説明

熱可塑性押出発泡体のエネルギー吸収物品

【課題】低密度において十分な圧縮強度を有する自動車EAUコアを提供する。
【解決手段】耐衝撃性を望む表面、エネルギー吸収物品に挿入された熱可塑性押出発泡体、この熱可塑性押出発泡体は第一の方向において他の方向よりも高い強度を有する合体したストランド発泡体であり、そしてこの熱可塑性押出発泡体はその強度が最大である第一の方向が耐衝撃性を望む方向にほぼ沿って配列されている、を含むエネルギー吸収物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性発泡体より形成された物品に関し、詳細には、熱可塑性発泡体より製造された、エネルギーもしくは衝撃吸収物品、例えば自動車エネルギー吸収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、低エネルギー(低速)衝撃を吸収するために、従来の金属製自動車バンパーと共に軽量プラスチック自動車エネルギー吸収ユニット(EAU)が用いられるようになっている。このプラスチック自動車EAUは通常プラスチック発泡体のコア材料とこの発泡体コアを包む合成樹脂製の表面材料から構成されており、堅いクロスビーム上に取り付けられている。発泡体コア材料用に提案されているプラスチック材料は、ポリウレタン、ポリエチレンビーズ、ポリスチレン及びポリプロピレンビーズ発泡体を含む。この発泡体コア材料は自動車のEAUの性能に影響を及ぼす重要な構成部材であり、通常優れたエネルギー吸収性及び寸法回復性を有することが必要である。さらに、自動車の重量を低減するため、EAUコア材料は低密度でなければならない。
【0003】
ポリウレタン発泡体EAUコアは優れたエネルギー吸収性及び寸法回復性を有するが、比較的密度が高い。その結果、このポリウレタン発泡体EAUコアは比較的重くかつ高価である。ポリスチレン発泡体は寸法回復性及び衝撃強度が比較的低い。従って、オレフィンポリマー、特にポリプロピレンタイプ樹脂の発泡ビーズより製造した自動車EAUコアが最も一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発泡オレフィンポリマーの従来の自動車EAUコアは、粒子を包むがガスを放出することができる成形型にポリプロピレンタイプ樹脂の発泡性ビーズを供給し、このビーズが発泡し、溶融し、そして互いに溶融結合する温度にこの発泡性ビーズを加熱し、それによってこの成形型のキャビティと同じ形状及び大きさに発泡した発泡成形品を形成することによって製造されている。ポリプロピレンタイプ樹脂発泡体のビーズより製造された自動車EAUコアは、25%歪において約250 ポンド/平方インチの圧縮強度を達成するために約12.5ポンド/立方フィートの発泡体密度を必要としている。低密度において十分な圧縮強度を有する自動車EAUコアが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、異方性の強度を示す熱可塑性押出発泡体より形成されたエネルギー吸収物品、及び異方性の強度を示す熱可塑性押出発泡体を用いる衝撃吸収方法が提供される。この熱可塑性押出発泡体は、エネルギー吸収物品への衝撃が予想される方向に沿って発泡体の高強度方向が配列されている、エネルギー吸収物品に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ドア内に含まれる熱可塑性押出発泡体を表すためにサイドドアの外部パネルを一部取り除いた、自動車の斜視図である。
【図2】図1のラインII−IIにおける断面図である。
【図3】EAUに含まれる熱可塑性押出発泡体を表すために一部取り除いた、図1に示す自動車の後部EAUの平面図である。
【図4】密度(ポンド/立方フィート)に対する25%歪における圧縮強度のグラフであり、ポリプロピレン樹脂の発泡性ビーズを密閉容器に分散させ、このビーズが発泡し、軟化し、互いに溶融結合する温度にこのビーズを加熱することによって製造した従来の成形品の圧縮強度に対する本発明に係る押出ポリオレフィン発泡体の圧縮強度を含んでいる。
【図5】比較的薄く、比較的密度の高い非発泡層と比較的熱い、比較的密度の低い発泡層を交互に含む熱可塑性発泡体複合体の横断面図である。
【図6】比較的密度の低い熱可塑性発泡体により占められた空間を形成する比較的薄く、比較的密度の高い交差フィルム層のネットワークを有する熱可塑性発泡体の横断面図である。
【図7】モノコック状強化構造として作用する発泡体コアと高密度スキンを含む熱可塑性発泡体複合体の横断面図である。
【図8】装飾層が結合している熱可塑性発泡体物品の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1において、ドアのキャビティ内に含まれる衝撃吸収熱可塑性押出発泡体インサート16を含むサイドドア14及び衝撃吸収後部EAU12を有する自動車10が示されている。図2に詳細に示すように、この熱可塑性発泡体インサート16はサイドドア14の外壁18と内壁20の間に配置されている。熱可塑性発泡体インサート16は異方性強度特性を示す熱可塑性押出発泡体である。より詳細には、発泡体インサート16は一方向において他の方向よりも高い強度を示す。熱可塑性発泡体インサート16は、強度が最大である方向が自動車10の長手方向に延びる鉛直面に対してほぼ垂直になる、すなわちドア壁パネル18及び20にほぼ垂直になるようにサイドドア14内に配列されている。従って、この異方性強度を示す熱可塑性発泡体は、最大強度方向が耐衝撃性が望まれる方向にそって配列するように配置されている。
