説明

熱処理雰囲気ガス発生方法及び装置並びに金属酸化物の熱処理方法

【課題】安価で効率よく熱処理雰囲気ガスを発生させることができる方法及び装置並びに金属酸化物の熱処理方法を提供する。
【解決手段】炭化水素と空気とを混合して燃焼させることにより発生させた800〜1300℃の燃焼ガス中にアルコールを添加して熱分解させることにより、一酸化炭素及び水素を含む還元性熱処理雰囲気ガスを発生させる。発生した還元性熱処理雰囲気ガスは、ニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物又は二種以上の酸化物が混合した混合酸化物の熱処理に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理雰囲気ガス発生方法及び装置並びに金属酸化物の熱処理方法に関し、詳しくは、金属等の還元や焼結体を製造するための熱処理を効果的に行うことができる組成の熱処理用雰囲気ガスを発生するための方法及び装置並びに前記熱処理用雰囲気ガスを発生するための方法及び装置で生成した熱処理用雰囲気ガスを用いた金属酸化物の熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅やニッケルなどの酸化物を出発原料とする焼結体の製造工程では、これらの酸化物の還元反応を進行させるため、還元剤として水素ガスを含有するアンモニアクラッキングガスや水素を添加した不活性ガスを熱処理雰囲気として用いている(例えば、特許文献1参照。)。ニッケルを例に挙げると、還元剤として水素を用いた酸化ニッケルの還元反応は、NiO+H=Ni+HOで進行するため、必要な理論水素量は、酸化ニッケル1モルに対して水素1モルである。すなわち、酸化ニッケルの1キログラム(13.4モル)を完全に還元させるためには、最低でも0.3Nm(Nmは0℃、1気圧に換算したときのガスの体積を示す。以下同じ。)の水素ガスが必要である。工業的な熱処理炉、特に連続炉の場合は、酸化物が持つ酸素以外にも、外気の巻き込みや材料間の隙間などに存在する空気などによる酸素の侵入のため、炉へ導入した還元剤の全てが金属酸化物の還元に使用されることはなく、理論的に必要な量以上の還元剤を導入する必要があり、場合によっては10倍以上の還元剤が必要になる場合がある。このような金属の還元などで大量の水素ガスが必要な場合には、メタノール改質法を利用したオンサイト型水素発生装置や、空気と炭化水素とを混合した混合ガスを加熱した触媒と接触させることによって変成させ、CO及びHを高濃度に含む変成ガスを生成する浸炭ガス雰囲気生成方法などが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−339605号公報
【特許文献2】特開2009−299135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の特許文献2に記載されているような浸炭ガス雰囲気生成方法は、発生装置の設置や維持などにかかるコストが嵩むという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、安価で効率よく熱処理雰囲気ガスを発生させることができる方法及び装置並びに金属酸化物の熱処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の熱処理雰囲気ガス発生方法は、炭化水素と空気とを混合して燃焼させることにより発生させた800〜1300℃の燃焼ガス中にアルコールを添加して熱分解させることにより、一酸化炭素及び水素を含む還元性熱処理雰囲気ガスを発生させることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の還元性熱処理雰囲気ガス発生方法は、前記アルコールは、前記燃焼ガス中に添加する前に、発生した前記還元性熱処理雰囲気ガスとアルコールとを熱交換させることによりアルコールを加熱して気化させるアルコール気化用熱交換を行うことを特徴とし、特に、前記アルコール気化用熱交換を行う前に、前記還元性熱処理雰囲気ガスと前記空気とを熱交換させることにより、熱交換後の還元性熱処理雰囲気ガスの温度を、前記アルコール気化用熱交換で、アルコールを沸点以上、400℃未満の温度範囲に加熱可能な温度に降温させる還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換を行うことを特徴としている。発生した前記還元性熱処理雰囲気ガスは、ニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物又は二種以上の酸化物が混合した混合酸化物の熱処理に最適である。
【0008】
