説明

熱可塑性エラストマー組成物および粘着剤

【課題】 機械物性および粘着特性と、加工性のバランスに優れたアクリル系ブロック共重合体およびその組成物を提供する
【解決手段】 メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜40重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜60重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)と、メタアクリル系重合体ブロック(a)30〜70重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)70〜30重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(B)、とを含む組成物であって、(B)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量より10重量%以上大きいことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)からなる2種類のアクリル系ブロック共重合体からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物、粘着剤、および該粘着剤を用いた粘着製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リビング重合によって合成される、メタアクリル系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体が提案されている(特許文献1)。このようなアクリル系ブロック共重合体は、リビング重合に由来する優れた構造の制御と狭い分子量分布をもちながら、アクリル系重合体が本来有する高い耐候性、耐光性を保持する特徴を有しており、これらの特徴を活かした熱可塑性エラストマーおよび粘着剤として様々な用途への展開が期待される(特許文献2、3)。
【0003】
例えば、粘着剤としてはアクリル系やゴム系などが一般的に用いられてきたが、近年、スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体などを主成分とする粘着剤が開発されてきている。このようなブロック共重合体を主成分とする粘着剤は、エマルジョン系や溶剤系の粘着剤に比べて、乾燥効率や安全性の点で優れており、特に注目を集めている。しかしながら、スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体は耐候性および耐光性の低いことが問題となることがあり、アクリル系ブロック共重合体からなる粘着剤への期待が高まっている。
【0004】
このようなアクリル系ブロック共重合体は、分子量、各重合体ブロックの単量体組成、各重合体ブロックの比などを適宜調整することにより、様々な機械物性および粘着特性を発揮させることができる。しかしながら、単一のアクリル系ブロック共重合体では、粘着特性と加工性をバランスさせることが困難となる場合があった。
【特許文献1】特許第3040172号
【特許文献2】特開2003−105300
【特許文献3】特開2001−348553
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体を2種類用いた、機械物性および粘着特性と、加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物、粘着剤、および該粘着剤を用いた粘着製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜40重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜60重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)と、
メタアクリル系重合体ブロック(a)30〜70重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)70〜30重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(B)、
とを含む組成物であって、(B)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量より10重量%以上大きいことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0008】
好ましい実施態様としては、(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体が、トリブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0009】
好ましい実施態様としては、(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8以下であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0010】
好ましい実施態様としては、(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体が、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、Ni、Cuから選ばれる少なくとも1種類を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により製造されたことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、上記記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む粘着剤に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、上記記載の熱可塑性エラストマー組成物を含むホットメルト粘着剤に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、上記記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む粘着シートに関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、上記記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む再剥離型粘着シートに関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、上記記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む表面保護材に関する。
【0016】
好ましい実施態様としては、多層共押出により製造されたものであることを特徴とする粘着シートに関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、多層共押出により製造されたものであることを特徴とする再剥離型粘着シートに関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、多層共押出により製造されたものであることを特徴とする表面保護材に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、機械特性および粘着特性と、加工性のバランスを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
