説明

熱試験装置

【課題】 高温環境と低温環境を速やかに切換えることに加え、装置全体の小型化、更には電力消費の低減を図る。
【解決手段】 熱交換器3の上面にペルチェ素子を用いた少なくとも一つ以上のサーモモジュール4…を配し、かつこのサーモモジュール4…の上面に伝熱プレート5を配するとともに、この伝熱プレート5に対して開閉するカバー部6を設け、このカバー部6を閉じた際に伝熱プレート5を底面部2dとする試験槽2を構成する試験槽機構Maと、熱交換器3を冷却する冷却気体Acを得る冷却器7を用いた冷却機構Mbと、サーモモジュール4…及び冷却器7の作動を制御するコントローラ8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境と低温環境を交互に付与可能に構成して電子部品等の被試験体に対する熱試験を行う際に用いて好適な熱試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品は様々な環境で使用されるため、低温環境から高温環境までの所定の温度範囲における耐久性能が要求される。したがって、通常、新製品や新しい用途に使用される電子部品に対しては、高温環境と低温環境を交互に付与する熱試験や熱衝撃試験が行われる。
【0003】
従来、このような熱試験(熱衝撃試験)に用いる代表的な原理に基づく熱試験装置としては、加熱系と冷却系を別々の筺体内に設け、開閉弁で切換えることにより試験槽に対して熱風と冷風を選択的に供給して高温環境又は低温環境を得る方式と、加熱系と冷却系を同一筺体内に設け、加熱系と冷却系の動作を選択的にON(OFF)して高温環境又は低温環境を得る方式があり、前者の方式としては、特許文献1で開示される冷熱試験装置が知られており、後者の方式としては、特許文献2で開示される急速昇降温型冷熱試験装置が知られている。
【0004】
特許文献1で開示される冷熱試験装置は、試験槽と、外気導入口を備えるとともに試験槽に気体供給口を介して接続されたファン設置槽と、試験槽に連通口を介して接続されるとともに試験槽に気体吸い込み口を介して接続された高温槽と、試験槽に気体供給口及び気体吸い込み口を介して接続された低温槽と、試験槽に設けた排気口と、連通口及び外気導入口に共通の開閉ダンパと、気体供給口及び気体吸い込み口の開閉ダンパと、気体供給口及び気体吸い込み口の開閉ダンパと、排気口の開閉ダンパとを備えて構成したものであり、また、特許文献2で開示される急速昇降温型冷熱試験装置は、装置筺体の上面に試験物載置板とその上面を覆う開閉可能な蓋体とを設けて、蓋体が閉じた状態で密閉された試験室を形成するようにし、試験物載置板に吸込口と吹出口を設け、試験物載置板の下側に、試験室の容量に対して充分大きな熱交換性能を有する冷却コイル及び加熱ヒータと、試験室内の空気を矢示のように循環させるファンと、これらを覆って空気の循環路を形成するカバーとを設け、冷却コイルに冷媒を循環させる冷凍機はカバーの外側に設けるとともに、ファンの回転と冷凍機及び加熱ヒータの動作を制御して試験室内の温度を急速に上昇または降下させるように構成したものである。
【特許文献1】特開平6−082354号公報
【特許文献2】特開平8−136442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来の熱試験装置において、加熱系と冷却系を別々の筺体内に設ける方式(特許文献1)では、高温環境と低温環境を速やかに切換えることができる長所を有する反面、装置全体が大型化するとともに、加熱系と冷却系を常時動作させるため、電力消費も大きくなる短所を有しており、他方、加熱系と冷却系を同一筺体内に設ける方式(特許文献2)では、装置全体が小型化するとともに、加熱系と冷却系のいずれか一方を動作させるため、電力消費が小さくなる長所を有する反面、高温環境と低温環境を速やかに切換えることができない短所を有している。
【0006】
このように、従来の熱試験装置では、高温環境と低温環境を速やかに切換えることと、装置全体の小型化及び電力消費の低減を実現することの双方を満足させることが容易でなく、結局、一方の要請を満たした場合には、他方の要請を満たすことが困難になるという相反する問題があった。しかも、電子機器の小型化や高密度化と相俟って、電子部品がより小型化されるに至っているが、小型電子部品を対象とした最適化については何ら考慮されていないため、特に、小型電子部品の熱試験を行う場合には、電力消費等において無駄を生じるとともに、試験性能等においても臨機応変に対応できない問題があった。
【0007】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した熱試験装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するため、試験槽2の内部に収容した被試験体P…に少なくとも高温環境と低温環境を交互に付与可能に構成して被試験体P…に対する熱試験を行う熱試験装置1を構成するに際して、ヒートシンク形の熱交換器3の上面にペルチェ素子を用いた少なくとも一つ以上のサーモモジュール4…を配し、かつこのサーモモジュール4…の上面に伝熱プレート5を配するとともに、この伝熱プレート5に対して開閉するカバー部6を設け、このカバー部6を閉じた際に伝熱プレート5を底面部2dとする試験槽2を構成する試験槽機構Maと、熱交換器3を冷却する冷却気体Acを得る冷却器7を用いた冷却機構Mbと、サーモモジュール4…及び冷却器7の作動を制御するコントローラ8とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
