説明

熱風炉、加熱装置および加温機

【課題】RPFを燃料とした小型で燃焼効率の良い熱風炉及びRPFの燃焼に伴う熱エネルギーを効率良く温風に熱交換し、農業用のハウスに温風を供給する加温機の提供。
【解決手段】温風ファン71と吹き出し口10bによりハウスと空気の循環路を形成するように接続した密閉構造の筐体10内に、RPFを燃料として熱風を発生する熱風炉20と、熱風炉10の熱風を筐体10外に排出する熱風管路61〜63と、熱風管路からの熱風を熱交換して放熱する放熱器40,50と、RPF供給装置2から送られるRPFを熱風炉20に供給するRPF供給ダクト27と、を有し、放熱器40,50から放熱される熱により暖められた筐体10内の空気を吹き出し口10bよりハウスに吹き出す。熱風炉はRPF燃焼室内に上下に長い帯状噴射部より燃焼用空気を噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料の一つであるRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)を燃焼し熱風を発生させる熱風炉、熱風炉で発生した熱風を直接利用した乾燥機等の加熱装置、熱風炉で発生した熱風を熱交換して得た温風を農業(園芸も含む)用のハウス(温室)等の室内に供給する加温機に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウス(温室)用の加温機として、熱源で暖められた温風(熱風)を直接ハウス内に供給する形式では(特許文献1)、熱源に電気を使用することで安全な温風をハウス内に供給することができる。
【0003】
しかし、電気の使用はランニングコストの点において灯油,重油等の液体燃料を燃焼させて使用する場合に比べて非常に不利となる。また、燃料を燃焼させる場合、RPFは灯油あるいは重油を使用する場合に比べて大幅なコスト低減を図ることができ、近年RPFの使用が検討されている。
【0004】
なお、RPFは、一般廃棄物あるいは産業廃棄物の中で古紙,プラスチックを原料とした高カロリーの固形燃料であり、古紙とプラスチックとを突き固めて固形化した構成としている。
【0005】
また、RPFを燃焼させて温風をハウス内に供給する加温機では、RPFの燃焼により発生する高温の燃焼ガスをハウス内に直接供給できないので、この高温の燃焼ガスに対して効率よく熱交換した温風を供給することになる。
【特許文献1】特開2002−305992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加温機の稼働時間は、一晩中あるいは一日中といった長時間にわたるため、石油代替燃料としてRPFを使用した場合、コスト低減の要請より、RPFの燃焼効率を単に高めるだけではなく、発生した燃焼ガス(熱風)をでき得る限り供給する温風に熱交換することが望まれる。
【0007】
また、加温機を必要とするハウスは一般に大規模なハウスであることが多く、敷地一杯に複数のハウスを配置した場合では、加温機の設置スペースが必ずしも十分とは言えないため、加温機の小型化も望まれる。
【0008】
また、固形燃料であるRPFを例えば一日あるいは数日分貯蔵し、これを加温機の燃焼炉(熱風炉)に対して自動供給することもRPFを燃料とする加温機にとって非常に重要なことでもある。特に、ハウス農家にとって、RPFの補給に人手と作業時間を割かれることはデメリットであり、RPFの補給作業を不要とすることも望まれる。
【0009】
一方、RPFの燃焼を高めてクリーンな燃焼排ガスを排出できる熱風炉であれば、燃焼排ガス(熱風)を例えば被加熱対象物に直接吹き付けて、例えば乾燥させる加熱装置にも利用でき、勿論熱交換により上記した加温機以外の利用も可能である。
【0010】
本発明の第1の目的は、このような課題を解決するためになされたもので、RPFの燃焼を高めてクリーンな燃焼排ガスを排出できる熱風炉を提供しようとするものである。
【0011】
本発明の第2の目的は、RPFの燃焼排ガスにより被加熱対象物が直接加熱される加熱装置を提供しようとするものである。
【0012】
本発明の第3の目的は、RPFの燃焼排ガスをでき得る限り温風に熱交換して農業用のハウスなどに温風を供給でき、また装置の小型化が図れ、さらには燃料であるRPFの供給を無人化できる加温機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を実現する熱風炉の構成は、筒状に形成された縦型配置の炉体と、前記炉体の内部に配置され、該炉体内を上下2室に区画し、上部区室をRPF燃焼室とするRPF燃焼部と、前記RPF燃焼部に炉体外よりRPFを供給する前記炉体に設けられたRPF供給ダクトと、前記RPF燃焼室内の燃焼排気ガスである熱風を炉体外に排気する熱風ダクトと、前記炉体内に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給部と、を備え、前記RPF燃焼部は、上下端が開口した筒形状のRPF受け体と、前記RPF受け体の下端に配置されてRPFが載置される火格子とを有し、前記燃焼用空気供給部は、上下方向に長い帯状の幅で燃焼用空気を前記RPF燃焼室内に向け噴射する炉周壁の周方向に沿って複数配置された帯状噴射部と、前記RPF燃焼部のRPF受け体内まで延びる1又は複数の燃焼用空気ノズルと、前記炉体内の下部区室内に燃焼用空気を供給する下部区室用空気供給部を有することを特徴とする。
【0014】
上記構成の熱風炉において、前記炉体の下部区室内の未燃焼ガスを前記RPF燃焼室内に直接供給する未燃焼ガス供給管を前記下部区室と前記RPF燃焼室とを連通するように設けることができる。
【0015】
上記したいずれかの構成の熱風炉において、前記火格子は、前記RPF受け体に対して水平方向にスライド可能とすることができる。
【0016】
上記構成の熱風炉において、前記炉体の炉周壁に設けた貫通孔を通して前記火格子をスライド操作可能とすることができる。
【0017】
上記したいずれかの構成において、前記燃焼用空気供給部を構成する帯状噴射部は、多数の空気ノズル部を縦横方向に配置して構成することができる。
【0018】
上記したいずれかの構成において、前記前記RPF燃焼部を構成するRPF受け体を逆円錐台形状に形成し、下端開口内まで、前記燃焼用空気供給部を構成する燃焼用空気ノズルの先端を延出することができる。
【0019】
上記したいずれかの構成において、前記炉体の下部区室内は、前記火格子を通して落下したRPF燃焼灰を貯留する灰貯留部とすることができる。
【0020】
上記したいずれかの構成において、前記炉体の炉周壁には、前記RPF燃焼部上のRPFを着火するための着火装置が差し込まれる差し込み管を設けることができる。
【0021】
上記したいずれかの構成において、前記RPF供給ダクトは、RPFが貯留される貯留槽中のRPFを連続的に供給可能とするRPF供給装置と接続することができる。
【0022】
上記したいずれかの構成において、前記RPF供給装置は、RPFを貯留するRPF貯留ホッパーと、前記RPF供給ダクトと前記RPF貯留ホッパーの下部との間に配置した密閉構造の搬送手段と、により構成することができる。
【0023】
本発明の第2の目的を実現する加熱装置の構成は、上記したいずれかの構成の熱風炉の熱風ダクトに接続され、該熱風ダクトからの熱風が供給される熱風吹き込み筐体内の被加熱物を加熱することを特徴とする。
【0024】
上記した構成の加熱装置において、前記熱風吹き込み筐体はロータリーキルンとすることができる。
【0025】
本発明の第3の目的を実現する加温機の構成は、外部空気が温風ファンにより室内に空気導入口を通して供給されると共に、室内の空気を吹き出し口より室外に吹き出す密閉構造の加温機筐体と、前記加温機筐体内に収容され、炉体内に燃焼用空気供給部より燃焼用空気が供給されると共に、RPF供給ダクトを通して該加温機筐体外から炉体内の火格子上に供給されたRPFを燃焼して熱風を発生する熱風炉と、前記熱風炉で発生した熱風を前記加温機筐体外に排出する前記加温機筐体内に収容された熱風管路と、前記熱風管路に接続され、供給された熱風を熱交換により放熱する前記加温機筐体内に収容された放熱器と、前記加温機筐体外に配置され、前記RPF供給ダクトにRPFを連続的に供給するRPF供給装置と、を少なくとも有し、前記放熱器から放熱される熱により暖められた前記加温機筐体内の空気を前記吹き出し口より吹き出すことを特徴とする。
【0026】
上記した構成の加温機において、前記熱風管路には、前記放熱器よりも上流側に除塵器を接続することができる。
【0027】
上記した構成の加温機において、前記熱風炉を直方体状に形成された前記加温機筐体内の一側部に配置し、前記熱風炉を配置する一側部側の側壁を除く他の3側壁のいずれかに前記吹き出し口を設け、前記空気導入口を前記加温機筐体の天板あるいは前記他の3側壁のなかで前記吹き出し口の設けられていない側壁に設け、前記温風ファンによる前記加温機筐体内の空気の流れを前記導入口から前記吹き出し口に向けて形成した。
【0028】
上記した構成の加温機において、前記放熱器は、前記熱風管路の途中に接続した第1放熱器と、前記熱風管路の終端部に接続した第2放熱器とを備え、前記第1放熱器を前記一方の側壁側に配置し、前記第2放熱器を前記他方の側壁側に配置して、前記第1放熱器と前記第2放熱器との間を前記加温機筐体内の下部に配置した熱風管路で接続し、前記第2放熱器から排出される排出ガスを前記加温機筐体外に配置した排ガスファンにより排出することができる。
