説明

熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法

【課題】局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法に関するものであり、より詳しくは、局部的に異種厚を有する熱処理硬化鋼を用いた自動車部品の製造方法に関して開示する。
【解決手段】本発明は、要求される強度によって、異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;前記ブランク結合体を冷間プレス成形する冷間成形段階;及び冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化段階;を含む自動車部品の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法に関するものであり、より詳しくは、局部的に異種厚を有する熱処理硬化鋼を用いた自動車部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の高燃費化と軽量化が追求されていることにより、車両部品は持続的に高強度化されている。
【0003】
また、車両の各部分は構造的な特性により、ある部分は高い強度が要求され、また別の部分は高い衝撃靭性が要求される場合がある。つまり、局部的に異種強度(又は物性)が要求される部品が存在する。
【0004】
従来は、異種強度を有する車両の部品を製造することにおいて、高強度が要求される部分は熱処理硬化鋼板を用いて部品を製造し、相対的に低い強度が要求される部分は一般鋼板を使用して製造した後、これら部品を溶接によって接合する方法で車両を製造していた。
【0005】
ところが、熱処理硬化部品が一般鋼板で製造された部品と溶接によって接合される際、溶接接合部位は溶接熱によって再加熱され、再度冷却する過程を経ることにより熱処理硬化効果が消えてしまうという問題点を有していた。つまり、熱処理硬化部品の溶接部位の強度が低下して車両衝突時にこの部分が破断するという問題点を有していた。
【0006】
他の方法としては、厚さが異なったり強度が異なる異種素材を溶接してブランクを製作した後、冷間プレス成形する方法で部品を製作したりもした。
【0007】
ところが、このような方法は厚さが異なる素材を使用する場合、素材間弾性変形の違いによって寸法が狂う現象が発生することにより、目的とする寸法精密度を達成できなかった。
【0008】
また、強度が異なる素材を使用する場合にも、各素材ごとにスプリングバック(spring back)現象が発生することにより、同様に寸法が狂う現象が発生するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、熱処理硬化成形方法を用いることにより、成形残留応力が発生しない自動車部品を提供するためのものである。
【0010】
本発明の他の目的は、溶接部位において強度低下が発生しない自動車部品を提供するためのものである。
【0011】
本発明の又別の目的は、スプリングバック現象が発生しないようにすることにより、寸法精密度に優れた自動車部品を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、要求される強度によって、異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;前記ブランク結合体を冷間プレス成形する冷間成形段階;及び冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化段階;を含む自動車部品の製造方法を提供する。
【0013】
そして、本発明は、要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;前記ブランク結合体を完成品形状の80〜99%で冷間プレス成形する冷間成形段階;及び冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、残りの1〜20%を成形して、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階;を含む自動車部品の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;及び前記ブランク結合体をAC3温度以上に加熱した後、熱間プレス成形して、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階;を含む自動車部品の製造方法を提供する。
【0015】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、めっきがされていない冷延鋼板または亜鉛めっき、Alめっき、Al−Siめっき及び高温酸化剤コーティングのいずれかの方法で表面処理されたものを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、局部的に異種強度を有する自動車部品を製造する方法を提供することにおいて、熱処理硬化鋼板を素材として使用するが、レーザー溶接によりブランク状態で溶接を行った後、冷間成形および/または熱間成形過程を経て部品の形状を加工した後、熱処理硬化過程を経るようにすることを特徴とする。
【0017】
よって、完成した部品において成形残留応力が発生せず、高い寸法精密度を達成できるという効果をもたらす。
【0018】
また、レーザー溶接された部分は、溶接が行われた後、母材と一緒に熱処理過程を経ることにより、溶接された部位も母材と同一な物性を表し得るという効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図である。