【0008】
図3に示すように、後部EAUは、耐衝撃性が望まれる方向にほぼ垂直である露出面22を含んでいる。EAU12は通常の形状のカバー12を含み、1以上の熱可塑性押出発泡体インサート26、27、28を含んでいる。このインサートの各々は、一方向の強度が多方向の強度よりも高い異方性強度特性を示す。熱可塑性発泡体インサート26、27、及び28は、強度が最大である方向が自動車の長手方向に沿うように、すなわち後部EAU12の露出面22とほぼ垂直になるように配置されている。この配列はカバー24の外端に垂直であってもよい。
【0009】
好適な発泡性熱可塑性組成物は、ポリエチレン(低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン(HDPE)を含む)、ポリプロピレン、及びエチレンもしくはプロピレンとこれと共重合性のモノエチレン系不飽和モノマーとのコポリマーを含む。その例は、エチレンとアクリル酸もしくはメタクリル酸及びC1-4アルキルエステルもしくはイオノマー誘導体のコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン/一酸化炭素コポリマー、ジエンのオレフィンコポリマーを含む無水物、エチレンと超低分子量(すなわち密度0.92g/cc未満)のα−オレフィンのコポリマー、上記の樹脂のすべての混合物、これらとポリエチレン(高密度、中密度もしくは低密度)の混合物等を含む。好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレンホモポリマー及び少なくとも約50重量%のプロピレンと組み合わせたポリプロピレンのコポリマーを含む。他の好適なポリオレフィンは、分枝鎖ポリプロピレンホモポリマー及びポリプロピレンの分枝鎖コポリマーを含む。
【0010】
エチレンもしくはプロピレン及び極性コモノマーのポリマーは公知の付加重合法又は反応性コモノマーとエチレンもしくはプロピレンの好ましいポリマーとのグラフト反応によって製造される。他のエラストマー成分、例えばポリイソブチレン、ポリブタジエン、エチレン/ プロピレンコポリマー、及びエチレン/ プロピレン・ジエンインターポリマーも、所望によりこの混合物に含ンでもよい。さらに、シラン官能性架橋のようなエチレンもしくはプロピレンポリマーの潜架橋を与える架橋剤、又は共有もしくはイオン性架橋剤のような他の成分も所望により含んでよい。
【0011】
本発明に用いることができる他の好適な発泡性熱可塑性組成物は、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート及ポリスチレン樹脂を含む。
【0012】
熱可塑性ポリマー材料もしくは混合物は、供給し、溶融させ、押出機のような従来の溶融加工装置に入れることによる従来の方法で加工される。流動性ゲルもしくは混合物を形成するに適した圧力において、揮発性発泡剤及び所望の架橋剤がポリオレフィンポリマーもしくは混合物と混合される。架橋剤は架橋を開始し、ポリマーの溶融破壊を起こす圧力未満にこのゲルもしくは混合物の圧力を高めるに十分な量で添加される。この「溶融破壊」とは、ダイを通過して押し出される際にポリマーの溶融流れが不安定になることを意味するものであり、この流れの不安定は最終製品におけるボイド及び/又は他のむらの原因となる。
【0013】
無機充填材、顔料、抗酸化剤、酸スカベンジャー、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、加工助剤、押出助剤等のような様々な添加剤を加えることも可能である。
【0014】
必要ではないが、ある状況においては望ましい添加剤の1つは、当該分野において公知である核剤である。セルのサイズ及び分散を制御するために本発明において所望により用いられる核剤としては、無機物質、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、珪藻土等、ナトリウム、アンモニウム等の炭酸水素塩もしくは炭酸塩と無機もしくは有機酸、例えば硼酸、クエン酸、酒石酸等との組合せによって発生する二酸化炭素、熱分解タイプ化学発泡剤、例えばアゾジカーボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジン、トルエンスルホニルヒドラジン等が挙げられる。これらのうち、押出温度に制限がないため、微粉砕された生成物もしくは無機物質、例えば炭酸カルシウム、タルク等が比較的好ましい。
【0015】
核剤の量は、熱可塑性樹脂もしくは混合物100 重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で選択される。この範囲において、最も好ましい量は0.1〜3重量部である。通常、核剤の量が増すと、セルの直径は小さくなる。しかし、この量が5重量部を越えると、核形成物質の凝集もしくは不十分な分散が起こり、セルの直径は大きくなる。一方、この量が0.01重量部未満であると、核形成作用は低くすぎてセルの直径を小さくできない。
【0016】