この場合、発明の好適な態様により、試験槽機構Maには、サーモモジュール4…に加えて補助加熱部11を設けることができ、この補助加熱部11としては、少なくとも、サーモモジュール4…に並べて配したヒータ11a…を用いた補助加熱部,熱交換器3の内部に埋設した棒状のヒータ11b…を用いた補助加熱部,熱交換器3の内部に形成した気体通路11c…に加熱流体Ahを流通させる補助加熱部,の一又は二以上を用いることができる。また、熱交換器3に対して放冷用の気体Aaを送風する補助放冷部12を設けることもできる。一方、冷却機構Mbは、冷却器7を構成するスターリングクーラ7s及びこのスターリングクーラ7sにより冷却した冷却気体Acを貯留する冷却気体室Caを有する気体冷却部15と、冷却気体室Caから第一通気口Caoを経て熱交換器3に至り、かつこの熱交換器3から第二通気口Caiを経て冷却気体室Caに至る循環送風路R、及びこの循環送風路Rに冷却気体Acを循環送風する送風ファン16a,16bを有する送風部17を備えて構成できる。この際、冷却気体室Caは、熱交換器3の下方に配することが望ましい。また、送風部17には、熱交換器3と冷却気体室Ca間における循環送風路Rを開閉する開閉機構部18を設けることができる。さらに、冷却機構Mbには、循環送風路Rに対して除湿空気又は不活性ガスを供給する気体供給部19を設けることができる。他方、試験槽機構Maは、カバー部6に、試験槽2の内部の空気を撹拌する撹拌機構部20を設けることにより、熱衝撃試験用の試験槽機構Maeとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有する本発明に係る熱試験装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0011】
(1) ヒートシンク形の熱交換器3の上面にペルチェ素子を用いたサーモモジュール4…を配し、かつこのサーモモジュール4…の上面に伝熱プレート5を配するとともに、この伝熱プレート5に対して開閉するカバー部6を設け、このカバー部6を閉じた際に伝熱プレート5を底面部2dとする試験槽2を構成する試験槽機構Maと、熱交換器3を冷却する冷却気体Acを得る冷却器7を用いた冷却機構Mbを備えてなるため、高温環境と低温環境を速やかに切換えることができることに加え、装置全体の小型化、更には電力消費の低減を図ることができる。
【0012】
(2) 好適な態様により、試験槽機構Maに、サーモモジュール4…に加えて補助加熱部11を設ければ、昇温時には、サーモモジュール4…に加えて補助加熱部11を併用できるため、低温環境から高温環境に移行する際に急峻な温度上昇を実現することができ、より速やかに移行させることができる。
【0013】
(3) 好適な態様により、熱交換器3に対して放冷用の気体Aaを送風する補助放冷部12を設ければ、サーモモジュール4…による加熱モード時には、サーモモジュール4…の放冷側における放冷効果を高めることによりサーモモジュール4…の加熱能力をより高めることができる。
【0014】
(4) 好適な態様により、冷却機構Mbに、冷却器7を構成するスターリングクーラ7s及びこのスターリングクーラ7sにより冷却した冷却気体Acを貯留する冷却気体室Caを有する気体冷却部15と、冷却気体室Caから第一通気口Caoを経て熱交換器3に至り、かつこの熱交換器3から第二通気口Caiを経て冷却気体室Caに至る循環送風路R、及びこの循環送風路Rに冷却気体Acを循環送風する送風ファン16a,16bを有する送風部17を設ければ、小型電子部品の熱試験を行う際の消費電力の無駄を回避できるとともに、小型電子部品に対する試験性能等に対して臨機応変に対応することができる。即ち、冷却出力は大きくできないものの急速冷却等の冷却性能に優れるという固有の特性を有するスターリングクーラ7sを利用することによって、特に小型電子部品を対象とした熱試験に最適となる。
【0015】
(5) 好適な態様により、冷却気体室Caを熱交換器3の下方に配すれば、冷却気体Acが下方に溜まる性質を利用することにより、冷却気体Acの非使用時であっても、冷却気体Acが熱交換器3側に影響する不具合を回避できる。したがって、冷却気体Acを遮断する開閉機構部などの設置を省略できるため、構成の簡略化を図れる。
【0016】
(6) 好適な態様により、送風部17に、熱交換器3と冷却気体室Ca間における循環送風路Rを開閉する開閉機構部18を設ければ、冷却気体Acの非使用時であっても、冷却気体Acが気体冷却部15から熱交換器3側へ漏れるのを確実に防止できる。
【0017】
