説明

熱可塑性複合材料の形成方法

【課題】熱可塑性複合材料の形成方法であって、熱可塑性複合材料が、半結晶性ポリマー、好ましくは同じ種類の半結晶性ポリマーから供給されるマトリックス及び強化材の両方を含む熱可塑性複合材料の形成方法を提供すること。
【解決手段】上記方法は以下のステップ:i)マトリックスの融点未満の温度を有する熱可塑性複合材料のスタックを金型に配置するステップと、ii)金型を閉鎖するステップと、iii)少なくとも前記ステップii)の後で前記金型の温度はマトリックスのシール点と強化材の融点との間であり、滞留時間の後に金型を開放するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性複合材料の形成方法であって、熱可塑性複合材料が、半結晶性ポリマー、好ましくは同じ種類の半結晶性ポリマーから供給されるマトリックス及び強化材の両方を含む熱可塑性複合材料の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工学技術及び高性能用途で金属と競うために、ポリマーは、タルク又は繊維等の強化フィラーで性能を良くする必要がある。ガラス繊維を使用して、ポリマーの機械的な性能を改善するのが一般的である。しかしながら、ガラス繊維材料は、かかる材料が組み込まれる材料の再利用を極めて困難にするという課題を有している。
【0003】
ガラス繊維又は炭素繊維で強化される熱可塑性複合材料は、非等温法で熱成形されるのが一般的である。なぜなら、熱可塑性マトリックスを加熱及び冷却するための時間が、このような複合材料を迅速に製造する場合の主たる制限とみなされてきたからである。熱可塑性複合材料は、半結晶性マトリックスの融点を超える温度に加熱され、その後、低温の金型において付形及び冷却される。
【0004】
近年、マトリックス及び強化材の両方が同じ種類の半結晶性ポリマーから供給される熱可塑性複合材料が開発された。これまでのところ、かかる材料は、従来の複合材料と同様に、非等温法で熱成形された。
【0005】
Prosser等著(Plast, Rubber Compos. 2000, 29(8), 401−410頁)は、熱間圧縮ポリプロピレンシートを熱成形する等温スタンピング法を記載している。この方法は、熱成形が開始する範囲と、シートを強制的に金型に押し込む範囲と、変形させたシートを加圧中に冷却する冷却段階と、に分割され得る。
【0006】
Cabrera(Recyclable all−polypropylene composites: Concept, properties and manufacturing, PhD thesis, Eindhoven Technical University, 2004)は、ポリプロピレン繊維強化ポリプロピレンを変形する非等温スタンピング法であって、サンプルを150〜160℃に予備加熱した後に、40℃の金型に移す非等温スタンピング法を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上述の方法より更に有効である、自己強化熱可塑性複合材料の熱成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、好適な金型温度を選択することによって達成され、これにより、従来の冷却ステップを省略することが可能であることが見出された。従って、第1の実施形態において、本発明は、複合材料が、半結晶性ポリマーから、好ましくは同じ種類の半結晶性ポリマーから供給されるマトリックス及び強化材の両方を含む熱可塑性複合材料の形成方法であって、以下のステップ:i)マトリックスの融点未満の温度を有する熱可塑性複合材料のスタックを金型に配置するステップと、ii)金型を閉鎖し、必要により圧力を施すステップと、iii)滞留時間の後に金型を開放するステップと、を含み、且つ少なくともステップiii)の前に、金型は、マトリックスのシール点と強化材の融点との間の温度を有する、熱可塑性複合材料の形成方法に関する。
【0009】
金型の開放後、熱変形された生成物を金型から取り除くことが可能である。生成物の除去は、手で行われ得るものの、自動化されていても良い。驚くべきことに、開始材料の特定の組成により、熱変形される生成物は、殆どの場合(特に、生成物が極めて大きくない場合)、金型を開放した場合に自動的に生じる周囲温度までの冷却以外に余分な冷却を行うことなく、金型から直接取り除くことが可能となる靱性を有する。それでもなお、生成物の積極的な冷却を行っても良いが、かかる冷却は好ましくはない。積極的な冷却は、生成物を直接的に冷却するか(例、空気又は水を用いて)、又は金型を通じて生成物を冷却する、例えば水を用いて金型を冷却することによって行われ得る。
【0010】