【0029】
上記したいずれかの構成の加温機において、前記熱風炉の炉体下部および前記放熱器の下部には、RPFの燃焼灰を貯留する灰貯留部が設けられ、前記加温機筐体外に通じる灰排出ダクトに前記灰貯留部を接続することができる。
【0030】
上記したいずれかの構成の加温機において、前記熱風炉は、RPFが載置される火格子を振動させて灰を落下させることができる。
【0031】
上記したいずれかの構成の加温機において、前記熱風炉の燃焼用空気供給部に燃焼用空気を供給する送風ファンを前記加温機筐体外に配置することができる。
【0032】
上記したいずれかの構成の加温機において、前記加温機筐体内に収容される熱風炉は、上記したいずれかの構成の熱風炉とすることができる。
【0033】
上記した構成の加温機において、前記搬送手段の搬送速度を調節することにより、前記吹き出し口から吹き出される温風の温度を調節することができる。
【0034】
上記した構成の加温機において、前記搬送手段の搬送速度調節に加え、前記送風ファンの送風量と、前記排ガスファンの送風量の双方又はいずれか一方を調節して前記吹き出し口から吹き出される温風の温度を調節することができる。
【0035】
また、熱風炉の熱風を熱交換して温風を供給できる加温機としては、以下の構成とすることができる。
【0036】
(1)RPFを主燃料として燃焼させる燃焼室と、熱交換用の空気が導入されると共に、加温対象に対して熱交換された暖気を供給する熱交換室と、前記熱交換室に配置され、前記燃焼室で得られた燃焼ガスが通過する際に前記熱交換室内の空気を加熱する熱交換器と、を少なくとも有する加温機本体と、前記加温機本体の燃焼室にRPFを供給するRPF供給装置と、を備え、前記燃焼室は、灰受窯の上部に配置したRPFが供給される火格子と、前記火格子に向けて上下方向から燃焼用空気を供給する燃焼用空気ノズルと、前記灰受窯に落下した灰を機外に排出する排出手段と、を有することを特徴とする加温機。
(2)上記(1)の加温機において、前記燃焼室からの燃焼ガスを該熱交換器に温度分布が均一な流れに整流して送り込む燃焼ガス集合室と、前記熱交換器を通過をした燃焼ガスを一様な流れで機外に通じる排ガス管に排出させる燃焼ガス排出室とを前記熱交換室の両側に配置し、前記燃焼ガス排出室内の燃焼ガスを排ガス引き抜き手段で該排ガス管に引き抜くことを特徴とする。
(3)上記(1)または(2)の加温機において、前記加温対象内の空気を前記熱交換室内に導入して暖気の循環経路を形成する循環系と、前記熱交換室内の空気を外気と入れ替える冷却系を切り替え可能とする空調手段と、温度センサーで検出した前記加温対象内の温度に基づいて該加温対象内の温度が設定温度となるように前記空調手段を制御する制御器と、を備えたことを特徴とする。
(4)上記(3)の加温機において、前記空調手段は、前記熱交換室内に前記加温対象内の空気を導入する第1状態と機外の空気を導入する第2状態とを切り替え可能とする空気導入装置と、前記熱交換室内の空気を機外に排気する排気状態と該排気状態を停止させる排気停止状態とを切り替え可能とする排気装置とにより構成し、前記制御器は、前記温度センサーで検出した前記加温対象内の温度が設定温度に達するまでは、前記排気装置を排気停止状態とすると共に前記空気導入装置を第1状態として加温対象内の空気を前記熱交換室内に導入し、前記温度センサーで検出した前記加温対象内の温度が設定温度に達すると、前記排気装置を排気状態とすると共に前記空気導入装置を第2状態として外気を前記熱交換室内に導入し、該熱交換室内の空気を機外に排気することを特徴とする。
(5)上記(4)の加温機において、前記空気導入装置は、常時運転される吸気ファンと、前記吸気ファンの吸気により、第1ダクト部を通して前記加温対象内の空気を前記熱交換室内に導入可能とすると共に第2ダクト部を通して機外の空気を前記熱交換室内に導入可能とするダクトと、前記第1ダクト部に配置された第1シャッターと、前記第2ダクト部に配置された第2シャッターとを有し、前記第1状態は前記第1シャッターを開状態とすると共に前記第2シャッターを閉状態とし、前記第2状態は前記第1シャッターを閉状態とすると共に前記第2シャッターを開状態としたことを特徴とする。
(6)上記(4)または(5)の加温機において、前記排気装置は、排気ファンと、前記排気ファンの排気により前記熱交換室内の空気を機外に排気する排気流路を開閉可能とする第3シャッターとを有し、前記熱交換室内の空気を機外に排気する排気動作の際に前記排気ファンを動作させると共に前記第3シャッターを動作させることを特徴とする。
(7)上記(1)から(6)のいずれかの加温機において、前記燃焼ガス集合室と、前記燃焼ガス排出室とは、燃焼ガスの流通方向に見て縦断面U字形状のガス流路に形成されていることを特徴とする。
(8)上記(1)から(7)のいずれかの加温機において、前記RPF供給装置は、傾斜配置した密閉構造の搬送手段と、該搬送手段の傾斜下端部に設けたRPFが投入されるホッパーと、該搬送手段の傾斜上端部に設けられ、前記燃焼室内に挿通されて該搬送手段で搬送されたRPFを該燃焼室内に供給するRPF供給ダクトと、を有することを特徴とする。
(9)上記(8)の加温機において、前記RPF供給ダクト内に燃焼用空気を供給することを特徴とする。
【0037】
上記(1)の加温機によれば、燃焼室の火格子上にRPFをRPF供給装置により連続して供給することができ、火格子から灰受窯に落下し灰を排出手段により機外に連続的に排出することができるので、RPFの供給から燃焼灰の排出を自動化することができる。
【0038】
また、火格子上のRPFに向けて燃焼用空気をその上下から燃焼用空気ノズルにより供給することで、RPFを内部まで完全に高温度で燃焼させることができる。
【0039】
さらに、高温の燃焼ガスを熱交換器内に通すことで、熱交換室内を流れる加温空気を暖めて、ハウス等の加温対象の空間内供給することができる。
【0040】
上記(2)の加温機によれば、燃焼ガスを熱交換器にまんべんなく取り込ませることができ、また排ガス管に脈動等を生じさせることなく排出させることができ、熱交換器において効率よく加温空気に熱交換させることができる。
【0041】
上記(3)、(4)、(5)、(6)の加温機によれば、タイムラグなくハウス等の加温対象内の温度を設定温度に維持することができる。
【0042】
また、第1シャッター、第2シャッターを全開状態とせずに、開度調整して空気流量を調整することで、ハウス等の加温対象内の温度変化を急激あるいは緩やかに行うことができる。
【0043】
上記(7)の加温機によれば、燃焼ガス集合室及び燃焼ガス排出室内を流れる燃焼ガスの流路長を長くして、燃焼ガスを整流して熱交換器内に取り込ませ、また熱交換器から排ガス管にスムーズに燃焼ガスを排出させることができる。
【0044】
上記(8)、(9)の加温機によれば、燃焼室に対するRPFの連続供給を確保でき、またRPF供給ダクトを通して燃焼ガスが機外に流出するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0045】
請求項1に係る熱風炉の発明によれば、RPFを燃焼させて熱風を発生させることができる。また、燃焼用空気の効果的な供給により、炉体を小型化しても高温の熱風を発生させ、またRPFの燃焼効率を高めることができるので、少ない燃料消費で高温の熱風が得られるため、重油を燃焼させる場合に比べて低コストで高温度の熱風を排出することができる。
【0046】
請求項2に係る発明によれば、未燃焼ガスを燃焼させて燃焼効率の向上が図れ、熱風温度を高めることができる。
【0047】
請求項3、4に係る発明によれば、火格子上に灰が堆積してRPFの燃焼に支障をきたすことがなく、RPFを連続的に燃焼させることができる。炉外から火格子を操作して振動させることができる。
【0048】
請求項5に係る発明によれば、炉周壁の強度を低下させることなく上下に細長い幅で燃焼用空気を炉内に噴射させることができる。
【0049】
請求項6に係る発明によれば、火格子の上に堆積したRPF内に燃焼用空気を直接供給することができるので、RPFの燃焼を促進することができ、RPFの燃焼効率を高め、熱風温度を高くすることができる。
【0050】
請求項7に係る発明によれば、RPF燃焼灰を貯留する貯留部を設けることで、たまった燃焼灰の炉外への取り出しを行える。
【0051】
請求項8に係る発明によれば、ガスバーナーや重油バーナーを用いて炉外から火格子上のRPFを着火することができる。
【0052】
請求項9に係る発明によれば、長時間にわたり連続的にRPFを火格子上に供給できるので、燃料補給に人手を不要とする。
【0053】
請求項10に係る発明によれば、搬送手段を密閉構造としているので、炉内の熱風が搬送手段内に吹き込まれて外部に漏れ出ることがない。また、RPF供給装置を簡単な構成とすることができる。
【0054】
請求項11、12に係る加熱装置に係る発明によれば、高温の熱風により直接被加熱物を加熱することができる。
【0055】
請求項13に係る加温機の発明によれば、加温機の筐体(加温機筐体)内に配置した熱風炉と放熱器を熱風管路で接続する構成とし、加温機筐体内に例えばハウス内と循環する空気流路を形成することにより、放熱器で熱交換される熱量だけでなく、熱風炉及び熱風管路から放出される熱量もハウスを加温するために用いることができ、エネルギーの有効利用を図ることができる。