【0021】
<アクリル系ブロック共重合体>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成するアクリル系ブロック共重合体は、メタアクリル酸エステルを主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル酸エステルを主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体である。アクリル系ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体、分岐状(星状)ブロック共重合体のいずれか、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体の物性に応じて適宜選択されるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
【0022】
線状ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性および組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。これらの中でも、加工時の取り扱い容易性や組成物の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
【0023】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成するアクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、アクリル系ブロック共重合体に必要とされる特性に応じて適宜設定することができるが、10,000〜300,000が好ましい。数平均分子量が10,000より小さいと凝集力に劣るため機械強度や粘着特性が低下する傾向があり、数平均分子量が300,000より大きいと加工性や流動性が低下する傾向がある。なお、前記数平均分子量は、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算によって測定された値を示す。
【0024】
アクリル系ブロック共重合体をGPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は特に限定されないが、1.8以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.4以下であることがもっとも好ましい。Mw/Mnが1.8を超えると機械物性および/または粘着特性が悪化することがある。Mw/Mnが小さいと、低分子量成分による耐熱性の低下、糊残りや揮発分(フォギング)または被着体汚染などの問題、高分子量成分による加工性低下や外観不良などの問題を低減することができる点で好ましい。
【0025】
アクリル系ブロック共重合体における、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合は、5〜70重量%である。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%より少ないと、凝集力に乏しく、機械強度が低下したり、糊残りが発生する傾向があるほか、形状が保持されにくくハンドリング性に劣る傾向がある。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が70重量%より多いと、エラストマーや粘着剤に要求される粘弾性に劣り、ゴム弾性や粘着力が低下する傾向がある。
【0026】
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックである。ここで、主成分とは、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体のうちの50重量%以上がメタアクリル酸および/またはメタアクリル酸エステルであることを意味する。
【0027】
メタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらの中でも、メタアクリル酸メチルが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とするが、これと共重合可能なメタアクリル酸エステル以外のビニル系単量体50〜0重量%を含んでいてもよい。前記共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0029】
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
【0030】
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0031】
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
【0032】
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0033】
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
【0034】
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
【0035】
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
【0036】
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックである。主成分とは、アクリル系重合体ブロック(b)を構成する単量体のうちの50重量%以上がアクリル酸エステルであることを意味する。
【0037】
アクリル酸エステルとしては、前記メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられるアクリル酸エステルと同様のものを用いることができる。これらの中でも、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルを主成分とするが、これと共重合可能なアクリル酸エステル以外のビニル系単量体50〜0重量%を含んでいてもよい。共重合可能な異種のビニル系単量体としては、上述の、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0039】
なお本発明においては、アクリル酸エステル50重量%、メタアクリル酸エステル50重量%からなるブロックは、アクリル系重合体ブロック(b)に分類される。
【0040】
<官能基>
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体には、官能基を導入することができる。導入できる官能基としては特に限定されないが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基が挙げられる。導入の容易さなどから、カルボキシル基、酸無水物基、もしくはその両方を含むことが好ましい。本発明は2種類以上のアクリル系ブロック共重合体を用いることを特徴とするが、いずれか1種類のアクリル系ブロック共重合体に官能基が導入されていてもよいし、全ての種類のアクリル系ブロック共重合体に官能基が導入されていてもよい。
【0041】
