説明

熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、それにより得られた熱可塑性樹脂ペレット、および熱可塑性樹脂ペレットを成形した樹脂成形体

【課題】樹脂の流動性の低下による変質を抑制することができる、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】乳化重合により得られた乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体と、下記一般式(I)で表されるリン系化合物を同時に溶融押出する熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
(R−O)nP(O)(OH)m (I)
(一般式(I)において、Rは炭素数24個以下のアルキル基であり、nは1または2であり、mは3−nである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、それにより得られた熱可塑性樹脂ペレット、および熱可塑性樹脂ペレットを成形した樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂に配合剤を添加し、単軸押出機や二軸押出機などで溶融させながら押出し、ストランドをコールドカット法やホットカット法などでペレット状にカットしながら製造されている。
【0003】
溶融押出される熱可塑性樹脂は、例えば、乳化重合法などでポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル含有アクリルゴムラテックスを製造し、重合体を含有する乳化重合ラテックスは、塩析、酸析凝固、噴霧乾燥、又は凍結乾燥等により重合体が粉体状で分離回収されたものが使用される。回収された粉体は、上記のように押出機でペレットにし、各用途にあった形に成型され、例えば自動車分野、電気・電子機器分野、プリンタ等のOA機器をはじめとする種々の分野等に広く用いられている。特にアクリル樹脂からなる粉体を成形したものは透明性に優れており、美しい外観と耐候性を有することから、電器部品、車輌部品、光学用部品、装飾品、看板などの用途に幅広く用いられ、ゴムを含有するアクリル樹脂からなるアクリル樹脂成形体は広く利用されている。中でもフィルム状のアクリル樹脂成形体(以下、アクリル樹脂フィルム)は、透明性、耐候性、柔軟性、加工性に優れているという特長を生かし、各種樹脂成形品、木工製品および金属成形品の表面に積層される。
【0004】
上述のアクリル樹脂フィルム用原料としては、これまでに様々な樹脂組成物が提案され、実用化されている。このうち、特に耐候性、透明性に優れ、かつ耐折り曲げ白化性等の耐ストレス白化性に優れたアクリル樹脂フィルムを与える原料として、特公昭62−19309号公報、特公昭63−8983号公報、特開2003−128735号公報等に記載されているアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートおよびグラフト交叉剤を重合体の構成成分とする特定構造の多層構造重合体が知られている。この多層構造重合体をフィルム用原料として使用したアクリル樹脂フィルムは、特に性能が優れることから、車輌内装、家具、ドア材、窓枠、巾木、浴室内装等の建材用途等の表皮材、マーキングフィルム、高輝度反射材被覆用フィルムとして特に好適に使用されている。
【0005】
これまで重合体や成形体を得る方法として、フィッシュアイ由来の印刷抜けが少なく、各種印刷柄に対応可能な高いレベルの印刷性やフィッシュアイ由来の光学歪が小さく、各種光学用フィルムに使用可能なアクリル樹脂フィルムを与えるフィルム原料用多層構造重合体およびその製造方法が提案されている(特許文献1)。また、溶融押出時の生産性に優れ、外観が良好な樹脂成形体を成形可能な重合体の乳化重合ラテックスの製造方法、粉体の製造方法および樹脂成形体が提案されている(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2の方法で提案されている方法で重合体を回収した場合、粉体中に金属塩が残り、粉体を溶融押出する際の熱により、樹脂の溶融粘度が上がるため流動性が低下し、押出機内で滞留しやすくなり樹脂が変質する等の問題があった。またこのような変質した樹脂が成形体中に混入すると外観が悪化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−128735号公報
【特許文献2】特開2006−249198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の1つの目的は、樹脂の流動性の低下による変質を抑制することができる、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂ペレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、下記の手段を提供する。
1.乳化重合により得られた乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体と、下記一般式(I)で表されるリン系化合物を同時に溶融押出する熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