また、本発明の熱処理雰囲気ガス発生装置は、炭化水素を供給する炭化水素供給源と、空気を供給する空気供給源と、アルコールを供給するアルコール供給源と、前記炭化水素供給源から炭化水素供給経路を介して供給された炭化水素と前記空気供給源から空気供給経路を介して供給された空気とを混合して燃焼させることにより800〜1300℃の燃焼ガスを燃焼炉中に発生させる燃焼手段と、前記アルコール供給源からアルコール供給経路を介して供給されたアルコールを前記燃焼炉内に導入して前記燃焼ガス中に添加するアルコール添加手段と、燃焼ガス中に添加したアルコールが熱分解して発生した還元性熱処理雰囲気ガスを前記燃焼炉から導出する還元性熱処理雰囲気ガス経路とを備えていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の熱処理雰囲気ガス発生装置は、前記アルコール供給経路を流れるアルコールと、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路を流れる還元性熱処理雰囲気ガスとを熱交換させることにより、前記アルコールを加熱して気化するアルコール気化用熱交換器を備えていることを特徴とし、特に、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路における前記アルコール気化用熱交換器の前段に、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路を流れる還元性熱処理雰囲気ガスと前記空気供給経路を流れる空気とを熱交換させて還元性熱処理雰囲気ガスを降温させる還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の金属酸化物の熱処理方法は、前記熱処理雰囲気ガス発生方法で発生させた前記熱処理雰囲気ガスを熱処理炉に導入し、該熱処理炉内でニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物又は二種以上の酸化物が混合した混合酸化物を熱処理することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成の装置を使用して熱処理雰囲気ガスを安価に得ることができ、各種酸化物の熱処理のコストの低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の熱処理雰囲気ガス発生装置の一形態例を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本形態例に示す熱処理雰囲気ガス発生装置は、燃焼炉(熱処理雰囲気ガス発生炉)11と、該燃焼炉11に設置されたバーナ(燃焼手段)12と、該バーナ12に炭化水素供給経路13を介して原料となる炭化水素を供給する炭化水素供給源14と、前記バーナ12に空気供給経路15を介して原料となる空気を供給する空気供給源16と、前記燃焼炉11内にアルコール供給経路17を介して原料となるアルコールを供給するアルコール供給源18と、前記燃焼炉11内で発生した還元性熱処理雰囲気ガスを燃焼炉11から導出して熱処理炉19に導入する還元性熱処理雰囲気ガス経路20とを備えるとともに、前記アルコール供給経路17を流れるアルコールと前記還元性熱処理雰囲気ガス経路20を流れる高温の還元性熱処理雰囲気ガスとを熱交換させて前記アルコールを加熱することによりアルコールを気化させるアルコール気化用熱交換器21と、還元性熱処理雰囲気ガス経路20における前記アルコール気化用熱交換器21の前段に設けられて還元性熱処理雰囲気ガス経路20を流れる高温の還元性熱処理雰囲気ガスと空気供給経路15を流れる空気とを熱交換させることにより還元性熱処理雰囲気ガスを降温させる還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22とを備えている。
【0014】
さらに、各供給経路13,15,17には、各原料の供給量をそれぞれ調節するための流量調整器13V,15V,17Vがそれぞれ設けられ、空気供給経路15における還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22の入口側経路と出口側経路との間には、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22を流れる空気流量を調節するためのバイパス流量調整器23Vを備えた空気バイパス経路23が設けられている。また、燃焼炉11には、燃焼炉11内の温度を検出するための燃焼ガス温度検出器24が設けられ、アルコール気化用熱交換器21の出口側経路には、アルコール気化用熱交換器21で昇温して気化したアルコールの温度を検出するためのアルコール温度検出器25が設けられている。このアルコール温度検出器25が検出した温度は、前記空気バイパス経路23を流れる空気量を制御する温度制御器26に入力され、検出したアルコールの温度に基づいてバイパス流量調整器23Vを制御することにより、空気バイパス経路23を流れる空気量と還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22を流れる空気量とのバランスを調節し、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22で空気と熱交換を行う還元性熱処理雰囲気ガスの熱交換後の温度を最適な範囲になるように調整する。