)10は、複数本の発熱体3´が、搬送ローラー4の上部及び下部に、搬送ローラー4と平行に並べられている以外は、熱処理炉1と同様に構成されている。発熱体3´は、図3に示すように、円筒状SiCセラミックス製発熱体からなり、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなる円筒状の防塵部材5Bの内孔に、防塵部材5Bによって覆われるように配置され、防塵部材5Bは、円筒状の基材5Baと、基材5Baの全外表面に形成された耐熱膜5Bbとからなる。尚、発熱体3´は、円筒状SiCセラミックス製発熱体の代わりに電熱線であってもよい。また、発熱体3´が発塵しない場合には、防塵部材5Bを設ける必要はない。
【0034】
熱処理炉1、10は、上記したように構成されているため、熱処理中に、被熱処理物7や、炉壁2から硫化物等が揮発、蒸発して熱処理炉1内が酸性雰囲気になっても、板状の防塵部材5Aや円筒状の防塵部材5Bは、耐熱膜5Ab、5Bbによって、基材5Aa、5Ba表面におけるイオン交換反応が防止され、剥離や欠落が起こることがない。
【0035】
また、熱処理炉内が酸性雰囲気になっても、発熱体3、3´がそれぞれ防塵部材5A、5Bによって、炉内雰囲気と隔離されているため、発熱体3、3´は劣化しにくい。
【0036】
また、発熱体3、3´や炉壁2からの発塵があっても、板状の防塵部材5Aや円筒状の防塵部材5Bによって、被熱処理物7が汚染されることがない。
【0037】
尚、熱処理炉1、10(ローラーハースキルン)が強制排気設備を有している場合には、耐熱膜は、少なくとも板状の防塵部材5Aの炉壁2側に臨む表面に形成されていればよく、板状の防塵部材5Aの被熱処理物7側表面や、円筒状の防塵部材5Bの外表面には無くても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように、本発明の熱処理炉用防塵部材は、電子機器、具体的には、PDPだけでなく、液晶ディスプレイ、FED等のフラットパネルディスプレイやその他の産業で使用される熱処理炉に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明における熱処理炉の実施形態を示し、(a)は、搬送方向に対して垂直な縦断面図であり、(b)は、搬送方向に対して平行な縦断面図である。
【図2】本発明における熱処理炉の他の実施形態を示し、(a)は、搬送方向に対して垂直な縦断面図であり、(b)は、搬送方向に対して平行な縦断面図である。
【図3】図2における発熱体と防塵部材の断面説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1、10 熱処理炉
2 炉壁
2A 上部炉壁
2B 下部炉壁
3、3´ 発熱体
4 搬送用ローラー
5A 板状の防塵部材
5B 円筒状の防塵部材
5Aa、5Ba 基材
5Ab、5Bb 耐熱膜
6 セッター
7 被熱処理物
8 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉の炉壁と被熱処理物との間に配置される防塵部材において、結晶化ガラス又はセラミックス焼結体からなる基材と、基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面のうち少なくとも片面に形成された耐熱膜とからなることを特徴とする熱処理炉用防塵部材。
【請求項2】
耐熱膜は、膜厚が10nm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項3】
耐熱膜が、下記の(a)、(b)及び(c)からなる群から選択された少なくとも1成分を含む膜からなり、
(a)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、
(b)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物であり、
(c)は、Si、Sn、Al、Ti、Zr、Ta、W及びNbからなる群から選択された少なくとも1種の金属の窒化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項4】
耐熱膜が、酸化ケイ素膜、酸化錫膜、窒化ケイ素膜及び窒化チタン膜からなる群から選択された1種の膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項5】
耐熱膜が、基材の被熱処理物側に臨む表面と炉壁側に臨む表面の両面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項6】
基材が、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス又は、結晶相としてペタライト、β−石英又はβ−スポジュメンを含有するLi2O−Al23−SiO2系セラミック焼結体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項7】
基材が、Li2Oを1.0〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項8】
被熱処理物は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の背面板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の熱処理炉用防塵部材を使用することを特徴とする熱処理炉。
【請求項10】
防塵部材が、被熱処理物から発熱体を隔離するように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の熱処理炉。
【請求項11】
板状の防塵部材が、発熱体と被熱処理物の間に炉壁を覆うように配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の熱処理炉。
【請求項12】
発熱体が、炉壁との間に空間を設けて配置されてなる熱処理炉において、板状の防塵部材が、発熱体と炉壁との間の空間に炉壁を覆うように配置され、筒状の防塵部材が、発熱体を覆うように配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の熱処理炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−81343(P2008−81343A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261712(P2006−261712)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】