本発明において有効な揮発性発泡剤は−90℃〜+80℃の沸点を有し、限定するものではないが、脂肪族炭化水素、例えばn-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソブタン、n-ブタン、プロパン、エタン等、フッ素塩素化炭化水素、例えばジクロロテトラフルオロエタン、トリフルオロエタン、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等を含む。これらのうち、環境の観点から完全にハロゲン化されていない炭化水素が好ましい。特に好ましい完全にハロゲン化されていない炭化水素は、部分フッ素化されたもしくは完全にフッ素化された炭化水素及び完全にハロゲン化されていないフッ素塩素化炭化水素である。その例は、1-クロロ-1,1- フルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン及び1,1-ジフルオロエタンを含む。
【0017】
用いてよい他の発泡剤は、HFC 152a、HCFC 142b 、及びHFC 134aを含む。特に好ましい脂肪族炭化水素は、イソブタン及びイソブタン/n-ブタン混合物である。用いてよい他の発泡剤は、アルコール、例えばメタノール及びエタノールを含む。また、無機発泡剤、例えば二酸化炭素、水、窒素、アルゴン及びこれらの混合物、並びにこれらの無機発泡剤と炭化水素及び/又はハロゲン化炭化水素発泡剤の混合物も用いてよい。また、分解性発泡剤、例えばアゾビスホルムアミドも揮発性発泡剤に混入してよい。これらの揮発性発泡剤のあらゆる混合物も本発明において用いてよい。また、主要な発泡剤として水及び/又は二酸化炭素を含む混合物も用いてよい。
【0018】
発泡作業性及び発泡体生成物の品質の観点から、熱可塑性樹脂もしくは混合物に加えられる発泡剤の量は、好ましくは熱可塑性樹脂もしくは混合物100gに対して0.012〜0.14gである。通常、熱可塑性樹脂もしくは混合物に混入される発泡剤の量は所望の発泡体密度によってきまる。通常、多量の発泡剤を混入させると、発泡比(この発泡比とは発泡した生成物の密度に対する樹脂もしくは混合物の密度の比を意味する)が高くなり、従って発泡体密度が低くなる。しかし、押出機内で樹脂と発泡剤の間に分離を起こすほどの量の発泡剤を混入しないように注意しなければならない。このことが起こると、「ダイ内における発泡」が起こり、発泡製品の表面が荒くなり、満足できない製品となる。
【0019】
本発明の原理に従ってエネルギー吸収物品の製造に有効な押出製品を製造するための発泡性混合物の製造及び押出の他の好適な方法は米国特許第 5,348,795号、5,527,573 号及び 5,567,742号に開示されている。
【0020】
熱可塑性発泡体混合物は通常、熱可塑性樹脂もしくは混合物を加熱して可塑化されたもしくは溶融したポリマー材料を形成し、ここに発泡剤を混入して発泡性ゲルを形成し、そしてこのゲルをダイを通して押し出して発泡体製品を形成することにより製造される。発泡剤と混合する前に、熱可塑性樹脂もしくは混合物をそのガラス転移温度もしくは融点以上の温度に加熱する。発泡剤は公知の方法、例えば押出機、ミキサー、ブレンダー等により溶融した材料に混合する。この発泡剤は溶融したポリマー材料の実質的な発泡を防ぎかつ発泡剤を均一に分散させるに十分な高圧において溶融したポリマー材料と混合される。所望により、可塑化もしくは溶融する前に核剤をポリマー材料と溶融混合もしくは乾燥混合してもよい。発泡性ゲルは通常発泡体構造の物性を最適にするために低温に冷却される。このゲルは押出機内もしくは他の混合装置内又は別の冷却機内で冷却してよい。次いでこのゲルは所望の形状のダイを通して減圧ゾーンに押し出され、発泡製品を形成する。この低圧ゾーンの圧力は、発泡性ゲルがダイを通して押し出される前の圧力よりも低い。この低圧は大気圧より高くてもよいが、好ましくは大気圧レベルである。
【0021】
熱可塑性発泡体は連続気泡でも独立気泡でもよい。連続気泡の比率は、公知のように、発泡剤、添加剤、ポリマー、及び加工パラメーター、例えば温度、圧力、及び押出速度の選択によって制御される。
【0022】
本発明の態様によれば、熱可塑性発泡体は、多数のオリフィスを含むダイを用いて溶融した熱可塑性組成物を押出発泡することにより製造される。このオリフィスは、発泡工程の間に隣接する溶融した押出体流が接触し、この接触した表面が互いに十分に接着して一体構造を与えるように配置されている。望ましくは、合体した発泡体の個々のストランドは一体構造に接着しており、発泡体製品の製造、成形及び形成の際に遭遇する応力においても薄利しない。米国特許第 4,824,720号にはこの合体した発泡法が記載されている。この特許には、多数のオリフィスを含むダイを用いて溶融した熱可塑性組成物を押出成形することによる、多数の合体した押出ストランドを含む独立気泡発泡体構造の提供方法が記載されている。この合体したストランド発泡体は2以上の密度の異なるストランドを含む同時押出品であってもよい。
【0023】
同時押出法及び熱可塑性発泡体の密度を変える方法は当該分野において公知であり、ここでは詳細には説明しない。2以上の密度の異なる発泡体ストランドを有する合体したストランド発泡体を含む同時押出品に加え、本発明に用いられる異方性強度特性を示す押出熱可塑性発泡体は、発泡体ストランド及び未発泡熱可塑性樹脂の挿入物を含む同時押出品を含む。
【0024】
