説明

熱可塑性フィルム、かかるフィルムの製造方法、およびバッテリーセパレーターフィルムとしてのかかるフィルムの使用

本発明の実施形態は、広くは、熱可塑性フィルム、熱可塑性フィルムの製造方法、およびバッテリーセパレーターフィルムとしての熱可塑性フィルムの使用に関する。より詳細には、本発明は、微多孔性ポリマー膜と不織ポリマーウェブとを含む熱可塑性フィルムに関する。不織ポリマーウェブは、微多孔性ポリマー膜上のメルトブローポリマー層であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2009年4月23日出願の米国特許出願第61/172,071号、2009年6月19日出願の米国特許出願第61/218728号、2009年4月23日出願の米国特許出願第61/172075号および2009年6月12日出願の欧州出願第EP09162565.7号の優先権および利益を主張し、それぞれの内容は参照によりその全体が組み入れられたものとする。
【0002】
本発明の実施形態は、広くは、熱可塑性フィルム、熱可塑性フィルムの製造方法、およびバッテリーセパレーターフィルムとしての熱可塑性フィルムの使用に関する。より詳細には、本発明は、微多孔性ポリマー膜と不織ポリマーウェブとを含む熱可塑性フィルムに関する。不織ポリマーウェブは、微多孔性ポリマー膜上のメルトブローポリマー層であってもよい。
【背景技術】
【0003】
微多孔膜は、リチウム一次電池および二次電池、リチウムポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、ならびに銀亜鉛二次電池における、バッテリーセパレーターとして使用されてきた。かかる微多孔膜の性能は、電池の特性、生産性、および安全性に大きく影響する。
【0004】
ほとんどの場合、バッテリーセパレーターフィルムは、電池安全性の向上のためには、特に、過充電または急激な放電の結果生じる場合がある比較的高い電池温度において、比較的低いシャットダウン温度(「SDT」)および比較的高いメルトダウン温度(「MDT」)を有することが望ましい。バッテリーセパレーターフィルムは、通常は、電池の電解質に対して比較的高い透気度を備えた状態で製造される。バッテリーセパレーターフィルムは、電池がパワーや容量を過度に失うことのないように、電池の製造中、試験中、および使用中に起こり得る、電池が比較的高い温度(ただしシャットダウン温度(SDT)よりは低い温度)にさらされる間に、その電解質透過度を保持することが望ましい。
【0005】
米国特許第6,692,868号(特許文献1)には、フィルムのSDTを下げるために微多孔フィルム上に積層されたメルトブロー層が開示されている。この文献には、1平方メートル当たり6〜160グラムの目付重量を有するメルトブローポリオレフィン層が開示されている。メルトブロー繊維の製造は、米国特許第3,849,241号(特許文献2)、米国特許第4,526,733号(特許文献3)、および米国特許第5,160,746号(特許文献4)に概括的に記載されている。メルトブローポリエチレン繊維のウェブは、米国特許第6,537,696号(特許文献5)および米国特許第6,730,439号(特許文献6)に開示されているように、NiMH電池におけるセパレーター用に使用されてきた。しかしながら、開示されている一体構造型メルトブローファブリックは、引張強さおよび突刺強度が低く、かつ細孔径が大きいため、これらのセパレーターはLiイオン電池には有用ではない。
【特許文献1】米国特許第6,692,868号
【特許文献2】米国特許第3,849,241号
【特許文献3】米国特許第4,526,733号
【特許文献4】米国特許第5,160,746号
【特許文献5】米国特許第6,537,696号
【特許文献6】米国特許第6,730,439号
【0006】
強度の低さをカバーするため、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布との積層物を作製して機械的特性を高めてきたが、セパレーターの厚さが増すためこれは望ましくない場合もある。
【0007】
改善はされてきているが、低いSDTを有し、かつ電池の製造および使用中に高い透気度を保持することが可能な、バッテリーセパレーターフィルムとして有用な比較的薄い熱可塑性フィルムに対するニーズが依然として存在している。
【発明の概要】
【0008】
ある実施形態においては、本発明は、
微多孔性ポリマー膜と
ポリマー微多孔膜に接合した不織ウェブと
を含む熱可塑性フィルムであって、
ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10.0℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含む、熱可塑性フィルムに関する。
【0009】
別の実施形態においては、本発明は、不織ウェブと微多孔性ポリマー膜とを合わせることを含む熱可塑性フィルムの製造方法であって、ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10.0℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含む、製造方法に関する。
【0010】
さらに別の実施形態においては、本発明は、負極と、正極と、電解質と、負極と正極の間に位置するセパレーターとを含む電池であって、セパレーターが、
微多孔性ポリマー膜と
ポリマー微多孔膜に接合した不織ウェブと
を含み、ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含む、電池に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】代表的なポリエチレン試料のDSCデータ(第二融解)をプロットしたものである。試料に供給される熱(「熱流量」;Y軸、単位:ワット/グラム)を試料の温度(「温度」;X軸、単位:℃)に対してプロットしている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに、バッテリーセパレーターフィルム(「BSF」)のSDTは、その少なくとも1つの表面上に配置された、130.0℃以下の融解ピーク(「Tm」)および10.0℃以下の融解分布(「Te−Tm」)を有するポリマーを含む不織ポリマーウェブ(層またはコーティング等)によって、BSFの透気度が有意に影響されることなく向上し得ることがわかっている。ウェブは、透気度およびメルトダウン温度等の他のフィルム特性に有意に影響することなく、BSFのSDTを低下させる(非常に望ましい)。
【0013】
微多孔性ポリマー膜と、比較的低いTm、比較的低いMw、および狭いMWDを有するポリマー由来の不織ウェブとを合わせると、電池性能を低下させることなくより低いSDTを有するBSFが得られると考えられる。所望により、ウェブを、1種または複数の異なるタイプの不織ウェブ(スパンボンドウェブ等)に積層して、例えばセパレーターの強度を高めるか、またはセパレーターの圧縮性を変えることができる。
【0014】
BSFがウェブと微多孔膜とを含む場合、ウェブ中のポリマーは、電極間のイオンの流れを抑えるために、高温において膜の細孔の全てまたは一部を少なくとも部分的に遮断することによってBSFの透気度を変化させることが可能である。
【0015】
1つまたは複数の実施形態においては、不織ポリマーウェブは、メルトブロー工程を用いて最終微多孔膜に直接施してもよい。膜は、膜とメルトブロー層とを含む複合構造を有するBSFを形成するメルトブローポリマー流の手前の形成ベルト上に連続的に供給してもよい。メルトブローポリマーは、膜の片側または両側に施してもよい。このメルトブロー工程によって、繊維径およびウェブの目付重量(1平方メートル当たりのグラム数(g/m))の調節が容易になる。
【0016】
ある実施形態においては、不織ウェブは、例えば1.0g/m〜50.0g/mの範囲といった、1.0g/m以上の目付重量、例えば0.10μm〜20.0μmの範囲といった、75.0μm以下の厚さ、および0.30μm〜50.0μmの平均細孔径(すなわち相当直径)を有するメルトブロー繊維のマットを含む。ある実施形態においては、繊維は、例えば0.10μm〜13.0μmの範囲の直径を有するが、大半(個数基準で50.0%超)の繊維は0.5μm未満の直径を有し、かつ例えば12.0mm以上の実質的に連続した長さを有する。別の実施形態においては、大半の繊維(例えば個数基準で85%以上の繊維)は、0.5μm以上の直径を有し、かつ例えば12.0mm以上の実質的に連続した長さを有する。所望により、ウェブの目付重量は2.0g/m〜50.0g/mの範囲であり、ウェブの厚さは1.0μm〜10.0μmの範囲である。所望により、ウェブの平均細孔径は、1.0μm〜25.0μmの範囲であり、ウェブの繊維は、0.10μm〜5.0μmの範囲の直径を有し、繊維の85%以上(個数基準)は、0.5μm以下の直径を有する。繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析を用いて次のようにして測定する。
【0017】
不織ウェブ(例えば、ウェブ単独または熱可塑性フィルムと合わせたウェブ)を含む試料を約3mm×3mmの大きさに切り、接着テープでSEMの観察ステージに載置する。圧力10Pa以下の真空室内にて、試料の上に白金を蒸着させる(20mAの電流を40秒間)。
【0018】
白金蒸着に続いて、SEMのステージを電界放出型走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製のSEM JSM-6701F)に載置する。2KVの加速電圧および7MAの照射電流を用いて、0.25K〜30Kの範囲の倍率にて画像を得る。繊維およびウェブの性質を、C. J. Ellison, et al., Polymer 48 (2007) 3306-3316に記載の方法を用いて、画像から直接評価する。