(R−O)nP(O)(OH)m (I)
(一般式(I)において、Rは炭素数24個以下のアルキル基であり、nは1または2であり、mは3−nである。)
2.前記乳化重合ラテックスがアクリル樹脂を含む、上記(1)に記載の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
3.上記(1)または(2)に記載の方法で製造された熱可塑性樹脂ペレット。
4.上記(3)に記載の熱可塑性樹脂ペレットが成形された樹脂成形体。
5.フィルム状である上記(4)に記載の樹脂成形体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱安定性に優れた熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、それにより得られた熱可塑性樹脂ペレットおよび熱可塑性樹脂ペレットを成形した樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、それにより得られた熱可塑性樹脂ペレット、および熱可塑性樹脂ペレットを成形した樹脂成形体の好ましい形態について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法は、乳化重合により得られた乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体と、下記一般式(I)で表されるリン系化合物を同時に溶融押出することを特徴とする。乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体とリン系化合物を同時に溶融押出することにより、熱安定性の良好な熱可塑性樹脂ペレットが得られる。なお、熱安定性とは、熱可塑性樹脂ペレットを溶融状態になるように加熱し、その加熱時間を長くしてもその樹脂の流動性の低下がないことをいう。
【0012】
(R−O)nP(O)(OH)m (I)
(一般式(I)において、Rは炭素数24個以下のアルキル基であり、nは1または2であり、mは3−nである。)
【0013】
<リン系化合物の添加方法>
本発明の熱可塑性樹脂ペレットを製造する際、重合体を溶融押出する際に下記一般式(I)リン系化合物を同時に押出することにより、溶融押出時の加熱による熱可塑性樹脂の溶融粘度の上昇が抑制され、熱可塑性樹脂の流動性が低下しない傾向にあり、押出機内での樹脂の滞留や変質を抑制させることができる。リン系化合物は、重合体と同時に溶融押出されればよく、重合体とリン系化合物をあらかじめブレンドし押出してもよいし、重合体とリン系化合物を押出機に同時に供給してもよい。
【0014】
(R−O)nP(O)(OH)m (I)
(一般式(I)において、Rは炭素数24個以下のアルキル基であり、nは1または2であり、mは3−nである。)
【0015】
<リン系化合物の構造、種類>
一般式(I)のリン系化合物は、一般式(II)及び一般式(III)の混合物として市販されているが、一般式(II)及び一般式(III)の単品も市販されている。
R−OP(O)(OH)2 (II)
(R−O)2P(O)OH (III)
(一般式(II)および一般式(III)中、Rは一般式(I)で定義したものと同じである。)
【0016】
本発明では、これらの混合物及び単品のいずれであっても使用できる。具体的に例示するとメチルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=119、大八化学工業AP−1、堺化学工業Phoslex A−1)、エチルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=139、堺化学工業Phoslex A−2、城北化学工業JP−502)、イソプロピルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=161、堺化学工業Phoslex A−3)、ブチルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=182、堺化学工業Phoslex A−4、大八化学工業AP−4、城北化学工業JP−504)、ジブチルホスフェート(単品で分子量=210、大八化学工業DP−4、城北化学工業DBP)、モノブチルホスフェート(単品で分子量=154、大八化学工業MP−4)、ブトキシエチルアッシドホスフェート(混合物、城北化学工業JP−508H)、2−エチルヘキシルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=266、堺化学工業Phoslex A−8、大八化学工業AP−8、城北化学工業JP−508)、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(単品で分子量=322、大八化学工業DP−8R、城北化学工業LB−58、堺化学工業Phoslex A−208)、イソデシルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=308、堺化学工業Phoslex A−10、大八化学工業AP−10)、モノイソデシルアッシドホスフェート(単品で分子量=238、大八化学工業MP−10)、ラウリルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=355、堺化学工業Phoslex