本発明の態様によれば、異方性強度特性を示すエネルギー吸収物品は、隣接する溶融した押出体流が接触し、表面が接着して一体化した発泡体製品を与えるように配置されている多数のオリフィスを含むダイを通して発泡性熱可塑性ゲルを押し出すことにより製造される。ここで発泡性ゲルのポリマー成分は、主要量(50重量%より多い)のホモポリマーもしくはコポリマー(ここでモノマーユニッチョの主要部はプロピレンモノマーユニットである)及び少量(50重量%未満)のポリエチレンタイプ樹脂改質剤(モノマーユニットの主要部はエチレンモノマーユニットである)を含むポリマー混合物を含む。このポリマー混合物より製造される合体したストランド発泡体は、ポリプロピレンホモポリマーから又はポリプロピレンホモポリマーとエチレン−プロピレンコポリマー樹脂改質剤の混合物から製造した合体したストランド発泡体と比較して、予想外に高い引張強度(特に合体したストランドの長手方向(すなわち押出方向)に平行な方向に)を示すことが見出された。この高い引張強度(特に合体したストランドの長手方向に平行な方向)は、大部分がもしくは完全にエチレンモノマーユニットからなるホモポリマーもしくアコポリマーである少量のポリエチレンタイプ樹脂改質剤の添加による高いストランド−ストランド接着に起因するものである。このポリエチレンタイプ樹脂改質剤は通常、ポリプロピレンホモポリマーもしくはコポリマーの融点よりも低い融点を有し、好ましくは約125℃以下の融点を有する。このポリエチレンタイプ樹脂改質剤はエチレンモノマーユニット主要部からなり、より好ましくは少なくとも80重量%のエチレンモノマーユニットからなる。
【0025】
好ましいポリエチレンタイプ樹脂改質剤の例は、約5.63以上のメルトフロー比I10/I2、式Mw/MN≦(I10/I2)−4.63で規定される分子量分布Mw/MN、並びにほぼ同じI2及びMW/MNを有する線状オレフィンポリマーの表面溶融破壊の開始時における臨界剪断速度よりも少なくとも50%高い表面溶融破壊の開始時における臨界剪断速度を有する低密度ポリエチレンホモポリマー及び実質的に線状のエチレン系ポリマーを含む。上記の実質的に線状のエチレン系ポリマーは米国特許第 5,340,840号及び5,272,236号に記載されている。他の好ましいポリエチレンタイプ樹脂改質剤は、約0.89g/cc〜約0.92g/ccの密度、約1.8〜約2.8の分子量分布(Mw/MN)、約0.001g/10min〜約10g/10minのメルトインデックス(I2)を有し、高い密度画分を有さず、示差走査熱量計を用いて測定して単一の溶融ピークを示し、4×106ダイン/cm2より高い溶融破壊の開始時における臨界剪断応力及び1.3 〜2.3(高PEの値)の歪硬化係数の傾斜を有する、均一に分枝した実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーである。この均一に分枝した実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは米国特許第5,677,383号に記載されている。主要量のプロピレンポリマーと共に少量で用いられ、高いストランド−ストランド接着並びに高い引張強度及びモジュラス(特に合体したストランドの長手方向に平行な方向に)を示す合体したストランド発泡体を形成するために多数のオリフィスを有するダイを通して押し出される他の好適なエチレンタイプ樹脂改質剤は、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)(例えば、米国特許第 4,076,698号におけるようなチーグラー触媒を用いて製造されるもの)、エチレン/エステルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレンとエチレン系不飽和カルボン酸のコポリマー、α−エチレンのホモポリマー及びコポリマー等を含む。
【0026】
主要量のプロピレンポリマーと共に少量で混合され、高いストランド−ストランド接着並びに合体したストランドの長手方向に平行な方向に高い引張強度を示す合体したストランド発泡体を形成するために多数のオリフィスを有するダイを通して押し出される市販入手可能なポリエチレンタイプ樹脂の例は、Dow Chemical Companyより商品名"Affinity"として販売されている実質的に線状のエチレン系ポリマー、及びDow より商品名"Elite" として販売されている低密度ポリエチレンを含む。このポリエチレンタイプ樹脂改質剤は、少量で主要量のポリプロピレンホモポリマーもしくはコポリマーと、発泡剤及び他の添加剤と共に混合して発泡性ゲルを形成し、多数のオリフィスを有するダイを通して押し出すと、ポリプロピレンホモポリマー及びエチレン/プロピレンコポリマー樹脂改質剤を含むポリマーブレンド(約20%エチレンモノマーユニットからなる)からなる合体したストランド発泡体と比較して、合体したストランドの長手方向に平行な方向における引張強度がかなり向上した合体したストランド発泡体を与える。
【0027】
本発明の合体したストランド発泡体エネルギー吸収物品は脱落(missing)ストランド又は設計(designed)ボイド、すなわち不連続である押出方向に垂直な断面を含む。この脱落ストランド又は設計ボイドを有する合体したストランド発泡体は、押し出されたストランドがその先端において結合しボイドを規定するネットワークを形成するようにボイドを規定する配列で配置されている多数のオリフィスを有するダイを通して熱可塑性発泡性ゲルを押し出すことにより製造される。脱落ストランド又は設計ボイドを有さない合体したストランド発泡体を製造するように設計された多数のオリフィスを有するダイを、このオリフィスの一部をブロックすることによって脱落ストランド又は設計ボイドを有する合体したストランド発泡体を製造するために改良することができる。設計ボイドを有するエネルギー吸収物品は、有利には塊密度及び柔軟性の操作(モジュラスコントロール)を可能にし、空気流を高める用途において用いられる。また、この設計ボイドはワイヤ、光ファイバ等の通路を形成するために用いてもよい。設計ボイドを有するストランド発泡体の形成方法は、米国特許第 4,801,484号に記載されている。