【0056】
また、加温機筐体内を複数の区室に仕切るような構成としていないため、加温機筐体内における各種機器の配置の自由度が増し、加温機の小型化が図れる。
【0057】
請求項14に係る発明によれば、燃料としてRPFを使用しているので、熱風中に灰等の粉塵が含まれるため、放熱器の手前で除塵器により粉塵等を取り除くことにより、放熱器内への粉塵の付着を防止し、放熱器の放熱効率の低下を防止できる。また、排ガス中に含まれる灰等の粉塵を除去できるので、大気中にクリーンなガスを排出することができる。
【0058】
請求項15に係る発明によれば、加温機の設置位置に応じて温風ファンおよび吹き出し口の位置を設定できる。
【0059】
請求項16に係る発明によれば、第2放熱器により熱風を最大限利用することができる。
【0060】
請求項17に係る発明によれば、RPFの燃焼によって発生した灰の排出を行うことで加温機の連続運転を可能とする。
【0061】
請求項18に係る発明によれば、熱風炉におけるRPFの連続燃焼を確実に行うことを可能とする。
【0062】
請求項19に係る発明によれば、送風ファンにより熱風炉内に供給する燃焼用空気の供給量を調節できるので、例えば燃焼用空気の供給量を増加RPFを最適な温度で完全燃焼させることができ、熱風の温度制御を正確に行え、吹き出される温風の温度制御を正確に行える。
【0063】
請求項20に係る発明によれば、小型の熱風炉を加温機の筐体内に収容し、加温機の小型化を図れ、しかも低コストで高温の温風を提供することができる。
【0064】
請求項21に係る発明によれば、例えば加温機と循環路を形成するように接続されるハウス内の温度調節を行うことができる。
【0065】
請求項22に係る発明によれば、加温機の温度調節を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明を図1から図7に示す実施形態に基づいて説明する。
【0067】
第1実施形態
図1から図4は本発明による熱風炉の第1実施形態を示し、図1は熱風炉の外観斜視図、図2は図1の上面図、図3は図2のA−A矢視縦断面図、図4は図3のB−B矢視横断面図である。
【0068】
100は円筒状に形成された竪型に配置される熱風炉の炉体で、上炉体部101と下炉体部102とを上下2分割構造により構成し、上炉体部101の下面に設けたフランジ部101aと下炉体部102の下面に設けたフランジ部102aとを不図示のボルト・ナットにより締結することで、上炉体部101と下炉体部102とを一体的に結合している。なお、上炉体部101と下炉体部102とは、例えば鉄製の外板部材の内側に耐熱部材からなる耐熱層を設けた構造としている。
【0069】
炉体100の炉体内には、上下方向の中程にRPFを燃焼させるRPF燃焼部103が設けられており、RPF燃焼部103を境にして炉体100内を上下2室100a,100bに区画している。RPF燃焼部103により区画される炉体内の上部区室100aをRPF燃焼室としている。
【0070】
RPF燃焼部103は、逆円錐台形状のRPF受け台104と、RPF受け台104の下方に配置した火格子105とにより構成し、RPF受け台104の下部には、RPF受け台104の下部開口104aを挟んでその両側に火格子ガイド部材106を対向配置し、火格子105が一対の火格子ガイド部材106に水平方向に沿ってスライド自在に支持される。図4に示すように、一対の火格子ガイド部材106は、矢印Cで示す方向に沿ってRPF受け台104の外面側に取り付けられており、火格子105は矢印C方向にスライド自在となっている。
【0071】
本実施形態において、RPF受け台104の上端開口縁にはフランジ104bが形成され、このフランジ104bを下炉体部102のフランジ102a上に載せることにより、火格子105を支持したRPF受け台104の位置決めが行われる。すなわち、本実施形態では上炉体部101内を前記上部区室100aであるRPF燃焼室としている。そして、上炉体101と下炉体102とを前述の如くボルト・ナットにより締結することにより、RPF受け台104が固定される。
【0072】
炉体100内には、燃焼用空気供給部により燃焼用空気が供給されて、RPFの燃焼が行われる。燃焼用空気供給部は、RPF燃焼室である上炉体部101内に上下方向に長い帯状幅で燃焼用空気を噴射する帯状噴射部107を炉周壁に設け、この帯状噴射部107を周方向に間隔を有して複数個所(本実施形態では等間隔に4個所)設けている。帯状噴射部107は、多数の空気ノズル部107aを全体的に覆うようにを縦横方向に配置した構成としている。そして、上炉体部101の外板にこれらマトリックス状に設けた空気ノズル部107aを全体的に覆うノズルキャップ108を取り付けている。
【0073】
上炉体部101の頂部に、帯状噴射部用の燃焼用空気分配箱109を設け、この燃焼用空気分配箱109からそれぞれ各ノズルキャップ108に分岐管110を接続し、さらにこの燃焼用空気分配箱109に帯状噴射部用の燃焼用空気供給管111を接続している。燃焼用空気供給管111は、例えば図6に示す燃焼用空気供給源5(送風ファン5cと、この送風ファン5cからの圧縮空気を貯留するエアータンク5bを含む)に接続され、燃焼用空気を燃焼用空気分配箱109に供給する。そして、燃焼空気分配箱109から各分岐管110を介して燃焼用空気が帯状噴射部107に供給され、帯状噴射部107を構成する各空気ノズル部107aからRPF燃焼室内に燃焼用空気が供給される。
【0074】
燃焼室内に供給される単位時間当たりの燃焼用空気量が多いほどRPFの燃焼が促進されて燃焼温度が高めら、排気ガスである熱風を高温で排出することができると共に、RPFの燃焼に伴う有害ガスの排出を減少させることができる。単位時間当たりの燃焼用空気量を増加させるには、例えば、燃焼用空気の吐出圧力を増せば良いが、この場合RPF燃焼部103の火格子105上のRPFが吹き飛ばされてしまう。また、炉周壁の周方向に沿って多数の空気ノズルを設けると、炉体の強度が低下する。しかし、本実施形態のように、上下方向に長い帯状噴射部とすることで、十分な燃焼用空気流量を確保することができ、また炉体の強度を十分に確保することができる。
【0075】
上炉体部101の上端周壁部の一部に排気ガス(熱風)の排気口112が周方向に形成されており、この排気口112を覆うように熱風ダクト113を上炉体部101の外周に取り付けている。上記火格子105のスライド方向Cの片側に熱風ダクト113を配置し、熱風ダクト113とは反対側にはRPFを火格子105上に炉外から供給するためのRPF供給開口114を形成している。そして、RPF供給開口114には、上炉体部101の外側にRPF供給ダクト115が取り付けられている。
【0076】
RPF供給ダクト115は、RPF供給開口114を下端として傾斜配置されており、RPF供給ダクト115の傾斜上端が、例えば図6に示すRPF供給装置2のスクリューコンベア2Aの搬送終端部に接続される。そして、RPF供給装置2からRPF供給ダクト115を通して炉体100の火格子105上にRPFを連続的に供給可能としている。火格子105の上方にはRPF受け体104が配置されているため、RPF供給ダクト115から供給されたRPFはRPF受け体104内に堆積する。
【0077】
RPF受け体104内で火格子105上に堆積したRPFに対して最初に着火すると、その後はRPFの連続的な供給でRPFを連続的に燃焼させることができ、例えばRPFの供給量を調節することによりRPFの燃焼温度、すなわち熱風の温度を調節することができる。
【0078】
本実施形態バーナー内に例えばプロパンガスあるいは灯油等を燃料として火炎を細長い筒状のバーナー部の先端から出す着火装置(不図示)を差し込んで火格子105上に堆積したRPFを着火するようにしている。上炉体101の炉周壁にバーナー差し込み管116を傾斜配置し、このバーナー差し込み管116に前記着火装置のバーナー部を差し込むようにしている。前記着火装置はバーナー部をバーナー差し込み管116に差し込んだ状態で固定している。
【0079】
火格子105上で燃焼したRPFは灰となって格子の間から落下するが、RPFの燃焼が進むにつれて火格子105上に灰が貯まり、格子から灰が落下し難くなる。このため、火格子105を水平方向にスライド(振動)させて灰を強制的に落下させる。下炉体部102の炉周壁には、火格子105と同じ高さに火格子操作ロッド(不図示)を炉外から装入するための操作ロッド装入管117を水平にして排気ダクト113と反対側に配置している。この火格子操作ロッドは、例えば火格子105に不図示の連結ピンを介して連結され、操作ロッド装入管117に対して往復移動させることで火格子105を振動させ、火格子105上の焼却灰を落下させる。この火格子操作ロッドは炉外から手動操作により火格子105を水平方向に往復動させてもよく、またクランク機構等を用いて機械的に往復動させても良い。
【0080】
下炉体部102の下部は、灰貯留部118をなし、例えば不図示の灰貯留箱が配置され、炉蓋119を開いて該灰貯留箱の取り出しを可能としている。
【0081】