【0019】
ある実施形態においては、不織ポリマーウェブは、130.0℃以下のTmおよび10.0℃以下のTe−Tmを有するポリマーをメルトブローすることにより作製される。所望によりポリマーは、100,000以下の重量平均分子量(「Mw」)および6.0以下の分子量分布(「MWD」、重量平均分子量を数平均分子量で割ったものと定義される)を有する。所望によりポリマーは、85.0℃〜130.0℃の範囲のTmを有し、かつ1.0℃〜5.0℃の範囲のTe−Tmを有する。ウェブは、熱可塑性フィルムを製造するために微多孔膜に接合させる。例えば、ウェブを(例えば層またはコーティングとして)微多孔膜上にメルトブローしてもよい。あるいは、まず初めにウェブをメルトブローして微多孔膜から離し、次いで、例えば積層(熱接合または音波接合等)または接着剤によって微多孔膜に接合させてもよい。
不織ウェブの製造に用いるポリマー
【0020】
ある実施形態においては、不織ウェブは、例えばポリオレフィンの混合物(物理的ブレンド等)や反応器ブレンド等のポリオレフィンから製造される。所望により、不織ウェブはポリエチレンから製造され、ポリエチレンは、エチレン繰り返し単位を含有するポリオレフィン(ホモポリマーまたはコポリマー)を含む。所望によりポリエチレンは、ポリエチレンホモポリマー、および/または繰り返し単位の少なくとも85%(個数基準)がエチレン単位であるポリエチレンコポリマーを含む。ある実施形態においては、不織ウェブの製造に用いるポリオレフィンは、メルトブロー用途用に製造された市販のポリオレフィン中には通常は存在する重合後Mw低下種(post-polymerization Mw-reduction species)(過酸化物等)を実質的に含まない。この文脈における実質的に含まないとは、不織ウェブの製造に用いるポリオレフィンの重量を基準として、例えば50.0ppm以下、例えば10.0ppm以下といった、100.0ppm以下を意味する。不織ウェブが電池中に存在する場合、そのような重合後Mw低下種の存在が電気化学的活性に望ましくない影響を与えることがわかっている。
【0021】
ある実施形態においては、不織ウェブは、130.0℃以下のTmおよび10℃以下のTe−Tmを有するポリエチレンから製造される。Tmが130.0℃よりも大幅に高いと、微多孔膜と合わせた時に130.5℃以下のシャットダウン温度を有する熱可塑性フィルムを製造する不織ウェブを製造することがより困難である。
【0022】
所望によりポリエチレンは、例えば95.0℃〜130.0℃、例えば100.0℃〜126.0℃、115.0℃〜125.0℃、または121.0℃〜124.0℃の範囲といった、85.0℃以上のTmを有する。所望によりポリエチレンは、例えば1.5×10〜5.0×10の範囲といった、5.0×10〜1.0×10の範囲のMw、および例えば1.8〜3.5といった、1.5〜5.0の範囲のMWDを有する。所望によりポリエチレンは、0.905g/cm〜0.935g/cmの範囲の密度を有する。ポリエチレンの質量密度は、ASTM D1505に従って決定する。
【0023】
所望によりポリエチレンは、エチレンと10.0モル%以下のα−オレフィン等のコモノマーとのコポリマーである。コモノマーは、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、または他のモノマーの1つまたは複数であってもよい。ある実施形態においては、コモノマーはヘキセン−1および/またはオクテン−1である。
【0024】
ポリエチレンがコポリマーの場合、ポリエチレンコポリマーは、所望により、例えば75.0%以上、例えば90.0%以上といった、50.0%以上の組成分布幅指数(「CDBI」、以下で定義する)を有する。所望によりポリエチレンコポリマーは、比較的狭い組成分布(以下で定義する)を有する。
【0025】
所望によりポリエチレンは、例えば2.0℃〜4.0℃の範囲といった、1.0℃〜5.0℃の範囲のTe−Tmを有する。融解分布(Te−Tm)は、ポリマーの構造および組成に由来するポリエチレンの性質である。例えば、融解分布に影響する要因のいくつかとして、Mw、MWD、分岐比、分岐鎖の分子量、コモノマーの量(もしあるとすれば)、ポリマー鎖に沿ったコモノマー分布、ポリエチレン中のポリエチレン結晶の大きさおよび分布、ならびに結晶格子の規則性が挙げられる。
【0026】
所望によりポリエチレンは、例えば125〜1500、例えば150〜1000の範囲といった、1.0×10以上のメルトインデックスを有する。ポリエチレンのメルトインデックスが100以上であると、不織ウェブを製造することが、特に不織ウェブを微多孔膜上に直接製造する場合は、より簡単であると考えられる。ポリエチレンのメルトインデックスは、ASTM D1238に従って決定する。
【0027】
不織ウェブの製造に用いるポリマーは、チーグラー・ナッタ重合触媒またはシングルサイト重合触媒を用いるプロセス等の、いずれかの都合のよいプロセスで作製することができる。所望により第1のポリエチレンは、メタロセン触媒で製造されるポリエチレン等の、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンの1つまたは複数である。ポリマーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,084,534号に開示されている方法(例えば、当該特許の実施例27および41に開示されている方法)に従って製造することができる。
Tm、Te−Tm、Mw、MWD、およびCDBIの決定
【0028】
ピーク融点(「Tm」)(単位:℃)および融解ピークの終点(「Te」)(単位:℃)は、例えばティー・エイ・インスツルメント社製モデル2920熱量計を用いて、示差走査熱量測定(「DSC」)を用いて次のようにして決定する。およそ7〜10mgの重量の試料を成形し、DSC測定の前に室温(21℃〜25℃)にて48時間アルミニウム製の試料パンに封入する。次いで、試料を−50℃の第1の温度にさらし(「第1の冷却サイクル」)た後に試料を10℃/分の速度で200℃の第2の温度まで上昇する温度にさらす(「第1の加熱サイクル」)ことにより、DSCデータを記録する。試料を5分間200℃に維持し、次いで10℃/分の速度で−50℃の第3の温度まで低下する温度にさらす(「第2の冷却サイクル」)。試料の温度を再度10℃/分で200℃に上昇させる(「第2の加熱サイクル」)。TmおよびTeを、第2の加熱サイクルのデータより得る。Tmは、−50℃〜200℃の温度範囲内における、試料への熱流量が最大の時の温度である。ポリエチレンは、主ピークに隣接する副融解ピーク、および/または溶融終点転移(end-of-melt transition)を示すことがあるが、本明細書においては、そのような副融解ピークはまとめて一つの融点と見なし、これらのピークの中で最も高いものをTmと見なす。Teは、融解が効果的に完了した時の温度であり、初期接線と最終接線との交差によって、DSCデータから求める。初期接線は、試料への最大熱流量の0.5倍の熱流量に相当する温度におけるTmピークの高温側の、DSCデータに接して引いた線である。初期接線は、熱流量がベースラインに向かって減少するにつれて負の勾配を示している。最終接線は、Tmと200℃の間の測定したベースラインに沿った、DSCデータに接して引いた線である。第2の加熱サイクル中の、代表的なポリエチレン試料のDSCデータをプロットしたものを図に示す。ポリエチレンのTmは103.62℃であり、第2の融解ピークは60.85℃にある。図に示す通り、初期接線と最終接線との交差から、およそ106.1℃のTeが得られる。
【0029】
ポリエチレンのMwおよびMWDは、示差屈折計(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ、すなわち「SEC」(GPC PL 220、ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて決定する。3本のPLgel Mixed-Bカラム(ポリマーラボラトリーズ社)を用いる。公称流量は0.5cm/分であり、公称注入量は300μLである。トランスファーライン、カラム、およびDRI検出器が、145℃に維持されたオーブン内に含まれている。測定は、"Macromolecules, Vol. 34, No. 19, pp. 6812-6820 (2001)"に開示されている手順に従って行う。
【0030】
使用するGPC溶媒は、約1000ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、濾過済みの、アルドリッチ社製の、試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。TCBを、SECに導入する前にオンライン脱気装置で脱気する。ポリマー溶液を、乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量の上記TCB溶媒を加え、次いでこの混合物を160℃で継続的に撹拌しながら約2時間加熱することにより調製する。溶液中のポリマーの濃度は0.25〜0.75mg/mlである。試料溶液は、GPCに注入する前に、モデルSP260 Sample Prep Station(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて2μmフィルターでオフラインろ過する。
【0031】
Mp(「Mp」はMwにおけるピークと定義する)が約580〜約10,000,000の範囲の17種のそれぞれのポリスチレン標準を用いて作成した検量線でカラムセットの分離効率を較正する。ポリスチレン標準はポリマーラボラトリーズ社(マサチューセッツ州アマースト)より入手する。各PS標準についてDRI信号のピークにおける保持容量を記録し、このデータセットを二次多項式に当てはめることによって、検量線(logMp対保持容量)を作成する。ウェーブメトリクス社(Wave Metrics, Inc.)製IGOR Proを用いて試料を分析する。