(7) 好適な態様により、冷却機構Mbに、循環送風路Rに対して除湿空気又は不活性ガスを供給する気体供給部19を設ければ、常に循環送風路R内を最適圧に維持できるとともに、霜の発生を防止できる。
【0018】
(8) 好適な態様により、試験槽機構Maにおけるカバー部6に、試験槽2の内部の空気を撹拌する撹拌機構部20を設けることにより、熱衝撃試験用の試験槽機構Maeとして構成すれば、カバー部6以外の構成をそのまま利用して熱衝撃試験を行うことができる。したがって、例えば、熱衝撃試験用のカバー部をオプション扱いとして、カバー部6と交換可能に構成すれば、熱試験装置(熱衝撃試験装置)から熱衝撃試験装置(熱試験装置)に容易に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係る熱試験装置1の構成について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
【0021】
熱試験装置1において、31は断熱性を有する機体であり、内部には、上下方向の中間位置に設けた仕切壁部32により仕切られた上側の熱交換室Ccと下側の冷却気体室Caを備える。また、仕切壁部32には、図1を正面とした場合、左側位置に第一通気口Caoを形成し、右側位置に第二通気口Caiを形成する。これにより、冷却気体室Ca,第一通気口Cao,熱交換室Cc及び第二通気口Caiは、後述する冷却気体Acが循環する循環送風路Rを構成するとともに、冷却気体室Caは、後述する熱交換器3よりも下方に配される。このように、冷却気体室Caを熱交換器3の下方に配すれば、冷却気体Acが下方に溜まる性質を利用することにより、冷却気体Acの非使用時であっても、冷却気体Acが熱交換器3側に影響する不具合を回避できる。したがって、冷却気体Acを遮断する開閉機構部などの設置を省略できるため、構成の簡略化を図れる利点がある。
【0022】
一方、機体31の上面中央には試験槽機構Maを配設する。この試験槽機構Maは機体31の上壁部を貫通して熱交換室Ccの内部に臨む。試験槽機構Maは、ヒートシンク形の熱交換器3を備える。熱交換器3は、熱伝導率の高い素材、例えば、アルミニウム素材等により一体形成し、図2に示すように、上面を平坦に形成した上板部3u及びこの上板部3uの下面から下方に突出する多数のフィン部3f…からなる。熱交換器3は、フィン部3f…が熱交換室Ccの内部に位置するように機体31に取付けるとともに、この際、フィン部3f…間のスリットが循環送風路Rに対して平行になるように配する。
【0023】
また、図3に示すように、熱交換器3の上板部3uの上面には、ペルチェ素子を用いた複数のサーモモジュール4…を配設する。この際、サーモモジュール4…と上板部3u間には受熱プレート35を介在させる。受熱プレート35は、熱伝導率が高く、かつ熱膨張係数の小さい素材により形成したプレート材、例えば、カーボン素材により形成した厚さ3〜5〔mm〕のプレート材、或いはセラミックス素材により形成した厚さ0.6〜5〔mm〕のプレート材を用いる。サーモモジュール4…は上板部3uの上面に直接配設してもよいが、サーモモジュール4…を構成するペルチェ素子の下部には、通常、セラミックスが用いられることも多いため、ペルチェ素子の下部とほぼ同じ熱膨張係数の受熱プレート35を介在させることにより、熱交換器3側の熱収縮を受熱プレート35により遮断できる利点がある。したがって、このような受熱プレート35を用いることにより、ペルチェ素子の温度繰り返し耐久性をより向上させることができる。
【0024】
さらに、受熱プレート35の上面には、補助加熱部11を構成する複数のヒータ11a…をサーモモジュール4…に並べて配設する。このように、試験槽機構Maに、サーモモジュール4…に加えて補助加熱部11を設ければ、昇温時には、サーモモジュール4…に加えて補助加熱部11を併用できるため、低温環境から高温環境に移行する際に急峻な温度上昇を実現することができ、より速やかに移行させることができる利点がある。
【0025】
一方、サーモモジュール4…の上面には伝熱プレート5を配設する。伝熱プレート5は、熱伝導率が高く、かつ熱膨張係数の小さい素材により形成する。したがって、伝熱プレート5は、厚さを除き、上述した受熱プレート35とほぼ同様に形成できる。例示の伝熱プレート5は、比熱が小さく、受熱プレート35よりも薄く形成したセラミックス素材を用いており、横幅寸法は90〜150〔mm〕程度の平板である。この伝熱プレート5は、試験槽2における実質的な底面部2dを構成し、上面には複数の小型電子部品(被試験体P…)を載置できる。サーモモジュール4…を構成するペルチェ素子の上部には、通常、セラミックスが用いられるため、伝熱プレート5にセラミックス素材を用いることにより、100〔℃〕程度の高温であっても、ペルチェ素子の反りと同程度となる。したがって、熱容量の小さい、良好な熱接触を維持できるとともに、熱負荷がひじょうに小さくなり、小さな投入電力でも温度変化を速めることができる。しかも、電気的には絶縁素材であるため、通電テストも良好に行うことができる。なお、上述したヒータ11a…と伝熱プレート5間には僅かな隙間を設け、ヒータ11a…と伝熱プレート5が直接接触しないように考慮する。これにより、ヒータ11a…により伝熱プレート5を加熱する際における均一性を高めることができる。また、上板部3uの上面には、受熱プレート35,サーモモジュール4…,ヒータ11a…及び伝熱プレート5の回りを囲む枠状の試験槽側壁ブロック36を固定する。この側壁ブロック36は、断熱性素材により形成し、伝熱プレート5に対しては上から密着させる。