A−12)、トリデシルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=371、堺化学工業Phoslex A−13)、ステアリルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=437、堺化学工業Phoslex A−18)、イソステアリルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=437、堺化学工業Phoslex A−180L)、オレイルアッシドホスフェート(混合物で平均分子量=467、堺化学工業Phoslex A−18D、城北化学JP-518-O)、ブチルピロホスフェート(城北化学JP-504A)、テトラコシルアッシドホスフェート(城北化学JP-524R)、エチレングリコールアッシドホスフェート(城北化学EGAP)、アルキル(C12、C14、C16、C18)アシッドホスフェート(城北化学JP-512)、イソトリデシルアシッドホスフェート(城北化学JP-513)、エチルジエチルホスホノアセテート(城北化学JC-224)等を例示する事ができる。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂ペレットを製造する際に配合されるリン系化合物の配合量は、重合体100質量部に対し、0.01〜1質量部が好ましい。リン系化合物の配合量が0.01質量部未満の場合、熱可塑性樹脂の加熱時間が長くなると流動性の低下を抑制する効果が得られない傾向にあり、また1質量部を超える場合は、得られる成形体の耐水性が悪化する傾向にある。リン系化合物の配合量は0.01〜1質量部が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.7質量部、最も好ましくは0.05〜0.5質量部である。
【0018】
<乳化重合>
本発明の製造方法に好ましく用いられる乳化重合ラテックスは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの重合体のラテックスも例示できるが、本発明によれば、特に外観の優れた樹脂成形体が成形できることから、フィルムに成形される場合が多く、また、その外観にも高いレベルが求められることの多いアクリル樹脂の乳化重合ラテックスが好適である。また、重合体としては、単層構造の重合体でも、複数の層からなる多層構造重合体、多段重合体でもよい。また、乳化重合工程は1段であっても2段以上であってもよい。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法で好ましく用いられるアクリル樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート及びブチルメタクリレートから成る群より選ばれる少なくとも一種を主原料とし、必要に応じて炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として得られる単一重合体又は共重合体、及びアルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアクリルゴム含有重合体等が挙げられる。また、特開昭52−56150号公報、特開昭57−140161号公報、特開昭58−215444号公報、特開昭63−77963号公報、特開平9−263614号公報、特開平11−228710号公報、特開2003−128735号公報、特開2003−211446号公報、特開2004−2665号公報及び特開2005−163003号公報に記載されているような多層構造重合体等が挙げられる。また、乳化重合工程は、1段であっても2段以上であってもよい。
【0020】
これらを重合する手段としては、従来から公知の重合装置を用いることができ、例えば、攪拌機を備えた重合槽などが挙げられる。また、ゴム状重合体に硬質重合体形成性単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体を製造する場合には、例えば、ゴム重合槽および1つ以上のグラフト重合槽を具備した重合装置を用いることができる。
【0021】
<凝固>
乳化重合工程により製造された乳化重合ラテックスから、重合体を粉体として回収する方法としては特に限定されないが、乳化重合ラテックスを金属塩水溶液と接触させて凝固させる凝固工程の後、重合体の1〜100質量倍程度の水でこれを洗浄し、ろ別などの脱水処理により湿潤状の粉体とし、さらに、この湿潤状の粉体を圧搾脱水機や、流動乾燥機などの熱風乾燥機で乾燥させる方法が好ましい。この際の乾燥温度、乾燥時間は重合体の種類によって適宜決定できる。
【0022】
凝固工程で好ましく使用される凝固剤である金属塩としては、特に限定はされないが、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸カリウム、ギ酸カルシウム等の有機塩や、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩等が挙げられ、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩が好ましい。特に乳化重合ラテックスがアクリル樹脂のラテックスの場合、粉体を成形した樹脂成形体の耐温水白化性の点、また、回収される粉体の含水率を低くする点で酢酸カルシウムが好ましい。凝固剤は1種を用いても2種類以上を併用してもよい。