これにより、アルコール気化用熱交換器21を流れる還元性熱処理雰囲気ガスの温度が最適化され、アルコール気化用熱交換器21で昇温して気化するアルコールの温度を最適化することができる。また、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路20には、熱処理炉19に導入する還元性熱処理雰囲気ガスの温度を熱処理炉19内での熱処理に適した温度に冷却するためのガス冷却器27が設けられるとともに、還元性熱処理雰囲気ガスの露点を検出するための露点計28が設けられている。
【0015】
前記炭化水素供給源14から供給する炭化水素には、液化石油ガス(LPG)や天然ガスなどの安価に入手することができる炭化水素系ガス、具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタンなど、これらの混合ガスを含めて用いることができる。また、前記アルコール供給源18から供給するアルコールについても、安価に入手可能なメタノールやエタノールなどを用いることができ、中でも、1モル当たりの水素生成量が最も多いメタノールが最適である。
【0016】
燃焼ガスの原料となる炭化水素及び空気の各供給量は、バーナ12での燃焼時における発熱量が多くなるように、炭化水素と空気との混合比が完全燃焼領域に近い混合比となるように設定することが望ましい。炭化水素と空気とが燃焼して発生する燃焼ガスの温度、すなわち、アルコールを添加する際の燃焼ガスの温度は、燃焼ガス中に添加されるアルコールの熱分解反応が吸熱反応であるため、800℃以上であることが望ましい。一方、燃焼ガスの温度が1300℃を超えると、燃焼炉11のコストアップを招くことから、燃焼ガスの温度は、800〜1300℃の範囲であることが望ましく、燃焼ガスの温度が前記温度範囲になるように各原料の供給量を制御することにより、アルコールの異常分解による炭化水素や煤などの副生成物の発生を抑制することができる。
【0017】
また、前記アルコール供給源18からのアルコールの供給量は、アルコールの種類、燃焼ガスの温度、燃焼ガス中に添加する際のアルコールの温度などの条件に応じて設定することが可能であり、添加したアルコールの熱分解反応による吸熱作用で燃焼炉11内のガス温度が800℃未満に低下することがないように設定すればよい。すなわち、アルコール添加中の燃焼炉11内の温度を燃焼ガス温度検出器24で検出し、検出した燃焼ガス温度が800℃を下回ったときにアルコールの供給量を減少させることにより、吸熱作用を低下させて燃焼炉11内の温度が800℃未満に低下しないように制御すればよい。
【0018】
800℃以上の高温の燃焼ガス中に添加されたアルコールは、熱分解反応することで還元性を有する一酸化炭素及び水素を生成することにより、燃焼炉11内に還元性熱処理雰囲気ガスを発生させる。発生した高温の還元性熱処理雰囲気ガスは、燃焼炉11から還元性熱処理雰囲気ガス経路20に導出され、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22で原料の空気と熱交換を行って空気を加熱するとともに、還元性熱処理雰囲気ガス自身は温度低下する。さらに、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22である程度温度が低下した還元性熱処理雰囲気ガスは、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22に続いてアルコール気化用熱交換器21に導入され、アルコールと熱交換を行ってアルコールを加熱するとともに、還元性熱処理雰囲気ガス自身は更に温度低下する。
【0019】
この熱交換器21,22における熱交換において、前記還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22に導入する空気量を多くすると熱交換後の還元性熱処理雰囲気ガスの温度が低くなり、空気量を少なくすると熱交換後の還元性熱処理雰囲気ガスの温度が高くなることから、アルコール気化用熱交換器21で昇温、気化したアルコールの温度をアルコール温度検出器25で検出し、検出したアルコールの温度に基づいて温度制御器26でバイパス流量調整器23Vの開度を制御することにより、燃焼炉11に導入するアルコールの温度をあらかじめ設定された温度に調節することができる。
【0020】