【0026】
他方、機体31には、伝熱プレート5に対して開閉するカバー部6を付設する。カバー部6は、断熱性素材により形成したカバー部本体6m及びこのカバー部本体6mの後端を機体31の後上端において回動変位可能に支持するヒンジ部6hを備える。カバー部本体6mの下面には、試験槽2の内部空間の一部を形成する凹部37を設けるとともに、カバー部本体6mの下面であって、凹部37の外側位置には、当該凹部37の回りを囲むゴムグリップ38を取付ける。カバー部本体6mを断熱性素材により形成するとは、カバー部本体6m自身を断熱性素材により一体に形成する場合と、カバー部本体6mを非断熱性素材により形成し、このカバー部本体6mを別途の断熱性素材により覆うような場合も含む。これにより、カバー部本体6mを伝熱プレート5(側壁ブロック36)に対して昇降させることができ、下降させて閉じた際はゴムグリップ38が側壁ブロック36の上面に圧接し、伝熱プレート5を底面部2dとする密閉された試験槽2が構成されるとともに、上昇させて開いた際は、伝熱プレート5の上面に対して被試験体P…(小型電子部品)の出入れを行うことができる。
【0027】
また、機体31には、熱交換器3を冷却する冷却気体Acを得る冷却器7を用いた冷却機構Mbを配設する。冷却機構Mbは、冷却器7を構成するスターリングクーラ7s及びこのスターリングクーラ7sにより冷却した冷却気体Acを貯留する冷却気体室Caを有する気体冷却部15と、冷却気体室Caから第一通気口Caoを経て熱交換器3に至り、かつこの熱交換器3から第二通気口Caiを経て冷却気体室Caに至る循環送風路R、及びこの循環送風路Rに冷却気体Acを循環送風する送風ファン16a,16bを有する送風部17を備える。スターリングクーラ7sは、図2に示すように、冷却気体室Caの後壁面に取付け、突出する冷却部7csを機体31の側壁部を貫通させて冷却気体室Ca内に臨ませる。そして、冷却気体室Caの内部に配するヒートシンク形の冷却用フィン部39に結合する。なお、40は断熱部を示す。スターリングクーラ7sは、圧縮容器の中に作動ガスとしてヘリウムを封入するとともに、上下に往復動するピストンとディスプレーサを内蔵し、等温圧縮,等積冷却,等温膨張,等積加熱の行程を経て作動する。特に、スターリングクーラは、小型軽量であり、小容積であれば、25〔℃〕から−50〔℃〕まで1分間程度で急速冷却できる。スターリングクーラ7sとしては、例えば、「神栄株式会社製スターリングクーラ(型番:MA−SCUC08)」を用いることができる。このように、冷却出力は大きくできないものの急速冷却等の冷却性能に優れるという固有の特性を有するスターリングクーラ7sを利用することによって、特に小型電子部品を対象とした熱試験に最適となり、小型電子部品の熱試験を行う際の消費電力の無駄を回避できるとともに、小型電子部品に対する試験性能等に対して臨機応変に対応することができる利点がある。
【0028】
一方、送風部17を構成する送風ファン16a,16bは、機体31の上面であって試験槽機構Maの左右両側の位置に配設したモータ部41a,41bを備える。各モータ部41a,41bの回転シャフトには、ファンシャフト42a,42bの上端を連結するとともに、ファンシャフト42a,42bの下端側は、機体31の上壁部を貫通させて熱交換室Ccの内部に至らせる。そして、ファンシャフト42a,42bの先端(下端)に、ファン部43a,43bを取付け、ファン部43a,43bは、それぞれ第一通気口Cao,第二通気口Caiの真上に臨ませる。
【0029】
さらに、冷却機構Mbには、循環送風路Rに対して除湿空気又は不活性ガスを供給する気体供給部19を付設する。例示は窒素ガス(不活性ガス)を使用する。気体供給部19は、熱交換室Ccの一方に接続して窒素ガスを熱交換室Ccに供給可能な窒素ガス供給系45と、熱交換室Ccの他方に接続して窒素ガスを熱交換室Ccから排出可能な窒素ガス排出系51を備える。窒素ガス供給系45は、窒素ガス供給源46を備え、この窒素ガス供給源46は、電磁弁47及びオリフィス継手48を介して熱交換室Ccに接続する。49は電磁弁47の流出側の圧力を検出する圧力スイッチであり、この圧力スイッチ49により電磁弁47を制御する。一方、窒素ガス排出系51は、熱交換室Ccに接続したオリフィス継手52を、電磁弁53を介して大気に接続する。54はオリフィス継手52の流出側の圧力を検出する圧力スイッチであり、この圧力スイッチ54により電磁弁53を制御する。また、窒素ガス排出系51には、安全弁55を接続し、熱交換室Ccの内圧が異常圧(2〜2.5〔kPa〕)に達した場合に開作動させるとともに、微小径孔のオリフィス継手48,52を用いることにより急激な圧力変化を回避している。このように、冷却機構Mbに、循環送風路Rに対して除湿空気又は不活性ガスを供給する気体供給部19を設ければ、常に循環送風路R内を最適圧に維持できるとともに、霜の発生を防止できる利点がある。