前記燃焼用空気供給部は、前記RPF燃焼室内に燃焼用空気を供給する帯状噴射部107に加え、RPF受け体104を水平方向に貫通して火格子105の上方で堆積したRPF内に燃焼用空気を供給する燃焼用空気ノズル120と、下部区室100b内に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給孔121を有している。燃焼用空気ノズル120は前記矢印C方向と直交方向に対向して2本取り付けられており、これら2本の燃焼用空気ノズル120は水平方向に互いにずれて配置されている。このように、2本の燃焼用空気ノズル120からの燃焼用空気を堆積しているRPF内に直接供給しているので、RPFの燃焼を促進させることができる。
【0082】
下炉体部102の炉周壁に設けた燃焼用空気供給孔121より燃焼用空気を下部区室100bに供給することにより、火格子105の下方から火格子105上のRPFに該下部区室100b内から燃焼用空気を供給し、火格子105上のRPFの燃焼を促進させることができる。また、前記下部区室100b内には、火格子105を通してRPFの未燃焼ガスが入り込む。このRPFの未燃焼ガスはハイカロリーであるため、RPF燃焼室に直接送り込むと燃焼し、RPF燃焼室内における燃焼温度を上昇させることができ、またRPFを無駄なく燃焼させることができる。
【0083】
そこで、本実施形態では、下炉体部102の炉周壁に下連通口122を設けると共に、上炉体部101の炉周壁に上連通口123を設け、下連通口122と上連通口123を炉外に設けた連通管124により接続し、下部区室100bとRPF燃焼室100aとを連通させている。下連通口122を火格子105にできる限り近づいた下方位置に設け、未燃焼ガスを濃度が濃い状態で下連通口122に導くようにしている。また、上連通口123を帯状噴射部107の下部位置と略同じ高さに設けている。なお、連通管124はフランジにより上下2分割構造とし、上炉体部101と下炉体部102とを接合した状態で連通管124の上下部分が接する。
【0084】
前記下部区室100bは燃焼用空気供給孔121からの燃焼用空気の供給により正圧状態にあり、また煙突効果により前記未燃焼ガスは下連通口122から連通管124を通し、上連通口123からRPF燃焼室内に導かれることになる。
【0085】
2本の燃焼用空気ノズル120はそれぞれ空気供給管125,126に接続され、燃焼用空気供給孔121は空気供給管127に接続され、これら空気供給管125,126,127は、例えば図6に示す燃焼用空気供給源5のエアータンク5aに接続される。
【0086】
上記した構成の熱風炉は、RPFをRPF供給ダクト115を通して炉外から火格子105上に必要量を補給することで、火格子105上でRPFを連続的に燃焼させることができる。そして、RPF燃焼室内に複数の帯状噴射部107からの燃焼空気の供給と、2本の燃焼用空気ノズル120による火格子105上に堆積したRPF内への燃焼用空気の直接供給と、燃焼用空気供給孔121から下部区室100b内に供給されて火格子105を通してRPF燃焼室内に向けた燃焼用空気により、RPFを高温度で燃焼させ、高温の熱風を熱風ダクト113より炉外に排出することができる。また、未燃焼ガスを下部区室100bからRPF燃焼室内に直接供給することにより、無駄なくRPFを燃焼させることができると共に、燃焼温度をさらに高めることができる。
【0087】
熱風炉により発生する熱風を利用する利用態様としては、内燃式ロータリーキルンの回転円筒内に熱風を直接吹き込み、該回転円筒内の被加熱物(被乾燥物)を加熱して乾燥させること等を提示できる。
【0088】
また、熱風炉は、熱風炉により発生する熱風を熱交換器等を用いて熱交換した温風をハウス内に供給する加温機等にも用いることができる。
【0089】
第2実施形態
図5から図7は本発明の第2実施形態を示す。本第2実施形態は、第1実施形態に示す熱風炉を用いた加温機に関するものである。
【0090】
図5は加温機の上面図で、説明容易のために加温機筐体の天板を取り外した状態を示す。図6は図5の正面図で、説明容易のために加温機筐体の正面側の側板を取り外した状態を示す。図7はRPFの自動供給システムを示す制御ブロック図である。
【0091】
図5および図6において、本実施形態の加温機1は、直方体形状に形成した密閉構造の加温機筐体10内に、燃料のRPFを燃焼させ、発生した燃焼ガス(熱風)を炉外に排出する熱風炉20と、2基を一組としたサイクロン型の除塵器30と、第1放熱器40と、第2放熱器50とを配置している。
【0092】
また、加温機筐体10内において、熱風炉20で発生した熱風を第1熱風管路部61を介して2基の除塵器30に供給し、2基の除塵器30から排出される清浄された熱風を第2熱風管路部62を介して第1放熱器40に供給し、第1放熱器40から排出される一次放熱済の熱風を第3熱風管路部63を介して第2放熱器50に供給している。第2放熱器50の排気側は、加温機筐体10の外部に配置した排ガスファン70に外部接続管64を介して接続され、第2放熱器50から排出される二次放熱済の排ガスを排ガス管65から大気へ排気する。
【0093】
第1熱風管路部61は、主管路部61aに対して前後方向(図5中、上下方向)に分岐管路部61F,61Bを分岐させて各除塵器30に熱風を供給させている。
【0094】
なお、図6は図5の正面図としているが、後記するRPF供給装置2の配置スペース、後記する温風ファン71とハウス内の空気を排出する排出口との位置関係等により、図5に示す加温機筐体10の下側をハウス側に面して配置する場合には、図5の加温機筐体10の下側を背面側とすることもあり、加温機筐体10の正面側と背面側とは必ずしも固定されることはない。なお、本実施形態では、図5に示す加温機筐体10の下側を正面側として説明する。
【0095】
図5及び図6において、加温機筐体10を構成する天板11Cには、加温機筐体10の図中左側(以下RPF供給側とする)に空気導入口10aが形成され、この空気導入口10a上に温風ファン71が取り付けられ、加温機筐体10の外部側から空気を加温機筐体10内に吸い込むようにしている。具体的には、この温風ファン71の吸い込み側(図6中、上方側)は、不図示のハウスに設けた排気口と例えば不図示の排気ダクトを介して接続され、ハウス内の空気を加温機筐体10内に導入する。
【0096】
図5及び図6において、加温機筐体10を構成する図中右側(以下、温風吹出側とする)の側壁11Rには、温風吹出口10bが形成され、この温風吹出口10bの周囲を取り囲むように固定された円環状の取り付け板10cに可撓管FTの一端が接続される。この可撓管FTの他端は、不図示のハウスに設けた温風導入口に接続され、温風ファン71により送風される加温機筐体10内の温風を該可撓管FTを介して前記ハウス内に送風する。すなわち、本実施形態では、加温機筐体10により前記ハウス内の空気を循環し、該ハウス内を所望の温度に加温する。
【0097】
加温機筐体10内において、熱風炉20は、加温機筐体10のRPF供給側の側壁11Lの近くに配置され、第1放熱器40は温風吹出側に配置され、熱風炉20と第1放熱器40との間に2基の除塵器30を前後方向(図中上下方向)に並設している。また、第2放熱器50を熱風炉20の背面側に配置している。
【0098】
第1熱風管路部61は加温機筐体10の上方に配置され、同様に第2熱風管路部62も上方に配置されており、第2熱風管路部62は、各除塵器30からの熱風を分岐管路部62aから集合管路部62bに集合させて第1放熱器40の上部から熱風を第1放熱器40内に供給する。
【0099】
除塵器30は、逆円錐形状の筒部31の上部に配置した熱風導入・排出部32に主管路61aに対して内径を小径とした分岐管路部61F,61Bから高速の熱風が外周部側から接線方向に沿って導入されることにより、熱風導入・排出部32内で熱風を旋回させ、熱風内に含まれる焼却灰等の塵を筒部31を介して筒部31の下部に配置した灰貯留部33内に落下捕集する。各除塵器30の灰貯留部33は、加温機筐体10を構成する前壁11Fと後壁11Bを貫通する灰排出ダクト34に接続され、加温機筐体10の外部から蓋34aを備えた灰排出ダクト34を通して灰貯留部33内の塵を取り出すことができるようにしている。
【0100】
第1放熱器40は、直方体形状の加温機筐体10の長手方向(温風吹出側とRPF供給側に沿った方向)に薄く、短手方向に沿って長く延び、加温機筐体10の天板11Cの近くまでの高さを有した密閉容器に形成されていて、内部空間は、長手方向の両側板41R、41Lから上下方向に邪魔板42を互い違いにして傾斜姿勢に取り付けた構造とし、上部から供給された熱風が下方に向けて流れる際に、これらの邪魔板42を加熱し、下部の排出口から第3熱風管路部63へ導かれる。
【0101】
第1放熱器40は、内部空間内を流れる熱風により長手方向の両側板41R,41L及び短手方向前後の両側板41F、41Bが直接加熱され、また邪魔板42を介して長手方向の両側板41R,41Lが加熱され、これらの側板41R,41L,41F,41Bから放熱される。また、これらの側板41R,41L,41F,41Bの外面側には放熱フィン43が取り付けられ、更なる放熱面積の増大を図っている。
【0102】
第1放熱器40の下部にも、灰貯留部44を設け、加温機筐体10の前後の各側壁11F,11Bをそれぞれ貫通する蓋45aを備えた灰排出ダクト45を灰貯留部44に接続することで、加温機筐体10の前側又は後側からの灰の排出作業を可能としている。
【0103】