【0028】
異方性強度特性を示す熱可塑性押出発泡体は押出厚板として製造してもよい。熱可塑性押出発泡体厚板は一般に用いられる速度でスリットダイを通して引っ張ってよく、対抗するベルト、ニップローラー等の引き抜き手段により引くことによるような当該分野において公知の手段によってダイから引き抜かれる。
【0029】
異方性強度特性を示すエネルギー吸収物品の特に好ましい製造方法は、隣接する溶融した押出品の接触によってその表面が接着し、合体した発泡体製品を形成するように配置された多数のオリフィスを含むダイを通して発泡性熱可塑性ゲルを押し出すことを含むが、同様の異方性強度特性を示す熱可塑性発泡体製品を形成するために他の方法も用いてよい。
【0030】
異方性強度特性を示す発泡体製品の他の形成方法は、所望の形状(例えば長方形)を有するダイに通して熱可塑性発泡性ゲルを押し出し、離れた(例えば平行な)多数の切断面を有する押出品を与え、その後この切断面を加熱融着させてこの押出品を、非発泡層の間に挿入された比較的厚い低密度発泡体層44よりも密度の高い多数の比較的薄い、離れた熱可塑性非発泡層42を有する熱可塑性発泡体物品40(図5)に再一体化することである。押出品の切断面を切断し融着して比較的厚い発泡体層と比較的薄い非発泡層を交互に含む層状もしくは積層構造を有する熱可塑性物品を形成する好適な方法は、熱可塑性発泡体を切断し、離れた多数のホットワイヤを有する成形具に通し、この発泡体を切断し、好ましくはホットワイヤの直後に切断面を互いに融着させることである。ホットワイヤが押出品を通過した際に、熱可塑性発泡体は軟化しもしくは溶融し、ホットワイヤの付近で気泡質発泡構造が潰れ、実質的に再固化して比較的薄い、比較的高密度の非発泡層が形成する。得られる層状もしくは積層構造は異方性強度特性を示す。特に、得られる層状構造は、非発泡層が配列されている面に垂直な方向よりも非発泡層が配列されている面に沿った方向において高い強度を示す。
【0031】
第一の離れた(例えば平行)切断面、この第一の切断面に対して所定の角度(例えば垂直)に配置された第二の離れた(例えば平行)切断面を有する押出品を提供し、次いでこの切断面を互いに熱融着させることによってハニカム状複合構造体60(図6)を製造することができる。これは、互いに平行に配置された第一の離れたホットワイヤと互いに平行にかつ第一のホットワイヤに対して所定の角度(例えば垂直)で配置された第二の離れたホットワイヤを有するように配置された離れたホットワイヤを有する成形具に押出品を通すことによって達成される。ホットワイヤが押出品を通過すると、熱可塑性発泡体は軟化しもしくは溶融し、このホットワイヤの近くで気泡質発泡体構造が潰れ、その後再固化されて比較的薄い、比較的高密度の挿入非発泡層52のネットワークが形成し、これは比較的密度の低い熱可塑性発泡体54に占められている挿入壁の境界により規定される空間と共にハニカム状構造を形成する。得られるハニカム状複合構造体は異方性強度特性を示す。特に、このハニカム状複合構造体は挿入非発泡層に垂直な方向よりも挿入非発泡層の面に沿った方向においてより高い強度を示す。第一の離れたホットワイヤ及び第二の離れたホットワイヤは、押出品が通過する1つの成形具内に配置され、又は2つの異なる成形具内に配置される。又は、成形具に押出品を通して第一の離れたフィルムを形成し、得られた比較的厚い発泡体層と比較的薄い非発泡層を交互に有する層状構造体を回転させ(例えば90°)、そしてこの層状構造体をホットワイヤに対して異なる角度で同じ成形具に通してハニカム状複合構造体を形成することによって、離れたホットワイヤを1つのみ有する成形具を用いてこのハニカム状複合構造体を形成することもできる。
【0032】
他の方法として、多数の離れた切断面を有する押出品を提供し、その後この切断面を互いに熱融着させてこの押出品を層状もしくはハニカム状複合構造を有する熱可塑性発泡体製品に再構成することによる、異方性強度特性を示すエネルギー吸収物品の形成方法は、のこぎりもしくは刃物で押出品を切断し、この切断面の近くでこの切断面を加熱して熱可塑性発泡体を軟化もしくは溶融させて気泡質発泡構造を潰し、その直後にこの切断面を互いに接触させてこの表面を互いに熱融着させ、そして一体層もしくはハニカム状複合構造を形成することによって達成される。異方性強度特性を示すこの層状もしくはハニカム状複合構造体は必ずしも押出品の切断面を再一体化することによって製造する必要はないが、多数の熱可塑性発泡体片の表面(切断面又は押出品面)を熱融着させて一体化した1つの複合構造体を形成することによって製造される。さらに他の方法として、溶融した熱可塑性フィルム、シートもしくは層を熱可塑性発泡体の表面に乗せ、直後に表面を結合させて、又はハニカム構造体を形成する非発泡層を挿入することにより離れた薄い非発泡層と比較的厚い発泡体層を交互に有する一体化した構造体を形成することにより、熱可塑性発泡体片を表面において互いに結合させることもできる。さらに他の方法として、溶融した熱可塑性樹脂の代わりに熱硬化性接着剤のような接着剤を用いて熱可塑性発泡体の表面を結合させ、異方性強度特性を示す層状もしくはハニカム状複合構造体を形成することもできる。熱可塑性発泡体の表面を接着して異方性強度特性を示す一体化したエネルギー吸収物品の形成に用いられる溶融した熱可塑性材料及び/又は接着剤は熱可塑性発泡体との良好な接着性を示すべきであり、そして固化して熱可塑性発泡体よりも優れた強度を有するフィルムを形成すべきである。
【0033】