【0023】
凝固剤は、通常、水溶液として用いられるが、凝固剤、好ましくは酢酸カルシウムの水溶液の濃度は、安定して重合体を凝固、回収できることから、0.1質量%以上、特に1質量%以上であることが好ましい。また、凝固剤、好ましくは酢酸カルシウムの水溶液の濃度は、回収した重合体に残存する凝固剤の量が少なく、特に乳化重合ラテックスがアクリル樹脂のラテックスの場合、耐温水白化性、着色性などの樹脂成形体の性能をほとんど低下させないことから、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。また、凝固剤が酢酸カルシウムの場合には、濃度が20質量%を越えると10℃以下では飽和により酢酸カルシウムが析出することがある。
【0024】
乳化重合ラテックスをカルシウム塩水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、カルシウム塩水溶液を攪拌しながら、そこにラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法や、カルシウム塩水溶液とラテックスとを一定の比率で攪拌機付きの容器に連続的に注入しながら接触させ、凝固された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法等が挙げられる。
【0025】
凝固工程で用いられるカルシウム塩水溶液の量は特に限定されないが、乳化重合ラテックス100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、また、乳化重合ラテックス100質量部に対して500質量部以下であることが好ましい。
【0026】
凝固工程の温度は特に限定されないが、30℃以上であることが好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。
【0027】
<溶融押出>
また、熱可塑性樹脂ペレットには必要に応じて一般の配合剤が添加され、配合剤としては、例えば、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、熱可塑性重合体等を挙げることができる。なお、配合剤を含有させる方法としては、成形品を得るための成形機に、重合体を含む固形物とともに供給する方法、予め重合体を含む固形物に配合剤を添加した原料混合物を各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。後者の方法で使用される混練機としては、通常の単軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂ペレットを溶融押出する際の温度は、重合体の種類によって適宜決定できるが、アクリル樹脂の場合、200℃〜280℃程度である。
【0029】
<熱可塑性樹脂ペレットの成形>
本発明の熱可塑性樹脂ペレットを成形する方法としては、特に限定されるものではないが、押出成形法、射出成形法、真空成形法、ブロー成形法、圧縮成形法などが挙げられる。
【0030】
<熱可塑性樹脂ペレットのフィルム成形>
熱可塑性樹脂ペレットがアクリル樹脂の場合には、樹脂成形体のなかでもフィルムに成形されると、その工業的利用価値が高まる。アクリル樹脂フィルムの用途としては、農業用ビニルハウス、マーキングフィルム、ポスター、壁紙、発泡シート、屋外用塩ビレザー、塩ビ鋼板の屋根材およびサイディング材等の外壁建材、自動車内外装、家具等の塗装代替、エレベーター内装、雨樋、床材、波板、化粧柱、照明、浴室や台所等の水周り部材の表皮材が例示できる。その他には、断熱フィルム、液晶ディスプレイなどの偏光板に使用される偏光膜保護フィルム、視野角補償、位相差補償のための位相差板に使用される位相差フィルム等が挙げられる。
【0031】
フィルムに成形する方法としては、公知の溶液流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法等が挙げられ、これらの中でも、Tダイ法が経済性の点で最も好ましい。アクリル樹脂フィルムの場合には、その厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは15〜200μmであり、さらに好ましくは40〜200μmである。10〜500μmであると、得られるアクリル樹脂フィルムは適度な剛性を有し、また、ラミネート性、二次加工性等が良好になる。
【0032】
アクリル樹脂フィルムはそのままで各種用途に使用しても、適宜基材に積層して使用してもよい。透明なアクリル樹脂フィルムを基材に積層すれば、クリア塗装の代替として用いることができ、基材の色調を生かすことができる。このように基材の色調を生かす用途においては、アクリル樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムに比べ、透明性、深み感や高級感の点で優れている。
【0033】