第2放熱器50は、例えば第1放熱器40と同構造とした略立方体形状とし、下部から導入された一次放熱済の熱風を上部から排出し、排ガスファン70により外部接続管64を介して排ガス管65から筐体外に排出される。この排ガスファン70は、例えば加温機筐体10のRPF供給側の側壁11Lの外側に配置された補機台3上に取り付けられている。なお、第2放熱器50の底部に灰貯留部(不図示)が設けられ、この灰貯留部は後側壁11Bを貫通する蓋51aを備えた灰排出ダクト51に接続されている。
【0104】
次に、熱風炉20について説明する。
【0105】
熱風炉20は、円筒形状に形成した耐熱性の炉体21の上部に熱風を第1熱風管路部61に排出するための排気口21aが形成され、最下部に灰貯留部22が配置されている。灰貯留部22の上方には、RPFを燃焼させるために載置する火格子23を例えば水平方向移動可能に配置している。この火格子23は灰貯留部22の上端と僅かな距離を隔てて配置され、火格子23を水平方向に往復移動(振動)させることにより、火格子23上で燃えたRPFの灰を下方の灰貯留部22内に落下させ、火格子23上へのRPFの連続供給と燃焼の持続を確保している。
【0106】
灰貯留部22は、前側壁11Fを貫通する蓋24aを備えた灰排出ダクト24に接続され、加温機本体10の外部から灰貯留部22内に落下した灰を灰排出ダクト24を通して排出できるようにしている。なお、熱風炉20の灰貯留部22には、除塵器30および第1放熱器40に比べて大量の灰が落下するため、手作業で灰貯留部22内の灰を掻き出すようにしてもよいが、灰排出ダクト24をスクリューコンベア構造とし、一定時間毎あるいは灰貯留部22内に一定量の灰が貯留されるのを検知すると、該スクリューコンベアを駆動して、例えば加温機本体10の外部に設置した灰貯留箱内に自動的に排出できるようにしても良い。灰貯留部22内に所定量の灰が貯留されたことの検知は、灰貯留部22に検知センサーを設けても良いが、RPFの供給量に基づいて検知できるようにしても良い。
【0107】
本実施形態では、加温機筐体10のRPF供給側の側壁11Lの外側に配置した振動発生機(例えばクランク機構により構成されている)4に操作ロッド23aを介して火格子23と連結し、火格子23を水平方向に振動させるようにしている。
【0108】
一方、図4に示すように、火格子23の上方に配置したRPF受け体21bを貫通して2本の燃焼用空気ノズル25を配置し、また火格子23の上方位置で炉壁の内周壁面に、燃焼用空気を炉内に向けて噴出する帯状噴射部26を周方向に複数か所、例えば等間隔に4か所配置している。この空気噴出部26は、縦横方向の所定領域内にマトリックス状(上下方向および周方向)に複数の噴射ノズル26aを配置した構成としている。各空気噴出部26に配置されている複数の噴射ノズル26aは、ノズル後端部が炉壁の外周面に臨んで開口しており、これら複数の噴射ノズル26aのノズル後端部をノズルキャップ26bにより密閉状態で覆うようにしている。
【0109】
これらのノズルキャップ26bおよび燃焼用空気ノズル25には、燃焼用空気供給源5の送風ファン5cからの燃焼用空気をエアータンク5aを介して送風パイプ5bにより供給され、エアータンク5aから脈動を発生することなく一定圧の燃焼用空気を炉体内に噴射するので、RPFの燃焼が一定となり、炉体内で発生する熱風が脈動を生じることなく一定流量で第1熱風管路61内に供給される。なお、図示していないが、第1実施形態に示す熱風炉と同様に、火格子23の下方には燃焼用空気供給孔、火格子23を挟んで上下に連通口を設け、これら両連通口を連通管を介して接続し、未燃焼ガスを火格子23の上方に供給する構成としている。
【0110】
なお、送風ファン5cは加温機本体10のRPF供給側の側壁11Lの外側に配置されている。
【0111】
また、炉体21の炉壁には、RPF供給側の側壁11Lを傾斜状態で貫通するRPF供給ダクト27の傾斜下端が炉内に臨むように取り付けられ、RPF供給装置2よりRPF供給ダクト27の傾斜上端側にRPFが投入される。炉体21内には、火格子23の直ぐ上方に、逆円錐台形状に形成されたRPF受け体21bが設けられており、RPF供給ダクト27内を通して炉体21内に落下供給されたRPFはRPF受け体21bの内側に投入されて火格子23上に載置される。
【0112】
また、炉体21の炉壁には、加温機本体10の前側壁11Fを貫通するバーナー差し込み管28の傾斜下端が炉内に臨むように取り付けられ、前側壁11Fを本体外に貫通する傾斜上端の開口に着火装置6が取り付けられる。バーナー差し込み管28はその傾斜下端が火格子23上に載置されているRPFに向くように取り付けられ、稼動開始時に着火装置6からの火炎がバーナー差し込み管28内を通って火格子23上のRPFを着火する。
【0113】
火格子23上のRPFが着火すると着火装置6の燃焼を停止し、RPFの燃焼を持続させるために、RPF供給装置2からRPFをRPF供給ダクト27を通して火格子23上に供給する。
【0114】
RPF供給装置2は、傾斜配置したRPF搬送用のスクリューコンベア2Aと、一日分あるいは数日分のRPFを貯留できるRPF貯留筐体2Bとを備えている。RPF貯留筐体2Bの内部は、下部をホッパー状に形成したホッパー部2Cを有し、この下部のホッパー部2Cまでスクリューコンベア2Aの傾斜下端を差し込んでいる。
【0115】
スクリューコンベア2Aは、筒状のケーシング2D内にスクリュー2Eを回転可能に配置している。ケーシング2Dは、RPF貯留筐体2B内において、上部が開口した開口部2Fを有し、RPF貯留筐体2B内のRPFが開口部2Fを通してケーシング2D内に供給され、回転するスクリュー2Eにより傾斜上方にRPFが連続的に搬送され、傾斜上端部でRPF供給ダクト27に投入される。
【0116】
スクリューコンベア2Aの駆動機構としては、RPF貯留筐体2B内にRPF貯留室であるホッパー部2Cとは隔壁2Iにより隔離された機械室2G内に設けたモータ(不図示)、減速機(不図示)を介してスクリューコンベア2Aの傾斜下端部に固定されたギア2Hを駆動する構成が一例として挙げられる。なお、スクリューコンベア2Aを傾斜配置しているが、水平配置しても良い。
【0117】
本実施形態において、加温機筐体10内に配置される熱風炉20,除塵器30,第1放熱器40,第2放熱器50及び第1熱風管路部61〜第3熱風管路部63は加温機筐体10に対して密閉構造とし、内部を通過する熱風が加温機筐体10内に漏れ出ないようにしている。したがって、加温機筐体10内は、第1放熱器40と第2放熱器50による放熱だけでなく、熱風炉20から発散される熱、第1熱風管路部61〜第3熱風管路部63から発散する熱、除塵器30から発散する熱によっても暖められるので、加温機筐体10自体が熱交換器としての機能を有するとも云える。
【0118】
また、熱風炉20,除塵器30,第1放熱器40,第2放熱器50にそれぞれ設けた灰排出ダクト24,34,45,51の開口端は、蓋24a,34a,45a,51aにより閉塞され、熱風が漏れ出ないようにしている。
【0119】
スクリューコンベア2A、送風ファン5、温風ファン71、排ガスファン70の駆動制御動作について図7を参照しながら以下に説明する。
【0120】
図7において、スクリューコンベア2Aの駆動モータ2M、送風ファン5の駆動モータ5M、温風ファン71の駆動モータ71M、排ガスファン70の駆動モータ70Mは、制御装置7により駆動制御される。制御装置7には、本実施形態の加温機から供給される温風により加温される農業用ハウスH内の温度を計測する温度センサーSからの温度情報が入力される。
【0121】
制御装置7には、駆動部7A、温度設定部7B、タイマー7Cを有している。加温機は運転スイッチのONにより運転が開始され、タイマー7Cがスタートとし、設定したタイマー時間が終了するまで運転される。なお、運転スイッチのONにより、駆動部7Aはそれぞれ送風ファン5の駆動モータ5M,温風ファン71の駆動モータ71M,排ガスファン70の駆動モータ70Mを駆動し、炉体21内に燃焼用の空気を供給すると共に、排ガス系の排気を可能な状態とする。また、温風ファン71の駆動モータ71Mを駆動し、ハウスH内の空気を加温機筐体10内を通して循環させる。温度設定部7Bの設定温度及びタイマー7Cのタイマー時間は、例えば表示部に表示される設定温度を見ながら操作部材の操作により変更可能としている。
【0122】
なお、加温機の運転開始時には、スクリューコンベア2Aの駆動モータ2Mを駆動して火格子23上に初期燃焼に必要な量のRPFを供給し、着火装置6を用いて火格子23上のRPFを燃焼させ、これを種火として以後自動供給されるRPFを燃焼させる。
【0123】
RPFの燃焼が進むにつれて炉体21内で発生する熱風の温度が上昇すると、加温機筐体10内に配置されている第1放熱器40及び第2放熱器50から放熱される熱によって加温機筐体10内の温度が上昇するだけでなく、炉体21,第1熱風管路部61,第2熱風管路部62及び2基の除塵器30から発散される熱によっても加温機筐体10内の温度が上昇する。すなわち、加温機筐体10自体が熱交換器としての機能を有するとも云える。加温機筐体10内における温風は、温風ファン71により、RPF供給側の天板11Cから反対側の温風吹出側に向けて強制的に流れ、加温機筐体10内の暖気、及び第1放熱器40及び第2放熱器50との熱交換によって得た熱が温風となって温風吹出口10bから可撓管FTを経てハウスH内に供給される。