これらの官能基は、特にアクリル系重合体ブロック(b)中に含まれることが好ましい。これは、アクリル系重合体ブロック(b)の凝集力を高めることにより、高温での粘着力を維持することができることによる。
【0042】
また、アクリル系重合体ブロック(b)の極性を高めることにより、極性基材に対する粘着力を高めることができる。ここで言う極性基材とは、特に限定されないが、例えば、各種の金属板、塗装板、ガラス板、ポリエステルやポリカーボネート、アクリル、ナイロンなどの極性樹脂板などが挙げられる。
【0043】
これらの官能基の含有量は、該官能基が含まれる重合体ブロック中の0.1〜30重量%が好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、粘着力の向上効果が乏しく、30重量%以上であると、重合体ブロックのガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎ、粘着特性が低下する傾向がある。
【0044】
該官能基の導入方法は、該官能基を有する単量体を直接共重合させてもよいし、該官能基の前駆体となる官能基を有する単量体を共重合した後に既知の化学反応を用いてアクリル系ブロック共重合体中に生成させてもよい。
【0045】
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸化合物およびそのモノエステル化合物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタアクリルを意味するものとする。
【0046】
また、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジルなどが挙げられる。これらの単量体を重合させた後、加水分解や酸分解、熱分解などによりカルボキシル基を生成させることができる。
【0047】
酸無水物基を有する単量体としては、たとえば、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0048】
また、酸無水物基の前駆体となる官能基を有する単量体としては、たとえば、上記カルボキシル基を有する単量体や、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体などが挙げられる。これらの単量体を重合させた後、脱水反応や脱アルコール反応などにより酸無水物基を生成させることができる。
【0049】
<アクリル系ブロック共重合体の配合>
本発明は、メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜40重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜60重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)と、メタアクリル系重合体ブロック(a)30〜70重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)70〜30重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(B)、とを含む組成物であって、(B)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量より10重量%以上大きいことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
【0050】
本発明では、メタアクリル系重合体ブロック(a)の含量の差が10重量%以上である2種類、または必要に応じて2種以上のアクリル系ブロック共重合体を配合することにより、熱可塑性エラストマー組成物としての所望の機械物性と加工性のバランス、粘着剤としての所望の粘着特性と加工性のバランスを向上させることができる。配合するアクリル系ブロック共重合体の種類は、2種類以上であれば特に限定されないが、多品種化による製造コストの高騰や、配合の煩雑さを避けるためには3種類以下が好ましく、2種類であることが特に好ましい。
【0051】
ここで言う機械物性とは、硬度、破断強度、伸び、弾性率、圧縮永久歪み、引張永久歪みなどの熱可塑性エラストマーとして一般に要求される物性を意味しており、所望する物性は用途に応じて異なっていてもよい。
【0052】
ここで言う粘着特性とは、粘着力(剥離力)、タック、保持力などの粘着剤として一般に要求される物性を意味しており、所望する物性は用途に応じて異なっていてもよい。
【0053】
また加工性とは、流動性、溶融粘度、溶液粘度、延展性、成膜性、糸曳き性など、加工時に要求される特性を意味しており、所望する特性は用途に応じて異なっていてもよい。
【0054】
例えば、熱可塑性エラストマー組成物を軟質化、高伸び化したい場合には、可塑剤を配合することが一般的である。しかしながら、可塑剤を配合することにより強度や弾性率が低下することや、ブリードなどの問題が生じることがあった。
【0055】
また、粘着組成物の粘着力やタックを高めたい場合には、粘着付与剤(タッキファイヤ)を配合することが一般的である。しかしながら、粘着付与剤を配合することにより保持力が低下することや、低分子量成分による糊残りなどの問題が生じることがあった。逆に、保持力を高めたい場合には架橋を導入することが一般的であるが、その場合にはタックが低下するなど、所望の粘着特性バランスを達成することは困難であった。
【0056】
また、流動性(加工性)を高めたい場合には、可塑剤や軟化剤などを配合することが一般的であるが、それらを配合することにより糊残りやブリードなどの問題が生じることがあった。
【0057】
本発明で用いる2種類のアクリル系ブロック共重合体は、メタアクリル系重合体ブロックの含量の差が10重量%以上であることを特徴とする。メタアクリル系重合体ブロック(a)の含量の差が10重量%以上であるアクリル系ブロック共重合体は、その機械特性、粘着特性、加工性が大きく異なっていることは明らかである。メタアクリル系重合体ブロック(a)の含量の差が10重量%より小さい場合には、両者の物性差が小さいため、配合することにより得られるメリットが小さく好ましくない。アクリル系ブロック共重合体中のメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の重量比率は、例えば1H NMRスペクトルにおける両者のピーク面積の比から算出することができる。
【0058】
本発明の組成物は、その配合比率によって、機械物性および粘着特性を調整できるが、それに加えて、加工性のよい(メタアクリル系重合体ブロック(a)の含量が少ない)アクリル系ブロック共重合体の影響により、優れた加工性を発揮することができる。これは、同程度の機械物性、粘着特性を有する単一のアクリル系ブロック共重合体と比べても顕著であり、加工性を向上させる手段として有効である。このことから本発明は、加工性を高めるために一般に用いられる可塑剤や軟化剤を必要としないため、物性バランスが崩れてしまうことがなく好ましい。
【0059】
<アクリル系ブロック共重合体の製法>
アクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、特に限定されないが、制御重合法を用いることが好ましい。制御重合法としては、リビングアニオン重合法(特開平11−335432)、有機希土類遷移金属錯体を重合開始剤として用いる重合法(特開平6−93060)、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法(特開平2−45511)、リビングラジカル重合法などが挙げられる。