【図2】本発明の第1実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程による部品の状態を示した図面である。
【図3】本発明の第2実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図である。
【図4】本発明の第2実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程による部品の状態を示した図面である。
【図5】本発明の第3実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図である。
【図6】本発明の第3実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程による部品の状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の実施例を説明する。
【0021】
このような過程で図面に示した線の太さや構成要素の大きさ等は、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示す場合がある。
【0022】
また、後述の用語は、本発明における機能を考慮して定義した用語であり、これは使用者、運営者の意図または慣例によって異なり得る。
【0023】
そのため、このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容を基に下すべきであると言える。
【0024】
図1は、本発明の第1実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図であり、
【0025】
図2は、本発明の第1実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程による部品の状態を示した図面である。
【0026】
図1を参照すると、本発明にかかる自動車部品の製造方法は、要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板から複数個のブランクシートを準備するブランクシート準備段階(S−11)と、
【0027】
レーザー溶接(Laser welding)を利用して前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体の形成段階(S−12)と、
【0028】
前記ブランク結合体を冷間プレス成形する冷間成形段階(S−13)と、
【0029】
冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化段階(S−14)を含む。
【0030】
図2に示した実施例は、本発明にかかる自動車部品の製造方法により側面構造材(Side outer reinforce)を製造する過程を示したものである。
【0031】
側面構造材は、部分的に異なる強度が要求され、車両の軽量化のためにはできるだけ高い強度の高強度鋼板を利用して厚さを最小化することが好ましい。
【0032】
ところが、一般的な高強度鋼板の場合は、成形性の低い目的とする形状に加工することが困難で、またスプリングバック現象によって寸法精密度を確保し難いという問題点を有していた。
【0033】
本発明は熱処理硬化型鋼板を利用するが、要求される強度によって相違する材質または相違する厚さを有するようにブランクシートを形成した後、これをレーザー溶接によって接合して成形することを特徴とする。
【0034】
ブランクシート準備段階(S−11)は、要求される強度によって相違する材質、又は相違する厚さを有する熱処理硬化型鋼板シートから各部分のブランクシートを準備する。
【0035】
このように準備されたブランクシートは、ブランク結合体形成段階(S−12)で、レーザー溶接により接合してブランク結合体を形成することになる。
【0036】
冷間成形段階(S−13)では、ブランク結合体を冷却プレス成形して部品の形状を加工する。冷間成形を行うことになると、スプリングバック(spring back)現象によって部品の精密度が低下し得るが、
【0037】
本発明は冷間成形段階(S−13)以降に熱処理硬化段階(S−14)で冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、最終部品の形状に対応する金型に拘束した状態で急冷することになる。よって、熱処理硬化段階(S−14)では、冷間成形時に発生した成形残留応力を解消し、部品の強度を向上させ、部品の寸法精密度を確保するという効果をもたらす。
【0038】
図3は、本発明の第2実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図であり、
【0039】
図4は本発明の第2実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程にかかる部品の状態を示した図面である。
【0040】
部品の形状が複雑か、或いは加工の深さが深い場合は、冷間成形時に鋼板の裂け等の不良が発生する恐れがある。
【0041】
第2実施例は、冷間成形により完成品形状を形成し難い場合に利用できる方法である。
【0042】
図示した通り、第2実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法は、
【0043】
要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階(S−21)と、
【0044】
レーザー溶接(Laser welding)を利用して前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体の形成段階(S−22)と、