アクリル樹脂フィルムを積層する基材としては、各種樹脂や金属からなる成形品、木工製品などが挙げられる。基材が樹脂である場合、アクリル樹脂フィルムとの溶融接着可能な熱可塑性樹脂が好ましく、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはこれらを主成分とする樹脂が挙げられ、これらのなかでは、接着性の点でABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂あるいはこれらの樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂等の溶融接着し難い樹脂からなる基材の場合には、適宜接着層を設けてからアクリル樹脂フィルムを積層してもよい。
【0034】
基材が2次元形状であって、その基材が熱融着可能な材質である場合には、熱ラミネーション等の公知の方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層できる。熱融着が困難な材質の基材に対しては、接着剤を用いたり、アクリル樹脂フィルムの片面を粘着加工したりして積層すればよい。
【0035】
基材が3次元形状である場合には、予め所定の形状に加工したアクリル樹脂フィルムを射出成形用金型に挿入するインサート成形法、金型内で真空成形後、射出成形を行うインモールド成形法等の公知の成形方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層できる。
【0036】
これらの中でもインモールド成形法では、アクリル樹脂フィルムを真空成形により、三次元形状に成形した後、その成形品の中に、射出成形により基材の原料となる樹脂を流し込み一体化させるので、表層にアクリル樹脂フィルムを有する積層体を容易に得ることができ好ましい。また、アクリル樹脂フィルムの成形と射出成形とを一工程で行うことができ、作業性、経済性に優れている点からも好ましい。インモールド成形法における加熱温度は、アクリル樹脂フィルムが軟化する温度以上で、通常70〜170℃であることが好ましい。70℃以上であると、成形が良好に行え、170℃以下であると、得られた成形体の表面外観や離型性が優れる。
【0037】
アクリル樹脂フィルムが、基材の保護を少なくとも目的の1つとして、基材に積層される場合には、アクリル樹脂フィルムには耐候性付与のために、紫外線吸収剤が添加されることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤の分子量は300以上であり、特に好ましくは400以上である。分子量が300以上の紫外線吸収剤を使用すると、例えば、フィルムを製造する際にアクリル樹脂が転写ロール等に付着して、ロール汚れを発生させるなどの問題が起きにくい。紫外線吸収剤の種類としては、特に限定されないが、分子量400以上のベンゾトリアゾール系または分子量400以上のトリアジン系のものが特に好ましく使用でき、前者の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のチヌビン234、旭電化工業社のアデカスタブLA−31、後者の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のチヌビン1577等が挙げられる。
【0038】
また、アクリル樹脂フィルムの表面には、必要に応じて、各種機能付与のためのコーティング等の表面処理を施すことができる。機能付与のための表面処理としては、シルク印刷、インクジェットプリント等の印刷処理、金属調付与あるいは反射防止のための金属蒸着、スパッタリング、湿式メッキ処理、表面硬度向上のための表面硬化処理、汚れ防止のための撥水化処理あるいは光触媒層形成処理、塵付着防止、あるいは電磁波カットを目的とした帯電防止処理、反射防止層形成、防眩処理、艶消し処理等が挙げられる。印刷処理としては、アクリル樹脂フィルムの片面に印刷をする片側印刷処理が好ましい。また、特に、アクリル樹脂フィルムを基材の表面に積層させる場合には、印刷面を基材との接着面に配した裏面印刷が、印刷面の保護や高級感の付与の点から好ましい。
【実施例】
【0039】
以下実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
尚、実施例および比較例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ表す。また、調製例中の略号は以下のとおりである。
メチルメタクリレート MMA
メチルアクリレート MA
n−ブチルアクリレート n−BA
スチレン St
ヒドロキシエチルメタクリレート HEMA
アリルメタクリレート AMA
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 1,3−BD
t−ブチルハイドロパーオキサイド t−BH
ラウリルパーオキサイド LPO
クメンハイドロパーオキサイド CHP
n−オクチルメルカプタン n−OM
乳化剤(1):モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム[商品名フォスファノールRS−610NA、東邦化学(株)製]
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム EDTA
【0040】
評価は下記の方法で行った。
(1)熱安定性(流動性保持率)