【0032】
CDBIは、ポリエチレンの組成分布中においてメジアンコモノマー組成の50重量%以内の組成であるポリエチレンコポリマーの重量パーセントと定義される。「組成分布」は、以下の手順に従って測定することができる。コポリマー約30gを、一辺約3mmの小さな立方体に切り取る。これらの立方体を、50mgの、チバ−ガイギー社製の酸化防止剤であるイルガノックス1076とともに、ねじ蓋で閉じた厚肉ガラス瓶の中に入れる。次いで、425mlのヘキサン(ノルマル異性体とイソ異性体との混合物)を瓶の中身に加え、密閉した瓶を約23℃で約24時間保持する。この時間の最後に、溶液をデカントし、残渣を新たなヘキサンでさらに24時間処理する。この時間の最後に、2つのヘキサン溶液を合わせて蒸発させ、23℃で可溶なコポリマーの残渣を得る。残渣に十分なヘキサンを加えて容量を425mLとし、瓶を、カバーをした循環水浴中にて24時間約31℃で保持する。可溶性コポリマーをデカントし、さらなる量のヘキサンを約31℃でさらに24時間かけて加えた後にデカントする。このような方法で、段階毎におよそ8℃ずつ温度を上昇させ、40℃、48℃、55℃、および62℃で可溶なコポリマー成分の画分を得る。約60℃の全ての温度について、溶媒としてヘキサンの代わりにヘプタンを用いれば、95℃までの温度上昇が適応可能である。可溶性コポリマー画分を乾燥させ、秤量し、例えば重量パーセントエチレン含有率として組成を解析する。隣接する温度範囲内の試料から得られる可溶性画分は、「隣接画分」である。少なくとも75重量%のコポリマーが、各画分の組成差がコポリマーの平均重量%モノマー含有量の20%以下である2つの隣接画分中で単離される場合に、コポリマーは「狭い組成分布」を有すると言える。
不織ウェブの製造方法
【0033】
不織ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、エレクトロスピニング法等の従来のウェブ形成法を含んだいずれかの都合のよい方法により製造することができる。ある実施形態においては、不織ウェブはメルトブロー法により製造される。ウェブの製造をメルトブロー法に関して説明するが、本発明はそれに限定されるものではなく、メルトブロー法の実施形態の説明は、本発明のより広い範囲内にある他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0034】
メルトブロー法では、溶融ポリマーを、溶融糸またはフィラメントとして、通常は円形である複数の微細なダイキャピラリーを通して通常は高温かつ高速である収束ガス流(空気または窒素等)中に押し出して溶融ポリマーのフィラメントを細くして繊維を形成することにより形成される、繊維のウェブが製造される。空気の吸い込みにより溶融フィラメントの直径を縮小させて所望の大きさを達成する。その後、メルトブロー繊維を高速ガス流により搬送し、収集面上に堆積させて、ランダムに分散したメルトブロー繊維の少なくとも1つのウェブを形成する。
【0035】
メルトブロー繊維は、連続性または不連続性であってもよく、通常は平均直径が10.0μmよりも小さい。例えば繊維は、例えば0.5μm〜8.0μm、または1.0μm〜5.0μmといった、0.1μm〜10.0μmの範囲の平均直径を有してもよい。平均繊維長は通常は12.0mm以上である。ウェブは、例えば4.0g/m〜35.0g/mの範囲といった、1.0〜50.0g/mの範囲の目付重量、75.0μm以下の厚さ、および0.30〜50.0μmの平均細孔径を有してもよい。所望により繊維は、例えば1.0×10〜1.0×10の範囲といった、1.0×10以上のアスペクト比(平均長を平均直径で割ったもの)を有する。
【0036】
メルトブローの間、溶融ポリマーを、一緒に一次空気ノズルを形成する一対の空気プレート間に配置されたダイに供給する。標準的なメルトブロー装置は、ナイフの刃に沿った単列のキャピラリーを有するダイチップを含んでいる。ダイチップは、例えば、ダイ幅1リニアインチ(25.4mm)当たりおよそ30個のキャピラリー出口孔を有してもよい。ダイ幅1リニア単位当たりのキャピラリー出口孔の数は重要ではなく、例えば、ダイ幅1リニアcm当たり、例えば1〜100の範囲、例えば5〜50の範囲のキャピラリー出口孔といった、リニアcm当たり1以下のキャピラリー出口孔であってもよい。ダイチップは、典型的には、キャピラリーが位置しているナイフの刃に集中する、60°の楔形のブロックである。所望により空気プレートは、ダイの先端が一次空気ノズルより奥になるように、凹型の配置で載置される。あるいは空気プレートは、空気プレートの端部がダイチップと同じ水平面にある面一配置、またはダイの先端が空気プレートの端部よりも延出した、突起または「突出」配置で載置してもよい。所望により、2種以上の空気流を用いてもよい。
【0037】
所望により熱風を、ダイチップの各側面上に形成された一次空気ノズルを通して供給する。熱風がダイを熱することにより、溶融ポリマーが出ていきダイから熱を取り去るのに伴って固化したポリマーでダイが詰まるのが抑えられる。また熱風は、溶融物を引き出して、すなわち細くして繊維にする。あるいは、米国特許第5,196,207号に開示されているように、加熱ガスを用いてポリマー貯蔵器中のポリマーの温度を維持してもよい。周囲温度よりも高い温度の、第2の空気、すなわちクエンチ空気を、所望によりダイヘッドを通して供給してもよい。所望により一次熱風流量は、ダイ幅2.54cm当たり約9.5リットル/秒〜11.3リットル/秒(ダイ幅1インチ当たりおよそ20〜24標準立方フィート/分(SCFM))の範囲である。メルトブローウェブが(例えば基材として用いる)微多孔膜上に製造される場合、一次熱風流量は、ダイ幅2.5cm当たり3.75リットル/秒〜8.0リットル/秒(ダイ幅1インチ当たりおよそ8〜17SCFM)の範囲であるべきである。
【0038】
所望により一次熱風の気圧は、出口の直前のダイヘッドにおける点にて、115kPaまたは140kPa〜160kPaまたは175kPaまたは205kPaの範囲である。所望により一次熱風温度は、例えば200℃または230℃〜300℃または320℃または350℃の範囲といった、450℃または400℃以下である。一次熱気流用に選択される特定の温度は、引き出される特定のポリマーによって決まる。一次熱風温度およびポリマーの溶融温度は、ポリマーの溶融物を形成するのに十分であるがポリマーの分解温度よりは低くなるように選択される。所望により溶融温度は、200℃または220℃〜280℃または300℃の範囲である。所望によりポリマー押出量は、0.10グラム/孔/分(ghm)または0.2ghmまたは0.3ghm〜1.0ghmまたは1.25ghmの範囲であり、単位時間当たりのダイ1インチ(25.4mm)当たりの流れる組成物の量で表される。ダイが12孔/cmを有する実施形態においては、ポリマー押出量は所望により約2.3kg/cm/時〜6.0kg/cm/時または8.0kg/cm/時または9.5kg/cm/時である。所望によりポリマーは、220℃または240℃〜280℃または300℃の範囲の溶融温度、および0.1または0.2ghm〜1.25ghmまたは2.0ghmの範囲の押出量にてメルトブローされる。
【0039】
ダイは高温で作動するため、メルトブロー繊維の冷却および凝固を促進させるために冷却ガス(例えば空気)等の冷却媒体を用いることが有利であり得る。特に、繊維伸長の方向に対して直交流(例えば略垂直、すなわち90°)の方向に流れる第2の空気(「微細化気流」)を用いて、メルトブロー繊維を急冷することができる。このような第2の空気を用いることによって、例えば2.0μm〜5.0μmの範囲といった、比較的小さい直径の繊維を製造することがより簡単になり得る。加えて、より冷たい加圧された冷却空気を用いてもよく、それによって繊維のより速い冷却および凝固が可能になる。空気およびダイチップの温度、気圧、ならびにポリマーの供給量を制御することによって、メルトブロー工程中に形成される繊維の直径を調節してもよい。1つまたは複数の実施形態においては、本発明で製造されるメルトブロー繊維は、0.5μmまたは1.0μmまたは2.0μm〜3.0μmまたは4.0μmまたは5.0μmの範囲内の直径を有する。
【0040】
メルトブロー繊維を収集して不織ウェブを形成する。ある実施形態においては、繊維を、ダイチップの下にある可動式メッシュスクリーンまたはメッシュベルトを含んだ形成ウェブ上で収集する。ダイチップの下方に、繊維の形成、微細化、および冷却に十分な空間を設けるためには、ダイチップと基材(メッシュスクリーン等)の上端との間に約200.0mm〜300.0mmのウェブ形成距離を設ける。100.0mmという短いウェブ形成距離を用いてもよい。ウェブが微多孔膜上に形成される場合(例えば膜が基材の場合)、ウェブ形成距離は150.00mmであり、例えば50.0〜150.0mm、例えば75.0mm〜125.0mmの範囲である。ダイ中の溶融ポリマーの温度よりも少なくとも30.0℃冷たい微細化気流を用いると、より短いウェブ形成距離を実現することができる。所望によりウェブは、別の織物上に直接形成され、その後膜が積層される。さらなる詳細については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,692,868号、同第6,114,017号、同第5,679,379号、および同第3,978,185号に記載されている。
複合構造
【0041】