【0045】
前記ブランク結合体を完成品形状の80〜99%で冷間プレス成形する冷間成形段階(S−23)と、
【0046】
冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、残りの1〜20%を成形して、金型で拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階(S−24)を含む。
【0047】
ブランクシート準備段階(S−21)と、ブランク結合体形成段階(S−22)は、第1実施例と同一なため、重複する説明は省略する。
【0048】
第2実施例は、冷間成形段階(S−23)で最終部品形状の80〜99%を成形し、残りの成形量は熱処理硬化成形段階(S−24)で成形することを特徴とする。
【0049】
部品の成形は3次元的なものであり、成形費用を数値で限定することが困難である。本発明では成形費用を最終製品の厚さを基準に算定する。
【0050】
例えば、最終成形された部品の厚さは50mmだが、冷間成形が完了した部品の厚さが45mmの場合は、冷間成形の成形費用は90%になる。
【0051】
冷間成形で完成品のレベルに成形しないのは、上述の通り成形の深さが深かったり、或いは形状が複雑な部品の場合、冷間成形時の成形の限界を考慮したものである。
【0052】
先の第1実施例の場合、最終段階が熱処理硬化段階(S−14)であり、熱間成形が行われるものではなかったが、
【0053】
第2実施例は最終段階が熱処理硬化成形段階(S−24)であり、AC3温度以上に加熱された状態で、熱間成形を行うと同時に金型に拘束し急冷させることにより、残りの成形量を成形し熱処理硬化を行うようになる。
【0054】
言い換えると、熱処理硬化成形段階(S−24)は、加熱された状態で、残りの成形量1〜20%を熱間成形した後、金型を閉じた状態で急冷を行って部品を拘束した状態で硬化させて寸法精密度を確保することにより、強度の向上をもたらすことになる。
【0055】
第1実施例と第2実施例共に、レーザーで溶接された部分は鋼板と一緒に熱処理過程を経ることにより、非溶接部組織と同一になる。よって、溶接部の強度低下現象が発生しなくなる。
【0056】
図5は、本発明の第3実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法を示した工程順序図であり、
【0057】
図6は、本発明の第3実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法の各工程による部品の状態を示した図面である。
【0058】
第3実施例は、先の実施例と異なり冷間成形工程を経ず、熱間成形を通じて形状を成形することを特徴とする。
【0059】
本発明の第3実施例にかかる熱処理硬化鋼板を用いた局部的に異種強度を有する自動車部品の製造方法は、
【0060】
要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を利用してブランクシートを準備するブランクシート準備段階(S−31)と、
【0061】
レーザー溶接(Laser welding)を利用して前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体の形成段階(S−32)と、
【0062】
前記ブランク結合体をAC3温度以上に加熱した後、熱間プレス成形し、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階(S−33)を含む。
【0063】
ブランクシート準備段階(S−31)と、ブランク結合体形成段階(S−32)は、先の実施例と同一なため、重複する説明は省略する。
【0064】
本実施例は、最終段階である熱処理硬化成形段階(S−33)でブランク結合体をAC3温度以上に加熱した後、熱間成形により部品の形状を成形し、金型を閉じた状態で急冷を行う。
【0065】
よって、ブランク結合体が熱間成形すると同時に、熱処理硬化される。
【0066】
このような方法を用いると、自動車部品の製造において成形性の限界を有する高強度鋼板を使用しなくても、最終的に100kgf/mm2以上の高強度部品を製造できるようになる。
【0067】
以下、本発明に使用される熱処理硬化鋼板に対して説明する。
【0068】
熱処理硬化鋼板は、表面処理されていない冷延鋼板を使用したり、表面処理されたものとしては、亜鉛(Zn)めっき、Alめっき、Al−Siめっき及び高温酸化剤コーティングのいずれかの方法で表面処理されたものを使用できる。
【0069】
上述の実施例において、熱処理硬化段階(S−14)又は熱処理硬化成形段階(S−24,S−31)でAC3温度以上に加熱される場合は、脱炭および酸化が発生し得る。これを防止するために前記のような方法で表面処理された熱処理硬化鋼板を使用することが好ましい。
【0070】
表面処理鋼板を使用する場合、加熱温度は1000℃以下にすることが好ましい。1000℃を超えると、表面めっき層またはコーティング層の蒸発が発生することになる。
【0071】
次に、本発明に使用される熱処理硬化鋼板の組成に関して説明する。
【0072】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
【0073】
炭素(C)0.15〜0.5重量%、シリコン(Si)0.15〜0.5重量%、マンガン(Mn)0.5〜3.0重量%、リン(P)0.1重量%以下、硫黄(S)0.1重量%以下、クロム(Cr)0.01〜1.0重量%、チタニウム(Ti)0.2重量%以下、アルミニウム(Al)0.1重量%以下、ボロン(B)0.0005〜0.08重量%を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成されるものを使用できる。