熱可塑性樹脂ペレットを(株)テクノ・セブン製のメルトインデクサー(L243)を用いて、加熱時間4分、20分でのMFRを測定し、下記式で流動性保持率を求めた。なお、MFRの測定条件は、温度を230℃、荷重を49Nとした。

流動性保持率 = 〔加熱時間20分でのMFR値(g/10分)〕/〔加熱時間4分でのMFR値(g/10分)〕×100
【0041】
(2)平均粒子径
重合体ラテックスの平均粒子径は、吸光度法により求めた。
【0042】
(3)ゴム含有多段重合体、ゴム含有重合体各層単独のガラス転移温度(Tg)
ポリマーハンドブック[Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)]に記載されている値を用いてFOXの式から算出した。
【0043】
調製例1
<ゴム含有多段重合体(I)の製造>
攪拌機を備えた容器に脱イオン水8.5部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部およびCHP0.025部からなる単量体成分を投入し、室温下にて攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、乳化剤(東邦化学工業(株)製、商品名「フォスファノールRS610NA」)1.1部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
【0044】
次に、冷却器付き重合容器内に脱イオン水186.5部を投入し、70℃に昇温した。さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部およびEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を重合容器内に一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、調製した乳化液を8分間にわたって重合容器に滴下した後、15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(I−A−1)の重合を完結した。続いて、MMA1.5部、n−BA22.5部、1,3−BD1.0部およびAMA0.25部からなる単量体成分を、CHP0.016部と共に、90分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(I−A−2)を含む弾性重合体(I−A)を得た。なお、第一弾性重合体(I−A−1)単独のTgは−48℃、第二弾性重合体(I−A−2)単独のTgは−48℃であった。
【0045】
続いて、MMA6部、n−BA4部およびAMA0.075部からなる単量体成分を、CHP0.0125部と共に、45分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、中間重合体(I−B)を形成させた。なお、中間重合体(I−B)単独のTgは20℃であった。
【0046】
続いて、MMA55.2部、n−BA4.8部、n−OM0.19部およびt−BH0.08部からなる単量体成分を140分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、硬質重合体(I−C)を形成して、ゴム含有多段重合体(I)の重合体ラテックスを得た。なお、硬質重合体(I−C)単独のTgは84℃であった。
【0047】
また、重合後に測定したゴム含有多段重合体(I)の重量平均粒子径は0.12μmであった。
【0048】
得られたゴム含有多段重合体(I)の重合体ラテックスを、濾材にSUS製のメッシュ(平均目開き:62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有多段重合体(I)を得た。
【0049】
調製例2
<ゴム含有多段重合体(II)の製造>
攪拌機を備えた容器に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部およびCHP0.025部からなる単量体成分を投入し、室温下に攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、乳化剤(東邦化学工業(株)製、商品名「フォスファノールRS610NA」)1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
【0050】
次に、冷却器付き重合容器内に脱イオン水139.2部を投入し、75℃に昇温した。さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部およびEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を重合容器内に一度に投入した。次いで、窒素下に攪拌しながら、調製した乳化液を8分間にわたって重合容器に滴下した後、15分間反応を継続させ、弾性重合体の第1段階目の重合を完結させた(II−A−1)。続いて、MMA9.6部、n−BA14.4部、1,3−BD1.0部およびAMA0.25部からなる単量体成分を、CHP0.016部と共に、90分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、弾性重合体の2段目重合体の重合を完結させ(II−A−2)、弾性重合体(II−A)を得た。重合体(II−A−1)単独のTgは−48℃であり、重合体(II−A−2)単独のTgは−10℃であった。