ある実施形態においては、例えば積層によって、または膜上にウェブを製造することによって不織ウェブを微多孔膜と合わせるが、ここで「膜上にウェブを製造する」とは、不織ポリマーウェブを微多孔膜上にメルトブローすることを意味する。言い換えれば、ウェブが膜上に製造される実施形態においては、不織ポリマーウェブは、微多孔膜に施される時点で形成される。例えば層状の熱可塑性フィルムの形態の合わせたウェブと微多孔膜とは、バッテリーセパレーターフィルムとして有用である。第2の不織ウェブは、所望により微多孔膜と合わせてもよい。第2のウェブは、第1のウェブと同じ方法により、また第1のウェブと同じ材料から製造することができるが、例えば積層によって、または第1のウェブ上もしくは微多孔膜の第2の表面上に第2のウェブを製造することによって、微多孔膜と合わせることができる。微多孔膜と不織ウェブとを含む熱可塑性フィルムは、例えば、A/B/A構造、A/B/C構造、A/B1/A/B2/(A、B1、C、またはD)構造、A/B1/C/B2/(A、B1、C、またはD)、またはそれらの組合せおよび連続(繰返しまたはその他)を有してもよい。これらの例示的構造において、Aは不織ウェブを表し、B1、B2等は微多孔膜(1つまたは複数)を表し、Cは第2の不織ウェブを表し、Dは不織ウェブまたは微多孔膜のいずれかを表す。
微多孔膜
【0042】
ある実施形態においては、微多孔膜は、少なくとも1種の希釈剤と少なくとも1種のポリオレフィンとから製造される押出物である。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのホモポリマー、およびそれらのコポリマーを含む、いずれのポリオレフィンであってもよい。所望により、無機種(ケイ素および/またはアルミニウム原子を含有する種等)、ならびに/または国際公開WO2007/132942および同WO2008/016174(共にその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリマー等の耐熱性ポリマーを、押出物の製造に用いてもよい。ある実施形態においては、これらの随意である種は使用しない。少なくとも1つの特定の実施形態においては、押出物は、それぞれ後述する、第1のポリエチレンおよび/もしくは第2のポリエチレン、ならびに/またはポリプロピレンを含んでいる。所望により、膜の製造に用いるポリオレフィン(ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)は、不織ウェブの製造に用いるポリマーをさらに含む。
第1のポリエチレン
【0043】
第1のポリエチレンは、例えば約1.0×10〜約9.0×10、例えば約4.0×10〜約8.0×10の範囲といった、1.0×10以下のMwを有する。所望によりポリエチレンは、例えば約2.0〜約30.0、例えば約3.0〜約20.0の範囲といった、50.0以下のMWDを有する。例えば第1のポリエチレンは、高密度ポリエチレン(「HPDE」)、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンの1つまたは複数であってもよい。
【0044】
ある実施形態においては、第1のポリエチレンは、例えば炭素原子10,000個当たり5.0以上、例えば炭素原子10,000個当たり10.0以上といった、炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有する。末端不飽和基量は、例えば国際公開WO97/23554に記載の手順に従って測定することができる。
【0045】
ある実施形態においては、第1のポリエチレンは、(i)エチレンホモポリマー、または(ii)エチレンと、10モル%以下のポリオレフィン等のコモノマーとのコポリマーの少なくとも1つである。コモノマーは、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、またはスチレンの1つまたは複数であってもよい。
第2のポリエチレン
【0046】
第2のポリエチレンは、例えば1.1×10〜約5.0×10の範囲、例えば約1.2×10〜約3.0×10、例えば約2.0×10といった、1.0×10超のMwを有する。所望により第2のポリエチレンは、例えば約2.0〜約30.0、例えば約4.0〜約20.0または約4.5〜10.0といった、50.0以下のMWDを有する。例えば第2のポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)であってもよい。ある実施形態においては、第2のポリエチレンは、(i)エチレンホモポリマー、または(ii)エチレンと、10.0モル%以下のポリオレフィン等のコモノマーとのコポリマーの少なくとも1つである。コモノマーは、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、またはスチレンの1つまたは複数であってもよい。かかるポリマーまたはコポリマーは、シングルサイト触媒を用いて製造することができる。
【0047】
第1および第2のポリエチレンのMwおよびMWDは、不織ウェブの製造において記載した手順を用いて決定する。
ポリプロピレン
【0048】
ポリプロピレンは、例えば1.0×10以上、または約1.05×10〜約2.0×10の範囲、例えば約1.1×10〜約1.5×10といった、1.0×10以上のMwを有する。所望によりポリプロピレンは、例えば約1.0〜約30.0、もしくは約2.0〜約6.0といった、50.0以下のMWD、および/または例えば110.0J/g〜120.0J/g、例えば約113.0J/g〜119.0J/gもしくは114.0J/g〜約116.0J/gといった、80.0J/g以上もしくは1.0×10以上の融解熱(「ΔHm」)を有する。ポリプロピレンは、例えば、(i)プロピレンホモポリマー、または(ii)プロピレンと10.0モル%以下のコモノマーとのコポリマーの1つまたは複数であってもよい。コポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。コモノマーは、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、およびスチレン等のα−オレフィン、ならびにブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のジオレフィンの1つまたは複数であってもよい。所望により、ポリプロピレンは以下の特性の1つまたは複数を有する:(i)ポリプロピレンは、アイソタクチックである;(ii)ポリプロピレンは、230℃の温度および25秒−1のひずみ速度において少なくとも約50,000Pa秒の伸張粘度を有する;(iii)ポリプロピレンは、少なくとも約160℃の融解ピーク(第二融解)を有する;かつ/または(iv)ポリプロピレンは、約230℃の温度および25秒−1のひずみ速度において測定した場合に少なくとも約15のトルートン比を有する。
【0049】
ポリプロピレンのΔHm、Mw、およびMWDは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開WO2007/132942号に開示されている方法により決定する。所望によりポリプロピレンは、WO2007/132942に開示されているものの中から選択される。
【0050】
ある実施形態においては、押出物の製造に用いるポリオレフィンは、1.0重量%〜50.0重量%の量で存在するポリプロピレン、25重量%〜約99.0重量%の範囲の量の第1のポリエチレン、および0重量%〜50.0重量%の範囲の第2のポリエチレンを含む。ポリプロピレンならびに第1および第2のポリエチレンの重量パーセントは、押出物の製造に用いるポリマーの重量が基準である。膜が、2.0重量%超、特に2.5重量%超の量のポリプロピレンを含む場合、膜は、通常は、有意な量のポリプロピレンを含まない膜のメルトダウン温度よりも高いメルトダウン温度を有する。
【0051】
別の実施形態においては、膜は有意な量のポリプロピレンを含まない。この実施形態においては、押出物の製造に用いるポリオレフィンは、ポリオレフィンがポリエチレンからなるかまたは本質的にポリエチレンからなる場合等では、0.10重量%未満のポリプロピレンを含む。この実施形態においては、押出物の製造に用いる第2のポリエチレンの量は、例えば約10.0重量%〜約40.0重量%といった、1.0重量%〜50.0重量%の範囲であってもよく、押出物の製造に用いる第1のポリエチレンの量は、例えば約70.0重量%〜約90.0重量%といった、60.0重量%〜99.0重量%の範囲であってもよい。第1および第2のポリエチレンの重量パーセントは、押出物の製造に用いるポリマーの重量が基準である。
押出物
【0052】
押出物は、ポリマーと少なくとも1種の希釈剤とを混合することにより製造される。押出物の製造に用いる希釈剤の量は、押出物の重量を基準として、例えば約25.0重量%〜約99.0重量%の範囲であってもよく、押出物の重量の残りが、押出物の製造に用いるポリマー、例えば第1のポリエチレンと第2のポリエチレンとを混合したもの、となる。
【0053】
希釈剤は、通常は、押出物の製造に用いるポリマーと相溶する。例えば希釈剤は、押出温度にて樹脂と合わさって単相を形成することが可能ないずれの種であってもよい。希釈剤の例としては、ノナン、デカン、デカリン等の脂肪族または環状炭化水素、およびパラフィン油、ならびにフタル酸ジブチルおよびフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステルが挙げられる。それらの中でも好ましいのは、高い沸点を有し、かつ少量の揮発性成分を含有するパラフィン油である。40℃で20〜200cStの動粘度を有するパラフィン油を用いてもよい。希釈剤は、共にその全体が参照により組み込まれる、米国特許公開第2008/0057388号および同第2008/0057389号に記載のものと同じであってもよい。
【0054】
押出物および微多孔膜は、コポリマー、無機種(ケイ素および/またはアルミニウム原子を含有する種等)、および/または国際公開WO2008/016174に記載のポリマー等の耐熱性ポリマー含有してもよいが、これらは必須ではない。ある実施形態においては、押出物および膜は、かかる物質を実質的に含まない。この文脈における実質的に含まないとは、微多孔膜中のかかる物質の量が、押出物の製造に用いるポリマーの全重量を基準として、1重量%未満、0.1重量%未満、または0.01重量%未満であることを意味する。