本願の明細書で使用されるように、“複合材料”なる用語は、低い機械抵抗を有するマトリックスに固定される高性能材料に対する長期又は不連続な強化の配置を称する。強化材及びマトリックスは、物理的に明瞭で且つ分離可能な材料から構成される。それ自体として、ポリマーマトリックス複合材料は、ガラス繊維又は炭素繊維で強化されるのが一般的である。
【0011】
本発明の熱可塑性複合材料は、マトリックス及び補強剤の両方が同じ種類の半結晶性ポリマーから供給される、すなわち、マトリックス及び強化材がそれぞれ同じ種類の半結晶性ポリマーを含む材料である。高い指向性の半結晶性ポリマー分子は、同じ種類の半結晶性ポリマーの非指向性マトリックスに用いる強化材としての機能を果たすことが可能である。これにより、軽量、良好な機械特性、良好な耐衝撃性、及びリサイクル性を含む特性に関する興味深い組み合わせを有する単一型の‘自己強化’材料がもたらされる。一般的には、強化材は、複合材料に対して、70容量%を超え、更に好ましくは80容量%を超える。
【0012】
極めて好適な‘自己強化’材料は、ISO11357−3に規定されるDSC融点として一般的に示されるマトリックスの融点が強化材の融点より低い材料である。融点の差異により、マトリックスの融点を超えて熱処理可能であるが、かかる処理は、強化材の機械特性に影響を及ぼさない。
【0013】
単一の材料(例、PP又はPE)から作製され、同じDSC融点を有するテープ、フィルム又はヤーン(糸)等の要素を基礎とする本発明の自己強化材料を使用することも可能である。このような要素から、織布又は不織布シートが製造され、次に、これを、極めて注意深く制御される温度条件下で加熱することによって強化する。温度は、要素の外側における極限られた部分だけが柔らかくなるように制御される。これにより、単一材料によるシートを得る。かかる材料におけるマトリックスは、要素のコアによって要素と強化材の接触点から形成される。
【0014】
驚くべきことに、本発明者等は、熱可塑性複合材料を(等温で)熱成形可能であり、且つ複合材料が、同じ種類の半結晶性ポリマーから両方共に供給されるマトリックス及び強化材を含むことを見出した。本発明の場合、“等温で”は、金型が閉鎖された場合に金型の温度を積極的に変化させる必要がないことを意味する。正確な金型の温度を選択することにより、従来技術の熱成形法における冷却段階を省略することが可能である。本発明の方法は、これにより熱成形される製品の考え得る応力を低減する。更には、必要とされる熱成形設備は、極めて簡素である。
【0015】
本発明によると、金型の温度は、マトリックスのシール点と強化材の融点の間の温度条件下に設定される。金型の温度は、マトリックスの融点と強化材の融点の間であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法によると、第1のステップにおいて、自己強化熱可塑性複合材料のスタック(例、1種以上のシート、フィルム、テープ又はヤーン)が金型に配置される。熱可塑性複合材料は、マトリックスの融点未満の温度(例、130℃未満、例えば室温付近の温度条件下)を有し、一方、金型は、少なくとも閉鎖されたとき、更には必要により閉鎖される前に既に、マトリックスのシール点を超える温度(例、100℃を超過)を有するものの、強化材の融点未満の温度(例、160℃未満)を有する。
【0017】
一の実施形態において、材料のスタックを、強化シートの代わりに使用する。スタックを使用することにより、金型を閉鎖可能であると共に、材料は、依然として変形温度に至らなかった。金型を閉鎖し、必要により金型を閉鎖する前に、金型の温度を、マトリックスのシール点を超える温度で且つ強化材の融点未満の温度に到達させることが可能である。金型の温度は、マトリックス材料の融点を5℃以下超えるのが好ましい。他の好ましい実施形態において、金型の温度は、閉鎖される前に既に好適な温度に設定される。
【0018】
本発明においてスタックとしての多層の繊維材料から予め形成された予備形成プレート又はシートを使用することも可能である。
【0019】
第2のステップにおいて、金型は閉鎖され、圧力がかけられる。かかる圧力は、1バール(barg)より高圧であるのが好ましく(すなわち、大気圧に対して)、2〜20バールの範囲であるのが更に好ましく、例えば、5〜15バールの範囲であり、例えば約10バールである。使用されるポリマーに応じて、指向性分子を安定させ、そして圧力を開放した場合に過度な収縮を防ぐために、高圧が必要とされる場合がある。金型の温度は、第2のステップにおいて積極的に変更されず(すなわち、金型は冷却又は加熱される必要がない。)、これにより、本発明の方法を原則として等温にすることが可能である。
【0020】