【0030】
他方、図4に示すコントローラ8を備える。コントローラ8には、上述した気体供給部,19,サーモモジュール4…,ヒータ11a…,スターリングクーラ7s及び送風ファン16a,16bを接続する。コントローラ8は、マイクロコンピュータを搭載し、格納された制御プログラムに従って、サーモモジュール4…,ヒータ11a…,スターリングクーラ7s及び送風ファン16a,16bに対する作動制御(シーケンス制御)を行う。図5は、制御プログラムに従ってシーケンス制御される制御パターンを示す。
【0031】
次に、本実施形態に係る熱試験装置1の使用方法及び動作について、各図を参照しつつ図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0032】
この熱試験装置1は、特に、小型電子部品の熱試験に用いて最適であり、以下、小型電子部品の熱試験を行う場合について説明する。まず、熱試験を行うに当たっては、試験槽2のカバー部6を開き、試験槽2の内部空間(試験室)に所定数の被試験体P…(小型電子部品)をセット、即ち、図3に示すように、伝熱プレート5の上に所定数の被試験体P…を載置する(ステップS1)。被試験体P…をセットしたなら、カバー部6を閉じてロックする。これにより、カバー部6のゴムグリップ38は側壁ブロック36の上面に圧接し、被試験体P…をセットした試験室が密閉される。なお、試験室が高温環境になり、内圧が高くなった場合には、圧接状態のゴムグリップ38と側壁ブロック36間から逃がすことができる。
【0033】
次いで、コントローラ8の作動スイッチをONにする。これにより、気体供給部19は作動状態となり、コントローラ8は、窒素ガス供給源46における不図示のバルブを開側に切換え、窒素ガスを循環送風路Rに封入する(ステップS2)。この際、初期段階では、電磁弁47,53を開側に切換制御し、窒素ガスの供給により循環送風路R内の空気を外部に排出するとともに、窒素ガスが循環送風路R内に満たされたなら、電磁弁47,53を閉じる。これにより、熱交換室Ccの内部は、50〜600〔Pa〕の微陽圧(設定圧)に維持される。即ち、熱交換室Ccの内圧が設定圧以下になれば、圧力スイッチ49により検出され、電磁弁47が開側に切換えられる。これにより、窒素ガス供給系45から循環送風路R内に窒素ガスが供給されて内圧を上昇させる。他方、熱交換室Ccの内圧が設定圧を超えれば、圧力スイッチ54により検出され、電磁弁53が開側に切換えられる。これにより、循環送風路R内の窒素ガスが窒素ガス排出系51を介して外部(大気)に排出されて内圧を下降させる。この結果、熱交換室Ccの内圧は、常に設定圧(微陽圧)に維持される。
【0034】
さらに、コントローラ8はスターリングクーラ7sをONにする。これにより、スターリングクーラ7sは作動状態となり、冷却部7scにより冷却用フィン部39の冷却を行う(ステップS3)。この結果、冷却用フィン部39により冷却気体室Ca内の気体(窒素ガス)が冷却され、冷却気体Acが得られるとともに、この冷却気体Acは冷却気体室Ca内に貯留される。冷却気体室Caの温度は不図示の温度センサにより検出されるため、目標冷却温度に達したなら、コントローラ8は熱試験を開始する。
【0035】
熱試験は、図5に示す制御パターン、即ち、低温環境(−40〔℃〕)を低温設定時間だけ維持する冷却モードDcと、高温環境(+125〔℃〕)を高温設定時間だけ維持する加熱モードDhを交互に繰り返す制御パターンに従って実行する。図5中、Tsは試験槽2の内部温度、Trは冷却気体室Caの内部温度の傾向を示している。また、Zaは加熱モード時の+125〔℃〕期間、Zbは+125〔℃〕から−40〔℃〕への移行期間、Zcは冷却モード時の−40〔℃〕期間、Zdは−40〔℃〕から+125〔℃〕への移行期間をそれぞれ示す。
【0036】
冷却モードDcでは、サーモモジュール4…を冷却モードに通電制御する(ステップS4,S5)。同時に、送風ファン16a,16bをONにする(ステップS6)。これにより、サーモモジュール4…の上面が冷却され、伝熱プレート5を介して試験槽2の内部が低温環境になるとともに、サーモモジュール4…の下面からは放熱が行われる。この放熱は受熱プレート35を介して熱交換器3に伝達され、熱交換室Ccにおいて熱交換される。即ち、送風ファン16a,16bはそれぞれ逆方向に回転し、冷却気体室Caの冷却気体Acは、図1に示す点線矢印Fc…のように、第一通気口Caoを通して熱交換室Ccに至り、この後、第二通気口Caiを通して冷却気体室Caに至る循環送風路Rに沿って循環するため、熱交換器3は冷却気体Acにより冷却(熱交換)される。また、試験槽2の内部温度は、不図示の温度センサにより検出され、試験槽2の内部は、−40〔℃〕の冷却環境に維持される冷却モードDcによる温度制御が行われる(ステップS7)。この冷却モードDcは低温設定時間だけ行われる。そして、低温設定時間が経過したなら、コントローラ8は送風ファン16a,16bをOFFにする(ステップS8,S9)。