【0055】
微多孔膜は、通常は、押出物の製造に用いるポリオレフィンを含む。処理中に導入する少量の希釈剤または他の種もまた、微多孔膜の重量を基準として、通常は1重量%未満の量で存在してもよい。処理中にポリマーの分子量が少量低下することがあるが、これは許容可能なものである。ある実施形態においては、処理中に分子量の低下があったとしても、膜中のポリマーのMWDと膜の製造に用いるポリマーのMWDとの違いは、わずか約50%、わずか約1%、またはわずか約0.1%にしかならない。
【0056】
1つまたは複数の実施形態においては、微多孔膜は、(a)例えば約2.5重量%〜約40.0重量%、例えば約5.0重量%〜約30.0重量%といった、1.0重量%〜50.0重量%のポリプロピレン、(b)例えば約50.0重量%〜約90.0重量%、例えば60.0重量%〜約80.0重量%といった、25.0重量%〜99.0重量%の第1のポリエチレン、および(c)、例えば約5.0重量%〜約30.0重量%、例えば約10.0重量%〜約20.0重量%といった、0重量%〜50.0重量%の第2のポリエチレンを含み、第1のポリエチレンは、例えば約1.0×10〜約9.0×10、例えば約4.0×10〜約8.0×10の範囲といった、1.0×10以下のMw、および例えば約1.0〜約30.0、例えば約3.0〜約20.0の範囲といった、50.0以下のMWDを有し、第2のポリエチレンは、例えば約1.1×10〜約5.0×10、例えば約1.2×10〜約3.0×10の範囲といった、1.0×10超のMw、および例えば約2.0〜約30.0、例えば約4.0〜約20.0といった、50.0以下のMWDを有し、ポリプロピレンは、例えば約1.05×10〜約2.0×10、例えば約1.1×10〜約1.5×10といった、1.0×10超のMw、例えば約1.0〜約30.0、例えば約2.0〜約6.0といった、50.0以下のMWD、および例えば約110.0J/g〜約120.0J/g、例えば約114.0J/g〜約116.0J/gといった、1.0×10J/g以上のΔHmを有する。
【0057】
別の実施形態においては、微多孔膜は、微多孔膜の重量を基準として0.1重量%未満の量のポリプロピレンを含有する。かかる膜は、例えば、(a)例えば約10.0重量%〜約40.0重量%といった、1.0重量%〜50.0重量%の第2のポリエチレン、および(b)例えば約70.0重量%〜約90.0重量%といった、60.0重量%〜99.0重量%の第1のポリエチレンを含んでもよく、第1のポリエチレンは、例えば約1.0×10〜約9.0×10、例えば約4.0×10〜約8.0×10の範囲といった、1.0×10以下のMw、および例えば約1.0〜約30.0、例えば約3.0〜約20.0の範囲といった、50.0以下のMWDを有し、第2のポリエチレンは、例えば1.1×10〜約5.0×10、例えば約1.2×10〜約3.0×10の範囲といった、1.0×10超のMw、および例えば約2.0〜約30.0、例えば約4.0〜約20.0といった、50.0以下のMWDを有する。
【0058】
所望により、膜中の、1.0×10超の分子量を有するポリオレフィンの部分は、膜中のポリオレフィンの重量を基準として、例えば少なくとも2.5重量%、例えば約2.5重量%〜50.0重量%の範囲といった、少なくとも1重量%である。
【0059】
所望により膜は、膜の重量を基準として20重量%以下の、ウェブの製造に用いるポリマーを含有する。
微多孔膜の製造方法
【0060】
1つまたは複数の実施形態においては、微多孔膜は、以下の工程を含むプロセスにより製造される:ポリマーと希釈剤とを混合し、混合したポリマーと希釈剤とをダイを通して押し出して押出物を形成する工程;所望により押出物を冷却してゲル状シート等の冷却押出物を形成する工程;冷却押出物を少なくとも1つまたは両方の平面方向に延伸する工程;押出物または冷却押出物から希釈剤の少なくとも一部を除去して膜を形成する工程。所望によりこのプロセスは、残留したいずれかの揮発性種を膜から除去する工程、膜を延伸する工程、および/または膜を熱処理する工程を含む。所望により押出物を、希釈剤除去の前、例えば押出物の延伸後に熱処理してもよい。
【0061】
国際公開WO2008/016174に記載されている、随意である熱溶媒処理工程、随意である電離放射線による架橋工程、および随意である親水性処理工程等を所望により行ってもよい。これらの随意である工程の数も順序も重要ではない。
ポリマーと希釈剤との混合
【0062】
上記のポリマーは、例えば乾燥混合または溶融ブレンドによって混合してもよく、次いで、混合したポリマーを少なくとも1種の希釈剤(例えば膜形成溶媒)と混合して、ポリマーと希釈剤との混合物、例えばポリマー溶液を製造することができる。あるいは、ポリマー(1つまたは複数)と希釈剤とを単一の工程で混合してもよい。このポリマー−希釈剤混合物は、1種または複数の酸化防止剤等の添加剤を含有していてもよい。1つまたは複数の実施形態においては、かかる添加剤の量は、ポリマー溶液の重量を基準として1重量%を超えることはない。
【0063】
押出物の製造に用いる希釈剤の量は重要ではなく、希釈剤とポリマーとの混合物の重量を基準として例えば約25重量%〜約99重量%の範囲であってもよく、残りが例えば第1および第2のポリエチレンの混合物等のポリマーとなる。
押出し
【0064】
1つまたは複数の実施形態においては、ポリマーと希釈剤との混合物を押出機からダイへと導き、次いでダイを通して押し出して押出物を製造する。押出物または冷却押出物は、延伸工程後に望ましい厚さ(通常3μm以上)を有する最終膜を製造するのに適切な厚さを有しているべきである。例えば押出物は、約0.1mm〜約10mm、または約0.5mm〜5mmの範囲の厚さを有してもよい。押出しは通常は、溶融状態の、ポリマーと希釈剤との混合物を用いて行う。シート形成ダイを使用する場合、ダイリップを、通常は、例えば140℃〜250℃の範囲の高温に加熱する。押出しを実行するための好適な処理条件は、国際公開WO2007/132942および同WO2008/016174に開示されている。機械方向(「MD」)は、押出物がダイから製造される方向と定義される。横方向(「TD」)は、MDおよび押出物の厚さ方向の両方に対して垂直な方向と定義される。押出物はダイから連続的に製造することもできるし、または例えば(バッチ処理の場合のように)ダイから少量ずつ製造することもできる。TDおよびMDの定義は、バッチ処理および連続処理のどちらにおいても同じである。
冷却押出物の形成
【0065】
押出物を15℃〜25℃の範囲の温度にさらして、冷却押出物を形成することができる。冷却速度は特に重要ではない。例えば押出物は、押出物の温度(冷却した温度)が押出物のゲル化温度とほぼ同じ(またはそれ以下)になるまで、最低でも約30℃/分の冷却速度で冷却してもよい。冷却の処理条件は、例えば国際公開第WO2008/016174号および同第WO2007/132942号に開示されているものと同じであってもよい。
押出物の延伸
【0066】
押出物または冷却押出物を、少なくとも一つの方向に延伸する。押出物は、例えば国際公開第WO2008/016174号に記載されている、例えばテンター法、ロール法、インフレーション法、またはそれらの組合せにより延伸することができる。延伸は、一軸に、または二軸に行ってもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸、または多段階延伸(例えば同時二軸延伸と逐次延伸の組合せ)のいずれを用いてもよいが、同時二軸延伸が好ましい。二軸延伸を用いる場合、倍率の大きさは各延伸方向で同じである必要はない。
【0067】
延伸倍率は、一軸延伸の場合、例えば2倍以上、好ましくは3〜30倍であってもよい。二軸延伸の場合、延伸倍率は、例えばいずれの方向にも3倍以上であってもよく、すなわち面積倍率が、例えば16倍以上、例えば25倍以上といった、9倍以上であってもよい。この延伸工程の例としては、面積倍率が約9倍〜約49倍の延伸が挙げられる。各方向への延伸の量はやはり同じである必要はない。倍率はフィルムの大きさに乗法的に影響する。例えば、TDに4倍の倍率に延伸される、最初の幅(TD)が2.0cmであるフィルムは、最終幅が8.0cmとなる。
【0068】
必須ではないが、延伸は、押出物をおよそTcd温度からTmの範囲の温度にさらしながら行ってもよい。
【0069】
TcdおよびTmは、結晶分散温度、および押出物の製造に用いるポリエチレンの中で最も融点の低いポリエチレンの融点と定義される。結晶分散温度は、ASTM D 4065に従って動的粘弾性の温度特性を測定することにより決定する。Tcdが約90℃〜100℃の範囲である1つまたは複数の実施形態においては、延伸温度は、例えば約100℃〜125℃、例えば105℃〜125℃といった、約90℃〜125℃であってもよい。
【0070】
1つまたは複数の実施形態においては、延伸押出物は、希釈剤除去の前に所望により熱処理にかけられる。熱処理では、延伸押出物は、押出物が延伸中にさらされる温度より高い(温かい)温度にさらされる。延伸押出物がそのより高い温度にさらされている間、延伸押出物の平面寸法(MDの長さおよびTDの幅)は一定に保つことができる。押出物はポリマーおよび希釈剤を含有しているため、その長さおよび幅は、「湿潤」長さおよび「湿潤」幅と呼ばれる。1つまたは複数の実施形態においては、延伸押出物は、押出物を熱処理するのに十分な時間、例えば1秒〜100秒の範囲の時間、120℃〜125℃の範囲の温度にさらされるが、その間は、例えば、テンタークリップを用いて延伸押出物をその外周に沿って保持することにより、湿潤長さおよび湿潤幅は一定に保たれる。言い換えれば、熱処理の間、MDまたはTDへの延伸押出物の拡大または縮小(すなわち寸法変化)はない。