【0060】
リビングラジカル重合法としては、たとえば、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィルン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(WO2004/014926)、有機テルル化合物などの高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号)などが挙げられる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さの点などから原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0061】
原子移動ラジカル重合法を用いてアクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、たとえば、WO2004/013192に挙げられた方法などを用いることができる。
【0062】
特に、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、Ni、Cuから選ばれる少なくとも1種類を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0063】
<熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて充填材、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、柔軟性付与剤、難燃剤、顔料、光安定剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などの各種添加剤を、本発明の目的に反しない範囲で使用してもよい。
【0064】
充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸など)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバーなどのような繊維状充填材などがあげられる。これら充填材のうちでは機械特性の改善や補強効果、コスト面等から無機充填材が好ましく、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、タルクがより好ましい。
【0065】
ここで、シリカとしては、その表面がオルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカを用いてもよい。また、炭酸カルシウムとしては、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステルなどの有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤などの各種カップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理を施したものを用いてもよい。
【0066】
酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系酸化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)などのイミダゾール系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピネート]などのフェノール系酸化防止剤、ニッケルジエチル−ジチオカーバメイトなどのリン酸塩系酸化防止剤、トリフェニルホスファイトなどの2次酸化防止剤、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがあげられる。
【0067】
工業製品としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブAO−20、AO−50、2112、PEP−36(株式会社ADEKA製)、スミライザーGM、GS、TP−D(住友化学工業株式会社製)などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでもアクリル系ブロック重合体の熱による劣化防止効果やコスト面で、Irganox1010、スミライザーGSが好ましい。
【0068】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチル等のセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチル等のフマル酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル等のトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸誘導体;クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸誘導体;イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;スルホン酸誘導体;リン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート誘導体等が挙げられる。本発明において可塑剤はこれらに限定されることがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。これらの化合物は、アクリル系ブロック共重合体の粘度を低くすることが期待できる。市販されている可塑剤としては、チオコールTP(モートン社製)、アデカサイザーO−130P、C−79、UL−100、P−200、RS−735(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。これら以外の高分子量の可塑剤としては、アクリル系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリテトラヒドロフラン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などがあげられる。特に限定されないが、このなかでも低揮発性で加熱による減量の少ない可塑剤であるアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体、グルタル酸誘導体、トリメリト酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、ポリエステル系可塑剤、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、などが好ましい。
【0069】
滑剤としては、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックスなどのワックス類、低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレンなどの低分子量ポリオレフィン、ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドなどのアミド系滑剤、4フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカなどを用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドがコスト面や成形性の点で優れており好ましい。