種々の金型を使用することが可能である。両面型の金型を使用するのが好ましく、更に好ましくは、加熱されたマッチドダイ金属金型(heated matched die metal mould)を使用する。しかしながら、他の材料、例えばセラミックス、ポリマー又は複合材料を、このような金型の製造に使用することも可能である。金型の一方の部分(例、雌型又は雄型)が、上述の材料のいずれかを含む硬質な金型であり、他方がシリコンゴムプラグである、いわゆるラバースタンプ技術を使用することも可能である。好ましい実施形態において、2つの部分の金型を使用する場合、金型の雌型が上側で、雄型が下側である。材料が圧力(例、空気の圧力)及び/又は真空によって強制的に金型に押し出される片面型の金型を使用することも可能である。このような特定の場合、材料は、ダイヤフラム成形として知られている技術により2つの構成部分の間に配置されても良い。
【0021】
本発明の熱成形法は、加熱ステップにおいて、中間の要素に施されて、これにより温度を上昇させる電磁場を用いて適切に行われても良い。かかる実施形態は、例えば、WO−A2005/094127に記載されている装置及び方法を用いて行われ得る。
【0022】
第3のステップにおいて、金型は、滞留時間の後に開放される。かかる滞留時間は、10秒〜4時間の範囲で変更可能であり、1分〜2時間の範囲であるのが好ましく、5分〜1時間の範囲であるのが更に好ましい。安定を必要とする分子の場合、長い滞留時間が好ましい。これにより、圧力を開放した場合、過度な収縮も防ぐ。しかしながら、指向性分子が安定を必要としない場合、滞留時間を短縮可能である。
【0023】
指向性ポリオレフィン材料は、その融点未満の高温条件下でフリーアニール(拘束なし)に付される場合、かかる材料の指向性を部分的に又は完全に失う場合がある。かかる現象により、大規模な収縮と機械特性、例えば引張靱性及び引張強さの損失に至る。指向性の層が金型に対して選択される温度条件下で収縮する場合、加圧成形中の収縮を防ぎ、材料を安定させる必要がある。圧密圧力、好ましくは2〜20バールの圧密圧力により、ホットプレス工程中の収縮を防ぐ。収縮量が極めて高い場合、500バール以下の加圧成形圧力が必要とされる場合がある。そして、材料は、圧力を開放した場合、収縮を防ぎ、又は減ずるように安定を必要とする。安定は、滞留時間に応じて異なる。例えば、実施例1で使用されるテープ材料は、145℃の条件下で圧力を加えずに10分間に亘ってアニールした場合、10%収縮し、そして材料の引張靱性の半分を損失するであろう。同一の材料を145℃の条件下で25バールにて少なくとも30分間に亘って保持し、そして圧力を開放した後に周囲温度まで冷却する場合、室温条件下において90%を超える引張靱性が保持されることが見出された。
【0024】
必要により行われる第4にステップにおいて、熱可塑性複合材料を、金型の開放後に冷却する。冷却工程は、例えば、周囲温度で、又は低温の金型において行われ得る。また、冷却は、冷却水を用いることによって増進されても良い。自己強化ポリマー材料において、マトリックスの量は、30容量%、更に好ましくは20容量%に制限されていることから、高温の熱成形部品は、依然として固体の状態であり、簡単に処理することが可能であり、そして圧力を施すことなく周囲温度で冷却する。しかしながら、圧力を加え又は加えることなく低温の金型において部品を迅速に冷却することも可能である。
【0025】
半結晶性ポリマーは、ポリオレフィンであっても良く、ポリエチレン(すなわち、エチレンのモノマー単位を主として含む(共)重合体)又はポリプロピレン(すなわち、プロピレンのモノマー単位を主として含む(共)重合体)であるのが好ましく、ポリプロピレンが最も好ましい。また、数種類のα−オレフィン、例えばポリエチレンとポリプロピレンの共重合体であっても良い。本発明により使用され得る他の熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリエステル、ナイロン(ポリアミド)及びアラミドである。
【0026】
複合材料におけるマトリックス及び強化材は、同じ種類の半結晶性ポリマーから供給されるのが好ましい。“同じ種類”なる用語は、マトリックス及び強化材が両方共に、大多数のモノマー単位を同一にして含むポリマーに基づいていることを意味する。例えば、ポリプロピレン強化材を使用する場合、同じ種類のマトリックスは、ポリプロピレンによっても形成され、そして強化材がポリエチレンである場合、同じ種類のマトリックスは、ポリエチレンによって形成されるであろう。
【0027】
複合材料の材料としてポリプロピレンを使用する場合、強化材の材料は、ポリプロピレンの単独重合体であるのが好ましく、比較的高い分子量、例えば少なくとも250000の平均分子量を有し、そして少なくとも160℃の溶融温度を有するポリプロピレンの単独重合体が好ましいであろう。強化材は、1種類の材料だけから構成されるのが好ましいものの、廃却品をリサイクルする場合、マトリックスに対して少量の材料が、強化材に含まれていても良いことに留意すべきである。この場合、10質量%を超えないのが一般的であろう。
【0028】