高い異方性強度特性を示すエネルギー吸収物品の他の製造方法は、熱可塑性発泡体の外表面を溶融させ、そしてこの溶融した外表面を熱成形して、発泡体コア64用のモノコック状強化構造体として作用する比較的高密度スキン62を含む複合体60(図7)を提供することを含む。例えば、異方性強度特性を有する発泡体の側面を溶融させ、熱成形して発泡体もしくはエネルギー吸収物品を囲む連続スキン62を形成する。得られる構造体は周囲を囲むチューブ状スキンに沿った方向に高い強度を有する。熱可塑性発泡体の外表面に別の構造スキンを積層することによっても同様のモノコック状構造強化体を提供することができる。この別の構造スキンは熱可塑性発泡体を構成するポリマーと同じもしくは異なるポリマーより構成してよい。
【0034】
本発明の上記の態様の異方性強度特性は、高い耐衝撃性を望む方向に配置された連続及び/又は不連続強化繊維の混入によってさらに高められる。好適な強化繊維は、合成繊維、例えばアラミド、ポリエステル、及びポリオレフィン繊維、天然繊維、例えばサイザル、セラミック繊維、ガラス繊維、金属繊維等を含む。
【0035】
発泡耐の物性及び耐熱性は、充填材の形態で有機もしくは無機材料の繊維もしくは粒子を添加することによって高められる。そのような繊維もしくは粒子は、製造の間に発泡体形成組成物に添加される。通常の材料は、カーボンブラック粒子、クレー粒子、カーボンもしくはグラファイト繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、液晶繊維等を含む。発泡体の物性及び耐熱性は、この発泡体にこれらの繊維もしくは粒子を含む非発泡フィルム/シート層もしくはコーティングを積層することによってさらに高められる。繊維の長さは短くても(フィブリル)長くてもよい。これはランダムに分散されてもよく、又は織布もしくは不織布又はプレプレグと共に配置されてもよい。
【0036】
様々な層、例えば装飾及び/又は機能布帛をエネルギー吸収物品に接着するために当該分野において公知の接着剤を用いてよい。有効な接着剤は、熱硬化性接着剤、例えばポリウレタン樹脂及びエポキシド、並びに熱可塑性接着剤、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー等を含む。有効な接着剤は、米国特許第 5,460,870号及び 5,670,211号に教示されている。この接着剤は、スプレー、コーティング、又はフィルムの形態のような公知の手段によって塗布してよい。好ましい接着剤は熱可塑性接着剤である。それは、コストが低くかつリサイクル可能であるからである。接着剤の存在は本発明には問題ではない。
【0037】
美的のために本発明のエネルギー吸収物品72に装飾材料70(図8)、例えばフェルトもしくは布帛の層を設けてもよい。その例は、フェルト又は織物布帛を含む。有効な布帛は、織物ポリエステル、ナイロン及びポリプロピレン繊維の布帛を含む。好ましくは、このフェルトもしくは布帛層は発泡体と同じもしくは同様のポリマー材料から構成されている。このフェルトもしくは布帛層は、熱溶着、接着剤フィルム、又は接着性液体もしくはコーティングのような当該分野において公知の手段によって発泡体に接着される。例えば、織物布帛もしくは熱可塑性繊維から構成されている装飾層は、接着剤の利点を損なうことなく本発明のエネルギー吸収物品に熱溶着される。熱溶着とは、布帛層を、繊維が粘着性になり、エネルギー吸収物品に接着できるようになるまで加熱することを意味する。また、エネルギー吸収物品を表面が粘着性になり、布帛層もしくは他の中間層に接着できるようになるまで加熱してもよい。布帛層は熱成形を行う場合には、エネルギー吸収物品の表面に熱溶着される。
【0038】
我々は、本発明の熱可塑性押出発泡体が異方性強度特性を示すことを見出した。より詳細には、我々は、押出方向における強度が押出方向に垂直な方向における強度よりも高いことを決定した。ここで強度特性とは、必ずしも限定するものではないが、圧縮強度、圧縮モジュラス、及び耐衝撃性を包含する。例えば、様々なパラメーター、押出の間に用いられる材料及び装置によって、押出方向における圧縮強度は押出方向に垂直な方向におけるよりも25%、50%、100 %、又は200 %もしくはそれ以上高い。例えば、ストランドもしくは合体したポリプロピレン押出品は、押出方向においてこの押出方向に垂直な方向よりも4倍以上高い圧縮強度を示した。従って、本発明のエネルギー吸収物品は、上記異方性強度特性を示す熱可塑性押出発泡体より形成され、この熱可塑性押出発泡体の最大強度方向は衝撃が加えられかつ耐衝撃性を望む方向に沿って配列されている。特に、エネルギー吸収物品の熱可塑性押出発泡体の最大強度方向と耐衝撃性を望む方向の差異は約45°未満、より好ましくは10°未満、最も好ましくは5°未満である。衝撃が予想されるもしくは衝撃が起こる方向又は耐衝撃性を望む方向への熱可塑性発泡体の最大強度方法の配列は、押出品の最大強度の方向が、耐衝撃性を望む方向に垂直な方向ではなく、耐衝撃性を望む方向にほぼ平行であることを意味する。最大強度の方向に対して垂直な軸のまわりの押出品の180 °の回転は最初の配置と同じである。
【0039】
望ましくは、材料、すなわち熱可塑性樹脂もしくは混合物、核剤、発泡剤、及びプロセスパラメーター、例えば温度及び押出速度は、発泡した押出品が20ポンド/立方フィート未満、好ましくは約2〜12ポンド/立方フィート、より好ましくは2.5〜10ポンド/立方フィート、最も好ましくは約3〜8ポンド/立方フィートの密度を有するように選ばれる。得られる押出品は異方性圧縮強度特性を示し、最も高い圧縮強度は押出方向に観察される。この押出品は通常、ASTM D3575-93(Suffix D) により測定し、押出方向において約25%歪で少なくとも約25psi、より好ましくは少なくとも約45psi、最も好ましくは少なくとも約75psiの圧縮強度を有する。