【0070】
柔軟性付与剤としては、特に限定はなく、プロセスオイル等の軟化剤;動物油、植物油等の油分;灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油留分などが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイルが挙げられ、より具体的には、パラフィンオイル;ナフテン系プロセスオイル;芳香族系プロセスオイル等の石油系プロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油等が例示でき、これらの柔軟性付与剤は少なくとも1種用いることができる。
【0071】
難燃剤としては、次の化合物が挙げられるが、特に限定はなく、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどが例示でき、これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
顔料としては、次の化合物が挙げられるが、特に限定はなく、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などが例示でき、これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
光安定剤としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0074】
工業製品としては、サノールLS770、LS765(三共ライフテック株式会社)、Chimassorb944(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、TINUVIN144、622、571、234、1130(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−57、LA−68、LA−62、LA−63、LA−32、LA−36、LA−31(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
【0075】
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法には特に制限はなく、バッチ式混錬装置や連続混錬装置を用いることにより製造することができる。例えばバッチ式混練装置としては、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーが使用でき、連続混練装置としては単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などを用いても良い。さらに、機械的に混合しペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。
【0076】
<熱可塑性エラストマー組成物の成形方法>
熱可塑性エラストマーの製造方法の項で得られた組成物は、一般的に用いられる種々の方法で成形できる。例えば、パウダースラッシュ成形、射出成形、射出ブロー成形、ブロー成形、押出ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形などが適用可能である。
【0077】
<粘着剤>
本発明の粘着剤は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を含む粘着剤であり、ホットメルト粘着剤にもなりうる。
【0078】
本発明の粘着剤には、上記熱可塑性エラストマー組成物の項で挙げた各種の添加剤の他、粘着付与剤、軟化剤(オイル)等の各種材料を本発明の目的に反しない範囲で使用してもよい。
【0079】
粘着付与剤としては、例えば、C5 系(水添)石油樹脂、C9 系(水添)石油樹脂、(水添)ロジン樹脂、(水添)ロジンエステル樹脂、(水添)テルペン樹脂、(水添)テルペンフェノール樹脂、(水添)クマロンインデン樹脂、不均化ロジン樹脂、不均化ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
【0080】
軟化剤(オイル)としては、ジブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルセバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル類等の脂肪酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
【0081】
本発明の粘着剤を用いた粘着シートとは、粘着シートの他、粘着テープ、粘着フィルムなど、基材の片面に粘着剤層が形成されたものを意味する。基材は特に限定されないが、従来既知のもの、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂あるいはそれらをブレンドしてなるポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂や紙、木材、布、不織布などが挙げられる。
【0082】
なお、上記基材は、必要に応じてコロナ処理、下塗処理を施してもよく、また背面処理等を施してもよい。また、基材には、必要に応じて、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤を添加することもできる。
【0083】
本発明の粘着剤を用いた粘着シート類の製造方法は特に限定されず、溶液塗工法、ホットメルト塗工法、多層共押出法で製造することができる。溶液塗工法は使用する有機溶剤の環境負荷が大きく、また乾燥工程が必要なことから、ホットメルト塗工または多層共押出法による製造が好ましい。また、基材が熱可塑性を有する場合には、生産性が高いことや基材との密着性が高いことから、多層共押出法による製造が好ましい。多層共押出法には、例えば、Tダイ成形法または空冷式インフレーション法、水冷式インフレーション法などがある。多層共押出法を用いる場合には、2種類のアクリル系ブロック共重合体をあらかじめ配合した粘着剤を使用してもよく、2種類のアクリル系ブロック共重合体を別々に供給し、その供給速度によって配合比率を調整してもよい。
【0084】
<粘着剤の用途>
本発明の粘着剤は、再剥離型粘着シート、表面保護材、マスキング材に使用できる。
【0085】
本発明にかかる粘着剤は、表面保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、家庭用、ラベル用、接合用、シーリング用、防食・防水用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム、電磁波シールド用、医療・衛生用、装飾・表示用、ガラス飛散防止用のテープやフィルム等に用いられる粘着材として使用可能である。
【0086】
表面保護用としては、金属用、塗料面用、プラスチック用、ゴム用、木材用、金属の塑性加工や深絞り加工用、自動車部材用、光学部材用等が挙げられる。自動車部材としては、塗装外板、ホイール、ミラー、ウィンドウ、ライト、ライトカバーなどが挙げられる。光学部材としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示装置、偏光子、偏光子保護フィルム、偏光板、位相差板、導光板、拡散板、偏光板、DVD等の光ディスク構成フィルム、電子・光学用途向け精密ファインコート面板などが挙げられる。
【0087】
マスキング用としては、プリント基板・フレキシブルプリント基板用、メッキ、ハンダ、車両・建築物の塗装、捺染、自動車、土木・工事用、見切り用などが挙げられる。