また、かかる実施形態におけるマトリックスの材料は、上述したように、ポリプロピレンであり、プロピレンと、エチレン又は他のα−オレフィンと、の共重合体であるのが好ましい。特に、中心の層がポリプロピレンである場合、マトリックスの材料として、エチレン含有量が1〜25モル%の範囲であり、プロピレン含有量が75〜99モル%であるプロピレン−エチレン共重合体を使用するのが望ましい。また、2種類のかかる材料のブレンドを使用することも可能である。
【0029】
ポリエチレンを使用する場合、基本的には、同じ考察が適用される。強化材として、HDPE、すなわち、少なくとも950kg/cmの密度を有するポリエチレンを使用するのが好ましい。重量平均分子量は、少なくとも25000であるのが好ましく、融点は、130℃以上である。強化材は、1種類の材料だけから構成されるのが好ましいものの、廃却品をリサイクルする場合、マトリックスに対して少量の材料が、強化材に含まれていても良いことに留意すべきである。この場合、10質量%を超えないのが一般的であろう。
【0030】
また、かかる実施形態の場合にマトリックスの材料は、ポリエチレンであることも好ましいが、ここでは、より低い融点を有するポリエチレンであり、且つその場合に、融点の差は少なくとも10℃である。好適なポリエチレンは、ランダム共重合体又はブロック共重合体、LLDPE、LDPE、VLDPE等である。
【0031】
両方の種類の層材料に関して、一般的な添加剤、例えば染料及び顔料、難燃剤、UV−安定剤、酸化防止剤、カーボンブラック等を含むのが一般的であるが、添加剤は、これらに限定されないことに留意すべきである。
【0032】
好ましい実施形態において、複合材料の材料は、一部がWO−A03/008190に記載されているように、織物、テープ又はヤーンの形である。かかる材料の極めて好適な例示は、市販のPURE(登録商標)(Lankhorst−Indutech, Sneek, NL)である。更に詳細には、複合材料は、テープの形である。かかる複合材料のテープは、共押出されるテープから製造され得る。これにより得られるテープは、ホットプレス法又は連続ベルト法を用いて圧縮過程でテープを一緒に結合させるために、高い指向性の強化材(コア)と、特に処方されたマトリックス(表皮)と、から構成される。テープは、ファブリックに織られても良く、かかるファブリックを直接熱成形することが可能である。或いは、シートを一緒にシールすることによって、シートをファブリックから作製することが可能である。その後、かかるシートを、本発明によって熱成形することが可能である。
【0033】
本発明を使用して、複雑な3次元の部品を製造することが可能である。本発明は、大きな部品、例えば船(例、カヌー)、スキーボックス、トラックの保護部、クルマの車体部品、特にクルマの底板の製造に特に好適である。本発明によって製造される部品に関して他の重要な特性は、応力残留無し又は比較的応力残留無しで製造され得ることである。
【0034】
本発明は、多数の金型を回転可能であり、且つ各々が本発明の製造方法における異なる段階にある、いわゆる熱変形用円形コンベヤを用いて顕著な利点で使用され得る。本発明で使用される金型は、比較的安価であることから(例えば、射出成形用金型と比較して)、例えば、10個の金型による円形コンベヤを供給することは、依然として経済的に実行可能であると共に、それに応じて生産量を増大させる。これにより、特に小型の部材、例えばスーツケース、オートバイ用ヘルメット、防護品(例、スネ当て)等を高い製造速度で製造することが可能となる。
【0035】
指向性分子が安定を必要としない場合、本発明の方法において30秒未満のサイクル時間を達成可能である。更に、熱成形法を使用して、単曲率の部品又は平坦なシートを製造することが可能である。
【0036】
ここで、以下の実施例によって本発明を更に説明するが、かかる説明により、本発明を限定するとみなされない。
【実施例1】
【0037】
PURE(登録商標)材料(Lankhorst−Indutech, Sneek, the Netherlands)による9層のファブリックを金型(先端が切り取られたコニカルカップ形状、T=145℃)に5分間配置した。PURE(登録商標)材料は、ABA構造の共押出テープであったが、かかる構造において、コア層Bは、161℃のDSC融点を有するポリプロピレンのブレンドであり、そして2層の層Aは、135℃のDSC融点を有するプロピレン共重合体であり、且つA−B−Aの重量比は、6−88−6であった。その後、部品を取り除き、そして周囲温度で冷却した。これにより得られた部品は、いかなる大きな湾曲を示さず、金型の幾何形状に適合していた。
【実施例2】
【0038】
上記の実施例に記載されるPURE(登録商標)材料による9層のファブリックを、平坦な金型としての2枚の薄いスチールシート(2mm)の間においてホットプレス(T=145℃)で30分間配置した。プレートを取り除き、周囲温度への冷却後に平坦を維持した。