【0037】
冷却モードDcの終了により直ちに加熱モードDcに移行するため、コントローラ8は、サーモモジュール4…に対する通電方向を反転させ、加熱モードとなるように通電制御する(ステップS10,S4,S11,S12)。同時に、ヒータ11a…をONにする(ステップS13)。これにより、サーモモジュール4…及びヒータ11a…により伝熱プレート5が加熱される。この際、伝熱プレート5の温度は、不図示の温度センサにより検出され、伝熱プレート5が高温環境となる+125〔℃〕に達したなら、コントローラ8はヒータ11a…をOFFにする(ステップS14,S15)。この後、サーモモジュール4…のみの通電により、+125〔℃〕の高温環境に維持される加熱モードDhによる温度制御が行われる(ステップS16)。そして、高温設定時間が経過し、加熱モードDhが終了したなら直ちに冷却モードDcに移行する(ステップS17,S10,S4)。以上の冷却モードDcと加熱モードDhが所定の熱試験時間にわたって繰り返される。
【0038】
よって、このような本実施形態に係る熱試験装置1によれば、熱交換用の熱交換器3の上面にペルチェ素子を用いたサーモモジュール4…を配し、かつこのサーモモジュール4…の上面に伝熱プレート5を配するとともに、この伝熱プレート5に対して開閉するカバー部6を設け、このカバー部6を閉じた際に伝熱プレート5を底面部2dとする試験槽2を構成する試験槽機構Maと、熱交換器3を冷却する冷却気体Acを得る冷却器7を用いた冷却機構Mbを備えてなるため、高温環境と低温環境を速やかに切換えることができることに加え、装置全体の小型化、更には電力消費の低減を図ることができる。
【0039】
次に、本発明の変更実施形態に係る熱試験装置1について、図7〜図11を参照して説明する。
【0040】
図7及び図8は、補助加熱部11の変更例を示す。図7に示す補助加熱部11は、ヒータ11a…の代わりに、熱交換器3の内部に埋設した棒状のヒータ11b…を用いたものであり、図7(a)に正面方向から見た断面構成を示すとともに、図7(b)に側面方向から見た構成を示す。この場合、カーボン素材等により形成したヒータブロック61に側面から複数の孔を開け、この孔に小型のヒータ11b…をそれぞれ差し込むことによりヒータユニット62を構成するとともに、このヒータユニット62を熱交換器3の上面に載置すればよい。
【0041】
また、図8に示す補助加熱部11は、熱交換器3の内部に形成した気体通路11c…に加熱流体Ahを流通させるものである。この場合、65は外部に設けた加熱部であり、ヒータケース65cの内部にヒータ65hを内蔵して構成する。これにより、エアポンプ66を用いて常温空気をヒータケース65cの内部に一端側から供給すれば、ヒータケース65cの他端側からは加熱された加熱流体(加熱空気)Ahを得れるため、この加熱流体Ahをシリコン素材等により形成した供給チューブ67を介して気体通路11c…の一端に供給すればよい。なお、気体通路11c…の加熱流体Ahは、他端から排気チューブ68を介して排出される。この場合、加熱流体Ahの温度は、温度センサ69により検出し、温度制御器70により、加熱流体Ahの温度が60〜65〔℃〕になるようにヒータ65hをフィードバック制御する。加熱流体Ahは少ない風量で済むため、エアポンプ66は小型のダイヤフラムポンプで足りる。この変更例では、電気系の回路を温度変化の激しい試験槽2の近傍に配設しないため、漏電や故障等を回避する観点から有利となる。図8における補助加熱部11は補助冷却部としても利用できる。即ち、ヒータ65hをOFFにして気体通路11c…に常温の外気を供給すれば、高温状態の熱交換器3を冷却(余熱を除去)できるため、上述した冷却機構Mbの補助として用いることができる。
【0042】
図9は、熱交換器3に対して放冷用の気体Aaを送風する補助放冷部12を設けたものであり、加熱モード時に、熱交換器3の放冷能力を高めてサーモモジュール4…の加熱能力を上げることができる。なお、本明細書において、放冷とは、冷却された熱交換器3が温められる意味である。補助放冷部12は、図1の機体31において、第一通気口Cao,第二通気口Caiに付設して当該第一通気口Cao,第二通気口Caiをそれぞれ開閉するダンパ81a,81bを備える。この場合、ダンパ81a,81bは、不図示のソレノイド等により回動変位する。また、熱交換室Cc内の熱交換器3におけるフィン部3f…間のスリットの前後方向両側に位置する機体31の壁面には第一連通口82a,第二連通口82bをそれぞれ設けるとともに、第一連通口82a,第二連通口82bに、第二送風路Rsの両端がそれぞれ臨む送風路形成フレーム83を付設する。したがって、ダンパ81a,81bをそれぞれ90〔゜〕回動変位させることにより、第一通気口Cao,第二通気口Cai、又は第一連通口82a,第二連通口82bを、選択的に開閉できる。一方、送風路形成フレーム83の中途には、上下にフィン部を有するヒートシンク形の熱交換ユニット84を設け、上側を第二送風路Rsに臨ませ、下側を外気に臨ませる。85a,85bは第二送風路Rsに配した送風ファンである。