【0088】
結束用としては、ワイヤーハーネス用、電線用、ケーブル用、ファイバー用、パイプ用、コイル用、巻線用、鋼材用、ダクト用、ポリ袋用、食品用、野菜用、花卉用などが挙げられる。
【0089】
包装用としては、重量物梱包、輸出梱包、段ボール箱の封緘、缶シールなどが挙げられる。
【0090】
事務用としては、事務汎用、家庭用、封緘、書籍の補修、製図用、メモ用などが挙げられる。
【0091】
ラベル用としては、価格、商品表示、荷札、POP、ステッカー、ストライプ、ネームプレート、装飾、広告用などが挙げられる。
【0092】
接合用としては、各種接着分野、自動車、電車、電気機器、印刷版固定、建築、銘板固定、一般家庭用、粗面、凹凸面、曲面への接着用などが挙げられる。
【0093】
シーリング用としては、断熱、防振、防水、防湿、防音、防塵用などが挙げられる。
【0094】
防食・防水用としては、ガス、水道管の防食、大口径管の防食、異形部の防食、土木・建築物の防食用などが挙げられる。
【0095】
電気絶縁用としては、コイルの保護被覆、モータ・トランスなどの層間絶縁、コイルの絶縁、結束用などが挙げられる。
【0096】
電子機器保持固定用としては、キャリアテープ、パッケージング、ブラウン管の固定、スプライシング、FD、リブ補強用などが挙げられる。
【0097】
半導体製造用としては、シリコーンウエハーの保護用等が挙げられる。
【0098】
電子機器マスキング用としては、メッキマスキング、ハンダマスキング用等が挙げられる。
【0099】
医療・衛生用としては、絆創膏、救急絆創膏、サージカルドレッシング、手術用縫合テープ、サリチル酸絆創膏、パップ剤、消炎鎮痛プラスター、経皮吸収薬、固定テーピング、自着性包帯、脱毛、防塵、害虫捕獲用などが挙げられる。
【0100】
装飾・表示用としては、危険表示シール用や、ラインテープ、配線マーキング、蓄光テープ、反射シート用等が挙げられる。
【実施例】
【0101】
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例におけるBA、MMAはそれぞれ、アクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸メチルを表わす。
【0102】
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
【0103】
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムDB−17、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度50℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、アセトニトリルを内部標準物質とした。
【0104】
(製造例1)アクリル系ブロック共重合体1の製造
窒素置換した500L反応器に、アクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、BA81kgを仕込み、続いて臭化第一銅474gを仕込んで攪拌を開始した。その後、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル476gをアセトニトリル7kgおよびトルエン7kgに溶解させた溶液を仕込み、ジャケットを加温して内温75℃で30分間保持した。その後、ペンタメチルジエチレントリアミン57gを加えて、アクリル系重合体ブロックの重合を開始した。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100gを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。
【0105】
BAの転化率が95%に到達したところで、トルエン55kg、塩化第一銅327g、ペンタメチルジエチレントリアミン57g、およびメタアクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、MMA20kgを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。MMAの転化率が90%に到達したところで、トルエン115kgを加えて反応溶液を希釈すると共に反応器を冷却して重合を停止させた。
【0106】
得られたアクリル系ブロック共重合体の溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物を1.3kg加え、反応器内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を5kg添加した。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過し、固体分を分離した。
【0107】
得られた酸性の溶液に、固体塩基として協和化学製キョーワード500SHを1.5kg加え、30℃で1時間撹拌した。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過して固体分を分離した。得られた高分子溶液を真空乾燥させて溶剤および未反応単量体を除き、目的とするアクリル系ブロック共重合体1を得た。
【0108】
得られたアクリル系ブロック共重合体1のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が109,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.34であった。メタアクリル系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックの重量比は、20/80であった。
【0109】
(製造例2)アクリル系ブロック共重合体2の製造
アクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、BA89kgを用い、メタアクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、MMA46kgを用い、その他、臭化第一銅658g、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル661g、アセトニトリル8kg、ペンタメチルジエチレントリアミン80g、トルエン107kg、塩化第一銅454gを用いた以外は製造例1と同様の操作により重合をおこなった。
【0110】
得られたアクリル系ブロック共重合体の溶液に対し、p−トルエンスルホン酸一水和物を1.6kg、ラヂオライト#3000を6.5kg、キョーワード500SHを1.9kg用いた以外は製造例1と同様の操作により精製し、目的とするアクリル系ブロック共重合体2を得た。得られたアクリル系ブロック共重合体2のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が113,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.32であった。メタアクリル系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックの重量比は、35/65であった。
【0111】
(製造例3)アクリル系ブロック共重合体3の製造
500L反応器を用い、アクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、BA83.0kgを用い、メタアクリル系重合体ブロックを構成する単量体として、MMA35.6kgを用いた以外は製造例1と同様の操作により重合をおこなった。