【実施例3】
【0039】
12層のPURE(登録商標)材料を、実施例2に記載のように、平坦な熱金型に配置した。用いられた圧力は、30バールであった。用いられた温度は、140℃であった。異なる滞留時間及び冷却条件を、表1に示すように調査した。
【0040】
表1:実施例3に関する熱成形条件
【表1】

)金型において冷却水を使用(約18℃)
【0041】
これにより得られる複合材料の密度、靱性(E係数)及び強度を測定し、そして表1に示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料が同じ種類の半結晶性ポリマーから供給されるマトリックス及び強化材の両方を含む熱可塑性複合材料の形成方法であって、前記方法が以下のステップ:
i)マトリックスの融点未満の温度を有する熱可塑性複合材料のスタックを金型に配置するステップと、
ii)金型を閉鎖するステップと、
iii)少なくとも前記ステップii)の後で前記金型の温度はマトリックスのシール点と強化材の融点との間であり、滞留時間の後に金型を開放するステップと、を含む、前記熱可塑性複合材料の形成方法。
【請求項2】
前記ステップi)において、前記金型は、前記マトリックスのシール点又は融点と前記強化材の融点との間の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップi)において、前記熱可塑性複合材料の温度は前記マトリックスのシール点未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金型の温度は前記マトリックスの融点と前記強化材の融点との間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複合材料が、前記マトリックスのDSC融点が前記強化材のDSC融点未満である複合材料及び前記マトリックスのDSC融点が前記強化材のDSC融点と等しい複合材料から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スタックがシートの形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性複合材料は金型開放後に、好ましくは前記金型を冷却することにより、冷却される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記冷却は水により行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップii)において圧力がかけられ、前記圧力が1バールより高圧であり、好ましくは2〜20バール、より好ましくは10バールである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記滞留時間は10秒〜4時間、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは5分〜1時間である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記半結晶性ポリマーはポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記強化材が前記複合材料に対して70容量%超である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱可塑性複合材料は、織物、テープ又はヤーンであり、そのコアは前記強化材を形成し、前記コアの表面には前記マトリックスを形成する少なくとも一つの表面薄層が存在する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
中間の要素に電磁場を施すことにより前記金型の温度を制御する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
3次元物体を製造するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
単曲率の部品又はシートを製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−516603(P2009−516603A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541097(P2008−541097)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000586
【国際公開番号】WO2007/058530
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508149674)ランクホルスト ピュール コンポシテ ビー.ヴイ. (1)
【Fターム(参考)】