【0040】
本発明の熱可塑性押出発泡体は、所望の形状のエネルギー吸収物品、例えば自動車EAUに成形することができ、又は熱可塑性押出発泡体を切断し、エネルギー吸収物品を所望の形状に成形することができる。または、エネルギー吸収物品は、ホットエア溶接、スチーム溶接、高周波溶接、接着剤、機械的固定等により結合された多数の部材から構成され、複雑なエネルギー吸収物品を形成することができる。この方法において、特殊な形状又は様々な密度の部材を含むエネルギー吸収物品を製造することができる。また、熱可塑性押出発泡体以外の材料を含む複合物品も製造することができる。複雑なエネルギー吸収物品における本発明の熱可塑性押出発泡体を用いる他の方法は、適当なマトリックス樹脂を分散させた密閉した成形型へのインサートとしての熱可塑性押出発泡体を使用することである。
【0041】
異方性強度特性を示す本発明のポリマー発泡体エネルギー吸収物品は、輸送、輸送容器、建築物、並びに自動車用途等の広範囲の用途を有する。自動車用途は、フロント及び後部システム、ドア、シート、及びインストルメントパネル部材用のエネルギー吸収構造体を含む。負荷を受ける用途は、床板、胴板、シート部材、ハードトップ屋根、リフトゲート、及びピックアップテイルゲート等を含む。
【0042】
ここに開示した方法は、ケース、パッケージのような様々な緩衝用途において有効性を有する様々な物品に使用することができる。EAUの形成に加えて、本発明の方法は様々な他のエネルギー吸収自動車部材、例えばヘッドライナー、ピラートリム強化材、インストルメントパネル強化材、シートクッション及びシート材、及びテイルゲート等の製造に用いることができる。
【実施例】
【0043】
実施例1
多数のオリフィスを有するダイに通してポリプロピレンホモポリマーを押し出して、合体したもしくはストランドポリプロピレン押出発泡体を製造した。プロセスパラメーターを適宜変えることによって、様々な密度の合体したストランドポリプロピレン押出品を製造した。比較のため、市販入手可能なポリプロピレン粒子を、この粒子を囲むことができるが、ガスを放出することが可能な成形型に入れ、加熱して様々な密度の発泡成形品を形成した。この発泡押出品は異方性圧縮強度特性を示したが、一方成形したポリプロピレン発泡製品は等方性の圧縮強度特性を示した。図4において、押出方向において25%歪における発泡製品の圧縮強度を密度に対してプロットし、成形した発泡製品の25%歪における密度に対する圧縮強度と比較した。図4は、本発明の押出ポリオレフィン発泡製品(カーブA)が従来の成形したポリオレフィン発泡体製品(カーブB)よりもかなり高い圧縮強度を示している。
【0044】
実施例2
この実施例は、本発明の態様に従う、ポリマー成分が主要量のプロピレンホモポリマーと少量のポリエチレンタイプ樹脂改質剤を含む混合物からなる、様々な合体したストランド発泡体の製造及びテストを包含する。このテストは、ポリエチレンタイプ樹脂改質剤が合体ストランドの長手方向に平行な方向における引張強度をかなり向上させることを示している。
【0045】
比較のため、88重量部のプロピレンホモポリマーと12重量部のエチレン/プロピレン(E/P)コポリマーを含むポリマー混合物を用いて合体ストランド発泡体を製造した。押出機を用いて、12重量部のエチレン/プロピレンコポリマー(KS351P)、88重量部のプロピレンホモポリマー(6823)、0.1重量部のIrganox 1010及びUltranox 626(熱安定剤)、0.4重量部のタルク、及び0.2重量部のステアリン酸カルシウムを混合した。この混合物を185℃〜200℃において押出機から出し、次いで16重量部のイソブタン発泡剤と混合して液体発泡剤を溶融したポリマーと混合した。次いでこの混合物を160℃に冷却し、ダイを通して押し出した。ダイにおいて、混合物は多数のオリフィスを通って押し出され、合体したストランド発泡体を形成した。この発泡体を室温において1週間硬化させた後、引張テストサンプルをこの発泡体片から切取り、発泡体のストランド−ストランド接着を行った。ASTMテスト法によって水平方向の引張テストを行った。
【0046】
本発明による6つの実施例を製造し、実質的に同様にしてテストした(E/Pコポリマーを12部の異なるポリエチレンタイプ樹脂改質剤に変えることを除く)。この結果を以下の表1に示す。
表1
用いた樹脂 樹脂特性 引張強度(psi) 引張モジュラス(psi)
KS351P E/Pコポリマー 0.4MI 6.5 137
DPF-1340 Enhanced PE 3.0MI 0.909g/cc 8.8 82
DPF-1340 Enhanced pe 3.0MI 0.909g/cc 11.4 144
LDPE6201 LDPE 1.8MI 0.920g/cc 8.1 116
PL1280 AFFINITY PE 6.0MI 0.900g/cc 9.3 138
PL1880 AFFINITY PE 1.0MI 0.902g/cc 10.4 167.5
EG8150 AFFINITY PE 0.5MI 0.868g/cc 11.0 142
【0047】