【0043】
これにより、冷却モードでは、ダンパ81a,81bを変位させて、第一通気口Cao,第二通気口Caiを開き、かつ第一連通口82a,第二連通口82bを閉じれば、図1と同様の冷却モードを実行できる。これに対して、加熱モードでは、ダンパ81a,81bを変位させて、第一通気口Cao,第二通気口Caiを閉じ、かつ第一連通口82a,第二連通口82bを開くとともに、送風ファン85a,85bをONにすれば、第二送風路Rs内の気体は、熱交換ユニット84により温度が10〜35〔℃〕程度の常温付近に温められる。そして、温められた気体Aaは、点線矢印Faで示すように、第二送風路Rsに沿って循環し、熱交換器3に対する放冷(熱交換)が行われる。このように、熱交換器3に対して放冷用の気体Aaを送風する補助放冷部12を設ければ、サーモモジュール4…による加熱モード時には、サーモモジュール4…の放冷側における放冷効果を高めることによりサーモモジュール4…の加熱能力をより高めることができる利点がある。なお、図9における補助放冷部12は、冷却モード時には放熱用としても利用できる。また、ダンパ81a(81b)を、第一連通口82a(第二連通口82b)と第一通気口Cao(第二通気口Cai)の中間位置に位置させれば、第一連通口82a,第二連通口82b,第一通気口Cao及び第二通気口Caiを全て開放状態にして、急速放冷又は急速放熱することもできる。
【0044】
図10は、送風部17に、熱交換器3と冷却気体室Ca間における循環送風路Rを開閉する開閉機構部18を設けたものである。即ち、機体31の上面であって試験槽機構Maの左右両側の位置にエアシリンダ91a,91bを配設するとともに、このエアシリンダ91a,91bの出力ロッドに連結した弁シャフト92a,92bを熱交換室Ccの内部に至らせる。そして、弁シャフト92a,92bの先端(下端)に、弁部93a,93bを取付け、この弁部93a,93bは、それぞれ第一通気口Cao,第二通気口Caiの真上に臨ませる。このように、送風部17に、熱交換器3と冷却気体室Ca間における循環送風路Rを開閉する開閉機構部18を設ければ、冷却気体Acの非使用時であっても、冷却気体Acが気体冷却部15から熱交換器3側へ漏れるのを確実に防止できる利点がある。
【0045】
図11は、試験槽機構Maにおけるカバー部6に、試験槽2の内部の空気を撹拌する撹拌機構部20を設けることにより、熱衝撃試験用の試験槽機構Maeとして構成したものである。この場合、撹拌機構部20は、カバー部6の上面に取付けたモータ95を備え、このモータ95の回転シャフトに連結した回転シャフト96を凹部37内に臨ませることにより、回転シャフト96先端(下端)に、撹拌用ファン97を取付ける。また、撹拌用ファン97の回転を妨げない位置には、ステンレス素材を用いたネットにより構成した上バケット98uを配設する。一方、伝熱プレート5の上面には、アルミニウム素材又は銅素材で形成したヒートシンク形の熱交換ブロック99を載置するとともに、この熱交換ブロック99の上に所定の隙間を開けて、ステンレス素材を用いたネットにより構成した下バケット98dを設置する。これにより、カバー部6を閉じれば、上バケット98uが下バケット98dを覆うため、下バケット98dに被試験体P…をセットし、撹拌用ファン97を回転させれば、被試験体P…に対する熱衝撃試験を行うことができる。このように、試験槽機構Maにおけるカバー部6に、試験槽2の内部の空気を撹拌する撹拌機構部20を設けることにより、熱衝撃試験用の試験槽機構Maeとして構成すれば、カバー部6以外の構成をそのまま利用して熱衝撃試験を行うことができる。したがって、例えば、熱衝撃試験用のカバー部をオプション扱いとして、カバー部6と交換可能に構成すれば、熱試験装置(熱衝撃試験装置)から熱衝撃試験装置(熱試験装置)に容易に変更できる。
【0046】
なお、図7〜図11に示す変更実施形態において、図1〜図6と同一部分(同一機能部分)には同一符号を付してその構成を明確にした。したがって、図7〜図11において、図1〜図6と同一部分(同一機能部分)の詳細な説明は省略する。
【0047】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0048】
例えば、冷却気体Acとして窒素ガスを用いた場合を示したが、他の不活性ガスや除湿空気を用いてもよい。なお、この場合の除湿空気は、外部から除湿空気を封入する場合と、封入した通常の空気を機体31に内蔵した除湿装置により除湿する場合を含む。また、サーモモジュール4を構成するペルチュ素子は、例えば、二段重ねにより構成するなど、その構成は任意である。さらに、冷却器7としてスターリングクーラ7sを用いた場合を示したが、他の冷却器7の使用を排除するものではない。したがって、ペルチェ素子を利用した冷却器7であってもよい。一方、補助加熱部11は、例示した補助加熱部以外の加熱手段であってもよいし、必要により異なる複数の補助加熱部を組合わせることもできる。なお、本実施形態に係る熱試験装置1は、小型電子部品(被試験体P…)の熱試験に用いて最適であるが、小型電子部品のみならず試験槽2にセットできる各種中型及び大型の電子部品をはじめ、電子部品以外の各種部品や物品などの熱試験にも同様に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る熱試験装置の一部断面正面図、
