説明

熱線反射性パネル材

【課題】本発明は、建築用材料として用いられているパネル材に熱反射性層を付与する方法に関する。近年、環境問題への意識の高まりや法規制の強化等により、冷暖房効率の向上が世界的な課題となっており、遮熱効果の高い建築材料の開発が望まれている。
上記実情を鑑み、本発明は、建築材料であるパネル材に製造の段階で熱反射層を付与することにより熱反射性機能を高め、建築物の冷暖房効率を向上させることを課題とした。
【解決手段】本発明者は鋭意研究の結果、上記課題を解決するために、建築用パネル材の表面に熱線反射性層を付与する方法として、真球状の金属酸化物粒子が有効であることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用材料として用いられているパネル材に熱線反射性機能を付与することに関する。さらに詳しくは、パネル材に熱線反射性層を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりや法規制の強化等により、冷暖房効率の向上が世界的な課題となっている。遮熱効果の高い建築材料の開発が望まれている。
【0003】
ところで、粒径0.2μm〜10μm程度の真球度高い球状金属酸化物粒子を含有する塗料は赤外線反射率が高く、熱遮蔽性が優れているということが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】WO2006/104290
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実情を鑑み、本発明は、建築材料であるパネル材に製造の段階で熱反射層を付与することにより、熱反射効率を高め、建築物の冷暖房効率を向上させることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意研究の結果、上記課題を解決するために、建築用パネル材の表面に熱線反射性層を付与する方法として、真球状の金属酸化物粒子が有効であることを見いだした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱線反射性パネル材は、球状金属酸化物粒子を含有することで高い熱線反射性を有していることから、このパネル材を建造物の屋根や壁、床に材料として用いることにより、熱線を反射し建築物内部の温度を一定に保ち、冷暖房効率が改善される。よって省エネへの大きな貢献が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の実施形態における基材に真球状の金属酸化物粒子を含有する層を付与した状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳述する。図1は本実施形態におけるパネル材の断面を示したものである。
【0009】
図1において1は基材であり、スレート板、ファイバーボード、ガラス質積層板、ケイ酸カルシウム板、スラッグ石膏板、セメント系ボードなどを採用することができる。
【0010】
図1において2は熱反射層であり、少なくとも一面側に形成されており、球状金属酸化物粒子が配合されている水系塗料組成物からなる。球状金属酸化物粒子は熱線反射層の質量を基準として20%以上含有していることが望ましい。
【0011】
前記の球状金属酸化物粒子の組成は特に限定しないが、含有する金属としてはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどが挙げられる。コストや性能などの観点からケイ素を用いたシリカが望ましい。
【0012】
前記の球状金属酸化物粒子の粒径は0.05μmから20μm程度、より好ましくは0.2μmから10μm程度のものが望まれる。また、粒径のばらつきができるだけ小さいものが望まれる。
【0013】
前記の球状金属酸化物粒子は真球度が0.7以上であることが望ましい。ここで、本明細書中における「真球度」とは、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値とする。1に近づくほど真球に近い。
【0014】
熱反射性層を形成する水系塗料組成物は、水系アクリル塗料、水系アルキド−ポリエステル塗料、水系ポリウレタン塗料、水系フッ素樹脂塗料、水系エポキシ塗料、シリコーン変性アクリル塗料などの水系塗料組成物中に含有される組成物を適宜、含有することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 基材
2 熱線反射層
3 真球状金属酸化物粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱線反射性パネル材は、基材と球状金属酸化物粒子が配合された水系塗料組成物中からなる熱線反射層が、少なくとも該基材の一面側に形成されていることを特徴とする熱線反射性パネル材。
【請求項2】
前記基材はスレート板、ファイバーボード、ガラス質積層板、ケイ酸カルシウム板、スラッグ石膏板、セメント系ボード等から選択された少なくとも一種のボードで構成されることを特徴とする請求項1の熱線反射性パネル材。
【請求項3】
前記熱線反射層を形成する水系塗料組成物は、水系アクリル塗料、水系アルキド−ポリエステル塗料、水系ポリウレタン塗料、水系フッ素樹脂塗料、水系エポキシ塗料、シリコーン変性アクリル塗料など一般的に水系塗料組成物中に含有される組成物を適宜、含有することができることを特徴とする請求項1から2のいずれかの熱反射性パネル材。
【請求項4】
前記熱線反射層の水系塗料組成物に配合される球状金属酸化物粒子の組成がシリカであることを特徴とする請求項1から3のいずれかの熱線反射性パネル材。
【請求項5】
請求項1の球状金属酸化物粒子の真球度が0.7以上である請求項1から4のいずれかの熱線反射性パネル材。

【図1】
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【公開番号】特開2011−5844(P2011−5844A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169477(P2009−169477)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(509192547)
【出願人】(509192558)
【Fターム(参考)】