【0051】
続いて、MMA6部、MA4部およびAMA0.075部からなる単量体成分を、CHP0.0125部と共に、45分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、中間重合体(II−B)を形成させた。中間重合体(II−B)単独のTgは60℃であった。
【0052】
続いて、MMA57部、MA3部、n−OM0.264部およびt−BH0.075部からなる単量体成分を140分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、硬質重合体(II−C)を形成させて、固形分40%のゴム含有多段重合体(II)の重合体ラテックスを得た。硬質重合体(II−C)単独のTgは99℃であった。また、重合後に測定したゴム含有多段重合体(II)の質量平均粒子径は0.11μmであった。
【0053】
得られたゴム含有多段重合体(II)の重合体ラテックスを、濾材にSUS製のメッシュ(平均目開き:62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用い、濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有多段重合体(II)を得た。
【0054】
調製例3
<ゴム含有重合体(III)の製造>
窒素雰囲気下、還流冷却器付き反応容器に脱イオン水329部を入れ、80℃に昇温し、以下に示す(イ)を添加し、撹拌を行いながら以下に示す原料(ロ)(重合体(III−A)の原料)の混合物の1/10を仕込み、15分保持した。その後、残りの原料(ロ)を水に対する単量体混合物の増加率8%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、重合体(III−A)のラテックスを得た。
【0055】
続いて、このラテックスにソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、以下に示す原料(ハ)(ゴム重合体(III−B)の原料)を水に対する単量体混合物の増加率4%/時間で連続的に添加した。その後2時間保持して、ゴム重合体(III−B)の重合を行うことにより、弾性重合体[(III−A)+(III−B)]のラテックスを得た。
【0056】
このラテックスに、引き続いてソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、以下に示す原料(ニ)(硬質重合体(III−C)の原料)を水に対する単量体混合物の増加率10%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、硬質重合体(III−C)を行うことにより、ゴム含有重合体(III)のラテックスを得た。ゴム含有重合体(III)の平均粒子径は0.28μmであった。
【0057】
得られたゴム含有重合体(III)の重合体ラテックスを、濾材にSUS製のメッシュ(平均目開き:150μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(III)を得た。
【0058】
(イ)
ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部
硫酸第一鉄 0.00004部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.00012部
【0059】
(ロ)
MMA 18.0部
n−BA 20.0部
St 2.0部
AMA 0.15部
1,3−BD 1.2部
t−BH 0.07部
東邦化学工業(株)製、フォスファノールRS610NA 1.2部
【0060】
(ハ)
n−BA 49.5部
St 10.5部
AMA 1.05部
1,3−BD 0.15部
CHP 0.17部
東邦化学工業(株)製、フォスファノールRS610NA 0.96部
【0061】
(ニ)
MMA 57.0部
MA 3.0部
n−OM 0.18部
t−BH 0.102部
【0062】
<熱可塑性重合体(IV)の製造>
反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、さらに乳化剤として花王(株)製、商品名「ラテムルASK」1部と、過硫酸カリウム0.15部とを仕込んだ。次に、MMA40部、n−BA2部およびn−OM0.004部を仕込み、窒素雰囲気下、65℃で3時間攪拌し、重合を完結させた。
【0063】
続いて、MMA44部およびn−BA14部からなる単量体成分を2時間にわたって滴下した後、2時間保持し、重合を完結した。
【0064】
得られた熱可塑性重合体(IV)の重合体ラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸析させた後、脱水、水洗、乾燥し、粉体状の熱可塑性重合体(IV)を回収した。
得られた熱可塑性重合体(IV)の還元粘度は、0.38L/gであった。
【0065】
実施例1〜11