【図2】同熱試験装置の一部断面側面図、
【図3】同熱試験装置における試験槽機構を拡大して示す断面正面図、
【図4】同熱試験装置における制御系を示すブロック系統図、
【図5】同熱試験装置により熱試験を行う際における制御パターン図、
【図6】同熱試験装置の使用方法及び動作を説明するためのフローチャート、
【図7】本発明の変更実施形態に係る熱試験装置における補助加熱部の変更例を示し、(a)は正面方向から見た断面構成図、(b)は側面方向から見た構成図、
【図8】同熱試験装置における補助加熱部の他の変更例を示す一部断面正面図、
【図9】本発明の他の変更実施形態に係る熱試験装置であって補助放冷部の構成を含む一部断面正面図、
【図10】本発明の他の変更実施形態に係る熱試験装置であって開閉機構部の構成を含む一部断面正面図、
【図11】本発明の他の変更実施形態に係る熱試験装置であって熱衝撃試験用の試験槽機構を含む一部断面正面図、
【符号の説明】
【0050】
1:熱試験装置,2:試験槽,2d:試験槽の底面部,3:熱交換器,4…:サーモモジュール,5:伝熱プレート,6:カバー部,7:冷却器,7s:スターリングクーラ,8:コントローラ,11:補助加熱部,11a…:ヒータ,11b…:棒状のヒータ,11c…:気体通路,12:補助放冷部,15:気体冷却部,16a:送風ファン,16b:送風ファン,17:送風部,18:開閉機構部,19:気体供給部,20:撹拌機構部,P…:被試験体,Ma:試験槽機構,Mb:冷却機構,Mae:熱衝撃試験用の試験槽機構,Ac:冷却気体,Ah:加熱流体,Aa:放冷用の気体,Ca:冷却気体室,Cao:第一通気口,Cai:第二通気口,R:循環送風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験槽の内部に収容した被試験体に少なくとも高温環境と低温環境を交互に付与可能に構成して前記被試験体に対する熱試験を行う熱試験装置において、ヒートシンク形の熱交換器の上面にペルチェ素子を用いた少なくとも一つ以上のサーモモジュールを配し、かつこのサーモモジュールの上面に伝熱プレートを配するとともに、この伝熱プレートに対して開閉するカバー部を設け、このカバー部を閉じた際に前記伝熱プレートを底面部とする前記試験槽を構成する試験槽機構と、前記熱交換器を冷却する冷却気体を得る冷却器を用いた冷却機構と、前記サーモモジュール及び前記冷却器の作動を制御するコントローラとを具備してなることを特徴とする熱試験装置。
【請求項2】
前記試験槽機構は、前記サーモモジュールに加えて補助加熱部を備えることを特徴とする請求項1記載の熱試験装置。
【請求項3】
前記補助加熱部は、少なくとも、前記サーモモジュールに並べて配したヒータを用いた補助加熱部,前記熱交換器の内部に埋設した棒状のヒータを用いた補助加熱部,前記熱交換器の内部に形成した気体通路に加熱流体を流通させる補助加熱部,の一又は二以上を用いることを特徴とする請求項2記載の熱試験装置。
【請求項4】
前記熱交換器に対して放冷用の気体を送風する補助放冷部を備えることを特徴とする請求項1記載の熱試験装置。
【請求項5】
前記冷却機構は、前記冷却器を構成するスターリングクーラ及びこのスターリングクーラにより冷却した冷却気体を貯留する冷却気体室を有する気体冷却部と、前記冷却気体室から第一通気口を経て前記熱交換器に至り、かつこの前記熱交換器から第二通気口を経て前記冷却気体室に至る循環送風路、及びこの循環送風路に前記冷却気体を循環送風する送風ファンを有する送風部を備えることを特徴とする請求項1記載の熱試験装置。
【請求項6】
前記気体冷却部は、前記熱交換器の下方に前記冷却気体室を配してなることを特徴とする請求項5記載の熱試験装置。
【請求項7】
前記送風部は、前記熱交換器と前記冷却気体室間における前記循環送風路を開閉する開閉機構部を備えることを特徴とする請求項5記載の熱試験装置。
【請求項8】
前記冷却機構は、前記循環送風路に対して除湿空気又は不活性ガスを供給する気体供給部を備えることを特徴とする請求項5記載の熱試験装置。
【請求項9】
前記試験槽機構は、前記カバー部に、前記試験槽の内部の空気を撹拌する撹拌機構部を設けることにより、熱衝撃試験用の試験槽機構として構成することを特徴とする請求項1記載の熱試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−139165(P2009−139165A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314262(P2007−314262)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(391001619)長野県 (64)
【出願人】(503004138)サーモジェン有限会社 (3)
【Fターム(参考)】