【0071】
この工程、および試料(例えば、押出物、乾燥押出物、膜等)を高温にさらす乾燥延伸および熱処理等のその他の工程において、こうした暴露は、空気を熱し、次いでこの加熱空気を試料の近くに運ぶことにより行うことができる。加熱空気の温度は、通常は所望の温度と等しい設定値に制御され、次いでプレナム等を通して試料に向けて導かれる。試料を加熱面にさらす方法、オーブンでの赤外線加熱等の従来の方法を含む、試料を高温にさらすその他の方法を、加熱空気とともに、または加熱空気の代わりに用いてもよい。
希釈剤の除去
【0072】
1つまたは複数の実施形態においては、希釈剤の少なくとも一部を延伸押出物から除去(または置換)し、乾燥膜を形成する。例えば国際公開第WO2008/016174号に記載のように、置換(または「洗浄」)溶媒を用いて希釈剤を除去(洗浄、または置換)してもよい。
【0073】
1つまたは複数の実施形態においては、残留したいずれかの揮発性種(例えば洗浄溶媒)の少なくとも一部を、希釈剤除去後に乾燥膜から除去する。加熱乾燥、風乾(空気を動かすこと)等の従来の方法を含む、洗浄溶媒を除去することが可能ないずれの方法を用いてもよい。洗浄溶媒等の揮発性種を除去するための処理条件は、例えば国際公開第WO2008/016174号に開示されているものと同じであってもよい。
膜の延伸(乾燥延伸)
【0074】
所望により、希釈剤除去後に、膜を少なくとも1つの平面方向に延伸する。例えば、膜を少なくともMDに延伸(希釈剤の少なくとも一部が除去または置換されているため「乾燥延伸」と呼ばれる)してもよい。乾燥延伸した乾燥膜は「配向」膜と呼ばれる。乾燥延伸の前には、乾燥膜はMDの最初の大きさ(第1の乾燥長さ)およびTDの最初の大きさ(第1の乾燥幅)を有する。本明細書で用いる用語「第1の乾燥幅」は、乾燥延伸開始前における乾燥膜の横方向への大きさを指す。用語「第1の乾燥長さ」は、乾燥配向開始前における乾燥膜の機械方向への大きさを指す。例えば、国際公開第2008/016174号に記載の種類のテンター延伸装置を用いることができる。
【0075】
乾燥膜は、第1の乾燥長さから、約1.1〜約1.5の範囲の倍率(「MD乾燥延伸倍率」)で第1の乾燥長さより長い第2の乾燥長さへ、MDに延伸してもよい。TD乾燥延伸を用いる場合、乾燥膜は、第1の乾燥幅から、ある倍率(「TD乾燥延伸倍率」)で第1の乾燥幅より広い第2の乾燥幅へ、TDに延伸してもよい。所望により、TD乾燥延伸倍率はMD乾燥延伸倍率以下である。TD乾燥延伸倍率は、約1.1〜約1.3の範囲であってもよい。乾燥延伸(希釈剤を含有した押出物をすでに延伸しているため再延伸とも呼ばれる)は、MDおよびTDに逐次的または同時的であってもよい。TD熱収縮は、通常はMD熱収縮よりも電池の特性に与える影響が大きいため、TD倍率の大きさは、通常はMD倍率の大きさを超えることはない。TD乾燥延伸を用いる場合、乾燥延伸は、MDおよびTDに同時的、または逐次的であってもよい。乾燥延伸が逐次的の場合、通常はMD延伸を最初に行い、続いてTD延伸を行う。
【0076】
乾燥延伸は、乾燥膜を、例えばおよそTcd−30℃〜Tmの範囲といった、Tm以下の温度にさらしながら行ってもよい。Tmは、微多孔膜の製造に用いるポリマーの中で融解ピークが最も低いポリマーの融解ピークである。1つまたは複数の実施形態においては、延伸温度は、例えば約80℃〜約132℃といった、約70℃〜約135℃の範囲の温度にさらした膜で行う。1つまたは複数の実施形態においては、MD延伸はTD延伸の前に行い、
(i)MD延伸は、膜を、例えば70〜約125℃、または約80℃〜約120℃といった、Tcd−30℃〜およそTm−10℃の範囲の第1の温度にさらしながら行い、
(ii)TD延伸は、膜を、例えば約70℃〜約135℃、約127℃〜約132℃、または約129℃〜約131℃といった、第1の温度より高いがTmよりは低い第2の温度にさらしながら行う。
【0077】
1つまたは複数の実施形態においては、MD延伸倍率は、例えば1.2〜1.4といった、約1.1〜約1.5の範囲であり、TD乾燥延伸倍率は、例えば1.15〜1.25といった、約1.1〜約1.3の範囲であり、MD乾燥延伸はTD乾燥延伸の前に行い、MD乾燥延伸は、膜を80℃〜約120℃の範囲の温度にさらしながら行い、TD乾燥延伸は、膜を129℃〜約131℃の範囲の温度にさらしながら行う。
【0078】
延伸速度は、延伸方向(MDまたはTD)に3%/秒以上であることが好ましく、この率は、MDおよびTD延伸について独立して選択してもよい。延伸速度は、好ましくは5%/秒以上、より好ましくは10%/秒以上、例えば5%/秒〜25%/秒の範囲である。特に重要ではないが、延伸速度の上限は、膜の破裂を防ぐために50%/秒であることが好ましい。
乾燥延伸後の膜の制御された幅の縮小
【0079】
所望により、膜に、第2の乾燥幅から第3の幅への制御された幅の縮小を施すが、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅から第1の乾燥幅の約1.1倍の範囲である。幅の縮小は、所望により、Tcd−30℃以上であるがTm以下である温度に膜をさらしながら行う。例えば幅の縮小中に、膜を、例えば約127℃〜約132℃、例えば約129℃〜約131℃といった、約70℃〜約135℃の範囲の温度にさらしてもよい。1つまたは複数の実施形態においては、膜の幅の減少は、膜をTmよりも低い温度にさらしながら行う。1つまたは複数の実施形態においては、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅の1.0倍〜第1の乾燥幅の約1.1倍の範囲である。
【0080】
制御された幅の縮小中に、TD延伸中に膜がさらされた温度以上の温度に膜をさらすと、最終膜の耐熱収縮性がより高くなる、と考えられる。
随意の熱処理
【0081】
所望により、例えば乾燥延伸の後、制御された幅の縮小の後、またはその両方の後、希釈剤の除去に続いて、少なくとも1度、膜を熱的に処理(熱処理)する。熱処理により結晶が安定化して膜中に均一な薄層が形成されると考えられる。1つまたは複数の実施形態においては、熱処理は、例えば約100℃〜約135℃の範囲、例えば約127℃〜約132℃、または約129℃〜約131℃といった、TcdからTmの範囲の温度に膜をさらしながら行われる。熱処理は、通常は、膜中に薄層を形成するのに十分な時間、例えば1〜100秒の範囲の時間行う。1つまたは複数の実施形態においては、熱処理は一般的な熱処理「熱固定」条件下で実施する。用語「熱固定」は、例えば熱処理中に膜の外周をテンタークリップで保持すること等によって膜の長さおよび幅を実質的に一定に維持しながら行う熱処理を指す。
【0082】
所望により、熱処理工程の後にアニーリング処理を行ってもよい。アニーリングは、膜には荷重をかけない加熱処理であり、例えばベルトコンベアを備えた加熱室またはエアフローティング型(air-floating-type)加熱室等を用いて行ってもよい。アニーリングは、熱処理の後にテンターを緩めた状態で連続的に行ってもよい。アニーリング中、膜を、例えば約60℃〜およそTm−5℃の範囲といった、Tmまたはそれ以下の範囲の温度にさらしてもよい。アニーリングによって微多孔膜の透気度および強度が向上すると考えられる。
【0083】
随意である、熱ローラー処理、熱溶媒処理、架橋処理、親水性処理、およびコーティング処理を、例えば国際公開第WO2008/016174号に記載されているように、所望により行ってもよい。
【0084】
本発明を単層膜に関して説明してきたが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/016174号に開示されている膜等の多層膜にも適合する。かかる多層膜は、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン等のポリオレフィンを含む層を含んでもよい。このポリオレフィンは、単層膜に関して本明細書で記載したものと同じであってもよい。微多孔膜は、「湿式」法(例えば微多孔膜はポリマーと希釈剤との混合物から製造される)に関して説明されているが、本発明はそれに限定されるものではなく、以下の説明は、希釈剤をほとんどまたは全く使用しない「乾式」法で作製される膜等の、本発明のより広い範囲内にある他の微多孔膜を除外することを意図するものではない。
熱可塑性フィルムの構造および特性
【0085】
熱可塑性フィルムは、少なくとも1つの不織ポリマーウェブおよび少なくとも1つの微多孔膜を含む。所望により、ウェブと膜とは平面(例えば対面)接触している。
【0086】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムは、微多孔膜上に製造されるかまたは微多孔膜が積層される不織ウェブを含む。熱可塑性フィルムの厚さは通常は、例えば約5.0μm〜約30.0μmといった、約1.0μm〜約1.0×10μmの範囲である。熱可塑性フィルムの厚さは、縦方向に1cm間隔で20cmの幅にわたって接触式厚さ計(contact thickness meter)により測定することができ、次いで平均値を出して膜厚さを得ることができる。株式会社ミツトヨ製ライトマチック等の厚さ計が好適である。例えば光学的厚さ測定方法等の非接触式厚さ測定方法もまた好適である。
【0087】
ある実施形態においては、本発明は、熱可塑性フィルムであって、
(i)(a)2.5重量%〜40.0重量%の範囲の量のポリプロピレン、
(b)60.0重量%〜80.0重量%の範囲の量の第1のポリエチレン、および
(c)5.0重量%〜30.0重量%の範囲の量の第2のポリエチレン(重量パーセントは膜の重量が基準)を含む微多孔膜であり、
ポリプロピレンが、1.05×10〜2.0×10の範囲のMw、2.0〜6.0の範囲のMWD、および1.0×10J/g以上のΔHmを有し、第1のポリエチレンが、1.0×10〜9.0×10の範囲のMwおよび3.0〜20.0の範囲のMWDを有し、第2のポリエチレンが、1.2×10〜3.0×10の範囲のMwおよび4.5〜10.0の範囲のMWDを有する、微多孔膜と