【0124】
そして、ハウスH内の空気がダクトDを介して温風ファン71に供給され、循環することによりハウスH内の温度が上昇し、温度センサーSが設定温度あるいは設定温度よりも所定温度低い制御開始温度に達したことを検知すると、制御装置7は、RPFの供給を減らして燃焼温度を低下すべくスクリューコンベア2Aの駆動速度を低速にする。これにより、熱風炉20で発生する熱風の温度が低下し、ハウスH内の温度を設定温度に維持することができる。この場合は、スクリューコンベア2Aの低速制御に加え送風ファン4の送風量を減少させることによりRPFの燃焼温度を低下させることができ、温度制御をより正確に行うことができる。さらに、排ガスファン70の排気風量を調節することにより、ハウスH内の温度制御をより一層正確に行うことができる。その際、温風ファン71の送風量を一定にキープし、燃焼温度を制御することで温風出口温度(吹き出し温度)を調節する。要するに、スクリューコンベア2Aの低速制御に加え、送風ファン4と排気ファン70の双方の送風量を調節しても良く、またいずれか一方の送風量を調節しても良い。
【0125】
なお、上記の説明は熱風炉20からの熱風の温度を低下させる場合を示したが、熱風の温度を上昇させる場合には、スクリューコンベア2Aの搬送速度を速くすることができ、その際、送風ファン4の送風量及び排ガスファン70の送風量をそれぞれ増加させても良く、またスクリューコンベア2Aの搬送速度の増加に加えて、送風ファン4の送風量と排ガスファン70の送風量のいずれか一方を増加させても良い。
【0126】
また、設定温度に対して所定値高い上限温度を超えると、RPFの燃焼を中止すべくスクリューコンベア2Aの駆動を停止する。RPFの供給が停止されても暫くの間は残ったRPFによる燃焼が継続するので、この場合、温風ファン71の駆動を停止することで、ハウスH内の温度上昇が抑制されて設定温度に維持される。そして、熱風炉20は残ったRPFの燃焼が継続しているため、加温機筐体10内の温度が上昇し、蓄熱されることになる。なお、ハウス内温度条件により温風ファン71の駆動を継続しても良い。
【0127】
ハウスH内の室温が設定温度よりも低くなると、制御装置7の駆動部7Aはそれぞれ送風ファン5の駆動モータ5M,温風ファン71の駆動モータ71M,排ガスファン70の駆動モータ70Mを駆動し、RPFの燃焼準備状態とすると共に、加温機筐体10内に蓄熱された暖気をハウスH内に供給する。また、駆動部7Aはスクリューコンベア2Aのモータ2Mを駆動し、RPFの自動供給を開始する。なお、炉体21内の温度を炉体温度センサーにより計測し、運転休止中に種火として燃焼させていたRPFが燃え尽きていたと判断すると、着火装置6による再着火を実行する。
【0128】
また、温風吹き出し口10bは、直方体形状の加温機筐体10の側壁11Rに設けているが、側壁11Fあるいは側壁11Bに設けても良い。さらに、空気導入口10aを、加温機筐体10の天板11Cに設けているが、側壁11F,11B,11Rのなかで温風吹き出し口10bの設けられていない側壁に設けても良い。この場合、加温機の配置位置に応じて、任意の位置に空気導入口10aと温風吹き出し口10bを設けることができ、加温機の設置位置に応じて空気導入口10aと温風吹き出し口10bを好適な位置に設けることができる。
【0129】
第3実施形態
図8から図10は本発明の第3実施形態を示す。本第3実施形態はRPFを燃焼させて熱風を発生させる熱風炉を備えた加温機に関する。
【0130】
図8は加温機の外観斜視図、図9は図8の加温機本体及びFRP供給装置の一部の縦断面図、図10は図9のIーI矢視断面図である。
【0131】
本実施形態のRPFを燃料とする加温機201は、燃焼室および熱交換器を備えた加温機本体202と、加温機本体202の燃焼室にRPFを連続的に供給するRPF供給装置203とにより構成している。
【0132】
加温機本体202は、直方体形状に形成した密閉ケース204内の上部に天井仕切壁205を設け、密閉ケース204の天板と天井仕切壁205との間に送風用空気室206を形成している。
【0133】
密閉ケース204内の送風用空気室206の下方には、一側端から他側端に向けて順に燃焼室A、燃焼ガス集合室B、熱交換室C、燃焼ガス排出室Dを形成している。
【0134】
燃焼室A内には、下部に円錐形状の灰受窯211を設置し、その上部開口に耐熱鋼性の火格子212を取り付けており、灰受窯211を取り囲むように天井仕切壁205まで耐火コンクリート製の耐熱壁213を設けている。また天井仕切壁205も灰受窯211の上方部分は耐熱壁214が設けられている。
【0135】
なお、燃焼ガス供給室Bと接する耐熱壁213の上部には、燃焼ガス流通用開口部213aが形成され、燃焼室A内の高温の燃焼ガスが燃焼ガス集合室B内に流通する。
【0136】
火格子212の上方には、RPF供給装置203の上端部に設けられているRPF供給ダクト215の傾斜下端が臨み、RPF供給ダクト215からRPF216が火格子212上に落下供給される。火格子212上のRPF216は、燃焼開始時に着火バーナー217により着火され、灰受窯11の周面4か所に設けた下部エアーノズル218から火格子212に向けて上向きに供給される下部エアーと、灰受窯211の上方に位置する上部エアーノズル219から火格子212に下向きに供給される上部エアーとにより燃焼し、火格子212上でRPFは溶解して燃焼ガスを発生し、このガスが火格子上部で燃える。そのため、火格子212自体は1000℃程度の燃焼温度に比べて低い温度となる。
【0137】
本実施形態において、上部エアーノズル219は1本とし、RPF供給ダクト215を2股に形成してこの上部エアーノズル219をその間に通している。また、RPF供給ダクト215内にも上部エアーが供給され、RPF供給ダクト215の下端から火格子212に向けてエアーが供給される。具体的には、上部エアー本管220に上部エアーノズル219を接続し、上部エアー本管220から分岐する分岐管221をRPF供給ダクト215に接続しており、上部エアー本管220に不図示の上側燃焼空気導入ファンを接続している。
【0138】
火格子212上に供給されたRPFは火格子212の上下方向から吹き付けられるエアーにより高温状態で燃焼し、表面が炭化して中心部が非燃焼状態となることなく完全に燃焼して灰となり、火格子212の孔から灰受窯211に落下する。
【0139】
灰受窯211の底部には灰排出用のスクリューコンベア222幅方向に沿って水平に配置し、火格子212から落下した燃焼灰をスクリューコンベア222により外部に排出する。
【0140】
また、4本の下部エアーノズル218は、円環状の下部エアー本管223にそれぞれ接続され、不図示の下側燃焼空気導入ファンに接続管223aを介して接続されている。
【0141】
燃焼ガス集合室Bは、床板230aに対して隙間B1を有するように天井仕切壁205から垂下された第1バッフル板230bにより第1区室231と第2区室232の2室に区画され、隙間B1を介して第1区室231と第2区室232とが連通する。
【0142】
燃焼室A側の第1区室231では燃焼室Aの燃焼ガス流通用開口部213aを通して上方から入り込んだ高温の燃焼ガスを下方に導き、隙間B1を通して第2区室232の下方に燃焼ガスを送り込む。第2区室232では、燃焼ガスが下方から上方に高温の燃焼ガスを移動させる。
【0143】
燃焼ガス集合室Bと燃焼ガス排出室Dとの間に配置された熱交換室Cは、対向配置した一対の隔壁233と234とにより区画され、一対の隔壁233と234との間に燃焼ガスを流通させる熱交換パイプである複数の円筒管235を取り付けて熱交換器236を構成している。そして、複数の円筒管235の一端側が燃焼ガス集合室Bに臨み、他端側が燃焼ガス排出室Dに臨む。
【0144】
なお、熱交換器236を熱交換パイプを用いた方式としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要な表面積を確保できればバッフル板付きダクト構造であっても良い。
【0145】
燃焼ガス排出室Dは、燃焼ガス集合室Bと同様に、床板237に対して隙間D1を有するように天井仕切壁205から垂下された第2バッフル板238により第1区室239と第2区室240の2室に区画され、隙間D1を介して第1区室239と第2区室240とが連通する。第2区室240は引き抜きファン242を備えた排ガス管241と連通し、引き抜きファン242により第2区室240内の排ガスを吸引することにより、燃焼室A内の燃焼ガスを強制的に燃焼ガス集合室Bを経て熱交換器236の各円筒管235内を通して燃焼ガス排出室Dに導く。その際、燃焼ガス排出室D内を流れる燃焼ガスは脈動等を発生することなく一様な流れに整えられるので、スムーズに機外に排出される。
【0146】
燃焼ガス集合室Bは、第1バッフル板230bにより燃焼ガスの流通経路を長くすることにより、燃焼ガスの流れを整えて温度分布を均一化し、第2区室232内の燃焼ガスを各円筒管235に流通させる。
【0147】
天井仕切壁205には熱交換室C内に臨む通風開口243が開口し、送風用空気室206と熱交換室Cとを連通している。また、熱交換室Cに対応する加温機本体202の側壁面C2には、不図示の温風供給ダクトに温風を送り出す温風送出開口244が形成されている。なお、温風送出開口244の周囲に設けたダクト取り付け枠245に前記ハウスダクトが取り付けられる。