燃焼炉11に導入するアルコールの温度は、原料として使用するアルコールの沸点以上とし、できるだけ高い温度にすることで燃焼炉11内の温度低下を抑制することができるが、熱交換後のアルコール温度を高くしすぎると、アルコール気化用熱交換器21から燃焼炉11に至る経路内でアルコールの一部が熱分解して煤などの固形物が発生することがあるので、通常は、400℃以下、すなわち、熱交換後のアルコール温度が、アルコールの沸点以上、400℃以下になるように、温度制御器26でバイパス流量調整器23Vを開閉制御することが好ましい。
【0021】
このように、還元性熱処理雰囲気ガスとの熱交換によってアルコールを加熱することにより、別に熱源を使用することなくアルコールを気化できるので、アルコールを液体の状態で燃焼炉11内に導入したときの蒸発潜熱による燃焼ガス温度低下がなくなり、さらに、400℃以下に昇温してから燃焼炉11内に導入することにより、高温の燃焼ガスと混合した際のガス温度の低下も抑制することができる。
【0022】
さらに、前記バーナ12として、炭化水素噴出部、空気噴出部及びアルコール噴出部を備えたバーナ、例えば、特開平6−117612号公報や特開2001−355808号公報に記載されたような構造のバーナを使用することにより、各流体の流量制御や温度制御を容易に行うことができるとともに、各流体の混合も効果的に行うことができる。
【0023】
また、燃焼炉11から導出した還元性熱処理雰囲気ガスは、600℃付近において緩慢に冷却を行うと、2CO=C+COの反応によって煤(C)が発生することがあるため、前記熱交換器21,22の後段に、シェルアンドチューブ型熱交換器のようなガス冷却器27を配置して還元性熱処理雰囲気ガスをあらかじめ設定された温度に急冷することにより、煤の発生を抑えることができる。
【実施例1】
【0024】
前記形態例に示した熱処理雰囲気ガス発生装置を用いて熱処理雰囲気ガスを発生させた。まず、空気供給源16から圧縮空気を供給し、流量調整器15Vで21Nm/hの流量に調節してバーナ12に導入した。次いで、炭化水素供給源14からプロパン98%、ブタン2%の組成を持つ炭化水素ガスを供給し、流量調整器13Vで0.9Nm/hの流量に調整してバーナ12に導入し、点火装置を用いて点火した。
【0025】
燃焼ガス温度検出器24で検出した燃焼ガス温度が935℃に到達した時点で、アルコール供給源18からのメタノールの供給を開始し、流量調整器17Vで2.06kg/hの流量に調整するとともに、温度制御器26でバイパス流量調整器23Vを開閉制御し、還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器22を調節してアルコール気化用熱交換器21に流入する燃焼ガスの温度を降温することにより、アルコール気化用熱交換器21でアルコール温度検出器25の検出温度が120℃〜400℃となるようにして燃焼炉11に導入した。メタノールの供給を開始してから30分経過した時点で、燃焼ガス温度は860℃で安定した。その後、流量調整器17Vでメタノールの流量を4.75kg/hに変更するとともに、バイパス流量調整器23Vを制御し、120℃〜400℃の温度で燃焼炉11に導入したところ、燃焼ガス温度は820℃で安定した状態になった。
【0026】
燃焼炉11から還元性熱処理雰囲気ガス経路20に導出されて熱交換器21,22を通ったガスをガス冷却器27で0〜5℃に冷却し、メタノール添加前の燃焼ガス温度が935℃に到達した時点(ケース1)、2.06kg/hのメタノールを添加して燃焼ガス温度が860℃で安定した状態のとき(ケース2)、4.75kg/hのメタノールを添加して燃焼ガス温度が820℃で安定した状態のとき(ケース3)のそれぞれにおける露点を露点計28で測定するとともに、サンプルを抜き出してガス分析計により、ガス中の水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンの各濃度を分析した。また、燃焼ガス温度が935℃に到達した時点で、アルコール気化用熱交換器21を使用せずに2.06kg/hのメタノールを液状のまま燃焼炉11に導入したところ、燃焼ガス温度が800℃未満に低下し、大量の煤が発生して運転継続が不可能になってしまった(ケース4)。
【0027】
前記各ケースで得られたガスをそれぞれ使用し、酸化ニッケル粉(関東化学製)1kgを幅150mm、奥行150mm、高さ60mmのアルミナ製ルツボに充填し、幅250mm、長さ2300mmの有効加熱帯を持つメッシュベルト式連続炉(熱処理炉19)にて1100℃で30分間の均熱処理を実施した。処理後の酸化ニッケル粉の表面の酸素含有量とルツボ底面の酸素含有量とをそれぞれ分析した。
【0028】
以上の各実験条件及び各分析結果などを表1に纏めて示す
【表1】

【0029】