以上の様にして得られたゴム含有多段重合体(I)100部、配合剤として(株)ADEKA製商品名「アデカスタブLA−31RG」2.1部、(株)ADEKA製商品名「アデカスタブLA−57」0.45部、チバスペシャルティケミカルズチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製商品名「イルガノックス1076」0.1部、表1に示すリン系化合物を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。この樹脂組成物を脱気式押出機[東芝機械(株)製TEM−35(商品名)]を用いてシリンダー温度200〜240℃、ダイ温度240℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットの流動性保持率を表1に示す。
【0066】
実施例12
ゴム含有多段重合体(II)75部、熱可塑性重合体(A)[MMA/MA共重合体(MMA/MA=99/1(質量比)、還元粘度ηsp/c=0.06L/g)]25部、配合剤としてチバスペシャルティケミカルズチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製商品名「チヌビン234」1.4部、(株)ADEKA製商品名「アデカスタブLA−67」0.45部、チバスペシャルティケミカルズチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製商品名「イルガノックス1076」0.1部、表1に示すリン系化合物を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。この樹脂組成物を実施例1と同様の方法で混練して、ペレットを得た。得られたペレットの流動性保持率を表1に示す。
【0067】
実施例13
ゴム含有重合体(III)23部、熱可塑性重合体(A)[MMA/MA共重合体(MMA/MA=99/1(質量比)、還元粘度ηsp/c=0.06L/g)]16部、熱可塑性重合体(B)[MMA/MA共重合体(MMA/MA=90/10(質量比)、還元粘度ηsp/c=0.056L/g)]51部、配合剤として熱可塑性重合体(IV)6部、チバスペシャリティケミカルズ(株)製商品名「チヌビン234」1.4部、旭電化工業(株)製商品名「アデカスタブAO−60」0.1部、旭電化工業(株)製商品名「アデカスタブLA−67」0.45部および城北化学工業(株)製商品名「JP333E」0.3部、表1に示すリン系化合物を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。この樹脂組成物を実施例1と同様の方法で混練してペレットを得た。得られたペレットの流動性保持率を表1に示す。
【0068】
比較例1
表1に示すリン系化合物を用いないこと以外は実施例1と同様の方法で混練してペレットを得た。得られたペレットの流動性保持率を表1に示す。
【表1】

上記の実施例および製造例より、次のことが明らかとなった。
【0069】
実施例1〜13における熱可塑性樹脂ペレットは、加熱時間が長くなっても流動性が下がらず、例えばこれを押出機などで押し出した場合、滞留しにくくなり熱可塑性樹脂の変質も見られなくなる。またこのような熱可塑性樹脂を成形した場合、変質した樹脂が成形体中に混入しないため、外観の良好な成形体を得ることができるため、本発明の方法で得られた熱可塑性樹脂ペレットは工業的利用価値が高い。
【0070】
一方、比較例1における熱可塑性樹脂ペレットは、加熱時間が長くなると流動性が低下し、例えば押出機内で滞留しやすくなり、熱可塑性樹脂の変質も起こりやすくなる。また、変質した樹脂が成形体に混入した場合、その成形体の外観が悪化する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法は、乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体を溶融押出する際に、加熱時間が長くなっても流動性が低下せず、熱可塑性樹脂の変質を抑制するペレットの製造方法であり、このペレットを成形したものは外観が良好となるため、例えばフィルムに成形したものは建材等の表皮材などに有効に使用できるので、本発明は産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化重合により得られた乳化重合ラテックスを金属塩水溶液に接触させて凝固して得られた重合体と、下記一般式(I)で表されるリン系化合物を同時に溶融押出する熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
(R−O)nP(O)(OH)m (I)
(一般式(I)において、Rは炭素数24個以下のアルキル基であり、nは1または2であり、mは3−nである。)
【請求項2】
前記乳化重合ラテックスがアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法で製造された熱可塑性樹脂ペレット。
【請求項4】
請求項3に記載の熱可塑性樹脂ペレットが成形された樹脂成形体。
【請求項5】
フィルム状である請求項4に記載の樹脂成形体。

【公開番号】特開2010−241966(P2010−241966A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92416(P2009−92416)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】