【0148】
密閉ケース4の天板204aには、空調手段を構成する空気導入装置と排気装置が設けられており、天板204aには前記空気導入装置用の吸気開口204bと前記排気装置用の排気開口204cが形成され、吸気開口204bには該空気導入装置の吸気ファン246Aを取り付け、排気開口204cには該排気装置の排気ファン246Bを取り付けている。
【0149】
吸気ファン246Aは、分岐用ダクト249を介して温風を送風するハウスの上部に設けた不図示の排気口と接続されるハウス接続ダクト247と外気を取り入れる外気取入れダクト248とにそれぞれ接続され、ハウス接続ダクト247は電動駆動される第1シャッター250aを介して分岐用ダクト249の一方の分岐口に接続され、外気取り入れダクト248は第2シャッター250bを介して分岐用ダクト49の他方の分岐口に接続されている。
【0150】
排気ファン246Bは、電動駆動される第3シャッター250cを介して排気開口204cに接続されると共に、排気ダクト251に接続され、熱交換室C内の暖気を機外に排出する。
【0151】
加温対象のハウス内は温度センサー256aにより温度測定され、温度センサー256aで測定した温度情報は通風制御器256bに入力される。通風制御器256bは、設定温度に達しない加温時において、第1シャッター250aを開、第2シャッター250bと第3シャッター250cを閉、吸気ファン246Aを運転状態とし、排気ファン246Bを停止状態にする(この運転状態を加温モードと称す)。この加温モード運転により、加温機の熱交換室Cと当該ハウスとは循環経路をなし、ハウス内の温度を上昇させる。
【0152】
当該ハウス内の温度が設定温度に達したことを温度センサー256aが検出すると、第1シャッター250aを閉、第2シャッター250bと第3シャッター250cを開とし、吸気ファン246Aと排気ファン246Bを共に運転状態とする(この運転状態を温度維持モードと称す)。
【0153】
温度維持モードでは、第1シャッター250aが閉じ状態となってハウス内との循環経路が断たれ、また第2シャッター250bが開状態となり給気ファン246Aが運転状態にあるので、外気取り入れダクト248からハウス外の外気が熱交換室C内に供給されて熱交換器236の過熱を防止し、一方、排気ファン246Bの運転により燃焼室B内の暖気が排気ダクト251から機外に強制排気され、前記ハウスダクトからハウス内へ熱交換室C内の暖気が供給されるのを停止する。
【0154】
本発明の加温機は、RPFを主燃料としているため、設定温度で燃焼の発停を行うと、着火時間、および消火時における燃え残りRPFの燃焼継続によってタイムラグが生じ、重油バーナーのように頻繁なオン・オフ制御ができない。
【0155】
そこで、本実施形態において、通風制御器256bは、設定温度に達したら加温モードから温度維持モードに切り替え、第1シャッター250aを閉じてハウス内の空気の循環移動を停止し、また排気ファン246Bを運転状態として熱交換室C内の暖気を機外に強制排気して前記ハウスダクトからハウス内へ熱交換室C内の暖気の供給を停止することでハウス温度の昇温を防いでいる。
【0156】
温度維持モードであっても、燃焼室A内ではRPFの燃焼を行っているため、熱交換器236は加熱されており、第2シャッター250bを開いて吸気ファン246により吸気ダクト248から熱交換室C内に冷気を供給し、熱交換室Cおよび熱交換器236の過熱を防止している。
【0157】
ハウス内の温度が設定値よりも低下したことを温度センサー256aが検知すると、通風制御器256bは、温度維持モードから加温モードに切り替わり、排気ファン246Bの運転を停止し、第3シャッター250cを閉じて熱交換室C内の暖気が機外に排気されるのを停止する。また、加温モードに切り替わると、第1シャッター250aが開き、第2シャッター250bが閉じてハウスとの循環経路が再開され、外気が熱交換室C内に導入されるのを停止する。これにより、熱交換室C内の温度が上昇し、前記ハウスダクトを通して暖気がハウス内に供給される。
【0158】
なお、第3シャッター250cは電動駆動により開閉する構成としているが、第3シャッター250cとして、排気ファン246Bが停止状態で排気流が上方に向けて流れていない場合には閉じ状態にあり、排気ファン246Bが運転状態で排気流が上方に向けて流れると、この排気流によって開く構造のものであっても良い。
【0159】
また、第1シャッター250a、第2シャッター250b、第3シャッター250cは、開閉の2位置を切り替えるだけでなく、開き時に開き量を制御して流通する空気量を温調のために制御するようにしている。
【0160】
一方、RPF供給装置203は、傾斜配置した無端回動するチェーンコンベア252をカバー部材253により覆い、チェーンコンベア252の平板部252a上に一定間隔で立設した隔設板252b間に形成したRPF収容スペース254を密閉状態にする。チェーンコンベア252の傾斜下端側にはホッパー255が設けられ、ホッパー255内にRPFが供給され、さらにホッパー255からRPF収容スペース254内にRPFが供給される。チェーンコンベア252は間欠的に駆動され、燃焼室A内でのRPFの燃焼状態に合わせて必要量のRPFをRPF供給ダクト215を通して燃焼室A内に供給する。
【0161】
なお、燃焼室A内に対するRPFの供給は、チェーンコンベアに限定されるものではなく、スクリューコンベアであっても良く、燃焼室A内の燃焼ガス、燃焼用の加圧空気がコンベアを通して機外に排気されるのを防止できるものであれば望ましい。
【0162】
燃焼室A内には、上部エアーノズル219およびRPF供給ダクト215から燃焼用の上部エアーが供給され、また下部エアーノズル218から下部エアーが供給されて正圧状態にあるが、RPF供給ダクト215に通じるチェーンコンベア252内は隔設板252bにより密閉状態に維持されているため、燃焼室A内の燃焼ガスがRPF供給ダクト215を通して機外に漏れ出ることがなく、燃焼ガス集合室Bに移動する。なお、排ガス管241に設けた引き抜きファン242により燃焼ガス排出室D内の排ガスを機外に吸引するため、燃焼室A内の燃焼ガスが燃焼ガス集合室Bへと導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の第1実施形態を示す熱風炉の外観斜視図。
【図2】図1の上面図。
【図3】図2のA−A矢視縦断面図。
【図4】図3のB−B矢視横断面図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す加温機の上面図で、説明容易のために加温機筐体の天板を取り外した状態を示す。
【図6】図5の正面図で、説明容易のために加温機筐体の正面側の側板を取り外した状態を示す。
【図7】図5、図6に示す加温機のRPFの自動供給システムを示す制御ブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示す加温機の外観斜視図。
【図9】図8の加温機本体及びFRP供給装置の一部の縦断面図。
【図10】図9のIーI矢視断面図。
【符号の説明】
【0164】
100 炉体
101 上炉体部 102下炉体部
101a、102a フランジ部
103 RPF燃焼部
104 RPF受け台
104a 下部開口 104b フランジ
105 火格子
106 火格子ガイド部材
107 帯状噴射部
107a 空気ノズル部
108 ノズルキャップ
109 燃焼用空気分配箱
110 分岐管
111 燃焼用空気供給管
112 排気口
113 熱風ダクト
114 RPF供給開口
115 RPF供給ダクト
116 バーナー差し込み管
117 操作ロッド装入管
118 灰貯留部
119 炉蓋
120 燃焼用空気ノズル
121 燃焼用空気供給孔
122 下連通口
123 上連通口
124 連通管
125,126,127 空気供給管
D ダクト
H ハウス
S 温度センサー
FT 可撓管
1 加温機
2 RPF供給装置
2A RPF搬送用のスクリューコンベア 2B RPF貯留筐体
2C ホッパー部 2D ケーシング 2E スクリュー
2F 開口部 2G 機械室 2H ギア 2I 隔壁
2M スクリューコンベア2Aの駆動モータ
3 補機台
4 振動発生機
5 燃焼用空気供給源
5a エアータンク 5b 送風パイプ 5c 送風ファン
5M 送風ファン5の駆動モータ
6 着火装置
7 制御装置
7A 駆動部 7B 温度設定部 7C タイマー
10 加温機筐体
10a 空気導入口 10b 温風吹出口 10c 付け板
11R,11L 側壁 11F 前壁 11B 後壁
11C 天板
20 熱風炉
21 炉体 21a 排気口 21b RPF受け体
22 灰貯留部
23 火格子
23a 連結棒
24 灰排出ダクト
24a 蓋
25 下部空気噴射ノズル
26 空気噴出部
26a 上部噴射ノズル 26b ノズルカバー
27 RPF供給ダクト
28 バーナー差し込み管
30 除塵器
31 筒部
32 熱風導入・排出部
33 灰貯留部
34 灰排出ダクト
34a 蓋
40 第1放熱器
41R,41L,41F,41B 側板
42 邪魔板 43 放熱フィン 44 灰貯留部
45 灰排出ダクト
45a 蓋
50 第2放熱器
51 灰排出ダクト
51a 蓋
61 第1熱風管路部