本発明のポリエチレンタイプ樹脂改質剤を含む合体したストランド発泡体はすべて、プロピレンホモポリマー及びエチレン/プロピレンコポリマーのポリマー混合物より製造した合体したストランド発泡体と比較して、向上したストランド−ストランド接着性を示した(合体したストランドの長手方向に平行な方向において測定した引張強度の向上によって示される)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向において他の方向よりも高い強度を有する合体したストランド発泡体である熱可塑性発泡体を提供すること、及び
この合体したストランド発泡体に圧縮強度が最大である第一の方向にほぼ沿った方向に衝撃を加えること
を含む衝撃を吸収する方法。
【請求項2】
衝撃を吸収しようとする表面を有するエネルギー吸収物品に熱可塑性押出発泡体を挿入すること、ここでこの熱可塑性押出発泡体は、強度が最大である第一の方向が衝撃を吸収しようとする表面に対してほぼ垂直になるようにこの物品内に配列されている、を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
耐衝撃性を望む表面、
エネルギー吸収物品に挿入された熱可塑性押出発泡体、この熱可塑性押出発泡体は第一の方向において他の方向よりも高い強度を有する合体したストランド発泡体であり、そしてこの熱可塑性押出発泡体はその強度が最大である第一の方向が耐衝撃性を望む方向にほぼ沿って配列されている、
を含むエネルギー吸収物品。
【請求項4】
前記熱可塑性押出発泡体が、密度の異なる2以上のストランドの同時押出した合体したストランド発泡体である、請求項3記載の物品。
【請求項5】
前記熱可塑性発泡体が、未発泡熱可塑性樹脂の1つの挿入材と発泡体ストランドを含む同時押出品である、請求項3記載の物品。
【請求項6】
前記熱可塑性発泡体がポリオレフィンを含む、請求項4記載の物品。
【請求項7】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンホモポリマー、又はプロピレンのコポリマーであって、プロピレン繰り返し単位がコポリマーの少なくとも50重量%を含むもの、を主要部としてなる、請求項5記載の物品。
【請求項8】
前記熱可塑性発泡体が主要量のホモポリマーもしくはコポリマーを含むポリマー混合物と少量のポリエチレンタイプ樹脂改質剤から構成されており、前記コポリマーにおいてモノマー単位の主要部がプロピレンモノマー単位であり、前記ポリエチレンタイプ樹脂改質剤においてモノマー単位の主要部がエチレンモノマー単位である、請求項3記載の物品。
【請求項9】
前記ポリエチレンタイプ樹脂改質剤の融点が約125℃以下である、請求項8記載の物品。
【請求項10】
前記ポリエチレンタイプ樹脂改質剤が少なくとも80重量%のエチレンモノマー単位から構成されている、請求項9記載の物品。
【請求項11】
前記ポリエチレンタイプ樹脂改質剤が
(a)低密度ポリエチレンホモポリマー、
(b)約5.63以上のメルトフロー比(I10/I2)、式Mw/MN≦(I10/I2)−4.63で規定される分子量分布、並びにほぼ同じI2及びMw/MNを有する線状オレフィンポリマーの表面溶融破壊開始時における臨界剪断速度よりも少なくとも50%高い表面溶融破壊開始時における臨界剪断速度を有する実質的に線状のエチレン系ポリマー、または
(c)約0.89g/cc〜約0.92g/ccの密度、約1.8〜約2.8の分子量分布(Mw/MN)、約0.001g/10min〜約10g/10minのメルトインデックス(I2)を有し、高い密度画分を有さず、示差走査熱量計を用いて測定して単一の溶融ピークを示し、4×106ダイン/cm2より高い溶融破壊開始時における臨界剪断応力及び1.3〜2.3の歪硬化係数の傾斜を有する、均一に分枝した実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマー
より選ばれる、請求項10記載の物品。
【請求項12】
前記熱可塑性押出発泡体が意図的なボイドを含む、請求項3記載の物品。
【請求項13】
前記熱可塑性押出発泡体が、比較的厚い発泡体層と比較的薄い非発泡体層を交互に含む層状構造を有する、請求項3記載の物品。
【請求項14】
前記熱可塑性押出発泡体が、ハニカム状構造を形成する比較的薄い、比較的密度の高い非発泡体挿入層のネットワークを含み、この挿入層の壁によって規定されている空間が比較的密度の低い熱可塑性発泡体によって満たされている、請求項3記載の物品。
【請求項15】
前記熱可塑性発泡体が、モノコック状強化構造として作用する熱成形された外表面を有する、請求項3記載の物品。
【請求項16】
前記熱可塑性発泡体が強化繊維を含む、請求項3記載の物品。
【請求項17】
前記熱可塑性押出発泡体の密度が320kg/m3(20ポンド/立方フィート)未満である、請求項3記載の物品。
【請求項18】
前記熱可塑性押出発泡体の圧縮強度が、その強度が最大である方向において25%の歪で少なくとも約1.76kg/cm2(25ポンド/平方インチ)である、請求項3記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−109022(P2009−109022A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33096(P2009−33096)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【分割の表示】特願平11−505804の分割
【原出願日】平成10年6月26日(1998.6.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】