【0112】
得られたアクリル系ブロック共重合体溶液に対し、p−トルエンスルホン酸一水和物を1.6kg、ラヂオライト#3000を2.3kg、キョーワード500SHを1.7kg用いた以外は製造例1と同様の操作により精製し、目的とするアクリル系ブロック共重合体3を得た。得られたアクリル系ブロック共重合体3のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が109,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.31であった。メタアクリル系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックの重量比は、30/70であった。
【0113】
(実施例1)
アクリル系ブロック共重合体1およびアクリル系ブロック共重合体2を、重量比67/33となるよう計量し、ラボプラストミル(東洋精機製作所:50C150)で170℃、100rpmで5分間混練して配合物を得た。この配合物の機械特性評価、硬度測定、流動性評価、圧縮永久歪測定を後述の方法で実施した。
【0114】
さらに、アクリル系ブロック共重合体1およびアクリル系ブロック共重合体2を、重量比67/33となるよう計量し、固形分濃度30重量%となるようにトルエンに溶解させた。このトルエン溶液を用いて、厚み50μmのPETフィルム上に粘着層厚み30μmとなるよう、コーターを用いてコーティングし、粘着テープを作成した。この粘着テープを用いて、粘着力試験、ボールタック試験、保持力試験を、後述の方法で実施した。結果を表1に示した。
【0115】
(実施例2)
アクリル系ブロック共重合体1およびアクリル系ブロック共重合体2の重量比33/67とした以外は実施例1と同様にして各試験を実施した。
【0116】
(比較例1)
アクリル系ブロック共重合体1のみを用いた以外は実施例1と同様にして各試験を実施した。
【0117】
(比較例2)
アクリル系ブロック共重合体2のみを用いた以外は実施例1と同様にして各試験を実施した。
【0118】
(比較例3)
アクリル系ブロック共重合体3のみを用いた以外は実施例1と同様にして各試験を実施した。
【0119】
(機械特性評価)
JIS K7113に記載の方法に準用して、(株)島津製作所製のオートグラフAG−10TB形を用いて測定した。測定はn=3にて行い、試験片が破断したときの強度(MPa)、伸び(%)、並びに、弾性率(MPa)の値の平均値を採用した。試験片は2(1/3)号形の形状、厚さが約2mm厚のものを用いた。試験は23℃にて500mm/分の試験速度で行なった。試験片は原則として、試験前に温度23±2℃、相対湿度50±5%において48時間以上状態調節したものを用いた。
【0120】
(硬度測定)
JIS K6253に従い、23℃における硬度(直後、JIS A)をタイプAデュロメータにより測定した。
【0121】
(流動性評価)
高化式フローテスター(島津製作所:CFT−500C)を用い、180℃、10kgf荷重で測定した。
【0122】
(圧縮永久歪測定)
JIS K6301に従い、円柱型成形体を圧縮率25%の条件で、70℃、22時間保持し、室温で30分放置した後、成形体の厚さを測定し、歪みの残留度を計算した。すなわち、圧縮永久歪0%で歪みが全部回復し、100%で全く回復しないことに相当する。
【0123】
(粘着力試験)
JIS Z−0237に基づき、ステンレス板に粘着テープを幅25mm×長さ125mmとして貼り付けた試験片を、雰囲気温度23℃、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で接着力を測定した。
【0124】
(ボールタック試験)
JIS Z−0237に基づき、傾斜角30度でのボールタックを測定した。
【0125】
(保持力試験)
JIS Z−0237に基づき、ステンレス板に粘着テープを幅25mm×長さ25mmとして貼り付けた試験片を、雰囲気温度80℃、荷重1kgfで保持力を測定した。>5hとは、5時間経過後にも落下およびズレが生じなかったことを示す。
【0126】
【表1】

【0127】
実施例1、2はそれぞれ製造例1、2のアクリル系ブロック共重合体を配合した熱可塑性エラストマー組成物であり、両者のメタアクリル系重合体ブロックの含量の差は15重量%である。表1に示したように、実施例1、2では、配合比によって機械物性および粘着特性を調整できることがわかる。更に、実施例2は、ほぼ同量のメタアクリル系重合体ブロックを有する単一のアクリル系ブロック共重合体3のみからなる比較例3とほぼ同等の機械物性および粘着特性を示しながら、流動性が高く加工性に優れていることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜40重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜60重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(A)と、
メタアクリル系重合体ブロック(a)30〜70重量%、およびアクリル系重合体ブロック(b)70〜30重量%からなり、かつ数平均分子量(Mn)が10,000〜300,000であるアクリル系ブロック共重合体(B)、
とを含む組成物であって、(B)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)の含有量より10重量%以上大きいことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体が、トリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
(A)及び(B)のアクリル系ブロック共重合体が、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、Ni、Cuから選ばれる少なくとも1種類を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により製造されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む粘着剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含むホットメルト粘着剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む粘着シート。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む再剥離型粘着シート。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む表面保護材。
【請求項10】
多層共押出により製造されたものであることを特徴とする請求項7に記載の粘着シート。
【請求項11】
多層共押出により製造されたものであることを特徴とする請求項8に記載の再剥離型粘着シート。
【請求項12】
多層共押出により製造されたものであることを特徴とする請求項9に記載の表面保護材。

【公開番号】特開2010−65195(P2010−65195A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235120(P2008−235120)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】