61a 主管路部 61F,61B 分岐管路部
62 第2熱風管路部
62a 分岐管路部 62b 集合管路部
63 第3熱風管路部
64 外部接続管
65 排ガス管
70 排ガスファン
70M 排ガスファン70の駆動モータ
71 吸い込みファン(温風ファン)
71M 温風ファン71の駆動モータ
A 燃焼室
B 燃焼ガス集合室
B1 隙間
C 熱交換室
D 燃焼ガス排出室
D1 隙間
201 加温機
202 加温機本体
203 RPF供給装置
204 密閉ケース
204a 天板 204b 空気導入開口
205 天井仕切壁
206 送風用空気室
211 灰受窯
212 火格子
213、214 耐熱壁
213a 燃焼ガス流通用開口部
215 RPF供給ダクト
216 RPF
217 点火バーナー
218 下部エアーノズル
219 上部エアーノズル
220 上部エアー本管
221 分岐管
222 スクリューコンベア
223 下部エアー本管
223a 接続管
230a 床板
230b 第1バッフル板
231、239 第1区室
232、240 第2区室
233、234 隔壁
235 円筒管(熱交換パイプ)
236 熱交換器
237 床板
238 第2バッフル板
241 排ガス管
242 引き抜きファン
243 通風開口
244 温風送出開口
245 ダクト取り付け枠
246A 吸気ファン
246B 排気ファン
247 ハウス接続ダクト
248 外気取入れダクト
249 分岐用ダクト
251 排気ダクト
250a 第1シャッター 250b 第2シャッター 250c 第3シャッター
252 チェーンコンベア
252a 平板部 252b 隔設板
253 カバー部材
254 RPF収容スペース
255 ホッパー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された縦型配置の炉体と、
前記炉体の内部に配置され、該炉体内を上下2室に区画し、上部区室をRPF燃焼室とするRPF燃焼部と、
前記RPF燃焼部に炉体外よりRPFを供給する前記炉体に設けられたRPF供給ダクトと、
前記RPF燃焼室内の燃焼排気ガスである熱風を炉体外に排気する熱風ダクトと、
前記炉体内に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給部と、
を備え、
前記RPF燃焼部は、上下端が開口した筒形状のRPF受け体と、前記RPF受け体の下端に配置されてRPFが載置される火格子とを有し、
前記燃焼用空気供給部は、上下方向に長い帯状の幅で燃焼用空気を前記RPF燃焼室内に向け噴射する炉周壁の周方向に沿って複数配置された帯状噴射部と、前記RPF燃焼部のRPF受け体内まで延びる1又は複数の燃焼用空気ノズルと、前記炉体内の下部区室内に燃焼用空気を供給する下部区室用空気供給部を有することを特徴とする熱風炉。
【請求項2】
前記炉体の下部区室内の未燃焼ガスを前記RPF燃焼室内に直接供給する未燃焼ガス供給管を前記下部区室と前記RPF燃焼室とを連通するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱風炉。
【請求項3】
前記火格子は、前記RPF受け体に対して水平方向にスライド可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の熱風炉。
【請求項4】
前記炉体の炉周壁に設けた貫通孔を通して前記火格子をスライド操作可能としたことを特徴とする請求項3に記載の熱風炉。
【請求項5】
前記燃焼用空気供給部を構成する帯状噴射部は、多数の空気ノズル部を縦横方向に配置して構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項6】
前記前記RPF燃焼部を構成するRPF受け体を逆円錐台形状に形成し、下端開口内まで、前記燃焼用空気供給部を構成する燃焼用空気ノズルの先端を延出したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項7】
前記炉体の下部区室内は、前記火格子を通して落下したRPF燃焼灰を貯留する灰貯留部としたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項8】
前記炉体の炉周壁には、前記RPF燃焼部上のRPFを着火するための着火装置が差し込まれる差し込み管を設けたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項9】
前記RPF供給ダクトは、RPFが貯留される貯留槽中のRPFを連続的に供給可能とするRPF供給装置と接続されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項10】
前記RPF供給装置は、RPFを貯留するRPF貯留ホッパーと、前記RPF供給ダクトと前記RPF貯留ホッパーの下部との間に配置した密閉構造の搬送手段と、を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の熱風炉。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の熱風炉の熱風ダクトに接続され、該熱風ダクトからの熱風が供給される熱風吹き込み筐体内の被加熱物を加熱することを特徴とする加熱装置。
【請求項12】
前記熱風吹き込み筐体はロータリーキルンであることを特徴とする請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
外部空気が温風ファンにより室内に空気導入口を通して供給されると共に、室内の空気を吹き出し口より室外に吹き出す密閉構造の加温機筐体と、
前記加温機筐体内に収容され、炉体内に燃焼用空気供給部より燃焼用空気が供給されると共に、RPF供給ダクトを通して該加温機筐体外から炉体内の火格子上に供給されたRPFを燃焼して熱風を発生する熱風炉と、
前記熱風炉で発生した熱風を前記加温機筐体外に排出する前記加温機筐体内に収容された熱風管路と、
前記熱風管路に接続され、供給された熱風を熱交換により放熱する前記加温機筐体内に収容された放熱器と、
前記加温機筐体外に配置され、前記RPF供給ダクトにRPFを連続的に供給するRPF供給装置と、
を少なくとも有し、
前記放熱器から放熱される熱により暖められた前記加温機筐体内の空気を前記吹き出し口より吹き出すことを特徴とする加温機。
【請求項14】
前記熱風管路には、前記放熱器よりも上流側に除塵器を接続したことを特徴とする請求項13に記載の加温機。
【請求項15】
前記熱風炉を直方体状に形成された前記加温機筐体内の一側部に配置し、前記熱風炉を配置する一側部側の側壁を除く他の3側壁のいずれかに前記吹き出し口を設け、前記空気導入口を前記加温機筐体の天板あるいは前記他の3側壁のなかで前記吹き出し口の設けられていない側壁に設け、前記温風ファンによる前記加温機筐体内の空気の流れを前記導入口から前記吹き出し口に向けて形成したことを特徴とする請求項13または14に記載の加温機。
【請求項16】
前記放熱器は、前記熱風管路の途中に接続した第1放熱器と、前記熱風管路の終端部に接続した第2放熱器とを備え、前記第1放熱器を前記一方の側壁側に配置し、前記第2放熱器を前記他方の側壁側に配置して、前記第1放熱器と前記第2放熱器との間を前記加温機筐体内の下部に配置した熱風管路で接続し、前記第2放熱器から排出される排出ガスを前記加温機筐体外に配置した排ガスファンにより排出することを特徴とする請求項15に記載の加温機。
【請求項17】
前記熱風炉の炉体下部および前記放熱器の下部には、RPFの燃焼灰を貯留する灰貯留部が設けられ、前記加温機筐体外に通じる灰排出ダクトに前記灰貯留部が接続されていることを特徴とする請求項13から16のいずれかに記載の加温機。
【請求項18】
前記熱風炉は、RPFが載置される火格子を振動させて灰を落下させることを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の加温機。
【請求項19】
前記熱風炉の燃焼用空気供給部に燃焼用空気を供給する送風ファンを前記加温機筐体外に配置したことを特徴とする請求項13から18のいずれかに記載の加温機。
【請求項20】
前記加温機筐体内に収容される熱風炉は、請求項1から12のいずれかに記載の熱風炉であることを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の加温機。
【請求項21】
前記搬送手段の搬送速度を調節することにより、前記吹き出し口から吹き出される温風の温度を調節することを特徴とする請求項20に記載の加温機。
【請求項22】
前記搬送手段の搬送速度調節に加え、前記送風ファンの送風量と、前記排ガスファンの送風量の双方又はいずれか一方を調節して前記吹き出し口から吹き出される温風の温度を調節することを特徴とする請求項21に記載の加温機。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−19539(P2010−19539A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229832(P2008−229832)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(508367290)
【Fターム(参考)】