表1に示すように、800℃以上の温度の燃焼ガス中にメタノールを添加することにより、ガス中の還元性成分である一酸化炭素及び水素の量を増加できることがわかる。また、そして、熱処理炉内雰囲気の還元力が増加した結果、酸化ニッケル粉の酸素含有量が低下し、ルツボ底部まで還元反応が十分に進行していることがわかる。したがって、本形態例に示すような構成の熱処理雰囲気ガス発生装置を用いて発生させた熱処理雰囲気ガスを各種熱処理に用いることにより、各種熱処理を効果的に行うことができる。特に、ニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物の熱処理や、ニッケル、コバルト、銅、鉄の酸化物が二種以上混合した混合酸化物を熱処理を低コストで効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
11…燃焼炉、12…バーナ、13…炭化水素供給経路、14…炭化水素供給源、15…空気供給経路、16…空気供給源、17…アルコール供給経路、18…アルコール供給源、19…熱処理炉、20…還元性熱処理雰囲気ガス経路、21…アルコール気化用熱交換器、22…還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器、23…空気バイパス経路、24…燃焼ガス温度検出器、25…アルコール温度検出器、26…温度制御器、27…ガス冷却器、28…露点計、13V,15V,17V…流量調整器、23V…バイパス流量調整器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素と空気とを混合して燃焼させることにより発生させた800〜1300℃の燃焼ガス中にアルコールを添加して熱分解させることにより、一酸化炭素及び水素を含む還元性熱処理雰囲気ガスを発生させる還元性熱処理雰囲気ガス発生方法。
【請求項2】
前記アルコールは、前記燃焼ガス中に添加する前に、発生した前記還元性熱処理雰囲気ガスとアルコールとを熱交換させることによりアルコールを加熱して気化させるアルコール気化用熱交換を行う請求項1記載の熱処理雰囲気ガス発生方法。
【請求項3】
前記アルコール気化用熱交換を行う前に、前記還元性熱処理雰囲気ガスと前記空気とを熱交換させることにより、熱交換後の還元性熱処理雰囲気ガスの温度を、前記アルコール気化用熱交換で、アルコールを400℃未満の温度範囲に加熱可能な温度に降温させる還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換を行う請求項2記載の熱処理雰囲気ガス発生方法。
【請求項4】
発生した前記還元性熱処理雰囲気ガスは、ニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物又は二種以上の酸化物が混合した混合酸化物の熱処理に使用する請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱処理雰囲気ガス発生方法。
【請求項5】
炭化水素を供給する炭化水素供給源と、空気を供給する空気供給源と、アルコールを供給するアルコール供給源と、前記炭化水素供給源から炭化水素供給経路を介して供給された炭化水素と前記空気供給源から空気供給経路を介して供給された空気とを混合して燃焼させることにより800〜1300℃の燃焼ガスを燃焼炉中に発生させる燃焼手段と、前記アルコール供給源からアルコール供給経路を介して供給されたアルコールを前記燃焼炉内に導入して前記燃焼ガス中に添加するアルコール添加手段と、燃焼ガス中に添加したアルコールが熱分解して発生した還元性熱処理雰囲気ガスを前記燃焼炉から導出する還元性熱処理雰囲気ガス経路とを備えている熱処理雰囲気ガス発生装置。
【請求項6】
前記アルコール供給経路を流れるアルコールと、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路を流れる還元性熱処理雰囲気ガスとを熱交換させることにより、前記アルコールを加熱して気化するアルコール気化用熱交換器を備えている請求項5記載の熱処理雰囲気ガス発生装置。
【請求項7】
前記還元性熱処理雰囲気ガス経路における前記アルコール気化用熱交換器の前段に、前記還元性熱処理雰囲気ガス経路を流れる還元性熱処理雰囲気ガスと前記空気供給経路を流れる空気とを熱交換させて還元性熱処理雰囲気ガスを降温させる還元性熱処理雰囲気ガス降温用熱交換器が設けられている請求項6記載の熱処理雰囲気ガス発生装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱処理雰囲気ガス発生方法で発生させた前記熱処理雰囲気ガスを熱処理炉に導入し、該熱処理炉内でニッケル、コバルト、銅、鉄のいずれか一種の酸化物又は二種以上の酸化物が混合した混合酸化物を熱処理する金属酸化物の熱処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−46359(P2012−46359A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186786(P2010−186786)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】