(ii)0.5μm〜5.0μmの範囲の直径を有する複数の繊維を含む不織ウェブであり、
繊維が、95.0℃〜130.0℃の範囲のTm、1.0℃〜5.0℃の範囲のTe−Tm、1.5×10〜5.0×10の範囲のMw、および1.8〜3.5の範囲のMWDを有するエチレン−オクテンコポリマーおよび/またはエチレン−ヘキセンコポリマーを含み、不織ウェブが、膜の平坦面へのウェブの積層または膜の平坦面上への繊維の堆積によって微多孔膜に接合している、不織ウェブと
を含む熱可塑性フィルムに関する。
【0088】
所望により、熱可塑性フィルムは以下の特性の1つまたは複数を有する。
標準化透気度≦1.0×10秒/100cm/20μm
【0089】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムの標準化透気度(ガーレー値、JIS P8117に従って測定、20μmの厚さを有する同等の熱可塑性フィルムの値に標準化)は、例えば約20秒/100cm/20μm〜約400秒/100cm/20μmの範囲といった、1.0×10秒/100cm/20μm以下である。透気度値は、20μmの厚さを有する同等のフィルムの値に標準化するため、熱可塑性フィルムの標準化透気度値は、「秒/100cm/20μm」の単位で表す。
【0090】
標準化透気度は、JIS P8117に従って測定し、その結果を、A=20μm*(X)/T(式中、Xは、実厚さTを有するフィルムの透気度の測定値であり、Aは、厚さ20μmの同等のフィルムの標準化透気度である)の式を用いて厚さ20μmの同等のフィルムの透気度値に標準化する。
【0091】
ある実施形態においては、熱可塑性フィルムの標準化透気度は、微多孔膜基材の標準化透気度以下(すなわち、同じかまたはより透過性が高い)である。所望により熱可塑性フィルムの標準化透気度は、微多孔膜基材の透気度の0.15〜0.90倍の範囲である。
空孔率
【0092】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムは、例えば約25%〜約80%、または30%〜60%の範囲といった、25%以上の空孔率を有する。熱可塑性フィルムの空孔率は、フィルムの実重量と、同じ組成の同等の非多孔性フィルム(同じ長さ、幅、および厚さを有するという意味において同等)の重量とを比較することにより従来法で測定する。次に以下の式を用いて空孔率を求める:空孔率%=100×(w2−w1)/w2。式中、「w1」は熱可塑性フィルムの実重量であり、「w2」は、同じ大きさおよび厚さを有する同等の非多孔性フィルムの重量である。
標準化突刺強度
【0093】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムは、例えば1.1×10mN/20μm〜1.0×10mN/20μmの範囲といった、1.0×10mN/20μm以上の標準化突刺強度を有する。突刺強度は、厚さTを有する熱可塑性フィルムを、末端が球面(曲率半径R:0.5mm)である直径1mmの針で2mm/秒の速度で突き刺した時に23℃の温度で測定した最大荷重、と定義される。この突刺強度(「S」)を、S=20μm*(S)/T(式中、Sは突刺強度の実測値であり、Sは標準化突刺強度であり、Tは熱可塑性フィルムの平均厚さである)の式を用いて、20μmの厚さを有する同等のフィルムの突刺強度に標準化する。
引張強さ
【0094】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムは、例えば95,000〜110,000kPaの範囲といった、95,000kPa以上のMD引張強さ、および例えば90,000kPa〜110,000kPaの範囲といった、90,000kPa以上のTD引張強さを有する。引張強さは、ASTM D-882Aに従って、MDおよびTDにおいて測定する。
引張伸び
【0095】
引張伸びは、ASTM D-882Aに従って測定する。1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムのMDおよびTD引張伸びはそれぞれ、例えば125%〜350%の範囲といった、100%以上である。別の実施形態においては、熱可塑性フィルムのMD引張伸びは、例えば125%〜250%の範囲であり、TD引張伸びは、例えば140%〜300%の範囲である。
シャットダウン温度
【0096】
熱可塑性フィルムのシャットダウン温度は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2007/052663号に開示されている方法によって測定する。この方法に従い、熱可塑性フィルムを上昇していく温度(30℃で開始して5℃/分)にさらし、その間にフィルムの透気度を測定する。熱可塑性フィルムのシャットダウン温度は、フィルムの透気度(ガーレー値)が最初に1.0×10秒/100cmを超える時の温度と定義される。フィルムの透気度は、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を用いてJIS P8117に従って測定する。
【0097】
ある実施形態においては、熱可塑性フィルムは、例えば120.0℃〜130.0℃の範囲、例えば124.0℃〜129.0℃の範囲といった、138.0℃以下のシャットダウン温度を有する。
105℃におけるMDおよびTD熱収縮
【0098】
1つまたは複数の実施形態においては、熱可塑性フィルムは、例えば1.0%〜5.0%といった、10.0%以下の105℃におけるMDおよびTD熱収縮を有する。105℃における直交面方向(例えばMDまたはTD)への熱可塑性フィルムの収縮は、次のようにして測定する:(i)周囲温度における熱可塑性フィルムの試験片の大きさをMDおよびTDの両方について測定し、(ii)試験片を、荷重をかけずに8時間105℃の温度にさらし、次いで(iii)MDおよびTDの両方への熱可塑性フィルムの大きさを測定する。MDまたはTDへのいずれの熱(すなわち「熱による」)収縮も、測定結果(i)を測定結果(ii)で割り、得られた商を百分率で表すことによって得ることができる。
【0099】
1つまたは複数の実施形態においては、膜は、例えば0.5%〜5.0%といった、10%以下の105℃におけるTD熱収縮を有する。
メルトダウン温度
【0100】
熱可塑性フィルムのメルトダウン温度は、上昇していく温度(30℃で開始して5℃/分)に熱可塑性フィルムをさらしながら熱可塑性フィルムの透気度(ガーレー値)を測定することにより測定する。熱可塑性フィルムの透気度は、低下していき、熱可塑性フィルムのシャットダウン温度より高い温度にて100,000秒/100cm以上のガーレー値でプラトーに達する。温度がさらに上昇すると、熱可塑性フィルムの透気度は、およそ0秒/100cmのベースライン値が達成されるまで急激に上昇する。熱可塑性フィルムのメルトダウン温度は、フィルムの透気度(ガーレー値)が、ベースライン値に向かって低下しながら、100,000秒/100cmのガーレー値を最初に通過する時の温度と定義される。熱可塑性フィルムの透気度は、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を用いてJIS P8117に従って測定する。ある実施形態においては、フィルムは、例えば150℃〜200℃、例えば175℃〜195℃の範囲といった、145.0℃以上のメルトダウン温度を有する。
【0101】
熱可塑性フィルムは、シャットダウン温度と透気度とのバランスが良く、かつ常圧で液体(水性および非水性)を透過させる。したがって微多孔膜は、バッテリーセパレーター、濾過膜等として使用することができる。熱可塑性フィルムは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等の二次電池用のBSFとして特に有用である。ある実施形態においては、本発明は、熱可塑性フィルムを含むBSFを含有するリチウムイオン二次電池に関する。
【0102】
かかる電池は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開WO2008/016174に記載されている。
【0103】
本発明を、本発明の範囲を制限することを意図することなく、下記実施例を参照してより詳細に説明する。
【実施例】
【0104】
4つの熱可塑性フィルムを、ライフェンハウザー社の500mm二成分メルトブローラインで製造する。メルトブロー繊維の不織ウェブを、下記表1にまとめた市販の微多孔膜上に吹き付ける。
【表1】

【0105】
2つの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いてメルトブロー繊維を製造する。樹脂Aは、190℃における155のメルトインデックスおよび125℃のTmを有する直鎖状低密度ポリエチレン(DOW DNDA 1082 NT(登録商標))である。樹脂Bは、190℃における595のメルトインデックスおよび115℃のTmを有する直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0106】
試料1〜4の熱可塑性フィルムを製造するためのメルトブロー処理条件を表2に示す。
【0107】
メルトブローウェブは、(1)樹脂を押出機に連続的に供給する工程、(2)樹脂を溶融させると同時に樹脂を紡糸口金を通して押し出して、樹脂を繊維内に押し出す工程、(3)熱を周囲の空気に移動させることによって繊維を固化させる工程により製造される。メルトブロー工程においては、紡糸口金は、それぞれ0.1〜0.5mmの範囲の直径を有する、500mmの1列のキャピラリーを有する。ダイ幅1リニアインチ(25.4mm)当たりキャピラリー出口孔が30個ある。次いで繊維を微多孔膜基材上に堆積させてウェブを製造する。
【0108】