【0074】
前記のような組成を有する熱処理硬化型鋼板は、100kgf/mm2以上の高強度が必要な部品の製造時に使用できる。
【0075】
そして、本発明は熱処理硬化鋼板として、炭素(C)0.15〜0.4重量%、シリコン(Si)0.03〜0.4重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、リン(P)0.12重量%以下、硫黄(S)0.003重量%以下、ボロン(B)0.0005〜0.08重量%、ジルコニウム(Zr)0.005〜0.1重量%、カルシウム(Ca)0.001〜0.005重量%を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成される熱処理硬化型鋼板を使用できる。
【0076】
このような組成を有する鋼板は、ジルコニウムとカルシウム添加の効果により高い耐衝撃性を有することになるため、高い耐衝撃性能が必要な部分のブランクシート製造時に使用できる。
【0077】
また、本発明は熱処理硬化鋼板として、炭素(C)0.15〜0.30重量%、シリコン(Si)0.05〜0.5重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、ボロン(B)0.0005〜0.0040重量%、硫黄(S)0.003重量%以下、リン(P)0.012重量%以下、残りの鉄(Fe)及びその他の不可避な不純物の合金組成を有する鋼にコバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、アンチモン(Sb)のうち少なくとも2種以上がさらに含有されたものを使用できる。
【0078】
このような組成を有する熱処理硬化鋼板は、熱間プレス加工過程で鋼板にクラックを発生するチタニウム(Ti)、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等を添加せず、その代わりにコバルト(Co)、アンチモン(Sb)、ジルコニウム(Zr)のうち少なくとも2種以上を選択的に添加して高温延性を確保する。よって、低い温度でプレス加工が可能なため、エネルギーを節減できることは勿論、めっき鋼板の場合はメッキ層を保護し、未めっき鋼板の場合は酸化スケールの発生を防止できるという効果がある。
【0079】
そして、本発明は溶接および衝撃特性を向上させるために、
【0080】
炭素(C)0.15〜0.40重量%、シリコン(Si)0.03〜0.30重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、ボロン(B)0.0005〜0.004重量%を基本成分とし、硫黄(S)0.003重量%以下、リン(P)0.012重量%以下、カルシウム(Ca)0.001〜0.005重量%、ニオビウム(Nb)0.005〜0.05重量%、ジルコニウム(Zr)0.005〜0.1重量%、コバルト(Co)0.0005〜0.5重量%以下を含有し、残り全部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成される熱処理硬化鋼板を使用できる。
【0081】
また、本発明は1200〜1500MPaの引張強度と優れた延性を有する炭素(C)0.19〜0.40重量%、マンガン(Mn)0.5〜2.5重量%、クロム(Cr)0.1〜0.5重量%、ボロン(B)0.0015〜0.0040重量%、シリコン(Si)0.01〜0.5重量%、リン(P)0.05重量%以下、硫黄(S)0.05重量%以下、アルミニウム(Al)0.03重量%以下にニッケル(Ni)0.01〜2重量%、ニオビウム(Nb)0.01〜0.10重量%、銅(Cu)0.01〜1重量%、モリブデン(Mo)0.01〜0.20重量%のうち1種または2種以上を基本組成として含有し、残り全部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成される熱処理硬化鋼板を使用できる。
【0082】
添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態に変形でき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せず他の具体的な形態として実施できるということを理解できると考える。そのため、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものであると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求される強度によって、異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;
レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;
前記ブランク結合体を冷間プレス成形する冷間成形段階;及び
冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化段階;を含む自動車部品の製造方法。
【請求項2】
要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;
レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;
前記ブランク結合体を完成品形状の80〜99%で冷間プレス成形する冷間成形段階;及び
冷間成形された部品をAC3温度以上に加熱した後、残りの1〜20%を成形して、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階;を含む自動車部品の製造方法。