熱可塑性フィルムの特性を表3に示す。
【表2】


【表3】

【0109】
表3を参照すると、実施例2の熱可塑性フィルムは、実施例1の熱可塑性フィルムと同じであるが、2度目の測定により、結果が再現性を有することが示されている。
【0110】
実施例1〜5によって、微多孔膜基材を含む熱可塑性フィルムおよびその上に堆積した不織ポリマーウェブの製造が成功したことが実証されている。これらの実施例から、全てのケースにおいて、熱可塑性フィルムは、透気度やメルトダウン温度が有意に低下することなく、微多孔膜基材よりも低いシャットダウン温度を有していることがわかる。
【0111】
ある特定の実施形態および特徴を、一連の数値の上限および一連の数値の下限を用いて説明してきた。特に明記しない限り、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が想定されていることを理解すべきである。ある特定の下限、上限、および範囲は、以下の1つまたは複数の請求項に見られる。全ての数値は、「約」または「およそ」示された値であり、当業者によって予測される実験誤差および変動を考慮に入れている。
【0112】
種々の用語を上記で定義してきた。クレーム中に使用される語が上記で定義されていない場合、少なくとも1つの刊行物または発行特許中に反映されている、関連技術分野の当業者がその語に与えてきた最も広い定義が与えられるべきである。さらに、本願で引用した全ての特許、試験手順、およびその他の文献は、参照により、かかる開示が本願に矛盾しない範囲で完全に組み込まれ、またかかる組込みが許容される全ての権限について完全に組み込まれる。
【0113】
上記は本発明の実施形態に関するが、本発明の他のさらなる実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考案してもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって定められる。添付の請求項の各々は別個の発明を規定しており、それらの発明は、権利侵害に関する目的のため、請求項に明記された種々の要素または制限の同等物を含むものと認識される。文脈にもよるが、「発明」および/または「実施形態」への本明細書中の全ての言及は、通常はある特定の実施形態のみに言及するものである。本発明のある特定の態様に関する実施形態をより詳細に説明してきたものと理解すべきである。本発明は、これらの実施形態、バージョン、および実施例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔性ポリマー膜と
ポリマー微多孔膜に接合した不織ウェブと
を含む熱可塑性フィルムであって、
ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10.0℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含むことを特徴とする熱可塑性フィルム。
【請求項2】
ポリオレフィンが、1.5×10〜5.0×10の範囲のMwおよび1.5〜5.0の範囲のMWDを有するポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性フィルム。
【請求項3】
ポリオレフィンが、ポリエチレンホモポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性フィルム。
【請求項4】
ポリオレフィンが、ポリエチレンコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性フィルム。
【請求項5】
ポリエチレンが、1.0×10以下のメルトインデックスを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項6】
ポリオレフィンが、95.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび1.0℃〜5.0℃の範囲のTe−Tmを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項7】
ポリエチレンコポリマーが、10.0モル%以下のヘキセン−1コモノマーまたはオクテン−1コモノマーを含み、かつポリエチレンコポリマーが、50.0%以上のCDBI、1.5×10〜5.0×10の範囲のMw、1.8〜3.5の範囲のMWD、100.0℃〜126.0℃の範囲のTm、および2.0℃〜4.0℃の範囲のTe−Tmを有することを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性フィルム。
【請求項8】
微多孔性ポリマー膜が、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項9】
微多孔性ポリマー膜が、1.0×10以下のMwを有するポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項10】
ポリマー微多孔膜が、多層状であり、少なくとも1つの層が、ポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項11】
ポリプロピレンが、1.0×10以上のMwおよび1.0×10J/g以上の融解熱を有することを特徴とする請求項10に記載の熱可塑性フィルム。
【請求項12】
138℃以下のシャットダウン温度を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項13】
145.0℃以上のメルトダウン温度を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項14】
1.0×10秒/100cm/20μm以下の標準化透気度、25%以上の空孔率、および3.0×10mN/20μm以上の標準化突刺強度を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の熱可塑性フィルムを含むことを特徴とするバッテリーセパレーターフィルム。
【請求項16】
不織ウェブと微多孔性ポリマー膜とを合わせることを含む熱可塑性フィルムの製造方法であって、ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10.0℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項17】
ポリオレフィンが、エチレンと、10.0モル%以下のオクタン−1コモノマーまたはヘキサン−1コモノマーとのコポリマーを含み、コポリマーが、50.0重量%以上のCDBI、1.5×10〜5.0×10の範囲のMw、1.8〜3.5の範囲のMWD、100.0℃〜126.0℃の範囲のTm、および2.0℃〜4.0℃の範囲のTe−Tmを有することを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
微多孔性ポリマー膜が、1.0×10以上のMwおよび1.0×10以上の融解熱を有するポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項16または17に記載の製造方法。
【請求項19】
ウェブが、ダイ幅2.54cm当たり9.5リットル/秒〜11.3リットル/秒の範囲の一次熱風流量、115kPa〜205kPaの範囲の一次熱風圧、200℃〜350℃の範囲の一次熱風温度、および0.01ghm〜1.25ghmの範囲のポリオレフィン押出量にてポリオレフィンをメルトブローすることにより製造されることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれかに記載の熱可塑性フィルム生成物。
【請求項21】
負極と、正極と、電解質と、負極と正極の間に位置するセパレーターとを含む電池であって、セパレーターが、
微多孔性ポリマー膜と
ポリマー微多孔膜に接合した不織ウェブと
を含み、ウェブが、85.0℃以上のTmおよび10℃以下のTe−Tmを有するポリオレフィンを含む複数の繊維を含むことを特徴とする電池。
【請求項22】
ポリオレフィンが、1.5×10〜5.0×10の範囲のMwおよび1.5〜5.0の範囲のMWDを有するポリエチレンを含むことを特徴とする請求項21に記載の電池。
【請求項23】
ポリオレフィンが、コモノマーを含み、コポリマーが、50.0%以上のCDBI、1.5×10〜5.0×10の範囲のMw、1.8〜3.5の範囲のMWD、100.0℃〜126.0℃の範囲のTm、および2.0℃〜4.0℃の範囲のTe−Tmを有することを特徴とする請求項21に記載の電池。
【請求項24】
セパレーターが、1.0×10秒/100cm/20μm以下の標準化透気度、25%以上の空孔率、および3.0×10mN/20μm以上の標準化突刺強度を有することを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載の電池。
【請求項25】
電池が、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載の電池。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−524683(P2012−524683A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507245(P2012−507245)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030238
【国際公開番号】WO2010/123685
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(510157580)東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 (31)
【Fターム(参考)】