【請求項3】
要求される強度によって異種厚を有する熱処理硬化鋼板または異種材質を有する熱処理硬化鋼板を用いてブランクシートを準備するブランクシート準備段階;
レーザー溶接(Laser welding)を用いて前記ブランクシートを連結してブランク結合体を形成するブランク結合体形成段階;
前記ブランク結合体をAC3温度以上に加熱した後、熱間プレス成形して、金型に拘束した状態で急冷して成形残留応力を解消し、強度を向上させる熱処理硬化成形段階;を含む自動車部品の製造方法。
【請求項4】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
亜鉛めっき、Alめっき、Al−Siめっき及び高温酸化剤コーティングのいずれかの方法で表面処理されたことを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項5】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
炭素(C)0.15〜0.5重量%、シリコン(Si)0.15〜0.5重量%、マンガン(Mn)0.5〜3.0重量%、リン(P)0.1重量%以下、硫黄(S)0.1重量%以下、クロム(Cr)0.01〜1.0重量%、チタニウム(Ti)0.2重量%以下、アルミニウム(Al)0.1重量%以下、ボロン(B)0.0005〜0.08重量%を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成されることを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項6】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
炭素(C)0.15〜0.4重量%、シリコン(Si)0.03〜0.4重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、リン(P)0.12重量%以下、硫黄(S)0.003重量%以下、ボロン(B)0.0005〜0.08重量%、ジルコニウム(Zr)0.005〜0.1重量%、カルシウム(Ca)0.001〜0.005重量%を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成されることを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項7】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
炭素(C)0.15〜0.30重量%、シリコン(Si)0.05〜0.5重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、ボロン(B)0.0005〜0.0040重量%、硫黄(S)0.003重量%以下、リン(P)0.012重量%以下、残りの鉄(Fe)及びその他の不可避な不純物の合金組成を有する鋼にコバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、アンチモン(Sb)のうち少なくとも2種以上がさらに含有されることを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項8】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
炭素(C)0.15〜0.40重量%、シリコン(Si)0.03〜0.30重量%、マンガン(Mn)1.0〜2.0重量%、ボロン(B)0.0005〜0.004重量%を基本成分とし、硫黄(S)0.003重量%以下、リン(P)0.012重量%以下、カルシウム(Ca)0.001〜0.005重量%、ニオビウム(Nb)0.005〜0.05重量%、ジルコニウム(Zr)0.005〜0.1重量%、コバルト(Co)0.0005〜0.5重量%以下を含有し、残り全部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成されることを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項9】
前記ブランクシート準備段階の熱処理硬化鋼板は、
炭素(C)0.19〜0.40重量%、マンガン(Mn)0.5〜2.5重量%、クロム(Cr)0.1〜0.5重量%、ボロン(B)0.0015〜0.0040重量%、シリコン(Si)0.01〜0.5重量%、リン(P)0.05重量%以下、硫黄(S)0.05重量%以下、アルミニウム(Al)0.03重量%以下にニッケル(Ni)0.01〜2重量%、ニオビウム(Nb)0.01〜0.10重量%、銅(Cu)0.01〜1重量%、モリブデン(Mo)0.01〜0.20重量%のうち1種または2種以上を基本組成として含有し、残り全部が鉄(Fe)及び不可避的に含まれる不純物で組成されることを特徴とする請求項1〜3に記載の自動車部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−501631(P2013−501631A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541934(P2012−541934)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007829
【国際公開番号】WO2012/060496
【国際公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(509107932)ヒュンダイ ハイスコ (20)
【Fターム(参考)】